説明

ソルダーレジスト、ソルダーレジスト原料、LED基板、発光モジュール、発光モジュールを有する機器、LED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、及び発光モジュールを有する機器の製造方法

【課題】電気絶縁性に優れ、光に対して劣化がないLED素子に好適なソルダーレジスト、そうしたソルダーレジストを用いたLED基板、そのLED基板を用いた発光モジュール、及びこうした発光モジュールを有する機器を提供することを目的とする。また、そうしたソルダーレジストを形成するためのソルダーレジスト原料、そうしたLED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、及び発光モジュールを有する機器の製造方法を提供することを他の目的とする。
【解決手段】平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルダーレジスト、ソルダーレジスト原料、LED基板、発光モジュール、発光モジュールを有する機器、LED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、及び発光モジュールを有する機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)ライト、又はLED照明等に使われる発光素子を実装するための様々のLED基板が開発されている。特許文献1には、基材と、基材上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された回路と、回路上に形成されたニッケル層又はアルミニウム層と、絶縁層上及び回路上に形成されたソルダーレジスト層(ソルダーレジスト)と、を有するLED基板が開示されている。特許文献1に記載のLED基板は、ソルダーレジスト層は、酸化亜鉛又はルチル型酸化チタンを含有するエポキシ樹脂又はアクリル樹脂からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−130234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来のソルダーレジストとしては、青色単色光又は青色単色光を含む光と酸化チタンの触媒作用によって、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂が黄色あるいは褐色に変色する課題が知見される。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、ソルダーレジストとして必要な電気絶縁性を備え、光に対して劣化がなく、LED素子に好適なソルダーレジスト、そうしたソルダーレジストを用いたLED基板、そのLED基板を用いた発光モジュール、及びこうした発光モジュールを有する機器を提供することを目的とする。また、そうしたソルダーレジストを形成するためのソルダーレジスト原料、そうしたLED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、及び発光モジュールを有する機器の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るソルダーレジストは、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成される。
【0007】
前記酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%の範囲にある、ことが好ましい。
【0008】
前記酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子である、ことが好ましい。
【0009】
前記ソルダーレジストは、波長500nm以下の単色光もしくは500nm以下の単色光を含む光を反射する、ことが好ましい。
【0010】
前記ソルダーレジストは、気孔を有する、ことが好ましい。
【0011】
本発明に係るソルダーレジスト原料は、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂前駆体組成物から構成される。
【0012】
前記酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%の範囲にある、ことが好ましい。
【0013】
前記酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子である、ことが好ましい。
【0014】
本発明に係るLED基板は、基板上に発光素子を実装するための導体層が形成されてなり、当該基板上にソルダーレジスト層が設けられてなり、前記ソルダーレジスト層は、前記本発明に係るソルダーレジストであり、前記ソルダーレジスト層には、前記導体層を露出させるための開口が形成されてなる。
【0015】
前記基板は、無機材料からなる補強材を含有する樹脂基板である、ことが好ましい。
【0016】
前記無機材料は、ガラス繊維である、ことが好ましい。
【0017】
前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなる、ことが好ましい。
【0018】
前記樹脂基板は、前記樹脂基板を貫通する孔を有し、前記樹脂基板を貫通する孔に導体が充填されてなるフィルド導体を有する、ことが好ましい。
【0019】
前記フィルド導体は、銅からなる、ことが好ましい。
【0020】
本発明に係る発光モジュールは、LED基板上に発光素子が実装された発光モジュールであって、前記LED基板は、前記本発明に係るLED基板である。
【0021】
本発明に係る発光モジュールを有する機器において、前記発光モジュールは前記本発明に係る発光モジュールである。
【0022】
本発明に係るLED基板の製造方法は、基板上に発光素子を実装するための導体層を形成する工程と、当該基板上に、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層を設ける工程と、を含む。
【0023】
さらに、前記ソルダーレジスト層に前記導体層を露出させるための開口を形成する工程を含み、前記導体層を形成する工程、前記ソルダーレジスト層を設ける工程、前記開口を形成する工程の順で行われる、ことが好ましい。
【0024】
さらに、前記ソルダーレジスト層に前記導体層を露出させるための開口を形成する工程を含み、前記導体層を形成する工程、前記開口を形成する工程、前記ソルダーレジスト層を設ける工程の順で行われる、ことが好ましい。
【0025】
前記基板は、無機材料からなる補強材を含有する樹脂基板である、ことが好ましい。
【0026】
前記無機材料は、ガラス繊維である、ことが好ましい。
【0027】
前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなる、ことが好ましい。
【0028】
前記樹脂基板を貫通する孔を形成する工程と、前記樹脂基板を貫通する孔に導体が充填されてなるフィルド導体を形成する工程と、をさらに含む、ことが好ましい。
【0029】
前記フィルド導体は、銅からなる、ことが好ましい。
【0030】
本発明に係る発光モジュールの製造方法は、LED基板に発光素子を実装する発光モジュールの製造方法であって、前記LED基板は、前記本発明に係るLED基板の製造方法により製造されたLED基板である。
【0031】
本発明に係る発光モジュールを有する機器の製造方法において、前記発光モジュールは、前記本発明に係る発光モジュールの製造方法により製造された発光モジュールである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ソルダーレジストが酸化チタンを含有しているので、青色、紫外光に対して高い反射率を有している。また、ソルダーレジストがシリコーン樹脂を含有しているので、酸化チタンの光触媒作用を受けても、青色、紫外光に対して劣化することがない。さらに、シリコーン樹脂は、酸化チタンと親和性が低いので、酸化チタンを混合すると、内部に気孔が形成されやすくなり、内部で光を乱反射させ易くでき、ソルダーレジストの反射率を高くすることができる。ソルダーレジストに含まれる酸化チタンの平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にあるので、気孔が分散し連続気孔を形成しにくく、電気絶縁性を低下しにくいソルダーレジストを提供することができる。またそうしたソルダーレジストを用いたLED基板、そのLED基板を用いた発光モジュール、その発光モジュールを有する機器を提供することができる、また本発明によれば、そうしたソルダーレジストを形成するためのソルダーレジスト原料、そうしたLED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、又はその発光モジュールを有する機器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るLED基板を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るLED基板におけるフィルド導体の配置を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る発光モジュールの動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係るLED基板における異なる材料からなる各ソルダーレジストについて、所定の波長範囲における光の反射率を示すグラフである。
【図6】実施例1、比較例1に係る各試料の内容を示す図表である。
【図7】本発明の実施形態に係るLED基板におけるアナターゼ型の二酸化チタンからなるソルダーレジストと、ルチル型の二酸化チタンからなるソルダーレジストとについて、所定の波長範囲における光の反射率を示すグラフである。
【図8】実施例2−1、2−2に係る各試料の内容を示す図表である。
【図9】本発明の実施形態に係るLED基板における異なる材料からなる各ソルダーレジスト層についての所定の波長を有する光の反射率の経時変化を示すグラフである。
【図10】実施例3−1、3−2、比較例3に係る各試料の内容を示す図表である。
【図11】本発明の実施形態に係るLED基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける絶縁基板を準備する工程を説明するための図である。
【図13】(a)は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける絶縁基板にスルーホールを形成する工程を説明するための図である。(b)は、図11に示す製造方法における絶縁基板に非貫通孔を形成する変形例の工程を説明するための図である。
【図14】図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるめっき工程を説明するための図である。
【図15】図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるエッチングレジストを形成する工程を説明するための図である。
【図16】図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける導体層をエッチングする工程を説明するための図である。
【図17】図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるソルダーレジスト層を形成する第1の工程を説明するための図である。
【図18】図17の第1の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図19】本発明の他の実施形態において、導体層よりも厚いソルダーレジスト層を有するLED基板を示す断面図である。
【図20】本発明の実施形態に係る発光モジュールにおいて、異なる態様で発光素子が実装された別例を示す図である。
【図21A】本発明の他の実施形態に係る配線パターン層を形成する第1の工程を説明するための図である。
【図21B】図21Aの第1の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図21C】図21Bの第2の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態のソルダーレジストの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係るソルダーレジストは、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成される。
【0035】
本発明に係るソルダーレジスト原料は、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂前駆体組成物から構成される。
【0036】
本発明に係るLED基板は、基板上に発光素子を実装するための導体層が形成されてなり、当該基板上にソルダーレジスト層が設けられてなり、前記ソルダーレジスト層は、前記本発明に係るソルダーレジストであり、前記ソルダーレジスト層には、前記導体層を露出させるための開口が形成されてなる。
【0037】
本発明に係る発光モジュールを有する機器において、前記発光モジュールは前記本発明に係る発光モジュールである。
【0038】
本発明に係るLED基板の製造方法は、基板上に発光素子を実装するための導体層を形成する工程と、当該基板上に、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層を設ける工程と、を含む。
【0039】
本発明に係る発光モジュールの製造方法は、LED基板に発光素子を実装する発光モジュールの製造方法であって、前記LED基板は、前記本発明に係るLED基板の製造方法により製造されたLED基板である。
【0040】
本発明に係る発光モジュールを有する機器の製造方法において、前記発光モジュールは、前記本発明に係る発光モジュールの製造方法により製造された発光モジュールである。
【0041】
本発明によれば、ソルダーレジストが酸化チタンを含有しているので、青色、紫外光に対して高い反射率を有している。また、ソルダーレジストがシリコーン樹脂を含有しているので、酸化チタンの光触媒作用を受けても、青色、紫外光に対して劣化することがない。さらに、シリコーン樹脂は、酸化チタンと親和性が低いので、酸化チタンを混合すると、内部に気孔が形成されやすくなり、内部で光を乱反射させ易くでき、ソルダーレジストの反射率を高くすることができる。ソルダーレジストに含まれる酸化チタンの平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にあるので、気孔が分散し連続気孔を形成しにくく、電気絶縁性を低下しにくいソルダーレジストを提供することができる。またそうしたソルダーレジストを用いたLED基板、そのLED基板を用いた発光モジュール、その発光モジュールを有する機器を提供することができる、また本発明によれば、そうしたソルダーレジストを形成するためのソルダーレジスト原料、そうしたLED基板の製造方法、発光モジュールの製造方法、又はその発光モジュールを有する機器の製造方法を提供することができる。
【0042】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中、矢印Z1、Z2は、それぞれ基板の主面(表裏面)の法線方向に相当する基板の厚み方向を指す。一方、矢印X1、X2及びY1、Y2は、それぞれZ方向に直交する基板の側方を指す。基板の主面は、X−Y平面となる。また、基板の側面は、X−Z平面又はY−Z平面となる。
【0043】
相反する法線方向を向いた基板の2つの主面を、第1面(Z1側の面)、第2面(Z2側の面)という。直下とは、Z方向(Z1側又はZ2側)を意味する。
【0044】
導体層は、一乃至複数の導体パターンで構成される層である。導体層は、電気回路を構成する導体パターン、例えば配線(グランドも含む)、パッド、又はランド等を含む場合もあれば、電気回路を構成しない面状の導体パターン等を含む場合もある。
【0045】
孔は貫通孔に限られず、非貫通の孔も含めて、孔という。
【0046】
めっきには、電解めっき等の湿式めっきのほか、PVD(Physical Vapor Deposition)及びCVD(Chemical Vapor Deposition)等の乾式めっきも含まれる。
【0047】
光は、可視光に限られない。光には、可視光のほか、紫外線及びX線等の短い波長の電磁波及び赤外線等の長い波長の電磁波も含まれる。
【0048】
「用意すること」には、材料や部品を購入して自ら製造することのほかに、完成品を購入して使用することなども含まれる。
【0049】
「A及びBから構成される」には、A及びB以外に少量のCが含まれている場合も含まれる。例えば「酸化チタン粒子及びシリコーン樹脂から構成される」には、酸化チタン粒子及びシリコーン樹脂以外に、シリカ又はジルコニアなどのセラミック粒子が少量含まれている場合も含まれる。
【0050】
以下に本発明の実施形態のソルダーレジストについて説明する。
【0051】
本実施形態のソルダーレジストは、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成される。
【0052】
本実施形態のソルダーレジストは、シリコーン樹脂によって酸化チタン粒子を結合している。酸化チタン粒子は、光触媒作用があるため、光によって樹脂を劣化させる作用がある。このため、C−C又はC−O等の結合を多く含むエポキシ樹脂などの有機材料は、劣化し易く、黄色や褐色に変色し易くなると考えられる。しかしながら、シリコーン樹脂はこれらの結合が少ない(又は無い)ので、黄色や褐色に変色しにくいと考えられる。このため、酸化チタン粒子とシリコーン樹脂とからなるソルダーレジストは、光に対する反応性が低いため、ソルダーレジストの劣化が防止され、LED基板のソルダーレジストとして好適に利用することができる。
【0053】
本実施形態のシリコーン樹脂は、主鎖が「−Si−O−」の繰り返しででき、他の物質又は光に反応し易い官能基がなくても樹脂を構成できるので、他の物質又は光と反応しやすい官能基を基本骨格には持っていない。このためエポキシのように他の物質との親和性を持っておらず、酸化チタンなどの物質と混ざりにくい。このため、本実施形態の酸化チタンと混合すると、酸化チタン粒子とシリコーン樹脂が濡れずにくくなる。こうして得られたソルダーレジストには、酸化チタン粒子とシリコーン樹脂が濡れずに硬化した全反射しやすい境界面を得やすくすることができる。
【0054】
本実施形態のソルダーレジストの酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%であることが好ましい。酸化チタン粒子の含有量が50重量%以上であれば、光を透過しにくい酸化チタンの比率が相対的に多くなるので、高い反射率のソルダーレジストを得ることができる。酸化チタンの含有量が、80重量%以下であれば、相対的にシリコーン樹脂の比率が多くなり、酸化チタン粒子とシリコーン樹脂とを強く結合させることができるので、緻密な強度の強いソルダーレジストを得ることができる。このため、光の透過しやすい空隙が出来にくいので高い反射率のソルダーレジストを得ることができる。また、酸化チタン粒子の含有量が、80重量%以下であれば、結合材となるシリコーン樹脂の比率が高められるので、剥離しにくいソルダーレジストを得ることができる。
【0055】
本実施形態のソルダーレジストの酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子であることが好ましい。アナターゼ型の酸化チタン粒子であれば、375〜420nmの範囲で高い反射率を有しているので、青から紫外域においてルチル型の酸化チタン粒子よりも高い反射率のソルダーレジストを得ることができる。
【0056】
本実施形態のソルダーレジストは、波長500nm以下の単色光もしくは波長500nm以下の単色光を含む光を反射することができるソルダーレジストであることが好ましい。本発明のソルダーレジストであれば、波長500nm以下の領域において高い反射率を有する酸化チタン粒子を含有しているので、波長500nm以下の単色光もしくは波長500nm以下の単色光を含む光であっても、高い反射率を得ることができる。またソルダーレジストを構成するシリコーン樹脂が光によって劣化しにくく、黄色あるいは褐色に変色しにくいので、ソルダーレジストに反射した光の色を変えずに性能を維持しやすくすることができる。
【0057】
本実施形態のソルダーレジストは、気孔を有する。
【0058】
本実施の形態の気孔とは、主に酸化チタン粒子の周囲に付着する気孔で構成される。このため、気孔の平均気孔直径は、酸化チタン粒子の平均粒子直径よりも小さい。
【0059】
図22は、本実施形態のソルダーレジストの一例を示す模式図である。酸化チタン粒子3001は、シリコーン樹脂3002と親和性が小さいので、酸化チタン粒子3001の周囲に気孔3003が形成されやすい。
【0060】
シリコーン樹脂は、主鎖が「−Si−O−」の繰り返しででき、他の物質又は光と反応しやすい官能基を基本骨格には持っていない。このためエポキシのように他の物質との親和性を持っておらず、酸化チタンなどの物質と混ざりにくい。このため、混合すると気泡を含有しやすくなり、硬化すると気孔となる。ソルダーレジストの内部に気孔を含有すると、水分、不純物が内部に浸透し、ソルダーレジストの絶縁性が低下する。しかしながら、酸化チタンの平均粒子半径が0.1〜10μmの範囲にあることにより、独立気泡となり電気絶縁性の低下を防止することができる。
【0061】
酸化チタンの平均粒子直径が0.1μm未満であると、酸化チタン粒子の比表面積が大きくなり、混入する気泡の量が多くなるため、連続気孔を形成しやすくなる。酸化チタンの平均粒子直径が10μmを越えると酸化チタンの粒子の周囲に大きな気孔を形成し、連続気孔ができやすくなる。
【0062】
次に本発明の実施形態のソルダーレジスト原料について説明する。
【0063】
本発明の実施形態のソルダーレジスト原料は、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂前駆体組成物からなる。
【0064】
シリコーン樹脂前駆体組成物は、重合されると主鎖が「−Si−O−」の繰り返し構造となるこのため、他の物質又は光と反応しやすい官能基を基本骨格には持っていない。このためエポキシのように他の物質との親和性を持っておらず、酸化チタンなどの物質と混ざりにくい。このため、混合すると気泡を含有しやすくなり、硬化すると気孔となる。ソルダーレジストの内部に気孔を含有すると、水分、不純物が内部に浸透し、ソルダーレジストの絶縁性が低下する。しかしながら、酸化チタンの平均粒子半径が0.1〜10μmの範囲にあることにより、独立気泡となり電気絶縁性の低下を防止することができる。
【0065】
酸化チタンの平均粒子直径が0.1μm未満であると、酸化チタン粒子の比表面積が大きくなり、混入する気泡の量が多くなるため、連続気孔を形成しやすくなる。酸化チタンの平均粒子直径が10μmを越えると酸化チタンの粒子の周囲に沿って気泡を形成し、これらがつながって連続気孔ができやすくなる。
【0066】
本実施形態のソルダーレジスト原料の酸化チタン粒子の平均粒子直径は、レーザー回折式粒度分布計で測定することができる。
【0067】
本実施形態のソルダーレジスト原料のシリコーン樹脂前駆体組成物は、未硬化、半硬化のシリコーン樹脂前駆体組成物の何れであっても良い。
【0068】
本実施形態のソルダーレジスト原料は、酸化チタン粒子を、ゲル化する前のシリコーン樹脂前駆体組成物に混合することによって得ることができる。酸化チタンを混合するゲル化する前のシリコーン樹脂前駆体組成物は、モノマーであってもオリゴマーであっても良い。
【0069】
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、市販の電子部品用シリコーン樹脂原料を利用できる。例えば、信越シリコーン社製「KJR632」を利用できる。なお、本実施形態ではソルダーレジスト原料の脱気を行わないか、脱気条件を緩和することでソルダーレジスト原料内に気孔の原料となる気泡を導入しやすくすることができる。脱気の条件としては絶対圧力が2kPa以上の条件で行うことにより、酸化チタン粒子の周囲に気泡を残すことができ、気孔として残留させることができる。
【0070】
本実施形態のソルダーレジスト原料の酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%であることが好ましい。酸化チタン粒子の含有量が50重量%以上であれば、光を透過しにくい酸化チタンの比率が相対的に多くなるので、本実施形態のソルダーレジスト原料を硬化することにより高い反射率のソルダーレジストを得ることができる。酸化チタンの含有量が、80重量%以下であれば、相対的にシリコーン樹脂の比率が多くなり、酸化チタン粒子とシリコーン樹脂とを強く結合させることができるので、本実施形態のソルダーレジスト原料を硬化することにより緻密で強度が強く剥離しにくいソルダーレジストを得ることができる。このため、光の透過しやすい領域(透明な窓)が出来にくいので高い反射率のソルダーレジストを得ることができる。
【0071】
本実施形態のソルダーレジスト原料の酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子であることが好ましい。アナターゼ型の酸化チタン粒子であれば、青から紫外域で高い反射率を有しているので、本実施形態のソルダーレジスト原料を硬化することにより375〜420nmの範囲でルチル型の酸化チタン粒子よりも高い反射率のソルダーレジストを得ることができる(後述の図7、図8参照)。
【0072】
次に、本実施形態のLED基板について説明する。
【0073】
図1に、本実施形態に係るLED基板100の概略構造を示す。また、図2に、本実施形態に係る発光モジュール1000の概略構造を示す。図1は、本発明の実施形態に係るLED基板を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
【0074】
LED基板100は、図1に示すように、基板10と、ソルダーレジスト11と、導体層21(導体パターン21a、耐食膜21b)及び導体層22(導体パターン22a、耐食膜22b)と、を有する。以下、基板10の表裏面(2つの主面)の一方を第1面F1、他方を第2面F2という。LED基板100は、図2に示すように、発光素子200が実装されることで、発光モジュール1000となる。本実施形態では、発光素子200が、基板10の第1面F1側に実装される(図2参照)。
【0075】
本発明の本実施形態の基板は、樹脂からなるが、セラミックス基板、絶縁層のあるメタル基板などであっても良い。
【0076】
以下、樹脂基板からなるLED基板について説明する。
【0077】
本実施形態の、樹脂からなる基板10は、その高い柔軟性により割れにくくなるため、アルミナ又はAlN(窒化アルミニウム)等からなるセラミック基板に比べて薄くし易く、薄くしても割れることがない。このため、本実施形態のLED基板は、薄くしても、耐落下衝撃性に優れる。本実施形態のLED基板は、割れにくいので、発光素子を実装する際あるいは発光モジュールを機器に実装する際も、容易に取り扱うことができる。また、本実施形態の発光素子はセラミック基板に比べて、樹脂基板は、低コストで入手し易く、穴あけ等の加工が容易である。
さらに樹脂からなる基板は、柔軟性がありかつ復元力があるため、薄い基板であっても、銅、アルミニウム、ステンレス等からなるメタル基板のように塑性変形することなく、変形後にもとの形状に復元することができる。このため、落下による強い衝撃あるいは取り扱いによる変形が発生してももとの形状に戻ることができる。このため、LED基板に発光素子を実装する際あるいは発光モジュールを機器に実装する際に容易に取り扱うことができる。
【0078】
本実施形態の樹脂からなる基板10は、絶縁性を有する例えば矩形状の基板である。本実施形態では、基板10が、ガラス繊維(例えばガラス布又はガラス不織布)からなる補強材を含有するエポキシ樹脂からなる。詳しくは、基板10は、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたもの(以下、ガラエポという)からなる。ここで、エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂である。補強材は、主材料(本実施形態ではエポキシ樹脂)よりも熱膨張率の小さい材料である。基板10にガラス繊維を含ませることで、樹脂基板10でのクラックを抑制することが可能になる。
【0079】
なお、補強材を構成する材料はガラス繊維に限られず、ガラス繊維に代えて、他の無機材料を用いてもよい。例えばアラミド繊維(例えばアラミド不織布)又はシリカフィラーからなる補強材を用いてもよい。
【0080】
また、基板を構成する樹脂も任意である。例えばエポキシ樹脂に代えて、ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、イミド樹脂(ポリイミド)、フェノール樹脂、又はアリル化フェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)等を用いてもよい。
【0081】
導体層21は、発光素子200の配線又はパッドとして機能し得る配線パターン21c及び21dを含む。図2に示すように、配線パターン21cは、例えば発光素子200のアノード(又はカソード)に電気的に接続され、配線パターン21dは、例えば発光素子200のカソード(又はアノード)に電気的に接続される。
【0082】
基板10には、基板10を貫通する孔10a(スルーホール)が形成されている。そして、孔10aに例えば銅のめっきが充填されることで、フィルド導体10b(導体柱、サーマルビアともいう)が形成される。本実施形態では、配線パターン21cにフィルド導体で接続された配線パターン22cは、電源層(グランド層)となり、配線パターン21dにフィルド導体で接続された配線パターン22dは、グランド層(電源層)となり、電源層及びグランド層から発光素子に電力を供給することができる。(図2参照)
本実施形態において、フィルド導体10bの形状は、LED実装面側(第1面:Z1側)に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)である。しかしこれに限定されず、フィルド導体10bの形状は、LED実装裏側(第2面:Z2側)に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)、あるいは第1面、第2面からそれぞれ中央に向かって縮径されるようにテーパした中央のくびれた形状などであってもよい。
【0083】
図3に、本実施形態のLED基板100におけるフィルド導体10bの配置を示す。図3は、本発明の実施形態に係るLED基板におけるフィルド導体の配置を示す平面図である。
【0084】
図3に示されるように、本実施形態では、フィルド導体10bの全てが、発光素子200の実装領域(図3中に破線で示す領域)の近傍に配置される。すなわち、発光素子200の実装領域(発光素子200の直下)近傍に、フィルド導体10bが存在し、発光素子から発生した熱を、フィルド導体を通してLED基板のLED実装裏側(第2面:Z2側)に速やかに逃がすことができる。なお、発光素子200の実装領域は、実装された発光素子200の投影領域に相当する。
【0085】
図2に示されるように、本実施形態では、矩形状の配線パターン21dと矩形状の配線パターン21cとが、所定の間隔をあけて配置され、ソルダーレジスト層11の一部が、配線パターン21cと配線パターン21dとの間に位置する。発光素子200は、そのソルダーレジスト層11の一部を跨いで配線パターン21c及び21d上に配置される。これにより、ソルダーレジスト層11の一部は、発光素子200の直下(実装領域)に配置される。ただしこれに限られず、導体層21(配線パターン層)の形状は任意である。
【0086】
図2に示すように、本実施形態の発光モジュール1000では、フリップチップ方式で、発光素子200が実装される。これにより、発光素子200の電極が、半田200a(図2)を介して、導体層21の配線パターン21c及び21dと電気的に接続される。
【0087】
本実施形態では、基板10の第2面F2上に、導体層22が形成されている。導体層22は、導体パターン22a(下層)及び耐食膜22b(上層)から構成される。耐食膜22bは、導体パターン22aの表面に形成され、導体パターン22aを保護する。導体層21と導体層22とは、フィルド導体10bを介して、互いに電気的に接続される。導体層22は、導体層21のLED用配線パターンと電気的に接続される配線パターン及びパッドを含む。
【0088】
導体パターン21a及び22aはそれぞれ、例えば銅箔(下層)及び銅めっき(上層)から構成される(後述の図12〜図15参照)。また、耐食膜21b及び22bはそれぞれ、例えばNi/Au膜からなる。耐食膜21b及び22bはそれぞれ、電解めっき又は無電解めっき及びスパッタリング等により形成することができる。しかしこれに限定されず、導体層21及び22の材料及び形状は任意である。例えば導体パターン21a及び22aはそれぞれ、めっき膜のみから構成されていてもよい(後述の図21A〜図21C参照)。また、OSP(Organic Solderability Preservatives)処理(有機保護膜、耐熱水溶性プリフラックス、プリフラックス等の処理のことをいう)を行うことにより、有機保護膜からなる耐食膜21b又は22bを形成してもよい。さらに、耐食膜21b及び22bは必須の構成ではなく、必要がなければ割愛してもよい。
【0089】
基板10の第1面F1上には、導体層21だけでなく、ソルダーレジスト層11も形成されている。ソルダーレジスト層11は、導体層21の隙間(非導体部)に形成されている。ソルダーレジスト層11は酸化チタン粒子を含有しているので、基板10の色及び材質にかかわらず、反射率を高めることが可能になる。本実施形態では、ソルダーレジスト層11が、反射膜として機能し得る。
【0090】
本実施形態では、ソルダーレジスト層11が、酸化チタン粒子を含有するシリコーン樹脂から構成される。本実施形態では、酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子からなる。また、本実施形態では、アナターゼ型の酸化チタンが反射材粒子として機能し、シリコーン樹脂が結合材として機能する。
【0091】
本実施形態の樹脂からなる基板10の厚さは、0.05mm〜0.50mmの範囲にあることが好ましい。基板10の厚さが0.05mm未満であると、樹脂からなる基板10に無機材料からなる補強材を含有させることが難しくなる。また、樹脂からなる基板10の厚さが0.50mmを超えると、基板10のフィルド導体10bが長くなることにより、後述の放熱効果(図4参照)が得られにくくなる。
【0092】
本実施形態では、基板10が、ガラエポからなる。ガラエポは、セラミック基板よりも高い柔軟性を有する上に、ガラス繊維が樹脂基板を強化しているのでLED基板100を薄くしても高強度が得られ易い。
【0093】
図4は、本発明の実施形態に係る発光モジュールの動作を説明するための図である。本実施形態の発光モジュール1000は、図4に示すように、発光素子200より、例えば光LT1〜LT3を発する。光の波長(又は発光素子200の種類)は、発光モジュール1000の用途によって、任意のものを採用することができる。発光モジュール1000の光は、例えば白色光である。白色光は、例えば青色LED(発光素子200)と蛍光体とを組み合わせることで、つくることができる。詳しくは、青色LEDが発した青色の光を黄色の蛍光体に当てることで、白色が出来る。白色光を発する発光モジュール1000は、照明(電球又は自動車のヘッドライト等)、又は液晶ディスプレイのバックライト(大型ディスプレイ又は携帯電話のディスプレイ等)などに用いることができる。
【0094】
発光素子200から発せられる光は、例えば発光素子200上方への光LT1、発光素子200側方への光LT2、及び発光素子200直下への光LT3を含む。本実施形態の発光モジュール1000では、光LT2及びLT3がそれぞれ、ソルダーレジスト11で反射される。これにより、発光素子200の光が樹脂からなる基板10に当たりにくくなり、その光に起因した樹脂からなる基板10の劣化(特に樹脂の劣化)が抑制される。また、本実施形態では、ソルダーレジスト層11の一部が、発光素子200の直下又はその近傍に配置される。このため、特に樹脂からなる基板10を劣化させ易いと考えられる光LT3も、ソルダーレジスト層11で反射される。
【0095】
また、光LT2及びLT3はそれぞれ、ソルダーレジスト層11で反射され、光LT1と同じ方向の光になるため、発光モジュール1000の発光効率を高め易くなる。
【0096】
本実施形態では、フィルド導体10bが、サーマルビアとして機能し得る。以下、図4を参照して、フィルド導体10bの放熱効果について説明する。
【0097】
本実施形態では、銅からなる導体層21が、銅からなるフィルド導体10bを介して、銅からなる導体層22と電気的に接続される。金属(例えば銅)は熱を伝え易いため、発光素子200が発熱すると、その熱は、図4中に矢印H1で示すように、発光素子200の電極から、半田200a、導体層21、及びフィルド導体10bを通じて、導体層22に伝わると考えられる。そして、導体層22(特にパッド)で熱が拡散される。その結果、発光素子200の放熱性が高まり、発光素子200の温度は上がりにくくなる。
【0098】
次に、本実施形態のLED基板を使用した発光モジュールについて説明する。
本実施形態のLED基板に発光素子200が実装されることで、発光モジュール1000となる。本実施形態では、発光素子200が、樹脂基板10の第1面F1側に実装される(図2参照)。
【0099】
LED素子の実装は、どのように実装しても良い。LED基板上に、LED素子をワイヤーボンディング実装し、ワイヤーボンドで給電してもよく、LED素子をフリップチップ実装してハンダで給電しても良い。
【0100】
本実施形態の発光モジュールは、基板上に発光素子を実装するための導体層が形成されており、当該基板上に、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層が設けられてなるとともに、前記ソルダーレジスト層には、前記導体層を露出させるための開口が形成されてなる。LED基板のソルダーレジスト層には平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子が含まれているので、LED素子から発せられる光を効率良く反射することができる。また、LED基板のソルダーレジスト層にはシリコーン樹脂が含まれているので、LED素子から発せられる光によって黄色あるいは褐色に劣化することがない。このため、反射した光の色を変えずに性能を維持しやすくすることができる。
【0101】
次に、本実施形態のLED基板を使用した発光モジュールを有する機器について説明する。
【0102】
本実施形態の発光モジュールを有する機器は、本実施形態の発光モジュールを有して構成される。
【0103】
本実施形態の発光モジュールを有する機器はどのようなものでもよく、照明(電球又は自動車のヘッドライト等)、又は液晶ディスプレイのバックライト(大型ディスプレイ又は携帯電話のディスプレイ等)などが挙げられる。照明であれば、例えば電源回路と発光モジュールと筐体等を組み立てて構成される。液晶ディスプレイのバックライトであれば、例えば液晶板と偏光板と発光モジュールと電源回路と液晶の制御回路とからなる。
本実施形態の発光モジュールを有する機器は、LED基板のソルダーレジスト層の電気絶縁性が低下しにくいので、LED素子に効率良く電力を供給することができ、高い効率でLED素子を発光させることができる。本実施形態の発光素子のソルダーレジスト層は、黄色あるいは褐色に変色しにくいので、高い反射率を維持することができる。本実施形態の発光素子のソルダーレジスト層は、黄色あるいは褐色に変色しにくいので、発光モジュールから発せられる光の色を維持しやすくすることができる。
【0104】
以下、実施例1、2−1、2−2、3−1、3−2及び比較例1、3を参照して、ソルダーレジストの材質と反射率との関係などについて説明する。なお、LED基板、発光モジュール及び発光モジュールを有する機器のソルダーレジスト層を構成するソルダーレジストについても同様の関係にあると言える。
【0105】
図6は、実施例1、比較例1に係る各試料の内容を示す図表である。図8は、実施例2−1、2−2に係る各試料の内容を示す図表である。図10は、実施例3−1、3−2及び比較例3に係る各試料の内容を示す図表である。
【0106】
実施例1:図6に示すように、実施例1のソルダーレジスト層は、反射材粒子(50重量部)が主にルチル型二酸化チタンで構成され、結合材(50重量部)が主にシリコーン樹脂で構成される。
【0107】
比較例1:図6に示すように、比較例1のソルダーレジスト層は、反射材粒子(80重量部)が主にルチル型二酸化チタンで構成され、結合材(20重量部)が主にエポキシ樹脂で構成される。
【0108】
実施例2−1:図8に示すように、実施例2−1のソルダーレジストは、反射材粒子(50重量部)が主にアナターゼ型の二酸化チタンで構成され、結合材(50重量部)が主に有機珪素化合物であるシリコーン樹脂で構成される。
【0109】
実施例2−2:図8に示すように、実施例2−2のソルダーレジストは、反射材粒子(50重量部)が主にルチル型の二酸化チタンで構成され、結合材(50重量部)が主に有機珪素化合物であるシリコーン樹脂で構成される。
【0110】
実施例3−1:図10に示すように、実施例3−1のソルダーレジスト層は、反射材粒子(50重量部)が主にルチル型の二酸化チタンで構成され、結合材(50重量部)が主にシリコーン樹脂で構成される。
【0111】
実施例3−2:図10に示すように、実施例3−2のソルダーレジスト層は、反射材粒子(60重量部)が主にルチル型二酸化チタンで構成され、結合材(40重量部)が主にシリコーン樹脂で構成される。
【0112】
比較例3:図10に示すように、比較例3のソルダーレジスト層は、反射材粒子(80重量部)が主にルチル型の二酸化チタンで構成され、結合材(20重量部)が主にエポキシ樹脂で構成される。
【0113】
<光の反射率の測定>
光の異なる材料からなるソルダーレジストの光の反射率は、所定の波長範囲における分光反射率を以下の方法により測定した。
【0114】
透明な1mmのガラス板に各ソルダーレジスト原料を塗布し硬化させて、厚さ20μmの各ソルダーレジスト層を備えた測定サンプルを作製した。そして、分光光度計UV−3150(株式会社島津製作所)を用いて、波長250nm〜700nmにおける測定サンプルの反射率を測定した。
【0115】
<光の反射率の経時変化の測定>
各ソルダーレジスト層について耐久試験(エージング試験)を行った結果を示す。この耐久試験では、温度150℃でソルダーレジスト層を処理し、発光素子200を長時間動作させ、所定のタイミング(0時間、100時間、200時間)で、発光素子200から発せられる光を想定した波長450nmの光に対する各ソルダーレジスト層の反射率を測定した。具体的には、異なる材料からなる各ソルダーレジスト層について、透明な1mmのガラス板に各ソルダーレジスト層の材料を塗布し硬化させて厚さ20μmの各ソルダーレジスト層を備えた測定サンプルを作成した。そして、各測定サンプルについて、150℃で、0時間、100時間、200時間処理した後における450nmにおける反射率を分光光度計UV−3150(株式会社島津製作所)を用いて測定し、反射率とした。
【0116】
図5は、本発明の実施形態に係るLED基板における異なる材料からなる各ソルダーレジストについて、所定の波長範囲における光の反射率を示すグラフである。図5は、実施例1、比較例1についての測定結果を示すグラフである。すなわち、図7は、本発明の実施形態に係るLED基板におけるアナターゼ型の二酸化チタンからなるソルダーレジストと、ルチル型の二酸化チタンからなるソルダーレジストとについて、所定の波長範囲における光の反射率を示すグラフである。図7は、実施例2−1〜2−2についての測定結果を示すグラフである。
【0117】
図5及び図7のグラフはそれぞれ、実施例1、2−1、2−2、比較例1の本実施形態のソルダーレジストの材質に対する所定の波長範囲における光の反射率を示す。
【0118】
図5のグラフに示すように反射率の大幅に低下する短波長域を除く430〜700nmの波長における実施例1(線L1−1)の反射率は90〜99%であり、比較例1(線L1−2)の反射率は80〜95%であった。
【0119】
図5中、線L1−1は実施例1、線L1−2は比較例についての測定結果をそれぞれ示している。
【0120】
図5に示されるように、実施例1(線L1−1)では、430〜700nmの波長において、比較例と同等以上の高い反射率が得られた。図5のグラフに示す結果から、シリコーン樹脂に反射材粒子(図5の例では、ルチル型二酸化チタン)を含ませたソルダーレジスト層は樹脂基板に薄い皮膜として形成した場合であっても十分な反射率が得られ易くなると考えられる。
【0121】
図7のグラフ中、線L2−1は実施例2−1、線L2−2は実施例2−2についての測定結果をそれぞれ示している。
【0122】
反射率が50%に低下する下限の波長は、実施例2−1では375nmであり、実施例2−2では400nmであった。
【0123】
実施例2−1では、実施例2−2よりも短い波長で高い反射率が得られる。詳しくは、375nm〜420nmの波長範囲で、ルチル型の二酸化チタンを主材料とするソルダーレジスト(実施例2−2)よりも、アナターゼ型の二酸化チタンを主材料とするソルダーレジスト(実施例2−1)の方が、反射率が高くなることが判る。
【0124】
このことから、ソルダーレジストは、反射材粒子として、アナターゼ型の二酸化チタンを含むことが好ましいと考えられる。アナターゼ型の二酸化チタンを含むソルダーレジストによれば、短波長(特に375nm〜420nmの範囲にある波長)の発光素子200を使用した場合にも、高い割合でその光を反射することが可能になり、基板10の劣化(特に樹脂の劣化)を抑制し易くなる。このためソルダーレジストの反射材粒子は、主にアナターゼ型の二酸化チタンから構成されることが特に好ましい。具体的には、ソルダーレジストを構成する反射材粒子の50重量%以上が、アナターゼ型の二酸化チタンであることが好ましく、中でも、80重量%以上がアナターゼ型の二酸化チタンであることがより好ましいと考えられる。
【0125】
アナターゼ型の二酸化チタンを使用した場合には、結合材としてシリコーン樹脂を用いることが好ましい。発光素子は、素子自体の発する光のみならず、屋外で使用した場合などには特に外部より波長の短い光(例えば315〜400nm)の含まれる太陽光も照射される。アナターゼ型の二酸化チタンは光触媒作用が強いので、C−C又はC−O等の結合を多く含むエポキシ樹脂などの有機材料は発光素子の光又は太陽光に反応して劣化し易いが、シリコーン樹脂は、これらの結合が少ない(又は無い)ので、変質しにくいと考えられる。
【0126】
図9は、本発明の実施形態に係るソルダーレジストおよび、異なる材料からなる比較例のソルダーレジストについて、ソルダーレジスト層を形成し所定の波長を有する光の反射率の経時変化を示すグラフである。
【0127】
図9のグラフ中、線L3−1は実施例3−1、線L3−2は実施例3−2、線L3−3は比較例3についての測定結果をそれぞれ示している。
【0128】
各実施例及び比較例、参考例の0時間後、100時間後、200時間後の反射率は以下の結果であった。
【0129】
実施例3−1(線L3−1)の反射率は90〜93%で、ソルダーレジスト層の劣化がなかった。実施例3−2(線L3−2)の反射率は95〜98%で、ソルダーレジスト層の劣化がなかった。比較例3(線L3−4)の反射率は85〜93%で、ソルダーレジスト層の経時的な劣化が見られた。
【0130】
図9のグラフに示されるように、結合材としてシリコーン樹脂を用いた実施例3−1、3−2(線L3−1、L3−2)、は、ほとんど劣化していない。このことから、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層は、高い反射率を得やすく、しかも劣化しにくいと考えられる。このため、こうしたソルダーレジスト層を用いることで、LED基板100の耐久性、ひいては信頼性が向上すると考えられる。
【0131】
以下、図11〜図18を参照して、LED基板100の製造方法について説明する。図11は、本発明の実施形態に係るLED基板の製造方法を示すフローチャートであり、LED基板100の製造方法の概略的な内容及び手順について説明する。本実施形態のLED基板100の製造方法では、1つのパネルで多数のLED基板100を製造した後(ステップS11〜S17)、それらを個別に切り出す(ステップS18)こととする。
【0132】
図12は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける絶縁基板を準備する工程を説明するための図である。図13(a)は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける絶縁基板にスルーホールを形成する工程を説明するための図である。図13(b)は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける絶縁基板に非貫通孔を形成する変形例の工程を説明するための図である。図14は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるめっき工程を説明するための図である。図15は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるエッチングレジストを形成する工程を説明するための図である。図16は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおける導体層をエッチングする工程を説明するための図である。図17は、図11に示す製造方法を示すフローチャートにおけるソルダーレジスト層を形成する第1の工程を説明するための図である。図18は、図17の第1の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【0133】
ステップS11(樹脂基板の準備)では、図12に示すように、出発材料として両面銅張積層板2000を準備する。両面銅張積層板2000は、基板10と、基板10の第1面F1上に形成された銅箔1001と、基板10の第2面F2上に形成された銅箔1002と、から構成される。本実施形態では、この段階において、基板10が、完全に硬化した状態のガラエポからなる。
【0134】
続けて、図11のフローチャートのステップS12(スルーホールの形成、デスミア)で、例えばCOレーザを用いて、第2面F2側からレーザを両面銅張積層板2000に照射することにより、図13(a)に示すように、両面銅張積層板2000を貫通する孔10aを形成する。(図3参照)。その後、孔10aについてデスミアを行う。なお、孔10aの形成は、ドリル又はエッチングなど、レーザ以外の方法で行ってもよい。また、図13(a)に示すスルーホールを形成する工程に代えて、図13(b)に示すように、レーザ光による加工が、銅箔1002及び基板10を貫通し、銅箔1001で止まるように、両面銅張積層板2000に対してレーザ照射を行い、非貫通孔10cを形成してもよい。この場合も、図11のステップS13以降の処理は、スルーホールを形成した場合と同様に行うことができる。
【0135】
続けて、図11のフローチャートのステップS13(めっき)で、例えばパネルめっき法により、図14に示すように、銅箔1001、1002上及び孔10a内に、めっき膜1003を形成する。具体的には、例えば銅の無電解めっきを行って無電解めっき膜を形成し、続けて無電解めっき膜をシード層として例えば銅の電解めっきを行うことにより、電解めっきを形成する。これにより、孔10aにめっき膜(無電解めっき膜及び電解めっき膜)が充填され、フィルド導体10bが形成される。
【0136】
続けて、図11のフローチャートのステップS14(導体層のパターニング)で、基板10の第1面F1及び第2面F2に形成された各導体層のパターニングを行う。
【0137】
具体的には、図15に示すように、例えばリソグラフィ技術により、第1面F1側の主面(めっき膜1003上)に、開口部1004aを有するエッチングレジスト1004を、また、第2面F2側の主面(めっき膜1003上)に、開口部1005aを有するエッチングレジスト1005を、それぞれ形成する。開口部1004a、1005aはそれぞれ、導体層21、22(図1)に対応したパターンを有する。
【0138】
続けて、例えばエッチング液を用いて、基板10の第1面F1及び第2面F2に形成された各導体層(銅箔1001、1002、めっき膜1003の、エッチングレジスト1004、1005で覆われない部分(開口部1004a、1005aで露出する部位)を除去する。これにより、図16に示すように、基板10(絶縁層)の第1面F1、第2面F2上にそれぞれ、発光素子200(図2)の配線として機能し得る導体パターン21a、22aが形成される。なお、エッチングは、湿式に限られず、乾式であってもよい。
【0139】
続けて、図11のフローチャートのステップS15(ソルダーレジストの形成)で、例えばスクリーン印刷により、図17に示すように、基板10(絶縁層)の第1面F1上にソルダーレジスト層11(ソルダーレジストともいう)を形成する。具体的には、例えば未硬化のシリコーン樹脂前駆体組成物に、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にあるアナターゼ型の酸化チタン粒子(白色顔料)を混合し、樹脂基板10の第1面F1上に印刷する。続けて、例えば100〜150℃、10〜60分間保持して未硬化のシリコーン樹脂前駆体組成物を硬化させる。これにより、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にあるアナターゼ型の酸化チタンを含有するシリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層11が得られる。この段階では、ソルダーレジスト層11は、導体パターン21aよりも厚く、そして、導体パターン21aを覆うように形成される。
【0140】
続けて、図11のフローチャートのステップS16(研磨)で、ソルダーレジスト層11の表面を研磨して、図18に示すように、ソルダーレジスト層11を薄くする。これにより、ソルダーレジスト層11が、導体パターン21aよりも薄くなる。研磨は、例えばバフ研磨等を用いることができる。すなわち、柔軟性のある素材(例えば綿布又は麻など)からなるバフに砥粒を付着させ、バフを高速回転させながら押し当ててソルダーレジスト層11の表面を削る。本実施形態のソルダーレジスト層は、酸化チタン粒子の含有量が50〜80重量%である。ソルダーレジスト層の酸化チタン粒子の含有量が50重量%以上であるので、結合材がシリコーン樹脂であっても砥粒で容易に研磨することができる。また、本実施形態のソルダーレジスト層の酸化チタン粒子の含有量が80重量%以下であるので、シリコーン樹脂が相対的に多くなり、シリコーン樹脂が酸化チタン粒子を強く結びつけることができる。そのため、研磨によって、ソルダーレジスト層からの酸化チタン粒子の脱落、ソルダーレジスト層自体が脱落あるいは剥離しにくくすることができ、ソルダーレジスト層を、容易に研磨することができる。
【0141】
続けて、図11のフローチャートのステップS17(耐食膜の形成)で、電解めっき又はスパッタリング等により、導体パターン21a、22a上に、例えばNi/Au膜からなる耐食膜21b、22b(図1)を形成する。これにより、図1に示されるような、導体層21及び22が形成され、LED基板100が完成する。なお、OSP処理を行うことにより、有機保護膜からなる耐食膜21b、22bを形成してもよい。
【0142】
その後、図11のフローチャートのステップS18(外形加工)で、パネルに形成されたLED基板100の各々について外形加工を行い、個別のLED基板100を得る。そして、検査後、良品のみを製品とする。また、こうして得られたLED基板100に発光素子200を実装することで、発光モジュール1000を製造することができる。さらに、発光モジュールに電源回路を接続し、筐体に組み込むことで発光モジュールを有する機器を製造することができる。
【0143】
こうしたLED基板100の製造方法、発光モジュール100の製造方法、及び発光モジュールを有する機器の製造方法であれば、光によって劣化のない、良好なLED基板100、発光モジュール1000及び発光モジュールを有する機器が得られる。
【0144】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。
【0145】
図19は、本発明の他の実施形態において、導体層よりも厚いソルダーレジスト層を有するLED基板を示す断面図である。ソルダーレジスト層はLED素子と接続する開口200a以外は導体層で覆っている。
【0146】
上記実施形態では、ソルダーレジスト層11が配線パターン21c、21dよりも薄かったが、これに限定されない。例えば図19に示すように、ソルダーレジスト層11が導体層21(配線パターン21c、21d)より厚くてもよい。
【0147】
発光素子200の実装方法は、フリップチップに限られず任意である。図20は、本発明の実施形態に係る発光モジュールにおいて、異なる態様でLED素子が実装された別例を示す図である。図20に示すように、発光モジュール1000は、ワイヤボンディングにより、発光素子200が実装されてもよい。図20の例では、発光素子200の電極が、ワイヤ200bを介して、導体層21の配線パターン21cと電気的に接続される。
【0148】
基板10の形状及び材料は、基本的に任意である。例えば基板10は、異種材料からなる複数の層から構成されていてもよい。また、本実施形態では、基板10が、リジッド基板である。しかしこれに限られず、基板10は、例えばフレキシブル基板であってもよい。
【0149】
フィルド導体10bは、例えば図21に示すように、発光素子200の直下に配置してもよい。こうした配置によれば、前述した放熱効果(図4参照)が得られ易くなる。また、放熱効果を高める上では、フィルド導体10bが、発光素子200の実装領域(投影領域)の略全域に配置されることが好ましい。なお、フィルド導体10bの数及び配置は任意である。フィルド導体10bの数は、1つでも、複数でもよい。
【0150】
LED基板100を他の基板(例えばマザーボード)に実装してもよい。この場合も、ソルダーレジスト層11がシリコーン樹脂から構成されることで、LED基板100とその実装される他の基板との間で高い接続信頼性が得られ易くなる。
【0151】
その他の点についても、上記LED基板100及び発光モジュール1000の構成、及びその構成要素の種類、性能、寸法、材質、形状、層数、又は配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。
【0152】
例えば上記実施形態では、LED基板100が各主面に導体層を1つずつ(導体層21、22)有するプリント配線板であったが、基板10をコア基板にして多層化された多層プリント配線板にしてもよい。
【0153】
また、各導体層の材料は、上記のものに限定されず、用途等に応じて変更可能である。例えば導体層の材料として、銅以外の金属又は非金属の導体材料を用いてもよい。フィルド導体10bの材料も、同様に任意である。また、フィルド導体10bを割愛してもよい。
【0154】
LED基板100及び発光モジュール1000の製造工程は、図11のフローチャートに示した順序や内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に順序や内容を変更することができる。また、用途等に応じて、必要ない工程を割愛してもよい。
【0155】
上記実施形態では、サブトラクティブ法で導体層21及び22を形成したが、各導体層の形成方法は任意である。例えばパネルめっき法、パターンめっき法、フルアディティブ法、セミアディティブ(SAP)法、サブトラクティブ法、転写法、及びテンティング法のいずれか1つ、又はこれらの2以上を任意に組み合わせた方法で、導体層21及び22を形成してもよい。
【0156】
図21A〜図21Cに、導体層21及び22をSAP法で形成する場合の一例を示す。図21Aは、本発明の他の実施形態に係る配線パターン層(第1配線パターン及び第2配線パターン)を形成する第1の工程を説明するための図であり、図21Bは、図21Aの第1の工程の後の第2の工程を説明するための図であり、図21Cは、図21Bの第2の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【0157】
この例では、上記実施形態と同様にして孔10aを形成した後(図12〜図13参照)、例えば浸漬により、パラジウム等からなる触媒を、基板10の表面に吸着させる。続けて、図22Aに示すように、例えば化学めっき法により、基板10の第1面F1、第2面F2上及び孔10aの壁面に、例えば銅の無電解めっき膜2001を形成する。
【0158】
続けて、図21Bに示すように、リソグラフィ技術又は印刷等により、第1面F1側の主面(無電解めっき膜2001上)に、開口部2002aを有するめっきレジスト2002を、また、第2面F2側の主面(無電解めっき膜2001上)に、開口部2003aを有するめっきレジスト2003を、それぞれ形成する。開口部2002a、2003aはそれぞれ、導体層21、22(図1)に対応したパターンを有する。
【0159】
続けて、図21Cに示すように、例えばパターンめっき法により、めっきレジスト2002、2003の開口部2002a、2003aに、例えば銅の電解めっき2004を形成する。具体的には、陽極にめっきする材料である銅を接続し、陰極に被めっき材である無電解めっき膜2001を接続して、めっき液に浸漬する。そして、両極間に直流の電圧を印加して電流を流し、無電解めっき膜2001の表面に銅を析出させる。これにより、孔10aに無電解めっき膜2001及び電解めっき2004が充填され、フィルド導体10bが形成される。
【0160】
その後、例えば所定の剥離液により、めっきレジスト2002及び2003を除去し、続けて不要な無電解めっき膜2001を除去することにより、導体層21及び22(図16参照)が形成される。
【0161】
なお、電解めっきのためのシード層は無電解めっき膜に限られず、無電解めっき膜2001に代えて、スパッタ膜等をシード層として用いてもよい。
【0162】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、「請求項」に記載されている発明や「発明を実施するための形態」に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明に係るLED基板及び発光モジュールは、照明又は液晶ディスプレイのバックライトなどの部品として使用できる。
【符号の説明】
【0164】
10 基板
10a 孔
10b フィルド導体
10c 非貫通孔
11 ソルダーレジスト層(反射膜)
11a、11b 素子部
21、22 導体層
21a、22a 導体パターン
21b、22b 耐食膜
21c、21d 配線パターン
100 LED基板
101 金属基板
102 絶縁層
200 発光素子
200a 半田
200b ワイヤ
1000 発光モジュール
1001、1002 銅箔
1003 めっき膜
1004、1005 エッチングレジスト
1004a、1005a 開口部
2000 両面銅張積層板
2001 無電解めっき膜
2002、2003 めっきレジスト
2002a、2003a 開口部
3001 酸化チタン粒子
3002 シリコーン樹脂
3003 気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成される、
ことを特徴とするソルダーレジスト。
【請求項2】
前記酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%の範囲にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のソルダーレジスト。
【請求項3】
前記酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のソルダーレジスト。
【請求項4】
前記ソルダーレジストは、波長500nm以下の単色光もしくは500nm以下の単色光を含む光を反射する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソルダーレジスト。
【請求項5】
気孔を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト。
【請求項6】
平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂前駆体組成物から構成される、
ことを特徴とするソルダーレジスト原料。
【請求項7】
前記酸化チタン粒子の含有量は、50〜80重量%の範囲にある、
ことを特徴とする請求項6に記載のソルダーレジスト原料。
【請求項8】
前記酸化チタン粒子は、アナターゼ型の酸化チタン粒子である、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のソルダーレジスト原料。
【請求項9】
基板上に発光素子を実装するための導体層が形成されてなり、当該基板上にソルダーレジスト層が設けられてなり、
前記ソルダーレジスト層は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のソルダーレジストであり、
前記ソルダーレジスト層には、前記導体層を露出させるための開口が形成されてなる、
ことを特徴とするLED基板。
【請求項10】
前記基板は、無機材料からなる補強材を含有する樹脂基板である、
ことを特徴とする請求項9に記載のLED基板。
【請求項11】
前記無機材料は、ガラス繊維である、
ことを特徴とする請求項10に記載のLED基板。
【請求項12】
前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなる、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載のLED基板。
【請求項13】
前記樹脂基板は、前記樹脂基板を貫通する孔を有し、前記樹脂基板を貫通する孔に導体が充填されてなるフィルド導体を有する、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のLED基板。
【請求項14】
前記フィルド導体は、銅からなる、
ことを特徴とする請求項13に記載のLED基板。
【請求項15】
LED基板上に発光素子が実装された発光モジュールであって、
前記LED基板は、請求項9乃至14のいずれか一項に記載のLED基板である、
ことを特徴とする発光モジュール。
【請求項16】
発光モジュールを有する機器であって、
前記発光モジュールは請求項15に記載の発光モジュールである、
ことを特徴とする発光モジュールを有する機器。
【請求項17】
基板上に発光素子を実装するための導体層を形成する工程と、
当該基板上に、平均粒子直径が0.1〜10μmの範囲にある酸化チタン粒子、及び、シリコーン樹脂から構成されるソルダーレジスト層を設ける工程と、
を含む、
ことを特徴とするLED基板の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記ソルダーレジスト層に前記導体層を露出させるための開口を形成する工程を含み、
前記導体層を形成する工程、前記ソルダーレジスト層を設ける工程、前記開口を形成する工程の順で行われる、
ことを特徴とする請求項17に記載のLED基板の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記ソルダーレジスト層に前記導体層を露出させるための開口を形成する工程を含み、
前記導体層を形成する工程、前記開口を形成する工程、前記ソルダーレジスト層を設ける工程の順で行われる、
ことを特徴とする請求項17に記載のLED基板の製造方法。
【請求項20】
前記基板は、無機材料からなる補強材を含有する樹脂基板である、
ことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のLED基板の製造方法。
【請求項21】
前記無機材料は、ガラス繊維である、
ことを特徴とする請求項20に記載のLED基板の製造方法。
【請求項22】
前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなる、
ことを特徴とする請求項20又は21に記載のLED基板の製造方法。
【請求項23】
前記樹脂基板を貫通する孔を形成する工程と、
前記樹脂基板を貫通する孔に導体が充填されてなるフィルド導体を形成する工程と、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一項に記載のLED基板の製造方法。
【請求項24】
前記フィルド導体は、銅からなる、
ことを特徴とする請求項23に記載のLED基板の製造方法。
【請求項25】
LED基板に発光素子を実装する発光モジュールの製造方法であって、
前記LED基板は、請求項17乃至24のいずれか一項に記載のLED基板の製造方法により製造されたLED基板である、
ことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
【請求項26】
発光モジュールを有する機器の製造方法であって、
前記発光モジュールは、請求項25に記載の発光モジュールの製造方法により製造された発光モジュールである、
ことを特徴とする発光モジュールを有する機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−227293(P2012−227293A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92524(P2011−92524)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】