ソリッドインクスティック容器および相変化インクプリンタ
【課題】供給路から移動する際のインクスティックのコントロールが改良されたインクスティック、ソリッドインク供給システムおよびインクスティックの装填方法を提供する。
【解決手段】供給路129Cの下部には、長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cが含まれ、これが、対応する長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝141Cを画定し、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは供給路129Cの長手軸中心から横オフセットされ、インクスティック330Cの底面を支持しガイドする。供給路129Cは、横方向側壁144Cの略垂直方向の中間点から水平方向内側に延びる長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含み、インクスティックの下向きの挿入がガイドレール147Cによって中断されることが解消され、インクスティックを挿入可能とする。
【解決手段】供給路129Cの下部には、長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cが含まれ、これが、対応する長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝141Cを画定し、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは供給路129Cの長手軸中心から横オフセットされ、インクスティック330Cの底面を支持しガイドする。供給路129Cは、横方向側壁144Cの略垂直方向の中間点から水平方向内側に延びる長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含み、インクスティックの下向きの挿入がガイドレール147Cによって中断されることが解消され、インクスティックを挿入可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インクプリンタに係り、この種のインクプリンタにおいて使用されるインクスティック、およびこのようなプリンタにインクを装填するために使用される装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソリッドインクまたは相変化インクプリンタは、固形状のインクをペレットまたはインクスティックのいずれかとして受け取る。一般に、ソリッドインクペレットまたはインクスティックは、供給シュートまたは供給路を有する「インク装填器」内に配置される。供給機構は、ソリッドインクスティックを供給路から加熱アセンブリに送る。あるソリッドインクプリンタにおいては、重力が、供給路から加熱アセンブリへソリッドインクスティックを引き寄せる。一般に、加熱アセンブリ内の加熱板(「溶融板」)は、そこに射突されるソリッドインクを融解して液体にして、液体は、記録媒体に噴射するためにプリントヘッドへ送られる。1998年3月31日に発行された下記特許文献1「ソリッドインク供給システム」および1999年1月19日に発行された下記特許文献2「インク供給システム」には、ソリッドインクスティックを相変化インクプリンタに送り込むシステムの例が記載されている。
【0003】
図1は、従来の供給路20と複数の相変化インクスティック24の一つを示す簡略断面図である。すでに知られている相変化インクスティック24は、種々の上面28、底面32、側面36、および側面40を含む。これらの面は、インクスティックを支持し、インクスティックを最適供給/溶融位置へ案内するため、インク装填器の形状と相補的に形成されてもよいし、あるいは、インク装填器の特徴に一致していてもよい。ある水平または略水平のインク装填器は、インクスティック重心47から、垂直方向に下方または横方向にオフセットされた「下部横方向にオフセットされた」または「底部横方向にオフセットされた」インクスティックサポート/ガイドレール44を含む。実質的にインクスティック24の重量を支える以外に、これらのインク装填器構造44は、略直線または他の規定の供給経路に沿って、溶融板(図示なし)へインクスティック24を案内するために、対応する突状に設けられ、および/または、挿入されたインクスティック特徴52に摺動可能に噛み合う。図1に示された構造を参照すれば分かるが、重心によって、下部横方向オフセット特徴44の反対側にあるインクスティック24の側面40が、供給路48に対して傾斜され、摺動されている。
【0004】
一般に、インク装填器は、多数のインクスティックを一度に保持し、一般に、各個別のインクスティックは、溶融板に到達するするためにその長さの数倍を移動する必要がある。一般に相変化インクスティックが作られるワックス状の成分は、一般に多種多様な媒体に接着されるように設計されており、従って、ある環境条件下では、やや粘着性を帯びてくることもある。結果的に、ある相変化インクプリンタは、インクスティックがインク装填器に押し当てられた時、インク装填器内でインクスティックが断続的な粘着と滑落に遭遇する場合も少なくない。インク装填器の長さおよび供給経路の複雑さが、供給路内のインクスティックの断続的な粘着の増加に拍車を掛ける場合もある。
【0005】
図2は、従来の技術の供給路60と相変化インクスティック24を示す簡略断面図である。供給路60において、更なるサポート64が下部オフセット特徴68の反対側にある横方向側面から突出している。サポート64は、重力によってインクスティック24が下部横方向オフセット特徴68の周りをわずかに旋回移動可能となり(例えば、一般に、矢印72によって示される)、側面レール特徴64に対して摺動可能に傾斜することによって、断続的な粘着性の発生を削減する助けとなる。サポート64などの側部レール特徴は、インクスティック24を経路内で適正に位置決めして溶融板へ向かわせるために十分良好に作用してきたが、通常の使用時にプリンタが移動したり、衝突したりした場合、インクスティック24の逆方向への旋回移動や他方向への押当てが発生する。これらの作用によってインクスティック24のミスアライメント(位置合わせ誤り)が発生し、これが、供給路内のインクスティックのミスアライメントを引き起こし、進行を妨害する結果となる。インクスティックの傾斜によっても、下部ガイドの側部装填が引き起こされ、これによって、相変化インクスティックとガイドの摩擦によって生じる粘着性の問題が一層深刻となる。
【特許文献1】米国特許第5,734,402号明細書
【特許文献2】米国特許第5,861,903号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の技術は、ソリッドインク画像を生成する時間を短縮するので、より迅速なソリッドインク分配システムが開発される必要がある。しかしながら、速度が増加すると、断続的な粘着性が発生するリスクも高くなる。一解決案としては、インクスティックが溶融されたとき、インクスティックにより多くのインクを発生させるために、相変化インクスティックの幅を広くして、溶融表面積を広くすることである。インクスティックの寸法を大きくすれば、インクスティックを製造する際、及び対応するインク装填器を構成する際に、より大きな寸法許容性を得ることができる。これらの寸法許容性によって、インクスティックと対応するインク装填器ガイド特徴とのクリアランス(隙間)も大きくなってしまう。これらの拡大されたクリアランスによって、あるインク装填器において、インクスティックの望ましくないねじれやインク詰まりが発生しやすくなり、幅が広げられたインクスティックにおいては特に、幅対長さの比率(アスペクト比)がもはや有利ではなくなる。従って、インクスティックが供給路を移動する際のインクスティックのコントロールが改良されることが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ソリッドインクスティック装填器のためのソリッドインクスティック容器は、インク装填器の供給路内で長手方向のガイドレールを受け取るために個別のソリッドインクスティック内の複数のねじれリミッタが略位置合わせされるように複数のソリッドインクスティックを受け取って配向するように構成されている。ソリッドインク容器の構成は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面が、インクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせすることが可能な位置に配置された、少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を含む。インクスティック容器のための挿入開口は反回転突出部(スタブ)を含んでいてもよい。反回転突出部によって、インクスティックが容器に挿入されている間、ソリッドインクスティックが垂直軸の周りを回転することが防止され得る。
【0008】
インクスティックは、インクスティック容器内の反回転突出部を利用するように構成されてもよい。このようなインクスティックは、一側面から他の側面へ延びる幅と、インクスティックの前面からインクスティックの後面へ延びる長さと、を含むインクスティック本体と、インクスティックの少なくとも一側面に反回転差込部(インセット)を含む。反回転差込部は、インクスティック容器の反回転突出部と相互作用を行う。この反回転差込部と反回転挿入部との相互作用によって、インクスティックが容器に挿入されている間、ソリッドインクスティックが垂直軸の周りを回転することが防止され得る。
【0009】
本発明の一態様は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面がインクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせ可能な位置に配置された少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を備えるソリッドインクスティック装填器のためのソリッドインクスティック容器である。
【0010】
本発明の一態様は、凹状領域に隣接する供給路の一部と、供給路部の少なくとも一側壁から延びるねじれ制限ガイドのインク受容端と、を備えるソリッドインクスティック容器である。
【0011】
本発明の一態様は、溶融板に接触するソリッドインクスティックの相を変化させるために作用可能な溶融板と、ソリッドインクスティックが溶融板へ送られる供給路であって、供給路が一対の長手方向のガイドレールを含み、一対の長手方向のガイドレールが供給路から押し出されるソリッドインクスティックの複数のねじれリミッタ内で受け取られることよりなる供給路と、供給路内で長手方向のガイドレールを受け取るために個別のソリッドインクスティック内の複数のねじれリミッタが略位置合わせされるように、複数のソリッドインクスティックを受け取って配向するように構成されたソリッドインク容器と、を備える相変化インクプリンタであって、ソリッドインク容器の構成は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面が、インクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせすることが可能な位置に配置された、少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を含むことよりなる、相変化インクプリンタである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の供給路と該供給路内の相変化インクスティックを示す概略断面図である。
【図2】他の従来の供給路と図1の相変化インクスティックを示す概略断面図である。
【図3】相変化インクプリンタを例示する斜視図である。
【図4】インク装填器カバーが開いた状態における図3の相変化インクプリンタを示す部分的上部斜視図である。
【図5】図4の線5−5に沿って切断された図3(および図4)の相変化インクプリンタのソリッドインク供給システムの供給路を示す側断面図である。
【図6】図5の線6−6に沿って切断された図5の供給路を示す概略断面図である。
【図7】図3(および図4)の相変化インクプリンタの挿入キープレートと供給キープレートを示す上部斜視図及び/または前部斜視図である。
【図8】図3(および図4、図5、図6および図7)の相変化インクプリンタにおいて使用されるように構成されたインクスティックを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図9】図8のインクスティックの一つを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図10】別の他のインクスティックを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図11】図8に例示されるインクスティックの一つを内部に有する、図5の線11−11に沿って切断された図5の供給路を示す概略断面図である。
【図12】図5の線12−12の斜め方向から見た他の供給路を示す概略断面図である。
【図13】ソリッドインクスティックが、図5の供給路へ付勢される前に、装填されてもよいインクスティック容器を示す概略断面図である。
【図14】図13に示されるインクスティック容器を示す側面図である。
【図15】インクスティック挿入中のインクスティックの垂直方向の回転を削減するために、ねじれリミッタと、図14に示されるインクスティック容器と協動する反回転差込部と、を有するインクスティックを示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図3は、相変化インクプリンタ110を例示する斜視図である。インクプリンタ110は、上面112および両側面114を含む外装筐体を含む。ユーザインタフェースディスプレイ、たとえば、前面パネル表示画面116などには、プリンタの状態およびユーザ指示に関する情報を表示する。プリンタの動作を制御するボタン118または他の制御部品は、ユーザインタフェースウィンドウの隣に配置するか、または、プリンタの別の場所に配置してもよい。インクジェット印刷機構(図示せず)は筐体内部に格納する。筐体上面は、蝶番付きのインク装填器カバー120を含む。インク装填器カバー120は、開いて(図4参照)、インクを印刷機構へ分配するプリンタの筐体の上面下に含まれるインク供給システム(図5参照)への装填器をユーザにアクセス可能とする。
【0014】
図4は、インク装填器カバー120が開いているときの相変化インクプリンタを示す部分的上部斜視図である。図4において少なくとも部分的に明確であるように、インク装填器カバー120をインク装填連係部122に取り付けているため、インク装填器カバー120を持ち上げると、インク装填連係部122がスライドしてプリンタのインク装填位置まで旋回移動する。インク装填器カバー120を開けると、キー状開口124A〜Dを含む挿入キープレート126が露出する。キー状開口124A、124B、124C、124Dはそれぞれ、ソリッドインク供給システムの供給路129A、129B、129C、129D(図5参照)挿入端のそれぞれに配置されたキー状開口328A、328B、328C、328D(図5および図7を参照)を備える供給キープレート327への装填器を提供する。例示的な実施の形態において、供給キープレート327(図5および図7参照)は、挿入キープレート126に対して略垂直に配向される。相変化インクプリンタ110は、以下に更に説明されるように(図5および図7を参照)、キー状開口124A、124B、124C、124Dのそれぞれを通して挿入される(一般にそれぞれの挿入方向を示す矢印131A、131B、131C、および131Dによって示される)インクスティック330A、330B、330C、および330Dを受け取り、キー状開口328A、328B、328C、328Dを通って、更には、供給路129A、129B、129C、129Dを介して、インクスティック330A〜330Dを進行させ、該インクスティックを供給させるように構成されている。
【0015】
図5は、図4の線5−5に沿って切断された相変化インクプリンタ110のソリッドインク供給システムの供給路129Cを示す側断面図である。長手方向供給路129A〜Dは、それぞれ、各色のインクスティック330A〜Dを受け取るように構成されている。インクスティックは、挿入キープレート126の各キー状開口124A〜D(図4も参照)から挿入される。次に、インクスティック330A〜Dは、供給キープレート327の各キー状開口328A〜D(図7も参照)を介して、各溶融板132A〜Dへ進行される。より明確に説明するために、図5には、供給路129Cのみが示され、図5には、キー特徴がないインクスティック330Cが図示されている。例示的な実施の形態において、供給路129A、129B、129Dは、互いに同様に構成され、それぞれ、キー状開口124A、124B、および124Dから延びている。
【0016】
ひきつづき、図5を参照すると、供給路129Cは、挿入端124Cから溶融板132Cの隣接する溶融端までの一般に方向矢印337Cで表される長手供給方向を有する。溶融板132Cが融解して、ソリッドインクスティック330Cを融解させて、液体に変化させる。融解したインクは、供給路129Cの溶融端と溶融板132Cの間に形成される間隙133Cから滴下され、液体インク貯蔵層(図示せず)に流れ込む。供給路129Cは、挿入端から溶融端まで延びる長手方向寸法と、長手方向寸法と略直交する横方向寸法を有する。供給路129Cは、駆動力、たとえば、定加重バネ136Cなどによって駆動される押し当てブロック134Cを含む。この押し当てブロック134Cは、供給路129Cの全長に沿ってインクスティック330C及び/または一続きのインクスティック330Cを各供給路溶融端に位置する溶融板132Cに押し当てる。定加重バネ136の張力は、供給路129Cの溶融端に向けて押し当てブロックを動かす。インク装填連係部122(図4も参照)をヨーク138Cと組み合わせ、そこに、押し当てブロック134Cに搭載された定加重バネ136Cを取り付ける。インク装填連係部122との接合部は、インク装填器カバー120(図4参照)が持ち上げられてキープレート126が露出した時に、押し当てブロック134Cを供給路129Cの挿入端側に引き寄せる。
【0017】
供給路129Cの下部には、長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cが含まれ、この供給路サポート/ガイドレール140Cに隣接かつ平行に配置された対応する長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝141Cを画定する(図6参照)。供給路サポート/ガイドレール140Cおよび供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの中央長手軸から横方向にオフセットされ(図6参照)、以下に詳細に説明されるように、インクスティック330Cの底面を支持しガイドするように設計されている。更に、供給路129Cは、横方向側壁144Cの略垂直方向の中間点から水平方向内側に延びる長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含む。ガイドレール147Cと、その反対側のもう片方のレールと、インクスティック内の供給路の形状に相補的に形成されるねじれリミッタは、垂直方向中間点近傍に配置する必要はない。供給路サポート/ガイドレール147Cは、供給路129Cの溶融端の近傍の位置から延びているが、キープレート327挿入領域内までは延びていない。この構成が、インクスティックの下向きの挿入がガイドレール147Cによって妨害されることなく、インクスティックを挿入可能とする。本明細書中で使用されているように、用語「サポート」は、対象物の重量のすべてまたは一部を支持する表面または構造に関し、用語「ガイド」は、位置合わせまたは配向を維持する補助をする表面または構造に関する。
【0018】
図6は、図5のライン6−6に沿って切断したときの供給路129Cを示す簡略断面図である。例示的な実施の形態において、供給路129A、129B、および129Dも129Cと同様に構成される。供給路129Cは、図6において少なくとも部分的に明確に示されているように、略垂直方向に配置された横方向の側壁142C、144C、および凹状であるが、全体的にまたは部分的に開口された底部146Cによって画定される。供給路129Cの幅方向寸法は、その横方向の側壁142Cと144Cの間の距離に等しい。長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cとこれに隣接する長手方向の供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの下部、底部146Cの近傍に含まれる。上記のように、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの長手方向中心軸に平行に且つ該供給路129Cの長手方向中心軸から横方向にオフセットされている。また、以下に更に詳細に説明されるように、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは、インクスティック330Cの底面を受け取るように設計されている。上記のように、供給路129Cは、長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含み、この長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cは、下部サポートから持ち上げられた位置から、かつ、横方向の側壁144Cの上下方向の中間点周囲において、内方へ延びる。供給路側サポート/ガイドレール147Cは、インク接触部148Cおよび延長部149Cを組み込むため、平坦ではなく、また段付形状であってもよい。例示する構成において、接触部148Cは、横方向側壁142Cの垂直方向の中間点の近傍の位置から横方向内側へ略垂直に延びる。延長部149Cは、接触部148Cと成す角度151Cによって接触部148Cから略内方へ延びる。他の角度も適用可能であるが、角度151Cは、180度未満であり、例えば、約150度であってよい。或いは、段付部は、連続的であってよいし、可変半径を有していてもよい。接触部は、供給路の側面に支持されるためにインクスティックが使用する想定可能な接触線を提供することを目的とする。延長部は、インクスティックの中心に近接したインクスティック内のより狭小な差込部または胴体ポイントまで接触部を超えて突出し、これによって、インクスティックの望ましくない回転を制限する。延長部は、動きを制限するが、通常の作用条件下では、インクスティックと接触する必要がない。延長部は、インクスティックとの接触が接触部に沿った領域に制限できるように構成されている。
【0019】
図7は、挿入キープレート126と供給キープレート327を示す上部/前部斜視図である。図7に少なくとも部分的に明確であるが、キー状の開口124A〜Dの周囲が、略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」150A〜Dを画定する。また、キー状開口124A〜Dは、横方向の寸法または幅154A〜Dおよび後部周囲区分または部分158A〜Dを含む。幅154A〜Dのすべては互いに略等しい。キー特徴150A〜Dは、後部周囲区分158A〜Dに沿って独立してまたは固有に相互に位置決めされている。
【0020】
これも、図7に少なくとも部分的に明確であるが、供給キープレート327は、キー状開口328A〜Dを画定する。キー状開口328A〜Dは、略同じ寸法および形状を有する。各キー状開口328A〜Dの周囲は、一対の水平方向に対向する隆起、即ち、「雄型キー特徴」362A〜Dを画定する。また、各キー状開口328A〜Dの周囲の下部の水平方向の隅部も、略V字形または略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」364A〜Dを画定する。供給キー形成は、キープレート327などの供給キープレートによって、各個別のカラー供給路内の各供給キープレートによって、または、供給路(この場合はプレートが使用されない)内に形成された前々から知られている特徴によって、設けられてもよい。供給路に供給キーが用いられなくてもよいし、または、一つ以上の供給キー特徴が、供給路の側面、上面または底面のいずれか、すべて、またはこれらの任意に組み合わせの上に設けられてもよい。
【0021】
図8は、相変化インクプリンタ110が使用するように構成されたインクスティック330A〜Dを例示する上部/後部斜視図である。本発明の例示的な実施の形態においては、インクスティック330A〜Dは、それぞれ、略直線形のインクスティック本体から形成されるが、他の体積形状が用いられてもよい。インクスティック330A〜Dのそれぞれは、図示されているように、底面380A〜D(図8では不明瞭)、上面384A〜D、一対の横方向側面388A〜D、略平坦な前面392A〜D(図8では不明瞭だが、図9を参照されたい)、および後面396A〜Dを含む。前面392A〜Dは、各後面396A〜Dに対して略平行であり、各横方向側面388A〜Dに対して略垂直である。しかしながら、インクスティック330A〜Dは、例として示すにすぎない。他の実施の形態において、インクスティック本体の各面が略平坦である必要もないし、互いに略平行または垂直に配置される必要もない。インクスティック本体が、一般的に直線形である必要がないし、平行端の有無とは無関係に、3個、5個、または適切な任意数の側面を有していてよい。したがって、本明細書中に使用されている用語「側面」は、インクスティックの任意のこのような面に関する。屈曲面を含む、他の形状の側面および端面も使用可能ある。インクスティック330A〜Dは、鋳造成形、圧縮成形、鍛造、若しくは他の成形技法、または、これらの技法を組み合わせることによって形成してもよい。
【0022】
また、図8に少なくとも部分的に明確であるように、後面396A〜Dは、上面384A〜Dから底面380A〜Dに向かう経路の約4分の3まで延びる尾根部、即ち、「雄型特徴」404A〜Dを含む。雄型キー特徴404A〜Dは、挿入キープレート126のキー状開口124A〜Dの雌型キー特徴150A〜Dの形状と相補的な形状を有するように形成され、挿入キープレート126のキー状開口124A〜Dの雌型キー特徴150A〜Dによって受け取られる。雄型キー特徴404A〜Dは、雄型キー特徴404A〜Dの形状に相補的な形状を有する対応するキー状開口124B、124C、および124D(図7参照)に、それぞれ、間違ったインクカラーのインクスティックの挿入を防止する補助を行うためのキーとして機能する。
【0023】
図8に少なくとも部分的に明確であるように、複数対の略横方向の側面388A〜Dは、後面396A−Dから前面392A−Dへ延びる各対の水平方向に対向する略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」408A〜Dを画定する。以下に説明されるように、雌型キー特徴は、ねじれリミッタとして作用する。底面380A〜Dは、前面392A〜Dから後面396A〜Dまで、全体的にまたは部分的に延びる尾根部、即ち、「雄型キー特徴」410A〜Dをさらに含む。以下に説明されるように、雄型キー特徴は、ガイドサポートとして機能する。雌型キー特徴408A〜Dは、供給キープレート327のキー状開口328A〜Dの雄型キー特徴362A〜D、または他の供給キー特徴と相互作用してもよい。また、雌型キー特徴408A〜Dは、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dを移動する時、それぞれ、インクスティック330A〜Dがレール143A〜Dおよび147A〜Dによって制約されることも可能とする。雄型キー特徴410A〜Dは、インクスティック330A〜Dが供給路129A〜Dを移動する時、それぞれ、供給路サポート/ガイド溝141A〜D内をスライドするようにも構成されている。また、雄型キー特徴は、底面から突出するようにオフセットされ、供給路内のサポートの形状と相補的に形成され、これによって、以下に説明されるように、該雄型キー特徴とサポートの噛合わせがガイドサポートとして機能することができる。
【0024】
図8のインクスティック330A〜Dは、各対の横方向の側面388A〜Dの各対同士の間にそれぞれの水平方向の重心を有し、上面384A〜Dと底面380A〜Dの間にそれぞれの垂直方向の重心を有する。例示的な実施の形態において、インクスティック330A〜Dは、略均一な重量(質量)密度を有し、水平方向の重心は、相似的特徴がある場合を除いて、各対の横方向側面388A〜Dの略中間に存在する。他の実施の形態において、例示する雄型キー特徴404A〜Dのそれぞれが、後面396A〜D全体に渡って延びるより長い、一つ以上の尾根部または他の好適な隆起部に置き換えられてもよいし、例示する雄型キー特徴410A〜Dのそれぞれが、必ずしも底面380A〜Dの全体に渡って延びる必要がない、一つ以上のより短い尾根部または他の好適な隆起部に置き換えられてもよい。
【0025】
図9は、インクスティック330Cを示す上部/前部斜視図である。他のインクスティック330A、330Bおよび330Dも330Cと同様に構成されるが、明確に説明するために、図9には、インクスティック330Cのみが示されている。
【0026】
図9に少なくとも部分的に明確であるように、インクスティック330A〜Dは、それぞれ、雌型キー特徴408A〜D間において同一または略同一の最小の水平方向の寸法、即ち、芯(コア)幅を有する。長さ504A〜Dと芯幅512A〜Dは、とりわけ、各インクスティック330A〜Dの略中心部、胴体部、または「芯」部における「長さ対芯幅」の比率(「芯アスペクト比」)が、個別の「長さ対最大幅」の比率(全アスペクト比)よりも、かなり高くなるように設計されている。好ましい芯アスペクト比は、供給路129A〜D内のインクスティック330A〜Dの長手方向のねじれとこれによって発生する詰まりを防止する。雌型キー特徴408A〜Dを組み込むことによって、インクスティック330A〜Dが、増加した前面の溶融領域を有することが可能になり、さらに、増加した水平方向の冷却表面領域を有することが可能になる。一つの実施の形態において、一つの凹部がインクスティック330A〜Dの上面と底面間の質量の垂直方向の重心近傍に配置され、インクスティックの外周面積を大きくするように形成されてよい。これらの特徴は、インク材料のより均一な温度変更を促し、これによって、製造中、取り扱い中、印刷作業中に発生し得るインクスティック330A〜Dのひび割れや変形を改善し、または、防止する。例示的な実施の形態において、雌型キー特徴408A〜Dは、底面380A〜D(図9では明示されていない)と上面384A〜Dの略中間に配置されているが、他の実施の形態においては、雌型キー特徴は、底面380A〜Dと上面384A〜Dの中間の他の位置に配置されてもよい。これらの雌型キー特徴は、底面380A〜Dおよび上面384A〜Dからずっと離れて配置されているため、同実施の形態のインクスティック330A〜Dでも、通常の取り扱いをしていれば、インクスティックが不適当に弱体化されたり、壊れやすくなったりしない。また、例示的な実施の形態において、雌型キー特徴408A〜Dは、少なくとも約1.2:1の芯アスペクト比をもたらすように構成される。実施例によれば、幅がその長さの2倍あるインクスティックは、その幅の約25%内方に延びる同様の雌型キー特徴を有することができ、得られた芯アスペクト比は、約1:1であった。他の実施の形態においては、より高いまたはより低い芯アスペクト比をもたらすが、所与の前面の表面積または断面積に対してインクスティックの堅牢性、生産性、そして、好適な溶融質量を維持するためには、芯アスペクト比「1.2:1」が現実的にみえる。芯アスペクト比の任意であるが明解な改良点は、供給の確実性に有効に作用する。従って、ねじれリミッタの一つは、インクスティック本体の幅の約10〜約40%の幅を有してもよい。雌型キー特徴は、好ましくは、インクスティック幅を85%以下まで削減可能である。また、他の実施の形態における雌型キー特徴408A〜Dは必ずしも同等の寸法を有する必要がない。ある寸法差が、具体的に要求されたインクスティックの重量を達成するために使用され、これによって、異なって着色されたインクスティックセットに均一性をもたらすことを容易にする場合もある。例えば、凹部を形成するために大きな体積の材料がインクスティックから取り除かれた結果、ある凹部が他の凹部より大きくなることがある。他の実施の形態においては、胴体を形成する二つのねじれリミッタの幅の合計が、好ましくは、インクスティックの長さの約90%以下である。ねじれリミッタは、非対称形特徴または他を考慮してインクスティックの一面のみに存在させ得る。雌型キー特徴408A〜Dは、インクスティック本体の長さに沿って、中断されないものとして示されている。
【0027】
図10は、別のインクスティック630Cを例示する。インクスティック630Cは、他のインクスティックカラーの他の実施の形態を構成するために使用され得る。図10に少なくとも部分的に明確であるように、別のインクスティック630Cは、定型化された水平方向の雌型キー特徴650Cを画定し、該雌型キー特徴650Cは、雌型キー特徴408A〜Dと同様に作用する(例えば、図11参照)。インクスティック630は、サポート特徴412A〜Dと同様に動作する個別の定型化された底面雌型キー特徴654A〜Dも含む。他の実施の形態は、それぞれの上面684A〜D内のガイド特徴も画定し得る。他の実施の形態において、ねじれリミッタとサポート特徴は、「X」字型、または任意の他の好適な記号や例示的形状に類似するように構成され得る。従って、ねじれリミッタは湾曲または弧状に形成されてよい。また場合によっては、曲率が大きくてもよい。図10の構成において示されているように、接触レール148Cのサポート面は、下部ガイド141Cと同じベクトルで重量を支える必要がない点で、従来の技術における直線状水平の勾配サポートに対して有利である。
【0028】
図11は、例示的なインクスティック330Cの一つを内部に有するとともに、図5のライン11−11に沿って切断したときの供給路129Cを示す簡略断面図である。説明を明確にするために、図11は、供給路129Cのみを示す。インクスティック330Cが供給路129Cを進行するとき、インクスティック330Cは、略直立状態のままであるが、一般に矢印600で示されるように、少し旋回移動するかまたは傾く。通常の動作の間、供給路側サポート/ガイドレール143Cは、雌型キー特徴408C内へ延びるが、インクスティック330Cの胴部には接触もしなければ、インクスティックがレールに対して傾斜することもない。供給路129C内のインクスティック330Cの基本的な支持と位置合わせは、雄型キー特徴410Cと供給路側サポート/ガイド溝141Cの噛合わせ、および供給路側サポート/ガイドレール147Cと雌型キー特徴408Cの噛合わせによって行われる。従って、供給路側サポート/ガイドレール143Cは非負荷支持であるが、供給路側サポート/ガイドレール147Cは重量負荷604Cを支持する。インクスティック雌型キー特徴408の上面が図11に示した視界に対して水平であれば、供給路側サポート/ガイド溝141C側には、水平方向の力または負荷は全く掛からない。しかしながら、この特徴は、角度付けされてもよい。更に、ねじれリミッタ(雌型キー特徴)の一つの上面は、他のねじれリミッタの上面よりもインクスティックの上面の近くに配置されてもよい。サポート/ガイドレール147Cとレール143Cは、曲形、円形、U字形、矩形、正方形、V字形、またはこれらの形状の組み合わせからなる広い範囲の形状から選択して形成され得る。当業者であれば、半径、部分的な切欠き、抜け勾配を変更するなどの最小の特徴によってこれらの特定の形状以外の形状に変更してもよいことを理解するであろう。
【0029】
インクスティック330A〜Dとその各供給路129A〜Dの接触部を最小にすることによって、インクスティックから破片または細長い裂片が供給路に滑り落ち、供給路に沿って、インクスティックの進路を妨害する可能性を少なくする。更に、(各インクスティック330A〜Dの)雄型キー特徴410A〜Dと(各供給路129A〜Dの)各供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dの噛合わせ、および(各供給路129A〜Dの)供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dと(各インクスティック330A〜Dの)各ねじれリミッタ(雌型キー特徴)408A〜Dの噛合わせは供給路内のインクスティックのねじれを減らすために作用する。このねじれ削減作用によって、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dの長さに沿って各溶融板132A〜Dに進行する時、インクスティック330A〜Dの適正な向きを維持することができる。
【0030】
各インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜D内で供給路と適正に位置合わせされているため、溶融板表面と略垂直な状態で溶融板132A〜Dとインクスティック330A〜Dが出会う。インクスティックと溶融板との正常な位置合わせは、溶融板132A〜Dに対するインクスティック330A〜Dの均一な融解を促す。均一に溶解することによって、各インクスティック330A〜Dの末尾端における融解しないスライバ(以下、隅片)の形成が抑制され、従って、このような融解しない隅片が、溶融板132A〜Dと供給路129A〜Dの終端部の間に形成される間隙133A〜Dから滑り落ちる可能性を削減することができる。融解しない隅片の滑り落ちは防ぐことができないため、カラー混合が発生されたり、相変化インクプリンタ110のある部分で適切な機能を妨害したりする可能性がある。
【0031】
インクスティック330A〜Dの雄型キー特徴410A〜Dと供給路129A〜Dの供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dの噛み合わせ、および、供給路129A〜Dの供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dとねじれリミッタ408A〜Dの噛合わせによってまた、押当てブロック134A〜Dがインクスティック330A〜Dの後面396A〜Dに作用する時に、該押当てブロック134A〜Dが受ける「ステアリング」の影響を小さくすることができる。従って、押当てブロック134A〜Dによってインクスティック330A〜Dに加えられるオフセット横圧についての懸念が少なくなり、押当てブロック134A〜Dによってインクスティック330A〜Dに印加される力によってより正確な水平方向の供給摩擦均衡を維持することは、他の設計による場合より重要ではなくなる。
【0032】
さらに、供給路側ガイドレール143A〜Dおよびねじれリミッタ408A〜Dは、それぞれ、供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dと協働して、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dにおいて逆旋回移動したり、所定位置から移動したりすることを阻止するように作用する。逆旋回移動や所定位置からの移動の阻止は、相変化インクプリンタの取り扱い時、移動時、運搬時、または、押合いといったインクスティック330A〜Dが所定位置から移動させかねない時に、ねじれリミッタ408A〜Dが供給路側ガイドレール143A〜D及び/または供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dに当接してあるいはそこで停止して行われる。
【0033】
例示的な実施の形態において、供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dは、それぞれ、弧状部分148A〜Dを含む。弧状部分148A〜Dは、各垂直方向の装填器604A〜Dを支える表面積が極めて小さくなるように各部分149A〜Dへ屈曲している。これらの装填器を支える面が低減された表面積を有することによって、インクスティックにおけるレールによる滲みが発生したり、インク粒子が多少でもインクスティックから外れて滲みだす可能性が削減される。従って、インクの滲みやインク粒子が供給路内の望ましくない摩擦を生じる原因となる可能性が少なくなる。他の実施の形態において、供給路側サポート/ガイドレール147A〜D及び/またはインクスティック330A〜Dは、それらの各長さに沿った各垂直方向の装填器604A〜Dに断続的に接触するために、凹状部分、不連続部分などで構成されてもよいし、各垂直方向の装填器604A〜Dを支えるために略平坦なまたは平面、切欠き、及び/または相補的な特徴を有していてもよい。また、図12は、図5のライン12−12に沿って見たときの他の供給路729Cを示す簡略化された断面斜視図である。図12に少なくとも部分的に明確に示すように、他の相変化インクプリンタが形成されており、該他の相変化インクプリンタは、供給路729A〜D(説明を明確にするために、図12は供給路729Cのみを示す)も供給路729Cと同様に構成されている他の実施の形態の下部において、供給路側サポート/ガイドレール140A〜Dとこれに相伴う供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dが、供給路729A〜Dの床部から離れていることを除いて、相変化インクプリンタ110と同様に動作する。
【0034】
図13には、ソリッドインクスティックのねじれリミッタが、供給路内の長手方向のガイドレールを受容するために略位置合わせされるように、ソリッドインクスティックを受容し配向するインクスティック容器が概略的に示されている。インクスティック容器は、ソリッドインクスティックが装填されるインク装填器の一部である。インクスティック容器は、一般にキープレート内に配置される挿入開口と、挿入時にインクスティックを支える凹状領域と、を含む。また、インクスティック容器は、ソリッドインクスティックがねじれ制限レールまたはガイドによって構成される供給路へ押し込まれる凹部に隣接する供給路の一部でもある。容器のこの領域には、供給路の少なくとも一つの側壁から延びるねじれ制限ガイドのインク受容端が含まれる。
【0035】
図13には、インクスティック容器が例示されている。インクスティック容器500は、一対の略直立の側壁504および508を有する。側壁504および508は、図に示されているように、インクスティック本体の幅に相当する距離分、互いから離間されている。側壁離間距離とインクスティック幅間の相対的な近似性によって、容器内に配置されたソリッドインクスティックの適切な垂直方向の向きを維持することができる。また、図13に示されている容器の実施の形態は、底面サポート510および底面サポート514を有する。また、底面サポート514は、インクスティックの支持用突起を受け取るために弧状に形成されている。両底面サポートは、インクスティック内のねじれリミッタが例えば、供給路729内の長手方向のガイドレール143および147と略位置合わせされるようにインクスティックを支持し配向するための位置に配置される。一実施の形態において、底面サポートは、容器領域において、溶融板に向けて供給路から延びる一連続のサポートであってもよい。他の実施の形態において、底面サポートは、容器領域においてのみ存在する。一個、二個、またはそれ以上の底面サポートが、容器領域内で、インクスティックの挿入時にこのインクスティック用の凹状面または複数の凹状面として使用されてもよい。
【0036】
他の実施の形態において、底面サポート510は、側壁504から、側壁508に向かって、インクスティックの支持突出部がなくなる位置まで延びる。この略平坦な底面サポートは、インクスティックの水平方向側面のねじれリミッタが供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせされるようにインクスティックを保持する上面520を有してもよい。図示されているように、底面サポート510および514は、それぞれ、側壁504および508からの延長部である。或いは、底面サポートは、側壁とは無関係に設けられてもよい。
【0037】
インク容器にインクスティックを挿入しやすいように、側壁504、508は、テーパー(先細)状に形成される。このテーパリングによって、インクスティック挿入用の開口が一層広げられ、次に、側壁の厚みを大きくすることによって、供給路へうまく転移できるようにインクスティックが方向付けられる。テーパー状の壁の底面における側壁間の間隔は、インクスティックの幅に略一致しており、これによって、インクスティックの挿入を不適切に妨害せずにインク容器内のインクスティックを制約する動作が実行され得る。
【0038】
図14に示されるように、インク容器500は、開口538を有する挿入プレートで覆われていてもよい。インクスティックは、挿入開口538と反回転突出部530を強調するために部分的に挿入された状態で示されている。突出部530は、インクスティックの反回転差込部544と相互作用することによって、垂直軸の周りの前方向のスティック回転を防止させる。開口は、ソリッドインクスティックの幅、長さ、キー(複数キー)に対応するように構成されている。挿入プレートとしては、その開口538の側縁から延びる反回転突出部530を有する挿入プレートが、図示されている。反回転突出部530は、図15に示されるように、インクスティックの前面の直ぐ後ろのインクスティックの側部に沿った反回転差込部544内で受け取られる。更に、挿入開口538の複数の側部は、一つ以上のキーを含んでいてもよい。図14において、後縁548は、インクスティック上のキーの形状と相補的に形成され、これによって、間違ったインクスティックがインク容器に挿入される可能性が削減され得る。後縁におけるキーは、インクスティック内の凹状キー内において受け取られる突出キーであってもよい。或いは、キーは、開口538を介して挿入されるインクスティックの後面から突出する突出キーを受け取る後縁内の凹状キーであってもよい。インクスティックキーと後縁キーの深さは、反回転差込部544の深さの少なくとも1.5倍に相当する。
【0039】
インク容器が供給路の入力端に設けられると、インクスティックは相対的に容易に挿入され得る。側壁と底面サポートは、インクスティック内のねじれリミッタ408を、供給路内の長手方向のガイドレール143および147に位置合わせさせる。反回転突出部は、インクスティックの垂直方向の向きを維持するために反回転差込部と相互作用する。この特徴は、傾斜前面を有するインクスティックに使用するときに特に有用である。インクスティックが容器に挿入されると、押当てブロックは供給路内へインクスティックを押込むように噛み合わされ、これによって、供給路内の底面サポートと長手方向ガイドレールは、インクスティックが溶融板へ分配されるまで、インクスティックの適切なアライメント(位置合わせ)が連続的に維持され得る。
【符号の説明】
【0040】
129C:供給路
140C:長手方向の供給路サポート/ガイドレール
141C:長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝
330C:インクスティック
144C:横方向の側壁
147C:長手方向の供給路側サポート/ガイドレール
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インクプリンタに係り、この種のインクプリンタにおいて使用されるインクスティック、およびこのようなプリンタにインクを装填するために使用される装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソリッドインクまたは相変化インクプリンタは、固形状のインクをペレットまたはインクスティックのいずれかとして受け取る。一般に、ソリッドインクペレットまたはインクスティックは、供給シュートまたは供給路を有する「インク装填器」内に配置される。供給機構は、ソリッドインクスティックを供給路から加熱アセンブリに送る。あるソリッドインクプリンタにおいては、重力が、供給路から加熱アセンブリへソリッドインクスティックを引き寄せる。一般に、加熱アセンブリ内の加熱板(「溶融板」)は、そこに射突されるソリッドインクを融解して液体にして、液体は、記録媒体に噴射するためにプリントヘッドへ送られる。1998年3月31日に発行された下記特許文献1「ソリッドインク供給システム」および1999年1月19日に発行された下記特許文献2「インク供給システム」には、ソリッドインクスティックを相変化インクプリンタに送り込むシステムの例が記載されている。
【0003】
図1は、従来の供給路20と複数の相変化インクスティック24の一つを示す簡略断面図である。すでに知られている相変化インクスティック24は、種々の上面28、底面32、側面36、および側面40を含む。これらの面は、インクスティックを支持し、インクスティックを最適供給/溶融位置へ案内するため、インク装填器の形状と相補的に形成されてもよいし、あるいは、インク装填器の特徴に一致していてもよい。ある水平または略水平のインク装填器は、インクスティック重心47から、垂直方向に下方または横方向にオフセットされた「下部横方向にオフセットされた」または「底部横方向にオフセットされた」インクスティックサポート/ガイドレール44を含む。実質的にインクスティック24の重量を支える以外に、これらのインク装填器構造44は、略直線または他の規定の供給経路に沿って、溶融板(図示なし)へインクスティック24を案内するために、対応する突状に設けられ、および/または、挿入されたインクスティック特徴52に摺動可能に噛み合う。図1に示された構造を参照すれば分かるが、重心によって、下部横方向オフセット特徴44の反対側にあるインクスティック24の側面40が、供給路48に対して傾斜され、摺動されている。
【0004】
一般に、インク装填器は、多数のインクスティックを一度に保持し、一般に、各個別のインクスティックは、溶融板に到達するするためにその長さの数倍を移動する必要がある。一般に相変化インクスティックが作られるワックス状の成分は、一般に多種多様な媒体に接着されるように設計されており、従って、ある環境条件下では、やや粘着性を帯びてくることもある。結果的に、ある相変化インクプリンタは、インクスティックがインク装填器に押し当てられた時、インク装填器内でインクスティックが断続的な粘着と滑落に遭遇する場合も少なくない。インク装填器の長さおよび供給経路の複雑さが、供給路内のインクスティックの断続的な粘着の増加に拍車を掛ける場合もある。
【0005】
図2は、従来の技術の供給路60と相変化インクスティック24を示す簡略断面図である。供給路60において、更なるサポート64が下部オフセット特徴68の反対側にある横方向側面から突出している。サポート64は、重力によってインクスティック24が下部横方向オフセット特徴68の周りをわずかに旋回移動可能となり(例えば、一般に、矢印72によって示される)、側面レール特徴64に対して摺動可能に傾斜することによって、断続的な粘着性の発生を削減する助けとなる。サポート64などの側部レール特徴は、インクスティック24を経路内で適正に位置決めして溶融板へ向かわせるために十分良好に作用してきたが、通常の使用時にプリンタが移動したり、衝突したりした場合、インクスティック24の逆方向への旋回移動や他方向への押当てが発生する。これらの作用によってインクスティック24のミスアライメント(位置合わせ誤り)が発生し、これが、供給路内のインクスティックのミスアライメントを引き起こし、進行を妨害する結果となる。インクスティックの傾斜によっても、下部ガイドの側部装填が引き起こされ、これによって、相変化インクスティックとガイドの摩擦によって生じる粘着性の問題が一層深刻となる。
【特許文献1】米国特許第5,734,402号明細書
【特許文献2】米国特許第5,861,903号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の技術は、ソリッドインク画像を生成する時間を短縮するので、より迅速なソリッドインク分配システムが開発される必要がある。しかしながら、速度が増加すると、断続的な粘着性が発生するリスクも高くなる。一解決案としては、インクスティックが溶融されたとき、インクスティックにより多くのインクを発生させるために、相変化インクスティックの幅を広くして、溶融表面積を広くすることである。インクスティックの寸法を大きくすれば、インクスティックを製造する際、及び対応するインク装填器を構成する際に、より大きな寸法許容性を得ることができる。これらの寸法許容性によって、インクスティックと対応するインク装填器ガイド特徴とのクリアランス(隙間)も大きくなってしまう。これらの拡大されたクリアランスによって、あるインク装填器において、インクスティックの望ましくないねじれやインク詰まりが発生しやすくなり、幅が広げられたインクスティックにおいては特に、幅対長さの比率(アスペクト比)がもはや有利ではなくなる。従って、インクスティックが供給路を移動する際のインクスティックのコントロールが改良されることが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ソリッドインクスティック装填器のためのソリッドインクスティック容器は、インク装填器の供給路内で長手方向のガイドレールを受け取るために個別のソリッドインクスティック内の複数のねじれリミッタが略位置合わせされるように複数のソリッドインクスティックを受け取って配向するように構成されている。ソリッドインク容器の構成は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面が、インクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせすることが可能な位置に配置された、少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を含む。インクスティック容器のための挿入開口は反回転突出部(スタブ)を含んでいてもよい。反回転突出部によって、インクスティックが容器に挿入されている間、ソリッドインクスティックが垂直軸の周りを回転することが防止され得る。
【0008】
インクスティックは、インクスティック容器内の反回転突出部を利用するように構成されてもよい。このようなインクスティックは、一側面から他の側面へ延びる幅と、インクスティックの前面からインクスティックの後面へ延びる長さと、を含むインクスティック本体と、インクスティックの少なくとも一側面に反回転差込部(インセット)を含む。反回転差込部は、インクスティック容器の反回転突出部と相互作用を行う。この反回転差込部と反回転挿入部との相互作用によって、インクスティックが容器に挿入されている間、ソリッドインクスティックが垂直軸の周りを回転することが防止され得る。
【0009】
本発明の一態様は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面がインクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせ可能な位置に配置された少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を備えるソリッドインクスティック装填器のためのソリッドインクスティック容器である。
【0010】
本発明の一態様は、凹状領域に隣接する供給路の一部と、供給路部の少なくとも一側壁から延びるねじれ制限ガイドのインク受容端と、を備えるソリッドインクスティック容器である。
【0011】
本発明の一態様は、溶融板に接触するソリッドインクスティックの相を変化させるために作用可能な溶融板と、ソリッドインクスティックが溶融板へ送られる供給路であって、供給路が一対の長手方向のガイドレールを含み、一対の長手方向のガイドレールが供給路から押し出されるソリッドインクスティックの複数のねじれリミッタ内で受け取られることよりなる供給路と、供給路内で長手方向のガイドレールを受け取るために個別のソリッドインクスティック内の複数のねじれリミッタが略位置合わせされるように、複数のソリッドインクスティックを受け取って配向するように構成されたソリッドインク容器と、を備える相変化インクプリンタであって、ソリッドインク容器の構成は、インクスティック本体幅に相当する距離だけ離間された一対の略直立の側壁と、上面が、インクスティックの側部内の少なくとも一つのねじれリミッタを供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせすることが可能な位置に配置された、少なくとも一つの底面サポートを有する凹状領域と、を含むことよりなる、相変化インクプリンタである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の供給路と該供給路内の相変化インクスティックを示す概略断面図である。
【図2】他の従来の供給路と図1の相変化インクスティックを示す概略断面図である。
【図3】相変化インクプリンタを例示する斜視図である。
【図4】インク装填器カバーが開いた状態における図3の相変化インクプリンタを示す部分的上部斜視図である。
【図5】図4の線5−5に沿って切断された図3(および図4)の相変化インクプリンタのソリッドインク供給システムの供給路を示す側断面図である。
【図6】図5の線6−6に沿って切断された図5の供給路を示す概略断面図である。
【図7】図3(および図4)の相変化インクプリンタの挿入キープレートと供給キープレートを示す上部斜視図及び/または前部斜視図である。
【図8】図3(および図4、図5、図6および図7)の相変化インクプリンタにおいて使用されるように構成されたインクスティックを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図9】図8のインクスティックの一つを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図10】別の他のインクスティックを例示する上部斜視図及び/または後部斜視図である。
【図11】図8に例示されるインクスティックの一つを内部に有する、図5の線11−11に沿って切断された図5の供給路を示す概略断面図である。
【図12】図5の線12−12の斜め方向から見た他の供給路を示す概略断面図である。
【図13】ソリッドインクスティックが、図5の供給路へ付勢される前に、装填されてもよいインクスティック容器を示す概略断面図である。
【図14】図13に示されるインクスティック容器を示す側面図である。
【図15】インクスティック挿入中のインクスティックの垂直方向の回転を削減するために、ねじれリミッタと、図14に示されるインクスティック容器と協動する反回転差込部と、を有するインクスティックを示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図3は、相変化インクプリンタ110を例示する斜視図である。インクプリンタ110は、上面112および両側面114を含む外装筐体を含む。ユーザインタフェースディスプレイ、たとえば、前面パネル表示画面116などには、プリンタの状態およびユーザ指示に関する情報を表示する。プリンタの動作を制御するボタン118または他の制御部品は、ユーザインタフェースウィンドウの隣に配置するか、または、プリンタの別の場所に配置してもよい。インクジェット印刷機構(図示せず)は筐体内部に格納する。筐体上面は、蝶番付きのインク装填器カバー120を含む。インク装填器カバー120は、開いて(図4参照)、インクを印刷機構へ分配するプリンタの筐体の上面下に含まれるインク供給システム(図5参照)への装填器をユーザにアクセス可能とする。
【0014】
図4は、インク装填器カバー120が開いているときの相変化インクプリンタを示す部分的上部斜視図である。図4において少なくとも部分的に明確であるように、インク装填器カバー120をインク装填連係部122に取り付けているため、インク装填器カバー120を持ち上げると、インク装填連係部122がスライドしてプリンタのインク装填位置まで旋回移動する。インク装填器カバー120を開けると、キー状開口124A〜Dを含む挿入キープレート126が露出する。キー状開口124A、124B、124C、124Dはそれぞれ、ソリッドインク供給システムの供給路129A、129B、129C、129D(図5参照)挿入端のそれぞれに配置されたキー状開口328A、328B、328C、328D(図5および図7を参照)を備える供給キープレート327への装填器を提供する。例示的な実施の形態において、供給キープレート327(図5および図7参照)は、挿入キープレート126に対して略垂直に配向される。相変化インクプリンタ110は、以下に更に説明されるように(図5および図7を参照)、キー状開口124A、124B、124C、124Dのそれぞれを通して挿入される(一般にそれぞれの挿入方向を示す矢印131A、131B、131C、および131Dによって示される)インクスティック330A、330B、330C、および330Dを受け取り、キー状開口328A、328B、328C、328Dを通って、更には、供給路129A、129B、129C、129Dを介して、インクスティック330A〜330Dを進行させ、該インクスティックを供給させるように構成されている。
【0015】
図5は、図4の線5−5に沿って切断された相変化インクプリンタ110のソリッドインク供給システムの供給路129Cを示す側断面図である。長手方向供給路129A〜Dは、それぞれ、各色のインクスティック330A〜Dを受け取るように構成されている。インクスティックは、挿入キープレート126の各キー状開口124A〜D(図4も参照)から挿入される。次に、インクスティック330A〜Dは、供給キープレート327の各キー状開口328A〜D(図7も参照)を介して、各溶融板132A〜Dへ進行される。より明確に説明するために、図5には、供給路129Cのみが示され、図5には、キー特徴がないインクスティック330Cが図示されている。例示的な実施の形態において、供給路129A、129B、129Dは、互いに同様に構成され、それぞれ、キー状開口124A、124B、および124Dから延びている。
【0016】
ひきつづき、図5を参照すると、供給路129Cは、挿入端124Cから溶融板132Cの隣接する溶融端までの一般に方向矢印337Cで表される長手供給方向を有する。溶融板132Cが融解して、ソリッドインクスティック330Cを融解させて、液体に変化させる。融解したインクは、供給路129Cの溶融端と溶融板132Cの間に形成される間隙133Cから滴下され、液体インク貯蔵層(図示せず)に流れ込む。供給路129Cは、挿入端から溶融端まで延びる長手方向寸法と、長手方向寸法と略直交する横方向寸法を有する。供給路129Cは、駆動力、たとえば、定加重バネ136Cなどによって駆動される押し当てブロック134Cを含む。この押し当てブロック134Cは、供給路129Cの全長に沿ってインクスティック330C及び/または一続きのインクスティック330Cを各供給路溶融端に位置する溶融板132Cに押し当てる。定加重バネ136の張力は、供給路129Cの溶融端に向けて押し当てブロックを動かす。インク装填連係部122(図4も参照)をヨーク138Cと組み合わせ、そこに、押し当てブロック134Cに搭載された定加重バネ136Cを取り付ける。インク装填連係部122との接合部は、インク装填器カバー120(図4参照)が持ち上げられてキープレート126が露出した時に、押し当てブロック134Cを供給路129Cの挿入端側に引き寄せる。
【0017】
供給路129Cの下部には、長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cが含まれ、この供給路サポート/ガイドレール140Cに隣接かつ平行に配置された対応する長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝141Cを画定する(図6参照)。供給路サポート/ガイドレール140Cおよび供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの中央長手軸から横方向にオフセットされ(図6参照)、以下に詳細に説明されるように、インクスティック330Cの底面を支持しガイドするように設計されている。更に、供給路129Cは、横方向側壁144Cの略垂直方向の中間点から水平方向内側に延びる長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含む。ガイドレール147Cと、その反対側のもう片方のレールと、インクスティック内の供給路の形状に相補的に形成されるねじれリミッタは、垂直方向中間点近傍に配置する必要はない。供給路サポート/ガイドレール147Cは、供給路129Cの溶融端の近傍の位置から延びているが、キープレート327挿入領域内までは延びていない。この構成が、インクスティックの下向きの挿入がガイドレール147Cによって妨害されることなく、インクスティックを挿入可能とする。本明細書中で使用されているように、用語「サポート」は、対象物の重量のすべてまたは一部を支持する表面または構造に関し、用語「ガイド」は、位置合わせまたは配向を維持する補助をする表面または構造に関する。
【0018】
図6は、図5のライン6−6に沿って切断したときの供給路129Cを示す簡略断面図である。例示的な実施の形態において、供給路129A、129B、および129Dも129Cと同様に構成される。供給路129Cは、図6において少なくとも部分的に明確に示されているように、略垂直方向に配置された横方向の側壁142C、144C、および凹状であるが、全体的にまたは部分的に開口された底部146Cによって画定される。供給路129Cの幅方向寸法は、その横方向の側壁142Cと144Cの間の距離に等しい。長手方向の供給路サポート/ガイドレール140Cとこれに隣接する長手方向の供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの下部、底部146Cの近傍に含まれる。上記のように、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは、供給路129Cの長手方向中心軸に平行に且つ該供給路129Cの長手方向中心軸から横方向にオフセットされている。また、以下に更に詳細に説明されるように、供給路サポート/ガイドレール140Cと供給路サポート/ガイド溝141Cは、インクスティック330Cの底面を受け取るように設計されている。上記のように、供給路129Cは、長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cを含み、この長手方向の供給路側サポート/ガイドレール147Cは、下部サポートから持ち上げられた位置から、かつ、横方向の側壁144Cの上下方向の中間点周囲において、内方へ延びる。供給路側サポート/ガイドレール147Cは、インク接触部148Cおよび延長部149Cを組み込むため、平坦ではなく、また段付形状であってもよい。例示する構成において、接触部148Cは、横方向側壁142Cの垂直方向の中間点の近傍の位置から横方向内側へ略垂直に延びる。延長部149Cは、接触部148Cと成す角度151Cによって接触部148Cから略内方へ延びる。他の角度も適用可能であるが、角度151Cは、180度未満であり、例えば、約150度であってよい。或いは、段付部は、連続的であってよいし、可変半径を有していてもよい。接触部は、供給路の側面に支持されるためにインクスティックが使用する想定可能な接触線を提供することを目的とする。延長部は、インクスティックの中心に近接したインクスティック内のより狭小な差込部または胴体ポイントまで接触部を超えて突出し、これによって、インクスティックの望ましくない回転を制限する。延長部は、動きを制限するが、通常の作用条件下では、インクスティックと接触する必要がない。延長部は、インクスティックとの接触が接触部に沿った領域に制限できるように構成されている。
【0019】
図7は、挿入キープレート126と供給キープレート327を示す上部/前部斜視図である。図7に少なくとも部分的に明確であるが、キー状の開口124A〜Dの周囲が、略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」150A〜Dを画定する。また、キー状開口124A〜Dは、横方向の寸法または幅154A〜Dおよび後部周囲区分または部分158A〜Dを含む。幅154A〜Dのすべては互いに略等しい。キー特徴150A〜Dは、後部周囲区分158A〜Dに沿って独立してまたは固有に相互に位置決めされている。
【0020】
これも、図7に少なくとも部分的に明確であるが、供給キープレート327は、キー状開口328A〜Dを画定する。キー状開口328A〜Dは、略同じ寸法および形状を有する。各キー状開口328A〜Dの周囲は、一対の水平方向に対向する隆起、即ち、「雄型キー特徴」362A〜Dを画定する。また、各キー状開口328A〜Dの周囲の下部の水平方向の隅部も、略V字形または略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」364A〜Dを画定する。供給キー形成は、キープレート327などの供給キープレートによって、各個別のカラー供給路内の各供給キープレートによって、または、供給路(この場合はプレートが使用されない)内に形成された前々から知られている特徴によって、設けられてもよい。供給路に供給キーが用いられなくてもよいし、または、一つ以上の供給キー特徴が、供給路の側面、上面または底面のいずれか、すべて、またはこれらの任意に組み合わせの上に設けられてもよい。
【0021】
図8は、相変化インクプリンタ110が使用するように構成されたインクスティック330A〜Dを例示する上部/後部斜視図である。本発明の例示的な実施の形態においては、インクスティック330A〜Dは、それぞれ、略直線形のインクスティック本体から形成されるが、他の体積形状が用いられてもよい。インクスティック330A〜Dのそれぞれは、図示されているように、底面380A〜D(図8では不明瞭)、上面384A〜D、一対の横方向側面388A〜D、略平坦な前面392A〜D(図8では不明瞭だが、図9を参照されたい)、および後面396A〜Dを含む。前面392A〜Dは、各後面396A〜Dに対して略平行であり、各横方向側面388A〜Dに対して略垂直である。しかしながら、インクスティック330A〜Dは、例として示すにすぎない。他の実施の形態において、インクスティック本体の各面が略平坦である必要もないし、互いに略平行または垂直に配置される必要もない。インクスティック本体が、一般的に直線形である必要がないし、平行端の有無とは無関係に、3個、5個、または適切な任意数の側面を有していてよい。したがって、本明細書中に使用されている用語「側面」は、インクスティックの任意のこのような面に関する。屈曲面を含む、他の形状の側面および端面も使用可能ある。インクスティック330A〜Dは、鋳造成形、圧縮成形、鍛造、若しくは他の成形技法、または、これらの技法を組み合わせることによって形成してもよい。
【0022】
また、図8に少なくとも部分的に明確であるように、後面396A〜Dは、上面384A〜Dから底面380A〜Dに向かう経路の約4分の3まで延びる尾根部、即ち、「雄型特徴」404A〜Dを含む。雄型キー特徴404A〜Dは、挿入キープレート126のキー状開口124A〜Dの雌型キー特徴150A〜Dの形状と相補的な形状を有するように形成され、挿入キープレート126のキー状開口124A〜Dの雌型キー特徴150A〜Dによって受け取られる。雄型キー特徴404A〜Dは、雄型キー特徴404A〜Dの形状に相補的な形状を有する対応するキー状開口124B、124C、および124D(図7参照)に、それぞれ、間違ったインクカラーのインクスティックの挿入を防止する補助を行うためのキーとして機能する。
【0023】
図8に少なくとも部分的に明確であるように、複数対の略横方向の側面388A〜Dは、後面396A−Dから前面392A−Dへ延びる各対の水平方向に対向する略U字形の切欠き状の凹部、即ち、「雌型キー特徴」408A〜Dを画定する。以下に説明されるように、雌型キー特徴は、ねじれリミッタとして作用する。底面380A〜Dは、前面392A〜Dから後面396A〜Dまで、全体的にまたは部分的に延びる尾根部、即ち、「雄型キー特徴」410A〜Dをさらに含む。以下に説明されるように、雄型キー特徴は、ガイドサポートとして機能する。雌型キー特徴408A〜Dは、供給キープレート327のキー状開口328A〜Dの雄型キー特徴362A〜D、または他の供給キー特徴と相互作用してもよい。また、雌型キー特徴408A〜Dは、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dを移動する時、それぞれ、インクスティック330A〜Dがレール143A〜Dおよび147A〜Dによって制約されることも可能とする。雄型キー特徴410A〜Dは、インクスティック330A〜Dが供給路129A〜Dを移動する時、それぞれ、供給路サポート/ガイド溝141A〜D内をスライドするようにも構成されている。また、雄型キー特徴は、底面から突出するようにオフセットされ、供給路内のサポートの形状と相補的に形成され、これによって、以下に説明されるように、該雄型キー特徴とサポートの噛合わせがガイドサポートとして機能することができる。
【0024】
図8のインクスティック330A〜Dは、各対の横方向の側面388A〜Dの各対同士の間にそれぞれの水平方向の重心を有し、上面384A〜Dと底面380A〜Dの間にそれぞれの垂直方向の重心を有する。例示的な実施の形態において、インクスティック330A〜Dは、略均一な重量(質量)密度を有し、水平方向の重心は、相似的特徴がある場合を除いて、各対の横方向側面388A〜Dの略中間に存在する。他の実施の形態において、例示する雄型キー特徴404A〜Dのそれぞれが、後面396A〜D全体に渡って延びるより長い、一つ以上の尾根部または他の好適な隆起部に置き換えられてもよいし、例示する雄型キー特徴410A〜Dのそれぞれが、必ずしも底面380A〜Dの全体に渡って延びる必要がない、一つ以上のより短い尾根部または他の好適な隆起部に置き換えられてもよい。
【0025】
図9は、インクスティック330Cを示す上部/前部斜視図である。他のインクスティック330A、330Bおよび330Dも330Cと同様に構成されるが、明確に説明するために、図9には、インクスティック330Cのみが示されている。
【0026】
図9に少なくとも部分的に明確であるように、インクスティック330A〜Dは、それぞれ、雌型キー特徴408A〜D間において同一または略同一の最小の水平方向の寸法、即ち、芯(コア)幅を有する。長さ504A〜Dと芯幅512A〜Dは、とりわけ、各インクスティック330A〜Dの略中心部、胴体部、または「芯」部における「長さ対芯幅」の比率(「芯アスペクト比」)が、個別の「長さ対最大幅」の比率(全アスペクト比)よりも、かなり高くなるように設計されている。好ましい芯アスペクト比は、供給路129A〜D内のインクスティック330A〜Dの長手方向のねじれとこれによって発生する詰まりを防止する。雌型キー特徴408A〜Dを組み込むことによって、インクスティック330A〜Dが、増加した前面の溶融領域を有することが可能になり、さらに、増加した水平方向の冷却表面領域を有することが可能になる。一つの実施の形態において、一つの凹部がインクスティック330A〜Dの上面と底面間の質量の垂直方向の重心近傍に配置され、インクスティックの外周面積を大きくするように形成されてよい。これらの特徴は、インク材料のより均一な温度変更を促し、これによって、製造中、取り扱い中、印刷作業中に発生し得るインクスティック330A〜Dのひび割れや変形を改善し、または、防止する。例示的な実施の形態において、雌型キー特徴408A〜Dは、底面380A〜D(図9では明示されていない)と上面384A〜Dの略中間に配置されているが、他の実施の形態においては、雌型キー特徴は、底面380A〜Dと上面384A〜Dの中間の他の位置に配置されてもよい。これらの雌型キー特徴は、底面380A〜Dおよび上面384A〜Dからずっと離れて配置されているため、同実施の形態のインクスティック330A〜Dでも、通常の取り扱いをしていれば、インクスティックが不適当に弱体化されたり、壊れやすくなったりしない。また、例示的な実施の形態において、雌型キー特徴408A〜Dは、少なくとも約1.2:1の芯アスペクト比をもたらすように構成される。実施例によれば、幅がその長さの2倍あるインクスティックは、その幅の約25%内方に延びる同様の雌型キー特徴を有することができ、得られた芯アスペクト比は、約1:1であった。他の実施の形態においては、より高いまたはより低い芯アスペクト比をもたらすが、所与の前面の表面積または断面積に対してインクスティックの堅牢性、生産性、そして、好適な溶融質量を維持するためには、芯アスペクト比「1.2:1」が現実的にみえる。芯アスペクト比の任意であるが明解な改良点は、供給の確実性に有効に作用する。従って、ねじれリミッタの一つは、インクスティック本体の幅の約10〜約40%の幅を有してもよい。雌型キー特徴は、好ましくは、インクスティック幅を85%以下まで削減可能である。また、他の実施の形態における雌型キー特徴408A〜Dは必ずしも同等の寸法を有する必要がない。ある寸法差が、具体的に要求されたインクスティックの重量を達成するために使用され、これによって、異なって着色されたインクスティックセットに均一性をもたらすことを容易にする場合もある。例えば、凹部を形成するために大きな体積の材料がインクスティックから取り除かれた結果、ある凹部が他の凹部より大きくなることがある。他の実施の形態においては、胴体を形成する二つのねじれリミッタの幅の合計が、好ましくは、インクスティックの長さの約90%以下である。ねじれリミッタは、非対称形特徴または他を考慮してインクスティックの一面のみに存在させ得る。雌型キー特徴408A〜Dは、インクスティック本体の長さに沿って、中断されないものとして示されている。
【0027】
図10は、別のインクスティック630Cを例示する。インクスティック630Cは、他のインクスティックカラーの他の実施の形態を構成するために使用され得る。図10に少なくとも部分的に明確であるように、別のインクスティック630Cは、定型化された水平方向の雌型キー特徴650Cを画定し、該雌型キー特徴650Cは、雌型キー特徴408A〜Dと同様に作用する(例えば、図11参照)。インクスティック630は、サポート特徴412A〜Dと同様に動作する個別の定型化された底面雌型キー特徴654A〜Dも含む。他の実施の形態は、それぞれの上面684A〜D内のガイド特徴も画定し得る。他の実施の形態において、ねじれリミッタとサポート特徴は、「X」字型、または任意の他の好適な記号や例示的形状に類似するように構成され得る。従って、ねじれリミッタは湾曲または弧状に形成されてよい。また場合によっては、曲率が大きくてもよい。図10の構成において示されているように、接触レール148Cのサポート面は、下部ガイド141Cと同じベクトルで重量を支える必要がない点で、従来の技術における直線状水平の勾配サポートに対して有利である。
【0028】
図11は、例示的なインクスティック330Cの一つを内部に有するとともに、図5のライン11−11に沿って切断したときの供給路129Cを示す簡略断面図である。説明を明確にするために、図11は、供給路129Cのみを示す。インクスティック330Cが供給路129Cを進行するとき、インクスティック330Cは、略直立状態のままであるが、一般に矢印600で示されるように、少し旋回移動するかまたは傾く。通常の動作の間、供給路側サポート/ガイドレール143Cは、雌型キー特徴408C内へ延びるが、インクスティック330Cの胴部には接触もしなければ、インクスティックがレールに対して傾斜することもない。供給路129C内のインクスティック330Cの基本的な支持と位置合わせは、雄型キー特徴410Cと供給路側サポート/ガイド溝141Cの噛合わせ、および供給路側サポート/ガイドレール147Cと雌型キー特徴408Cの噛合わせによって行われる。従って、供給路側サポート/ガイドレール143Cは非負荷支持であるが、供給路側サポート/ガイドレール147Cは重量負荷604Cを支持する。インクスティック雌型キー特徴408の上面が図11に示した視界に対して水平であれば、供給路側サポート/ガイド溝141C側には、水平方向の力または負荷は全く掛からない。しかしながら、この特徴は、角度付けされてもよい。更に、ねじれリミッタ(雌型キー特徴)の一つの上面は、他のねじれリミッタの上面よりもインクスティックの上面の近くに配置されてもよい。サポート/ガイドレール147Cとレール143Cは、曲形、円形、U字形、矩形、正方形、V字形、またはこれらの形状の組み合わせからなる広い範囲の形状から選択して形成され得る。当業者であれば、半径、部分的な切欠き、抜け勾配を変更するなどの最小の特徴によってこれらの特定の形状以外の形状に変更してもよいことを理解するであろう。
【0029】
インクスティック330A〜Dとその各供給路129A〜Dの接触部を最小にすることによって、インクスティックから破片または細長い裂片が供給路に滑り落ち、供給路に沿って、インクスティックの進路を妨害する可能性を少なくする。更に、(各インクスティック330A〜Dの)雄型キー特徴410A〜Dと(各供給路129A〜Dの)各供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dの噛合わせ、および(各供給路129A〜Dの)供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dと(各インクスティック330A〜Dの)各ねじれリミッタ(雌型キー特徴)408A〜Dの噛合わせは供給路内のインクスティックのねじれを減らすために作用する。このねじれ削減作用によって、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dの長さに沿って各溶融板132A〜Dに進行する時、インクスティック330A〜Dの適正な向きを維持することができる。
【0030】
各インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜D内で供給路と適正に位置合わせされているため、溶融板表面と略垂直な状態で溶融板132A〜Dとインクスティック330A〜Dが出会う。インクスティックと溶融板との正常な位置合わせは、溶融板132A〜Dに対するインクスティック330A〜Dの均一な融解を促す。均一に溶解することによって、各インクスティック330A〜Dの末尾端における融解しないスライバ(以下、隅片)の形成が抑制され、従って、このような融解しない隅片が、溶融板132A〜Dと供給路129A〜Dの終端部の間に形成される間隙133A〜Dから滑り落ちる可能性を削減することができる。融解しない隅片の滑り落ちは防ぐことができないため、カラー混合が発生されたり、相変化インクプリンタ110のある部分で適切な機能を妨害したりする可能性がある。
【0031】
インクスティック330A〜Dの雄型キー特徴410A〜Dと供給路129A〜Dの供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dの噛み合わせ、および、供給路129A〜Dの供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dとねじれリミッタ408A〜Dの噛合わせによってまた、押当てブロック134A〜Dがインクスティック330A〜Dの後面396A〜Dに作用する時に、該押当てブロック134A〜Dが受ける「ステアリング」の影響を小さくすることができる。従って、押当てブロック134A〜Dによってインクスティック330A〜Dに加えられるオフセット横圧についての懸念が少なくなり、押当てブロック134A〜Dによってインクスティック330A〜Dに印加される力によってより正確な水平方向の供給摩擦均衡を維持することは、他の設計による場合より重要ではなくなる。
【0032】
さらに、供給路側ガイドレール143A〜Dおよびねじれリミッタ408A〜Dは、それぞれ、供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dと協働して、インクスティック330A〜Dが各供給路129A〜Dにおいて逆旋回移動したり、所定位置から移動したりすることを阻止するように作用する。逆旋回移動や所定位置からの移動の阻止は、相変化インクプリンタの取り扱い時、移動時、運搬時、または、押合いといったインクスティック330A〜Dが所定位置から移動させかねない時に、ねじれリミッタ408A〜Dが供給路側ガイドレール143A〜D及び/または供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dに当接してあるいはそこで停止して行われる。
【0033】
例示的な実施の形態において、供給路側サポート/ガイドレール147A〜Dは、それぞれ、弧状部分148A〜Dを含む。弧状部分148A〜Dは、各垂直方向の装填器604A〜Dを支える表面積が極めて小さくなるように各部分149A〜Dへ屈曲している。これらの装填器を支える面が低減された表面積を有することによって、インクスティックにおけるレールによる滲みが発生したり、インク粒子が多少でもインクスティックから外れて滲みだす可能性が削減される。従って、インクの滲みやインク粒子が供給路内の望ましくない摩擦を生じる原因となる可能性が少なくなる。他の実施の形態において、供給路側サポート/ガイドレール147A〜D及び/またはインクスティック330A〜Dは、それらの各長さに沿った各垂直方向の装填器604A〜Dに断続的に接触するために、凹状部分、不連続部分などで構成されてもよいし、各垂直方向の装填器604A〜Dを支えるために略平坦なまたは平面、切欠き、及び/または相補的な特徴を有していてもよい。また、図12は、図5のライン12−12に沿って見たときの他の供給路729Cを示す簡略化された断面斜視図である。図12に少なくとも部分的に明確に示すように、他の相変化インクプリンタが形成されており、該他の相変化インクプリンタは、供給路729A〜D(説明を明確にするために、図12は供給路729Cのみを示す)も供給路729Cと同様に構成されている他の実施の形態の下部において、供給路側サポート/ガイドレール140A〜Dとこれに相伴う供給路側サポート/ガイド溝141A〜Dが、供給路729A〜Dの床部から離れていることを除いて、相変化インクプリンタ110と同様に動作する。
【0034】
図13には、ソリッドインクスティックのねじれリミッタが、供給路内の長手方向のガイドレールを受容するために略位置合わせされるように、ソリッドインクスティックを受容し配向するインクスティック容器が概略的に示されている。インクスティック容器は、ソリッドインクスティックが装填されるインク装填器の一部である。インクスティック容器は、一般にキープレート内に配置される挿入開口と、挿入時にインクスティックを支える凹状領域と、を含む。また、インクスティック容器は、ソリッドインクスティックがねじれ制限レールまたはガイドによって構成される供給路へ押し込まれる凹部に隣接する供給路の一部でもある。容器のこの領域には、供給路の少なくとも一つの側壁から延びるねじれ制限ガイドのインク受容端が含まれる。
【0035】
図13には、インクスティック容器が例示されている。インクスティック容器500は、一対の略直立の側壁504および508を有する。側壁504および508は、図に示されているように、インクスティック本体の幅に相当する距離分、互いから離間されている。側壁離間距離とインクスティック幅間の相対的な近似性によって、容器内に配置されたソリッドインクスティックの適切な垂直方向の向きを維持することができる。また、図13に示されている容器の実施の形態は、底面サポート510および底面サポート514を有する。また、底面サポート514は、インクスティックの支持用突起を受け取るために弧状に形成されている。両底面サポートは、インクスティック内のねじれリミッタが例えば、供給路729内の長手方向のガイドレール143および147と略位置合わせされるようにインクスティックを支持し配向するための位置に配置される。一実施の形態において、底面サポートは、容器領域において、溶融板に向けて供給路から延びる一連続のサポートであってもよい。他の実施の形態において、底面サポートは、容器領域においてのみ存在する。一個、二個、またはそれ以上の底面サポートが、容器領域内で、インクスティックの挿入時にこのインクスティック用の凹状面または複数の凹状面として使用されてもよい。
【0036】
他の実施の形態において、底面サポート510は、側壁504から、側壁508に向かって、インクスティックの支持突出部がなくなる位置まで延びる。この略平坦な底面サポートは、インクスティックの水平方向側面のねじれリミッタが供給路内の長手方向のガイドレールに略位置合わせされるようにインクスティックを保持する上面520を有してもよい。図示されているように、底面サポート510および514は、それぞれ、側壁504および508からの延長部である。或いは、底面サポートは、側壁とは無関係に設けられてもよい。
【0037】
インク容器にインクスティックを挿入しやすいように、側壁504、508は、テーパー(先細)状に形成される。このテーパリングによって、インクスティック挿入用の開口が一層広げられ、次に、側壁の厚みを大きくすることによって、供給路へうまく転移できるようにインクスティックが方向付けられる。テーパー状の壁の底面における側壁間の間隔は、インクスティックの幅に略一致しており、これによって、インクスティックの挿入を不適切に妨害せずにインク容器内のインクスティックを制約する動作が実行され得る。
【0038】
図14に示されるように、インク容器500は、開口538を有する挿入プレートで覆われていてもよい。インクスティックは、挿入開口538と反回転突出部530を強調するために部分的に挿入された状態で示されている。突出部530は、インクスティックの反回転差込部544と相互作用することによって、垂直軸の周りの前方向のスティック回転を防止させる。開口は、ソリッドインクスティックの幅、長さ、キー(複数キー)に対応するように構成されている。挿入プレートとしては、その開口538の側縁から延びる反回転突出部530を有する挿入プレートが、図示されている。反回転突出部530は、図15に示されるように、インクスティックの前面の直ぐ後ろのインクスティックの側部に沿った反回転差込部544内で受け取られる。更に、挿入開口538の複数の側部は、一つ以上のキーを含んでいてもよい。図14において、後縁548は、インクスティック上のキーの形状と相補的に形成され、これによって、間違ったインクスティックがインク容器に挿入される可能性が削減され得る。後縁におけるキーは、インクスティック内の凹状キー内において受け取られる突出キーであってもよい。或いは、キーは、開口538を介して挿入されるインクスティックの後面から突出する突出キーを受け取る後縁内の凹状キーであってもよい。インクスティックキーと後縁キーの深さは、反回転差込部544の深さの少なくとも1.5倍に相当する。
【0039】
インク容器が供給路の入力端に設けられると、インクスティックは相対的に容易に挿入され得る。側壁と底面サポートは、インクスティック内のねじれリミッタ408を、供給路内の長手方向のガイドレール143および147に位置合わせさせる。反回転突出部は、インクスティックの垂直方向の向きを維持するために反回転差込部と相互作用する。この特徴は、傾斜前面を有するインクスティックに使用するときに特に有用である。インクスティックが容器に挿入されると、押当てブロックは供給路内へインクスティックを押込むように噛み合わされ、これによって、供給路内の底面サポートと長手方向ガイドレールは、インクスティックが溶融板へ分配されるまで、インクスティックの適切なアライメント(位置合わせ)が連続的に維持され得る。
【符号の説明】
【0040】
129C:供給路
140C:長手方向の供給路サポート/ガイドレール
141C:長手方向の供給路サポート/ガイドトラフまたは溝
330C:インクスティック
144C:横方向の側壁
147C:長手方向の供給路側サポート/ガイドレール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの水平方向の側面間の幅、上面と底面との間の高さ、及び前面と後面との間の長さを有するインクスティック本体と、
インクスティックの前記2つの側部の少なくとも1つ上の反回転差込部であって、前記インクスティックの前記高さの少なくとも一部に垂直に伸び、前記インクスティック本体が、インクスティックを挿入するための開口部分に挿入されるにつれて、垂直軸でのインクスティックの回転を減少するため、前記開口部分内に位置する非回転挿入部の残りの部分と相互に作用するように構成された当該反回転差込部と、
を備えたソリッドインクスティック。
【請求項2】
前記2つの側面の少なくとも1つ内のねじれリミッタを更に備えている請求項1に記載
のソリッドインクスティック。
【請求項3】
前記2つの側面の少なくとも1つの上の少なくとも1つのキーを更に備えている請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【請求項4】
前記キーは、前記反回転差込部の深さの1.5倍の深さを有する請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【請求項5】
前記キーは、ぎざぎざのあるキーである請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項6】
前記キーは、突出するキーである請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項7】
前記キーは、前記後面のみの上にある請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項8】
前記インクスティックの前記側面に形成されたねじれリミッタを更に備えている請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【請求項1】
2つの水平方向の側面間の幅、上面と底面との間の高さ、及び前面と後面との間の長さを有するインクスティック本体と、
インクスティックの前記2つの側部の少なくとも1つ上の反回転差込部であって、前記インクスティックの前記高さの少なくとも一部に垂直に伸び、前記インクスティック本体が、インクスティックを挿入するための開口部分に挿入されるにつれて、垂直軸でのインクスティックの回転を減少するため、前記開口部分内に位置する非回転挿入部の残りの部分と相互に作用するように構成された当該反回転差込部と、
を備えたソリッドインクスティック。
【請求項2】
前記2つの側面の少なくとも1つ内のねじれリミッタを更に備えている請求項1に記載
のソリッドインクスティック。
【請求項3】
前記2つの側面の少なくとも1つの上の少なくとも1つのキーを更に備えている請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【請求項4】
前記キーは、前記反回転差込部の深さの1.5倍の深さを有する請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【請求項5】
前記キーは、ぎざぎざのあるキーである請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項6】
前記キーは、突出するキーである請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項7】
前記キーは、前記後面のみの上にある請求項4に記載のソリッドインクスティック。
【請求項8】
前記インクスティックの前記側面に形成されたねじれリミッタを更に備えている請求項1に記載のソリッドインクスティック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−183832(P2012−183832A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110738(P2012−110738)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2007−330993(P2007−330993)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2007−330993(P2007−330993)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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