ゾルピデムまたはその塩からなる制御放出剤形
【課題】所定の時間枠にわたってゾルピデムまたはその塩を放出できる制御放出剤形を提供する。
【解決手段】即放出相と持続放出相からなる2相性溶出プロフィールを有する製剤により、上記の課題を解決する。
【解決手段】即放出相と持続放出相からなる2相性溶出プロフィールを有する製剤により、上記の課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゾルピデム(zolpidem)またはその塩からなる制御放出剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
EP173928号に、活性作用薬を含有する核と、その上に塗布されたコーティングとからなる、薬理学的活性作用薬の2相性放出プロフィールを有する経口薬剤制御放出製剤が開示されている。そのコーティングは、水と胃腸液に不溶性で、活性作用薬も含有する水溶性ポア創出材料である被膜形成ポリマーからなる。
EP361910号には、吸着された調合薬を含む噴霧乾燥された物質と、医薬的に許容される賦形剤からなる層と、調合薬とを有する顆粒剤が開示されている。
GB2245492号には、疎水性材料および界面活性剤で被覆された核とからなる経口的に投与可能なプログラム放出(すなわち、所定の遅延の後に放出)製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP173928号公報
【特許文献2】EP361910号公報
【特許文献3】GB2245492号公報
【発明の概要】
【0004】
ゾルピデムは、本発明による制御放出剤形に適した短時間作用の睡眠薬である。ゾルピデムは、イミダゾピリジンの治療群からの睡眠薬である。それは、錠剤または他の固体の剤形を用いることにより経口的に投与される。
ゾルピデムは、迅速に作用する。実際に、薬物動態学および薬力学的データにより、ゾルピデムが迅速な吸収と睡眠薬作用の開始との両方を有することが示されている。その生物学的利用能は、経口投与後は70%であり、通常の形態で5〜10mgにある治療量範囲における直線的動態を示し、ピーク血漿濃度に0.5〜3時間で達し、排泄半減期は平均2.4時間と短く、6時間までの作用持続を有する。
【0005】
簡単にするために、反対の指示がなければ、全体の記載の中においては「ゾルピデム」または「薬物」は、ゾルピデム自体およびその塩を意味する。
ゾルピデムの好ましい塩は、ゾルピデム ヘミ酒石酸塩である。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いままで、ゾルピデムの作用の迅速性により、胃腸管において迅速に崩壊し、胃腸管の体液中で溶解し、全身吸収され、そこでゾルピデムはその薬理学的効果を発揮することができ、患者の睡眠を導入することができる、即放出剤形のみが開発されていた。
本発明による新規な剤形は、所望の睡眠時間と、人体から薬物が十分な低レベルまで排泄されるのに必要な時間とが両立できる期間にわたって放出を維持することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ゆえに、第1の目的として、本発明は、第1相が即放出(immediate release)相で、第2相が持続放出(prolonged release)相である2相性プロフィールの溶出に従い、所定の時間枠にわたって放出するよう適合させた、ゾルピデムまたはその塩からなる制御放出剤形を提供する。
【0008】
「薬物の総量」は、本発明による全体の剤形に含まれる薬物の重量による量を意味する。
第1相または即放出相は、適当な生体外溶出試験における0〜30分の溶出プロフィールを持つ相の部分である。適当な溶出試験は、例えば実施例1に記述された方法の一つである:米国薬局方によるII型溶出装置において水性緩衝液中で37℃で測定が行われる方法、または当該分野の当業者によく知られたこれに関する変法である。この相の間で溶解した薬物の割合は、30分で溶解した薬物の総量の割合に等しい。
本発明による剤形の有利な具体例において、第1相に割り当てられた薬物の90%またはそれ以上の相部分は、20分以内、より好ましくは15分以内で溶解する。
【0009】
第2相または持続放出相は、実施例1で記述されたような、適当な生体外溶出試験で測定した、30分後の溶出プロフィールの相の部分である。本発明は、その後、第2相のその完全溶出時間が2〜6時間であり、好ましくは2.25〜3.5時間である薬物の剤形を提案する。
【0010】
第2の持続放出相のプロフィールは、以下に定義するように、時間T1、T2およびT3で放出された割合により定義される。
T1は、第2相の薬物放出の始まりであり、30分に等しい。
T3は、第2相の薬物放出の終末に近く、第2相に割り当てられた薬物の85%が放出された時間である。
T2は、第2相に割り当てられた薬物の50%が放出された時間である。例えば、薬物の総量の50%が30分で放出されたとき、第2相の放出のために50%残っている。T3は、ゆえに92.5%溶出[50%+0.85×50%]の時間であり、T2は75%溶出の時間である。
【0011】
第2相は、ときにマトリックス放出と呼ばれる、T.Higuchiら[J.Pharm.Sci. 52, 1145 (1963)]に提案された式[式中、(T2−T1)=0.35(T3−T1)]に従い、時間の平方根に比例した放出プロフィールを意味することができる。より有利には、第2相は1次放出[式中、(T2−T1)=0.37(T3−T1)]でありうる。さらにより有利には、第2相は、0次のプロフィールまたはS字状のプロフィールを意味することができる。0次のプロフィールは、放出速度が一定またはほとんど一定、(T2−T1)=0.59(T3−T1)であるものである。S字状のプロフィールは、第2相における放出速度が加速されたものであり、(T2−T1)>0.59(T3−T1)である。これら異なる型のプロフィールの中間もまた、包含されている。
【0012】
第1相における迅速な放出は患者の即座な睡眠を誘導し、第2相により薬物血液レベルをピークレベルに、またはそれ以下であるが、即放出剤形で得られるレベルよりは高くに保つことが可能となり、同時に投薬後、目的の睡眠を維持する。
本発明は、そこで、薬物の総量の90%の放出のための時間として定義されるその完全溶出時間が、2〜6時間、好ましくは2.25〜3.5時間であるゾルピデムまたはその塩の剤形を提案する。
【0013】
薬物の総量の40〜70%、好ましくは50〜60%は、即放出相の間で放出されることができる。
そのような生体外放出プロフィールの例は、薬物の総量の60%が即放出相の間に放出され、第2相が、薬物の総量の90%が3時間の間溶解している0次である、図1に示される。そのようなプロフィールのさらなる例は、薬物の総量の50%が即放出相の間に溶解され、第2相放出が3つの他の型のプロフィール:時間の平方根に比例した放出(マトリックス放出)、1次放出およびS字状の放出プロフィールに従う図2に示される。
【0014】
第2の目的として、本発明は、それらが薬物の2種類の医薬本体:1つの即放出本体および1つの持続放出本体からなることを特徴とするゾルピデムまたはその塩の制御放出剤形を提供する。即放出相の間(30分より前)に溶解した薬物は、即放出本体に含まれ、持続放出相(30分より後)において遊離するものは持続放出本体に含まれる。
【0015】
迅速な放出のための剤型における薬物の少量は、剤型中で維持され、したがって溶出の始まりから30分後の時間で放出され、したがって持続放出相に含まれる。同様に、持続放出医薬本体に組みこまれた薬物の少量は、30分より前に放出され、したがって即放出相の一部を形成する。
本発明によれば、即放出本体に含まれ、30分以内で溶解する薬物の割合は、少なくとも90%である。持続放出本体内に含まれ、30分以内に放出される薬物の割合は、0〜35%、好ましくは0〜25%である。
【0016】
2相性プロフィールの必要条件に適合し、上述の2種類の医薬本体からなることが可能な剤形の中で、以下:カプセル剤、錠剤、多層錠剤、多層被覆(multicoated)錠剤が挙げられる。
即放出本体は、本発明においては、例えば即放出錠剤もしくはペレットのような単一薬剤即放出単位、またはカプセル剤もしくは錠剤に調剤される幾つかのそのような単位として;錠剤においては即放出マトリックスとして;多層錠剤において組みこまれうる即放出層として;多層被覆錠剤またはペレットにおける即放出コーティング層として理解される。
【0017】
持続放出本体は、本発明において、例えば、持続放出錠剤もしくはペレットのような薬剤持続放出単位、またはカプセル剤もしくは錠剤に調剤される幾つかのそのような単位として; 多層錠剤において組み込まれうる持続放出層として; 多層被覆錠剤における持続放出核または持続放出コーティング層として; 崩壊錠剤内の持続放出ペレットとして理解される。
即放出本体および持続放出本体が同時にしかし別々に投与される剤形は、また本発明において包含される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】即放出相がゾルピデムの総量の60%であり、第2相が3時間以内に溶解するゾルピデムの総量の90%を有する0次である、生体外2相性の放出プロフィールの例を示す。
【図2】50%が第1相において溶解し、第2相放出が(i)時間の平方根に比例し(連続線)、(ii)1次(点線)および(iii)S字状の放出プロフィール(ダッシュ線)である、2相性の生体外放出プロフィールの例を示す。
【図3】実施例1で記述したように、0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液における実施例1の錠剤の生体外溶出プロフィールを示す。
【0019】
【図4】比較例1で記述したように、0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液中における比較実施例1の錠剤の生体外溶出プロフィールを示す。
【図5】実施例2の即放性錠剤剤型と、実施例3の即放出錠剤と持続放出錠剤の組み合わせを比較する単一用量薬物動態学研究の結果を示す。
【図6】0.01M塩酸中の実施例4の即放出および持続放出スフェロイドの混合物の溶出プロフィールを示す。
【0020】
【図7】2層および多層錠剤を示す。(a)1つの即放出層と1つの持続放出層からなる2層錠剤。(b)2つの外側即放出層と、1つの内側持続放出層とからなる3重層錠剤。(c)外側即放出層と、内側持続放出層と、活性物質を含まず、放出プロフィールを調節する外側層とからなる3重層錠剤。(d)外側即放出層と、外側持続放出層と、活性物質を含まず、放出プロフィールを調節する内側層とからなる3重層錠剤。
【図8】0.01M塩酸ならびにpH6.8およびpH7.5リン酸緩衝液中の、実施例6の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【図9】0.01M塩酸における、2層錠剤の溶出プロフィールおよび、比較例2の即放出および持続放出錠剤の組み合わせの溶出プロフィールを示す。
【0021】
【図10】0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液における、比較例3の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【図11】0.01M塩酸における、実施例8の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による剤形は、典型的にはゾルピデム塩基として4〜16mgのゾルピデムを、好ましくはゾルピデム塩基として6〜12mgのゾルピデムを含む。ゾルピデムは、塩基として、またはゾルピデムの医薬的に許容される塩として組みこまれる。ゾルピデム塩基よりもむしろゾルピデムの塩からなる剤形のうち、本発明によれば、ゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなるものが特に好ましい。
有利な具体例において、剤形はpHに無関係な溶出を第2相において得るために、調剤されることができる。そのような溶出を達成する好ましい手法は、ゾルピデムのような塩基性薬物の場合、当該分野で当業者に公知の方法に従い、剤型に医薬的に許容される有機酸を加えることである。そのような剤形が好ましい。
【0023】
これら医薬的に許容される有機酸は、例えば、それらが存在するラセミ化合物または異性体の形態の、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸およびそれらの酸塩から選択することができる。本発明によれば、特に好ましい酸は、酒石酸、フマル酸、クエン酸およびコハク酸ならびにそれらの酸塩である。
【0024】
本発明の範囲を限定せず、本発明を説明する様々な剤型は以下に記述する:
(1)1またはそれ以上の即放出錠剤および1またはそれ以上の持続放出錠剤からなるカプセル剤:
即放出錠剤は、微晶質セルロース、マンニトール、ソルビトールおよび乳糖のような賦形剤との薬物またはその塩の混合物の直接打錠法により製造することができる。崩壊剤および滑沢剤のような他の機能的賦形剤を加えることができる。これらの機能的賦形剤ならびに賦形剤の選択は、当該分野の当業者によく知られている。代わりに、錠剤を、適当な賦形剤、崩壊剤および結合ポリマーとの薬物またはその塩の混合物の、水との造粒;顆粒の較正および乾燥;滑沢剤の添加、打錠機で圧縮することにより製造することができる。
【0025】
用いられる方法は、通常薬剤文献に記載されているもの、例えば, B. B. Sheth, F. J. BandelinおよびR. JF. Shangraw, Compressed Tablets, in Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, 第1巻、H. A. LiebermanおよびL. Lachman編集、Dekker N.Y. (1980)を参照する。
持続放出錠剤は、即放出錠剤を拡散限定ポリマーコーティングでコーティングすることにより製造することができる。Rohm Pharmaにより市販されているオイドラギット(登録商標)RS、オイドラギット(登録商標)RL、オイドラギット(登録商標)NEのようなエチルセルロース、メタクリル酸メチルコポリマーの中から適当なポリマーを選択することができる。コーティング方法は、パンコーターまたは流動床コーティング装置のいずれかにおいて、錠剤上にポリマーの溶液を噴霧することからなる。溶媒は、用いるポリマーの性質に応じて、有機性または水性であってもよい。コーティング方法は、以下の研究:L. Lachman, H. Lieberlmman およびJ.L. Kanig (Eds.) The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Lea & Febinger, Philadephia, USA, 1986 ; J.M. McGinity, Aqueous polymer coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, Dekker NY, 1989中の、J.M. Bakan, Microencapsulationに、記述されている。
【0026】
代わりに、持続放出錠剤を、剤型中にマトリックス−形成賦形剤を組みこみ、崩壊剤を割愛することにより製造することができる。そのようなマトリックス−形成賦形剤は、水性液体との接触で膨張し、膨張したポリマー網状組織を通じて拡散により薬物の放出を制御し、持続放出錠剤のものに関して10〜30重量%のレベルで組みこまれる、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースを含む親水性ポリマーであってもよい。
さもなければ、マトリックス形成賦形剤は、持続放出錠剤のものに関して10〜40重量%のレベルで組みこまれる、硬化ひまし油またはカルナウバロウのような脂質物質であってもよい。
【0027】
ゾルピデムが、小腸の中性pH条件下で溶出の間に錠剤のミクロ−pHを維持するために上記リストから選択される医薬的に許容される有機酸と任意に一緒になる、塩基性薬物であるので、持続放出錠剤は調剤されることができる。
【0028】
(2)持続放出ペレットと即放出ペレットの混合物からなるカプセル剤:
即放出ペレットは、水またはエタノールのような有機溶媒中に懸濁した薬物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはポピドンまたは結合剤として作用する他の適当なポリマーにより、球形の顆粒上に沈殿させることにより製造することができる。流動床コーティング装置が通常用いられる。粒子は、高速混合造粒機または回転式流動床集塊機中で塊状に集まり、球形の顆粒剤またはペレットを形成してもよい。これらの方法は、K.W.OlsonおよびA.M.Mehtaにより、Int.J.Pharm.Tech&.Prod.Mfr. 6 18-24, 1985中に記述されている。ペレットはまた、例えばC. Vervaet, L. Baert & J. P. Remon Int.J.Pharm. 116 (1995) 131-146中に記述のように、湿った塊または溶融物の押出、次いで球状化(spheronisation)により製造することもできる。用いられる賦形剤は、微晶質セルロースまたマンニトールのようなプラスチック性のものが典型的である。少量のポリマー性結合剤が通常添加される。ナトリウムドデシル硫酸塩のような界面活性剤も、組みこむことができ、より容易な押出を生じる。
【0029】
持続放出ペレットは、錠剤について記述したのと同じ方法で即放出ペレットをコーティングすることにより製造される。コーティングは、例えば、コーティングパン中、または流動床塗布機-乾燥機中で行うことができる。コーティングの量および組成は、ペレットにおける拡散のための表面をかなり大きく考慮に入れるために、錠剤において用いられるものから調節されてコーティングの透過性を減じさせる。
【0030】
持続放出ペレットは、ゾルピデムが塩基性薬物であるため、小腸の中性pH条件下での溶出の間、ペレットの内部のミクロ−pHを維持するために、医薬的に許容される有機酸を含む。
代わりに、ゾルピデムが塩基性薬物であるため、持続放出ペレットは、中性pHで溶解性で、酸性pHで不浸透性なポリマーを含む、オイドラギット(登録商標)Sのような、pH感受性膜で被覆されてもよく、pH5およびそれ以上のpHでの薬物による浸透を増加させ、より高いpH値での薬物の減少した溶解性を補償する。代わりに徐放性ペレットおよび即放出散剤。
【0031】
(3)マトリックス中に埋め込まれた薬物からなり、また薬物からなる多数の持続放出性被覆ペレットからなる錠剤:
代わりに、錠剤は、持続放出性被覆ペレットと、薬物のないマトリックス中に埋め込まれた薬物からなる即放出性非被覆ペレットの混合物からなってもよい。
代わりに、持続放出性被覆ペレットは、薬物および他の賦形剤からなる、薬物のないマトリックス中に埋め込まれた、その層から即放出を可能にする層でさらに被覆されてもよい。
ペレットを取り囲むマトリックスは、錠剤への圧縮は、ペレットを取り囲む膜の完全さに緩衝されないために、調剤されるのが好ましい。体液との接触により、錠剤は崩壊し、マトリックスもしくは即放出ペレットまたは即放出ペレットコーティングから薬物を迅速に放出し、そのあと持続放出ペレットから薬物をゆっくり放出する。ペレットは、小腸の中性pH条件下での溶出の間ペレットのミクロ-pHを維持することができるように、医薬的に許容される有機酸で調剤されてもよい。
【0032】
(4)(i)薬物および親水性ポリマー(好ましくはセルロース誘導体)からなる1または2の持続放出層と、
(ii)薬物からなる1またはそれ以上の即放出層と、
および、可能なら、
(iii)薬物を含まず、しかしヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような親水性ポリマーまたは乳糖、ソルビトール、マンニトールのような溶解性賦形剤または親水性ポリマーおよび溶解性賦形剤からなる他の層[その層は持続放出層からの薬物の放出を調節する]と
からなる多層錠剤。
【0033】
各層は、当該分野の当業者によく知られたように、圧縮に適した性質、滑性(lubrification)、結合性を与えるように、他の賦形剤を含む。そのような2層および多層錠剤の例は、図7a〜dに示した。図中、即放出層はiで示し、持続放出層はpで示し、放出プロフィールを調節する層はmで示した。
【0034】
(5)(i)薬物および、ゾルピデムが塩基性薬物であるので、任意に、一定のpHを維持するための医薬的に許容される有機酸とからなる核と、
(ii)この核から薬物の緩和な放出を生じるポリマーコーティング層と、
(iii)剤形が体液との接触により迅速に、または直ちに放出される薬物からなるコーティング層とからなる多層被覆錠剤。
【0035】
錠剤の各部分は、特に内側核は、当該分野の当業者によく知られたように、圧縮に適した性質、滑性(lubrification)、結合性を与えるように、他の賦形剤を含むことができる。多層性および多層被覆錠剤の両方を作成する方法は、W.C.Gunselにより、Compression coated and layer tablets in Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, 第1巻、H. A. LiebermanおよびL. Lachman著, Dekker N.Y. (1980)中に記述されている。
【0036】
本発明の範囲内に含まれる他の特定な具体例としては、誤用を避けるのを意図した医薬組成物も挙げられる。
実際、ある薬物および特に、合法的な経口使用を意図した睡眠薬は、誤用の可能性があることが知られている。
本発明の目的である、薬剤剤型のための薬物誤用のこの可能性を実質上減少させ、または除去さえするある方法は、同時に、
−正常な投与の後、上記2相性の生体外プロフィールに従い、活性成分を解放すること、および
−もし飲み物に導入されたら、アルコールを含有していてもいなくても、飲み物の視覚的変化または外観に変化を生じること
が可能なゾルピデムからなる経口投与用医薬組成物を提供することである。この視覚的変化または変化が、知らずに該飲み物中に活性成分が人へ投与されることを防止することを意図している。
【0037】
本発明によるこれらの視覚的変化は、飲み物中の該組成物の存在を示す全ての手段を含む。視覚的変化を誘導する方法として以下に示す:着色賦形剤の包含、飲み物の水面での組成物の浮遊、飲み物の水面上での、コップの縁の上での、飲み物中および/もしくはコップの底での不溶性粒子の形成またはその組み合わせ。
飲み物は、あるいはアルコールと共に、例えば、コーヒー、茶、ワイン、蒸留酒、リキュール、熱または冷チョコレート風味の飲み物、全ての気体のアルコール性または非アルコール性飲み物、全てのカクテルまたは果汁、牛乳、乳脂等の混合物からなってもよい。
【0038】
組成物の浮遊は、以下に記述するように泡立ち発生剤を用いることにより得ることができる、発泡により達成することができる。
これらの発泡特性に加え、組成物は、飲み物と接触すると現れる粘度増加特性を示すことができる。したがって、泡が形成されたとき、それらは「トラップ」され、組成物は膨張する。密度の低下は、飲み物の水面での医薬組成物の維持に貢献する。そのような粘度は、1またはそれ以上のゲル化物質により得ることができる。親水性賦形剤は、以下に示すように、ゲル形成物質として特に適している。
【0039】
粒子は、上記したように浮遊に有用な脂質親和性および親水性賦形剤の会合により得ることができる。適当な脂質親和性賦形剤のリストは以下に示す。
本発明のこの特定な具体例による組成物は、たとえ組成物が浮遊しなくても、または直ちに浮遊しなくても、粒子を遊離させることができる。
泡立ち発生剤は、二酸化炭素発生系であってもよい。適当な二酸化炭素発生剤および医薬的に許容される酸からなることができる。
【0040】
二酸化炭素発生剤は、通常、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属またはアミノ酸の炭酸塩または炭酸水素塩である。炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、L-リジン炭酸塩、アルギニン炭酸塩または二炭酸一水素三ナトリウムが、二酸化炭素発生剤として挙げられる。
【0041】
酸は、酸無水物、モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸の部分的な塩であってもよい。より詳細には、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、ニコチン酸、アセチルサリチル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸または、無水グルタル酸、無水クエン酸、クエン酸一ナトリウム塩および無水コハク酸を選択することができる。
【0042】
二酸化炭素発生剤は、上記の二酸化炭素発生剤の混合物から構成されてもよい。
そのような二酸化炭素発生系において、酸性化合物の含有物は、該二酸化炭素発生剤中のモル数に関して該酸性化合物中のモル数の比が、1〜2であるように、通常選択される。
ゲル形成物質は、組成物の膨張を引き起こし、放出された気体をトラップする親水性賦形剤の1またはそれ以上からなることができる。
【0043】
不溶性粒子を形成するために、1またはそれ以上の脂質親和性賦形剤を親水性賦形剤に加えてもよい。
発泡および粒子の形成方法により、浮遊し、ガラスに貼りつく粘着性の集塊を生じる。この方法は、飲み物の種類により、0.5〜25分の間持続する。
【0044】
脂質親和性賦形剤の中で、以下が挙げられる:グリセロールステアレート、パルミトステアレートおよびベヘネート;硬化植物油およびそれらの誘導体;木蝋および獣蝋(animal wax)およびそれらの誘導体;硬化ひまし油およびそれらの誘導体ならびにセチル酸エステルおよびアルコール。
親水性賦形剤の中で、以下が挙げられる:セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(50〜1250kDaの分子量)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(10〜1500kDaの分子量)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;植物性ガムおよびそれらの誘導体;アルギン酸の誘導体;ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体;デンプンおよびそれらの誘導体;シリカ、ポリメタクリレートおよびアクリル酸ならびにメタクリレートコポリマー。
ゲル形成物質の構成成分の一つは、アルコール中で溶解性がより低いものを選択することができる。
【0045】
着色賦形剤は、誤用を避ける視覚的変化を生じるので、加えるのが有利である。液体および粒子を同時に、または互いに独立して着色することができる。
適当な着色賦形剤の中で、以下が挙げられる:インジゴチン(indigotine)、コチニールカルミン酸、イエローオレンジS、アルラレッドAC、酸化鉄、ククルミン(cucurmin)、リボフラビン、タートラジン、キノリンイエロー、アゾルビン、アマランス、カルミン、エリトシン(erythosine)、レッド2G、パテンテッドブルー V、グリッタリングブルーFCF、クロロフィル、クロロフィルの銅錯体、グリーンS、キャラメル、グリッタリングブラックBN、カーボメディシナリスベジタビリス(carbo medicinalis vegetabilis)、ブラウンFKおよびHT、カロチノイド、アナトー抽出物、パプリカ抽出物、リコピン、ルチン、カンタキサンチン(canthaxanthin)、ビートレッド、アントシアニン、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、銀、金もしくはリトルビン(litholrubin)BKまたは経口投与に適した他のいずれの着色賦形剤。
【0046】
これらの誤用を防ぐ視覚的方法は、即放出および徐放性存在本体と共に、薬剤形態からなり、活性物質を含まない別個の医薬本体からなってもよく、またはそれらは、これら2つの存在物の1つ中に組みこまれてもよい。しかし、第3の方法は、それら全てまたはあるものを独立した本体内に組み入れ、同時に即放性または徐放性本体にあるものを加えることである。
上述のような誤用阻止の組みこむ方法は、剤型のタイプに依る。内部錠剤封入カプセル剤のものを含む上述の錠剤の場合、誤用阻止付与性物質(色素、発泡性カップル等)は、剤型の即放出本体内に含まれてもよい。
【0047】
代わりに、多層錠剤およびカプセル剤内の即放性錠剤の場合、それらは、活性物質を含まないが、誤用阻止付与性物質を含む独立した層として、組みこまれることができる。そのような層は、徐放性錠剤またはカプセル剤内の錠剤に加えることができる、ただし、該錠剤はマトリックスとして調剤され、徐放性特性を与えるコーティングで被覆されない。
制御放出ペレットおよび即放出ペレットまたは顆粒剤を含むカプセル剤の場合、発泡性カップルを除く誤用阻止付与性物質を即放出本体内に組みこんでも、または別々に加えてもよい。
【0048】
以下の実施例は本発明を説明するが、限定しない。
実施例1:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤
以下の材料の最初の4つを一緒に混合し、水と顆粒化し、乾燥して較正した。顆粒剤は、その後ステアリン酸マグネシウムと混合し、回転式打錠機を用いて圧縮して錠剤毎に120mgの塊にした。
【0049】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 86.6 %
クエン酸 2.5 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6061 2.1 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
1ファーマコート(Pharmacoat)606、Shin-Ensu Coにより市販。
【0050】
錠剤をアクセラコータ(Accelacota)パン塗布機中で、所望の溶出プロフィールを得るために十分な量の以下の混合物で被覆した。
【0051】
エチルセルロース1 2.0 %
ジエチルフタレート 0.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.0 %
イソプロパノール 47.8 %
ジクロロメタン 47.8 %
1エトセル(Ethocel)、ダウケミカル株式会社により市販。
【0052】
錠剤の生体外溶出プロフィールを米国薬局方の装置IIを用いて確立した。2つの溶出媒体:37±0.5℃で維持した、900mlの0.01M塩酸および900mlの0.05Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液を用いた。
攪拌を、パドル法(50rpm)で行った。溶解した割合を270nmでのUV吸収の測定により決定した(閉鎖系において蠕動ポンプにより連続的にサンプリング)。その結果を図3に示す。
【0053】
比較例1: 酸なしで、10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤
実施例1と同じ方法に従い、以下の組成を有する錠剤を製造した。
【0054】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 89.1 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.1 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0055】
それらを、50%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと50%のエチルセルロースからなるポリマー混合物で被覆した。錠剤のそれらの生体外溶出プロフィールを実施例1の方法により確立した。
その結果を図4に示す。それらにより、酸からなる持続放出錠剤が、pHとは独立した溶出プロフィールを示すことが示された。
【0056】
実施例2:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる即放出錠剤
10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬され、単位量120mgを有する錠剤を、以下の組成を有する、実施例1と同じ方法に従い製造した。
【0057】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 75.8 %
微晶質セルロース1 10.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.1 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム2 3.2 %
ステアリン酸マグネシウム 0.6 %
1アビセル(Avicel)、FMCにより市販。
2プリモジェル(Primojel)、Avebeにより市販。
【0058】
錠剤の溶出を実施例1に記述の方法に従い0.01M塩酸媒体中で試験した。即放出錠剤に含まれるゾルピデムの量の90%を30分未満で放出した。
【0059】
薬物動態学研究のため得られた即放出錠剤を6人の健康な有志者に経口的に投与した。2つの錠剤を単一用量研究のため各有志者に経口的に投与した。血液サンプルを30分、1、2、3、4、6、8、10時間に採取し、ゾルピデムを分析した。その結果(メジアンゾルピデム血漿レベル)を図5中にプロットした(黒塗り四角(closed squares))。
【0060】
実施例3:ゲラチンカプセル剤内の、実施例2による10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる即放出錠剤と、実施例1による10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤とからなる薬剤型
持続放出錠剤および即放出錠剤の共投与の薬物動態学研究を行った。各々が10mgのゾルピデムからなる、上述の1つの即放出錠剤および1つの持続放出錠剤を、実施例2に記述の研究のように同じ6人の有志者に投与した。その結果(メジアンゾルピデム血漿レベル)を図5中にプロットした(白塗り四角(open squares))。その結果によりゾルピデムレベルの迅速な増加が示され、30分でピークに達し、即放出と同様であり、しかし血漿レベルは投薬後3〜6時間で達し、それは即放出剤型の同量(20mg)で得られるものより高い。ゾルピデムの全量が最大約8時間中で放出される。
【0061】
溶出プロフィールは、実施例1および2の溶出プロフィールの添加のものと同一であった。したがって、即および持続放出医薬本体の各々が10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(50%)を含み、その即放出相は12.2mg(61%)で、持続放出相は7.8mg(39%)であった。完全溶出時間(90%放出された)は2時間であった。プロフィールパラメータは:T3=2.12時間;T2=1.19時間;(T2−T1)=0.43(T3−T1)、プロフィールはほとんど0次であった。
【0062】
実施例4:即放出ペレットおよび被覆された持続放出ペレットの混合物からなるカプセル剤
100gのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と100gのポピドン[BASFにより参照プラスドン(Plasdone)K29/32として市販]からなる670gのエタノール中の懸濁液を調製した。750gのこの懸濁液を流動床乾燥機中で1060gの16〜18メッシュのミクロ顆粒剤上に噴霧した。ゾルピデムの溶出を0.01M塩酸中で実施例1に記述の方法に従い試験した。80%が2分以内で溶解し、100%が30分で溶解した。
25gのメタクリレートコポリマー オイドラギット(登録商標)RL100、143gのメタクリレートコポリマー オイドラギット(登録商標)RS100(両方ともRohm Pharmaにより市販されている)および18.7gのクエン酸エチル[商標名オイドラフェック(Eudrafex)(登録商標)で可塑剤としてRohm Pharmaにより市販されている]からなる溶液を、1180gの60:40m/mのイソプロパノール/アセトン混合物中で調製した。ゾルピデムからなるペレットを流動床乾燥機中で噴霧することによりこのポリマー混合物で被覆し、コーティングの最終的な量は被覆されていないペレットの20質量%であった。35℃で24時間のペレットの熟成の後、先に記述したこれらの被覆されたペレットと被覆されていないペレットの混合物を、ゾルピデム含有量が1:1の割合で調製し、ゼラチンカプセル剤中に詰め、カプセル剤あたりのゾルピデム ヘミ酒石酸塩含有量の総量が15mg(12mgのゾルピデム塩基)となるようにした。カプセル剤の溶出を実施例1に記述の方法で試験し、その結果のプロフィールは図6に示した。
【0063】
したがって即および持続放出医薬本体各々は、7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(50%)を含有した。約1時間の時間のずれのため、持続放出本体からの放出の前に、即放出相(60%)と持続放出相(40%)が、ちょうど本体に相当した。完全溶出時間(90%放出された)は3.17時間であった。プロフィールパラメータは:T3=3.17時間;T2=1.68時間;(T2−T1)=0.44(T3−T1)およびプロフィールはS字状の形態であった。
【0064】
実施例5:7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる速効崩壊性マトリックス内に5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる被覆された持続放出ペレットからなる錠剤持続放出性被覆ペレットを実施例4で記述のように製造した。ペレットをその後同じ方法を用いて微晶質セルロースの20質量%の層で噴霧被覆した。以下の組成の顆粒剤が湿式造粒によりその後製造された。
【0065】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.4 %
乳糖 20.0 %
微晶質セルロース 1 62.9 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 3.0 %
クロスポピドン 2 5.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.7 %
1 アビセル(Avicel)、FMCにより市販。
2 コリドン(Kollidon)CL、BASFにより市販。
【0066】
これを、2部の被覆されたペレットに対して3部の顆粒剤(ゾルピデム含有量に関し)の割合で、被覆されたペレットと混合し、その混合物を12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(10mgのゾルピデム塩基に等しい)で調薬された錠剤に圧縮した。
【0067】
実施例6:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる2層即/持続放出錠剤
顆粒剤を以下の組成に従って湿式造粒により製造した。造粒工程は、実施例1に記述したものであった。
【0068】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.4 %
乳糖 150メッシュ 68.3 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0069】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 5.6 %
乳糖 150メッシュ 40.0 %
微晶質セルロース 20.0 %
酒石酸 8.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース(Metolose)90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0070】
混合物をその後、代わりの錠剤圧縮機を用いて、図7(a)に示す形態の2層錠剤に圧縮した。各錠剤は、12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤1を有する第1の即放出層と、7mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含む。錠剤の生体外溶出プロフィールを米国薬局方の装置2を用いて確立した。3つの溶出媒体を用いた:0.01Mの塩酸、0.025Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液および0.015Mリン酸カリウムpH7.5緩衝液。溶出媒体の容量は500mlであり、37±0.5℃に維持した。攪拌はパドル法(75rpm)により行った。グリルを各容器の底に置き、錠剤がガラス表面に貼りつくのを防いだ。溶解した割合を310nmでのUV吸収の測定により決定した(蠕動ポンプにより閉鎖系において連続的にサンプリングする)。結果を図8に示す。溶出プロフィールはpH1〜6.8のpHにほぼ独立である。ゾルピデムは著しく減少した速度であるが、pH7.5で放出されつづけた。
【0071】
即放出本体は、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(44%)と、7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(56%)を含有する持続放出本体を含有する。完全溶出時間(90%が放出された)は2.14時間であった。0〜0.5時間の持続放出医薬本体からの放出のため、相当する即放出相は7.5mg(60%)であり、持続放出相は5mg(40%)であった。プロフィールパラメータは:T3=2.23時間;T2=1.38時間;(T2−T1)=0.51(T3−T1)、プロフィールは0次であった。
【0072】
比較例2:同じ組成の即放出および持続放出錠剤のものを有する12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる2層即/持続放出錠剤の溶出プロフィールの比較
【0073】
顆粒剤を以下の組成に従って湿式造粒により製造した。造粒工程は、実施例1に記述したものであった。
【0074】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 6.0 %
乳糖 150メッシュ 66.7 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0075】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 55.0 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 20.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0076】
各顆粒剤の一部を、代わりの錠剤圧縮機を用いて図7(a)に示す形態の2層錠剤に圧縮した。各錠剤は12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、6.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤1を有する第1の即放出層と、6mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含有する。溶出プロフィールを米国薬局方の装置2を用いて試験した。溶出媒体は0.01M塩酸であり、37±0.5℃に維持した。容量は500mlであり、攪拌をパドル方法により行った(75rpm)。溶解した割合を310nmでのUV吸収の測定により決定した(蠕動ポンプにより閉鎖系において連続的にサンプリングする)。結果を図9に示す。溶出媒体のpHはプロフィールに著しい作用を与え、高いpHにより溶出速度は低下した。
【0077】
比較例2の各顆粒剤の残りの部分を、おのおの錠剤質量125mgに圧縮し、即放出錠剤(顆粒剤1)は7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩、持続放出錠剤は5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる。錠剤の生体外溶出プロフィールを実施例1の方法により確立した。
【0078】
生じたプロフィールを図9に示した。驚いたことに、即放性層の存在が、2層錠剤中の親水性マトリックス持続放出層の溶出に著しい効果を与え、ところが単独の錠剤の溶出プロフィールは、単独の錠剤のプロフィールの合計であり、2層錠剤の持続放出相は、単独の錠剤の場合のものより著しく遅かった。
【0079】
比較例3:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる、持続放出層中に酸を有さない2層錠剤の溶出プロフィールのpH依存性
実施例6のものに類似した顆粒剤を製造した。顆粒剤2の場合(持続放出)、酒石酸を省略し、剤型において乳糖に置き換えた(48.4%)ことのみが相違する。混合物をその後、代わりの錠剤圧縮機を用いて、実施例6に関して図7(a)に示した形態の2層錠剤に圧縮した。錠剤の生体外溶出プロフィールを実施例6に関して、2つの溶出媒体:0.01M塩酸および0.025Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液を用いて確立した。その結果を図10に示す。0.01M塩酸中の溶出プロフィールは酸を有する剤型(実施例6)のものと非常に近く、しかしpH6.8での速度は非常に減少した。
【0080】
実施例7:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる3層即/持続放出錠剤
顆粒剤を以下の組成に従い、実施例1の方法により製造した。
【0081】
層1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 5.0 %
乳糖 150メッシュ 67.7 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0082】
層2(不活性)
乳糖(噴霧乾燥された) 60.0 %
微晶質セルロース 24.0 %
酒石酸 10.0 %
ヒドロキシエチルセルロース 5.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0083】
層3(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 6.0 %
乳糖 150メッシュ 40.0 %
微晶質セルロース 19.0 %
酒石酸 9.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0084】
それらを実施例6に記述のように図7(d)に示す形態の3層錠剤中に圧縮した。層1は100mgの顆粒剤1からなり、5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を有し、層2(中間層)は100mgの顆粒剤2からなり、層3は125mgの顆粒剤3および7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる。
【0085】
実施例8:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなり、発泡性カップルおよび色素を即放出層中に含む、被覆された2層即/持続放出錠剤
以下に示す組成に従い混合物を調製した。即放性層用の散剤混合物1を最初の8つの成分を乾式混合することにより調製した。残りの3つの成分はその後添加する。持続放出層用の顆粒剤2を最初の5つの成分の水との造粒により製造し、残りの2つの成分を乾燥およびふるい分けの後顆粒剤と混合した。
【0086】
散剤混合物1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 3.6 %
無水乳糖 11.3 %
微晶質セルロース 24.3 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
インジゴチン W6004 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 2.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0087】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.4 %
乳糖 150メッシュ 36.0 %
酒石酸 8.4 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 30.0 %
コロイドシリカ 0.2 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0088】
混合物をその後、マネスティ(Manesty)BL錠剤圧縮機を用いて、図7(a)に示す形態の2層錠剤中に圧縮した。各錠剤は10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、4.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの散剤混合物1を有する第1の即放出層と、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含有する。
【0089】
以下の組成のフィルムコーティング(錠剤質量に関して4%)を、コーティングタービン(Glatt GC300)を用いて無水アルコール中の20%分散液として塗布した。
【0090】
コポピドン1 12 %
エチルセルロース 12 %
二酸化チタン 46 %
タルク 30 %
1コリドンVA64、BASFにより市販。
【0091】
錠剤の溶出プロフィールを、実施例6で記述した装置と方法を用いて0.01M塩酸中で測定した。結果を図11に示す。
【0092】
実施例9:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなり、発泡性カップルと染料を含む被覆された3層即/持続放出錠剤
以下に示す組成に従い、混合物を調製した。即放性層用の散剤混合物1を最初の8つの成分を乾式混合することにより調製した。残りの3つの成分をその後加える。持続放出層用の顆粒剤2を、最初の5つの成分の水との造粒により調製し、残りの2つの成分は乾燥および篩い分け後、顆粒剤と混合した。
【0093】
散剤混合物1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
微晶質セルロース 36.4 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
ブラック酸化鉄 0.3 %
インジゴチン 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 1.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0094】
散剤混合物2(抗誤用)
微晶質セルロース 40.4 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
ブラック酸化鉄 0.3 %
インジゴチン 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 1.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0095】
顆粒剤3(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 36.0 %
酒石酸 8.4 %
微晶質セルロース 20.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 30.0 %
コロイドシリカ 0.2 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0096】
混合物をその後、マネスティBL錠剤圧縮機を用いて、図7(d)に示す形態の3層錠剤中に圧縮した−その層はゾルピデムを含有せず、すなわちmで表される顆粒剤2の層である、。各錠剤は、10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を含んだ。各層は、125mgの顆粒剤または散剤混合物からなり、即放出および持続放出層の両方は、5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を含む。
錠剤を実施例8に記述のようにフィルム被覆した。
【0097】
実施例10:15mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬された、乾式被覆された持続放出錠剤
以下の組成を有する顆粒剤を、実施例1に記述の方法を用いて製造した。
【0098】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 48.7 %
微晶質セルロース 40.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0099】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 7.2 %
乳糖 150 メッシュ 38.4 %
微晶質セルロース 20.0 %
酒石酸 8.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0100】
顆粒剤2を代わりの錠剤圧縮機を用いて圧縮して、9mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬された、質量125mgの持続放出錠剤を得た。錠剤を顆粒剤1で乾式被覆し、乾式コーティングの質量は150mgであり、剤皮中のゾルピデム ヘミ酒石酸塩の副用量は6mgである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゾルピデム(zolpidem)またはその塩からなる制御放出剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
EP173928号に、活性作用薬を含有する核と、その上に塗布されたコーティングとからなる、薬理学的活性作用薬の2相性放出プロフィールを有する経口薬剤制御放出製剤が開示されている。そのコーティングは、水と胃腸液に不溶性で、活性作用薬も含有する水溶性ポア創出材料である被膜形成ポリマーからなる。
EP361910号には、吸着された調合薬を含む噴霧乾燥された物質と、医薬的に許容される賦形剤からなる層と、調合薬とを有する顆粒剤が開示されている。
GB2245492号には、疎水性材料および界面活性剤で被覆された核とからなる経口的に投与可能なプログラム放出(すなわち、所定の遅延の後に放出)製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP173928号公報
【特許文献2】EP361910号公報
【特許文献3】GB2245492号公報
【発明の概要】
【0004】
ゾルピデムは、本発明による制御放出剤形に適した短時間作用の睡眠薬である。ゾルピデムは、イミダゾピリジンの治療群からの睡眠薬である。それは、錠剤または他の固体の剤形を用いることにより経口的に投与される。
ゾルピデムは、迅速に作用する。実際に、薬物動態学および薬力学的データにより、ゾルピデムが迅速な吸収と睡眠薬作用の開始との両方を有することが示されている。その生物学的利用能は、経口投与後は70%であり、通常の形態で5〜10mgにある治療量範囲における直線的動態を示し、ピーク血漿濃度に0.5〜3時間で達し、排泄半減期は平均2.4時間と短く、6時間までの作用持続を有する。
【0005】
簡単にするために、反対の指示がなければ、全体の記載の中においては「ゾルピデム」または「薬物」は、ゾルピデム自体およびその塩を意味する。
ゾルピデムの好ましい塩は、ゾルピデム ヘミ酒石酸塩である。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いままで、ゾルピデムの作用の迅速性により、胃腸管において迅速に崩壊し、胃腸管の体液中で溶解し、全身吸収され、そこでゾルピデムはその薬理学的効果を発揮することができ、患者の睡眠を導入することができる、即放出剤形のみが開発されていた。
本発明による新規な剤形は、所望の睡眠時間と、人体から薬物が十分な低レベルまで排泄されるのに必要な時間とが両立できる期間にわたって放出を維持することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ゆえに、第1の目的として、本発明は、第1相が即放出(immediate release)相で、第2相が持続放出(prolonged release)相である2相性プロフィールの溶出に従い、所定の時間枠にわたって放出するよう適合させた、ゾルピデムまたはその塩からなる制御放出剤形を提供する。
【0008】
「薬物の総量」は、本発明による全体の剤形に含まれる薬物の重量による量を意味する。
第1相または即放出相は、適当な生体外溶出試験における0〜30分の溶出プロフィールを持つ相の部分である。適当な溶出試験は、例えば実施例1に記述された方法の一つである:米国薬局方によるII型溶出装置において水性緩衝液中で37℃で測定が行われる方法、または当該分野の当業者によく知られたこれに関する変法である。この相の間で溶解した薬物の割合は、30分で溶解した薬物の総量の割合に等しい。
本発明による剤形の有利な具体例において、第1相に割り当てられた薬物の90%またはそれ以上の相部分は、20分以内、より好ましくは15分以内で溶解する。
【0009】
第2相または持続放出相は、実施例1で記述されたような、適当な生体外溶出試験で測定した、30分後の溶出プロフィールの相の部分である。本発明は、その後、第2相のその完全溶出時間が2〜6時間であり、好ましくは2.25〜3.5時間である薬物の剤形を提案する。
【0010】
第2の持続放出相のプロフィールは、以下に定義するように、時間T1、T2およびT3で放出された割合により定義される。
T1は、第2相の薬物放出の始まりであり、30分に等しい。
T3は、第2相の薬物放出の終末に近く、第2相に割り当てられた薬物の85%が放出された時間である。
T2は、第2相に割り当てられた薬物の50%が放出された時間である。例えば、薬物の総量の50%が30分で放出されたとき、第2相の放出のために50%残っている。T3は、ゆえに92.5%溶出[50%+0.85×50%]の時間であり、T2は75%溶出の時間である。
【0011】
第2相は、ときにマトリックス放出と呼ばれる、T.Higuchiら[J.Pharm.Sci. 52, 1145 (1963)]に提案された式[式中、(T2−T1)=0.35(T3−T1)]に従い、時間の平方根に比例した放出プロフィールを意味することができる。より有利には、第2相は1次放出[式中、(T2−T1)=0.37(T3−T1)]でありうる。さらにより有利には、第2相は、0次のプロフィールまたはS字状のプロフィールを意味することができる。0次のプロフィールは、放出速度が一定またはほとんど一定、(T2−T1)=0.59(T3−T1)であるものである。S字状のプロフィールは、第2相における放出速度が加速されたものであり、(T2−T1)>0.59(T3−T1)である。これら異なる型のプロフィールの中間もまた、包含されている。
【0012】
第1相における迅速な放出は患者の即座な睡眠を誘導し、第2相により薬物血液レベルをピークレベルに、またはそれ以下であるが、即放出剤形で得られるレベルよりは高くに保つことが可能となり、同時に投薬後、目的の睡眠を維持する。
本発明は、そこで、薬物の総量の90%の放出のための時間として定義されるその完全溶出時間が、2〜6時間、好ましくは2.25〜3.5時間であるゾルピデムまたはその塩の剤形を提案する。
【0013】
薬物の総量の40〜70%、好ましくは50〜60%は、即放出相の間で放出されることができる。
そのような生体外放出プロフィールの例は、薬物の総量の60%が即放出相の間に放出され、第2相が、薬物の総量の90%が3時間の間溶解している0次である、図1に示される。そのようなプロフィールのさらなる例は、薬物の総量の50%が即放出相の間に溶解され、第2相放出が3つの他の型のプロフィール:時間の平方根に比例した放出(マトリックス放出)、1次放出およびS字状の放出プロフィールに従う図2に示される。
【0014】
第2の目的として、本発明は、それらが薬物の2種類の医薬本体:1つの即放出本体および1つの持続放出本体からなることを特徴とするゾルピデムまたはその塩の制御放出剤形を提供する。即放出相の間(30分より前)に溶解した薬物は、即放出本体に含まれ、持続放出相(30分より後)において遊離するものは持続放出本体に含まれる。
【0015】
迅速な放出のための剤型における薬物の少量は、剤型中で維持され、したがって溶出の始まりから30分後の時間で放出され、したがって持続放出相に含まれる。同様に、持続放出医薬本体に組みこまれた薬物の少量は、30分より前に放出され、したがって即放出相の一部を形成する。
本発明によれば、即放出本体に含まれ、30分以内で溶解する薬物の割合は、少なくとも90%である。持続放出本体内に含まれ、30分以内に放出される薬物の割合は、0〜35%、好ましくは0〜25%である。
【0016】
2相性プロフィールの必要条件に適合し、上述の2種類の医薬本体からなることが可能な剤形の中で、以下:カプセル剤、錠剤、多層錠剤、多層被覆(multicoated)錠剤が挙げられる。
即放出本体は、本発明においては、例えば即放出錠剤もしくはペレットのような単一薬剤即放出単位、またはカプセル剤もしくは錠剤に調剤される幾つかのそのような単位として;錠剤においては即放出マトリックスとして;多層錠剤において組みこまれうる即放出層として;多層被覆錠剤またはペレットにおける即放出コーティング層として理解される。
【0017】
持続放出本体は、本発明において、例えば、持続放出錠剤もしくはペレットのような薬剤持続放出単位、またはカプセル剤もしくは錠剤に調剤される幾つかのそのような単位として; 多層錠剤において組み込まれうる持続放出層として; 多層被覆錠剤における持続放出核または持続放出コーティング層として; 崩壊錠剤内の持続放出ペレットとして理解される。
即放出本体および持続放出本体が同時にしかし別々に投与される剤形は、また本発明において包含される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】即放出相がゾルピデムの総量の60%であり、第2相が3時間以内に溶解するゾルピデムの総量の90%を有する0次である、生体外2相性の放出プロフィールの例を示す。
【図2】50%が第1相において溶解し、第2相放出が(i)時間の平方根に比例し(連続線)、(ii)1次(点線)および(iii)S字状の放出プロフィール(ダッシュ線)である、2相性の生体外放出プロフィールの例を示す。
【図3】実施例1で記述したように、0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液における実施例1の錠剤の生体外溶出プロフィールを示す。
【0019】
【図4】比較例1で記述したように、0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液中における比較実施例1の錠剤の生体外溶出プロフィールを示す。
【図5】実施例2の即放性錠剤剤型と、実施例3の即放出錠剤と持続放出錠剤の組み合わせを比較する単一用量薬物動態学研究の結果を示す。
【図6】0.01M塩酸中の実施例4の即放出および持続放出スフェロイドの混合物の溶出プロフィールを示す。
【0020】
【図7】2層および多層錠剤を示す。(a)1つの即放出層と1つの持続放出層からなる2層錠剤。(b)2つの外側即放出層と、1つの内側持続放出層とからなる3重層錠剤。(c)外側即放出層と、内側持続放出層と、活性物質を含まず、放出プロフィールを調節する外側層とからなる3重層錠剤。(d)外側即放出層と、外側持続放出層と、活性物質を含まず、放出プロフィールを調節する内側層とからなる3重層錠剤。
【図8】0.01M塩酸ならびにpH6.8およびpH7.5リン酸緩衝液中の、実施例6の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【図9】0.01M塩酸における、2層錠剤の溶出プロフィールおよび、比較例2の即放出および持続放出錠剤の組み合わせの溶出プロフィールを示す。
【0021】
【図10】0.01M塩酸およびpH6.8リン酸緩衝液における、比較例3の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【図11】0.01M塩酸における、実施例8の2層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による剤形は、典型的にはゾルピデム塩基として4〜16mgのゾルピデムを、好ましくはゾルピデム塩基として6〜12mgのゾルピデムを含む。ゾルピデムは、塩基として、またはゾルピデムの医薬的に許容される塩として組みこまれる。ゾルピデム塩基よりもむしろゾルピデムの塩からなる剤形のうち、本発明によれば、ゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなるものが特に好ましい。
有利な具体例において、剤形はpHに無関係な溶出を第2相において得るために、調剤されることができる。そのような溶出を達成する好ましい手法は、ゾルピデムのような塩基性薬物の場合、当該分野で当業者に公知の方法に従い、剤型に医薬的に許容される有機酸を加えることである。そのような剤形が好ましい。
【0023】
これら医薬的に許容される有機酸は、例えば、それらが存在するラセミ化合物または異性体の形態の、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸およびそれらの酸塩から選択することができる。本発明によれば、特に好ましい酸は、酒石酸、フマル酸、クエン酸およびコハク酸ならびにそれらの酸塩である。
【0024】
本発明の範囲を限定せず、本発明を説明する様々な剤型は以下に記述する:
(1)1またはそれ以上の即放出錠剤および1またはそれ以上の持続放出錠剤からなるカプセル剤:
即放出錠剤は、微晶質セルロース、マンニトール、ソルビトールおよび乳糖のような賦形剤との薬物またはその塩の混合物の直接打錠法により製造することができる。崩壊剤および滑沢剤のような他の機能的賦形剤を加えることができる。これらの機能的賦形剤ならびに賦形剤の選択は、当該分野の当業者によく知られている。代わりに、錠剤を、適当な賦形剤、崩壊剤および結合ポリマーとの薬物またはその塩の混合物の、水との造粒;顆粒の較正および乾燥;滑沢剤の添加、打錠機で圧縮することにより製造することができる。
【0025】
用いられる方法は、通常薬剤文献に記載されているもの、例えば, B. B. Sheth, F. J. BandelinおよびR. JF. Shangraw, Compressed Tablets, in Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, 第1巻、H. A. LiebermanおよびL. Lachman編集、Dekker N.Y. (1980)を参照する。
持続放出錠剤は、即放出錠剤を拡散限定ポリマーコーティングでコーティングすることにより製造することができる。Rohm Pharmaにより市販されているオイドラギット(登録商標)RS、オイドラギット(登録商標)RL、オイドラギット(登録商標)NEのようなエチルセルロース、メタクリル酸メチルコポリマーの中から適当なポリマーを選択することができる。コーティング方法は、パンコーターまたは流動床コーティング装置のいずれかにおいて、錠剤上にポリマーの溶液を噴霧することからなる。溶媒は、用いるポリマーの性質に応じて、有機性または水性であってもよい。コーティング方法は、以下の研究:L. Lachman, H. Lieberlmman およびJ.L. Kanig (Eds.) The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Lea & Febinger, Philadephia, USA, 1986 ; J.M. McGinity, Aqueous polymer coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, Dekker NY, 1989中の、J.M. Bakan, Microencapsulationに、記述されている。
【0026】
代わりに、持続放出錠剤を、剤型中にマトリックス−形成賦形剤を組みこみ、崩壊剤を割愛することにより製造することができる。そのようなマトリックス−形成賦形剤は、水性液体との接触で膨張し、膨張したポリマー網状組織を通じて拡散により薬物の放出を制御し、持続放出錠剤のものに関して10〜30重量%のレベルで組みこまれる、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースを含む親水性ポリマーであってもよい。
さもなければ、マトリックス形成賦形剤は、持続放出錠剤のものに関して10〜40重量%のレベルで組みこまれる、硬化ひまし油またはカルナウバロウのような脂質物質であってもよい。
【0027】
ゾルピデムが、小腸の中性pH条件下で溶出の間に錠剤のミクロ−pHを維持するために上記リストから選択される医薬的に許容される有機酸と任意に一緒になる、塩基性薬物であるので、持続放出錠剤は調剤されることができる。
【0028】
(2)持続放出ペレットと即放出ペレットの混合物からなるカプセル剤:
即放出ペレットは、水またはエタノールのような有機溶媒中に懸濁した薬物を、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはポピドンまたは結合剤として作用する他の適当なポリマーにより、球形の顆粒上に沈殿させることにより製造することができる。流動床コーティング装置が通常用いられる。粒子は、高速混合造粒機または回転式流動床集塊機中で塊状に集まり、球形の顆粒剤またはペレットを形成してもよい。これらの方法は、K.W.OlsonおよびA.M.Mehtaにより、Int.J.Pharm.Tech&.Prod.Mfr. 6 18-24, 1985中に記述されている。ペレットはまた、例えばC. Vervaet, L. Baert & J. P. Remon Int.J.Pharm. 116 (1995) 131-146中に記述のように、湿った塊または溶融物の押出、次いで球状化(spheronisation)により製造することもできる。用いられる賦形剤は、微晶質セルロースまたマンニトールのようなプラスチック性のものが典型的である。少量のポリマー性結合剤が通常添加される。ナトリウムドデシル硫酸塩のような界面活性剤も、組みこむことができ、より容易な押出を生じる。
【0029】
持続放出ペレットは、錠剤について記述したのと同じ方法で即放出ペレットをコーティングすることにより製造される。コーティングは、例えば、コーティングパン中、または流動床塗布機-乾燥機中で行うことができる。コーティングの量および組成は、ペレットにおける拡散のための表面をかなり大きく考慮に入れるために、錠剤において用いられるものから調節されてコーティングの透過性を減じさせる。
【0030】
持続放出ペレットは、ゾルピデムが塩基性薬物であるため、小腸の中性pH条件下での溶出の間、ペレットの内部のミクロ−pHを維持するために、医薬的に許容される有機酸を含む。
代わりに、ゾルピデムが塩基性薬物であるため、持続放出ペレットは、中性pHで溶解性で、酸性pHで不浸透性なポリマーを含む、オイドラギット(登録商標)Sのような、pH感受性膜で被覆されてもよく、pH5およびそれ以上のpHでの薬物による浸透を増加させ、より高いpH値での薬物の減少した溶解性を補償する。代わりに徐放性ペレットおよび即放出散剤。
【0031】
(3)マトリックス中に埋め込まれた薬物からなり、また薬物からなる多数の持続放出性被覆ペレットからなる錠剤:
代わりに、錠剤は、持続放出性被覆ペレットと、薬物のないマトリックス中に埋め込まれた薬物からなる即放出性非被覆ペレットの混合物からなってもよい。
代わりに、持続放出性被覆ペレットは、薬物および他の賦形剤からなる、薬物のないマトリックス中に埋め込まれた、その層から即放出を可能にする層でさらに被覆されてもよい。
ペレットを取り囲むマトリックスは、錠剤への圧縮は、ペレットを取り囲む膜の完全さに緩衝されないために、調剤されるのが好ましい。体液との接触により、錠剤は崩壊し、マトリックスもしくは即放出ペレットまたは即放出ペレットコーティングから薬物を迅速に放出し、そのあと持続放出ペレットから薬物をゆっくり放出する。ペレットは、小腸の中性pH条件下での溶出の間ペレットのミクロ-pHを維持することができるように、医薬的に許容される有機酸で調剤されてもよい。
【0032】
(4)(i)薬物および親水性ポリマー(好ましくはセルロース誘導体)からなる1または2の持続放出層と、
(ii)薬物からなる1またはそれ以上の即放出層と、
および、可能なら、
(iii)薬物を含まず、しかしヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような親水性ポリマーまたは乳糖、ソルビトール、マンニトールのような溶解性賦形剤または親水性ポリマーおよび溶解性賦形剤からなる他の層[その層は持続放出層からの薬物の放出を調節する]と
からなる多層錠剤。
【0033】
各層は、当該分野の当業者によく知られたように、圧縮に適した性質、滑性(lubrification)、結合性を与えるように、他の賦形剤を含む。そのような2層および多層錠剤の例は、図7a〜dに示した。図中、即放出層はiで示し、持続放出層はpで示し、放出プロフィールを調節する層はmで示した。
【0034】
(5)(i)薬物および、ゾルピデムが塩基性薬物であるので、任意に、一定のpHを維持するための医薬的に許容される有機酸とからなる核と、
(ii)この核から薬物の緩和な放出を生じるポリマーコーティング層と、
(iii)剤形が体液との接触により迅速に、または直ちに放出される薬物からなるコーティング層とからなる多層被覆錠剤。
【0035】
錠剤の各部分は、特に内側核は、当該分野の当業者によく知られたように、圧縮に適した性質、滑性(lubrification)、結合性を与えるように、他の賦形剤を含むことができる。多層性および多層被覆錠剤の両方を作成する方法は、W.C.Gunselにより、Compression coated and layer tablets in Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, 第1巻、H. A. LiebermanおよびL. Lachman著, Dekker N.Y. (1980)中に記述されている。
【0036】
本発明の範囲内に含まれる他の特定な具体例としては、誤用を避けるのを意図した医薬組成物も挙げられる。
実際、ある薬物および特に、合法的な経口使用を意図した睡眠薬は、誤用の可能性があることが知られている。
本発明の目的である、薬剤剤型のための薬物誤用のこの可能性を実質上減少させ、または除去さえするある方法は、同時に、
−正常な投与の後、上記2相性の生体外プロフィールに従い、活性成分を解放すること、および
−もし飲み物に導入されたら、アルコールを含有していてもいなくても、飲み物の視覚的変化または外観に変化を生じること
が可能なゾルピデムからなる経口投与用医薬組成物を提供することである。この視覚的変化または変化が、知らずに該飲み物中に活性成分が人へ投与されることを防止することを意図している。
【0037】
本発明によるこれらの視覚的変化は、飲み物中の該組成物の存在を示す全ての手段を含む。視覚的変化を誘導する方法として以下に示す:着色賦形剤の包含、飲み物の水面での組成物の浮遊、飲み物の水面上での、コップの縁の上での、飲み物中および/もしくはコップの底での不溶性粒子の形成またはその組み合わせ。
飲み物は、あるいはアルコールと共に、例えば、コーヒー、茶、ワイン、蒸留酒、リキュール、熱または冷チョコレート風味の飲み物、全ての気体のアルコール性または非アルコール性飲み物、全てのカクテルまたは果汁、牛乳、乳脂等の混合物からなってもよい。
【0038】
組成物の浮遊は、以下に記述するように泡立ち発生剤を用いることにより得ることができる、発泡により達成することができる。
これらの発泡特性に加え、組成物は、飲み物と接触すると現れる粘度増加特性を示すことができる。したがって、泡が形成されたとき、それらは「トラップ」され、組成物は膨張する。密度の低下は、飲み物の水面での医薬組成物の維持に貢献する。そのような粘度は、1またはそれ以上のゲル化物質により得ることができる。親水性賦形剤は、以下に示すように、ゲル形成物質として特に適している。
【0039】
粒子は、上記したように浮遊に有用な脂質親和性および親水性賦形剤の会合により得ることができる。適当な脂質親和性賦形剤のリストは以下に示す。
本発明のこの特定な具体例による組成物は、たとえ組成物が浮遊しなくても、または直ちに浮遊しなくても、粒子を遊離させることができる。
泡立ち発生剤は、二酸化炭素発生系であってもよい。適当な二酸化炭素発生剤および医薬的に許容される酸からなることができる。
【0040】
二酸化炭素発生剤は、通常、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属またはアミノ酸の炭酸塩または炭酸水素塩である。炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、L-リジン炭酸塩、アルギニン炭酸塩または二炭酸一水素三ナトリウムが、二酸化炭素発生剤として挙げられる。
【0041】
酸は、酸無水物、モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸の部分的な塩であってもよい。より詳細には、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、ニコチン酸、アセチルサリチル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸または、無水グルタル酸、無水クエン酸、クエン酸一ナトリウム塩および無水コハク酸を選択することができる。
【0042】
二酸化炭素発生剤は、上記の二酸化炭素発生剤の混合物から構成されてもよい。
そのような二酸化炭素発生系において、酸性化合物の含有物は、該二酸化炭素発生剤中のモル数に関して該酸性化合物中のモル数の比が、1〜2であるように、通常選択される。
ゲル形成物質は、組成物の膨張を引き起こし、放出された気体をトラップする親水性賦形剤の1またはそれ以上からなることができる。
【0043】
不溶性粒子を形成するために、1またはそれ以上の脂質親和性賦形剤を親水性賦形剤に加えてもよい。
発泡および粒子の形成方法により、浮遊し、ガラスに貼りつく粘着性の集塊を生じる。この方法は、飲み物の種類により、0.5〜25分の間持続する。
【0044】
脂質親和性賦形剤の中で、以下が挙げられる:グリセロールステアレート、パルミトステアレートおよびベヘネート;硬化植物油およびそれらの誘導体;木蝋および獣蝋(animal wax)およびそれらの誘導体;硬化ひまし油およびそれらの誘導体ならびにセチル酸エステルおよびアルコール。
親水性賦形剤の中で、以下が挙げられる:セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(50〜1250kDaの分子量)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(10〜1500kDaの分子量)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;植物性ガムおよびそれらの誘導体;アルギン酸の誘導体;ポリエチレングリコールおよびそれらの誘導体;デンプンおよびそれらの誘導体;シリカ、ポリメタクリレートおよびアクリル酸ならびにメタクリレートコポリマー。
ゲル形成物質の構成成分の一つは、アルコール中で溶解性がより低いものを選択することができる。
【0045】
着色賦形剤は、誤用を避ける視覚的変化を生じるので、加えるのが有利である。液体および粒子を同時に、または互いに独立して着色することができる。
適当な着色賦形剤の中で、以下が挙げられる:インジゴチン(indigotine)、コチニールカルミン酸、イエローオレンジS、アルラレッドAC、酸化鉄、ククルミン(cucurmin)、リボフラビン、タートラジン、キノリンイエロー、アゾルビン、アマランス、カルミン、エリトシン(erythosine)、レッド2G、パテンテッドブルー V、グリッタリングブルーFCF、クロロフィル、クロロフィルの銅錯体、グリーンS、キャラメル、グリッタリングブラックBN、カーボメディシナリスベジタビリス(carbo medicinalis vegetabilis)、ブラウンFKおよびHT、カロチノイド、アナトー抽出物、パプリカ抽出物、リコピン、ルチン、カンタキサンチン(canthaxanthin)、ビートレッド、アントシアニン、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、銀、金もしくはリトルビン(litholrubin)BKまたは経口投与に適した他のいずれの着色賦形剤。
【0046】
これらの誤用を防ぐ視覚的方法は、即放出および徐放性存在本体と共に、薬剤形態からなり、活性物質を含まない別個の医薬本体からなってもよく、またはそれらは、これら2つの存在物の1つ中に組みこまれてもよい。しかし、第3の方法は、それら全てまたはあるものを独立した本体内に組み入れ、同時に即放性または徐放性本体にあるものを加えることである。
上述のような誤用阻止の組みこむ方法は、剤型のタイプに依る。内部錠剤封入カプセル剤のものを含む上述の錠剤の場合、誤用阻止付与性物質(色素、発泡性カップル等)は、剤型の即放出本体内に含まれてもよい。
【0047】
代わりに、多層錠剤およびカプセル剤内の即放性錠剤の場合、それらは、活性物質を含まないが、誤用阻止付与性物質を含む独立した層として、組みこまれることができる。そのような層は、徐放性錠剤またはカプセル剤内の錠剤に加えることができる、ただし、該錠剤はマトリックスとして調剤され、徐放性特性を与えるコーティングで被覆されない。
制御放出ペレットおよび即放出ペレットまたは顆粒剤を含むカプセル剤の場合、発泡性カップルを除く誤用阻止付与性物質を即放出本体内に組みこんでも、または別々に加えてもよい。
【0048】
以下の実施例は本発明を説明するが、限定しない。
実施例1:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤
以下の材料の最初の4つを一緒に混合し、水と顆粒化し、乾燥して較正した。顆粒剤は、その後ステアリン酸マグネシウムと混合し、回転式打錠機を用いて圧縮して錠剤毎に120mgの塊にした。
【0049】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 86.6 %
クエン酸 2.5 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6061 2.1 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
1ファーマコート(Pharmacoat)606、Shin-Ensu Coにより市販。
【0050】
錠剤をアクセラコータ(Accelacota)パン塗布機中で、所望の溶出プロフィールを得るために十分な量の以下の混合物で被覆した。
【0051】
エチルセルロース1 2.0 %
ジエチルフタレート 0.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.0 %
イソプロパノール 47.8 %
ジクロロメタン 47.8 %
1エトセル(Ethocel)、ダウケミカル株式会社により市販。
【0052】
錠剤の生体外溶出プロフィールを米国薬局方の装置IIを用いて確立した。2つの溶出媒体:37±0.5℃で維持した、900mlの0.01M塩酸および900mlの0.05Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液を用いた。
攪拌を、パドル法(50rpm)で行った。溶解した割合を270nmでのUV吸収の測定により決定した(閉鎖系において蠕動ポンプにより連続的にサンプリング)。その結果を図3に示す。
【0053】
比較例1: 酸なしで、10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤
実施例1と同じ方法に従い、以下の組成を有する錠剤を製造した。
【0054】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 89.1 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.1 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0055】
それらを、50%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと50%のエチルセルロースからなるポリマー混合物で被覆した。錠剤のそれらの生体外溶出プロフィールを実施例1の方法により確立した。
その結果を図4に示す。それらにより、酸からなる持続放出錠剤が、pHとは独立した溶出プロフィールを示すことが示された。
【0056】
実施例2:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる即放出錠剤
10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬され、単位量120mgを有する錠剤を、以下の組成を有する、実施例1と同じ方法に従い製造した。
【0057】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.3 %
乳糖 75.8 %
微晶質セルロース1 10.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.1 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム2 3.2 %
ステアリン酸マグネシウム 0.6 %
1アビセル(Avicel)、FMCにより市販。
2プリモジェル(Primojel)、Avebeにより市販。
【0058】
錠剤の溶出を実施例1に記述の方法に従い0.01M塩酸媒体中で試験した。即放出錠剤に含まれるゾルピデムの量の90%を30分未満で放出した。
【0059】
薬物動態学研究のため得られた即放出錠剤を6人の健康な有志者に経口的に投与した。2つの錠剤を単一用量研究のため各有志者に経口的に投与した。血液サンプルを30分、1、2、3、4、6、8、10時間に採取し、ゾルピデムを分析した。その結果(メジアンゾルピデム血漿レベル)を図5中にプロットした(黒塗り四角(closed squares))。
【0060】
実施例3:ゲラチンカプセル剤内の、実施例2による10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる即放出錠剤と、実施例1による10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる持続放出錠剤とからなる薬剤型
持続放出錠剤および即放出錠剤の共投与の薬物動態学研究を行った。各々が10mgのゾルピデムからなる、上述の1つの即放出錠剤および1つの持続放出錠剤を、実施例2に記述の研究のように同じ6人の有志者に投与した。その結果(メジアンゾルピデム血漿レベル)を図5中にプロットした(白塗り四角(open squares))。その結果によりゾルピデムレベルの迅速な増加が示され、30分でピークに達し、即放出と同様であり、しかし血漿レベルは投薬後3〜6時間で達し、それは即放出剤型の同量(20mg)で得られるものより高い。ゾルピデムの全量が最大約8時間中で放出される。
【0061】
溶出プロフィールは、実施例1および2の溶出プロフィールの添加のものと同一であった。したがって、即および持続放出医薬本体の各々が10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(50%)を含み、その即放出相は12.2mg(61%)で、持続放出相は7.8mg(39%)であった。完全溶出時間(90%放出された)は2時間であった。プロフィールパラメータは:T3=2.12時間;T2=1.19時間;(T2−T1)=0.43(T3−T1)、プロフィールはほとんど0次であった。
【0062】
実施例4:即放出ペレットおよび被覆された持続放出ペレットの混合物からなるカプセル剤
100gのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と100gのポピドン[BASFにより参照プラスドン(Plasdone)K29/32として市販]からなる670gのエタノール中の懸濁液を調製した。750gのこの懸濁液を流動床乾燥機中で1060gの16〜18メッシュのミクロ顆粒剤上に噴霧した。ゾルピデムの溶出を0.01M塩酸中で実施例1に記述の方法に従い試験した。80%が2分以内で溶解し、100%が30分で溶解した。
25gのメタクリレートコポリマー オイドラギット(登録商標)RL100、143gのメタクリレートコポリマー オイドラギット(登録商標)RS100(両方ともRohm Pharmaにより市販されている)および18.7gのクエン酸エチル[商標名オイドラフェック(Eudrafex)(登録商標)で可塑剤としてRohm Pharmaにより市販されている]からなる溶液を、1180gの60:40m/mのイソプロパノール/アセトン混合物中で調製した。ゾルピデムからなるペレットを流動床乾燥機中で噴霧することによりこのポリマー混合物で被覆し、コーティングの最終的な量は被覆されていないペレットの20質量%であった。35℃で24時間のペレットの熟成の後、先に記述したこれらの被覆されたペレットと被覆されていないペレットの混合物を、ゾルピデム含有量が1:1の割合で調製し、ゼラチンカプセル剤中に詰め、カプセル剤あたりのゾルピデム ヘミ酒石酸塩含有量の総量が15mg(12mgのゾルピデム塩基)となるようにした。カプセル剤の溶出を実施例1に記述の方法で試験し、その結果のプロフィールは図6に示した。
【0063】
したがって即および持続放出医薬本体各々は、7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(50%)を含有した。約1時間の時間のずれのため、持続放出本体からの放出の前に、即放出相(60%)と持続放出相(40%)が、ちょうど本体に相当した。完全溶出時間(90%放出された)は3.17時間であった。プロフィールパラメータは:T3=3.17時間;T2=1.68時間;(T2−T1)=0.44(T3−T1)およびプロフィールはS字状の形態であった。
【0064】
実施例5:7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる速効崩壊性マトリックス内に5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる被覆された持続放出ペレットからなる錠剤持続放出性被覆ペレットを実施例4で記述のように製造した。ペレットをその後同じ方法を用いて微晶質セルロースの20質量%の層で噴霧被覆した。以下の組成の顆粒剤が湿式造粒によりその後製造された。
【0065】
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 8.4 %
乳糖 20.0 %
微晶質セルロース 1 62.9 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 3.0 %
クロスポピドン 2 5.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.7 %
1 アビセル(Avicel)、FMCにより市販。
2 コリドン(Kollidon)CL、BASFにより市販。
【0066】
これを、2部の被覆されたペレットに対して3部の顆粒剤(ゾルピデム含有量に関し)の割合で、被覆されたペレットと混合し、その混合物を12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(10mgのゾルピデム塩基に等しい)で調薬された錠剤に圧縮した。
【0067】
実施例6:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる2層即/持続放出錠剤
顆粒剤を以下の組成に従って湿式造粒により製造した。造粒工程は、実施例1に記述したものであった。
【0068】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.4 %
乳糖 150メッシュ 68.3 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0069】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 5.6 %
乳糖 150メッシュ 40.0 %
微晶質セルロース 20.0 %
酒石酸 8.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース(Metolose)90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0070】
混合物をその後、代わりの錠剤圧縮機を用いて、図7(a)に示す形態の2層錠剤に圧縮した。各錠剤は、12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤1を有する第1の即放出層と、7mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含む。錠剤の生体外溶出プロフィールを米国薬局方の装置2を用いて確立した。3つの溶出媒体を用いた:0.01Mの塩酸、0.025Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液および0.015Mリン酸カリウムpH7.5緩衝液。溶出媒体の容量は500mlであり、37±0.5℃に維持した。攪拌はパドル法(75rpm)により行った。グリルを各容器の底に置き、錠剤がガラス表面に貼りつくのを防いだ。溶解した割合を310nmでのUV吸収の測定により決定した(蠕動ポンプにより閉鎖系において連続的にサンプリングする)。結果を図8に示す。溶出プロフィールはpH1〜6.8のpHにほぼ独立である。ゾルピデムは著しく減少した速度であるが、pH7.5で放出されつづけた。
【0071】
即放出本体は、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(44%)と、7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩(56%)を含有する持続放出本体を含有する。完全溶出時間(90%が放出された)は2.14時間であった。0〜0.5時間の持続放出医薬本体からの放出のため、相当する即放出相は7.5mg(60%)であり、持続放出相は5mg(40%)であった。プロフィールパラメータは:T3=2.23時間;T2=1.38時間;(T2−T1)=0.51(T3−T1)、プロフィールは0次であった。
【0072】
比較例2:同じ組成の即放出および持続放出錠剤のものを有する12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる2層即/持続放出錠剤の溶出プロフィールの比較
【0073】
顆粒剤を以下の組成に従って湿式造粒により製造した。造粒工程は、実施例1に記述したものであった。
【0074】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 6.0 %
乳糖 150メッシュ 66.7 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0075】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 55.0 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 20.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0076】
各顆粒剤の一部を、代わりの錠剤圧縮機を用いて図7(a)に示す形態の2層錠剤に圧縮した。各錠剤は12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、6.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤1を有する第1の即放出層と、6mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含有する。溶出プロフィールを米国薬局方の装置2を用いて試験した。溶出媒体は0.01M塩酸であり、37±0.5℃に維持した。容量は500mlであり、攪拌をパドル方法により行った(75rpm)。溶解した割合を310nmでのUV吸収の測定により決定した(蠕動ポンプにより閉鎖系において連続的にサンプリングする)。結果を図9に示す。溶出媒体のpHはプロフィールに著しい作用を与え、高いpHにより溶出速度は低下した。
【0077】
比較例2の各顆粒剤の残りの部分を、おのおの錠剤質量125mgに圧縮し、即放出錠剤(顆粒剤1)は7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩、持続放出錠剤は5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる。錠剤の生体外溶出プロフィールを実施例1の方法により確立した。
【0078】
生じたプロフィールを図9に示した。驚いたことに、即放性層の存在が、2層錠剤中の親水性マトリックス持続放出層の溶出に著しい効果を与え、ところが単独の錠剤の溶出プロフィールは、単独の錠剤のプロフィールの合計であり、2層錠剤の持続放出相は、単独の錠剤の場合のものより著しく遅かった。
【0079】
比較例3:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる、持続放出層中に酸を有さない2層錠剤の溶出プロフィールのpH依存性
実施例6のものに類似した顆粒剤を製造した。顆粒剤2の場合(持続放出)、酒石酸を省略し、剤型において乳糖に置き換えた(48.4%)ことのみが相違する。混合物をその後、代わりの錠剤圧縮機を用いて、実施例6に関して図7(a)に示した形態の2層錠剤に圧縮した。錠剤の生体外溶出プロフィールを実施例6に関して、2つの溶出媒体:0.01M塩酸および0.025Mリン酸カリウムpH6.8緩衝液を用いて確立した。その結果を図10に示す。0.01M塩酸中の溶出プロフィールは酸を有する剤型(実施例6)のものと非常に近く、しかしpH6.8での速度は非常に減少した。
【0080】
実施例7:12.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる3層即/持続放出錠剤
顆粒剤を以下の組成に従い、実施例1の方法により製造した。
【0081】
層1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 5.0 %
乳糖 150メッシュ 67.7 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0082】
層2(不活性)
乳糖(噴霧乾燥された) 60.0 %
微晶質セルロース 24.0 %
酒石酸 10.0 %
ヒドロキシエチルセルロース 5.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0083】
層3(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 6.0 %
乳糖 150メッシュ 40.0 %
微晶質セルロース 19.0 %
酒石酸 9.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0084】
それらを実施例6に記述のように図7(d)に示す形態の3層錠剤中に圧縮した。層1は100mgの顆粒剤1からなり、5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を有し、層2(中間層)は100mgの顆粒剤2からなり、層3は125mgの顆粒剤3および7.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる。
【0085】
実施例8:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなり、発泡性カップルおよび色素を即放出層中に含む、被覆された2層即/持続放出錠剤
以下に示す組成に従い混合物を調製した。即放性層用の散剤混合物1を最初の8つの成分を乾式混合することにより調製した。残りの3つの成分はその後添加する。持続放出層用の顆粒剤2を最初の5つの成分の水との造粒により製造し、残りの2つの成分を乾燥およびふるい分けの後顆粒剤と混合した。
【0086】
散剤混合物1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 3.6 %
無水乳糖 11.3 %
微晶質セルロース 24.3 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
インジゴチン W6004 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 2.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0087】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.4 %
乳糖 150メッシュ 36.0 %
酒石酸 8.4 %
微晶質セルロース 20.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 30.0 %
コロイドシリカ 0.2 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0088】
混合物をその後、マネスティ(Manesty)BL錠剤圧縮機を用いて、図7(a)に示す形態の2層錠剤中に圧縮した。各錠剤は10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩と、4.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの散剤混合物1を有する第1の即放出層と、5.5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなる125mgの顆粒剤2を有する持続放出層とを含有する。
【0089】
以下の組成のフィルムコーティング(錠剤質量に関して4%)を、コーティングタービン(Glatt GC300)を用いて無水アルコール中の20%分散液として塗布した。
【0090】
コポピドン1 12 %
エチルセルロース 12 %
二酸化チタン 46 %
タルク 30 %
1コリドンVA64、BASFにより市販。
【0091】
錠剤の溶出プロフィールを、実施例6で記述した装置と方法を用いて0.01M塩酸中で測定した。結果を図11に示す。
【0092】
実施例9:10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩からなり、発泡性カップルと染料を含む被覆された3層即/持続放出錠剤
以下に示す組成に従い、混合物を調製した。即放性層用の散剤混合物1を最初の8つの成分を乾式混合することにより調製した。残りの3つの成分をその後加える。持続放出層用の顆粒剤2を、最初の5つの成分の水との造粒により調製し、残りの2つの成分は乾燥および篩い分け後、顆粒剤と混合した。
【0093】
散剤混合物1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
微晶質セルロース 36.4 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
ブラック酸化鉄 0.3 %
インジゴチン 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 1.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0094】
散剤混合物2(抗誤用)
微晶質セルロース 40.4 %
ポピドン K30 5.0 %
酒石酸 23.0 %
炭酸水素ナトリウム 25.0 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0 %
ブラック酸化鉄 0.3 %
インジゴチン 0.8 %
ナトリウムドデシル硫酸塩 1.0 %
コロイドシリカ 1.0 %
ステアリン酸マグネシウム 0.5 %
【0095】
顆粒剤3(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 36.0 %
酒石酸 8.4 %
微晶質セルロース 20.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 30.0 %
コロイドシリカ 0.2 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0096】
混合物をその後、マネスティBL錠剤圧縮機を用いて、図7(d)に示す形態の3層錠剤中に圧縮した−その層はゾルピデムを含有せず、すなわちmで表される顆粒剤2の層である、。各錠剤は、10mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を含んだ。各層は、125mgの顆粒剤または散剤混合物からなり、即放出および持続放出層の両方は、5mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩を含む。
錠剤を実施例8に記述のようにフィルム被覆した。
【0097】
実施例10:15mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬された、乾式被覆された持続放出錠剤
以下の組成を有する顆粒剤を、実施例1に記述の方法を用いて製造した。
【0098】
顆粒剤1(即放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 4.0 %
乳糖 150メッシュ 48.7 %
微晶質セルロース 40.0 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 606 2.5 %
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.8 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
【0099】
顆粒剤2(持続放出)
ゾルピデム ヘミ酒石酸塩 7.2 %
乳糖 150 メッシュ 38.4 %
微晶質セルロース 20.0 %
酒石酸 8.4 %
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1 25.0 %
ステアリン酸マグネシウム 1.0 %
1 メトロース 90SH4000、Shin-Etsuにより市販。
【0100】
顆粒剤2を代わりの錠剤圧縮機を用いて圧縮して、9mgのゾルピデム ヘミ酒石酸塩で調薬された、質量125mgの持続放出錠剤を得た。錠剤を顆粒剤1で乾式被覆し、乾式コーティングの質量は150mgであり、剤皮中のゾルピデム ヘミ酒石酸塩の副用量は6mgである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米国薬局方によるII型溶出装置で0.01M塩酸緩衝液中において37℃で測定したとき、第1相が最大30分間の即放出相であり、第2相が持続放出相であり、ゾルピデムの全量の40〜70%が即放出相の放出時間中に放出され、ゾルピデムの全量の90%放出時間が2〜6時間であり、1種の即放出本体と1種の持続放出本体とを含み、溶出の2相性生体外プロフィールに従い、所定の時間枠にわたってゾルピデムまたはその塩を放出するように適合された制御放出剤形からなることを特徴とするゾルピデムまたはその塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
第2相が、0次放出のプロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項3】
第2相が、時間の平方根に比例する放出プロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項4】
第2相が、1次放出のプロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項5】
第2相が、S字状の放出プロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項6】
カプセル剤、錠剤、多層錠剤、多層被覆錠剤から選択される剤形にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項7】
一つ以上の即放出錠剤および一つ以上の持続放出錠剤を含むカプセル剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項8】
持続放出ペレットと即放出ペレットとの混合物を含むカプセル剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項9】
薬物をも含むマトリックス中に薬物がさらに埋め込まれた多数の持続放出被覆ペレットを含む錠剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの即放出層および少なくとも一つの持続放出層を含む多層錠剤からなることを特徴とする、請求項6による医薬組成物。
【請求項11】
一つの即放出層および一つの持続放出層を含む2層錠剤からなることを特徴とする、請求項6または10による医薬組成物。
【請求項12】
即放出本体および持続放出本体が、同時にしかし別々に投与されることを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項13】
酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸から選択される医薬的に許容される有機酸を含む投与形態にあることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項14】
持続放出本体が、ラセミ体もしくは異性体の形態にある酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸およびそれらの酸塩から選択される医薬的に許容される有機酸を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項15】
アルコールを含有しているもしくは含有していない飲み物に入れると、視覚的変化を生じ得ることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項16】
視覚的変化が、含有される着色剤の放出、または飲み物の表面における組成物の浮遊、あるいは飲み物の表面、コップの縁、飲み物の中および/またはコップの底、またはそれらの組み合わせにおける不溶性粒子の生成からなることを特徴とする請求項15による医薬組成物。
【請求項17】
泡立ち発生剤、親水性賦形剤、ならびに任意に脂質親和性賦形剤および着色剤を含み、制御放出ペレットおよび即放出ペレットを含む錠剤、多層錠剤もしくはカプセル剤、または顆粒剤の形態にあることを特徴とする請求項16による医薬組成物。
【請求項18】
4〜16mgのゾルピデムをゾルピデム塩基として含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つによるによる医薬組成物。
【請求項19】
ゾルピデムが、ゾルピデムヘミ酒石酸塩の形態を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項20】
12.5mgのゾルピデムヘミ酒石酸塩を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項21】
第2相の放出プロフィールが0次、一次、S字状、時間の平方根に比例、またはこれらのプロフィールの中間であることを特徴とする、請求項1による医薬組成物。
【請求項22】
溶解の生体外プロフィールが0.01M塩酸緩衝液中、37℃、約50〜75rpmの割合で試験される溶出のためのパドル装置で測定される、請求項1による医薬組成物。
【請求項1】
米国薬局方によるII型溶出装置で0.01M塩酸緩衝液中において37℃で測定したとき、第1相が最大30分間の即放出相であり、第2相が持続放出相であり、ゾルピデムの全量の40〜70%が即放出相の放出時間中に放出され、ゾルピデムの全量の90%放出時間が2〜6時間であり、1種の即放出本体と1種の持続放出本体とを含み、溶出の2相性生体外プロフィールに従い、所定の時間枠にわたってゾルピデムまたはその塩を放出するように適合された制御放出剤形からなることを特徴とするゾルピデムまたはその塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
第2相が、0次放出のプロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項3】
第2相が、時間の平方根に比例する放出プロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項4】
第2相が、1次放出のプロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項5】
第2相が、S字状の放出プロフィールを有することを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項6】
カプセル剤、錠剤、多層錠剤、多層被覆錠剤から選択される剤形にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項7】
一つ以上の即放出錠剤および一つ以上の持続放出錠剤を含むカプセル剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項8】
持続放出ペレットと即放出ペレットとの混合物を含むカプセル剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項9】
薬物をも含むマトリックス中に薬物がさらに埋め込まれた多数の持続放出被覆ペレットを含む錠剤からなることを特徴とする請求項6による医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの即放出層および少なくとも一つの持続放出層を含む多層錠剤からなることを特徴とする、請求項6による医薬組成物。
【請求項11】
一つの即放出層および一つの持続放出層を含む2層錠剤からなることを特徴とする、請求項6または10による医薬組成物。
【請求項12】
即放出本体および持続放出本体が、同時にしかし別々に投与されることを特徴とする請求項1による医薬組成物。
【請求項13】
酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸から選択される医薬的に許容される有機酸を含む投与形態にあることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項14】
持続放出本体が、ラセミ体もしくは異性体の形態にある酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸またはコハク酸およびそれらの酸塩から選択される医薬的に許容される有機酸を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項15】
アルコールを含有しているもしくは含有していない飲み物に入れると、視覚的変化を生じ得ることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項16】
視覚的変化が、含有される着色剤の放出、または飲み物の表面における組成物の浮遊、あるいは飲み物の表面、コップの縁、飲み物の中および/またはコップの底、またはそれらの組み合わせにおける不溶性粒子の生成からなることを特徴とする請求項15による医薬組成物。
【請求項17】
泡立ち発生剤、親水性賦形剤、ならびに任意に脂質親和性賦形剤および着色剤を含み、制御放出ペレットおよび即放出ペレットを含む錠剤、多層錠剤もしくはカプセル剤、または顆粒剤の形態にあることを特徴とする請求項16による医薬組成物。
【請求項18】
4〜16mgのゾルピデムをゾルピデム塩基として含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つによるによる医薬組成物。
【請求項19】
ゾルピデムが、ゾルピデムヘミ酒石酸塩の形態を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項20】
12.5mgのゾルピデムヘミ酒石酸塩を含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つによる医薬組成物。
【請求項21】
第2相の放出プロフィールが0次、一次、S字状、時間の平方根に比例、またはこれらのプロフィールの中間であることを特徴とする、請求項1による医薬組成物。
【請求項22】
溶解の生体外プロフィールが0.01M塩酸緩衝液中、37℃、約50〜75rpmの割合で試験される溶出のためのパドル装置で測定される、請求項1による医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−70572(P2010−70572A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295224(P2009−295224)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【分割の表示】特願2000−586328(P2000−586328)の分割
【原出願日】平成11年12月1日(1999.12.1)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【分割の表示】特願2000−586328(P2000−586328)の分割
【原出願日】平成11年12月1日(1999.12.1)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】
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