タイトフレームの固定を補強する方法、及び、補強部材
【課題】タイトフレームに上方向に作用する荷重への対策として、タイトフレームの固定を補強するための新規な技術について提案する。
【解決手段】折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強する方法であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定される補強部材4にて、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけることとする。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【解決手段】折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強する方法であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定される補強部材4にて、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけることとする。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根に使用するタイトフレームの固定を補強するためのタイトフレーム固定補強用金具に関するものであり、より詳しくは、タイトフレームに作用する上方向への荷重に対し、タイトフレームを強固に固定するためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーポート、体育館、工場、倉庫などに用いる屋根の形態として、折板屋根が知られている。この折板屋根は、母屋の梁部材に載置固定されるタイトフレームに対し、折板を敷設することで構成される。タイトフレームは、折板の断面形状に添う様に、山と谷が連続する波形状とするものが一般的であり、このタイトフレームを用いた折板屋根について開示する文献も存在する(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、折板から受ける下向きの荷重や、折板の変形に伴って、タイトフレームが変形してしまうことに着目したものであり、タイトフレームを下側から支えることで、タイトフレームを補強する技術について開示している。具体的には、タイトフレームと梁部材の間に補強用金具を介装するものであり、これによれば、タイトフレームと梁部材の間において補強用金具が突っ張ることで、折板から受ける下側方向への荷重などに対して、タイトフレームの変形が抑制され得ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−240483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、折板屋根については、下向きの荷重のみならず、上向きの荷重も発生することが考えられる。即ち、例えば、屋根下空間が開放されるカーポートに折板屋根が適用されている場合には、屋根下空間を風が通過する際に、上向き方向の風の流れによって、折板屋根を上方向へ押し上げる荷重が発生することになる。このため、タイトフレームについては、このような上方向への荷重に対しても耐え得るように、梁部材に対して固定される必要がある。
【0006】
さらに、折板屋根の上に、発電のための太陽光発電装置や、給湯用の太陽熱蓄熱装置などが設置される場合においては、これらの装置と折板屋根の間の空間に風が吹き込み、この吹き込み風によって、これらの装置が折板屋根を上方向へ引っ張り上げる状況が生じ得る。したがって、このような状況では、タイトフレームは、折板屋根そのものから作用する上方向への荷重に加え、太陽光発電装置などから作用する上方向への荷重についても、確実に耐えることができる必要がある。
【0007】
特に、近年においては、太陽光発電パネルの普及が著しく、カーポートなどに後付で設置されるケースも増えることが予想される。また、太陽光発電パネルの場合においては、折板屋根の略全面に設置されるなど、その敷設面積が広くなる傾向があり、上方向へ大きな荷重が発生することが考えられる。
【0008】
仮に、折板屋根の全面に太陽光発電パネルが敷設されることを想定すると、折板屋根の略二倍の面積において、上方向への風の流れが受け止められるものと考えることもでき、この場合には、太陽光発電パネルを後付で設ける前と比較して、タイトフレームには、二倍の上方向の荷重が作用するものと考えることができる。
【0009】
以上の内容に鑑みると、タイトフレームの固定を補強することが必要とされることになる。また、上述のような太陽光発電パネルの後付を考えると、既設の折板屋根についても対策を講じる必要がある。
【0010】
しかし、既設の折板屋根を解体して補強などする場合には、その解体作業は大掛かりなものとなるため、解体作業をせずに、タイトフレームの固定を補強できることが要求されることになる。なお、折板屋根を新設する場合においても、タイトフレームの固定を補強しておくことが好ましいことはいうまでもない。
【0011】
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑み、タイトフレームに上方向に作用する荷重への対策として、タイトフレームの固定を補強するための新規な技術について提案するものである。
【0012】
また、本発明の他の課題は、既設の折板屋根についても、タイトフレームの固定を補強することが可能な構成についても提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、請求項1に記載のごとく、
折板屋根のタイトフレームの固定を補強する方法であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定される補強部材にて、前記タイトフレームの一部を上側から押さえつける、こととするものである。
【0015】
また、請求項2に記載のごとく、
前記折板屋根は、既設の折板屋根とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載のごとく、
前記補強部材の一部が、折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとするものである。
【0017】
また、請求項4に記載のごとく、
前記折板屋根の上には、太陽エネルギー利用装置が載置固定されるものであって、
前記タイトフレームには、太陽エネルギー利用装置を支持固定するための連結具が連結固定されるものであり、
前記連結具が固定される箇所におけるタイトフレームの谷底部において、前記補強部材によるタイトフレームの押さえつけを行うこととするものである。
【0018】
また、請求項5に記載のごとく、
折板屋根のタイトフレームの固定を補強するための補強部材であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定するための部位と、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位と、
を有することとするものである。
【0019】
また、請求項6に記載のごとく、
前記折板屋根は、既設の折板屋根とするものである。
【0020】
また、請求項7に記載のごとく、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位は、
折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され得るものであり、
その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
タイトフレームを上方向に引き上げる荷重が作用する場合であっても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根の上に設置される太陽エネルギー利用装置の存在により、タイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明においては、
既設の折板屋根に後付で太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明においては、
既設の折板屋根を解体などすることなく、タイトフレームの固定の補強が可能となる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明においては、
太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、タイトフレームを上方向へ引き上げる力が直接的に作用する箇所において、タイトフレームの固定を補強することが可能となる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明においては、
タイトフレームを上方向に引き上げる荷重が作用する場合であっても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根の上に設置される太陽エネルギー利用装置の存在により、タイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明においては、
既設の折板屋根に後付で太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明においては、
既設の折板屋根を解体などすることなく、タイトフレームの固定の補強が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に係る補強部材にてタイトフレームの固定を補強する例について示す図。
【図2】実施例1の補強部材の設置例について示す図。
【図3】実施例1の補強部材の形状について示す図。
【図4】折板とタイトフレームの間の隙間に補強部材を取付ける状況について説明する図。
【図5】補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図6】実施例2の補強部材の設置例について示す図。
【図7】実施例2の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図8】折板とタイトフレームの間の隙間に補強部材を取付ける状況について説明する図。
【図9】実施例3の補強部材の設置例について示す図。
【図10】実施例3の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図11】実施例3の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図12】実施例4の補強部材の設置例について示す図。
【図13】実施例4の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図14】実施例4の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図15】実施例5の補強部材の設置例について示す図。
【図16】実施例5の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図17】実施例5の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1に示すごとく、梁部材1の上には、複数の山形部を連ねるようにして構成されるタイトフレーム2が載置固定され、このタイトフレーム2の上側に折板3が載置固定されることで、折板屋根10が構成されるようになっている。このような折板屋根10の形態は、カーポート、テラス屋根などの住宅用室外設備をはじめ、体育館、工場、倉庫に広く適用され得るものである。また、住宅の屋根としても適用され得る。
【0031】
また、図1に示すごとく、折板3の上には、太陽エネルギー利用装置20が載置固定されることで、太陽エネルギー利用装置20を備える折板屋根10が構成されるようになっている。この太陽エネルギー利用装置20は、発電のための太陽光発電装置や、給湯用の太陽熱蓄熱装置などであって、図1の例では、太陽光発電装置の太陽光発電パネル21が設置される例を示している。
【0032】
また、図1に示すごとく、タイトフレーム2は、山形部と山形部の間に形成される谷底部において、梁部材1の上面に対して固定される。さらに、タイトフレーム2は、その一部が梁部材1に対して固定される補強部材4によって、梁部材1に対して押さえつけられるようになっている。このように、補強部材4によって追加的にタイトフレーム2を押さえつけることによって、タイトフレーム2の梁部材1に対する固定が補強され、太陽光発電パネル21と折板屋根10の間に進入する風W1によってタイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0033】
以上のように、本発明では、図1に示すごとく、折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強する方法であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定される補強部材4にて、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつける、こととするものである。
【0034】
このようにして、図1に示すごとく、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0035】
また、図1に示すごとく、前記折板屋根10は、既設の折板屋根10とするものである。
【0036】
これにより、後付で太陽エネルギー利用装置20を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0037】
また、図1に示すごとく、前記補強部材4の一部が、折板3と前記タイトフレーム2の間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレーム2の一部が上側から押さえつけられることとするものである。例えば、後述する実施例1の形態では、図4に示すごとく、補強部材4の一部である端部41dが、隙間61bに挿入されるとともに、端部41dによって固定板面部2gが上側から押さえつけられるものである。
【0038】
これにより、図1に示すごとく、既設の折板屋根10を解体などすることなく、タイトフレーム2の固定の補強が可能となる。
【0039】
また、図1及び図2に示すごとく、前記折板屋根10の上には、太陽エネルギー利用装置20が載置固定されるものであって、前記タイトフレーム2には、太陽エネルギー利用装置20を支持固定するための連結具22が連結固定されるものであり、前記連結具22が固定される箇所におけるタイトフレーム2の谷底部2bにおいて、前記補強部材4によるタイトフレーム2の押さえつけを行うこととするものである。
【0040】
これにより、太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる力が直接的に作用する箇所において、タイトフレーム2の固定を補強することが可能となる。
【0041】
また、本発明では、図1及び図2に示すごとく、折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強するための補強部材4であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定するための部位(図2:縦板部41a)と、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけるための部位(図2:押さえ板部41b)と、を有することとするものである。
【0042】
これにより、図1に示すごとく、本発明の補強部材4を利用することで、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0043】
また、図1に示すごとく、前記折板屋根10は、既設の折板屋根10とするものである。
【0044】
これにより、後付で太陽エネルギー利用装置20を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0045】
また、図1及び図2に示すごとく、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけるための部位(図2:押さえ板部41b)は、折板3と前記タイトフレーム2の間に形成される隙間に挿入され得るものであり、その挿入された部位によって、前記タイトフレーム2の一部が上側から押さえつけられることとするものである。例えば、後述する実施例1の形態では、図4に示すごとく、補強部材4の一部である端部41dが、隙間61bに挿入されるとともに、端部41dによって固定板面部2gが上側から押さえつけられるものである。
【0046】
これにより、図1に示すごとく、既設の折板屋根10を解体などすることなく、タイトフレーム2の固定の補強が可能となる。
以下では、補強部材4の実施形態の詳細について、実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0047】
図2に示すごとく、本実施例1の補強部材4・4は、タイトフレーム2の山形部2a・2aの間に形成される谷底部2bにおいて、タイトフレーム2を上側から押さえつけるためのものである。
【0048】
まず、図2におけるタイトフレーム2の構成について説明すると、タイトフレーム2の各山形部2aは、正面視略ハ字状を構成する傾斜板面部2c・2dと、両傾斜板面部2c・2dの上部を連結する上板面部2eと、各傾斜板面部2c・2dの下端において上板面部2eから離れる方向に向けて水平に延設される固定板面部2f・2gと、を有して構成されている。そして、このような山形部2aを複数用意し、各山形部2a・2aの固定板面部2f・2g同士を付け合せるようにして、梁部材1の長手方向に連設することにより、連続した山脈形状のタイトフレーム2が構成される。また、各山形部2a・2aの間には、谷底部2bが形成されることになる。
【0049】
また、図2に示すごとく、各山形部2a・2aは、その固定板面部2f・2gにおいて、梁部材1の上面1aに対してビス51・51により固定されている。これにより、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が生じた場合でも、タイトフレーム2が梁部材1から外れないようになっている。
【0050】
また、図2に示すごとく、上板面部2eには、上方に向けて固定用ピン2hが延設されている。この固定用ピン2hにはねじ山が形設されており、折板3の固定用孔3aに固定用ピン2hを挿入した後に、固定ナット52を固定用ピン2hに螺結することで、折板3がタイトフレーム2に対して固定され得るようになっている。
【0051】
また、図2に示すごとく、折板3の上に図示せぬ太陽光発電パネルが載置される場合においては、この太陽光発電パネルを支持固定するための連結具22が、固定用ピン2hに対して固定され得るようになっている。連結具22には、固定用孔22aが設けられており、この固定用孔22aに固定用ピン2hを挿入しつつ、固定ナット53を固定用ピン2hに螺結することで、連結具22がタイトフレーム2に対して固定され得るようになっている。また、この連結具22は、折板3の上側に設けられるものであり、固定ナット53を螺結させた状態では、連結具22とタイトフレーム2の間に折板3が挟装されるようになっている。
【0052】
また、図2及び図3に示すごとく、補強部材4・4は、梁部材1の縦面1b・1cに固定され得る縦板部41aと、この縦板部41aに対し直行する方向に設けられる押さえ板部41bを有して構成されている。縦板部41aには、ビス54を挿入するための貫通孔41c・41c(図3)が形成されている。また、押さえ板部41bは、縦板部41aと反対側の端部41dにおいて、固定板面部2f・2gの上面に当接し得るように構成されている。なお、図3では、補強部材4を正面などから見た形状がそれぞれ示されている。また、この補強部材4は、例えば、アルミ、ステンレスなどの金属にて構成することができるが、タイトフレーム2の固定を補強できるものであれば、特に素材は限定されない。
【0053】
また、図2に示すごとく、タイトフレーム2の一箇所の谷底部2bにおいて、二個の補強部材4・4が対向してセットで用いられるようになっている。また、両補強部材4・4の間に間隔が形成されるようにして、ビス51・51がかわされるようになっている。即ち、一方の補強部材4は、梁部材1の表側の縦面1bに固定され、他方の補強部材4は、梁部材1の裏側の縦面1cに固定されるようになっている。なお、図2の例のように一箇所の谷底部2bに二つの補強部材4・4を用いるほか、一箇所の谷底部2bに一つの補強部材4を用いることとしてもよい。例えば、梁部材1の表側の縦面1bの側にのみ補強部材4を設ける形態とするものである。
【0054】
また、図4及び図5は、既設の折板屋根に対し、補強部材4の後付けを行う場合について説明するものである。まず、梁部材1の上面1aと、折板3の谷底部3bの間に形成されている隙間61aに、補強部材4の押さえ板部41bを挿入させるとともに、この押さえ板部41bの端部41dをタイトフレームの固定板面部2gと、谷底部3bの間の隙間61bに挿入する。そして、端部41dを固定板面部2gの上に載置した状態とし、ビス54にて縦板部41aを梁部材1の縦面1bに固定することで、補強部材4の取付を行うことが可能となる。なお、補強部材4の押さえ板部41bの厚みは、隙間61a・61bの上下寸法よりも小さく設定されるものとする。
【0055】
このように、図4及び図5に示すごとく、梁部材1と折板3の間の隙間61a、及び、タイトフレーム2と折板3の間の隙間61bを利用することで、補強部材4を既設の折板屋根に対し取付けることが可能となる。そして、このような補強部材4の取付の形態によれば、折板3やタイトフレーム2を解体などせずに作業が行えることになり、特に、既設の折板屋根について、タイトフレーム2の固定の補強作業を行う場合には、施工性に優れたものとすることができる。なお、本実施例は、このような既設の折板屋根に対する適用はもちろんのこと、新設の折板屋根についても適用できることは言うまでもない。また、新設の折板屋根を施工する場合においても、補強部材を取付ける手順は特に限定されないため、施工性に優れたものとすることができる。
【0056】
そして、図1に示すごとく、補強部材4・4によりタイトフレーム2の梁部材1に対する固定を補強することによって、太陽光発電パネル21と折板屋根10の間に進入する風W1によって、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。さらに、折板3の下方に進入する風W2によってタイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F2が発生し、太陽光発電パネル21と折板3の両方によってタイトフレーム2を上方向に引き上げようとする大きな荷重が作用するような状況に対しても、補強部材4・4が設けられることで、より確実にタイトフレーム2の固定状態を維持することが可能となる。
【0057】
なお、図1の例では、タイトフレーム2における全ての谷底部の箇所に、補強部材4が配置されることとしたが、一部の箇所に配置することとしてもよい。また、図2に示すように、太陽エネルギー利用装置を固定するための連結具22が固定される箇所における谷底部2bについては、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる力がタイトフレーム2に直接的に作用するので、この箇所においては、補強部材4を設けることが特に望ましいことになる。
【実施例2】
【0058】
図6に示すごとく、本実施例2の補強部材4Aは、上述の実施例1と同様に、タイトフレーム2の山形部2a・2aの間に形成される谷底部2bにおいて、タイトフレーム2を上側から押さえつけるためのものである。
【0059】
また、図6乃至図8に示すごとく、補強部材4Aは、押さえ部材42aと、この押さえ部材42aの一部と係合する固定部材42bから構成される。なお、図7では、補強部材4Aを構成する押さえ部材42aと固定部材42bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0060】
また、図6乃至図8に示すごとく、押さえ部材42aは、梁部材1の表側の縦面1bに固定され得る縦板部42cと、この縦板部42cに対し直行する方向に設けられる押さえ板部42dを有して構成されている。縦板部42cには、ビス54を挿入するための貫通孔42e・42e(図7)が形成されている。また、押さえ板部42dには、縦板部42cと反対側の端部において、二本のアーム部42f・42fが延設されており、このアーム部42f・42fの間に、タイトフレーム2を固定するビス51・51(図6)が配置されるようになっている。
【0061】
また、図6乃至図8に示すごとく、押さえ板部42dは、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gにおいて、梁部材1の表側(縦面1b側)に配置される部位の上に被せるようにして配置される。また、アーム部42f・42fは、梁部材1の裏側まで伸びて、縦面1cの上部から突出するようになっている。
【0062】
また、図6乃至図8に示すごとく、固定部材42bは、梁部材1の裏側の縦面1cに固定され得る板状の部材であって、その上部にアーム部42f・42fの先端が挿入される貫通孔42g・42gを有している。また、固定部材42bには、ビス54・54を挿入するための貫通孔42h・42h(図7)が形成されている。
【0063】
そして、図6乃至図8に示すごとく、押さえ部材42aの縦板部42cを梁部材1の表側の縦面1bに固定し、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fがタイトフレーム2の固定板面部2f・2gの上を横断する状態にする。そして、アーム部42f・42fの先端を固定部材42bの貫通孔42g・42gに挿入させるとともに、固定部材42bを梁部材1の裏側の縦面1cに固定する。このようにして、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fによって、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gを上側から押さえつけることが可能となる。
【0064】
また、図8に示すごとく、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fの厚みは、タイトフレーム2と折板3の間の隙間62に挿入し得る厚みに設定されるため、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例3】
【0065】
図9に示すごとく、本実施例3の補強部材4Bは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、傾斜板面部2c・2dを上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0066】
また、図9乃至図11に示すごとく、補強部材4Bは、押さえ部材43aと、この押さえ部材43aの一部と係合する固定部材43bから構成される。なお、図10では、補強部材4Bを構成する押さえ部材43aと固定部材43bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0067】
また、図9乃至図11に示すごとく、押さえ部材43aは、タイトフレーム2の山形部2aの傾斜板面部2c・2dの上側にそれぞれ当接し得る当接片部43c・43cと、当接片部43c・43cの間に架設されるアーム部43dを有して構成されている。二つの当接片部43c・43cは、両者によって略ハ字状を構成するように配置されるようになっている。また、アーム部43dには、ビス55・55(図9)を介して固定部材43bと連結するためのビス孔43e・43e(図10)が設けられている。
【0068】
また、図9乃至図11に示すごとく、固定部材43bは、梁部材1の表側の縦面1bに固定され得る縦板部43fと、この縦板部43fから押さえ部材43aに向って延設される水平板部43gと、この水平板部43gから上方に立ち上がってアーム部43dと連結される連結縦板部43hと、を有して構成される。縦板部43fには、ビス54・54(図9)を挿入するための貫通孔43j・43j(図10)が形成され、連結縦板部43hには、ビス55・55を挿入するための貫通孔43k・43kが形設される。
【0069】
そして、図9乃至図11に示すごとく、以上の構成において、押さえ部材43aと固定部材43bをビス55・55によって一体とし、山形部2aの傾斜板面部2c・2dの外側面に、当接片部43c・43cを被せた状態とする。そして、この状態において、固定部材43bの縦板部43fを梁部材1の縦面1bにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Bによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて傾斜板面部2c・2dが当接片部43c・43cによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0070】
また、図11に示すごとく、当接片部43c・43cの厚みは、タイトフレーム2(傾斜板面部2c・2d)と折板3の間の隙間63・63に挿入し得る厚みに設定される。これにより、隙間63・63に対し各当接片部43c・43cを一方(例えば、梁部材の表側の縦面1b側)から差し込むようにして、補強部材4Bの取付を行うことができる。そして、このような補強部材4Bの取付の形態によれば、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例4】
【0071】
図12に示すごとく、本実施例4の補強部材4Cは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、固定板面部2f・2gを傾斜板面部2c・2dの根元部分に近い位置で上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0072】
また、図12乃至図14に示すごとく、補強部材4Cは、押さえ部材44aと、この押さえ部材44aを梁部材1に対して固定させるための固定部材44bから構成される。なお、図13では、補強部材4Cを構成する押さえ部材44aと固定部材44bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0073】
また、図12乃至図14に示すごとく、押さえ部材44aは、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gの間を跨ぐように構成される板状の部材であって、その両端部には傾斜板面部2c・2dの根元部分が挿入され得る切欠き部44c・44cが形設されている。この切欠き部44c・44cの外側の部位が、タイトフレーム2の山形部2aの固定板面部2f・2gの上側にそれぞれ当接し得る当接片部44d・44dとして構成される。
【0074】
また、図12乃至図14に示すごとく、固定部材44bは、押さえ部材44aの長手方向と直行する方向に長い板面部44eと、この板面部44eの前後端から、それぞれ下方に延設される縦板部44f・44fと、を有して構成される。縦板部44f・44fは、それぞれ、梁部材1の表側の縦面1b、裏側の縦面1cに対して当接固定されるものであり、各縦板部44f・44fには、ビス54(図12)を挿入するための貫通孔44j・44j(図13)が形成される。
【0075】
そして、図12乃至図14に示すごとく、以上の構成において、切欠き部44c・44c内に傾斜板面部2c・2dが挿入されるように、押さえ部材44aを差し込むとともに、押さえ部材44aの上側から固定部材44bを覆い被せ、固定部材44bの縦板部44f・44fを梁部材1の縦面1b・1cにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Cによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて固定板面部2f・2gが当接片部44d・44dによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0076】
また、図14に示すごとく、当接片部44d・44dの厚みは、タイトフレーム2(固定板面部2f・2g)と折板3の谷底部3bの間の隙間64・64に挿入し得る厚みに設定されることで、隙間64・64に対し各当接片部44d・44dを一方(例えば、梁部材の表側の縦面1c側(図12参照))から差し込むことが可能であり、また、固定部材44bについては、傾斜板面部2c・2dの間の空間65を通じて、押さえ部材44aの上方から覆い被せることが可能である。このような構成により、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例5】
【0077】
図15に示すごとく、本実施例5の補強部材4Dは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、傾斜板面部2c・2dの根元部分を上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0078】
また、図15乃至図17に示すごとく、補強部材4Dは、梁部材1に対して固定される固定部45aに、傾斜板面部2c・2dを挿入するための押さえ部45bを設けた構成とするものである。なお、図16では、補強部材4Dを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0079】
また、図15乃至図17に示すごとく、固定部45aは、梁部材1に固定された状態で梁部材1と直行する方向に長い板面部45cと、この板面部45cの前後端から、それぞれ下方に延設される縦板部45d・45dと、を有して構成される。縦板部45d・45dは、それぞれ、梁部材1の表側の縦面1b、裏側の縦面1cに対して当接固定されるものであり、各縦板部45d・45dには、ビス54(図15)を挿入するための貫通孔45e(図16)が形成される。
【0080】
また、図15乃至図17に示すごとく、押さえ部45bは、内板45f、外板45g、及び、横板45hから略コ字状に構成されるものであり、内板45fと外板45gの間に隙間45jが形設されるようになっている。そして、この隙間45jに傾斜板面部2c・2dが挿入され、外板45gによって傾斜板面部2c・2dが上側から抑えつけられ得るようになっている。また、内板45fと外板45gは、傾斜板面部2c・2dと略平行に配置され得るようになっており、これにより、隙間45jについても傾斜板面部2c・2dと略平行に配置され得るようになっている。
【0081】
また、図15及び図16に示すごとく、押さえ部45bの隙間45jは、板面部45cの長手方向において、一方が開放されるように構成されている。これにより、図17に示すごとく、図において左側の傾斜板面部2cの補強については、横板45hが表側となるように補強部材4Dを配置することで、隙間45jの傾斜を傾斜板面部2cと一致させて、傾斜板面部2cを隙間45jへ挿入することが可能となる。一方、図において右側の傾斜板面部2dの補強については、横板45hが裏側となるように補強部材4Dを配置することで、隙間45jの傾斜を傾斜板面部2dと一致させて、傾斜板面部2cを隙間45jへ挿入することが可能となる。
【0082】
そして、図15乃至図17に示すごとく、以上の構成において、二つの補強部材4D・4Dを用意し、それぞれ隙間45j・45j内に傾斜板面部2c・2dを挿入させるとともに、固定部45aの縦板部45d・45dを梁部材1の縦面1b・1cにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Dによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて傾斜板面部2c・2dが押さえ部45bによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0083】
また、図17に示すごとく、押さえ部45bにおける外板45gの厚みは、タイトフレーム2(傾斜板面部2c・2d)と折板3の間の隙間66・66に挿入し得る厚みに設定されることで、隙間66・66に対し各外板45g・45gを一方(梁部材の表側の縦面1b側、若しくは、裏側の縦面1c側(図15参照))から差し込むことが可能であり、また、固定部45aについては、傾斜板面部2c・2dの間の空間65を通じて、梁部材1の上方から覆い被せることが可能である。このような構成により、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の補強部材は、折板屋根のタイトフレームの固定を補強する手段として、カーポート、テラス屋根などの住宅用室外設備をはじめ、体育館、工場、倉庫に広く適用され得るものである。また、住宅の屋根としても適用され得る。また、これらの折板屋根において、既設、新設のいずれのものについても追加的に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 梁部材
2 タイトフレーム
2c 傾斜板面部
2d 傾斜板面部
2f 固定板面部
2g 固定板面部
3 折板
4 補強部材
10 折板屋根
20 太陽エネルギー利用装置
21 太陽光発電パネル
61a 隙間
61b 隙間
F1 荷重
F2 荷重
W1 風
W2 風
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根に使用するタイトフレームの固定を補強するためのタイトフレーム固定補強用金具に関するものであり、より詳しくは、タイトフレームに作用する上方向への荷重に対し、タイトフレームを強固に固定するためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーポート、体育館、工場、倉庫などに用いる屋根の形態として、折板屋根が知られている。この折板屋根は、母屋の梁部材に載置固定されるタイトフレームに対し、折板を敷設することで構成される。タイトフレームは、折板の断面形状に添う様に、山と谷が連続する波形状とするものが一般的であり、このタイトフレームを用いた折板屋根について開示する文献も存在する(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、折板から受ける下向きの荷重や、折板の変形に伴って、タイトフレームが変形してしまうことに着目したものであり、タイトフレームを下側から支えることで、タイトフレームを補強する技術について開示している。具体的には、タイトフレームと梁部材の間に補強用金具を介装するものであり、これによれば、タイトフレームと梁部材の間において補強用金具が突っ張ることで、折板から受ける下側方向への荷重などに対して、タイトフレームの変形が抑制され得ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−240483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、折板屋根については、下向きの荷重のみならず、上向きの荷重も発生することが考えられる。即ち、例えば、屋根下空間が開放されるカーポートに折板屋根が適用されている場合には、屋根下空間を風が通過する際に、上向き方向の風の流れによって、折板屋根を上方向へ押し上げる荷重が発生することになる。このため、タイトフレームについては、このような上方向への荷重に対しても耐え得るように、梁部材に対して固定される必要がある。
【0006】
さらに、折板屋根の上に、発電のための太陽光発電装置や、給湯用の太陽熱蓄熱装置などが設置される場合においては、これらの装置と折板屋根の間の空間に風が吹き込み、この吹き込み風によって、これらの装置が折板屋根を上方向へ引っ張り上げる状況が生じ得る。したがって、このような状況では、タイトフレームは、折板屋根そのものから作用する上方向への荷重に加え、太陽光発電装置などから作用する上方向への荷重についても、確実に耐えることができる必要がある。
【0007】
特に、近年においては、太陽光発電パネルの普及が著しく、カーポートなどに後付で設置されるケースも増えることが予想される。また、太陽光発電パネルの場合においては、折板屋根の略全面に設置されるなど、その敷設面積が広くなる傾向があり、上方向へ大きな荷重が発生することが考えられる。
【0008】
仮に、折板屋根の全面に太陽光発電パネルが敷設されることを想定すると、折板屋根の略二倍の面積において、上方向への風の流れが受け止められるものと考えることもでき、この場合には、太陽光発電パネルを後付で設ける前と比較して、タイトフレームには、二倍の上方向の荷重が作用するものと考えることができる。
【0009】
以上の内容に鑑みると、タイトフレームの固定を補強することが必要とされることになる。また、上述のような太陽光発電パネルの後付を考えると、既設の折板屋根についても対策を講じる必要がある。
【0010】
しかし、既設の折板屋根を解体して補強などする場合には、その解体作業は大掛かりなものとなるため、解体作業をせずに、タイトフレームの固定を補強できることが要求されることになる。なお、折板屋根を新設する場合においても、タイトフレームの固定を補強しておくことが好ましいことはいうまでもない。
【0011】
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑み、タイトフレームに上方向に作用する荷重への対策として、タイトフレームの固定を補強するための新規な技術について提案するものである。
【0012】
また、本発明の他の課題は、既設の折板屋根についても、タイトフレームの固定を補強することが可能な構成についても提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、請求項1に記載のごとく、
折板屋根のタイトフレームの固定を補強する方法であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定される補強部材にて、前記タイトフレームの一部を上側から押さえつける、こととするものである。
【0015】
また、請求項2に記載のごとく、
前記折板屋根は、既設の折板屋根とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載のごとく、
前記補強部材の一部が、折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとするものである。
【0017】
また、請求項4に記載のごとく、
前記折板屋根の上には、太陽エネルギー利用装置が載置固定されるものであって、
前記タイトフレームには、太陽エネルギー利用装置を支持固定するための連結具が連結固定されるものであり、
前記連結具が固定される箇所におけるタイトフレームの谷底部において、前記補強部材によるタイトフレームの押さえつけを行うこととするものである。
【0018】
また、請求項5に記載のごとく、
折板屋根のタイトフレームの固定を補強するための補強部材であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定するための部位と、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位と、
を有することとするものである。
【0019】
また、請求項6に記載のごとく、
前記折板屋根は、既設の折板屋根とするものである。
【0020】
また、請求項7に記載のごとく、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位は、
折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され得るものであり、
その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
タイトフレームを上方向に引き上げる荷重が作用する場合であっても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根の上に設置される太陽エネルギー利用装置の存在により、タイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明においては、
既設の折板屋根に後付で太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明においては、
既設の折板屋根を解体などすることなく、タイトフレームの固定の補強が可能となる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明においては、
太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、タイトフレームを上方向へ引き上げる力が直接的に作用する箇所において、タイトフレームの固定を補強することが可能となる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明においては、
タイトフレームを上方向に引き上げる荷重が作用する場合であっても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根の上に設置される太陽エネルギー利用装置の存在により、タイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明においては、
既設の折板屋根に後付で太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレームを上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレームの固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明においては、
既設の折板屋根を解体などすることなく、タイトフレームの固定の補強が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例に係る補強部材にてタイトフレームの固定を補強する例について示す図。
【図2】実施例1の補強部材の設置例について示す図。
【図3】実施例1の補強部材の形状について示す図。
【図4】折板とタイトフレームの間の隙間に補強部材を取付ける状況について説明する図。
【図5】補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図6】実施例2の補強部材の設置例について示す図。
【図7】実施例2の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図8】折板とタイトフレームの間の隙間に補強部材を取付ける状況について説明する図。
【図9】実施例3の補強部材の設置例について示す図。
【図10】実施例3の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図11】実施例3の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図12】実施例4の補強部材の設置例について示す図。
【図13】実施例4の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図14】実施例4の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【図15】実施例5の補強部材の設置例について示す図。
【図16】実施例5の補強部材を構成する部材の形状について示す図。
【図17】実施例5の補強部材にてタイトフレームの固定を補強した状態について示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1に示すごとく、梁部材1の上には、複数の山形部を連ねるようにして構成されるタイトフレーム2が載置固定され、このタイトフレーム2の上側に折板3が載置固定されることで、折板屋根10が構成されるようになっている。このような折板屋根10の形態は、カーポート、テラス屋根などの住宅用室外設備をはじめ、体育館、工場、倉庫に広く適用され得るものである。また、住宅の屋根としても適用され得る。
【0031】
また、図1に示すごとく、折板3の上には、太陽エネルギー利用装置20が載置固定されることで、太陽エネルギー利用装置20を備える折板屋根10が構成されるようになっている。この太陽エネルギー利用装置20は、発電のための太陽光発電装置や、給湯用の太陽熱蓄熱装置などであって、図1の例では、太陽光発電装置の太陽光発電パネル21が設置される例を示している。
【0032】
また、図1に示すごとく、タイトフレーム2は、山形部と山形部の間に形成される谷底部において、梁部材1の上面に対して固定される。さらに、タイトフレーム2は、その一部が梁部材1に対して固定される補強部材4によって、梁部材1に対して押さえつけられるようになっている。このように、補強部材4によって追加的にタイトフレーム2を押さえつけることによって、タイトフレーム2の梁部材1に対する固定が補強され、太陽光発電パネル21と折板屋根10の間に進入する風W1によってタイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0033】
以上のように、本発明では、図1に示すごとく、折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強する方法であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定される補強部材4にて、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつける、こととするものである。
【0034】
このようにして、図1に示すごとく、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0035】
また、図1に示すごとく、前記折板屋根10は、既設の折板屋根10とするものである。
【0036】
これにより、後付で太陽エネルギー利用装置20を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0037】
また、図1に示すごとく、前記補強部材4の一部が、折板3と前記タイトフレーム2の間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレーム2の一部が上側から押さえつけられることとするものである。例えば、後述する実施例1の形態では、図4に示すごとく、補強部材4の一部である端部41dが、隙間61bに挿入されるとともに、端部41dによって固定板面部2gが上側から押さえつけられるものである。
【0038】
これにより、図1に示すごとく、既設の折板屋根10を解体などすることなく、タイトフレーム2の固定の補強が可能となる。
【0039】
また、図1及び図2に示すごとく、前記折板屋根10の上には、太陽エネルギー利用装置20が載置固定されるものであって、前記タイトフレーム2には、太陽エネルギー利用装置20を支持固定するための連結具22が連結固定されるものであり、前記連結具22が固定される箇所におけるタイトフレーム2の谷底部2bにおいて、前記補強部材4によるタイトフレーム2の押さえつけを行うこととするものである。
【0040】
これにより、太陽エネルギー利用装置を設置した場合において、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる力が直接的に作用する箇所において、タイトフレーム2の固定を補強することが可能となる。
【0041】
また、本発明では、図1及び図2に示すごとく、折板屋根10のタイトフレーム2の固定を補強するための補強部材4であって、前記タイトフレーム2が固定される梁部材1に対し固定するための部位(図2:縦板部41a)と、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけるための部位(図2:押さえ板部41b)と、を有することとするものである。
【0042】
これにより、図1に示すごとく、本発明の補強部材4を利用することで、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。これにより、折板屋根10の上に設置される太陽エネルギー利用装置20の存在により、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用する場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0043】
また、図1に示すごとく、前記折板屋根10は、既設の折板屋根10とするものである。
【0044】
これにより、後付で太陽エネルギー利用装置20を設置した場合において、その設置前と比較してタイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が増加した場合においても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。
【0045】
また、図1及び図2に示すごとく、前記タイトフレーム2の一部を上側から押さえつけるための部位(図2:押さえ板部41b)は、折板3と前記タイトフレーム2の間に形成される隙間に挿入され得るものであり、その挿入された部位によって、前記タイトフレーム2の一部が上側から押さえつけられることとするものである。例えば、後述する実施例1の形態では、図4に示すごとく、補強部材4の一部である端部41dが、隙間61bに挿入されるとともに、端部41dによって固定板面部2gが上側から押さえつけられるものである。
【0046】
これにより、図1に示すごとく、既設の折板屋根10を解体などすることなく、タイトフレーム2の固定の補強が可能となる。
以下では、補強部材4の実施形態の詳細について、実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0047】
図2に示すごとく、本実施例1の補強部材4・4は、タイトフレーム2の山形部2a・2aの間に形成される谷底部2bにおいて、タイトフレーム2を上側から押さえつけるためのものである。
【0048】
まず、図2におけるタイトフレーム2の構成について説明すると、タイトフレーム2の各山形部2aは、正面視略ハ字状を構成する傾斜板面部2c・2dと、両傾斜板面部2c・2dの上部を連結する上板面部2eと、各傾斜板面部2c・2dの下端において上板面部2eから離れる方向に向けて水平に延設される固定板面部2f・2gと、を有して構成されている。そして、このような山形部2aを複数用意し、各山形部2a・2aの固定板面部2f・2g同士を付け合せるようにして、梁部材1の長手方向に連設することにより、連続した山脈形状のタイトフレーム2が構成される。また、各山形部2a・2aの間には、谷底部2bが形成されることになる。
【0049】
また、図2に示すごとく、各山形部2a・2aは、その固定板面部2f・2gにおいて、梁部材1の上面1aに対してビス51・51により固定されている。これにより、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が生じた場合でも、タイトフレーム2が梁部材1から外れないようになっている。
【0050】
また、図2に示すごとく、上板面部2eには、上方に向けて固定用ピン2hが延設されている。この固定用ピン2hにはねじ山が形設されており、折板3の固定用孔3aに固定用ピン2hを挿入した後に、固定ナット52を固定用ピン2hに螺結することで、折板3がタイトフレーム2に対して固定され得るようになっている。
【0051】
また、図2に示すごとく、折板3の上に図示せぬ太陽光発電パネルが載置される場合においては、この太陽光発電パネルを支持固定するための連結具22が、固定用ピン2hに対して固定され得るようになっている。連結具22には、固定用孔22aが設けられており、この固定用孔22aに固定用ピン2hを挿入しつつ、固定ナット53を固定用ピン2hに螺結することで、連結具22がタイトフレーム2に対して固定され得るようになっている。また、この連結具22は、折板3の上側に設けられるものであり、固定ナット53を螺結させた状態では、連結具22とタイトフレーム2の間に折板3が挟装されるようになっている。
【0052】
また、図2及び図3に示すごとく、補強部材4・4は、梁部材1の縦面1b・1cに固定され得る縦板部41aと、この縦板部41aに対し直行する方向に設けられる押さえ板部41bを有して構成されている。縦板部41aには、ビス54を挿入するための貫通孔41c・41c(図3)が形成されている。また、押さえ板部41bは、縦板部41aと反対側の端部41dにおいて、固定板面部2f・2gの上面に当接し得るように構成されている。なお、図3では、補強部材4を正面などから見た形状がそれぞれ示されている。また、この補強部材4は、例えば、アルミ、ステンレスなどの金属にて構成することができるが、タイトフレーム2の固定を補強できるものであれば、特に素材は限定されない。
【0053】
また、図2に示すごとく、タイトフレーム2の一箇所の谷底部2bにおいて、二個の補強部材4・4が対向してセットで用いられるようになっている。また、両補強部材4・4の間に間隔が形成されるようにして、ビス51・51がかわされるようになっている。即ち、一方の補強部材4は、梁部材1の表側の縦面1bに固定され、他方の補強部材4は、梁部材1の裏側の縦面1cに固定されるようになっている。なお、図2の例のように一箇所の谷底部2bに二つの補強部材4・4を用いるほか、一箇所の谷底部2bに一つの補強部材4を用いることとしてもよい。例えば、梁部材1の表側の縦面1bの側にのみ補強部材4を設ける形態とするものである。
【0054】
また、図4及び図5は、既設の折板屋根に対し、補強部材4の後付けを行う場合について説明するものである。まず、梁部材1の上面1aと、折板3の谷底部3bの間に形成されている隙間61aに、補強部材4の押さえ板部41bを挿入させるとともに、この押さえ板部41bの端部41dをタイトフレームの固定板面部2gと、谷底部3bの間の隙間61bに挿入する。そして、端部41dを固定板面部2gの上に載置した状態とし、ビス54にて縦板部41aを梁部材1の縦面1bに固定することで、補強部材4の取付を行うことが可能となる。なお、補強部材4の押さえ板部41bの厚みは、隙間61a・61bの上下寸法よりも小さく設定されるものとする。
【0055】
このように、図4及び図5に示すごとく、梁部材1と折板3の間の隙間61a、及び、タイトフレーム2と折板3の間の隙間61bを利用することで、補強部材4を既設の折板屋根に対し取付けることが可能となる。そして、このような補強部材4の取付の形態によれば、折板3やタイトフレーム2を解体などせずに作業が行えることになり、特に、既設の折板屋根について、タイトフレーム2の固定の補強作業を行う場合には、施工性に優れたものとすることができる。なお、本実施例は、このような既設の折板屋根に対する適用はもちろんのこと、新設の折板屋根についても適用できることは言うまでもない。また、新設の折板屋根を施工する場合においても、補強部材を取付ける手順は特に限定されないため、施工性に優れたものとすることができる。
【0056】
そして、図1に示すごとく、補強部材4・4によりタイトフレーム2の梁部材1に対する固定を補強することによって、太陽光発電パネル21と折板屋根10の間に進入する風W1によって、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F1が作用する場合であっても、タイトフレーム2の固定状態の維持を確保することが可能となる。さらに、折板3の下方に進入する風W2によってタイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重F2が発生し、太陽光発電パネル21と折板3の両方によってタイトフレーム2を上方向に引き上げようとする大きな荷重が作用するような状況に対しても、補強部材4・4が設けられることで、より確実にタイトフレーム2の固定状態を維持することが可能となる。
【0057】
なお、図1の例では、タイトフレーム2における全ての谷底部の箇所に、補強部材4が配置されることとしたが、一部の箇所に配置することとしてもよい。また、図2に示すように、太陽エネルギー利用装置を固定するための連結具22が固定される箇所における谷底部2bについては、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる力がタイトフレーム2に直接的に作用するので、この箇所においては、補強部材4を設けることが特に望ましいことになる。
【実施例2】
【0058】
図6に示すごとく、本実施例2の補強部材4Aは、上述の実施例1と同様に、タイトフレーム2の山形部2a・2aの間に形成される谷底部2bにおいて、タイトフレーム2を上側から押さえつけるためのものである。
【0059】
また、図6乃至図8に示すごとく、補強部材4Aは、押さえ部材42aと、この押さえ部材42aの一部と係合する固定部材42bから構成される。なお、図7では、補強部材4Aを構成する押さえ部材42aと固定部材42bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0060】
また、図6乃至図8に示すごとく、押さえ部材42aは、梁部材1の表側の縦面1bに固定され得る縦板部42cと、この縦板部42cに対し直行する方向に設けられる押さえ板部42dを有して構成されている。縦板部42cには、ビス54を挿入するための貫通孔42e・42e(図7)が形成されている。また、押さえ板部42dには、縦板部42cと反対側の端部において、二本のアーム部42f・42fが延設されており、このアーム部42f・42fの間に、タイトフレーム2を固定するビス51・51(図6)が配置されるようになっている。
【0061】
また、図6乃至図8に示すごとく、押さえ板部42dは、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gにおいて、梁部材1の表側(縦面1b側)に配置される部位の上に被せるようにして配置される。また、アーム部42f・42fは、梁部材1の裏側まで伸びて、縦面1cの上部から突出するようになっている。
【0062】
また、図6乃至図8に示すごとく、固定部材42bは、梁部材1の裏側の縦面1cに固定され得る板状の部材であって、その上部にアーム部42f・42fの先端が挿入される貫通孔42g・42gを有している。また、固定部材42bには、ビス54・54を挿入するための貫通孔42h・42h(図7)が形成されている。
【0063】
そして、図6乃至図8に示すごとく、押さえ部材42aの縦板部42cを梁部材1の表側の縦面1bに固定し、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fがタイトフレーム2の固定板面部2f・2gの上を横断する状態にする。そして、アーム部42f・42fの先端を固定部材42bの貫通孔42g・42gに挿入させるとともに、固定部材42bを梁部材1の裏側の縦面1cに固定する。このようにして、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fによって、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gを上側から押さえつけることが可能となる。
【0064】
また、図8に示すごとく、押さえ板部42d及びアーム部42f・42fの厚みは、タイトフレーム2と折板3の間の隙間62に挿入し得る厚みに設定されるため、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例3】
【0065】
図9に示すごとく、本実施例3の補強部材4Bは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、傾斜板面部2c・2dを上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0066】
また、図9乃至図11に示すごとく、補強部材4Bは、押さえ部材43aと、この押さえ部材43aの一部と係合する固定部材43bから構成される。なお、図10では、補強部材4Bを構成する押さえ部材43aと固定部材43bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0067】
また、図9乃至図11に示すごとく、押さえ部材43aは、タイトフレーム2の山形部2aの傾斜板面部2c・2dの上側にそれぞれ当接し得る当接片部43c・43cと、当接片部43c・43cの間に架設されるアーム部43dを有して構成されている。二つの当接片部43c・43cは、両者によって略ハ字状を構成するように配置されるようになっている。また、アーム部43dには、ビス55・55(図9)を介して固定部材43bと連結するためのビス孔43e・43e(図10)が設けられている。
【0068】
また、図9乃至図11に示すごとく、固定部材43bは、梁部材1の表側の縦面1bに固定され得る縦板部43fと、この縦板部43fから押さえ部材43aに向って延設される水平板部43gと、この水平板部43gから上方に立ち上がってアーム部43dと連結される連結縦板部43hと、を有して構成される。縦板部43fには、ビス54・54(図9)を挿入するための貫通孔43j・43j(図10)が形成され、連結縦板部43hには、ビス55・55を挿入するための貫通孔43k・43kが形設される。
【0069】
そして、図9乃至図11に示すごとく、以上の構成において、押さえ部材43aと固定部材43bをビス55・55によって一体とし、山形部2aの傾斜板面部2c・2dの外側面に、当接片部43c・43cを被せた状態とする。そして、この状態において、固定部材43bの縦板部43fを梁部材1の縦面1bにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Bによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて傾斜板面部2c・2dが当接片部43c・43cによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向に引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0070】
また、図11に示すごとく、当接片部43c・43cの厚みは、タイトフレーム2(傾斜板面部2c・2d)と折板3の間の隙間63・63に挿入し得る厚みに設定される。これにより、隙間63・63に対し各当接片部43c・43cを一方(例えば、梁部材の表側の縦面1b側)から差し込むようにして、補強部材4Bの取付を行うことができる。そして、このような補強部材4Bの取付の形態によれば、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例4】
【0071】
図12に示すごとく、本実施例4の補強部材4Cは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、固定板面部2f・2gを傾斜板面部2c・2dの根元部分に近い位置で上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0072】
また、図12乃至図14に示すごとく、補強部材4Cは、押さえ部材44aと、この押さえ部材44aを梁部材1に対して固定させるための固定部材44bから構成される。なお、図13では、補強部材4Cを構成する押さえ部材44aと固定部材44bを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0073】
また、図12乃至図14に示すごとく、押さえ部材44aは、タイトフレーム2の固定板面部2f・2gの間を跨ぐように構成される板状の部材であって、その両端部には傾斜板面部2c・2dの根元部分が挿入され得る切欠き部44c・44cが形設されている。この切欠き部44c・44cの外側の部位が、タイトフレーム2の山形部2aの固定板面部2f・2gの上側にそれぞれ当接し得る当接片部44d・44dとして構成される。
【0074】
また、図12乃至図14に示すごとく、固定部材44bは、押さえ部材44aの長手方向と直行する方向に長い板面部44eと、この板面部44eの前後端から、それぞれ下方に延設される縦板部44f・44fと、を有して構成される。縦板部44f・44fは、それぞれ、梁部材1の表側の縦面1b、裏側の縦面1cに対して当接固定されるものであり、各縦板部44f・44fには、ビス54(図12)を挿入するための貫通孔44j・44j(図13)が形成される。
【0075】
そして、図12乃至図14に示すごとく、以上の構成において、切欠き部44c・44c内に傾斜板面部2c・2dが挿入されるように、押さえ部材44aを差し込むとともに、押さえ部材44aの上側から固定部材44bを覆い被せ、固定部材44bの縦板部44f・44fを梁部材1の縦面1b・1cにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Cによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて固定板面部2f・2gが当接片部44d・44dによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0076】
また、図14に示すごとく、当接片部44d・44dの厚みは、タイトフレーム2(固定板面部2f・2g)と折板3の谷底部3bの間の隙間64・64に挿入し得る厚みに設定されることで、隙間64・64に対し各当接片部44d・44dを一方(例えば、梁部材の表側の縦面1c側(図12参照))から差し込むことが可能であり、また、固定部材44bについては、傾斜板面部2c・2dの間の空間65を通じて、押さえ部材44aの上方から覆い被せることが可能である。このような構成により、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【実施例5】
【0077】
図15に示すごとく、本実施例5の補強部材4Dは、タイトフレーム2の山形部2aにおいて、傾斜板面部2c・2dの根元部分を上から押さえつけることで、タイトフレーム2の固定の補強を行うものである。
【0078】
また、図15乃至図17に示すごとく、補強部材4Dは、梁部材1に対して固定される固定部45aに、傾斜板面部2c・2dを挿入するための押さえ部45bを設けた構成とするものである。なお、図16では、補強部材4Dを正面などから見た形状がそれぞれ示されている。
【0079】
また、図15乃至図17に示すごとく、固定部45aは、梁部材1に固定された状態で梁部材1と直行する方向に長い板面部45cと、この板面部45cの前後端から、それぞれ下方に延設される縦板部45d・45dと、を有して構成される。縦板部45d・45dは、それぞれ、梁部材1の表側の縦面1b、裏側の縦面1cに対して当接固定されるものであり、各縦板部45d・45dには、ビス54(図15)を挿入するための貫通孔45e(図16)が形成される。
【0080】
また、図15乃至図17に示すごとく、押さえ部45bは、内板45f、外板45g、及び、横板45hから略コ字状に構成されるものであり、内板45fと外板45gの間に隙間45jが形設されるようになっている。そして、この隙間45jに傾斜板面部2c・2dが挿入され、外板45gによって傾斜板面部2c・2dが上側から抑えつけられ得るようになっている。また、内板45fと外板45gは、傾斜板面部2c・2dと略平行に配置され得るようになっており、これにより、隙間45jについても傾斜板面部2c・2dと略平行に配置され得るようになっている。
【0081】
また、図15及び図16に示すごとく、押さえ部45bの隙間45jは、板面部45cの長手方向において、一方が開放されるように構成されている。これにより、図17に示すごとく、図において左側の傾斜板面部2cの補強については、横板45hが表側となるように補強部材4Dを配置することで、隙間45jの傾斜を傾斜板面部2cと一致させて、傾斜板面部2cを隙間45jへ挿入することが可能となる。一方、図において右側の傾斜板面部2dの補強については、横板45hが裏側となるように補強部材4Dを配置することで、隙間45jの傾斜を傾斜板面部2dと一致させて、傾斜板面部2cを隙間45jへ挿入することが可能となる。
【0082】
そして、図15乃至図17に示すごとく、以上の構成において、二つの補強部材4D・4Dを用意し、それぞれ隙間45j・45j内に傾斜板面部2c・2dを挿入させるとともに、固定部45aの縦板部45d・45dを梁部材1の縦面1b・1cにビス54・54にて留めつけることで、補強部材4Dによるタイトフレーム2の固定の補強が行える。即ち、山形部2aにおいて傾斜板面部2c・2dが押さえ部45bによって上側から押さえつけられることで、タイトフレーム2を上方向へ引き上げる荷重が作用した場合にも、タイトフレーム2の梁部材1への固定状態を確実に維持できるようになる。
【0083】
また、図17に示すごとく、押さえ部45bにおける外板45gの厚みは、タイトフレーム2(傾斜板面部2c・2d)と折板3の間の隙間66・66に挿入し得る厚みに設定されることで、隙間66・66に対し各外板45g・45gを一方(梁部材の表側の縦面1b側、若しくは、裏側の縦面1c側(図15参照))から差し込むことが可能であり、また、固定部45aについては、傾斜板面部2c・2dの間の空間65を通じて、梁部材1の上方から覆い被せることが可能である。このような構成により、折板3などを解体などすることなく、既設の折板屋根についてタイトフレーム2の固定の補強を容易に実施することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の補強部材は、折板屋根のタイトフレームの固定を補強する手段として、カーポート、テラス屋根などの住宅用室外設備をはじめ、体育館、工場、倉庫に広く適用され得るものである。また、住宅の屋根としても適用され得る。また、これらの折板屋根において、既設、新設のいずれのものについても追加的に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 梁部材
2 タイトフレーム
2c 傾斜板面部
2d 傾斜板面部
2f 固定板面部
2g 固定板面部
3 折板
4 補強部材
10 折板屋根
20 太陽エネルギー利用装置
21 太陽光発電パネル
61a 隙間
61b 隙間
F1 荷重
F2 荷重
W1 風
W2 風
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根のタイトフレームの固定を補強する方法であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定される補強部材にて、前記タイトフレームの一部を上側から押さえつける、こととする、
タイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項2】
前記折板屋根は、既設の折板屋根とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項3】
前記補強部材の一部が、折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられる、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項4】
前記折板屋根の上には、太陽エネルギー利用装置が載置固定されるものであって、
前記タイトフレームには、太陽エネルギー利用装置を支持固定するための連結具が連結固定されるものであり、
前記連結具が固定される箇所におけるタイトフレームの谷底部において、前記補強部材によるタイトフレームの押さえつけを行う、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項5】
折板屋根のタイトフレームの固定を補強するための補強部材であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定するための部位と、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位と、
を有する、タイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【請求項6】
前記折板屋根は、既設の折板屋根とする、
ことを特徴とする、請求項5に記載のタイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【請求項7】
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位は、
折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され得るものであり、
その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとする、
ことを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載のタイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【請求項1】
折板屋根のタイトフレームの固定を補強する方法であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定される補強部材にて、前記タイトフレームの一部を上側から押さえつける、こととする、
タイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項2】
前記折板屋根は、既設の折板屋根とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項3】
前記補強部材の一部が、折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され、その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられる、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項4】
前記折板屋根の上には、太陽エネルギー利用装置が載置固定されるものであって、
前記タイトフレームには、太陽エネルギー利用装置を支持固定するための連結具が連結固定されるものであり、
前記連結具が固定される箇所におけるタイトフレームの谷底部において、前記補強部材によるタイトフレームの押さえつけを行う、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のタイトフレームの固定を補強する方法。
【請求項5】
折板屋根のタイトフレームの固定を補強するための補強部材であって、
前記タイトフレームが固定される梁部材に対し固定するための部位と、
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位と、
を有する、タイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【請求項6】
前記折板屋根は、既設の折板屋根とする、
ことを特徴とする、請求項5に記載のタイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【請求項7】
前記タイトフレームの一部を上側から押さえつけるための部位は、
折板と前記タイトフレームの間に形成される隙間に挿入され得るものであり、
その挿入された部位によって、前記タイトフレームの一部が上側から押さえつけられることとする、
ことを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載のタイトフレームの固定を補強するための補強部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−214219(P2011−214219A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80315(P2010−80315)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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