説明

タイヤ情報検出装置

【課題】トリガ機からのトリガ信号に応答してタイヤ空気圧等のタイヤ情報が車輪側の送信機から車体側の受信機に送信されるタイヤ情報検出装置において、受信機側でトリガ機の故障部位を迅速に特定できるようにすること。
【解決手段】トリガ機としてのイニシエータドライバ4の制御部41は、イニシエータドライバ4の故障を検出した場合、故障部位を特定する故障部位特定情報を付加してトリガ信号をセンサ送信機2に送信する。センサ送信機2の制御部21は、受信したトリガ信号に故障部位特定情報が付加されていた場合には、その故障部位特定情報を含む応答信号を受信機3に送信する。受信機3の制御部31は、受信した応答信号に故障部位特定情報が含まれている場合には、その故障部位特定情報をメモリ35に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の取付位置やタイヤの空気圧(タイヤ情報)を検出するタイヤ情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ空気圧検出装置の一つとして、ダイレクト式のものがある(例えば、特許文献1、2参照)。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤの空気圧に応じた信号を出力する圧力センサ等のセンサを含みそのセンサが出力した信号を無線で送信する送信機が、タイヤが備えられた車輪に取り付けられる。車体側には、送信機からの信号を受信する受信機が設けられる。そして、受信機で受信された信号に基づいてタイヤの空気圧が算出されて、その空気圧が低下している場合には警告が行われる。
【0003】
また、特許文献1には、タイヤローテーションなど車輪の位置を変えた場合であっても、送信機からの信号がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、車輪の取付位置を特定できる機能を有するタイヤ空気圧検出装置が開示されている。この特許文献1のタイヤ空気圧検出装置では、トリガ信号を送信するトリガ機が車体側に設けられる。そのトリガ機は、各車輪に取り付けられた各送信機までの距離が異なったものとなるように設けられる。また、トリガ機は、受信機と通信線で通信可能に接続されており、例えば受信機からの指示に基づいてトリガ信号を送信するように構成されている。
【0004】
トリガ機からのトリガ信号は、送信距離に応じた受信強度で各送信機で受信される。各送信機では、受信されたトリガ信号の受信強度が算出されて、その受信強度を含む応答信号が受信機に送信される。そして、その応答信号に含まれる受信強度に基づいて、その応答信号がどの車輪に取り付けられた送信機からのものであるか、すなわち車輪の取付位置が特定される。つまり、特許文献1のタイヤ空気圧検出装置は、トリガ信号に応答して、車輪の位置に応じた信号(受信強度)を含む応答信号が、送信機から受信機に送信されるものである。なお、タイヤの空気圧の信号についても、トリガ信号に応答して送信機から受信機に送信されるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4175348号公報
【特許文献2】特開2006−175971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トリガ信号に応答して車輪の取付位置やタイヤの空気圧を検出するタイヤ情報検出装置では、受信機は車載LANに接続されているものの、トリガ機は車載LANに接続されていない。そのため、受信機とトリガ機の間の通信線が断線した場合には、受信機側ではトリガ機の状態を迅速に把握できないという問題点がある。特に、トリガ機が故障している場合には、トリガ機の故障部位を迅速に特定できない。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、受信機とトリガ機の間の通信線が断線したとしても、受信機側でトリガ機の故障部位を迅速に特定できるタイヤ情報検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、タイヤが備えられた車輪に設けられ、トリガ信号に応答して前記車輪の位置に応じた信号又は前記タイヤの空気圧に応じた信号を含む応答信号を送信する送信機と、
車体側に設けられ、前記トリガ信号を送信するトリガ機と、
車体側に設けられ、前記トリガ機と通信線で通信可能に接続されるとともに、前記送信機からの応答信号を受信する受信機と、を備えるタイヤ情報検出装置において、
前記トリガ機は、前記トリガ機の故障部位を検出する故障部位検出手段を備え、その故障部位検出手段が前記故障部位を検出した場合には、前記故障部位を特定する故障部位特定情報を付加して前記トリガ信号を送信し、
前記送信機は、前記故障部位特定情報が付加された前記トリガ信号を受信した場合には、そのトリガ信号に付加された前記故障部位特定情報を含む応答信号を送信することを特徴とする。
【0009】
これによれば、トリガ機には、トリガ機の故障部位を検出する故障部位検出手段が含まれるので、トリガ機が故障した場合には、故障部位検出手段によって故障部位が検出される。そして、その故障部位を特定する故障部位特定情報が、トリガ信号及び応答信号に付加されて、つまり送信機を介して受信機に送信される。よって、受信機とトリガ機の間の通信線が仮に断線したとしても、受信機側で故障部位特定情報に基づいてトリガ機の故障部位を迅速に特定できる。
【0010】
また、本発明における前記送信機は、前記通信線の断線を検出する断線検出手段を備え、前記故障部位検出手段が前記故障部位を検出し、且つ前記断線検出手段が前記断線を検出した場合に、前記故障部位特定情報が付加された前記トリガ信号を送信することを特徴とする。
【0011】
通信線が断線していなければ、その通信線を介して、トリガ機の故障部位を特定できるので、上記のように、断線した場合に故障部位特定情報を送信するのが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】タイヤ空気圧検出装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】イニシエータドライバ4の制御部41が実行する処理のフローチャートである。
【図3】センサ送信機2の制御部21が実行する処理のフローチャートである。
【図4】トリガ信号100の構成を例示した図、応答信号200の構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るタイヤ情報検出装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のタイヤ情報検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置1の概略構成を示すブロック図である。そのタイヤ空気圧検出装置1は車両6に設けられる。その車両6には、タイヤが備えられた車輪61が設けられている。なお、図1では、一つの車輪61しか図示していないが、車両6には、運転席側前輪、助手席側前輪、運転席側後輪、助手席側後輪の4つの車輪61が設けられている。
【0014】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置1は、センサ送信機2、受信機3、イニシエータドライバ4及び表示器7を備えている。なお、センサ送信機2は、電池(図示外)も備えており、その電池によって各構成が動作されるようになっている。センサ送信機2は、各車輪61のそれぞれに取り付けられており、より具体的には例えば各車輪61のホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられている。そのセンサ送信機2は、制御部21、センシング部22、受信部23、受信アンテナ24、送信部25及び送信アンテナ26を備えている。
【0015】
センシング部22は、タイヤ空気圧に応じた信号(検出信号)を出力するものであり、例えば歪みゲージ式、ダイアフラム式、または半導体式の圧力センサから構成される。センシング部22は制御部21と接続されており、センシング部22で出力された検出信号は制御部21に入力されるようになっている。
【0016】
受信部23は、受信アンテナ24を介して、後述するイニシエータドライバ4から送信されたトリガ信号を受信するものである。その受信部23は、受信したLF帯のトリガ信号を制御部21が読み取れる形式の信号に復調する復調回路等から構成される。受信部23は制御部21と接続されており、受信部23で受信されたトリガ信号は制御部21に入力されるようになっている。
【0017】
送信部25は、制御部21から送られてきた応答信号をRF帯(例えば315MHz帯)の信号に変調する変調回路等から構成され、変調された応答信号をRF電波として送信アンテナ26から無線送信するものである。
【0018】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等から構成され、CPUがROMに記憶されたプログラムにしたがって所定の処理を実行するものである。具体的には、制御部21は、受信部23からトリガ信号を受け取った場合には、センシング部22から検出信号を受け取って、その検出信号を含む応答信号を生成し、その応答信号を送信部25に送る。つまり、検出信号を含む応答信号を送信部25に送信させる。その応答信号は複数のフレームから構成され、センシング部22の検出信号はそれらフレームのいずれかに格納されている。また、応答信号の他のフレームには、どの車輪61に取り付けられた応答信号であるかを識別するためのID情報や、上記特許文献1のようにトリガ信号の受信強度(車輪61の取付位置に応じた信号)などが必要に応じて格納される。なお、受信強度を応答信号のフレームに格納する場合には、制御部21は、受信部23から受け取ったトリガ信号の受信強度を算出する処理を実行する。
【0019】
また、各センサ送信機2の制御部21は、例えば互いにタイミングをずらして応答信号を送信するように構成されている。そのために、例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後に応答信号を送信するという送信タイミングが、予め各センサ送信機2ごとに異なるもので設定されている。
【0020】
以上のように、制御部21はトリガ信号に応答して応答信号を送信するように構成されているが、これに加えて、自身の判断で所定周期ごとに(例えば1分ごと)にセンシング部22の検出信号を送信するように構成されたとしてもよい。なお、センサ送信機2が本発明における「送信機」に相当する。
【0021】
受信機3は、車両6の車体側に設けられ、制御部31、受信部32、インターフェース部33、受信アンテナ34及びメモリ35を備えている。受信部32は、受信アンテナ34を介して、センサ送信機2からのRF電波の応答信号を受信するものである。その受信部32は、受信した応答信号を制御部31が読み取れる形式の信号に復調する復調回路等から構成される。受信部32は制御部31と接続されており、受信部32で受信された応答信号は制御部31に入力されるようになっている。なお、受信アンテナ34は、各センサ送信機2からの応答信号を総括的に受け取る1本又は2本以上の共通アンテナとなっており、車両6の車体に固定されている。
【0022】
インターフェース部33は、後述するイニシエータドライバ4と通信するためのインターフェースであり、制御部31から送られてきた信号をイニシエータドライバ4に送信するとともに、イニシエータドライバ4から送られてきた信号を受信して制御部31に送る。本実施形態では、インターフェース部33は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)のインターフェースとされている。なお、受信機3とイニシエータドライバ4は通信線5で接続されており、その通信線5を介して、受信機3とイニシエータドライバ4との間の通信が行われるようになっている。
【0023】
メモリ35は、制御部31の指示に基づいて各種の情報を記憶するものであり、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク装置が使用される。本実施形態では、メモリ35には、イニシエータドライバ4の故障部位を特定する故障部位特定情報が記憶される。
【0024】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等から構成され、CPUがROMに記憶されたプログラムにしたがって所定の処理を実行するものである。具体的には、制御部31は、イニシエータドライバ4に対してトリガ信号を送信させることを指令する。その指令タイミングとしては、例えば予め定められた周期的なタイミングであったり、ディーラ等における車両検査時のタイミングであったりする。また、制御部31は、センサ送信機2から応答信号を受信した場合には、その応答信号に含まれているセンシング部22の検出信号に基づいて、タイヤ空気圧を算出する。そして、制御部31は、そのタイヤ空気圧が所定の閾値よりも小さい場合には、表示器7にて、タイヤ空気圧が低下している旨の警告表示を行う。なお、受信機3と表示器7の間にボデーECUやメータECUが介在する場合には、制御部31は、ボデーECUやメータECUを介して、タイヤ空気圧の低下を表示器7に表示させることになる。
【0025】
また、制御部31は、センサ送信機2からの応答信号にトリガ信号の受信強度が含まれている場合には、その受信強度に基づいて、送られてきた応答信号が4つの車輪61のいずれに取り付けられたセンサ送信機2のものなのかを特定する車輪位置検出を行う。この車輪位置検出方法の詳細については、例えば上記特許文献1の方法が用いられる。
【0026】
以上の構成を有する受信機3は車載LAN8と接続されており、その車載LAN8を通じて各種の機器と通信をすることが可能となっている。例えば、ディーラ等でタイヤ空気圧の診断ツールが車載LAN8に接続された場合には、受信機3の制御部31は、その診断ツールの指令に基づいて、タイヤ空気圧を検出したり、車輪位置を特定したりする処理を実行する。
【0027】
表示器7は、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両6におけるインストルメントパネル内に配置される警報ランプによって構成される。その表示器7は、受信機3の制御部31からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてきた場合には、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0028】
イニシエータドライバ4は、本発明における「トリガ機」に相当するものであり、受信機3の制御部31からの指令に基づいてトリガ信号を送信するものである。そのイニシエータドライバ4は、車両6の車体側に設けられ、具体的には例えば特許文献1と同様の位置、すなわち4つの車輪61すべてから異なる距離に設けられる(厳密には、後述する送信アンテナ43が4つの車輪61すべてから異なる距離に設けられる)。なお、タイヤ空気圧検出装置1がトリガ信号の受信強度に基づく車輪位置検出を行わないものである場合には、イニシエータドライバ4は、車輪61すべてから異なる位置に設けられていなくてもよい。また、イニシエータドライバ4は、各センサ送信機2に対して総括してトリガ信号を送信する単一のものであっても、各センサ送信機2ごとに複数設けられたとしても良い。各センサ送信機2ごとにイニシエータドライバ4を設ける場合には、各イニシエータドライバ4は、例えば各イニシエータドライバ4が担当するセンサ送信機2(車輪61)の近くに設けられる。また、イニシエータドライバ4は、通信線5で受信機3と接続されているものの、車載LAN8には接続されていない。
【0029】
イニシエータドライバ4は、制御部41、送信部42、送信アンテナ43及びインターフェース部44を備えている。送信部42は、制御部41からの指令に基づいて、所定強度のトリガ信号を生成して、送信アンテナ43からそのトリガ信号をLF電波(例えば125kHz帯の電波)として無線送信する部分である。送信アンテナ43は、一又は複数のアンテナから構成され、送信部42にて生成されたトリガ信号を送信するアンテナである。図1では、送信アンテナ43が2つの送信アンテナ43a、43bから構成された例を示している。この場合、例えば一方の送信アンテナ43aは車両6の前方(前輪61の近い位置)に固定され、他方の送信アンテナ43bは車両6の後方(後輪61に近い位置)に固定される。なお、各センサ送信機2の個数の分だけ送信アンテナが設けられていたとしても良く、この場合には各送信アンテナは担当するセンサ送信機2の近くに固定される。また、イニシエータドライバ4がセンサ送信機2の個数だけ設けられている場合には、各イニシエータドライバ4には一つの送信アンテナが設けられる。
【0030】
インターフェース部44は、受信機3と通信するためのインターフェースであり、受信機3のインターフェース部33と同様に、UARTのインターフェースとされている。
【0031】
制御部41は、CPU、ROM、RAM等から構成され、CPUがROMに記憶されたプログラムにしたがって所定の処理を実行するものである。具体的には、制御部41は、センサ送信機2に送信するトリガ信号を総括的に制御する部分であり、例えばトリガ信号の送信強度を決定したり、トリガ信号の送信タイミングを決定したりする。なお、その送信タイミングとして、制御部41は、受信機3からの指令に基づいて定まる送信タイミングを決定している。また、制御部41から送信されるトリガ信号は複数のフレームから構成されている。
【0032】
また、制御部41は、本発明における「故障部位検出手段」を構成し、イニシエータドライバ4の故障部位を検出する機能を有する。具体的には例えば上記の各構成(送信部42、送信アンテナ43、インターフェース部44)の故障を検出することができる。また、送信部42、送信アンテナ43、インターフェース部44以外にも、制御部41は、イニシエータドライバ4を構成する周辺回路の故障も検出でき、さらに制御部41内の構成(CPUに接続されているROM、RAM等)も検出できる。故障部位の検出方法としては、例えば制御部41に接続された各部位の端子電圧をモニターする方法が用いられる。すなわち、端子電圧が異常電圧を示した場合に、制御部41は、その異常電圧を示した端子に接続されている部位が故障したと判断(特定)する。端子電圧をモニターする方法の他、制御部41は、例えば特定の動作をするように指令をした部位が所望の動作をしなかった場合に、その部位が故障したと判断する方法を採用しても良い。
【0033】
上記したように、イニシエータドライバ4は車載LAN8に接続されていないので、通信線5が仮に断線した場合には受信機3側ではイニシエータドライバ4の状態を迅速に把握できなくなってしまう。特に、イニシエータドライバ4が故障した場合には迅速に故障解析ができなくなってしまう。そこで、本発明のタイヤ空気圧検出装置1では、イニシエータドライバ4が故障した場合には、故障部位を特定する故障部位特定情報を、センサ送信機2を介して受信機3に送信している。以下、そのときの処理を図2、図3のフローチャートを参照して説明する。図2はイニシエータドライバ4の制御部41が実行する処理のフローチャートを示しており、図3はセンサ送信機2の制御部21が実行する処理のフローチャートを示している。なお、図2、図3のフローチャートの処理は、例えば車両6のイグニッションスイッチがオンされた時に開始され、所定間隔おきに繰り返し実行される。
【0034】
先ず、イニシエータドライバ4の制御部41によって、イニシエータドライバ4が故障したか否かが判断される(図2のS11)。故障していない場合には(S11:No)、図2のフローチャートの処理が終了される。これに対して、イニシエータドライバ4の故障が検出された場合には(S11:Yes)、処理をS12に進める。S12では、通信線5が断線されたか否かが判断される(S12)。具体的には、制御部41が受信機3と通信を試みて、その通信ができなかった場合に通信線5の断線と判断される(S12)。なお、S12の処理を実行する制御部41が本発明における「断線検出手段」に相当する。通信線5が断線していない場合には(S12:No)、次の時点において再度通信線5が断線されたか否かが判断される(S12)。つまり、通信線5が断線していないかが継続的に監視される(S12)。通信線5が断線した場合には(S12:Yes)、故障部位を特定する故障部位特定情報が付加されたトリガ信号がセンサ送信機2に送信される(S13)。ここで、図4(a)は、S13におけるトリガ信号100の構成を例示した図である。なお、図4(a)では、トリガ信号100は複数のフレーム101〜106から構成された例を示している。トリガ信号100のフレーム101〜106のいずれかのフレーム(図4(a)ではフレーム105)に故障部位特定情報が格納される。なお、その他のフレーム101〜104、106には、イニシエータドライバ4が故障していないときに送信されるトリガ信号と同様の情報が格納される。S13の処理の後、図2のフローチャートの処理が終了される。
【0035】
一方、センサ送信機2側では、先ずトリガ信号を受信したか否かが判断される(図3のS21)。トリガ信号を受信していない場合には(S21:No)、図3のフローチャートの処理が終了される。これに対して、トリガ信号を受信した場合には(S21:Yes)、処理をS22に進める。S22では、受信したトリガ信号に故障部位特定情報が付加されているか否かが判断される(S22)。故障部位特定情報が付加されていない場合には(S22:No)、通常の応答信号、すなわちセンシング部22の検出信号やトリガ信号の受信強度を含む応答信号が、受信機3に送信される(S24)。この場合には、図2の処理とは別に通常のトリガ信号がイニシエータドライバ4から送信されたことになる。S24の処理の後、図3のフローチャートの処理が終了される。
【0036】
これに対して、トリガ信号に故障部位特定情報が付加されている場合には(S22:Yes)、処理をS23に進める。そして、S23では、その故障部位特定情報を含む応答信号が受信機3に送信される(S23)。なお、応答信号に含まれる故障部位特定情報は、トリガ信号に付加された故障部位特定情報と完全同一の情報でなくても良く、受信機3側で故障部位を特定できる情報であれば適宜に加工が施されたとしても良い。ここで、図4(b)は、S23における応答信号200の構成を例示した図である。なお、図4(b)では、応答信号200が複数のフレーム201〜206から構成された例を示している。応答信号200のいずれかのフレーム(図4(b)ではフレーム205)に故障部位特定情報が格納される。なお、その他のフレーム201〜204、206には、例えばイニシエータドライバ4が故障していないときに送信される応答信号と同様の情報(センシング部22の検出信号など)が格納される。なお、S23では、故障部位特定情報のみを含む応答信号が送信されたとしても良い。S23の処理の後、図3のフローチャートの処理が終了される。
【0037】
S23において故障部位特定情報を含む応答信号が送信された場合には、その応答信号は受信機3に受信される。そして、受信機3の制御部31によって、応答信号から故障部位特定情報が抽出されてメモリ35に記憶される。これによって、受信機3側では、そのメモリ35に記憶された故障部位特定情報を参照することで、イニシエータドライバ4の故障部位を何時でも特定することができる。よって、例えばディーラ等で車載LAN8に故障解析ツールを接続してイニシエータドライバ4の故障解析をする場合には、イニシエータドライバ4の故障部位を迅速に特定でき、その結果、故障部位の交換又は修理を迅速に行うことができる。
【0038】
なお、本発明に係るタイヤ情報検出装置は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限度で種々変形できる。例えば、上記実施形態では、イニシエータドライバ4が故障し、且つ通信線5が断線した場合に、故障部位特定情報がセンサ送信機2を介して受信機3に送信されていたが、イニシエータドライバ4が故障した場合には通信線5の断線の有無にかかわらず故障部位特定情報を送信するようにしても良い。これによって、受信機3側では、より迅速に、イニシエータドライバ4の故障を把握でき、イニシエータドライバ4の故障部位を特定できる。
【0039】
また、上記実施形態の図2では、最初にイニシエータドライバ4の故障を判断し(S11)、次に通信線5の断線を判断(S12)していたが、これらS11、S12の処理はどの順番で実行しても良い。また、上記実施形態では、故障部位特定情報をメモリ35に記憶していたが、これに加えて、故障部位特定情報で特定される故障部位を表示器7等でドライバに報知するようにしても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 タイヤ空気圧検出装置
2 センサ送信機
21 制御部
3 受信機
31 制御部
35 メモリ
4 イニシエータドライバ
41 制御部
42 送信部
43 送信アンテナ
44 インターフェース部
5 通信線
6 車両
61 車輪
7 表示器
8 車載LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが備えられた車輪に設けられ、トリガ信号に応答して前記車輪の位置に応じた信号又は前記タイヤの空気圧に応じた信号を含む応答信号を送信する送信機と、
車体側に設けられ、前記トリガ信号を送信するトリガ機と、
車体側に設けられ、前記トリガ機と通信線で通信可能に接続されるとともに、前記送信機からの応答信号を受信する受信機と、を備えるタイヤ情報検出装置において、
前記トリガ機は、前記トリガ機の故障部位を検出する故障部位検出手段を備え、その故障部位検出手段が前記故障部位を検出した場合には、前記故障部位を特定する故障部位特定情報を付加して前記トリガ信号を送信し、
前記送信機は、前記故障部位特定情報が付加された前記トリガ信号を受信した場合には、そのトリガ信号に付加された前記故障部位特定情報を含む応答信号を送信することを特徴とするタイヤ情報検出装置。
【請求項2】
前記送信機は、前記通信線の断線を検出する断線検出手段を備え、前記故障部位検出手段が前記故障部位を検出し、且つ前記断線検出手段が前記断線を検出した場合に、前記故障部位特定情報が付加された前記トリガ信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ情報検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−158277(P2012−158277A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20412(P2011−20412)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】