説明

ソール

本発明は、靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソール(2)であって、該ソール(2)がコア層(21)を有していて、該コア層が少なくとも部分的に複数の開口(22)を有しており、該開口(22)内にピン(23)が可動に配置されている形式のソール(2)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソール(靴底)は、種々異なる形態で知られている。たとえばスポーツ活動時に高い緩衝を可能にし、スポーツ選手の関節への負荷を減じるためには、特に衝撃吸収性である形態がある。さらに、足を保護すると同時に、高いスリップ防止性と防水性とを提供するために、たとえば作業靴またはウォーキングシューズにおいて使用される、特に安定的なソールが知られている。特に通常の履物に使用される固いレザーソールも公知である。
【0002】
上述の全てのソールは、足のために高いサポート(支持)を提供することで共通している。このことは、足自体が回転運動(Abrollbewegung)の他に全く運動しないという結果をもたらす。特に、地面の起伏は、ソールに基づき足に伝達されない。むしろ、足はしっかりと地面の起伏から分離されている。
【0003】
ソールの上記特性は、医師または理学療法士の推奨と矛盾する。特に、整形外科医は、健康的な生活の構成要素として頻繁な裸足歩行を推奨している。なぜならば裸足歩行は、足筋肉の強化につながり、さらには正確なつま先位置を生ぜしめるからである。このようにして、足の障害、たとえば垂下足、開張足または扁平足のリスクが減じられる。このことは、歩行時に足と脊柱とが機能上の1つのユニットを成すことに基づいている。この場合、規則的な裸足歩行によって十分にトレーニングされた足筋肉は衝撃緩衝部として作用し、このことは特に椎間板に大きな利点をもたらす。裸足歩行時に、足は不断に地面起伏を補償しなければならず、これによって、足の多くの筋肉がトレーニングされ得る。靴、ブーツ、サンダル等で通常使用されているソールは、この可動性を抑制する。すなわち、むしろ可動性はソールによって著しく制限され、これによって足の筋肉が衰退する。しかし、裸足歩行は、一方では社会的な慣習、他方では環境要因に基づいて常に可能なわけではない。
【0004】
したがって、本発明の根底を成す課題は、一方では公知の利点を提供し、他方では足に裸足歩行時と同じ感覚を伝達する、靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソールを提供することである。
【0005】
本発明によれば、この課題は、靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソールであって、ソールがコア層を有していて、該コア層が、少なくとも部分的に複数の開口を備えていて、該開口内でピンが可動に案内されていることを特徴とするソールによって解決される。
【0006】
本発明により、足に裸足で歩行している感覚を伝えるソールが提供される。これによって、足筋肉の連続的なトレーニングが行われる。このことは、ソール内に配置された可動のピンにより可能にされている。これらのピンは、歩行時に床の起伏を写し取り、その起伏を足に伝達する。したがって、本発明に係るソールの装着時の感覚は、裸足歩行の感覚と同等である。
【0007】
本発明の別の態様では、ピンがばね弾性的に支承されている。ピンのばね弾性的な支承は、起伏を完全に足に伝達し、これによって裸足の感覚が生じるが、この感覚はピンの緩衝された運動によってのみ行われるという利点を提供する。これによって、本発明に係るソールを用いた歩行時の快適性は付加的に高められている。
【0008】
ピンが、少なくとも一方の端部にプレートを備えていると有利である。このプレートによって足および/または地面への大面積の載着が可能であり、これによって、少数のピンでソールの全面を覆うことができる。
【0009】
本発明の別の態様では、ピンが、それぞれ1つのピストンを備えている。ピストンは、一方ではばね弾性的な支承時に当付け面として機能し、他方ではピンのガイドを提供する。
【0010】
ピストンが、開口の構成要素である室内に配置されていると有利である。室の形成によって、たとえば、室に非圧縮性の媒体を充填することが実施され得る。これによっても、緩衝効果が生じる。
【0011】
コア層に下側層が配置されていると有利である。下側層は、コア層から汚れおよび湿分を遮断するために役立つ。このようなソールは、公知のソールのように手入れが容易である。
【0012】
コア層に内側層が配置されていると特に有利である。内側層によって、装着快適性が付加的に高められている。たとえば、内側層として、抗菌性かつ通気性の材料を使用することができ、これによって足の真菌症を阻止することができ、かつ靴内の気候が改善され得る。
【0013】
本発明の別の改良形および形態は、請求項2以下に記載されている。本発明の例示的な形態を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】シューズを部分的に断面で、部分的に平面図で示す図である。
【図2】本発明によるソールを示す部分図である。
【図3】本発明によるソールの別の実施形態を示す部分図である。
【0015】
実施の形態として選択された靴は、上側部分1と、ソール2とを有している。上側部分1は、足前側の領域から、つま先部分12にまで延びる筒部11を有している。つま先部分12からは、甲部(Lasche)13が延びている。甲部13は、少なくとも上側部分1の縁部にまで延びている。甲部13には、穴15が設けられている。この穴15を通して靴紐16が案内されている。この靴紐16によって靴を締めることができる。上側部分1は、革、プラスチックまたは強化され編まれたプラスチック繊維から製造され得る。
【0016】
ソール2は、プラスチックから製造されたコア層21を有している。ソール2は、複数の開口22を備えている。これらの開口22内には、ピン23が可動に案内されている。開口22とピン23との組合せは、ピン23の、開口22の長手方向中心線に沿った運動を可能にする。ピン23は、本実施の形態ではプラスチックから製造されている。別の材料、たとえば金属、ゴム等の使用も同様に可能である。
【0017】
図2に示した実施の形態では、ピン23が、当該ピン23の両端部にそれぞれプレート(皿状部材)24を備えている。これらのプレート24によって、ピン23の載着面は拡大される。これによって、ピン23は、プランジャの機能を模倣する。図3に示した実施形態では、ピン23がピストン25を有している。ピストン25は、本実施の形態では、ピン23のほぼ中央に位置している。ピストン25は、室26内に案内されている。室26は、コア層21の開口22の構成要素である。室26には、たとえば非圧縮性の媒体が充填されていてよい。これによって、ピン23の運動時の緩衝が達成される。
【0018】
コア層21には、下側層27が配置されている。下側層27は、コア層21、ひいてはソール2を地面に対してシールする。このようにして、汚れまたは湿分が開口22内に侵入することが阻止されている。靴の内側では、コア層21に、内側層28が配置されている。内側層28は、有利には肌親和性の材料から製造されている。肌親和性の材料は、たとえば抗菌性の材料であってよい。
【0019】
ソール2を互いに異なる2つの実施の形態で部分的に示した図2および図3には、同時に地面3が概略的に再現されている。地面3の波形の形状に基づいて、本発明によるソールの機能形式が判る。ソール2内に可動に配置されたピン23によって、地面3の表面輪郭がソール2の内側に再現される。したがって足には、それぞれの地面を靴を履かずに歩行した場合に足によって感じられるように、表面輪郭が伝達される。これによって、足の筋肉はまさに裸足歩行の場合のように刺激される。したがって、筋肉の連続的なトレーニングが行われるので、本発明によるソールの使用時には、裸足歩行の健康上の利点と、寒さ、汚れ、湿分等に対する保護とが同時に得られる。したがって、本発明は、裸足歩行の利点と、靴の使用時の利点とを結びつける。
【0020】
本発明の実施の形態の変化形では、可撓性のアンダソールもしくは可撓性のインナソールをピンに配置することも可能であり、これによりピン自体は完全に、いわゆるソールによって覆われている。この場合、各実施の形態のピン23を備えたコア層21を有するソール2の機構全体は完全に覆われている。このためには、各インナソールもしくはアウタソールが、ピン23の運動を再現することができるように十分な可撓性を有していることしか必要とならない。
【0021】
ここまで、本発明を実施の形態においてくるぶしの高さの靴に基づいて説明したが、これは本発明の権利範囲をこの実施の形態に制限するものではない。むしろ、サンダル、ブーツ、半靴、スニーカ等の形態の別のフットウェアも本発明の権利範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソール(2)であって、コア層(21)を有しており、該コア層(21)が、少なくとも部分的に複数の開口(22)を備えていて、該開口(22)内にピン(23)が可動に案内されている形式のソールにおいて、
前記ピン(23)が、前記開口(22)内で、互いに反対に向けられた2つの方向に可動であり、前記ピン(23)の両端部が、前記コア層(21)から突出していることを特徴とする、靴、ブーツ、サンダル等に用いられるソール。
【請求項2】
前記ピン(23)が、ばね弾性的に支承されている、請求項1記載のソール。
【請求項3】
前記ピン(23)が、少なくとも一方の端部にプレート(24)を備えている、請求項1または2記載のソール。
【請求項4】
前記ピン(23)が、ピストン(25)を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載のソール。
【請求項5】
前記ピストン(25)が、前記開口(22)の構成要素である室(26)内に案内されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のソール。
【請求項6】
前記コア層(21)に、下側層(27)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のソール。
【請求項7】
前記コア層(21)に、内側層(28)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512055(P2013−512055A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541344(P2012−541344)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007243
【国際公開番号】WO2011/063985
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(504303687)エクス−テクノロジー スイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】X−Technology Swiss GmbH
【住所又は居所原語表記】Samstagernstrasse 45, CH−8832 Wollerau, Switzerland
【Fターム(参考)】