説明

ソーセージ処理装置およびソーセージ処理システム

【課題】ループ状に吊り下げられているソーセージ連続体を長尺の竿に移し替える工程並びに当該竿を次の加熱工程へ搬送する搬送装置へソーセージを移戴する工程を自動化することにより、ソーセージの生産効率を向上させることができるソーセージ処理装置およびソーセージ処理システムを提供する。
【解決手段】竿Rをフック63に吊り下げられたソーセージのループ内に挿通させる竿支持手段1と、竿支持手段1に支持されている竿Rの両端部を受け取る一対の竿受け部を有し、竿Rの両端部を支持した状態で上方の所定位置まで上昇させる第1移戴手段2と、上方の所定位置で第1移戴手段2により支持されている竿Rの両端部を受け取って支持する一対の竿支持部を有するとともに、ソーセージ連続体91を次工程に移送する移送装置4へ移戴する第2移戴手段3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捻り部を介して連鎖状に連結された複数のソーセージ連続体を加熱工程に送り込むに際し、ループ状に形成された所定数のソーセージ連続体を長尺の竿に挿通させて吊下げた後、これを下流側へ移送し、下流側の所定位置において、ソーセージを加熱工程へ搬送する搬送装置にソーセージ連続体が吊り下げられた竿を移し替える、ソーセージ処理装置およびソーセージ処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソーセージの製造プロセスは、一般的に、挽肉等からなるエマルジョンを羊腸、豚腸、牛腸または人工ケーシング等の筒体に押し出して一定量充填するとともに、捻りによって連鎖状に連結された複数のソーセージ連続体(以下、単に「ソーセージ連続体」と記す。)を形成する充填工程と、ソーセージ連続体を所定数のループにして長軸の竿に吊り下げる竿掛け工程と、ソーセージを加熱工程へ移送する移送装置に前記竿を移戴する移戴工程と、ソーセージ連続体を竿ごと加熱処理する加熱工程と、加熱処理後の連鎖状ソーセージ連続体を1個ずつ切り離す切断工程とからなる。
【0003】
上記竿掛け工程としては、充填工程から所定数のソーセージ連続体が送り出される毎に、ルーパ装置等のループ形成手段のフックにいったん吊り下げて当該ソーセージ連続体をループ状にした後、長軸の竿に移し替える方法が広く採用されている。
【0004】
ソーセージの製造工場において、上述のルーパ装置等のフックに吊り下げられているソーセージ連続体を長軸の竿に移し替えて当該竿を次の加熱工程へ移送する移送装置に移戴するという一連の作業は、人手により実施されているのが通常である。
【0005】
上記竿掛け工程から移戴工程までの一連の作業について詳述すると、それらの一連の作業を実施するための作業員を配置し、当該作業員がループ形成手段の搬送駆動をいったん停止させるとともに、予め用意された長軸の竿をループ形成手段のフックにループ状に吊り下げられているソーセージ連続体に挿通させ、当該竿を次の加熱工程へ搬送する搬送装置に移戴している。
【0006】
上述のように、本発明に関連する従来の技術を出願人の知得した一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人は、本発明の特徴に直接関連した内容が開示されている先行技術文献を現段階では認識していないため、本明細書では、先行技術文献情報の記載は行っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、近年、充填工程で用いられる充填機の性能が向上し、ソーセージ連続体を形成する生産能力が著しく高まっている。そして、ソーセージの製造プロセスの高速化を図るためには、上記充填機の性能に合わせて、ソーセージ連続体を所定数のループにして長軸の竿に吊り下げる竿掛け工程と、ソーセージを加熱工程へ移送する移送装置に竿を移戴する移戴工程とを自動化または半自動化することにより生産効率を向上させることが要望されている。
【0008】
しかしながら、従来は、竿掛け工程から移戴工程までの一連の作業を実施するための作業員を配置して当該作業を実施するため、作業に要する時間が長いうえに、竿掛け工程の度にルーパ装置等のループ形成手段の搬送駆動を停止させる必要があることから、装置を含む処理システム全体としての単位時間当たりの処理能力が低くなり、生産効率が低下するという問題があった。
【0009】
また、ソーセージ連続体が吊り下げられた竿を作業員が次の加熱工程へ移送する移送装置へ移戴するため、特に、羊腸や豚腸を用いたソーセージの場合、竿を移戴した時の振動で隣接する左右のソーセージが接触し、ソーセージを損傷させる恐れがある。
【0010】
したがって、本発明は、前記問題点を解決することを課題としてなされたものであり、その目的とするところは、ループ状に吊り下げられている連鎖状ソーセージ連続体を長尺の竿に移し替える工程並びに当該竿を次の加熱工程へ移送する移送装置へソーセージを移戴する工程を自動化することにより、それらの一連の作業を実施するための作業員の省人化を図ることができるとともに、ソーセージ処理システム全体としての単位時間当たりの処理能力を高めてソーセージの生産効率を向上させることができるソーセージ処理装置およびソーセージ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のソーセージ処理装置における発明では、第1の回転中心と第2の回転中心との間を循環移動する無端循環体に設けられた多数のフックに、捻り部を介して連鎖状に連結されたソーセージ連続体をループ状に吊り下げて搬送するループ形成手段と、前記フックに吊り下げられているソーセージ連続体の先頭ループの前方に、かつ、他端部が先頭ループに臨む位置に竿の一端部を着脱可能に支持し、当該竿を前記フックに吊り下げられたソーセージ連続体のループ内に挿通させる竿支持手段と、前記竿支持手段に支持されている竿の両端部を受け取って支持する一対の竿受け部を有し、前記竿の軸方向と実質的に直交する水平方向に離間して前記ソーセージ連続体のループに竿を当接させるとともに、当該ソーセージ連続体のループを前記フックから離脱させて竿へ移し替え、さらに、竿の両端部を支持した状態で上方の所定位置まで上昇させる第1移戴手段と、前記上方の所定位置において、前記第1移戴手段により支持されている竿の両端部を受け取って支持する一対の受け取り支持部を有し、ソーセージ連続体を次工程に移送する移送手段へ移戴する第2移戴手段を具備していることを特徴としたものである。
【0012】
また、本発明のソーセージ処理システムにおける発明では、筒体に充填物を充填するとともに、前記筒体に所定の間隔あけて捻り部を設けることで複数のソーセージを数珠繋ぎに連続的に形成して送り出す充填装置と、前記充填装置の下流側に配置された請求項1から請求項4のいずれかに記載のソーセージ処理装置と、前記請求項1から請求項4のいずれかに記載のソーセージ処理装置における第2移戴手段の近傍に配置された、ソーセージ連続体を次工程に移送する移送手段とを具備してなることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ループ状に吊り下げられている連鎖状ソーセージ連続体を長尺の竿に移し替える工程並びに当該竿を次の加熱工程へ移送する移送装置へソーセージを移戴する工程を自動化することにより、それらの一連の作業を実施するための作業員の省人化を図ることができるとともに、ソーセージ処理システム全体としての単位時間当たりの処理能力を高めてソーセージの生産効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムTの概略側面図である。
【図2】ソーセージ処理システムTの概略側面図である。
【図3】竿支持手段1の構成および動作を説明する側面図である。
【図4】竿支持手段1の竿支持部材11を説明する斜視図である。
【図5】(a)図2におけるB方向から見た第1移戴手段2の移戴機構2aの側面図である。(b)図2におけるC方向から見た第1移戴手段2の移戴機構2bの側面図である。
【図6】第1移戴手段2における前進・後退動作を説明する動作説明図である。
【図7】第2移戴手段3の平面図である。
【図8】図1におけるA方向から見た第2移戴手段3の移戴部材3aの作動を説明する側面図である。
【図9】移送装置4における支持フック41の動作状態を説明する概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムの実施の形態を添付図面に従って説明する。なお、以降の説明では、図面を参照することで実施の形態の理解を容易にするため、図面に表された具体的構成を説明するうえで特定の場所や方向を意味する用語(例えば、「上方」、「下方」「左」、「右」およびそれらの派生語、並びに「時計回り方向」、「反時計回り方向」)等を便宜上用いるが、これらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるべきものではない。
【0016】
また、本発明は、羊腸を用いた「ウインナーソーセージ」、豚腸を用いた「フランクフルト」、牛腸を用いた「ボロニアソーセージ」、人工ケーシングを用いたソーセージの製造に等しく適用できることから、本明細書および特許請求の範囲に記載されている「ソーセージ」の用語は、「ウインナーソーセージ」、「フランクフルト」および「ボロニアソーセージ」を含む広い意味を有するものと理解されるべきである。
【0017】
1.ソーセージ処理システム全体構成
図1は、本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムTの概略側面図であり、図2は、ソーセージ処理システムTの概略側面図である。また、図3は、竿支持手段1の構成および動作を説明する側面図であり、図4は、竿支持手段1の竿支持部材11を説明する斜視図である。さらに、図5(a)は、図1におけるB方向から見た第1移戴手段2の移戴機構2aの側面図、図5(b)は、図1におけるC方向から見た移戴機構2bの側面図である。図6は、第1移戴手段2における前進・後退動作を説明する動作説明図である。図7は、第2移戴手段3の平面図であり、図8は、図1におけるA方向から見た第2移戴手段3の移戴部材3aの作動を説明する側面図である。
【0018】
図示のとおり、本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムTは、大略、捻り部を介して連鎖状に連結された複数のソーセージ連続体を形成して送り出す充填装置50と、充填装置50の下流側に配置され、当該充填装置50から所定数のソーセージ連続体を送り出される毎にフックにいったん吊り下げて当該ソーセージ連続体をループ状にする、ループ形成手段としてのルーパ装置65と、主にCPU、記憶手段等のハードウェア部分と、ソーセージ処理システムTの作動プログラム等のソフトウェア部分とで構成され、ソーセージ処理システムT全体の制御を司る制御装置(図示せず)とから構成されている。
【0019】
2.充填装置の構成
充填装置50は、挽肉等からなるエマルジョンを羊腸、豚腸、牛腸または人工ケーシング等の筒体に押し出して一定量充填するとともに、充填物が充填された筒体をその長手方向に所定の間隔をあけて数回(例えば、3回)捻ってソーセージ連続体91を形成するものであり、充填装置50にて製造されたソーセージ連続体91は、出口シュート51から受渡し領域Sに送り出される。
【0020】
3.ルーパ装置の構成
ルーパ装置65は、図面の左右方向に延在する本体フレーム60を備えている。本体フレーム60は、後述する竿支持手段1の近傍に配置されたスプロケット61aと、受渡し領域Sの近傍に配置されたスプロケット61bとを備えている。各スプロケット61a、61bは、本体フレーム60に設けられた鉛直の回転軸(図示せず)に回転自在に支持されており、少なくともいずれか一方がモータ等の駆動源(図示せず)に接続されている。
【0021】
また、スプロケット61aまたはスプロケット61bのいずれか一方には、例えば、ロータリーエンコーダ(図示せず)が設けられており、フック63が1ピッチ移動するごとにクロックパルス信号が制御装置に出力されるとともに、制御装置において上記クロックパルス信号のパルス数がカウントされるようにしてある。そして、ロータリーエンコーダから出力されるクロックパルス信号のパルス数が、制御装置に予め設定されたカウント値になると、制御装置がルーパ装置65の駆動源の駆動を停止させる。
【0022】
図2に示すように、エンドレスチェーン62は、スプロケット61a、61bに巻回されて支持されており、駆動源の回転駆動により時計回り方向に所定の駆動速度で回転駆動するよう構成されている。また、エンドレスチェーン62には、多数のフック(引掛け部材)63が所定のピッチで搭載されている。本実施の形態において、フック63は細長い棒部材からなり、先端部(自由端側)に引掛け部64が形成されている。引掛け部64は、フック63の先端がエンドレスチェーン62の進行方向(図2における時計回りの方向)に向かって逆レの字状に形成されており、フック63が受渡し領域Sを通過する際に、ソーセージ連続体91の捻り部を引掛けて吊持できるように構成されている。
【0023】
受渡し領域Sの下方には、充填装置50の出口シュート51から排出されてフック63に吊持されながら移動するソーセージ連続体91と接触させ、該ソーセージ連続体91に接触抵抗を付与する接触抵抗部材70が配置されている。
【0024】
接触抵抗部材70は、当該接触抵抗部材70の入口端から出口端にかけて下り勾配をなす傾斜部71が形成されており、接触抵抗部材70に接触したソーセージ連続体91がフック63の移動方向(エンドレスチェーン62の移動方向)に無理なく搬送されるようにしてある。これにより、出口シュート51から排出されてフック63に引掛けて吊持されたソーセージ90は、その下端部が接触抵抗部材70に接触し、捻り部の戻りに対して接触抵抗力が働き、捻り部の緩み戻りが防止される。なお、接触抵抗部材70の詳細な構成については、例えば、本出願人による特開2006−223249号公報に記載されている。
【0025】
接触抵抗部材70の出口端近傍には、そこからエンドレスチェーン62の移動方向(図における左側の方向)に延在する作業テーブル81が配置されており、当該作業テーブル81が本体フレーム60に固定されている。また、作業テーブル81は、隣接するフック63間に4本のソーセージ90を掛けたとき、支持されたソーセージ90の下端が作業テーブル81と接触する高さ、すなわち、ソーセージ90の2本分の長さ以下の高さとなるようにしてある。
【0026】
フック63の移動方向(エンドレスチェーン62の移動方向)の下流側には、湯槽80が配置されている。湯槽80は、フック63に吊持された状態で搬送されるソーセージ90の捻り部、特に、ソーセージ90の始端部と終端部の捻り部を加熱することで該捻り部の捻り戻りを防止するものである。このため、湯槽80には、例えば、約80℃±5℃に保持された一定量の湯83が貯留されている。
【0027】
また、湯槽80のフック63の移動方向の長さは、エンドレスチェーン62の駆動速度によっても異なるが、湯83にソーセージ90の各捻り部を約10秒〜20秒浸漬させておくことが可能な大きさとなっている。その他、湯温を一定に保持するため、湯槽80には、温度検出器、加熱装置(ヒータ)、温度検出器により検出された湯温が設定温度以下場合に起動する例えば、サーモスタット等の制御装置が付設されている。
【0028】
また、ソーセージ連続体91の捻り部を確実に湯83に浸漬させて加熱する目的から、湯槽80の液面レベルも一定に保持する必要がある。このため、湯槽80には、例えば、フロートスイッチ等の液面検出器、液体供給装置、液面検出器により検出された液面レベルが設定値以下のときに液体供給装置を起動させて湯83を補充する制御装置が付設されている。
【0029】
図示のとおり、フック63に吊持されているソーセージ連続体91の捻り部を除く当該ソーセージ連続体91の捻り部を湯83に浸漬させることから、湯83の液面および湯槽80の上端位置は作業テーブル81よりも高い位置にある。そのため、作業テーブル81から湯槽80へ円滑にソーセージ連続体91を案内させるため、作業テーブル81と湯槽80との間にはフック63の移動方向に向かって上り勾配をなす傾斜テーブル82aが設けられている。また、湯槽80の下流側には、湯槽80から搬出されたソーセージ連続体91の自重によってフック63と接触している捻り部に張力が加わらないよう、フック63の移動方向に向かって下り勾配をなす傾斜テーブル82bが設けられている。
【0030】
図1に示すように、傾斜テーブル82bの下流側(紙面に向かって左側)には、多数のフック63に吊持されたソーセージ連続体91がタクト搬送されながら水平方向に移動するソーセージ連続体91を長尺の竿Rに移し替える竿掛け領域Qが確保されている。また、竿掛け領域Qにおける上方の所定位置(第2移戴手段3の略直上位置)には、竿Rの両端を支持した状態でソーセージ90の加熱工程に向けて矢印X´方向へ移送するための移送置4が待機している。この移送装置4の構成については後述する。
【0031】
次に、本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムTの特徴的な構成について説明する。図示のとおり、ルーパ装置65は、さらに、竿掛け領域Qにおいて、フック63に吊り下げられているソーセージ連続体91の先頭ループの前方に、かつ、他端部が先頭ループに臨む位置に竿Rの一端部を着脱可能に支持し、竿Rをフック63に吊り下げられたソーセージ連続体91のループ内に挿通させる竿支持手段1と、竿支持手段1に支持されている竿Rの両端部を受け取って支持する一対の竿受け部20a、20bを有するとともに、竿Rの軸方向と実質的に直交する水平方向(第1移戴手段2側)に離間してソーセージ連続体91のループに竿Rを当接させてソーセージ連続体91のループをフック63から離脱させて竿Rへ移し替え、さらに、竿Rの両端部を支持した状態で上方の所定位置まで上昇させる第1移戴手段2と、上記上方の所定位置において、第1移戴手段により支持されている竿の両端部を受け取って竿の両端部を支持する一対の竿支持部31a、31bを有し、次工程のソーセージ連続体91を加熱工程に移送する移送装置4へ移戴する第2移戴手段3とを備えている
【0032】
4.竿支持手段の構成
図3に示すように、竿支持手段1は、大略、支持された竿Rを後述する第1移戴手段2へ移し替えるための駆動源としてのエアシリンダ10と、竿Rの一端部を着脱自在に支持する竿支持部材11とから構成されている。
【0033】
エアシリンダ10は、シリンダ内に設けられた往復運動可能なピストン(図示せず)と、このピストンの一方に取付けられたピストンロッド10aとを有する公知の単動式のエアシリンダが用いられる。竿支持部材11は、例えば、竿Rの直径よりも約2mm〜4mm程度大きな貫通孔11aを内部に有する略円筒形状の部材からなり、その先端部が半割状に形成されている。竿支持部材11は、さらに、貫通孔11a内を矢印Z´−Z方向に往復運動可能なピストン13a並びにこのピストン13aの一方に連結されたロッド13を備えている。
【0034】
また、図4に示すように、竿支持部材11の先端部(半割状に形成されている部分)には、竿Rが竿支持部材11から押し出された時に生じる振動により竿Rの後端部(竿支持部材11に挿入されている部分)の位置がずれないようにするための位置決め用ストッパー14が略鉛直に取り付けられている。
【0035】
図1、図2および図3に戻り、シリンダ10おけるピストンロッド10aの先端と竿支持部材11におけるロッド13の一端部とが連結部材12を介して連結されているとともに、シリンダ10と竿支持部材11のそれぞれが略平行に配置されるよう、ブラケット等の保持部材(図示せず)にて保持することで竿支持手段1を構成する。そして、竿支持手段1は、ソーセージ処理装置Tにおける竿掛け領域Qの下流側に配置される。具体的には、竿支持手段1は、竿Rを所定の角度θをもって傾斜させて支持するよう、スプロケット61aの鉛直の回転軸(図示せず)の近傍の本体フレーム60に取り付けられる。
【0036】
なお、竿支持手段1をルーパ装置65の本体フレーム60に取り付ける際の上記所定角度θ、すなわち、竿Rの傾斜角度θは、フック63に吊持されてループ状に形成されたソーセージ連続体91に竿Rを円滑に挿通させるうえで、例えば、約2度〜5度傾斜させると好適であることが発明者らの実験で確認されている。
【0037】
5.竿支持手段の動作
上述のように構成された竿支持手段1の動作を図3、図4を参照して説明する。竿支持手段1の初期状態は図3に示す状態となっている。竿支持部材11に竿Rを装着すると、竿Rの後端がピストン13aと当接し、当該竿Rが竿支持部材11に支持される。
【0038】
そして、制御装置(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、圧縮空気がエアシリンダ10内に供給されると、ピストンロッド10aが矢印Z方向に付勢して後退する。それと同時に、ピストンロッド10aの先端部に接続された連結部材12を介して竿支持部材11内のピストン13aが矢印Z方向に付勢するとともに、ピストン13aが竿Rを矢印方向に押し出す。押し出された竿Rは、図4に示すように、竿支持部材11の先端近傍に待機している第1移戴手段2の竿受け部20aと、竿受け部20aと対向する所定位置に待機している竿受け部20b(図示せず)とに移戴される。
【0039】
その後、上記制御装置から出力される制御信号に基づいて、圧縮空気の供給を停止すると、ピストンロッド10aが矢印Z´方向に前進し、その先端に接続された連結部材12を介して竿支持部材11内のピストン13aが初期位置に戻る。
【0040】
6.第1移戴手段の構成
次に、図1、図2、図5および図6を参照して第1移戴手段2ついて説明する。第1移戴手段2は、竿掛け領域Qにおけるフック63の下方位置において、フック63の移動方向に関して下流側に配置された移戴機構2aと、移戴ユニット2aに所定の間隔をあけて対向配置された移戴機構2bとから構成されており、移戴機構2aと移戴機構2bとは互いに協同して作動するよう制御される。なお、移戴機構2aと移戴機構2bとの間に形成されているスペースは、各移戴機構2a、2bのメンテナンスや、ソーセージの処理プロセスにおいて作業員が作業を行うスペースに用いられる。
【0041】
図5(a)に示すように、第1移戴手段2の移戴機構2aは、竿Rを戴置する先端部が略V字状に形成された竿受け部20aが支持板200aの先端部に固着されている。また、支持板200aの下方に配置されているシリンダ取付け板210aの両端面に2本の復動式のエアシリンダ21aが鉛直方向に取付けられているとともに、各エアシリンダ21aのシリンダロッドの先端と上記支持板200aの裏面とが固着されている。つまり、支持板200aとシリンダ取付け板210aとが2本のエアシリンダ21aを介して固定、支持されている。これにより、2本のエアシリンダ21aが作動することで、竿受け部20aおよび支持板200aの構成部材が矢印ロ方向および矢印ホ方向へ昇降可能となっている。
【0042】
上記シリンダ取付け板210aの下方には、基台230aが該シリンダ取付け板210aと略平行となるように配置されている。また、当該基台230aの表面には、LMガイドレール23aが敷設されているとともに、LMガイド22aがLMガイドレール23aに沿って矢印ハ方向および矢印イ方向に摺動自在に設けられている。また、モータ24の出力軸240aが基台230aの表面から突出するよう、該基台230aの裏面側からモータ24aが鉛直方向に設けられている。
【0043】
上記モータ24aの出力軸240aには、駆動アーム25aが取付けられているとともに、駆動アーム25aの他端とコネクティングアーム26aの一端とがカラー250aを介して支軸(図示せず)により回動可能に連結されている。さらに、コネティングアーム26aの他端と、LMガイド22aの上面に取付けられ、モータ24a側に延在する固定アーム260aの一端とが支軸290aにより回動可能に連結されている。
【0044】
上記固定アーム260a他端面には支柱280aが立設されており、固定アーム260aの上面と上記シリンダ取付け板210aの裏面とが固定、支持されている。つまり、シリンダ取付け板210aと基台230aとは、支柱280a、固定アーム260、LMガイド22aおよびLMガイドレール23aを介して固定、支持されている。
【0045】
上述の構成により、モータ24aを駆動させると、駆動アーム25aを介してコネティングアーム26aが揺動し、固定アーム260aを介して取付けられているLMガイド22aが上記モータ24aの回転運動を直線運動に変換することとなる。その結果、竿受け部20aおよび支持板200aの構成部材を搭載しているシリンダ取付け板210aが矢印イ方向および矢印ハ方向へ進退可能となる。
【0046】
上記竿受け部20aおよび支持板200aの構成部材を搭載しているシリンダ取付け板210aが矢印イ方向および矢印ハ方向へ前進・後退する動作について、図6を参照して詳述する。
【0047】
7.第1移戴手段の動作
図6(a)は、LMガイド22aが後退した初期状態を示している。モータ24aを駆動させると、回転軸240aが時計回り方向に回転するとともに、固定アーム25aもそれに従って時計回り方向(矢印方向)に回転し、それに追随してコネクティングアーム26aが揺動する。図6(b)に示すように、コネクティングアーム26aが揺動すると、該コネクティングアーム26aの他端がLMガイドレール23a上のLMガイド22aによって矢印方向へ案内され、上記モータ24aの回転運動が直線運動に変換される。図6(c)に示すように、さらに、固定アーム25aがさらに回転(初期位置から180度回転)すると、それに追随してコネクティングアーム26aがさらに揺動し、LMガイドレール23a上のLMガイド22aを移動量の上限まで前進させる。その後、固定アーム25aがさらに回転して該固定アーム25aが1回転すると、LMガイドレール23a上のLMガイド22aが後退して初期位置に復帰する。
【0048】
なお、本実施の形態において、LMガイドレール23a上のLMガイド22a水平移動量(初期位置から移動量の上限までの距離)は、例えば、約80mmに設定されている。
【0049】
図5に戻り、基台230aの裏面における一端面と他端面には、該基台230aの下方に設けられた昇降装置(図示せず)から鉛直に延在する昇降用支柱27aによりそれぞれ固定、支持されている。これにより、第1移戴手段2の移戴機構2a全体が矢印ニ方向および矢印ヘ方向に昇降可能となっている。
【0050】
次に、第1移戴手段2の移戴機構2bについて説明する。図5(b)に示すように、竿受け部20bの外側に面する側方位置(図2におけるC方向側の位置)には、シャッタ201が設けられている。このシャッタ201は、竿支持手段1により付勢されて押し出された竿Rを第1移戴手段2が受け取る際に、その付勢力で竿Rの先端が竿受け部20bの外側に飛び出すことを防止するための所謂ストッパーである。
【0051】
上記シャッタ201は、例えば、アクチュエータ等の空圧機器(図示せず)に連結されており、制御装置(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、竿受け部20bの外側に面する側方位置に到来するように矢印ト方向へ突出し、また、竿受け部20bの外側に面する側方位置から矢印チ方向へ退避するように構成されている。具体的に説明すると、図6(c)に示す状態、すなわち、LMガイド22a、22bが移動量の上限まで前進した後、0.2sec〜0.3sec遅延してシャッタ201が矢印ト方向へ突出し、竿受け部20bの側方位置で停止する。そして、図6(a)に示す状態、すなわち、LMガイド22a、22bが後退して初期位置に復帰した後、矢印ト方向へ突出していたシャッタ201が矢印チ方向へ退避するようにしてある。
【0052】
竿支持手段1により付勢されて押し出された竿Rを第1移戴手段2が受け取った時、すなわち、竿Rが竿受け部20a、20bに着地した時、竿Rが竿受け部20a、20b上で弾む場合がある。この竿Rの弾みを瞬時に収束させる理由から、上述のように、シャッタ201を0.2sec〜0.3sec遅延させて矢印ト方向へ突出させている。なお、移戴機構2bの以降の構成については、図5(a)と図5(b)とを比較すれば明らかなように、移戴機構2aの構成にシャッタ201bが付加されているだけであり、その他の構成部分は全て同一であるので説明を省略する。
【0053】
8.第2移戴手段の構成
次に、図1、図2、図7および図8を参照して第2移戴手段3について説明する。第2移戴手段3は、竿掛け領域Qにおけるフック63の上方位置において、フック63の移動方向に関して下流側に配置された移戴部材3aと、移戴部材3aに所定の間隔をあけて対向配置された移戴部材3bとから構成されている。なお、符号35は、竿Rが第1移戴手段2支持されて上昇する際に、竿Rの先端が軸方向(図7の紙面に向かって左側の方向)にずれないようにするために配置された位置決めガイドである。
【0054】
移戴部材3aは、大略、先端部にV字状の傾斜部30が形成された竿支持部31aと、竿支持部31aと一体的に接続され、基端部が支軸36aにより回動可能に連結されたアーム35aと、竿支持部31aの裏面側に設けられた先端形状が楔形の竿案内部32aとから構成されている。上記竿案内部32aは、その基端部と竿支持部31aの側面とが支軸33aにより回動可能に連結されている。また、竿支持部31aの裏面側にはストッパー34aが立設されており、竿案内部32aの側面の角度が傾斜部30の傾斜角度と略等しい角度となる位置で支持するようにしてある。なお、移戴部材3bは、上記移戴部材3aと勝手違い対称の部材であるので説明を省略する。
【0055】
移戴部材3a、3bの竿案内部32a、32bが互いに対向するよう所定の間隔をあけて竿掛け領域Qにおけるフック63の上方位置に配置する。ここで、上記構成からなる第2移戴手段3に、第1移戴手段2(図示せず)から竿Rが案内されて移し替えられる作動状態について、図8を参照して説明する。
【0056】
9.第2移戴手段の動作
図8(a)に示すように、竿Rの両端を支持している第1移戴手段2(図示せず)が、昇降装置(図示せず)により、矢印Y方向(竿掛け領域Qにおけるフック63の上方位置)へ上昇する過程で、竿Rと竿案内部32aとが当接し、竿案内部32aの支軸33aを支点にしてその先端が矢印方向に跳ね上げられる。図8(b)に示すように、竿Rが矢印Y方向の所定位置で停止すると、竿Rの上昇により跳ね上げられた竿案内部32aが自重で矢印方向に傾動する。そして、竿支持部31aがストッパー34aと当接し、傾斜部30の傾斜角度と竿案内部32aの側面とが略等しい角度となる位置で支持される。
【0057】
第1移戴手段2のエアシリンダ21a、21bが作動し、竿受け部20a、20bおよび支持板200a、200b(共に図示せず)の構成部材が所定距離下降するに伴って竿Rが所定距離下降すると、該竿Rが竿案内部32aの側面に戴置されて第1移戴手段2による竿Rの支持が解除される。そして、図8(c)に示すように、竿案内部32aの側面に戴置された竿Rは、傾斜部30の傾斜角度と略等しい角度となる位置で支持されている竿案内部32aの側面を滑りながら傾斜部30の谷の部分まで案内され、第2移戴手段3への竿Rの移し替えが完了する。
【0058】
10.ソーセージを加熱工程へ移送する移送装置の構成
次に、図1および図9を参照して竿Rの両端を支持した状態でソーセージ90の加熱工程へ移送するための移送装置4について簡単に説明する。図9は、移送装置4における支持フック41の動作状態を説明する概略側面図である。竿掛け領域Qにおける上方の所定位置(第2移戴手段3の略直上位置)には、竿Rの両端を支持した状態でソーセージ90の加熱工程に向けて矢印X´方向へ移送するための搬送装置4が待機している。この移送装置4は、竿Rが加熱工程へ移送されると、再び空の移送装置4がX方向に移送されて上記所定位置に復帰するよう構成されている。
【0059】
移送装置4は、フレーム42の両端面に設けられ、基端部が支軸43を支点にして時計方向・反時計方向に90度回転可能に構成された支持フック41と、フレーム42とからなる。また、支軸43は、図示しない回転機構が接続されており、作業員による押し釦操作によって支持フック41が支軸43を支点にして時計回り方向・反時計回り方向に90度回転するようにしてある。
【0060】
11.ソーセージ処理システム全体の動作
次に、図1〜図9を参照しながら、本発明に係るソーセージ処理装置を採用したソーセージ処理システムTの全体動作について説明する。ソーセージの製造時において、ルーパ装置65は、モータ等の駆動源(図示せず)の駆動に基づいてエンドレスチェーン62が時計回り方向に所定速度で移動し、充填装置50の出口シュート51から所定数のソーセージ44が送り出される毎に各フック63がソーセージ連続体91の捻り部を引掛けてこれを吊持する。そして、フック63が1ピッチ移動するごとにロータリーエンコーダ(図示せず)からクロックパルス信号が出力されるとともに、制御装置(図示せず)において上記クロックパルス信号のパルス数がカウントされる。
【0061】
各フック63が受渡し領域Sを通過するタイミングは、充填装置50の出口シュート51から送り出されてくるソーセージ連続体91の捻り部が丁度フック63に引掛けられるように設定されている。
【0062】
一のフック63が受渡し領域Sを通過し、次の他の一のフック63が受渡し領域Sに到来するまでの間に充填装置50から送り出されるソーセージ90の数は、製造されるソーセージ90の長さに応じて異なるが、受渡領域Sにおいて、フック63と接触抵抗部材70との距離、すなわち、接触位置の高さを製造されるソーセージ1本分の長さ以下に調整することにより、例えば、最初と2番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられた場合でも、また、最後と最後から2番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられた場合でも、フック63に掛けられた最初および最後のソーセージ90はその下端部が接触抵抗部材70と接触することとなる。
【0063】
したがって、捻りを戻す力はソーセージ90と接触抵抗部材70との接触力によって打ち消され、捻り戻りが防止される。最初から2番目と3番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられる場合、また、最後から2番目と3番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられる場合も同様で、既に接触抵抗部材70とこれに接触しているソーセージ90と間に生じる接触抵抗力が捻りの戻りを防止する。
【0064】
エンドレスチェーン62の移動とともに接触抵抗部材を通過した各ソーセージ90は、作業テーブル81の上を移動する。このとき、上述のように、フック63から作業テーブル81までの高さがソーセージ2本分以下に設定されているため、最初から2番目と3番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられている場合や、最後から2番目と3番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられている場合でも、最初と最後のソーセージ90は必ず作業テーブル81と接触する。
【0065】
その接触により生じる摩擦が、最初と最初から2番目のソーセージ90の間にある捻り部、最後と最後から2番目にある捻り部の戻りに抵抗する。なお、最初と最初から2番目のソーセージ90の間にある捻り部、最後と最後から2番目のソーセージ90の間にある捻り部がフック63に掛けられることもあり得るが、その場合、捻り部の戻りはフック63との接触によって防止される。
【0066】
フック63に引掛けられて吊持されたソーセージ90は、作業テーブル81上を通過すると、傾斜テーブル82aの上り勾配に沿って徐々に案内されながら湯槽80に搬入され、ソーセージ連続体91の捻り部(フック63に掛けられている捻り部を除く。)が湯槽80内の湯83に浸漬される。その結果、湯72に浸漬された捻り部が加熱されて硬化し、捻り部の戻ろうとする力が除去される。湯槽80から搬出されたソーセージ連続体91は傾斜テーブル82bの下り勾配に沿って徐々に下方に案内され、続く竿掛け領域Qへ送り込まれる。
【0067】
多数のフック63に吊持されてループ状に形成されたソーセージ連続体91は、タクト搬送されながら竿掛け領域Qへ順次到来するとともに、竿支持手段1に予めセットされた竿Rに順次挿通されて行く。そして、ロータリーエンコーダから出力されるクロックパルス信号のパルス数が、制御装置に予め設定されたカウント値になると、制御装置がルーパ装置65の駆動源の駆動を停止させる。これに伴い、エンドレスチェーン62の搬送が停止する。
【0068】
エンドレスチェーン62の搬送が停止すると、第1移戴手段2のモータ24a、24bが同時に駆動する。そして、図5に示すように、モータ24a、24bが駆動すると、駆動アーム25a、25bを介してコネティングアーム26a、26bが揺動し、固定アーム260a、260bを介して取付けられているLMガイド22aが上記モータ24aの回転運動を直線運動に変換する。その結果、竿受け部20aと支持板200aとの構成部材並びに竿受け部20bと支持板200bとの構成部材を搭載している各シリンダ取付け板210a、210bが矢印イ方向へ80mm前進する。
【0069】
その後、制御装置(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、シリンダ取付け板210a、210bに鉛直方向に取付けられている各エアシリンダ21a、21bが作動し、符合20aと符号200aとの構成部材並びに符号20bと符号200bとの構成部材が矢印ロ方向に上昇する。
【0070】
図2および図4に示すように、竿支持手段1の圧縮空気がエアシリンダ10内に供給されると、ピストンロッド10aが矢印Z方向に付勢して後退する。それと同時に、ピストンロッド10aの先端部に接続された連結部材12を介して竿支持部材11内のピストン13aが矢印Z方向に付勢するとともに、ピストン13aが竿Rを矢印方向に押し出す。そして、押し出された竿Rは、竿支持部材11の先端近傍に待機している第1移戴手段2の竿受け部20aと、竿受け部20aと対向する所定位置に待機している竿受け部20bとに移戴され、竿受け部20aおよび竿受け部20bにより竿Rの両端部が支持される。
【0071】
図5に戻り、この時、第1移戴手段2における移戴機構2bのシャッタ201は、符合20aと符号200aとの構成部材並びに符号20bと符号200bとの構成部材を搭載している各シリンダ取付け板210a、210bが矢印イ方向へ80mm前進してから0.2sec〜0.3sec遅延して矢印ト方向へ突出し、竿受け部20bの側方位置で停止する。これにより、竿支持手段1により付勢されて押し出された竿Rを第1移戴手段2が受け取る際に、その付勢力で竿Rの先端が竿受け部20bの外側に飛び出すことを防止することができる。また、第1移戴手段2が受け取った時に生じる当該竿R弾みを瞬時に収束させることができる。
【0072】
竿支持手段1から第1移戴手段2への竿Rの移し替えが完了すると、モータ24a、24bが再び駆動し、符合20aと符号200aとの構成部材並びに符号20bと符号200bとの構成部材を搭載している各シリンダ取付け板210a、210bが矢印ハ方向へ−80mm後退し、フック36に吊持されているソーセージ連続体91の捻り部が丁度竿Rに掛かるように第1移戴手段2が制御される。その後、矢印ト方向へ突出していた移戴機構2bのシャッタ201が矢印チ方向へ退避する。
【0073】
次に、制御装置(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、第1移戴手段2の基台230a、230bの下方に設けられた昇降装置(図示せず)が作動して竿Rの両端を支持している第1移戴手段2の各移戴機構2a、2bが矢印ニ方向へ上昇して竿Rがソーセージ連続体91に当接し、フック63に吊持されていた所定数のソーセージ連続体91がフック63から離脱する。つまり、所定数のソーセージ連続体91がルーパ装置65から竿Rに受け渡される。
【0074】
そして、図8(a)に示すように、竿Rの両端を支持している第1移戴手段2(図示せず)が、昇降装置によって矢印Y方向(竿掛け領域Qにおけるフック63の上方位置)へ上昇する過程において、竿Rの端部と竿案内部32aとが当接し、竿案内部32aの支軸33aを支点にしてその先端を矢印方向に跳ね上げる。その後、竿Rの両端を支持した第1移戴手段2が矢印Y方向の所定位置で停止する。
【0075】
第1移戴手段2が矢印Y方向の所定位置で停止すると、作業員が次に使用する新たな竿Rを竿支持手段1に装着する。そして、制御装置(図示せず)がルーパ装置65の駆動源(図示せず)を起動させる。これに伴い、エンドレスチェーン62の搬送が再開される。
【0076】
図8(b)に示すように、竿Rの両端を支持した第1移戴手段2が矢印Y方向の所定位置で停止すると、竿Rの上昇により跳ね上げられた竿案内部32aが自重で矢印方向に傾動する。そして、竿支持部31aがストッパー34aと当接し、傾斜部30の傾斜角度と竿案内部32aの側面とが略等しい角度となる位置で支持される。
【0077】
図5および図8(c)に示すように、制御装置(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、第1移戴手段2のシリンダ取付け板210a、210bに鉛直方向に取付けられている各エアシリンダ21a、21bが作動し、符合20aと符号200aとの構成部材並びに符号20bと符号200bとの構成部材が矢印ホ方向に下降する。これに伴い、竿Rが所定距離下降するとともに、該竿Rが竿案内部32a、32bの側面に戴置されて第1移戴手段2による竿Rの支持が解除される。その後、第1移戴手段2の基台230a、230bの下方に設けられた昇降装置(図示せず)が作動し、第1移戴手段2の各移戴機構2a、2bが矢印ヘ方向へ下降する。
【0078】
そして、竿案内部32a、32bの側面に戴置された竿Rは、傾斜部30の傾斜角度と略等しい角度となる位置で支持されている竿案内部32aの側面を滑りながら傾斜部30の谷の部分まで案内され、第1移戴手段2から第2移戴手段3への竿Rの移し替えが完了する。
【0079】
図1、図8および図9に示すように、第2移戴手段3への竿Rの移し替えが完了すると、当該竿Rは、ソーセージ90の加熱工程へ移送するための移送装置4に移し替えられる。詳述すると、作業員による押し釦操作によって移送装置4の支持フック41が支軸43を支点にして反時計回り方向に90度回転し、竿Rの両端を支持する。その直後、第2移戴手段3の移戴部材3aのみが支軸36aを支点に時計回り方向に回転し、移送装置4の移送経路(X−X´方向)から退避する。
【0080】
第2移戴手段3の移戴部材3aが移送装置4の移送経路から退避すると、移送装置4は竿Rの両端を支持した状態で次工程の加熱工程に向けてX´方向に移送される。この時点で第2移戴手段3から移送装置4への竿Rの移し替えが完了することとなる。そして、竿Rの加熱工程への移送が完了すると、退避していた第2移戴手段3の移戴部材3aのみが支軸36aを支点に反時計回り方向に回転して初期位置に復帰するとともに、空の移送装置4がX方向に移送され、該移送装置4が所定の待機位置に復帰する。以降、上述の動作を繰り返す。
【0081】
このように、本発明に係るソーセージ処理装置にあっては、ループ状に吊り下げられている所定数のソーセージ連続体を長尺の竿に移し替える工程並びに当該竿を次の加熱工程へ移送する移送装置へソーセージを移戴する工程を自動化することができるので、上記一連の作業を実施するための作業員の省人化を図ることが可能となる。また、ルーパ装置の搬送駆動を停止させておく時間は、竿を第1移戴手段から第2移戴手段へ移行させる間だけであるので、ソーセージ処理システム全体としての単位時間当たりの処理能力を高めることができるとともに、ソーセージの生産効率を向上させることができる。
【0082】
12.ソーセージ処理装置の変形例
なお、上述したソーセージ処理装置においては、竿支持手段1について、シリンダ10おけるピストンロッド10aの先端と竿支持部材11におけるロッド13の一端部とを連結部材12を介して連結し、シリンダ10と竿支持部材11のそれぞれを略平行に配置するようにブラケット等の保持部材にて保持した構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、シリンダ10と竿支持部材11とを直結し、シリンダ10のピストンロッド10a竿Rを押し出す構成の竿支持手段1であってもよい。
【0083】
また、第1移戴手段2に関し、竿受け部20aおよび支持板200aの構成部材を搭載したシリンダ取付け板210aと、竿受け部20bおよび支持板200bの構成部材を搭載したシリンダ取付け板210bとを水平方向に進退させる機構について、モータ24a、24bの駆動により駆動アーム25a、25bを介してコネティングアーム26a、26bを揺動させ、固定アーム260a、260bを介して取付けられているLMガイド22a、22bが上記モータ24a、24bの回転運動を直線運動に変換する機構を例に挙げて説明したが、これに代えて、エアシリンダや油圧シリンダ、電動シリンダ等をLMガイド22a、22bにそれぞれ連結させて水平方向に進退可能に構成してもよい。
【0084】
さらに、本実施の形態では、スプロケット61aまたはスプロケット61bのいずれか一方に設けられたロータリーエンコーダから出力されるクロックパルス信号のパルス数が、制御装置に予め設定されたカウント値になると、制御装置がルーパ装置65の駆動源の駆動を停止させる例を説明したが、これに限らず、竿支持手段1の近傍に例えば、光電センサを配置して、竿Rに所定数のソーセージ連続体91が挿通されたことを上記光電センサが検出すると、制御装置がルーパ装置65の駆動源の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0085】
今回、開示した実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は、上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1 竿支持手段、2 第1移戴手段、3 2移戴手段、4 移送装置、50 充填装置、60 本体フレーム、62 エンドレスチェーン、63 フック、65 ルーパ装置、70 接触抵抗部材、80 湯槽、81 作業テーブル、82a、82b 傾斜テーブル、90 ソーセージ、91 ソーセージ連続体、Q 竿掛け領域、R 竿、S 受渡し領域、T ソーセージ処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転中心と第2の回転中心との間を循環移動する無端循環体に設けられた多数のフックに、捻り部を介して連鎖状に連結されたソーセージ連続体をループ状に吊り下げて搬送するループ形成手段と、
前記フックに吊り下げられているソーセージ連続体の先頭ループの前方に、かつ、他端部が先頭ループに臨む位置に竿の一端部を着脱可能に支持し、当該竿を前記フックに吊り下げられたソーセージ連続体のループ内に挿通させる竿支持手段と、
前記竿支持手段に支持されている竿の両端部を受け取って支持する一対の竿受け部を有し、前記竿の軸方向と実質的に直交する水平方向に離間して前記ソーセージ連続体のループに竿を当接させるとともに、当該ソーセージ連続体のループを前記フックから離脱させて竿へ移し替え、さらに、竿の両端部を支持した状態で上方の所定位置まで上昇させる第1移戴手段と、
前記上方の所定位置において、前記第1移戴手段により支持されている竿の両端部を受け取って支持する一対の受け取り支持部を有し、ソーセージ連続体を次工程に移送する移送手段へ移戴する第2移戴手段を具備していることを特徴とするソーセージ処理装置。
【請求項2】
前記竿支持手段は、支持している竿の一端部を付勢して前記第1移戴手段に当該竿を受け渡す付勢機構を具備していることを特徴とする請求項1に記載のソーセージ処理装置。
【請求項3】
前記竿支持手段は、竿を所定角度傾斜させて当該竿の一端部を支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソーセージ処理装置。
【請求項4】
前記第2移戴手段における受け取り支持部は、先端部に前記第1移戴手段から移戴された竿を当該受け取り支持部に案内するための案内部材をさらに具備していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のソーセージ処理装置。
【請求項5】
筒体に充填物を充填するとともに、前記筒体に所定の間隔あけて捻り部を設けることで複数のソーセージを数珠繋ぎに連続的に形成して送り出す充填装置と、
前記充填装置の下流側に配置された、請求項1から請求項4のいずれかに記載のソーセージ処理装置と、
前記請求項1から請求項4のいずれかに記載のソーセージ処理装置における第2移戴手段の近傍に配置された、ソーセージ連続体を次工程に移送する移送手段とを具備してなることを特徴とするソーセージ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−161971(P2010−161971A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6744(P2009−6744)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)