ソラフェニブ刺激で応答する発現量多様性を有する遺伝子の同定
【課題】遺伝子多型を利用して、薬剤刺激応答を予測する方法の提供及び該方法に利用する薬剤多型を検出するマーカーの提供。
【解決手段】ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(h)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【解決手段】ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(h)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激で応答する発現量多様性を有する遺伝子及びその遺伝子の多型の同定に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノムの同じ位置にある同じ遺伝子であっても、それが異なるアレル上にある場合にその遺伝子発現量に差がみられる現象は、近年報告されている比較的新しい概念である(非特許文献1を参照)。
【0003】
アレル間で異なる発現を示す遺伝子は、大きく分けて刷り込みを受ける遺伝子(imprinted gene)と刷り込みを受けない遺伝子(non-imprinted gene)の2種類がある。前者は、刷り込み(imprinting)といって、ある細胞若しくは組織において、両親から片アレルずつ受け継いだ場合にどちらか一方のアレルが生理的にメチル化などの修飾をうけることにより不活化され発現が抑制されるという現象である。後者、すなわち刷り込みを受けていない遺伝子(non-imprinted gene)においても、アレル間で異なる発現差が見られる場合がある。これは、遺伝子内若しくはそれに近接しているアレル間のゲノムの多型が、近接の遺伝子の発現を調節するシス作用領域(cis-acting element)として働き、アレル間の遺伝子発現量の差を生み出すと考えられている。後者に見られる、ゲノムDNAの配列の違いに起因するアレルごとの発現の変化は、世代を超えて引き継がれる性質と考えられ、個体間の遺伝子発現量の差、ひいては個人の体質の差、病態とそのリスク、また薬剤の応答性の違いに影響することが考えられる。従って、このようなアレル間で発現量が異なる遺伝子は疾患又は障害などの表現型と関係する可能性がある。
【0004】
一方、薬剤に応答する遺伝子の発現量多様性としては、4-β-phorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)+ionomycin刺激の条件下において、TNF/LTAがアレル特異的な発現を示すことが報告されている(非特許文献2及び3を参照)。
【0005】
上述のように、薬剤に応答する遺伝子の発現量多様性の存在は、ファーマコゲノミクス(PGx: Pharmacogenomics)研究に応用できると考えられる。PGx研究とは、遺伝子解析から薬剤の動態・効果・副作用に影響を与える遺伝子多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphisms)を探索し、これらのSNPで薬剤に好ましい反応を示す患者と、好ましくない反応を示す患者を層別化することを目的としている。PGx研究には候補を選ばず可能な限り網羅的にゲノムDNAを測定するUnbiased genome-wide approach、あるいは、候補を選択して検証するCandidate gene approachの2つの方法があり、SNPs地図、ハプロタイプマーカー、薬理学的機能や治療効果に関与している遺伝子発現、又は不活化における変異の個体間の多様性などが調査されている。そのため、創薬におけるPGx研究では薬剤に好ましい反応を示す患者と好ましくない反応を示す患者の層別化が試みられている。しかし、Unbiased genome-wide approachでは多数のサンプル・高額な費用が必要であり、Candidate gene approachでは薬剤作用に関わる可能性のある多数の遺伝子多型から事前に候補を選択する必要がある。
【0006】
そこで、最近では事前にex vivoで網羅的にゲノムを測定し、上記両アプローチを組み合わせて候補遺伝子を選択する方法が新たに考えられている。具体的にはex vivoでゲノムDNAとRNA発現を網羅的に測定し、薬剤によりRNA発現変動に影響を与えるSNPを探索する方法である。これまでの報告例はいずれも薬剤によるmRNA発現変動とSNPの関係を調べ、mRNA発現に影響を与えるSNPsを探索したものであり、Expression quantitative trait loci(eQTL)法と呼ばれている(非特許文献4及び5を参照)。
【0007】
一方、ExpressGenotyping法(特許文献1を参照)ではゲノムDNAのSNPs typingと同時にスプライシングを受けていないPremature RNAのアレルごとの発現量及び総量を網羅的に測定できるため、定性的なアレル頻度だけのデータに比べると信頼性も高く、少ないサンプル数でも発現に影響を与える有効なSNPsを探索できる。従って、このExpressGenotyping法を用いて、薬剤応答性の発現量多様性を有する遺伝子の同定ができれば、創薬において薬剤の副作用を回避し、有効な反応を示す患者と有効でない反応を示す患者を層別化できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4111985号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Knight JC., Trends Genet. Mar; 20 (3) : 113-6. PMID: 15049300, 2004年
【非特許文献2】Knight JC. et al., Nat Genet. Apr;33(4):469-75. PMID: 12627232, 2003年
【非特許文献3】Knight JC. et al, Nat Genet. Apr;36(4):394-9. PMID: 15052269, 2004年
【非特許文献4】Cheung VG. et al., Nature. Oct 27;437(7063):1365-9. PMID: 16251966, 2005年
【非特許文献5】Huang RS. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. Jun 5;104(23):9758-63. PMID: 17537913, 2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定することができるExpressGenotyping法を用いて、薬剤刺激における薬剤応答性の発現量多様性を有する遺伝子を同定することを目的とする。また本発明は、当該方法により薬剤刺激応答についての表現型に関与する遺伝子多型を検索する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのようにして検索した、遺伝子多型を利用して、薬剤刺激応答を予測する方法の提供及び該方法に利用する薬剤多型を検出するマーカーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、薬剤として抗がん剤のソラフェニブ(Sorafenib)を利用することによって、効率的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を見出せると考え、実際に、ソラフェニブ刺激後にExpressGenotyping法を行ったところ、アレル間の発現量が異なる遺伝子を判定できるSNPsを同定することに成功し、本発明を完成するに至った。ソラフェニブはMultikinase inhibitorとして、腎臓癌の治療に使用されており、副作用として高血圧、皮膚障害、下痢、疼痛が知られている。なかでも、日本人で多く発生する皮膚障害は、治療を行う上でも大きな障害になっている。
【0012】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(j)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【0013】
[2] (a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、[1]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0014】
[3] (a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、[1]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0015】
[4] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[1]〜[3]のいずれかのソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法。
【0016】
[5] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0017】
[6] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0018】
[7] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[5]又は[6]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ。
【0019】
[8] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0020】
[9] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0021】
[10] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[8]又は[9]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板。
【0022】
[11] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0023】
[12] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0024】
[13] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[11]又は[12]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット。
[14] [5]〜[7]のいずれかのプローブ、[8]〜[10]のいずれかの固定化基板、又は[11]〜[13]のいずれかの一対のプライマーセットを含むソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのキット。
[15] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[14]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を判定するためのキット。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激においてアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定する遺伝子多型を迅速かつ効率的に検索することができる。また、そのようにして検索された遺伝子多型は、アレル間の発現量を識別することができるため、その遺伝子が関与する表現型について解析するための有効な手段となり得る。さらに、そのように検索された遺伝子多型を検出することにより、ソラフェニブを投与して治療を行おうとする被験体の表現型(薬剤の主作用又は副作用の発症リスク)を予測し、評価し、判定することができ、今後の創薬全般においても薬剤の副作用を回避し、有効な反応を示す患者と有効でない反応を示す患者を層別化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayで解析したmRNA発現解析の結果を示す図である
【図2】GM18940細胞のDMSO群におけるChromosome 1番の度数分布の結果を示す図である。
【図3】ソラフェニブ刺激に影響する人種間で異なる遺伝子多型を示す図である。
【図4−1】ソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある10種類の遺伝子(遺伝子多型)EAIリストを示す図である。
【図4−2】ソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある10種類の遺伝子(遺伝子多型)EAIリストを示す図である(図4−1の続き)。
【図5】dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図6】CD247 molecule遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図7】phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図8】interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図9】dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図10】estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図11】complement component 5(C5)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図12】phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図13】pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図14】lipase, hepatic(LIPC)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
1. ソラフェニブ(Sorafenib)刺激により、アレル間で発現量が異なる遺伝子そのものについての探索
本発明は、ソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子の探索に関する。ここで、「アレル間で発現量が異なる遺伝子」とは、一方のアレルからの遺伝子発現量ともう一方のアレルからの遺伝子発現量が異なる遺伝子を指す。各アレルからの遺伝子の発現は、特定の遺伝子多型を指標として区別できるが、全ての遺伝子多型がアレル間の発現量の違いを区別できるものではない。しかも、ソラフェニブ刺激でアレル間の発現量に違いが生じることは知られていなかった。本発明においては、ExpressGenotyping法を用いて、ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量の違いを判定できる遺伝子多型を迅速かつ効率的に検索することにより、ソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子を探索し、さらにアレル間の遺伝子の発現の差を判別できる遺伝子多型(一塩基多型;SNP)を探索することができる。
【0028】
この探索は、例えば、培養細胞をin vitroの系においてソラフェニブにより刺激し、ソラフェニブ以外の物質で刺激したものを対照として、前記培養細胞における遺伝子発現を網羅的に解析し、アレル間で発現に差異が認められる遺伝子を選択し、さらにその遺伝子多型のアレル間の発現量の差異に関連したものを選択すれば良い。
【0029】
これらの方法は、ExpressGenotyping法(特許第4111985号公報に記載の手法)により行うことができる。
以下、遺伝子及び遺伝子多型を探索し、選択するための代表的な手法について説明する。
【0030】
細胞培養
細胞培養は当技術分野で公知の方法であり、例えば、細胞の培養培地(培地RPMI-1640+15%血清FBS)に細胞株を播種し、37℃、5%CO2の条件下にて細胞培養を行うことができる。
【0031】
薬剤刺激
薬剤刺激は当技術分野で公知の方法であり、例えば、対照群(DMSO)及び薬剤(ソラフェニブ)の2群を培養細胞が播種された培養培地に添加し、薬剤刺激を行うことができる。
【0032】
RNA抽出
総RNAの抽出は、当技術分野で公知の方法であり、例えば、総RNAを抽出する場合には、AGPC(酸グアニジウム・フェノール・クロロホルム法など)又は市販キットを用いて行うことができる。
【0033】
mRNA発現
DNAチップを用いてmRNAの発現量を検出する具体的な例として、Affymetrix社製のGeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いる方法がある。GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayは、1枚のアレイであり、ゲノム上に存在する47,000個を超える遺伝子の発現を検出できるアレイである。使用方法は、試料(total RNA、mRNAなど)を1種類のT7-Oligo (dT)プライマーを用いてPCR反応により増幅し、ラベリングを行う。1枚のアレイは各遺伝子の発現ごとに相補的になるように設計されており、ハイブリダイゼーション後、シグナルに基づいて試料の遺伝子の発現を判定し、また、各遺伝子の発現量をシグナル強度又はシグナル比に基づいて比較することができる。このDNAチップの詳細については、http://www.affymetrix.com/products_services/arrays/specific/hgu133plus.affxで公開されている製品情報を参照されたい。
【0034】
また、遺伝子の発現量は上述以外に、当業者に公知のあらゆる方法によって測定できる。そのような方法としては、遺伝子の発現に特異的なプライマーを用いる方法、定量PCR(qPCR)を利用する方法などがある。
本方法においては、簡便かつ迅速に遺伝子の発現を測定できるDNAチップ(マイクロアレイ)を使用するのが好ましい。
【0035】
cDNA合成
核内RNA又はmRNAからのcDNAの合成は、当技術分野で公知の方法(特許第4111985号公報)に従って行うことができる。ここで、「核内RNA」とは、ゲノムDNAから転写された後、スプライシングを受けておらず、そのため細胞質には移行せず、まだ核内に存在している一次転写産物(primary transcript)をいう。すなわち、核内RNAは、ゲノム上のエキソン及びイントロンの両方を含み、長い鎖長を有するものが多い。特定の遺伝子の合成用プライマー又は増幅用プライマーの設計は、当技術分野で公知の一般的なプライマー設計法に従って行うことができる。
【0036】
DNA抽出
ゲノムDNAの抽出は、当技術分野で公知の方法(フェノール・クロロホルム法など)又は市販キットを用いて行うことができる。
【0037】
cDNA又はゲノムDNAにおける遺伝子多型のタイピング
cDNA又はゲノムDNAにおける遺伝子多型(SNP又はハプロタイプなど)のタイピング(検出)は、当技術分野で公知の手法を用いて行うことができる。例えば、遺伝子多型のタイピングは、一つの遺伝子多型に特異的なプローブとのハイブリダイゼーションにより行うことができる。プローブは、必要に応じて、蛍光物質や放射性物質などの適当な手段により標識することができる。プローブは、遺伝子多型部位を含み、cDNAと特異的にハイブリダイズするものである限りいかなるものでもよく、具体的なプローブの設計は当技術分野で公知である。また、ハイブリダイゼーションの条件も、遺伝子多型を区別するのに十分な条件であればよく、例えば一つの遺伝子多型の場合にはハイブリダイズするが、他の遺伝子多型の場合にはハイブリダイズしないような条件、例えばストリンジェントな条件であり、このような条件は当業者に公知である。
【0038】
プローブは、一端を基板に固定してDNAチップ(マイクロアレイ)として使用できる。この場合、DNAチップには、一つの遺伝子多型に対応するプローブのみが固定されていても、両方の遺伝子多型に対応するプローブが固定されていても良い。このようなDNAチップを用いた遺伝子多型の検出は、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」、村松正明及び那波浩之監修、秀潤社、2000年、第10章などに記載されている。
【0039】
DNAチップを用いた遺伝子多型の検出の具体的な例として、Affymetrix社製のGeneChip(登録商標)Human Mapping 500K arrayを用いる方法について説明する。GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K arrayは、2枚のアレイを含み、ゲノム上に存在する500,000個を超えるSNPの検出を行うことができるアレイである。使用方法は、試料(ゲノム、cDNAなど)を制限酵素(Sty若しくはNsp)で切断し、アダプターをつけて、そのアダプターに特異的な1種類のプライマー(Sty若しくはNspについてそれぞれ1種類ずつ)を用いてPCR反応により増幅し、ラベリングを行う。2枚のアレイは各SNPのアレルごとに相補的になるように設計されており、ハイブリダイゼーション後、シグナルに基づいて試料のSNPを判定し、また各アレルの発現量をシグナル強度又はシグナル比に基づいて比較することができる(詳細な方法は、特許出願(PCT/JP2005/023439 or 上述した「Japanese Patent Number; 4111985, Method for identifying a gene with allellic variation in gene expression. FILING DATA: December 15, 2005年」)に述べている)。このDNAチップの詳細については、http://www.affymetrix.com/jp/products_services/arrays/specific/500k.affxで公開されている製品情報を参照されたい。
【0040】
また、遺伝子多型は、上述した以外にも、当業者に公知のあらゆる方法によってタイピングすることができる。そのような方法としては、遺伝子多型に特異的なプライマーを用いる方法、制限断片長多型(RFLP)を利用する方法、直接配列決定法、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)、ミスマッチ部位の化学的切断を利用した方法(CCM)、プライマー伸長法(TaqMan法)などを用いることができる。
【0041】
本方法においては、簡便かつ迅速に遺伝子多型をタイピングすることができるDNAチップ(マイクロアレイ)を使用することが好ましい。
【0042】
本発明は、ExpressGenotyping法のデータからソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法を含み、該方法は以下のステップを有する。
(i)(イ)細胞に溶媒のみを曝露したExpressGenotyping法の結果と、(ロ)細胞に薬剤を曝露したExpressGenotyping法の結果を比較することで、薬剤刺激に応答性のマーカー(薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPs)を選び出す。
(ii)(イ)と(ロ)のEG法の結果を比較するコンピュータ上で特定のアルゴリズムを用いてデータ処理を行う。
【0043】
上記方法により、探索したソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子、すなわちソラフェニブ刺激特異的にアレル間で発現が異なる遺伝子及びその多型、すなわちソラフェニブ刺激によりアレル間での発現の変動に影響を与える多型を利用して、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブへの応答性を判定することができる。また、多型を利用して、ソラフェニブ刺激時の被験体の応答性と多型との関係を解析することができる。
【0044】
上記方法により、探索したソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子の遺伝子多型は、アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定するための遺伝子多型として選択することができる。アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定することができる遺伝子多型は、他の遺伝子多型よりも表現型と関係している可能性が高い。その遺伝子多型を検出することのみで、ある検体が発現量の多いアレルを有するか否かなどを調べることが可能となる。アレル間で発現量が異なる遺伝子は、薬剤に対する応答性という表現型と関係している。特定の遺伝子多型を有している頻度が、特定の表現型(ソラフェニブに対する感受性)を示す被験体において有意に高い。その遺伝子多型の差が、表現型に関与する遺伝子の発現量の量的調節に影響している。
【0045】
上記の探索により、3224個の遺伝子(6953プローブ)が、ソラフェニブ刺激によりアレル間で発現量が異なる遺伝子および各遺伝子の一塩基多型として探索された。
【0046】
これらの3224個の遺伝子の中でも、特に以下の10個の遺伝子がソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が大きく異なる遺伝子として選択された。
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子、
(b) CD247 molecule遺伝子、
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子、
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子、
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子、
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子、
(g) complement component 5(C5)遺伝子、
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子、
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子、及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【0047】
また、(a)〜(j)の遺伝子において、52の多型(SNP)が、各々の遺伝子のアレル間での発現量の差異を判定できる遺伝子多型として選択された。
図5〜14にそれぞれ、上記(a)〜(j)の遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す。
【0048】
本発明において、タイピングすべき上記(a)〜(j)の遺伝子の遺伝子多型としては、以下のものが挙げられる。
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0049】
ここで、上記遺伝子多型の近傍に存在する遺伝子多型とは、上記遺伝子多型から薬30,000kb以内、好ましくは約10,000kb以内に位置する遺伝子多型をいう。このような近傍に位置する遺伝子多型は、染色体組換え時に一緒に組換わる確立が高い。また、上記遺伝子多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型とは、上記遺伝子多型と関連性のある遺伝子多型であり、具体的には、上記遺伝子多型がXである場合には、常に別の遺伝子多型がYとなるという関係が成立するようなものである。多型を利用してのソラフェニブ刺激時の被験体の応答性と多型との関係の解析は、例えば、予めソラフェニブ刺激に対して特定の応答性を示すことがわかっている被験体における上記遺伝子の多型を調べれば良い。また、ソラフェニブの投与を予定している被験体における上記遺伝子の多型を予め調べておき、ソラフェニブを投与したときの応答性を調べ、多型と応答性とを関連付けることもできる。これらは、in vivoで行うことができるが、被験体の細胞を採取、単離し、該単離細胞を用いてin vitroで関連付を行うこともできる。さらに、入手可能な培養細胞におけるソラフェニブ刺激への応答性をin vitroで調べ、なおかつ、それぞれの培養細胞の多型を調べることにより関連付けすることもできる。例えば、dihydropyrimidine dehydrogenase遺伝子の、配列番号1で示す塩基配列中の16番目の塩基の多型と、ソラフェニブ刺激の応答性の関係を調べ、前記多型部位がCの被験体において、ソラフェニブの副作用が大きいという表現型が現れる場合、多型部位がCという遺伝子型とソラフェニブの副作用が大きいという表現型が関連付けられ、ソラフェニブを投与しようとする被験体の上記部位の多型を調べ、Cの場合に、ソラフェニブの投与を中止することができる。
【0050】
本発明は、(イ)細胞に溶媒のみを曝露したExpressGenotyping法の結果と、(ロ)細胞に薬剤を曝露したExpressGenotyping法の結果を比較することで、薬剤刺激に応答性のマーカー(薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPs)と応答性を関連付ける方法も包含する。
【0051】
本発明においては、上記の10種類の遺伝子の少なくとも1種類の遺伝子を利用する。一度に複数の遺伝子を利用してもよく、例えば、上記の10種類の遺伝子のうちの2、3、4、5、6、7、8、9又は10種類を利用すれば良い。また、遺伝子の多型に関しては、10種類の遺伝子の52の多型の少なくとも1つの多型を利用して判定することができ、一度に複数の多型を利用しても良い。例えば、52の多型のうち、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、51以上又は52を利用して判定することができる。
【0052】
遺伝子及びその多型を利用して判定するとは、ソラフェニブを投与しようとする被験体における上記遺伝子の多型を予め測定し、多型部位の塩基の種類により、ソラフェニブへの応答性を予測し又は評価し、判定することをいう。ソラフェニブへの応答性とは、ソラフェニブによる発症し得る副作用のタイプ、発症し得る副作用の程度、ソラフェニブの薬効の程度をいう。これらの応答性には個人差があることがわかっており、従来はその個人差を予測及び評価することができなかったが、本発明の方法により予測及び評価することが可能になる。
【0053】
すなわち、上記遺伝子の多型は、ソラフェニブを投与する前の被験体のソラフェニブへの応答性を判定するためのバイオマーカーとして用いることができる。
【0054】
多型の検出は、1対の染色体上の一方の染色体について検出する場合も両方の染色体について検出する場合も包含され、両方の染色体について検出する場合にも、一塩基多型部位においてホモ接合性かヘテロ接合性かの検出を含む。
【0055】
さらに、本発明は上記の多型を検出するのに用いるオリゴヌクレオチド又はその標識物を包含し、該オリゴヌクレオチド又はその標識物はプローブ又はプライマーとして用いることができる。これらのオリゴヌクレオチドは、上記遺伝子の一塩基多型部位を含む塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA断片からなり、このようなオリゴヌクレオチドは一塩基多型を検出するためのプローブとして利用できる。また、上記遺伝子多型部位の近傍あるいは離れた部位の塩基配列を、遺伝子多型部位を含む塩基配列を増幅するためのプライマーとして用いることができる。この際、多型部位の3'側および5'側に存在する2種類の配列をプライマー対として用いることができる。多型の検出に用いるオリゴヌクレオチドを構成する塩基の数は5〜50、好ましくは10〜30、さらに好ましくは15〜25であり、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列からなる。また、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列において、数個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個又は2個、特に好ましくは1個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドも用いることができる。多型の検出はプローブを用いたハイブリダイゼーションアッセイにより行うことができる。本発明のオリゴヌクレオチドは化学合成により作製することもできるし、上記プライマーを用いてPCRにより遺伝子を増幅させた増幅産物として作製することもできる。本発明のプローブは、検出のために蛍光物質、酵素、放射性同位体、化学発光物質等で標識されていても良い。標識に用いる標識物質は、公知のものを用い、公知の方法で標識することができる。蛍光物質としては、例えば、Cy3、Cy5、ローダミン、フルオレセイン等が挙げられる。
【0056】
さらに、本発明は上記オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を含む。オリゴヌクレオチドを固定化する基板としては、スライドガラス、ニトロセルロース膜、マイクロビーズ等種々のものを用いることができる。固定化基板上に複数のオリゴヌクレオチドを整列固定化した場合、該固定化基板は、DNAマイクロアレイ又はDNAチップとして用いることができる。また、オリゴヌクレオチドは基板上で合成しても良いし、また合成したオリゴヌクレオチドを基板上に固定化しても良い。基板上への固定化は、例えば市販のスポッターやアレイヤーを用いて行うことができ、オリゴヌクレオチドの固定化は吸着や共有結合を介した結合により行うことができ、共有結合を介した結合により固定化する場合は、基板表面及びオリゴヌクレオチドに共有結合用のアミノ基、SH基等の官能基を導入すれば良い。
【0057】
オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を用いる多型の検出は公知の方法で行うことができる。
【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0059】
実施例1 アレル間で発現量が異なる遺伝子の検索
本実施例においては、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激において、アレル間で発現量が異なる遺伝子の検索を行った。
【0060】
EBウイルスにて株化した10検体のリンパ球(表1)を用いて、ソラフェニブ刺激を行った。10検体のリンパ球はCoriell Institute for Medical Research(Coriell社)から購入し、1回継代した後、細胞保管庫(-80℃保存)にて保管したリンパ球である。ソラフェニブ刺激における群構成は、1)対照群(DMSO)、2)ソラフェニブ刺激群の2群で行い(薬剤刺激on/off の2群)、ソラフェニブの濃度は10μMとし、溶媒のDMSO濃度は0.01%である(mRNA発現解析の結果から最適な曝露条件を決定した(図1))。
【0061】
【表1】
【0062】
ソラフェニブ刺激の開始:細胞数が試験に使用できる数(1.25×107cells以上)になるまで15% Fetal Bovine Serum(Invitrogen社)を添加したRPMI medium 1640(Invitrogen社)培地で37℃、5%CO2の条件下で細胞培養した。ソラフェニブ刺激ができる細胞数に達したら10-20ml用の培養デッシュ(Nalge Nunc International社)を2つ準備し、それぞれに、1デッシュあたりが5×106cellsになるように播種した。次に、細胞を播種した一方のデッシュにDMSO 濃度が0.1%になるようにDMSOを添加し、もう一方のデッシュにソラフェニブの刺激濃度が10μMになるようにソラフェニブを加えた。その後、RPMI medium 1640培地(Fetal Bovine Serumなし)中の37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。表2にソラフェニブ刺激における刺激条件の群分けを示す。
【0063】
【表2】
【0064】
DMSO群及びソラフェニブ刺激群からのRNAの抽出は、TRIzol Reagent(Invitrogen社)で行った。抽出したRNAの濃度は、NanoDrop ND-1000(NanoDrop Technologies社)で測定し、Agilent 2100 バイオアナライザー(Agilent Technologies社)で純度を評価した。
【0065】
このDMSO群及びソラフェニブ刺激群から抽出したRNAは、Premature RNAのアレルごとの発現量及び総量の網羅的な測定に使用した。
DMSO群及びソラフェニブ刺激群からのDNAの抽出は、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)で行った。抽出したDNAの濃度は、NanoDrop ND-1000(NanoDrop Technologies社)で測定した。このDMSO群及びソラフェニブ刺激群から抽出したDNAは、DNAのSNPs typingに使用した。
【0066】
10検体のリンパ球のDMSO群及びソラフェニブ刺激群のRNAを用いてWO2006/068111号公報に記載の方法で、ソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定した。
【0067】
その結果、シグナル比の低いところにはノイズと考えられる正規分布曲線に近い形があらわれ、そこでは遺伝子のない領域に存在する遺伝子多型に基づくシグナル(プローブ)が多かった。この度数分布の形及びプローブとゲノム上の遺伝子との位置関係からこのアッセイによって遺伝子(cDNA)由来のシグナルとノイズが分離できており、cDNAとゲノムとのシグナル比の測定によって、シグナル比の高い部分を発現した遺伝子(主に核内RNA由来のcDNA)によるシグナルであると考えて良いことがわかった。
【0068】
DMSO群及びソラフェニブ刺激群の発現量に影響するcDNAシグナル強度からソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定する遺伝子多型を検索するため、ソラフェニブ刺激群のcDNAの正確なシグナル強度/DMSO群のcDNAの正確なシグナル強度の比(EAI; Expression Allelic Imbalance、アレル間の発現レベルがアンバランスであること/異なっていること)を取り、その比が1.5倍以上のプローブをソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(遺伝子多型)として絞り込んだ(詳細は[実施例2]に述べる)。
【0069】
このようにして、一方のアレルと他方のアレルとの間の発現量の差異をソラフェニブ刺激群のEAIを利用して比較したところ、3224個(6953プローブ)の遺伝子がソラフェニブ刺激群特異的に有意差を示した。その中から、下記の10種類の遺伝子をソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある遺伝子多型として選択した(図4)。
【0070】
(1) DPYD:dihydropyrimidine dehydrogenase
DPYD遺伝子のタンパク質はピリミジン代謝酵素であり、5-フルオロウラシル(5-FU)の化学療法において、この遺伝子の変異が癌患者の副作用のリスクを増加させることが報告されている。5-FU 系抗がん薬と抗帯状疱疹薬ソリブジンとで発生した致死的薬物相互作用「ソリブジン薬害」は有名である(Watabe T. et al., Yakugaku Zasshi. 2002 Aug;122(8):527-35. PMID: 12187768, 2002年)。
【0071】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したDPYD遺伝子の一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10449721:
agcagcttcaatggaa[C/T]gatgagaagtagaatc(配列番号1)
rs10875047:
cgtgacaaggaagacc[A/G]agatggaatatatgag(配列番号2)
rs11165805:
ggaataatagtcattg[C/G]agtctcaaaacggtgg(配列番号3)
rs11165867:
ataatctgctcttaga[A/G]gactataaccccataa(配列番号4)
rs6687374:
ccacaccaccctaaac[A/G]agtcatcatagtagaa(配列番号5)
rs4949952:
ggagcccagttacgaa[A/G]ggccgtttatgcttgc(配列番号6)
rs11165887:
aatccatgagtgagaa[A/G]aactaatatcatgtga(配列番号7)
rs10875097:
ctatagtaagtgtcca[C/T]gttaaggtgtttgata(配列番号8)
【0072】
(2) CD247:CD247 molecule
CD247遺伝子のタンパク質はT細胞レセプター(zeta)であり、抗原を認識する重要な役割を果たしている(Minguet S. et al., Immunol Lett. Mar 15;116(2):195-202. Dec 20;7(14):1909-23. PMID: 18207249, 2008年)。
【0073】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したCD247遺伝子の一塩基多型rs864537の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs864537:
agtgtttttatttgga[A/G]catcattgcactgtga(配列番号9)
【0074】
(3) PLA2G4A:phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)
PLA2G4A遺伝子のタンパク質は、ホスホリパーゼA2のグループIVのファミリーに属しており、膜リン脂質からアラキドン酸を放出するための触媒である(アラキドン酸のように脂質由来の物質は、血行動態の調節や炎症反応などに関与している)(Rubin BB. et al., J Biol Chem. Mar 4;280(9):7519-29. Epub 2004 Oct 8. PMID: 15475363, 2005年)。
【0075】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPLA2G4A遺伝子の一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10752979:
tgggcctgaaatacaa[C/T]gagaaaatgctcttga(配列番号10)
rs10798069:
catcctgccagagaga[A/C]aatttttgtgtaaagg(配列番号11)
rs10911963:
agaagcttaacaatga[A/G]ggttaatgatgcacca(配列番号12)
【0076】
(4) IL1R2:interleukin 1 receptor, type II
IL1R2遺伝子のタンパク質はサイトカインレセプターとして有名であり、インターロイキンalpha (IL1A)、インターロイキンbeta (IL1B)、インターロイキン1レセプターI型(IL1R1/IL1RA)に結合して、リガンドの活性を阻害するデコイとして働いている(Re F. et al., J Exp Med. Feb 1;179(2):739-43. PMID: 8294881, 1994年)。
【0077】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したIL1R2遺伝子の一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs4851527:
acagctagtaagcaga[C/T]gttgaaatttaaaccc(配列番号13)
rs3218872:
tcctactccttcttga[C/T]ggatgaagttttaggc(配列番号14)
rs3218920:
cggtctacataagcaa[C/T]atctaatgacaatatc(配列番号15)
【0078】
(5) DOCK2:dedicator of cytokinesis 2
DOCK2遺伝子のタンパク質は、リンパ球の走化性に不可欠な造血細胞のCDMファミリーである(Reif K. et al., Trends Cell Biol. Aug;12(8):368-73. PMID: 12191913, 2002年)。
【0079】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したDOCK2遺伝子の一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs900464:
gttttaaagatggaaa[C/G]gatgtggatatgtaga(配列番号16)
rs264846:
aggcctggattaagaa[A/T]gaaatcaaacaaggta(配列番号17)
rs90213:
ctaaatagtgttagga[C/T]gttcagttattcagtt(配列番号18)
rs966595:
gccataaaattgacta[C/T]agccagtgtccttcaa(配列番号19)
rs4867895:
ctgctgcctaccaaat[G/T]aagtcataaatgcatt(配列番号20)
rs11134600:
atgaggtaccaatacc[A/G]catactgggaaatata(配列番号21)
rs2287727:
ggatggagaagccaat[G/T]agccgtctcatgtccc(配列番号22)
rs1316638
ctttcttcttcttacc[A/G]tcctatgtacagcttc(配列番号23)
【0080】
さらに、このDOCK2遺伝子の遺伝子多型(rs11134600)の表現型を検討した。一般的に、ソラフェニブの副作用は人種間で異なり(日本人>白人>黒人の順に発症頻度が高い)、このDOCK2遺伝子の遺伝子多型で人種間に違いがあるのか検討した。ソラフェニブ刺激で特異的に得られた遺伝子多型を人種間のアレル頻度データ(Entrez SNPの公開データ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=snp&cmd=search&term=を参照)をリスト化した。その結果、上述したDOCK2のrs11134600がソラフェニブ刺激で影響度が異なる遺伝子多型であることがわかった(図3)。
【0081】
この結果から、将来的な展望としては、本発明で見つかった遺伝子多型を臨床検体のDNA でSNPsタイピングすることにより、ソラフェニブ刺激で起こる副作用遺伝子を明確化できると考えた。
【0082】
(6) ESR1:estrogen receptor 1
ESR1遺伝子のタンパク質はエストロゲンレセプターであり、ホルモンやDNAの結合、転写活性で重要な役割を果たしているリガンド活性化転写因子である。また、このエストロゲンレセプターは、乳癌、子宮体癌及び骨粗鬆症の発症にも関係している(Ali S. et al., J Mammary Gland Biol Neoplasia. Jul;5(3):271-81. PMID: 14973389, 2000年; Wedren S. et al., BMC Cancer. Nov 6;8:322. PMID: 18990228, 2008年 ; Ferrari S. et al., Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. Oct;22(5):723-35. PMID: 19028354, 2008年)。
【0083】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したESR1遺伝子の一塩基多型rs9371557及びrs3798573の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は、下記である。
rs9371557:
gggtacatggtacaga[C/T]gaagatcactatgaag(配列番号24)
rs3798573:
tgccaaatccaaatga[C/T]ggacgttgcagaacac(配列番号25)
【0084】
(7) C5:complement component 5
C5遺伝子のタンパク質は補体の構成成分であり、炎症や細胞死の過程において重要な役割をしている(DiScipio RG. et al., Int Immunopharmacol. Dec 20;7(14):1909-23. PMID: 18039528, 2007年)。
【0085】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したC5遺伝子の一塩基多型rs10985112の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10985112:
ggatgctggcacataa[A/G]acaagaaaacaaacag(配列番号26)
【0086】
(8) PLCB1:phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)
PLCB1遺伝子のタンパク質は、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸からのイノシトール1,4,5-三リン酸及びジアシルグリセロールの形成における触媒として機能している。細胞外の刺激を細胞内に伝えるシグナル伝達において、重要な役割をしている(Fantuzzi L. et al., Blood. Apr 1; 111(7): 3355-63. PMID: 18203956, 2008年)。
【0087】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPLCB1遺伝子の一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs2235212:
ttaccagaaattaaag[C/T]caccagagtggttgct(配列番号27)
rs6055624:
cttgattagcttacta[C/T]gtactggctgactaca(配列番号28)
rs2294257:
cccttctagccaaaaa[C/T]gtgttcagttagacat(配列番号29)
rs2180532:
aaaaaagccatgaaag[A/T]ctgatatttcctagaa(配列番号30)
rs10485723:
catagaaggttaccta[C/T]atcattgccttgacct(配列番号31)
rs1156958:
tattttaccggtaccc[C/T]atagtcctcaaaatca(配列番号32)
rs1237829:
tctggtgtaatttcaa[C/T]gtaaatccaatttgtt(配列番号33)
rs2050090:
caggtcaggttttgac[A/G]gctaatgaattataga(配列番号34)
rs6055925:
gaggggtattaatgaa[C/G]tgtcaaatatacatag(配列番号35)
rs6039215
gaaagcagttcgacaa[A/T]cttaaaactgcattac(配列番号36)
rs6140677:
taaagaaatgcgttca[A/G]taagcatcaggtactt(配列番号37)
rs6133610:
gcttgaaaaccactgc[A/G]attgattaaggtaagt(配列番号38)
rs6133621:
catctagacagcttga[C/T]aaatggcatgactaca(配列番号39)
rs13040543:
tgtactgctaagcctc[A/G]aaaatccaagctgaaa(配列番号40)
rs10485727:
taaaggctattgccaa[C/T]gtttccagagctttca(配列番号41)
rs6118343:
ctgtaaaaaactaata[C/T]gctaacaacgaattct(配列番号42)
rs6056198:
caggacaggctagtaa[A/C]acaagatatgcctgga(配列番号43)
rs6086627:
atggagagtaacatgg[A/G]aagtttaaccaggtgg(配列番号44)
rs3848831:
atttggatctacttag[C/T]attttgcctacctcgt(配列番号45)
rs6086678:
tacccagtcccaataa[A/T]ttaaagcaaaaactgt(配列番号46)
【0088】
(9) PNLIPRP3:pancreatic lipase-related protein 3
PNLIPRP3は肝細胞癌で高発現している(Saelee P. et al., Asian Pac J Cancer Prev. Jul-Sep;10(3):501-6. PMID: 19640199, 2009年)。
【0089】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPNLIPRP3遺伝子の一塩基多型rs1431485の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs1431485:
tttaagagcctttgca[C/T]ggttccacagttgcat(配列番号47)
【0090】
(10) LIPC:lipase, hepatic
LIPCは肝性トリグリセリドリパーゼであり、肝臓で発現している。LIPCの機能はトリグリセリドの加水分解や、レセプターによりリポタンパク質を取り込む時の配位及び架橋因子として働いている。LIPCは2型糖尿病のリスク因子としても報告されている(Todorova B. et al., J Clin Endocrinol Metab. May;89(5):2019-23. PMID: 15126514, 2004年)。
【0091】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したLIPC遺伝子の一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs12438071:
tcttgatactactaag[C/T]caccgaggagccgtgg(配列番号48)
rs4775047:
aatgattgagtttcaa[C/T]gtgtccttatttcatt(配列番号49)
rs9920144:
gtggcatatcgtaaac[A/G]gggtgccttgtaggcc(配列番号50)
rs7179747:
gaacttgggcctaaaa[G/T]ctttctgttttatcac(配列番号51)
rs3751542:
gagtattattaggccc[C/T]agtgatggagtacaga(配列番号52)
【0092】
実施例2 ソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法
本実施例においては、ExpressGenotyping法のデータからソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法を開発した。
【0093】
薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPsを選び出すため、ソラフェニブ刺激群のcDNAの正確なシグナル強度[(ロ)細胞に薬剤を曝露したEG法の結果]/DMSO群のcDNAの正確なシグナル強度[(イ)細胞に溶媒のみを曝露したEG法の結果]の比を算出し、その比が1.5倍以上のプローブをソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(EAIを示す遺伝子多型)として絞り込んだ。下記にそのデータの処理方法を述べる。
(i) EG法のアルゴリズムで処理した(イ)10検体分のDMSO _nsp_sty file及び(ロ)10検体分のSorafenib_nsp_sty fileのそれぞれの結果をtxt fileで収得した。
(ii) (イ)及び(ロ)のそれぞれのfileをProbe IDを利用して、Microsoft Office Access 2007(Microsoft社)上で結合した。
(iii) 結合したそれぞれのfileでgenome callが、ヘテロ(AB call)のプローブのみを収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(iv) 結合したそれぞれのfileで遺伝子領域(3UTR、5UTR、CDS、exon及びintron)のみを収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(v) 結合したそれぞれのfileで(ロ)Sora AI[adj ratio(upper)/(イ)adj ratio(lower)]/DMSO AI[adj ratio(upper)/adj ratio(lower)]の比を計算し、その比が1.5以上のプローブをソラフェニブ刺激群で特異的なEAIプローブとして収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(vi) 10検体分のEAIプローブのfileをMicrosoft Office Access 2007(Microsoft社)上で結合して、EAIプローブの数をカウントした(結合にはProbe IDを利用した)。
【0094】
以上の方法により、ソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(遺伝子多型)を収得した。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の方法、プローブ、基板を利用して、ソラフェニブの個人ごとに異なる応答性を予測することが可能である。
【配列表フリーテキスト】
【0096】
配列番号1〜52 合成
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激で応答する発現量多様性を有する遺伝子及びその遺伝子の多型の同定に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノムの同じ位置にある同じ遺伝子であっても、それが異なるアレル上にある場合にその遺伝子発現量に差がみられる現象は、近年報告されている比較的新しい概念である(非特許文献1を参照)。
【0003】
アレル間で異なる発現を示す遺伝子は、大きく分けて刷り込みを受ける遺伝子(imprinted gene)と刷り込みを受けない遺伝子(non-imprinted gene)の2種類がある。前者は、刷り込み(imprinting)といって、ある細胞若しくは組織において、両親から片アレルずつ受け継いだ場合にどちらか一方のアレルが生理的にメチル化などの修飾をうけることにより不活化され発現が抑制されるという現象である。後者、すなわち刷り込みを受けていない遺伝子(non-imprinted gene)においても、アレル間で異なる発現差が見られる場合がある。これは、遺伝子内若しくはそれに近接しているアレル間のゲノムの多型が、近接の遺伝子の発現を調節するシス作用領域(cis-acting element)として働き、アレル間の遺伝子発現量の差を生み出すと考えられている。後者に見られる、ゲノムDNAの配列の違いに起因するアレルごとの発現の変化は、世代を超えて引き継がれる性質と考えられ、個体間の遺伝子発現量の差、ひいては個人の体質の差、病態とそのリスク、また薬剤の応答性の違いに影響することが考えられる。従って、このようなアレル間で発現量が異なる遺伝子は疾患又は障害などの表現型と関係する可能性がある。
【0004】
一方、薬剤に応答する遺伝子の発現量多様性としては、4-β-phorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)+ionomycin刺激の条件下において、TNF/LTAがアレル特異的な発現を示すことが報告されている(非特許文献2及び3を参照)。
【0005】
上述のように、薬剤に応答する遺伝子の発現量多様性の存在は、ファーマコゲノミクス(PGx: Pharmacogenomics)研究に応用できると考えられる。PGx研究とは、遺伝子解析から薬剤の動態・効果・副作用に影響を与える遺伝子多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphisms)を探索し、これらのSNPで薬剤に好ましい反応を示す患者と、好ましくない反応を示す患者を層別化することを目的としている。PGx研究には候補を選ばず可能な限り網羅的にゲノムDNAを測定するUnbiased genome-wide approach、あるいは、候補を選択して検証するCandidate gene approachの2つの方法があり、SNPs地図、ハプロタイプマーカー、薬理学的機能や治療効果に関与している遺伝子発現、又は不活化における変異の個体間の多様性などが調査されている。そのため、創薬におけるPGx研究では薬剤に好ましい反応を示す患者と好ましくない反応を示す患者の層別化が試みられている。しかし、Unbiased genome-wide approachでは多数のサンプル・高額な費用が必要であり、Candidate gene approachでは薬剤作用に関わる可能性のある多数の遺伝子多型から事前に候補を選択する必要がある。
【0006】
そこで、最近では事前にex vivoで網羅的にゲノムを測定し、上記両アプローチを組み合わせて候補遺伝子を選択する方法が新たに考えられている。具体的にはex vivoでゲノムDNAとRNA発現を網羅的に測定し、薬剤によりRNA発現変動に影響を与えるSNPを探索する方法である。これまでの報告例はいずれも薬剤によるmRNA発現変動とSNPの関係を調べ、mRNA発現に影響を与えるSNPsを探索したものであり、Expression quantitative trait loci(eQTL)法と呼ばれている(非特許文献4及び5を参照)。
【0007】
一方、ExpressGenotyping法(特許文献1を参照)ではゲノムDNAのSNPs typingと同時にスプライシングを受けていないPremature RNAのアレルごとの発現量及び総量を網羅的に測定できるため、定性的なアレル頻度だけのデータに比べると信頼性も高く、少ないサンプル数でも発現に影響を与える有効なSNPsを探索できる。従って、このExpressGenotyping法を用いて、薬剤応答性の発現量多様性を有する遺伝子の同定ができれば、創薬において薬剤の副作用を回避し、有効な反応を示す患者と有効でない反応を示す患者を層別化できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4111985号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Knight JC., Trends Genet. Mar; 20 (3) : 113-6. PMID: 15049300, 2004年
【非特許文献2】Knight JC. et al., Nat Genet. Apr;33(4):469-75. PMID: 12627232, 2003年
【非特許文献3】Knight JC. et al, Nat Genet. Apr;36(4):394-9. PMID: 15052269, 2004年
【非特許文献4】Cheung VG. et al., Nature. Oct 27;437(7063):1365-9. PMID: 16251966, 2005年
【非特許文献5】Huang RS. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. Jun 5;104(23):9758-63. PMID: 17537913, 2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定することができるExpressGenotyping法を用いて、薬剤刺激における薬剤応答性の発現量多様性を有する遺伝子を同定することを目的とする。また本発明は、当該方法により薬剤刺激応答についての表現型に関与する遺伝子多型を検索する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのようにして検索した、遺伝子多型を利用して、薬剤刺激応答を予測する方法の提供及び該方法に利用する薬剤多型を検出するマーカーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、薬剤として抗がん剤のソラフェニブ(Sorafenib)を利用することによって、効率的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を見出せると考え、実際に、ソラフェニブ刺激後にExpressGenotyping法を行ったところ、アレル間の発現量が異なる遺伝子を判定できるSNPsを同定することに成功し、本発明を完成するに至った。ソラフェニブはMultikinase inhibitorとして、腎臓癌の治療に使用されており、副作用として高血圧、皮膚障害、下痢、疼痛が知られている。なかでも、日本人で多く発生する皮膚障害は、治療を行う上でも大きな障害になっている。
【0012】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(j)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【0013】
[2] (a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、[1]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0014】
[3] (a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、[1]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0015】
[4] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[1]〜[3]のいずれかのソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法。
【0016】
[5] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0017】
[6] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0018】
[7] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[5]又は[6]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ。
【0019】
[8] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0020】
[9] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0021】
[10] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[8]又は[9]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板。
【0022】
[11] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【0023】
[12] 以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0024】
[13] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[11]又は[12]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット。
[14] [5]〜[7]のいずれかのプローブ、[8]〜[10]のいずれかの固定化基板、又は[11]〜[13]のいずれかの一対のプライマーセットを含むソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのキット。
[15] ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、[14]のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を判定するためのキット。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激においてアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定する遺伝子多型を迅速かつ効率的に検索することができる。また、そのようにして検索された遺伝子多型は、アレル間の発現量を識別することができるため、その遺伝子が関与する表現型について解析するための有効な手段となり得る。さらに、そのように検索された遺伝子多型を検出することにより、ソラフェニブを投与して治療を行おうとする被験体の表現型(薬剤の主作用又は副作用の発症リスク)を予測し、評価し、判定することができ、今後の創薬全般においても薬剤の副作用を回避し、有効な反応を示す患者と有効でない反応を示す患者を層別化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayで解析したmRNA発現解析の結果を示す図である
【図2】GM18940細胞のDMSO群におけるChromosome 1番の度数分布の結果を示す図である。
【図3】ソラフェニブ刺激に影響する人種間で異なる遺伝子多型を示す図である。
【図4−1】ソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある10種類の遺伝子(遺伝子多型)EAIリストを示す図である。
【図4−2】ソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある10種類の遺伝子(遺伝子多型)EAIリストを示す図である(図4−1の続き)。
【図5】dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図6】CD247 molecule遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図7】phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図8】interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図9】dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図10】estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図11】complement component 5(C5)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図12】phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図13】pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【図14】lipase, hepatic(LIPC)遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
1. ソラフェニブ(Sorafenib)刺激により、アレル間で発現量が異なる遺伝子そのものについての探索
本発明は、ソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子の探索に関する。ここで、「アレル間で発現量が異なる遺伝子」とは、一方のアレルからの遺伝子発現量ともう一方のアレルからの遺伝子発現量が異なる遺伝子を指す。各アレルからの遺伝子の発現は、特定の遺伝子多型を指標として区別できるが、全ての遺伝子多型がアレル間の発現量の違いを区別できるものではない。しかも、ソラフェニブ刺激でアレル間の発現量に違いが生じることは知られていなかった。本発明においては、ExpressGenotyping法を用いて、ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量の違いを判定できる遺伝子多型を迅速かつ効率的に検索することにより、ソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子を探索し、さらにアレル間の遺伝子の発現の差を判別できる遺伝子多型(一塩基多型;SNP)を探索することができる。
【0028】
この探索は、例えば、培養細胞をin vitroの系においてソラフェニブにより刺激し、ソラフェニブ以外の物質で刺激したものを対照として、前記培養細胞における遺伝子発現を網羅的に解析し、アレル間で発現に差異が認められる遺伝子を選択し、さらにその遺伝子多型のアレル間の発現量の差異に関連したものを選択すれば良い。
【0029】
これらの方法は、ExpressGenotyping法(特許第4111985号公報に記載の手法)により行うことができる。
以下、遺伝子及び遺伝子多型を探索し、選択するための代表的な手法について説明する。
【0030】
細胞培養
細胞培養は当技術分野で公知の方法であり、例えば、細胞の培養培地(培地RPMI-1640+15%血清FBS)に細胞株を播種し、37℃、5%CO2の条件下にて細胞培養を行うことができる。
【0031】
薬剤刺激
薬剤刺激は当技術分野で公知の方法であり、例えば、対照群(DMSO)及び薬剤(ソラフェニブ)の2群を培養細胞が播種された培養培地に添加し、薬剤刺激を行うことができる。
【0032】
RNA抽出
総RNAの抽出は、当技術分野で公知の方法であり、例えば、総RNAを抽出する場合には、AGPC(酸グアニジウム・フェノール・クロロホルム法など)又は市販キットを用いて行うことができる。
【0033】
mRNA発現
DNAチップを用いてmRNAの発現量を検出する具体的な例として、Affymetrix社製のGeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いる方法がある。GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayは、1枚のアレイであり、ゲノム上に存在する47,000個を超える遺伝子の発現を検出できるアレイである。使用方法は、試料(total RNA、mRNAなど)を1種類のT7-Oligo (dT)プライマーを用いてPCR反応により増幅し、ラベリングを行う。1枚のアレイは各遺伝子の発現ごとに相補的になるように設計されており、ハイブリダイゼーション後、シグナルに基づいて試料の遺伝子の発現を判定し、また、各遺伝子の発現量をシグナル強度又はシグナル比に基づいて比較することができる。このDNAチップの詳細については、http://www.affymetrix.com/products_services/arrays/specific/hgu133plus.affxで公開されている製品情報を参照されたい。
【0034】
また、遺伝子の発現量は上述以外に、当業者に公知のあらゆる方法によって測定できる。そのような方法としては、遺伝子の発現に特異的なプライマーを用いる方法、定量PCR(qPCR)を利用する方法などがある。
本方法においては、簡便かつ迅速に遺伝子の発現を測定できるDNAチップ(マイクロアレイ)を使用するのが好ましい。
【0035】
cDNA合成
核内RNA又はmRNAからのcDNAの合成は、当技術分野で公知の方法(特許第4111985号公報)に従って行うことができる。ここで、「核内RNA」とは、ゲノムDNAから転写された後、スプライシングを受けておらず、そのため細胞質には移行せず、まだ核内に存在している一次転写産物(primary transcript)をいう。すなわち、核内RNAは、ゲノム上のエキソン及びイントロンの両方を含み、長い鎖長を有するものが多い。特定の遺伝子の合成用プライマー又は増幅用プライマーの設計は、当技術分野で公知の一般的なプライマー設計法に従って行うことができる。
【0036】
DNA抽出
ゲノムDNAの抽出は、当技術分野で公知の方法(フェノール・クロロホルム法など)又は市販キットを用いて行うことができる。
【0037】
cDNA又はゲノムDNAにおける遺伝子多型のタイピング
cDNA又はゲノムDNAにおける遺伝子多型(SNP又はハプロタイプなど)のタイピング(検出)は、当技術分野で公知の手法を用いて行うことができる。例えば、遺伝子多型のタイピングは、一つの遺伝子多型に特異的なプローブとのハイブリダイゼーションにより行うことができる。プローブは、必要に応じて、蛍光物質や放射性物質などの適当な手段により標識することができる。プローブは、遺伝子多型部位を含み、cDNAと特異的にハイブリダイズするものである限りいかなるものでもよく、具体的なプローブの設計は当技術分野で公知である。また、ハイブリダイゼーションの条件も、遺伝子多型を区別するのに十分な条件であればよく、例えば一つの遺伝子多型の場合にはハイブリダイズするが、他の遺伝子多型の場合にはハイブリダイズしないような条件、例えばストリンジェントな条件であり、このような条件は当業者に公知である。
【0038】
プローブは、一端を基板に固定してDNAチップ(マイクロアレイ)として使用できる。この場合、DNAチップには、一つの遺伝子多型に対応するプローブのみが固定されていても、両方の遺伝子多型に対応するプローブが固定されていても良い。このようなDNAチップを用いた遺伝子多型の検出は、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」、村松正明及び那波浩之監修、秀潤社、2000年、第10章などに記載されている。
【0039】
DNAチップを用いた遺伝子多型の検出の具体的な例として、Affymetrix社製のGeneChip(登録商標)Human Mapping 500K arrayを用いる方法について説明する。GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K arrayは、2枚のアレイを含み、ゲノム上に存在する500,000個を超えるSNPの検出を行うことができるアレイである。使用方法は、試料(ゲノム、cDNAなど)を制限酵素(Sty若しくはNsp)で切断し、アダプターをつけて、そのアダプターに特異的な1種類のプライマー(Sty若しくはNspについてそれぞれ1種類ずつ)を用いてPCR反応により増幅し、ラベリングを行う。2枚のアレイは各SNPのアレルごとに相補的になるように設計されており、ハイブリダイゼーション後、シグナルに基づいて試料のSNPを判定し、また各アレルの発現量をシグナル強度又はシグナル比に基づいて比較することができる(詳細な方法は、特許出願(PCT/JP2005/023439 or 上述した「Japanese Patent Number; 4111985, Method for identifying a gene with allellic variation in gene expression. FILING DATA: December 15, 2005年」)に述べている)。このDNAチップの詳細については、http://www.affymetrix.com/jp/products_services/arrays/specific/500k.affxで公開されている製品情報を参照されたい。
【0040】
また、遺伝子多型は、上述した以外にも、当業者に公知のあらゆる方法によってタイピングすることができる。そのような方法としては、遺伝子多型に特異的なプライマーを用いる方法、制限断片長多型(RFLP)を利用する方法、直接配列決定法、変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)、ミスマッチ部位の化学的切断を利用した方法(CCM)、プライマー伸長法(TaqMan法)などを用いることができる。
【0041】
本方法においては、簡便かつ迅速に遺伝子多型をタイピングすることができるDNAチップ(マイクロアレイ)を使用することが好ましい。
【0042】
本発明は、ExpressGenotyping法のデータからソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法を含み、該方法は以下のステップを有する。
(i)(イ)細胞に溶媒のみを曝露したExpressGenotyping法の結果と、(ロ)細胞に薬剤を曝露したExpressGenotyping法の結果を比較することで、薬剤刺激に応答性のマーカー(薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPs)を選び出す。
(ii)(イ)と(ロ)のEG法の結果を比較するコンピュータ上で特定のアルゴリズムを用いてデータ処理を行う。
【0043】
上記方法により、探索したソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子、すなわちソラフェニブ刺激特異的にアレル間で発現が異なる遺伝子及びその多型、すなわちソラフェニブ刺激によりアレル間での発現の変動に影響を与える多型を利用して、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブへの応答性を判定することができる。また、多型を利用して、ソラフェニブ刺激時の被験体の応答性と多型との関係を解析することができる。
【0044】
上記方法により、探索したソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が異なる遺伝子の遺伝子多型は、アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定するための遺伝子多型として選択することができる。アレル間で発現量が異なる遺伝子を判定することができる遺伝子多型は、他の遺伝子多型よりも表現型と関係している可能性が高い。その遺伝子多型を検出することのみで、ある検体が発現量の多いアレルを有するか否かなどを調べることが可能となる。アレル間で発現量が異なる遺伝子は、薬剤に対する応答性という表現型と関係している。特定の遺伝子多型を有している頻度が、特定の表現型(ソラフェニブに対する感受性)を示す被験体において有意に高い。その遺伝子多型の差が、表現型に関与する遺伝子の発現量の量的調節に影響している。
【0045】
上記の探索により、3224個の遺伝子(6953プローブ)が、ソラフェニブ刺激によりアレル間で発現量が異なる遺伝子および各遺伝子の一塩基多型として探索された。
【0046】
これらの3224個の遺伝子の中でも、特に以下の10個の遺伝子がソラフェニブ刺激に対してアレル間で発現量が大きく異なる遺伝子として選択された。
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子、
(b) CD247 molecule遺伝子、
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子、
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子、
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子、
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子、
(g) complement component 5(C5)遺伝子、
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子、
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子、及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【0047】
また、(a)〜(j)の遺伝子において、52の多型(SNP)が、各々の遺伝子のアレル間での発現量の差異を判定できる遺伝子多型として選択された。
図5〜14にそれぞれ、上記(a)〜(j)の遺伝子の塩基配列中の多型の位置を示す。
【0048】
本発明において、タイピングすべき上記(a)〜(j)の遺伝子の遺伝子多型としては、以下のものが挙げられる。
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLCB1)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【0049】
ここで、上記遺伝子多型の近傍に存在する遺伝子多型とは、上記遺伝子多型から薬30,000kb以内、好ましくは約10,000kb以内に位置する遺伝子多型をいう。このような近傍に位置する遺伝子多型は、染色体組換え時に一緒に組換わる確立が高い。また、上記遺伝子多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型とは、上記遺伝子多型と関連性のある遺伝子多型であり、具体的には、上記遺伝子多型がXである場合には、常に別の遺伝子多型がYとなるという関係が成立するようなものである。多型を利用してのソラフェニブ刺激時の被験体の応答性と多型との関係の解析は、例えば、予めソラフェニブ刺激に対して特定の応答性を示すことがわかっている被験体における上記遺伝子の多型を調べれば良い。また、ソラフェニブの投与を予定している被験体における上記遺伝子の多型を予め調べておき、ソラフェニブを投与したときの応答性を調べ、多型と応答性とを関連付けることもできる。これらは、in vivoで行うことができるが、被験体の細胞を採取、単離し、該単離細胞を用いてin vitroで関連付を行うこともできる。さらに、入手可能な培養細胞におけるソラフェニブ刺激への応答性をin vitroで調べ、なおかつ、それぞれの培養細胞の多型を調べることにより関連付けすることもできる。例えば、dihydropyrimidine dehydrogenase遺伝子の、配列番号1で示す塩基配列中の16番目の塩基の多型と、ソラフェニブ刺激の応答性の関係を調べ、前記多型部位がCの被験体において、ソラフェニブの副作用が大きいという表現型が現れる場合、多型部位がCという遺伝子型とソラフェニブの副作用が大きいという表現型が関連付けられ、ソラフェニブを投与しようとする被験体の上記部位の多型を調べ、Cの場合に、ソラフェニブの投与を中止することができる。
【0050】
本発明は、(イ)細胞に溶媒のみを曝露したExpressGenotyping法の結果と、(ロ)細胞に薬剤を曝露したExpressGenotyping法の結果を比較することで、薬剤刺激に応答性のマーカー(薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPs)と応答性を関連付ける方法も包含する。
【0051】
本発明においては、上記の10種類の遺伝子の少なくとも1種類の遺伝子を利用する。一度に複数の遺伝子を利用してもよく、例えば、上記の10種類の遺伝子のうちの2、3、4、5、6、7、8、9又は10種類を利用すれば良い。また、遺伝子の多型に関しては、10種類の遺伝子の52の多型の少なくとも1つの多型を利用して判定することができ、一度に複数の多型を利用しても良い。例えば、52の多型のうち、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、51以上又は52を利用して判定することができる。
【0052】
遺伝子及びその多型を利用して判定するとは、ソラフェニブを投与しようとする被験体における上記遺伝子の多型を予め測定し、多型部位の塩基の種類により、ソラフェニブへの応答性を予測し又は評価し、判定することをいう。ソラフェニブへの応答性とは、ソラフェニブによる発症し得る副作用のタイプ、発症し得る副作用の程度、ソラフェニブの薬効の程度をいう。これらの応答性には個人差があることがわかっており、従来はその個人差を予測及び評価することができなかったが、本発明の方法により予測及び評価することが可能になる。
【0053】
すなわち、上記遺伝子の多型は、ソラフェニブを投与する前の被験体のソラフェニブへの応答性を判定するためのバイオマーカーとして用いることができる。
【0054】
多型の検出は、1対の染色体上の一方の染色体について検出する場合も両方の染色体について検出する場合も包含され、両方の染色体について検出する場合にも、一塩基多型部位においてホモ接合性かヘテロ接合性かの検出を含む。
【0055】
さらに、本発明は上記の多型を検出するのに用いるオリゴヌクレオチド又はその標識物を包含し、該オリゴヌクレオチド又はその標識物はプローブ又はプライマーとして用いることができる。これらのオリゴヌクレオチドは、上記遺伝子の一塩基多型部位を含む塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNA断片からなり、このようなオリゴヌクレオチドは一塩基多型を検出するためのプローブとして利用できる。また、上記遺伝子多型部位の近傍あるいは離れた部位の塩基配列を、遺伝子多型部位を含む塩基配列を増幅するためのプライマーとして用いることができる。この際、多型部位の3'側および5'側に存在する2種類の配列をプライマー対として用いることができる。多型の検出に用いるオリゴヌクレオチドを構成する塩基の数は5〜50、好ましくは10〜30、さらに好ましくは15〜25であり、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列からなる。また、上記遺伝子の塩基配列の多型部位を含む連続した塩基配列において、数個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個又は2個、特に好ましくは1個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドも用いることができる。多型の検出はプローブを用いたハイブリダイゼーションアッセイにより行うことができる。本発明のオリゴヌクレオチドは化学合成により作製することもできるし、上記プライマーを用いてPCRにより遺伝子を増幅させた増幅産物として作製することもできる。本発明のプローブは、検出のために蛍光物質、酵素、放射性同位体、化学発光物質等で標識されていても良い。標識に用いる標識物質は、公知のものを用い、公知の方法で標識することができる。蛍光物質としては、例えば、Cy3、Cy5、ローダミン、フルオレセイン等が挙げられる。
【0056】
さらに、本発明は上記オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を含む。オリゴヌクレオチドを固定化する基板としては、スライドガラス、ニトロセルロース膜、マイクロビーズ等種々のものを用いることができる。固定化基板上に複数のオリゴヌクレオチドを整列固定化した場合、該固定化基板は、DNAマイクロアレイ又はDNAチップとして用いることができる。また、オリゴヌクレオチドは基板上で合成しても良いし、また合成したオリゴヌクレオチドを基板上に固定化しても良い。基板上への固定化は、例えば市販のスポッターやアレイヤーを用いて行うことができ、オリゴヌクレオチドの固定化は吸着や共有結合を介した結合により行うことができ、共有結合を介した結合により固定化する場合は、基板表面及びオリゴヌクレオチドに共有結合用のアミノ基、SH基等の官能基を導入すれば良い。
【0057】
オリゴヌクレオチドを固定化した固定化基板を用いる多型の検出は公知の方法で行うことができる。
【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0059】
実施例1 アレル間で発現量が異なる遺伝子の検索
本実施例においては、ソラフェニブ(Sorafenib)刺激において、アレル間で発現量が異なる遺伝子の検索を行った。
【0060】
EBウイルスにて株化した10検体のリンパ球(表1)を用いて、ソラフェニブ刺激を行った。10検体のリンパ球はCoriell Institute for Medical Research(Coriell社)から購入し、1回継代した後、細胞保管庫(-80℃保存)にて保管したリンパ球である。ソラフェニブ刺激における群構成は、1)対照群(DMSO)、2)ソラフェニブ刺激群の2群で行い(薬剤刺激on/off の2群)、ソラフェニブの濃度は10μMとし、溶媒のDMSO濃度は0.01%である(mRNA発現解析の結果から最適な曝露条件を決定した(図1))。
【0061】
【表1】
【0062】
ソラフェニブ刺激の開始:細胞数が試験に使用できる数(1.25×107cells以上)になるまで15% Fetal Bovine Serum(Invitrogen社)を添加したRPMI medium 1640(Invitrogen社)培地で37℃、5%CO2の条件下で細胞培養した。ソラフェニブ刺激ができる細胞数に達したら10-20ml用の培養デッシュ(Nalge Nunc International社)を2つ準備し、それぞれに、1デッシュあたりが5×106cellsになるように播種した。次に、細胞を播種した一方のデッシュにDMSO 濃度が0.1%になるようにDMSOを添加し、もう一方のデッシュにソラフェニブの刺激濃度が10μMになるようにソラフェニブを加えた。その後、RPMI medium 1640培地(Fetal Bovine Serumなし)中の37℃、5%CO2条件下で4時間培養した。表2にソラフェニブ刺激における刺激条件の群分けを示す。
【0063】
【表2】
【0064】
DMSO群及びソラフェニブ刺激群からのRNAの抽出は、TRIzol Reagent(Invitrogen社)で行った。抽出したRNAの濃度は、NanoDrop ND-1000(NanoDrop Technologies社)で測定し、Agilent 2100 バイオアナライザー(Agilent Technologies社)で純度を評価した。
【0065】
このDMSO群及びソラフェニブ刺激群から抽出したRNAは、Premature RNAのアレルごとの発現量及び総量の網羅的な測定に使用した。
DMSO群及びソラフェニブ刺激群からのDNAの抽出は、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)で行った。抽出したDNAの濃度は、NanoDrop ND-1000(NanoDrop Technologies社)で測定した。このDMSO群及びソラフェニブ刺激群から抽出したDNAは、DNAのSNPs typingに使用した。
【0066】
10検体のリンパ球のDMSO群及びソラフェニブ刺激群のRNAを用いてWO2006/068111号公報に記載の方法で、ソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定した。
【0067】
その結果、シグナル比の低いところにはノイズと考えられる正規分布曲線に近い形があらわれ、そこでは遺伝子のない領域に存在する遺伝子多型に基づくシグナル(プローブ)が多かった。この度数分布の形及びプローブとゲノム上の遺伝子との位置関係からこのアッセイによって遺伝子(cDNA)由来のシグナルとノイズが分離できており、cDNAとゲノムとのシグナル比の測定によって、シグナル比の高い部分を発現した遺伝子(主に核内RNA由来のcDNA)によるシグナルであると考えて良いことがわかった。
【0068】
DMSO群及びソラフェニブ刺激群の発現量に影響するcDNAシグナル強度からソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子を判定する遺伝子多型を検索するため、ソラフェニブ刺激群のcDNAの正確なシグナル強度/DMSO群のcDNAの正確なシグナル強度の比(EAI; Expression Allelic Imbalance、アレル間の発現レベルがアンバランスであること/異なっていること)を取り、その比が1.5倍以上のプローブをソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(遺伝子多型)として絞り込んだ(詳細は[実施例2]に述べる)。
【0069】
このようにして、一方のアレルと他方のアレルとの間の発現量の差異をソラフェニブ刺激群のEAIを利用して比較したところ、3224個(6953プローブ)の遺伝子がソラフェニブ刺激群特異的に有意差を示した。その中から、下記の10種類の遺伝子をソラフェニブ刺激の副作用に関連するアレル間で発現量に差がある遺伝子多型として選択した(図4)。
【0070】
(1) DPYD:dihydropyrimidine dehydrogenase
DPYD遺伝子のタンパク質はピリミジン代謝酵素であり、5-フルオロウラシル(5-FU)の化学療法において、この遺伝子の変異が癌患者の副作用のリスクを増加させることが報告されている。5-FU 系抗がん薬と抗帯状疱疹薬ソリブジンとで発生した致死的薬物相互作用「ソリブジン薬害」は有名である(Watabe T. et al., Yakugaku Zasshi. 2002 Aug;122(8):527-35. PMID: 12187768, 2002年)。
【0071】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したDPYD遺伝子の一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10449721:
agcagcttcaatggaa[C/T]gatgagaagtagaatc(配列番号1)
rs10875047:
cgtgacaaggaagacc[A/G]agatggaatatatgag(配列番号2)
rs11165805:
ggaataatagtcattg[C/G]agtctcaaaacggtgg(配列番号3)
rs11165867:
ataatctgctcttaga[A/G]gactataaccccataa(配列番号4)
rs6687374:
ccacaccaccctaaac[A/G]agtcatcatagtagaa(配列番号5)
rs4949952:
ggagcccagttacgaa[A/G]ggccgtttatgcttgc(配列番号6)
rs11165887:
aatccatgagtgagaa[A/G]aactaatatcatgtga(配列番号7)
rs10875097:
ctatagtaagtgtcca[C/T]gttaaggtgtttgata(配列番号8)
【0072】
(2) CD247:CD247 molecule
CD247遺伝子のタンパク質はT細胞レセプター(zeta)であり、抗原を認識する重要な役割を果たしている(Minguet S. et al., Immunol Lett. Mar 15;116(2):195-202. Dec 20;7(14):1909-23. PMID: 18207249, 2008年)。
【0073】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したCD247遺伝子の一塩基多型rs864537の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs864537:
agtgtttttatttgga[A/G]catcattgcactgtga(配列番号9)
【0074】
(3) PLA2G4A:phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)
PLA2G4A遺伝子のタンパク質は、ホスホリパーゼA2のグループIVのファミリーに属しており、膜リン脂質からアラキドン酸を放出するための触媒である(アラキドン酸のように脂質由来の物質は、血行動態の調節や炎症反応などに関与している)(Rubin BB. et al., J Biol Chem. Mar 4;280(9):7519-29. Epub 2004 Oct 8. PMID: 15475363, 2005年)。
【0075】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPLA2G4A遺伝子の一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10752979:
tgggcctgaaatacaa[C/T]gagaaaatgctcttga(配列番号10)
rs10798069:
catcctgccagagaga[A/C]aatttttgtgtaaagg(配列番号11)
rs10911963:
agaagcttaacaatga[A/G]ggttaatgatgcacca(配列番号12)
【0076】
(4) IL1R2:interleukin 1 receptor, type II
IL1R2遺伝子のタンパク質はサイトカインレセプターとして有名であり、インターロイキンalpha (IL1A)、インターロイキンbeta (IL1B)、インターロイキン1レセプターI型(IL1R1/IL1RA)に結合して、リガンドの活性を阻害するデコイとして働いている(Re F. et al., J Exp Med. Feb 1;179(2):739-43. PMID: 8294881, 1994年)。
【0077】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したIL1R2遺伝子の一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs4851527:
acagctagtaagcaga[C/T]gttgaaatttaaaccc(配列番号13)
rs3218872:
tcctactccttcttga[C/T]ggatgaagttttaggc(配列番号14)
rs3218920:
cggtctacataagcaa[C/T]atctaatgacaatatc(配列番号15)
【0078】
(5) DOCK2:dedicator of cytokinesis 2
DOCK2遺伝子のタンパク質は、リンパ球の走化性に不可欠な造血細胞のCDMファミリーである(Reif K. et al., Trends Cell Biol. Aug;12(8):368-73. PMID: 12191913, 2002年)。
【0079】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したDOCK2遺伝子の一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs900464:
gttttaaagatggaaa[C/G]gatgtggatatgtaga(配列番号16)
rs264846:
aggcctggattaagaa[A/T]gaaatcaaacaaggta(配列番号17)
rs90213:
ctaaatagtgttagga[C/T]gttcagttattcagtt(配列番号18)
rs966595:
gccataaaattgacta[C/T]agccagtgtccttcaa(配列番号19)
rs4867895:
ctgctgcctaccaaat[G/T]aagtcataaatgcatt(配列番号20)
rs11134600:
atgaggtaccaatacc[A/G]catactgggaaatata(配列番号21)
rs2287727:
ggatggagaagccaat[G/T]agccgtctcatgtccc(配列番号22)
rs1316638
ctttcttcttcttacc[A/G]tcctatgtacagcttc(配列番号23)
【0080】
さらに、このDOCK2遺伝子の遺伝子多型(rs11134600)の表現型を検討した。一般的に、ソラフェニブの副作用は人種間で異なり(日本人>白人>黒人の順に発症頻度が高い)、このDOCK2遺伝子の遺伝子多型で人種間に違いがあるのか検討した。ソラフェニブ刺激で特異的に得られた遺伝子多型を人種間のアレル頻度データ(Entrez SNPの公開データ:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=snp&cmd=search&term=を参照)をリスト化した。その結果、上述したDOCK2のrs11134600がソラフェニブ刺激で影響度が異なる遺伝子多型であることがわかった(図3)。
【0081】
この結果から、将来的な展望としては、本発明で見つかった遺伝子多型を臨床検体のDNA でSNPsタイピングすることにより、ソラフェニブ刺激で起こる副作用遺伝子を明確化できると考えた。
【0082】
(6) ESR1:estrogen receptor 1
ESR1遺伝子のタンパク質はエストロゲンレセプターであり、ホルモンやDNAの結合、転写活性で重要な役割を果たしているリガンド活性化転写因子である。また、このエストロゲンレセプターは、乳癌、子宮体癌及び骨粗鬆症の発症にも関係している(Ali S. et al., J Mammary Gland Biol Neoplasia. Jul;5(3):271-81. PMID: 14973389, 2000年; Wedren S. et al., BMC Cancer. Nov 6;8:322. PMID: 18990228, 2008年 ; Ferrari S. et al., Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. Oct;22(5):723-35. PMID: 19028354, 2008年)。
【0083】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したESR1遺伝子の一塩基多型rs9371557及びrs3798573の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は、下記である。
rs9371557:
gggtacatggtacaga[C/T]gaagatcactatgaag(配列番号24)
rs3798573:
tgccaaatccaaatga[C/T]ggacgttgcagaacac(配列番号25)
【0084】
(7) C5:complement component 5
C5遺伝子のタンパク質は補体の構成成分であり、炎症や細胞死の過程において重要な役割をしている(DiScipio RG. et al., Int Immunopharmacol. Dec 20;7(14):1909-23. PMID: 18039528, 2007年)。
【0085】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したC5遺伝子の一塩基多型rs10985112の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs10985112:
ggatgctggcacataa[A/G]acaagaaaacaaacag(配列番号26)
【0086】
(8) PLCB1:phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)
PLCB1遺伝子のタンパク質は、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸からのイノシトール1,4,5-三リン酸及びジアシルグリセロールの形成における触媒として機能している。細胞外の刺激を細胞内に伝えるシグナル伝達において、重要な役割をしている(Fantuzzi L. et al., Blood. Apr 1; 111(7): 3355-63. PMID: 18203956, 2008年)。
【0087】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPLCB1遺伝子の一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs2235212:
ttaccagaaattaaag[C/T]caccagagtggttgct(配列番号27)
rs6055624:
cttgattagcttacta[C/T]gtactggctgactaca(配列番号28)
rs2294257:
cccttctagccaaaaa[C/T]gtgttcagttagacat(配列番号29)
rs2180532:
aaaaaagccatgaaag[A/T]ctgatatttcctagaa(配列番号30)
rs10485723:
catagaaggttaccta[C/T]atcattgccttgacct(配列番号31)
rs1156958:
tattttaccggtaccc[C/T]atagtcctcaaaatca(配列番号32)
rs1237829:
tctggtgtaatttcaa[C/T]gtaaatccaatttgtt(配列番号33)
rs2050090:
caggtcaggttttgac[A/G]gctaatgaattataga(配列番号34)
rs6055925:
gaggggtattaatgaa[C/G]tgtcaaatatacatag(配列番号35)
rs6039215
gaaagcagttcgacaa[A/T]cttaaaactgcattac(配列番号36)
rs6140677:
taaagaaatgcgttca[A/G]taagcatcaggtactt(配列番号37)
rs6133610:
gcttgaaaaccactgc[A/G]attgattaaggtaagt(配列番号38)
rs6133621:
catctagacagcttga[C/T]aaatggcatgactaca(配列番号39)
rs13040543:
tgtactgctaagcctc[A/G]aaaatccaagctgaaa(配列番号40)
rs10485727:
taaaggctattgccaa[C/T]gtttccagagctttca(配列番号41)
rs6118343:
ctgtaaaaaactaata[C/T]gctaacaacgaattct(配列番号42)
rs6056198:
caggacaggctagtaa[A/C]acaagatatgcctgga(配列番号43)
rs6086627:
atggagagtaacatgg[A/G]aagtttaaccaggtgg(配列番号44)
rs3848831:
atttggatctacttag[C/T]attttgcctacctcgt(配列番号45)
rs6086678:
tacccagtcccaataa[A/T]ttaaagcaaaaactgt(配列番号46)
【0088】
(9) PNLIPRP3:pancreatic lipase-related protein 3
PNLIPRP3は肝細胞癌で高発現している(Saelee P. et al., Asian Pac J Cancer Prev. Jul-Sep;10(3):501-6. PMID: 19640199, 2009年)。
【0089】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したPNLIPRP3遺伝子の一塩基多型rs1431485の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs1431485:
tttaagagcctttgca[C/T]ggttccacagttgcat(配列番号47)
【0090】
(10) LIPC:lipase, hepatic
LIPCは肝性トリグリセリドリパーゼであり、肝臓で発現している。LIPCの機能はトリグリセリドの加水分解や、レセプターによりリポタンパク質を取り込む時の配位及び架橋因子として働いている。LIPCは2型糖尿病のリスク因子としても報告されている(Todorova B. et al., J Clin Endocrinol Metab. May;89(5):2019-23. PMID: 15126514, 2004年)。
【0091】
ソラフェニブ刺激でEAIを示したLIPC遺伝子の一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542の配列情報(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K array(Affymetrix社製))は下記である。
rs12438071:
tcttgatactactaag[C/T]caccgaggagccgtgg(配列番号48)
rs4775047:
aatgattgagtttcaa[C/T]gtgtccttatttcatt(配列番号49)
rs9920144:
gtggcatatcgtaaac[A/G]gggtgccttgtaggcc(配列番号50)
rs7179747:
gaacttgggcctaaaa[G/T]ctttctgttttatcac(配列番号51)
rs3751542:
gagtattattaggccc[C/T]agtgatggagtacaga(配列番号52)
【0092】
実施例2 ソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法
本実施例においては、ExpressGenotyping法のデータからソラフェニブ刺激応答性に関与する遺伝子多型を検索する方法を開発した。
【0093】
薬剤曝露によって顕在化する遺伝子発現量のアレル間の違いを示すSNPsを選び出すため、ソラフェニブ刺激群のcDNAの正確なシグナル強度[(ロ)細胞に薬剤を曝露したEG法の結果]/DMSO群のcDNAの正確なシグナル強度[(イ)細胞に溶媒のみを曝露したEG法の結果]の比を算出し、その比が1.5倍以上のプローブをソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(EAIを示す遺伝子多型)として絞り込んだ。下記にそのデータの処理方法を述べる。
(i) EG法のアルゴリズムで処理した(イ)10検体分のDMSO _nsp_sty file及び(ロ)10検体分のSorafenib_nsp_sty fileのそれぞれの結果をtxt fileで収得した。
(ii) (イ)及び(ロ)のそれぞれのfileをProbe IDを利用して、Microsoft Office Access 2007(Microsoft社)上で結合した。
(iii) 結合したそれぞれのfileでgenome callが、ヘテロ(AB call)のプローブのみを収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(iv) 結合したそれぞれのfileで遺伝子領域(3UTR、5UTR、CDS、exon及びintron)のみを収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(v) 結合したそれぞれのfileで(ロ)Sora AI[adj ratio(upper)/(イ)adj ratio(lower)]/DMSO AI[adj ratio(upper)/adj ratio(lower)]の比を計算し、その比が1.5以上のプローブをソラフェニブ刺激群で特異的なEAIプローブとして収得した(Microsoft Office Excel 2007(Microsoft社)を使用)。
(vi) 10検体分のEAIプローブのfileをMicrosoft Office Access 2007(Microsoft社)上で結合して、EAIプローブの数をカウントした(結合にはProbe IDを利用した)。
【0094】
以上の方法により、ソラフェニブ刺激群特異的にアレル間で発現量が異なる遺伝子(遺伝子多型)を収得した。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の方法、プローブ、基板を利用して、ソラフェニブの個人ごとに異なる応答性を予測することが可能である。
【配列表フリーテキスト】
【0096】
配列番号1〜52 合成
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(j)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【請求項2】
(a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、請求項1記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項3】
(a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、請求項1記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項4】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法。
【請求項5】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項6】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項7】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項5又は6に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ。
【請求項8】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項9】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項10】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項8又は9に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板。
【請求項11】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項12】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項13】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項11又は12に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット。
【請求項14】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のプローブ、請求項8〜10のいずれか1項に記載の固定化基板、又は請求項11〜13のいずれか1項に記載の一対のプライマーセットを含むソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのキット。
【請求項15】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項14記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を判定するためのキット。
【請求項1】
ソラフェニブ刺激でアレル間における発現量に違いが生じる以下の(a)〜(j)のいずれかの遺伝子における、発現量の違いを判定することができる遺伝子多型をin vitroで検出し、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(a) dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子;
(b) CD247 molecule遺伝子;
(c) phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子;
(d) interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子;
(e) dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子;
(f) estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子;
(g) complement component 5(C5)遺伝子;
(h) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC1)遺伝子;
(i) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子;及び
(j) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子。
【請求項2】
(a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、請求項1記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項3】
(a)〜(j)における、発現量の違いを判定できる遺伝子多型が以下のいずれかである、請求項1記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項4】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測する方法。
【請求項5】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項6】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドのいずれかであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド又はその標識物からなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項7】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項5又は6に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのプローブ。
【請求項8】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii) phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項9】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片からなるオリゴヌクレオチドであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子の10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその標識物を固定化した、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項10】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項8又は9に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための固定化基板。
【請求項11】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、配列番号1〜8のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ii)CD247 molecule遺伝子における、配列番号9で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、配列番号10〜12のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、配列番号13〜15のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、配列番号16〜23のいずれかで表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、配列番号24又は25で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、配列番号26で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、配列番号27〜46で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、配列番号47で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位;又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、配列番号48〜52で表される部分配列中の16番目の塩基の位置に存在する一塩基多型部位。
【請求項12】
以下の(i)〜(x)の一塩基多型部位を含むDNA断片の増幅に用いる少なくとも一対のプライマーセットであって、以下の(i)〜(x)の遺伝子のDNA多型部位のうちの少なくとも1つの多型部位の3’側および5’側に存在する10から30塩基からなる部分配列もしくはその部分配列に相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドからなる、ソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット:
(i)dihydropyrimidine dehydrogenase(DPYD)遺伝子における、一塩基多型rs10449721、rs10875047、rs11165805、rs11165867、rs6687374、rs4949952、rs11165887及びrs10875097、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ii)CD247 molecule遺伝子における、一塩基多型rs864537、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iii)phospholipase A2, group IVA (cytosolic, calcium-dependent)(PLA2G4A)遺伝子における、一塩基多型rs10752979、rs10798069及びrs10911963、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(iv)interleukin 1 receptor, type II(IL1R2)遺伝子における、一塩基多型rs4851527、rs3218872及びrs3218920、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(v)dedicator of cytokinesis 2(DOCK2)遺伝子における、一塩基多型rs900464、rs264846、rs90213、rs966595、rs4867895、rs11134600、rs2287727及びrs1316638、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vi)estrogen receptor 1 (ESR1)遺伝子における、一塩基多型rs9371557及びrs3798573、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(vii)complement component 5(C5)遺伝子における、一塩基多型rs10985112、該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(viii)phospholipase C, beta 1 (phosphoinositide-specific)(PLBC)遺伝子における、一塩基多型rs2235212、rs6055624、rs2294257、rs2180532、rs10485723、rs1156958、rs1237829、rs2050090、rs6055925、rs6039215、rs6140677、rs6133610、rs6133621、rs13040543、rs10485727、rs6118343、rs6056198、rs6086627、rs3848831及びrs6086678、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、
(ix) pancreatic lipase-related protein 3(PNLIPRP3)遺伝子における、一塩基多型rs1431485、該該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型、及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型、又は
(x) lipase, hepatic(LIPC)遺伝子における、一塩基多型rs12438071、rs4775047、rs9920144、rs7179747及びrs3751542、並びに該一塩基多型の近傍に存在する遺伝子多型及び該一塩基多型と連鎖不均衡にある遺伝子多型からなる群より選択される少なくとも1つの多型。
【請求項13】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項11又は12に記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するための一対のプライマーセット。
【請求項14】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のプローブ、請求項8〜10のいずれか1項に記載の固定化基板、又は請求項11〜13のいずれか1項に記載の一対のプライマーセットを含むソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を予測するためのキット。
【請求項15】
ソラフェニブの応答性の予測が、被験体におけるソラフェニブの効果の予測又は副作用のタイプ若しくは程度の予測である、請求項14記載のソラフェニブを投与する被験体のソラフェニブの応答性を判定するためのキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−103821(P2011−103821A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263219(P2009−263219)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(504464966)株式会社 ハプロファーマ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(504464966)株式会社 ハプロファーマ (6)
【Fターム(参考)】
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