説明

タイルパネルの製造方法及び製造装置

【目的】 亀裂および汚れが生じなく且つ美しい仕上がりを呈する目地を有するタイルパネルの提供を目的とする。
【構成】 タイルパネル1のタイル4,4間に、熱可塑性樹脂,ワックス等からなる目地材5を液状で注入し、これを硬化させて目地Mを形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ユニットバスルーム等の壁面を構成するタイルパネルの製造方法、及びその製造過程で使用される製造装置に関するものであり、特にタイルパネルにおける目地の造形の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、タイルパネルは下地材の表面に接着剤を介し多数のタイルを張着し、各タイル間の目地内にセメント系の目地材を充填している。しかし、従来のセメント系目地材は収縮性があり、このため目地に収縮に伴う亀裂が生じ、特にタイルパネルの場合運搬等に伴う振動によってさらにこの亀裂が増大してしまうという問題点があった。また従来のセメント系目地材では、目地材が硬化するまでに長時間の養生時間を要し、生産効率が悪くなるという問題点がある。さらに、セメント系目地材は表面精度が粗く吸水性があるため非常に汚れやすく、且つカビが発生しやすいという問題点がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、亀裂が生じることなく、汚れにくく且つ製造性の良好な目地を有するタイルパネルの提供を目的とし、その第1の要旨は、下地材上に多数張着された各タイル間に、液状の目地材を注入し、これを硬化させて目地を形成することである。また第2の要旨は、前記目地材が、熱可塑性樹脂,ワックス又はこれらの混合物からなることである。また第3の要旨は、前記目地材が、粘度5000センチポイズ以下の熱硬化性樹脂又は2液硬化性樹脂からなることである。また第4の要旨は、タイルパネルを加熱して前記目地材をセルフレベリングさせることである。また第5の要旨は、液状の目地材を注入できるノズルと、該ノズルをタイルパネルの目地に沿ってX−Y方向へ移動させるガイド装置とを備えたことを特徴とするタイルパネルの製造装置にある。
【0004】
【作用】熱可塑性樹脂,ワックス又はこれらの混合物を液状にして、又は粘度5000センチポイズ以下の熱硬化性樹脂又は2液硬化性樹脂をノズルから目地内に注入し、これを硬化させ、極めて短時間で亀裂の生じにくい目地を有するタイルパネルを造形することができる。また、目地の表面を加熱等してセルフレベリングさせることにより、目地材の表面の面精度が極めて良好なものとなる。また、目地材を注入するノズルと、このノズルをX−Y方向に移動させてタイルパネルの目地に良好に目地材を注入させる装置により、自動化させて良好な目地を有するタイルパネルを量産することができる。
【0005】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、タイルパネルの要部断面構成図であり、タイルパネル1は、下地材2の上面に接着剤3を介し多数のタイル4,4,4が張着されて構成されており、各タイル4,4間には目地材5を充填した目地Mが形成されている。
【0006】本例における目地Mは、熱可塑性樹脂,ワックスあるいは熱可塑性樹脂とワックスの混合物からなる目地材5を用いたものであり、熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン酢酸ビニル共重合体,ポリイミド等が用いられる。また、熱可塑性樹脂およびワックスは、溶融温度が60℃から200℃の範囲にあり、粘度がかなり低いものであり、例えば粘度は120℃で5000cp以下のものとなっている。
【0007】タイルパネル1の目地Mに目地材5を充填させるには図2及び図3で示すような装置が用いられ、図2における装置は、ホットメルトアプリケーターであり、このホットメルトアプリケーター本体10内には、固体の目地材を液状化し得るヒーターが内蔵されており、上方に開口された投入口10aから固体の熱可塑性樹脂、またはワックスを内部に投入すると、内部でこれらが液状となり、ヒーター入りのチューブ11を介し液状の目地材が先端の自動ガン12を通し、自動ガン12に取付けられたノズル13から外部に注出できるものとなっている。
【0008】この自動ガン12は、図3に示すガイド装置15に取付けられて用いられるものであり、ガイド装置15は、機枠16の下面に複数の脚部17,17,17を備え、上面側の両サイドにはサイドレール18,18が平行状に配設されており、この両サイドレール18,18上には移動可能に移動枠19が載置されており、この移動枠19にはガイドバー20が取付けられており、このガイドバー20に沿って直角方向に移動可能に滑体21が取付けられており、この滑体21にガン支持部22が設けられている。このガン支持部22内に前記自動ガン12を取付けると、ガン支持部22の下方へ前記ノズル13が突出されるものである。
【0009】従って、機枠16上にタイルを張着したタイルパネル1を載せ、移動枠19をサイドレール18,18に沿って移動させ、且つガイドバー20に沿って滑体21を移動させることにより、X−Y方向へ前記自動ガン12及びノズル13を適宜移動させることができ、このガイド装置15は図示しないマイコン制御装置により駆動制御されるもであり、タイルパネル1の目地に沿って前記ノズル13から液状化した目地材5を目地M内に良好に注入させることができるものである。このような装置により目地材5が充填され、液状の目地材5が硬化して良好な目地Mが形成される。
【0010】また、その後に図4に示すように、ヒーター30(遠赤外線等を発するヒーター)を用いてタイルパネル1の表面を2,3分間加熱することにより、前記充填された目地材5の表面が加熱されて、目地材5がセルフレベリングされ、その表面は平らなものとされて表面の面精度が極めて良好なものとなる。したがって造形されたタイルパネル1の目地Mの表面は美しく仕上げられるとともに、目地材5は吸水性がないためにカビ等が付着することがなく、汚れのない目地Mとすることができる。尚、ヒーター30(遠赤外線等を発するヒーター)を用いてタイルパネル1を裏面から加熱しても、同様に目地材5がセルフレベリングされる。又、目地材5を目地M内に注入させる前にタイルパネル1を加熱しておいても、同様に目地材5がセルフレベリングされる。
【0011】また、目地材5は熱可塑性樹脂,ワックスを用いるため短時間で硬化させて目地Mを形成させることができ、従来のように長時間の養生時間を必要とせず、生産効率が極めて向上される。しかも図2および図3R>3で示すような自動化可能な装置を用いることにより、タイルパネル1の種々形状に対応させて高速で目地Mを形成させタイルパネルの量産が可能である。尚、熱可塑性樹脂,ワックスに換えて、粘度5000センチポイズ以下の熱硬化性樹脂又は2液硬化性樹脂を用いることもでき、この場合は、目地材の流動性が良いため、熱をかけなくてもセルフレベリングが可能である。
【0012】
【発明の効果】本発明のタイルパネルの製造方法は、下地材上に多数張着された各タイル間に、熱可塑性樹脂,ワックス又は粘度5000センチポイズ以下の熱硬化性樹脂,2液硬化性樹脂からなる目地材を液状で注入し、これを硬化させて目地を形成することとしたため、極めて短時間で硬化させて美しい仕上面を有する目地を形成することができ、形成された目地は亀裂を生じることがなく、また吸水性がないためにカビ等の付着がなく、汚れにくい目地とすることができる。また、目地の表面を加熱して目地材をセルフレベリングさせることにより、目地の表面を平らな面精度の良好な仕上面に形成することができる。また液状の目地材を注入できるノズルと、該ノズルをタイルパネルの目地に沿ってX−Y方向へ移動させるガイド装置とを備えたタイルパネルの製造装置を用いて目地を形成することにより、高速で目地材を充填させ、生産効率を極めて向上させることができ、しかもタイルパネルの形状等に良好に対応させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイルパネルの要部断面構成図である。
【図2】目地材を充填するためのホットメルトアプリケーターの使用状態説明図である。
【図3】ノズルを取付けることのできるガイド装置の斜視構成図である。
【図4】セルフレベリング工程の作業説明図である。
【符号の説明】
1 タイルパネル
4 タイル
5 目地材
10 ホットメルトアプリケーター本体
11 チューブ
12 自動ガン
13 ノズル
15 ガイド装置
18 サイドレール
19 移動枠
21 滑体
22 ガン支持部
30 ヒーター
M 目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下地材上に多数張着された各タイル間に、液状の目地材を注入し、これを硬化させて目地を形成することを特徴とするタイルパネルの製造方法。
【請求項2】 前記目地材が、熱可塑性樹脂,ワックス又はこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1のタイルパネルの製造方法。
【請求項3】 前記目地材が、粘度5000センチポイズ以下の熱硬化性樹脂又は2液硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1のタイルパネルの製造方法。
【請求項4】 タイルパネルを加熱して前記目地材をセルフレベリングさせることを特徴とする請求項1又は請求項2のタイルパネルの製造方法。
【請求項5】 液状の目地材を注入できるノズルと、該ノズルをタイルパネルの目地に沿ってX−Y方向へ移動させるガイド装置とを備えたことを特徴とするタイルパネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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