タイルユニットの製造方法及びタイルユニット製造用受け台
【課題】 目地間隔を離して整列させた複数のタイル(タイル群)の夫々を樹脂製のブリッジ片で連結してなるタイルユニットがある。従来は平坦な受け台上にブリッジ片の素材となる樹脂をノズルで滴下し、その上にタイル群を載せて硬化させるようにしていたが、ブリッジ片の中央が分厚くなって目地調整が困難になる、など多くの問題点があった。
【解決手段】■タイル群を載せる受け台1にブリッジ片成形用の型凹部2を形成する、■受け台1の型凹部2にブリッジ片Bの素材となる合成樹脂bを充填する、■受け台1の上面に表を上に向けてタイル群を載せ、型凹部2の合成樹脂bにタイル群の裏面を密着させる、■受け台1にタイル群を載せた状態のまま合成樹脂bの硬化処理を実行してブリッジ片Bを成形する、というタイルユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルの夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してなるタイルユニットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図11に示したように所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルT,T…(以下そのようなタイルT,T…の集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片Bで連結してなるタイルユニットUは既に公知である。そのタイルユニットUの従来の製造方法について図12(a),(b)により説明する。先ず、平坦な受け台A上のブリッジ片配置ポイントにブリッジ片Bの素材となる合成樹脂b(例えばポリ塩化ビニルなどの熱硬化性樹脂)をノズルNで滴下し、その上にタイル群を載せてタイル群の裏面と合成樹脂bを密着させ、そのまま合成樹脂bの硬化処理(例えば合成樹脂bが熱硬化性樹脂であれば所定時間加熱する。)を実行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の製造方法には次のような問題点があった。■硬化前の軟らかい合成樹脂bが受け台AとタイルTの間に挟まれて押しつぶされるため、その部分(図11符号S参照)が薄くなってタイルTへの接着強度が不足する。■受け台AとタイルTの間に挟まれて押しつぶされた合成樹脂bが目地部分の隙間に逃げ込むため、中央が膨らんだ蒲鉾型のブリッジ片Bができる。通常タイルユニットUを使った施工方法では、最終段階でタイルユニットUのブリッジ片Bを切断して目地調整を行う場合が多いが、前記のようにブリッジ片Bが目地部分で肉厚になっていると、切断し難く且つ切り離したブリッジ片B同士がスマートに重ならないため、目地幅を小さくする調整が困難になる。また、蒲鉾型に膨らんだブリッジ片Bが、タイルTの厚みを越えて表面に突出する場合があり、見栄えが非常に悪い。■ブリッジ片Bの端がタイルTの裏面に形成した剥離防止溝Vに入り込む場合があり、タイルT自体の剥離防止効果が減少する。■タイル群が受け台Aから浮き上がって合成樹脂bで支えられるため、タイル群が不安定になり、次工程に移動する過程でタイルの配列に狂いが生ずる可能性がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】タイル群を構成する夫々のタイルを合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすものであって、次の■〜■の要件を具備してなるタイルユニットの製造方法を提供する。■前記タイル群を載せる受け台にブリッジ片成形用の型凹部を形成する。■前記受け台の型凹部にブリッジ片の素材となる合成樹脂を充填する。■前記受け台の上面に表を上に向けてタイル群を載せ、型凹部の合成樹脂にタイル群の裏面を密着させる。■受け台にタイル群を載せた状態のまま合成樹脂の硬化処理を実行してブリッジ片を成形する。
【0005】上記の製造方法によれば、硬化前の合成樹脂を型凹部に充填してその上にタイル群を載せるようにしたため、ブリッジ片が目地部分に逃げ込まない。また、タイルとの接着部分のブリッジ片の厚みも必要十分に確保できるため、高い接着強度が得られる。また、ブリッジ片の形状が型どおりになるため、ブリッジ片の一部が剥離防止溝に流れ込むおそれが殆どなく、タイル自体の剥離防止機能を損なわない。さらにまた、タイル群が受け台の上面に載って安定するため次工程に移動してもタイルの配列が狂わない。
【0006】また、請求項2のように、ブリッジ片の素材となる合成樹脂を型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より高く突出させてタイル群に圧着させるようにするとよい。そうすることによりタイルとブリッジ片の接合強度が高まる。
【0007】また、請求項2の製造方法を実施する好ましい手段として請求項3に記載したように、前記受け台を基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すことによって、合成樹脂の上部を基盤上面より突出させるようにするとよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図1はタイルユニットの裏面図、図2はタイルユニットの縦断面図、図3は基盤の平面図、図4はプレートの平面図、図5は受け台の縦断面図、図6は型凹部に合成樹脂を充填した状態を示す受け台の縦断面図、図7は図6からプレートを外した状態を示す受け台の縦断面図、図8は受け台にタイル群を載せた状態を示す縦断面図である。
【0009】先ずタイルユニットNUの完成品について説明する。図1,図2に示したようにタイルユニットNUは、タイル群を構成する夫々のタイルT,T…を合成樹脂製のブリッジ片B,B…で連結してなる。ブリッジ片Bは、例えば熱硬化性樹脂であるポリ塩化ビニルで形成した弾性帯構造であり、タイルTの裏側であってそのタイルTの剥離防止溝V以外の部分に貼り付いてタイルT,T…同士を繋いでいる。なお、タイル群とは、既述のように、所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルT,T…の集合体である。
【0010】次ぎに上記タイルユニットNUの製造方法について説明する。本発明の製造方法にはタイル群を載せる受け台1を使用する。実施形態の受け台1は、図3に示した基盤1aの上面に、図4に示した厚さ0.5mm程度の薄いステンレス製のプレート1bを重ねた二重構造である。受け台1の上面には、ブリッジ片成形用の型凹部2,2…がブリッジ片Bの配置に合わせて形成されている。前記のように受け台1は基盤1aとプレート1bの二重構造であるため、型凹部2によってプレート1bは貫かれている。また、基盤1aの少なくとも型凹部2の内周面にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂など離型性能に優れた合成樹脂の被膜を形成する離型手段が施されている。もっとも被膜タイプの離型手段では摩耗による機能低下が懸念されるため、基盤1a全体を離型性能に優れた合成樹脂で形成し、そこに型凹部2を形成する、という離型手段にしてもよい。
【0011】さて、先ず最初に、図5二点鎖線で示したように受け台1上の任意の端にブリッジ片Bの素材となる合成樹脂bを載せる。この合成樹脂bは前記のように熱硬化性樹脂(ポリ塩化ビニル)であり常温で流動性を有するため、これをゴム製のヘラ3などで掻いて他の端に移動させながら図6のように全ての型凹部2に充填する。そして、図7のように受け台1のプレート1bを基盤1aの上面から外すと、プレート1bの厚み分だけ合成樹脂bの上部4が型凹部2の上面すなわち基盤1aの上面より突出する。
【0012】なお、合成樹脂bの上部4を型凹部2から突出させる方法は、上記のようにプレート1bを着脱するものに限らない。例えば、図9(a)〜図9(c)のように型凹部2の底を上下動自在な駒部材2aで形成し、図9(a)のように駒部材2aを下げた状態にして合成樹脂bを型凹部2に充填し、次ぎに図9(b)のように駒部材2aを僅かに上昇させて合成樹脂bの上部4を押し出し、その状態で図9(c)のようにタイル群を載せるようにしてもよい。
【0013】次ぎに別の場所でタイルT,T…を整列させてタイル群を形成し、それを吸着搬送して受け台1の上面に表を上に向けて載せる。そうすると、図8のように型凹部2の合成樹脂bにタイル群の裏面が密着する。特に、実施形態では合成樹脂bの上部4を型凹部2の上面に突出させたため、タイル群との密着がより確実となる。なお、上部4を突出させることによりその分合成樹脂bがタイル群の目地間隔に入り込むことになるが、その突出量が僅かであるため特に問題はない。
【0014】次ぎに受け台1にタイル群を載せた状態のまま合成樹脂bの硬化処理を実行する。実施形態では合成樹脂bが熱硬化性樹脂のポリ塩化ビニルであるため、受け台1ごと搬送して加熱炉に入れ、140℃×15分間加熱すればよい。そうすることにより合成樹脂bが型凹部2内で硬化してブリッジ片Bとなり、同時にそのブリッジ片BがタイルTの裏面に貼り付いてタイルT,T…同士を連結する。ブリッジ片Bの素材に熱硬化性樹脂を採用した場合は、完成したタイルユニットNUを炎天下に放置して温度が上昇しても、ブリッジ片Bが剥離しない優位性がある。
【0015】なお、前記合成樹脂bの硬化処理は、合成樹脂bの種類によって当然に異なる。例えば、ブリッジ片Bの素材として熱可塑性樹脂を使用する場合は、合成樹脂bを粉末状にして型凹部2に充填し、それを加熱して一旦溶融させてから冷却して硬化させる。また、ブリッジ片Bの素材として感光性樹脂を使用する場合は、光(紫外線)を照射して合成樹脂bを硬化させる。
【0016】次ぎにタイル群を吸着して受け台1から外す。そうすると、タイル群に貼り付いてブリッジ片Bが型凹部2から抜ける。このとき型凹部2に前記した離型手段が施してあればブリッジ片Bの脱型が非常にスムーズに行える。なお、型凹部2の底に目地方向と平行な凸条を多数本刻設しておけば、ブリッジ片Bの裏面に図10R>0に示したような波部Wを形成することができる。このような波部Wは、ブリッジ片Bの曲げに対する柔軟性を高め、且つ、ブリッジ片Bとモルタルの接合性を向上させる効果を発揮する。
【0017】
【発明の効果】本発明のタイルユニットの製造方法によれば、硬化前の合成樹脂を型凹部に充填してその上にタイル群を載せてそのまま硬化させるようにしたため、ブリッジ片が目地部分で分厚く膨らむ不具合が発生しない。これによりブリッジ片の切断が容易になりしかも切断したブリッジ片同士を重ねても厚みが少ないためタイルユニットの目地調整が容易に行える。また、タイルとの接着部分に対してブリッジ片の厚みも必要十分に確保できるため高い接着強度を得ることができ、さらに、ブリッジ片の形状が型どおりになるため、ブリッジ片が剥離防止溝に被さるおそれが殆どなく、高品質のタイルユニットが提供できる。また、タイル群が受け台の上面に載って安定するため次工程に移動してもタイルの配列が狂わない、などの優れた効果を発揮する。
【0018】また、請求項2のように、ブリッジ片の素材となる合成樹脂を型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より突出させてタイル群に圧着させるようにすれば、タイルとブリッジ片の接合強度をさらに高めることが可能である。
【0019】また、請求項3、4に記載したように、受け台を、基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すようにすることによって、合成樹脂の上部を基盤の上面より突出させる請求項2の製造方法が簡単に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タイルユニットの裏面図である。
【図2】 タイルユニットの縦断面図である。
【図3】 基盤の平面図である。
【図4】 プレートの平面図である。
【図5】 受け台の縦断面図である。
【図6】 型凹部に合成樹脂を充填した状態を示す受け台の縦断面図である。
【図7】 図6からプレートを外した状態を示す受け台の縦断面図である。
【図8】 受け台にタイル群を載せた状態を示す縦断面図である。
【図9】 (a)〜(c)は受け台の他形態を示す縦断面図である。
【図10】 ブリッジ片の他形態を示すタイルユニットの一部拡大断面図である。
【図11】 従来のタイルユニットを示す縦断面図である。
【図12】 (a),(b)は従来のタイルユニットの製造方法を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
NU…タイルユニット
T …タイル
B …ブリッジ片
b …合成樹脂
1 …受け台
1a…基盤
1b…プレート
2 …型凹部
4 …上部
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルの夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してなるタイルユニットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図11に示したように所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルT,T…(以下そのようなタイルT,T…の集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片Bで連結してなるタイルユニットUは既に公知である。そのタイルユニットUの従来の製造方法について図12(a),(b)により説明する。先ず、平坦な受け台A上のブリッジ片配置ポイントにブリッジ片Bの素材となる合成樹脂b(例えばポリ塩化ビニルなどの熱硬化性樹脂)をノズルNで滴下し、その上にタイル群を載せてタイル群の裏面と合成樹脂bを密着させ、そのまま合成樹脂bの硬化処理(例えば合成樹脂bが熱硬化性樹脂であれば所定時間加熱する。)を実行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の製造方法には次のような問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】タイル群を構成する夫々のタイルを合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすものであって、次の
【0005】上記の製造方法によれば、硬化前の合成樹脂を型凹部に充填してその上にタイル群を載せるようにしたため、ブリッジ片が目地部分に逃げ込まない。また、タイルとの接着部分のブリッジ片の厚みも必要十分に確保できるため、高い接着強度が得られる。また、ブリッジ片の形状が型どおりになるため、ブリッジ片の一部が剥離防止溝に流れ込むおそれが殆どなく、タイル自体の剥離防止機能を損なわない。さらにまた、タイル群が受け台の上面に載って安定するため次工程に移動してもタイルの配列が狂わない。
【0006】また、請求項2のように、ブリッジ片の素材となる合成樹脂を型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より高く突出させてタイル群に圧着させるようにするとよい。そうすることによりタイルとブリッジ片の接合強度が高まる。
【0007】また、請求項2の製造方法を実施する好ましい手段として請求項3に記載したように、前記受け台を基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すことによって、合成樹脂の上部を基盤上面より突出させるようにするとよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図1はタイルユニットの裏面図、図2はタイルユニットの縦断面図、図3は基盤の平面図、図4はプレートの平面図、図5は受け台の縦断面図、図6は型凹部に合成樹脂を充填した状態を示す受け台の縦断面図、図7は図6からプレートを外した状態を示す受け台の縦断面図、図8は受け台にタイル群を載せた状態を示す縦断面図である。
【0009】先ずタイルユニットNUの完成品について説明する。図1,図2に示したようにタイルユニットNUは、タイル群を構成する夫々のタイルT,T…を合成樹脂製のブリッジ片B,B…で連結してなる。ブリッジ片Bは、例えば熱硬化性樹脂であるポリ塩化ビニルで形成した弾性帯構造であり、タイルTの裏側であってそのタイルTの剥離防止溝V以外の部分に貼り付いてタイルT,T…同士を繋いでいる。なお、タイル群とは、既述のように、所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイルT,T…の集合体である。
【0010】次ぎに上記タイルユニットNUの製造方法について説明する。本発明の製造方法にはタイル群を載せる受け台1を使用する。実施形態の受け台1は、図3に示した基盤1aの上面に、図4に示した厚さ0.5mm程度の薄いステンレス製のプレート1bを重ねた二重構造である。受け台1の上面には、ブリッジ片成形用の型凹部2,2…がブリッジ片Bの配置に合わせて形成されている。前記のように受け台1は基盤1aとプレート1bの二重構造であるため、型凹部2によってプレート1bは貫かれている。また、基盤1aの少なくとも型凹部2の内周面にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂など離型性能に優れた合成樹脂の被膜を形成する離型手段が施されている。もっとも被膜タイプの離型手段では摩耗による機能低下が懸念されるため、基盤1a全体を離型性能に優れた合成樹脂で形成し、そこに型凹部2を形成する、という離型手段にしてもよい。
【0011】さて、先ず最初に、図5二点鎖線で示したように受け台1上の任意の端にブリッジ片Bの素材となる合成樹脂bを載せる。この合成樹脂bは前記のように熱硬化性樹脂(ポリ塩化ビニル)であり常温で流動性を有するため、これをゴム製のヘラ3などで掻いて他の端に移動させながら図6のように全ての型凹部2に充填する。そして、図7のように受け台1のプレート1bを基盤1aの上面から外すと、プレート1bの厚み分だけ合成樹脂bの上部4が型凹部2の上面すなわち基盤1aの上面より突出する。
【0012】なお、合成樹脂bの上部4を型凹部2から突出させる方法は、上記のようにプレート1bを着脱するものに限らない。例えば、図9(a)〜図9(c)のように型凹部2の底を上下動自在な駒部材2aで形成し、図9(a)のように駒部材2aを下げた状態にして合成樹脂bを型凹部2に充填し、次ぎに図9(b)のように駒部材2aを僅かに上昇させて合成樹脂bの上部4を押し出し、その状態で図9(c)のようにタイル群を載せるようにしてもよい。
【0013】次ぎに別の場所でタイルT,T…を整列させてタイル群を形成し、それを吸着搬送して受け台1の上面に表を上に向けて載せる。そうすると、図8のように型凹部2の合成樹脂bにタイル群の裏面が密着する。特に、実施形態では合成樹脂bの上部4を型凹部2の上面に突出させたため、タイル群との密着がより確実となる。なお、上部4を突出させることによりその分合成樹脂bがタイル群の目地間隔に入り込むことになるが、その突出量が僅かであるため特に問題はない。
【0014】次ぎに受け台1にタイル群を載せた状態のまま合成樹脂bの硬化処理を実行する。実施形態では合成樹脂bが熱硬化性樹脂のポリ塩化ビニルであるため、受け台1ごと搬送して加熱炉に入れ、140℃×15分間加熱すればよい。そうすることにより合成樹脂bが型凹部2内で硬化してブリッジ片Bとなり、同時にそのブリッジ片BがタイルTの裏面に貼り付いてタイルT,T…同士を連結する。ブリッジ片Bの素材に熱硬化性樹脂を採用した場合は、完成したタイルユニットNUを炎天下に放置して温度が上昇しても、ブリッジ片Bが剥離しない優位性がある。
【0015】なお、前記合成樹脂bの硬化処理は、合成樹脂bの種類によって当然に異なる。例えば、ブリッジ片Bの素材として熱可塑性樹脂を使用する場合は、合成樹脂bを粉末状にして型凹部2に充填し、それを加熱して一旦溶融させてから冷却して硬化させる。また、ブリッジ片Bの素材として感光性樹脂を使用する場合は、光(紫外線)を照射して合成樹脂bを硬化させる。
【0016】次ぎにタイル群を吸着して受け台1から外す。そうすると、タイル群に貼り付いてブリッジ片Bが型凹部2から抜ける。このとき型凹部2に前記した離型手段が施してあればブリッジ片Bの脱型が非常にスムーズに行える。なお、型凹部2の底に目地方向と平行な凸条を多数本刻設しておけば、ブリッジ片Bの裏面に図10R>0に示したような波部Wを形成することができる。このような波部Wは、ブリッジ片Bの曲げに対する柔軟性を高め、且つ、ブリッジ片Bとモルタルの接合性を向上させる効果を発揮する。
【0017】
【発明の効果】本発明のタイルユニットの製造方法によれば、硬化前の合成樹脂を型凹部に充填してその上にタイル群を載せてそのまま硬化させるようにしたため、ブリッジ片が目地部分で分厚く膨らむ不具合が発生しない。これによりブリッジ片の切断が容易になりしかも切断したブリッジ片同士を重ねても厚みが少ないためタイルユニットの目地調整が容易に行える。また、タイルとの接着部分に対してブリッジ片の厚みも必要十分に確保できるため高い接着強度を得ることができ、さらに、ブリッジ片の形状が型どおりになるため、ブリッジ片が剥離防止溝に被さるおそれが殆どなく、高品質のタイルユニットが提供できる。また、タイル群が受け台の上面に載って安定するため次工程に移動してもタイルの配列が狂わない、などの優れた効果を発揮する。
【0018】また、請求項2のように、ブリッジ片の素材となる合成樹脂を型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より突出させてタイル群に圧着させるようにすれば、タイルとブリッジ片の接合強度をさらに高めることが可能である。
【0019】また、請求項3、4に記載したように、受け台を、基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すようにすることによって、合成樹脂の上部を基盤の上面より突出させる請求項2の製造方法が簡単に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タイルユニットの裏面図である。
【図2】 タイルユニットの縦断面図である。
【図3】 基盤の平面図である。
【図4】 プレートの平面図である。
【図5】 受け台の縦断面図である。
【図6】 型凹部に合成樹脂を充填した状態を示す受け台の縦断面図である。
【図7】 図6からプレートを外した状態を示す受け台の縦断面図である。
【図8】 受け台にタイル群を載せた状態を示す縦断面図である。
【図9】 (a)〜(c)は受け台の他形態を示す縦断面図である。
【図10】 ブリッジ片の他形態を示すタイルユニットの一部拡大断面図である。
【図11】 従来のタイルユニットを示す縦断面図である。
【図12】 (a),(b)は従来のタイルユニットの製造方法を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
NU…タイルユニット
T …タイル
B …ブリッジ片
b …合成樹脂
1 …受け台
1a…基盤
1b…プレート
2 …型凹部
4 …上部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイル(以下そのようなタイルの集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすものであって、次の■〜■の要件を具備してなることを特徴とするタイルユニットの製造方法。■前記タイル群を載せる受け台にブリッジ片成形用の型凹部を形成する。■前記受け台の型凹部にブリッジ片の素材となる合成樹脂を充填する。■前記受け台の上面に表を上に向けてタイル群を載せ、型凹部の合成樹脂にタイル群の裏面を密着させる。■受け台にタイル群を載せた状態のまま合成樹脂の硬化処理を実行してブリッジ片を成形する。
【請求項2】 ブリッジ片の素材となる合成樹脂は、型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より高く突出させてタイル群に圧着させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項3】 前記受け台は基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すことによって、合成樹脂の上部を基盤上面より突出させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項4】 所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイル(以下そのようなタイルの集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすために使用するものであって、次の■〜■の要件を具備してなることを特徴とするタイルユニット製造用受け台。■基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とする。■上面にブリッジ片成形用の型凹部をブリッジ片の配置に合わせ且つプレートを貫いた状態にして形成する。■前記型凹部に流動性を有する合成樹脂を充填し、基盤からプレートを外して合成樹脂の上部を基盤の上面より突出させる。■プレートを外した基盤の上面に表を上に向けてタイル群を載せ、型凹部の合成樹脂にタイル群の裏面を圧着させ、合成樹脂が硬化するまでそのままタイル群を保持する。
【請求項1】 所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイル(以下そのようなタイルの集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすものであって、次の
【請求項2】 ブリッジ片の素材となる合成樹脂は、型凹部に充填する段階で流動性を有するものとし、且つ、型凹部に充填した状態で上部をタイル群を載せる面より高く突出させてタイル群に圧着させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項3】 前記受け台は基盤の上面に薄いプレートを重ねた二重構造とし、型凹部に流動状態の合成樹脂を充填した後に上のプレートを外すことによって、合成樹脂の上部を基盤上面より突出させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のタイルユニットの製造方法。
【請求項4】 所定の目地間隔を離して整列させた複数のタイル(以下そのようなタイルの集合体をタイル群という。)の夫々を合成樹脂製のブリッジ片で連結してタイルユニットとなすために使用するものであって、次の
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図10】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図10】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【特許番号】第2897955号
【登録日】平成11年(1999)3月12日
【発行日】平成11年(1999)5月31日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−100586
【出願日】平成10年(1998)3月27日
【審査請求日】平成10年(1998)6月30日
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(597122426)
【参考文献】
【文献】実開 昭49−141629(JP,U)
【登録日】平成11年(1999)3月12日
【発行日】平成11年(1999)5月31日
【国際特許分類】
【出願日】平成10年(1998)3月27日
【審査請求日】平成10年(1998)6月30日
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(597122426)
【参考文献】
【文献】実開 昭49−141629(JP,U)
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