説明

タイヤ組み付け装置及び方法

【課題】簡単且つコンパクトな構成で、タイヤの自動組み付け作業を効率的に行うことを可能にする。
【解決手段】タイヤ組み付け装置10は、第1作業機構20及び第2作業機構22を分割して構成する。第1作業機構20は、タイヤWを把持するタイヤ把持手段42及び前記タイヤWが配置されたハブボルト18にナット28を仮締めするナット仮締め手段44を設ける。第2作業機構22は、仮締めされたナット28を本締めする本締め手段82を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハブボルトに対してタイヤを自動的に組み付けるタイヤ組み付け装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の組立ラインにおいて、重量物部品の一つであるタイヤを、ロボットを用いて自動車車体に対して自動的に組み付ける作業が行われている。
【0003】
この種の作業に適用されるタイヤ組み付け装置は、通常、タイヤを把持するタイヤ把持部と、ハブナットを自動車車体側に設けられているハブボルトに締め付けるための複数のナットランナとを備えている。
【0004】
この種のタイヤ組み付け装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、車両のハブボルトの数に対応するナットを、それぞれ所定の円周間隔に配置可能な複数のナットランナを有し、タイヤを前記車両に自動的に組み付けるタイヤ組み付け機構と、前記ナットを1本ずつ鉛直姿勢で供給するナット供給機構と、前記ナット供給機構から送給される前記ナットを、前記ナットランナ全てが周回配置される円周間隔に対応して周回配置させるとともに、前記ナットを前記ナットランナに受け渡すナット配列機構とを備えている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−210825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のタイヤ組み付け装置では、タイヤを把持するタイヤ把持手段及び前記タイヤを車両に締め付ける複数のナットランナが、単一のロボットに設けられている。
【0007】
ところで、最近、設備全体を小型化及び簡素化することが望まれており、タイヤ組み付け装置においても、この種の要請がなされている。
【0008】
本発明はこの種の要請に対応するものであり、簡単且つコンパクトな構成で、タイヤの自動組み付け作業を効率的に行うことが可能なタイヤ組み付け装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両のハブボルトに対してタイヤを自動的に組み付けるタイヤ組み付け装置に関するものである。
【0010】
このタイヤ組み付け装置は、タイヤを把持するタイヤ把持手段、及び前記タイヤが配置されたハブボルトに、ナットを仮締めするナット仮締め手段を設ける第1作業機構と、仮締めされた前記ナットを本締めする本締め手段を設ける第2作業機構とを備えている。
【0011】
また、第2作業機構は、車両のハブボルト位置を検出する検出センサを設けることが好ましい。
【0012】
さらに、このタイヤ組み付け装置は、タイヤ供給部に配置されているタイヤのボルト孔を検出するボルト孔検出センサと、車両のハブボルト位置情報及び前記タイヤのボルト孔位置情報を処理し、第1作業機構の動作を制御する制御機構とを備えることが好ましい。
【0013】
さらにまた、ナット仮締め手段は、着脱自在な複数のナットランナと、複数の前記ナットランナを一体に回転させる単一の回転駆動源とを備えることが好ましい。
【0014】
また、本締め手段は、2本のナットランナと、2本の前記ナットランナ同士の間隔を調整可能な間隔調整部とを備えることが好ましい。
【0015】
さらに、このタイヤ組み付け装置は、ナットをナット仮締め手段に対応して整列させる第3作業機構を備えることが好ましい。
【0016】
さらにまた、本発明は、車両のハブボルトに対してタイヤを自動的に組み付けるタイヤ組み付け方法に関するものである。
【0017】
このタイヤ組み付け方法は、第1作業機構によりタイヤを把持するとともに、前記タイヤが配置されたハブボルトに、ナットを仮締めする工程と、第2作業機構を介し、前記第1作業機構により仮締めされた前記ナットを本締めする工程とを有している。
【0018】
また、第1作業機構と第2作業機構とは、互いに干渉することなく各作業を並行して行うことが好ましい。
【0019】
さらに、このタイヤ組み付け方法は、第2作業機構により車両のハブボルト位置を検出する工程を有することが好ましい。
【0020】
さらにまた、このタイヤ組み付け方法は、タイヤ供給部に配置されているタイヤのボルト孔を検出する工程と、車両のハブボルト位置情報及び前記タイヤのボルト孔位置情報に基づいて、第1作業機構の動作を制御する工程とを有することが好ましい。
【0021】
また、このタイヤ組み付け方法は、第1作業機構及び第2作業機構が、タイヤ取り付けステーションに配置されるとともに、車両は、前輪用のハブボルトと後輪用のハブボルトとが、前記タイヤ取り付けステーションに、順次、配置されるように間欠搬送されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、第1作業機構が、タイヤ把持手段及びナット仮締め手段を設けるとともに、第2作業機構が本締め手段を設けている。このため、単一の作業機構にのみタイヤ把持手段及び締め付け手段(ナットランナ)を設ける構成に比べ、第1作業機構及び第2作業機構は、有効に小型化及び簡素化される。
【0023】
しかも、第1作業機構は、ナット仮締め手段を設けるため、本締めまで一体に行う締め付け手段に比べ、特にアクチュエータ(例えば、モータ)が一挙に小型化且つ軽量化される。従って、第1作業機構全体の小型化及び軽量化が容易に遂行可能になる。
【0024】
さらに、第1作業機構及び第2作業機構により、タイヤ組み付け作業が分担されている。これにより、複数の作業を並行して行うことができ、タイヤ組み付け作業全体の短縮化及び効率化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るタイヤ組み付け装置10が配置される組み立てライン12の斜視説明図である。
【0026】
組み立てライン12は、自動車車体(車両)14を台車16aに載置した状態で、タイヤ組み付け位置にピッチ搬送する搬送路16を備えるとともに、前記搬送路16の両側に配設される一対のタイヤ組み付け装置10(図1には一側のみ記載)は、この自動車車体14のハブボルト18にタイヤWを自動的に組み付ける。
【0027】
タイヤ組み付け装置10は、後述する作業内容に応じて、それぞれ分割構成される第1作業機構20及び第2作業機構22を備える。搬送路16は、自動車車体14の前輪側である第1取り付け部位24aと、前記自動車車体14の後輪側である第2取り付け部位24bとが、タイヤ取り付け作業ステーションに、順次、配置されるように、前記自動車車体14を間欠搬送する。
【0028】
第1作業機構20の近傍には、タイヤWを配置するためのタイヤ投入コンベヤ26と、ハブボルト18に締め付けられるナット28を収容するナットストック部30と、前記ナットストック部30から所定数(5本又は4本)の前記ナット28を取り出してナット置き台32に整列して配置させる第3作業機構33とが設置される。
【0029】
第1作業機構20は、ロボット本体34を備え、このロボット本体34のアーム部36の先端に設けられる手首部38には、回転自在な割り出し台40が装着される。
【0030】
図2〜図4に示すように、割り出し台40には、タイヤWを把持するタイヤ把持手段42と、前記タイヤWが配置されたハブボルト18にナット28を仮締めするナット仮締め手段44とが設けられる。
【0031】
タイヤ把持手段42は、割り出し台40に固着される取り付け板46を備える。この取り付け板46には、図2及び図3に示すように、複数のガイドローラ48を介して、カムリング50が回転自在に支持される。取り付け板46には、等角度間隔ずつ離間して径方向に延在する複数本、例えば、3本のガイドレール52が設けられる。
【0032】
各ガイドレール52には、スライドベース54が進退可能に配置されるとともに、前記スライドベース54とカムリング50とは、連結ロッド56を介して連結される。各スライドベース54には、タイヤ押さえ部材58が設けられる。取り付け板46には、シリンダ60が揺動自在に装着されるとともに、このシリンダ60に連結されたロッド62は、カムリング50に固定される。
【0033】
ナット仮締め手段44は、取り付け板46に固着される単一のモータ64を備える。図4に示すように、モータ64の回転駆動軸64aには、駆動歯車66が固着されるとともに、前記駆動歯車66には、ギアトレン68が噛合する。このギアトレン68には、ツールユニット70が着脱自在に装着される。
【0034】
ツールユニット70は、5本(又は4本)のナットランナ72が装着される。各ナットランナ72は、ギアトレン68及び駆動歯車66を介して、モータ64により一体的に回転駆動される。
【0035】
図1に示すように、第2作業機構22は、ロボット本体74を構成するアーム部76の先端に手首部78が設けられる。手首部78には、割り出し台80が回転自在に装着される。図5に示すように、割り出し台80には、第1取り付け部位24a及び第2取り付け部位24bでハブボルト18に仮締めされたナット28を本締めする本締め手段82と、各ハブボルト位置を検出するために前記第1取り付け部位24a及び前記第2取り付け部位24bの画像を撮影するCCD撮像カメラ(以下、単にカメラという)(検出センサ)84、86とが装着される。
【0036】
本締め手段82は、第1モータ88に連結された第1ナットランナ90と、第2モータ92に連結された第2ナットランナ94とを備える。第1ナットランナ90と第2ナットランナ94とは、ピッチ切り換え用シリンダ96から延在するロッド96aに連結された間隔調整部98を介して変更可能である。間隔調整部98は、支軸99を支点にして回動自在である。第1ナットランナ90と第2ナットランナ94とは、タイヤWを固定するためのナット本数が5本と4本とに対応してピッチ間隔が変更可能である。
【0037】
第3作業機構33のアーム先端には、ナットストック部30に収容されているナット28を取り出してナット置き台32に配置する開閉自在なナットチャック部87が設けられる。
【0038】
図6に示すように、第2作業機構22のカメラ84、86は、第1画像処理装置100に第1取り付け部位24a及び第2取り付け部位24bの画像情報を出力する。
【0039】
第1画像処理装置100には、さらにタイヤ投入コンベヤ26上に配置されているタイヤWを撮影するためのカメラ(ボルト孔検出センサ)102から前記タイヤWの画像情報(タイヤWのボルト孔)が入力される。
【0040】
第3作業機構33の近傍には、搬送するためのナット28の画像を撮影するカメラ104が固定される。このカメラ104により撮影されたナット28の画像情報は、第2画像処理装置106に入力される。
【0041】
第1画像処理装置100は、演算部108に接続され、この演算部108では、第1取り付け部位24aのハブボルト位置、第2取り付け部位24bのハブボルト位置及びタイヤ投入コンベヤ26上のタイヤWのボルト孔位置の相対位置が演算され、主制御装置(制御機構)110に出力する。演算部108には、第2画像処理装置106が接続され、カメラ104により撮影されたナット28の画像情報は、前記演算部108で演算されて主制御装置110に出力される。
【0042】
主制御装置110は、演算部108から入力された演算情報に基づいて、第1作業機構20の動作を制御するとともに、第2作業機構22及び第3作業機構33の動作制御も行う。
【0043】
次に、このように構成されるタイヤ組み付け装置10の動作について、本実施形態に係る組み付け方法との関連で、図7及び図8に示すフローチャート及び図9に示すタイミングチャートに沿って以下に説明する。
【0044】
なお、第1作業機構20の動作が図7に示され、第2作業機構22の動作が図8に示されるとともに、前記第1作業機構20、前記第2作業機構22及び第3作業機構33の動作は、図9に示すように、互いに関連して行われる。
【0045】
先ず、第1作業機構20の動作について説明すると、この第1作業機構20は、ナット置き台32上に配列されている5本のナット28をナット仮締め手段44を構成する5本のナットランナ72により把持した後、タイヤ把持手段42を介してタイヤ投入コンベヤ26上のタイヤWを把持する(ステップS1)。
【0046】
具体的には、図3に示すように、シリンダ60が駆動されてロッド62が矢印方向に進出すると、このロッド62に固定されるカムリング50は、ガイドローラ48の案内作用下に矢印方向に回転する。このため、カムリング50に一端が連結されている各連結ロッド56は、各スライドベース54をガイドレール52に沿って内方(中心側)に移動させる。従って、各スライドベース54に装着されているタイヤ押さえ部材58により、タイヤWの外周面が押圧保持される。
【0047】
ナット28及びタイヤWを把持した第1作業機構20は、ロボット本体34の旋回作用下に取り付け待機位置に移動する(ステップS2)。その際、自動車車体14は、前輪側である第1取り付け部位24aが、タイヤ取り付け作業ステーションに配置されている。
【0048】
そして、後述するように、第2作業機構22に設けられているカメラ84、86による撮像画像の演算処理によって得られた前輪用補正量が入力されると(ステップS3中、YES)、ステップS4に進んで、第1取り付け部位24aにタイヤWがセットされる。
【0049】
さらに、ステップS5に進んで、各ハブボルト18にナット28が仮締めされる。具体的には、ナット仮締め手段44では、図4に示すように、モータ64の回転作用下に、駆動歯車66及びギアトレン68を介してツールユニット70に設けられる各ナットランナ72が一体に回転する。このため、各ナット28は、各ハブボルト18に仮締めされる。
【0050】
第1取り付け部位24aに前輪としてタイヤWが仮締めされると、前輪セット完了信号が出力される(ステップS6)。ロボット本体34は、ステップS7に進んで、第1取り付け部位24aから離間してナット置き台32側に移動する。
【0051】
そして、ナット仮締め手段44を構成する各ナットランナ72は、ナット置き台32上に配列されている5本のナット28を把持した後、ロボット本体34がタイヤ投入コンベヤ26側に旋回移動する。タイヤ把持手段42は、タイヤWを把持すると(ステップS8)、ロボット本体34の駆動作用下に、取り付け待機位置に移動する(ステップS9)。
【0052】
上記の移動中に、搬送路16を介して自動車車体14が、図1中、矢印方向に間欠搬送される。このため、自動車車体14は、後輪側である第2取り付け部位24bが、タイヤ取り付け作業ステーションに配置される。
【0053】
一方、ロボット本体34は、後述するように、第2作業機構22に設けられているカメラ84、86からの画像信号に基づいて得られた後輪用補正量が入力されると(ステップS10中、YES)、ステップS11に進んで、第2取り付け部位24bに後輪用のタイヤWをセットする。
【0054】
さらに、ナット仮締め手段44を介して、第2取り付け部位24bのハブボルト18にナット28が仮締めされた後(ステップS12)、後輪セット完了信号が出力される(ステップS13)。その後、第1作業機構20は、原位置に移動し(ステップS14)、自動車車体14へのタイヤ仮締め作業が終了する。
【0055】
次に、第2作業機構22の動作について、図8に沿って以下に説明する。
【0056】
第2作業機構22では、ロボット本体74の作用下に、カメラ84、86がタイヤ取り付け作業ステーションに対応して配置されている。そして、このタイヤ取り付け作業ステーションに、自動車車体14の前輪側である第1取り付け部位24aが配置されると(ステップS101中、YES)、ステップS102に進んで、カメラ84、86を介して第1取り付け部位24aの前輪用ハブボルト18の画像情報が読み取られる。
【0057】
カメラ84、86の読み取り画像は、第1画像処理装置100に出力され、この第1画像処理装置100では、各ハブボルト18の基準位置に対する補正量が算出される。この補正量は、演算部108から主制御装置110に出力される(ステップS103)。
【0058】
さらに、第2作業機構22は、第1取り付け部位24aにおける第1作業機構20による作業に干渉しない位置に移動する(ステップS104)。そして、第1作業機構20により前輪セット完了信号が入力されると(ステップS105中、YES)、ステップS106に進んで、締め付け位置(第1取り付け部位24a)に移動する。
【0059】
第1取り付け部位24aでは、5本のナット28がハブボルト18に仮締めされており、本締め手段82を構成する第1ナットランナ90及び第2ナットランナ94は、第1モータ88及び第2モータ92により回転駆動されて、先ず、2本のナット28が本締めされる。次いで、第1ナットランナ90及び第2ナットランナ94は、所定の角度だけ旋回された後、他の2本の仮締め後のナット28に本締めされる。さらに、第1ナットランナ90及び第2ナットランナ94が旋回された後、残余の1本の仮締め後のナット28は、例えば、前記第1ナットランナ90により本締めされる(ステップS107)。
【0060】
第1取り付け部位24aにタイヤWが取り付けられた後、第2作業機構22は、干渉外に移動する(ステップS108)。次いで、第2作業機構22は、後輪用ハブボルト検出位置に移動し(ステップS109)、自動車車体14が搬送路16に沿って半ピッチ搬送されたか否かを判断する(ステップS110)。
【0061】
自動車車体14が半ピッチ搬送されたと判断されると(ステップS110中、YES)、すなわち、後輪側である第2取り付け部位24bがタイヤ取り付け作業ステーションに配置されたと判断されると、ステップS111に進んで、カメラ84、86を介して第2取り付け部位24bの後輪用ハブボルト18の画像情報が読み取られる。カメラ84、86による撮影画像は、第1画像処理装置100に出力され、前記第2取り付け部位24bのハブボルト18に対応する補正量が出力される(ステップS112)。
【0062】
第2作業機構22は、第2取り付け部位24bの干渉外に移動した後(ステップS113)、ステップS114に進んで、第1作業機構20により後輪セットが完了したか否かが判断される。後輪セット完了信号が入力されると(ステップS114中、YES)、ステップS115に進んで、第2作業機構22が締め付け位置(第2取り付け部位24b)に移動する。
【0063】
本締め手段82は、第1ナットランナ90及び第2ナットランナ94の回転作用下に、ナット28を2本、2本及び1本の順にハブボルト18に本締めした後(ステップS116)、ステップS117に進んで、干渉外に移動する。
【0064】
一方、第3作業機構33は、ナットチャック部87を介して、ナットストック部30からナット置き台32に前輪用のナット28の搬送及び整列作業と、後輪用のナット28の搬送及び整列作業とを繰り返し行っている。
【0065】
なお、組み立てライン12では、自動車車体14の両側にタイヤ組み付け装置10が配置されており、上記と同様の作業が略同時に遂行される。
【0066】
この場合、本実施形態では、タイヤ組み付け装置10が第1作業機構20及び第2作業機構22に分割構成されている。そして、第1作業機構20は、タイヤ把持手段42及びナット仮締め手段44を設けるとともに、第2作業機構22は、本締め手段82を設けている。
【0067】
このため、単一の作業機構にのみタイヤ把持手段及び締め付け手段を設ける構成に比べ、第1作業機構20及び第2作業機構22は、有効に小型化及び簡素化されるという利点がある。
【0068】
しかも、第1作業機構20は、ナット仮締め手段44を設けるため、単一のモータ64を備えるだけでよい。従って、本締めまで一体に行う締め付け手段に比べ、モータ64が一挙に小型化且つ軽量化され、第1作業機構20全体の小型化及び軽量化が容易に遂行可能になる。
【0069】
さらに、第1作業機構20及び第2作業機構22により、タイヤ組み付け作業が分担されている。これにより、複数の作業を並行して行うことができ、タイヤ組み付け制御全体の短縮化及び効率化が図られるという効果が得られる。
【0070】
具体的には、図9に示すように、第1作業機構20が後輪用のナット28及びタイヤWを受け取る動作を行っている間に、第2作業機構22は、前輪である第1取り付け部位24aのハブボルト18にナット28を本締めする作業を行っている。これにより、タイヤ組み付け作業全体の短縮化及び効率化が容易且つ確実に遂行されるという効果がある。
【0071】
一方、タイヤ組み付け装置10は、ナットストック部30から所定数(5本又は4本)のナット28を取り出してナット置き台32に整列して配置させる第3作業機構33を備えている。従って、第1作業機構20及び第2作業機構22は、ナット28の配列作業を不要にすることができ、前記第1作業機構20及び前記第2作業機構22の作業が一層簡素化且つ効率化される。
【0072】
さらにまた、搬送路16は、自動車車体14の第1取り付け部位24aと第2取り付け部位24bとが、タイヤ取り付け作業ステーションに、順次、配置されるように、前記自動車車体14を間欠搬送している。このため、タイヤ取り付け作業ステーション(左右一方)には、第1作業機構20及び第2作業機構22を一台ずつ配置するだけで、自動車車体14の前輪及び後輪に良好に対応することが可能になる。
【0073】
なお、自動車車体14の種類の変更に伴って、タイヤWのボルト孔数が変更される際には、第1作業機構20を構成するナット仮締め手段44のツールユニット70が交換される。具体的には、5本のナットランナ72が固着されているツールユニット70を、4本の前記ナットランナ72が装着されている新たなツールユニット70に交換する。
【0074】
一方、第2作業機構22では、本締め手段82を構成するシリンダ96が駆動され、間隔調整部98が支軸99を支点に回動することにより、前記間隔調整部98による間隔調整(ピッチ調整)が行われる。このため、第1ナットランナ90と第2ナットランナ94との間隔は、4本のハブボルト18に対応してピッチ変更される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係るタイヤ組み付け装置が配置される組み立てラインの斜視説明図である。
【図2】前記タイヤ組み付け装置を構成する第1作業機構の要部斜視説明図である。
【図3】前記第1作業機構の要部正面説明図である。
【図4】前記第1作業機構の要部側面説明図である。
【図5】前記タイヤ組み付け装置を構成する第2作業機構の要部斜視説明図である。
【図6】前記タイヤ組み付け装置のブロック図である。
【図7】本発明の組み付け方法において、前記第1作業機構の動作を説明するフローチャートである。
【図8】前記組み付け方法において、前記第2作業機構の動作を説明するフローチャートである。
【図9】前記組み付け方法のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0076】
10…タイヤ組み付け装置 12…組み立てライン
14…自動車車体 16…搬送路
18…ハブボルト 20、22、33…作業機構
24a、24b…取り付け部位 26…タイヤ投入コンベヤ
28…ナット 30…ナットストック部
32…ナット置き台 34、74…ロボット本体
42…タイヤ把持手段 44…ナット仮締め手段
58…タイヤ押さえ部材 60、96…シリンダ
64、88、92…モータ 70…ツールユニット
72、90、94…ナットランナ 82…本締め手段
84、86、102、104…カメラ 98…間隔調整部
100、106…画像処理装置 108…演算部
110…主制御装置 W…タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハブボルトに対してタイヤを自動的に組み付けるタイヤ組み付け装置であって、
前記タイヤを把持するタイヤ把持手段、及び前記タイヤが配置された前記ハブボルトに、ナットを仮締めするナット仮締め手段を設ける第1作業機構と、
仮締めされた前記ナットを本締めする本締め手段を設ける第2作業機構と、
を備えることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ組み付け装置において、前記第2作業機構は、前記車両のハブボルト位置を検出する検出センサを設けることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタイヤ組み付け装置において、タイヤ供給部に配置されている前記タイヤのボルト孔を検出するボルト孔検出センサと、
前記車両のハブボルト位置情報及び前記タイヤのボルト孔位置情報を処理し、前記第1作業機構の動作を制御する制御機構と、
を備えることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ組み付け装置において、前記ナット仮締め手段は、着脱自在な複数のナットランナと、
複数の前記ナットランナを一体に回転させる単一の回転駆動源と、
を備えることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ組み付け装置において、前記本締め手段は、2本のナットランナと、
2本の前記ナットランナ同士の間隔を調整可能な間隔調整部と、
を備えることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ組み付け装置において、前記ナットを前記ナット仮締め手段に対応して整列させる第3作業機構を備えることを特徴とするタイヤ組み付け装置。
【請求項7】
車両のハブボルトに対してタイヤを自動的に組み付けるタイヤ組み付け方法であって、
第1作業機構により前記タイヤを把持するとともに、前記タイヤが配置された前記ハブボルトに、ナットを仮締めする工程と、
第2作業機構を介し、前記第1作業機構により仮締めされた前記ナットを本締めする工程と、
を有することを特徴とするタイヤ組み付け方法。
【請求項8】
請求項7記載のタイヤ組み付け方法において、前記第1作業機構と前記第2作業機構とは、互いに干渉することなく各作業を並行して行うことを特徴とするタイヤ組み付け方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載のタイヤ組み付け方法において、前記第2作業機構により前記車両のハブボルト位置を検出する工程を有することを特徴とするタイヤ組み付け方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のタイヤ組み付け方法において、タイヤ供給部に配置されている前記タイヤのボルト孔を検出する工程と、
前記車両のハブボルト位置情報及び前記タイヤのボルト孔位置情報に基づいて、前記第1作業機構の動作を制御する工程と、
を有することを特徴とするタイヤ組み付け方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のタイヤ組み付け方法において、前記第1作業機構及び前記第2作業機構は、タイヤ取り付けステーションに配置されるとともに、
前記車両は、前輪用の前記ハブボルトと後輪用の前記ハブボルトとが、前記タイヤ取り付けステーションに、順次、配置されるように間欠搬送されることを特徴とするタイヤ組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−179142(P2009−179142A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19126(P2008−19126)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】