説明

ソルビタンモノカプリレート及びアルコールを含む組成物

a)5〜95重量%のソルビタンモノカプリレート、及び
b)5〜95重量%の次式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、
を含む液状組成物が開示される。
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなり基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して線状、分枝状及び/または環状に互いに結合していることができ、前記の基はエーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
上記液状組成物は、化粧品、皮膚用品または医薬品の製造に有利に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルビタンモノカプリレート及びアルコールを含む液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物(Formulierungen)及び製品(Produkte)の防腐のためのアルコール、例えばベンジルアルコールまたは1,2−オクタンジオールの使用は既知である(David Steinberg,Preservatives for Cosmetics,Allured Publishing Corporation,第二版 2006(非特許文献1))。アルコールの最大使用濃度は、一部は、法的な規制、例えばEUでは、化粧要綱の付随文書VIによって前もって定められる。他方で、アルコールが比較的高い濃度で使用される場合には、これは、調合物中のアルコールの粘度低下効果によっても決定される。この際、粘度の低下は望ましくない副作用である。加えて、これは、化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物内部で相の分離を招く恐れがある。
【0003】
抗菌性アルコールの全てが皮膚学的に及び毒学的に懸念がないわけではない。なぜならば、これらのアルコールの使用量は、調合物が微生物の蔓延に対して丁度十分に保護されるように計量添加すべきだからである。しかし、化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物を微生物の蔓延に対して十分に保護するためには、アルコールの最大限許容される使用濃度または調合物にマイナスに作用しない最大限の使用濃度ではしばしば十分ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】David Steinberg, Preservatives for Cosmetics,Allured Publishing Corporation,第二版 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物中での抗菌有効アルコールの総量を低く抑えるために、抗菌有効アルコールの抗菌作用を相乗的に援助する、皮膚学的及び毒学的に懸念のない物質を見出すという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、化粧料中に界面活性剤及び乳化剤として既に既知であり使用されているソルビタンモノカプリレートがまさにこの条件を満たすことが見出された。
【0007】
それ故、本発明の対象は、
a) ソルビタンモノカプリレート5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%、就中好ましくは30〜70重量%、及び
b) 次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族系炭素−炭素結合を介して、線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そしてこれらの基は、エーテル単位も含むことができ、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
で表される一種またはそれ以上のアルコール5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%、就中好ましくは30〜70重量%、
を含む液状組成物である。
【0008】
ソルビタンモノカプリレートは、非常に高い使用濃度においても皮膚学的にも毒学的にも懸念がなく、そして抗菌有効アルコールの抗菌作用を相乗的に援助する。
【0009】
ソルビタンモノカプリレートが、化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の粘度を低下させず、それどころか反対に僅かに増粘する性質を有することが更に見出された。例えば、抗菌有効アルコールと比較して、明らかにより多量のソルビタンモノカプリレートを使用することができ、しかも化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の粘度を低下させることも、相の分離を起こすこともない。
【0010】
化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の十分な防腐に必要な抗菌有効アルコールの使用濃度は、ソルビタンモノカプリレートとの組み合わせでかなり低めることができる。それによって、化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の防腐のための抗菌有効アルコールの使用は多くの場合に十分となる。
【0011】
ソルビタンモノカプリレートは室温で液状であり、前記抗菌有効アルコールと混和可能である。
【0012】
本発明の液状で、それ故取り扱いが簡単な組成物の利点は、例えばそれの良好な調合性(Formulierbarkeit)である。
【0013】
好ましくは、式(1)の一種またはそれ以上のアルコールは、芳香族アルコール、アルカンジオール及びアルカントリオールからなる群から選択され、特に好ましくは式(1)の一種またはそれ以上のアルコールは、芳香族アルコール及びアルカンジオールからなる群から選択される。
【0014】
特に好ましくは、式(1)の一種またはそれ以上のアルコールは、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレンフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、メチルプロパンジオール、及びエチルヘキシルグリセリンからなるアルコールの群から選択され、ここで芳香族アルコールの中ではベンジルアルコール及びフェノキシエタノールが好ましく、ベンジルアルコールが特に好ましい。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物の成分b)は、芳香族アルコールから選択された一種またはそれ以上の式(1)のアルコール、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは100重量%の、芳香族アルコールから選択された式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを含み、ここで前記一種またはそれ以上の芳香族アルコールは、好ましくはベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレンフェノキシエタノール及びフェネチルアルコールから、特に好ましくはベンジルアルコール及びフェノキシアルコールから選択され、そして前記一種またはそれ以上の芳香族アルコールは、特に好ましくはベンジルアルコールである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、上記の本発明の液状組成物の中では、成分b)が、芳香族アルコールから選択された一種またはそれ以上の式(1)のアルコールの他に、一種またはそれ以上の非芳香族系アルコール、好ましくは1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール及びエチルヘキシルグリセリンからなるアルカンジオールの群から選択された一種またはそれ以上の非芳香族系アルコールを含むものが好ましい。
【0017】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物の成分b)は、アルカンジオール及びアルカントリオール、好ましくはアルカンジオールから選択された一種またはそれ以上の式(1)のアルコール、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは60〜100重量%、就中好ましくは100重量%の、アルカンジオール及びアルカントリオール、好ましくはアルカンジオールから選択された式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを含み、この際、前記の一種またはそれ以上のアルカンジオールは、好ましくは、1,2−ヘキサンジオール、1,6ーヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、及びエチルヘキシルグリセリンから、特に好ましくは1,2−オクタンジオール及びエチルヘキシルグリセリンから選択される。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、
d) 水、
e) 抗菌有効物質、及び
f) ハイドロトロープ物質
から選択される一種またはそれ以上の更なる物質を含み、ここで抗菌有効物質及びハイドロトロープ物質は式(1)のアルコールとは異なるものである。
【0019】
成分e)の抗菌有効物質及び成分f)のハイドロトロープ物質はソルビタンモノカプリレートとは異なるものである。
【0020】
本発明の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は水を含む。この中で特に好ましい本発明の実施形態の一つでは、水は、0.1〜35重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%の量で本発明の液状組成物中に含まれる。
【0021】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上の抗菌有効物質を含む。
【0022】
これらの抗菌有効物質は、好ましくは、ピロクトンオラミン(1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリドンの2−アミノエタノール塩、市販品はOctopirox(登録商標))、パラベン類、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムエチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムイソブチルパラベン、ナトリウムイソプロピルパラベンまたはナトリウムブチルパラベン、有機酸及びそれの塩、例えば安息香酸、ソルビン酸、3−アセチル−6−メチル−2[H]−ピラン−2,4[3H]−ジオン(デヒドロ酢酸)、p−メトキシ安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ウンデセン酸、サリチル酸、グリコール酸、2,4−ヘキサンジエン酸、及び/またはそれらの塩、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムまたはサリチル酸塩、例えばサリチル酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、ジイソブチルエトキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジイソブチル−フェノキシ−エトキシ−エチル−ジメチルベンジル−アンモニウムクロライド、N−アルキル−N,N−ジメチル−ベンジル−アンモニウムクロライド、−ブロマイド、−サッカリネート、トリメチルアンモニウムクロライド、ナトリウムアルミニウムクロロヒドロキシラクテート、トリエチルシトレート、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、2,2,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、3,4,4’−トリクロロカルバニトリド(トリクロカルバン)、ジアミノアルキルアミド、例えばL−シリンヘキサデシルアミド、DMDMヒダントイン、ナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、2−ヒドロキシビフェニル、クロロブタヌラム(Chlorbutanulum)、5−アミノ−1,3−ビス−(2−エチルヘキシル)−5−メチル−ヘキサヒドロピリミジン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、N−(4−クロロフェニル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル、ポリ(ヘキサメチレンジグアニド)−ヒドロクロライド、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリジン、イソチアゾリノン類、例えばメチルイソチアゾリノン、または3:1のモル比のメチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノン、クロロキシレノール、クエン酸重金属塩、塩化銀、ピロクトース、特に亜鉛塩、ピリチオン類及びそれの重金属塩、特に亜鉛ピリチオン、亜鉛フェノールスルフェート、ファルネソール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナフチフィン、オキシコナゾール、サルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール及びチオコナゾール及びこれらの有効物質の組み合わせから選択される。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、パラベン類、好ましくはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムエチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムイソブチルパラベン及び/またはナトリウムブチルパラベン、有機酸及びそれらの塩、好ましくは安息香酸、ソルビン酸、3−アセチル−6−メチル−2[H]−ピラン−2,4[3H]−ジオン(デヒドロ酢酸)、p−メトキシ安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ウンデセン酸、サリチル酸、グリコール酸及び/またはそれらの塩、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及び/またはサリチル酸ナトリウム、ホルムアルデヒド供与体、好ましくはイミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン及び/またはナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、ハロゲン化防腐剤物質、好ましくはヨードプロピニルブチルカルバメート及び/または2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、及びイソチアゾリノン類、好ましくはメチルイソチアゾリノンから選択される、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上の抗菌有効物質を含む。
【0024】
本発明の非常に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、有機酸またはそれらの塩から、好ましくは安息香酸、ソルビン酸、3−アセチル−6−メチル−2[H]−ピラン−2,4[3H]−ジオン(デヒドロ酢酸)、p−メトキシ安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ウンデセン酸、サリチル酸、グリコール酸及びそれらの塩から選択される、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上の抗菌有効物質を含む。
【0025】
本発明の液状組成物が、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上の抗菌有効物質を含む場合には、これらは、好ましくは、0.5〜30重量%、特に好ましくは1.0〜25重量%の量で本発明の液状組成物中に含まれる。
【0026】
本発明の液状組成物が、有機酸の塩から選択される一種またはそれ以上の更なる抗菌有効物質を含む場合には、本発明の液状組成物は、好ましくは2〜35重量%、特に好ましくは5〜20重量%、就中好ましくは10〜15重量%の水を含む。
【0027】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質を含む。これらのハイドロトロープ物質は、好ましくは、キシレンスルホネート、トルエンスルホネート及びクメンスルホネートから選択される。クメンスルホネートが特に好ましい。
【0028】
本発明の液状組成物が、式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質を含む場合には、本発明の液状組成物中での一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質の量は好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは4〜10重量%、就中好ましくは6〜8重量%の範囲である。
【0029】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は一種またはそれ以上の更に別の添加剤を含む。
【0030】
これらの更に別の添加剤は、好ましくは、酸化防止剤及び可溶化剤から選択される。
【0031】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は一種またはそれ以上の酸化防止剤を含む。
【0032】
酸化防止剤は、好ましくは、スーパーオキサイドジムスターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アミノ酸類(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びこれらの誘導体、イミダゾール類(例えばウロカニン酸)及びこれらの誘導体、ペプチド類、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン及びこれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド類、カロチン類(例えばα−カロチン、β−カロチン、リコピン)及びこれらの誘導体、クロロゲン酸及びこれの誘導体、リポン酸及びこれの誘導体(例えば、ジヒドロリポン酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール類(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びこれらのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−及びラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、γ−リノレイル−、コレステリル−及びグリセリルエステル)並びにこれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸及びこれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、リピド、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、並びに極少量の許容可能な量(例えばpmol/kg)のスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン)、更に(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、フィチン酸、胆汁酸、胆汁エキス、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びこれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びこれの誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びこれの誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びこれらの誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mg−アスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロール類及び誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンA及び誘導体(ビタミンAパルミテート)、安息香のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸及びそれの誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びそれの誘導体、マンノース及びそれの誘導体、亜鉛及びそれの誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレン及びそれの誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベン類及びそれの誘導体(例えば酸化スチルベン、trans−スチルベンオキサイド)及びスーパーオキサイドジムスターゼ、及び上記の物質の本発明に適した誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及びリピド)から選択される。
【0033】
特に好ましい酸化防止剤は、油溶性酸化防止剤から選択される。
【0034】
特に好ましい酸化防止剤は、トコフェリルアセテート及びEDTAから選択される。
【0035】
本発明の液状組成物が一種またはそれ以上の酸化防止剤を含む場合には、これらは、好ましくは0.001〜30重量%、特に好ましくは0.05〜20重量%、就中好ましくは0.1〜5重量%の量で本発明の液状組成物中に含まれる。
【0036】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態では、本発明の液状組成物は一種またはそれ以上の可溶化剤を含む。
【0037】
好ましい可溶化剤は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、ブチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、相対分子量300〜2000、特に300〜600のポリエチレングリコール、トリアセチン(グリセリントリアセテート)、1−メトキシ−2−プロパノール及びPEG−4−ラウレート(ポリエチレングリコール−4−ラウレート)からなる群から選択される。
【0038】
特に好ましい可溶化剤は、ブチレングリコール及び1,2−プロピレングリコールから選択される。
【0039】
本発明の液状組成物が一種またはそれ以上の可溶化剤を含む場合には、これらは、好ましくは1〜20重量%の量で本発明の液状組成物中に含まれる。
【0040】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物の含水量は、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満である。本発明の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は水を含まない、すなわち無水である。
【0041】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、
a)ソルビタンモノカプリレート、及び
b)式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、
からなる。
【0042】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、
a)ソルビタンモノカプリレート、
b)式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、及び
d)水、
からなる。
【0043】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、
a)ソルビタンモノカプリレート、
b)式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、及び
e)式(1)のアルコールとは異なる、一種またはそれ以上の抗菌有効物質、
からなる。
【0044】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、
a)ソルビタンモノカプリレート、
b)式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、
d)水、及び
e)式(1)のアルコールとは異なる、一種またはそれ以上の抗菌有効物質、
からなる。
【0045】
好ましくは、本発明の液状組成物は透明な外観を有する。
【0046】
本発明の液状組成物は、化粧品、皮膚用品または医薬品の防腐に有利に適している。
【0047】
それ故、本発明の更なる対象は、化粧品、皮膚用品または医薬品の防腐、好ましくは、クリーム、クリームジェル、ローション、シャンプー、シャワーバス(Duschbaedern)、デオドラント、発汗抑制剤、ウェットティッシュ(ウェットワイプ)、サンスクリーン剤または装飾用化粧用物品の防腐のための本発明の液状組成物の使用である。本発明の好ましい実施形態の一つでは、化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物が防腐される。
【0048】
本発明の液状組成物は、更に、化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の製造に有利に適している。
【0049】
それ故、本発明の更なる対象は、化粧品、皮膚用品または化粧品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の製造のための本発明の液状組成物の使用である。
【0050】
“化粧品、皮膚用品または医薬品”という概念は、本発明の枠内において、例えば対応する調合物を意味する。
【0051】
化粧品、皮膚用品または医薬品とは、例えば、水系、水−アルコール系、水−界面活性剤系またはアルコール系の剤、またはオイルベースの剤(水不含の形態のオイルベースの剤も含む)、またはエマルション、懸濁物または分散物であることができ、詳しくはリキッド、フォーム、スプレー、ジェル、ムース、ローション、クリーム、パウダーまたはウェットティッシュ(ウェットワイプ)の形であることができる。
【0052】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、ウェットティッシュの防腐のために使用される。ここで、繊維布帛に適用される防腐のための調合物は、エマルション、特にO/W型エマルション、または界面活性剤系調合物もしくは油性剤であることができる。
【0053】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の液状組成物は、エマルションの防腐に使用される。
【0054】
エマルションは、油中水型エマルションや、水中油型エマルション、マイクロエマルション、ナノエマルション及びマルチプルエマルションであることができる。エマルションの製造は、既知の方法で、例えば、低温乳化法、高温乳化法、高温/低温乳化法またはPIT乳化法によって行うことができる。本発明の特に好ましい実施形態の一つは、自己発泡性、発泡状、後発泡性または発泡性エマルション及びマイクロエマルションである。
【0055】
本発明の更に別の対象は、本発明の液状組成物を使用して製造され、そして
a)ソルビタンモノカプリレート、及び
b)次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、これらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して、線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そして前記の基は、エーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
で表される一種またはそれ以上のアルコール、
を含む、化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物、あるいはこのような液状組成物を含む化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物である。
【0056】
本発明の更に別の対象は、
a)ソルビタンモノカプリレート、及び
b)次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、互いに、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そして前記の基はエーテル単位を含んでいてもよく、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
で表される一種またはそれ以上のアルコール、
を含む、化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物である。
【0057】
本発明の好ましい実施形態の一つでは、該化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物は、
a)ソルビタンモノカプリレート、
b)次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して、線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そして前記の基はエーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
で表される一種またはそれ以上のアルコール、及び
e)式(1)のアルコールとは異なる、一種またはそれ以上の抗菌有効物質、
を含む。
【0058】
上記の本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品、特に本発明の化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の中では、成分e)の一種またはそれ以上の抗菌有効物質が、パラベン類、好ましくはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムエチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムイソブチルパラベン及び/またはナトリウムブチルパラベン、有機酸及びそれの塩、好ましくは安息香酸、ソルビン酸、3−アセチル−6−メチル−2[H]−ピラン−2,4[3H]−ジオン(デヒドロ酢酸)、p−メトキシ安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ウンデセン酸、サリチル酸、グリコール酸及び/またはこれらの塩、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及び/またはサリチル酸ナトリウム、ホルムアルデヒド供与体、好ましくはイミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン及び/またはナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、ハロゲン化防腐剤物質、好ましくはヨードプロピニルブチルカルバメート及び/または2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及びイソチアゾリノン類、好ましくはメチルイソチアゾリノンから選択されるものが好ましい。
【0059】
特に好ましいものは、
a)ソルビタンモノカプリレート、
b)次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和もしくは芳香族炭素−炭素結合またはエーテル単位を介して線状、分枝状または環状に互いに結合しており、そして炭素原子には水素原子またはヒドロキシ基が結合している]
で表される一種またはそれ以上のアルコール、及び
e)一種またはそれ以上の有機酸またはそれの塩、好ましくは安息香酸、ソルビン酸、3−アセチル−6−メチル−2[H]−ピラン−2,4[3H]−ジオン(デヒドロ酢酸)、p−メトキシ安息香酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ウンデセン酸、サリチル酸、グリコール酸及びこれらの塩から選択される一種またはそれ以上の有機酸またはそれの塩、
を含む、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品、特に本発明の化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物である。
【0060】
成分e)で挙げた有機酸の一種またはそれ以上の塩は、好ましくは、
安息香酸の場合は、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムまたは安息香酸アンモニウム、
ソルビン酸の場合は、ソルビン酸カリウムまたはソルビン酸アンモニウム、
デヒドロ酢酸の場合は、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸カリウムまたはデヒドロ酢酸アンモニウム、
p−メトキシ安息香酸の場合は、p−メトキシ安息香酸ナトリウム、p−メトキシ安息香酸カリウムまたはp−メトキシ安息香酸アンモニウム、
ギ酸の場合は、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウムまたはギ酸アンモニウム、
酢酸の場合は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは酢酸アンモニウム、
プロピオン酸の場合は、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸アンモニウムまたはプロピオン酸カルシウム、
乳酸の場合は、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸アンモニウムまたは乳酸マグネシウム、
ウンデセン酸の場合は、ウンデセン酸ナトリウム、ウンデセン酸カリウム、ウンデセン酸アンモニウム、ウンデセン酸マグネシウムまたはウンデセン酸亜鉛、
サリチル酸の場合は、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸アンモニウム、サリチル酸マグネシウムまたはサリチル酸亜鉛、及び
グリコール酸の場合は、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸カリウム、グリコール酸アンモニウムまたはグリコール酸マグネシウムである。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態の一つでは、成分a)及びb)の物質は、完成した本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは完成した本発明の化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物に基づいて、合計して0.1〜4.0重量%、好ましくは合計して0.3〜3.0重量%、特に好ましくは合計して0.4〜2.5重量%、就中好ましくは合計して0.5〜2.0重量%の量で製品または調合物中に含まれる。
【0062】
本発明の更に別の特に好ましい実施形態の一つでは、成分a)、b)及びe)の物質は、完成した本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは完成した本発明の化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物を基準にして、合計して0.1〜4.0重量%、好ましくは合計して0.3〜3.0重量%、特に好ましくは合計して0.4〜2.5重量%、就中好ましくは合計して0.5〜2.0重量%の量で製品または調合物中に含まれる。
【0063】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品は、洗い流すタイプの製品、特にシャンプー、ヘアリンス、ヘアケア(Haarkur)、シャワーバス、シャワージェルまたはフォームバスである。
【0064】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品は、リーブオン型製品、特にデイクリーム、ナイトクリーム、ケアクリーム、滋養クリーム、ボディローション、軟膏またはリップケア剤である。更に別の好ましいリーブオン型製品は、装飾用化粧品、特にメークアップ品、アイシャドー、リップスティックまたはマスカラである。
【0065】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品はサンスクリーン剤である。これは、有機または無機系の一種またはそれ以上のUVフィルターを含む。
【0066】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品は、デオドラント及び発汗抑制剤、特にスプレー、スティック、ジェルまたはローションの形のデオドラント及び発汗抑制剤である。
【0067】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品は、界面活性剤を含まない剤、特に界面活性剤を含まない固形の剤または界面活性剤を含まないエマルションである。
【0068】
本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは本発明の化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物は、更に別の助剤及び添加剤として、界面活性剤、乳化剤、カチオン性ポリマー、増粘剤、成膜剤、抗菌有効物質、収斂剤、酸化防止剤、UV光保護フィルター、顔料/マイクロ顔料、ゲル化剤、並びに化粧品に慣用の更に別の添加剤、例えば過脂肪剤、保湿剤、シリコーン、安定剤、コンディショニング剤、グリセリン、防腐剤、真珠光沢剤、染料、フレグランス及び香油、溶剤、ハイドロトロープ物質、混濁剤、脂肪アルコール、角質溶解もしくは角質軟化作用を有する剤、抗フケ剤、生理活性物質(局所麻酔物質、抗生物質、消炎性物質、抗アレルギー性物質、コルチコステロイド、皮脂分泌調整物質)、ビタミン、Bisabolol(登録商標)、Allantoin(登録商標)、Phytantriol(登録商標)、Panthenol(登録商標)、AHA酸(アルファ−ヒドロキシ酸)、植物エキス、例えばアロエベラ及びタンパク質を含むことができる。
【0069】
本発明の更に別の好ましい実施形態の一つでは、本発明の化粧品、皮膚用品または医薬品は、対応する調合物である。
【0070】
本発明の更なる対象は、次式(1)
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して、線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そして前記の基はエーテル単位も含むことができ、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
で表されるアルコールの抗菌有効性を向上するための、ソルビタンモノカプリレートの使用である。
【0071】
本発明の液状組成物の製造は、例えば、個々の成分を、場合により約50℃に軽く加温しながら、一緒に混合することによって行うことができる。
【0072】
以下の例及び使用例は本発明をより詳しく説明するものであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。全ての百分率の値は、他に特に明確に記載がなければ、重量パーセント(重量%)である。
【実施例】
【0073】
I)本発明の液状組成物
例1〜12
各組成物は、
1)50%ソルビタンモノカプリレート、50%ベンジルアルコール
2)50%ソルビタンモノカプリレート、50%フェノキシエタノール
3)60%ソルビタンモノカプリレート、40%1,2−オクタンジオール
4)40%ソルビタンモノカプリレート、30%エチルヘキシルグリセリン、30%1,2−ヘキサンジオール
5)50%ソルビタンモノカプリレート、50%エチルヘキシルグリセリン
6)45%ソルビタンモノカプリレート、30%ベンジルアルコール、20%1,6−ヘキサンジオール、5%水
7)65%ソルビタンモノカプリレート、25%フェノキシエタノール、10%安息香酸
8)70%ソルビタンモノカプリレート、30%1,2−デカンジオール
9)33%ソルビタンモノカプリレート、33%ベンジルアルコール、34%1,2−オクタンジオール
10)50%ソルビタンモノカプリレート、30%フェノキシエタノール、20%エチルヘキシルグリセリン
11)40%ソルビタンモノカプリレート、15%1,2ヘキサンジオール、20%エチルヘキシルグリセリン、20%デヒドロ酢酸、5%水
12)20%ソルビタンモノカプリレート、40%1,2−オクタンジオール、15%フェノキシエタノール、15%ソルビン酸カリウム、10%水
からなる。
【0074】
例1〜12の組成物の製造は、個々の成分を、200〜300回転/分の攪拌速度でフィンガー攪拌機で順次混合することによって行った。有機酸を添加した場合には、均一な混合を得るために組成物を約50℃に加温した。
II)ソルビタンモノカプリレートと式(1)のアルコールとの相乗作用
式Q/Q+Q/Q=SE(F.C.Kull et al.,Applied Microbiology 1961,9,538(非特許文献1)による相乗効果)に基づく相乗効果の計算。式中、Qは、使用した混合物中でパーセンテージとしての化合物Aの最小阻止濃度であり、Qは、純粋な物質Aの最小阻止濃度であり、Qは、使用した混合物中でパーセンテージとしての化合物Bの最小阻止濃度であり、そしてQは、純粋な物質Bの最小阻止濃度である。相乗効果の評価: >1のSEが得られた場合は、拮抗作用が存在し、SEが1である場合には、それらの化合物は互いに対して中性に挙動し、そしてSEが<1である場合には相乗効果が存在する。
【0075】
例13
例1)及び2)によるソルビタンモノカプリレートとフェノキシエタノールまたはベンジルアルコールとの混合物を試験した。相乗効果に関しての結果を表A及びBに示す。この際、個々のブレンドの最小阻止濃度を“MICブレンド”と称する。
表A 例2による重量比50:50のソルビタンモノカプリレートとフェノキシエタノールからなる混合物の試験結果(ブレンド)
【0076】
【表1】

【0077】
表B 例1による重量比50:50のソルビタンモノカプリレートとベンジルアルコールからなる混合物の試験結果(ブレンド)
【0078】
【表2】

【0079】
III)本発明の液状組成物を含む化粧用調合物
以下に記載の化粧用調合物A〜Mからそれぞれ12種の異なる調合物を調整した。詳しくは、各化粧用調合物A〜Mを、例1〜12の個々の本発明の液状組成物を使用して製造した。
【0080】
【表3】

【0081】
調製:
I Aの成分を混合
II 攪拌しながらIにBを添加
III CをIIに添加
IV pH値をおおよそ7に調節

【0082】
【表4】

【0083】
調製:
I 成分Aを混合
II Bの成分を順次I中に添加
III 攪拌しながらCをIIに添加
IV 必要に応じて、Cを用いてpH値を調節

【0084】
【表5】

【0085】
調製:
I AとBを混合し、そして約5分間攪拌
II CをIに添加し、そして溶液が透明になるまで攪拌
III Dの成分を順次IIに添加
IV EをIに添加し、そして均一な調合物が得られるまで攪拌

【0086】
【表6】

【0087】
調製:
I 攪拌及び軽く加温しながらAをB中に溶解
II CをIに添加し、そして生じるジェルに塊状物が無くなるまで攪拌
III Dの成分をIIに加え、そして調合物が均一になるまで攪拌

【0088】
【表7】

【0089】
調製:
I Aの成分を溶解
II 攪拌しながらBの成分を順次Iに添加
III Cの成分を混合
IV DをIIに添加
V 攪拌しながらIIIをIVに添加
VI Eを用いてpH値を約6に調節

【0090】
【表8】

【0091】
調製:
I 約70℃でAの成分を溶融
II Cの成分を混合し、そしてこの混合物を約70℃に加熱
III Iが完全に溶融した時にBをIに添加
IV IIをIIIに添加
V 35℃でDの成分をIVに添加
VI Eを用いてpH値を約6.0〜6.5に調節

【0092】
【表9】

【0093】
調製:
I Aの成分を混合
II 絶えず攪拌しながらBをIに添加。粘度がそれの最終点に到達しそして調合物が均一になるまで更に攪拌

【0094】
【表10】

【0095】
調製:
I 約75℃でAを溶融
II Bを約75℃に加熱
III 攪拌しながらIIをIに添加し、そして30℃に冷えるまで攪拌
IV 約30℃で、攪拌しながらCをIIに添加

【0096】
【表11】

【0097】
調製:
I Aの成分を混合
II BをIに添加
III 攪拌しながらCをII中で膨潤
IV Dの成分を順次添加
V Eの成分を順次IVに添加

【0098】
【表12】

【0099】
調製:
I Bの成分を順次A中に混ぜ入れ、そして透明な溶液が得られるまで攪拌

【0100】
【表13】

【0101】
調製:
I Aの成分を約80〜85℃に加熱し、そして均一な混合物が得られるまで攪拌。この混合物を70〜75℃に放冷
II 攪拌しながらB及びCを順次Iに添加し、そして全ての構成分が溶解するまで攪拌
III 45℃に放冷しそしてDをIIに添加、次いで調合物を鋳型に充填。
【0102】
【表14】

【0103】
調製:
I Bの成分を混合し、そしてこれを攪拌しながらA中に溶解
II Cの成分を混合し、そして軽く攪拌しながらIに添加
III より大きい回転数(約200〜250回転/分)で約二時間または均一なジェルが得られるまで攪拌
IV 攪拌しながらDをIIIに添加

【0104】
【表15】

【0105】
調製:
I 約80℃でAを溶融
II Bを約80℃に加温
III 約300回転/分の攪拌速度でIIをIに添加。攪拌速度を次第に500回転/分まで高め、そして調製作業の終わりまでこの速度を維持。混合物を35℃まで放冷
IV 35℃で攪拌しながらCをIIIに添加し、そして室温まで放冷
【0106】
例1〜12の本発明の組成物は、化粧用調合物A〜Mにおいて生物安定性(Biostabilitaet)の向上に貢献する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%、就中好ましくは30〜70重量%のソルビタンモノカプリレート、及び
b) 5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%、就中好ましくは30〜70重量%の次式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、
を含む液状組成物。
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して線状、分枝状及び/または環状に互いに結合していることができ、そして前記の基はエーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には、水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
【請求項2】
式(1)の一種またはそれ以上のアルコールが、芳香族アルコール、アルカンジオール及びアルカントリオールからなる群から選択され、好ましくは芳香族アルコール及びアルカンジオールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1の液状組成物。
【請求項3】
式(1)の一種またはそれ以上のアルコールが、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレンフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、メチルプロパンジオール及びエチルヘキシルグリセリンからなるアルコールの群から選択され、この際、芳香族アルコールの中では、ベンジルアルコール及びフェノキシアルコールが好ましく、ベンジルアルコールが特に好ましいことを特徴とする、請求項1または2の液状組成物。
【請求項4】
成分b)が、芳香族アルコールから選択された式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを含み、好ましくは、芳香族アルコールから選択された式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを少なくとも50重量%、特に好ましくは60〜100重量%、就中好ましくは100重量%の割合で含み、前記の一種またはそれ以上の芳香族アルコールは、好ましくは、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレンフェノキシエタノール及びフェネチルアルコールから、特に好ましくはベンジルアルコール及びフェノキシアルコールから選択され、前記一種またはそれ以上の芳香族アルコールは特に好ましくはベンジルアルコールであることを特徴とする、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項5】
成分b)が、芳香族アルコールから選択される式(1)の一種またはそれ以上のアルコールの他に、一種またはそれ以上の非芳香族系アルコール、好ましくは1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール及びエチルヘキシルグリセリンからなるアルカンジオールの群から選択される一種またはそれ以上の非芳香族系アルコールを含むことを特徴とする、請求項4の液状組成物。
【請求項6】
成分b)が、アルカンジオール及びアルカントリオールから、好ましくはアルカンジオールから選択される式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを含み、好ましくは、アルカンジオール及びアルカントリオールから、好ましくはアルカンジオールから選択される式(1)の一種またはそれ以上のアルコールを少なくとも50重量%、特に好ましくは60〜100重量%、就中好ましくは100重量%の割合で含み、前記一種またはそれ以上のアルカンジオールは、好ましくは1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール及びエチルヘキシルグリセリンから、特に好ましくは1,2−オクタンジオール及びエチルヘキシルグリセリンから選択されることを特徴とする、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項7】
d)水
e)抗菌有効物質、及び
f)ハイドロトロープ物質
から選択される一種またはそれ以上の更なる物質を含み、この際、抗菌有効物質及びハイドロトロープ物質は、式(1)のアルコールとは異なるものである、ことを特徴とする、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項8】
式(1)のアルコールとは異なる一種またはそれ以上の抗菌有効物質を0.5〜30重量%、好ましくは1.0〜25重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項9】
一種またはそれ以上の更に別の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項10】
透明な外観を有することを特徴とする、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の液状組成物。
【請求項11】
化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくはクリーム、クリームジェル、ローション、シャンプー、シャワーバス、デオドラント、発汗抑制剤、ウェットティッシュ(ウェットワイプ)、サンスクリーン調合物または装飾用化粧用物品の防腐のための、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の液状組成物の使用。
【請求項12】
化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物の製造のための、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の液状組成物の使用。
【請求項13】
a)ソルビタンモノカプリレート、及び
b)次式(1)の一種またはそれ以上のアルコール、
を含む、化粧品、皮膚用品または医薬品、好ましくは化粧用調合物、皮膚用調合物または医薬用調合物。
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して線状、分枝状及び/または環状に互いに結合することができ、そして前記の基はエーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]
【請求項14】
次式(1)のアルコールの抗菌有効性を向上するためのソルビタンモノカプリレートの使用。
R−OH (1)
[式中、Rは、炭素原子数5〜12、好ましくは6〜11の、炭素原子、水素原子、場合により及び酸素原子からなる基であり、そしてこれらの炭素原子は、飽和、不飽和及び/または芳香族炭素−炭素結合を介して線状、分枝状及び/または環状に互いに結合していることができ、前記の基はエーテル単位を含むこともでき、個々の炭素原子には水素原子及び/またはヒドロキシ基が結合していることができる]

【公表番号】特表2012−527411(P2012−527411A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511175(P2012−511175)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002918
【国際公開番号】WO2010/136120
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】