説明

タイツ等のような衣類ダブルフィード編成方法、該方法を改良する機械及び該方法で製造された衣類

本方法は、ダブルシリンダ編機の二つのシリンダの往復動によって本体(1)の少なくとも一部(5A、5B)を編成する段階と;二つのシリンダ(11、13)の連続した回転動作で脚部(9A、9B)を編成する段階とを含み、第1の脚部が上記シリンダのうちの第一のシリンダで編成され、第二の脚部が上記シリンダのうちの第二のシリンダで編成される。往復動で本体(1)の上記少なくとも一部分(5A、5B)を編成しながら上記二つのシリンダの各々において弧(C)の針を一時的に非作動状態に維持する。さらに、往復動による本体(1)の上記少なくとも一部分(5A、5B)の編成終了時に上記一時的に非作動状態の針が作動するように設定され、それにより、二つの脚部(9A、9B)を接合する相互編成線(CC)を形成し、両シリンダ(11、13)の全ての針(15)で連続した回転運動により編成動作を続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリーフ、タイツ等のような衣類、その編成方法及び機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、タイツ等を製造するために最も広く用いられている方法は、シングルシリンダ円形編機において二つの管状被編成編物を編成し、それらの編物をパンティー領域で長さ方向に切断し、そしてそれぞれの切断した縁部を互いに縫い合せることでそれらを接合する方法である。このようにして製造したタイツはフィト感に優れているが、縫目(シーム)があるため、特に鼠径において見た目に感じが良くなく、快適さがない。快適さを高めるために、ある幾つかのケースでは、衣類の鼠径部において織物まちが縫い合されているが、しかしパンティーストッキングの製造コストがかさむことになる。
【0003】
これらの欠点を解消するために、種々の方法及び編機が、パンティー領域においてさらなる縫目を設ける必要なしに、機械から創出される際には既に着用可能な形態であるタイツを製造する対応した編機と共に開発されてきた。
【0004】
これらの方法の一つは、例えば特許文献1に記載されており、ダブルシリンダ円形編機によって、この種の衣類を編成している。かかる編機は、往復動により回転し同一糸に作用する両シリンダによって骨盤にフィトさせるのに適した第1の管状編物を作り、一方のシリンダの針は、両シリンダが一方向に回転する際に管状編物の半体を作り、他方のシリンダの針は、両シリンダが反対の方向に回転する際に管状編物の他の半体を作る。その後、編機は連続した動きで回転し始め、両シリンダを用いて各シリンダで一つづつ脚部(以下“脚部分”と記載する)用の二つの他の管状編物を同時に製造し、各脚部分は第1の管状編物のそれぞれの半体に連続するものとして編成される。
【0005】
一見して、かかる衣類の外観がパンティーに縫目がないので完全に受け入れられるとしても、この種の編成システムの工業的使用を妨げるという重大な欠陥がある。特に、往復動によるパンティーの作成中に、機械の二つの対向するシリンダは、第1の管状編物の二つの半体を接続するインターステッチを最少化するために、相互に向かってできるだけ多く動かされなければならない。糸をピックアップして一コマ以上の送りでステッチを形成するように一方のシリンダの針を、他方のシリンダの対応した針と干渉させずに動かすことができるようにするために、両シリンダにおいて、針を単に交互に、例えば下部のシリンダにおける奇数番目の針及び上部シリンダにおける偶数番目の針を使用する。その結果、パンティー部は各シリンダにおいて利用できる針の半分で作られ、従って、伝統的な仕方で縫製し同じファインネスの機械で編成した同等の衣類に対して得られるステッチ密度は多くなる。このため、特に比較的大きなサイズの衣類のフィト及びカバーリングパワーは相当に限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4011738号、発行日1977年3月15日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特許文献1に記載の形式のものであるが、上記の欠点の少なくとも一つを部分的に又は完全に解消するように実質的に改良した、例えばブリーフやパンティーストッキング等のような本体と二つの脚部分とを備えた衣類のニット編成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、ダブルシリンダ円形編機によって本体と二つの脚部分とから成るニッテッド衣類の編成方法で達成され、かかる方法は、
・二つのシリンダの往復動により本体の少なくとも一部を編成する段階と、
・二つのシリンダの連続した回転運動により二つの脚部分を形成し、第1の脚部分を上記二つのシリンダの第1のシリンダで編成し、また第2の脚部分を上記二つのシリンダの第2のシリンダで編成する段階と
を含み、
二つのシリンダの往復動によって本体を編成しながら、上部のシリンダの少なくとも一つの弧(弧状部)の全ての針及び下部シリンダの相応した弧状部の全ての針が作動するように設定され、そして少なくとも二つ送り及び少なくとも二本の糸が用いられる。
【0009】
このようにして、本体と脚部分の両方は同じステッチ密度で作られる。衣類は良好なフット感をもつ。さらに、本体も編成するために少なくとも二つの糸及び送りを用いることにより、いわゆる“S”及び“Z”糸を組合わせて用いることが可能である。これらの糸はエラステック・ヤーン(弾性糸)から成る芯に被覆フィラメントを螺旋状に巻いて被覆することで得られる。糸は被覆フィラメントの巻回方向に従って“S”又は“Z”と呼ばれる。このようにして被覆した各糸は被覆フィラメントの巻回方向に従う方向に湾曲する傾向があるので、“S”及び“Z”型の二つの糸を用いることにより、二つの糸が逆に湾曲する傾向が補償でき、それにより品質の良好な製品が得られる。この技法は、ソックス製造分野では知られているが、特許文献1に記載の方法には適用できない。代わりに、平行糸が二本に等しい数又は二本以上の数、従ってまた奇数例えは三本を三本の送りで用いられ得る。
【0010】
二つの脚部分の爪先すなわち遠端部から編成し始め、二つのシリンダによる連続した動きで作動させて、二つの脚部分を同時に編成し、その後往復動で本体を編成することができる。しかし、本体の編成は好ましくは、まず本体のウエスト部から開始し、二つの脚部分の連続した動きによる同時編成が続き、二つの脚部分の爪先で終了する。以下、この第2の方法の実施形態について特に参照するが、この第2の方法に関して説明した有利な特徴及び実施形態の幾つかは最初の方法でも得ることができることが理解されなければならない。
【0011】
本発明による方法の幾つかの実施形態によれば、本体の上部部分である第1の管状編物は、360°以下すなわちシリンダの針の総数より少ない隣接した針の第1の弧状部分を用いて両シリンダを往復動させることにより実質的に編成される。その後、上記第1の管状編物が編成された時、シリンダは、それらの全ての針を用いて、連続した動きで本体の下部部分及びタイツの脚部分を形成する二つの編物を編成する。この第2の段階の開始時に、前の段階中には編成してなかった二つのシリンダの針は、同じ糸をピックアップして脚部分の二つ管状編物を接続するためにステッチの少なくとも共通の最初の部分を形成し、ステッチのこの最初の部分は、完成した衣類において、衣類の股部ラインの下部部分を画定する。好ましくは、該部分は二つの糸で形成される。この部分を形成する糸(複数の糸)は相互編成部位を画定し、該相互編成部位の長さは、往復動−編成段階中に非作動のままであった針の数に比例する。これらは同じ糸であり、それら糸によってタイツの本体の第1の部分は、往復動による編成段階中に形成される。
【0012】
このようにして、本発明によるパンティーストッキングは実質的に、特許文献1に記載された方法で得ることのできる快適さ及び耐久性より実質的に良好な快適さ及び耐久性を備えている。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、本方法は、ダブルシリンダ機によって実施され、各シリンダの針は他のシリンダの針に対してピッチを半分オフセットされる。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、シンカーは、他のシリンダの相応した針でステッチを形成させるドフィング又は凹部を備えている。このように構成した機械では、二つのシリンダは互いに極めて近づけさせることができ、従って、高品質の編成製品が得られる。
【0014】
このようにして、往復動により第1の管状編物を処理するために、両シリンダの隣接した針の上記第1の弧に含まれる全ての針を使用することができる。例えば、パンティーを編成するために、各シリンダは、270°の弧にわたる針を使用でき、従って、等しいファインネスの機械で編成した、典型的な仕方で縫製したパンティーストッキングのものと極めて同等のステッチ密度が得られ、一方、上記したように、パンティーストッキングの脚部分は、股部に沿って90°の弧における針にわたってのびる接合線に従って互いに接続される。従って、本発明のこの実施形態によるパンティーストッキングは、公知のタイツより快適に着用できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、ダブルシリンダ円形編機により本体と二つの脚部分とから成る編成衣類を編成する方法が提供され、かかる方法は、
二つのシリンダの往復動により本体の少なくとも一部分を編成する段階と、
二つのシリンダの連続した回転運動により脚部分を編成するに際して、第1の脚部分を第1のシリンダで編成し、第2の脚部分を第2のシリンダで編成する段階とを含んでいる。
【0016】
さらに、往復動による本体の上記少なくとも一部分の編成中には、二つの各シリンダにおける弧の針は一時的に非作動状態に保たれ、そして往復動による本体の上記少なくとも一部分の編成の終了時には、上記一時的に非作動状態に保たれていた針は作動されて、二つの脚部分を結合する相互編成線を形成し、そして両シリンダの全ての針を用いて連続した回転運動で編成し続ける。
【0017】
本発明による方法の幾つかの実施形態では、本方法では、三つの管状編物を接合することにより形成されることになる上記衣類が提供される。この場合、好ましくは、第1の管状編物は、機械の両シリンダによって得られ、これらシリンダは、往復動により回転し、そして少なくとも一つの送り(フィード)の少なくとも一つの糸ガイドによって送られてきた糸を処理し、シリンダの針は、このシリンダが一方向に回転している時に作動し、他のシリンダの針は、このシリンダが反対方向に回転している時に作動する。さらに、連続した動きで第1及び第2のシリンダを回転させそして各シリンダに対して少なくとも一つの送りのそれぞれの糸ガイドからのそれぞれの糸を第1及び第2のシリンダに送ることによって、第1のシリンダで他の二つの編物の第1の編物を、また第2のシリンダによって上記他の二つの編物の第2の編物を同時に又は別個に編成することにより、他の二つの管状編物が得られる。本発明のこの実施形態においては、好ましくは第1の編物を作るために、各シリンダは、該シリンダの針の総数より少ない数の針を備えかつ好ましくは各シリンダに対して非作動の針のそれぞれの弧状部を維持する隣接した針の第1の弧を使用し、また二つの管状編物の各々はそれぞれのシリンダの全ての針で編成される。
【0018】
本体の第1の部分を編成している段階中に非作動状態のままである針の弧において、衣類の股部線に沿って共通のステッチの少なくとも一部分で相互編成が形成され、上記少なくとも一部分は、非作動のままである両シリンダの針の弧の針によって編成される。ステッチの一部は好ましくは、前の段階において本体の上部部分を往復動で編成した二つの糸で形成される。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、本発明は、ブリーフ、タイツ等のような衣類を製造するダブルシリンダ円形編機に関し、かかるダブルシリンダ円形編機は、上述のように定義した編成方法を実施するようにプログラムされていることを特徴とする。ダブルシリンダ円形編機は当業者にはそれ自体公知であり、ここでは特に説明しない。一般に、ダブルシリンダ円形編機は、互いに同軸に配置され対向する針を備えた下部シリンダと上部シリンダとを備え、すなわち、フックを備えた下部シリンダの針は上向きであり、フックを備えた上部シリンダの針は下向きである。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、二つのシリンダは、各シリンダ自体の針が他のシリンダのシンカーと整列して、衣類を製作しながらシリンダの針が他のシリンダの針と干渉せず、両シリンダが衣類の全てのパーツを編成するために有効なファインネスで用いられ得るようにして、相互に角度的にオフセットされる。
【0021】
本発明の別の特徴によれば、本発明は、管状編物を接合することで形成されるタイツ、ブリーフ等のような衣類に関し、管状編物は、ステッチのそれぞれのコースに従って継ぎ目なしで互いに接合され、衣類は上記の方法で得られる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、本体と、股部領域に沿って接合する二つの脚部分とを有する編成衣類が提供され、上記本体及び上記脚部分は連続した編成シームレス編物で形成され、股部領域において、二つの脚部分を接合する接合線が設けられ、この接合線は、二つの脚部分に共通する少なくとも部分的に相互に編成するコースによって形成される。接合線は好ましくは、少なくとも二つのコースによって形成される。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、本発明は、本体と二つの脚部分とを画定する管状編物を接合することによって形成したパンティーストッキング、ブリーフ等のような衣類を提供し、本体及び脚部分の両方は、少なくとも二本の糸によって、脚部分及び本体に対して同様なステッチ密度で各々形成される。本発明の幾つかの実施形態では、本体は、単一脚部分を形成するステッチのコラムの数より多いステッチのコラムによって形成した少なくとも一部分を備えている。本発明の幾つかの実施形態では、本体の上記部分のステッチのコラムの数は、二つの脚部分のステッチのコラムの数の和に等しい。本発明の他の好ましい実施形態では、本体のかかる部分のステッチのコラムの数は、単一脚部分を形成するステッチのコラムの数の1.4〜2倍である。好ましくは、本体の上記部分のステッチのコラムの数は、単一脚部分を形成するステッチのコラムの数の1.5〜1.9倍である。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態では、本体は、少なくとも一つの上部部分を備え、該上部部分は、針シリンダの往復動の反転及び製品を編成するダブルシリンダ機の二つの円形針ベッドの一方から他方への糸の結果としての通過によって形成した二本の相互編成線(インターステッチ線)に沿って接合した二つの部分で形成される。二本のインターステッチ線は衣類の前側部分と後側部分とにそれぞれ伸びている。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態では、本体は、本体の上部部分を成しそして衣類の股部領域及び脚部分を形成するまでのびている下部部分を備えている。
該上部部分は、針シリンダの往復動の反転及び製品を編成するダブルシリンダ機の二つの円形針ベッドの一方から他方への糸の結果としての通過によって形成した二本のインターステッチ線に沿って接合した二つの部分で形成される。二本のインターステッチ線は衣類の前側部分と後側部分とにそれぞれ伸びている。インターステッチ線は本体の上部部分にのび、また前側のインターステッチ線は、本体の下部部分に沿って伸びる、二つの脚部分間の接合相互編成によって後側のインターステッチ線に接合される。実際に、二つのインターステッチ線及び股部の相互編成線は、縁部の前側の中央領域から衣類の縁部の鼠蹊部領域すなわち二つの脚部分間にのびる後側の中央領域まで伸びる曲線に従ってのびる。
【0026】
実際に、本体は、本体のウエスト部から脚部分まで伸びるステッチの二つのコラムによってまた下部部分では上記相互編成部から上記脚部分まで伸びるステッチの別のコラムによって有利に形成される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態では、本体の上部部分及び股部の相互編成線を往復動で編成しながら、二つのシリンダは、各々、それぞれの針作動カムと共に、特殊な装置によってできる限り他方へ向かって軸線方向に動かされる。このようにして、インターステッチの長さは短縮され、一方のシリンダにおいて往復動で編成した本体の一部分を他方のシリンダにおいて編成した相応した部分と接合する接合線をほとんど見えなくさせるために、本体の往復動による編成作業中に糸は一方のシリンダの針から他方のシリンダの針へ通る。
【0028】
この場合、糸をピックアップしステッチを形成するために、往復動中に、各シリンダの針は対向するシリンダの針間に部分的に挿入して貫通する。この状態において、このようにして相互に介在した針間で、シリンダに対して接線方向に最少の周囲隙間が残っている。例えば、この隙間は、シリンダに400本の針を備えた直径4インチの機械では、0.05mmのレベルであり、従って、一方のシリンダの針が他方のシリンダの針と接触するのを避けために二つのシリンダ間の伝動のためには高い精度が必要であり、この高い精度は、全ての構造上の隙間を得るため調整しそして場合によっては二重にした歯車によってのみ得ることができ、このことは伝統的な機械ではコストの相当な増大となることが明らかである。
【0029】
この欠点を避けるために、本発明の幾つかの実施形態によれば、シリンダ間に角度を成した接続装置が設けられ、この装置は、シリンダが互いに隣接して往復動で編成している時のみ用いられる。この装置は、往復動により本体を編成している段階中に二つのシリンダの一方から他方へ糸が通過することで、往復動の反転が生じる点において、シリンダ内に固定した軸方向ピンを備えることができる。このピンは、該ピンに対する相応した座部を支持する他方のシリンダに向かって軸線方向に突出している。ピン及び座部は、往復動で本体の部分を形成するために作業装置において互いに向かって軸線方向に針を往復動させることで、ピンが座部に挿入され、伝動の隙間が生じても特殊な角度位置にシリンダを相互に位置させるように配置され、一方、シリンダが連続した動きでタイツの部分を作るために軸線方向に互いに離れて動く際には、ピンは座部から完全に解放される。
【0030】
連続した動きでの作業中に、ピン及び座部は、パンティーストッキングの製作中にパンティーストッキングの脚部分の編物が通過しないようにするために、互いに離され、一方、座部に挿入したピンは、パンティーストッキングのこの状態では、本体の編物が、編成作業のこの状態において、以下の説明から明らかなように、ピンの相対する側で通るステッチの二つのコラムに従ってそれぞれの端部で互いに接合した編物の二つの縁部として形成されるので、往復動中には本体の編物の通過を阻止する。
【0031】
本発明による方法、機械及び衣類の別の有利な特徴及び実施形態は、本明細書と一体部分を成す添付図面及び実施例を参照して以下説明する。
【0032】
本発明の限定しない実施形態を示す添付図面及び以下の説明によって容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるパンティーストッキングの斜視図。
【図1A】変形実施形態を示す、図1と同様な斜視図。
【図2】図1のタイツのパンティーの編成中の図1のタイツの二つの編成段階における丸編機の二つのシリンダを示す部分概略斜視図。
【図3】図1のタイツの二つの脚部分の編成中での図1のタイツの二つの編成段階における丸編機の二つのシリンダを示す部分概略斜視図。
【図4】図2及び図3に示すパンティーストッキング自体が編機から落下するのを示す側面斜視図。
【図4A】変形実施形態を示す、図4と同様な斜視図。
【図5】図4のタイツの線V−Vに沿った断面図。
【図6】図3の部分VIの詳細拡大図。
【図7】図6の部分VIIの詳細拡大図。
【図8】水平に伸長することでより明確にするために変形して展開して示す、図7の線VIII−VIIIに沿った図。
【図9】編機が下部シリンダでステッチを形成する場合の図7と同様な図。
【図10】シンカー17を拡大して示す図。
【図11】外側から異なる動作段階で、図2の編機の針、アンダーニードル、及びシンカーを制御する制御カムのプラン図。
【図12】外側から異なる動作段階における、図2の編機の針、アンダーニードル(下側針)、及びシンカーを制御する制御カムの平面図。
【図13】外側から異なる動作段階における、図2の編機の針、アンダーニードル、及びシンカーを制御する制御カムの平面図。
【図14】脚部分の間の接合コースの形成の段階における、図7の線VIII−VIIIに沿った図。
【図15】シリンダがそれぞれ軸線方向に相互に向かって動作する際の本発明の実施形態による編機の軸方向断面図。
【図16】シリンダがそれぞれ軸線方向に相互に離間する際の本発明の実施形態による編機の軸方向断面図。
【図17】図16の線XVII−XVIIに沿った断面図。
【図18】シリンダがそれぞれ軸線方向に相互に近接した際の構成における、図15の二つのシリンダを使用する編機のヘッドの概略断面図。
【図19】シリンダがそれぞれ軸線方向に相互に離間した際の構成における、図16の二つのシリンダを使用する編機のヘッドの概略断面図。
【図20】図4と同様な中間作業段階において、本発明の変形実施形態による方法及び機械で形成したパンティーストッキングを示し、本体を編成しながら二つのシリンダの360°の展開において全ての針を使用している図。
【図21】図20のパンティーストッキングを、図1に相応してステッチを施し解放した状態で示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本体と、後に編機の外側で縫製される開いた爪先或いは閉じた爪先を備えた脚の部分で終了することができる2本の脚部分とを備えたパンティーストッキングを製造する編成方法について説明する。しかし、本発明による方法は、他の種類の衣類例えばブリーフ等を編成するのにも使用することができ、2本の脚部分は鼠蹊部の近くで脚用の開口部を囲む小さな編物部分まで縮小される。
【0035】
さらに、特に有利な方法について以下説明する。本体を編成しながら、股部領域すなわち本体と脚部分との間の接合領域を形成するのに、特許文献1から公知の方法のように点状でない弧状部分の針が除外される。しかし、本発明のあまり有利でない実施形態では、本体を編成するのに、二つのシリンダの全円形針ベッド(従って360°にわたる)を用いることもできる。この場合、好ましくはそれぞれ“S”糸及び“Z”糸による少なくとも二つのフィードを用いて、機械のファインネスで許容された最大密度に等しくしかも脚部分すなわち脚部のステッチ密度に等しいステッチ密度で本体を編成できる利点が得られることが理解されるべきである。
【0036】
図1は、本発明によるパンティーストッキングを部分概略斜視図で示し、タイツを編むすなわち編成する方法を理解するのに重要である幾つかの幾何学的な要素が示されている。編成は、ダブルシリンダ編機すなわち二つの重畳した同軸のシリンダを備え、各シリンダが円形の針ベッドを備えて、一方のシリンダの針が他方のシリンダの針と対向している編機で実行される。
【0037】
特に、図1に示す本体1は衣類(パンティーストッキング)の開口部を取り巻く弾性ウエストバンド3A、3B、骨盤の上部部分を覆うのに適した領域5A、5B(以下「本体の上部部分」として表される)、及び領域7A、7B(以下「本体の下部部分」として表される)を備えており、領域7A、7Bは、本体の上部部分を脚部分9A、9Bと接続している。本体の上部部分5A、5Bは、ダブルシリンダ円形編機における往復運動で編成され、左半体5A(図1を観察した場合)は一方のシリンダで編成され、右半体5Bは他方のシリンダで編まれ、これらの半体は、それぞれパンティーストッキングの正面及び背面の線を形成する二つの中央の理想的な線(m、n)に沿って接続される。編成行程では、ダブルシリンダ編機の二つの重畳したシリンダの二つの円形針ベッドの一方から他方へ回転動作の反転でこれらの線に沿って糸が通過する。従って、これらの線は本体1の上部部分の左右部分を接合するインターステッチ線を形成する。
【0038】
逆に、本体1の下部部分7A、7B及び脚部分9A、9Bは、左部分7A及び左脚部分9Aが編機の一方のシリンダで、右部分7B及び右脚部分9Bが編機の他方のシリンダで、連続運動により製造される。二点鎖線A1、A2は、往復運動で製造される本体1の上部部分5A、5Bと、連続運動で製造される本体1の下部部分7A、7Bとの間の通路ステッチのコースを示している。脚部分9A、9Bは、線A1及び線A2の接合する端部位C1、C2の間に伸びているパンティーストッキングの股部線を画定するステッチCCの部分的な弧に沿って相互に接続され、パンティーストッキングの股部は、以下に編成方法を参照して説明するように、実際一つ以上の部分的なステッチコースで形成される。これらの部分的なコースは、本体1の上部部分5A、5Bを形成した糸によって形成される編合せ部すなわち相互編成部で得られ、また上部及び下部の二つのシリンダが備える針で同時に係合される。
【0039】
図1には、単針で形成されたステッチの列の模様が実線で示されている。この図に示されているように、ステッチの列は、弾性ウエスト部3A、3Bから伸張して、本体1の上部部分5A、5Bから本体1の下部部分7A、7Bに沿って単一の管状編物を形成し、そして分割して二つの脚部分9A、9Bを形成している。しかし、脚部分9A、9Bの内側部分を形成するステッチの列の一部は、部分的な接合コースで形成された線CCで始まり、コースA1、A2が線m、nとそれぞれ出会う部位C1及びC2の間の股部領域に伸びている。
【0040】
要約すると、衣類は以下のように形成される:
− 本体1の上部部分5A、5Bのうちの部分5A、本体の下部部分7A、7Bのうちの部分7A、及び脚部分9Aは、ダブルシリンダ編機の二つのシリンダのうちの一方のシリンダで編成される;
− 本体1の上部部分5A、5Bのうちの部分5B、本体の下部部分7A、7Bのうちの部分7B、及び脚部分9Bは、ダブルシリンダ編機の二つのシリンダのうちの他方で編成される;
− 部位C1とC2の間の線CCに沿った接合編合せ部から開始する脚部を形成するために、ステッチの列は、弾性ウエストから始まり、股部及び脚部の内側部分を形成する中央部を除いて伸張する。
【0041】
図2は、本体1の弾性ウエスト3A、3B及び上部部分5A、5Bの編成段階を示している。この段階において、二つのシリンダすなわち下部シリンダ11及び上部シリンダ13は、同じ複数の糸好ましくは二本の糸で、各シリンダに一つ以上の送り(フィード)好ましくは各シリンダに二つの送りを用いて、本体1の弾性ウエストバンド3A、3Bの半体それぞれと本体1の上部部分5A、5Bの半体のそれぞれとを形成するために、往復運動を伴って回転する。一対のシリンダが一方向に例えば時計回りに回転する際、下部シリンダ11の針は弾性ウエストバンド3A、3Bのうちの半体3Aまたは本体1の上部部分5A、5Bのうちの一方の半体5Aのそれぞれを編成し、上部シリンダ13の針が停止状態すなわち非作動状態である間、それぞれのフックがシンカーの傾倒面のレベルで持ち上げられ、そして一対のシリンダが反対の方向に例えば反時計回り方向に回転する際、上部シリンダ13の針は本体1の弾性バンド3A、3Bのうちのもう一方の半体3Bまたは本体1の上部部分5A、5Bのうちのもう一方の半体5Bを編みながら、それぞれのフックが傾倒面のレベルに下げられ、下部シリンダ11の針は停止状態にある。
【0042】
シリンダの回転運動を反転させることによって、本体1の弾性ウエスト又は上部部分5A、5Bを形成する各送りの糸は、一方のシリンダの針から他方のシリンダの針へと渡され、動作反転点で、二つのシリンダが軸方向で相互に最も近接する最短の長さのインターステッチをそれぞれのコースの末端に形成する。これらの動作反転の部位は、本体1の弾性ウエストの二つの半体3A、3Bと二つの上部部分5A、5Bの半体とを接合する上述の中央線(m、n)を画定している。
【0043】
この段階において、シリンダ11及び13のすべての針が動作中ではないことを留意すべきである。各シリンダの連続した針の弧はすべての針のうち優位な針に相当するものとして使用される、例えば一シリンダの400本の針のうち350本の針が使用され、連続して動作する針の弧を形成する。残りの針は非作動状態の針の弧Cを形成する。これはシリンダ11とシリンダ13の両方で起こる。両シリンダのそれぞれの弧Cの針は、実質的に同じ角度位置にありすなわちそれら針は相互に対向している。それら針は停止状態であり、すなわち時計回りに回転する際も反時計回りに回転する際も非作動のままである。言い換えれば上述のように、停止状態の弧Cを補完する弧を形成している針は二者択一的に作動し、回転が時計回りの方向である際には一方のシリンダの針が、また回転が反時計回りの方向である際には他方のシリンダの針が二者択一的に作動される。
【0044】
従って、本明細書のはじめに説明した先行技術の特許文献に記載された編成方法に対して実質的に相違し、すなわち、往復運動編成段階において、上部シリンダ及び下部シリンダの両方のすべての針は、回転が時計回りの際には一方のシリンダの針が、回転が反時計回りの際には他方のシリンダの針が最初に二者択一的に動作するように設定される。実際には、本体1のウエスト3A、3B及び上部部分5A、5Bは各シリンダの針の優位な部分、例えば400本の針を備えたシリンダのうちの350本の針を使用することで編むことができる。このようにして、本体1の弾性ウエスト3A、3B及び本体1の上部部分5A、5Bのステッチの列の総数は、700列に等しい。以下、N5は本体1の上部部分5A、5Bのステッチ数を表す。Nc/2は往復運動によるこのような編み段階で非作動状態のままの針の数を表す。
【0045】
本体1の上部部分5A、5Bの二つの半体が、往復運動によってそれぞれの端の部分的なコースA1、A2で編成し終わると、本体1の下部部分7A、7Bの編成段階及び続いて脚部9A、9B(図3参照)の編成段階が開始する。これらの段階は、二つのシリンダ11、13を同じ方向に連続して回転させて、それぞれの送りからの糸を編成し、そしてすべての針(例えば400本)で、すなわちNc/2(この例では50本)と同等数で二つのシリンダ11、13の弧Cに沿って、先に非作動状態にあつた針を作動するよう設定して、最初に本体1の下部部分のそれぞれの部分7A、7Bを、次に脚部9A、9Bのそれぞれを相互に製造することにより、実行される。
【0046】
この段階の開始時に、往復運動中非作動状態のままであった両シリンダの弧Cの針は、弾性ウエストの部分3A、3B及び本体1の上部部分5A、5Bを編成した針と共に動作するよう設定される。前には非作動状態のままであったこれらの針は、一列以上の初期の部分的なコースCCを形成し、本体1の下部部分7A、7B及びその後脚部9A、9Bをそれぞれのシリンダのその他のすべての針と共に連続運動で編み続ける。この通過段階は、以下に詳細に説明される。
【0047】
従って、本体の下部部分7A、7Bは、二つのシリンダの針の総数と同じ針数で編まれる。逆に、各脚部9A、9Bはシリンダ11又は13の針で編まれる。従って、各脚部はシリンダの針数(この例では400本)に等しいステッチの列数N9を有する。本体の下部部分7A、7Bは、2×N9すなわち各シリンダ11、13の針数の2倍に等しいステッチの列数を有する。これらのステッチの列の一部は、脚部9A、9Bに向かって往復運動で編まれた部分を終了した半コースA1、A2から伸び、一方これらのステッチの列の一部が編合せ部(相互編成部)Cを形成し、編合せ部Cから脚部9A、9Bに向かって伸びる。本体1の上部部分5A、5Bを往復運動で編む先の段階中、非作動状態のままであった各シリンダ11、13の針数はNc/2であり、従って編合せ部に関わるステッチの列数はNcに等しい。
【0048】
編成中に、下部シリンダ11の内部では、図示されていない典型的な吸気システムを介して底部から空気流が発生される。このようにして、パンティーストッキングは、形成されながら、底部に向かって吸引され、パンティーストッキングの対応する部分3A、5A、9Aの内部にウエスト部分3Bとパンティ部分5Bと脚部9Bとが挿差されて下部シリンダ11の内部に動かされ、その結果パンティーストッキングが編機から送出される際、図4、図5に示すような状態でパンティーストッキングに図1の着用可能な形状を保証するために図5の矢印Fに沿って脚部9B、本体の上部部分5A、5Bのうちの右部分5Aと弾性ウエストの右部分3Aとを反転した後、左脚部9Aの内側から右脚部9Bを折り畳まずに左脚部9Aの内側から右脚部9Bを取り出す必要がある。
【0049】
パンティーストッキングの編成後、他方の脚部から一方の脚部を取り出すこの操作は、一旦タイツの編成が終了した時点で、編機で脚部9Bを形成した針13から内側の脚部9Bだけを最初に取り外しそして上向きの空気流の方向を同時に反転させることによって自動的に実行することができる。このようにして、他方の脚部9Aのステッチの最後のコースがなおそれを形成した針15に取り付けられている一方で、内側の脚部9Bは外部脚部9Aから上向きに折り畳まずに滑り外される。この時点において、外側の脚部9Aのステッチの最後のコースは針15から取り外され、そしてパンティーストッキングは図1の折り畳まれない形態で上部或いは下部に容易に解放されている。
【0050】
図6は、本発明によるパンティーストッキングの本体1の上部部分5A、5Bの往復運動による編成段階における、本発明による編機の下部シリンダ11及び上部シリンダ13の向かい合っている端部の軸方向断面を概略的に示している。
【0051】
各シリンダには、以下に説明される制御カム及びアンダーニードルの作用下で、シリンダの外部縦溝11A、13Aに沿って摺動する針15を見ることができ、またシンカー17は、それぞれのプレートすなわちシリンダ11、13と一体の「外方リング」19、21の放射状溝内を水平に摺動する。これらシンカーはカム23、25によって制御され、これらのカム23、25は、それぞれのリング27、29によって各シリンダに対して担持され、各シリンダは編機の非回転部品の特定の角度を成して当接(図示されていない)することによって回転するのを防いでいる。
【0052】
図8では、図を明確にするために針とシンカーとの間の水平距離は大きくされており、下部シリンダ11の針15がどのように上部シリンダ13の針15とかみ合うかが示され、一方のシリンダの針15は他方のシリンダのシンカー17と整列される。さらに、本発明の有利な実施形態では、シンカー17は、それぞれのフック17Aにかなり近接した深い凹部17B(図10、図6及び図7参照)を備え、そして実際にはフックとバット17Tとの間において対向するシリンダの針15が上記シリンダから突き出し送りの糸を拾い上げる際に、かかるシリンダの針15を通させる。
【0053】
そのため、図7には、上部シリンダ13の針15が示され、上部シリンダ13の針15は、糸ガイド55Aから糸31を拾い上げるために対向するシンカーの空間17Bを通過してそのシリンダ13から針15を突き出させることによって下げられ、一方、対向するシリンダ11の針は非作動状態にあり、シリンダ11のシンカー17の上部縁部のレベルにほぼ引込んだままである。この段階において、糸ガイド55Aはシリンダ11及び13から等しい距離の水平面を示す線(f)より僅かに上部にあり、それで、上部シリンダ13の針は正確な仕方で糸を拾い上げることができるが留意されるべきである。さらに、ステッチを形成していないシリンダのシンカー17は、ステッチを形成する上部シリンダの針(本発明による空間17Bのお陰で)と干渉しないように、図7に示す位置に前進して維持される。
【0054】
このように構成することにより、既に説明したように、各シリンダの動作中の針の弧のすべての針によってすなわち本体における必要なステッチ密度を得るために編機の実際の細かさ(ファインネス)を使用して往復運動で弾性ウエスト3A、3B及び本体の上部部分5A、5Bを作ることができる。
【0055】
図9は、ステッチが往復運動で本体の上部部分を編むために下部シリンダ11で形成される際の針15及びシンカー17の往復位置を示している。この段階では、下部シリンダ11の針15は、前の往復ストロークで(図6)上部シリンダ13の針を使用した同じ糸ガイド55Aによる送りから同じ糸を拾い上げるよう作動される。図9の段階で、糸ガイド55Aが僅かに線(f)を超えて持ち上げられ、下部シリンダの針が正確な仕方で糸を拾い上げることは留意されるべきである。シリンダの往復ストローク間の糸ガイド55Aのこのような変位は、図示されていないが例えば特許文献1に示された種類の特定の装置で得られる。
【0056】
上記で説明したように、往復運動で弾性ウエスト3A、3B及び本体1の上部部分5A、5Bを編成している間、二つのシリンダで形成されるコースの端部同士を接合する縫閉部すなわちインターステッチを出来るだけ小さくするために、二つの対向するシリンダの間の距離はできるだけ小さい必要があるので、本発明の好ましい実施形態では、シンカー17はそれぞれのフック17Aの上部部分と同じレベルに、中断する平面17C(図10)を備えている。このようにして、シリンダは相互に近接して維持でき、それで二つのシリンダ11、13のシンカー17の間の距離(d)(図7)はニット製品を通すために必要とされる距離である。
【0057】
図11、図12、図13は、編機のそれぞれの動作段階における、両シリンダの針15及びアンダーニードル16の操作カムの設定を展開して示している。簡明にするためこれらの図面においては、針15及びアンダーニードル16はそれぞれの動作トラックにおける展開図の左側に示されている。底部から始まって、下部シリンダに対しては、アンダーニードル16を上下するための上昇カム35A、35B、35C、35D及び降下カム37A、37B、37C、37Dが示され、公知の機械的な或いは電気的な選択装置を介して典型的な仕方で制御され得る選択レバー39のパック(群)が示され、ステッチを形成する針制御カム41A、41B、41C、41Dの四群が示され、また上部シリンダに対しては、ステッチを形成する針制御カム43A、43B、43Cの三群、アンダーニードル16を上下するための上昇カム45A、45B、45C及び降下カム47A、47B、さらに選択レバー49の一群など同様な要素を見ることができる。
【0058】
針及びアンダーニードル制御カムの展開のそれぞれ上下に、それぞれ上部シリンダ及び下部シリンダのシンカー17のヒール17Tのパス51、53が示され、それらは、針制御部材に相対した動作を示すために針制御部材と同じ平面に伸びている。しかしまた一方で注目すべきは、実際には、シンカー17は水平面に沿って移動すると同時に針及びアンダーニードルは編機のシリンダのそれぞれの溝で垂直に移動することである。
【0059】
このように表されたシンカーパスの長い水平セグメント51A、53Aにおいて、シンカーは図6に示す完全に前進した位置にある。この位置は、シンカーに抵触することなく糸を拾い上げるために、他方のシリンダの対応する針15がシリンダの外側に軸方向に突き出させる。代わりに、これらのパスの小さな水平セグメント51B、53Bは、図9に示す下部シリンダのシンカーのように、求心方向に完全に引き出された位置にシンカー17を示し、典型的にはそれらは編機のそれぞれの送りのステッチ形成カム41A−41D及び43A−43Cに対応している。
【0060】
さらに、図11(及び同様に図12及び図13)では、線(f)の近くに送りに対応する針のパスが示され、送りに対応する針のパスは図が参照する段階では作動状態にあり、この場合、下部シリンダ11の針15は糸ガイド55A、55Bから糸をピックアップすることによりステッチを形成する。
【0061】
図11の段階では、シリンダは下部シリンダの隣接した針(例えば全体で400本のうちの350本の針)の弧を介して、それぞれの糸送り55A、55B上に反時計回りに回転(矢印F1)させて、弾性ウエストの半体3A(図1も参照)或いはパンティーの上部部分の半体5Aのステッチの二本のコースを形成するようにしている。この段階では、ステッチ形成カム41B、41C及び対応するアンダーニードル持ち上げカム35A、35Bの群が使用され、一方、上部シリンダの針15は、図9のようにフックによってそれぞれのシンカー17の中断面のレベルに持ち上げられて非作動状態のままである。下部シリンダのシンカー17は、図11で図示されたパスに追従し、通常の仕方で上記カム41B、41Cの群の上でステッチを形成する針と共動し、一方、上部シリンダのシンカー制御カムはステッチ形成中、下部シリンダの針を妨害しないように十分な程度に上記シンカーの求心動作を遅らせるために角度(α)だけ反時計回り方向に回転する。反時計回りの方向における上部シリンダのシンカーカムのこのように制限された回転は、図示されていないが角度を成して当接するまでこれらのカムの支持体29(図6)を単に摩擦で回転させることによって得られる。
【0062】
図12の段階では、シリンダは時計回り方向(矢印F2)に回転して、上部シリンダの隣接した針(例えば全体で400本のうちの350本の針)の弧を介して、図11の段階で既に使用されているそれぞれの糸送り55A、55B上に、弾性ウエストの半体3B(図1も参照)或いはパンティーの上部部分の半体5Bの二本のステッチコースを形成する。この段階で、ステッチ形成カム43A、43Bの群及び対応する降下カム47A、47Bとアンダーニードルを上下させるリフトカム45A、45Bが使用される。上部シリンダのシンカー17は、図12に示されたパスに追従し、通常の仕方でそれぞれの針15と共動して上記カム43A、43Bの群の上でステッチを形成し、一方、下部シリンダのシンカーの制御カムは上述のステッチ形成中上部シリンダの針を妨害しないように十分な程度に相対するシンカーの求心動作を角度(β)だけ遅らせ、時計回り方向に回転するようにされている。時計回り方向における下部シリンダのシンカーカムのこの制限された回転は、与えられた角度を成して当接するまで単に上記カムの支持体27を回転させることによって得られる。
【0063】
図13の段階では、シリンダは、パンティーの下部部分の半体7A、7B或いはそれぞれの脚部9A、9Bを各々形成するために、どちらの場合もそれらのすべての針を用いて動作して連続動作(矢印F1)による反時計回りで回転する。特にこの段階では、下部シリンダは、ステッチ形成カム41A、41Dの群及び対応するアンダーニードル持ち上げカム35D、35Cを介して糸ガイド55D、55Cから糸をピックアップする二本のステッチコースを回転ごとに形成し、一方、上部シリンダは、ステッチ形成カム43B、43Cの群及び対応するアンダーニードル降下カム47A、47Bを用いて糸ガイド55A、55Bから糸をピックアップすることによって二本のステッチコースを形成する。上部シリンダ13及び下部シリンダ11の両方のシンカー17は、図13に示されたパスに沿って移動し、上記で説明したように本発明によるシンカーの特殊な形状のお陰で、一方のシリンダのシンカーと他方のシリンダの針との干渉なしに、二つのシリンダが、図10に明らかに示されたように、相互に角度を成してオフセットした送り上にステッチを形成するようにそれぞれの制御カムの往復オフセットなしにそれぞれの針15と通常の仕方で共動して上記カム43B、43C;41A、41Dの群の上でステッチを形成する。
【0064】
二つのシリンダのすべての針すなわち往復運動で本体1のウエスト3A、3B及び上部部分5A、5Bを形成した両方の針を伴う連続運動編成段階の始めには、先の編成段階では参加していないが二つのシリンダ11、13の非作動状態の針の弧Cに沿った針は、針の軸上にステッチを欠いている。連続運動編成段階の始めには、先の段階中には非作動状態のままであった針のこれらの弧Cは、連続運動による編成の開始時に股部線CC(図1を参照)に沿って脚部分を接合するコース或いは複数のコースを形成する。これらの針は、作業を設定するために、ステッチの第一のコースを形成するように少なくとも一本の糸と係合しなければならない。
【0065】
図14は、この段階において第1の糸Wで形成されるステッチの第1のコースの形成を示している。図示された例では、本体1の上部部分5A、5B及び弾性ウエスト3A、3Bを形成した糸が、下部シリンダ11の糸ガイドの糸であるので、第1の糸W(すなわち本体1の部分55A、55Bを形成している糸のうちの一本)は下部シリンダ11の針と係合される。これらの針は、送り41Bの糸ガイド55Aから糸をピックアップする(図13も参照)。ステッチの第2のコースは、以下に説明するように、送り41Cの糸ガイド55Bで送られる別の糸W(本体1の部分55A、55Bも形成している)で形成される。
【0066】
第1のコース(W)の形成中、両シリンダ11、13(図示されていないが、ラッチは共通の針開放装置で先に開放されている)の先に非作動状態のままであった針Cが、糸ガイド55Aの前面に通りこの糸をピックアップする際に、上部シリンダの奇数位置(b1、b3等)の針及び下部シリンダの偶数位置(a2、a4等)の針が作動される。このようにして、針の弧Cで糸Wは図14に示されたようにジグザグに配置される。方向F1におけるシリンダの回転を継続することによって、後続の送りですなわち図13の送り41Cで二つのシリンダの弧Cの針は、図14に示されたものに対して逆転した選択で糸ガイド55Bによって担持された糸Wをピックアップする。すなわちそれら針は、単に下部シリンダ11の奇数の針(a1、a3等)及び上部シリンダ13の偶数の針(b2、b4等)だけから糸をピックアップするように作動される。図14において、この段階で上部シリンダ13の偶数の針及び下部シリンダの奇数の針と係合した糸Wのパスは破線で示されている。
【0067】
このようにして、二つの相互に編合されたステッチの第1のコースは、針の弧で形成され、その後、図13に例示して説明したように、本体1の下部部分7A、7B及びそれぞれの脚部9A、9Bを編成するためにシリンダ11、13の両方の弧Cのすべての針は二つのシリンダのその他の針のすべてと共に作動できる。これらは股部の弧を描いた湾曲CCに沿って接合する編合せ部すなわち相互編成部を形成する。
【0068】
上記の説明では、本体は下部シリンダの二つの動作する糸ガイド55A、55Bによる二つの下部送りと二つの上部送りとを使用して往復運動で編成されることを仮定した。結果として、先の段階においては各シリンダ11、13において非作動状態であり、往復運動による編成の終了及び連続運動による編成の開始時に作動するよう設定される針の弧Cで形成された編合せ部の初期コースは、本体1の上部部分5A、5Bを編成した糸W、Wを送る同じ下部糸ガイドで得られる。しかし、逆の仕方すなわち上部シリンダの糸ガイドで二本の糸を送って本体を形成するように操作することが可能である。この場合、編合せ部は、本体1の上部部分5A、5Bを形成するために往復運動による編成段階で両シリンダに上部シリンダの糸ガイドで送られた二本の糸W、Wで形成される。
【0069】
また、往復運動によってこのような編合せ部を得ることも可能であるが、この解決策は複雑で緩慢である。
【0070】
従って、往復動中、それぞれの針を半ステップづつずらして互いに正確に位相設定した二つのシリンダを維持する必要がある。これは、調整した歯車によりシリンダ間の伝動を行う通常の仕方で及び組立段階においてダブル型歯車を用いて伝動の必然的なクリアランス(隙間)を回復することで得られる。しかし、これには非常に費用が掛かる。
【0071】
この欠点を解決するために、本発明の幾つかの実施形態では、図15〜図19に例示する特別な装置が提供される。中空ブロック103は下部シリンダ11にネジ101で固定され、上記ブロックには、内側に円筒形ブッシング105が押し込まれる上部孔が設けられる。ブッシングの軸Y−Yはシリンダの軸X−Xに平行であり、パンティーストッキングの股部Cを形成する針の内側及び該針に近接して配置され、針から等しい距離で編成動作の反転が起こり、図1のステッチの列m、nのコラムを形成する。
【0072】
同様な中空ブロック109は上部シリンダ13にネジ111で固定され、上記中空ブロックは角度基準プラグ107の押し込まれる孔を内側に備え、また軸Y−Yを備えている。プラグ107は、自由に往復軸方向に摺動するのに十分なだけの最少放射状クリアランスをもってブッシング105内に挿差され得る。
【0073】
図15の構成によれば、シリンダは本体の部分5A、5B及び弾性ウエストの部分3A、3Bを往復運動で編むために相互に出来るだけ近接している。この構成によれば、一方のシリンダの針がステッチ形成の際には図8に示すように、往復干渉なく、自由に他方のシリンダの針の間に挿差されるようにして、シリンダ11、13を相互に角度的に整列して保持するように、プラグ107は最少クリアランスで座部105に挿差される。往復運動で製造された編物の二つの縁部3A、5A;3B、5Bは、図2及び図3に示されるように、一方を他方の内側へ移動して、線m、nに沿ったそれぞれの端部で互いに接合される。上述のプラグ107の構成により、形成中の編物のこれら二つの縁部がプラグ107と干渉せずにプラグ107の反対側を通過するので、プラグ107はこれら二つの縁部と干渉することがない。
【0074】
このようにして、シリンダ11、13間の機械的な伝動から結果として生じるあらゆる角度クリアランス、特に歯車及びそれを形成する継手のクリアランスは回復され、調整された歯車を使用する必要はない。
【0075】
図16の構成では、連続運動で脚部9A、9Bを編成している間のシリンダ11、13の相互の軸位置が示され、シリンダは互いに離間され、それでそれぞれの針は、ステッチを形成するために作動されると、他方のシリンダの針から軸方向に間隔を保ち、従ってそれの正確な相対角度の位置決めは必要でない。この位置においてプラグ107は座部105から完全に引き抜かれ、脚部9A、9Bの編成中脚部9A、9Bの編物をプラグと座部との間を通過させるのに充分な程度に座部から離間されている。
【0076】
図18は、上記のダブルシリンダ編機のヘッドを側面図で示し、下部部シリンダ11及び上部シリンダ13は図15の隣接した構成にある。実際には、編機は2つの対向する半ヘッド200、300を有し、各半ヘッドは基板202、302を備え、基板202、302は、軸受201、206;304、306を介してそれぞれのシリンダ11、13を支持している。シリンダは駆動軸308及び二対の歯車210、212;310、312によって相互に接続され、駆動軸は二つの同軸の軸214、314で形成され、これらの軸は軸方向に摺動できるスプライン輪郭をもつ継手216で互いに接合されている。
【0077】
各ヘッド200、300はさらに、それぞれの針及びアンダーニードル(図示されていない)を制御する制御カム、及び中間板222;322及び基板202、302にそれぞれ固定した「マント」と呼ばれる支持体218,220;318、320に適用されるカムを備えている。
【0078】
下部基板は、編機の基部324に載り、ヘッドは歯付ベルト及び滑車326によってシリンダの回転運動を受ける。
【0079】
上部半ヘッド300は、シリンダの軸X−Xに平行した角柱ガイド330のシューズ328と一体でありしかも横方向の支持体に固定されている基板302を備え、該支持体は下部半ヘッド200の基板202と一体にされている。空気圧式アクチュエータ334は、二つの半ヘッドの基板202、302の間に配置され、それら半ヘッドの基板を相互に向う方向に或いは離間する方向に動かし、変位の実行は調整可能な当接部(示されていない)で画定されている。
【0080】
従って、上述の方法に従って、パンティーストッキングの部分を往復運動で編成するために、図18の構成で相対する半ヘッド200、300により相互に向う方向にシリンダ11、13を移動させたり、パンティーストッキングの他の部分を連続運動で編成するために、図19の構成で上記半ヘッドにより上記シリンダを相互に離間させたりすることができる。
【0081】
往復運動による編成段階で他方のシリンダの針の間に挿差する一方のシリンダの針による相互に向かう方向の二つのシリンダの往復軸方向運動は、比較的規則的な完成製品を得ることができるので、特に有利であり、シリンダの動きの反転で得られる本体の領域は実際には目に触れないということが理解されるべきである。しかし、本体を往復運動で編成している段階中でもシリンダを相互に間隔を置いて保持することも可能である。この場合、機械的には複雑でないが、完成した編物の品質は低下してしまう。図1A及び図4Aは、図1及び図4の衣類と同様な衣類を概略的に図示しているが、幅の広い縫閉(インターステッチ)線m、nが表示され、すなわち、ステッチの二つの隣接したコラムが相互により間隔を置いて配置されている領域が存在し、この領域では、一方のシリンダから他方のシリンダへ糸が通され、すべての編成過程中維持されるシリンダの距離が比較的大きいため、隣接したシリンダの場合より大きな変位が生じる。
【0082】
上記では一つの実施形態について説明し、針の弧は、往復動で本体を編成しながら非作動のままであり、上記針は股部の閉じ領域に相互編成部を形成するように作業動作に設定される。このようにして、先行技術による方法で得ることのできるものより実質的に改良された高品質でフィト感の良好な製品を得ることができる。特に、製品は、典型的なシステムで得ることのできるものより本体の領域のステッチ密度が相当に大きく、本体はシリンダの針の半分でのみ編成され、すなわち偶数の針のみ又は奇数の針のみを各シリンダにおいて作動状態に保たれる。相互編成部Cでは、全円形針ベッドの針のほんの一部に相当する針のみを非作動状態に保つことにより、往復動で編成した本体の部分のステッチのコラム(行)の数は、単一脚部のステッチのコラムの数より相当に多くなる。例えば、各シリンダ針ベッドすなわち各シリンダの針の第4番目の針が往復動による編成段階中に作動状態から除外される場合には、本体は、脚部のステッチコラムの数の1.5倍に等しい多数のステッチコラムで(往復動によって形成した部分において)編成される。しかし、典型的には、往復動の状態において作動から除外された針の数は総針の25%以下である。例えば、400本の針を備えた機械では、50本の針が往復動による編成時には作動から外すことができ、従って、相互編成部Cはシリンダ当たり50本の針で形成され、一方、往復動で編成された本体の部分は2×(400−50)=700本の針で形成される。
【0083】
本発明のあまり有利でない実施形態では、両シリンダの全ての円形針ベッドにおける全ての針(及び先行技術のように交互でない針)を用いてすなわち二つのシリンダの針ベッドの360°全体における針を用いて、往復動によって本体を編成することができる。図20には、本発明のこの異なる実施形態において、図4に相応した中間作業段階での製品が概略的に示されている。図21は図1の製品と同様な製品を示している。編機の構造及び編成段階は上記のものと実質的に変わらないが、往復動による編成段階では、シリンダの全ての針はステッチを編成する役割をしている。このようにして製造した衣類は、二つの脚部における等しい数のステッチコラムを備え、一方、本体はそれの全展開において、脚部を形成するステッチのコラムの総和に等しいステッチコラムの数で従って全衣類において同じステッチ密度で形成される。例えば、400本の針を備えた機械では、各脚部は400本の針で編成され、本体は800本の針で編成される。
【0084】
本明細書のはじめに記載したように、二つのシリンダの連続した動作により製品を編成し、脚部の爪先から始めて本体のウエストで仕上げることが可能である。またこの場合、脚部を編成することから本体を編成することへ通過する際に、両シリンダにおける針の弧を作動することから除外して相互編成部Cを作ることができる。相互編成作業は、例えばメルトブローン糸を用いることによって、或いは1/1相互編成法で、或いはライクラ(Lycra)フライング(fraying)で、或いはその他の公知の方法で安定化され得、又はランプルーフ(run−proof)にできる。
【0085】
添付図面は単に本発明の実際の構成の例として例示するだけであり、本発明の基礎をなす概念の範囲から逸脱することなく形状及び構成を変更可能であることが理解される。添付の特許請求の範囲における参照番号は、明細書及び添付図面を参照して特許請求の範囲を読むことを容易にするだけのものであり、特許請求の範囲で示された保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 本体
3A、3B 弾性ウエスト部半体
5A、5B 本体の上部部分半体
7A、7B 本体の下部部分半体
9A、9B 脚部分
11 下部シリンダ
13 上部シリンダ
15 針
16 アンダーニードル
17 シンカー
17A フック
17B 空間
17C 中断面
17T ヒール
19、21 外部リング
23、25 カム
27、29 支持体
31 糸
31A 糸ガイド
35A−35D 上昇リフトカム
37A−37D 降下カム
39 レバー
41A−41D 針制御カム
43A−43C 針制御カム
45A−45C 上昇カム
47A−47B 降下カム
49 選択レベル
51、53 パス
51A、53A 水平セグメント
51B、53B 垂直セグメント
55A、55B 糸ガイド
101、111 ネジ
103、109 中空ブロック
105 ブッシング、座部
107 プラグ
200 ヘッド
202、302 基板
204、206;304,306 軸受
210、212;310、312 歯車
214、314 軸
216 スプラインネジ
218、220;318、320 マント
222;322 中間板
300 ヘッド
308 駆動軸
324 底部
326 滑車
328 シューズ
330 角柱ガイド
334 作動アクチュエータ
a2、a4、an 偶数位置
b1、b3、bn 奇数位置
A1、A2 線
C1、C2 端部地点
C 弧(股)
CC 股部線
d 距離
f 線
F1、F2 矢印
m、n ステッチの列(コラム)
N5 ステッチ数
Nc 針数
N9 ステッチの列数
WA、WB 糸
X 軸
Y 軸
α 角度
β 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルシリンダ(11、13)円形編機を用いて本体(1)及び二つの脚部(9A、9B)を備えるニット製品を編成方法であって、
− 二つのシリンダによる往復運動で本体(1)の少なくとも一部(5A、5B)を編成するステップと;
− 二つのシリンダ(11、13)の連続した回転動作で脚部(9A、9B)を編成し、第一の脚部を上記シリンダのうちの第一のシリンダで編成し、第二の脚部を上記シリンダのうちの第二のシリンダで編成するステップと;
を含む方法において、
二つのシリンダ(11、13)の往復運動で本体(1)を編成しながら、上部シリンダの針の少なくとも一つの弧における全ての針及び下部シリンダの針の相応した弧における全ての針を作動滋養隊に設定し、少なくとも二つの送り及び少なくとも二本の糸を用いること
を特徴とする方法。
【請求項2】
最初に本体のウエストを編成し、本体を編成し、その後脚部を編成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
最初に脚部の爪先を同時に編成し、脚部を編成し、その後本体を編成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
往復動によって本体の上記少なくとも一部分(5A、5B)を編成する際に、少なくとも一本の糸“S”及び少なくとも一本の糸“Z”で偶数の送り及び糸を使用し、また少なくとも二つの送り並びに少なくとも一本の糸“S”及び少なくとも一本の糸“Z”で各脚部を編成することを特徴とする請求項1又は2又は3記載の方法。
【請求項5】
往復動で本体の上記少なくとも一部分(5A、5B)を編成しながら上記二つのシリンダの各々において弧(C)の針を一時的に非作動状態に維持し、そして二つの脚部(9A、9B)を接合する相互編成線(CC)を上記一時的に非作動状態の針で形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
上記弧(C)の針を一時的に非作動状態に維持して往復動で本体の少なくとも一部分をまず編成し、そして本体の上記少なくとも一部分の編成の終了時に上記一時的に非作動状態の針を作動して二つの脚部(9A、9B)を接合する相互編成線(CC)を形成し、その後、上記脚部(9A、9B)を編成するために両シリンダ(11、13)の全ての針(15)によって連続した回転運動で編成を継続することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記衣類が三つの管状編物を接合することで形成され、第1の管状編物(3A、3B;5A、5B)が、往復動により回転し、そして少なくとも二つのフィードの少なくとも二つの糸ガイド(55A、55B)によって送られてきた糸を処理する両シリンダ(11、13)によって得られ、一方のシリンダの針が該シリンダの一方向の回転時に作動し、他方のシリンダの針が該シリンダの反対方向の回転時に作動し、他の二つの管状編物(7A、7B;9、9B)が、第1のシリンダ(11)によって上記二つの管状編物の一方をまた第2のシリンダ(13)によって上記二つの管状編物の他方を、連続した運動で第1及び第2のシリンダを回転しそして第1及び第2のシリンダに各シリンダの少なくとも二つの送りの二つのそれぞれの糸ガイド(55C、55D;55A、55B)からの少なくとも二本のそれぞれの糸を供給することにより同時に及び別個に編成することによって得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
上記第1の管状編物(3A、3B;5A、5B)を作るために、各シリンダ(11、13)が、該シリンダの針の総数より少ない数の針を備えかつ各シリンダに対して非作動の針のそれぞれの弧(C)を残して針の第1の弧の全ての針を使用し、
また他の二つの管状編物(7A、7B;9、9B)の各々の編成がそれぞれのシリンダ(11、13)の全ての針(15)で行われることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している段階中に非作動状態のままである針の上記弧(C)において、上記相互編成部が衣類の上記股部線(CC)に沿って共通のステッチの少なくとも一つの部分コース(W;W)及び好ましくは二つの部分コースで形成され、上記少なくとも一つの部分コースが、非作動のままである両シリンダ(11、13)の針の弧(C)の針によって編成されることを特徴とする請求項6又は7又は8記載の方法。
【請求項10】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している段階中に非作動状態のままである針の上記弧(C)において、上記相互編成部が衣類の上記股部線(CC)に沿って共通のステッチの少なくとも二つの部分コース(W;W)で形成され、上記二つの部分コースが、非作動のままである両シリンダ(11、13)の針の弧(C)の針によって編成されることを特徴とする請求項6又は8記載の方法。
【請求項11】
上記少なくとも一つの部分コースが、本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している糸で形成されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
上記少なくとも二つの部分コースが、本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している二本の糸で形成されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している間非作動状態のままである針の弧(C)によって編成した共通のステッチの上記少なくとも一つの部分コースが、二つのシリンダの非作動状態のままであった針の弧(C)の交互の針(a2、a4、...:b1、b3、...)によって少なくとも一本の糸を係合することによって形成されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)を編成している間非作動状態のままである針の弧(C)によって編成した共通のステッチの上記二つの部分コースが、第1のシリンダの非作動状態のままであった針の弧(C)の偶数の針(a2、a4、...)及び第2のシリンダの非作動状態のままであった針の弧(C)の奇数の針(b1、b3、...)によって少なくとも一本の第1の糸(W)を係合すること及び続いて第1のシリンダの非作動状態のままであった針の弧(C)の奇数の針(a1、a3、...)及び第2のシリンダの非作動状態のままであった針の弧(C)の偶数の針(b2、b4、...)によって第2の糸(W)を係合することによって形成されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
ステッチの上記少なくとも一つの部分コース又は上記二つの部分コースが、二つのシリンダ(11、13)の連続しかつ同時の回転運動によって編成されることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)が、一方向の回転中に第1のシリンダ(11)にまた反対方向の回転中には第2のシリンダ(13)に交互に二つの糸ガイドによって供給される少なくとも二本の糸で編成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
本体(1)の上記第1の部分(5A、5B)が、第1のシリンダの二つの送り及び第2のシリンダの二つの送りを用いて編成されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
本体(1)の上記少なくとも一つの部分(5A、5B)を往復動で編成しながら、ダブルシリンダ円形編機の二つのシリンダ(11、13)が隣接した作動位置に互いに向かう方向に軸方向に動かされ、一方のシリンダの針が他方のシリンダの針の間に貫通し、また連続した回転運動で編成しながら、上記二つのシリンダが離間した作動位置に互いに離れる方向に軸方向に動かされることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
往復動で編成しながら、上記二つのシリンダが、二つのシリンダ内に設けられた角度を成した接続装置によって互いにねじれて接続されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記二つのシリンダ(11、13)は、本体を編成しながらかつ脚部を編成しながら、一方のシリンダの針が他方のシリンダの針の間に貫通しないような距離に維持されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
シリンダ(11、13)の全ての針が、往復動による本体(1)の上記少なくとも一つの部分(5A、5B)編成段階でステッチを形成することを特徴とする請求項1、2、3、4、7、16、17、18、19、20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
ブリーフ、タイツ等のような衣類を製造するダブルシリンダ(11、13)円形編機において、
請求項1〜21のいずれか一項記載の編成方法を実行するようにプログラミングされていること
を特徴とするダブルシリンダ円形編機。
【請求項23】
各シリンダ(11、13)自体の針(15)が他のシリンダ(13、11)のシンカー(17)と整列するように二つのシリンダ(11、13)が互いに角度を成してオフセットされ、一方のシリンダの針が衣類を製作しながら他方のシリンダの針と干渉せず、また両シリンダが衣類の全ての部分を編成するため有効なファインネスで使用できることを特徴とする請求項22記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項24】
シンカー(17)が、フック(17A)及び突合せ部(17T)を備え、上記フック(17A)と上記突合せ部(17T)との間に、対向するシリンダがステッチを形成する際に該対向するシリンダの対応した針(15)を通過させるのに適した凹部(17B)が設けられ、他のシリンダ(13、11)の針(15)がステッチを形成するように作動される際に、シリンダ(11、13)のシンカー(17)が前進して維持されることを特徴とする請求項23記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項25】
シリンダ(11、13)のシンカー(17)が、フック(17A)の上部部分にほぼ整列したステッチ形成面(17C)を備えていることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項26】
各シリンダ(11、13)シンカーが、編機の種々の動作段階中にカムの位置を角度変動させるように角度運動で、それぞれのシンカー(17)を制御する制御カム(23、25)を備えていることを特徴とする請求項22〜25のいずれか一項記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項27】
上記シリンダの一方の針が作動しない往復動の各戻り行程において、針の作動していない上記シリンダのシンカー(17)を制御する制御カム(23;25)が、針の作動している上記二つのシリンダの他方のシリンダのステッチの形成点に対して相応したシンカー(17)の退去を遅らせるように、連続した運動段階で用いた通常の角度位置に対して角度(α;β)だけオフセットされ、それにより上記他方のシリンダの上記作動している針との干渉を避けることを特徴とする請求項26記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項28】
二つのシリンダが、それぞれ二つのシリンダの第1の隣接した位置と第2の離間した位置との二つの編成位置を交互に仮定するように移動でき、二つのシリンダが第1の隣接した位置にある時に二つのシリンダをねじるように強制する角度を成した接続装置が設けられることを特徴とする請求項22〜27のいずれか一項記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項29】
上記角度を成した戻り装置が二つのシリンダ内に設けられることを特徴とする請求項28記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項30】
上記角度を成した戻り装置が、上記シリンダの第1のシリンダで支持されたピン及び上記シリンダの第2のシリンダで支持された座部を備え、二つのシリンダの軸方向の前進運動によりピンを座部内へ貫通させることを特徴とする請求項29記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項31】
上記ピン及び上記座部がそれぞれのシリンダに堅固に接続されることを特徴とする請求項30記載のダブルシリンダ円形編機。
【請求項32】
本体(1)と、股部領域に沿って接合した二つの脚部(9A、9B)とを有し、上記本体(1)及び上記脚部(9A、9B)が連続した編物によってシームレスに形成されるニット衣類において、
本体と脚部の両方が各々少なくとも二本の糸で形成され、また本体が上記脚部の一方を形成するステッチコラムの数より多い多数のステッチコラムで形成されることを特徴とするニット衣類。
【請求項33】
上記本体の少なくとも一部分が、上記脚部の一方の脚部のステッチコラムの数の1.4〜1.9倍のステッチコラムで形成され、好ましくは上記脚部の一方の脚部のステッチコラムの数の1.5〜1.9倍一層好ましくは1.6〜1.9 倍のステッチコラムで形成されることを特徴とする請求項32記載のニット衣類。
【請求項34】
本体及び脚部が、少なくとも一本の“S”糸及び少なくとも一本の“Z”糸で形成されることを特徴とする請求項32又は33記載のニット衣類。
【請求項35】
上記本体及び上記脚部が、管状編物のそれぞれの部分で形成され、本体を形成するステッチのコラムが脚部の一部を形成するまで伸長していることを特徴とする請求項32又は33又は34記載のニット衣類。
【請求項36】
上記本体(1)が、衣類の前面部分及び背面部分に展開する二つのインターステッチ線(m、n)に沿って接合した二つの部分で形成した少なくとも一つの上部部分(5A、5B)を備えていることを特徴とする請求項32〜35のいずれか一項記載のニット衣類。
【請求項37】
上記上部部分が、上記脚部の一方の脚部のステッチコラムの数より多い複数のステッチコラムで形成されていることを特徴とする請求項32〜36のいずれか一項記載のニット衣類。
【請求項38】
股部領域に、二つの脚部(9A、9B)を接合する接合線(CC)が設けられ、該線が少なくとも相互編成コースによって及び好ましくは二つの脚部に共通の二つの相互編成コースによって形成されることを特徴とする請求項32〜37のいずれか一項記載のニット衣類。
【請求項39】
上記本体(1)が、上部部分(5A、5B)の連続部分を構成しそして衣類の股部領域及び脚部(9A、9B)を形成するまで展開する下部部分(7A、7B)を備え、上記インターステッチ線(m、n)が、本体の上部部分(5A、5B)にのび、また前面インターステッチ線(m)が、本体(1)の下部部分(7A、7B)に沿ってのびる上記相互編成部(CC)によって上記背面インターステッチ線(n)に接合されることを特徴とする請求項37又は38記載のニット衣類。
【請求項40】
上記相互編成部(CC)が、本体(1)の上部部分(5A、5B)を形成する糸で形成されることを特徴とする請求項38又は39記載のニット衣類。
【請求項41】
上記本体(1)が、本体(1)のウエスト(3A、3B)から脚部(9A、9B)までのびるステッチのコラムによってまた下部部分では上記相互編成部(CC)から上記脚部(9A、9B)までのびる別のステッチのコラムによって形成されることを特徴とする請求項38〜40のいずれか一項記載のニット衣類。
【請求項42】
上記二つの脚部(9A、9B)が、脚部ステッチの等しい数(N9)のコラムによって形成され、上記相互編成部(CC)が、相互編成部ステッチの多数(Nc)のコラムによって形成され、また上記本体(1)が、二つの脚部(9A、9B)のステッチのコラムの数(N9)−上記相互編成部(CC)のステッチのコラムの数(Nc)の和に等しい数(N5)の本体ステッチのコラムによって形成された上部部分(5A、5B)を備えていることを特徴とする請求項38〜41のいずれか一項記載のニット衣類。
【請求項43】
上記本体(1)の下部部分(7A、7B)が、二つの脚部(9A、9B)のステッチのコラムの数(N9)の和に等しい数のステッチのコラムによって形成され、その一部が上記相互編成部(CC)を形成することを特徴とする請求項42記載のニット衣類。
【請求項44】
上記相互編成部ステッチのコラムの数(Nc)が、各脚部(9A、9B)のステッチのコラムの数(N9)の半分以下であることを特徴とする請求項42又は43記載のニット衣類。
【請求項45】
上記二つの脚部(9A、9B)が同じ数のステッチのコラムで形成され、また上記本体(1)が二つの脚部のステッチコラムの和に等しい多数のステッチコラムで形成されることを特徴とする請求項32〜37のいずれか一項記載のニット衣類。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−533003(P2012−533003A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519125(P2012−519125)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000559
【国際公開番号】WO2011/004407
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512007247)ゴールデン レデイ カンパニー ソチエタ ペル アチオーニ (2)
【Fターム(参考)】