説明

ソレノイドバルブ

【課題】出力油圧を直接的に摩擦係合要素の油圧サーボに供給し得る調圧能力を備えるものでありながら、油圧制御装置の小型化することが可能なソレノイドバルブを提供する。
【解決手段】リニアソレノイドバルブ1は、ソレノイド部10に備えられたプランジャ11の駆動力によって、バルブ部20に備えられたスプール21が移動して、出力ポートPoutからの出力油圧が大きくなるにつれて、該出力油圧が入力し得るフィードバックポートPfbの開口量が小さくなると共に、該出力油圧をドレーンし得るドレーンポートPex2の開口量が大きくなるように構成されている。これにより、出力油圧の高圧時にフィードバック作用をさせるフィードバック圧を低減することができ、スプール21を移動させるソレノイド部10の駆動力を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される油圧を電気的に調圧出力し得るソレノイドバルブに係り、特に車輌用自動変速機の油圧制御装置などに用いられるソレノイドバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車輌用自動変速機の油圧制御装置は、オイルポンプにより発生した油圧をレギュレータバルブによってスロットル開度に応じたライン圧に調圧し、ライン圧をクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素の油圧サーボに選択的に供給することで、それら摩擦係合要素を選択的に係合して動力伝達経路の形成を行い、かつスロットル開度の上昇に伴う駆動源の出力トルクの上昇によって、摩擦係合要素に滑りが生じないように構成されている。
【0003】
ライン圧を摩擦係合要素の油圧サーボに供給して係合を行う場合、もしくはライン圧を油圧サーボから排出して解放を行う場合は、単に油圧サーボに対してライン圧の供給や排出を行うと、急係合や急解放による変速ショックが生じるため、ライン圧を所望の圧に調圧しつつ油圧サーボに対して供給・排出を行う必要がある。そのため、このような油圧制御装置は、ライン圧を油圧サーボに供給するための油路に、入力される制御圧に応じてスプールを移動させることで油圧サーボに対するライン圧の開口量をコントロールし得るコントロールバルブを介在させ、一方で、ライン圧をモジュレータバルブによって所定圧以下に抑制したモジュレータ圧を入力油圧としたリニアソレノイドバルブによって制御圧を生成し、つまりリニアソレノイドバルブを電気的に制御することによって制御圧をコントロールバルブに対して作用させ、該コントロールバルブによりライン圧を調圧することで、上記油圧サーボに対する供給油圧のコントロールを行っている(特許文献1、図5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−74733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、自動変速機は、燃費向上のために変速段の多段化の開発が進められており、それに伴い摩擦係合要素の数も増加している。そのため、自動変速機の油圧制御装置は、各摩擦係合要素に対応して上述のようなコントロールバルブを設けると、それらコントロールバルブの数の増加だけでなく、油路も複雑化して、油圧制御装置が大型化してしまう。
【0006】
そのため、このような油圧制御装置は、上述のようなコントロールバルブを配設せずに、リニアソレノイドバルブの入力油圧としてライン圧を用い、摩擦係合要素の油圧サーボにリニアソレノイドバルブからの出力油圧を直接的に(他のバルブで調圧することなく)供給し得るように構成し、つまりリニアソレノイドバルブだけで油圧サーボの供給油圧を調圧することが考えられる。
【0007】
しかし、このようにリニアソレノイドバルブから直接的に油圧サーボへ油圧供給を行うためには、モジュレータ圧に比してライン圧が圧倒的に高圧であるため、リニアソレノイドバルブの調圧能力を大幅に増加する必要がある。これにより、ソレノイド部が大型化してしまい、結局は油圧制御装置が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、出力油圧を直接的に摩擦係合要素の油圧サーボに供給し得る調圧能力を備えるものでありながら、油圧制御装置の小型化することが可能なソレノイドバルブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図4参照)、供給される電力に応じてプランジャ(11)を駆動するソレノイド部(10)と、前記プランジャ(11)の駆動力により付勢手段(24)の付勢力に抗してスプール(21)を移動することによって、入力油圧が入力される入力ポート(Pin)と出力ポート(Pout)との開口量を調整すると共に、該出力ポート(Pout)から出力される出力油圧を、前記開口量を小さくする方向にフィードバック作用させるフィードバック油室(29)を有するバルブ部(20,20)と、を備えたソレノイドバルブ(1)において、
前記フィードバック油室(29)に前記出力油圧を入力し得るフィードバックポート(Pfb)と、
前記フィードバック油室(29)の前記出力油圧をドレーンし得るドレーンポート(Pex2)と、を備え、
前記出力油圧が大きくなる方向にスプール(21)が移動するにつれて、前記フィードバックポート(Pfb)の開口量が小さくなると共に前記ドレーンポート(Pex2)の開口量が大きくなる、
ことを特徴とするソレノイドバルブ(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図1及び図3参照)、前記バルブ部(20,20)は前記スプール(21)を移動可能に収容するスリーブ(22)を備え、
前記スリーブ(22)に前記出力ポート(Pout)と前記フィードバックポート(Pfb)とを連通するフィードバック油路(28)を形成してなる、
ことを特徴とする請求項1記載のソレノイドバルブ(1)にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は(例えば図1及び図3参照)、前記スプール(21)は、前記フィードバックポート(Pfb)と前記フィードバック油室(29)とを連通し得、かつ前記フィードバック油室(29)と前記ドレーンポート(Pex2)とを連通し得るスプール内油路(27)を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のソレノイドバルブ(1)にある。
【0012】
請求項4に係る本発明は(例えば図1及び図2参照)、前記ソレノイド部(10)に対して非通電状態である際に、前記付勢手段(24)の付勢力によって前記スプール(21)により前記入力ポート(Pin)と前記出力ポート(Pout)とが遮断されるノーマルクローズタイプである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のソレノイドバルブ(1)にある。
【0013】
請求項5に係る本発明は(例えば図3及び図4参照)、前記ソレノイド部(10)に対して非通電状態である際に、前記付勢手段(24)の付勢力によって前記スプール(21)により前記入力ポート(Pin)と前記出力ポート(Pout)とが連通されるノーマルオープンタイプである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のソレノイドバルブ(1)にある。
【0014】
請求項6に係る本発明は(例えば図1乃至図4参照)、前記出力ポート(Pout)から出力される出力油圧を摩擦係合要素の油圧サーボに供給し得る自動変速機の油圧制御装置に用いられてなる、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のソレノイドバルブ(1)にある。
【0015】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によると、プランジャの駆動力によってスプールが移動して、出力ポートからの出力油圧が大きくなるにつれて、該出力油圧が入力し得るフィードバックポートの開口量が小さくなると共に、該出力油圧をドレーンし得るドレーンポートの開口量が大きくなる。これにより、出力油圧が大きくなる状態、つまり出力油圧の高圧時にフィードバック作用をさせるフィードバック圧を低減することができ、スプールを移動させるソレノイド部の駆動力を小さくすることができて、ソレノイド部を小型化することができる。
【0017】
従って、例えば、コントロールバルブ等を設けることなく、かつソレノイド部を大型にすることなくソレノイドバルブによって充分に摩擦係合要素の油圧サーボの供給油圧としての出力油圧を調圧する能力を具備することができ、総合的に油圧制御装置を小型化することができる。
【0018】
請求項2に係る本発明によると、出力ポートとフィードバックポートとを連通するフィードバック油路が、バルブ部のスリーブに形成されているので、油圧制御装置にフィードバック圧をフィードバック油室まで導く油路を設けることを不要とすることができ、油圧制御装置を小型化することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、フィードバックポート及びフィードバック油室、フィードバック油室及びドレーンポートをそれぞれ連通し得るスプール内油路が、スプールに形成されるときに、油圧制御装置にフィードバック圧をフィードバック油室及びドレーンポートに導く油路を設けることを不要とすることができ、油圧制御装置を小型化することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によると、ソレノイドバルブがノーマルクローズタイプであるときに、最大出力油圧を出力する際の消費電力を低減することができ、例えば摩擦係合要素の係合状態を維持する際における油圧制御のエネルギー効率を向上することができて、車輌の燃費を向上させることができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によると、ソレノイドバルブがノーマルオープンタイプであるときに、出力油圧を非出力にする際の消費電力を低減することができ、例えば摩擦係合要素の解放状態を維持する際における油圧制御のエネルギー効率を向上することができて、車輌の燃費を向上させることができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によると、本ソレノイドバルブを、出力ポートから出力される出力油圧を摩擦係合要素の油圧サーボに供給し得る自動変速機の油圧制御装置に用いて好適とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態を図1及び図2に沿って説明する。図1は本実施の形態に係るノーマルクローズタイプのリニアソレノイドバルブを示す断面図、図2は本実施の形態に係るリニアソレノイドバルブにおける電流と出力油圧との関係を示す図である。
【0024】
リニアソレノイドバルブ1は、図1に示すように、大まかにソレノイド部10及びバルブ部20とからなり、そのうちのバルブ部20が、例えば自動変速機の油圧制御装置におけるバルブボディ99のバルブ孔99Aに嵌合・埋設される形で設置される。
【0025】
上記ソレノイド部10は、プランジャ11、コイルアッセンブリ17及びヨークとしての機能を有するケース(以下、「ヨーク」という)13を備えている。コイルアッセンブリ17は、ステンレススチール(SUS)等の非磁性金属製(必ずしも金属に限らず合成樹脂等の非磁性体であってもよい)のボビン12bと、マグネットワイヤ(不図示)と、電磁軟鉄等の強磁性体からなり強磁性体部を構成するエンド部15,16と、上記ボビン12bに上記マグネットワイヤが巻付けられているコイル12aに電流を供給するターミナル18とを備えており、上記両エンド部15,16は、ボビン12bの軸方向両端部に配置されている。上記両エンド部15,16及びボビン12bは焼結結合により一体に形成されている。なお、上記エンド部を構成する電磁軟鉄は、純鉄を95[%]以上、好ましくは略々99[%]以上(小数点第1位で四捨五入して99[%]以上)含むものが望ましい。また、両エンド部15,16及びボビン12bは、焼結結合により一体に形成するものを一例として説明しているが、溶接、ロー付け、接着等により一体に形成してもよい。
【0026】
コイルアッセンブリ17は、上記ターミナル18部分を除いて円筒状に形成されており、該アッセンブリ17の中心には、軸方向に同一径からなる中空部17aが形成されている。そして、該中空部17aには、上記プランジャ11が摺動自在に嵌挿されている。該プランジャ11は、外周面が軸方向に同一径からなり、かつコイル12aより軸方向に長く構成されている。
【0027】
上記コイルアッセンブリ17のエンド部15には、内周側にて、プランジャ11に向けて先細形状で断面直角3角形状となる縁部15aが形成されている。また、エンド部15の縁部15aの付根部分には環状の段差部15bが形成されており、上記ボビン12bのフランジ部12cに焼結結合する係止部となっている。一方、上記エンド部16のボビン12b側(X1方向側)には、筒状部16aが形成されており、上記ボビン12bの環状部12dに焼結結合する係止部となっている。
【0028】
即ち、ボビン12b及びエンド部15,16を加熱して焼結を行う際は、例えばステンレススチールからなるボビン12bが収縮すると共に、例えば軟鉄からなり、略々収縮しないエンド部15,16と該ボビン12bとの間に粒子間の結合が進み、上記フランジ部12cが段差部15bに、上記環状部12dが筒状部16aに、それぞれ押し付けられながら接合される。これにより、ボビン12b及びエンド部15,16は、接合強度の高い状態で一体に形成される。
【0029】
なお、該縁部15aは、上述した直角3角形状が好ましいが、内径面を曲面又は異なる傾斜角の多段傾斜面としてもよく、要は、縁部15aの先端に向かって磁気飽和が現出する先細形状であればよい。
【0030】
一方、上記プランジャ11の一端面11bには、後述するプラグ25の先端25aが当接している。また、該プランジャ11におけるバルブ部20から離れた側(X2方向側)の他端面11cには、非磁性材料のコーティング又は表面処理が施されており、プランジャ11とヨーク13とが磁気的に切り離されている。上記ヨーク13の底部分の内側中心部分には、プランジャ11側に向けて突起部13cが形成されており、この他端面11cは、部分的にヨーク13に当接するように構成されている。これにより、プランジャ11がヨーク13の底部分に吸着することを防止している。なお、プランジャ端面(他端面11c)に限らず、ヨーク13の底部に非磁性体のコーティング又は表面処理を施すようにしてもよく、要は、取付け状態において、ヨーク13とプランジャ11の磁極を切り離すことができればよい。
【0031】
また、プランジャ11には、一端面11bと他端面11cとの間を貫通する複数の貫通孔11a,11aが穿設されており、ダイヤフラム14により隔てられて形成される空間19にある油が、該プランジャ11が駆動されて移動した際に通過して、プランジャ11の他端面11cとヨーク13との間に生じる空隙に流入するようになっている。つまり、この貫通孔11a,11aによってプランジャ11の駆動の際に体積変化による抵抗が生じ難くなるように構成されている。
【0032】
上記ヨーク13は、強磁性材料からなり、深絞り又は冷間鍛造等の塑性金属加工によりコップ状に形成されており、かつ一部分13aが上記ターミナル18用に切欠かれている。該ヨーク13の材料は、純鉄を95[%]以上、好ましくは略々99[%]以上(小数点第1位で四捨五入して99[%]以上)含む電磁軟鉄が望ましい。該ヨーク13は、上記コイルアッセンブリ17を嵌合して内部に納め、かつ先端部が後述するバルブ部20のスリーブ22の端部に固着されることによって、ソレノイド部10がバルブ部20一体に組付けられる。また、この組付けの際、プラグ25が上記プランジャ11と後述するバルブ部20のスリーブ22との間に介在される形で配置されると共に、該プラグ25の外周部に固着されたダイヤフラム14がスリーブ22とエンド部15との間に挟持される形で取付けられる。
【0033】
一方、バルブ部20は、全体が略々スリーブ状に形成されたスリーブ22と、該スリーブ22の中空部分に摺動自在(長手方向に対して移動自在)に嵌挿しているスプール21を有しており、該スリーブ22に抜止め・固着されたエンドキャップ23とスプール21の先端に配置された座金26との間にスプリング24が縮設されている。
【0034】
該スリーブ22には、図中上方より順に、不図示の油圧サーボに供給した出力油圧をドレーン(排出)するためのドレーンポートPex1、不図示の油圧サーボに連通する出力ポートPout、スロットル開度に応じて調圧されたライン圧(シフトレンジを切換えるマニュアルバルブ等を介して供給されるレンジ圧も含む)が入力される入力ポートPin、後述のフィードバック油室29の油圧をドレーンし得るドレーンポートPex2、が形成されている。
【0035】
また、上記入力ポートPinとドレーンポートPex2との間、即ち入力ポートPinに対してソレノイド部10の反対側には、開口部分がバルブボディ99によって閉塞されることによって室状に形成され、後述するスプール21のランド径の違いによって入力された油圧がフィードバック圧として作用するフィードバック油室29が形成されている。さらに、上記入力ポートPinとフィードバック油室29との間には、外周側から内周側に向けて穿設されることにより形成されたフィードバックポートPfbが備えられている。そして、該スリーブ22には、外周側から出力ポートPoutに向けて穿設された油孔22bと、上記フィードバックポートPfbと、これら油孔22b及びフィードバックポートPfbを連通する溝22aと、が形成されており、該溝22aの外周側がバルブボディ99によって閉塞されることによって、フィードバック圧をフィードバック油室29に導入し得るスリーブ内油路(フィードバック油路)28が構成されている。
【0036】
なお、バルブボディ99には、これら各ポートPex1、Pout、Pin、Pex2に対応した位置に、油路99a,99b,99c,99dが形成されて、これらの各ポートに連通されており、即ち、油路99a,99dは不図示のオイルパンに向けて油を排出する油路であり、油路99cは不図示のライン圧を調圧するレギュレータバルブの調圧ポートに連通された油路であり、油路99bは摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の油圧サーボの作動油室に連通された油路である。
【0037】
上記スプール21は、2個の大径ランド部21a,21b及び1個の小径ランド部21cを有しており、該大径ランド部21cの上記プランジャ11側(X2方向側)には、穴部21dが形成されて、該穴部21dの底面がプラグ25の曲面状に形成された端部25bに当接されている。即ち、スプール21は、上記スプリング24の付勢力に抗して、ソレノイド部10のプランジャ11によりプラグ25を介して押圧駆動されるように構成されている。
【0038】
上記大径ランド部21a,21bは、小径ランド部21cの外径d2よりも大きい外径d1に形成されており、このうちの大径ランド部21aは、ソレノイド部10が非通電であってスプール21がプランジャ11に押圧されずにスプリング24によって付勢された位置である際に、出力ポートPoutとドレーンポートPex1とを連通し、プランジャ11に押圧されて移動された際にそれら出力ポートPoutとドレーンポートPex1とを遮断するように形成されている。
【0039】
大径ランド部21bは、スプール21がプランジャ11に押圧されずにスプリング24によって付勢された位置である際に、入力ポートPinと出力ポートPoutとを遮断し、プランジャ11に押圧されて移動された際にそれら入力ポートPinと出力ポートPoutとの開口量を大きくするように形成されている。
【0040】
また、大径ランド部21bと小径ランド部21cとの間に形成されたくびれ部21iは、スプール21が移動されてもフィードバック油室29内に位置するように形成されており、それら大径ランド部21bと小径ランド部21cとの外径差(d1−d2)によって該フィードバック油室29に入力されるフィードバック圧がスプリング24の付勢方向と同方向に作用するように、即ち上記出力ポートPoutと入力ポートPinとの開口量が小さくなる方向に作用するように構成されている。
【0041】
そして、スプール21にあって、これら大径ランド部21bと小径ランド部21cとの内部には、中空穴21eが穿設されており、該中空穴21eのX1方向側端部は、上記座金26により閉塞されている。また、上記小径のランド部21cには、スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21fが穿設されており、該径方向孔21fは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。さらに、上記大径ランド部21bには、スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21gが穿設されており、該径方向孔21gは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。また、スプール21の上記小径ランド部21cと大径ランド部21bとの間のくびれ部21iには、該スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21hが穿設されており、該径方向孔21hは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。そして、これら中空穴21e及び径方向孔21f,21g,21hのそれぞれが連通して設けられることにより、スプール内油路27を構成している。
【0042】
これにより、上記フィードバックポートPfbに対して、上記径方向孔21gが開放している状態(スプール21が図中X2方向側に移動された状態)においては、該フィードバックポートPfbまで導かれたフィードバック圧が、該径方向孔21g、中空孔21e、及び径方向孔21hを介してフィードバック油室29まで導かれる。また、ドレーンポートPex2に対して、上記径方向孔21fが開放している状態(スプール21が図中X1方向側に移動された状態)においては、上記径方向孔21h、中空孔21e、及び該径方向孔21fを介してフィードバック油室29のフィードバック圧をドレーンする。
【0043】
ついで、上記構成に基づきリニアソレノイドバルブ1の作用について説明する。ターミナル18からマグネットワイヤに電力が供給されると(以下「ソレノイド部10に電力が供給される」という。)、非磁性体からなるボビン12bは磁気回路を構成しないので、強磁性体からなる、ヨーク13、一方のエンド部15、プランジャ11、他方のエンド部16に流れる磁気回路が形成される。該磁気回路に基づき、プランジャ11の一端面11bとエンド部15とが吸引部となってプランジャ11がエンド部15に引きつけられてX1方向側に駆動される。そして、上記プランジャ11のストローク量に基づき、プラグ25を介してスプール21がスプリング24に抗して移動し、スリーブ22に対するスプール21の位置が制御される。
【0044】
上記ターミナル18に対して供給された電力が0である状態、即ち非通電の状態にあっては、プランジャ11がストローク駆動されず、スプリング24の付勢力によって、スプール21、プラグ25、プランジャ11がX2方向側となる。すると、入力ポートPinに供給されているライン圧は大径ランド部21bによって遮断されると共に、出力ポートPoutは大径ランド部21aの位置に基づきドレーンポートPex1に連通され、出力油圧(油圧サーボの供給油圧)はドレーンされる。
【0045】
この際は、スリーブ内油路28、フィードバックポートPfb、及びスプール内油路27(径方向孔21g、中空孔21e、径方向孔21h)を介して出力ポートPoutに連通するフィードバック油室29内の油圧も0である。
【0046】
ついで、ソレノイド部10に電力の供給が開始されると、プランジャ11がX1方向側にストローク(駆動)され、プラグ25及びスプール21がスプリング24の付勢力に抗してX1方向側に移動される。すると、大径ランド部21aによってドレーンポートPex1が閉塞されると共に、大径ランド部21bの移動によって入力ポートPinと出力ポートPoutとが開口・連通して開口量が大きくされる。これにより、入力ポートPinのライン圧が該開口量に基づき絞られた形で出力ポートPoutに供給され、該出力ポートPoutより出力油圧が不図示の油圧サーボに対して出力される。
【0047】
この際、ソレノイド部10に対して供給される電力が、図2に示すように、比較的低い電流値である場合は、フィードバックポートPfbと径方向孔21gとが連通しているので、出力ポートPoutの出力油圧は、スリーブ内油路28及びスプール内油路27を介してフィードバック油室29まで導かれる。
【0048】
この状態にあっては、スプール21に対し、プランジャ11の駆動力、スプリング24の付勢力、フィードバック油室29のフィードバック力が作用し、ソレノイド部10に対して供給する電流の上昇に応じて出力油圧ガ上昇すると共に、該出力油圧に応じてフィードバック圧が上昇するため、出力油圧と電力との関係は図2中のYN/Cで示すような関係となる。従って、不図示の油圧サーボに供給する出力油圧を細やかにコントロールする必要がある、例えば摩擦係合要素が完全に係合状態となる係合油圧P1までの低油圧の領域にあって、摩擦係合要素のスリップ状態等の係合制御を精度よく行うことができる。
【0049】
続いて、ソレノイド部10に対して供給される電力が、比較的高い電流値となると、スプリング24の付勢力に抗してスプール21がX1方向側に移動されるのに伴い、連通していたフィードバックポートPfbと径方向孔21gとが序々に狭まる。これにより、スリーブ内油路28を介してスプール内油路27まで導かれている出力油圧が序々に遮断され、つまりフィードバック油室29にフィードバック圧が序々に供給されなくなる。さらに、上記径方向孔21fがドレーンポートPex2と連通し、つまりフィードバック油室29内に供給されていたフィードバック圧をスプール内油路27(径方向孔21h、中空孔21e、径方向孔21f)を介してドレーンポートPex2からドレーンして0にする。
【0050】
この状態にあっては、スプール21に対するフィードバック力が序々に作用しなくなり、該スプール21に対してプランジャ11の駆動力とスプリング24の付勢力とだけが作用する状態となる。これにより、出力油圧と電力との関係は図2中のYN/Cで示すような、供給される電力に比して出力油圧が急激に増加する関係となる。従って、不図示の油圧サーボに供給する出力油圧の細やかなコントロールが不要となった、例えば係合油圧P2までの高油圧の領域にあって、出力油圧を急上昇させることができる。なお、油圧P2は、例えば路面から駆動車輪が受ける急激なトルク変動等に対して摩擦係合要素が滑ることのない安全率を加味した圧、いわゆる完全係合圧である。
【0051】
以上のように、本発明に係るリニアソレノイドバルブ1は、出力油圧の高圧時にフィードバック作用をさせるフィードバック圧を自動的に低減させることができるので、図2中の従来の出力油圧と電流との関係ZN/Cに示すような、出力油圧を完全係合圧P2にするために必要な電流A2を、電流A1に低減することができる。即ち、ソレノイド部10のプランジャ11の最大駆動力性能を、電流A2に対応した駆動力から電流A1に対応した駆動力に低減することができるので、その分、ソレノイド部10のコイルアッセンブリ17等の大きさをコンパクト化することができる。
【0052】
これにより、例えば従来のようなライン圧の絞り量を制御するコントロールバルブ等を設けることなく、本リニアソレノイドバルブ1によって油圧サーボの係合油圧を調圧する性能を十分に持たせることができるものでありながら、ソレノイド部10を大型にすることなく、総合的に油圧制御装置を小型化することができる。
【0053】
また、出力ポートPoutとフィードバックポートPfbとを連通するフィードバック油路28が、バルブ部20のスリーブ22に形成されているので、油圧制御装置にフィードバック圧をフィードバック油室29まで導く油路を設けることを不要とすることができ、油圧制御装置を小型化することができる。また、例えばスリーブ22に2つの孔を穿設して、これら2つの孔を連通させる溝を外周部分に形成するだけの簡単な加工によりフィードバック油路28を形成することができ、つまり簡単な加工によりフィードバック油路28を構成することができる。
【0054】
また、フィードバックポートPfb及びフィードバック油室29、フィードバック油室29及びドレーンポートPex2をそれぞれ連通し得るスプール内油路27が、スプール21に形成されるときに、油圧制御装置にフィードバック圧をフィードバック油室29及びドレーンポートPex2に導く油路を設けることを不要とすることができ、油圧制御装置を小型化することができる。
【0055】
さらに、本リニアソレノイドバルブ1は、ノーマルクローズタイプであるときに、最大出力油圧P2を出力する際の消費電力をA2からA1に低減することができ、例えば摩擦係合要素の係合状態を維持する際における油圧制御のエネルギー効率を向上することができて、車輌の燃費を向上させることができる。
【0056】
次に、本発明に係る別の実施の形態としてのリニアソレノイドバルブ1について図3に沿って説明する。なお、以下の本実施の形態の説明においては、上述した実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
本実施の形態に係るリニアソレノイドバルブ1は、バルブ部20の構成が変更されている。該バルブ部20は、全体が略々スリーブ状に形成されたスリーブ22と、該スリーブ22の中空部分に摺動自在(長手方向に対して移動自在)に嵌挿しているスプール21を有しており、該スリーブ22に抜止め・固着されたエンドキャップ23とスプール21の先端に形成された穴部21jとの間にスプリング24が縮設されている。
【0058】
該スリーブ22には、図中上方より順に、後述のフィードバック油室29の油圧をドレーンし得るドレーンポートPex1、スロットル開度に応じて調圧されたライン圧(シフトレンジを切換えるマニュアルバルブ等を介して供給されるレンジ圧も含む)が入力される入力ポートPin、不図示の油圧サーボに連通する出力ポートPout、不図示の油圧サーボに供給した出力油圧をドレーン(排出)するためのドレーンポートPex2、が形成されている。
【0059】
また、上記入力ポートPinとドレーンポートPex1との間、即ち入力ポートPinに対してソレノイド部10側には、開口部分がバルブボディ99によって閉塞されることによって室状に形成され、後述するスプール21のランド径の違いによって入力された油圧がフィードバック圧として作用するフィードバック油室29が形成されている。さらに、上記入力ポートPinとフィードバック油室29との間には、外周側から内周側に向けて穿設されることにより形成されたフィードバックポートPfbが備えられている。そして、該スリーブ22には、外周側から出力ポートPoutに向けて穿設された油孔22bと、上記フィードバックポートPfbと、これら油孔22b及びフィードバックポートPfbを連通する溝22aと、が形成されており、該溝22aの外周側がバルブボディ99によって閉塞されることによって、フィードバック圧をフィードバック油室29に導入し得るスリーブ内油路(フィードバック油路)28が構成されている。
【0060】
なお、バルブボディ99には、これら各ポートPex1、Pin、Pout、Pex2に対応した位置に、油路99a,99b,99c,99dが形成されて、これらの各ポートに連通されており、即ち、油路99a,99dは不図示のオイルパンに向けて油を排出する油路であり、油路99bは不図示のライン圧を調圧するレギュレータバルブの調圧ポートに連通された油路であり、油路99cは摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の油圧サーボの作動油室に連通された油路である。
【0061】
上記スプール21は、2個の大径ランド部21b,21c及び1個の小径ランド部21aを有しており、該大径ランド部21aの上記プランジャ11側(X2方向側)には、座金26が配置されて、該座金26の底面がプラグ25の曲面状に形成された端部25bに当接されている。即ち、スプール21は、上記スプリング24の付勢力に抗して、ソレノイド部10のプランジャ11によりプラグ25を介して押圧駆動されるように構成されている。
【0062】
上記大径ランド部21b,21cは、小径ランド部21aの外径d2よりも大きい外径d1に形成されており、このうちの大径ランド部21cは、ソレノイド部10が非通電であってスプール21がプランジャ11に押圧されずにスプリング24によって付勢された位置である際に、出力ポートPoutとドレーンポートPex2とを遮断し、プランジャ11に押圧されて移動された際にそれら出力ポートPoutとドレーンポートPex2とを連通するように形成されている。
【0063】
大径ランド部21bは、スプール21がプランジャ11に押圧されずにスプリング24によって付勢された位置である際に、入力ポートPinと出力ポートPoutとを連通し、プランジャ11に押圧されて移動された際にそれら入力ポートPinと出力ポートPoutとの開口量を小さくするように形成されている。
【0064】
また、大径ランド部21bと小径ランド部21aとの間に形成されたくびれ部21iは、スプール21が移動されてもフィードバック油室29内に位置するように形成されており、それら大径ランド部21bと小径ランド部21aとの外径差(d1−d2)によって該フィードバック油室29に入力されるフィードバック圧がスプリング24の付勢方向と逆方向に作用するように、即ち上記出力ポートPoutと入力ポートPinとの開口量が小さくなる方向に作用するように構成されている。
【0065】
そして、スプール21にあって、これら大径ランド部21bと小径ランド部21aとの内部には、中空穴21eが穿設されており、該中空穴21eのX2方向側端部は、上記座金26により閉塞されている。また、上記小径のランド部21aには、スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21gが穿設されており、該径方向孔21gは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。さらに、上記大径ランド部21bには、スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21fが穿設されており、該径方向孔21fは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。また、スプール21の上記小径ランド部21aと大径ランド部21bとの間のくびれ部21iには、該スプール21の中心軸を通る径方向に径方向孔21hが穿設されており、該径方向孔21hは、上記中空穴21eとも連通するように設けられている。そして、これら中空穴21e及び径方向孔21g,21f,21hのそれぞれが連通して設けられることにより、スプール内油路27を構成している。
【0066】
これにより、上記フィードバックポートPfbに対して、上記径方向孔21fが開放している状態(スプール21が図中X1方向側に移動された状態)においては、該フィードバックポートPfbまで導かれたフィードバック圧が、該径方向孔21f、中空孔21e、及び径方向孔21hを介してフィードバック油室29まで導かれる。また、ドレーンポートPex1に対して、上記径方向孔21gが開放している状態(スプール21が図中X2方向側に移動された状態)においては、上記径方向孔21h、中空孔21e、及び該径方向孔21gを介してフィードバック油室29のフィードバック圧をドレーンする。
【0067】
ついで、上記構成に基づきリニアソレノイドバルブ1の作用について説明する。ソレノイド部10に電力が供給されると、非磁性体からなるボビン12bは磁気回路を構成しないので、強磁性体からなる、ヨーク13、一方のエンド部15、プランジャ11、他方のエンド部16に流れる磁気回路が形成される。該磁気回路に基づき、プランジャ11の一端面11bとエンド部15とが吸引部となってプランジャ11がエンド部15に引きつけられてX1方向側に駆動される。そして、上記プランジャ11のストローク量に基づき、プラグ25を介してスプール21がスプリング24に抗して移動し、スリーブ22に対するスプール21の位置が制御される。
【0068】
上記ターミナル18に対して供給された電力が0である状態、即ち非通電の状態にあっては、プランジャ11がストローク駆動されず、スプリング24の付勢力によって、スプール21、プラグ25、プランジャ11がX2方向側となる。このため、入力ポートPinに供給されているライン圧は出力ポートPoutより出力油圧が不図示の油圧サーボに対して出力される。
【0069】
ついで、ソレノイド部10に電力の供給が開始されると、プランジャ11がX1方向側にストローク(駆動)され、プラグ25及びスプール21がスプリング24の付勢力に抗してX1方向側に移動される。すると、大径ランド部21bの移動によって、連通していた入力ポートPinと出力ポートPoutとの開口量が小さくされる。これにより、入力ポートPinのライン圧が該開口量に基づき絞られた形で出力ポートPoutに供給され、該出力ポートPoutより出力油圧が不図示の油圧サーボに対して出力される。
【0070】
この際、ソレノイド部10に対して供給される電力が、図4に示すように、比較的低い電流値である場合は、フィードバックポートPfbと径方向孔21fとが閉塞されているので、出力ポートPoutの出力油圧は、フィードバック油室29まで供給されず、該フィードバック油室29内の油圧も0である。
【0071】
この状態にあっては、スプール21に対し、フィードバック力が作用せず、プランジャ11の駆動力とスプリング24の付勢力とだけが作用する状態となる。これにより、出力油圧と電力との関係は図4中のYN/Oで示すような、供給される電力に比して出力油圧が急激に減少する関係となる。従って、不図示の油圧サーボに供給する出力油圧を細やかにコントロールする不要である、例えば摩擦係合要素が完全に係合状態となる係合油圧P2までの高油圧の領域にあって、出力油圧の素早い制御を行うことができる。
【0072】
続いて、ソレノイド部10に対して供給される電力が、比較的高い電流値となると、スプリング24の付勢力に抗してスプール21がX1方向側に移動されるのに伴い、閉塞していたフィードバックポートPfbと径方向孔21fとが開口・連通して開口量が大きくされる。これにより、スリーブ内油路28及びスプール内油路27を介して出力油圧がフィードバック油室29に供給される。さらに、上記径方向孔21gとドレーンポートPex1とが閉塞され、つまりフィードバック油室29のフィードバック圧が序々に大きくなる。
【0073】
この状態にあっては、スプール21に対し、プランジャ11の駆動力、スプリング24の付勢力、フィードバック油室29のフィードバック力が作用しソレノイド部10に供給する電流の上昇に応じて出力油圧が減少すると共に、該出力油圧に応じてフィードバック圧が減少するため、出力油圧と電力との関係は図4中のYN/Oで示すような関係となる。従って、不図示の油圧サーボに供給する出力油圧を細やかにコントロールする必要がある、例えば摩擦係合要素が完全に係合状態となる係合油圧P1までの低油圧の領域にあって、摩擦係合要素のスリップ状態等の係合制御を精度よく行うことができる。
【0074】
以上のように、本発明に係るリニアソレノイドバルブ1は、ノーマルオープンタイプであるときに、出力油圧を非出力にする際の消費電力をA2からA1に低減することができ、例えば摩擦係合要素の解放状態を維持する際における油圧制御のエネルギー効率を向上することができて、車輌の燃費を向上させることができる。
【0075】
なお、上述した部分以外の構成、作用、及び効果は、上記実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0076】
なお、以上説明した本実施の形態及び別の実施の形態においては、付勢手段としてスプリングを用いるように説明したが、例えばゴム等を用いてもよく、つまりスリーブに対してスプールを付勢できるものであればどのような付勢手段を用いても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態に係るノーマルクローズタイプのリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図2】本実施の形態に係るリニアソレノイドバルブにおける電流と出力油圧との関係を示す図。
【図3】本発明の別の実施の形態に係るノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図4】本発明の別の実施の形態に係るリニアソレノイドバルブにおける電流と出力油圧との関係を示す図。
【符号の説明】
【0078】
1 ソレノイドバルブ
10 ソレノイド部
11 プランジャ
20,20 バルブ部
21 スプール
22 スリーブ
24 付勢手段(スプリング)
27 スプール内油路
28 フィードバック油路
29 フィードバック油室
Pin 入力ポート
Pout 出力ポート
Pfb フィードバックポート
Pex1、Pex2 ドレーンポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電力に応じてプランジャを駆動するソレノイド部と、前記プランジャの駆動力により付勢手段の付勢力に抗してスプールを移動することによって、入力油圧が入力される入力ポートと出力ポートとの開口量を調整すると共に、該出力ポートから出力される出力油圧を、前記開口量を小さくする方向にフィードバック作用させるフィードバック油室を有するバルブ部と、を備えたソレノイドバルブにおいて、
前記フィードバック油室に前記出力油圧を入力し得るフィードバックポートと、
前記フィードバック油室の前記出力油圧をドレーンし得るドレーンポートと、を備え、
前記出力油圧が大きくなる方向にスプールが移動するにつれて、フィードバックポートの開口量が小さくなると共にドレーンポートの開口量が大きくなる、
ことを特徴とするソレノイドバルブ。
【請求項2】
前記バルブ部は前記スプールを移動可能に収容するスリーブを備え、
前記スリーブに前記出力ポートと前記フィードバックポートとを連通するフィードバック油路を形成してなる、
ことを特徴とする請求項1記載のソレノイドバルブ。
【請求項3】
前記スプールは、前記フィードバックポートと前記フィードバック油室とを連通し得、かつ前記フィードバック油室と前記ドレーンポートとを連通し得るスプール内油路を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のソレノイドバルブ。
【請求項4】
前記ソレノイド部に対して非通電状態である際に、前記付勢手段の付勢力によって前記スプールにより前記入力ポートと前記出力ポートとが遮断されるノーマルクローズタイプである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のソレノイドバルブ。
【請求項5】
前記ソレノイド部に対して非通電状態である際に、前記付勢手段の付勢力によって前記スプールにより前記入力ポートと前記出力ポートとが連通されるノーマルオープンタイプである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のソレノイドバルブ。
【請求項6】
前記出力ポートから出力される出力油圧を摩擦係合要素の油圧サーボに供給し得る自動変速機の油圧制御装置に用いられてなる、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のソレノイドバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−8159(P2009−8159A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169682(P2007−169682)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】