説明

タイヤトレッド用ブチルゴム組成物

本発明は、少なくとも1種のブチルエラストマーを含有する特に空気入りタイヤに好適なタイヤトレッド用ゴム組成物にHXNBRを添加することにより、ブチルベースのタイヤトレッドコンパウンドに固有の有用な動的特性を維持しながら、硬度及び耐磨耗性を改良する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のブチルエラストマーを含有するタイヤトレッド用、特に空気入りタイヤトレッド用ゴム組成物にHXNBRを添加することにより、ブチル系タイヤトレッドコンパウンドに固有の動的特性を維持しながら、硬度及び耐磨耗性を改良する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤトレッドの開発は、各種の重要な物性を最大化することに集中している。これら物性のうち、転がり抵抗、湿潤牽引力及び耐磨耗性が最も重要である。従来、トレッドコンパウンドにブチルエラストマーを取込むと、ブチルエラストマーの独特の動的特性により、トレッド特性に明確な効果を与えることが知られている。例えばトレッドにBIIRを取込むと、実験室テストによる湿潤牽引力、転がり抵抗とも、向上することが明らかになっている。これらの特性は、タイヤメーカーに対しトレッドへのブチルの取込みを大いに誘引するが、得られるコンパウンドの硬度は非常に悪く、最終製品の寿命が著しく低下する恐れがある(例えばUS−A−2,698,041、GB−A−2,072,576及びEP−A1−0385760参照)。
【0003】
カーボンブラック及びシリカのような強化充填剤は、通常、エラストマーコンパウンドの強度及び疲労特性の改良に使用されている。ブチル系エラストマーの場合、一部は、重合体主鎖と平行する不飽和部位の減少により、充填剤とブラック充填剤との比較的低い相互作用があるだけである。この明白な制限を避けるには、BIIRと充填剤粒子との連結がBIIRをシリカ粒子で強化して、このようなコンパウンドの転がり抵抗を低下させると共に、耐摩擦性を向上する有効な方法であることが明かとなった。例えばカナダ特許出願2,293,149及び係属出願CA 2,339,080、CA−2,412,709及びCA 2,368,363参照。ブチル重合体の固有の低ガラス転移温度により、これらコンパウンドの硬度は、トレッドに利用するには、なお低すぎる。
【0004】
US 6,218,473は、磨耗及び引裂特性を改良するため、ベースのトレッドコンパウンドにクロロスルホン化ポリエチレン及びカルボキシル化ニトリルゴムを加えた硫黄硬化性ゴム組成物を請求している。
耐引裂及び磨耗性を改良するため、エポキシ化天然ゴム及びカルボキシル化ニトリルゴムを含む空気入りタイヤ用硫黄硬化ゴム組成物が特許されている(例えばUS 5,489,628、US 5,462,979、US 5489627及びUS 5488077参照)。
【0005】
EP 0390012A1は、20〜50%がイオン性で、80〜50%が
共有架橋である架橋ゴムからなるタイヤトレッド組成物を請求している。このトレッドは、優れた磨耗性、低転がり抵抗、低ヒステリシス及び高強度特性を示す。
以上の特許は、いずれも不飽和カルボキシル化ニトリルゴムを使用し、水素化カルボキシル化ニトリルの使用及び有用性を教示していない。
【0006】
US 4,990,570は、水素化ニトリルゴム、メタクリル酸の亜鉛塩、無水珪酸及び有機過酸化物を含む硬化性ゴム組成物を請求している。硬化生成物は、優れた強度、耐磨耗性及び圧縮永久歪を有すると言われる。水素化カルボキシル化ニトリルゴムの利点は調べていない。
【特許文献1】US−A−2,698,041
【特許文献2】GB−A−2,072,576
【特許文献3】EP−A1−0385760
【特許文献4】カナダ特許出願2,293,149
【特許文献5】CA 2,339,080
【特許文献6】CA−2,412,709
【特許文献7】CA 2,368,363
【特許文献8】US 6,218,473
【特許文献9】US 5,489,628
【特許文献10】US 5,462,979
【特許文献11】US 5489627
【特許文献12】US 5488077
【特許文献13】EP 0390012A1
【特許文献14】US 4,990,570
【特許文献15】WO−01/77185−A1
【特許文献16】EP−A−447,066
【非特許文献1】1955年Chapman & Hall出版の“Rubber Technology”第3版第2章“The Compounding and Vulcanization of Rubber”
【非特許文献2】Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下(配合)及びVol.17,p666以下(加硫)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
湿潤把持力に関連する温度及び転がり抵抗に関連する温度で驚くほど向上した動的制動性(damping)を有すると共に、優れた磨耗挙動を示すゴムブレンド及び加硫ゴム製品が少なくとも1種のブチルゴム及び少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムを含有するゴムコンパウンドから製造できることが、今回、見い出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムとを含むゴム組成物を提供する。
本発明の他の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムと、少なくとも1種の充填剤とを含むゴム組成物を提供する。
【0009】
本発明の更に他の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムと、少なくとも1種の加硫剤とを含むゴム組成物を提供する。
本発明の更に他の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムと、少なくとも1種の充填剤と、少なくとも1種の加硫剤とを含むゴム組成物を提供する。
【0010】
本発明の更に他の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムと、少なくとも1種の充填剤と、少なくとも1種の加硫剤とを含むタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する。
本発明の更に他の一態様は、少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の充填剤と、少なくとも1種の加硫剤とを含むタイヤトレッドコンパウンドに少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムを添加し、該コンパウンドを加硫することを特徴とするタイヤトレッドの湿潤牽引力を改良する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明で使用される任意にハロゲン化されたブチルゴムについては、タイヤの製造に好適ないかなる公知のハロゲン化又は非ハロゲン化ブチルゴムも使用できる。
ここで使用される語句“ハロゲン化ブチルゴム”とは、塩素化又は臭素化したブチルエラストマーを言う。臭素化ブチルエラストマーが好ましく、このようなブロモブチルエラストマー(“BIIR”)の例で本発明を説明する。しかし、本発明は、塩素化ブチルエラストマー(“CIIR”)の使用にも拡大できることは理解すべきである。
【0012】
したがって、本発明を実施するのに好適に使用されるハロブチルエラストマートとしては、限定されるものではないが、臭素化ブチルエラストマーがある。この種のエラストマーは、非ハロゲン化ブチルゴムの臭素化により得られる。
【0013】
ここで使用される語句“非ハロゲン化ブチルゴム”とは、イソブチレンと、コモノマー、通常、C〜C共役ジオレフィンとの共重合体で、好ましくはイソプレン−(イソブテン−イソプレン共重合体“IIR”))を言う。しかし、共役ジオレフィン以外のコモノマーも使用でき、C〜Cアルキル置換スチレンのようなアルキル置換ビニル芳香族コモノマーが挙げられる。このようなエラストマー(この場合は、臭素化エラストマー)の市販品としては、コモノマーがp−メチルスチレンである臭素化イソブチレンメチルスチレン共重合体(BIMS)がある。
【0014】
好ましいブチルエラストマーは、イソプレンから誘導された繰り返し単位を0.1〜10重量%の範囲及びイソブチレンから誘導された繰り返し単位を90〜99.9重量%の範囲(重合体の炭化水素含有量に対し)及びIIRが臭素化されていれば、臭素を0.1〜9重量%の範囲(ブロモブチル重合体に対し)含有する。通常のブロモブチル重合体の分子量は、DIN(ドイツ工業規格) 53523(ML 1+8(125℃で))によるムーニー粘度として、25〜60の範囲である。
【0015】
本発明に使用される臭素化ブチルエラストマーは、更に好ましくは、イソプレンから誘導された繰り返し単位を0.5〜5重量%の範囲(重合体の炭化水素含有量に対し)及びイソブチレンから誘導された繰り返し単位を95〜99.5重量%の範囲(重合体の炭化水素含有量に対し)及び臭素化されていれば、臭素を0.2〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.75〜2.3重量%の範囲(臭素化ブチル重合体に対し)含有する。
【0016】
好適な臭素化ブチルエラストマーの例としては、Bayer Inc.から市販されているBayer(登録商標、以下同じ)Butyl(商標、以下同じ)100、Bayer Butyl 101−3、Bayer Butyl 301及びBayer Butyl 402が挙げられる。Bayer Butyl 301は、ムーニー粘度(ASTM D52−89によるRPML 1+8@125℃)51±5、残存二重結合含有量1.85モル%、平均分子量Mw:550,000g/モルである。Bayer Butyl 402は、ムーニー粘度(ASTM D52−89によるRPML 1+8@125℃)33±4、残存二重結合含有量2.25モル%、平均分子量Mw:430,000g/モルである。
【0017】
好適な臭素化ブチルエラストマーの例としては、Bayer Inc.から市販されているBayer(登録商標、以下同じ)Bromobutyl(商標、以下同じ)2030、Bayer Bromobutyl 2040(BB2040)及びBayer Bromobutyl X2が挙げられる。Bayer BB2040は、ムーニー粘度(ML 1+8@125℃)39±4、臭素含有量2.0±0.3重量%、概略分子量500,000g/モルである。
【0018】
ニトリルゴム(NBR;少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種の不飽和ニトリル及び任意に更にコモノマーから誘導された繰り返し単位を有する共重合体)の選択的水素化により作られる水素化ニトリルゴム(HNBR);及びカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)として、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種の不飽和ニトリル、カルボキシル基を含有する少なくとも1種の共役ジエン(例えばα−β−不飽和カルボン酸)及び任意に更にコモノマーから誘導された繰り返し単位を有する、好ましくは統計的の、三元共重合体の選択的水素化により作られる水素化カルボキシル化ニトリルゴム(HXNBR)は、極めて良好な耐熱性、優れた耐オゾン兼化学薬品性及び優れた耐油性を有する特殊ゴムである。
【0019】
このゴムの高水準の機械特性(特に高度の耐磨耗性)と連結して、HXNBR及びXNBRが各種工業の中でも、特に自動車(シール、ホース、ベアリングパッド)、油(ステーター、坑口シール、弁板)、電気(ケーブル被覆)、機械工学(ホイール、ローラー)及び造船(パイプシール、カップリング)工業に広範囲の用途が見い出されていることは驚くほどではない。
【0020】
HXNBR及びその製造法は、例えばWO−01/77185−A1で知られている。この特許は、本方法の権力範囲に関連して、ここに援用する。
本明細書中で使用した用語“カルボキシル化ニトリルゴム”又はXNBRは、広い意味を持つことを意図し、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種のα−β−不飽和カルボン酸又はα,β−不飽和カルボン酸誘導体、及び任意に更に1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位を有する共重合体を包含することを意味する。
【0021】
本明細書中で使用した用語“水素化”又はHXNBRは、広い意味を持つことを意図し、出発XNBR中に存在する残存C−C二重結合(RDB)の少なくとも10%が水素化され、好ましくはRDBに対し50%より多く水素化され、更に好ましくはRDBに対し90%より多く水素化され、最も好ましくはRDBに対し95%より多く水素化されたXNBRを包含することを意味する。
【0022】
共役ジエンは、公知のいかなる共役ジエン、特にC〜C共役ジエンであってよい。好ましい共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチルブタジエン及びそれらの混合物である。更に好ましいC〜C共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物である。最も好ましいC〜C共役ジエンはブタジエンである。
【0023】
α,β−不飽和ニトリルは、公知のいかなるα,β−不飽和ニトリル、特にC〜C不飽和ニトリルであってよい。好ましいC〜Cα,β−不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル及びそれらの混合物である。最も好ましいC〜Cα,β−不飽和ニトリルはアクリロニトリルである。
【0024】
α,β−不飽和カルボン酸は、ジエン及びニトリルと共重合し得る公知のいかなるα,β−不飽和カルボン酸、特にアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸であってよい。これらカルボン酸のうち、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0025】
α,β−不飽和カルボン酸誘導体は、ジエン及びニトリルと共重合し得る公知のいかなるα,β−不飽和カルボン酸誘導体、特にアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸のエステル、アミド及び無水物、好ましくはエステル及び無水物であってよい。
【0026】
好ましくはHXNBRは、1種以上の共役ジエンから誘導された繰り返し単位を39.1〜80重量%の範囲、1種以上の不飽和ニトリルから誘導された繰り返し単位を5〜60重量%の範囲、及び1種以上の不飽和カルボン酸又はその誘導体から誘導された繰り返し単位を0.1〜15重量%の範囲で含有する。更に好ましくはHXNBRは、1種以上の共役ジエンから誘導された繰り返し単位を60〜70重量%の範囲、1種以上の不飽和ニトリルから誘導された繰り返し単位を20〜39.5重量%の範囲、及び1種以上の不飽和カルボン酸又はその誘導体から誘導された繰り返し単位を0.5〜10重量%の範囲で含有する。最も好ましくはHXNBRは、1種以上の共役ジエンから誘導された繰り返し単位を56〜69.5重量%の範囲、1種以上の不飽和ニトリルから誘導された繰り返し単位を30〜37重量%の範囲、及び1種以上の不飽和カルボン酸又はその誘導体から誘導された繰り返し単位を0.5〜7重量%の範囲で含有する。前記HXNBRは、重合体鎖中にカルボキシル官能基がランダムに分布した統計的共重合体であることが好ましい。
【0027】
任意にHXNBRは、1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位を更に含有してよい。1種以上の共重合性モノマーから誘導された繰り返し単位は、このニトリルゴムのニトリル部分又はジエン部分のいずれかと置換し、前述の数値は100重量%となるように調節する必要があることは当業者ならば明らかであろう。
【0028】
好ましいHXNBRは、Bayer AGから商品名THERBAN(登録商標)XT(商標)VPKA 8889で得られる。
本発明ゴムコンパウンドの組成は広範囲に変化でき、実際にHXNBR/HNBR比を変えることにより、得られるコンパウンドの特性を注文どおり作ることは可能である。コンパウンドは、HXNBRを好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは2〜10重量%の範囲で含有する。
【0029】
これらゴムのムーニー粘度はASTM法D−1646を用いて測定できる。
本発明のコンパウンドに含まれるHXNBRのムーニー粘度(ML 1+4@100℃)は限定されないが、好ましくは30より大きい。
異なるムーニー粘度を有する2種以上のゴム重合体をブレンドすると、2様式又は多様式の分子量分布を有するブレンドが得られる。本発明では、最終ブレンドは、少なくとも2様式の分子量分布を有することが好ましい。
【0030】
加硫性ゴムコンパウンドを得るには、少なくとも1種の加硫又は硬化系を加える必要がある。本発明は特別の硬化系に限定されないが、硫黄硬化系が好ましい。硫黄の好ましい量は、0.3〜2.0phr(ゴム100部当たり重量部)の範囲である。活性化剤、例えば酸化亜鉛も5〜0.5重量部の範囲で使用してもよい。他の成分、例えばステアリン酸、油(例えばSunocoのSunpar(登録商標))、酸化防止剤又は促進剤(例えばジベンゾチアジルジスルフィド(例えばBayer AGのVulkacit(登録商標))のような硫黄化合物)も硬化前のコンパウンドに加えてもよい。硫黄硬化は公知の方法で行われる。例えば1955年Chapman & Hall出版の“Rubber Technology”第3版第2章“The Compounding and Vulcanization of Rubber”参照。
【0031】
組成物は、更に活性又は不活性の充填剤又はその混合物をゴム100重量部当たり、好ましくは5〜500重量部(phr)、更に好ましくは40〜100phr含有する。
充填剤は、特に以下のものであってよい。
・例えばシリケート溶液の沈殿、又はハロゲン化珪素の火炎加水分解により製造した高分散シリカで、比表面積(BET比表面積)は5〜1000m/gの範囲、主な粒度は10〜400nmの範囲である。このシリカは、任意に、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr及びTiのような他の金属の酸化物との混合酸化物として存在してもよい。
・珪酸アルミニウム、及びアルカリ土類金属シリケートのような合成シリケートで、BET比表面積は20〜400m/gの範囲、主な粒度は10〜400nmの範囲である。
・カオリン及びその他の天然産シリカのような天然シリケート。
・ガラスファイバー及びガラスファイバー製品(マット、押出品)又は微小ガラス球。
・酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムのような金属酸化物。
・炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛のような金属炭酸塩。
・金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム。
・カーボンブラック。ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック法、ファーネスブラック法又はガスブラック法で製造され、BET比表面積は20〜200m/gの範囲で、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF又はGPFカーボンブラックである。
・ゴムゲル、特にポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレンをベースとするゴムゲル。
或いは以上の混合物でもよい。
【0032】
好ましい無機充填剤の具体例としてはシリカ、シリケート、粘土(例えばベントナイト)、石膏、アルミナ、二酸化チタン、タルク、及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの無機粒子は、表面に水酸基を有し、親水性兼疎油性にする。これは、充填剤粒子とゴムとの良好な相互作用を達成する困難性を一層悪化させる。多くの目的には、好ましい無機物は、シリカ、特に珪酸ナトリウムの二酸化炭素沈殿で作ったシリカである。本発明で使用するのに好適な乾燥非晶質シリカ粒子の平均凝集物粒度は、1〜100μの範囲、好ましくは10〜50μの範囲、最も好ましくは10〜25μの範囲である。凝集物粒子の10容量%未満は、5μ未満か、或いは50μを超える粒度が好ましい。好適な非晶質乾燥シリカは、更に通常、DIN 66131に従って測定したBET表面積が50〜450m/gの範囲であり、DIN 53601に従って測定したDBP吸収量が、150〜400g/100gシリカの範囲であり、またDIN ISO 787/11に従って測定した乾燥減量が、0〜10重量%の範囲である。好適なシリカ充填剤は、PPG Industries Inc.から商品名HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233及びHiSil(登録商標)243で得られる。またBayer AGから得られるVulkasil(登録商標)S及びVulkasil(登録商標)Nも好適である。
【0033】
充填剤としてカーボンブラックを使用するのが有利である。通常、カーボンブラックは、重合体ブレンド中に20〜200重量%、好ましくは30〜150重量%、更に好ましくは40〜100重量%存在する。更に、本発明の加硫性ゴムコンパウンドには、カーボンブラックと無機充填剤とを組合わせ使用するのが有利かもしれない。この組合わせでは、無機充填剤とカーボンブラックとの比は、通常、0.05〜20、好ましくは0.1〜10の範囲である。
【0034】
加硫性ゴムコンパウンドは、更に他の天然ゴム又は合成ゴムを含有してよい。これら他のゴムは、例えばBR(ポリブタジエン)、好ましくはBayer AGから得られるTaktene(登録商標)製品系列のBR、ABR(ブタジエン/アクリル酸C〜Cアルキルエステル共重合体)、EVM(エチレン酢酸ビニル共重合体)、NBR(ブタジエン/アクリロニトリル共重合体)、AEM(エチレンアクリレート共重合体)、CR(ポリクロロプレン)、IR(ポリイソプレン)、SBR(スチレン含有量が1〜60重量%のスチレン/ブタジエン共重合体)、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)、FKM(フルオロポリマー又はフルオロゴム)及び以上の重合体の混合物である。前記ゴムと慎重にブレンドすると、加工性を犠牲にすることなく、重合体ブレンドのコストを低下させることが多い。これら天然及び/又は合成ゴムの量は、造形品の製造に適用される工程条件に依存し、殆ど予備実験を行うことなく、容易に得られる。これらジエン合成ゴムの中でも、高cis‐BRが特に好ましく、天然ゴム(NR)と高cis‐BRとの組合わせの場合、天然ゴム(NR)と高cis‐BRとの比は、70重量%以上、好ましくは80/20〜30/70、更に好ましくは70/30〜40/60である。更に、天然ゴムと高cis‐BRとの組合わせの量は、70重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは85重量%以上である。
【0035】
更に、以下のゴムは表面変性充填剤の援助により自動車タイヤの製造に特に興味深い。これらのゴムは、ガラス転移温度が−50℃を超える、天然ゴム、エマルジョンSBR及び溶液SBR(これらのゴムはシリルエーテル又はその他の官能基により任意に変性できる)で、例えばEP−A−447,066に記載されるもの、1,4−cis含有量の多い(>90%)ポリブタジエンゴム(Ni、Co、Ti又はNd基触媒で作られる)及びビニル含有量が0〜75%のポリブタジエンゴム、並びにそれらのブレンドである。好ましい一実施態様では、本発明のコンパウンドは、HXNBR及びSBRを含有する。このコンパウンド中の好ましいSBR含有量は、50〜99phrの範囲である。
【0036】
本発明の加硫性ゴムコンパウンドは、ゴム用助剤製品、例えば反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、泡立て(foaming)剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着剤、発泡(blowing)剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、抑制剤(inhibitor)、金属酸化物、及びトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオールのような活性化剤等を含有できる。以上はゴム工業に公知である。これらのゴム助剤は、特に意図する用途に応じて、従来の量で使用される。従来量は、例えば0.1〜50phrである。前記溶液ブレンドを含む加硫性コンパウンドは、助剤製品として、1種以上の有機脂肪酸、好ましくは分子中に1個又は2個以上の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸、更に好ましくは分子中に1個以上の共役炭素−炭素二重結合を有する共役ジエン酸を10重量%以上含む不飽和脂肪酸を0.1〜20phrの範囲で含有する。これら脂肪酸の炭素原子数は、好ましくは8〜22、更に好ましくは12〜18である。具体例としてはステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びそれらのカルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム及びアンモニウム塩が挙げられる。更に、エラストマー100部当たりプロセス油が40部以下、好ましくは5〜20部存在してよい。
【0037】
本発明のコンパウンドには、1種以上のシラザン化合物を添加すると有利かも知れない。これらのシラザン化合物は、1つ以上のシラザン基を持つことができ、例えばジシラザンであってよい。有機シラザン化合物が好ましい。具体例としては、限定されるものではないが、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン及び1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。
【0038】
本発明のコンパウンドには、更にヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤のような物性を向上する添加剤を添加すると有利であるかも知れない。ヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤の具体例としては、蛋白質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。好ましいヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤は、第一アルコール基とアミン基とを、分岐してもよいメチレン橋で分離、含有しなければならない。このような化合物は一般式HO-A-NH2(但し、Aは直鎖又は分岐鎖であってよいC〜C20のアルキレン基を表わす)で表わされる。
【0039】
更に好ましくは、これら2つの官能基間のメチレン基の数は、1〜4の範囲でなければならない。好ましい添加剤の具体例としては、モノエタノールアミン及びN,N−ジメチルアミノアルコールがある。
【0040】
本発明のコンパウンドには、物性を向上するシリカ改質性シランを添加すると有利かも知れない。この種の化合物は、反応性シリルエーテル官能価(シリカ表面と反応させるため)及びゴム特異的官能基を有する。これら改質剤の具体例としては、限定されるものではないが、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルファン(sulfane)、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、チオ酢酸S−トリメトキシシリル−メチルエステル、チオ酢酸S−トリエトキシシリル−メチルエステル、チオ酢酸S−(2−トリメトキシシリル−エチル)エステル、チオ酢酸S−(2−トリエトキシシリル−エチル)エステル、チオ酢酸S−(3−トリメトキシシリル−プロピル)エステル、チオ酢酸S−(3−トリエトキシシリル−プロピル)エステル、チオプロピオン酸S−トリメトキシシリル−メチルエステル、チオプロピオン酸S−トリエトキシシリル−メチルエステル、チオプロピオン酸S−(2−トリメトキシシリル−エチル)エステル、チオプロピオン酸S−(2−トリエトキシシリル−エチル)エステル、チオプロピオン酸S−(3−トリメトキシシリル−プロピル)エステル、チオプロピオン酸S−(3−トリエトキシシリル−プロピル)エステル、チオ酪酸S−トリメトキシシリル−メチルエステル、チオ酪酸S−トリエトキシシリル−メチルエステル、
チオ酪酸S−(2−トリメトキシシリル−エチル)エステル、チオ酪酸S−(2−トリエトキシシリル−エチル)エステル、チオ酪酸S−(3−トリメトキシシリル−プロピル)エステル、チオ酪酸S−(3−トリエトキシシリル−プロピル)エステル、ペンタンチオン酸S−トリメトキシシリル−メチルエステル、
ペンタンチオン酸S−トリエトキシシリル−メチルエステル、ペンタンチオン酸S−(2−トリメトキシシリル−エチル)エステル、ペンタンチオン酸S−(2−トリエトキシシリル−エチル)エステル、ペンタンチオン酸S−(3−トリメトキシシリル−プロピル)エステル及びペンタンチオン酸S−(3−トリエトキシシリル−プロピル)エステルが挙げられる。ペンタンチオン酸S−(3−トリメトキシシリル−プロピル)エステル及びペンタンチオン酸S−(3−トリエトキシシリル−プロピル)エステルが好ましい。
【0041】
シラザン化合物の量は、エラストマー100部当たり、好ましくは0.5〜10部、好ましくは1〜6部、更に好ましくは2〜5部の範囲である。シラザン化合物と共同で使用されるヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤の量は、エラストマー100部当たり、通常、0.5〜10部、好ましくは1〜3部の範囲である。シリカ改質性シランの量は、エラストマー100部当たり、好ましくは0.5〜15部、好ましくは1〜10部、更に好ましくは2〜8部の範囲である。シリカ改質性シランは、単独でも、或いはシラザン化合物と組合わせても、或いはヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤と組合わせても、或いはシラザン化合物及びヒドロキシル−及びアミン−含有添加剤と組合わせても使用できる。
【0042】
前記ゴムコンパウンドを含む最終加硫性ゴムコンパウンドの成分は共に、好適には25〜200℃の範囲が可能な高温で、混合することが多い。普通、混合時間は1時間を超えず、通常、2〜30分の範囲の時間で十分である。混合は、好適にはBanburyミキサーのような密閉式ミキサー又はHaake又はBrabenderミニチュア密閉式ミキサーで行われる。2本ロールミルミキサーもエラストマー中に添加剤の良好な分散が得られる。押出機も良好に混合でき、混合時間も短くできる。混合は2段階以上で行うことが可能で、異なる装置、例えば1つの段階を密閉式ミキサーで行い、また1つの段階を押出機で行なうことができる。しかし、混合段階中、不要の前架橋(=スコーチ)が起こらないように注意すべきである。配合及び加硫については、Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下(配合)及びVol.17,p666以下(加硫)も参照。
【0043】
少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の充填剤と、少なくとも1種の加硫剤とを含むタイヤトレッドに好適なコンパウンドにHXNBRを添加し、このコンパウンドを加硫すると、該タイヤトレッドの転がり抵抗を低下させながら、湿潤牽引力及び耐磨耗性を改良する。
【0044】
修正歪条件での動的機械性能の測定値は、タイヤトレッドの湿潤牽引力及び転がり抵抗の両挙動に相関することが判っている。特に、60℃でのtanδ測定値がタイヤの転がり抵抗の測定に日常的に使われているが、0℃でのtanδの測定値は湿潤把持力特性を予測する。転がり抵抗は、同じ温度での損失弾性率G”の測定によっても評価できる。トレッドコンパウンドの磨耗特性は、実験室で、いずれも摩擦型磨耗を示すDIN又はテーバー型磨耗試験を用いて予測される。ピコ(pico)磨耗も耐磨耗性を低減(cut)する尺度として普通に使われている。
【0045】
トレッドについて特に強調したが、本発明は、あらゆる種類のタイヤ部品及びその他の造形品、例えばシール、O−リング、ホース、ベアリングパッド、ステーター、坑口シール、弁板、ケーブル被覆、ホイールローラー、パイプシール、適所の(in place)ガスケット又は履物部品及び振動の制動を意図した造形品に有用であると考えられる。
以下の実施例は本発明を例示するものである。
【実施例】
【0046】
実施例
実験の詳細
硬化流動度測定
振動周波数1.7Hz、170℃での弧度(arc)1°で合計運転時間30分間用いる可動ダイ流動計で加硫を行った。テスト法はASTM D−5289による。
【0047】
コンパウンドのムーニー粘度及び前架橋
これらのテストには、ASTM法D−1646に従って大型ローターを用いた。コンパウンドのムーニー粘度は、サンプルを100℃で1分間、予備加熱し、次いで、2rpmで回転する粘度計円板で生じる剪断作用を4分間かけた後、トルク(ムーニー粘度単位)を測定して求めた。最低トルク値から5ムーニー単位(t05)の上昇までの時間とみなすムーニー前架橋の測定は、125℃及び135℃で行った。
【0048】
未硬化強度
未加硫ゴム成形サンプルからダイC切断ダンベルサンプルを切断し、次いで引張り試験機により室温で引張る。ダンベルサンプルの伸びから、得られる強度及び伸び率を測定する。
【0049】
硬度及び応力歪特性
硬度測定用のASTM D−2240要件に従って、A2型ジュロメーターを用いた。この応力歪データは、ASTM D−412法Aの要件に従って、23℃で得られた。2mm厚の引張りシートから切断したダイCダンベルを用いた。
【0050】
DIN磨耗
耐磨耗性は、DIN 53 516に従って測定する。ゴム試験片を規定磨耗力のエメリーペーパーで擦って体積減量を測定し報告する。
【0051】
GABO Explexor
GABO Explexor試験機により動的特性を測定した。試験片に特定周波数で小さな正弦変形を与え、また温度は変化させる。得られた応力、及び加えた変形と応答間の相の差を測定し記録する。
【0052】
使用原料
・BAYER(登録商標)BROMOBUTYL(商標)2030(Bayer Inc.から入手)
・TAKTENE(商標)203-G1(Bayer Inc.から入手)
・ヘキサメチルジシラザン(Aldrichから入手)
・THERBAN(登録商標)XT(商標)VPKA 8889(Bayer Inc.から入手)
・HI-SIL 233(PPG Industriesから入手)
・ジメチルエタノールアミン(Aldrichから入手)
・カーボンブラック、N 234 VULCAN 7(Cabot Industriesから入手)
・ステアリン酸EMERSOL 132 NF(Acme Hardesty Coから入手)
・CALSOL 8240(R.E.Carol Inc.から入手)
・Sunolite 160 Prills(Witco Corp.から入手)
・VULKANOX(商標)4020 LG (6PPD)(Bayer Inc.から入手)
・VULKANOX(商標)HS/LG(Bayer Inc.から入手)
・硫黄(NISTから入手)
・VULKACIT(商標)NZ/EG-C (CBS)(Bayer Inc.から入手)
・酸化亜鉛(St.Lawrence Chemical Co.から入手)
【0053】
一般的配合方法
30℃にセットしたMokon付き1.6リットルBanbury密閉型接線ミキサー(BR−82)中、77RPMのローター速度でゴムを混合した。出発温度は30℃、ラム圧は30psiである。BB 2030及びTaktene 1203を加え、0.5分間混合した。次いでヘキサメチルジシラザン、HiSil(登録商標)及びジメチルエタノールアミンを加え、1.5分間混合した。カーボンブラック、ステアリン酸及び(存在すれば)Therban XTを加え、1分間混合した。次いで、全ての乾燥成分をコンパウンドに完全に取込むため、材料をラム及び低いトレーで押し流して密閉式ミキサーに入れた。この混合法の開始3.5分後、コンパウンドにCalsol、Sunolite、Vulkanox 4020 LG及びHS/LGを加え、更に2.5分間混合した。冷却したサンプルに、30℃にセットしたMokon付き10インチ×20インチミルでVulkacit NZ硫黄及び酸化亜鉛を加えた。これらの硬化剤をマスターバッチに均質化してから、コンパウンドの6端状通過(end−wise pass)を最小化するため、3/4切断を幾つか行った。
【0054】
例1〜4
第1表に示す成分phr(ゴム100部当たり重量部)を用い、一般的混合法で4種のゴムコンパウンドを製造した。例1は比較例である。
【0055】
【表1】

【0056】
次に、コンパウンドの特性に対する各種水準のHXNBRの影響を応力−歪測定及びDIN摩擦測定を用いて調べた。このテスト結果を第2表に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
応力−歪プロットの傾斜は、低水準のHXNBRの添加により、ほんの僅か増大した。例えばHXNBRを2phr添加すると(例2)、M300/M100は3.1から3.3に増大した。
HXNBRの強化効果は、DIN磨耗データにより最も大きく示される。第2表から判るように、HXNBR 2phr又は5phrをベースとするコンパウンド(例2、3)についてのDIN磨耗体積減量は、対照コンパウンド(例1)の場合よりも著しく低い。更にHXNBR含有量を増やすのに従って、コンパウンドの硬度が増大する。
【0060】
応力−歪データもDIN磨耗体積減量もBIIR含有トレッド配合物に低水準のHXNBRを添加すると、得られるコンパウンドの物理的強化性が向上することを示している。強化量が5phr未満ではこのトレッド配合物に存在するHXNBR水準と釣り合うと思われる。
硬度も強化性もこれらコンパウンドについては著しく向上するが、未硬化コンパウンドのムーニー粘度及びムーニー緩和は比較的定常のままであった。
【0061】
以上に示したデータから、BIIR含有トレッドコンパウンドに低水準のHXNBRを取込むと、最終コンパウンドの硬度及び強度が改良できることは明らかである。これは、一般に硬度及び強度の低下を受けるBIIR含有トレッドコンパウンドには特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムとを含むゴム組成物。
【請求項2】
前記組成物が、更に少なくとも1種の充填剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記組成物が、更に少なくとも1種の加硫剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記組成物が、更に天然ゴム、BR、ABR、CR、IR、SBR、NBR、HNBR、EPDM、FKM及びそれらの混合物よりなる群から選ばれたゴムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記充填剤が、カーボンブラック、無機充填剤及びそれらの混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム組成物が、少なくとも1種のハロゲン化ブチルゴムを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むタイヤトレッド。
【請求項8】
少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の充填剤と、少なくとも1種の加硫剤とを含むタイヤトレッドコンパウンドに少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムを添加し、該コンパウンドを加硫することを特徴とするタイヤトレッドの湿潤牽引力を改良する方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物を含む造形品。
【請求項10】
少なくとも1種の任意にハロゲン化されたブチルゴムと、少なくとも1種の水素化カルボキシル化ニトリルゴムと、任意に少なくとも1種の充填剤及び/又は少なくとも1種の加硫剤とを混合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。


【公表番号】特表2007−514022(P2007−514022A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543333(P2006−543333)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/CA2004/002104
【国際公開番号】WO2005/056664
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506183100)ランクセス・インク. (13)
【Fターム(参考)】