説明

ソーラーシミュレータ、太陽電池の特性測定方法及びプログラム

【課題】測定の迅速化とランプの長寿命化を図ることが可能なソーラーシミュレータを提供する。
【解決手段】本発明のソーラーシミュレータ1において、負荷制御回路12は、太陽電池9にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って太陽電池9の出力電圧又は出力電流が変化するように可変負荷25を制御し、第1の期間でサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定し、照射期間に含まれる、第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って太陽電池9の出力電圧又は出力電流が変化するように可変負荷25を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーシミュレータ、太陽電池の特性測定方法及びプログラムに関し、特には、太陽電池の電流−電圧特性を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池にフラッシュ光を照射して、太陽電池の電流−電圧特性を測定するソーラーシミュレータが知られている。特許文献1には、一度目のフラッシュ光の照射時に予備測定を行い、二度目のフラッシュ光の照射時に本測定を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−88419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、一連の測定についてフラッシュ光を二度照射するため、測定に時間が掛かる上、ランプの寿命が短くなるおそれがある。また、太陽電池への加熱の影響もある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能なソーラーシミュレータ、太陽電池の特性測定方法及びプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1発明のソーラーシミュレータは、太陽電池にフラッシュ光を照射して、前記太陽電池の電流−電圧特性を測定するソーラーシミュレータであって、前記太陽電池に並列に接続され、前記太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出器と、前記太陽電池に直列に接続され、前記太陽電池の出力電流を検出する電流検出器と、前記太陽電池及び前記電流検出器に直列に接続される可変負荷と、前記可変負荷を制御する負荷制御回路と、前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングするサンプリング回路と、を備える。前記負荷制御回路は、前記太陽電池に前記フラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御し、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定し、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する。
【0007】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【0008】
第2発明のソーラーシミュレータは、第1発明において、前記負荷制御回路は、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を上昇させ、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を下降させる。この態様によると、第1の期間と第2の期間との間で太陽電池の出力電圧又は出力電流を変化させる量が抑制されるため、測定の迅速化を図ることが可能である。
【0009】
第3発明のソーラーシミュレータは、第1発明において、前記負荷制御回路は、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を下降させ、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を上昇させる。この態様によると、第1の期間と第2の期間との間で太陽電池の出力電圧又は出力電流を変化させる量が抑制されるため、測定の迅速化を図ることが可能である。
【0010】
第4発明のソーラーシミュレータは、第1発明ないし第3発明の何れかにおいて、前記第1の期間の終了時点での前記太陽電池の出力電圧又は出力電流と、前記第2の期間の開始時点での前記太陽電池の出力電圧又は出力電流とが同じである。この態様によると、第1の期間と第2の期間との間で太陽電池の出力電圧又は出力電流を変化させる必要がないため、測定の迅速化を図ることが可能である。
【0011】
第5発明のソーラーシミュレータは、第1発明ないし第4発明の何れかにおいて、前記負荷制御回路は、前記第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を少なくとも前記優先範囲で上昇させ、かつ下降させる。一般に、太陽電池では、出力電圧又は出力電流を上昇させる場合と下降させる場合とで電流−電圧特性が異なることがあるが、この態様によると、どちらの場合の電流−電圧特性も測定することが可能である。
【0012】
第6発明のソーラーシミュレータは、第1発明ないし第5発明の何れかにおいて、前記フラッシュ光を第1の照度で維持し、その後、前記第1の照度より低い第2の照度で維持する照射制御回路をさらに備え、前記負荷制御回路は、前記フラッシュ光が前記第1の照度で維持される期間及び前記第2の照度で維持される期間のそれぞれで、前記第1及び第2の期間の制御を実行する。この態様によると、異なる照度のそれぞれにおける電流−電圧特性を迅速に測定することが可能である。
【0013】
第7発明のソーラーシミュレータは、太陽電池にフラッシュ光を照射して、前記太陽電池の電流−電圧特性を測定するソーラーシミュレータであって、前記太陽電池に並列に接続され、前記太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出器と、前記太陽電池に直列に接続され、前記太陽電池の出力電流を検出する電流検出器と、前記太陽電池及び前記電流検出器に直列に接続される可変負荷と、前記可変負荷を制御する負荷制御回路と、前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングするサンプリング回路と、を備える。前記負荷制御回路は、前記太陽電池に前記フラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御し、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定し、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する。
【0014】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【0015】
第8発明の太陽電池の特性測定方法は、太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順と、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、を含む。
【0016】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【0017】
第9発明の太陽電池の特性測定方法は、太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順と、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、を含む。
【0018】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【0019】
第10発明のプログラムは、太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、及び前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、をコンピュータに実行させる。
【0020】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【0021】
第11発明のプログラムは、太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順、前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、及び前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、をコンピュータに実行させる。
【0022】
本発明によると、一度のフラッシュ光の照射期間に第1の期間と第2の期間とが含まれるため、測定の迅速化とランプの長寿命化と測定精度の向上とを図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るソーラーシミュレータの構成例を表す回路図である。
【図2】太陽電池の電流−電圧特性の例を表すグラフである。
【図3】上記ソーラーシミュレータの制御装置の構成例を表すブロック図である。
【図4】上記ソーラーシミュレータの制御装置の動作例を表すフローチャートである。
【図5】フラッシュ光の照度及び太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【図6】第1変形例に係る太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【図7】第2変形例に係る太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【図8】第3変形例に係る太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【図9】第4変形例に係る太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【図10】第5変形例に係る太陽電池の出力電流の時間変化例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のソーラーシミュレータ、太陽電池の特性測定方法及びプログラムの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、ソーラーシミュレータ1の構成例を表す回路図である。ソーラーシミュレータ1は、太陽電池9の電流−電圧特性を測定するための測定系回路2と、太陽電池9にフラッシュ光を照射するための照射系回路3と、これらを制御するための制御装置10と、を備えている。ソーラーシミュレータ1は、疑似太陽光照射装置とも呼ばれる。
【0026】
測定系回路2は、太陽電池9に並列に接続され、太陽電池9の出力電圧を検出する電圧検出器21と、太陽電池9に直列に接続され、太陽電池9の出力電流を検出する電流検出器23と、太陽電池9及び電流検出器23に直列に接続される可変負荷25と、を備えている。
【0027】
電圧検出器21及び電流検出器23は、太陽電池9の出力電圧及び出力電流を表す信号を制御装置10にそれぞれ出力する。可変負荷25は、制御装置10からの指令に応じて負荷が変化する電子負荷であり、例えばFETなどのトランジスタ等の半導体デバイスからなる。可変負荷25は、これに限られず、例えば可変抵抗などであってもよい。
【0028】
照射系回路3は、フラッシュ光を発するランプ31と、ランプ31に電流を供給するコンデンサ33と、ランプ31に巻かれた巻線35と、ランプ31を流れる電流の量を制御するスイッチング素子37と、フラッシュ光の照度を検出する照度検出器39と、を備えている。
【0029】
ランプ31は、キセノンガス等の希ガスが封入された放電管を有している。ランプ31に巻かれた巻線35に制御装置10から昇圧されたトリガ信号が入力されると、ランプ31内の希ガスのイオン化によって放電が誘発され、コンデンサ33からランプ31に電流が流れ込んで、フラッシュ光が発せられる。キセノンガスのフラッシュ光は、スペクトルが太陽光に近いため、疑似太陽光として好適である。
【0030】
スイッチング素子37は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のパワースイッチング素子からなる。スイッチング素子37は、パワートランジスタやパワーMOSFETであってもよい。スイッチング素子37は、ランプ31を流れる電流の量を制御して、フラッシュ光の照度を安定化する。
【0031】
制御装置10は、太陽電池9の出力電圧及び出力電流をサンプリングするサンプリング回路11と、測定系回路2の可変負荷25を制御する負荷制御回路12と、照射系回路3のスイッチング素子37を制御する照射制御回路13と、を備えている。
【0032】
制御装置10の各回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算部がROM(Read Only Memory)等の記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体から提供されてもよいし、インターネット等の通信線を介して提供されてもよい。
【0033】
図2は、太陽電池9の電流−電圧特性の例を表すグラフである。フラッシュ光を太陽電池9に照射する間に、太陽電池9の出力電圧及び出力電流をサンプリングすることで、同図に示されるグラフが得られる。出力電圧が0のときの出力電流は短絡電流Iscと呼ばれ、出力電流が0のときの出力電圧は開放電圧Vocと呼ばれる。また、出力電圧と出力電流の乗算値が最大になる点は、最大電力Pmaxと呼ばれる。
【0034】
図3は、制御装置10の構成例を表すブロック図である。制御装置10に含まれる負荷制御回路12は、予備測定のための目標値設定部12aと、本測定のための目標値設定部12bと、加算部12cと、駆動部12dと、優先範囲決定部12eと、を備えている。また、制御装置10は、サンプリング回路11によりサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流の情報を格納する記憶部14を備えている。
【0035】
目標値設定部12aは、後述する予備測定を行う第1の期間において、太陽電池9の出力電流を所定のパターンに従って変化させるための目標値を出力する。目標値設定部12bは、後述する本測定を行う第2の期間において、太陽電池9の出力電流を所定のパターンに従って変化させるための目標値を出力する。
【0036】
加算部12cは、目標値設定部12a,12bから入力される太陽電池9の出力電流の目標値と、電流検出器23から入力される太陽電池9の出力電流の現在値との差分を算出し、駆動部12dに出力する。駆動部12dは、当該差分に応じたデューティー比のPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成して、可変負荷25に出力する。これにより、可変負荷25には、太陽電池9の出力電流を目標値に近付ける負荷が設定される。
【0037】
優先範囲決定部12eは、サンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流の情報をサンプリング回路11から受付け、これに基づいて優先範囲を決定し、目標値設定部12bに転送する。優先範囲とは、後述する本測定においてサンプリングを重点的に行う範囲である。目標値設定部12bは、優先範囲で重点的にサンプリングを行うためのパターンを生成し、このパターンに基づく目標値を出力する。
【0038】
図4は、制御装置10の動作例を表すフローチャートである。また、図5は、フラッシュ光の照度及び太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。同図では、フラッシュ光の照度を破線で表し、太陽電池9の出力電流を実線で表している。また、太陽電池9の出力電流を表す実線上の点は、サンプリングのタイミング例を模式的に表している。
【0039】
制御装置10がランプ31に巻かれた巻線35にトリガ信号を出力すると(S1)、ランプ31からフラッシュ光が発せられる。フラッシュ光の照度は、急激に上昇し、或る照度で一定期間維持された後、急激に下降する。フラッシュ光の照度が立ち上がってから0に戻るまでの期間を、フラッシュ光の照射期間という。なお、フラッシュ光の照度は、立ち上がってから安定するまでの間に若干の時間を要する。一般に、フラッシュ光の照度が安定するには、フラッシュ光が発せられてから2〜15ミリ秒程度の時間を要する。また、フラッシュ光の照度が維持される期間は、コンデンサ33の容量に依存するが、例えばフラッシュ光が発せられてから25ミリ秒程度である。
【0040】
制御装置10は、フラッシュ光の照度が閾値を超えてから(S2:YES)、フラッシュ光の照度が維持される期間内に、以下に説明するステップS3〜S9を実行する。若しくは、制御装置10は、照射制御回路13からフラッシュ光の照度が安定したことを表す信号を受け取った後に、ステップS3〜S9を実行してもよい。
【0041】
まず、制御装置10は、第1の期間において予備測定を開始する(S3)。第1の期間は、例えばフラッシュ光が発せられてから安定するまで(本例では10ミリ秒)の期間とされる。具体的には、負荷制御回路12に含まれる目標値設定部12aは、第1の期間において太陽電池9の出力電流が上昇するように可変負荷25を制御する。太陽電池9の出力電流は、第1の期間が完了するまでに測定すべき範囲を超えるように0から線形的に上昇する。このとき、太陽電池9の出力電流の時間変化率(傾き)は、後述する第2の期間における時間変化率よりも大きく設定される。
【0042】
太陽電池9の出力電流が上昇する間、サンプリング回路11は、太陽電池9の出力電圧及び出力電流をサンプリングする(S4)。ここでサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流の情報は、記憶部14に格納されると共に、負荷制御回路12に含まれる優先範囲決定部12eに出力される。太陽電池9の出力電流の時間変化率は、後述する第2の期間における時間変化率よりも大きく設定されるため、サンプリングされる太陽電池9の出力電圧及び出力電流の各点は、後述する第2の期間の場合よりも疎となる。すなわち、各点の電圧値及び電流値の間隔が、後述する第2の期間の場合よりも広くなる。
【0043】
太陽電池9の出力電流の上昇が完了すると、制御装置10は予備測定を終了する(S5:YES)。具体的には、太陽電池9の出力電流が閾値に到達したときに、予備測定が終了する。閾値は、予想される短絡電流Iscの出現範囲を超えるように設定される。これに限られず、太陽電池9の出力電流が短絡電流Iscに到達したときに(すなわち、太陽電池9の出力電圧が0になったときに)、予備測定が終了してもよい。この場合、迅速に本測定に移行することが可能である。
【0044】
次に、負荷制御回路12に含まれる優先範囲決定部12eは、第1の期間でサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する(S6)。具体的には、優先範囲決定部12eは、太陽電池9の出力電圧と出力電流の乗算値を算出する乗算部と、最大の乗算値を保持する保持部と、最大の乗算値に対応する範囲を優先範囲として決定する決定部と、を含んでいる。第1の期間でサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流のうち、乗算値が最大になる点は、最大電力Pmaxに最も近いことから、この点を含む電流値の範囲を優先範囲とすることで、後述する第2の期間において最大電力Pmaxの近傍で重点的にサンプリングを行うことが可能となる。優先範囲は、例えば、乗算値が最大になる電流値を中心とする範囲であってもよいし、予め切り分けられた複数の範囲から選択される、乗算値が最大になる電流値を含む範囲であってもよい。なお、優先範囲決定部12eは、第1の期間が完了する前に、太陽電池9の出力電圧及び出力電流の乗算値の極大を検出した時点で、優先範囲を決定してもよい。この場合、迅速に本測定に移行することが可能である。
【0045】
次に、制御装置10は、第2の期間において本測定を開始する(S7)。第2の期間は、例えばフラッシュ光が安定した後の期間とされる。具体的には、負荷制御回路12に含まれる目標値設定部12bは、第2の期間において、優先範囲での時間変化率(傾き)が他の範囲での時間変化率よりも小さいパターンに従って太陽電池9の出力電流が下降するように可変負荷25を制御する。太陽電池9の出力電流は、第1の期間が完了した時点の値から線形的に下降し、優先範囲の上限に到達すると、それまでの傾きよりも緩やかな傾きで線形的に下降する。その後、太陽電池9の出力電流は、優先範囲の下限に到達すると、それまでの傾きよりも急な傾きで線形的に下降し、0に到達する。
【0046】
太陽電池9の出力電流が下降する間、サンプリング回路11は、太陽電池9の出力電圧及び出力電流をサンプリングする(S8)。ここでサンプリングされた太陽電池9の出力電圧及び出力電流の情報は、記憶部14に格納され、電流−電圧特性のグラフの描画に供される。太陽電池9の出力電流の優先範囲での時間変化率は、他の範囲での時間変化率よりも小さいため、優先範囲でサンプリングされる太陽電池9の出力電圧及び出力電流は、他の範囲の場合よりも密となる。このように、最大電力Pmaxを含む優先範囲では、重点的にサンプリングが行われる。
【0047】
太陽電池9の出力電流の下降が完了すると、制御装置10は本測定を終了する(S9:YES)。具体的には、太陽電池9の出力電流が0に到達したときに、本測定が終了する。
【0048】
図6は、第1変形例に係る太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。本例では、太陽電池9の出力電流の上昇・下降が上記図5の例とは逆になっている。すなわち、太陽電池9の出力電流は、第1の期間において0まで下降し、第2の期間において優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って上昇する。
【0049】
図7は、第2変形例に係る太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。本例では、太陽電池9の出力電流は、第2の期間の前半部において上記図5の第2の期間と同様のパターンに従って下降し、その後、第2の期間の後半部において上記図6の第2の期間と同様のパターンに従って上昇する。
【0050】
図8は、第3変形例に係る太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。本例では、太陽電池9の出力電流は、第2の期間において、優先範囲で上昇及び下降する。具体的には、太陽電池9の出力電流は、第1の期間が完了した時点の値から線形的に下降し、優先範囲の下限に到達すると、それまでの傾きよりも緩やかな傾きで線形的に上昇する。その後、太陽電池9の出力電流は、優先範囲の上限に到達すると、それまでの傾きよりも急な傾きで線形的に下降し、0に到達する。
【0051】
図9は、第4変形例に係る太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。本例では、第2の期間において、太陽電池9の出力電流は、優先範囲の上限と下限の間で三角関数的に上昇及び下降を繰り返す。これによっても、最大電力Pmaxを含む優先範囲で重点的にサンプリングを行うことが可能である。
【0052】
図10は、第5変形例に係る太陽電池9の出力電流の時間変化例を表すグラフである。本例において、上記図1に示される照射制御回路13は、スイッチング素子37を駆動し、ランプ31を流れる電流の量を制御することで、フラッシュ光の照度を第1の照度で一定期間維持した後、第1の照度より低い第2の照度で一定期間維持する。制御装置10は、フラッシュ光が第1の照度で維持される期間及び第2の照度で維持される期間のそれぞれで予備測定及び本測定を実行する。なお、本例ではフラッシュ光の照度が維持される段数を2段としたが、これに限られず、3段以上であってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0054】
なお、上記実施形態では、図5〜10に示されるパターンに従って太陽電池9の出力電流を変化させたが、これに限られず、太陽電池9の出力電圧を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ソーラーシミュレータ、2 測定系回路、3 照射系回路、10 制御装置、11 サンプリング回路、12 負荷制御回路、12a 目標値設定部、12b 目標値設定部、12c 加算部、12d 駆動部、12e 優先範囲決定部、13 照射制御回路、14 記憶部、21 電圧検出器、23 電流検出器、25 可変負荷、31 ランプ、33 コンデンサ、35 巻線、37 スイッチング素子、39 照度検出器、9 太陽電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池にフラッシュ光を照射して、前記太陽電池の電流−電圧特性を測定するソーラーシミュレータであって、
前記太陽電池に並列に接続され、前記太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出器と、
前記太陽電池に直列に接続され、前記太陽電池の出力電流を検出する電流検出器と、
前記太陽電池及び前記電流検出器に直列に接続される可変負荷と、
前記可変負荷を制御する負荷制御回路と、
前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングするサンプリング回路と、
を備え、
前記負荷制御回路は、
前記太陽電池に前記フラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御し、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定し、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する、
ことを特徴とするソーラーシミュレータ。
【請求項2】
前記負荷制御回路は、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を上昇させ、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を下降させる、
請求項1に記載のソーラーシミュレータ。
【請求項3】
前記負荷制御回路は、前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を下降させ、前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を上昇させる、
請求項1に記載のソーラーシミュレータ。
【請求項4】
前記第1の期間の終了時点での前記太陽電池の出力電圧又は出力電流と、前記第2の期間の開始時点での前記太陽電池の出力電圧又は出力電流とが同じである、
請求項1ないし3の何れかに記載のソーラーシミュレータ。
【請求項5】
前記負荷制御回路は、前記第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流を少なくとも前記優先範囲で上昇させ、かつ下降させる、
請求項1ないし4の何れかに記載のソーラーシミュレータ。
【請求項6】
前記フラッシュ光を第1の照度で維持し、その後、前記第1の照度より低い第2の照度で維持する照射制御回路をさらに備え、
前記負荷制御回路は、前記フラッシュ光が前記第1の照度で維持される期間及び前記第2の照度で維持される期間のそれぞれで、前記第1及び第2の期間の制御を実行する、
請求項1ないし5の何れかに記載のソーラーシミュレータ。
【請求項7】
太陽電池にフラッシュ光を照射して、前記太陽電池の電流−電圧特性を測定するソーラーシミュレータであって、
前記太陽電池に並列に接続され、前記太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出器と、
前記太陽電池に直列に接続され、前記太陽電池の出力電流を検出する電流検出器と、
前記太陽電池及び前記電流検出器に直列に接続される可変負荷と、
前記可変負荷を制御する負荷制御回路と、
前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングするサンプリング回路と、
を備え、
前記負荷制御回路は、
前記太陽電池に前記フラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御し、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定し、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する、
ことを特徴とするソーラーシミュレータ。
【請求項8】
太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、
前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順と、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、
前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、
を含むことを特徴とする太陽電池の特性測定方法。
【請求項9】
太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、
前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順と、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順と、
前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順と、
を含むことを特徴とする太陽電池の特性測定方法。
【請求項10】
太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、
前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での時間変化率が他の範囲での時間変化率より小さいパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、及び
前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
太陽電池にフラッシュ光が照射される照射期間に含まれる第1の期間において、予め定められたパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、
前記第1の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、
前記第1の期間でサンプリングされた前記太陽電池の出力電圧及び出力電流に基づいて優先範囲を決定する手順、
前記照射期間に含まれる、前記第1の期間より後の第2の期間において、前記太陽電池の出力電圧又は出力電流の前記優先範囲での上昇及び下降を含むパターンに従って前記太陽電池の出力電圧又は出力電流が変化するように前記可変負荷を制御する手順、及び
前記第2の期間において前記太陽電池の出力電圧及び出力電流をサンプリングする手順、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248606(P2012−248606A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117865(P2011−117865)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(709002303)日清紡メカトロニクス株式会社 (43)
【Fターム(参考)】