説明

タイヤ交換判定システム、コンピュータプログラム、及び、タイヤ交換判定方法

【課題】従来のようなユーザーによる煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止する。
【解決手段】車両3のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システムである。車両3に備えられたタイヤTの回転数と当該車両3の走行距離との関係についての情報を求める取得部21と、前記回転数と前記走行距離との前記関係の変化度を求めると共に、当該変化度が所定の閾値αを超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する判定部22とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システム、コンピュータプログラム、及び、タイヤ交換判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両が備えているゴム製タイヤの交換時期は、タイヤの溝の寸法を測定して判断したり、前回のタイヤ交換の時期から判断したり、前回のタイヤ交換以降の走行距離から判断したりしている。
そして、近年では、車載用ナビゲーションシステムが導入されている車両も多く、このようなシステムの車載装置が車両に搭載されている場合、タイヤ交換した日の情報を、ユーザー(ドライバ)が車載装置に手入力し、この情報を基準として次回のタイヤ交換のタイミングを、例えばその後の走行距離に基づいて車載装置が判断し、ユーザーに報知する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、タイヤの交換時期を入力させる入力部を備えた車載用ナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−175581号公報(請求項10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザー(ドライバ)が、タイヤ交換した日の情報を車載装置に入力する方法として、例えば、タッチパネルによるヒューマンインタフェースを備えた車載装置の場合、ユーザーは、当該タッチパネルを操作して情報を入力する方法がある。すなわち、タッチパネルにおいて、ナビゲーションシステムの道路案内を示す通常画面から、メンテナンス情報を設定するための設定画面へと表示を変更し、当該設定画面において、タイヤ交換の情報(日付の情報)を入力する。
しかし、この操作は煩雑であることが多く、ユーザーにとって負担となる場合があり、また、タイヤ交換を実際に行っても、その情報の入力を忘れることがある。
【0005】
そこで、本発明は、従来のようなユーザーによる煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止することができるタイヤ交換判定システム、コンピュータプログラム、及び、タイヤ交換判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システムであって、車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係についての情報を求める取得部と、前記回転数と前記走行距離との前記関係の変化度を求めると共に、当該変化度が所定の閾値を超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する判定部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
新しいタイヤは、古いタイヤよりも路面に対するスリップが少ないことが知られている。つまり、同じタイヤサイズであっても、新しいタイヤの場合、タイヤ1回転あたりの走行距離が、古いタイヤよりも長くなる。このため、タイヤが交換され新しいタイヤで車両が走行し始めると、タイヤ交換前と比べて、タイヤの回転数と車両の走行距離との関係が変化する。
そこで、本発明では、車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係の変化度を求め、その変化度が所定の閾値を超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定される。これにより、タイヤ交換と、本発明のタイヤ交換判定システムによる処理とを連動させ、タイヤ交換が行われた可能性が自動的に判定されるので、従来のようなユーザーによる煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止することができる。
【0008】
(2)また、本発明は、車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システムであって、車両が記憶しているタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係を用いて、前記タイヤの回転数に基づいて車両位置を推定する推定部と、記憶装置に記憶されている道路地図データに基づいて、前記車両位置を当該道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正するマップマッチングを行うマップマッチング処理部と、前記マップマッチングでの修正のレベルを求める修正レベル取得部と、前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数未満である場合に、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われた可能性があると判定する判定部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
新しいタイヤは、古いタイヤよりも路面に対するスリップが少ないことが知られている。つまり、同じタイヤサイズであっても、新しいタイヤの場合、タイヤ1回転あたりの走行距離が、古いタイヤよりも長くなる。このため、タイヤが交換され新しいタイヤで車両が走行し始めると、タイヤ交換前と比べて、タイヤの回転数と車両の走行距離との関係(例えば、タイヤ1回転あたりの走行距離)が変化する。この関係に基づいて推定した車両位置を、ナビゲーションシステムの技術におけるマップマッチングによって修正する場合、タイヤ交換後の車両では、その修正のレベルは、タイヤ交換していない車両と比べて大きくなることが予想される。
【0010】
そこで、本発明によれば、同じ道路における複数の車両について、車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係に基づいて推定した車両位置を、マップマッチングによって修正した場合に、修正のレベルが規定の閾値以上であり、この閾値以上であると判定した車両数が、全ての車両ではなく、所定数未満である場合に、判定部は、前記閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われた可能性があると判定する。すなわち、これら車両では、何らかの原因により修正のレベルが規定の閾値以上となっており、その原因としてタイヤ交換である判定している。
このように、タイヤ交換と、本発明のタイヤ交換判定システムによる処理とを連動させ、タイヤ交換が行われた可能性が自動的に判定されるので、従来のようなユーザーによる煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止することができる。
【0011】
(3)また、前記(2)の場合とは反対に、前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが前記閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合は、前記判定部は、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われていないと判定する。
この場合、同じ道路における複数の車両について、車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係に基づいて推定した車両位置を、マップマッチングによって修正した場合に、修正のレベルが規定の閾値以上であり、この閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合に、判定部は、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われていないと判定する。これは、前記所定数以上となる多くの車両でタイヤ交換が同時期に行われたとは考えにくいので、その原因は、タイヤ交換ではなく、その他に原因があると考えられるためである。
【0012】
(4)また、前記(2)の場合とは反対に、前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが前記閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合に、前記道路地図データを修正するための処理を行う修正処理部を、更に備えているのが好ましい。
この場合、同じ道路における複数の車両について、車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係に基づいて推定した車両位置を、マップマッチングによって修正した場合に、修正のレベルが規定の閾値以上であり、この閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合、前記所定数以上となる多くの車両でタイヤ交換が同時期に行われたとは考えにくく、その原因はタイヤ交換ではなくその他に原因があると考えられる。そこで、この原因として、道路地図データが誤っている場合があり、前記処理修正部によれば、この道路地図データを修正するための処理が行われる。
【0013】
(5)また、前記(1)から(4)のいずれかのタイヤ交換判定システムにおいて、ユーザーに各種の情報を表示して通知するディスプレイと、前記判定部によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、当該判定結果についての情報、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を前記ディスプレイに表示すると共に、前記択一的な情報をユーザーに入力させる入力部とを備えているのが好ましい。
前記判定部によって、タイヤ交換が行われた可能性があると判定された場合であっても、それが誤判定であった場合、判定結果についての情報、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報をディスプレイに表示すると共に、前記択一的な情報をユーザーに入力させることで、誤判定のまま処理が進むのを防ぐことができる。また、ユーザーが入力する情報は、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報(例えば「はい」または「いいえ」についての入力)であるため、ユーザーに操作の負担を与えない。
【0014】
なお、前記「判定結果についての情報」と前記「実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報」とは、いずれも表示されるが同時でなくてよい。つまり、判定結果についての情報として、タイヤ交換されたかもしれないことを意味する表示がディスプレイに表示され(例えば画面上にタイヤ等の図柄のアイコンを表示する等)、その後、ディスプレイに択一的な情報として、例えば「はい」及び「いいえ」とを表示してもよい。この場合、前記タイヤ交換がされたかもしれないことを意味する表示の後、数秒後に自動的に前記択一的な情報を表示する方法でも良いし、前記タイヤ交換がされたかもしれないことを意味する表示の後、ユーザーが何らかの操作をした後に(例えば前記タイヤ等の図柄のアイコンにタッチする等した後に)前記択一的な情報を表示する方法でも良い。
【0015】
(6)また、本発明のコンピュータプログラムは、前記(1)に記載のタイヤ交換判定システムを構成する機能部(取得部及び判定部)の各機能を実行させるためのものであり、当該タイヤ交換判定システムと同様の作用効果を奏する。
(7)また、本発明の別のコンピュータプログラムは、前記(2)に記載の前記タイヤ交換判定システムを構成する機能部(推定部、マップマッチング処理部及び判定部)の各機能を実行させるためのものであり、当該タイヤ交換判定システムと同様の作用効果を奏する。なお、このコンピュータプログラムに含まれている各ステップは、複数のコンピュータによって実行されていてもよい。
【0016】
(8)また、本発明のタイヤ交換判定方法は、前記(1)に記載のタイヤ交換判定システムが実行する方法であり、当該タイヤ交換判定システムと同様の作用効果を奏する。
(9)また、本発明の別のタイヤ交換判定方法は、前記(2)に記載のタイヤ交換判定システムが実行する方法であり、当該タイヤ交換判定システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タイヤ交換と、本発明のタイヤ交換判定システムによる処理とを連動させ、タイヤ交換が行われた可能性が自動的に判定されるので、従来のようなユーザーによる煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】タイヤ交換判定システムを備えている車両を示す全体構成図である。
【図2】タイヤ1回転あたりの走行距離の変化を示す説明図である。
【図3】タイヤ交換判定方法(第1実施形態)を説明するフロー図である。
【図4】入力部の機能を説明するためのディスプレイの表示の説明図である。
【図5】タイヤ交換判定システムを有するプローブ情報システムを示す全体構成図である。
【図6】ある道路の交差点を右折するプローブ車両について、マップマッチングを実行した場合の説明図である。
【図7】タイヤ交換判定方法(第2実施形態)を説明するフロー図である。
【図8】タイヤ交換判定方法(第2実施形態)を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成(第1実施形態)〕
図1は、タイヤ交換判定システムを備えている車両3を示す全体構成図である。車両3は、ドライバの搭乗席(図示せず)を有する車体10を備え、この車体10に、エンジン及びブレーキ装置等が搭載されている他に、車載装置4及び車両3の各部を制御する電子制御装置(ECU)11が搭載されている。
ECU11は、ドライバのアクセル操作に基づくエンジンの駆動制御や、ブレーキ操作に基づく制動制御等の各種の制御を行う。
【0020】
車載装置4は、タイヤ交換判定システムによるタイヤ交換判定方法を実行する機能を備えており、この判定システムによれば、車両3のタイヤ(ゴム製タイヤ)Tの交換が行われた可能性があることを自動的に判定することができ、さらに、この判定がされると、車載装置4は、タイヤ交換された日の日付情報を自動的に生成し、この日付情報を、次回のタイヤ交換のタイミングを決定するために用いることができる。このために、車載装置4は、各種情報を処理する車載コンピュータ17を備えている。
【0021】
車載コンピュータ17は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなコンピュータ等よりなる。本実施形態では、車載装置4は、インターネット等のネットワーク5に無線で通信可能な通信インタフェースである通信装置16を更に備えている。前記車載コンピュータ17が処理した各種情報を、通信装置16から送信したり、この通信装置16が受信した各種情報を、車載コンピュータ17が処理したりすることができる。
【0022】
車載装置4は、ドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ19及びスピーカ装置20を備えており、さらに、車載装置4には、車載計測器として、GPSやDGPS等よりなる位置検出部15、時刻修正機能を有する電波時計等よりなる時計装置18、タイヤTの回転数を検出する回転数センサ13、及び、車速センサよりなる速度検出器14が接続されている。ディスプレイ19は、ドライバ(ユーザー)に各種の情報を表示して通知することができる。
【0023】
車両3の現在の走行位置(車両位置)についての位置情報は位置検出部15によって取得され、車両時刻についての時刻情報は時計装置18によって取得され、車両速度についての速度情報は速度検出器14によって取得される。
タイヤTの回転数についての回転数情報は、回転数センサ13によって取得されるが、タイヤTを取り付けている軸受装置の回転輪(図示せず)の回転数を回転数センサ13によって検出することにより、タイヤTの回転数を取得すればよい。または、タイヤTを回転させる車軸(図示せず)の回転数に基づいて、タイヤTの回転数を取得してもよい。
【0024】
これら車両の走行についての各走行情報(位置情報、回転数情報、速度情報、時刻情報)は、所定の時間ごと又は所定の走行距離ごとに取得され、車載コンピュータ17に送信される。
各情報を受けた車載コンピュータ17(後述する取得部21)は、回転数情報、速度情報、位置情報それぞれを、時刻情報と対応付けて取得する。つまり、車載コンピュータ17は、ある時刻における、タイヤTの回転数、車両速度及び車両位置を求めることができる。
【0025】
車載装置4(車載コンピュータ17)は、これらの情報及び自身の車両IDを含むプローブ情報D1を生成し、前記通信装置16によってネットワーク5に送信することができる。プローブ情報D1は、実際に道路を走行する車両3において得られる車両に関する情報である。
【0026】
〔タイヤ交換判定システムについて〕
タイヤ交換判定システムが、車両3のタイヤTの交換が行われた可能性があることを判定する処理を実行するために、当該判定システムは、コンピュータプログラムが実行する機能実現手段(機能部)として、取得部21及び判定部22を有しており、さらに、本実施形態では、入力部23を更に有している。本実施形態では、車載装置4が、当該車載装置4(車載コンピュータ17)のコンピュータプログラムによって実行される機能実現手段として、前記取得部21、前記判定部22及び前記入力部23を有している。
【0027】
車載コンピュータ17によって、タイヤ交換判定システムによる判定方法を行うためには、その判定のためのコンピュータプログラムを、車載コンピュータ17にインストールすればよい。コンピュータプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に格納されており、譲渡等することができる。また、このプログラムの譲渡は、ネットワーク経由でダウンロード可能に格納されたサーバから、ダウンロードされることで行われてもよい。前記の各機能実現手段(機能部)よって実行される処理について、以下、説明する。
【0028】
前記取得部21は、車両3に備えられたタイヤTの回転数と当該車両3の走行距離との関係についての情報を求める。すなわち、異なる時刻において、前記位置検出部15が車両位置を検出し、この時刻間(時間)に、回転数センサ13がタイヤTの回転数を検出している。そして、これら車両位置についての位置情報と、タイヤTの回転数についての回転数情報とを、取得部21が取得すると、取得部21は、前記位置情報に基づいて、異なる時刻間における車両3の走行距離を演算によって求め、さらに、この車両3の走行距離とタイヤTの回転数との関係として、車両3における、タイヤ1回転あたりの走行距離を演算によって求める。この関係は、車両3を走行させた日ごとに、少なくとも一回は求められる。
【0029】
なお、車両3の走行距離は、速度検出器14によって検出された車両の速度と、時計装置18によってカウントされている時刻とによって、取得部21が演算により求めてもよい。また、タイヤ1回転あたりの走行距離は、後に説明する第2実施形態による方法で求めてもよい。
【0030】
前記判定部22は、車両3の走行距離と当該車両3に備えられたタイヤTの回転数との前記関係として、取得部21が求めた、タイヤ1回転あたりの走行距離についての「変化度」を求める。この変化度は、タイヤ1回転あたりの走行距離についての、時間経過による変化の割合である。例えば、ある日に、タイヤ1回転あたりの走行距離が求められ、その後の別の日にも、タイヤ1回転あたりの走行距離が求められ、その走行距離の差を「変化度」として求める。
【0031】
このような、タイヤ1回転あたりの走行距離について「変化度」が生じる要因の一つとして、タイヤ交換がある。すなわち、新しいタイヤは、古いタイヤよりも路面に対するスリップが少ない。つまり、同じタイヤサイズであっても、新しいタイヤの場合、タイヤ1回転あたりの走行距離が、古いタイヤよりも長くなる。このため、タイヤTが交換され新しいタイヤTで車両3が走行し始めると、タイヤTの回転数と車両3の走行距離との関係、つまり、タイヤ1回転あたりの走行距離が大きく変化するためである。
なお、図2は、タイヤ1回転あたりの走行距離の変化を示す説明図である。縦軸がタイヤ1回転あたりの走行距離を表し、横軸が日である。図2の点Aの日に、タイヤ交換が行われている。
【0032】
そして、前記判定部22は、前記「変化度」と、予め判定部22に設定されている閾値とを比較し、当該「変化度」が閾値を超えている場合、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する。すなわち、図2に示しているように、タイヤTは走行にともなって(時間経過と共に)摩耗して古くなり、タイヤ1回転あたりの走行距離は徐々に短くなるが、ある時点(図2の点A)において、タイヤTが新品に交換されると、交換後のタイヤ1回転あたりの走行距離は、交換前と比べて急激に増加する。この急激な増加の度合いが、前記閾値を超えていることにより、判定部22は、タイヤTが交換されたと判定することが可能となる。
【0033】
これに対して、判定部22は、前記「変化度」と、前記閾値とを比較し、当該「変化度」が閾値以下である場合、タイヤ交換は行われていないと判定する。すなわち、図2に示しているように、タイヤTは走行にともなって摩耗して古くなり、タイヤ1回転あたりの走行距離は時間経過と共に徐々に短くなるが、このような徐々に変化するタイヤ1回転あたりの走行距離は前記閾値以下であり、判定部22は、タイヤ交換が行われていないと判定することができる。
【0034】
前記入力部23は、判定部21によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、その判定結果についての情報(判定情報)を取得し、判定結果についての情報、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を前記ディスプレイ19に表示すると共に、前記択一的な情報をユーザーによって前記ディスプレイ19に入力させる機能を有している。
前記ディスプレイ19(図1参照)は、タッチパネルによるヒューマンインタフェースデバイスとしての機能を有しており、判定部21によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、入力部23は、図4に示しているように、このディスプレイ19に、判定結果、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を入力させるための表示を行う。例えばディスプレイ19に、判定結果として「タイヤ交換が実際に行われましたか?」の表示と、択一的な情報として「はい」及び「いいえ」とを同時に表示し、ユーザーは「はい」及び「いいえ」のいずれかをディスプレイ19上で選択することができる。
または、判定結果として、タイヤ交換されたかもしれないことを意味する表示がディスプレイ19に表示され(例えば画面上にタイヤ等の図柄のアイコンを表示する等)、その後、ディスプレイ19に択一的な情報として「はい」及び「いいえ」とを表示してもよい。この場合、前記タイヤ交換がされたかもしれないことを意味する表示の後、数秒後に自動的に前記択一的な情報を表示する方法でも良いし、前記タイヤ交換がされたかもしれないことを意味する表示の後、ユーザーが何らかの操作をした後に(例えば前記タイヤ等の図柄のアイコンにタッチする等した後に)前記択一的な情報を表示する方法でも良い。
【0035】
この入力部23による処理は、タイヤ交換が行われた可能性があると判定部22によって判定された場合であっても、それが誤判定であった場合、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての情報を、ユーザーに確認的に入力させることで、誤判定のまま処理が進むのを防ぐためである。
【0036】
〔タイヤ交換判定システムによる判定方法について〕
図3は、上記の第1実施形態に係るタイヤ交換判定システムによって実行されるタイヤ交換判定方法を説明するフロー図である。
車両3が走行することにより、当該車両3に搭載されている回転数センサ13、位置検出部15及び時計装置18等の車載計測器は、それぞれ車両の走行についての走行情報を取得する(ステップS1)。車両3の走行位置(車両位置)を位置検出部15が刻々と検出し、その間、回転数センサ13がタイヤTの回転数を検出する。タイヤTの回転数についての情報及び車両位置についての位置情報は、対応する時刻情報と共に、車載コンピュータ17の取得部21に送信される(ステップS2)。
【0037】
この取得部21は、前記位置情報に基づいて異なる時刻間における車両3の走行距離を演算によって求め、この時刻間におけるタイヤTの回転数を対応付け、当該車両3の走行距離とタイヤTの回転数との関係として、タイヤ1回転あたりの走行距離を演算によって求める(ステップS3)。そして、このタイヤ1回転あたりの走行距離についての参照情報を、車載コンピュータ17の記憶装置に記憶させる(ステップS4)。この参照情報は、車両3を走行させるごとに取得され、走行日毎に少なくとも一回は記憶される。この参照情報が蓄積されたデータを、図2のグラフ(点Aまで)のように表すことができる。
【0038】
車載コンピュータ17の判定部22は、蓄積されている前記参照情報に基づいて、タイヤ1回転あたりの走行距離の「変化度」を求めると共に(ステップS5)、この「変化度」と、記憶装置が記憶している所定の閾値αとを比較する(ステップS6)。「変化度」が所定の閾値αを超えている場合(ステップS6でYesの場合)、判定部22は、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する(ステップS7)。
【0039】
判定部21によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、車載コンピュータ17の入力部23は、ディスプレイ19に、判定結果についての情報の表示と、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を入力させるための表示を行う(ステップS8)。すなわち、図4で説明したように、ディスプレイ19に「タイヤ交換が実際に行われましたか?」と「はい」及び「いいえ」とを表示し、入力部23はユーザーの選択操作を待つ待機状態となり、ユーザーは、「はい」及び「いいえ」のいずれかをディスプレイ19上で選択する。
【0040】
「はい」が選択された場合(ステップS8でYes)、車載コンピュータ17の判定部22は、判定結果を有効として、当該判定結果についての判定情報を生成し、車載コンピュータ17(入力部23)は、当該判定情報が意図する内容を、ディスプレイ19に再度表示させたり、或いは、その内容の音声出力をスピーカ装置20から発声させたりして、ドライバに報知する(ステップS9)。つまり、タイヤ交換が行われたことを意図する情報が、報知される。なお、ディスプレイ19とスピーカ装置20の双方で、ドライバに報知することにしてもよい。さらに、車載コンピュータ17(判定部22)は、タイヤ交換された日の日付情報を生成し、この日付情報を、前記記憶装置に記憶させ、次回のタイヤ交換のタイミングを決定するために用いる(ステップS10)。
【0041】
ステップS8で「いいえ」が選択された場合(ステップS8でNo)、車載コンピュータ17(判定部2)は、判定結果を無効として、ステップS1へ戻る。
また、ステップS6でNoの場合、つまり、判定部22が、前記変化度と前記閾値αとを比較し、「変化度」が閾値以下である場合、タイヤ交換は行われていないと判定する(ステップS11)。この場合、判定部22は、この判定結果についての判定情報を生成してもよいが、その旨の報知は、ディスプレイ19やスピーカ装置20によって行わない。そして、車載コンピュータ17は、ステップS1へ戻る。
【0042】
上記の第1実施形態に係るタイヤ交換判定システムによれば、上記のとおり、車両3に備えられたタイヤTの回転数と当該車両3の走行距離との関係の変化度が求められ、その変化度が所定の閾値αを超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定される。したがって、例えば車両整備工場の作業員によって行われたタイヤ交換と、車載装置4等による前記処理とが連動し、タイヤ交換が行われた可能性が自動的に判定される。このように、タイヤ交換と、本発明のタイヤ交換判定システムによる処理とが連動し、タイヤ交換が行われた可能性が自動的に判定されるので、従来のようなユーザーによる車載装置への煩雑な入力操作が省略され、また、タイヤ交換を実際にした場合にその情報の入力が忘れられるのを防止することができる。
【0043】
また、前記判定部22によって、タイヤ交換が行われた可能性があると判定された場合であっても、それが誤判定であった場合、前記入力部23によって、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての情報を、ユーザーに入力させることで(図3のステップS8)、誤判定のまま処理が進むのを防ぐことができる。また、ユーザーが入力する情報は、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報(つまり、「はい」又は「いいえ」についての入力)であるため、ユーザーに操作の負担を与えない。
【0044】
〔システムの全体構成(第2実施形態)〕
図5は、タイヤ交換判定システムを有するプローブ情報システム1を示す全体構成図である。第1実施形態は、タイヤ交換判定システムを車両3単独に設けた場合であるが、この第2実施形態では、タイヤ交換判定システムをプローブ情報システム1に組み込み、インフラ(インフラストラクチャー)側の装置であるプローブセンタ2の機能も利用する。
【0045】
プローブ情報システム1は、インフラ(インフラストラクチャー)側の装置であるプローブセンタ2と、道路を走行する多数のプローブ車両53に搭載されている車載装置4とを備えている。
タイヤ交換判定システムは、プローブ車両53のタイヤ(ゴム製タイヤ)Tの交換が行われた可能性があることを自動的に判定することができ、さらに、この判定がされると、車載装置4は、タイヤ交換された日の日付情報を自動的に生成し、この日付情報を、次回のタイヤ交換のタイミングを決定するために用いることができる。このために、プローブセンタ2は、各種情報を処理するセンタコンピュータ7を備えており、また、車載装置4は、各種情報を処理する車載コンピュータ17を備えている。
【0046】
各プローブ車両53の車載装置4は、インターネット等のネットワーク5に無線で通信可能な通信インタフェースである通信装置16と、後述する車載計測器が取得した各種情報及び通信装置16で受信した各種情報を処理する前記車載コンピュータ17とを備えている。車載コンピュータ17は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなコンピュータ等よりなる。
【0047】
車載装置4は、車載ナビゲーションシステムとしての機能を備えている。車載装置4は、プローブ車両53に搭載されているものであればその構造は何ら限定されるものではなく、例えば、プローブ車両53に備え付けであって通信機能を有している専用の車載端末装置であってもよいし、通信装置16が携帯電話機であってこの携帯電話機を車載コンピュータ17に接続して構成したものであってもよい。
【0048】
そして、各プローブ車両53の車載装置4(車載コンピュータ17)は、所定の時間ごと、又は、所定の走行距離ごとにプローブ情報D1を生成し、自身の車両IDをそのプローブ情報D1に含めてネットワーク5に送信する。
プローブ情報D1は、実際に道路を走行するプローブ車両53において得られる車両に関する情報のことをいい、車両ID、車両位置、車両時刻及び車両速度等がこれに含まれる。
【0049】
車載装置4は、ドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ19及びスピーカ装置20を備えており、さらに、車載装置4には、車載計測器として、時刻修正機能を有する電波時計等よりなる時計装置18、及び、距離検出部13が接続されている。車両時刻についての時刻情報は時計装置18によって取得される。ディスプレイ19は、ドライバ(ユーザー)にナビゲーション情報を含む各種の情報を表示して通知することができる。
【0050】
前記距離検出部13は、例えば、車両の進行方位を測定するジャイロ等の方位センサと、車両の走行距離を測定するための距離センサとを備えており、これらセンサによる計測値(車両の進行方位と車両の走行距離)に基づいて、車載コンピュータ17が、現時点での車両の走行位置(車両位置)を自立的に推定(算出)することができ、これをナビゲーション機能、及び、後述するタイヤ交換判定の機能に活用することができる。
【0051】
プローブ車両53の前記車両位置についての位置情報は、車両時刻についての時刻情報と対応付けられ、これら情報が車載コンピュータ17によってプローブ情報D1に含められ、通信装置16からネットワーク5を介して、プローブセンタ2側へ送信される。
なお、プローブ車両53は、GPSやDGPS等よりなる位置検出部(図示せず)を更に備えていてもよいが、後に説明するタイヤ交換の判定のために用いられる位置情報は、距離検出部13の検出結果に基づくものである。
【0052】
インフラ装置側であるプローブセンタ2は、前記ネットワーク5に接続された通信インタフェースである通信装置6と、この通信装置6で受信した各種情報を処理するセンタコンピュータ7とを備えている。センタコンピュータ7は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなサーバコンピュータ等よりなる。
プローブセンタ2は、ネットワーク5の通信範囲に存在する複数のプローブ車両53それぞれの車載装置4との間で双方向通信が可能である。
【0053】
センタコンピュータ7は、ネットワーク5から通信装置6が受信した前記各プローブ車両53のプローブ情報D1を取得及び収集することができる。そして、センタコンピュータ7は、車両IDごとに収集したプローブ情報D1に基づいて、例えば、渋滞状況及びリンク旅行時間等よりなる交通情報D2を生成することができる。
【0054】
また、センタコンピュータ7は、車両IDごとに収集したプローブ情報D1に基づいて、後にも説明するが、プローブ車両53のタイヤTの交換が行われた可能性があることを自動的に判定し、判定情報D3を生成することができる。
前記交通情報D2及び前記判定情報D3は、通信装置6によって、ネットワーク5に送信され、プローブ車両53は、これら情報D2,D3を取得し、車載装置4はこれを活用することができる。特に、車両IDごとに判定情報D3は生成されており、この判定情報D3は当該車両IDに対応するプローブ車両53によって用いられる。
【0055】
〔タイヤ交換判定システムについて〕
タイヤ交換判定システムが、プローブ車両53のタイヤTの交換が行われた可能性があることを判定する処理を実行するために、当該判定システムは、コンピュータプログラムが実行する機能実現手段(機能部)として、推定部31、マップマッチング処理部32、修正レベル取得部37及び判定部33を有している。本実施形態では、プローブセンタ2が、当該プローブセンタ2(センタコンピュータ7)のコンピュータプログラムによって実行される機能実現手段として、マップマッチング処理部32、修正レベル取得部37及び判定部33を有しており、本実施形態では更に修正処理部34を有している。また、車載装置4が、当該車載装置4(車載コンピュータ17)のコンピュータプログラムによって実行される機能実現手段として、前記推定部31を有しており、本実施形態では更に入力部35を有している。
【0056】
このように、センタコンピュータ7と車載コンピュータ17との共同によって、本発明のタイヤ交換判定システムによる判定方法を行うためには、その判定のためのコンピュータプログラムを、センタコンピュータ7及び車載コンピュータ17それぞれにインストールすればよい。コンピュータプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に格納されており、譲渡等することができる。また、このプログラムの譲渡は、ネットワーク経由でダウンロード可能に格納されたサーバから、ダウンロードされることで行われてもよい。前記の各機能実現手段(機能部)よって実行される判定の手順については、後に説明する。
【0057】
〔タイヤ交換判定システムのための車載コンピュータの構成〕
車載コンピュータ17は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムによって実行される機能部として、上記のとおり、推定部31及び入力部35を有している。
【0058】
前記推定部31は、前記車載計測器が計測した各種情報に基づいて、プローブ車両53の現時点での走行位置を示す車両位置を推定する機能を有している。本実施形態では、前記距離検出部13は、走行する車両の車速パルスから走行距離(移動距離)を求める距離センサと、当該車両に備えられているタイヤTの回転数を検出する回転数センサと、演算部とを備えている。これらセンサによる計測値は、車載コンピュータ17の記憶装置に記憶され、これら計測値に基づいて、距離検出部13(前記演算部)は、タイヤTの回転数とプローブ車両53の走行距離との関係として、タイヤ1回転あたりの走行距離を算出することができる。そして、このタイヤ1回転あたりの走行距離に基づいて、走行に伴って刻々と変化する車両の走行位置(車両位置)を、推定部31が推定し続けることができる。
そして、この車両位置についての位置情報がプローブ情報D1に含められ、プローブ車両53(通信装置16)からネットワーク5を介して、プローブセンタ2へ刻々と送信される。
【0059】
なお、タイヤTの交換判定のためにプローブ情報D1に含められる前記位置情報は、プローブ車両53が実際に走行することにより前記距離検出部13によって取得され記憶させた情報に基づくものであり、衛星や基地局からの電波を用いて位置計測するGPSやDGPS等よりなる前記位置検出部(図示せず)に基づく位置情報ではない。つまり、この位置情報を取得するためのセンサなどによる計測値は、プローブ車両53が自立的に取得した情報であり、さらに、この計測値に基づいて取得された位置情報は、プローブ車両53が自立的に取得した情報である。
【0060】
前記入力部35は、後述するプローブセンタ2側の判定部33によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、その判定結果についての情報(判定情報)を取得し、判定結果についての情報、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を前記ディスプレイ19に表示すると共に、前記択一的な情報をユーザーによって前記ディスプレイ19に入力させる機能を有している。なお、この機能は、前記第1実施形態で説明した「入力部23」と同じであり、詳細な説明はここでは省略する。また、ディスプレイ19の構成も、前記第1実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0061】
〔タイヤ交換判定システムのためのセンタコンピュータの構成〕
プローブセンタ2は、前記センタコンピュータ7と、このセンタコンピュータ7の通信インタフェースに接続された前記通信装置6とを備えている。
センタコンピュータ7は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として、前記マップマッチング処理部32、前記修正レベル取得部37、前記判定部33及び前記修正処理部34を有している。さらに、センタコンピュータ7の記憶装置(地図データベース36)には、道路地図データが更新可能として記憶されている。道路地図データは、車両が走行する道路地図がコンピュータデータとして存在しているものである。
【0062】
前記マップマッチング処理部32は、マップマッチングを行う機能を有している。マップマッチングは、前記推定部31によって推定された車両位置を、前記道路地図データに基づいて、当該道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正する処理である。なお、マップマッチングの手法は、ナビゲーションシステムの技術において従来知られている手段によって実行することができる。
前記車両位置についての情報は、プローブ車両53側から送信されたプローブ情報D1に含まれていたものである。このプローブ情報D1には、プローブ車両53の車両IDも含まれていることから、推定部31では、車両ID(プローブ車両53)ごとにプローブ情報D1(位置情報)を認識することができ、車両ID(プローブ車両53)ごとにマップマッチングを行うことができる。
【0063】
前記修正レベル取得部37は、推定部31によって推定された車両位置を、道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正するマップマッチングでの「修正のレベル」を求めている。この「修正のレベル」を求める処理は、マップマッチングの処理ごとに実行される。この「修正のレベル」とは、プローブ車両53から取得した位置情報が示す車両位置と、プローブセンタ2側で設定されている道路地図データの道路位置との差であり、例えば10m等といった距離として求められる。なお、マップマッチングは、この距離を解消する処理である。
さらに、この「修正のレベル」についての情報は、車両IDごとに、及び、後にも説明する「対象道路」ごとに、センタコンピュータ7の記憶装置に記憶されており、既に実行されたマップマッチングによる「修正のレベル」が多数蓄積されている。
【0064】
「修正のレベル」について具体的に説明する。図6は、ある道路の交差点を右折するプローブ車両53について、マップマッチングを実行した場合の説明図である。図6中の○は、推定された車両位置を示し、●はマップマッチング後の車両位置を示している。図6(a)は、タイヤ交換がされていないプローブ車両53であり、図6(b)は、タイヤ交換がされたプローブ車両53である。図6(a)の場合、マップマッチングの処理が実行された場合の「修正のレベル」はL1である。図6(b)の場合、「修正のレベル」はL2である(L2>L1)。
【0065】
このように、タイヤ交換の有無によって「修正のレベル」に差が生じるのは、以下の理由による。すなわち、交換後の新しいタイヤは、交換前の古いタイヤよりも路面に対するスリップが少ない。つまり、同じタイヤサイズであっても、新しいタイヤの場合、タイヤ1回転あたりの走行距離が、古いタイヤよりも長くなる。このため、タイヤ交換がされ新しいタイヤTでプローブ車両53が走行し始めると、タイヤ交換前と比べて、タイヤ1回転あたりの走行距離が大きく変化する(延びる)。
そして、上記のとおり、本実施形態では、プローブ車両53の推定部31が、タイヤ1回転あたりの走行距離に基づいて車両位置を推定しているため、当該車両位置に関して、タイヤ交換直後のプローブ車両53(図6(b))では、タイヤ未交換(図6(a))のプローブ車両53に比べて、走行方向前方へより進んだ位置として車両位置が推定されてしまう。したがって、タイヤ交換直後に、マップマッチングによって車両位置が道路地図データに基づいて修正された場合、その「修正のレベル」は、タイヤ未交換の場合と比べて大きくなる。
このため、例えば図6に示している交差点において、プローブ車両53においてタイヤ交換がされた直後では、前記推定部31によって推定された車両位置をマップマッチングによって修正すると、この修正のレベルL2が、規定の閾値(後述のβ)以上となる。
【0066】
そこで、前記判定部33は、同じ道路(例えば図6のような同じ交差点)において複数のプローブ車両53を対象として、前記「修正のレベル」を用いてタイヤが交換された可能性について判定を行う。すなわち、次の<条件1>及び<条件2>を満たす場合、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する。
<条件1>修正レベル取得部37が求めたマップマッチングでの「修正のレベル」が規定の閾値β以上である。
<条件2>「修正のレベル」が閾値β以上であると判定した車両数が、所定数γ未満である。
なお、前記閾値βは、通常のマップマッチングで行われる修正のレベルの値(又はそれよりも僅かに大きい値)とすることができ、例えば、図6(a)のL1とすることができる。所定数γは2以上の値であり、このγ及び前記閾値βは、判定部33において予め設定されている値である。
【0067】
マップマッチング処理部32及び修正レベル取得部37は、同じ道路において、異なるプローブ車両53ごとに、マップマッチングの処理及び「修正のレベル」の算出を繰り返し実行する。つまり、マップマッチング処理部32は、同じ道路(同じ交差点)ごとに着目して、複数のプローブ車両53に対して、マップマッチングの処理を行い、修正レベル取得部37は、このマップマッチングの処理ごとに「修正のレベル」の算出を行い、そして、判定部33は判定処理を行う。
【0068】
また、上記の場合とは反対に「修正のレベル」が前記閾値β以上であるが、この閾値β以上であると判定した車両数が、所定数γ以上である場合、つまり、「修正のレベル」が閾値βより大きくなる修正が、同じ道路(例えば同じ交差点)において所定数γ以上のプローブ車両53についてのマップマッチングでされている場合、判定部33は、当該プローブ車両53ではタイヤ交換が行われていないと判定する。
つまり、同じ道路(例えば同じ交差点)ごとに着目した場合において、複数のプローブ車両53についてのマップマッチング処理部32によるマップマッチィングで、前記<条件1>を満たしても前記<条件2>を満たさない場合、判定部33は、タイヤ交換が行われていないと判定する。
【0069】
これは、同じ道路(例えば同じ交差点)における複数のプローブ車両53についてのマップマッチングにおいて、その修正のレベルが規定の閾値β以上であるが、このレベルが閾値βより大きくなる修正が、所定数γ以上のプローブ車両53についてされている場合、これら多くのプローブ車両53で同時期にタイヤ交換が行われたとは考えにくいので、その原因は、タイヤ交換ではなく、その他に原因があると考えられるためである。そこで、この場合、判定部33は、タイヤ交換が行われていないと判定する。
【0070】
そして、この場合において、判定部33によってタイヤ交換が行われていないと判定されると、前記修正処理部34は、地図データベース36に蓄積されている道路地図データを修正するための処理を行う機能を有している。これは、前記のとおり、大きな修正が、所定数γ以上のプローブ車両53について実行されている場合は、タイヤ交換ではなく、道路地図データが誤っていると考えられるためである。そこで、この処理修正部34により、この道路地図データを修正するための処理が行われる。
【0071】
〔タイヤ交換判定システムによる判定方法について〕
図7は、上記の第2実施形態に係るタイヤ交換判定システムによって実行されるタイヤ交換判定方法を説明するフロー図である。
この第2実施形態におけるタイヤが交換された可能性についての判定は、プローブ車両53(車載装置4)から取得したプローブ情報を用いて、プローブセンタ2(センタコンピュータ7)においてマップマッチングした際に、プローブセンタ2が保有する道路地図データの道路位置と、前記プローブ情報に基づく車両位置との間に、大きなズレが生じている場合(前記<条件1>)、当該プローブ車両53におけるタイヤ交換の可能性を考慮することにより実行される。しかし、このような大きなズレが生じていても(前記<条件1>)、道路地図データが誤っている可能性もあるため、プローブセンタ2は、一定の期間、所定の道路(同じ道路)で監視を行い、複数の他のプローブ車両53から取得されたプローブ情報についてもマップマッチングし、上記の大きなズレが生じるプローブ車両53が、所定数(γ)未満であれば(前記<条件2>)、これら大きなズレが生じていたプローブ車両53ではタイヤ交換がされたと判定し、所定数(γ)以上であれば、道路地図データが誤りであると判定する。
【0072】
なお、マップマッチングを行う対象とする、前記同じ道路(例えば同じ交差点)を「対象道路」と呼び、本実施形態では、「対象道路」は十字路であり、右折するプローブ車両53を判定(マップマッチング)の対象とする。
また、このシステムでは、センタコンピュータ7の判定部33は、ある「対象道路」について複数のプローブ車両53についてマップマッチングした結果、道路地図データのリンク位置と大きく外れて一致しなかった数(つまり、<条件1>を満たすプローブ車両53の数)を計上するカウンタ機能を備えている。さらに、このシステムでは、センタコンピュータ7の判定部33は、前記カウンタ機能の有効期間を管理するタイマー機能を備えている。
【0073】
以下、図7に沿って説明する。「対象道路」を複数のプローブ車両53が走行すると、各プローブ車両53に搭載されている距離検出部13及び時計装置18等の車載計測器が機能し、プローブ車両53それぞれにおいて走行情報(位置情報等)が取得される。
【0074】
つまり、距離検出部13は、距離センサと、タイヤTの回転数を検出する回転数センサとによる計測値に基づいて、タイヤTの回転数とプローブ車両53の走行距離との関係として、タイヤ1回転あたりの走行距離を算出する。そして、このタイヤ1回転あたりの走行距離に基づいて、車載コンピュータ7の前記推定部31は、現時点の車両の走行位置(車両位置)を推定する。この車両位置についての位置情報はプローブ情報D1に含められ、通信装置16からネットワーク5へ送信される(図7のステップS200)。
【0075】
プローブセンタ2側において、ネットワーク5から通信装置6を通じて、複数のプローブ車両53それぞれのプローブ情報D1を受信する。各プローブ情報D1には、プローブ車両53が取得した位置情報及び車両IDが含まれている(ステップS201)。
センタコンピュータ7のマップマッチング処理部32は、「対象道路」において複数のプローブ車両53それぞれについて、位置情報を利用してマップマッチングを行う(ステップS202)。
【0076】
また、マップマッチングの処理ごとに、修正レベル取得部37によって前記「修正のレベル」が求められ、この「修正のレベル」についての情報は、センタコンピュータ7の記憶装置に記憶される(ステップS203)。この「修正のレベル」は、マップマッチングの対象としたプローブ車両53の車両IDと対応付けて、記憶される。
【0077】
そして、センタコンピュータ7の判定部33は、この「修正のレベル」を用いてタイヤが交換された可能性について判定を行う。つまり、「対象道路」における複数のプローブ車両53それぞれについてのマップマッチィングにおいて、次の<条件1>を満たすか否か判定する(ステップS204)。
<条件1>修正レベル取得部37が求めたマップマッチングでの「修正のレベル」が規定の閾値β以上である。
【0078】
この<条件1>を満たす場合(ステップS204でYesの場合)、判定部33は、「対象道路」に関してのカウンタ(前記カウンタ機能)をインクリメントし、さらに、<条件1>を満たしたプローブ車両53の車両IDを、センタコンピュータ7の記憶装置に記憶させる(ステップS205)。
そして、判定部33は、この「対象道路」で始めてカウンタ(前記カウンタ機能)がインクリメントされたか否かを判定し(ステップS206)、その判定が”Yes”の場合、タイマー(前記タイマー機能)の始動が開始され(ステップS207)、ステップS208へ進む。また、ステップS206における判定が”No”の場合、つまり、既に前記<条件1>を満たしたプローブ車両53がカウントされている場合、そのままステップS208へ進む。
【0079】
ステップS208では、前記カウンタが、予め設定されている閾値γ以上であるか否かを、判定部33が判定する。つまり、この判定は<条件2>を満たすか否か判定している。
<条件2>「修正のレベル」が閾値β以上であると判定した車両数が、所定数γ未満である。
【0080】
この<条件2>を満たさない場合(ステップS208の判定が”No”の場合)、判定部33は、タイヤ交換が行われていないと判定し、前記「対象道路」の道路地図データベースが異常であると判定する(ステップS209)。そして、前記カウンタをクリアし、タイマーをストップする(ステップS210)。
【0081】
これに対して、前記タイマーが始動している状態で(ステップS207)、ステップS208の判定が”Yes”の場合、つまり<条件2>を満たす場合、処理を終える。そして、前記タイマーが満了すると(つまり、所定時間が経過すると)、図8に示しているタイマー処理が実行される。すなわち、複数のプローブ車両53それぞれについて、前記のとおり、図7に示したマップマッチング及び「修正レベル」の取得・記憶等が、前記「対象道路」について繰り返し実行され続けていると、ある時期に、前記タイマーが予め設定されている閾値δを満了する。すると、図8に示しているように、前記カウンタによる計上した値が、予め設定されている閾値γ未満であることを(前記<条件2>)を、判定部33が判定する(ステップS301)。
【0082】
この判定の結果が”Yes”の場合、条件1の判定による修正のレベルが閾値β以上となる修正が、所定数γ未満のプローブ車両53でされていることを、意味する。さらにこれを説明すると、多くのプローブ車両53が、通常行われる「修正のレベル」程度のマップマッチングで済んでおり、ある特定の(γよりも少数の)プローブ車両53についてのみが、大きな修正のレベルを有するマップマッチングとなっていることを意味している。
この場合、前記ステップS205において、センタコンピュータ7の記憶装置に記憶させた、<条件1>を満たすプローブ車両53の車両IDに該当する、全てのプローブ車両53それぞれにおいて「タイヤ交換が行われた可能性がある」との判定する(ステップS302)。
そして、センタコンピュータ7は、この全ての車両IDを取得し、この車両IDと共に当該車両IDに該当するプローブ車両53について「タイヤ交換が行われた可能性がある」との判定情報D3を生成し、通信装置6によってネットワーク5に前記判定情報D3として送信する(ステップS303)。
【0083】
そして、プローブ車両53側において、ネットワーク5から通信装置16によって車載コンピュータ17は、前記判定情報D3を取得することができる。この場合、車載コンピュータ17の入力部23は、ディスプレイ19に、判定結果の表示と、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を入力させるための表示とを行う(ステップS304)。すなわち、図4に示しているように、ディスプレイ19に「タイヤ交換が実際に行われましたか?」と「はい」及び「いいえ」とを表示し、入力部23はユーザーの選択操作を待つ待機状態となり、ユーザーは、「はい」及び「いいえ」のいずれかをディスプレイ19上で選択する。
【0084】
「はい」が選択された場合(ステップS304でYes)、車載コンピュータ17(入力部23)は、前記判定情報Dが意図する内容を、ディスプレイ19に表示させたり、或いは、その内容の音声出力をスピーカ装置20から発声させたりして、ドライバに報知する(ステップS305)。つまり、タイヤ交換が行われたことを意図する情報が、報知される。なお、ディスプレイ19とスピーカ装置20の双方で、ドライバに報知することにしてもよい。さらに、車載コンピュータ17は、タイヤ交換された日の日付情報を生成し、この日付情報を、記憶装置に記憶させ、次回のタイヤ交換のタイミングを決定するために用いられる(ステップS306)。
【0085】
なお、図7のステップS204において、<条件1>を満たさない場合(ステップS204でNoの場合)は、そのプローブ車両53について処理を終了し、他のプローブ車両53のための処理のために、ステップS201へ戻る。
【0086】
この図7及び図8で説明したタイヤ交換判定システムによる判定方法によれば、「対象道路」における複数のプローブ車両53についてのマップマッチングに関して、<条件1>と<条件2>とを満たす場合、つまり、修正のレベルが規定の閾値β以上であり、この閾値β以上であると判定したプローブ車両数が、所定数γ未満である場合に、この閾値β以上であると判定したプローブ車両では、タイヤ交換が行われた可能性があり、判定部33はこのように判定することができる。
これとは反対に、<条件1>を満たすが<条件2>を満たさない場合、これら複数のプローブ車両53で同時期にタイヤ交換が行われたとは考えにくいので、その原因は、タイヤ交換ではなく、その他に原因があると考えられる。そこで、この場合、判定部33は、タイヤ交換が行われたのではなく、道路地図データが誤っていると判定する(図7のステップS209)。
【0087】
そして、この判定の場合、センタコンピュータ7の処理修正部34が、この道路地図データを修正するための処理を行う。路地図データを修正するための処理としては、例えば、修正処理部34は、システム管理者に、道路地図データに誤りがある可能性がある旨の情報を、表示や音声によって報知したり、または、修正処理部34が、道路地図データをプローブ情報D1に基づいて自動修正したりする。
【0088】
また、本実施形態によれば、前記判定部22によって、タイヤ交換が行われた可能性があると判定された場合であっても、それが誤判定であった場合、プローブ車両53の前記入力部23によって、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての情報を、ユーザーに入力させることで(図8のステップS304)、誤判定のまま処理が進むのを防ぐことができる。また、ユーザーが入力する情報は、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報(つまり、「はい」又は「いいえ」についての入力)であるため、ユーザーに操作の負担を与えない。
【0089】
上記の実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
前記第1の実施形態(図1)において、タイヤ交換判定システムの機能部の一部を、第2の実施形態のようにプローブ情報システムに組み込んでもよく、当該一部をプローブセンタ2側(センタコンピュータ7)に設けてもよい。
【0090】
また、前記第2の実施形態(図5)において、原則的に、推定部31は、プローブ車両53に設けられており、判定部33はプローブセンタ2に設けられている。
これに対して、マップマッチング処理部32及び修正レベル取得部37は、プローブ車両53に設けられていてもよい。この場合、プローブ車両53において、マップマッチング及び修正のレベルの取得を行い、修正のレベルをプローブ情報に含めて、プローブセンタ2側へ送信する。そして、プローブセンタ2の判定部33が、上記の判定を行えばよい。
【符号の説明】
【0091】
3:車両、 21:取得部、 22:判定部、 23:入力部、 31:推定部、 32:マップマッチング処理部、 33:判定部、 34:修正処理部、 35:入力部、 36:地図データベース、 37:修正レベル取得部、 53:プローブ車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システムであって、
車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係についての情報を求める取得部と、
前記回転数と前記走行距離との前記関係の変化度を求めると共に、当該変化度が所定の閾値を超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する判定部と、
を備えていることを特徴とするタイヤ交換判定システム。
【請求項2】
車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定システムであって、
車両が記憶しているタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係を用いて、前記タイヤの回転数に基づいて車両位置を推定する推定部と、
記憶装置に記憶されている道路地図データに基づいて、前記車両位置を当該道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正するマップマッチングを行うマップマッチング処理部と、
前記マップマッチングでの修正のレベルを求める修正レベル取得部と、
前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数未満である場合に、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われた可能性があると判定する判定部と、
を備えていることを特徴とするタイヤ交換判定システム。
【請求項3】
前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが前記閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合は、前記判定部は、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われていないと判定する請求項2に記載のタイヤ交換判定システム。
【請求項4】
前記修正レベル取得部が求めた修正のレベルが前記閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数以上である場合に、前記道路地図データを修正するための処理を行う修正処理部を、更に備えている請求項2又は3に記載のタイヤ交換判定システム。
【請求項5】
ユーザーに各種の情報を表示して通知するディスプレイと、
前記判定部によってタイヤ交換が行われた可能性があると判定されると、当該判定結果についての情報、及び、実際にタイヤ交換が行われたか否かについての択一的な情報を前記ディスプレイに表示すると共に、前記択一的な情報をユーザーに入力させる入力部と、を備えている請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ交換判定システム。
【請求項6】
車両のタイヤが交換された可能性について判定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係についての情報を求めるステップと、前記回転数と前記走行距離との前記関係の変化度を求めると共に、当該変化度が所定の閾値を超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定するステップと、を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
車両のタイヤが交換された可能性について判定する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
車両が記憶しているタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係を用いて、前記タイヤの回転数に基づいて車両位置を推定するステップと、
記憶装置に記憶されている道路地図データに基づいて、前記車両位置を当該道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正するマップマッチングを行うステップと、
前記マップマッチングでの修正のレベルを求めるステップと、
求めた修正のレベルが閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数未満である場合に、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われた可能性があると判定するステップと、を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定方法であって、
車両に備えられたタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係についての情報を求め、
前記回転数と前記走行距離との前記関係の変化度を求めると共に、当該変化度が所定の閾値を超えた場合に、タイヤ交換が行われた可能性があると判定する
ことを特徴とするタイヤ交換判定方法。
【請求項9】
車両のタイヤが交換された可能性について判定するタイヤ交換判定方法であって、
車両が記憶しているタイヤの回転数と当該車両の走行距離との関係を用いて、前記タイヤの回転数に基づいて車両位置を推定し、
記憶装置に記憶されている道路地図データに基づいて、前記車両位置を当該道路地図データに含まれる近傍の道路位置に一致させるように修正するマップマッチングを行い、
前記マップマッチングでの修正のレベルを求め、
求めた修正のレベルが閾値以上であるか否かを複数の車両を対象として判定し、当該閾値以上であると判定した車両数が所定数未満である場合に、当該閾値以上であると判定した車両ではタイヤ交換が行われた可能性があると判定する
ことを特徴とするタイヤ交換判定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−126308(P2012−126308A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280906(P2010−280906)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】