タイヤ試験機及びタイヤ試験の方法
【課題】高精度なタイヤの特性を測定できるようにする。
【解決手段】リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けている。
【解決手段】リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ユニフォミティ試験装置,転がり抵抗試験装置等のタイヤの試験を行う試験装置(タイヤ試験機)及びタイヤ試験の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のタイヤ試験機として、特許文献1に示すようなユニフォミティ試験装置が知られている。このユニフォミティ試験装置は、スピンドル軸と、ハウジングと、ドラムとを備えており、スピンドル軸に設けたリムにタイヤを装着し、このタイヤを前記ドラムに押し当ててタイヤを回転させることにより、タイヤの特性、例えば、タイヤに発生するトラクティブ荷重やラジアル荷重等を測定することができる。
【特許文献1】特開2004−28700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来よりユニフォミティ試験装置では、タイヤ試験の際にタイヤの回転軸となるスピンドル軸が共振してしまう或いは、スピンドル軸系の固有振動数が試験装置(測定装置)で測定する周波数付近に入ると、タイヤの特性を正確に測定することができないので、しばしば、スピンドル軸系の固有振動数が問題になることがある。
一般的には、スピンドル軸を支持する支持剛性を高めることでスピンドル軸系の固有振動数を高くし、これにより、スピンドル軸及びその支持系の振動特性の影響が測定結果にあらわれないようにしているが、構造的な制約によってスピンドル軸の固有振動数を意図した周波数まで高くすることが難しいことがある。
【0004】
この場合には、スピンドル軸の固有振動数が試験装置(測定装置)で測定する周波数内に入る恐れがあり、実際のタイヤの特性と測定装置で測定した測定値とが同一にならない場合がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、高精度なタイヤの特性が測定できるタイヤ試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。即ち、リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けている点にある。
これによれば、スピンドル軸を所定の周波数で強制的に加振することができる。
ゆえに、スピンドル軸を加振しながらタイヤの特性(例えば、タイヤのラジアル荷重)を計測することによって、スピンドル軸に与えた荷重特性と測定装置(試験機)で測定されるタイヤの特性との関係を求めることが可能となる。
【0006】
したがって、タイヤの特性を測定する際(タイヤの試験を行う際)、スピンドル軸の回転周波数或いはその高次成分が、例えば、その固有振動数に近づき当該スピンドル軸が仮に共振状態となったとしても、上述した如くスピンドル軸が加振された振動の周波数に対する上述の荷重伝達特性を伝達関数としてタイヤ試験前に予め求めることができるため、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正することで仮にスピンドル軸が共振に近い状態でもタイヤの特性を正確に求めることが可能となる。これによって、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【0007】
前記加振装置は、スピンドル軸の外周面の廻りに配置されたステータが発生する磁力を可変とする加振制御部とを有していることが好ましい。
このようにすれば、スピンドル軸を非接触状態で加振することができる。
前記加振装置は、スピンドル軸と同一軸心上に配置された慣性マスと、この慣性マスとスピンドル軸とを径方向に連結する連結体と、前記慣性マスの軸心とスピンドル軸の軸心とが径方向に偏心するように、前記慣性マスを径方向に移動させる移動体とを有していることが好ましい。
【0008】
このようにすれば、慣性マスを移動させて慣性マスの軸心とスピンドル軸心とを径方向に偏心させ、さらにスピンドル軸を回転させることで、当該スピンドル軸を加振することができる。
前記軸受は、スピンドル軸を非接触で支持する非接触軸受で構成されていることが好ましい。このようにすることで、スピンドル軸を回転させた際の軸受の回転抵抗を非常に小さくでき、前記回転抵抗に起因するスピンドル軸の捩りトルクを極力小さくすることができる。
【0009】
したがって、例えば、タイヤの特性の1つであるトラクティブ荷重を測定した場合、トラクティブ荷重にはほとんど捩りトルクが加算されなくなるので、高精度なトラクティブ荷重が測定できるようになる。
前記非接触軸受を、能動型の磁気軸受で構成しており、この磁気軸受を加振装置として共用していることが好ましい。
これによれば、スピンドル軸を支持する軸受と加振装置とを共用(兼用)することができ、構成が非常に簡単となる。
【0010】
前記加振装置によってスピンドル軸に与えた荷重特性と、前記加振装置で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段を有している点にある。
これによれば、タイヤ試験の際に、測定したタイヤの特性を伝達関数を用いて理論的に補正することができるため、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
本発明の他の手段は、スピンドル軸を回転自在に備えたタイヤ試験機で、タイヤをスピンドル軸と一体的に回転させて測定装置でタイヤの特性を測定する試験を行うにあたり、前記タイヤの試験前に、前記スピンドル軸を加振しつつ測定したタイヤの特性と加振の力との関係を伝達関数として予め算出しておき、前記タイヤの試験を行う際には、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正する点にある。
【0011】
これによれば、スピンドル軸の固有振動数が測定装置で測定する周波数内に入っていて、スピンドル軸が共振状態となる可能性があったとしても、タイヤ試験前に予め求めておいた伝達関数を用いて測定した測定荷重を補正することができるため、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1に示すものは、タイヤ試験機の全体正面図であり、図2に示すものは、他のタイヤ試験機の支持部側の概略図である。
なお、図1,紙面上下方向を上下方向、図2において紙面上下方向を上下方向とする。
図1,2に示すように、それぞれのタイヤ試験機1A,1Bは、例えば、タイヤのユニフォミティを測定する装置であって、回転自在に支持されたスピンドル軸3と、回転自在なドラム4とを有している。
【0014】
以下、図1に示すタイヤ試験機1Aと図2に示すタイヤ試験機1Bとで共通の構造のものは同じ符号を付して説明する。
図1に示すタイヤ試験機1Aのスピンドル軸3は、上下2つの回転軸を備えたものとなっており、上側の回転軸(上スピンドル軸3a)と、下側の回転軸(下スピンドル軸3b)は、それぞれ枠状のメインフレーム5内に配置されている。上スピンドル軸3aはメインフレーム5内でその上側に配置され、上スピンドル軸3aの上側にはメインフレーム5に固定されたセンタ昇降シリンダ7の昇降ロッド8が連結されている。上スピンドル軸3aの下部にはタイヤTを装着可能な上リム9が設けられている。
【0015】
下スピンドル軸3bは、メインフレーム5内でその下部に配置された取付台10に回転自在に支持されている。下スピンドル軸3bの上部にはタイヤTを装着可能な下リム11が設けられている。
図1におけるタイヤ試験機1Aによれば、メインフレーム5に昇降自在に支持されたタイヤ載せ台12に試験するタイヤTを載せ、当該タイヤ載せ台12を下スピンドル軸3b側に下降させ、下スピンドル軸3bの下リム11にタイヤTを装着すると共に、上スピンドル軸3aをセンタ昇降シリンダ7で下降させて上下リム9,11でタイヤTを把持し、
上スピンドル軸3a及び上リム9を昇降ロッド8側から切離し、タイヤTとメインフレーム5内に配置されたドラム4とを押し当ててドラム4を回転させることにより、タイヤTの特性を測定することができる。
【0016】
図2に示すタイヤ試験機1Bのスピンドル軸3は、1つの回転軸を備えたものとなっている。このスピンドル軸3は、タイヤ試験機1Aと同じ構成である取付台10に回転自在に支持されている。スピンドル軸3の上部には、タイヤTを装着したリム13を取り付けることができるようになっている。
図2におけるタイヤ試験機1Bによれば、リム13にタイヤTを装着し、スピンドル軸3とリム13とが一体回転するように当該リム13をスピンドル軸3の先端部に取り付け、リム13に装着したタイヤTと取付台10の側方に配置されたドラム4とを押し当ててドラム4を回転させることにより、タイヤTの特性を測定することができる。
【0017】
以下、タイヤ試験機1A及びタイヤ試験機1Bのスピンドル軸3の支持構造、即ち、リムを回転自在に支持する回転軸の構造について、図2を用いて詳しく説明する。
なお、タイヤ試験機1Aにおけるスピンドル軸3(下スピンドル軸3b)の支持構造は、図2のタイヤ試験機1Bにおけるスピンドル軸3と同様の支持構造であるので、タイヤ試験機1Aについては図2におけるタイヤ試験機1Bを例にとり説明する。また、図2でのタイヤ試験機1Bは、予めリム13にタイヤTが保持されたリム付きタイヤをスピンドル軸3に支持させるものである点で図1におけるタイヤ試験機1Aと異なっている。
【0018】
図2に示すように、取付台10の上部にはハウジング15が固定されている。このハウジング15は、取付台10の上面に配備された筒状のスピンドルベース16と、このスピンドルベース16に内嵌された筒状のベアリングハウジング17とを有している。
ベアリングハウジング17の上部側には径外方向に突出する鍔部18が形成されており、この鍔部18とスピンドルベース16の上部との間には、タイヤTの特性を測定する測定装置20が設けられている。測定装置20は、複数のロードセル等から構成されており、タイヤTをドラム4に押しつけて当該タイヤTを回転させたときのタイヤTにかかる荷重やモーメント等を測定することができる。
【0019】
ベアリングハウジング17にはスピンドル軸3(図1のものにあっては下スピンドル軸3b)が内嵌されている。このスピンドル軸3は当該スピンドル軸3を非接触で支持可能な非接触軸受23でベアリングハウジング17(ハウジング15)に対して回転自在に支持されている。非接触軸受23は、例えば、電磁力によってスピンドル軸3を非接触で支持する磁気軸受(詳細は第3実施形態で説明)で構成されている。
磁気軸受23は、スピンドル軸3のラジアル荷重を受けるラジアル軸受24と、スピンドル軸3のスラスト荷重を受けるスラスト軸受25とを備えたものとなっている。実施の形態では、磁気軸受23は、上下に配置された2つのラジアル軸受24a,24bと、1つのスラスト軸受25とを備えたものとなっている。
【0020】
具体的には、ベアリングハウジング17の上側に上ラジアル軸受24aが設けられると共に、ベアリングハウジング17の上下中途部に下ラジアル軸受24bが設けられており、この下ラジアル軸受24bの下側にスラスト軸受25が設けられていて、これらの軸受24,25によりスピンドル軸3はベアリングハウジング17に対して回転するようになっている。
スピンドル軸3の上部側、即ち、リムを装着したスピンドル軸3の端部側には、前記磁気軸受23に対するスピンドル軸3の位置を可変することでスピンドル軸3を強制的に加振する加振装置50が設けられている。
【0021】
図2〜4を用いてタイヤ試験機1A及びタイヤ試験機1Bの加振装置50について詳しく説明する。なお、タイヤ試験機1Aの加振装置については、タイヤ試験機1Bの加振装置50と同じ構成であるので同符号を付して説明を省略する。
加振装置50は、スピンドル軸3の外周面廻りに配置された電磁石51と、加振制御部52とを有している。電磁石51は、スピンドルベース16に取り付けられた支持体53に設けられている。この支持体53は、例えば、筒状に形成されてその下部側がスピンドルベース16に外嵌固定されており、スピンドル軸3が挿通された挿通孔56の縁部近傍に前記電磁石51が取り付けられている。
【0022】
詳しくは、前記挿通孔56が形成された支持体53の上壁54に電磁石51が取り付けられていて、当該電磁石51がスピンドル軸3の外周面に近接した状態で支持体53に固定されている。さらに詳しくは、挿通孔56の中心、言い換えれば、ベアリングハウジング17の軸心を中心として、平面視で2つの電磁石51L,51Rが左右に分かれた状態で支持体51に固定され、ステータを構成している。
電磁石51L,51Rは、鉄心にコイルが巻かれてなり、この電磁石51L,51Rと対向してスピンドル軸3の外周面に、金属製又は磁性体からなるスリーブ55が取り付けられ、ロータを構成している。
【0023】
図3では一方向を加振する一対の電磁石51L,51Rを示しているが、水平方向(図3の紙面貫通方向)に関し、前記電磁石51L,51Rと直交関係に一対の電磁石を配置することにより、水平方向内の任意の方向に加振するようにしてもよい。
加振制御部52は、各電磁石51のコイルに対して電流を供給するものでこれにより、スピンドル軸3を加振するものである。具体的には、加振制御部52は、各電磁石51のコイルに対して供給する電流の振幅や周波数を任意に変化させることによって、「電磁石51Lとスリーブ55との間に働く磁気吸引力」及び「電磁石51Rとスリーブ55との間に働く磁気吸引力」のバランス状態を変化させ、これにより、電磁石51L,51Rに対するスピンドル軸3を加振する。
【0024】
より詳細は、加振制御部52は、電流を所定の周波数で任意に供給する信号発生機能(信号発生手段)を有しており、電磁石51L,51Rに供給する電流の振幅や周波数を変更することができる。例えば、加振制御部52によって正弦波信号を出力すると、スピンドル軸3の上側はラジアル方向に加振される。スピンドル軸3は加振制御部52から出力された正弦波信号の周波数に応じて振動することとなる。
なお、図3は、電磁石51L,51Rの配置の中心O1とスピンドル軸3の軸心O2とが一致している状態を示しており、図4は、電磁石51L,51Rの配置の中心O1とスピンドル軸3の軸心O2とが加振により振動している状態を示している。
【0025】
加振装置50を有するタイヤ試験1A,1Bでは次のようにタイヤ試験を行う。以下、加振装置50を用いたタイヤ試験方法について説明する。
タイヤ試験前に加振装置50を使用して、スピンドル軸3が振動しているときのタイヤTに発生する力(タイヤTのラジアル荷重等)と、スピンドル軸3が振動している状態で測定装置20で測定した値との関係を求める。
ここで、タイヤTに発生する力は、加振装置45で発生させた荷重とする。もしくは、加振装置45とタイヤ位置の幾何学的関係からタイヤに発生する力を求めるものとする。
【0026】
具体的には、まず、タイヤTの試験を行う前の予備試験として、リムにタイヤTを装着して、そのタイヤTとドラム4とを押し当てる。この際、タイヤTを回転させても良いし回転させなくてもよい。
次に、信号発信器42によって所定の周波数の出力信号S1を発生させ、スピンドル軸3を所定の周波数で加振させる。そして、スピンドル軸3がラジアル方向に振動している状態でのタイヤTのラジアル荷重を測定装置20により測定する。スピンドル軸3が振動している状態での測定装置20で測定した測定値を応答値とする。また、スピンドル軸3に与えた加振力を基準値とする。
【0027】
そして、信号発信器42から出力する出力信号S1の周波数を変化させ、加振装置50によってスピンドル軸3を加振したときの振動周波数を、例えば、スピンドル軸3の固有振動数を含む範囲で連続的に可変しながらそのときの前記応答値を記録し、振動周波数と各振動周波数におけるタイヤTのラジアル荷重をコンピュータ等に記憶する。
コンピュータに記憶した振動周波数と、スピンドル軸3に与えた荷重(基準値)と、振動周波数ごとのラジアル荷重の測定値(応答値)とを用いて、ラジアル荷重の伝達関数を求める。
【0028】
具体的には、図5に示すように、スピンドル軸3を加振したときの振動周波数を横軸にとり、振動周波数ごとのラジアル荷重(応答値)を基準値で割った値(伝達関数の振幅)を縦軸にとって、測定装置20で測定したときの各データをプロットし、周波数応答の曲線(伝達関数)を作成する。
同時に、同じデータを用いて、図6に示すように、周波数応答における測定装置20で測定したラジアル荷重の時間的な遅れの曲線を作成してもよい。この場合は、図の縦軸は時間的な遅れを示す値(伝達関数の位相)となる。
【0029】
タイヤTの試験を行う際には、加振装置50の駆動を停止して、タイヤTを回転させたときのタイヤTのラジアル荷重を測定装置20で測定する。
具体的には、リムにタイヤTを装着して、そのタイヤTとドラム4とを押し当てて、タイヤTを所定の回転数(例えば、40rpm〜70rpm)で回転させる。
そして、測定装置20でタイヤTのラジアル荷重を測定し、測定装置20で測定した測定値を図5で示したような、伝達関数を用いて補正する。即ち、測定したときのタイヤTの回転数から得られるスピンドル軸3の回転周波数を、図5の振動周波数にあてはめ、その際の縦軸の値(伝達関数の振幅)の逆数を使って、測定装置20で測定した測定値を補正する。
【0030】
例えば、タイヤTの回転数から算出された振動周波数に対応する伝達関数の振幅が2.0であるとすると、その値の逆数である「1/2.0」を測定装置20で測定した測定値を掛けた値が、タイヤTの真のラジアル荷重となる。なお、スピンドル軸3が振動したときの測定装置20で測定した測定値の時間的な遅れを見る場合には、図6を用いるとよい。
この補正により、タイヤ試験機1Aにおけるスピンドル軸3bやタイヤ試験機1Bにおけるスピンドル3が、その固有振動数に近い状態で回転している場合であっても(図5のfb)、正確で位相ズレのないラジアル荷重を求めることができ、ひいては、信頼ある高精度なタイヤTの特性を測定することが可能となる。
【0031】
なお、加振装置50によって発生するスピンドル軸3の振動の周波数と、加振装置50で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段(前記コンピュータ)をタイヤ試験機1A,1Bに設けるようにしてもよい。
[第2実施形態]
図7,8に示すものは、第2実施形態におけるタイヤ試験機の一部を示している。この実施の形態では第1実施形態における加振装置を変形したものである。
加振装置60は、慣性マス61と、連結体62と、移動体63とを備えている。慣性マス61はスピンドル軸3の上部側で且つその内部に設けられている。具体的には、スピンドル軸3の内部に空間64が形成されており、その空間部64に、例えば円柱状の金属塊や鋼棒材を所定長さに切断したもので構成される慣性マス61がスピンドル軸3の内壁から離れた状態で配置されている。
【0032】
通常の状態(非加振状態)で、慣性マス61の軸心O4とスピンドル軸3の軸心O2とが同一軸心上となるように、言い換えれば、慣性マス61がスピンドル軸3に対して非偏心状態で、慣性マス61は連結体62を介してスピンドル軸3に径方向に連結されている。連結体62はスプリング等の弾性体から構成されている。非加振時は同心状態にて強固に固定されている。
移動体63は、慣性マス61の側方側に配置されていて、スピンドル軸3に対して径方向に一部又は全体が移動できるようにスピンドル軸3に支持されている。この移動体63は、例えば、電気信号によって突出部63aが径方向に移動するピエゾ素子で構成されている。
【0033】
したがって、ピエゾ素子63に電圧を供給することによって、ピエゾ素子63の突出部63aが径方向に移動し、この突出部63aで慣性マス61を径方向に移動させることができるようになっている。
以上、この加振装置によれば、ピエゾ素子63の突出部63aで慣性マス61を径方向に移動させて慣性マス61の軸心O4とスピンドル軸3の軸心O2とを径方向に偏心させ、その状態でスピンドル軸3を回転させることで、当該スピンドル軸3を径方向(ラジアル方向)に加振することができる。
[第3実施形態]
図9〜11に示すものは、第3実施形態におけるタイヤ試験機を示している。このタイヤ試験機には、第1実施形態での磁気軸受23、即ち、ラジアル軸受24を前記加振装置50として用いたものである。この実施の形態では、支持体53は設けられていないものとなっている。
【0034】
図9〜10に示すように、各ラジアル軸受24は、複数個の電磁石28と、金属製又は磁性体からなるスリーブ29と、電力供給部30と、変位センサ31と、制御部32とを備えている。
各電磁石28は、ベアリングハウジング17の内壁廻りに取り付けられていて、スピンドル軸3の外周面の廻りに配置された状態におり、ステータを構成している。具体的には、ベアリングハウジング17の軸心を中心として、平面視で一対の電磁石28L,28Rが左右に分かれた状態で配置されていると共に、この一対の電磁石28L,28Rと直交関係にある一対の電磁石(図示しない)が配置されている。スリーブ29は、各電磁石と対向してスピンドル軸3の外周面に取り付けられており、当該スリーブ29でロータが構成されている。
【0035】
図9,10では、一方向(ラジアル方向)の電磁石28L,28Rのみを示しているが、水平方向(図10の紙面貫通方向)に関し、一対の電磁石28L,28Rと直交関係にある前述した一対の電磁石を配置することにより、ラジアル軸受として機能するように構成している。
電力供給部30は、電磁石28L,28R、すなわち鉄心に巻かれたコイル33に電流を供給するもので、例えば、制御部32から出力された電流を増幅するパワーアンプで構成されている。
【0036】
したがって、電力供給部30からコイル33に電流を供給し、電磁石28L,28Rとスリーブ29との間に電磁吸引力を作用させることによって、スピンドル軸3のラジアル方向の荷重を非接触の状態で支持している。
変位センサ31は、スピンドル軸3の径方向(ラジアル方向)の位置を検出するもので、例えば、電磁石28L,28Rの配置の中心O5(ステータの中心O5)に対するスピンドル軸3の軸心O2のラジアル方向の変位、言い換えれば、ベアリングハウジング17の軸心に対するスピンドル軸3の軸心O2のラジアル方向の変位を検出することが可能なものである。具体的には、変位センサ31は、スリーブ29と変位センサ31との距離を測定するものであって、かかる測定結果にスピンドル軸3の半径を加えることで、軸心O2までの距離を得ることができる。
【0037】
制御部32はスピンドル軸3の軸心O2の目標位置と、変位センサ31で検出されたスピンドル軸3の位置との情報に基づいて、電力供給部30へ出力する電流(制御信号S2)を調整し、電力供給部30から電磁石28L,28Rのコイル33に供給される電流を制御するものである。
即ち、図11に示すように、制御部32にはスピンドル軸3の軸心O2の目標位置に対応する目標値が予め設定されていると共に、スピンドル軸3の軸心O2の位置が変位センサ31によりフィードバックされ、軸心O2の位置に対応する現在値が設定される。そして、制御部32は前記目標値と前記現在値とを比較して、スピンドル軸3の軸心O2の位置が目標位置になるように、電力供給部30が出力する電流を調整する。
【0038】
この実施の形態では、スピンドル軸3の軸心O2の目標位置が電磁石28L,28Rの配置の中心O5位置とされ、変位センサ31は電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するスピンドル軸3の軸心の変位を検出するものとされており、制御部32は、電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するスピンドル軸3の軸心のラジアル方向の変位を変位センサ31が検出すると、電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するラジアル方向の変位が零となるように(電磁石28L,28Rの配置の中心O5とスピンドル軸3の軸心O2とが一致するように)、電力供給部30が出力する電流を変更する。
【0039】
例えば、変位センサ31が、設定値より大なる距離を測定した場合、スピンドル軸3は電磁石28L側に偏心して回転していることになるので、電力供給部30は、電磁石28Rに対する電流を増し、電磁石28Rが発生する磁力を増加させ、スピンドル軸3を当該電磁石28Rに引き寄せることで、前記偏心状態を是正する。
なお、ここではラジアル方向を例にとり説明したが、これと直交する方向についても同様である。
次に、各ラジアル軸受24のうちリムの近傍に配置された上側のラジアル軸受24aを加振装置として用いることを例にとり説明する。
【0040】
加振装置50として用いる上側のラジアル軸受24aには、電磁石28L,28R、スリーブ29、電力供給部30、変位センサ31、制御部32の他に、任意波形の電圧又は電流を発生する信号発生器42を有している。この実施の形態では、信号発生器42としてファンクションジェネレータを採用している。
信号発生器42は電磁石28L,28Rに対応した電力供給部30の少なくともどちらか一方に接続されており、信号発生器42が出力信号S1を出力すると、制御部32から出力された制御信号S2にその出力信号S1が加算され、加算された制御信号S3が一方の電力供給部30aに入力される。
【0041】
制御部32から出力された制御信号S2に信号発生器42の出力信号S1を加算することで、電力供給部30aから電磁石28L,28Rへ出力される電流が変化し、スピンドル軸3の上側に設けられたスリーブ29と電磁石28L,28Rとの間の磁気吸引力が変化する。
信号発生器42から所定の周波数で正弦波の信号を出力すると、スピンドル軸3の上側は信号発生器42から出力された出力信号S1の周波数に応じて、ラジアル方向に加振される。
【0042】
以上述べた加振装置(ラジアル軸受24a)を用いて、真のラジアル荷重を求めるやり方、すなわち、スピンドル軸3が振動しているときのタイヤTに発生する力(タイヤTのラジアル荷重等)と、スピンドル軸3が振動している状態で測定装置20で測定した値との関係を求め、その結果より、ラジアル荷重の伝達関数を求め、求めた伝達関数を使用して、測定装置20で測定した測定値を補正し、真のラジアル荷重を求める手法は、第1実施形態と略同一であるため、ここでの説明は省略する。
本発明は上記の実施の形態に限定されない。
【0043】
即ち、上記の実施の形態では、測定装置20でラジアル荷重を測定していたが、測定するものはこれに限らず、ラテラル荷重やトラクティブ荷重,モーメント等を測定するものであってもよい。
この場合、スピンドル軸3が所定の周波数で振動したときにおけるラテラル荷重や操舵トルクを予め測定し、該測定荷重やトルクに対する伝達関数を求め、求めた伝達関数を用いて、タイヤの特性試験時の測定結果を補正するようにするとよい。
スピンドル軸3を支持する軸受23を、非接触型の流体軸受やメカニカルな転がり軸受で構成してもよい。
【0044】
上記実施の形態で図示したタイヤ試験機では、スピンドル軸3を上下方向に配置したものであるが、本発明はスピンドル軸3を水平方向又は斜め方向に配置したものであってもよい。
また、上記実施の形態で図示したタイヤ試験機では、タイヤTの下方にスピンドル軸支持構造を備えたものであるが、本発明においてはスピンドル軸支持構造をタイヤTの上方に備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態のタイヤ試験機の全体正面図である。
【図2】他のタイヤ試験機の概略図である。
【図3】加振装置の詳細断面図である。
【図4】加振装置の制御ブロック図である。
【図5】伝達関数を示す図である(振動周波数−振幅)。
【図6】伝達関数を示す図である(振動周波数−位相差)
【図7】第2実施形態におけるタイヤ試験機に設けた加振装置の断面図である。
【図8】加振装置の平面図である。
【図9】第3実施形態におけるタイヤ試験機の下部の概略図である。
【図10】加振装置の断面図である。
【図11】加振装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1A タイヤ試験機
1B タイヤ試験機
3 スピンドル軸
23 軸受
50 加振装置
T タイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ユニフォミティ試験装置,転がり抵抗試験装置等のタイヤの試験を行う試験装置(タイヤ試験機)及びタイヤ試験の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のタイヤ試験機として、特許文献1に示すようなユニフォミティ試験装置が知られている。このユニフォミティ試験装置は、スピンドル軸と、ハウジングと、ドラムとを備えており、スピンドル軸に設けたリムにタイヤを装着し、このタイヤを前記ドラムに押し当ててタイヤを回転させることにより、タイヤの特性、例えば、タイヤに発生するトラクティブ荷重やラジアル荷重等を測定することができる。
【特許文献1】特開2004−28700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来よりユニフォミティ試験装置では、タイヤ試験の際にタイヤの回転軸となるスピンドル軸が共振してしまう或いは、スピンドル軸系の固有振動数が試験装置(測定装置)で測定する周波数付近に入ると、タイヤの特性を正確に測定することができないので、しばしば、スピンドル軸系の固有振動数が問題になることがある。
一般的には、スピンドル軸を支持する支持剛性を高めることでスピンドル軸系の固有振動数を高くし、これにより、スピンドル軸及びその支持系の振動特性の影響が測定結果にあらわれないようにしているが、構造的な制約によってスピンドル軸の固有振動数を意図した周波数まで高くすることが難しいことがある。
【0004】
この場合には、スピンドル軸の固有振動数が試験装置(測定装置)で測定する周波数内に入る恐れがあり、実際のタイヤの特性と測定装置で測定した測定値とが同一にならない場合がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、高精度なタイヤの特性が測定できるタイヤ試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。即ち、リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けている点にある。
これによれば、スピンドル軸を所定の周波数で強制的に加振することができる。
ゆえに、スピンドル軸を加振しながらタイヤの特性(例えば、タイヤのラジアル荷重)を計測することによって、スピンドル軸に与えた荷重特性と測定装置(試験機)で測定されるタイヤの特性との関係を求めることが可能となる。
【0006】
したがって、タイヤの特性を測定する際(タイヤの試験を行う際)、スピンドル軸の回転周波数或いはその高次成分が、例えば、その固有振動数に近づき当該スピンドル軸が仮に共振状態となったとしても、上述した如くスピンドル軸が加振された振動の周波数に対する上述の荷重伝達特性を伝達関数としてタイヤ試験前に予め求めることができるため、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正することで仮にスピンドル軸が共振に近い状態でもタイヤの特性を正確に求めることが可能となる。これによって、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【0007】
前記加振装置は、スピンドル軸の外周面の廻りに配置されたステータが発生する磁力を可変とする加振制御部とを有していることが好ましい。
このようにすれば、スピンドル軸を非接触状態で加振することができる。
前記加振装置は、スピンドル軸と同一軸心上に配置された慣性マスと、この慣性マスとスピンドル軸とを径方向に連結する連結体と、前記慣性マスの軸心とスピンドル軸の軸心とが径方向に偏心するように、前記慣性マスを径方向に移動させる移動体とを有していることが好ましい。
【0008】
このようにすれば、慣性マスを移動させて慣性マスの軸心とスピンドル軸心とを径方向に偏心させ、さらにスピンドル軸を回転させることで、当該スピンドル軸を加振することができる。
前記軸受は、スピンドル軸を非接触で支持する非接触軸受で構成されていることが好ましい。このようにすることで、スピンドル軸を回転させた際の軸受の回転抵抗を非常に小さくでき、前記回転抵抗に起因するスピンドル軸の捩りトルクを極力小さくすることができる。
【0009】
したがって、例えば、タイヤの特性の1つであるトラクティブ荷重を測定した場合、トラクティブ荷重にはほとんど捩りトルクが加算されなくなるので、高精度なトラクティブ荷重が測定できるようになる。
前記非接触軸受を、能動型の磁気軸受で構成しており、この磁気軸受を加振装置として共用していることが好ましい。
これによれば、スピンドル軸を支持する軸受と加振装置とを共用(兼用)することができ、構成が非常に簡単となる。
【0010】
前記加振装置によってスピンドル軸に与えた荷重特性と、前記加振装置で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段を有している点にある。
これによれば、タイヤ試験の際に、測定したタイヤの特性を伝達関数を用いて理論的に補正することができるため、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
本発明の他の手段は、スピンドル軸を回転自在に備えたタイヤ試験機で、タイヤをスピンドル軸と一体的に回転させて測定装置でタイヤの特性を測定する試験を行うにあたり、前記タイヤの試験前に、前記スピンドル軸を加振しつつ測定したタイヤの特性と加振の力との関係を伝達関数として予め算出しておき、前記タイヤの試験を行う際には、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正する点にある。
【0011】
これによれば、スピンドル軸の固有振動数が測定装置で測定する周波数内に入っていて、スピンドル軸が共振状態となる可能性があったとしても、タイヤ試験前に予め求めておいた伝達関数を用いて測定した測定荷重を補正することができるため、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高精度なタイヤの特性を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1に示すものは、タイヤ試験機の全体正面図であり、図2に示すものは、他のタイヤ試験機の支持部側の概略図である。
なお、図1,紙面上下方向を上下方向、図2において紙面上下方向を上下方向とする。
図1,2に示すように、それぞれのタイヤ試験機1A,1Bは、例えば、タイヤのユニフォミティを測定する装置であって、回転自在に支持されたスピンドル軸3と、回転自在なドラム4とを有している。
【0014】
以下、図1に示すタイヤ試験機1Aと図2に示すタイヤ試験機1Bとで共通の構造のものは同じ符号を付して説明する。
図1に示すタイヤ試験機1Aのスピンドル軸3は、上下2つの回転軸を備えたものとなっており、上側の回転軸(上スピンドル軸3a)と、下側の回転軸(下スピンドル軸3b)は、それぞれ枠状のメインフレーム5内に配置されている。上スピンドル軸3aはメインフレーム5内でその上側に配置され、上スピンドル軸3aの上側にはメインフレーム5に固定されたセンタ昇降シリンダ7の昇降ロッド8が連結されている。上スピンドル軸3aの下部にはタイヤTを装着可能な上リム9が設けられている。
【0015】
下スピンドル軸3bは、メインフレーム5内でその下部に配置された取付台10に回転自在に支持されている。下スピンドル軸3bの上部にはタイヤTを装着可能な下リム11が設けられている。
図1におけるタイヤ試験機1Aによれば、メインフレーム5に昇降自在に支持されたタイヤ載せ台12に試験するタイヤTを載せ、当該タイヤ載せ台12を下スピンドル軸3b側に下降させ、下スピンドル軸3bの下リム11にタイヤTを装着すると共に、上スピンドル軸3aをセンタ昇降シリンダ7で下降させて上下リム9,11でタイヤTを把持し、
上スピンドル軸3a及び上リム9を昇降ロッド8側から切離し、タイヤTとメインフレーム5内に配置されたドラム4とを押し当ててドラム4を回転させることにより、タイヤTの特性を測定することができる。
【0016】
図2に示すタイヤ試験機1Bのスピンドル軸3は、1つの回転軸を備えたものとなっている。このスピンドル軸3は、タイヤ試験機1Aと同じ構成である取付台10に回転自在に支持されている。スピンドル軸3の上部には、タイヤTを装着したリム13を取り付けることができるようになっている。
図2におけるタイヤ試験機1Bによれば、リム13にタイヤTを装着し、スピンドル軸3とリム13とが一体回転するように当該リム13をスピンドル軸3の先端部に取り付け、リム13に装着したタイヤTと取付台10の側方に配置されたドラム4とを押し当ててドラム4を回転させることにより、タイヤTの特性を測定することができる。
【0017】
以下、タイヤ試験機1A及びタイヤ試験機1Bのスピンドル軸3の支持構造、即ち、リムを回転自在に支持する回転軸の構造について、図2を用いて詳しく説明する。
なお、タイヤ試験機1Aにおけるスピンドル軸3(下スピンドル軸3b)の支持構造は、図2のタイヤ試験機1Bにおけるスピンドル軸3と同様の支持構造であるので、タイヤ試験機1Aについては図2におけるタイヤ試験機1Bを例にとり説明する。また、図2でのタイヤ試験機1Bは、予めリム13にタイヤTが保持されたリム付きタイヤをスピンドル軸3に支持させるものである点で図1におけるタイヤ試験機1Aと異なっている。
【0018】
図2に示すように、取付台10の上部にはハウジング15が固定されている。このハウジング15は、取付台10の上面に配備された筒状のスピンドルベース16と、このスピンドルベース16に内嵌された筒状のベアリングハウジング17とを有している。
ベアリングハウジング17の上部側には径外方向に突出する鍔部18が形成されており、この鍔部18とスピンドルベース16の上部との間には、タイヤTの特性を測定する測定装置20が設けられている。測定装置20は、複数のロードセル等から構成されており、タイヤTをドラム4に押しつけて当該タイヤTを回転させたときのタイヤTにかかる荷重やモーメント等を測定することができる。
【0019】
ベアリングハウジング17にはスピンドル軸3(図1のものにあっては下スピンドル軸3b)が内嵌されている。このスピンドル軸3は当該スピンドル軸3を非接触で支持可能な非接触軸受23でベアリングハウジング17(ハウジング15)に対して回転自在に支持されている。非接触軸受23は、例えば、電磁力によってスピンドル軸3を非接触で支持する磁気軸受(詳細は第3実施形態で説明)で構成されている。
磁気軸受23は、スピンドル軸3のラジアル荷重を受けるラジアル軸受24と、スピンドル軸3のスラスト荷重を受けるスラスト軸受25とを備えたものとなっている。実施の形態では、磁気軸受23は、上下に配置された2つのラジアル軸受24a,24bと、1つのスラスト軸受25とを備えたものとなっている。
【0020】
具体的には、ベアリングハウジング17の上側に上ラジアル軸受24aが設けられると共に、ベアリングハウジング17の上下中途部に下ラジアル軸受24bが設けられており、この下ラジアル軸受24bの下側にスラスト軸受25が設けられていて、これらの軸受24,25によりスピンドル軸3はベアリングハウジング17に対して回転するようになっている。
スピンドル軸3の上部側、即ち、リムを装着したスピンドル軸3の端部側には、前記磁気軸受23に対するスピンドル軸3の位置を可変することでスピンドル軸3を強制的に加振する加振装置50が設けられている。
【0021】
図2〜4を用いてタイヤ試験機1A及びタイヤ試験機1Bの加振装置50について詳しく説明する。なお、タイヤ試験機1Aの加振装置については、タイヤ試験機1Bの加振装置50と同じ構成であるので同符号を付して説明を省略する。
加振装置50は、スピンドル軸3の外周面廻りに配置された電磁石51と、加振制御部52とを有している。電磁石51は、スピンドルベース16に取り付けられた支持体53に設けられている。この支持体53は、例えば、筒状に形成されてその下部側がスピンドルベース16に外嵌固定されており、スピンドル軸3が挿通された挿通孔56の縁部近傍に前記電磁石51が取り付けられている。
【0022】
詳しくは、前記挿通孔56が形成された支持体53の上壁54に電磁石51が取り付けられていて、当該電磁石51がスピンドル軸3の外周面に近接した状態で支持体53に固定されている。さらに詳しくは、挿通孔56の中心、言い換えれば、ベアリングハウジング17の軸心を中心として、平面視で2つの電磁石51L,51Rが左右に分かれた状態で支持体51に固定され、ステータを構成している。
電磁石51L,51Rは、鉄心にコイルが巻かれてなり、この電磁石51L,51Rと対向してスピンドル軸3の外周面に、金属製又は磁性体からなるスリーブ55が取り付けられ、ロータを構成している。
【0023】
図3では一方向を加振する一対の電磁石51L,51Rを示しているが、水平方向(図3の紙面貫通方向)に関し、前記電磁石51L,51Rと直交関係に一対の電磁石を配置することにより、水平方向内の任意の方向に加振するようにしてもよい。
加振制御部52は、各電磁石51のコイルに対して電流を供給するものでこれにより、スピンドル軸3を加振するものである。具体的には、加振制御部52は、各電磁石51のコイルに対して供給する電流の振幅や周波数を任意に変化させることによって、「電磁石51Lとスリーブ55との間に働く磁気吸引力」及び「電磁石51Rとスリーブ55との間に働く磁気吸引力」のバランス状態を変化させ、これにより、電磁石51L,51Rに対するスピンドル軸3を加振する。
【0024】
より詳細は、加振制御部52は、電流を所定の周波数で任意に供給する信号発生機能(信号発生手段)を有しており、電磁石51L,51Rに供給する電流の振幅や周波数を変更することができる。例えば、加振制御部52によって正弦波信号を出力すると、スピンドル軸3の上側はラジアル方向に加振される。スピンドル軸3は加振制御部52から出力された正弦波信号の周波数に応じて振動することとなる。
なお、図3は、電磁石51L,51Rの配置の中心O1とスピンドル軸3の軸心O2とが一致している状態を示しており、図4は、電磁石51L,51Rの配置の中心O1とスピンドル軸3の軸心O2とが加振により振動している状態を示している。
【0025】
加振装置50を有するタイヤ試験1A,1Bでは次のようにタイヤ試験を行う。以下、加振装置50を用いたタイヤ試験方法について説明する。
タイヤ試験前に加振装置50を使用して、スピンドル軸3が振動しているときのタイヤTに発生する力(タイヤTのラジアル荷重等)と、スピンドル軸3が振動している状態で測定装置20で測定した値との関係を求める。
ここで、タイヤTに発生する力は、加振装置45で発生させた荷重とする。もしくは、加振装置45とタイヤ位置の幾何学的関係からタイヤに発生する力を求めるものとする。
【0026】
具体的には、まず、タイヤTの試験を行う前の予備試験として、リムにタイヤTを装着して、そのタイヤTとドラム4とを押し当てる。この際、タイヤTを回転させても良いし回転させなくてもよい。
次に、信号発信器42によって所定の周波数の出力信号S1を発生させ、スピンドル軸3を所定の周波数で加振させる。そして、スピンドル軸3がラジアル方向に振動している状態でのタイヤTのラジアル荷重を測定装置20により測定する。スピンドル軸3が振動している状態での測定装置20で測定した測定値を応答値とする。また、スピンドル軸3に与えた加振力を基準値とする。
【0027】
そして、信号発信器42から出力する出力信号S1の周波数を変化させ、加振装置50によってスピンドル軸3を加振したときの振動周波数を、例えば、スピンドル軸3の固有振動数を含む範囲で連続的に可変しながらそのときの前記応答値を記録し、振動周波数と各振動周波数におけるタイヤTのラジアル荷重をコンピュータ等に記憶する。
コンピュータに記憶した振動周波数と、スピンドル軸3に与えた荷重(基準値)と、振動周波数ごとのラジアル荷重の測定値(応答値)とを用いて、ラジアル荷重の伝達関数を求める。
【0028】
具体的には、図5に示すように、スピンドル軸3を加振したときの振動周波数を横軸にとり、振動周波数ごとのラジアル荷重(応答値)を基準値で割った値(伝達関数の振幅)を縦軸にとって、測定装置20で測定したときの各データをプロットし、周波数応答の曲線(伝達関数)を作成する。
同時に、同じデータを用いて、図6に示すように、周波数応答における測定装置20で測定したラジアル荷重の時間的な遅れの曲線を作成してもよい。この場合は、図の縦軸は時間的な遅れを示す値(伝達関数の位相)となる。
【0029】
タイヤTの試験を行う際には、加振装置50の駆動を停止して、タイヤTを回転させたときのタイヤTのラジアル荷重を測定装置20で測定する。
具体的には、リムにタイヤTを装着して、そのタイヤTとドラム4とを押し当てて、タイヤTを所定の回転数(例えば、40rpm〜70rpm)で回転させる。
そして、測定装置20でタイヤTのラジアル荷重を測定し、測定装置20で測定した測定値を図5で示したような、伝達関数を用いて補正する。即ち、測定したときのタイヤTの回転数から得られるスピンドル軸3の回転周波数を、図5の振動周波数にあてはめ、その際の縦軸の値(伝達関数の振幅)の逆数を使って、測定装置20で測定した測定値を補正する。
【0030】
例えば、タイヤTの回転数から算出された振動周波数に対応する伝達関数の振幅が2.0であるとすると、その値の逆数である「1/2.0」を測定装置20で測定した測定値を掛けた値が、タイヤTの真のラジアル荷重となる。なお、スピンドル軸3が振動したときの測定装置20で測定した測定値の時間的な遅れを見る場合には、図6を用いるとよい。
この補正により、タイヤ試験機1Aにおけるスピンドル軸3bやタイヤ試験機1Bにおけるスピンドル3が、その固有振動数に近い状態で回転している場合であっても(図5のfb)、正確で位相ズレのないラジアル荷重を求めることができ、ひいては、信頼ある高精度なタイヤTの特性を測定することが可能となる。
【0031】
なお、加振装置50によって発生するスピンドル軸3の振動の周波数と、加振装置50で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段(前記コンピュータ)をタイヤ試験機1A,1Bに設けるようにしてもよい。
[第2実施形態]
図7,8に示すものは、第2実施形態におけるタイヤ試験機の一部を示している。この実施の形態では第1実施形態における加振装置を変形したものである。
加振装置60は、慣性マス61と、連結体62と、移動体63とを備えている。慣性マス61はスピンドル軸3の上部側で且つその内部に設けられている。具体的には、スピンドル軸3の内部に空間64が形成されており、その空間部64に、例えば円柱状の金属塊や鋼棒材を所定長さに切断したもので構成される慣性マス61がスピンドル軸3の内壁から離れた状態で配置されている。
【0032】
通常の状態(非加振状態)で、慣性マス61の軸心O4とスピンドル軸3の軸心O2とが同一軸心上となるように、言い換えれば、慣性マス61がスピンドル軸3に対して非偏心状態で、慣性マス61は連結体62を介してスピンドル軸3に径方向に連結されている。連結体62はスプリング等の弾性体から構成されている。非加振時は同心状態にて強固に固定されている。
移動体63は、慣性マス61の側方側に配置されていて、スピンドル軸3に対して径方向に一部又は全体が移動できるようにスピンドル軸3に支持されている。この移動体63は、例えば、電気信号によって突出部63aが径方向に移動するピエゾ素子で構成されている。
【0033】
したがって、ピエゾ素子63に電圧を供給することによって、ピエゾ素子63の突出部63aが径方向に移動し、この突出部63aで慣性マス61を径方向に移動させることができるようになっている。
以上、この加振装置によれば、ピエゾ素子63の突出部63aで慣性マス61を径方向に移動させて慣性マス61の軸心O4とスピンドル軸3の軸心O2とを径方向に偏心させ、その状態でスピンドル軸3を回転させることで、当該スピンドル軸3を径方向(ラジアル方向)に加振することができる。
[第3実施形態]
図9〜11に示すものは、第3実施形態におけるタイヤ試験機を示している。このタイヤ試験機には、第1実施形態での磁気軸受23、即ち、ラジアル軸受24を前記加振装置50として用いたものである。この実施の形態では、支持体53は設けられていないものとなっている。
【0034】
図9〜10に示すように、各ラジアル軸受24は、複数個の電磁石28と、金属製又は磁性体からなるスリーブ29と、電力供給部30と、変位センサ31と、制御部32とを備えている。
各電磁石28は、ベアリングハウジング17の内壁廻りに取り付けられていて、スピンドル軸3の外周面の廻りに配置された状態におり、ステータを構成している。具体的には、ベアリングハウジング17の軸心を中心として、平面視で一対の電磁石28L,28Rが左右に分かれた状態で配置されていると共に、この一対の電磁石28L,28Rと直交関係にある一対の電磁石(図示しない)が配置されている。スリーブ29は、各電磁石と対向してスピンドル軸3の外周面に取り付けられており、当該スリーブ29でロータが構成されている。
【0035】
図9,10では、一方向(ラジアル方向)の電磁石28L,28Rのみを示しているが、水平方向(図10の紙面貫通方向)に関し、一対の電磁石28L,28Rと直交関係にある前述した一対の電磁石を配置することにより、ラジアル軸受として機能するように構成している。
電力供給部30は、電磁石28L,28R、すなわち鉄心に巻かれたコイル33に電流を供給するもので、例えば、制御部32から出力された電流を増幅するパワーアンプで構成されている。
【0036】
したがって、電力供給部30からコイル33に電流を供給し、電磁石28L,28Rとスリーブ29との間に電磁吸引力を作用させることによって、スピンドル軸3のラジアル方向の荷重を非接触の状態で支持している。
変位センサ31は、スピンドル軸3の径方向(ラジアル方向)の位置を検出するもので、例えば、電磁石28L,28Rの配置の中心O5(ステータの中心O5)に対するスピンドル軸3の軸心O2のラジアル方向の変位、言い換えれば、ベアリングハウジング17の軸心に対するスピンドル軸3の軸心O2のラジアル方向の変位を検出することが可能なものである。具体的には、変位センサ31は、スリーブ29と変位センサ31との距離を測定するものであって、かかる測定結果にスピンドル軸3の半径を加えることで、軸心O2までの距離を得ることができる。
【0037】
制御部32はスピンドル軸3の軸心O2の目標位置と、変位センサ31で検出されたスピンドル軸3の位置との情報に基づいて、電力供給部30へ出力する電流(制御信号S2)を調整し、電力供給部30から電磁石28L,28Rのコイル33に供給される電流を制御するものである。
即ち、図11に示すように、制御部32にはスピンドル軸3の軸心O2の目標位置に対応する目標値が予め設定されていると共に、スピンドル軸3の軸心O2の位置が変位センサ31によりフィードバックされ、軸心O2の位置に対応する現在値が設定される。そして、制御部32は前記目標値と前記現在値とを比較して、スピンドル軸3の軸心O2の位置が目標位置になるように、電力供給部30が出力する電流を調整する。
【0038】
この実施の形態では、スピンドル軸3の軸心O2の目標位置が電磁石28L,28Rの配置の中心O5位置とされ、変位センサ31は電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するスピンドル軸3の軸心の変位を検出するものとされており、制御部32は、電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するスピンドル軸3の軸心のラジアル方向の変位を変位センサ31が検出すると、電磁石28L,28Rの配置の中心O5に対するラジアル方向の変位が零となるように(電磁石28L,28Rの配置の中心O5とスピンドル軸3の軸心O2とが一致するように)、電力供給部30が出力する電流を変更する。
【0039】
例えば、変位センサ31が、設定値より大なる距離を測定した場合、スピンドル軸3は電磁石28L側に偏心して回転していることになるので、電力供給部30は、電磁石28Rに対する電流を増し、電磁石28Rが発生する磁力を増加させ、スピンドル軸3を当該電磁石28Rに引き寄せることで、前記偏心状態を是正する。
なお、ここではラジアル方向を例にとり説明したが、これと直交する方向についても同様である。
次に、各ラジアル軸受24のうちリムの近傍に配置された上側のラジアル軸受24aを加振装置として用いることを例にとり説明する。
【0040】
加振装置50として用いる上側のラジアル軸受24aには、電磁石28L,28R、スリーブ29、電力供給部30、変位センサ31、制御部32の他に、任意波形の電圧又は電流を発生する信号発生器42を有している。この実施の形態では、信号発生器42としてファンクションジェネレータを採用している。
信号発生器42は電磁石28L,28Rに対応した電力供給部30の少なくともどちらか一方に接続されており、信号発生器42が出力信号S1を出力すると、制御部32から出力された制御信号S2にその出力信号S1が加算され、加算された制御信号S3が一方の電力供給部30aに入力される。
【0041】
制御部32から出力された制御信号S2に信号発生器42の出力信号S1を加算することで、電力供給部30aから電磁石28L,28Rへ出力される電流が変化し、スピンドル軸3の上側に設けられたスリーブ29と電磁石28L,28Rとの間の磁気吸引力が変化する。
信号発生器42から所定の周波数で正弦波の信号を出力すると、スピンドル軸3の上側は信号発生器42から出力された出力信号S1の周波数に応じて、ラジアル方向に加振される。
【0042】
以上述べた加振装置(ラジアル軸受24a)を用いて、真のラジアル荷重を求めるやり方、すなわち、スピンドル軸3が振動しているときのタイヤTに発生する力(タイヤTのラジアル荷重等)と、スピンドル軸3が振動している状態で測定装置20で測定した値との関係を求め、その結果より、ラジアル荷重の伝達関数を求め、求めた伝達関数を使用して、測定装置20で測定した測定値を補正し、真のラジアル荷重を求める手法は、第1実施形態と略同一であるため、ここでの説明は省略する。
本発明は上記の実施の形態に限定されない。
【0043】
即ち、上記の実施の形態では、測定装置20でラジアル荷重を測定していたが、測定するものはこれに限らず、ラテラル荷重やトラクティブ荷重,モーメント等を測定するものであってもよい。
この場合、スピンドル軸3が所定の周波数で振動したときにおけるラテラル荷重や操舵トルクを予め測定し、該測定荷重やトルクに対する伝達関数を求め、求めた伝達関数を用いて、タイヤの特性試験時の測定結果を補正するようにするとよい。
スピンドル軸3を支持する軸受23を、非接触型の流体軸受やメカニカルな転がり軸受で構成してもよい。
【0044】
上記実施の形態で図示したタイヤ試験機では、スピンドル軸3を上下方向に配置したものであるが、本発明はスピンドル軸3を水平方向又は斜め方向に配置したものであってもよい。
また、上記実施の形態で図示したタイヤ試験機では、タイヤTの下方にスピンドル軸支持構造を備えたものであるが、本発明においてはスピンドル軸支持構造をタイヤTの上方に備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態のタイヤ試験機の全体正面図である。
【図2】他のタイヤ試験機の概略図である。
【図3】加振装置の詳細断面図である。
【図4】加振装置の制御ブロック図である。
【図5】伝達関数を示す図である(振動周波数−振幅)。
【図6】伝達関数を示す図である(振動周波数−位相差)
【図7】第2実施形態におけるタイヤ試験機に設けた加振装置の断面図である。
【図8】加振装置の平面図である。
【図9】第3実施形態におけるタイヤ試験機の下部の概略図である。
【図10】加振装置の断面図である。
【図11】加振装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1A タイヤ試験機
1B タイヤ試験機
3 スピンドル軸
23 軸受
50 加振装置
T タイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、
前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けていることを特徴とするタイヤ試験機。
【請求項2】
前記加振装置は、スピンドル軸の外周面の廻りに配置されたステータが発生する磁力を可変とする加振制御部とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機。
【請求項3】
前記加振装置は、スピンドル軸と同一軸心上に配置された慣性マスと、この慣性マスとスピンドル軸とを径方向に連結する連結体と、前記慣性マスの軸心とスピンドル軸の軸心とが径方向に偏心するように、前記慣性マスを径方向に移動させる移動体とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機。
【請求項4】
前記軸受は、スピンドル軸を非接触で支持する非接触軸受で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ試験機。
【請求項5】
前記非接触軸受を、能動型の磁気軸受で構成しており、この磁気軸受を加振装置として共用していることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ試験機。
【請求項6】
前記加振装置によってスピンドル軸に与えた荷重特性と、前記加振装置で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ試験機。
【請求項7】
スピンドル軸を回転自在に備えたタイヤ試験機で、タイヤをスピンドル軸と一体的に回転させて測定装置でタイヤの特性を測定する試験を行うにあたり、
前記タイヤの試験前に、前記スピンドル軸を加振しつつ測定したタイヤの特性と加振の力との関係を伝達関数として予め算出しておき、
前記タイヤの試験を行う際には、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正することを特徴とするタイヤ試験の方法。
【請求項1】
リムと一体的に回転するスピンドル軸と、このスピンドル軸をハウジングに対して回転自在に支持する軸受とを備え、リムに装着したタイヤを回転させて測定装置でタイヤの特性を測定するタイヤ試験機において、
前記スピンドル軸に強制的に振動を発生させる加振装置を設けていることを特徴とするタイヤ試験機。
【請求項2】
前記加振装置は、スピンドル軸の外周面の廻りに配置されたステータが発生する磁力を可変とする加振制御部とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機。
【請求項3】
前記加振装置は、スピンドル軸と同一軸心上に配置された慣性マスと、この慣性マスとスピンドル軸とを径方向に連結する連結体と、前記慣性マスの軸心とスピンドル軸の軸心とが径方向に偏心するように、前記慣性マスを径方向に移動させる移動体とを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ試験機。
【請求項4】
前記軸受は、スピンドル軸を非接触で支持する非接触軸受で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ試験機。
【請求項5】
前記非接触軸受を、能動型の磁気軸受で構成しており、この磁気軸受を加振装置として共用していることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ試験機。
【請求項6】
前記加振装置によってスピンドル軸に与えた荷重特性と、前記加振装置で加振しつつ測定したタイヤの特性との関係を伝達関数として算出する伝達関数算出手段を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ試験機。
【請求項7】
スピンドル軸を回転自在に備えたタイヤ試験機で、タイヤをスピンドル軸と一体的に回転させて測定装置でタイヤの特性を測定する試験を行うにあたり、
前記タイヤの試験前に、前記スピンドル軸を加振しつつ測定したタイヤの特性と加振の力との関係を伝達関数として予め算出しておき、
前記タイヤの試験を行う際には、測定したタイヤの特性を前記伝達関数を用いて補正することを特徴とするタイヤ試験の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−121042(P2007−121042A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311864(P2005−311864)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
[ Back to top ]