説明

ソース組成物

【課題】グルテンを主成分とし、味と風味のいずれにも優れ、かつ、よりなめらかな食感を有するソース組成物を提供する。
【解決手段】
グルテン、ナトリウム、及びアスパラギン酸を含有し、
ナトリウムの含有量が該グルテン100質量部に対して5〜65質量部であり、アスパラギン酸の含有量が該グルテン100質量部に対して0.7〜4質量部である、ソース組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉を主成分とするソースとしては、例えばベシャメルソースが知られている。ベシャメルソースは小麦粉、バター及び牛乳をベースとしたソースであり、ホワイトソース又はホワイトソースの素とも呼ばれる。ベシャメルソースは一般的に、小麦粉とバターを炒った後、牛乳を加えて加熱し、さらに食塩等を加える工程を経て製造される。しかし、小麦粉はグルテンを豊富に含むため、食感のなめらかさに影響するダマ(ままこ)を生じやすく、ソースの品質には制約がある。
特許文献1には、小麦粉に代えて膨化処理米の粉や膨化処理トウモロコシの粉を用いるホワイトソースの製造法が開示されており、ダマの発生が抑えられることが記載されている。また、この方法で製造したホワイトソースは食感のなめらかさに優れることも記載されている。しかし、米粉やトウモロコシ粉は小麦粉とは異なる風味を有するため、特許文献1に記載の製造方法で製造したホワイトソースでは、小麦粉を用いた伝統的なホワイトソースの風味が得られない。また、特許文献2には、ホワイトソースを作製する際にアジピン酸架橋コーンスターチ等の架橋澱粉を添加する方法が、特許文献3には、膨潤抑制処理されない加工澱粉と、架橋澱粉および温熱処理澱粉とを併用する方法が開示されており、これらの方法で作製したホワイトソースは口当たりがよく滑らかな食感になることが記載されている。しかし、加工澱粉は独特の風味を有するため、これらの方法によっても小麦粉を用いた伝統的なホワイトソースの風味が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−294568号公報
【特許文献2】特開平9−262077号公報
【特許文献3】特開平11−18681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、グルテンを主成分とし、味と風味のいずれにも優れ、かつ、よりなめらかな食感を有するソース組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ベシャメルソースの製造において、アスパラギン酸及び/又はその塩、すなわち、アスパラギン酸もしくはアスパラギン酸の塩又はこれらの組み合わせを特定量添加すると、グルテンに由来するダマが生じにくくなり、ベシャメルソース本来の味と風味を有しながら、よりなめらかな食感のソースが得られることを見い出した。本発明はこの知見に基づいて完成させるに至ったものである。
【0006】
本発明は、グルテン、ナトリウム、及びアスパラギン酸を含有し、
ナトリウムの含有量が該グルテン100質量部に対して5〜65質量部であり、アスパラギン酸の含有量が該グルテン100質量部に対して0.7〜4質量部である、ソース組成物に関する。
また、本発明は、グルテンを含有するソース組成物の製造において、アスパラギン酸を配合することを含む、ダマ抑制方法に関する。
また、本発明は、グルテンを含有するソース組成物の製造方法であって、小麦粉100質量部に対して、塩化ナトリウムを1〜15質量部、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を0.1〜0.45質量部配合することを含む、製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のソース組成物は、ソースと調和した良好なグルテンの風味と深い味わいとを有し、しかもよりなめらかな食感をも有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のソース組成物について以下に詳細に説明する。
【0009】
本発明のソース組成物は、少なくともグルテン、ナトリウム及びアスパラギン酸を特定量含有するソースである。
【0010】
グルテンは、小麦、大麦、ライ麦等の穀類に含まれるタンパク質である。本発明のソース組成物には、グルテンそのものが配合されていてもよいが、通常には小麦粉等を配合することによりグルテンが配合される。
ソース組成物中のグルテンの含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0011】
本発明のソース組成物には、アスパラギン酸が含有される。なお、本発明にいうアスパラギン酸は、遊離(フリー)のアスパラギン酸又はアスパラギン酸塩の状態のものを指し、本発明に規定するアスパラギン酸の含有量は、アミノ酸分析装置により分析される遊離のアスパラギン酸の値をいう。本発明においては、アスパラギン酸塩を使用した場合は、塩の部分は塩として、アスパラギン酸の部分は、アスパラギン酸として本発明を構成する。
上記アスパラギン酸の塩に特に制限はないが、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウムであることが好ましく、アスパラギン酸ナトリウムであることがより好ましい。また、2種以上のアスパラギン酸の塩を配合することでアスパラギン酸を配合してもよい。
上記アスパラギン酸の塩は、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基のいずれか一方がアルカリ金属塩等に置換された塩であってもよく、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基の両方がアルカリ金属等に置換された塩であってもよく、また、これらの混合物であってもよい。また、本発明のソース組成物に含有されるアスパラギン酸はD体であってもL体であってもこれらの混合物であってもよいが、L体であることが好ましい。
本発明のソース組成物中のアスパラギン酸の含有量は、ソース中のグルテン100質量部に対して0.7〜4質量部であるが、食感、味及び風味の向上、カリウム由来の異味の抑制、酪酸臭の抑制、こくの向上、風味バランスの観点から、0.9〜4質量部であることが好ましく、1.5〜3.9質量部であることがより好ましく、1.8〜3.5質量部であることがより好ましく、2.2〜3.35質量部であることがより好ましく、2.2〜2.9質量部であることがより好ましく、2.4〜2.9質量部であることが更に好ましい。
【0012】
本発明のソース組成物は、特定量のナトリウムを含有する。当該ナトリウムは、食品成分表示上の「ナトリウム」または「Na」を指し、ソース組成物中に塩の形態で存在する。当該ナトリウムは、通常には配合されたナトリウム塩に由来する。当該ナトリウム塩に特に制限はなく、無機ナトリウム塩であっても有機酸のナトリウム塩であってもよい。上記無機ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム等が挙げられる。また、上記有機酸のナトリウム塩としては、グルタミン酸ナトリウムやアスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸のナトリウム塩、イノシン酸ナトリウムやグアニル酸ナトリウム等の核酸のナトリウム塩、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。本発明のソース組成物には、上記ナトリウム塩の1種又は2種以上を配合することができるが、塩化ナトリウムを好適に配合することができる。ナトリウム塩を配合する目的で、天然塩、天日塩、岩塩、食卓塩等の食塩を配合してもよい。
本発明のソース組成物中のナトリウムの含有量は、ソース組成物中のグルテン100質量部に対して5〜65質量部であるが、食感、味、風味の向上、こくの向上、風味バランスの観点から、5〜45質量部であることが好ましく、8〜45質量部であることがより好ましく、15〜45質量部であることがより好ましく、16〜29質量部であることが更に好ましい。
ソース組成物中のナトリウムの含有量は、原子吸光光度計を用いて測定することができる。
【0013】
本発明のソース組成物は、カゼインを含有することが好ましい。カゼインは乳製品に含まれるタンパク質である。本発明のソース組成物には、カゼインそのものが配合されていてもよいが、通常には牛乳等を配合することによりカゼインが配合される。
本発明のソース組成物中のカゼインの含有量は、味および風味の向上の観点から、ソース組成物中のグルテン100質量部に対して130〜550質量部であることが好ましく、130〜530質量部であることがより好ましく、130〜400質量部であることがより好ましく、180〜350質量部であることがより好ましく、200〜320質量部であることがさらに好ましい。
カゼインの含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0014】
本発明のソース組成物は、カリウムを含有することが好ましい。当該カリウムは、ソース組成物中に塩の形態で存在するものであり、通常には配合されたカリウム塩に由来する。当該カリウム塩に特に制限はなく、無機カリウム塩であっても有機酸のカリウム塩であってもよい。上記無機カリウム塩としては、塩化カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム等が挙げられる。また、上記有機酸のカリウム塩としては、グルタミン酸カリウムやアスパラギン酸カリウム等のアミノ酸のカリウム塩、イノシン酸カリウムやグアニル酸カリウム等の核酸のカリウム塩、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム、クエン酸三カリウム等が挙げられる。本発明のソース組成物には、上記カリウム塩の1種又は2種以上を配合することができるが、塩化カリウムを好適に配合することができる。
本発明のソース組成物中のカリウムの含有量は、食感、味及び風味の向上の観点から、ソース組成物中のグルテン100質量部に対して10〜75質量部であることが好ましく、10〜65質量部であることがより好ましく、12〜65質量部であることがより好ましく、16〜55質量部であることが好ましく、37〜54質量部であることが更に好ましい。
ソース組成物中のカリウムの含有量は、原子吸光光度計を用いて測定することができる。
【0015】
本発明のソース組成物は、食感、味及び風味の向上の観点から、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の総含有量1質量部中のナトリウムの割合(Na/(Na+K))が0.15〜0.75質量部であることが好ましく、0.38〜0.75質量部であることがより好ましい。また、ナトリウムの摂取量を減らす観点も考慮すると、当該ナトリウムの割合は0.2〜0.45質量部であることもまた好ましい。
【0016】
以下、本発明のソース組成物の調製の例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のソース組成物は、例えば、小麦粉と、バターと、牛乳と、塩化ナトリウムと、アスパラギン酸及び/又はその塩と、所望により塩化カリウムとを特定量加熱混合し、各成分を均質に含有せしめることで得られうる。本発明において「加熱混合」とは、加熱しながら混合すること及び加熱後の余熱下で混合することの双方を含む概念である。
各材料を加熱混合する順序に特に制限はない。各材料は順次加熱混合してもよく、各材料をすべて配合してから、これを加熱して混合してもよい。また、材料の一部を予め配合したもの(又はこれを加熱混合したもの)同士を加熱混合してもよい。
上記各材料の加熱混合の好ましい態様においては、小麦粉とバターとを加熱混合し、これに牛乳を加えて加熱することで小麦粉とバターと牛乳とを加熱混合する。塩化ナトリウム、アスパラギン酸及び/又はその塩並びに塩化カリウムは、前記の小麦粉とバターと牛乳とを加熱混合する工程のいずれかの段階で同時に又は別々に添加することができ、また、前記の小麦粉とバターと牛乳とを加熱混合した後に添加してもよい。
本発明のソース組成物の好ましい調製方法の例について以下でさらに詳細に説明するが、いずれも本発明を限定するものではない。
【0017】
本発明のソース組成物の調製においては、最初に小麦粉とバターとを加熱混合することが好ましい。この加熱混合は、小麦粉をバターと共に加熱することで行うことが好ましい。前記小麦粉としては、ふるいにかけて細かくしたものが好適に用いられる。使用する小麦粉とバターの量比は、小麦粉100質量部に対してバター50〜150質量部であることが好ましく、70〜130質量部であることがより好ましく、80〜120質量部であることがさらに好ましい。加熱時間と加熱温度に特に制限はないが、小麦粉が焦げないように加熱することが好ましく、通常には弱火で0.5〜10分間、好ましくは1〜5分間攪拌しながらバターと小麦粉が均一に混ざるまで加熱する。加熱温度は通常には50〜200℃、好ましくは70〜150℃である。
【0018】
本発明のソース組成物の調製に用いる小麦粉に特に制限はなく、食用として用いられる通常の小麦粉を用いることができる。前記小麦粉としては、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、浮き粉、全粒粉又はこれらの混合物等が挙げられるが、中力粉及び/又は薄力粉であることが好ましく、薄力粉であることがより好ましい。前記小麦粉として市販品を用いることができる。
本発明のソース組成物の調製に用いるバターは牛乳を原料として製造されたものが好ましい。前記バターは食塩を含有していてもよいし、無塩であってもよいが。無塩であることが好ましい。前記バターとして市販品を用いることができる。
【0019】
牛乳は、小麦粉とバターとを加熱混合した後に加えることで、小麦粉及びバターと加熱混合することが好ましい。加える牛乳の量は、前記小麦粉100質量部に対して500〜1500質量部であることが好ましく、700〜1300質量部であることがより好ましく、800〜1200質量部であることがさらに好ましい。加える際の牛乳の温度に特に制限はないが、10〜90℃であることが好ましく、30〜80℃であることがより好ましい。ダマの発生をより抑えるために、牛乳は少量ずつ、加熱攪拌しながら加えていくことが好ましい。加熱温度と加熱時間に特に制限はないが、牛乳が加熱前の60〜98質量%、より好ましくは70〜95質量%まで濃縮される程度まで弱火〜中火で焦げないように加熱攪拌することが好ましい。したがって、加熱温度は好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜150℃であり、加熱時間は好ましくは3〜120分、より好ましくは5〜60分、さらに好ましくは7〜30分である。
本発明のソース組成物の調製に用いる牛乳に特に制限はなく、成分が調整されたものであっても無調整のものであってもよい。前記牛乳として市販品を用いることができる。
【0020】
本発明のソース組成物は、主として塩化ナトリウムにより塩味が付与されることが好ましい。
本発明のソース組成物の製造において、配合される塩化ナトリウムの量は、配合される小麦粉100質量部に対して、1〜15質量であることが好ましく、1〜13質量部であることが好ましく、1.5〜11質量部であることがより好ましく、2.5〜7質量部であることがさらに好ましい。この塩化ナトリウムには、前記バター中に含有される塩化ナトリウムも含まれる。
本発明のソース組成物の調製において、塩化ナトリウムがソース組成物中に均質に溶解すれば、塩化ナトリウムを添加するタイミングに特に制限はない。例えば、塩化ナトリウムは、小麦粉をバターで炒める際、炒めた小麦粉とバターに牛乳を加える際、加えた牛乳を加熱混合する際、及び加えた牛乳を加熱混合した後のいずれの段階で添加してもよい。加えた牛乳を加熱混合した後に塩化ナトリウムを添加する場合には、余熱により塩化ナトリウムを加熱混合してもよいし、さらに加熱しながら塩化ナトリウムを混合してもよい。また、塩化ナトリウムは少量ずつに分けて添加してもよい。
塩化ナトリウムは市販品を用いることができる。また塩化ナトリウムとして天然塩等を用いてもよい。
【0021】
本発明のソース組成物は、さらに塩化カリウムを含有することが好ましい。塩化カリウムを含有することで、ソース組成物中のダマの発生をより抑えることができる。また、塩化カリウムも塩味を有するため、塩化カリウムを加えることでより少ない塩化ナトリウムにより所望の塩味を付与することができ、ナトリウム塩の摂取量を抑えることができる。
本発明のソース組成物の調製において、配合される塩化カリウムの量は、配合される小麦粉100質量部に対して0〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、3〜7質量部であることがさらに好ましい。
本発明のソース組成物の調製において、塩化カリウムがソース組成物中に均質に溶解すれば、塩化カリウムを添加するタイミングに特に制限はない。例えば、塩化カリウムは、小麦粉をバターで炒める際、炒めた小麦粉とバターに牛乳を加える際、加えた牛乳を加熱混合する際、及び加えた牛乳を加熱混合した後のいずれの段階で添加してもよい。加えた牛乳を加熱混合した後に塩化カリウムを添加する場合には、余熱により塩化カリウムを加熱混合してもよいし、さらに加熱しながら塩化ナトリウムを混合してもよい。また、塩化カリウムは少量ずつに分けて添加してもよい。
【0022】
本発明のソース組成物は、アスパラギン酸及び/又はその塩を含有する。アスパラギン酸及びその塩は、小麦粉のダマの発生を抑える効果があり、ソース組成物の食感をよりなめらかにする効果がある。
アスパラギン酸及び/又はその塩としては、アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウムが好ましく、特にアスパラギン酸ナトリウムが好ましい。また、アスパラギン酸及びその塩から選ばれる2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記アスパラギン酸の塩に特に制限はなく、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基のいずれか一方がアルカリ金属等に置換された塩であってもよく、アスパラギン酸が有する2つのカルボキシル基の両方がアルカリ金属等に置換された塩であってもよく、また、これらの混合物であってもよい。また、D体であってもL体であってもこれらの混合物であってもよいが、L体であることが好ましい。
本発明のソース組成物の調製において、配合されるアスパラギン酸及び/又はその塩の量は、配合される小麦粉100質量部に対して0.1〜0.45質量部であることが好ましく、0.2〜0.42質量部であることが好ましく、0.26〜0.4質量部であることがより好ましい。
本発明のソース組成物の調製において、アスパラギン酸及び/又はその塩がソース組成物中に均質に溶解すれば、アスパラギン酸及び/又はその塩を添加するタイミングに特に制限はない。例えば、アスパラギン酸及び/又はその塩は、小麦粉をバターで炒める際、炒めた小麦粉とバターに牛乳を加える際、加えた牛乳を加熱混合する際、及び加えた牛乳を加熱混合した後のいずれの段階で添加してもよい。加えた牛乳を加熱混合した後にアスパラギン酸及び/又はその塩を添加する場合には、余熱によりアスパラギン酸及び/又はその塩を加熱混合してもよいし、さらに加熱しながらアスパラギン酸及び/又はその塩を混合してもよい。また、アスパラギン酸及び/又はその塩は少量ずつに分けて添加してもよい。
【0023】
本発明のソース組成物の調製において、上記の塩化ナトリウム、塩化カリウム並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加する順序に特に制限はない。また上記の塩化ナトリウム、塩化カリウム並びにアスパラギン酸及び/又はその塩は同時に添加してもよい。
【0024】
本発明のソース組成物は、さらに塩化ナトリウム及び塩化カリウム以外の無機塩類、天然調味料、ブイヨン、アミノ酸(アスパラギン酸及びその塩を除く)、糖類、有機酸等の風味強化剤、香辛料、ハーブ、ゴマ等の天然物、ビタミン、固結防止剤、酸化防止剤、発色剤、着色料、乳化剤、増量剤、流動化剤、品質改善剤等を含有していてもよい。本発明のソース組成物の製造において、これらの成分を添加するタイミングに特に制限はなく。目的に応じて所望のタイミングで添加することができる。
【0025】
上述のように製造したソース組成物の質量は、配合した原料の仕込み量全体の30〜98質量%となっていることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明のソース組成物の形態に特に制限はなく、例えば、ペースト、ルー等の形態が挙げられる。所望の形態にするために、上記で調製したソース組成物にさらに加工を施したものも本発明のソース組成物に包含される。
本発明のソース組成物は、例えば、ベシャメルソース、ホワイトソース又はその素、クリームシチューソース又はその素、チャウダーソース又はその素、グラタンソース又はその素、クリームパスタソース又はその素、ラザニアソース又はその素、ドリアソース又はその素等として用いることができる。
例えば、本発明のソース組成物を用いてシチュー、グラタン、クリームコロッケ、ドリア、バスタ等の料理を作ることができる。
また、本発明のソース組成物は、材料を追加して種々のソースを作ることができる。例えば、チーズを加えてモルネーソースを、トマトピューレを加えてオーロラソースを作ること等もできる。
【0027】
続いて、本発明のダマ抑制方法について説明する。
本発明のダマ抑制方法は、グルテンを含有するソース組成物の製造において生じるグルテン由来のダマの形成を抑制する方法である。本発明のダマ抑制方法では、グルテンを含有するソース組成物の製造工程において、アスパラギン酸を配合することを含む。
【0028】
本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物中のグルテンは、グルテンを含有する穀類、例えば、小麦粉等の配合によりソース組成物中に配合されたものである。この場合において、配合されるアスパラギン酸及び/又はその塩の量は、配合される小麦粉100質量部に対して0.1〜0.45質量部であることが好ましく、0.2〜0.42質量部であることが好ましく、0.26〜0.4質量部であることがより好ましい。
【0029】
本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物は、食感、味、風味の向上、こくの向上、風味バランスの観点から、グルテン100質量部に対してナトリウムを5〜65質量部含有することが好ましく、より好ましくは5〜45質量部、さらに好ましくは8〜45質量部、さらに好ましくは15〜45質量部、さらに好ましくは16〜29質量部含有する。ソース組成物中に含有されるナトリウムの定義とその由来は、前述の本発明のソース組成物の説明において記載したとおりである。
【0030】
また、本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物は、味、及び風味向上の観点から、グルテン100質量部に対してカゼインを130〜550質量部を含有することが好ましく、130〜530質量部含有することがより好ましく、130〜400質量部含有することがさらに好ましく、180〜350質量部含有することがさらに好ましく、200〜320質量部含有することがさらに好ましい。
【0031】
また、本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物は、食感、味及び風味の向上の観点から、グルテン100質量部に対してカリウムを10〜75質量部含有することが好ましく、10〜65質量部含有することがより好ましく、12〜65質量部含有することがさらに好ましく、16〜55質量部含有することがさらに好ましく、37〜54質量部含有することがさらに好ましい。ソース組成物中に含有されるカリウムの定義とその由来は、前述の本発明のソース組成物の説明において記載したとおりである。
【0032】
本発明のダマ抑制方法において、アスパラギン酸の配合量は、ソース組成物の食感、味、風味の向上、カリウム由来の異味の抑制、酪酸臭の抑制、こくの向上、風味バランスの観点から、グルテン100質量部に対して0.7〜4質量部であることが好ましく、より好ましくは0.9〜4質量部、さらに好ましくは1.5〜3.9質量部、さらに好ましくは1.8〜3.5質量部、さらに好ましくは2.2〜3.35質量部、さらに好ましくは2.2〜2.9質量部、さらに好ましくは2.4〜2.9質量部である。配合するアスパラギン酸の由来は、前述の本発明のソース組成物の説明において記載したとおりである。
【0033】
本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物は、食感、味及び風味の向上の観点から、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の総含有量1質量部中のナトリウムの割合(Na/(Na+K))が0.15〜0.75質量部であることが好ましく、0.38〜0.75質量部であることがより好ましい。また、ナトリウムの摂取量を減らす観点も考慮すると、当該ナトリウムの割合は0.2〜0.45質量部であることもまた好ましい。ソース組成物中に含有されるカリウムの定義とその由来は、前述の本発明のソース組成物の説明において記載したとおりである。
【0034】
本発明のダマ抑制方法の好ましい態様は、前述の本発明のソース組成物の調製方法の例に準じる。すなわち、少なくとも小麦粉と、バターと、牛乳と、塩化ナトリウムと、アスパラギン酸及び/又はその塩と、所望により塩化カリウムとを加熱混合して均質化する工程を含むことが好ましい。各成分の配合量、配合するタイミングについても前述の本発明のソース組成物の調製方法の例と同様である。また、本発明のダマ抑制方法に係るソース組成物の製造において、塩化ナトリウム及び塩化カリウム以外の無機塩類、天然調味料、ブイヨン、アミノ酸(アスパラギン酸及びその塩を除く)、糖類、有機酸等の風味強化剤、香辛料、ハーブ、ゴマ等の天然物、ビタミン、固結防止剤、酸化防止剤、発色剤、着色料、乳化剤、増量剤、流動化剤、品質改善剤等を配合してもよい。
本発明のダマ抑制方法によりダマの形成が抑制されたソース組成物は、例えば、ベシャメルソース、ホワイトソース又はその素、クリームシチューソース又はその素、チャウダーソース又はその素、グラタンソース又はその素、クリームパスタソース又はその素、ラザニアソース又はその素、ドリアソース又はその素として用いることができる。
【0035】
続いて、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、グルテンを含有するソース組成物の製造方法であって、小麦粉100質量部に対して、塩化ナトリウムを1〜15質量部、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を0.1〜0.45質量部配合することを含む。本発明の製造方法では、前述のソース組成物の調製の例と同様の配合組成で各原料が配合されることが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
[アスパラギン酸の分析]
ソース組成物10gに蒸留水10gを添加しホモジナイザー(ULTRA DISPERSER LK-22、ヤマト科学社製)により10000rpmで5分間の条件でホモジナイズした。ホモジナイズした溶液を遠心分離装置(CF7D2、日立製作所製)により3000rpm、4℃、30分間の条件で遠心分離し、その上清3mlを0.02N塩酸で100mlに定溶しサンプルとした。サンプルをアミノ酸分析計(日立L−8800)により測定した。
【0038】
[Na及びKの分析]
ソース組成物10gに蒸留水10gを添加しホモジナイザー(ULTRA DISPERSER LK-22、ヤマト科学社製)により10000rpmで5分間の条件でホモジナイズした。ホモジナイズした溶液を遠心分離装置(CF7D2、日立製作所製)により3000rpm、4℃、30分間の条件で遠心分離し、その上清3mlを0.02N塩酸で100mLに定溶しサンプルとした。サンプルを原子吸光光度計(偏光ゼーマン原子吸光光度計 日立 Z−6100)を用いて測定した。
【0039】
[グルテンの分析]
ソース組成物中のグルテン量は、モリナガFASPEK牛乳測定キット(グリアジン)を用いて、以下の方法で測定した。
ソース組成物をミキサーで粉砕し、均質化した。均質化された検体1gをポリプロピレン製50ml容遠心管に取り、検体抽出液(測定キットに付属の検体希釈液:抽出液A液:抽出液B液:精製水=1:1:1:17の割合で混合した溶液)19mlを加えてよく振り混ぜて混合し、90〜110往復ストローク/分、室温、振とう幅3cm程度で12時間以上振とうした。抽出液のpHを中性付近(pH6.0〜8.0)になるように調整し、3000rpmで20分間、室温で遠心し、上清を分取した。この上清を、測定キットに付属の検体希釈液I(測定キットに付属の検体希釈液を精製水で20倍に希釈したもの)を用いて容量基準で20倍希釈した。更に、検体希釈液Iにより希釈したものをグリアジン濃度が標準溶液の範囲内(0.78〜50ng/ml)となるように容量基準で8,000倍〜160,000倍に検体希釈液IIを用いて希釈し、測定溶液とした。
測定キットに付属の抗体固相化プレートを室温に戻し、各ウェルに測定溶液を100μlずつ添加してからふたをして室温で1時間静置した。ウェル内の溶液を完全に除去し、各ウェルあたり250〜300μlずつの洗浄液で6回洗浄した。測定キットの付属の酵素標識抗グリアジン抗体溶液を各ウェルに100μlずつ分注した。ふたをして室温で30分間静置してからウェル内の溶液を完全に除去し、各ウェルあたり250〜300μlずつの洗浄液で6回洗浄し、測定キットに付属の酵素基質溶液を各ウェルに100μlずつ分注した。ふたをして室温遮光下で10分間静置し、測定キットに付属の反応停止液を各ウェルに100μlずつ分注した。プレートリーダーを用いて主波長450nm、副波長600〜650nmの条件で吸光度を測定し、同時に測定した標準溶液の吸光度より作成した標準曲線に基づき検体中の小麦グリアジン濃度を求めた。グルテン濃度は、グリアジン濃度×85/33として算出した。
【0040】
[カゼインの分析]
ソース組成物中のカゼイン量は、モリナガFASPEK牛乳測定キット(カゼイン)を用いて、以下の方法で測定した。
ソース組成物をミキサー等で粉砕し、均質化した。均質化された検体1gをポリプロピレン製50ml容遠心管に取り、検体抽出液(測定キットに付属の検体希釈液:抽出液A液:抽出液B液:精製水=1:1:1:17の割合で混合した溶液)19mlを加えてよく振り混ぜて混合し、90〜110往復ストローク/分、室温、振とう幅3cm程度で12時間以上振とうした。抽出液のpHを中性付近(pH6.0〜8.0)になるように調整し、3000rpmで20分間、室温で遠心して上清を分取した。この上清を、測定キットに付属の検体希釈液I(測定キットに付属の検体希釈液を精製水で20倍に希釈したもの)を用いて容量基準で20倍希釈した。更に、検体希釈液Iにより希釈したものをカゼイン濃度が標準溶液の範囲内(0.78〜50ng/ml)となるように容量基準で160,000倍〜3,200,000倍に検体希釈液IIを用いて希釈し、測定溶液とした。
測定キットに付属の抗体固相化プレートを室温に戻し、各ウェルに測定溶液を100μlずつ添加してからふたをして室温で1時間静置した。ウェル内の溶液を完全に除去し、各ウェルあたり250〜300μlずつの洗浄液で6回洗浄した。測定キットの付属の酵素標識抗カゼイン抗体溶液を各ウェルに100μlずつ分注した。ふたをして室温で30分間静置してからウェル内の溶液を完全に除去し、各ウェルあたり250〜300μlずつの洗浄液で6回洗浄し、測定キットに付属の酵素基質溶液を各ウェルに100μlずつ分注した。ふたをして室温遮光下で10分間静置し、測定キットに付属の反応停止液を各ウェルに100μlずつ分注した。プレートリーダーを用いて主波長450nm、副波長600〜650nmの条件で吸光度を測定し、同時に測定した標準溶液の吸光度より作成した標準曲線に基づき、検体中のカゼイン濃度を求めた。
【0041】
[製造例1] ソース組成物(ベシャメルソース)の製造
16メッシュのふるいにかけた小麦粉(薄力粉、日清製粉社製)50gと無塩バター(雪印乳業社製)50gを鍋に入れて、弱火に2分間かけて攪拌しながら焦がさないように炒めた。次に常温の牛乳(明治乳業社製)500gを徐々に加えて、5分間攪拌した後、中火に変え、さらに2分間攪拌した。その後、弱火に変えて2分間攪拌した後、下記表1に示す量の塩化ナトリウム(NaCl、和光純薬社製)、塩化カリウム(KCl、和光純薬社製)及びアスパラギン酸ナトリウム(L体、Asp−Na、和光純薬社製)を加えて、1分間弱火にかけながら攪拌を続けることで31種類の組成の異なるソース組成物を得た。ソース組成物の製造過程で水分が蒸発し、得られたソース組成物は初期の仕込み量全体の90質量%となった。
上記31種類のソース組成物のうち、本発明のソース組成物に包含されるものを本発明品(1)〜(19)とし、包含されないものを比較品(1)〜(12)とした。各ソース組成物を25℃まで冷ましたものを後述の試験に用いた。
【0042】
【表1】

【0043】
[試験例1] ソース組成物の官能評価
上記製造例で得られた各ソース組成物について、食感、味、風味、こく、及び風味のバランスをそれぞれ下記評価基準により評価した。評価数値は3人の専門パネルによる協議の上で決定した。結果を下記表2に示す。
【0044】
食感の評価基準:
5:ダマがほとんどなく、食感が非常になめらかである。
4:ダマが少なく、食感がなめらかである。
3:ダマがやや少なく、食感がややなめらかである。
2:ダマがやや多く、食感がややぼそぼそしている。
1:ダマが多く、食感がぼそぼそしている。
【0045】
味の評価基準:
4:カリウム由来の異味を感じない。
3:カリウム由来の異味をほとんど感じない。
2:カリウム由来の異味をやや感じる。
1:カリウム由来の異味を感じる。
【0046】
風味の評価基準:
4:不快な酪酸臭を感じない。
3:不快な酪酸臭をほとんど感じない。
2:不快な酪酸臭をやや感じる。
1:不快な酪酸臭を感じる。
【0047】
こくの評価基準:
5:ミルクのこくをかなり強く感じる。
4:ミルクのこくをより強く感じる。
3:ミルクのこくを感じる。
2:ミルクのこくをほとんど感じない。
1:ミルクのこくを感じない。
【0048】
風味のバランス:
5:ソースとして風味のバランスが非常に良い。
4:ソースとして風味のバランスが良い。
3:ソースとして風味のバランスがやや良い。
2:ソースとして風味のバランスにやや悪い。
1:ソースとして風味のバランスが悪い。
上記「風味のバランス」とは、風味、味、厚みが、調和している度合いをいう。
結果を下記表2に示す。なお、表2には、上記分析方法で分析したアスパラギン酸(Asp)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びカゼインの含有量、並びにこれらの値から導きだしたNaとKの総量1質量部に占めるNaの割合(質量部、Na/(Na+K))、Naの質量に対するAspの質量(Asp/Na)も併せて示す。
【0049】
【表2】

【0050】
表2の結果から、ソース組成物中のアスパラギン酸の含有量が少ないと、ダマが多くなって食感が悪化する傾向があった。この傾向はナトリウムに対するカリウムの割合を増やすことで改善してくるものの、カリウムの割合が増えると味が悪化する傾向が認められた(比較品(1)〜(5)、(9)〜(11)参照)。
また、ソース組成物中のアスパラギン酸の含有量が多いと、ダマの発生がほぼ抑えられるが、味や風味バランスが悪かった(比較品(6)、(7)及び(12)参照)。
さらに、ナトリウムの含有量が少ないソース組成物は、味が著しく劣るものであり(比較品(2)、(8)及び(10)参照)、さらにアスパラギン酸の含有量も低い場合には、風味、こく及び風味バランスのいずれも劣る結果となった(比較品(2)及び(10)。
一方、本発明品(1)〜(19)のソース組成物は、食感、味、風味、こく、風味バランスのいずれも良好であった。
【0051】
[製造例2] ホワイトシチューの製造
製造例1で作製したベシャメルソース150gに牛乳(明治乳業社製)125g、水100gを加え、全体が325gになるまで中火で加熱し、ホワイトシチュー1〜8を得た。ホワイトシチュー1〜8と、使用したベシャメルソースとの対応関係を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
[試験例2] ホワイトシチューの官能評価
上記製造例2で得られたホワイトシチューについて、その食感、味、風味及びこくのそれぞれを上記評価基準により、風味を下記評価基準により評価した。評価数値は3人の専門パネルによる協議の上で決定した。結果を下記表4に示す。
【0054】
風味のバランス:
5:ホワイトシチューとして風味のバランスが非常に良い。
4:ホワイトシチューとして風味のバランスが良い。
3:ホワイトシチューとして風味のバランスがやや良い。
2:ホワイトシチューとして風味のバランスがやや悪い
1:ホワイトシチューとして風味のバランスが悪い。
上記「風味のバランス」とは、風味、味、厚みが、調和している度合いをいう。
【0055】
結果を表4に示す。なお、参考のため、表4には、ホワイトシチューを試料として上記分析方法で分析して得られたナトリウム(Na)、カリウム(K)、アスパラギン酸(Asp)およびカゼインの含有量、並びにこれらの値から導きだしたNaとKの総量1質量部に占めるNaの割合(質量部、Na/(Na+K))についても併せて示した。
【0056】
【表4】

【0057】
表4に示すとおり、アスパラギン酸の含有量が本発明で規定するよりも少ないベシャメルソースを用いて調製したシチュー5〜7は、ダマの影響で食感が悪く、風味や風味のバランスにも明らかに劣っていた。アスパラギン酸の含有量が本発明で規定するよりも多いベシャメルソースを用いて調製したシチュー8もまた、風味のバランスが悪かった。
一方、ナトリウム、カリウム及びアスパラギン酸の含有量が本発明で規定する範囲内にあるベシャメルソースを用いて調製したホワイトシチュー1〜4は、食感、味、風味、こく、風味のバランスのいずれも良好であった。
【0058】
[製造例3] グラタンの製造
製造例1の方法で調製したベシャメルソース150gに牛乳(明治乳業社製)75gを少量ずつ加えながら中火で加熱混合し、全体が215gになるようにした。その内、50gを耐熱性の皿にいれ、200℃のオーブン(NE−N200、National)で5分間加熱し、グラタン1〜8を得た。使用したベシャメルソースとの対応関係を表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
[試験例3] グラタンの官能評価
上記製造例3で得られたグラタンについて、食感、味、風味及びこくのそれぞれを上記評価基準により、風味のバランスを下記評価基準により評価した。評価数値は3人の専門パネルによる協議の上で決定した。結果を下記表6に示す。
【0061】
風味のバランス:
5:グラタンとして風味バランスが非常に良い。
4:グラタンとして風味バランスが良い。
3:グラタンとして風味バランスがやや良い。
2:グラタンとして風味バランスがやや悪い
1:グラタンとして風味バランスが悪い。
上記「風味のバランス」とは、風味、味、厚みが、調和している度合いをいう。
【0062】
結果を下記表6に示す。なお、参考のため、表6には、グラタンを試料として上記分析方法で分析して得られたナトリウム(Na)、カリウム(K)、アスパラギン酸(Asp)およびカゼインの含有量、並びにこれらの値から導きだしたNaとKの総量1質量部に占めるNaの割合(質量部、Na/(Na+K))についても併せて示した。
【0063】
【表6】

【0064】
表6に示すとおり、アスパラギン酸の含有量が本発明で規定するよりも少ないベシャメルソースを用いて調製したグラタン5〜7は、ダマの影響で食感が悪く、風味や風味のバランスにも明らかに劣っていた。アスパラギン酸の含有量が本発明で規定するよりも多いベシャメルソースを用いて調製したグラタン8もまた、風味のバランスが悪かった。
一方、ナトリウム、カリウム及びアスパラギン酸の含有量が本発明で規定する範囲内にあるベシャメルソースを用いて調製したグラタン1〜4は、食感、味、風味、こく、風味のバランスのいずれも良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルテン、ナトリウム、及びアスパラギン酸を含有し、
ナトリウムの含有量が該グルテン100質量部に対して5〜65質量部であり、アスパラギン酸の含有量が該グルテン100質量部に対して0.7〜4質量部である、ソース組成物。
【請求項2】
カゼインを含有し、カゼインの含有量がグルテン100質量部に対して130〜550質量部である、請求項1に記載のソース組成物。
【請求項3】
カリウムを含有し、カリウムの含有量がグルテン100質量部に対して10〜75質量部である、請求項1又は2に記載のソース組成物。
【請求項4】
ナトリウム及びカリウムの総含有量1質量部中のナトリウムの割合が0.15〜0.75質量部である、請求項3に記載のソース組成物。
【請求項5】
グルテン、ナトリウム、及びアスパラギン酸を含有し、
ナトリウムの含有量が該グルテン100質量部に対して5〜45質量部であり、アスパラギン酸の含有量が該グルテン100質量部に対して0.7〜4質量部である、ソース組成物。
【請求項6】
カゼインを含有する、請求項5に記載のソース組成物。
【請求項7】
カリウムを含有し、カリウムの含有量がグルテン100質量部に対して10〜65質量部である、請求項5又は6に記載のソース組成物。
【請求項8】
ナトリウム及びカリウムの総含有量1質量部中のナトリウムの割合が0.15〜0.75質量部である、請求項7に記載のソース組成物。
【請求項9】
ナトリウム及びカリウムの総含有量1質量部中のナトリウムの割合が0.2〜0.45質量部である、請求項8に記載のソース組成物。
【請求項10】
アスパラギン酸の含有量が、グルテン100質量部に対して2.2〜3.35質量部である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のソース組成物。
【請求項11】
アスパラギン酸がアスパラギン酸ナトリウムに由来する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のソース組成物。
【請求項12】
ソース組成物が、ベシャメルソース、ホワイトソース又はその素、クリームシチューソース又はその素、チャウダーソース又はその素、グラタンソース又はその素、クリームパスタソース又はその素、ラザニアソース又はその素及びドリアソース又はその素から選ばれる組成物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のソース組成物。
【請求項13】
グルテンを含有するソース組成物の製造において、アスパラギン酸を配合することを含む、ダマ抑制方法。
【請求項14】
グルテン100質量部に対してアスパラギン酸を0.7〜4質量部配合する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
グルテンを含有するソース組成物の製造方法であって、小麦粉100質量部に対して、塩化ナトリウムを1〜15質量部、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を0.1〜0.45質量部配合することを含む、製造方法。

【公開番号】特開2012−213386(P2012−213386A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67241(P2012−67241)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】