説明

タイムカードの表裏判別装置、それを備えるタイムレコーダ、タイムカードの表裏判別方法、及びプログラム

【課題】簡素な構造で、製造の高コスト化を抑制できるタイムレコーダ等を提供する。
【解決手段】タイムレコーダ10は、下端の少なくともいずれか一方の角部に切り欠きが形成されているタイムカードの側端部を検出する第1センサ15と、タイムカードの下端部を検出する第2センサ16と、タイムカードを搬送するカード送りユニット28と、を備えている。このカード送りユニット28によってタイムカードが搬送されると、カード送りユニット28のパルスカウンタが、第1センサ15がタイムカードを検出したときから、第2センサ16がタイムカードを検出するまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントする。そして、カウント結果としてのパルス数に基づいて、タイムカードの表裏を判別する。このため、第1センサ15と、第2センサ16のみで表裏の判別を行うことが可能となる。したがって、装置の構造を簡素化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムカードの表裏判別装置、それを備えるタイムレコーダ、タイムカードの表裏判別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等における従業員の勤務管理には、一般に、タイムレコーダが用いられる。例えば、出社時、帰社時等において、従業員は、タイムレコーダの挿入口にタイムカードを挿入する。このタイムカードの表裏面には、例えば、ある月の1日から15日までの時刻を印字するための印字欄と、その月の16日以降の時刻を印字するための印字欄と、が印刷されている。従業員は、出勤日が1日から15日までの場合は、表面を正面に向けてタイムカードを挿入し、出勤日が16日以降の場合は、裏面を正面に向けてタイムカードを挿入する。タイムカードが挿入されると、タイムレコーダは、この従業員の出社時刻や帰社時刻をタイムカードに印字する。
【0003】
しかしながら、従業員がタイムカードの表裏面を反対にして挿入した場合には、タイムレコーダは、印字すべき面の反対側の面に印字してしまう。これを防止するために、下記特許文献1には、四方の角のうちの一つに切り欠きが形成されたタイムカードを用い、挿入されたタイムカードの右側及び左側の端部近傍を検知するセンサユニットを備えたタイムレコーダが開示されている。このタイムレコーダは、切り欠きが左右のどちらにあるかを検出することでき、これにより、タイムカードの表裏を判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−103169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載のタイムレコーダのセンサユニットは、タイムカードの左端近傍を検出するセンサ素子と、右側近傍を検出するセンサ素子と、これらのセンサ素子のそれぞれの下方に配置され、タイムカードが奥まで引き込まれたか否かを検出するセンサ素子と、を備えている。このため、合計で少なくとも3つのセンサ素子を有する必要があり、構造が比較的複雑になる。また、製造コストが高くなるおそれもある。そこで、簡素な構造を有するとともに、製造の高コスト化を抑制できるタイムレコーダ等が望まれる。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、簡素な構造を有するタイムカードの表裏判別装置、それを備えるタイムレコーダ、タイムカードの表裏判別方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るタイムカードの表裏判別装置は、
下端の少なくともいずれか一方の角部に切り欠きが形成されたタイムカードの表裏を判別する表裏判別装置であって、
搬送される前記タイムカードの側端部を検出する第1検出部と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する第2検出部と、
前記第1検出部が前記タイムカードを検出したときから、前記第2検出部が前記タイムカードを検出するまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタがカウントした前記パルス数に基づいて、前記切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記第1検出部は、前記タイムカードの搬送路の一側部近傍の、搬送される前記タイムカードの前記切り欠きと重なる位置に配置され、搬送される前記タイムカードを検出し、
前記第2検出部は、前記タイムカードの前記搬送路の終端部近傍の、搬送される前記タイムカードの前記切り欠きと重ならない位置、かつ前記第1検出部よりも下端側に配置されており、
前記第1検出部が前記タイムカードを検出した後に、前記第2検出部が前記タイムカードを検出してもよい。
【0009】
タイムカードを搬送するためのモータを更に備え、
前記パルス信号は、前記モータを駆動するための駆動パルスから構成されていてもよい。
【0010】
タイムカードを搬送するための搬送手段を更に備え、
前記搬送手段は、前記第2検出部の検出に基づいて、タイムカードの搬送方向を切り替えてもよい。
【0011】
年月日及び時刻を計測する計測手段を更に備え、
前記パルス信号は、前記計測手段によって生成されてもよい。
【0012】
本発明の第2の観点に係るタイムレコーダは、
第1の観点に係るタイムカードの表裏判別装置と、
前記タイムカードの表裏判別装置の判別結果に基づいて、前記タイムカードに年月日及び時刻を印字する印字ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点に係るタイムカードの表裏判別方法は、
下端の少なくともいずれか一方の角部に切り欠きが形成されたタイムカードの表裏を判別する表裏判別方法であって、
搬送される前記タイムカードの側端部を検出する工程と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する工程と、
前記タイムカードの前記側端部を検出したときから、前記タイムカードの前記下端部を検出したときまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントする工程と、
カウントされた前記パルス数に基づいて、前記切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
搬送されるタイムカードの側端部を検出する手順と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する手順と、
前記タイムカードの前記側端部を検出したときから、前記タイムカードの前記下端部を検出したときまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントする手順と、
カウントされた前記パルス数に基づいて、前記タイムカードの下端の少なくともいずれか一方の角部に形成された切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する手順と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1検出部がタイムカードを検出したときから、第2検出部がタイムカードを検出するまでに出力されたパルス信号のパルス数をカウントする。そして、カウント結果としてのパルス数に基づいて、タイムカードの表裏を判別する。このため、タイムカードの側端部を検出するためのセンサと、下端部を検出するためのセンサのみで表裏の判別を行うことが可能となる。したがって、装置の構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るタイムレコーダの斜視図である。
【図2】タイムレコーダのブロック図である。
【図3】タイムカードが奥まで引き込まれた場合の、第1センサ及び第2センサとタイムカードとの配置の関係を説明するための図である。
【図4】カード送りユニットのブロック図である。
【図5】(A)は、タイムカードの正面図であり、(B)は、タイムカードの背面図である。
【図6】(A)は、表面を正面に向けたタイムカードを挿入した場合のタイムレコーダの作用を説明するための図(その1)であり、(B)は、タイムレコーダの作用を説明するための図(その2)である。
【図7】(A)は、裏面を正面に向けたタイムカードを挿入した場合のタイムレコーダの作用を説明するための図(その1)であり、(B)は、タイムレコーダの作用を説明するための図(その2)である。
【図8】(A)は、タイムカードの応用例を示す正面図であり、(B)は、タイムカードの応用例を示す背面図である。
【図9】時計部が出力する内部クロックをカウントする応用例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るタイムレコーダ10について図面を参照しつつ説明する。なお、理解を容易にするため、X軸をタイムレコーダ10の側面方向、Y軸をタイムレコーダ10の正面方向、Z軸を鉛直方向とするXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0018】
本実施形態に係るタイムレコーダ10は、従業員の出社時刻や帰社時刻等をタイムカード30に印字する装置である。このタイムレコーダ10は、図1に示すように、筐体11を有している。
【0019】
筐体11は、Z方向を長手方向とする略直方体状のケースである。この筐体11は、例えば、樹脂からなる。筐体11の正面には、タイムレコーダ10を使用する従業員に情報を表示する表示画面12と、従業員からの情報を受け付ける操作キー13と、が配設されている。
【0020】
筐体11の上面には、タイムカード30を挿入するための挿入口11aが形成されている。タイムレコーダ10は、タイムカード30が挿入口11aから挿入されると、タイムカード30を、図3に示す筐体11内の搬送通路11bに引き込み、所定位置で時刻等を印字し、印字済のタイムカード30を挿入口11aから搬出する。
【0021】
表示画面12は、図1に示すように、タイムレコーダ10の正面から視認可能となっており、文字、記号などの情報を、このタイムレコーダ10を使用する従業員等に表示する。表示画面12は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0022】
操作キー13は、出社キーや退出キー等から構成される。例えば、タイムカード30に出社時の時刻を印字する場合は、従業員は、出社キーを押してから、タイムカード30を筐体11の挿入口11aに挿入する。これにより、タイムカード30には、出社時刻が印字される。
【0023】
筐体11には、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20、主記憶部21、補助記憶部22、時計部23、表示部24、入力部25、印字ユニット26、センサユニット27、カード送りユニット28、及び上記各部を相互に接続するバス14等が収納されている。
【0024】
CPU20は、補助記憶部22に記録されているプログラムに従って、タイムカード30に印字するための処理を実行する。
【0025】
主記憶部21は、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成され、CPU20の作業領域として用いられる。
【0026】
補助記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリを含んで構成されている。この補助記憶部22は、CPU20が実行するプログラム、及び各種パラメータなどを記憶している。
【0027】
時計部23は、現在の年月日や時刻を計測し、CPU20に通知する。
【0028】
表示部24は、前述の表示画面12を含んで構成され、CPU20の処理結果を表示する。表示部24は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0029】
入力部25は、前述の操作キー13を含んで構成されている。入力部25は、操作キー13への操作を検出し、検出結果に応じた信号をバス14へ出力する。
【0030】
印字ユニット26は、タイムカード30に年月日や時刻を印字する。印字ユニット26は、例えば、印字ヘッドや、インクリボンカートリッジ等から構成されている。
【0031】
センサユニット27は、第1センサ15と第2センサ16とを有している。第1センサ15及び第2センサ16は、反射型の光センサ素子から構成され、タイムカード30の検出結果に応じた信号をバス14を介してCPU20に出力する。
【0032】
第1センサ15は、挿入されたタイムカード30の左端部を検知するため、図3に示すように、筐体11内に形成された搬送通路11bの左端部A側近傍に配置されている。
【0033】
第2センサ16は、搬送通路11bの下端部近傍に配置され、タイムカード30が最下端まで移動したときに、その下端部34を検知する。
【0034】
カード送りユニット28は、挿入口11aに挿入されたタイムカード30を、+Z方向又は−Z方向に移送する。このカード送りユニット28は、例えば、図4に示すように、駆動パルス発生部28aと、ドライバ28bと、送りモータ28cと、パルスカウンタ28dと、送りローラ等から構成されている。
【0035】
駆動パルス発生部28aは、例えば、他励方式の発信回路等から構成され、CPU20の速度制御に従って、駆動パルスを発生する。
【0036】
ドライバ28bは、駆動パルス発生部28aからの駆動パルス信号に応答して、送りモータ28cを所定の角度で回転させる。
【0037】
送りモータ28cは、搬送ローラ等を駆動することにより、筐体11の挿入口11aに挿入されたタイムカード30を、搬送通路11bを通って、下方(−Z方向)に搬送する。また、下方の所定の位置まで搬送されたタイムカード30を上方(+Z方向)に搬送する。送りモータ28cは、例えば、ステッピングモータから構成される。
【0038】
パルスカウンタ28dは、CPU20からの計数開始信号に応答して、駆動パルス発生部28aから出力される駆動パルスのパルス数のカウントを開始し、CPU20からの計数終了信号に応答して、カウントを終了する。カウントが終了すると、パルスカウンタ28dは、パルス数のカウント値をCPU20に通知する。また、駆動パルスのパルス数は、タイムカード30の送り量に対応した値である。したがって、このパルス数のカウント値から、計数開始信号が出力されたときから、計数終了信号が出力されたときまでのタイムカード30のおおよその送り量を算出できる。
【0039】
上述したタイムレコーダ10には、図5(A)及び図5(B)に示すような、下端部34(−Z側の端部)の一方の角部に切り欠き31が形成されたタイムカード30が用いられる。このタイムカード30は、例えば、略長方形に成形された厚紙である。タイムカード30の面30a及びその反対側の面30bには、年月日や時刻を印字するための時刻欄32a,32bや、ユーザの氏名を記入するための氏名欄33が印刷されている。図5(A)に示すように、面30aの時刻欄32aは、例えば、ある一ヶ月のうちの1日から15日までの出勤日の時刻を記載するため欄である。そして、図5(B)に示すように、面30bの時刻欄32bは、例えば、ある一ヶ月のうちの16日以降の出勤日の時刻を記載するための欄である。
【0040】
切り欠き31は、タイムカード30の角部が傾斜状に切り取られることによって形成される。図3に示すように、搬送通路11bの左端部Aから第1センサ15までのX方向における距離Bは、水平方向(X方向)における切り欠き31の寸法Wよりも小さい。また、左端部Aから第2センサ16までのX方向における距離Cは、寸法Wよりも大きい。そのため、面30aを正面に向けたタイムカード30が挿入された場合、切り欠き31は、第1センサ15の配置位置を通過する。
【0041】
また、左端部Aから+X方向へ距離Bの位置における、切り欠き31のZ方向の寸法をLとすると、寸法Lは、第1センサ15と第2センサ16とのZ方向の距離Dよりも小さい。これにより、面30a及び面30bのいずれの面を正面に向けても、挿入されたタイムカード30は、先ず第1センサ15の配置位置を通過し、その後、第2センサ16の配置位置に達する。
【0042】
次に、上述したタイムレコーダ10の動作を、図1、図2、図4、図6(A)、図6(B)、図7(A)、及び図7(B)を用いて説明する。
【0043】
図1に示すように、タイムカード30が挿入口11aに挿入されると、CPU20の制御に基づいて、駆動パルス発生部28aが駆動パルスを発生する。ドライバ28bは、駆動パルスに応答して、送りモータ28cを所定の速度で回転させる。送りモータ28cの回転によって、タイムカード30は、搬入通路11b内を下方(−Z方向)に搬送される。
【0044】
タイムカード30が図5(A)に示す向き(即ち、面30aが正面を向いており、切り欠き31が左下に位置している場合)で下方に移動していくと、図6(A)に示すように、先ず、第1センサ15が、タイムカード30の切り欠き31の傾斜部を検出し、検出信号を、バス14を経由してCPU20に出力する。CPU20は、第1センサ15から出力された検出信号に応答して、計数開始信号をパルスカウンタ28dに出力する。この計数開始信号により、パルスカウンタ28dは、駆動パルス発生部28aの発生する駆動パルスのカウントを開始する。
【0045】
さらに、タイムカード30が、カード送りユニット28によって、下方に移動すると、図6(B)に示すように、第2センサ16が、タイムカード30の下端部34を検出し、検出信号を、バス14を介してCPU20に出力する。第2センサ16から出力された検出信号に応答して、CPU20は、計数終了信号をパルスカウンタ28dに出力する。この計数終了信号により、パルスカウンタ28dは、駆動パルスのカウントを終了し、カウント値をCPU20に通知するとともに、駆動パルス発生部28aが駆動パルスの発生を停止して、送りモータ28cの回転を停止させる。
【0046】
なお、送りモータ28cの回転が停止すると、タイムカード30の搬送も停止する。このときのタイムカード30の停止位置を、印字するための基準位置とし、この基準位置を基準として、印字ユニット26は、タイムカード30に印字する。
【0047】
一方、タイムカード30が図5(B)に示す向き(即ち、面30bが正面を向いており、切り欠き31が右下に位置している場合)で下方に移動していくと、図7(A)に示すように、先ず、第1センサ15が、タイムカード30の下端部34を検出し、検出信号を、バス14を経由してCPU20に出力する。この検出信号に応答して、CPU20は、計数開始信号をパルスカウンタ28dに出力し、パルスカウンタ28dは、駆動パルスのカウントを開始する。
【0048】
さらに、タイムカード30が、下方に移動すると、図7(B)に示すように、第2センサ16が、タイムカード30の下端部34を検出し、検出信号をCPU20に出力する。この検出信号に応答して、CPU20は、計数終了信号をパルスカウンタ28dに出力する。この計数終了信号により、パルスカウンタ28dは、駆動パルスのカウントを終了し、カウント値をCPU20に通知するとともに、駆動パルス発生部28aが駆動パルスの発生を停止して、送りモータ28cの回転を停止させる。
【0049】
なお、送りモータ28cの回転が停止すると、タイムカード30の搬送も停止する。このときのタイムカード30の停止位置を、印字するための基準位置とし、この基準位置を基準として、印字ユニット26は、タイムカード30に印字する。
【0050】
CPU20は、パルスカウンタ28dから通知されたカウント値から、タイムカード30の左下に切り欠き31があるか否かを判別する。上述したように、カウント値の大きさから、第1センサ15がタイムカード30を検出したときから、第2センサ16がタイムカード30を検出したときまでのタイムカード30の送り量の近似値を算出できる。そのため、カウント値から送り量を図3に示す距離Dと算出した場合は、切り欠き31が、タイムカード30の左下側ではなく、右下側にあると判別するとともに、タイムカード30の面30bが、正面を向いていると判別する。
【0051】
一方、カウント値から送り量を距離(D−L)と算出した場合は、CPU20は、タイムカード30の左下側に切り欠き31があると判別するとともに、タイムカード30の面30aが、正面を向いていると判別する。
【0052】
CPU20は、時計部23から通知された年月日を基に、時刻を印字すべき面が、面30aであるか、面30bであるか、を判別する。
【0053】
一方、CPU20は、第2センサ16からの検出信号に応答して、タイムカード30が搬送通路11bの最下端まで到達したことを検出し、カード送りユニット28を制御して、タイムカード30の搬送方向を上方(+Z方向)に切り替える。
【0054】
CPU20は、印字すべき面と、挿入されたタイムカード30の正面側の面と、が一致すると判別した場合には、時計部23から通知された日付を基に、タイムカード30を第2センサ16の検出位置から印刷位置まで搬送し、印字ユニット26を制御して、時計部23によって計測された時刻を、該当する時刻欄30a,30bに印字する。CPU20は、印字後、タイムカード30をカード送りユニット28によって、上方(+Z方向)に搬送し、搬出する。
【0055】
一方、印字すべき面と、挿入されたタイムカード30の正面側の面と、が一致しないと判別された場合には、CPU20は、挿入されたタイムカード30の面が反対である旨の信号を、表示部24に出力し、表示部24は、その情報を表示画面12に表示する。さらに、CPU20は、タイムカード30を、印字しないまま、カード送りユニット28によって、上方(+Z方向)に搬送し、搬出する。
【0056】
以上、説明したように、本実施形態に係るタイムレコーダ10においては、パルスカウンタ28dが、第1センサ15がタイムカード30を検出したときから、第2センサ16が検出したときまでの、駆動パルスのパルス数をカウントする。そして、このカウント値の大きさに基づいて、切り欠き31が左右のどちらにあるか判別することで、挿入されたタイムカード30の表裏を判別する。これにより、2つのセンサ素子(第1センサ15、第2センサ16)のみで、タイムカード30の表裏の判別を行うことが可能となる。したがって、タイムレコーダ10の構造を簡素化することができ、製造の高コスト化を抑制できる。しかも、第2センサ16を、タイムカード30の基準位置を検出するセンサと共用することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0058】
上述の実施形態においては、CPU20は、カウント値からタイムカード30の送り量(D又は(D−L))を算出したが、これに限らず、例えば、閾値をL/2として、カウント値から算出された送り量がL/2より大きい場合は、タイムカード30の面30bが、正面を向いていると判別するとともに、L/2より小さい場合は、タイムカード30の面30aが、正面を向いていると判別してもよい。
【0059】
さらに、CPU20は、パルスカウンタ28dのカウント値そのものからタイムカード30の向いている面を判別してもよい。さらに、予めパルス数の閾値PNを設定し、パルスカウンタ28dのカウント値と閾値PNとを比較し、カウント値が閾値PNより大きい場合は、タイムカード30の面30bが正面を向いていると判別し、閾値PNより小さい場合は、タイムカード30の面30aが正面を向いていると判別してもよい。
【0060】
また、第1センサ15及び第2センサ16は、反射型の光センサ素子から構成されているが、これに限らず、透過型の光センサ素子等タイムカード30の有無を検出できるならばよい。また、光センサに限らず、マイクロスイッチ等の機械式スイッチ等でもよい。
【0061】
また、切り欠き31は、タイムカード30の角部が傾斜状に切り取られることによって形成される。しかしながら、これに限らず、湾曲状に切り取ってもよい。
【0062】
また、タイムカード30には、切り欠き31が一つのみ形成されている。しかしながら、これに限らず、図8に示すように、寸法の異なる切り欠き31,35を両側に形成してもよい。このような構成によれば、検出された送り量(パルス数)が第1の基準値より大きい場合には、タイムカードの上下が逆、検出された送り量(パルス数)が第1の基準値より小さく、第2の基準値より大きい場合には、タイムカードが図8(B)に示す状態、検出された搬送量(パルス数)が第2の基準値より小さい場合には、タイムカードが図8(A)に示す状態というように、その向きを判別することができる。
【0063】
また、タイムカード30の3つの角部又は4つの角部に、それぞれ寸法の異なる切り欠きを形成してもよい。
【0064】
第1センサ15及び第2センサ16の配置位置は、切り欠きの有無・サイズを検出できる配置になっていれば、任意である。例えば、第1センサ15を搬送通路11bの右側部に配置してもよい。
【0065】
また、第2センサ16を搬送通路11bの下端から離れた位置に配置してもよい。この場合、制御形態によっては、タイムカード30が最下端に達したことを検出する他のセンサを配置する必要が生ずる。
【0066】
また、上記の実施形態では、パルスカウンタ28dが送りモータ28cの駆動パルスのパルス数をカウントする構成を例示したが、第1センサ15がタイムカード30を検出してから第2センサ素子16がタイムカード30を検出するまでの移動量、移動時間、駆動量を計測できるならば、その構成自体は任意である。例えば、図9に示すように、時計部23の内部クロックのパルス数をカウントしてもよい。さらに、パルスカウンタ28dに代えて、時計部23で駆動パルス数、内部クロックなどをカウントしてもよい。さらに、パルスカウンタ28dに代えて、CPU20自身が動作クロックをカウントする(計時する)等してもよい。
【0067】
上記の実施形態で用いられるプログラムは、フレキシブルディスク(磁気記録ディスク等)、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等の記録媒体(コンピュータで読み取り可能な記録媒体)に格納されて配布可能にされたものであってもよい。この場合、そのプログラムを所定のコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行することができる。また、上記の実施形態のプログラムは、通信ネットワーク(例えばインターネットやイントラネット等)上に設けられたサーバの記憶装置(ハードディスク等)に格納され、例えば搬送波に重畳されてローカルコンピュータにダウンロードされるものであっても、又は随時サーバから読み出されてローカルコンピュータで起動実行されるものであってもよい。なお、機能の一部をOS(Operating System)が担う場合には、OSが担う機能以外の部分のみを配布又は転送するようにしてもよい。
【0068】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0069】
10 タイムレコーダ
11 筐体
11a 挿入口
11b 搬送通路
12 表示画面
13 操作キー
14 バス
15 第1センサ
16 第2センサ
20 CPU
21 主記憶部
22 補助記憶部
23 時計部
24 表示部
25 入力部
26 印字ユニット
27 センサユニット
28 カード送りユニット
28a 駆動パルス発生部
28b ドライバ
28c 送りモータ
28d パルスカウンタ
30 タイムカード
30a、30b 面
31、35 切り欠き
32a、32b 時刻欄
33 氏名欄
34 下端部
A 左端部
B、C、D 距離
L、W 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端の少なくともいずれか一方の角部に切り欠きが形成されたタイムカードの表裏を判別する表裏判別装置であって、
搬送される前記タイムカードの側端部を検出する第1検出部と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する第2検出部と、
前記第1検出部が前記タイムカードを検出したときから、前記第2検出部が前記タイムカードを検出するまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントするパルスカウンタと、
前記パルスカウンタがカウントした前記パルス数に基づいて、前記切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する判別手段と、
を備えることを特徴とするタイムカードの表裏判別装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、前記タイムカードの搬送路の一側部近傍の、搬送される前記タイムカードの前記切り欠きと重なる位置に配置され、搬送される前記タイムカードを検出し、
前記第2検出部は、前記タイムカードの前記搬送路の終端部近傍の、搬送される前記タイムカードの前記切り欠きと重ならない位置、かつ前記第1検出部よりも下端側に配置されており、
前記第1検出部が前記タイムカードを検出した後に、前記第2検出部が前記タイムカードを検出することを特徴とする請求項1に記載のタイムカードの表裏判別装置。
【請求項3】
タイムカードを搬送するためのモータを更に備え、
前記パルス信号は、前記モータを駆動するための駆動パルスから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイムカードの表裏判別装置。
【請求項4】
タイムカードを搬送するための搬送手段を更に備え、
前記搬送手段は、前記第2検出部の検出に基づいて、タイムカードの搬送方向を切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタイムカードの表裏判別装置。
【請求項5】
年月日及び時刻を計測する計測手段を更に備え、
前記パルス信号は、前記計測手段によって生成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイムカードの表裏判別装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載されたタイムカードの表裏判別装置と、
前記タイムカードの表裏判別装置の判別結果に基づいて、前記タイムカードに年月日及び時刻を印字する印字ユニットと、
を備えることを特徴とするタイムレコーダ。
【請求項7】
下端の少なくともいずれか一方の角部に切り欠きが形成されたタイムカードの表裏を判別する表裏判別方法であって、
搬送される前記タイムカードの側端部を検出する工程と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する工程と、
前記タイムカードの前記側端部を検出したときから、前記タイムカードの前記下端部を検出したときまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントする工程と、
カウントされた前記パルス数に基づいて、前記切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する工程と、
を含むことを特徴とするタイムカードの表裏判別方法。
【請求項8】
コンピュータに、
搬送されるタイムカードの側端部を検出する手順と、
搬送される前記タイムカードの下端部を検出する手順と、
前記タイムカードの前記側端部を検出したときから、前記タイムカードの前記下端部を検出したときまでの、所定のパルス信号のパルス数をカウントする手順と、
カウントされた前記パルス数に基づいて、前記タイムカードの下端の少なくともいずれか一方の角部に形成された切り欠きの有無を検知し、前記切り欠きの有無の検知に基づいて、前記タイムカードの表裏を判別する手順と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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