説明

ソーセージ用包装ネットおよびその製造法

本発明は、ソーセージおよび同様な物品用のチューブ状包装ネット(1)に関する。該包装ネット(1)は、使用状態で包装ネット(1)より大きい長さの縦に走る引き裂き開放用糸を含んでいる。これにより、外部から接触でき、引き裂いて開けるためにつかめる該引き裂き開放用糸のループ(7)が形成される。該包装ネットは有利にはラッシェル(raschel)またはたて編生地である。該引き裂き開放用糸(3)は生地のステッチに割り込ましてある。本発明は、さらに、そのような包装ネットの製造法、該包装ネットと組み合わせたソーセージケーシング、該包装ネットで包装された物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーセージ用包装ネットおよびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
結節または編成構造であるところから縦方向に伸長できる包装ネットでソーセージを囲むことは公知である。これは、元来、ソーセージケーシングを充填圧から守ることを意図しているが、今日、次第に装飾的なものになっている。したがって、熟成過程で収縮するので、後に容易に取り除くことのできるタイプのソーセージのみならず、非熟成ソーセージにも使用されている。後者の場合、包装ネットは長手方向に切り、取り除かれるが、ソーセージ表面も切り込まれることは避けられず、これは望ましくない。シームに引き裂き開放用糸を有するステッチ付ソーセージケーシングが知られている(DE−U−7807929、DE−A−3725263、DE−A−2811340、DE−A−3127444)。しかし、包装ネットはチューブとして、シームレスに結節または編成され、引き裂き開放用糸の挿入に利用するための縦方向のシームがない。また、ネットは連続的に製造されるので、引き裂き開放用糸は包装ネット全長にわたって結合され、つかむことのできる突起がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、包装ネットを開けるのを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決手段は、使用状態で包装ネットより長い長さの、引裂開放操作を開始するために外からつかめる少なくとも1つのループを形成する引き裂き開放用糸を包装ネットに付与することである。ループの両端部は、相互の距離が使用状態よりも包装ネットが縦方向に伸長した状態で大きくなる包装ネットのポイントに接続している。該ネットは、縦に伸長した状態で製造され、それにより、製造状態の方が使用状態よりも長い長さを有する。引き裂き開放用糸は、製造の間の長さに相当する長さで結合される。その後、該ネットが使用状態の長さに短くなると、ネットに保持されていない部分、すなわち、開放ネットハネカム部分で該引き裂き開放用糸がループを形成し、そこをつかむことができる。したがって、使用状態、すなわち、特に充填したソーセージ上で引き裂き開放用糸が、外部から接触でき、引き裂いて開けるためにつかむことのできる少なくとも1つのループ、好ましくは複数のループを形成することになる。
【発明の効果】
【0005】
明らかなごとく、フィルムケーシングで知られているように、引き裂き開放用糸を単に包装ネットの内側に縫い付けることは考えられているが、外部からつかむことはできない(US−A−3265286)。一般に、包装ネットストランドは比較的太いので、このように引き裂き開放用糸を位置させて、ケーシングネットのストランドに十分な引裂開放作用を発揮させることは非常に難しい。したがって、本発明の重要な1つの特徴は、編目ステッチで構成されるネットのハネカムストランド、すなわち、ネットハネカムを形成するストランドと、編成によりこれらに結合する引き裂き開放用糸とを提供するところにある。このことは、引き裂き開放用糸がネットストランドの太さ全体ではなく、その一部のみを裂くこと、厳密には、ネットストランド中で、引き裂き開放用糸より外側に位置する糸を裂くことを、好ましくは、単糸、すなわち、全ストランドの断面の一部のみを裂くことを意味する。引き裂き開放用糸の作用の下、裂かれるとすぐに、その部分のステッチが弛み、ストランドが切断される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の効果は、そこを通って引き裂き開放用糸が導入される包装ネットのハネカムストランドをダブルリブ(Raschel)またはたて編生地の房状に編成するようにデザインすることで容易に達成される。この場合、引き裂き開放用糸は、一対のステッチ脚部と錘糸(Platinenfaden)の間に位置し、1つのステッチのステッチ足部から次のステッチのステッチ足部へ伸長することができる。このようにして、引き裂き開放用糸を非常に容易に結合できる。さらに、このようにすれば、引き裂き開放用糸の外側にただ一本の糸、正確には錘糸のみを位置させることを容易に達成できる。製造の間、はじめに、錘糸がダブルリブまたはたて編生ネットチューブ内に位置する場合、製造後、ネットチューブを裏返す。
かくして、引き裂き開放用糸を収納している複数の連続したネットストランドが引き裂き開放用糸に沿って滑り、一緒になってしっかりした束を形成するので、引き裂き開放をより困難にすることなしに、ネットストランドを固定するのに都合よい。これにより、例えば、ソーセージケーシングおよび/または引き裂き開放用糸をネットストランドに接着して結合することができる。
【0007】
加工性を容易にするため、包装ネットを、それと組み合わせるソーセージケーシングと、例えば、接着によりしっかりと結合させる。ソーセージケーシングが、コラーゲンのようなシール組成物を含浸させた織物または編物生地の場合、接着剤結合は、例えば、この組成物により、組成物の適用と同時に行うことができる。包装ネットを該組成物が固化した後に適用する場合または他のソーセージケーシング、例えば、セルロースまたは合成材料からなる組成物の場合、接着剤結合は、適当な接着剤を加える別の方法で行う。
【0008】
ネットを引き裂いた後、ネットは一般にソーセージケーシングから剥がされる。ネットがソーセージケーシング全面に強固に結合されている場合、引き裂き後に、裂け目に隣接したネットの端部がソーセージケーシングに結合して残っており、剥がすためにつかむことが難しい。したがって、引き裂き開放用糸に隣接しているネットの領域が少なくとも部分的にソーセージケーシングと非結合で残っていることが都合よい。引き裂き開放用糸に隣接した領域、例えば、引き裂き開放用糸に隣接した2つの端部ストリップが非結合、またはこの領域外よりも少ない程度に結合していることが扱いやすい。一般に、少なくとも1つの端部ストリップが完全に、または部分的に非結合であれば十分である。この端部ストリップの寸法は、つかむのが容易である一方、ネットと一緒のソーセージケーシングの全体的取扱を損なわないようにできるだけ狭いものとする。一般に、1つの端部が1個または2個の編み目の幅で引き裂き開放用糸の一方の側または両方の側が非結合であれば十分である。ネットまたはソーセージケーシングは、結合させない領域において、例えば、ワックスのような結合阻害作用を有する材料で被覆または含浸されていてもよい。
【0009】
それに代え、または加えて、引き裂き開放後のソーセージからネットをつかんで剥がすことを容易にするために、以下に記載する方策を採用することができる。引き裂き開放用糸の隣接領域において、他の領域よりも、より伸長性のネット材料を使用する。例えば、他の領域で使用する糸の破断点伸びが20%以上、好ましくは30%以上高い、あるいは、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍の破断点伸びを有する糸を使用する。別法として、引き裂き開放用糸の隣接領域において、それ相当にソーセージケーシングよりも伸長性の糸を使用する。これらの方策の効果は、引き裂き開放の間、加えられた力の下でこの領域の糸を伸長させ、同時にソーセージケーシングから剥がすことである。
【0010】
ソーセージケーシングに充填する場合、包装ネットとソーセージケーシングの間の結合は、主として縦方向に働く高い摩擦力に曝される。これは、特に、横方向に走る包装ネットのストランドとソーセージケーシングの結合に影響する。したがって、そのような横方向に走るネットストランドに加えて、主として包装ネットのソーセージケーシングへの接着結合に使用される縦方向に走るネットストランドが存在することが好都合である。接着結合は、これら縦方向に走るネットストランドに限定してもよく、少なくとも、横方向に走るネットストランドよりも、縦方向に走るネットストランドに対してより強固に、より頻度高く、あるいはより大きい面積で接着結合させることができる。
【0011】
一般に、ソーセージケーシングと一緒に包装ネットの両端が閉じられている最終製品において、本発明によれば、引き裂き開放用糸も、引き裂き開放の間に引き裂き開放用糸に作用する力によって引き出されないように、端部閉め具で固定されている。
【実施例1】
【0012】
本発明を、添付の図面に示す有利な具体例を参照にしてさらに具体的に説明する。
図1に示すごとく、ソーセージは、包装ネット1によって外側を囲まれているソーセージケーシングに密封状態で収容されている。ソーセージケーシングおよびネット1は、例えば、クリップ2によって、両端を一緒に閉じられている。包装ネット1において縦方向に連続して走る引き裂き開放用糸3も、張力抵抗的にクリップ内で結合されている。
包装ネット1は、縦のストランド5と横方向のストランド6によって形成されているハネカム4からなる。好ましくは、チューブ状に製造されたダブルリブまたはたて編生地で、横方向に走るストランド6は房状(Luftmaschen)に編まれており、縦方向に走るストランド6はトリコット状に編まれている。縦方向に走るストランド5は、複数(例えば、5個)のステッチを含むことが都合よく、これにより、ステッチが幾分、縦方向に伸長し、その下に位置するソーセージケーソングと接着結合するのに利用できる十分な面積を形成する。横方向に走るストランド6は、単ステッチデザイン(図3)でも、複ステッチデザイン(図4、3ステッチ)でもよい。いずれの場合も、引き裂き開放用糸3が、1つのステッチの足部9から次のステッチの頭部10へ走る錘糸8と、ステッチの脚部11の間に都合良く配置されている。この場合、錘糸8は生地の外側に位置しており、それだけが引き裂き開放用糸3により引き裂かれる。ついで、関連するステッチ全体が弛められる。
【0013】
引き裂き開放用糸3が、前後に一列に配置された横方向のストランド全てを通して導入されている場合、包装ネット全体が引き裂かれ、ソーセージから容易に剥がすことができる。ついで、通常のようにソーセージの皮を剥ぐ。引き裂き開放操作は、引き裂き開放用糸が、それを受けるステッチに接着結合または他の方法で結合している場合、引き裂き開放用糸に沿って滑って、次のステッチと一緒になるステッチがないので、容易に行える。同様な目的は、ソーセージケーシングに対するステッチまたはストランドの滑り抵抗性結合によって達成できる。
【0014】
引き裂き開放用糸3は、横方向に走るストランドのステッチを通して導入されていることが都合よいが、代わりに、縦方向に走るハネカムストランド5を通して導入してもよい。これは、特に縦方向に走るハネカムストランドが1個またはわずかなステッチを有する場合に適用される。
【0015】
包装ネットは、縦方向に伸長した状態で製造される。引き裂き開放用糸を受け、使用状態でかなり横の成分をもって走る横のストランド6(図2)は、ついで多少縦方向に配向させられる。ついで、連続する横方向のストランドの、引き裂き開放用糸3を受けるステッチは使用状態よりもさらに相互に離される。その後、ネットが使用状態になると、ネットは短くなり、一方、引き裂き開放用糸3はその長さを保持し、それを受ける横のストランド6との間で、外部から接触でき、引き裂き開放のためにつかむことのできるループを形成する。
包装ネットの糸は比較的太いので、ネットの引き裂きは、本発明により容易ではあるが、視覚的理由から、かなりの努力を要することがありうる。この場合、図5の方法を採用すると、この努力を少なくすることができる。すなわち、ソーセージの中央域の引き裂き開放用糸のループ7を固定したフック12に掛け、両手でソーセージをつかみ、矢印13の一方向、ついで他の方向に強く動かす。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、両端に閉め具を有するケーシングチューブに包装される、主としてソーセージや同様な食品に関するが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、引き裂き開放用糸を有する包装ネットを付したソーセージの全体を示す図である。
【図2】図2は、引き裂き開放用糸を有する包装ネットの部分拡大図である。
【図3】図3は、引き裂き開放用糸を有する包装ネットの種々のステッチパターンを示す図である。
【図4】図4は、引き裂き開放用糸を有する包装ネットの種々のステッチパターンを示す図である。
【図5】図5は、引裂開放操作を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に伸長できる構造を有するソーセージ等のチューブ状包装ネットであって、該包装ネットは、使用状態で包装ネットより長い長さの、外部から接触でき、引き裂いて開けるためにつかめる少なくとも1つのループ(7)を形成する縦に走る引き裂き開放用糸(3)を有し、ループ(7)の両端部(14)は、相互の距離が使用状態よりも包装ネット(1)が縦方向に伸長した状態で大きくなる包装ネット(1)のポイント(8)に接続している包装ネット。
【請求項2】
包装ネット(1)が、ステッチ(8、9、10、11)から構成されるハネカムストランド(5、6)からなり、引き裂き開放用糸がこれらに結合している請求項1記載のネット。
【請求項3】
包装ネット(1)のハネカムストランド(5、6)が、房状に部分的に編成され、引き裂き開放用糸(3)が房に結合している請求項2記載のネット。
【請求項4】
引き裂き開放用糸(3)が、一対のステッチ(11)および錘糸(Platinenfaden、8)の間に配置されている請求項3記載のネット。
【請求項5】
シンカー糸(8)が包装ネット(1)の外側に配置されている請求項4記載のネット。
【請求項6】
引き裂き開放用糸(3)を含む包装ネットストランド(5または6)が、組み合わせるソーセージケーシングおよび/または引き裂き開放用糸(3)に接着されている請求項2〜5いずれか1項記載のネット。
【請求項7】
包装ネットが、引き裂き開放用糸(3)の近傍ではソーセージケーシングと接着されていない請求項6記載のネット。
【請求項8】
引き裂き開放用糸の近傍領域が、この領域外よりも伸長できる材料からなる請求項6または7記載のネット。
【請求項9】
使用状態よりも製造状態の方が長さの長いネットチューブの編成または結節による製造法であって、引き裂き開放用糸(3)を、使用状態までの過渡期の包装ネット(1)の短くなっている間に、少なくとも2つのポイントの間で包装ネットと接続する、外部から接触できるループを形成するように取り付ける製造法。
【請求項10】
包装ネットがダブルリブ(Raschel)またはたて編生地として製造され、引き裂き開放用糸が編目ステッチに挿入される請求項7の製造法。
【請求項11】
引き裂き開放用糸が、連続したネットハネカム(4)の全ての房(6)のステッチに挿入されている請求項8記載の製造法。
【請求項12】
引き裂き開放用糸(3)が、ステッチ脚部(11)と錘糸(8)の間に挿入される請求項7〜9いずれか1項記載の製造法。
【請求項13】
製造の間に、錘糸(8)が内側に位置した場合、ついで生地を裏返す請求項10記載の製造法。
【請求項14】
包装ネットをソーセージケーシングと接着させる請求項8〜12いずれか1項記載の製造法。
【請求項15】
引き裂き開放用糸の近隣領域で、包装ネットがソーセージケーシングに、接着されていないか、該領域外よりも少ない程度で結合されている請求項13記載の製造法。
【請求項16】
結合させる前に、包装ネットおよび/またはソーセージケーシングの、少なくともその一側の、引き裂き開放用糸の近隣部位で結合抑制用の含浸を施す請求項14記載の製造法。
【請求項17】
引き裂き開放用糸近隣領域のネットにその領域外よりもより伸長性の材料を使用する請求項1〜15記載の製造法。
【請求項18】
請求項1〜6いずれか1項記載の包装ネット(1)と結合したソーセージケーシング。
【請求項19】
包装ネット(1)が接着されている請求項17記載のソーセージケーシング。
【請求項20】
引き裂き開放用糸の近隣領域で、包装ネット(1)が、接着されていないか、該領域外よりも少ない程度で結合されている請求項18記載のソーセージケーシング。
【請求項21】
引き裂き開放用糸近隣領域のネットがその領域外よりもより伸長性の材料からなる請求項17記載のソーセージケーシング。
【請求項22】
編成包装ネットが、縦方向に走るハネカムストランド(5)を有し、トリコットとしてデザインされ、ソーセージケーシングへの接着が、これら縦方向に走るハネカムストランド(5)の領域の方が、横断方向に走るハネカムストランド(6)の領域よりも、より強固、より高頻度またはより大面積である請求項13記載のソーセージケーシング。
【請求項23】
請求項1〜6いずれか1項記載の包装ネット(1)または請求項12〜14いずれか1項記載のソーセージケーシングに入れられ、引き裂き開放用糸(3)の両端がソーセージケーシングの端部閉め具(2)に固定されている両端が閉じられたソーセージケーシングを有するソーセージ等。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−526857(P2007−526857A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519812(P2006−519812)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007327
【国際公開番号】WO2005/006869
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506016635)フックフェルト・ウント・トールリヒェン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】HUCKFELDT & THORLICHEN GMBH & CO.
【Fターム(参考)】