タイヤ監視システム及び監視方法
【課題】導入コストを高騰化することなく、タイヤの空気圧が低くなり過ぎたことを確実に検出することが出来るタイヤ監視システム及び監視方法の提供。
【解決手段】ホイール(4)に近接センサ(5)及び近接センサ(5)の検出結果を電波信号としてシャシ(3)側に発信する発信器(7)とを設け、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)がリム(41)側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ(3)側にはホイール(4)の発信器(7)から発信された電波信号を受信する受信器(8)と、受信器(8)が受信した電波信号からタイヤ(45)がリム(41)側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置(10)とを有する。
【解決手段】ホイール(4)に近接センサ(5)及び近接センサ(5)の検出結果を電波信号としてシャシ(3)側に発信する発信器(7)とを設け、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)がリム(41)側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ(3)側にはホイール(4)の発信器(7)から発信された電波信号を受信する受信器(8)と、受信器(8)が受信した電波信号からタイヤ(45)がリム(41)側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置(10)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤ、例えばランフラットホイールに取り付けられたタイヤの空気圧が低下したか否かを監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ランフラットホイールは、タイヤがパンクをすると、タイヤの接地部の内面が中子に当る様に構成されており、乗用車、バス、トラック等に適用されている。
ランフラットホイールではない通常のホイールでは、パンクしてタイヤ内の圧力が低下すると、タイヤの接地部内面がリムに当ってしまう。タイヤの接地部内面がリムに当ってしまうと、特にフロントタイヤの接地部内面がリムに当るような状態になると、瞬時に、いわゆる「ハンドルがとられた」状態となり、車両の姿勢を維持することが困難になる。
【0003】
これに対して、ランフラットホイールシステムでは、パンクをしても、タイヤの接地部が中子に当たった状態で、ある程度は車両の姿勢を保った状態で、一定距離(例えば、乗用車であれば100km程度:大型トラックでも30km程度)の走行が可能である。
【0004】
図10は、ランフラットホイールシステムを模式的に示し、図11は、ランフラットホイールシステムの断面を示している。
図10、図11において、ランフラットホイールシステム4Jは、ホイール本体40と、中子44と、タイヤ45とから構成されている。中子44は、円環状の部材を、例えば図10の例では円周方向に6等分に分割されており、その6等分に分割された6個の分割部材440は、隣接する分割部材440と図示しない接続部材によって結合されて、円環状に一体に構成されている。
円環状に一体に構成された中子44は、図11で示す様に、ホイール40におけるリム41の幅方向の中央で、リム外周面41oに接触している。
図10において、符号Bは、中子44の円周方向における分割箇所を示す。
図11において、符号42はディスクを示し、符号46はインフレータバルブを示す。
【0005】
ランフラットホイールシステム4Jは、道路状況などが悪い地域、または、タイヤ交換がその場で出来ないような地域においては、大変有効である。その様な地域で走行している車両が、例えば夜間にタイヤ45がパンクしても、その場所でタイヤ45を交換することなく、安全なところまで走行して、パンクを修理することが出来るからである。
また、タイヤ45がバースト等により、瞬時に空気が抜けても、安全な場所まで走行することが可能だからである。
【0006】
さらに、ランフラットホイールシステム4Jを採用すれば、タイヤ空気圧が0になったとしても、車両の姿勢を保って、ある程度の距離(乗用車ならば100km程度、大型トラックでは30km程度)までは、そのままで走行可能である。
すなわち、ランフラットホイールシステム4Jを採用すれば、タイヤがパンクしても路肩等でスペアタイヤに交換することなく、修理設備のある個所まで走行することが出来るのである。そのため、走行が限られた範囲内であれば、スペアタイヤそのものを省略することも可能になる。
【0007】
スペアタイヤを省略できれば、車両におけるスペアタイヤ収納スペースを省略して、その分を有効利用できる。特に、いわゆる「ハイブリッド車」や「天然ガス自動車」等では、ガスタンク等の補器がスペースを占めるので、スペアタイヤ収納スペースを省略出来るメリットが大きい。
【0008】
また、スペアタイヤそのものを省略できれば、スペアタイヤを廃棄する必要が無くなり、スペアタイヤを焼却しなくても済む。そのため、CO2削減の効果が得られる。
【0009】
ここで、ランフラットホイールに取り付けたタイヤの空気圧が減少して、タイヤの接地部内面が中子に当った状態になっても、ドライバーは気がつかない場合が多い。特に後輪がパンクした場合には、後輪のタイヤの接地部内面が中子に当っても、ドライバーは気がつかない場合が多い。
タイヤの接地部内面が中子に当っていても、ドライバーがそのことに気がつかないで走行を続けると、タイヤがバーストしてしまう可能性があり、危険である。
【0010】
ランフラットホイールではなくて、通常のホイールにおいても、車両走行の際に、タイヤの空気圧が低すぎることは、走行に悪影響を及ぼして、危険である。
そのため、特にランフラットホイールにおいては、車両走行における安全性を確保するためには、タイヤ内のエア圧をモニタリングするシステムの搭載が、必要となる。
【0011】
従来技術において、タイヤ空気圧のモニタリングシステムは存在する。係る技術は、(ランフラットホイールに取り付けられたタイヤ以外の)一般のタイヤでも適用されており、普及している。
係るタイヤ空気圧のモニタリングシステムは、例えば、タイヤ内の空気圧を検出するセンサと、その検出結果に基づいてタイヤ内の空気圧を監視するモニタ装置と、センサの検出結果をモニタ装置の受信器へワイヤレスで送信する送信装置とを備え、前記センサと送信装置は各タイヤに設けられている(特許文献1参照)。
【0012】
しかし、従来技術におけるモニタリングシステム(特許文献1のシステムも含む)は、何れも導入するためのコストが高くなり過ぎてしまう、という問題を有している。
変動するタイヤ内のエア圧を計測し、且つ、計測結果を電波信号として常時発信しなければならないので、高級なデジタル回路を使用せざるを得ない。そのため、タイヤ側に取り付けられたセンサモジュール(電波発信装置)が高価となり、システム全体が高価格となるからである。
【0013】
ランフラットホイール自体も(ランフラットホイールではない通常のホイールに比較して)高価であるということに加えて、タイヤ内のエア圧をモニタリングするシステムも高価なことにより、ランフラットホイールを用いた車両の価格も高価になってしまう。その結果、ランフラットホイールそのものの普及が妨げられている。
【特許文献1】特開2004−145474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、導入コストを高騰化することなく、タイヤの空気圧が低くなり過ぎたことを確実に検出することが出来るタイヤ監視システム及び監視方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のタイヤ監視システムは、ホイール(4)に近接センサ(5)及び近接センサ(5)の検出結果を電波信号(So1、So11)としてシャシ(3)側に発信する発信器(7、16)とを設け、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がリム(41)側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ(3)側にはホイール(4)の発信器(7、16)から発信された電波信号(So1、So11)を受信する受信器(8)と、受信器(8)が受信した電波信号(So1、So11)からタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がリム(41)側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置(9)とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0016】
本発明において、ホイール(4)側にはタイヤ(45)内部空間(45i)の温度を計測する温度センサ(6)も設けられており、前記発信器(7、17)は温度センサ(6)の検出結果も電波信号(So1、So12)としてシャシ(3)側に発信する様に構成されており、前記制御装置(9)は、受信器(8)が受信した電波信号(So1、So12)からタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0017】
また本発明(請求項1の発明)において、ホイール(4)のリム(41)には中子(44)が設けられており(換言すれば、ホイール(4)はランフラットホイールであり)、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)と近接したことを感知する様に配置されており、制御装置(9)はタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0018】
さらに本発明(請求項2の発明)において、ホイール(4)のリム(41)には中子(44)が設けられており(換言すれば、ホイール(4)はランフラットホイールであり)、温度センサ(6)も中子(44)に配置されており、制御装置(9)はタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0019】
本発明のタイヤ監視システム(請求項1のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)、とを有することを特徴としている(請求項5)。
【0020】
本発明のタイヤ監視システム(請求項2のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になったか否かを判定する工程(S6)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になった場合に運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S7)、とを有することを特徴としている(請求項6)。
【0021】
そして、リム(41)に中子(44)を設けたホイール(ランフラットホイール4)に取り付けたタイヤ(45)を監視するタイヤ監視システム(請求項3のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)、とを有することを特徴としている(請求項7)。
【0022】
また、リム(41)に中子(44)を設けたホイール(ランフラットホイール4)に取り付けたタイヤ(45)を監視するタイヤ監視システム(請求項4のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になったか否かを判定する工程(S6)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になった場合に運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S7)、とを有することを特徴としている(請求項8)。
【発明の効果】
【0023】
上述する構成を具備する本発明によれば、空気が抜けたことをドライバーが把握し難い後輪がパンクしても、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側(ランフラットタイヤであれば、リム41に設けた中子44)に近接したことが近接センサ(5)により検知され、ドライバーに警告される。
これによりドライバーはタイヤ(45)の空気が抜けたことを直ちに把握することが出来るので、タイヤ修理設備に移動して、速やかにタイヤ(45)を修理することが可能になる。
換言すれば、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側(或いは、ランフラットタイヤの中子44)に当っていることに気がつかないまま走行して、タイヤ(45)がバーストしてしまうことが、本発明では確実に防止される。
【0024】
ここで、近接センサ(5)は、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が近接センサ(5)の感知部(50)と近接した場合にのみ、計測信号を出力するので、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)とホイール(4)のリム(41)側(或いは中子44)とが近接していない状態では、電力消費が少ない。そのため、本発明によれば、従来の空気圧センサを用いる場合に比較して、電力消費量が少なく、電源である電池の寿命を長期化することが出来る。
ここで、近接センサ(5)は、タイヤ(45)が路面に接触する領域(トレッド部45t)に埋め込まれたスチールコード(45b)が接近することを検知するものであり、検出信号を発生するためにタイヤ(45)そのものと接触する必要がない。検知するためにタイヤ(45)と直接的に接触する必要が無いので破損し難く、損耗し難い。従って、センサとしての寿命が長くなり、係る近接センサ(5)を使用する本発明の監視システム(100)の寿命も長期化することが可能である。
しかも、本発明によれば、変動するタイヤ内のエア圧を常時計測する必要は無く、且つ、計測結果を電波信号として常時発信する必要も無いので、従来の空気圧センサのような高級なデジタル回路を使用する必要が無い。そのため、本発明によれば、タイヤ監視システム全体を安価に導入することが出来る。
【0025】
ここで、タイヤ(45)の接地部(45a)が中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)側に当った状態で走行し続けると、タイヤ(45)の接地部(45a)と中子あるいはホイール(4)のリム(41)との摩擦熱のため、タイヤ内側の空間の温度が上昇する。
そして、タイヤ(45)の接地部(45a)と中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)との摩擦熱によりタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇するということは、タイヤ(45)自体が路面と中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)とにより挟みつけられて、過度の負荷が掛かった状態で一定以上の時間が経過しているということであり、タイヤ(45)がバーストする危険性が高くなったということでもある。
本発明において、温度センサ(6)を設ければ(請求項2)、タイヤ内部空間(45i)の温度が所定の温度(しきい値温度以上)になったことを検出することにより、タイヤ(45)がバーストする危険が上昇したことをドライバーに警告することが出来るので、車両の安全走行に大いに寄与することが出来る。
【0026】
すなわち、本発明で温度センサ(6)を設ければ(請求項2)、近接センサ(5)により、リム(41)側(或いは中子44)とタイヤ(45)の接地部(45a)が近接したことをドライバーに警告し、温度センサ(6)により、タイヤ(45)がバーストする危険性が増加したことをドライバーに警告することが出来る。
この様に、近接センサ(5)と温度センサ(6)とにより、ドライバーに対して二重に警告することによって、タイヤ(45)の空気圧が低下して、タイヤ(45)の接地部(45a)がリム(41)側(或いは中子44)に近接しまたは当ってしまったことをドライバーが気づかずに走行し続けることを確実に防止出来る。
【0027】
それに加えて、近接センサ(5)と同様に、温度センサ(6)も、タイヤ内部空間温度がしきい値よりも高温にならない限り、信号を出力しない。常時信号を出力する空気圧センサに比較して、電力消費が少ない。
そのため、近接センサ(5)と温度センサ(6)とを並列に設けても、従来のタイヤ空気圧センサを用いる場合に比較して、電池寿命を極めて長期化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面の図1〜図9を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図9において、図10、図11と同様な部材には、同様な符号を付して説明している。
最初に、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0029】
第1実施形態に係るタイヤ監視システムは、図1において全体が符号100で示されており、例えば、貨物自動車に適用されている。図2は、図1で示すタイヤ監視システムの構成から、貨物車両1を除いた詳細を示している。図3では、ホイール及びタイヤと、タイヤ内の空気圧監視に必要な部材だけが、模式的に示されている。
【0030】
図1では、第1実施形態に係るタイヤ監視システム100は、貨物車両1に適用されている。貨物車両1は、キャブ(運転室)2、シャシ3、ホイール4を有している。
タイヤ監視システム100は、ホイール4のタイヤ45内に、近接センサ5と、温度センサ6と、発信器7とを有している(図5参照)。また、タイヤ監視システム100は、シャシ3側に受信器8を有しており、キャブ(運転室)2側に制御装置9と警告装置10とを有している。
【0031】
図2において、発信器7は、電源制御部71と、高周波発信部72と、小型電池73とを有している。
近接センサ5及び温度センサ6は、結線(ワイヤーハーネス)Liにより発信器7と接続されている。近接センサ5、温度センサ6及び発信器7は、発信器7内の電池73を作動電源としている。
受信器8と制御装置9と警告装置10は、シャシ3に搭載されたバッテリ11から電力を供給されている。
制御装置9は、スピードメータ12及びキースイッチ13のACC(アクセサリー)ポジションと接続されている。スピードメータ12は、車両の用途によっては、接続しなくても良い。
【0032】
近接センサ5は、タイヤ45が路面に接触する領域(トレッド部)45tに埋め込まれたスチールコード45bが接近することを検知する様に構成されている(図5参照)。
【0033】
図2及び図3で示す様に、近接センサ5と温度センサ6の検出結果は、発信器7における高周波発信部72から電波信号(矢印So1)として発信され、シャシ3側の受信器8に受信される。そして、制御装置9に送られる。
制御装置9は、近接センサ5と温度センサ6の検出結果に基づいて必要な制御を行い、タイヤ45の空気圧が低下して、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に近接した場合には、その旨をキャブ2における警告装置(例えば、警告ランプ)10で警告する。なお、監視制御の詳細については、図7を参照して後述する。
【0034】
図3で示す様に、センサ(近接センサ5と温度センサ6)は各ホイール4に設けられている。そして、各ホイール4に設けられた発信器7の高周波発信部72から発信される電波信号So1は、各ホイール4に対応してシャシ3側に設けられた受信器8により、各々検出される。すなわち、図4で示す様に、シャシ3側の受信器8はホイール4の数だけ設けられており、各ホイール4に設けられた高周波発信部72から発信される電波信号So1は、対応する受信器8により受信される。
この様に構成すれば、制御装置9において、どのホイール4のタイヤ45の空気圧が減少して、タイヤ45の接地部45aと中子44またはリム41が近接したのかを容易且つ正確に判定することが出来る。
【0035】
各ホイール4に設けた発信器7と、シャシ3側の受信器8との距離は、必要以上に長い距離に設定することは好ましくない。シャシ3は金属板が多用されており、発信器7と受信器8との距離が必要以上に長いと、発信器7からの電波信号So1が、シャシ3の金属材料により遮られてしまうからである。
【0036】
第1実施形態によれば、空気が抜けたことをドライバーが把握し難い後輪4がパンクしても、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に近接したことが近接センサ5により検知され、キャブ2内の警告装置10によりドライバーに知らされる。そのため、ドライバーはタイヤ交換ができる安全な場所やタイヤ修理設備がある個所へ移動して、速やかにタイヤ45を交換または修理することが出来る。
換言すれば、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に当っていることに(ドライバーが)気がつかないまま走行して、タイヤ45がバーストしてしまうことが防止される。
【0037】
ここで、近接センサ5は、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50と近接している場合、あるいは当ってしまっている場合にのみ、計測信号を出力し、タイヤ45の空気圧が低下せず、タイヤ45の接地部45aと中子44またはリム41とが近接していない状態では、電力消費が少ない。
そのため、空気圧センサが常に作動している従来技術と比較して、電力消費量が少なく、電源(例えば電池73)の寿命を長期化出来る。
発信器7は、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aが近接センサ5に近接した場合、あるいは、その後に近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと当たってしまった場合にのみ、電波信号を発信するような回路とすることが望ましい。
【0038】
ランフラットホイール4の中子44と、近接センサ5及び温度センサ6の詳細を示す図5において、近接センサ5の感知部50は、中子44の外縁部(半径方向外方面:図5では上方縁部)44a近傍で、中子のひさし部分44cの半径方向内側に設けられている。
図5において、ホイール(ランフラットホイール)4は、ホイール本体40とタイヤ45と中子44とで構成されている。ホイール本体40は、リム41とディスク42を有し、リム41の1箇所にインフレータバルブ46が取り付けられている。
近接センサ5を中子44に取り付けている態様は、図6において、より詳細に示されている。
【0039】
図6は、図5を矢印Y方向から見た状態を示しており、近接センサ5は中子44のひさし部分44cの半径方向内方(図6の矢印Ri方向)に設けられている。そして、近接センサ5が設けられた個所直近のひさし部分44c、或いは近接センサ5の半径方向外方(図6の矢印Ro方向)のひさし部分44cには、切欠部44kが形成されている。
【0040】
係る切欠部44kを形成することにより、近接センサ5は、スチールコード45bが近接した旨を感知することが出来る。ここで、スチールコード45bは、図5において矢印R方向におけるタイヤの領域に埋め込まれている。
換言すれば、切欠部44kを形成しない場合には、中子のひさし部分44cによって遮られてしまうので、近接センサ5は、タイヤ45に埋め込まれたスチールコード45bの近接を感知し難くなる。
【0041】
図6で示す様に、近接センサ5はケーシング51に取り付けられており、ケーシング51はフランジ52を有している。そして、フランジ52は、ブラケット53を介して図示しないボルトにより中子44に取り付けられており、以って、ケーシング51が中子44に取り付けられている。
なお、図6において符号50は近接センサ5の感知部を示す。
【0042】
図5において、タイヤ45の空気圧が減少してタイヤ45の接地部45aのスチールコード45bが中子44に近接すれば、近接センサ5がその旨を検知して、発信器7から検知信号を発信する。係る信号はシャシ3側の受信器8に受信され、制御装置9へ送られる。その結果、タイヤ45の空気圧が低下し、タイヤ45の接地している側が凹んで、中子44と近接したことが、車両の運転者に警告され、報知される。
【0043】
図示はされていないが、ランフラットホイールではない通常のホイール(中子を有していないタイプのホイール)に第1実施形態に係る監視システムを適用する場合には、近接センサ5及び温度センサ6は、リム41に取り付けられる。
あるいは、例えば、リム41に台座(ホイールの半径方向外側へ突出した部分)を形成し、その台座に近接センサ5及び温度センサ6を設けることが出来る。
【0044】
そのように構成すれば、パンクその他の要因によってタイヤ45の空気圧が低下し、タイヤ45の接地している側が凹むと、タイヤ45における路面に接触する部分(スチールコード45bが埋設されている部分)45aの内側部分がリム41に近接し、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50に近接したことが検知される。そして、タイヤ45の空気圧が低下して、リム41と近接したことが、ドライバーに警告されるのである。
【0045】
近接センサ5と同様に、後述する温度センサ6も、タイヤ内部空間温度がしきい値よりも高温にならない限り、信号を出力しない。常時信号を出力する空気圧センサに比較して、電力消費が極めて少ない。
そのため、近接センサ5と温度センサと6を並列に設けても、発信器7の電池73の寿命は、従来のタイヤ空気圧センサの場合に比較して、極めて長期化することが出来る。
【0046】
第1実施形態では、変動するタイヤ内のエア圧を常時計測する必要は無く、且つ、計測結果を電波信号として常時発信する必要も無いので、従来の空気圧センサのような高級な電子回路を使用する必要が無い。そのため、タイヤ監視システム全体を安価に導入することが出来る。
【0047】
図1、図2で示す様に、各ホイール4には、近接センサ5に加えて、温度センサ6が設けられている。
図5で示す様に、温度センサ6は、例えば中子44の内側の空間44iに設けられるが、発信器(図1、図2参照)7内部に温度センサ6を設けても良い。
換言すれば、温度センサ6の取り付け位置は、タイヤ45内部の空気の温度が上昇した旨を検知することができて、且つ、温度センサ6が破損する可能性が小さい個所であれば、特に限定するものではない。
発信器7は温度センサ6と同様に、中子44の内側の空間44iに設けられている。
高周波発信部72がシャシ側の受信器8に向かって電波信号を送信し易いように、発信器7を取り付けることが好ましい。
【0048】
タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当った状態で走行し続けると、タイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦熱のため、タイヤ45内側45iの温度が上昇する。
ここで、潤滑剤によりタイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦を抑制することは出来る。しかし、タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当った状態で走行し続けると潤滑剤が消滅してしまう。その結果、中子44とタイヤ45の接地部45aの内面との摩擦により、タイヤ45内部45iの温度が上昇する。
【0049】
タイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦熱によりタイヤ45内部45iの温度が上昇するということは、タイヤ45の接地部45a自体が路面と中子44とにより挟みつけられて、過度の負荷が掛かった状態で、一定以上の時間が経過しているということであり、タイヤ45がバーストやヒートクラックを起こす危険性が高くなったということでもある。
温度センサ6を設け、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になったことを検出し、タイヤ45がバーストやヒートクラックを起こす可能性が増加したことをドライバーに警告すれば、車両1の安全走行の見地から、極めて有効である。
【0050】
すなわち、図示の実施形態によれば、近接センサ5により、中子44とタイヤ45の接地部45aの内面が近接したことをドライバーに警告し、温度センサ6により、タイヤ45がバーストする危険性が増加したことをドライバーに警告することが出来る。
この様に、近接センサ5と温度センサ6とにより、ドライバーに対して二重に警告することによって、パンク等によるタイヤ45の空気圧が低下して、タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当っても、ドライバーがそれに気がつかずに走行し続けてしまうことや、タイヤ45がバーストしてしまうことを、未然に防止することが出来る。
【0051】
温度センサ6としては、耐振動性があるタイプが好ましい。
ここで温度センサ6は、感度が高いもの(敏感なもの)である必要は無い。例えば、バイメタル方式でも良い。
また、温度センサ6として、サーミスタや熱電対等を用いても良い。
図示はされていないが、ランフラットホイール4ではない通常のホイール(中子を有していないタイプのホイール)に実施形態に係る監視システムを適用する場合には、上述した様に、温度センサ6をリム41に設けるか、或いは、リム41に台座(ホイールの半径方向外側へ突出した部分)を形成し、その台座に設けることが可能である。
【0052】
ここで、各ホイール4の発信器7から発信される電波信号So1(図2、図3参照)は、タイヤ45側方の領域(図5における矢印S方向の領域)から射出されて、シャシ3側の受信器8に受信される。タイヤ45が道路と接触する領域(図5において、スチールコード45bが埋め込まれている領域、矢印R方向の領域)からは、電波信号So1は射出され難い。
タイヤ45の矢印R方向の領域に埋め込まれたスチールコード45bが、電波遮蔽(ファラデーシールド)として作用するので、タイヤ45の矢印R方向領域では、電波が遮蔽されてしまうからである。
【0053】
なお、図5で示す様に、ランフラットホイール4においては、リム41は多片リムとして構成されているのが好ましい。
多片リムであれば、リム41に、中子44およびタイヤ45を容易に取り付けることが出来るからである。
なお、中子44がタイヤ45とともに、リム41に容易に取り付けられる構造であれば、リム41は一体構造であっても良い。
【0054】
次に図7のフローチャートを参照して、図1〜図6で示す第1実施形態における制御について説明する。
図7のステップS1において、制御手段9は、近接センサ5からのタイヤ45の接地部45aが接近した旨の信号の受信があったか否かを判断する。タイヤ45の接地部45aが接近した旨の信号の受信があったならば(ステップS1がYES)、スピードメータ12の速度信号が所定の速度以上であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0055】
スピードメータ12の速度信号が所定の速度以上であれば(ステップS2がYES)、例えば、タイヤが転がっている状態、あるいは走行状態であると判断して、ステップS3に進む。
ステップS3では、近接センサ5からの近接した旨の信号(近接信号)が、所定時間以上継続しているか否かを判断する。近接センサ5からの近接した旨の信号が、所定時間以上継続している場合(ステップS3がYES)には、ステップS4に進む。
【0056】
ステップS2において、スピードメータ12の速度信号が所定の速度よりも遅い場合には(ステップS2がNO)、例えば、タイヤが転がっていない状態であるか、あるいは停車状態であると判断して、ステップS1に戻る。
ステップS3において、近接センサ5からの近接した旨の信号が継続している時間が、所定時間よりも短い場合(ステップS3がNO)も同様に、ステップS1に戻る。
【0057】
ステップS2あるいはステップS3でNOと判定されるケースとしては、例えば、段差やキャッツアイマーカーなどにタイヤ45が乗り上げた状態で停車した場合がある。その様な場合には、段差やキャッツアイマーカーなどによりタイヤ45の接地部45aが押圧され、タイヤ45の空気圧が低下していないにもかかわらず、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5に近接してしまう。ステップS2、ステップS3を設ける事により、その様な場合(段差やキャッツアイマーカーなどにタイヤ45が乗り上げた状態で停車した場合)に、タイヤ空気圧が減少したと誤判断する事が防止できる。
なお、図示はしていないが、ステップS2を省略することが可能である。
【0058】
ステップS1において、タイヤ45の接地部45aが近接した旨の受信がなければ(ステップS1がNO)、ステップS5に進む。
【0059】
ステップS5では、制御手段9は、温度センサ6から、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信したか否かを判断する。タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信していれば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。
一方、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信しなければ(ステップS5がNO)、ステップS9に進む。
【0060】
ステップS6では、制御手段9は、温度センサ6が計測した計測温度がしきい値を超えているか否かを判断する。計測温度がしきい値を超えていれば(ステップS6がYES)、警告装置10によって、タイヤ内部温度が危険領域まで上昇している旨を警告し(ステップS7)、ステップS8に進む。
一方、計測温度がしきい値を超えなければ(ステップS6がNO)、ステップS9に進む。
【0061】
ステップS8では、制御手段9は制御を終了するか否かを判断する。制御を終了するのであれば(ステップS8がYES)、そのまま終了し、制御を続行するのであれば(ステップS8がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0062】
ステップS9では、制御手段9はキースイッチ13がOFFになっているか否かを判断する。キースイッチ13がOFFになっていれば(ステップS9がYES)、制御を終了する。一方、キースイッチ13がOFFになっていなければ(ステップS9がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0063】
図7では明示されていないが、ステップS1では、近接センサ5からのタイヤ45の接地部45aが近接した旨の計測信号を一定時間(例えば10秒)以上に亘って継続的に受信した場合にのみ、タイヤの空気圧が減少して、タイヤの接地部45aが中子と近接したと判断する。
走行中にタイヤ45が道路における各種段差部に乗り上げてしまった場合に、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50と近接する可能性があり、その様な場合に「空気圧が減少した」と判断して、誤作動をしてしまう可能性を排除するためである。
なお、「継続的に」とは、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと近接した際の信号が、連続して途切れなく受信された状態や、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと近接した旨の信号が、連続してパルス状に受信された状態(係るパルス状の信号が、所定時間にわたり、断続的に受信される状態)を意味している。
【0064】
図7において、近接センサ5からの計測信号を処理した後に、温度センサ6からの計測信号を処理しているが、その順序を逆にして、温度センサ6からの計測信号を処理した後に、近接センサ5からの計測信号を処理しても良い。
さらに、近接センサ5からの計測信号処理と温度センサ6からの計測信号処理とを直列に実行するのではなく、近接センサ5からの計測信号処理と温度センサ6からの計測信号処理とを並列に実行する様に構成する事も出来る。そのように並列に計測信号処理を行う場合には、例えば、連続走行によりタイヤに過度の負荷が掛かり続ける場合や、ブレーキを使用する頻度が高い走行を行った場合等においては、タイヤ内部45iの温度が高温になるので、温度センサ6によりドライバーに警告を与える事が出来て、有効である。
【0065】
図12は、第1実施形態における変形例を示している。
図5において、近接センサ5は中子44に対して、図5の左右方向外側に突出しないように取り付けられている。それに対して、図12で示す様に、近接センサ5を中子44に対して、図12の左右方向外側に突出する様に取り付けることが出来る。
図12におけるその他の構成及び作用効果は、図5で示すのと同様である。
なお、中子44は、箱型断面その他の断面形状に構成しても良い。
【0066】
図13は、第1実施形態における第2変形例を示している。
図5、図6では、中子44に切欠部44kを形成している。それに対して、図13の第2変形例では、近接センサ5の取付位置を、中子44のひさし部分44c(図5参照)よりも、中心軸CL方向(図5、図13では左右方向)について十分内側に設定し、切欠部44kに代えて貫通孔44eを形成している。
図13におけるその他の構成及び作用効果については、図5、図6で示すのと同様である。
【0067】
図8、図9は、本発明の第2実施形態を示している。
図1〜図7の第1実施形態では、ホイール4側にセンサ5、6及び発信器7の駆動電源である電池73を設けているが、図8、図9の第2実施形態では、ホイール4側には電池を設けていない。
【0068】
図8、図9では、ホイール4側には、図1〜図7の第1実施形態における発信器7の代わりに、近接センサ計測信号発信器16と、温度センサ計測信号発信器17と、電波/電流変換装置18と、コンデンサ22が設けられている。一方、シャシ3側には、電波発信器19が設けられている。
電波/電流変換装置18は、シャシ3側の電波発信器19から発信される電波So2を受信して、電流に変換する様に構成されている。そして、電波/電流変換装置18で変換された電流は、ホイール側の回路20に介装されたコンデンサ22で電荷として貯えられる。
ここで、シャシ3側の電波発信器19は、各ホイール4において、電波/電流変換装置18に対応した個所に設けられている。
【0069】
コンデンサ22で貯えられた電荷により、近接センサ5、温度センサ6、近接センサ計測信号発信器16、温度センサ計測信号発信器17を作動する。
近接センサ5の計測結果は、近接センサ計測信号発信器16から、電波信号So11として、シャシ3側の受信器8へ発信される。
温度センサ6の計測結果は、温度センサ計測信号発信器17から、電波信号So12として、シャシ3側の受信器8へ発信される。
【0070】
図8、図9の第2実施形態によれば、シャシ3側から発信された電波So2を、電波/電流変換装置18で電流に変換し、コンデンサ22で貯えて、近接センサ5、温度センサ6、近接センサ計測信号発信器16、温度センサ計測信号発信器17の作動電源としている。そのため、ホイール4側に電池を設ける必要が無い。
【0071】
図8、図9の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7の第1実施形態と同様である。
【0072】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態ではランフラットホイールにタイヤを取り付けた場合について説明しているが、リムに中子を設けていない通常のホイールにタイヤを取り付けた場合についても、本発明のモニタリングシステム及びモニタリング方法を適用することが出来る。
また、図1〜図3、図5、図6では、近接センサと発信器とは別部品で構成されて、結線(ワイヤーハーネス)により接続されている旨が示されているが、センサ(近接センサ5、温度センサ6)と発信器とを一体に構成したセンサユニットとしても良い。また、センサ(近接センサ5、温度センサ6)および発信器を集積回路として構成しても良い。
さらに、図9において近接センサ計測信号発信器16と温度センサ計測信号発信器17とは別体に示されているが、近接センサ計測信号発信器16と温度センサ計測信号発信器17とを一体に構成し、あるいは、何れか一方が他方の機能を兼ねている様に構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】貨物自動車に適用した本発明の第1実施形態を示すブロック図。
【図2】タイヤ監視システムの内、車両を除いた詳細構成を説明するブロック図。
【図3】タイヤの空気圧監視に必要な構成を模式的に示すブロック図。
【図4】シャシ側の構成を簡略化して示すブロック図。
【図5】ランフラットホイールの中子に近接センサ、温度センサ及び発信器を配置した状態を示す部分拡大断面図。
【図6】図5のY矢視図。
【図7】第1実施形態の制御を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図9】第2実施形態におけるタイヤ監視システムの内、車両を除いた詳細構成を説明するブロック図。
【図10】従来技術におけるランフラットホイールの概念図。
【図11】従来技術におけるランフラットホイールの部分拡大断面図。
【図12】第1実施形態の変形例を示す部分拡大断面図。
【図13】第1実施形態の第2変形例を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0074】
1・・・貨物車両/車両
2・・・運転室/キャブ
3・・・シャシ
4・・・ホイール
5・・・近接センサ
6・・・温度センサ
7・・・発信器
8・・・受信器
9・・・制御装置
10・・・警告装置
11・・・バッテリ
13・・・キースイッチ
16・・・近接センサ計測信号発信器
17・・・温度センサ計測信号発信器
18・・・電波/電流変換装置
19・・・電波発信器
22・・・コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤ、例えばランフラットホイールに取り付けられたタイヤの空気圧が低下したか否かを監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ランフラットホイールは、タイヤがパンクをすると、タイヤの接地部の内面が中子に当る様に構成されており、乗用車、バス、トラック等に適用されている。
ランフラットホイールではない通常のホイールでは、パンクしてタイヤ内の圧力が低下すると、タイヤの接地部内面がリムに当ってしまう。タイヤの接地部内面がリムに当ってしまうと、特にフロントタイヤの接地部内面がリムに当るような状態になると、瞬時に、いわゆる「ハンドルがとられた」状態となり、車両の姿勢を維持することが困難になる。
【0003】
これに対して、ランフラットホイールシステムでは、パンクをしても、タイヤの接地部が中子に当たった状態で、ある程度は車両の姿勢を保った状態で、一定距離(例えば、乗用車であれば100km程度:大型トラックでも30km程度)の走行が可能である。
【0004】
図10は、ランフラットホイールシステムを模式的に示し、図11は、ランフラットホイールシステムの断面を示している。
図10、図11において、ランフラットホイールシステム4Jは、ホイール本体40と、中子44と、タイヤ45とから構成されている。中子44は、円環状の部材を、例えば図10の例では円周方向に6等分に分割されており、その6等分に分割された6個の分割部材440は、隣接する分割部材440と図示しない接続部材によって結合されて、円環状に一体に構成されている。
円環状に一体に構成された中子44は、図11で示す様に、ホイール40におけるリム41の幅方向の中央で、リム外周面41oに接触している。
図10において、符号Bは、中子44の円周方向における分割箇所を示す。
図11において、符号42はディスクを示し、符号46はインフレータバルブを示す。
【0005】
ランフラットホイールシステム4Jは、道路状況などが悪い地域、または、タイヤ交換がその場で出来ないような地域においては、大変有効である。その様な地域で走行している車両が、例えば夜間にタイヤ45がパンクしても、その場所でタイヤ45を交換することなく、安全なところまで走行して、パンクを修理することが出来るからである。
また、タイヤ45がバースト等により、瞬時に空気が抜けても、安全な場所まで走行することが可能だからである。
【0006】
さらに、ランフラットホイールシステム4Jを採用すれば、タイヤ空気圧が0になったとしても、車両の姿勢を保って、ある程度の距離(乗用車ならば100km程度、大型トラックでは30km程度)までは、そのままで走行可能である。
すなわち、ランフラットホイールシステム4Jを採用すれば、タイヤがパンクしても路肩等でスペアタイヤに交換することなく、修理設備のある個所まで走行することが出来るのである。そのため、走行が限られた範囲内であれば、スペアタイヤそのものを省略することも可能になる。
【0007】
スペアタイヤを省略できれば、車両におけるスペアタイヤ収納スペースを省略して、その分を有効利用できる。特に、いわゆる「ハイブリッド車」や「天然ガス自動車」等では、ガスタンク等の補器がスペースを占めるので、スペアタイヤ収納スペースを省略出来るメリットが大きい。
【0008】
また、スペアタイヤそのものを省略できれば、スペアタイヤを廃棄する必要が無くなり、スペアタイヤを焼却しなくても済む。そのため、CO2削減の効果が得られる。
【0009】
ここで、ランフラットホイールに取り付けたタイヤの空気圧が減少して、タイヤの接地部内面が中子に当った状態になっても、ドライバーは気がつかない場合が多い。特に後輪がパンクした場合には、後輪のタイヤの接地部内面が中子に当っても、ドライバーは気がつかない場合が多い。
タイヤの接地部内面が中子に当っていても、ドライバーがそのことに気がつかないで走行を続けると、タイヤがバーストしてしまう可能性があり、危険である。
【0010】
ランフラットホイールではなくて、通常のホイールにおいても、車両走行の際に、タイヤの空気圧が低すぎることは、走行に悪影響を及ぼして、危険である。
そのため、特にランフラットホイールにおいては、車両走行における安全性を確保するためには、タイヤ内のエア圧をモニタリングするシステムの搭載が、必要となる。
【0011】
従来技術において、タイヤ空気圧のモニタリングシステムは存在する。係る技術は、(ランフラットホイールに取り付けられたタイヤ以外の)一般のタイヤでも適用されており、普及している。
係るタイヤ空気圧のモニタリングシステムは、例えば、タイヤ内の空気圧を検出するセンサと、その検出結果に基づいてタイヤ内の空気圧を監視するモニタ装置と、センサの検出結果をモニタ装置の受信器へワイヤレスで送信する送信装置とを備え、前記センサと送信装置は各タイヤに設けられている(特許文献1参照)。
【0012】
しかし、従来技術におけるモニタリングシステム(特許文献1のシステムも含む)は、何れも導入するためのコストが高くなり過ぎてしまう、という問題を有している。
変動するタイヤ内のエア圧を計測し、且つ、計測結果を電波信号として常時発信しなければならないので、高級なデジタル回路を使用せざるを得ない。そのため、タイヤ側に取り付けられたセンサモジュール(電波発信装置)が高価となり、システム全体が高価格となるからである。
【0013】
ランフラットホイール自体も(ランフラットホイールではない通常のホイールに比較して)高価であるということに加えて、タイヤ内のエア圧をモニタリングするシステムも高価なことにより、ランフラットホイールを用いた車両の価格も高価になってしまう。その結果、ランフラットホイールそのものの普及が妨げられている。
【特許文献1】特開2004−145474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、導入コストを高騰化することなく、タイヤの空気圧が低くなり過ぎたことを確実に検出することが出来るタイヤ監視システム及び監視方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のタイヤ監視システムは、ホイール(4)に近接センサ(5)及び近接センサ(5)の検出結果を電波信号(So1、So11)としてシャシ(3)側に発信する発信器(7、16)とを設け、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がリム(41)側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ(3)側にはホイール(4)の発信器(7、16)から発信された電波信号(So1、So11)を受信する受信器(8)と、受信器(8)が受信した電波信号(So1、So11)からタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がリム(41)側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置(9)とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0016】
本発明において、ホイール(4)側にはタイヤ(45)内部空間(45i)の温度を計測する温度センサ(6)も設けられており、前記発信器(7、17)は温度センサ(6)の検出結果も電波信号(So1、So12)としてシャシ(3)側に発信する様に構成されており、前記制御装置(9)は、受信器(8)が受信した電波信号(So1、So12)からタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0017】
また本発明(請求項1の発明)において、ホイール(4)のリム(41)には中子(44)が設けられており(換言すれば、ホイール(4)はランフラットホイールであり)、近接センサ(5)はタイヤ(45)内の空気圧が低下してタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)と近接したことを感知する様に配置されており、制御装置(9)はタイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0018】
さらに本発明(請求項2の発明)において、ホイール(4)のリム(41)には中子(44)が設けられており(換言すれば、ホイール(4)はランフラットホイールであり)、温度センサ(6)も中子(44)に配置されており、制御装置(9)はタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0019】
本発明のタイヤ監視システム(請求項1のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)、とを有することを特徴としている(請求項5)。
【0020】
本発明のタイヤ監視システム(請求項2のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になったか否かを判定する工程(S6)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になった場合に運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S7)、とを有することを特徴としている(請求項6)。
【0021】
そして、リム(41)に中子(44)を設けたホイール(ランフラットホイール4)に取り付けたタイヤ(45)を監視するタイヤ監視システム(請求項3のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)、とを有することを特徴としている(請求項7)。
【0022】
また、リム(41)に中子(44)を設けたホイール(ランフラットホイール4)に取り付けたタイヤ(45)を監視するタイヤ監視システム(請求項4のタイヤ監視システム100)を用いた本発明のタイヤ監視方法において、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接したか否かを判定する工程(S1)と、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が中子(44)に近接した場合には運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S4)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になったか否かを判定する工程(S6)と、タイヤ内部空間の温度が所定温度(しきい値)よりも高温になった場合に運転室(キャブ2)側の警告装置(10)を作動させる工程(S7)、とを有することを特徴としている(請求項8)。
【発明の効果】
【0023】
上述する構成を具備する本発明によれば、空気が抜けたことをドライバーが把握し難い後輪がパンクしても、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側(ランフラットタイヤであれば、リム41に設けた中子44)に近接したことが近接センサ(5)により検知され、ドライバーに警告される。
これによりドライバーはタイヤ(45)の空気が抜けたことを直ちに把握することが出来るので、タイヤ修理設備に移動して、速やかにタイヤ(45)を修理することが可能になる。
換言すれば、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)がホイール(4)のリム(41)側(或いは、ランフラットタイヤの中子44)に当っていることに気がつかないまま走行して、タイヤ(45)がバーストしてしまうことが、本発明では確実に防止される。
【0024】
ここで、近接センサ(5)は、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)が近接センサ(5)の感知部(50)と近接した場合にのみ、計測信号を出力するので、タイヤ(45)の接地部(45a:より詳細には接地部内面)とホイール(4)のリム(41)側(或いは中子44)とが近接していない状態では、電力消費が少ない。そのため、本発明によれば、従来の空気圧センサを用いる場合に比較して、電力消費量が少なく、電源である電池の寿命を長期化することが出来る。
ここで、近接センサ(5)は、タイヤ(45)が路面に接触する領域(トレッド部45t)に埋め込まれたスチールコード(45b)が接近することを検知するものであり、検出信号を発生するためにタイヤ(45)そのものと接触する必要がない。検知するためにタイヤ(45)と直接的に接触する必要が無いので破損し難く、損耗し難い。従って、センサとしての寿命が長くなり、係る近接センサ(5)を使用する本発明の監視システム(100)の寿命も長期化することが可能である。
しかも、本発明によれば、変動するタイヤ内のエア圧を常時計測する必要は無く、且つ、計測結果を電波信号として常時発信する必要も無いので、従来の空気圧センサのような高級なデジタル回路を使用する必要が無い。そのため、本発明によれば、タイヤ監視システム全体を安価に導入することが出来る。
【0025】
ここで、タイヤ(45)の接地部(45a)が中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)側に当った状態で走行し続けると、タイヤ(45)の接地部(45a)と中子あるいはホイール(4)のリム(41)との摩擦熱のため、タイヤ内側の空間の温度が上昇する。
そして、タイヤ(45)の接地部(45a)と中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)との摩擦熱によりタイヤ内部空間(45i)の温度が上昇するということは、タイヤ(45)自体が路面と中子(44)あるいはホイール(4)のリム(41)とにより挟みつけられて、過度の負荷が掛かった状態で一定以上の時間が経過しているということであり、タイヤ(45)がバーストする危険性が高くなったということでもある。
本発明において、温度センサ(6)を設ければ(請求項2)、タイヤ内部空間(45i)の温度が所定の温度(しきい値温度以上)になったことを検出することにより、タイヤ(45)がバーストする危険が上昇したことをドライバーに警告することが出来るので、車両の安全走行に大いに寄与することが出来る。
【0026】
すなわち、本発明で温度センサ(6)を設ければ(請求項2)、近接センサ(5)により、リム(41)側(或いは中子44)とタイヤ(45)の接地部(45a)が近接したことをドライバーに警告し、温度センサ(6)により、タイヤ(45)がバーストする危険性が増加したことをドライバーに警告することが出来る。
この様に、近接センサ(5)と温度センサ(6)とにより、ドライバーに対して二重に警告することによって、タイヤ(45)の空気圧が低下して、タイヤ(45)の接地部(45a)がリム(41)側(或いは中子44)に近接しまたは当ってしまったことをドライバーが気づかずに走行し続けることを確実に防止出来る。
【0027】
それに加えて、近接センサ(5)と同様に、温度センサ(6)も、タイヤ内部空間温度がしきい値よりも高温にならない限り、信号を出力しない。常時信号を出力する空気圧センサに比較して、電力消費が少ない。
そのため、近接センサ(5)と温度センサ(6)とを並列に設けても、従来のタイヤ空気圧センサを用いる場合に比較して、電池寿命を極めて長期化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面の図1〜図9を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図9において、図10、図11と同様な部材には、同様な符号を付して説明している。
最初に、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0029】
第1実施形態に係るタイヤ監視システムは、図1において全体が符号100で示されており、例えば、貨物自動車に適用されている。図2は、図1で示すタイヤ監視システムの構成から、貨物車両1を除いた詳細を示している。図3では、ホイール及びタイヤと、タイヤ内の空気圧監視に必要な部材だけが、模式的に示されている。
【0030】
図1では、第1実施形態に係るタイヤ監視システム100は、貨物車両1に適用されている。貨物車両1は、キャブ(運転室)2、シャシ3、ホイール4を有している。
タイヤ監視システム100は、ホイール4のタイヤ45内に、近接センサ5と、温度センサ6と、発信器7とを有している(図5参照)。また、タイヤ監視システム100は、シャシ3側に受信器8を有しており、キャブ(運転室)2側に制御装置9と警告装置10とを有している。
【0031】
図2において、発信器7は、電源制御部71と、高周波発信部72と、小型電池73とを有している。
近接センサ5及び温度センサ6は、結線(ワイヤーハーネス)Liにより発信器7と接続されている。近接センサ5、温度センサ6及び発信器7は、発信器7内の電池73を作動電源としている。
受信器8と制御装置9と警告装置10は、シャシ3に搭載されたバッテリ11から電力を供給されている。
制御装置9は、スピードメータ12及びキースイッチ13のACC(アクセサリー)ポジションと接続されている。スピードメータ12は、車両の用途によっては、接続しなくても良い。
【0032】
近接センサ5は、タイヤ45が路面に接触する領域(トレッド部)45tに埋め込まれたスチールコード45bが接近することを検知する様に構成されている(図5参照)。
【0033】
図2及び図3で示す様に、近接センサ5と温度センサ6の検出結果は、発信器7における高周波発信部72から電波信号(矢印So1)として発信され、シャシ3側の受信器8に受信される。そして、制御装置9に送られる。
制御装置9は、近接センサ5と温度センサ6の検出結果に基づいて必要な制御を行い、タイヤ45の空気圧が低下して、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に近接した場合には、その旨をキャブ2における警告装置(例えば、警告ランプ)10で警告する。なお、監視制御の詳細については、図7を参照して後述する。
【0034】
図3で示す様に、センサ(近接センサ5と温度センサ6)は各ホイール4に設けられている。そして、各ホイール4に設けられた発信器7の高周波発信部72から発信される電波信号So1は、各ホイール4に対応してシャシ3側に設けられた受信器8により、各々検出される。すなわち、図4で示す様に、シャシ3側の受信器8はホイール4の数だけ設けられており、各ホイール4に設けられた高周波発信部72から発信される電波信号So1は、対応する受信器8により受信される。
この様に構成すれば、制御装置9において、どのホイール4のタイヤ45の空気圧が減少して、タイヤ45の接地部45aと中子44またはリム41が近接したのかを容易且つ正確に判定することが出来る。
【0035】
各ホイール4に設けた発信器7と、シャシ3側の受信器8との距離は、必要以上に長い距離に設定することは好ましくない。シャシ3は金属板が多用されており、発信器7と受信器8との距離が必要以上に長いと、発信器7からの電波信号So1が、シャシ3の金属材料により遮られてしまうからである。
【0036】
第1実施形態によれば、空気が抜けたことをドライバーが把握し難い後輪4がパンクしても、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に近接したことが近接センサ5により検知され、キャブ2内の警告装置10によりドライバーに知らされる。そのため、ドライバーはタイヤ交換ができる安全な場所やタイヤ修理設備がある個所へ移動して、速やかにタイヤ45を交換または修理することが出来る。
換言すれば、タイヤ45の接地部45aが中子44またはリム41に当っていることに(ドライバーが)気がつかないまま走行して、タイヤ45がバーストしてしまうことが防止される。
【0037】
ここで、近接センサ5は、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50と近接している場合、あるいは当ってしまっている場合にのみ、計測信号を出力し、タイヤ45の空気圧が低下せず、タイヤ45の接地部45aと中子44またはリム41とが近接していない状態では、電力消費が少ない。
そのため、空気圧センサが常に作動している従来技術と比較して、電力消費量が少なく、電源(例えば電池73)の寿命を長期化出来る。
発信器7は、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aが近接センサ5に近接した場合、あるいは、その後に近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと当たってしまった場合にのみ、電波信号を発信するような回路とすることが望ましい。
【0038】
ランフラットホイール4の中子44と、近接センサ5及び温度センサ6の詳細を示す図5において、近接センサ5の感知部50は、中子44の外縁部(半径方向外方面:図5では上方縁部)44a近傍で、中子のひさし部分44cの半径方向内側に設けられている。
図5において、ホイール(ランフラットホイール)4は、ホイール本体40とタイヤ45と中子44とで構成されている。ホイール本体40は、リム41とディスク42を有し、リム41の1箇所にインフレータバルブ46が取り付けられている。
近接センサ5を中子44に取り付けている態様は、図6において、より詳細に示されている。
【0039】
図6は、図5を矢印Y方向から見た状態を示しており、近接センサ5は中子44のひさし部分44cの半径方向内方(図6の矢印Ri方向)に設けられている。そして、近接センサ5が設けられた個所直近のひさし部分44c、或いは近接センサ5の半径方向外方(図6の矢印Ro方向)のひさし部分44cには、切欠部44kが形成されている。
【0040】
係る切欠部44kを形成することにより、近接センサ5は、スチールコード45bが近接した旨を感知することが出来る。ここで、スチールコード45bは、図5において矢印R方向におけるタイヤの領域に埋め込まれている。
換言すれば、切欠部44kを形成しない場合には、中子のひさし部分44cによって遮られてしまうので、近接センサ5は、タイヤ45に埋め込まれたスチールコード45bの近接を感知し難くなる。
【0041】
図6で示す様に、近接センサ5はケーシング51に取り付けられており、ケーシング51はフランジ52を有している。そして、フランジ52は、ブラケット53を介して図示しないボルトにより中子44に取り付けられており、以って、ケーシング51が中子44に取り付けられている。
なお、図6において符号50は近接センサ5の感知部を示す。
【0042】
図5において、タイヤ45の空気圧が減少してタイヤ45の接地部45aのスチールコード45bが中子44に近接すれば、近接センサ5がその旨を検知して、発信器7から検知信号を発信する。係る信号はシャシ3側の受信器8に受信され、制御装置9へ送られる。その結果、タイヤ45の空気圧が低下し、タイヤ45の接地している側が凹んで、中子44と近接したことが、車両の運転者に警告され、報知される。
【0043】
図示はされていないが、ランフラットホイールではない通常のホイール(中子を有していないタイプのホイール)に第1実施形態に係る監視システムを適用する場合には、近接センサ5及び温度センサ6は、リム41に取り付けられる。
あるいは、例えば、リム41に台座(ホイールの半径方向外側へ突出した部分)を形成し、その台座に近接センサ5及び温度センサ6を設けることが出来る。
【0044】
そのように構成すれば、パンクその他の要因によってタイヤ45の空気圧が低下し、タイヤ45の接地している側が凹むと、タイヤ45における路面に接触する部分(スチールコード45bが埋設されている部分)45aの内側部分がリム41に近接し、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50に近接したことが検知される。そして、タイヤ45の空気圧が低下して、リム41と近接したことが、ドライバーに警告されるのである。
【0045】
近接センサ5と同様に、後述する温度センサ6も、タイヤ内部空間温度がしきい値よりも高温にならない限り、信号を出力しない。常時信号を出力する空気圧センサに比較して、電力消費が極めて少ない。
そのため、近接センサ5と温度センサと6を並列に設けても、発信器7の電池73の寿命は、従来のタイヤ空気圧センサの場合に比較して、極めて長期化することが出来る。
【0046】
第1実施形態では、変動するタイヤ内のエア圧を常時計測する必要は無く、且つ、計測結果を電波信号として常時発信する必要も無いので、従来の空気圧センサのような高級な電子回路を使用する必要が無い。そのため、タイヤ監視システム全体を安価に導入することが出来る。
【0047】
図1、図2で示す様に、各ホイール4には、近接センサ5に加えて、温度センサ6が設けられている。
図5で示す様に、温度センサ6は、例えば中子44の内側の空間44iに設けられるが、発信器(図1、図2参照)7内部に温度センサ6を設けても良い。
換言すれば、温度センサ6の取り付け位置は、タイヤ45内部の空気の温度が上昇した旨を検知することができて、且つ、温度センサ6が破損する可能性が小さい個所であれば、特に限定するものではない。
発信器7は温度センサ6と同様に、中子44の内側の空間44iに設けられている。
高周波発信部72がシャシ側の受信器8に向かって電波信号を送信し易いように、発信器7を取り付けることが好ましい。
【0048】
タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当った状態で走行し続けると、タイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦熱のため、タイヤ45内側45iの温度が上昇する。
ここで、潤滑剤によりタイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦を抑制することは出来る。しかし、タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当った状態で走行し続けると潤滑剤が消滅してしまう。その結果、中子44とタイヤ45の接地部45aの内面との摩擦により、タイヤ45内部45iの温度が上昇する。
【0049】
タイヤ45の接地部45aの内面と中子44との摩擦熱によりタイヤ45内部45iの温度が上昇するということは、タイヤ45の接地部45a自体が路面と中子44とにより挟みつけられて、過度の負荷が掛かった状態で、一定以上の時間が経過しているということであり、タイヤ45がバーストやヒートクラックを起こす危険性が高くなったということでもある。
温度センサ6を設け、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になったことを検出し、タイヤ45がバーストやヒートクラックを起こす可能性が増加したことをドライバーに警告すれば、車両1の安全走行の見地から、極めて有効である。
【0050】
すなわち、図示の実施形態によれば、近接センサ5により、中子44とタイヤ45の接地部45aの内面が近接したことをドライバーに警告し、温度センサ6により、タイヤ45がバーストする危険性が増加したことをドライバーに警告することが出来る。
この様に、近接センサ5と温度センサ6とにより、ドライバーに対して二重に警告することによって、パンク等によるタイヤ45の空気圧が低下して、タイヤ45の接地部45aの内面が中子44に当っても、ドライバーがそれに気がつかずに走行し続けてしまうことや、タイヤ45がバーストしてしまうことを、未然に防止することが出来る。
【0051】
温度センサ6としては、耐振動性があるタイプが好ましい。
ここで温度センサ6は、感度が高いもの(敏感なもの)である必要は無い。例えば、バイメタル方式でも良い。
また、温度センサ6として、サーミスタや熱電対等を用いても良い。
図示はされていないが、ランフラットホイール4ではない通常のホイール(中子を有していないタイプのホイール)に実施形態に係る監視システムを適用する場合には、上述した様に、温度センサ6をリム41に設けるか、或いは、リム41に台座(ホイールの半径方向外側へ突出した部分)を形成し、その台座に設けることが可能である。
【0052】
ここで、各ホイール4の発信器7から発信される電波信号So1(図2、図3参照)は、タイヤ45側方の領域(図5における矢印S方向の領域)から射出されて、シャシ3側の受信器8に受信される。タイヤ45が道路と接触する領域(図5において、スチールコード45bが埋め込まれている領域、矢印R方向の領域)からは、電波信号So1は射出され難い。
タイヤ45の矢印R方向の領域に埋め込まれたスチールコード45bが、電波遮蔽(ファラデーシールド)として作用するので、タイヤ45の矢印R方向領域では、電波が遮蔽されてしまうからである。
【0053】
なお、図5で示す様に、ランフラットホイール4においては、リム41は多片リムとして構成されているのが好ましい。
多片リムであれば、リム41に、中子44およびタイヤ45を容易に取り付けることが出来るからである。
なお、中子44がタイヤ45とともに、リム41に容易に取り付けられる構造であれば、リム41は一体構造であっても良い。
【0054】
次に図7のフローチャートを参照して、図1〜図6で示す第1実施形態における制御について説明する。
図7のステップS1において、制御手段9は、近接センサ5からのタイヤ45の接地部45aが接近した旨の信号の受信があったか否かを判断する。タイヤ45の接地部45aが接近した旨の信号の受信があったならば(ステップS1がYES)、スピードメータ12の速度信号が所定の速度以上であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0055】
スピードメータ12の速度信号が所定の速度以上であれば(ステップS2がYES)、例えば、タイヤが転がっている状態、あるいは走行状態であると判断して、ステップS3に進む。
ステップS3では、近接センサ5からの近接した旨の信号(近接信号)が、所定時間以上継続しているか否かを判断する。近接センサ5からの近接した旨の信号が、所定時間以上継続している場合(ステップS3がYES)には、ステップS4に進む。
【0056】
ステップS2において、スピードメータ12の速度信号が所定の速度よりも遅い場合には(ステップS2がNO)、例えば、タイヤが転がっていない状態であるか、あるいは停車状態であると判断して、ステップS1に戻る。
ステップS3において、近接センサ5からの近接した旨の信号が継続している時間が、所定時間よりも短い場合(ステップS3がNO)も同様に、ステップS1に戻る。
【0057】
ステップS2あるいはステップS3でNOと判定されるケースとしては、例えば、段差やキャッツアイマーカーなどにタイヤ45が乗り上げた状態で停車した場合がある。その様な場合には、段差やキャッツアイマーカーなどによりタイヤ45の接地部45aが押圧され、タイヤ45の空気圧が低下していないにもかかわらず、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5に近接してしまう。ステップS2、ステップS3を設ける事により、その様な場合(段差やキャッツアイマーカーなどにタイヤ45が乗り上げた状態で停車した場合)に、タイヤ空気圧が減少したと誤判断する事が防止できる。
なお、図示はしていないが、ステップS2を省略することが可能である。
【0058】
ステップS1において、タイヤ45の接地部45aが近接した旨の受信がなければ(ステップS1がNO)、ステップS5に進む。
【0059】
ステップS5では、制御手段9は、温度センサ6から、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信したか否かを判断する。タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信していれば(ステップS5がYES)、ステップS6に進む。
一方、タイヤ内部45iの温度が所定の温度(しきい値温度以上)になった旨の計測信号を受信しなければ(ステップS5がNO)、ステップS9に進む。
【0060】
ステップS6では、制御手段9は、温度センサ6が計測した計測温度がしきい値を超えているか否かを判断する。計測温度がしきい値を超えていれば(ステップS6がYES)、警告装置10によって、タイヤ内部温度が危険領域まで上昇している旨を警告し(ステップS7)、ステップS8に進む。
一方、計測温度がしきい値を超えなければ(ステップS6がNO)、ステップS9に進む。
【0061】
ステップS8では、制御手段9は制御を終了するか否かを判断する。制御を終了するのであれば(ステップS8がYES)、そのまま終了し、制御を続行するのであれば(ステップS8がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0062】
ステップS9では、制御手段9はキースイッチ13がOFFになっているか否かを判断する。キースイッチ13がOFFになっていれば(ステップS9がYES)、制御を終了する。一方、キースイッチ13がOFFになっていなければ(ステップS9がNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0063】
図7では明示されていないが、ステップS1では、近接センサ5からのタイヤ45の接地部45aが近接した旨の計測信号を一定時間(例えば10秒)以上に亘って継続的に受信した場合にのみ、タイヤの空気圧が減少して、タイヤの接地部45aが中子と近接したと判断する。
走行中にタイヤ45が道路における各種段差部に乗り上げてしまった場合に、タイヤ45の接地部45aが近接センサ5の感知部50と近接する可能性があり、その様な場合に「空気圧が減少した」と判断して、誤作動をしてしまう可能性を排除するためである。
なお、「継続的に」とは、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと近接した際の信号が、連続して途切れなく受信された状態や、近接センサ5がタイヤ45の接地部45aと近接した旨の信号が、連続してパルス状に受信された状態(係るパルス状の信号が、所定時間にわたり、断続的に受信される状態)を意味している。
【0064】
図7において、近接センサ5からの計測信号を処理した後に、温度センサ6からの計測信号を処理しているが、その順序を逆にして、温度センサ6からの計測信号を処理した後に、近接センサ5からの計測信号を処理しても良い。
さらに、近接センサ5からの計測信号処理と温度センサ6からの計測信号処理とを直列に実行するのではなく、近接センサ5からの計測信号処理と温度センサ6からの計測信号処理とを並列に実行する様に構成する事も出来る。そのように並列に計測信号処理を行う場合には、例えば、連続走行によりタイヤに過度の負荷が掛かり続ける場合や、ブレーキを使用する頻度が高い走行を行った場合等においては、タイヤ内部45iの温度が高温になるので、温度センサ6によりドライバーに警告を与える事が出来て、有効である。
【0065】
図12は、第1実施形態における変形例を示している。
図5において、近接センサ5は中子44に対して、図5の左右方向外側に突出しないように取り付けられている。それに対して、図12で示す様に、近接センサ5を中子44に対して、図12の左右方向外側に突出する様に取り付けることが出来る。
図12におけるその他の構成及び作用効果は、図5で示すのと同様である。
なお、中子44は、箱型断面その他の断面形状に構成しても良い。
【0066】
図13は、第1実施形態における第2変形例を示している。
図5、図6では、中子44に切欠部44kを形成している。それに対して、図13の第2変形例では、近接センサ5の取付位置を、中子44のひさし部分44c(図5参照)よりも、中心軸CL方向(図5、図13では左右方向)について十分内側に設定し、切欠部44kに代えて貫通孔44eを形成している。
図13におけるその他の構成及び作用効果については、図5、図6で示すのと同様である。
【0067】
図8、図9は、本発明の第2実施形態を示している。
図1〜図7の第1実施形態では、ホイール4側にセンサ5、6及び発信器7の駆動電源である電池73を設けているが、図8、図9の第2実施形態では、ホイール4側には電池を設けていない。
【0068】
図8、図9では、ホイール4側には、図1〜図7の第1実施形態における発信器7の代わりに、近接センサ計測信号発信器16と、温度センサ計測信号発信器17と、電波/電流変換装置18と、コンデンサ22が設けられている。一方、シャシ3側には、電波発信器19が設けられている。
電波/電流変換装置18は、シャシ3側の電波発信器19から発信される電波So2を受信して、電流に変換する様に構成されている。そして、電波/電流変換装置18で変換された電流は、ホイール側の回路20に介装されたコンデンサ22で電荷として貯えられる。
ここで、シャシ3側の電波発信器19は、各ホイール4において、電波/電流変換装置18に対応した個所に設けられている。
【0069】
コンデンサ22で貯えられた電荷により、近接センサ5、温度センサ6、近接センサ計測信号発信器16、温度センサ計測信号発信器17を作動する。
近接センサ5の計測結果は、近接センサ計測信号発信器16から、電波信号So11として、シャシ3側の受信器8へ発信される。
温度センサ6の計測結果は、温度センサ計測信号発信器17から、電波信号So12として、シャシ3側の受信器8へ発信される。
【0070】
図8、図9の第2実施形態によれば、シャシ3側から発信された電波So2を、電波/電流変換装置18で電流に変換し、コンデンサ22で貯えて、近接センサ5、温度センサ6、近接センサ計測信号発信器16、温度センサ計測信号発信器17の作動電源としている。そのため、ホイール4側に電池を設ける必要が無い。
【0071】
図8、図9の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7の第1実施形態と同様である。
【0072】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態ではランフラットホイールにタイヤを取り付けた場合について説明しているが、リムに中子を設けていない通常のホイールにタイヤを取り付けた場合についても、本発明のモニタリングシステム及びモニタリング方法を適用することが出来る。
また、図1〜図3、図5、図6では、近接センサと発信器とは別部品で構成されて、結線(ワイヤーハーネス)により接続されている旨が示されているが、センサ(近接センサ5、温度センサ6)と発信器とを一体に構成したセンサユニットとしても良い。また、センサ(近接センサ5、温度センサ6)および発信器を集積回路として構成しても良い。
さらに、図9において近接センサ計測信号発信器16と温度センサ計測信号発信器17とは別体に示されているが、近接センサ計測信号発信器16と温度センサ計測信号発信器17とを一体に構成し、あるいは、何れか一方が他方の機能を兼ねている様に構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】貨物自動車に適用した本発明の第1実施形態を示すブロック図。
【図2】タイヤ監視システムの内、車両を除いた詳細構成を説明するブロック図。
【図3】タイヤの空気圧監視に必要な構成を模式的に示すブロック図。
【図4】シャシ側の構成を簡略化して示すブロック図。
【図5】ランフラットホイールの中子に近接センサ、温度センサ及び発信器を配置した状態を示す部分拡大断面図。
【図6】図5のY矢視図。
【図7】第1実施形態の制御を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図9】第2実施形態におけるタイヤ監視システムの内、車両を除いた詳細構成を説明するブロック図。
【図10】従来技術におけるランフラットホイールの概念図。
【図11】従来技術におけるランフラットホイールの部分拡大断面図。
【図12】第1実施形態の変形例を示す部分拡大断面図。
【図13】第1実施形態の第2変形例を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0074】
1・・・貨物車両/車両
2・・・運転室/キャブ
3・・・シャシ
4・・・ホイール
5・・・近接センサ
6・・・温度センサ
7・・・発信器
8・・・受信器
9・・・制御装置
10・・・警告装置
11・・・バッテリ
13・・・キースイッチ
16・・・近接センサ計測信号発信器
17・・・温度センサ計測信号発信器
18・・・電波/電流変換装置
19・・・電波発信器
22・・・コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールに近接センサ及び近接センサの検出結果を電波信号としてシャシ側に発信する発信器とを設け、近接センサはタイヤ内の空気圧が低下してタイヤの接地部がリム側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ側にはホイールの発信器から発信された電波信号を受信する受信器と、受信器が受信した電波信号からタイヤの接地部がリム側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置とを有することを特徴とするタイヤ監視システム。
【請求項2】
ホイール側にはタイヤ内部空間の温度を計測する温度センサも設けられており、前記発信器は温度センサの検出結果も電波信号としてシャシ側に発信する様に構成されており、前記制御装置は、受信器が受信した電波信号からタイヤ内部空間の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されている請求項1のタイヤ監視システム。
【請求項3】
ホイールのリムには中子が設けられており、近接センサはタイヤ内の空気圧が低下してタイヤの接地部が中子と近接したことを感知する様に配置されており、制御装置はタイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する様に構成されている請求項1のタイヤ監視システム。
【請求項4】
ホイールのリムには中子が設けられており、温度センサも中子に配置されており、制御装置はタイヤ内部空間の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されている請求項2のタイヤ監視システム。
【請求項5】
請求項1のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項6】
請求項2のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になったか否かを判定する工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になった場合に運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項7】
請求項3のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部が中子に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項8】
請求項4のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部が中子に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になったか否かを判定する工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になった場合に運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項1】
ホイールに近接センサ及び近接センサの検出結果を電波信号としてシャシ側に発信する発信器とを設け、近接センサはタイヤ内の空気圧が低下してタイヤの接地部がリム側に近接したことを感知する様に配置されており、シャシ側にはホイールの発信器から発信された電波信号を受信する受信器と、受信器が受信した電波信号からタイヤの接地部がリム側に近接したか否かを判定する様に構成された制御装置とを有することを特徴とするタイヤ監視システム。
【請求項2】
ホイール側にはタイヤ内部空間の温度を計測する温度センサも設けられており、前記発信器は温度センサの検出結果も電波信号としてシャシ側に発信する様に構成されており、前記制御装置は、受信器が受信した電波信号からタイヤ内部空間の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されている請求項1のタイヤ監視システム。
【請求項3】
ホイールのリムには中子が設けられており、近接センサはタイヤ内の空気圧が低下してタイヤの接地部が中子と近接したことを感知する様に配置されており、制御装置はタイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する様に構成されている請求項1のタイヤ監視システム。
【請求項4】
ホイールのリムには中子が設けられており、温度センサも中子に配置されており、制御装置はタイヤ内部空間の温度が上昇したか否かを判定する様に構成されている請求項2のタイヤ監視システム。
【請求項5】
請求項1のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項6】
請求項2のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部がホイールのリム側に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になったか否かを判定する工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になった場合に運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項7】
請求項3のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部が中子に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【請求項8】
請求項4のタイヤ監視システムを用いたタイヤ監視方法において、タイヤの接地部が中子に近接したか否かを判定する工程と、タイヤの接地部が中子に近接した場合には運転室側の警告装置を作動させる工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になったか否かを判定する工程と、タイヤ内部空間の温度が所定温度よりも高温になった場合に運転室側の警告装置を作動させる工程、とを有することを特徴とするタイヤ監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−35146(P2009−35146A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201467(P2007−201467)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]