説明

タイマー装置

【課題】 従来のタイマー装置では、タイマー時間を設定後にタイマー時間を確認する手段がなく、設定したタイマー時間通り動作するのか分からないため、使用上不便なところがあった。
【解決手段】 タイマー時間を設定するアナログ的な時間設定手段1と、アナログ的時間設定手段1からの出力信号を受け、タイマー時間に対応する発光素子の所定回数の点滅信号を出力する制御装置4と、制御装置4の出力信号を受け、タイマー時間を発光素子の所定回数の点滅で提示する時間提示手段2、3とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイマー時間や動作中のタイマー残時間を提示するタイマー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタイマー装置は、タイマー時間セット用スイッチが操作されている間、発光ダイオードを所定回数だけ点滅させ、発光ダイオードがある回数点滅された時点で、タイマー時間セット用スイッチの操作を停止することで、この回数に応じたタイマー時間がセットされるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、タイマー残時間に応じて光源の点滅間隔を変化させることで、タイマー残時間を表示するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平2−259488号公報(第3頁〜第4頁、第1図)
【特許文献2】実開昭57−68586号公報(第2頁〜第7頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、従来のタイマー装置では、タイマー時間を設定後にタイマー時間を確認する手段がなく、設定したタイマー時間通り動作するのか分からないため、使用上不便なところがあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、タイマー時間の設定後に、設定タイマー時間を確認できるタイマー装置を提供することを目的とする。
また、タイマー時間を設定後、タイマー装置運転によりタイマー残時間を設定タイマー時間又は最大設定タイマー時間に対するタイマー残時間の比率の変化で提示するタイマー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明のタイマー装置は、タイマー時間を設定するアナログ的な時間設定手段と、アナログ的時間設定手段からの出力信号を受け、タイマー時間に対応する発光素子の所定回数の点滅信号を出力する制御装置と、制御装置の出力信号を受け、タイマー時間を発光素子の所定回数の点滅で提示する時間提示手段とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイマー装置においては、時間提示手段が、タイマー時間を発光素子の所定回数の点滅で提示するので、タイマー時間の設定後は、使用者が設定タイマー時間を確認することができ、設定したタイマー時間通り動作するのか分からないこと等により、使用上不便をきたすことがない。
また、アナログ的な時間設定手段の目盛り表示だけでは困難だった細かな設定と設定時間の確認が、時間提示手段の発光素子の点滅回数を確認するだけで明確かつ容易に行えるようになる。また、アナログ的な時間設定手段の印刷された目盛りのずれやバラツキによる誤設定を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1のタイマー装置を示すブロック構成図であり、図2は、図1のタイマー装置の時間設定ボリュームを示す図であり、図3は、図1のタイマー装置の制御装置の制御フローチャート図であり、図4は、図1のタイマー装置の時間提示部の発光素子であるLEDによる設定タイマー時間の表示を示す図である。
本タイマー装置は、図1に示すように、タイマー時間を設定するためのアナログ的な時間設定手段である時間設定ボリューム1と、設定タイマー時間を表示する時間提示部2及びこれを駆動するドライバ部3(時間提示部2及びドライバ部3とで時間提示手段を形成する)と、タイマー装置本体である制御装置4とから構成されている。
タイマー時間を設定するための時間設定ボリューム1は、図2に示すように、中央の調整部11を回転させ、外側の所定の設定目盛り12に合わせることで、タイマー時間を設定するようになっている(図2では、タイマー時間1時間に設定)。図2に示す時間設定ボリューム1は、設定タイマー時間を30分、1時間、2時間、3時間の4種類とした場合の例であるが、さらに細かなタイマー時間を設定できるようにしてもよい。
【0009】
時間提示手段の時間提示部2は、発光素子としてLEDを使用し、LEDの点滅(点滅回数)により設定タイマー時間の表示を行う。また、ドライバ部3(LEDドライバ3)がLEDを点滅する。
LEDの点滅回数は、設定タイマー時間に対応させてLEDの点滅回数を定める。例えば、図2のタイマー設定時間が30分、1時間、2時間、3時間の4種類の場合は、タイマー設定時間が30分の時はLEDを1回点滅、タイマー設定時間が1時間の時はLEDを2回点滅、タイマー設定時間が2時間の時はLEDを3回点滅、タイマー設定時間が3時間の時はLEDを4回点滅させるようにする。
【0010】
制御装置4は、バスラインにより互いに接続されたインターフェイス(I/F)5と、中央処理装置(CPU)6と、タイマー設定時間及びLED点滅回数を記憶させておくメモリ7から構成されており、I/F5には時間設定ボリューム1を、またCPU6にはLEDドライバ3を接続している。
また、制御装置4には、タイマー動作させるための機器8が接続可能であり、接続させることにより、CPU6でタイマー残時間を算出し、タイマー残時間が0以下になったら、CPU6から機器8へ「入」あるいは「切」の信号が出力される。あるいは、CPU6から機器8へタイマー設定時間を出力し、機器8でタイマー残時間の算出を行うようにしてもよい。さらに、タイマー装置が専用の機器8をタイマー動作させる場合は、機器8をタイマー装置に接続しておいてもよい。また、制御装置4を機器8へ取り込み、機器8でタイマー装置の制御を行うようにしてもよい。
【0011】
次に、図1〜図3により本タイマー装置の動作を説明する。
まず、最初に時間設定ボリューム1の設定値(例えば、タイマー時間を2時間に設定)をI/F5を介してCPU6の設定値読み込み部に読み込む(図3のフローチャートのステップS1)。
次いで、読み込んだ時間設定ボリューム1の設定値からCPU6のタイマー設定時間算出部でタイマー時間を算出する。即ち、2時間に設定されていることを算出する(ステップS2)。
次に、CPU6のLED点滅回数設定部によって、タイマー時間に対応するLED点滅回数が設定される。即ち、メモリ7よりタイマー時間の2時間に対応してLED点滅回数3回が設定される(ステップS3)。
最後に、CPU6のLEDドライバ出力部によってLEDを設定点滅回数、即ち、3回点滅させるための信号がLEDドライバ3へ出力され、時間提示部2の発光素子であるLEDにより設定点滅回数、即ち、3回点滅が実施される(ステップS4)。
この時のLEDの様子を図4に示す。図4に示すように、所定の1周期TにLEDを設定点滅回数、即ち、3回点滅する。タイマー時間の設定後は、タイマー残時間が零になるまで、このLEDの点滅を周期毎に繰返し表示する。
その後、タイマー時間が変更された場合、再び設定値読み込み部によって、時間設定ボリューム1の設定値が読み込まれる。このように変更されたタイマー時間が読み込まれ、前述した処理によって、変更されたタイマー時間に応じた点滅回数でLEDが点滅動作する。
【0012】
以上のように、本実施の形態のタイマー装置は、タイマー時間の設定後は、時間提示部2で設定タイマー時間を表示するので、使用者がタイマー時間を確認することができ、設定したタイマー時間通り動作するのか分からないこと等により、使用上不便をきたすことがない。
また、設定されたタイマー時間に応じて時間提示部2のLEDが点滅動作することで、時間設定ボリューム1などのアナログ的な調整装置の目盛り表示だけでは困難だった細かな設定と設定タイマー時間の確認が、LEDの点滅回数を確認するだけで明確かつ容易に行えるようになる。また、印刷された目盛りのずれや時間設定ボリューム1のバラツキによる誤設定を防止することができる。
【0013】
実施の形態2.
実施の形態2のタイマー装置は、タイマー装置の運転中に時間提示手段を形成する時間提示部2の発光素子であるLEDによりタイマー残時間を表示するものである。本タイマー装置の構成は、実施の形態1の図1及び図2に示すタイマー装置と同様であり、制御装置4が、時間提示部2のLEDでタイマー残時間が表示されるよう時間提示部2aとドライバー部3aの制御を行う。
以下、主として実施の形態1との相違点を説明する。
【0014】
図5は、実施の形態2のタイマー装置の制御装置4の制御を示すフローチャート図である。本フローチャート図により、制御装置4の制御動作を説明する。
まず、最初にタイマー装置が運転中か否かを判定する(ステップS11)。
タイマー運転中でなければ、タイマー残時間表示が不要なため、処理を終了する。タイマー装置が運転中であれば、タイマー残時間の更新を所定の間隔、例えば、1分間隔で行う。即ち、1分経過したか否かを判定する(ステップS12)。
そして、1分経過したのであれば、タイマー残時間を1分減算し(ステップS13)、
タイマー残時間が0以下になったか否かを判定する(ステップS14)。
タイマー残時間が0以下になった場合は、タイマー運転を終了設定(ステップS15)し、タイマー運転判定(ステップS11)によって処理を終了する。
タイマー残時間が0より大きければ、設定タイマー時間とタイマー残時間の比率からLED2の点灯時間TON及び消灯時間TOFFを算出する(ステップS16)。
そして、点灯、消灯の周期時間を所定時間Tとし、TON、TOFFに基づいて、LED2を点滅させるようLEDドライバ3へ信号を出力し、LEDが周期毎に点滅を繰返す(ステップS17)。
【0015】
ここで、ステップS16におけるLEDの点灯時間TON及び消灯時間TOFFの例を示す。例えば、タイマー時間を2時間に設定し、タイマー残時間が30分になったとし、また、点灯、消灯の周期Tを3秒とする。
この時タイマー運転中であることから、ステップS16によって、LEDの点灯時間及び消灯時間は、次と算出される。
LEDの点灯時間TON=3秒×30分/2時間=0.75秒
LEDの消灯時間TOFF=3秒−0.75秒=2.25秒
これより、ステップS17によってLEDが点灯0.75秒、消灯2.25秒の点滅動作するようにLEDドライバ3へ信号を出力する。この時のLED2の様子を図6に示す。
以上のように、設定されたタイマー時間とタイマー残時間の比率によってLED2の点灯時間及び消灯時間が設定され、このタイマー時間とタイマー残時間の比率によって決められるLED2の点灯時間が、周期的に減少することで、タイマー残時間の確認が、明確かつ容易に行なえるようになる。
【0016】
実施の形態3.
本実施の形態のタイマー装置は、実施の形態2のタイマー装置のタイマー残時間の算出処理を変更したものである。
実施の形態2で説明したタイマー残時間の算出処理において、TONの算出式を、
ON=T×タイマー残時間/最大設定できるタイマー時間
とすることで、タイマー設定時間に依らずに点滅間隔を設定することができる。
例えば、タイマー時間を30分、1時間、2時間、3時間の4種類とし、タイマー残時間が30分になったとする。また前記同様に点灯、消灯の周期Tを3秒とする。この時、最大設定できるタイマー時間は3時間となるので、ステップS16によってLEDの点灯時間及び消灯時間が
LEDの点灯時間TON=3秒×30分/3時間=0.5秒
LEDの消灯時間TOFF=3秒−0.5秒=2.5秒
と算出される。これよりステップS17によってLEDが点灯0.5秒、消灯2.5秒の点滅動作するようにLEDドライバ3へ信号を出力する。
【0017】
以上のように、最大設定できるタイマー時間とタイマー残時間の比率によって時間提示部2のLEDの点灯時間及び消灯時間が設定されることで、設定タイマー時間に依らずにLEDの点滅間隔を設定し、タイマー残時間をイメージ化することで、より明確かつ容易に確認できるようになる。
【0018】
実施の形態4.
本実施の形態のタイマー装置は、実施の形態1のタイマー装置のタイマー時間の表示、及び実施の形態2あるいは実施の形態3のタイマー残時間の表示の両表示を行うことのできるものである。
本実施の形態のタイマー装置の構成は、実施の形態1及び実施の形態2と同様である。即ち、制御装置4の制御により、ドライバー部3(LEDドライバー3)が時間提示部2の発光素子であるLEDを点滅させ、タイマー時間及びタイマー残時間の表示を行う。
例えば、タイマー運転以外のときはタイマー設定時間を表示し、タイマー運転中はタイマー残時間を表示するようにする。または、表示切替用のスイッチなどの表示切替手段を設けることで、共通の時間提示部2の発光素子でタイマー時間及びタイマー残時間の表示を切り替え表示するようにする。
これによって、タイマー時間及びタイマー残時間の両表示を容易かつ安価に行うことができるとともに、使用者には一層便利である。
【0019】
実施の形態5.
実施の形態1〜実施の形態4のタイマー装置は、時間提示部2の発光素子であるLEDの点滅によって、タイマー時間、タイマー残時間を表示する方法であるが、本実施の形態のタイマー装置は、LEDをブザーなどの発音素子に置換えることで、LEDの点滅の替わりに発音素子の発音、消音で行い、視覚障害のある人にも容易にタイマー設定時間、タイマー残時間の確認が行えるようにしたものである。その他の構成等は、実施の形態1〜実施の形態4のタイマー装置と同様である。
【0020】
また、発光素子あるいは発音素子によって、タイマー時間、タイマー残時間を提示する方法について述べたが、時間提示部2が発光素子と発音素子を組み合わせ有するようにして、視覚障害あるいは聴覚障害のある人にも容易にタイマー時間、タイマー残時間の確認が行えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係わる実施の形態1のタイマー装置を示すブロック構成図である。
【図2】図1のタイマー装置の時間設定ボリュームを示す図である。
【図3】図1のタイマー装置の制御装置の制御フローチャート図である。
【図4】図1のタイマー装置の発光素子であるLEDによるタイマー設定時間の表示を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態2のタイマー装置の制御装置の制御フローチャート図である。
【図6】本発明に係る実施の形態2のタイマー装置の発光素子であるLEDによるタイマー残時間の表示を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 時間設定手段、2、3 時間提示手段、4 制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイマー時間を設定するアナログ的な時間設定手段と、前記アナログ的時間設定手段からの出力信号を受け、前記タイマー時間に対応する発光素子の所定回数の点滅信号を出力する制御装置と、前記制御装置の前記出力信号を受け、前記タイマー時間を発光素子の所定回数の点滅で提示する時間提示手段とを備えたことを特徴とするタイマー装置。
【請求項2】
タイマー動作時に、前記制御装置がタイマー残時間及び設定タイマー時間に対する前記タイマー残時間の比率を算出し、所定の1周期の時間の前記比率分の発光素子点灯時間及び前記1周期の残りの消灯時間からなる信号を出力し、
また、前記制御装置の出力信号を受け、該出力信号に基き発光素子を周期的に点滅させ、タイマー残時間を提示する時間提示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のタイマー装置。
【請求項3】
タイマー動作時に、前記制御装置がタイマー残時間及び最大設定タイマー時間に対する前記タイマー残時間の比率を算出し、所定の1周期の時間の前記比率分の発光素子点灯時間及び前記1周期の残りの消灯時間からなる信号を出力し、
また、前記制御装置の出力信号を受け、該出力信号に基き発光素子を周期的に点滅させ、タイマー残時間を提示する時間提示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のタイマー装置。
【請求項4】
前記タイマー時間及び前記タイマー残時間を、共通の時間提示手段により切替え提示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のタイマー装置。
【請求項5】
前記時間提示手段の前記発光素子に代えて発音素子を用い、前記タイマー時間又は前記タイマー残時間を前記発音素子の発音及び消音で提示することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載のタイマー装置。
【請求項6】
前記時間提示手段が発光素子及び発音素子の両方を有し、前記タイマー時間または前記タイマー残時間を発光素子及び発音素子の両方で提示することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載のタイマー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−29905(P2006−29905A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207110(P2004−207110)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】