説明

タイヤステージ

【課題】運搬保管時のスペースに多くを要さず、発泡スチロールを用いなくても十分な耐荷重を有し、かつ樹脂材料による成形(インジェクションモールド)が可能で発泡スチロールに比して耐久性に優れたタイヤステージを得る。
【解決手段】一つのステージエレメントの各セル10は、台形状の上壁11と下壁12、及び該上壁と下壁の長辺側を接続する外面縦壁13とを有し、各セルの外面縦壁は、該一つのステージエレメント中の全ての外面縦壁13を一平面上に位置させる展開状態と、複数の外面縦壁13によって多角筒の部分を構成する曲折状態とに状態を変更できるように曲折可能に接続され、各ステージエレメントは、その両端部に、別のステージエレメントを接続可能な接続部を有すること及びこの接続部を介して複数のステージエレメントを互いに接続することで、全体として多角筒状の一つのタイヤステージが完成するタイヤステージ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横置きのタイヤを乗せて陳列するためのタイヤステージに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤショップでは、タイヤを横置きに陳列する際、陳列タイヤが目立つように、また汚れないように、偏平な円柱形状のタイヤステージを用いることがある。このタイヤステージは従来、耐荷重の要求を満たすため発泡スチロールからなっており、複数に(一般的には4個または6個に)分割させて作られている。つまり、4分割では中心角90゜の扇型柱状体を4つ、6分割では中心角60゜の扇型柱状体を6つ組み合わせて一つのタイヤステージとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、中心角60゜または90゜の扇形柱状体は運搬や保管に多くのスペースを要する。また、発泡スチロールは、耐久性に乏しく、さらに焼却すると有害ガスが発生するため、使用が制限される。
【0004】
従って本発明は、運搬保管時のスペースに多くを要することのないタイヤステージを得ることを目的とする。
また本発明は、発泡スチロールを用いなくても十分な耐荷重を得ることが可能なタイヤステージを得ることを目的とする。
さらに本発明は、樹脂材料による成形(インジェクションモールド)が可能で発泡スチロールに比して耐久性に優れたタイヤステージを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のセルを有するステージエレメントを複数接続して、全体として多角筒状で中心部が空洞をなすタイヤステージを得るという着眼に基づいてなされたもので、一つのステージエレメントの各セルは、台形状の上壁と下壁、及び該上壁と下壁の長辺側を接続する外面縦壁とを有し、各セルの外面縦壁は、該一つのステージエレメント中の全ての外面縦壁を一平面上に位置させる展開状態と、複数の外面縦壁によって多角筒の部分を構成する曲折状態とに状態を変更できるように曲折可能に接続されていること;これらの複数のセルを有する各ステージエレメントは、その両端部に、別のステージエレメントを接続可能な接続部を有すること;及びこの接続部を介して複数のステージエレメントを互いに接続することで、全体として多角筒状の一つのタイヤステージが完成すること;を特徴としている。
【0006】
各セルの上下壁は、補強縦壁によって接続することが望ましい。さらに補強縦壁は、外面縦壁に直交する互いに平行をなす一対の補強縦壁から構成するのがよい。
【0007】
ステージエレメントは、2ないし6個で一つのタイヤステージを構成するように、その展開状態の長さ(曲折状態の角度)を定めるのが実際的である。
【0008】
一つのタイヤステージを構成するステージエレメントは、長さの違うものを組み合わせる選択肢もあるが、コスト面及び実用面からは全てのステージエレメントは同一形状とするのが実際的である。
【0009】
各セルの外面縦壁の上端部と下端部にはそれぞれ、別のステージエレメントの各セルの外面縦壁の下端部と上端部の積み重ねガイドに係合する積み重ねガイドを形成することにより、本タイヤステージ自体を積み重ねて使用することが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のタイヤステージによれば、複数のセルを有するステージエレメントを、該セルの外面縦壁を平面状にした状態で運搬保管できるためスペース効率がよい。また、樹脂材料によって容易に成形することができ、発泡スチロールに比して遙かに高い強度及び耐久性を得ることができ、十分な耐荷重を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施形態は、4分割されたステージエレメントSEにより、多角筒(20角筒)状の一つのタイヤステージTSを得る実施形態である。図1ないし図6は、一つのステージエレメントSEの形状例を示している。ステージエレメントSEは、5つのセル10を有している。各セル10は、台形状の上壁(上横壁)11と、下壁(下横壁)12と、この上壁11と下壁12の長辺側を接続する外面縦壁13と、この外面縦壁13に直交し、同じく上壁11と下壁12を接続する互いに平行な一対の補強縦壁14とを有している。上下縦横は、使用状態でのそれをいう。
【0012】
以上の5つのセル10の外面縦壁13は、薄肉部13a(図2、図6参照)によって曲折可能に接続されている。この薄肉部13aは、一つのステージエレメントSE中の全てのセル10の外面縦壁13を一平面上に位置させる展開状態(図2、図3の状態)とすることを可能とし、かつ、5つの外面縦壁13によって、多角筒(20角筒)状のタイヤステージTSの5つの外面を構成する曲折状態(図9)にすることを可能としている。上壁11(下壁12)は、外面側に長辺11a(長辺12a)、内面側に短辺11b(短辺12b)が位置していて、長辺11aと短辺11b(長辺12aと短辺12b)を接続する隣り合うセル10の斜辺11c(斜辺12c)の間には、展開状態で隙間が形成される。また、曲折状態では斜辺11cどうし(斜辺12cどうし)が当接または接近して曲折角度を制限する。上壁11と下壁12の平面形状は、この曲折状態が可能となるように、その形状が定められている。上壁11と下壁12の形状を表現する「台形」は、厳密な意味のそれではなく、以上の展開状態と曲折状態とが得られる形状を意味する。
【0013】
一つのステージエレメントSEの両端部には、別のステージエレメントSEとの雄接続部15と雌接続部16が形成されている。この雄接続部15と雌接続部16は、(別体として形成されていれば)互いに係合可能な形状であり、両端部のセル10の外面縦壁13の最外端部の内側に、外側の補強縦壁14よりも外側に位置させて形成されている。雌接続部16は、縦長の係止孔16aを形成するブリッジ16bと、このブリッジ16bの奥部に位置する係止突起16c(図7)とを備えており、雄接続部15は、この係止孔16aに挿入される、上下一対の上下規制突起15aと、この一対の上下規制突起15aの間に位置する弾性変形係止脚15bとを備えている。弾性変形係止脚15bには、その中央部先端に係止突起16cに掛け止められる抜け止め突起15cが形成されている。
【0014】
各セル10の外面縦壁13の下端部には、下壁12より突出する突出縁(積み重ねガイド)13bが形成されており、上端部には、この突出縁13bに対応する段凹部(積み重ねガイド)13cが形成されている。
【0015】
以上のステージエレメントSEは、図2、図3のような展開形状で樹脂材料により成形(インジェクションモールド)ができる。別言すると、展開状態での成形を可能とする型設計が可能である。仮に、このステージエレメントSEを、曲折状態(図1、図9)で成形しようとすれば、型構成が極めて複雑になり、コストアップ要因となる。
【0016】
上記構成のステージエレメントSEは、4つを組み合わせ、隣り合うステージエレメントSEの雄接続部15と雌接続部16どうしを掛け止める。すると、図9、図10に示すように、全体として多角筒(20角筒)状で中心部が空洞をなすタイヤステージTSが得られる。陳列タイヤTは、タイヤステージTSの上壁11面上に載置することができる。陳列タイヤTの陳列高さを高くしたいときには、複数のタイヤステージTSを重ねることができ、このとき、下方のタイヤステージTSの外面縦壁13の上端部の段凹部13cに、上方のタイヤステージTSの外面縦壁13の下端部の突出縁13bが係合し、位置ずれが防止される。
【0017】
以上の実施形態は、4つのステージエレメントSEにより、多角筒(20角筒)状のタイヤステージTSを得る実施形態であるが、ステージエレメントSEの分割数は、2ないし6個の範囲で定めることができ、角筒の面数にも自由度がある。
【0018】
また以上の実施形態では、各セル10の上壁11と下壁12を外面縦壁13のみならず、補強縦壁14でも接続しているために、容易に高強度が得られる。しかし、上壁11、下壁12及び外面縦壁13のみで必要な強度が得られるならば、補強縦壁14は省略可能である。あるいは、実施形態では一対の互いに平行な補強縦壁14が備えられているが、これを中央部の単一の補強縦壁に置き換えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるタイヤステージに用いるステージエレメントの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のステージエレメントの展開状態における背面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図2の右側面図である。
【図5】図2の左側面図である。
【図6】図3のVI部拡大図であり、(A)は展開状態、(B)は曲折状態を示す。
【図7】図3のVII部拡大図である。
【図8】図4のVIII部拡大図である。
【図9】図1ないし図8のステージエレメントを4個組み合わせて一つのタイヤステージとする状態を示す横断面図である。
【図10】タイヤステージを用いたタイヤの陳列例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
10 セル
11 上壁(上横壁)
11a 12a 長辺
11b 12b 短辺
11c 12c 斜辺
12 下壁(下横壁)
13 外面縦壁
13a 薄肉部
13b 突出縁(積み重ねガイド)
13c 段凹部(積み重ねガイド)
14 一対の補強縦壁
15 雄接続部
15a 上下規制突起
15b 弾性変形係止脚
15c 抜け止め突起
16 雌接続部
16a 係止孔
16b ブリッジ
16c 係止突起
SE ステージエレメント
TS タイヤステージ
T 陳列タイヤ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを有するステージエレメントを複数接続してなる全体として多角筒状で中心部が空洞をなすタイヤステージであって、
一つのステージエレメントの各セルは、台形状の上壁と下壁、及び該上壁と下壁の長辺側を接続する外面縦壁とを有し、各セルの外面縦壁は、該一つのステージエレメント中の全ての外面縦壁を一平面上に位置させる展開状態と、複数の外面縦壁によって多角筒の部分を構成する曲折状態とに状態を変更できるように曲折可能に接続されていること;
これらの複数のセルを有する各ステージエレメントは、その両端部に、別のステージエレメントを接続可能な接続部を有すること;及び
この接続部を介して複数のステージエレメントを互いに接続することで、全体として多角筒状の一つのタイヤステージが完成すること;
を特徴とするタイヤステージ。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤステージにおいて、各セルの上下壁は、補強縦壁によって接続されているタイヤステージ。
【請求項3】
請求項2記載のタイヤステージにおいて、上記補強縦壁は、外面縦壁に直交する互いに平行をなす一対の補強縦壁からなっているタイヤステージ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のタイヤステージにおいて、ステージエレメントは、2ないし6個で一つのタイヤステージを構成するタイヤステージ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のタイヤステージにおいて、一つのタイヤステージを構成する全てのステージエレメントは同一形状であるタイヤステージ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のタイヤステージにおいて、各セルの外面縦壁の上端部と下端部にはそれぞれ、別のステージエレメントの各セルの外面縦壁の下端部と上端部の積み重ねガイドに係合する積み重ねガイドが形成されているタイヤステージ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−167369(P2006−167369A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368011(P2004−368011)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(591030341)株式会社システムコミュニケーションズ (10)