説明

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性をバランス良く改善できるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分及びシリカを含有し、上記ゴム成分100質量%中、特定の窒素含有化合物をモノマーとして用いた変性スチレンブタジエンゴムの含有量が5質量%以上、特定のハイシスポリブタジエンの含有量が10〜70質量%であり、上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカの含有量が10〜150質量部であるタイヤ用ゴム組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗性能を向上)させることにより、車の低燃費化が行なわれてきた。近年、車の低燃費化の要求がますます強くなってきており、タイヤを製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。
【0003】
ゴム組成物の低燃費性を改善する方法として、補強用充填剤を減量する方法が知られている。しかし、かかる方法では、ゴム組成物の硬度、発熱量、補強性の低下により、ハンドリング性能(操縦安定性)、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(破壊特性)が悪化する傾向がある。
【0004】
低燃費性を改善する他の方法として、補強用充填剤であるカーボンブラックをシリカで置換する方法が知られている。しかし、シリカは表面に親水性シラノール基が存在するため、カーボンブラックに比べゴム(特に、タイヤ用ゴム組成物でよく使用される天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)との親和性が低く、耐摩耗性や力学強度(引張強度や破断伸び)の点で劣る場合がある。ゴムとシリカの親和性の向上を目的としてゴムを変性するなどの方法が検討されているが、ゴムとシリカの親和性が高くなり過ぎると、ゴムとシリカの相互作用が強くなり、混練加工性が悪化する傾向がある。
【0005】
また、耐摩耗性の改善には一般的にポリブタジエンゴムが使用され、ポリブタジエンゴムの分子量を高くすることで耐摩耗性を更に改善できる。しかし、ポリブタジエンゴムの分子量を高くすると、混練加工性が悪化する傾向がある。
【0006】
特許文献1には、無水シリカ及び含水シリカをともに含有することにより、ウェットグリップ性能を大幅に改善できるタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかしながら、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性をバランス良く改善する点については未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−192842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性をバランス良く改善できるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゴム成分及びシリカを含有し、
上記ゴム成分100質量%中、下記一般式;
【化1】

(式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
【化2】

又は
【化3】

であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
【化4】

又は
【化5】

で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムの含有量が5質量%以上、
(A)ムーニー粘度(ML):40〜49、(B)分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn):3.0〜3.9及び(C)ムーニー粘度の速度依存性指数(式(1)のn値):2.3〜3.0の要件を満足し、かつシス含量が95質量%以上のハイシスポリブタジエンの含有量が10〜70質量%であり、
上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカの含有量が10〜150質量部であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
log(ML)=log(K)+n−1×log(RS) 式(1)
(但し、RSはローターの1分間あたりの回転数、Kは任意の数、MLはムーニー粘度を表す。)
【0010】
上記ゴム組成物はトレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
【0011】
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定の窒素含有化合物をモノマーとして用いた変性スチレンブタジエンゴム及び特定のハイシスポリブタジエンをそれぞれ特定量含むゴム成分と、特定量のシリカとを配合したゴム組成物であるので、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゴム組成物は、下記一般式;
【化6】

(式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
【化7】

又は
【化8】

であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
【化9】

又は
【化10】

で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムと、(A)ムーニー粘度(ML):40〜49、(B)分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn):3.0〜3.9及び(C)ムーニー粘度の速度依存性指数(式(1)のn値):2.3〜3.0の要件を満足し、かつシス含量が95質量%以上のハイシスポリブタジエンと、シリカとを含む。
log(ML)=log(K)+n−1×log(RS) 式(1)
(但し、RSはローターの1分間あたりの回転数、Kは任意の数、MLはムーニー粘度を表す。)
【0014】
上記変性スチレンブタジエンゴムは、シリカとの相互作用が強いため、シリカを良好に分散でき、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性を改善できるが、その一方で、変性基を有しないゴムと比較して、混練加工性が劣る場合がある。
また、上記ハイシスポリブタジエンは、混練開始後早い段階からシリカと良好に混ざり合うため、良好な混練加工性が得られるとともに、耐摩耗性を改善できるが、その一方で、低燃費性、ウェットグリップ性能の低下を招く場合がある。例えば、シリカを配合したゴム組成物において、上記ハイシスポリブタジエンを未変性のスチレンブタジエンゴムと併用すると、低燃費性、ウェットグリップ性能が大きく低下する。
これに対し、本発明では、シリカを配合したゴム組成物において、上記ハイシスポリブタジエンと共に上記変性スチレンブタジエンゴムを併用することにより、優れた低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランスよく得られる。特に、耐摩耗性及び混練加工性を大きく改善できる。
【0015】
上記変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)としては、例えば、特開2010−116545号公報、特開2010−116546号公報に記載のものを使用することができる。
【0016】
Xで表される飽和炭化水素基としては、例えば、(CRで表される基などが挙げられる。Xで表される飽和炭化水素基が窒素、酸素又は硫黄を含む形態としては、例えば、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、(CR1011−S−(CR1314などが挙げられる。R〜R14は、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30(好ましくは1〜5)の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30(好ましくは3〜10)の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30(好ましくは5〜10)の芳香族炭化水素基を表す。lは3〜10(好ましくは3〜7)の整数を表す。複数の(CR)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。m及びnは1〜9(好ましくは1〜6)の整数を表す。mが2以上の場合、複数の(CR1011)のそれぞれは同じであっても異なってもよく、nが2以上の場合、複数の(CR1314)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。
【0017】
Zで表される飽和炭化水素基や、該飽和炭化水素基が窒素、酸素又は硫黄を含む形態についても、Xで表される飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0018】
シリカをより良好に分散できるという点から、Rは、水素又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、Rは、水素又は炭素数1〜2の炭化水素基であることが好ましい。また、R〜Rは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基であることが好ましく、脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。また、R〜R14は、水素又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0019】
上記変性SBRは、スチレン、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、及び上記一般式で表される窒素含有化合物(モノマー)を共重合して得られる共重合体であって、該窒素含有化合物に由来する構成単位は、主鎖部に含まれている。ここで、主鎖部とは、末端部も含む概念である。
【0020】
上記一般式で表される窒素含有化合物としては、例えば、3−または4−(2−アゼチジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、シリカをより良好に分散できるという点から、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレンが好ましい。
【0021】
上記変性SBRは、少なくとも一方の末端が、窒素、酸素、ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む官能基を有する変性剤で変性されていることが好ましく、両末端が該変性剤で変性されていることがより好ましい。これにより、各性能の改善効果を高めることができる。
【0022】
上記変性剤が有する官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基などが挙げられ、好ましくはアミノ基、アルコキシシリル基である。また、上記変性剤としては、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、四塩化ケイ素などが挙げられ、好ましくは3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシランである。
【0023】
上記変性SBRにおける窒素含有化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。0.05質量%未満では、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記変性SBRにおける窒素含有化合物の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。10質量%を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
なお、本明細書において、窒素含有化合物の含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0024】
上記変性SBRの重量平均分子量Mwは、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは2.0×10以上である。1.0×10未満では、低燃費性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。また、該Mwは、好ましくは2.0×10以下、より好ましくは1.5×10以下である。2.0×10を超えると、混練加工性が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
【0025】
ゴム成分100質量%中の上記変性SBRの含有量は、5質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。5質量%未満であると、上記変性SBRを配合した効果が十分に得られない傾向がある。また、上記変性SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、混練加工性が悪化する傾向がある。
【0026】
本発明では、ゴム成分として、上記変性SBRと共に、上記ハイシスポリブタジエン(ハイシスポリブタジエンゴム)が使用される。
【0027】
上記ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML(ML1+4))は、40〜49であり、好ましくは40〜47である。ムーニー粘度が上記範囲より大きいと混練加工性が低下し、上記範囲より小さいと耐摩耗性が低下する。なお、本明細書において、ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度(ML)は、JIS K6300−1:2001に準拠して、100℃で測定される値である。
【0028】
上記ハイシスポリブタジエンの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、3.0〜3.9であり、好ましくは3.0〜3.6である。分子量分布が上記範囲より大きいと耐摩耗性が低下し、上記範囲より小さいと混練加工性が低下する。なお、本明細書において、ハイシスポリブタジエンの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
【0029】
上記ハイシスポリブタジエンの重量平均分子量Mwは、好ましくは50万〜70万、より好ましくは55万〜65万である。分子量が上記範囲より大きいと混練加工性が低下し、上記範囲より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。
【0030】
上記ハイシスポリブタジエンの数平均分子量Mnは、好ましくは12万〜25万、より好ましくは15万〜22万である。分子量が上記範囲より大きいと混練加工性が低下し、上記範囲より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。
【0031】
上記ハイシスポリブタジエンのムーニー粘度の速度依存性指数(式(1)のn値)は、2.3〜3.0であり、好ましくは2.4〜2.9、より好ましくは2.4〜2.8である。n値が2.3より小さいとシリカの混練性(分散性)が悪くなって混練加工性が悪化し、3.0より大きいと低燃費性が悪化する。
【0032】
n値は、JIS K6300−1:2001に準拠して、ローターの回転速度(1/分)を変えてムーニー粘度(ML)を測定し、ムーニー粘度(ML)とローター回転数(RS)から下記式(1)により求めた直線の傾きの逆数である。ここで、log(K)は、直線の切片を意味する任意の数である。
log(ML)=log(K)+n−1×log(RS) 式(1)
(但し、RSはローターの1分間あたりの回転数、Kは任意の数、MLはムーニー粘度を表す。)
なお、上記式(1)は、非ニュートン流動に対するn乗則の理論式(下記式(2))に基づいて得ることが可能である。
γ=kτ 式(2)
(但し、γ:速度勾配,τ:せん断応力,k−1=η:粘性係数)
【0033】
n値は、ポリブタジエンの分岐度と分子量分布により決定され、ムーニー粘度とは相関性が無い。ポリブタジエンの分岐度や分子量分布が大きくなるとn値は大きくなり、ポリブタジエンの分岐度や分子量分布が小さくなるとn値は小さくなる。
【0034】
また、n値の範囲の操作は、分子量分布も最適にする必要があるため、例えば以下のように二段階で行なうことができる。先ず、ブタジエンの重合段階においてn値が小さく分子量の異なるポリブタジエンを数種類重合する。次に、分子量の異なる前記ポリブタジエン数種類をブレンドして分子量分布を広げることで、n値を最適な範囲に調整する。重合段階でのn値は、助触媒である有機アルミニウム化合物と水との混合モル比で調整することができる。すなわち、所定量の有機アルミニウム化合物に対し、水の添加量を増加させることで、混合モル比は小さくなり、混合モル比が小さくなるに従ってn値も小さくなる傾向にある。重合段階での助触媒である有機アルミニウム化合物と水との混合モル比は、好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.0〜1.5である。混合モル比が2.0を超えると、n値が大きくなりすぎ、1.0未満であると重合活性が著しく低下する場合があるので好ましくない。
【0035】
上記ハイシスポリブタジエンの5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)の比(Tcp/ML)は、好ましくは2.5〜3.5であり、より好ましくは2.5〜3.0である。Tcp/MLが上記範囲より大きいと、素ゴム(ハイシスポリブタジエン)のコールドフロー性が大きくなり、上記範囲より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。なお、5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)は、ハイシスポリブタジエン2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
【0036】
上記ハイシスポリブタジエンのシス含量は、95質量%以上、好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。シス含量が上記範囲より小さいと耐摩耗性が低下する。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析により算出される。
【0037】
上記ハイシスポリブタジエンは、例えば、コバルト系触媒により製造することができる。コバルト系触媒としては、(a)コバルト化合物、(b)ハロゲン含有有機アルミニウム化合物、及び(c)水からなる触媒系をあげることができる。
【0038】
コバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルトなどのコバルト塩や、コバルトのビスアセチルアセトネートやトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、コバルト塩のピリジン錯体やピコリン錯体などの有機塩基錯体、もしくはエチルアルコール錯体などが挙げられる。
【0039】
ハロゲン含有機アルミニウムとしては、トリアルキルアルミニウムやジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライドなどをあげることができる。
【0040】
具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0041】
さらに、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのような有機アルミニウムハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機アルミニウム化合物も含まれる。これらの有機アルミニウム化合物は、二種類以上併用することができる。
【0042】
(a)成分と(b)成分とのモル比(b)/(a)は、好ましくは0.1〜5000、より好ましくは1〜2000である。
【0043】
(b)成分と(c)成分とのモル比(b)/(c)は、好ましくは0.7〜5であり、より好ましくは0.8〜4であり、特に好ましくは1〜3である。
【0044】
ブタジエンモノマー以外にイソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3− ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどの共役ジエン、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブテン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などの非環状モノオレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの環状モノオレフィン、及び/又はスチレンやα−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジオレフィンなどを少量含んでいてもよい。
【0045】
重合方法は、特に制限はなく、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物モノマ−そのものを重合溶媒とする塊状重合(バルク重合)、又は溶液重合などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、上記のオレフィン化合物やシス−2−ブテン、トランス−2−ブテンなどのオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0046】
中でも、トルエン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
【0047】
重合温度は−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲が特に好ましい。重合時間は1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間が特に好ましい。
【0048】
所定時間重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程などの後処理を行うことにより、上記ハイシスポリブタジエンが得られる。なお、上記ハイシスポリブタジエンの市販品としては、宇部興産(株)製のBR710などが挙げられる。
【0049】
ゴム成分100質量%中の上記ハイシスポリブタジエンの含有量は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な低燃費性、耐摩耗性が得られない。上記ハイシスポリブタジエンの含有量は70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。70質量%を超えると、充分なウェットグリップ性能が得られない。
【0050】
ゴム成分100質量%中の上記変性SBR及び上記ハイシスポリブタジエンの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。80質量%未満であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をバランス良く得られないおそれがある。
【0051】
本発明のゴム組成物は、上記変性SBR及び上記ハイシスポリブタジエンととともに、他のゴム成分を併用してもよい。他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などのジエン系ゴムが挙げられる。
【0052】
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0053】
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。100m/g未満であると、補強効果が小さく、十分な耐摩耗性が得られないおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。300m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、十分な低燃費性が得られないおそれがある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される。
【0054】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは60質量部以上である。10質量部未満であると、シリカ配合による十分な効果が得られない傾向がある。該含有量は、150質量部以下、好ましくは90質量部以下である。150質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、混練加工性が悪化する傾向がある。
【0055】
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。ここで、シランカップリング剤の含有量の下限はシリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは6質量部以上であり、上限は好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0056】
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。
ここで、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは60m/g以上、より好ましくは90m/g以上である。60m/g未満では、十分な補強性や耐摩耗性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、好ましくは180m/g以下、より好ましくは130m/g以下である。180m/gを超えると、分散性が悪化し、発熱性が増大する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0057】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜20質量部である。5質量部未満では、十分な補強性が得られないおそれがあり、20質量部を超えると、十分な低発熱性が得られない傾向がある。
【0058】
本発明のゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60〜120質量部である。上記範囲内であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランスよく得られる。
【0059】
シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有率は、50質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。また、該含有率は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であると、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性がバランスよく得られる。
【0060】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、オイル、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
【0061】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドに好適に使用できる。
【0062】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(トレッドなど)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
【実施例】
【0063】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0064】
以下に、モノマー(1)、重合体(1)〜(2)の合成で用いた各種薬品について説明する。
シクロへキサン:関東化学(株)製
ピロリジン:関東化学(株)製
ジビニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製
1.6M n−ブチルリチウムへキサン溶液:関東化学(株)製
イソプロパノール:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
変性剤:アヅマックス社製の3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
【0065】
製造例1(モノマー(1)の合成)
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロへキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン6.5gを加え、0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mlを加えて撹拌した。
1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことでモノマー(1)を得た。
【0066】
製造例2(重合体(1)の合成)
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(41.0g)、モノマー(1)0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。
3時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(1)を得た。
【0067】
製造例3(重合体(2)の合成)
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(41.0g)、モノマー(1)0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。
3時間後、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(変性剤)を0.5ml(0.49g)加えて撹拌した。
1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(2)を得た。
【0068】
(重合体の重量平均分子量Mwの測定)
重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
【0069】
(重合体中の窒素含有化合物の含有量の測定)
重合体中の窒素含有化合物の含有量(モノマー(1)量)は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
【0070】
以下、実施例及び比較例で使用した薬品について説明する。
SBR:旭化成ケミカルズ(株)製のE15
重合体1:主鎖変性SBR(製造例2にて製造、Mw:3.0×10、モノマー(1)量:1.0質量%)
重合体2:主鎖及び末端変性SBR(製造例3にて製造、Mw:3.0×10、モノマー(1)量:1.0質量%)
BR1:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
BR2:宇部興産(株)製のウベポールBR150L
BR3:宇部興産(株)製のウベポールBR230
BR4:宇部興産(株)製のウベポールBR710(特許第4124273号公報に記載の方法により製造されたハイシスポリブタジエンゴム)
NR:RSS#3
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA:114m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
【0071】
BR1〜4について、上述の測定方法により分析した結果をまとめて表1に示す。なお、BR4が、上記ハイシスポリブタジエンに該当する。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例及び比較例
表2に示す配合内容に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で10分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
【0074】
得られた未加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを用いて以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
(加工性(混練加工性))
上記未加硫ゴム組成物を押出し成形し、得られたゴムシートのシート形状を目視で観察し、以下の基準で評価した。シート形状が悪いほど、加工性(作業性)が低いことを示す。結果が◎、○であれば加工性は問題ないレベルである。
◎:シート形状は非常に良好
○:シート形状は良好
△:シート形状は悪い
×:シート形状はボロボロ(非常に悪い)
【0076】
(転がり抵抗)
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15x6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
【0077】
(ウェットグリップ性能)
湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、指数が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
ウェットグリップ性能指数=(比較例1の制動距離)/(各実施例又は各比較例の制動距離)×100
【0078】
(耐摩耗性)
製造した試験用タイヤを車に装着し、市街地を8000km走行後の溝深さの減少量を測定し、溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。そして、比較例1の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により溝深さの減少量を指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
耐摩耗性指数=(各実施例又は各比較例の走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
【0079】
【表2】

【0080】
表2より、主鎖変性モノマーとして特定の窒素含有化合物を用いた変性SBR(重合体1、2)と、特定のハイシスポリブタジエン(BR4)とをそれぞれ特定量含むゴム成分と、特定量のシリカとを配合した実施例では、比較例に比べて、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び混練加工性をバランス良く改善できた。また、該変性SBRとハイシスポリブタジエンの併用で、耐摩耗性を相乗的に改善できることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分及びシリカを含有し、
前記ゴム成分100質量%中、
下記一般式;
【化1】

(式中、Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素、
【化2】

又は
【化3】

であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、
【化4】

又は
【化5】

で置換されていてもよい。Zは2価の飽和炭化水素基を表し、窒素、酸素又は硫黄を含んでいてもよい。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。)で表される窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有する変性スチレンブタジエンゴムの含有量が5質量%以上、
(A)ムーニー粘度(ML):40〜49、(B)分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn):3.0〜3.9及び(C)ムーニー粘度の速度依存性指数(式(1)のn値):2.3〜3.0の要件を満足し、かつシス含量が95質量%以上のハイシスポリブタジエンの含有量が10〜70質量%であり、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が10〜150質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
log(ML)=log(K)+n−1×log(RS) 式(1)
(但し、RSはローターの1分間あたりの回転数、Kは任意の数、MLはムーニー粘度を表す。)
【請求項2】
トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
請求項2記載のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2013−10818(P2013−10818A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142842(P2011−142842)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】