説明

タイヤ用ゴム材料搬送装置

【課題】材料切れ発生時、リールの交換およびゴム材料の接続を迅速に行うことができるタイヤ用ゴム材料搬送装置を提供する。
【解決手段】送り出し位置にセットされたゴム材料巻きリール111と、リールから搬送下流側に向けてゴム材料を送り出す送り出しローラー115とを備え、駆動手段により旋回可能な補給台112の旋回により複数のリールを順次送り出し位置に位置させる材料補給手段11と、ゴム材料の終端を送り出しローラーから払い出すための材料払い出し機構12とを備え、材料払い出し機構は、払い出しローラー120と、払い出しローラーの降下を検知して回転駆動手段に駆動信号を出力する近接スイッチ121とを有しており、払い出しローラーの移動変化を近接スイッチが検知し、送り出しローラーを回転させてゴム材料の終端を送り出しローラーから払い落すと共に、新たなリールを送り出し位置に位置させるタイヤ用ゴム材料搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ製造の成形工程においてストリップ状(帯状)のタイヤ用ゴム材料をリールから巻き出してフォーマー(成形機)などへ搬送するタイヤ用ゴム材料搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ製造の成形工程においては、各種のタイヤ用構成部材をフォーマーに貼り付けることによりタイヤの成形が行われている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記タイヤ用構成部材には、例えば、ゴム組成物中にコードが埋設されているJLB(ジョイントレスバンド)材料などのストリップ状(帯状)に成形されたゴム材料があり、このようなストリップ状ゴム材料は、タイヤ用ゴム材料搬送装置によりフォーマーに供給されている。
【0004】
例えば上記のJLB材料の場合、前工程でJLBスリッターを用いて原反から定寸幅にカットされて、個別のリールに巻き取られた後、作業者の手によってリールに巻き取られた状態で成形工程に移送され、タイヤ用ゴム材料搬送装置に補給される。そして、リールから巻き出されたJLB材料が、JLBサービサーによりフォーマーなどに供給されて貼り付けられている。
【0005】
図5は、従来のタイヤ用ゴム材料搬送装置の構成を模式的に示す正面図である。図5に示すように、タイヤ用ゴム材料搬送装置は、SW(サイドウォール)材料が巻かれたリール111をSW材料の送り出し位置にセットし、送り出しローラー115を用いてリール111から搬送下流側に向けてSW材料20を送り出すようになっている。
【0006】
また、複数のリール111が設置される旋回可能な補給台112を有し、補給台112の旋回により複数のリール111を順次送り出し位置に位置させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−326419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そして、SW材料の終端がリール111から巻き出されて材料切れが発生したときは、リール111の交換が行われ、SW材料の終端と交換されたリール111のSW材料の始端とが接続される。
【0009】
しかし、従来のタイヤ用ゴム材料搬送装置は、図6に鎖線で示すように、リール111から巻き出されて送り出しローラー115に掛ったまま残っているSW材料の終端を、作業者が手動で送り出しローラー115から払い出す作業が必要であった。
【0010】
また、作業者が材料切れと同時にリール111を旋回させて新たなリール111を送り出し位置にセットする作業が必要であった。
【0011】
このため、SW材料の接続作業に長時間を要し、搬送ラインを含む設備を停止させることによる生産性の低下という問題があった。
【0012】
以上、SW材料を例に挙げて説明したが、上記の問題は、SW材料に限られない。このため、材料切れが発生したときにリールの交換およびゴム材料の接続を迅速に行うことができ、生産性の向上を図ることができるタイヤ用ゴム材料搬送装置の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
請求項1に記載の発明は、
帯状のゴム材料が巻かれて送り出し位置にセットされるリールと、
前記リールから搬送下流側に向けて前記ゴム材料を送り出すための送り出しローラーと
を備えたタイヤ用ゴム材料搬送装置であって、
複数の前記リールが設置された駆動手段により旋回可能な補給台を有し、前記補給台の旋回により複数のリールを順次前記送り出し位置に位置させる材料補給手段と、
前記ゴム材料の終端が前記リールから巻き出されて前記送り出しローラーに掛ったときに、前記ゴム材料の終端を前記送り出しローラーから払い出すための材料払い出し機構と
を備えており、
前記材料払い出し機構は、
前記送り出しローラーよりも搬送下流側で前記送り出しローラーの近傍に上下動自在に配置された払い出しローラーと、
前記送り出しローラーを前記ゴム材料の送り出し方向に回転させる回転駆動手段と、
前記払い出しローラーの降下を検知して前記回転駆動手段に駆動信号を出力する近接スイッチとを有しており、
前記送り出しローラーから送り出された前記ゴム材料の上に、前記払い出しローラーを上昇させた状態で載置し、
前記ゴム材料の終端が前記リールから送り出されて前記リールから解放されたときに、前記ゴム材料の張力が弛んで前記払い出しローラーが自重で下方に移動する変化を前記近接スイッチが検知し、前記送り出しローラーを回転させて前記ゴム材料の終端を前記送り出しローラーから払い落すと共に、前記補給台を旋回させて新たな前記リールを前記送り出し位置に位置させることを特徴とするタイヤ用ゴム材料搬送装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
所定長さの前記ゴム材料がストックされるように前記ゴム材料を検出する光電管を有するアキューム機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム材料搬送装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、材料切れが発生したときにリールの交換およびゴム材料の接続を迅速に行うことができ、生産性の向上を図ることができるタイヤ用ゴム材料搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態のタイヤ用ゴム材料搬送装置の構成を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態のタイヤ用ゴム材料搬送装置において、材料払い出し機構が作動した状態を模式的に示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態のタイヤ用ゴム材料搬送装置の材料補給手段の補給台の旋回動作を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態のタイヤ用ゴム材料搬送装置の材料補給手段の補給台の旋回動作を模式的に示す平面図である。
【図5】従来のタイヤ用ゴム材料搬送装置の構成を模式的に示す正面図である。
【図6】従来のタイヤ用ゴム材料搬送装置において作業者がタイヤ材料の終端を材料補給手段から払い出した後の状態を模式的に示す正面図である。
【0018】
以下において、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態においては、具体的なタイヤ用ゴム材料搬送装置として、SWサービサーを例に挙げて説明する。
【0019】
1.SWサービサーの構成
図1は、本発明の実施の形態のSWサービサーの構成を模式的に示す正面図、図2は、材料払い出し機構が作動した状態を模式的に示す正面図、図3および図4は、材料補給手段の補給台の旋回動作を模式的に示す平面図である。図1に示すように、SWサービサーは、搬送上流側から材料補給手段11、材料払い出し機構12、アキューム機構13の順に配置してSW材料20を搬送するように構成されている。
【0020】
(1)材料補給手段
材料補給手段11は、図3に示すように、リール111aと交換用リール111bがセットされる補給台112と、補給台112を水平方向に往復動および回転させて補給台112を180度旋回させる図外の旋回駆動手段と、リール111aから搬送下流側に向けてSW材料20を送り出す送り出しローラー115(図1参照)と、第2近接スイッチ117(図1参照)と、図外の制御手段とを備えている。
【0021】
なお、旋回駆動手段は、例えば、駆動シリンダーにより補給台112を水平方向に往復動させ、駆動モーターにより補給台112を回転させる機構である。
【0022】
補給台112は、材料切れによりリール111aが空になったときに、旋回して交換用リール111bをSW材料20の送り出し位置にセットするための台である。補給台112からはリール支持体113が立設され、リール支持体113にリール111a、111bがそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
【0023】
また、補給台112からは図外の支持フレームが立設され、前記支持フレームに送り出しローラー115および方向転換ローラー118(図1参照)が設けられている。
【0024】
送り出しローラー115の上方には、スポンジローラー116が配置され、SW材料20をスポンジローラー116と送り出しローラー115との間を通過させることにより、粘性の高いSW材料20の送り出しローラー115への巻き込みを防止している。
【0025】
SWサービサー1は2台併設されている。このため、図3および図4に示すように、各SWサービサー1の材料補給手段11も2台併設されている。図3(a)のようにリール111aからSW材料20が送り出されている状態から、図3(b)のようにSW材料20の終端がリール111aから送り出されて材料切れになった場合、図3(b)の白抜矢印で示すように、隣接する材料補給手段11の補給台112から遠ざかる方向に補給台112が水平移動(往動)する。
【0026】
その後、図4(a)に示すように、補給台112を180度回転させた後、復動させることにより、図4(b)に示すように、交換用のリール111bをSW材料20の送り出し位置に位置させる。
【0027】
このように構成される材料補給手段は、SW材料20の終端が送り出しローラー115から払い出されたときに、第2近接スイッチ117がSW材料20の終端の払い出しを検知して補給台112を旋回させてリール交換を行う。
【0028】
(2)材料払い出し機構
図1に示すように、材料払い出し機構12は、払い出しローラー120と、送り出しローラー115を回転駆動させる図外の駆動手段(例えば、モーター)、第1近接スイッチ121とを備えている。
【0029】
払い出しローラー120は、送り出しローラー115よりも搬送下流側の送り出しローラー115の近傍に配置され、図外のガイド体によって上下方向に摺動自在となっている。
【0030】
第1近接スイッチ121は、払い出しローラー120が下方に摺動したことを検知して前記モーターに検知信号を出力して送り出しローラー115を回転させるスイッチである。
【0031】
このように構成される材料払い出し機構12は、SW材料20の終端がリール111aから巻き出されて送り出しローラー115に掛ったときに、SW材料20の張力が低下することにより、第1近接スイッチ121の検知信号に基づいて送り出しローラー115を回転させて、図2の実線で示すように、送り出しローラー115からSW材料20の終端を払い出す。
【0032】
(3)アキューム機構
図1に示すように、アキューム機構13は、前記払い出しローラーのゴム材料搬送方向前方に配置された3個のアキュームローラー131、132、133を備えており、アキュームローラー131、132、133の下方にはSW材料20の垂れ下げ用の空間Sが設けられている。前記空間Sの上部及び下部には、複数個の光電管15が配置され、SW材料20の垂れ下がり長さを検知して、アキューム量の制御ができるように構成されている。134はSW材料20の抑えローラーである。
【0033】
2.SWサービサーの全体動作
次に、SWサービサーの全体動作を図1に基づいて説明する。
(1)リール111に巻かれたSW材料20は、リール111から巻き出されて送り出しローラー115から搬送下流側に向けて送り出され、材料払い出し機構12の払い出しエリアを経てアキューム機構13で一時滞留された後、フォーマーに向けて搬送される。
【0034】
このとき、送り出しローラー115とアキューム機構13との間に位置するSW材料20の上面に、払い出しローラー120が載置され、SW材料20の搬送中は、SW材料20には払い出しローラー120の自重が作用している。
【0035】
(2)そして、材料切れによりリール111aが空になってSW材料20の終端がリール111aから解放されたときには、前記送り出しローラー115とアキュームローラー131との間において、SW材料20に掛かっていたテンションが消失することにより、払い出しローラー120が自重により落下する。
【0036】
(3) 払い出しローラー120が下方に落下すると、第1近接スイッチ121が払い出しローラー120の落下動作を検知し、検知信号を送り出しローラー115のモーターに出力して、送り出しローラー115を回転させることにより、SW材料20の終端が払い出しローラー120の下方に払い出されることになる。
【0037】
(4)そして、SW材料20の終端が払い出しローラー120の下方に払い出されたことを第2近接スイッチ117が検知し、検知信号を前記補給台112の旋回駆動手段に出力して、補給台を旋回させることにより、リール111bをSW材料20の送り出し位置に位置させることになる。
【0038】
(5)その後、SW材料20の始端を送り出しローラー115を越えた位置まで引き出し、既に払い出されたSW材料20の終端とのジョイントを行う。
【0039】
3.本実施の形態の効果
このように本実施の形態は、SW材料20の終端の払い出しと、リール交換のための旋回作業を自動的に行うことができるため、材料切れが発生したときに迅速に対応することができ、生産性の向上を図ることができる
【0040】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 SWサービサー(タイヤ用ゴム材料搬送装置)
11 材料補給手段
12 材料払い出し機構
13 アキューム機構
15 光電管
20 SW材料
111、111a リール
111b 交換用リール
112 補給台
113 リール支持体
115 送り出しローラー
116 スポンジローラー
117 第2近接スイッチ
118 方向転換ローラー
120 払い出しローラー
121 第1近接スイッチ
131 アキュームローラー
132 アキュームローラー
133 アキュームローラー
134 抑えローラー
S アキューム空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のゴム材料が巻かれて送り出し位置にセットされるリールと、
前記リールから搬送下流側に向けて前記ゴム材料を送り出すための送り出しローラーと
を備えたタイヤ用ゴム材料搬送装置であって、
複数の前記リールが設置された駆動手段により旋回可能な補給台を有し、前記補給台の旋回により複数のリールを順次前記送り出し位置に位置させる材料補給手段と、
前記ゴム材料の終端が前記リールから巻き出されて前記送り出しローラーに掛ったときに、前記ゴム材料の終端を前記送り出しローラーから払い出すための材料払い出し機構と
を備えており、
前記材料払い出し機構は、
前記送り出しローラーよりも搬送下流側で前記送り出しローラーの近傍に上下動自在に配置された払い出しローラーと、
前記送り出しローラーを前記ゴム材料の送り出し方向に回転させる回転駆動手段と、
前記払い出しローラーの降下を検知して前記回転駆動手段に駆動信号を出力する近接スイッチとを有しており、
前記送り出しローラーから送り出された前記ゴム材料の上に、前記払い出しローラーを上昇させた状態で載置し、
前記ゴム材料の終端が前記リールから送り出されて前記リールから解放されたときに、前記ゴム材料の張力が弛んで前記払い出しローラーが自重で下方に移動する変化を前記近接スイッチが検知し、前記送り出しローラーを回転させて前記ゴム材料の終端を前記送り出しローラーから払い落すと共に、前記補給台を旋回させて新たな前記リールを前記送り出し位置に位置させることを特徴とするタイヤ用ゴム材料搬送装置。
【請求項2】
所定長さの前記ゴム材料がストックされるように前記ゴム材料を検出する光電管を有するアキューム機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム材料搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107358(P2013−107358A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256010(P2011−256010)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】