説明

タイルシートの製造方法及びタイル連結台

【課題】薄膜状の可撓性連結片によってタイル同士を連結してなるタイルシートを効率的に製造し得る製造方法を提供する。
【解決手段】複数のタイル2を整列させ、次に、複数のタイル2の裏面の、可撓性連結片3を接着することとなる部位に未硬化の接着剤4を付着させる。そして、タイル2及び可撓性連結片3をタイルシートの配置通りに載置可能な形状のタイル連結台12に可撓性連結片3を設置し、続いて、接着剤4を付着した前記複数のタイル2をタイル連結台12に載せ、かかる状態でタイル2に付着した接着剤4を硬化させて可撓性連結片3をタイル2の裏面に接着することにより、前記複数のタイル2を一体的に連結させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタイルをシート状に連結してなるタイルシートの製造方法、及び該製造方法に用いるタイル連結台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外装タイルの施工性向上を目的として、複数のタイルをシート状に連結してなるタイルシートが用いられている。このタイルシートにあっては、各タイルが目地間隙を介して縦横に配列されており、接着モルタルを介して建築物壁面に接着し、目地間隙にモルタルを埋め込むことで、複数のタイルを一度に貼り付けることができる。従来、この種のタイルシートとしては、タイル表面に澱粉糊で貼り付けた紙によってタイル同士を連結したものが提供されていた。しかるにこのタイルシートにあっては、タイルシートを建築物壁面に接着した後に、タイルの表面に水をかけて紙をはがす作業が必要な上、はがした紙が大量の廃棄物となる。このため、かかるタイルシートは、その改善が現場から強く求められていた。そこで、接着剤によってタイル同士を裏面側で点接着し、シート状としたタイルシートが提案された(特許文献1参照)。このタイルシートは、建築物壁面に接着した直後に目地間隙にモルタルを埋め込んで仕上げをすることができ、廃棄物も少ないため、施工性は大幅に改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−140449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1のタイルシートでは、タイル同士を連結する部分はタイルの荷重に耐えるべく接着剤を肉厚にしなくてはならない。このため、かかるタイルシートでは、接着剤が多量に必要であり、接着剤のコストが嵩み、環境負荷も大きかった。また、タイルの連結部分が撓み難く、施工時に目地間隙の間隔調整を行い難いという問題もあった。
【0005】
発明者は、上記問題を解決すべく検討を重ねた末に、薄膜状の可撓性連結片を目地間隙に架け渡してタイル同士を連結してなるタイルシートに着目した。かかるタイルシートであれば、上記特許文献1のタイルシートに比べて、接着剤の使用量を低減させることができ、また、タイルの連結部分を簡単に撓ませることができる。しかしながら、軽く、撓み易い可撓性連結片をタイルの所要部位に正確に接着するのは簡単でなく、かかるタイルシートを実用化するためには製造方法の効率化が必要であった。
【0006】
すなわち、本発明は、目地間隙に架け渡した薄膜状の可撓性連結片によってタイル同士を連結してなるタイルシートを効率的に製造し得る製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、目地間隙を介して縦横に配列された複数のタイルが、薄膜状の可撓性連結片によって相互に連結されてなるタイルシートの製造方法であって、タイル及び可撓性連結片をタイルシートの配置に載置可能な形状のタイル連結台に可撓性連結片を設置する連結片設置工程と、複数のタイルを整列させるタイル整列工程と、タイル整列工程で整列させた前記複数のタイルの裏面の、可撓性連結片を接着することとなる部位に未硬化の接着剤を付着させる接着剤付着工程と、接着剤付着工程で接着剤を付着した前記複数のタイルを、連結片設置工程で可撓性連結片を設置したタイル連結台に載せるタイル載置工程と、タイルをタイル連結台に載せた状態でタイル裏面に付着した接着剤を硬化させて可撓性連結片をタイル裏面に接着することにより、前記複数のタイルを一体的に連結する接着剤硬化工程とを備えてなることを特徴とするタイルシートの製造方法である。
【0008】
ここで、本発明にあって、前記タイル連結台は、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が、滑り止め材で被覆されていることが提案される。
【0009】
また、本発明にあって、前記滑り止め材は、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、又はフッ素ゴムの少なくとも一種を主材とすることが提案される。また、かかる構成にあっては、前記滑り止め材は、シリコーンオイルを含有することが提案される。
【0010】
また、本発明にあって、前記接着剤は紫外線硬化性接着剤であり、タイル連結台は、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が紫外線透過性の材料で構成され、前記接着剤硬化工程では、タイル連結台の下方から前記接着剤に紫外線を照射することにより、該接着剤を硬化させることが提案される。
【0011】
また、本発明の別の態様は、上記タイルシートの製造方法に用いられるタイル連結台であって、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が紫外線透過性の材料で構成され、さらに、その上面が滑り止め材で被覆されていることを特徴とするタイル連結台である。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明のタイルシートの製造方法によれば、軽く、撓み易い可撓性連結片をタイルの裏面に迅速かつ正確に貼付することができ、可撓性連結片によってタイル同士を連結してなるタイルシートを効率的に製造可能となる。すなわち、可撓性連結片は、軽く、撓み易いため、かかる可撓性連結片を一片ずつ吸引してタイルの裏面に接着すると、可撓性連結片が歪んで上手く接着されない。これに対して、本発明の製造方法では、タイル連結台上に可撓性連結片を載置し、そこに接着剤を付着させたタイルを載せるため、可撓性連結片が折れ曲がったり、接着位置がずれたりすることがない。また、タイルと可撓性連結片とを別々の工程で並行して整列配置し、しかる後に両者を接触、接着させるため、可撓性連結片をタイルに一片ずつ接着するのに比べて短時間でタイルシートを製造できるという利点がある。
【0013】
また、上記本発明のタイル連結台を用いれば、タイルと可撓性連結片を紫外線硬化性接着剤によって接着してなるタイルシートを、上記製造方法によって好適に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例のタイルシートの製造方法のフローチャートである。
【図2】実施例のタイルシート1の底面図である。
【図3】図2中のA−A断面図である。
【図4】図3中のB部分の拡大図である。
【図5】実施例のタイルシート1の製造方法を示す説明図である。
【図6】タイル連結台12の縦断面図である。
【図7】実施例のタイルシート1の製造方法を示す説明図である。
【図8】変形例のタイルシート1aの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によって製造されるタイルシートは、目地間隙を介して縦横に配列された複数のタイルが、タイル裏面に接着された薄膜状の可撓性連結片によって相互に連結されてなるものである。かかるタイルシートには、既存のタイルシートに用いられるタイル全般を広く採用でき、タイルシートを構成するタイルのサイズ・枚数は特に限定されない。
【0016】
可撓性連結片には、タイルシートを持ち上げた時にタイルの荷重に耐え得る程度の抗張力と、目地間隙内で折り畳める程度の可撓性が求められる。可撓性連結片を構成する材料としては、紙類や、不織布、樹脂シート等が好適である。紙類としては洋紙、和紙、合成紙などが挙げられる。また、不織布としては、綿、麻、羊毛、絹、パルプなどの天然繊維、セルロース系繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維等の合成あるいは半合成繊維、ガラス繊維等その他の繊維からなるものが挙げられる。また、樹脂シートとしては、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のシートが挙げられる。
【0017】
可撓性連結片の厚さは1mm以下であることが望ましい。可撓性連結片の厚さが1mm以下であれば、タイル裏面に接着された可撓性連結片がタイルと建築物壁面の接着を阻害することがない。また、可撓性連結片の厚さが1mm以下であれば、目地間隙を狭めた時に、折り畳まれた可撓性連結片が邪魔となって目地間隙を十分に狭められないおそれがある。また、可撓性連結片の厚さが1mmより厚いと、目地間隙5内で折り畳まれた部分をモルタルで十分に隠蔽できなくなるおそれがある。
【0018】
可撓性連結片とタイルを接着する接着剤としては、紫外線硬化性接着剤、光硬化性接着剤、電子線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、湿気硬化形接着剤、溶剤形接着剤、水性接着剤、ホットメルト形接着剤、感圧形接着剤などが挙げられる。また、これらの接着剤の中では、取扱い容易で、硬化時間の短い紫外線硬化性接着剤が好適である。
【0019】
本発明に係るタイルシートの製造方法は、図1に示すように、タイル及び可撓性連結片をタイルシートの配置通りに載置可能なタイル連結台に可撓性連結片を設置する連結片設置工程と、複数のタイルを整列させるタイル整列工程と、タイル整列工程で整列させた前記複数のタイルの裏面の、可撓性連結片を接着することとなる部位に未硬化の接着剤を付着させる接着剤付着工程と、接着剤付着工程で接着剤を付着した前記複数のタイルを、連結片設置工程で可撓性連結片を設置したタイル連結台に載せるタイル載置工程と、タイルをタイル連結台に載せた状態でタイル裏面に付着した接着剤を硬化させて可撓性連結片をタイル裏面に接着することにより、前記複数のタイルを一体的に連結する接着剤硬化工程とを備えてなる。
【0020】
本発明に係るタイル連結台は、タイル及び可撓性連結片をタイルシートと同じ配置に載置可能な形状を有するものであり、本発明のタイル製造方法にあっては、かかるタイル連結台に、まず可撓性連結片を設置し、しかる後に裏面に未硬化の接着剤を付着したタイルを載せ、かかる状態で接着剤を硬化させることにより、タイルを可撓性連結片で相互に連結する。接着剤を硬化させる方法は接着剤によって様々である。例えば、熱硬化性接着剤であれば、予めタイル連結台を加熱しておけば、タイルをタイル連結台に載置した瞬間に接着剤の硬化反応が開始される。
【0021】
また、接着剤が紫外線硬化性接着剤である場合には、タイル連結台の、少なくとも可撓性連結片を設置する部位を紫外線透過性の材料で構成し、接着剤硬化工程では、タイル連結台の下方から接着剤に紫外線を照射して接着剤を硬化させることが提案される。ここで、タイル連結台の下方から照射される紫外線は、タイル連結台を透過した後に、可撓性連結片を透過してから紫外線硬化性接着剤に達することとなるため、かかる場合には、可撓性連結片を、紫外線を遮断しない材料で構成することが望ましい。なお、紫外線硬化性接着剤の硬化反応は、紫外線照射を契機とする連鎖反応であり、紫外線を多量に照射する必要はないため、可撓性連結片が高い紫外線透過性を有している必要はない。
【0022】
また、タイル連結台は、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が、滑り止め材で被覆されていることが望ましい。かかる場合には、タイル連結台をコンベア等で移動させた時に、台上の可撓性連結片が振動や風によって動き難くなり、製造不良の頻度を抑えることができる。ここで、好ましい滑り止め効果を得るためには、滑り止め材として、ガラス転移温度が10℃以下の樹脂を用いることが望ましく、ガラス転移温度が5℃以下の樹脂を用いることがより望ましい。具体的な滑り止め材としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム、スチレン‐ブタジエンゴム、ニトリル‐ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン‐プロピレンゴム、エチレン‐プロピレンターポリマー、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン及びそのコポリマー、ウレタンゴム、アクリルゴム、(メタ)アクリレートモノ(及び/又は)コポリマー、スチレン(メタ)アクリレートコポリマー、酢酸ビニル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニリデンモノ(及び/又は)コポリマー、ポリ塩化ビニル及びそのコポリマー、ポリアミド、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの中で、特に望ましい材料としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどの、接着剤に対する離型性を併せ持つ材料が挙げられる。また、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、及びフッ素ゴムは、紫外線透過性も良好であり、上述のようにタイル連結台の下方から紫外線を照射する場合にも適用できる。また、滑り止め材が、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、又はフッ素ゴムを主材とする場合には、滑り止め材にシリコーンオイルを含有させることが望ましい。シリコーンオイルは、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムなどと親和性が低いため、含有したシリコーンオイルが徐々に表面に染み出すこととなり、これにより長期に亘って優れた防滑性と離型性を発揮できるためである。
【実施例】
【0023】
図2〜4は、本実施例の製造方法によって製造されるタイルシート1である。かかるタイルシート1は、既存の45二丁掛タイルを縦横に18枚配列し、タイル2同士を可撓性連結片3によって一体的に連結してなるものである。可撓性連結片3は、厚さ200μm程度のポリエステル繊維不織布からなる帯状小片であり、隣接するタイル2の間に形成された目地間隙5を架け渡すようにして、紫外線硬化性接着剤4によってタイル2の裏面に接着される。
【0024】
かかるタイルシート1は、複数のタイルが可撓性連結片3によって縦横に連結されているから、上記特許文献1のタイルシート同様に、複数のタイル2を一度に建築物壁面に接着することができる。また、可撓性連結片3は、タイル2の裏面に接着されており、目地間隙5に埋め込むモルタルに覆われて隠蔽されることとなるため、施工時にタイル2から剥離しなくてもタイル2の美観を損ねることがない。また、可撓性連結片3は、薄膜状であって、タイル2の裏面の一部に接着されるだけであるから、タイルシート1と壁面の接着を阻害することもない。また、タイル2相互が可撓性連結片3で連結されているため、貼着施工する壁面に凹凸が形成されていても、可撓性連結片3が撓むことで壁面の凹凸に倣うようにタイル2を接触させることができる。
【0025】
また、かかるタイルシート1は、薄膜状の可撓性連結片3によってタイル2が連結されているから、隣接するタイル2,2を近づける方向に力を加えると、可撓性連結片3が目地間隙5で折り畳まれて、目地間隙5を狭めることができる。また、可撓性連結片3は薄膜状であるからカッターナイフ等の刃物で切断可能であり、必要に応じて可撓性連結片3を切断して、タイル2同士を分離することで目地間隙5を拡げたり、縮めたりできる。なお、切断した可撓性連結片3の切れ端は薄膜であるから、目地間隙5を縮める際に切れ端が重なりあったとしても目地形成が阻害されることはない。このため、本実施例のタイルシート1によれば、壁面サイズの誤差に合わせて目地間隙5の幅を調整することで、建築物の壁面にタイルを整一に貼ることができる。
【0026】
また、本実施例のタイルシート1では、接着剤4は、タイル2と可撓性連結片3を接着するのに使用されるだけであり、接着剤のみによってタイル同士を連結する特許文献1の構成に比べて接着剤の使用量が大幅に少ないため、材料コストの削減や環境負荷の軽減が可能となる。なお、可撓性連結片3は接着剤4に比べて低廉な材料で構成し得るものであるから、可撓性連結片3の使用によってタイルシート全体の材料コストが増加することはない。
【0027】
本実施例のタイルシート1の製造方法は、図1に示すように、タイル連結台12に可撓性連結片3を設置する連結片設置工程と、タイル2を整列させるタイル整列工程と、タイル2の裏面に紫外線硬化性接着剤4を付着させる接着剤付着工程と、紫外線硬化性接着剤4を付着したタイル2をタイル連結台12に載せるタイル載置工程と、タイル連結台12の下方から紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤4を硬化させる接着剤硬化工程とを備えてなる。
【0028】
タイル連結台12は、図5(a),図6に示すように、タイル2及び可撓性連結片3をタイルシート1通りの配置で載置可能に構成されたものである。具体的には、タイル連結台12は、紫外線透過性の石英ガラス板14の上に、タイル2の位置合わせ用の枠部材15を固着してなるものである。石英ガラス板14の上面は、滑り止め材16によってコーティングされる。滑り止め材16は、シリコーンオイルを含有するシリコーン樹脂であり、滑り止め作用と同時に紫外線硬化性接着剤4に対する離型作用も発揮する。
【0029】
タイル整列工程では、図7(a)に示すように、タイルシート1を構成する18枚のタイル2を裏面を下向きにしてタイル整列用治具10の上に設置する。タイル整列用治具10には、タイル収容用の凹部13がタイルシート1の配列で縦横に形成されており、かかる凹部13に各タイル2を設置することによって、タイル2がタイルシート1の配列に整列される。
【0030】
接着剤付着工程では、図7(b)に示すように、タイル整列工程で整列させた18枚のタイル2を、吸盤11によって整列状態を保持したままタイル整列用治具10から吸い上げる。そして、タイル2の裏面の、可撓性連結片3を接着する部位に硬化前の粘液状の紫外線硬化性接着剤4を付着させる。接着剤4の付着は、接着剤4が付いた部材をタイル2の裏面に押し当てたり、タイル2の裏面に向けて接着剤4を射出したりすることによって行うことができる。
【0031】
連結片設置工程は、図1に示すように、タイル整列工程及び接着剤付着工程と並行して行われる。かかる連結片設置工程では、連続テープ状の不織布から帯状の可撓性連結片3を切り出し、図5(b)に示すように、切り出した複数の可撓性連結片3を、タイル連結台12の上面に、タイルシート1の配置通りに設置する。
【0032】
タイル載置工程では、図5(c),図7(c)に示すように、接着剤4を付着した整列状態のタイル2を、可撓性連結片3を設置したタイル連結台12の上に裏面を下向きにして載置し、これにより、タイル2と可撓性連結片3を、紫外線硬化性接着剤4を介してタイルシート1の配置通りに接触させる。
【0033】
接着剤硬化工程では、図7(d)に示すように、タイル連結台12の下方から紫外線(UV)を照射する。タイル連結台12の、可撓性連結片3を設置した部分は、紫外線透過性の石英ガラス板14及びシリコーン樹脂で構成されているから、照射された紫外線はタイル連結台12を透過して可撓性連結片3に達し、さらに薄膜状の可撓性連結片3を透過して、タイル2と可撓性連結片3の間の紫外線硬化性接着剤4を硬化させる。紫外線照射装置には、高圧水銀灯や紫外線LEDなどの紫外線を効率的に発生する光源を好適に採用できる。紫外線の照射強度・照射時間は、接着剤の特性等によって設定すればよい。
【0034】
上記接着剤硬化工程で紫外線硬化性接着剤4を硬化させれば、タイル2と可撓性連結片3が接着されて、タイル2相互が可撓性連結片3によって連結された本実施例のタイルシート1が得られる。こうして得られたタイルシート1は、吸盤等によって吸引してタイル連結台12から引き上げた後に、積層、梱包する。
【0035】
このように、上記製造方法によれば、可撓性連結片3をタイル連結台12の上にタイルシート1の配置通りに設置し、しかる後に、接着剤4を付着させたタイル2をタイル連結台12の上に載置して両者を接着するため、軽く、撓み易い可撓性連結片3をずらしたり、歪ませたりすることなくタイル2の裏面に正確に接着できる。また、かかる製造方法にあっては、タイル2と可撓性連結片3を、タイルシート1通りの配置で別々に整列させ、しかる後に両者を接触、接着させるため、タイル2と可撓性連結片3の接着を短時間で行えるという利点がある。
【0036】
また、上記製造方法では、タイル連結台12の上面が滑り止め材16によって覆われているため、タイル連結台12に設置した可撓性連結片3が風や振動によって動き難く、可撓性連結片3を設置した状態でタイル連結台12をコンベヤ等で好適に運搬でき、製造ラインでの量産に適する。また、滑り止め材16を構成するシリコーン樹脂はシリコーンオイルを含有しており、長期に亘って優れた離型性を保持するため、離型処理を頻繁に施すことなくタイル連結台12を繰返し使用できるという利点もある。
【0037】
また、上記製造方法では、タイル連結台12を紫外線透過性材料で構成しているため、タイル2と可撓性連結片3をタイル連結台12に設置した状態で紫外線硬化性接着剤4を硬化させ、タイル2と可撓性連結片3を迅速に接着することができる。
【0038】
また、図8は、本発明に係る別形態のタイルシート1aである。かかるタイルシート1aでは、中央に孔の開いた略正方形状の可撓性連結片3aが、目地間隙5,5が交差する部分において、隣接する四枚のタイル2に夫々接着している。そして、これにより、四枚のタイル2が一枚の可撓性連結片3aによって連結されている。かかる構成のように、一枚の可撓性連結片で四枚のタイルを連結すれば、タイルの連結に用いる可撓性連結片の枚数を減らすことができるから、タイルシートの製造工程を簡略化できる。
【0039】
なお、本発明に係るタイルシートの製造方法は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、実施例では、接着剤に紫外線硬化性接着剤を採用してもいるが、接着剤としては熱硬化性接着剤や、他の接着剤を用いることができ、また、接着剤硬化工程は使用する接着剤の種類に応じて適宜変更できる。例えば、熱硬化性接着剤を使用する場合は、接着剤硬化工程においてはタイルやタイル連結台を加熱して接着剤を硬化させればよい。
【符号の説明】
【0040】
1,1a タイルシート
2 タイル
3,3a 可撓性連結片
4 紫外線硬化性接着剤
5 目地間隙
10 タイル整列用治具
11 吸盤
12 タイル連結台
16 滑り止め材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地間隙を介して縦横に配列された複数のタイルが、薄膜状の可撓性連結片によって相互に連結されてなるタイルシートの製造方法であって、
タイル及び可撓性連結片をタイルシートの配置に載置可能な形状のタイル連結台に可撓性連結片を設置する連結片設置工程と、
複数のタイルを整列させるタイル整列工程と、
タイル整列工程で整列させた前記複数のタイルの裏面の、可撓性連結片を接着することとなる部位に未硬化の接着剤を付着させる接着剤付着工程と、
接着剤付着工程で接着剤を付着した前記複数のタイルを、連結片設置工程で可撓性連結片を設置したタイル連結台に載せるタイル載置工程と、
タイルをタイル連結台に載せた状態でタイル裏面に付着した接着剤を硬化させて可撓性連結片をタイル裏面に接着することにより、前記複数のタイルを一体的に連結する接着剤硬化工程とを備えてなることを特徴とするタイルシートの製造方法。
【請求項2】
前記タイル連結台は、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が、滑り止め材で被覆されていることを特徴とする請求項1記載のタイルシートの製造方法。
【請求項3】
前記滑り止め材は、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、又はフッ素ゴムの少なくとも一種を主材とすることを特徴とする請求項2記載のタイルシートの製造方法。
【請求項4】
前記滑り止め材は、シリコーンオイルを含有することを特徴とする請求項3記載のタイルシートの製造方法。
【請求項5】
前記接着剤は紫外線硬化性接着剤であり、タイル連結台は、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が紫外線透過性の材料で構成され、前記接着剤硬化工程では、タイル連結台の下方から前記接着剤に紫外線を照射することにより、該接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタイルシートの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載のタイルシートの製造方法に用いられるタイル連結台であって、少なくとも可撓性連結片を設置する部位が紫外線透過性の材料で構成され、さらに、その上面が滑り止め材で被覆されていることを特徴とするタイル連結台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−111750(P2011−111750A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267192(P2009−267192)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(396015828)アルファ化研株式会社 (6)
【出願人】(506401967)有限会社旭工芸 (2)
【Fターム(参考)】