説明

ソフトコンタクトレンズ製造用シロキサンモノマー

【課題】長期間連続装用を可能にする含水ソフトコンタクトレンズ、そのための新規な共重合体、及び鋳型中で該共重合体を得るための方法を提供する。
【解決手段】表面の接触角が水中気泡法で10〜30°かつ空気中での液滴法で40〜83°の範囲にあり、酸素透過係数(Dk値)が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズ、親水性シロキサンモノマーと親水性モノマーとを重合してなる含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体、及び含水ソフトコンタクトレンズを、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート及びエチレンビニルアルコールから選ばれた1種の樹脂から形成された鋳型中で形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期装用性に優れたソフトコンタクトレンズに関するものである。更に詳しくいえば、装用時に角膜への固着が無く、レンズの動きに優れ、装用感が良い、長期装用に優れた含水ソフトコンタクトレンズに関するものである。
【0002】
また、本発明は親水性ポリシロキサン共重合体からなる眼科用レンズ材料に関するものである。さらに詳細にはソフトコンタクトレンズとして有用な水濡れ性、酸素透過性、耐汚染性、柔軟性、光学的透明性、強度に優れた親水性共重合体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来より、ポリシロキサン化合物はジメチルシリコーン化合物に代表されるように耐熱性、化学的安定性、電気絶縁性、柔軟性、潤滑性、撥水性などの特異な機能を活かして、単独にあるいは他の材料の改質等に工業的に広く利用されている。例えば、重合性ポリシロキサン化合物である両末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサンは、その重合性を利用してアクリルポリマーやポリスチレン等の種々のポリマーの改質に使用されている。また、ポリシロキサン重合体は高いガス透過性を示すことからガス選択透過膜にも利用され、さらに生体に対する影響も小さいため生体材料や医療材料としても巾広く使われている。例えば、その優れた酸素透過性と柔軟性、光学的透明性を生かし、コンタクトレンズへの応用も検討されており、多くの出願がなされている(例えば、特許文献1〜4)。
【0004】
コンタクトレンズは、ハードレンズとソフトレンズに大きく分けられる。ハードコンタクトレンズは、硬く、装用感が悪いが、近年の酸素透過性の向上は著しく、連続装用が可能な製品も出現している。一方、ソフトコンタクトレンズは、柔らかく、装用感が良いという特長をもつが、種々の問題がある。ソフトコンタクトレンズについて詳しく見ると、含水性ソフトコンタクトレンズと非含水性ソフトコンタクトレンズに分けられる。
含水性ソフトコンタクトレンズは、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドンなどの親水性モノマーを主成分として共重合した共重合体からなり、切削法あるいはモールドあるいはキャスト成形法と呼ばれる方法によりレンズを作製し、これを生理食塩中などで膨潤処理した約40〜80%の含水率のレンズである。
【0005】
非含水性ソフトコンタクトレンズとしては、例えば、分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物に、白金系の触媒を加え、モールド法で加熱硬化させる方法で得られるシリコーンラバーレンズ、あるいは両末端にメタクリル基のような重合性基を付加したポリパーフルオロエーテルを主成分とした重合体からなるソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズとの中間の弾性率を有する可撓性レンズが知られている(特許文献5、6)。また、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルを共重合させたハードな基体から、切削によりレンズを作製し、これをエステル化及び/又はエステル交換処理を行い、装用感の良好な非含水性ソフトコンタクトレンズも製造されている(特許文献7)。
【0006】
含水性コンタクトレンズは、酸素透過性が劣ること、破損しやすく、耐久性が劣ること及び涙液中の成分によって汚染されやすく、細菌の繁殖の恐れがあるため、定期的に煮沸消毒が必要など、取扱い上不便なことが多い。高含水ソフトレンズにより酸素透過性は幾分改善されるものの、まだ充分ではなく、また強度も劣り長時間装用レンズとしては満足できない。
【0007】
一方、非含水性コンタクトレンズにも、次のような問題点が見られる。即ちシリコーンレンズは、酸素透過性がきわめて高く、当初大きな期待が持たれたが、レンズ表面の疎水性のため涙液の濡れ性が悪く、プラズマ処理や、親水性モノマーのグラフトなど表面の親水化処理が行われているが、親水性能や耐久性が充分でない。また、涙液中の蛋白質や脂質に汚染されやすく、装用中に固着する問題が起こっている。そこで、高い酸素透過性を有するシリコーンヒドロゲルからなる含水ソフトレンズも提案されているが、やはり表面の濡れ性が十分とはいえず、脂質に汚染されやすく、長期間装用するには充分とはいえない(例えば、特許文献8〜12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第1430546号公報
【特許文献2】特開昭63−29741号公報
【特許文献3】特許第2532406号公報
【特許文献4】特許第2716181号公報
【特許文献5】特許第1278540号公報
【特許文献6】特許第1677573号公報
【特許文献7】特許第952157号公報
【特許文献8】特許第1421481号公報
【特許文献9】特表平6−503276号公報
【特許文献10】特表平7−505169号公報
【特許文献11】特表平7−508063号公報
【特許文献12】特開平8−245737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ソフトコンタクトレンズについて、前記の問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、ソフトコンタクトレンズに関して、装用したときに汚れ付着性が少なく、酸素糖化係数が高く、角膜へのレンズの固着がなく、長期装用性に優れたコンタクトレンズを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らはソフトコンタクトレンズの材料の材料特性を検討し鋭意研究を重ねた結果、レンズの材料を特定の材料特性にすることでその目的を達成できることを見いだし、本発明を完成することができた。
また、本発明者は親水性シロキサンモノマーとN−ビニル基を有するアミド基含有モノマーとの共重合体が上記課題解決にきわめて有用であることを見いだすとともに、特定の極性鋳型中で重合して得られたコンタクトレンズが課題解決に特に有用であるとことを見いだし、本発明に至った。
【0011】
本発明は以下の通りである。
1.表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で30〜90°の範囲にあり、酸素透過係数が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
2.表面の接触角が水中気泡法で10〜40°かつ空気中での液滴法で30〜80°の範囲にあり、酸素透過係数が80以上で含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
3.少なくとも親水性シロキサンモノマー1種以上を重合してなる共重合体からなる上記第1項または第2項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
4.親水性シロキサンモノマーが式(1)で表される親水性ポリシロキサンモノマーである上記第3項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(ここで、X1は式(2)で表される重合性置換基である。)

(R5は水素またはメチル基、Z1は−NHCOO−、−NHCONH−、−OCONH−R6−NHCOO−、−NHCONH−R7−NHCONH−および−OCONH−R8−NHCONH−から選ばれた連結基(R6、R7、R8は炭素数2〜13の炭化水素基)であり、mは0〜10、nは3〜10、pはmが0のとき0であり、mが1以上のとき1である。qは0〜20の整数である。)。R1、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基またはトリメチルシロキシ基から選ばれた基である。構造[Y1]はシロキサン結合が2個以上連結してなるポリシロキサン骨格を表している。)
5.式(1)において、構造[Y1]が下式で表される構造単位である上記第4項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(R9、R10は炭素数1〜12の炭化水素基、フッ素置換された炭化水素基またはトリメチルシロキシ基、親水性置換基から選ばれた基であり、連結鎖中で、それぞれ異なる基であっても良い。rは7〜1000である。)
6.上記第5項記載の構造単位[Y1]においてR9、R10がメチル基である親水性ポリシロキサンモノマーである上記第5項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
7.上記第4項記載の構造単位[Y1」が下記に示される構造単位(Ia)および(IIa)が連結してなり、構造単位(Ia)と(IIb)の連結比が1:10〜10:1で構造単位(Ia)及び(IIa)の連結数の合計が7〜1000である親水性ポリシロキサンモノマーからなる上記第4項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(ここでR11及びR12はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、R13、R14はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基またはフッ素置換された炭化水素基であって、R13及びR14の少なくとも一方はフッ素置換された炭化水素基である)]
8.上記第7項記載の構造単位[Y1]においてR11、R12、R13がメチル基、R14がトリフルオロプロピル基である親水性ポリシロキサンモノマーである上記第7項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
9.上記第4項記載の構造単位[Y1]が下記式で表される構造単位(Ib)および(IIb)が結合してなり、構造単位(Ib)と(IIb)の連結数の比率は(Ib)/(IIb)=0.1〜200であり、(Ib)と(IIb)の連結数の合計数が7〜1000である親水性ポリシロキサンモノマーからなる上記第4項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(ここで、R15及びR16はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜12のフッ素置換炭化水素基およびトリメチルシロキシ基から選択された基であって、同一でも異なっていてもよい。R17およびR18はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、トリメチルシロキシ基または親水性置換基からなる基であって、R17またはR18の少なくとも一方は親水性置換基である。ここでいう親水性置換基とは水酸基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた置換基が少なくとも1個結合してなる鎖状または環状の炭化水素基である。)
10.上記第4項記載の構造単位[Y1]が下記式で表される構造単位(Ic)、(IIc)および(IIIc)が結合してなる親水性ポリシロキサンモノマーからなる上記第4項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(R19は親水性置換基であって、水酸基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた置換基が少なくとも1個結合してなる鎖状又は環状の炭化水素基である。構造単位(Ic)(IIc)(IIIc)の連結数の比率は((Ic)+(IIc))/(IIIc)=0.5〜100、(IIc)/(Ic)=0〜1であり、さらに(Ic)と(IIc)と(IIIc)の合計数は7〜1000である。)
11.上記第10項記載の構造単位[Y1]において、構造単位(Ic)(IIc)(IIIc)の連結数の比率が((Ic)+(IIc))/(IIIc)=1〜50、(IIc)/(Ic)=0.01〜0.5であり、さらに(Ic)と(IIc)と(IIIc)の合計数は20〜500である上記第10項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
12.親水性置換基が式(4)または式(5)で表される基である親水性ポリシロキサンモノマーからなる上記第9〜11項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
−R20(OH)a (4)
(ここでR20は炭素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよく、OH基は同一炭素原子上には1個のみ置換され、aは1以上の数である)
−R21−(OR22)b−OZ2 (5)
(ここで、R21は炭素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよい。R22は炭素数2〜4の炭化水素であって、bが2以上の場合、異なる炭素数であっても良い。bは1〜200であり、Z2は水素原子、炭素数1〜12の炭化水素または−OCOR23(R23は炭素数1〜12の炭化水素基)から選ばれた基を示す)
13.親水性置換基が式(6)、式(7)、式(8)からなる群から選ばれる上記第9〜11項のいずれか―項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
−COH (6)
−COCHCH(OH)CHOH (7)
−COCOH (8)
14.親水性置換基が式(9)または(10)式から選ばれる上記第9〜11項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
−C(OC)cOH (9)
−C(OC)dOCH (10)
(c、dは1〜40である)
15.上記第4項記載の式(1)で示される親水性ポリシロキサンモノマーにおいて構造単位[Y1]が下式(11)で示される構造である上記第4項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(ここでZ3は下式(12)で示される連結基である。
−A−COHN−R30−NHCOO−R31−CONH−R30−NHCO−A− (12)
(R30は酸素で中断されてもよい炭素数4〜20からなる炭化水素基、R31はポリオキシアルキレン基またはフッ素置換したポリオキシアルキレン基であり、構造単位[Y2]は(3)式、(Ia)と(IIa)の連結構造、(Ib)と(IIb)の連結構造、又は(Ic)と(IIc)と(IIIc)の連結構造、のいずれかであるポリシロキサン構造単位を意味する。Aは−O−又は−NH−結合を意味する。)。R24、R25、R26、R27はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はトリメチルシロキシ基から選ばれた基であり、R28及びR29はそれぞれ酸素原子で中断されても良い炭素数3〜12の炭化水素基である。)。
16.上記第15項記載の式(11)の連結基Z3においてR30がヘキサメチレン基、テトラメチレン基、ジシクロヘキシルメタン基、水添キシリレン基、イソホロン基から選ばれた基であり、R31がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールから選ばれてなる親水性ポリシロキサンモノマーの重合体からなる上記第15項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
17.上記第4項記載の式(2)で示される重合性連結基のZ1が下記(13)式からなる連結基で示される上記第4〜14項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
−B−COHN−R32−NHCOO−R33−CONH−R32−NHCO−B− (13)
(ここでR32は酸素で中断されてもよい炭素数4〜20からなる炭化水素基、R33はポリオキシアルキレン基またはポリオキシフルオロアルキレン基である。Bは−O−又は−NH−結合を意味する。)
18.式(13)においてR32がヘキサメチレン基、テトラメチレン基、ジシクロヘキシルメタン基、水添キシリレン基、イソホロン基から選ばれた基であり、R33がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールから選ばれてなる親水性ポリシロキサンモノマーの重合体からなる上記第17項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
19.式(1)の親水性ポリシロキサンモノマーの1種以上および親水性モノマーの1種以上を共重合してなる含水ソフトコンタクトレンズ。
20.親水性モノマーがアミドモノマーである上記第19項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
21.親水性モノマーがN−ビニル基含有アミドモノマーである上記第19項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
22.N−ビニル基含有アミドモノマーが、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムから選ばれてなる上記第21項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
23.N−ビニル基含有アミドモノマーがN−ビニル−N−メチルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンである上記第21項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
24.親水性ポリシロキサンモノマーが10〜99重量%、N−ビニル基を有するアミドモノマー1〜80重量%である共重合体からなる上記第21〜23項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
25.親水性ポリシロキサンモノマーが30〜95重量%、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが5〜60重量%である共重合体からなる上記第21〜23項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
26.ウレタン基で連結した架橋性モノマーを重合してなる上記第3〜25項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
27.架橋性モノマーが式(14)に示してなる上記第26項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(ここで、R34およびR35は水素またはメチル基で同じでも異なっていても良い。Z4は−NHCOO−連結基であり、R36は炭素数2〜10の炭化水素基または−(CO)gC−で表されるポリオキシエチレン基(gは2〜40を表す)から選択され、fは0〜10、eはfが0のとき0であり、fが1以上のとき1である。)
28.架橋性モノマーが式(15)で示してなる上記第26項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

29.上記第19〜28項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズにおいて、表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液適法で30〜90°の範囲にあり、酸素透過係数が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
30.上記第29項記載の含水ソフトコンタクトレンズにおいて、表面の接触角が水中気泡法で10〜40°かつ空気中での液適法で30〜80°の範囲にあり、酸素透過係数が80以上で含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
31.鋳型中で重合することにより製造された上記第1〜30項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
32.親水性シロキサニルモノマーが下式(16)で示される上記第3項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(R37は水素またはメチル基であり、R38はシロキサニルアルキル基である。hは0〜20を表す。)
33.少なくとも式(16)で示される親水性シロキサニルモノマー、親水性モノマー及び架橋性モノマーを含有する重合体からなる上記第3項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
34.上記第32項記載の親水性シロキサニルモノマーが下式(17)で示される上記第32または33項いずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

35.少なくとも式(16)で示される親水性シロキサニルモノマー、下記(18)式で示されるシロキサニルモノマー、親水性モノマー及び架橋性モノマーを含有する重合体からなる上記第32〜34項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(R39は水素またはメチル基であり、R40はシロキサニルアルキル基である。jは0〜4を表す。)
36.式(18)で示されるシロキサニルモノマーがトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタアクリレートである上記第35項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
37.上記第33または35項において、親水性モノマーがN−ビニル基を有するアミドモノマーである上記第33または35項のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
38.N−ビニル基を有するアミドモノマーがN−ビニル−N−メチルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンである上記第37項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
39.親水性シロキサニルモノマーを含有する重合体を切削研磨法でレンズ形状に加工して、含水させて得られた上記第32〜38項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
40.鋳型材料が重合モノマー組成に不溶性であって、鋳型の少なくとも一方のレンズ面を形成する部分が極性基を有する材料からなる鋳型中で重合して製造してなるコンタクトレンズ。
41.鋳型材料が水との接触角が液滴法で90°以下である樹脂からなる上記第40項記載のコンタクトレンズ。
42.鋳型材料の水との接触角が液滴法で65°〜80°である上記第40項記載のコンタクトレンズ。
43.鋳型材料がポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体から選ばれた樹脂からなる鋳型である上記第40〜42項のいずれか一項記載のコンタクトレンズ。
44.鋳型材料がエチレンビニルアルコール共重合体からなる上記第40〜42項のいずれか一項記載のコンタクトレンズ。
45.上記第40〜44項のいずれか一項記載のコンタクトレンズにおいて、表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で30〜90°の範囲であり、含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
46.上記第40〜44項のいずれか一項記載のコンタクトレンズにおいて、表面の接触角が水中気泡法で10〜40°、かつ空気中での液滴法で30〜80°の範囲にあり、含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
47.上記第40〜44項のいずれか一項記載の鋳型で重合することにより製造された上記第1〜38項のいずれか一項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
48.上記第1〜38項のいずれか一項記載のコンタクトレンズを製造する方法において、鋳型中で重合してなるコンタクトレンズの製造方法。
49.上記第48項の鋳型が上記第40〜44項のいずれか一項記載の鋳型材料であるコンタクトレンズの製造方法。
【0012】
すなわち、本発明はレンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で30〜90°の範囲内にあり、酸素透過係数が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズであり、さらには、レンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜40°、好ましくは10〜30°さらに好ましくは15〜30°、かつ空気中での液滴法で30〜80°、好ましくは40〜70°の範囲内にある、酸素透過係数が80以上、好ましくは100以上で含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のソフトコンタクトレンズは、その表面が水との接触角が水中および空気中において小さく安定しており、装用した時に汚れ付着性が少なく、酸素透過係数が高く、角膜へのレンズの固着が無く、長期装用性に優れたコンタクトレンズを提供する。また、本発明に係る親水性シロキサンモノマーと、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーとを共重合してなる眼科用レンズ材料は透明性、水濡れ性、酸素透過性が良好で、特に脂質付着に対して優れた耐汚染性を示す。さらに、ウレタン連結基を有する架橋性モノマー添加によりさらに強度、耐久性が良好となる。また極性基を有する樹脂からなる鋳型中で重合することでレンズに安定した水濡れ性を付与することができ、特にソフトコンタクトレンズに有用であり、長期装用コンタクトレンズとして優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に本発明は、以下を包含する。
(1) レンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で40〜70°の範囲内にあり、酸素透過係数が30以上で含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズ。
(2) レンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜30°かつ空気中での液滴法で50〜65°の範囲内にあり、酸素透過係数が100以上で含水率が15%以上である上記(1)記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
(3) 少なくとも下記一般式Iで示される親水性シロキサニルメタアクリレートを含有する重合体からなり、更に引っ張り弾性率が0.8〜2×107dyne/cm2である上記(1)又は(2)記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(4) 少なくとも上記(3)記載の一般式Iで示される親水性シロキサニルメタアクリレート、親水性モノマー及び架橋性モノマーを含有する重合体からなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
(5) 親水性シロキサニルメタアクリレートが下記式I1で示されるものである上記(3)又は(4)記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(6) 少なくとも上記(3)記載の一般式Iで示される親水性シロキサニルメタアクリレート、下記一般式I2で示されるシロキサニルメタアクリレート、親水性モノマー及び架橋性モノマーを含有する重合体からなる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

(7) 少なくとも一般式I1で示される親水性シロキサニルメタアクリレート5〜20重量%、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタアクリレート15〜30重量%、N−ビニルピロリドン25〜35重量%、N−ジメチルアクリルアミド20〜30重量%、トリフロロエチルメタアクリレート5〜10重量%、1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート5〜10重量%、エチレングリコールジメタアクリレート0.2〜2重量%を含有する重合体からなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
(8) 親水性シロキサニルメタアクリレートを含有する重合体を切削研磨法でレンズ形状に加工し、含水させて得られた上記(1)〜(7)のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
(9) 下記一般式IIで示される親水性ポリシロキサンモノマー、親水性モノマー及び架橋性モノマーを含有する重合体からなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の含水ソフトコンタクトレンズ。

〔式中、Rは水素又はメチル基、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はトリメチルシロキシ基であり、Yは下記に示される構造単位(I′)及び(II′)からなり、構造単位(I′)と構造単位(II′)との比が1:10ないし10:1で構造単位(I′)及び(II′)の合計数が7〜200である。b及びcはそれぞれ同一又は異なる1〜20の整数であり、pは0〜20の整数である。Xは−NHCOO−基又は−OOCNH−R10−NHCOO−基(R10は炭素数4〜13の炭化水素基)である。

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、フッ素置換された炭化水素基である。)〕
(10) 一般式IIで示される親水性ポリシロキサンモノマーを含む重合性組成物を、表面に極性基を有する鋳型の中に入れレンズ形状に重合させ、含水させて得られた上記(9)に記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【0015】
以下、上記発明を詳細に説明する。
本発明のソフトコンタクトレンズは、レンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で30〜90°の範囲内にあり、酸素透過係数が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズである。
【0016】
このレンズ表面の特性を制御することにより長期間にわたってレンズ表面の水濡れ性を維持することができ、酸素透過係数が高く、タンパク質および脂質の付着性が少なく、レンズの動きが安定し、角膜への固着が起こり難いコンタクトレンズの提供が可能となった。さらには、レンズ表面の接触角が水中気泡法で10〜40°、好ましくは10〜30°さらに好ましくは15〜30°、かつ空気中での液滴法で30〜80°、好ましくは40〜70°の範囲内にあり、酸素透過係数が80以上、好ましくは100以上で含水率が9%以上であるソフトコンタクトレンズが30日間の連続装用が可能でより好ましい。
【0017】
本発明のコンタクトレンズのレンズ表面の接触角が水中気泡法で50°を超えるとレンズ表面の脂質汚れが多くなり好ましくなく、この接触角は小さいほど好ましいが10°未満の材料はレンズ内部に低分子のタンパク質が入り易くなり、一般的には引っ張り強度など物理的特性が小さくなる為好ましくない。空気中での液滴法で90°を超えると装用中のレンズに曇りが発生し、脂質汚れが極めて増大し角膜への固着が起き易く、レンズの変形もおきる為好ましくない。
【0018】
また、液滴法での接触角の下限値は一般的には30°までの材料が引っ張り強度など物理的特性が優れる為好ましい。酸素透過係数が30未満になると角膜への負荷が増え連続装用が難しいため好ましくない。含水率が5%未満になるとレンズ表面のタンパク質汚れ及び脂質汚れが極めて多くなり、装用により角膜への固着が極度に増大するため好ましくない。
【0019】
本発明のコンタクトレンズは上記表面特性を有するものであれば何でも良く、その構成物に制限は無いが、上記一般式Iで示される親水性シロキサニルメタアクリレートを含有する重合体から得られるソフトコンタクトレンズが好ましい。
この親水性シロキサニルメタアクリレートを含有させることにより、酸素透過係数が高く、タンパク質および脂質の付着性が少なく、長期間にわたってレンズ表面の水濡れ性を維持できてレンズの動きが安定し、角膜への固着が起こり難いコンタクトレンズの提供が可能となった。
【0020】
一般式Iにおいて、RSiはシロキサニルアルキル基で以下の式(1a)、式(2a)及び式(3a)に示す基から選ばれた1種以上のものが使用できる。

一般式Iにおいてmは0〜4の整数であって、5以上になると親水性が大きくなり他の共重合性モノマーとの相溶性が少なくなり重合時に白濁したり、モノマー混合時に均一に混合しなくなるため好ましくない。また、式(3a)においてlは1〜10の整数であり、lが11以上になると他の共重合性モノマーとの相溶性が低下する為好ましくない。
上記の親水性シロキサニルメタアクリレートは、2−イソシアナトエチルメタアクリレートとシロキサニルアルキルアルコールとの反応で合成される。
【0021】
本発明のソフトコンタクトレンズは、一般式Iで示される親水性シロキサニルメタアクリレートを含む含水率が約5から60%の含水ポリマーで、酸素透過係数が約30以上、引っ張り弾性率が0.8〜2×10dyne/cmであるポリマーからなり、レンズ内部への蛋白質および脂質の吸着が少なくレンズのケアが容易でかつ汚れの蓄積によるレンズの動きの低下が無く、レンズの形状安定性に優れ、かつ柔らかく装用感に優れ、また装用時に吸盤効果で角膜に固着することが無く長期装用が可能となる。
【0022】
含水率が5%未満になると脂質がレンズに吸着されやすくなり角膜への固着が起こりやすくなる為好ましくない。また、含水率が60%を超えるとレンズの強度が小さくなり取扱い時にキズが付いたり、破損しやすく、蛋白質の吸着が多くなり好ましくない。酸素透過率が30未満になると連続装用が難しく、長期の装用により角膜への疾患も多くなり好ましくない。引っ張り弾性率が0.8×10dyne/cm未満ではレンズの形態安定性に劣り装用する時にレンズの取扱いが難しく、また装用中に眼の中でレンズのエッジがめくれたり、波打ち状態になりやすく装用感が悪くなり角膜や強膜への傷つきの原因ともなるため好ましくない。また、2×10dyne/cmを超えて大きいものは眼に入れた時に吸盤効果が大きくレンズの動きが極度に小さくなったり、固着の原因となるため好ましくない。
【0023】
本発明のソフトコンタクトレンズに使用される一般式Iで示される親水性シロキサニル メタクリレートのうち、下記式Idで示される構造のものがレンズの含水率、酸素透過 係数、弾性率のバランスの取れた性能を示しタンパク質及び脂質の付着も少なく好まし い。

【0024】
本発明のソフトコンタクトレンズは上記の親水性シロキサニルメタアクリレートを含 むポリマーであれば如何なるものでも良いが、例えば、メチルアクリレート、エチルア クリレート、アクリル酸などのアクリル系モノマー、メチルメタアクリレート、エチル メタアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、メタアクリル酸などのメ タアクリル系モノマー、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタアクリレー ト、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピルメタアクリレート、ペンタメチ ルジシロキサンプロピルメタアクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロ ピルオキシエチルメタアクリレート、トリス(ポリジメチルシロキシ)シリルプロピル メタアクリレートなどのシロキサン系モノマー、トリス(ジメチルトリフロロプロピル シロキシ)シリルプロピルメタアクリレートなどのフルオロシロキサン系モノマー、2 ,2,2−トリフロロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロロプ ロピルメタアクリレート、ヘキサフロロイソプロピルメタアクリレートなどのパーフロ ロアルキル系モノマー、1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−2−ヒドロキシプロ ピルメタアクリレートなどの水酸基を有するフロロアルキル系及びフロロアルキルエー テル系モノマー、N−ビニルピロリドン、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−ビ ニル−N−メチルアセトアミドなどの親水性モノマー、エチレングリコールジメタアク リレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、テトラメチルジシロキサン ビス(プロピルメタアクリレート)などの架橋性モノマーなど共重合可能な化合物との 共重合物が挙げられる。
【0025】
これらの内、酸素透過性、耐汚れ付着性、機械的強度などの物性バランスが良いこと からシロキサン系メタクリレート、フロロアルキルシロキサン系メタクリレート、フロ ロアルキル系メタクリレート、ヒドロキシル基を含有するフロロアルキルエーテル系メ タクリレート、親水性モノマー、分子内に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマー 、分子末端に重合性の不飽和基を有するシロキサン系マクロマーとの共重合物が好まし い。ここで親水性モノマーとしてはN−ビニル基を有するアミドモノマーが好ましく、 中でもN−ビニルピロリドンまたはN−ビニル−N−メチルアセトアミドを用いること で、表面の濡れ性の良好なコンタクトレンズを得ることができる。例えば、式I1で表 わされる親水性シロキサニルメタアクリレート5〜20重量%、トリス(トリメチルシ ロキシ)シリルプロピルメタアクリレート15〜30重量%、N−ビニルピロリドン2 5〜35重量%、N−ジメチルアクリルアミド20〜30重量%、トリフロロエチルメ タアクリレート5〜10重量%、1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−2−ヒドロ キシプロピルメタアクリレート5〜10重量%、エチレングリコールジメタアクリレー ト0.2〜2重量%を含有する重合体からなるソフトコンタクトレンズがある。
【0026】
本発明のコンタクトレンズは、従来のレンズ製造方法で製造でき、例えば、ポリマー のブロックから旋盤で切削して研磨加工する方法、レンズの形状に相当する重合鋳型の 中にモノマー組成物を注入して重合するキャスト法、あるいは、レンズの片面のみを重 合鋳型でキャスト重合して形成し他の面を切削研磨法で仕上げる方法などがある。切削 研磨法でコンタクトレンズを製造できることが本発明の特徴でもあり、一般式Iで示さ れる親水性シロキサニルメタクリレートを使用することにより酸素透過係数を上げるシ ロキサニル系モノマーと水濡れ性を高める親水性モノマーとの相溶性が良くなり、ドラ イ状態において切削研磨加工が可能な硬度を有するポリマーが得られ、含水させた時に 光学的透明性を保ち、弾性率が適切な範囲の含水ソフトコンタクトレンズが得られる。 切削研磨法で作成したレンズは、レンズ表面と内部が実質的に同じポリマー組成であり 、長期間の装用においても表面特性の変化が無く水濡れ性、タンパク質付着性、脂質付 着性など安定したレンズ性能を示すため好ましい。
【0027】
また、本発明のコンタクトレンズは一般式IIで示される親水性ポリシロキサンモノ マーを含む重合物から得られるものが使用できる。

〔式中、Rは水素又はメチル基、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はトリメチルシロキシ基であり、Yは下記に示される構造単位(I′)及び(II′)からなり、構造単位(I′)と構造単位(II′)との比が1:10ないし10:1で構造単位(I′)及び(II′)の合計数が7〜200である。b及びcはそれぞれ同一又は異なる1〜20の整数であり、pは0〜20の整数である。Xは−NHCOO−基又は−OOCNH−R10−NHCOO−基(R10は炭素数4〜13の炭化水素基)である。
【0028】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、フッ素置換された炭化水素基である。)〕
【0029】
この親水性ポリシロキサンモノマーに共重合可能な上記したモノマーを共重合しても 良い。また、特開平3−240021号公報、特開平3−257420号公報、特開平4−50814号公報、特開平5−45612号、特許第2592356号などに記載されている分子末端に重合性の不飽和基を有する下記式(4a)〜(7a)で表されるポリシロキサン系モノマーをさらに含有する共重合物も使用できる。

(式中のRは水素又はメチル基、R、R、R及びRはそれぞれメチル基又はトリメチルシロキシ基を表わし、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基であり、a及びcはそれぞれ1〜20の整数であり、bは10〜100の整数である。)
【0030】

〔式中のRは水素又はメチル基、R、R、R及びRはそれぞれメチル基又はトリメチルシロキシ基を表わし、R6及びR7はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素であり、a及びcはそれぞれ1〜20の整数であり、pは0〜20の整数、bは10〜100の整数で、Xは−NHCOO−基又は−OOCNH−R−NHCOO−基(Rは炭素数4〜13の炭化水素基)である。〕
【0031】

〔式中、Rは水素又はメチル基、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はトリメチルシロキシ基であり、Yは下記に示される構造単位(I)及び(II)からなり、構造単位(I)と構造単位(II)との比が1:10ないし10:1で構造単位(I)及び(II)の合計数が7〜200である。b及びcはそれぞれ同一又は異なる1〜20の整数であり、pは0〜20の整数である。
【0032】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、R及びRはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基であって、R及びRの少なくとも一方は、フッ素置換された炭化水素基である。)〕
【0033】

(式中、Xはラジカル重合可能な不飽和基を持つ置換基であり、Yは、R又はXを示 す。cは0〜500、bは1〜500であり、R、Rは炭素数1〜10からなるアルキル基、炭素数1〜10からなるハロゲン化アルキル基及びトリメチルシロキシ基から選ばれた基であり、同一でも異なっていてもよい。Rは水酸基が少なくとも1つ結合している含フッ素置換基である。R、R、R、R、R、RはRと異なっていても同じでもよい水酸基が少なくとも1つ結合している含フッ素置換基、炭素数1〜10からなるアルキル基、炭素数1から10からなるハロゲン化アルキル基及びト リメチルシロキシ基から選ばれた基であり、同一でも異なっていてもよい。)
【0034】
これらのうち、酸素透過性、耐汚れ付着性、機械的強度などの物性バランスが良いことからシロキサン系メタクリレート、フロロアルキルシロキサン系メタクリレート、フロロアルキル系メタクリレート、ヒドロキシル基を含有するフロロアルキルエーテル系メタクリレート、親水性モノマー、分子内に2つ以上の不飽和基を有する架橋性モノマー、分子末端に重合性の不飽和基を有するポリシロキサンモノマーとの共重合物が好ましい。
上記ポリシロキサンモノマーを主成分とするコンタクトレンズは、従来のレンズ製造方法で製造でき、例えば、レンズの形状に相当する重合鋳型の中にモノマー組成物を注入して重合するキャスト法で製造できる。特にエチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなど表面に極性基のある材料で成形した重合鋳型を使用して製造したレンズはレンズ表面に厚く安定した親水性の層が形成され、長期間の装用においても表面特性の変化が無く水濡れ性、タンパク質付着性、脂質付着性など安定したレンズ性能を示すため好ましい。
【0035】
また、本発明は、以下を包含する。
(1) 少なくとも以下の(a)の1種または2種以上および(b)の1種または2種以上を共重合してなる眼科用レンズ材料。
(a)式(1b)で表される親水性ポリシロキサンモノマー。

[ここで、Xは式(2b)で表される重合性置換基である。

(式(2b)中、Rは水素またはメチル基、Z1は−NHCOO−、−NHCONH−、−OOCNH−R−NHCOO−、−NHCONH−R−NHCONH−および−OOCNH−R−NHCONH−から選ばれた連結基(R、R、Rは炭素数2〜13の炭化水素基)であり、mは0〜10、nは3〜10、pはmが0のとき0であり、mが1以上のとき1である。qは0〜20の整数である。)
、R、R、Rはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基またはトリメチルシロキシ基から選ばれた基である。
構造Yは下記式で表される構造単位[I]および[II]が結合してなり、構造単位[I]と[II]の結合数の比率は[I]/[II]=0.1〜200であり、[I]と[II]の合計数は10〜1000である。

(ここで、R及びR10はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜12のフッ素置換炭化水素基およびトリメチルシロキシ基から選択された基であって、同一でも異なっていてもよい。R11およびR12はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基、トリメチルシロキシ基または親水性置換基からなる基であって、R11またはR12の少なくとも一方は親水性置換基である。ここでいう親水性置換基とは水酸基、オキシアルキレン基から選ばれた置換基が少なくとも1個結合してなる鎖状または環状の炭化水素基である。)]
(b)N−ビニル基を有するアミド基含有モノマー。
(2) 構造Yが下記式で表される構造単位[I’]、[II’]および[III’]が結合してなる上記(1)に記載の眼科用レンズ材料。

(ここで、R13は親水性置換基であって、水酸基、オキシアルキレン基から選ばれた置換基が少なくとも1個結合してなる鎖状又は環状の炭化水素基である。構造単位[I’]、[II’]および[III’]の結合数の比率は([I’]+[II’])/[III’]=0.5〜100、[II’]/[I’]=0〜1であり、さらに[I’]と[II’]と[III’]の合計数は10〜1000である。)
(3) 構造Yが、構造単位[I’][II’][III’]の結合数の比率が([I’]+[II’])/[III’]=1〜50、[II’]/[I’]=0.01〜0.5であり、さらに[I’]と[II’]と[III’]の合計数は20〜500である上記(2)に記載の眼科用レンズ材料。
(4) 親水性ポリシロキサンモノマーの親水性置換基が式(3b)または式(4b)で表される基である請求項1に記載の眼科用レンズ材料。
−R14(OH)a (3b)
(ここで、R14は炭素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよく、OH基は同一炭素原子上には1個のみ置換され、aは1以上の数である)
−R15−(OR16)b−OZ2 (4b)
(ここで、R15は灰素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよい。R16は炭素数2〜4の炭化水素であって、bが2以上の場合、異なる炭素数であっても良い。bは1〜200であり、Z2は水素原子、炭素数1〜12の炭化水素または−OOCR17(R17は炭素数1〜12の炭化水素基)から選ばれた基を示す)
(5) 親水性置換基が式(5b)、式(6b)、式(7b)から選ばれてなる基である上記(4)に記載の眼科用レンズ材料。
−COH (5b)
−COCHCH(OH)CHOH (6b)
−COCOH (7b)
(6) 親水性置換基が式(8b)または(9b)式から選ばれてなる基である上記(4)に記載の眼科用レンズ材料。
−C(OC)cOH (8b)
−C(OC)dOCH (9b)
(c、dは2〜40である)
(7) N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムから選ばれてなるものである上記(1)に記載の眼科用レンズ材料。
(8) N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンである上記(7)に記載の眼科用レンズ材料。
(9) 少なくとも親水性ポリシロキサンモノマーを10〜99重量%、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーを1〜90重量%を含んでなる共重合体である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の眼科用レンズ材料。
(10) 少なくとも親水性ポリシロキサンモノマーを30〜95重量%、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーを5〜70重量%を含んでなる共重合体である上記(9)に記載の眼科用レンズ材料。
(11) ウレタン基で連結した架橋性モノマーをさらに含有して共重合してなる上記(1)〜(10)のいずれかに記載の眼科用レンズ材料。
(12) 式(10b)に示す架橋性モノマーを含有するモノマーを共重合してなる上記(11)に記載の眼科用レンズ材料。

[ここで、R16およびR18は水素またはメチル基で同じでも異なっていても良い。Z3はウレタン連結基であり、R17は炭素数2〜10の炭化水素基または−(CO)gC−で表されるポリオキシエチレン基(gは2〜40を表す)から選択され、fは0〜10、eはfが0のとき0であり、fが1以上のとき1である。]
(13) 架橋性モノマーが、式(11b)で示してなる上記(11)又は(12)に記載の眼科用レンズ材料。

(14) 上記(1)〜(13)のいずれかに記載の眼科用レンズ材料からなるソフトコンタクトレンズ。
(15) 上記(1)〜(14)のいずれかに記載の眼科用レンズ材料を鋳型中で製造する方法であって、該鋳型が極性基を有する材料からなることを特徴とする眼科用レンズの製造方法。
(16) 上記(15)において、鋳型材料が重合モノマー組成に不溶性であり、かつ鋳型の少なくとも一方のレンズ面を形成する部分が水との接触角が90°以下である樹脂からなることを特徴とする眼科用レンズの製造方法。
(17) 鋳型材料が、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体から選ばれた樹脂からなる鋳型である上記(15)又は(16)に記載の眼科用レンズの製造方法。
(18) 鋳型材料がエチレンビニルアルコール共重合体である上記(17)に記載の眼科用レンズの製造方法。
(19) 紫外線または可視光照射による光重合により重合することを特徴とする上記(15)〜(18)のいずれかに記載の眼科用レンズの製造方法。
(20) 眼科用レンズがソフトコンタクトレンズである上記(15)〜(19)のいずれかに記載の眼科用レンズの製造方法。
【0036】
ここで、親水性ポリシロキサンモノマーの構造単位[I]および[II]の結合形式がブロック的に結合しているような構造式を示しているが、ここではランダム的に結合した構造も含んでいる。該ポリシロキサンモノマーにおける親水性置換基は水酸基、オキシアルキレン基から選ばれた置換基が少なくとも1個結合してなる鎖状または環状の炭化水素基であるが、好ましくは式(3b)または式(4b)で表される基である。
【0037】
−R14(OH)a (3b)
(ここで、R14は炭素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよく、OH基は同一炭素原子上には1個のみ置換され、aは1以上の数である)
【0038】
−R15−(OR16)b−OZ2 (4b)
(ここで、R15は炭素数3〜12の炭化水素基であって、炭素炭素間に−O−、−CO−、−COO−からなる基を挟んでいてもよい。R16は炭素数2〜4の炭化水素であって、bが2以上の場合、異なる炭素数であっても良い。bは1〜200であり、Z2は水素原子、炭素数1〜12の炭化水素または−OOCR17(R17は灰素数1〜12の炭化水素基)から選ばれた基を示す)
【0039】
好ましい親水性基を例示するならば、−COH、−C16OH、−COCOH、−COCHCH(OH)CH、−CCOOCOH、−CCOOCHCH(OH)Cなどの1価アルコール置換基、−COCHCH(OH)CHOH、−CCOOCHCH(OH)CHOH、−COCHC(CHOH)などの多価アルコール置換基、−C(OCOH、−C(OC0OH、−C(OC10OCH、−C(OC10−(OC10OCなどのポリオキシアルキレン基などがある。この中で特に好ましくは、−COH、−COCHCH(OH)CHOH、−COCOHなどのアルコール置換基、−C(OC)cOH、−CH6(OC)dOCH(c、dは2〜40である)などのポリオキシエチレン基が親水性、酸素透過性の点で優れている。
【0040】
含フッ素置換基は材料に耐汚染性を付与するが、多すぎると親水性を損ねる。フッ素原子が炭素数1〜12の炭化水素に結合した置換基が好ましく、例を挙げるならば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロオクチル基、1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシル基等が挙げられ、なかでも3,3,3−トリフルオロプロピル基が親水性、酸素透過性の点で好ましい。また、親水性置換基および含フッ素置換基のほかにSi原子に結合している置換基としては炭素数1〜12の炭化水素基またはトリメチルシロキシ基であり、同一でも異なっていても良く、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。メチル基のような小さな置換基を有するシロキサン鎖は柔軟性に富み、酸素透過性も良好である。
【0041】
シロキサン構造単位[I]と、親水性置換基が結合したシロキサン構造単位[II]の結合数の比率は[I]/[II]で0.1〜200であり、シロキサン構造単位[I]の割合が少ないとシロキサン鎖の柔軟性と酸素透過性が低下する一方、親水性置換基が少なすぎると、親水性が低下し表面濡れ性が悪化する。さらにシロキサン構造単位[I]と[II]の合計数は10〜1000が良いが、より好ましくは20〜500である。ポリシロキサン鎖が短いと重合体の柔軟性、酸素透過性が低下する。又、シロキサン鎖が長すぎるとポリシロキサンモノマー自体の粘度が著しく大きくなり、モノマーの製造や取扱いが困難となるとともに、重合率が低下し、好ましくない。
【0042】
重合可能な不飽和基はシロキサン鎖の末端に結合しており、不飽和基の構造としてはアクリレート基あるいはメタクリレート基が重合性の観点から好ましい。Si原子との連結基としてウレタン結合あるいはウレア結合を含む炭化水素基が好ましく、オキシエチレン基を介していても良い。ウレタン結合およびウレア結合は極性が高く、重合体の親水性を増加させるとともに、強度を大きくする。これらの連結基が2個結合する構造はジイソシアナート化合物との反応により導入され、イソシアナート間の連結基は炭素数2〜13の炭化水素であり、鎖状、環状あるいは芳香族化炭化水素であってもよい。より好ましくは耐光性の良好な脂肪族炭化水素がよい。使用できるジイソシアナート化合物の例を挙げるならば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアナート等がある。
【0043】
本発明で開示した親水性ポリシロキサンモノマーの合成方法は種々考えられるが、例をあげるならば、次の方法がある。すなわち、ヒドロシラン(Si−H)を有する環状シロキサン、炭化水素基を有する環状シロキサンおよび両末端にヒドロキシアルキル基を有するジシロキサン、場合によりフッ素置換炭化水素基を有する環状シロキサンを加えた混合物を硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酸性白土などの酸性触媒を用いて開環重合し、両末端に水酸基を有し、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン化合物を得る。その際、それぞれの環状シロキサンとジシロキサン化合物の仕込み比率を変えることで重合度およびフッ素置換基、ヒドロシリル基の導入割合が異なったシロキサン化合物が得られる。
【0044】
次にイソシアネート置換アクリレート、あるいはイソシアネート置換メタクリレートをシロキサン末端の水酸基と反応させ両末端に重合性不飽和基を有するヒドロシラン含有含フッ素シロキサン化合物を得る。ここで、イソシアネート置換メタクリレート化合物としては、例えば、メタクリロキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネートなどがあり、さらにヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートなどの水酸基含有アクリレートあるいは水酸基含有メタクリレートと種々のジイソシアネート化合物と反応させて得られるアクリレート基あるいはメタクリレート基含有イソシアナート化合物も利用できる。
【0045】
次に、不飽和炭化水素基を有する親水性化合物を塩化白金酸など遷移金属触媒を用いヒドロシランに付加反応させる、いわゆるヒドロシリル化反応を利用することで親水性ポリシロキサンモノマーを得ることができる。ここでヒドロシリル化反応の際に、水酸基、カルボン酸などの活性水素化合物が存在すると副反応として脱水素反応を起こすことが知られている。従って、導入する親水性化合物中にこれらの活性水素が存在する場合、副反応を抑えるためにあらかじめ活性水素を保護したり、バッファー剤を添加し、副反応を抑えなければならない(例えば、米国特許第3907851号明細書、特開昭62−195389号公報)。
【0046】
また別の合成ルートとしては、両末端に水酸基を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン化合物の合成後、先にヒドロシリル化による親水性化合物の導入を行い、その後にイソシアネート置換メタクリレートなどを反応させ、シロキサン末端に重合性基を導入する方法もある。この場合にも親水性化合物中にイソシアネートと反応しうる活性水素が存在する場合には保護基を導入し、イソシアネートとの反応を防止しなければならない。また、出発原料に環状シロキサンに代えて、ジメトキシシラン化合物やジエトキシシラン化合物などの珪酸エステル誘導体を用いることもできる。こうして得られる親水性ポリシロキサンモノマーの2種以上を混合して使用することもできる。
【0047】
本発明で開示する眼科用レンズ材料、とりわけ含水ソフトコンタクトレンズ材料としての共重合体には親水性ポリシロキサンモノマーの他に親水性モノマーが共重合成分として必須であり、好ましくはアミドモノマー、なかでもN−ビニル基含有アミドモノマーが有用であり、良好な透明性、耐汚染性、表面濡れ性を与える。N−ビニル基含有モノマーが優れている理由は定かではないが、本発明で開示している親水性ポリシロキサンモノマーとの共重合の際に、これらのモノマーの共重合性、分子量、極性が大きく異なるためにミクロな相分離構造となり、透明でありながらレンズ表面に耐汚染性や親水性を安定して与えると推定される。
【0048】
N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムから選ばれるが、2種以上を使用しても良い。特に好ましいのはN−ビニル−N−アセトアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンである。
【0049】
共重合組成としては、親水性ポリシロキサンモノマーが10〜99重量%、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが1〜90重量%からなる共重合体が好ましいが、特に好ましくは親水性ポリシロキサンモノマーが30〜95重量%、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが5〜70重量%からなる共重合組成である。親水性ポリシロキサンモノマーが少ないと酸素透過性や、柔軟性が低下する。またN−ビニル基を有するアミド基含有モノマーが多すぎると含水率が大きくなり強度が低下する。
【0050】
本発明で開示している材料には、親水性ポリシロキサンモノマー、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーの他に、さらに加えて他のモノマーを重合してなる共重合体も含まれる。本発明において共重合可能であればどのようなモノマーでも使用できるが、含水性材料には、とりわけ親水性のモノマーが有用である。すなわち、親水性ポリシロキサンモノマーとの相溶性が良く、重合体の表面濡れ性をさらに向上させたり、含水率を変化させるモノマーとして使用できるからである。例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレートなどの水酸基含有モノマー、3−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの含フッ素置換基を有する水酸基含有モノマー、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸などのカルボン酸基含有モノマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアルキル置換アミノ基含有モノマー、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミドやメタクリルアミドモノマー、さらにメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどのオキシアルキレン基含有モノマーなどが挙げられる。
【0051】
また、酸素透過性を調整するためにいわゆるシロキサニルアクリレート類も有用な共重合モノマーである。例えば、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピルメタクリレート、ペンタメチルジシロキサニルメタクリレートなどがある。さらに同様の目的としてメタクリレート基等が置換している重合性のポリジメチルシロキサンも使用できる。
【0052】
さらにその他の利用できるモノマーの例を挙げれば、アクリル酸フルオロアルキルエステルおよびメタクリル酸フルオロアルキルエステルなどの含フッ素モノマー、例えば、トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート及びこれらのアクリレート類に対するメタクリレート類などがある。
【0053】
また、アクリル酸アルキルエステルモノマー及びメタクリル酸アルキルエステルモノマーなども必要に応じ使用できる。例を挙げるならばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、nブチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート及びこれらのアクリレート類に対応するメタクリレート類などがある。また、機械的性質を向上のためにシクロヘキシルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのいわゆる高ガラス転移点(Tg)のモノマーも利用できる。
さらに親水性ポリシロキサンモノマーとは別に架橋性のモノマーを加えることで機械的性質や安定性を向上させたり、含水率も調節出来る。架橋性モノマーとしては重合性基を2個以上有するモノマーが利用できる。例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビニルメタクリレート及びこれらのメタクリレート類に対応するアクリレート類、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン等のシロキサン誘導体も利用できる。
【0054】
本発明者は本発明において開示している重合組成において、ウレタン基で連結した架橋性モノマーが相溶性、親水性が良好で機械的性質の向上に特に優れていることを見出した。好ましくは、式(10b)に示す2官能性の架橋性モノマーである。

[ここで、R16およびR18は水素またはメチル基で同じでも異なっていても良い。Z3はウレタン連結基であり、R17は炭素数2〜10の炭化水素基または−(CO)gC−で表されるポリオキシエチレン基(gは2〜40を表す)から選択され、fは0〜10、eはfが0のとき0であり、fが1以上のとき1である。]
【0055】
架橋性モノマーとして優れている理由は定かではないが、本発明で開示している親水性ポリシロキサンモノマーが同様のウレタン基骨格を有していることから、相溶性、共重合性がよく、さらに分子間相互作用により強度向上に寄与している、と考えられる。用いられるウレタン連結型架橋性モノマーの例を挙げるならば、2−メタクリロイルカルバモイルオキシエチルメタクリレート、2−(2−メタクリロキシエチルカルバモイルオキシ)エチルアクリレート、2−(2−メタクリロキシエチルカルバモイルオキシ)プロピルメタクリレート、2−メタクリロキシエチルカルバモイルオキシテトラエチレングリコールメタクリレートなどがある。
【0056】
特に好ましくは、式(11b)で示される架橋性モノマーである。

これらの架橋性モノマーは1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0057】
親水性材料の光学特性、酸素透過性、機械的強さ、変形回復性、眼に装用したときの汚れ付着性、涙液中での寸法安定性とその経時変化などの特性バランスを良くするため、これら共重合可能なモノマーを組み合わせた混合モノマーを使用することができるが、更に必要に応じて、重合前にあるいは重合後に、各種添加剤を加えても良い。添加剤としては例えば、種々の着色性の染料や顔料、UV吸収剤などがある。さらに鋳型を用いてレンズを製造する場合には、レンズと鋳型の分離をよくするために、界面活性剤などの離型剤を添加することもできる。
【0058】
本発明の眼科用レンズ材料として用いられる重合体は、例えば、親水性ポリシロキサンモノマー、N−ビニル基を有するアミド基含有モノマーなどを含むモノマーの混合物を鋳型に充填して公知の方法でラジカル重合させるいわゆるモールド成形法、回転する半面鋳型内にモノマー混合物を仕込んで重合させるいわゆるスピンキャスト法により眼科用レンズに成型することができる。その際にモノマー混合物に溶剤を添加した溶液を鋳型中で重合することで重合率やレンズ膨潤率の調整に利用することもできる。その添加溶剤としては、モノマーの溶解性が良いものが使用でき、例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンやテトラヒドロフランなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられ、またこれらを2種以上の混合溶剤も使用できる。
【0059】
モールド重合法やキャスト重合法において使用する鋳型材料は、モノマー混合物に実質的に不溶で、重合後にレンズを分離することが可能であれば使用することが出来る。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂なども使用できるが、好ましくは、表面に極性基を有し、水との接触角が小さい材料が適当である。極性基とは水との親和力の強い原子団であり、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基、ポリオキシエチレン基、アミド基、ウレタン基などを指す。好ましい鋳型材料は、重合モノマー組成に不溶性であり、かつ鋳型の少なくとも一方のレンズ面を形成する部分が水との接触角が液適法で90°以下のものである。さらに好ましくは鋳型材料表面の接触角が液滴法で65〜80°のものである。鋳型材料表面の接触角が80°より小さい鋳型材料を用い成形したレンズは水濡れ性が特に良好で、脂質付着性などに安定した性能を示す。また65°より小さな接触角を示す材料では重合後にレンズと鋳型材料との分離が難しくなり、そのため微小な表面傷やレンズエッジ部分の欠けを引き起こしやすくなり、実用的ではない。また、モノマー組成に対する溶解性を示す材料では、レンズとの分離が困難であったり、レンズ表面の荒れや透明性が低下し使用するのが難しい。例えば、メチルメタアクリレート共重合体、スチレン共重合体などのアクリル系樹脂やスチレン系樹脂は成形性に優れるものの、本発明で開示しているようなアミドモノマーを含んだ組成に対して溶解性を示し、使用することはできない。
【0060】
より好ましくは、鋳型材料がポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体から選ばれた樹脂であり、特にエチレンビニルアルコール共重合体が鋳型自身の成形が容易で安定した寸法の鋳型が得られることやレンズに安定した水濡れ性を付与できることから、さらに好ましい。用いられるエチレンビニルアルコール共重合樹脂としては日本合成化学工業(株)製の「ソワライト」あるいは(株)クラレ製の「エバール」として市販されており、エチレン共重合比率が約25〜約50モル%の種々のグレードのものが本発明で使用できる。また、ポリエチレンテレフタレートは結晶性の低いものはモノマー組成に対する溶解性が劣り、鋳型として使用することは難しいが、結晶性を高めたものは使用することができる。例えばポリエチレンテレフタレートの延伸フィルムを鋳型状に成形することで使用することができる。
【0061】
レンズ成形の際の重合開始方法は、光重合開始剤を単量体混合物中に存在させ、紫外線、可視光を照射して重合させる光重合法、あるいはアゾ化合物や有機過酸化物を用いて熱重合させるラジカル重合法が用いられる。用いられる光重合開始剤の例をあげるならば、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α,α′−ジエトキシアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなど、有機過酸化物としてはベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイドなど、アゾ化合物としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなど、が使用される。この中で光重合法が短時間で安定して重合できることから好ましい。
【0062】
成形されたレンズは、必要により、さらにレンズ表面をプラズマ処理、オゾン処理、グラフト重合などを施し、表面を改質することもできる。
【0063】
さらに本発明は(1)式で表わされる親水性ポリシロキサンモノマーとして以下を包含している。
(1)下記(1c)式で表わされる2官能性有機ポリシロキサンモノマー。

〔式中、R、R、R、Rは−CH、−CHCHCFから選ばれた基であり、同じであっても異なってもよい。m+nは7〜1000の範囲の整数。R5はヘキサメチレン基、テトラメチレン基、ジシクロヘキシルメタン基、水添トリレン基、水添キシリレン基、イソホロン基から選ばれた基。aは0〜20の範囲の整数である。

から選ばれた基であり、lは1〜40の範囲の整数。〕
【0064】
(2)下記(2c)で表わされる2官能性有機ポリシロキサンモノマー。

〔式中、R、R、R11、R12、R13、R14、R17、R18は−CH、−CHCHCFから選ばれた基であり同じであっても異なってもよい。m、o、p、rは5〜500の範囲の整数。bは0〜20の範囲の整数。
、R10、R15、R16は−CH、−(CHCHO)sCHから選ばれたもので同じであっても異なってもよい。n、qは1〜500の範囲の整数。sは1〜40の範囲の整数。
R19はヘキサメチレン基、テトラメチレン基、ジシクロヘキシルメタン基、水添トリレン基、水添キシリレン基、イソホロン基から選ばれた基。

から選ばれた基で、lは1〜40の範囲の整数。〕
【0065】
(3)下記(3c)式で表わされる2官能性有機ポリシロキサンモノマー。

〔式中、R21、R22は−CH、−CHCHCFから選ばれた基で、少なくとも1つの−CH3基を有する。mは5〜500の範囲の整数、m+nは7から1000。cは0〜20の範囲の整数である。
23、R24は−CH、−CHCHCFから選ばれた基で、少なくとも1つの−CHCHCF基を有する。nは0〜500の範囲の整数。
25はヘキサメチレン基、テトラメチレン基、ジシクロヘキシルメタン基、水添トリレン基、水添キシリレン基、イソホロン基から選ばれた基。
26

から選ばれた基で、lは1〜40の範囲の整数。〕
【0066】
式(1c)中のR基、式(2c)中のR19基および式(3c)中のR25基は、二官能イソシアネートの残基であって、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの残基であり、なかでもヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの残基がレンズの機械的特性バランスが良く好ましい。
基、R20基およびR26基は、ポリオキシアルキレングリコールの残基であって、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなどの残基があり、重合度が1〜40の範囲のものが使用できる。なかでもポリエチレングリコールがレンズの水濡れ性、汚れ付着防止性能などが優れていて好ましい。
【0067】
式(1c)および式(2c)で表わされる2官能性有機ポリシロキサンモノマーは、例えば、1,3−ビス−(ヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサン及び1,3,5−トリフルオロプロピルトリメチルシクロトリシロキサンとの開環挿入反応によって得られるポリシロキサン構造を有するジオールの2倍当量と、例えば、ポリエチレングリコールに2倍当量のヘキサメチレンジイソシアネートを反応させたポリエチレングリコールの末端イソシアネート変性物および、メタクリロキシエチルイソシアネートを反応させて得られる。
【0068】
又式(3c)で表わされる2官能性有機ポリシロキサンモノマーは、例えば、1,3−ビス−(ヒドロキシエトキシプロピル)テトラメチルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンと、場合により1,3,5−トリフルオロプロピルトリメチルシクロトリシロキサンとの開環挿入反応によって得られるポリシロキサン構造を有するジオールと、例えば、2倍当量のヘキサメチレンジイソシアネートを反応させたポリエチレングリコールの末端イソシアネート変性物の過剰量とを反応させて得られる生成物に、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートの過剰量を反応させて得られる。
【0069】
本発明で開示する親水性ポリシロキサンモノマーおよびN−ビニル基を有するアミド基含有モノマーを共重合してなる眼科用レンズ材料は、透明性、水濡れ性、酸素透過性、耐汚染性に優れており、ハートコンタクトレンズのような固いレンズとしても利用できるが、好ましくはソフトレンズ、特に含水ソフトコンタクトレンズ用途に有用である。もちろん眼内レンズや角膜レンズとしても有用な材料である。さらにここで開示している眼科用レンズ材料は接触角が水中気泡法で10〜50°かつ空気中での液滴法で30〜90°の範囲に入り、酸素透過係数が30以上で含水率が5%以上であり、さらには水中気泡法で10〜40°、かつ空気中での液滴法で30〜80°の範囲にあり、酸素透過性が80以上で含水率が9%以上である含水ソフトコンタクトレンズを含んでおり、これらは前述のとおり30日間の長期連続装用に適したコンタクトレンズを与える。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例などを用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
なお、実施例1〜7及び比較例1〜3におけるレンズ特性の評価方法は以下の通りである。
【0071】
(1) 含水率
ソフトコンタクトレンズを精製水に入れ37℃で72時間静置した後、レンズを取り出し表面の付着水を手早く拭き取ってその重量を精秤した後、80℃で真空乾燥機で恒量になるまで乾燥して、その重量変化から求めた。
含水率=(重量変化量/乾燥前重量)×100 (%)
【0072】
(2) 酸素透過係数(Dk値)
コンタクトレンズ協会標準Dk値測定法に準じて理化精機工業(株)社製、K316−IPI型フィルム酸素透過測定器を使用して電極法により35℃生理食塩水中で測定した。
Dk値の表示は、×10−11(cm/sec)・(mIO2/ml×mmHg)で示した。
【0073】
(3) 引っ張り弾性率
コンタクトレンズの中央部から約3mm幅のサンプルを切り出し、25℃生理食塩水中で万能試験機(島津製作所製、AGS−50B型)を用いて100mm/minの速度で引っ張り試験を行い、初期の傾きから求めた。値はdyne/cmで示した。
【0074】
(4) タンパク質付着性
下記組成のモデル汚れ水溶液を調合した。
NaCl 0.9 重量% NaHPO 0.0184重量% NaHPO 0.076 重量% 卵白リゾチーム 0.12 重量% 牛血清アルブミン 0.388 重量% CaCl(HO) 0.0407重量% この液2mlにレンズ1枚を入れ、温度37℃で24時間浸せきし、精製水中にレンズを入れて30分間振とうして洗浄する。レンズを取り出し表面水を軽くふき取る。
そのレンズをプロテイン分析試薬(BCA液)液中に浸せき(レンズ1枚/2ml)し、40℃で5Hr反応後、UV562nmにて分光光度計(日本分光(株))製、V−550型)で測定した。
別途求めた検量線から、レンズ1枚当りの付着タンパク質量を求めた。
【0075】
(5) 脂質付着性
オリーブオイル1%のリン酸緩衝液を撹拌混合して、レンズを入れ40℃の恒温槽中で20Hr浸せきした。5mlの精製水を入れた容器内にレンズを入れ30sec振り洗いをして、これを5回繰り返して洗浄した。このレンズを真空乾燥した後クロロフォルム/メタノール:2/1混合溶媒で抽出し、トリグリセライドG試験液で発色して505nmにおける吸光度を分光光度計(日本分光社製、V−550型)で測定した。別に求めた検量線からレンズ1枚当りの脂質付着量を求めた。
【0076】
(6) 水濡れ性
ソフトコンタクトレンズの表面の水濡れ性を接触角を測定して評価した。
接触角測定器(協和界面科学(株)社製、CA−DT型)を使用して、精製水中で気泡法で測定し、またレンズが乾燥した状態での水濡れ性を評価するため、レンズ表面の水を拭き取り、液滴法でも測定した。気泡法および液滴法による接触角測定は25℃で行い、日コレ誌25(1).100.1983に従った。両者の値が小さく近いほど水濡れ性に優れ、レンズの乾燥による変化が少ない。また、装用して回収したレンズについてレンズを保存液から引き上げた時のレンズ表面の水層の維持状況を観察して水濡れ性を評価した。30秒以上レンズ表面全体が濡れている場合を水濡れ性優良とし、1秒以内に一部でも水濡れが無くなる場合を不良とし、その間の時間を可とした。
【0077】
(7) 家兎眼装用試験
白色家兎の角膜曲率を測定し、約0.2mm大きいベースカーブを有するサイズ13.5mm、中心厚み0.05mm、パワー−3.00ディオプターのレンズを装用させ21日間観察した。装用状態を記録するとともに7日おきに角膜の状態を目視およびフルオレッセン染色して検査した。
【0078】
(8) ビッカーズ硬度の測定
(株)明石製作所製の軽荷重微小硬度計、MVK−ISを用いた。試料はその面が鏡面が出るまで研磨して、シリカゲルデシケータ内で乾燥後、25℃で測定した。
【0079】
<実施例1>
[親水性シロキサニルメタアクリレートの合成]
2−イソシアナトエチルメタアクリレート12.4gをシクロヘキサン30mlに溶解し、該溶液をトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルオキシエチルアルコール30gをシクロヘキサン50mlに溶解しジブチルスズジラウレート0.03gを添加した溶液に滴下して加え、50℃で24時間反応させた。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収の消失を確認し、反応終了後水を添加して攪拌し、n−ヘキサン500mlを加えさらに飽和NaCl水溶液約1000mlを加えて攪拌した。有機層を分離した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥し溶剤を減圧下に除去して下記式I1で示される親水性シロキサニルメタアクリレート32gを得た。

【0080】
[レンズの製作]
得られた親水性シロキサニルメタクリレート9.5重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート23.5重量部、N−ビニルピロリドン30.5重量部、N−ジメチルアクリルアミド23.5重量部、トリフルオロエチルメタクリレート7重量部、1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート5重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.9重量部、アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」とする)0.1重量部を窒素雰囲気下で溶解混合した。
この混合物を、直径16mmのプロピレン製試験管に入れ45℃で16時間、60℃で24時間、90℃で72時間重合して透明なビッカース硬度8.4の重合物を得た。
得られた重合物から切削研磨法にてベースカーブ9.0mm、パワー−3.00ディオプター、サイズ14.0mm、中心厚み0.05mmのレンズになるように加工した。得られたドライレンズを生理食塩水で90℃で3時間及び保存液で16時間膨潤し含水ソフトレンズを得た。得られたレンズを37℃の精製水に72時間浸漬した後の含水率は46%で、引っ張り弾性率は1.0×107dyne/cm2であった。レンズをモデル汚れ液に浸漬してタンパク質及び脂質の付着性を評価した結果、タンパク質は10μg/枚、脂質は40μg/枚と少ない物であった。また、一定の厚みのディスクで測定した酸素透過係数(Dk値)は60であった。水濡れ性は気泡法で22°、液滴法で60°であった。
上記のレンズを白色家兎の眼に装着して21日間連続して装用させたが、レンズの動きもスムーズで固着が無く、レンズの汚れもほとんど無かった。また、家兎眼にも異常が無く長期装用にも安全であることが判った。回収したレンズは水濡れ性が優良に保たれておりレンズ性能の経時変化は認められなかった。
【0081】
<実施例2>
親水性シロキサニルメタクリレート18重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート15重量部にした他は実施例1に記載の方法で重合して透明な重合物を得た。得られた重合物から同様にして含水ソフトレンズを作成した含水率は44%、引っ張り弾性率は1.2×10dyne/cmであった。また、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ5μg/枚、38μg/枚と少なく、Dk値は60であった。水濡れ性は気泡法で20°、液滴法で56°であった。
【0082】
<実施例3>
親水性シロキサニルメタクリレートとして、式(2a)で示されるフロロシロキサニルアルキル基を有するものを実施例1の合成法と同様にして合成した。得られたモノマーを実施例1と同様の方法で重合して重合物を得た。得られた重合物から実施例1と同様の方法でレンズを加工した。含水率は40%、引っ張り弾性率は1.1×10dyne/cmあった。また、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ12μg/枚、35μg/枚と少なく、Dk値は65であった。水濡れ性は気泡法で20°、液滴法で57°であった。
【0083】
<実施例4>
親水性シロキサニルメタクリレートとして、式(3a)で示されるシロキサニルアルキル基(1=10)を有するものを実施例1の合成法と同様にして合成した。得られたモノマーを実施例1と同様の方法で重合して重合物を得た。得られた重合物から実施例1と同様の方法でレンズを加工した。含水率は40%、引っ張り弾性率は0.9×10dyne/cmであった。また、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ15μg/枚、45μg/枚と少なく、Dk値は68であった。水濡れ性は気泡法で24°、液滴法で63°であった。
【0084】
<実施例5>
実施例1で親水性シロキサニルメタクリレート15重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート25重量部、N−ビニルピロリドン27重量部、N−ジメチルアクリルアミド20重量部、トリフルオロエチルメタクリレート7重量部、1,1,2,2−テトラフロロエトキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート5重量部、エチレングリコールジメタクリレート0.9重量部、AIBN0.1重量部を同様にして重合して透明なビッカース硬度7.5の重合物を得た。
得られた重合物から切削研磨法にてベースカーブ8.5mm、パワー−3.00ディオプター、サイズ14.0mm、中心厚み0.05mmのレンズになるように加工した。得られたドライレンズを生理食塩水で90℃で3時間及び保存液で16時間膨潤し含水ソフトレンズを得た。得られたレンズを37℃の精製水に72時間浸漬した後の含水率は30%で、引っ張り弾性率は1.1×10dyne/cmであった。レンズをモデル汚れ液に浸漬してタンパク質及び脂質の付着性を評価した結果、タンパク質は12μg/枚、脂質は35μg/枚と少ない物であった。また、一定の厚みのディスクで測定した酸素透過係数(Dk値)は75であった。水濡れ性は気泡法で22°、液滴法で60°であった。
上記のレンズを白色家兎の眼に装着して21日間連続して装用させたが、レンズの動きもスムーズで固着が無く、レンズの汚れもほとんど無かった。また、家兎眼にも異常が無く長期装用にも安全であることが判った。回収レンズの水濡れ性は良好で経時変化は認められなかった。
【0085】
<実施例6>
実施例1で用いたモノマー混合物において、AIBNの代わりに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(以下「TPO」とする)をエチレンビニルアルコール共重合物製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例1と同様にして物性を評価した結果、含水率は46%、Dk値は60で同等で、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ18μg/枚、150μg/枚と少なかった。水濡れ性は気泡法で22°、液滴法で54°であり乾燥により表面の水濡れ性が低下していなかった。家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が少なく、変形もなく、水濡れ性は優良な状態で経時変化していないでレンズを保存液から引き上げても表面の水層がなくならなかった。
【0086】
<比較例1>
親水性シロキサニルメタクリレートを加えずに、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレートを33重量部にした他は実施例1に記載の方法で重合した。得られた重合物からボタン状に加工して歪を検査した結果、わずかながら光学歪が認められた、実施例1と同様にして含水ソフトレンズを作成し物性を評価した結果、含水率は45%Dk値は45で同等であったが、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ20μg/枚、255μg/枚と多かった。水濡れ性は気泡法で21°、液滴法で110°で乾燥により接触角が大きく変化し水濡れ性が悪くなった。家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が多く、一部レンズが変形していた。回収レンズは水濡れ性が悪く、レンズを保存液から引き上げるとすぐにレンズ表面の水層が無くなる状態となった。
【0087】
<比較例2>
実施例6に記載したモノマー混合物をプロピレン製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例1と同様にして物性を評価した結果、含水率は46%、Dk値は60で同等であったが、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ45μg/枚、450μg/枚と多かった。水濡れ性は気泡法で26°、液滴法で115°と大きく変わり乾燥により表面の水濡れ性が低下していた。
家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が多く、一部レンズが変形していた。水濡れ性は大きく変わリレンズを保存液から引き上げるとすぐに表面の水層がなくなる状態となった。
実施例7 式(8a)で示した親水性ポリシロキサンモノマーを、対応するジヒドロキシプロピルポリシロキサンと2−イソシアナトエチルメタアクリレートとの反応により合成した。
【0088】
上記親水性ポリシロキサンモノマー70重量部、N−ビニルピロリドン15重量部、N、N−ジメチルアクリルアミド15重量部、トリフロロエチルメタアクリレート5重量部、エチレングリコールジメタアクリレート1重量部、TPO0.5重量部のモノマー混合物をエチレンビニルアルコール共重合物製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例1と同様にして物性を評価した結果、含水率は23%、Dk値は160で、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ18μg/枚、50μg/枚と少なかった。水濡れ性は気泡法で21°、液滴法で54°であり乾燥により表面の水濡れ性が低下していなかった。
【0089】
家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が少なく、変形もなく、水濡れ性は優良な状態で経時変化していないでレンズを保存液から引き上げても表面の水層が60秒間なくならなかった。

【0090】
<比較例3>
実施例7のモノマー混合物をポリプロピレン製のレンズ形状にしたキャスト重合用鋳型に注入し、紫外線を照射して重合し、膨潤してソフトコンタクトレンズを得た。実施例7と同様にして物性を評価した結果、含水率は24%、Dk値は165で、タンパク質及び脂質の付着性はそれぞれ60μg/枚、350μg/枚と多かった。水濡れ性は気泡法で26°、液滴法で120°であり乾燥により表面の水濡れ性が大幅に低下した。
家兎眼での長期装用試験では汚れ付着が多くレンズが白濁し、変形もあり、水濡れ性は経時変化してレンズを保存液から引き上げると直ぐに表面の水層がなくなった。
【0091】
以下の合成例、実施例8〜22及び比較例4〜14により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。また、各評価項目はつぎのようにして求めた。
(1) 光学的透明性 目視による。曇りなく透明性良好なものを○、曇りがあり半透明なものを△、白濁し不透明ないものを×、とした。
(2) 水濡れ性 精製水に対する濡れ性を目視で評価した。レンズを一昼夜、精製水中に浸漬した後、垂直に引き上げ、水膜が5秒以上保持される水濡れ性を○、1〜5秒のものを△、1秒以下の場合を×、とした。
(3) 乾燥時水濡れ性 精製水中に浸漬していたレンズを取り出し、表面の付着水をふき取った後、25℃で10分間放置した。続いて精製水中に10秒間浸漬した後、垂直に引き上げ水濡れ性を評価した。水膜が5秒以上保持される水濡れ性を○、1〜5秒のものを△、1秒以下の場合を×、とした。
(4) 接触角 接触角測定装置(協和界面科学(株)製CA−DT型)を用い、25℃で鋳型材料表面と水滴との接触角を測定した(空気中での液適法による)。
(5) 含水率 実施例1〜7記載の方法による。
(6) 酸素透過係数(DK値)
コンタクトレンズ協会標準Dk値測定法に準じて理化精機工業(株)製のK−316−IPI型フィルム酸素透過測定装置を使用して電極法により測定した。試料片は直径約14mm、厚さ約0.1〜0.5mmのレンズを鋳型で作製し測定に供した。測定は35℃で生理食塩水中で測定した。試料厚みに対する酸素透過量の傾きから酸素透過係数を求めた。DK値の表示は×10−11(ml・cm/cm・sec・mmHg)で表した。
(7) 引張り強度島津(株)製の万能試験機AGS−50Bを用い、25℃の生理食塩水中で測定した。レンズを中央部3mm幅で切り出し、破断時の強度を求めた。単位は(g/mm2)
(8) 脂質付着性 実施例1〜7記載の方法による。
(9) 溶解性 鋳型材料のモノマー混合液に対する溶解性を次の方法で評価した。鋳型または板状の各種材料の平らな面にモノマー混合液1滴を滴下し、25℃で1時間放置した。その後モノマー混合液を柔らかい布で拭き取り材料表面を観察した。全く変化がない場合を○、表面が曇る場合を△、浸食され凹凸ができる場合を×、とした。
【0092】
<合成例1>
[ヒドロシラン基含有ポリシロキサンジオール(A1)の合成]
オクタメチルシクロテトラシロキサン150g、1,3,5−トリメチルトリフルオロプロピルシクロトリシロキサン22.6g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン17.4g、1,3−ビス(4−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン7.2g、クロロホルム200g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5g、をフラスコ中で25℃、24時間撹拌後、pHが中性になるまで精製水で繰り返し洗浄する。水を分離後、クロロホルムを減圧下で留去した。残液をイソプロパノールに溶解し、メタノールで再沈澱し分離した液を真空下で揮発分を除いたところ、透明粘凋液を得た。該液は、下記式で表されるヒドロシランを有するシロキサンジオール(A1)で98g得られた。なお、連結基Yの構造式が各シロキサンのブロック体であるかのような式を示しているが、実際はランダム構造を含んでおり、ここでは各シロキサンの割合のみを表す。以下の合成例においても同様である。

【0093】
[ヒドロシラン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(B1)の合成]
上記ポリシロキサンジオール(A1)50g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.9g、乾燥アセトン100g、ジブチルチンジラウリレート0.02g、を褐色フラスコ中に加え、窒素雰囲気下で25℃、24時間撹拌した後、精製水1.4gを加えさらに3時間撹拌した。その後、アセトンを減圧下で留去し、残液をメタノールで洗浄後、再度真空下で揮発分を除去したところ、透明な粘凋液を得た。該液は、下記式で表されるヒドロシラン基を有するポリシロキサンジメタクリレート(B1)で48.7g得られた。

【0094】
[アルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C1)の合成]
上記ポリシロキサンジメタクリレート(B1)48g、アリルアルコール11.6g、イソプロピルアルコール96g、酢酸カリウム0.04g、塩化白金酸10mg、ジ−t−ブチルクレゾール10mgを還流冷却器付きフラスコに仕込み、窒素雰囲気下で50℃で3時間加熱撹拌した。反応液をろ別後、イソプロパノールを減圧下で留去した後、メタノール/水混合液で洗浄した。さらに真空下で、揮発分を除去したところ、透明な粘凋液を得た。該液は、下記式で示されるアルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C1)であった。

【0095】
<合成例2>
[アルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C2)の合成]
合成例1に記載のヒドロシラン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(B1)35gに3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール15g、イソプロピルアルコール80g、酢酸カリウム0.03g、塩化白金酸6mg、ジ−t−ブチルクレゾール7mgを還流冷却器付きフラスコに仕込み、合成例1の(C1)の合成と同様に反応、精製を行ったところ、透明粘凋液33gが得られた。合成例1の式(B1)において連結基Yが下記式で示されるアルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C2)であった。

【0096】
<合成例3>
[ヒドロシラン基含有ポリシロキサンジオール(A2)の合成]
オクタメチルシクロテトラシロキサン190g、1,3,5−トリメチルトリフルオロプロピルシクロトリシロキサン100g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン7.7g、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン14.4g、クロロホルム300g、トリフルオロメタンスルホン酸2.3g、をフラスコ中に仕込み、合成例1のシロキサンジオール(A1)と同様に合成、精製をしたところ、透明粘凋液110gが得られた。分析の結果、下式に示すヒドロシラン基を有するポリシロキサンジオール(A2)であった。

【0097】
[ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジオール(D1)の合成]
上記ヒドロシラン基含有ポリシロキサンジオール(A2)35g、ポリオキシエチレンアリルメチルエーテル(分子量約400)14g、イソプロピルアルコール100g、酢酸カリウム0.03g、塩化白金酸6mgを還流冷却器付きフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下、3時間加熱還流させた。反応液をろ別後、イソプロパノールを減圧下で留去した後、メタノール/水混合液で洗浄した。さらに真空下で、揮発分を除去し透明な粘凋液42gを得た。分析の結果、下記式で表される末端メトキシ型ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジオール(D1)であった。

【0098】
[ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C3)の合成]
得られたポリオキシエチレン基含有シロキサンジオール(D1)40gと乾燥アセトン85gを褐色フラスコに加え、溶解させた後、メタクリロキシエチルイソシアネート2.0gを添加し、窒素雰囲気下で25℃で3時間撹拌した。精製水1.4gを加えさらに2時間撹拌後、アセトンを減圧下で留去した。残液をメタノール/水混合液で洗浄後、再度真空下で揮発分を除去したところ、透明な粘凋液48.7gが得られた。分析の結果、下記式で表される末端メトキシ型ポリオキシエチレン基を有するポリシロキサンジメタクリレート(C3)であった。

【0099】
<合成例4>
[ヒドロシラン含有ポリシロキサンジオール(A3)の合成]
オクタメチルシクロテトラシロキサン150g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン12g、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン6.8g、クロロホルム200g、トリフルオロメタンスルホン酸1.5gをフラスコ中に仕込み合成例1のシロキサンジオール(A1)と同様に合成、精製をしたところ、透明粘凋液95gが得られた。分析の結果、下式に示すヒドロシラン基を有するポリシロキサンジオール(A3)であった。

【0100】
[ヒドロシラン含有ポリシロキサンジメタクリレート(B2)の合成]
上記ポリシロキサンジオール(A3)50g、ヘキサメチレンジイソシアナート10g、乾燥アセトン100g、ジブチルチンジラウリレート0.02g、ジ−t−ブチルクレゾール2mgを還流冷却器付きのフラスコ中に入れ、窒素導入しながら加熱還流下2時間撹拌し、続いて2−ヒドロキシエチルメタクリレート20gを加え、さらに2時間加熱還流する。精製水6gを加え一晩室温で放置する。続いてアセトンを減圧下で留去し、残液をメタノールで繰り返し洗浄後、再度真空下で揮発分を除去したところ、透明な粘凋液が得られた。下記式で表されるヒドロシラン基を有するポリシロキサンジメタクリレート(B2)36gが得られた。

【0101】
[アルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C4)の合成]
上記ポリシロキサンジメタクリレート(B2)30g、2−アリルオキシエタノール12g、イソプロピルアルコール60g、酢酸カリウム0.03g、塩化白金酸6mg、ジ−t−ブチルクレゾール3mgを還流冷却器付きフラスコに仕込み、窒素雰囲気下で50℃で3時間加熱撹拌した。反応液をろ別後、イソプロパノールを減圧下で留去したのち、メタノール/水混合液で洗浄した。さらに真空下で、揮発分を除去したところ、透明な粘凋液24gが得られた。(B2)構造式においてY連結基が下記式で示されるアルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C4)であった。

【0102】
<合成例5>
[ヒドロシラン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(B3)の合成]
合成例3記載のポリシロキサンジオール(A2)50g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.9g、乾燥アセトン100g、ジブチルチンジラウリレート0.02g、を褐色フラスコ中に加え、窒素雰囲気下で25℃、24時間撹拌した後、精製水1.4gを加えさらに3時間撹拌する。アセトンを減圧下で留去し、残液をメタノールで洗浄後、再度真空下で揮発分を除去したところ、透明な粘凋液が得られた。下記式で表されるヒドロシラン基を有するポリシロキサンジメタクリレート(B3)46gが得られた。

【0103】
得られたヒドロシラン基含有ポリシロキサンジオール(B3)40g、ポリオキシエチレンアリルエーテル(分子量約400)20g、イソプロピルアルコール80g、酢酸カリウム0.04g、塩化白金酸8mgを還流冷却器付きフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下、3時間加熱還流させた。反応液をろ別後、イソプロパノールを減圧下で留去したのち、メタノール/水混合液で洗浄した。さらに真空下で、揮発分を除去し透明な粘凋液42gを得た。分析の結果、(B3)構造式においてY連結基が下記式で表される末端水酸基型ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C5)であった。

【0104】
<合成例6>
[ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C6)の合成]
合成例5において得られたヒドロシラン基含有ポリシロキサンジオール(B3)40g、ポリオキシエチレンアリルメチルエーテル(分子量約1500)40g、イソプロピルアルコール120g、酢酸カリウム0.04g、塩化白金酸8mgを還流冷却器付きフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下、3時間加熱還流させた。反応液をろ別後、イソプロパノールを減圧下で留去したのち、メタノール/水混合液で洗浄した。さらに真空下で、揮発分を除去し透明な粘凋液38gを得た。分析の結果、(B3)構造式においてY連結基が下記式で表される末端メトキシ型ポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C6)であった。

【0105】
<合成例7>
[2−(2−メタクリロキシエチルカルバモイルオキシ)エチルメタクリレートの合成]
乾燥剤で脱水した2−ヒドロキシエチルメタクリレート13gにメタクリロキシエチルイソシアネート15.6g、乾燥アセトン60gを加え、合成例5と同様に反応させ、(11a)式の化合物を得た(以下「MIEM」とする)。

【0106】
<実施例8>
合成例1に記載のアルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C1)80重量部、N−ビニル−N−メチルアセトアミド(以下「VMA」とする)10重量部、イソボルニルメタクリレート(以下「IBM」とする)6重量部、テトラエチレングリコールジメタクリレート(以下「4ED」とする)4重量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(以下「TPO」とする)0.5重量部を添加し、撹拌混合させた。その後、エチレンビニルアルコール樹脂(以下「EVOH樹脂」とする)(日本合成化学工業(株)製、ソワライトS)からなるコンタクトレンズ成形用鋳型中にモノマー混合液を入れ、光照射装置内で1時間紫外線を照射したところ、レンズ状の重合体を得た。得られたレンズをエチルアルコール中に一晩浸漬した。続いてレンズを水に浸漬し、90℃にて3時間加熱した。得られたレンズは透明で柔軟性があり、水濡れ性も良好であった。物性を評価したところ含水率10%、酸素透過係数(Dk)は256、引張り強度185g/mm2、脂質付着性は40μgであった。なお、用いたEVOH樹脂の水との接触角は73°であった。その性能評価結果などを表1に記載する。
【0107】
<実施例9〜13>
合成例2〜6記載の親水性ポリシロキサンモノマーについて実施例8と同じ組成、条件にて重合し、処理してそれぞれレンズを得た。その性能評価結果を表1に示す。
比較例4及び5 実施例8において親水性ポリシロキサンモノマーに替えて、下記式に示すポリジメチルシロキサンジメタクリレート(R1)またはアルコール基含有ポリシロキサンジメタクリレート(R2)を使用した以外は同一の組成、条件にて重合し、処理して比較レンズを作製した。得られた結果を表1に合わせて示す。


【0108】
<実施例14>
実施例8と同様にポリオキシエチレン基含有ポリシロキサンジメタクリレート(C3)60重量部、N−ビニルピロリドン(以下NVPとする)35重量部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHとする)5重量部、エチレングリコールジメタクリレート(以下EDとする)1重量部及びTPO:0.5重量部を混合し、EVOH樹脂製の鋳型中で光重合し、レンズを得た。得られたレンズの評価結果を表3に示す。
【0109】
<実施例15〜18及び比較例6〜8>
表2に示す処方によるモノマー混合液を実施例12と同様に光重合しレンズを得た。評価結果を表3に示す。
【0110】
<実施例19>
実施例8において4EDの替わりに合成例5記載の架橋性モノマー(MIEM)を用いた以外はそれぞれ全く同様にレンズを作製し、レンズを評価した。その結果、透明で水濡れ性も良いレンズが得られた。含水率12%、酸素透過係数(Dk)245、引張強度285g/mmであり、強度が向上した。
【0111】
<実施例20>
実施例10において4EDの替わりに合成例5記載の架橋性モノマー(MIEM)を用いた以外はそれぞれ全く同様にレンズを作製し、レンズを評価した。その結果、含水率23%、酸素透過係数(Dk)181であり、引張強度は305g/mmと向上した。
【0112】
<実施例21、22及び比較例9〜14>
実施例8においてEVOH樹脂のレンズ成形鋳型の替わりに表4に示す各種樹脂からなる鋳型を用いた以外は全く同様にレンズを作製した。樹脂材料自身の溶解性、接触角測定結果、およびレンズ評価結果を合わせて表4に示す。
【0113】
さらに実施例23〜38及び比較例15〜19により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。また、各評価項目は次のように求めた。
(1)含水率、(2)酸素透過性(Dk値)、(3)水濡れ性(接触角)は実施例1〜7記載の方法を用いた。(4)家兎眼装用試験は実施例1〜7記載の装用試験を30日間実施し同様の検査を行った。
【0114】
<実施例23〜26>
実施例1,5,6及び7に記載されているコンタクトレンズ装用試験を再度30日間に延長して実施したが、どのレンズも動きは良好で、レンズの汚れも殆どなくまた家兎眼に異常も見られず、長期にわたり安全であることがわかった。
【0115】
<実施例27>
実施例8において得られた含水コンタクトレンズの接触角を測定したところ、気泡法で18°、液滴法で57°であった。さらに30日間の家兎眼装用試験でもレンズの固着は見られず、家兎眼に異常は見られなかった。
【0116】
<実施例28〜33、比較例15〜17>
実施例10および実施例14〜18および比較例6,8,11で作製したコンタクトレンズを実施例18と同様に家兎眼装用させ、評価した。結果を表5に示す。
【0117】
<実施例34>
実施例19記載のモノマー組成及び方法によりEVOH樹脂鋳型を100個用意してコンタクトレンズを作製したところ、不良品はエッジの一部欠けたレンズが2枚のみであり、他98枚には何ら欠陥は認められず、工業的にも極めて有用な製造方法であることが判った。
【0118】
<比較例18>
実施例34と同一組成で、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン(40/60)共重合体)からなる鋳型を用いてレンズを100枚の作製を試みたところ、35枚は断片状に破壊し、残りのレンズもエッジの欠けや表面の傷が発生し、良好レンズは全く得ることができなかった。
【0119】
<比較例19>
比較例18と同様にAM樹脂(アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、三井東圧化学株式会社より入手したバレックス−210)よりなる鋳型で100枚のコンタクトレンズ作製を試みたが、90枚は鋳型分離の際に断片状に破損し、レンズの形状のものは得られなかった。残り10枚においても破れ、エッジの欠けが発生し、良好なレンズは1枚も得られなかった。
【0120】
<実施例35>
下記構造式(4c)で示される親水性ポリシロキサンモノマー50重量部、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート20重量部、VMA25重量部、CH5重量部、ED1重量部およびTPO0.5重量部、2−ブタノール80重量部を攪拌混合した後、EVOH樹脂製の鋳型に入れ、1時間紫外線照射した。得られたレンズをエチルアルコールで一晩浸漬したのち、水に置換し、続けて90℃にて3時間加熱した。得られた含水ソフトコンタクトレンズを評価したところ、含水率32%、Dk値は125であった。接触角は気泡法で24°、液滴法で77°であった。家兎眼装用試験を行ったところ、レンズの動きも良好で30日装用後の汚れも少なく、水濡れ性も良好であった。

【0121】
<実施例36>
下記構造式(5c)で示される親水性ポリシロキサンモノマー80重量部、NVP20重量部、ED1重量部、TPOの0.5重量部、2−ブタノール80重量部を混合溶解させ実施例35と同様にコンタクトレンズを作製した。レンズが含水率13%、Dk値225であった。接触角は気泡法で24°、液滴法で70°であった。家兎眼装用試験でもレンズの動きも良好であり、汚れも少なく、良好な水濡れ性を保った。

【0122】
<実施例37>
親水性ポリシロキサンモノマーとして下記構造式(6c)で示すモノマーを使用する以外は実施例35と同様にコンタクトレンズを作製した。得られたレンズは含水率28%、Dk値は166であった。接触角は気泡法で22°、液滴法で69°であった。家兎眼装用試験を行ったところレンズの動きも良好であり、30日装用後も汚れも少なく、水濡れ性も良好であった。

【0123】
<実施例38>
親水性ポリシロキサンモノマーとして下記構造式(7c)で示すモノマーを使用する以外は実施例36と同様にコンタクトレンズを作製した。得られたレンズは含水率27%、Dk値は285であった。接触角は気泡法で18°、液滴法で53°であった。家兎眼装用試験を行ったところレンズの動きも良好であり、30日装用後も汚れも少なく、良好な水濡れ性を維持していた。

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも親水性シロキサンモノマー1種以上と親水性モノマー1種以上とを重合してなる共重合体からなり、表面の接触角が水中気泡法で10〜30°かつ空気中での液滴法で40〜83°の範囲にあり、酸素透過係数(Dk値)が30以上で含水率が5%以上である含水ソフトコンタクトレンズであって、
水中気泡法での表面の接触角が空気中での液滴法での表面の接触角がよりも小さくその差が53°以下であることを特徴とする含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項2】
上記含水ソフトコンタクトレンズが、1種以上の親水性ポリシロキサンモノマーとN−ビニル基を有する親水性モノマーの1種以上とを共重合させることで形成されることを特徴とする請求項1記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項3】
上記親水性モノマーがN−ビニルアミド基を有することを特徴とする請求項2記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項4】
N−ビニルアミド基を有する親水性モノマーが、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタムのグループから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項3記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項5】
N−ビニルアミド基を有する親水性モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及び/又はN−ビニルピロリドンであることを特徴とする請求項3記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項6】
親水性ポリシロキサンモノマーがポリシロキサン骨格に結合した親水性の重合性置換基を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記親水性の重合性置換基がウレタン基及び/又はポリアルキレン基を有することを特徴とする請求項6記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項8】
ポリシロキサン骨格が、水酸基及びポリオキシアルキレン基から選ばれた置換基を少なくとも1種含む構造単位を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項7記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項9】
ウレタン基を介して連結した架橋性モノマーを更に加えて共重合を行うことで形成されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項10】
含水ソフトコンタクトレンズが、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート及びエチレンビニルアルコールから選ばれた1種の樹脂から形成された鋳型中で形成されることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項11】
含水ソフトコンタクトレンズが、エチレンビニルアルコールから形成された鋳型中で形成されることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズ。
【請求項12】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズを形成する方法であって、該含水ソフトコンタクトレンズを、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート及びエチレンビニルアルコールから選ばれた1種の樹脂から形成された鋳型中で形成することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズを形成する方法であって、鋳型材料がエチレンビニルアルコールから形成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体であって、
該共重合体が、下式(1)で表わされた親水性シロキサンモノマーの1種以上とN−ビニル基を含有する親水性モノマーの1種以上との共重合により得られることを特徴とする含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。

(ここで、X1は式(2)で表わされる重合性置換基である。

(R5は水素またはメチル基、Z1は−NHCOO−、−NHCONH−、−OCONH−R6−NHCOO−、−NHCONH−R7−NHCONH−および−OCONH−R8−NHCONH−から選ばれた連結基(R6、R7、R8は炭素数2〜13の炭化水素基)であり、mは0〜10、nは3〜10、pはmが0のとき0であり、mが1以上のとき1である。qは0〜20の整数である。)R1、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基またはトリメチルシロキシ基から選ばれた基である。構造 [Y1] はシロキサン結合が少なくとも2個以上連結してなる構造を含むポリシロキサン骨格を表している。)
【請求項15】
前記構造 [Y1]が、水酸基及びポリオキシアルキレン基から選ばれた置換基を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項14記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。
【請求項16】
前記N−ビニル基を含有する親水性モノマーが、N−ビニルアミド基を含有する親水性モノマーであることを特徴とする請求項14又は15記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。
【請求項17】
前記N−ビニルアミド基を含有する親水性モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムの群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項16記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。
【請求項18】
前記N−ビニルアミド基を含有する親水性モノマーが、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及び/又はN−ビニルピロリドンであることを特徴とする請求項16記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。
【請求項19】
含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体であって、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート及びエチレンビニルアルコールから選ばれた樹脂から成る鋳型材料から形成された鋳型中で共重合させることにより得られることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。
【請求項20】
含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体であって、エチレンビニルアルコールから形成された鋳型中で共重合させることにより得られることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項記載の含水ソフトコンタクトレンズ用共重合体。

【公開番号】特開2013−20259(P2013−20259A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185060(P2012−185060)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2001−545893(P2001−545893)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(508316416)クーパーヴィジョン インターナショナル ホウルディング カンパニー リミテッド パートナーシップ (13)
【Fターム(参考)】