タイルユニット
【課題】連結シートの勾配面への密着性が良好なタイルユニットを提供する。
【解決手段】連結シート20は方形であり、その中央に円形の孔21が設けられている。また、該連結シート20には4本の切れ目22が設けられており、各切れ目22は孔21に連なっている。第8,9図の通り、この連結シート20の上側は、裏足14の底面14aに接合されていると共に、勾配面14cにも接合されている。また、この連結シート20の下側は、裏足11の底面11aに接合されていると共に、勾配面11cにも接合されている。連結シート20は、切れ目22を折れ目として屈曲し易い構造となっている。これにより、連結シート20が勾配面11c、14cに対して良好に接合されることになる。
【解決手段】連結シート20は方形であり、その中央に円形の孔21が設けられている。また、該連結シート20には4本の切れ目22が設けられており、各切れ目22は孔21に連なっている。第8,9図の通り、この連結シート20の上側は、裏足14の底面14aに接合されていると共に、勾配面14cにも接合されている。また、この連結シート20の下側は、裏足11の底面11aに接合されていると共に、勾配面11cにも接合されている。連結シート20は、切れ目22を折れ目として屈曲し易い構造となっている。これにより、連結シート20が勾配面11c、14cに対して良好に接合されることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のタイルを連結シートで連結してなるタイルユニットに係り、特に、タイルの裏面に連結シートが付着されているタイルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
タイルの裏面に、隣接するタイルに架け渡すように紙(台紙)を接着剤で接着することにより、複数枚のタイルを連結してなるタイルユニットは、1回のタイル貼り操作で、複数枚のタイルを施工することができ、施工作業の軽減、工期の短縮に有効であることから、従来、内外装用タイルの施工に広く用いられている。
【0003】
このようなタイルユニットは、連結するタイルを、裏面を上にして型枠などに入れて整列させ、接着剤を塗布した紙をタイル裏面に圧着することにより製造されている。
【0004】
なお、連結に用いる紙の材質は、JIS 5209に定められており、伸縮性のないものである。
【0005】
ところで、タイルは一般に成形用坏土を成形金型に充填して加圧成形する乾式成形により製造されるが、この乾式成形時においては、次のような問題がある。
【0006】
即ち、成形金型の内周縁部においては、金型の間隙からの坏土のもれや金型の変形などにより、成形圧力が低くなるため、得られる成形体の外周縁部は、密度が低いものとなる。
【0007】
そこで、成形体の外周縁部にも十分な成形圧力が加わるように、予め、上下金型に「しめ勾配」と称される傾斜を設けている。このため、タイルの表裏両面には、側周縁部に向けて表面又は裏面から後退するような傾斜面よりなるしめ勾配が形成される。
【0008】
従来、タイル裏面のしめ勾配は3.8〜9.1°程度であり、しめ勾配部分の幅は3〜10mm程度である。
【0009】
裏面にしめ勾配が形成されたタイルを用いて製造したタイルユニットにあっては、タイルの連結に用いられる紙は伸縮性のないものであることから、しめ勾配の部分でタイル裏面に対して紙が浮き上がったような状態になり、タイル裏面と紙との接着が不十分となるおそれがある。
【0010】
特開平8−109730号公報には、しめ勾配を1〜4°とすることにより、紙とタイル裏面との接着性を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−109730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、タイル裏面の周縁における勾配を1〜4°のように小さくするまでもなく、連結シートの勾配面への密着性が良好なタイルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(請求項1)のタイルユニットは、複数個のタイルを、タイルの裏面に接続された連結シートで連結してなるタイルユニットであって、該タイルの裏面の辺縁に勾配面が設けられているタイルユニットにおいて、該連結シートに、該連結シートの該勾配面への密着性を高めるための切れ目が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2のタイルユニットは、請求項1において、複数の方向に切れ目が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項3のタイルユニットは、請求項1又は2において、該連結シートに孔が形成されており、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいることを特徴とする。
【0016】
請求項4のタイルユニットは、請求項3において、該切れ目の少なくとも一部が、該孔に連なっていることを特徴とする。
【0017】
請求項5のタイルユニットは、請求項1ないし4のいずれか1項において、該切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいることを特徴とする。
【0018】
請求項6のタイルユニットは、請求項5において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のタイルユニットにあっては、連結シートに切れ目が形成されている。これにより、連結シートがタイルの裏面辺縁の勾配面に沿って変形し易くなり、該連結シートと勾配面との密着性が向上する。また、モルタル(接着剤)を塗布した壁面に対してこのタイルユニットの裏面を圧着するときに、モルタル(接着剤)や該壁面とタイルユニットの裏面との間に巻き込まれた空気が、該切れ目を通過する。これにより、タイルユニットがモルタル(接着剤)にしっかりと食い込み、タイルユニットが壁面に強固に貼着される。
【0020】
この切れ目は複数の方向に設けられているのが好ましい。これにより、連結シートが複数の方向に変形し易くなるため、該連結シートと勾配面との密着性がより向上する。また、タイルユニットが壁面により強固に貼着される。
【0021】
この連結シートには、さらに孔が形成され、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいてもよい。この場合、上記のモルタル(接着剤)や空気が、切れ目と共に目地部に臨んだ孔からも通過する。これにより、タイルユニットがモルタル(接着剤)に十分に食い込み、タイルユニットが壁面により強固に貼着される。
【0022】
本発明において、切れ目の少なくとも一部が、この孔に連なっていてもよい。これにより、連結シートがこの孔に連なっている切れ目の近傍においてより変形し易くなり、連結シートと勾配面との密着性がより向上する。
【0023】
本発明において、この切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいてもよい。この場合、モルタル(接着剤)を塗布した壁面に対してこのタイルユニットの裏面を圧着するときに、この略コ字形又は略C字形の切れ目によって形成された略コ字形孔又は略C字形孔から飛び出てきたモルタル(接着剤)が該舌片部の裏面に当る。これにより、モルタル(接着剤)が勢い良く飛び出して該タイルユニットの表面を汚すことが抑制される。
【0024】
本発明において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていてもよい。これにより、この略コ字形又は略C字形の切れ目に連なる切れ目の近傍において、連結シートがより変形し易くなり、連結シートと勾配面との密着性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図2】第1図のタイルの裏面の斜視図である。
【図3】第2図のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】第2図のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】第2図のV−V線に沿う断面図である。
【図6】第1図の部分拡大図である。
【図7】第6図における連結シート20の接合前の状態を示す斜視図である。
【図8】第6図のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】第6図のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】第6図のX−X線に沿う断面図である。
【図11】第6図のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】第1図のタイルユニット1を壁面30に貼着してなるタイル施工壁面を示す縦断面図である。
【図13】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図14】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図15】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図16】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図17】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図18】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図19】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図20】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。第1図は実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図、第2図は第1図のタイルの裏面の斜視図、第3図は第2図のIII−III線に沿う断面図、第4図は第2図のIV−IV線に沿う断面図、第5図は第2図のV−V線に沿う断面図、第6図は第1図の部分拡大図、第7図は第6図における連結シート20の接合前の状態を示す斜視図、第8図は第6図のVIII−VIII線に沿う断面図、第9図は第6図のIX−IX線に沿う断面図、第10図は第6図のX−X線に沿う断面図、第11図は第6図のXI−XI線に沿う断面図である。
【0027】
第1図の通り、このタイルユニット1は、複数個のタイル10を、タイル10の裏面に接続された連結シート20で連結してなるものである。このタイルユニット1にあっては、目地間隔をおいて横方向に3枚のタイル10を配列してなる横列が、目地間隔をおいて縦方向に6列に配列されている。これにより、タイルユニット1の第1図における横方向に延在する5条の目地部31が形成されていると共に、縦方向に延在する2条の目地部32が形成されている。
【0028】
<タイル10の説明>
まず、第1〜5図を用いてタイル10について説明する。各タイル10は長方形状を有しており、タイル10の裏面に4本の裏足11〜14が設けられている。裏足11〜14の各々は、タイル10の一方の短辺(第1図の左辺)から他方の短辺(第1図の右辺)にわたってタイル長辺方向に延在している。裏足11はタイル10の一方の長辺(第1図の上辺)に沿って延在し、裏足14は他方の長辺(第1図の下辺)に沿って延在し、裏足12,13はこれら裏足11,14の間に等間隔をおいて延在している。隣り合う裏足11,12、裏足12,13及び裏足13,14の間が、凹溝15となっている。これらの凹溝15は、タイル10の一方の短辺から他方の短辺にわたって延在している。
【0029】
以下に詳細に説明するが、第2図に示す通り、該タイル10の裏面の4つの辺縁に勾配面が形成されている。即ち、該タイル10の裏面の4つの辺縁のうち、1対の長辺縁(第1,2図の上辺縁及び下辺縁)にはそれぞれ勾配面11c、14cが設けられており、一方の短辺縁(第1,2図の左短辺縁)には勾配面11b、12b、13b、14bが設けられており、他方の辺縁(第1図の右短辺縁)にも勾配面11b、12b、13b、14bが設けられている。
【0030】
裏足11は、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足11の先端側の3つの辺縁に勾配面11b、11b、11cが設けられている。即ち、該裏足11の底面11aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面11bが設けられている。同様に、該裏足11の底面11aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面11bが設けられている。該裏足11の1対の長辺のうちタイル外側に位置する長辺(第2図の上側の長辺)からタイル10の木端面(第2図の上側の木端面)にわたって勾配面11cが設けられている。第3図に示す通り、該裏足11のうち他方の長辺(第2図の下側の長辺)に連なる側面11dには勾配面が設けられておらず、該側面11dはタイル裏面から該裏足11の底面11aにわたって垂直に起立している。
【0031】
裏足12も、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足12の両短辺縁に勾配面12bが設けられている。即ち、該裏足12の底面12aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面12bが設けられている。同様に、該裏足12の底面12aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面12bが設けられている。第3図に示す通り、該裏足12の1対の長側面12cには勾配面が設けられておらず、該長側面12cはタイル裏面から該裏足12の底面12aにわたって垂直に起立している。
【0032】
裏足13は裏足12と同一形状となっている。具体的には、裏足13も、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足13の両短辺縁に勾配面13bが設けられている。即ち、該裏足13の底面13aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面13bが設けられている。同様に、該裏足13の底面13aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面13bが設けられている。第3図に示す通り、該裏足13の1対の長側面13cには勾配面が設けられておらず、該側面13cはタイル裏面から該裏足13の底面13aにわたって垂直に起立している。
【0033】
裏足14は、裏足11を第2図において上下反転させた形状となっている。具体的には、裏足14は、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足14の先端側の3つの辺縁に勾配面14b、14b、14cが設けられている。即ち、該裏足14の底面14aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面14bが設けられている。同様に、該裏足14の底面14aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面14bが設けられている。該裏足14の1対の長辺のうちタイル外側に位置する長辺(第2図の下側の長辺)からタイル10の木端面(第2図の下側の木端面)にわたって勾配面14cが設けられている。第3図に示す通り、該裏足14のうち他方の長辺(第2図の上側の長辺)に連なる側面14dには勾配面が設けられておらず、該側面14dはタイル裏面から該裏足14の底面14aにわたって垂直に起立している。
【0034】
なお、該タイル10の裏面の一方の短辺縁(第1,2図の左短辺縁)に設けられた勾配面11b、12b、13b、14bは、同一平面上に位置している。該タイル10の裏面の他方の辺縁(第1,2図の右短辺縁)に設けられた勾配面11b、12b、13b、14bも、同一平面上に位置している。
【0035】
このタイル10の寸法に特に限定はないが、例えば、代表的な外装モザイクタイル50mm二丁では、第1図における縦方向長さは45mm、横方向長さは95mm、厚さは4〜10mm特に7〜9mm程度である。
【0036】
また、裏足11〜14の幅(タイル10の短辺方向の長さ)は、例えば4〜10mm特に5〜7mmである。勾配面11bの幅、即ち、底面11aとの交叉部から木端面との交叉部までの距離は、例えば2〜4mm特に2.5〜3.5mmである。勾配面11c、12b、13b、14b、14cの幅も、勾配面11bの幅と同程度である。
【0037】
底面11aと勾配面11b,11cとのなす角度、底面12aと勾配面12bとのなす角度、底面13aと勾配面13bとのなす角度及び底面14aと勾配面14b,14cとのなす角度は、例えば5〜15°特に7〜14°である。
【0038】
第3図の通り、本実施の形態では、凹溝15はその延在方向(第1図の左右方向)と垂直な断面の形状が長方形となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、凹溝15は深さ方向に向って幅(第3図の左右方向長さ)が大きくなる、垂直断面の形状がアリ形のものであってもよい。即ち、側面11d、12c、13c、14dはタイル裏面から垂直に起立しているが、これに限定されるものではなく、例えば、これら側面11d、12c、13c、14dの少なくとも一面と底面11a、12a、13a、14aとのなす角度が鋭角であってもよい。
【0039】
<連結シート20の説明>
このように構成されたタイル10は、第1図のように横3列、縦6列に配列され、裏面が連結シート20及び連結シート(小)24で連結されている。
【0040】
第6,7図の通り、この連結シート20は方形であり、その中央に円形の孔21が設けられている。また、該連結シート20には複数本(本実施の形態では4本)の切れ目22が設けられており、各切れ目22は孔21に連なっている。別言すると、該孔21の周縁の4箇所から該孔21の外側に向って、4本の切れ目22が延設されている。これら4本の切れ目のうち、2本は該連結シート20の一辺と平行方向に延在しており、他の2本は該一辺と直角方向に延在している。
【0041】
この連結シート20の寸法には特に限定はないが、例えば、縦方向及び横方向の長さが10〜30mm特に15〜20mm程度であり、厚さが0.1〜1.0mm特に0.1〜0.3mm程度である。孔21の直径は、例えば5〜10mm特に8〜10mm程度である。切り目22の寸法は、例えば、長さ2〜7mm特に2〜3mm程度、幅0〜0.1mm例えば0.01〜0.1mm程度である。
【0042】
この連結シート20としては、合成樹脂、布、紙等よりなる基材の表面に接着剤層を形成したものが好適に用いられる。
【0043】
<連結シート20と4枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図において、タイルユニット1における中央の10枚の連結シート20は、4枚のタイル10の裏面同士を連結しており、外側の目地部31を跨ぐ10枚の連結シート20は、2枚のタイル10の裏面同士を連結している。外側の目地部32を跨ぐ4枚の連結シート(小)24は、2枚のタイル10の裏面同士を連結している。
【0044】
第6図は、4枚のタイル10の裏面同士が連結シート20で連結された箇所を示しており、第7図は第6図の連結シート20によって4枚のタイル10が連結される前の状態を示している。
【0045】
第6図の通り、連結シート20は、一辺がタイル10の一辺と平行になるようにして、かつ4枚のタイル10を跨ぐようにして、4枚のタイル10の裏面に接合されている。孔21は、目地部31と目地部32との交叉部に臨んでいる。この孔21の第6図における縦方向長さ及び横方向長さ(即ち直径)は、目地部31の幅及び目地部32の幅よりも大きくなっており、4枚のタイル20の角部の一部が該孔21から露出している。2本の切れ目22は、それらの延在方向が目地部31の延在方向と平行になるようにして、目地部31に臨んでいる。残り2本の切れ目22は、それらの延在方向が目地部32の延在方向と平行になるようにして、目地部32に臨んでいる。なお、これら目地部31,32の幅は、例えば2〜10mm特に4〜6mmである。
【0046】
第6,8,9図に示す通り、連結シート20の図における上側は、上側のタイル10の裏足14に接合されている。また、連結シート20の図における下側は、下側のタイル10の裏足11に接合されている。第8,9図の通り、この連結シート20の上側は、裏足14の底面14aに接合されていると共に、勾配面14cにも接合されている。また、この連結シート20の下側は、裏足11の底面11aに接合されていると共に、勾配面11cにも接合されている。
【0047】
また、第6,10,11図に示す通り、連結シート20は、第6図の上側のタイル10における裏足14の勾配面14bにも接合されている。図示は省略するが、連結シート20は、第6図の下側のタイル10における裏足11の勾配面11bにも接合されている。
【0048】
このように、連結シート20は、タイルの裏足11,14の底面11a、14aのみならず、勾配面11b、11c、14b、14cにも接合されているので、連結シート20とタイル10との接続が強固なものとなる。
【0049】
なお、第8,10図に示す通り、連結シート20は、切れ目22を折れ目として屈曲し易い構造となっている。これにより、連結シート20が勾配面11b、11c、14b、14cに対して良好に接合されることになる。
【0050】
<連結シート20と上下2枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図のタイルユニット1における左端の5枚の連結シート20及び右端の5枚の連結シート20は、上下方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。第8,9図の場合と同様に、これら連結シート20は、上側のタイル10における裏足14の底面14aのみならず、勾配面14cにも接合している。同様に、この連結シート20は、下側のタイル10における裏足11の底面11aのみならず、勾配面11cにも接合している。
【0051】
<連結シート(小)24と左右2枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図のタイルユニット1における上端の2枚の連結シート(小)24は、左右方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。図示は省略するが、連結シート(小)24は裏足12の底面12a及び勾配面12bに接合されている。
【0052】
また、第1図のタイルユニット1における下端の2枚の連結シート(小)24は、左右方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。図示は省略するが、連結シート(小)24は裏足13の底面13a及び勾配面13bに接合されている。
【0053】
本実施の形態では、連結シート(小)24は第1図の左右方向に細長い長方形であり、その短辺は裏足12,13の幅(第1図の上下方向長さ)と同一であるか又は該幅よりも小さいものとなっている。
【0054】
<タイルユニット1の壁面への貼着の一例>
第12図は、上記の通り構成されたタイルユニット1を壁面30に貼着してなるタイル施工壁面を示す縦断面図である。このタイル施工壁面は、壁面30の表面に対して、モルタル(接着剤)31を介してタイルユニット1の裏面が貼着された構造となっている。
【0055】
かかるタイル施工壁面を施工する場合には、例えば、先ず壁面30にモルタル(接着剤)31を塗布し、その上にタイルユニット1の裏面を当接した後、たたき板(板にゴムを貼ったもの)等の工具を用いてタイルユニット1の表面を打撃して、タイルユニット1の裏面をモルタル(接着剤)31に密着させる。
【0056】
このように打撃する際に、モルタル(接着剤)31が孔21及び切れ目22から連結シート20の表面に流出する。これにより、タイルユニット1がモルタル(接着剤)31内により押し込められ、タイルユニット1が壁面30に対して強固に貼着されることになる。
【0057】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0058】
例えば、タイル10の裏足11〜14の数は4本であったが、3本以下又は5本以上であってもよい。タイル10の裏面の4辺縁に勾配面が設けられているが、勾配面は1〜3辺縁に設けられていてもよい。
【0059】
第8,9図の通り、連結シート20は、上側のタイル10の底面14aと側面14dとの交叉部から、その下側のタイル10の底面11aと側面11dとの交叉部にまで延在しているが、それよりも短くしても良い。また、第8,9図において、連結シート20は勾配面14cの幅全体にわたって(即ち、勾配面14cと底面14aとの交叉部から勾配面14cとタイル10の木端面との交叉部にわたって)接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。勾配面11cについても同様に、連結シート20は勾配面11cの幅全体にわたって接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。第10,11図でも同様に、連結シート20は勾配面14bの幅全体にわたって接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。
【0060】
連結シート20は略正方形であるが、長方形、その他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。また、連結シートの第1図における横方向の長さを大きくし、1枚の連結シートで横方向に配列された3個以上(上下合わせると6個以上)のタイル10を接合するようにしてもよい。また、連結シートの第1図における縦方向の長さを大きくし、1枚の連結シートで縦方向に配列された3個以上(上下合わせると6個以上)のタイル10を接合するようにしてもよい。
【0061】
タイルユニット1は目地部31,32を有しているが、目地部31,32を設けず、隣り合うタイル10の木端面同士を突き合わせるようにして配列してもよい。さらに、目地部31,32は直線状(通し目地)であるが、これに限定されるものではなく、例えば馬踏み目地であってもよい。
【0062】
タイルユニット1においては、タイル10は縦6列、横3列に配列されているが、これに限定されるものではなく、2個以上のタイル10で構成される限り、縦に1〜5列又は7列以上、横に1,2列又は4列以上に配列されていてもよい。
【0063】
第1図の外側の10枚の連結シート20及び4枚の連結シート(小)24の少なくとも一部は省略されてもよい。例えば、外側の10枚の連結シート20の総てが省略されてもよく、及び/又は、外側の4枚の連結シート(小)24の総てが省略されてもよい。
【0064】
以下に、その他の実施の形態について説明する。
【0065】
<その他の実施の形態>
第13図〜第20図は、第1の実施の形態において、連結シート20を異なる連結シート20A〜20Hに代えてなるタイルユニット1A〜1Hの部分的な裏面平面図である。なお、各連結シート20A〜20Hの方形の寸法は連結シート20の方形の寸法と同一となっているが、異ならせてもよい。
【0066】
第13図のタイルユニット1Aの連結シート20Aには、同一直線上に間隔をおいて延在する複数の切れ目22aよりなる切れ目列22Aが、平行方向に間隔をおいて複数列(第13図では6列)に配列されている。なお、連結シート20Aの左下には、1本の切れ目22aが設けられている。各切れ目22aは互いに平行方向を指向しており、連結シート20Aの一辺に対して斜め方向(第13図では連結シート20Aの上辺に対して時計回りに45°の方向)を指向している。これら複数の切れ目22aの少なくとも一部は、目地部31,32に臨んでいる。
【0067】
このように構成されたタイルユニット20Aにあっても、切れ目22aの部分で変形し易いので、タイル10の裏足の底面及び勾配面に良好に密着する。また、この切れ目22aは第1の実施の形態の連結シート20の孔21よりも小さい。そのため、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Aを工具で打撃するときに、切れ目22aから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが弱くなる。これにより、タイルユニット1Aの表面や治具がモルタル(接着剤)31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0068】
第14図のタイルユニット1Bの連結シート20Bにあっては、目地部31に臨み且つ該目地部31の延在方向に延在する直線状の切れ目22Bと、目地部32に臨み且つ該目地部32の延在方向に延在する直線状の切れ目22Cとが、十字状に直交するように設けられている。
【0069】
これら切れ目22B,22Cにより、4個の三角形状の舌片部23A〜23Dが形成されている。即ち、切れ目22Bと切れ目22Cとの交点と、切れ目22Cの上端と、切れ目22Bの右端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第1の舌片部23Aとなっている。同様に、該交点と、切れ目22Bの右端と、切れ目22Cの下端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第2の舌片部23Bとなっている。該交点と、切れ目22Cの下端と、切れ目22Bの左端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第3の舌片部23Cとなっている。該交点と、切れ目22Bの左端と、切れ目22Cの上端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第4の舌片部23Dとなっている。
【0070】
このように構成されたタイルユニット1Bにあっては、連結シート20Bが切れ目22B及び切れ目22Cに沿って屈曲し易い。これにより、該連結シート20Bは、タイル10の裏足の底面のみならず、勾配面にも良好に密着する。
【0071】
また、このタイルユニット1Bを用いて第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Bを工具で打撃するときに、切れ目22Bの左右両端及び切れ目22Cの上下両端を結ぶ方形の孔40から、舌片部23A〜23Dを押し退けて接着剤31が流出しようとする。しかし、これら舌片部23A〜23Dにより、接着剤31がタイルユニット1Bの表面方向に勢い良く飛び出ることが抑制される。これにより、タイルユニット1Bの表面や治具が接着剤31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0072】
第15図のタイルユニット1Cにおいては、連結シート20Cの中央に略U字形(コ字形を時計回りに90°回転させた形状。但し、この回転角度に特段の限定はない。)の切れ目22Dが設けられている。該切れ目22Dは目地部31,32の交叉部に臨んでいる。連結シート20Cのうちこの切れ目22Dで囲まれた部分が舌片部23Eとなっている。
【0073】
このように構成されたタイルユニット1Cにあっては、連結シート20Cが切れ目22Dを構成する3本の線分に沿って屈曲し易い。これにより、該連結シート20Cは、タイル10の裏足の底面のみならず、勾配面にも良好に密着する。
【0074】
また、このタイルユニット1Cを第12図のように壁面30に貼り付ける際にあっても、該切れ目22Dで囲まれた孔40Aからモルタル(接着剤)31が勢い良く飛び出ることが、この舌片部23Eによって防止され、その結果、タイルユニット1Cの表面や工具を汚すことが防止ないし抑制される。
【0075】
第16図のタイルユニット1Dにおいては、連結シート20Dの中央に略C字形の切れ目22Eが設けられている。該切れ目22Eは目地部31,32の交叉部に臨んでいる。連結シート20Dのうちこの切れ目22Eで囲まれた部分が舌片部23Fとなっている。
【0076】
このように構成されたタイルユニット1Dを第12図のように壁面に貼り付ける際にあっても、この舌片部23Fにより、該切れ目22Eで囲まれた孔40Bからモルタル(接着剤)31が勢い良く飛び出てタイルユニット1Dの表面や工具を汚すことが防止ないし抑制される。
また、切れ目22Eの部分で変形し易いので、タイル10の裏足の底面及び勾配面に良好に密着する。
【0077】
第17図のタイルユニット1Eの連結シート20Eは、孔21Fの寸法を第1の実施の形態の連結シート20の孔21よりも小さくしたものである。この孔21Fの直径は目地部31,32の幅よりも小さくなっており、孔21Fの全体が目地部31,32に臨んでいる。この孔21Fは連結シート20の孔21よりも小さい。そのため、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Eを工具で打撃するときに、孔21Fから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが孔21の場合よりも弱くなる。これにより、タイルユニット1Eの表面や治具がモルタル(接着剤)31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0078】
図示は省略するが、孔21F及び4本の切れ目22により、4個の略台形の舌片部が形成されている。即ち、孔21Fの周縁部、上側の切れ目22及び右側の切れ目22によって囲まれた部分が第1舌片部となっており、孔21Fの周縁部、右側の切れ目22及び下側の切れ目22によって囲まれた部分が第2舌片部となっており、孔21Fの周縁部、下側の切れ目22及び左側の切れ目22によって囲まれた部分が第3舌片部となっており、孔21Fの周縁部、左側の切れ目22及び上側の切れ目22によって囲まれた部分が第4舌片部となっている。このため、第17図の連結シート20Eは、4本の切れ目22の外側の端部同士を結ぶ四角形の孔を設けた場合と比べて、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Eを工具で打撃するときに、孔21Fから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが弱くなる。また、第12図の連結シート20Eは、かかる四角形の孔を設けた場合と同程度に屈曲して、勾配面に良好に密着する。なお、第1の実施の形態の連結シート20にあっても、孔21及び4本の切れ目22により、4個の舌片部が形成されている。
【0079】
第18図のタイルユニット1Fの連結シート20Fは、第14図の連結シート20Bにおいて、切れ目22B,22Cの両端にストップホール24A〜24Dを設けたものである。このようにストップポール24A〜24Dを設けたことにより、連結シート20Fが切れ目22B,22Cに沿って破断することが防止される。
【0080】
第19図のタイルユニット1Gの連結シート20Gは、第15図の連結シート20Cにおいて、略U字状の切れ目22Dを構成する3線分の途中箇所(中点)から該U字の外側に向う切れ目22Fを設けたものである。このように切れ目22Fを設けたことにより、連結シート20Gが切れ目22Fに沿って屈曲し易くなる。
【0081】
第20図のタイルユニット1Hの連結シート20Hは、第16図の連結シート20Dにおいて、略C字状の切れ目22Eの延在方向における途中箇所から該C字の外側に向う3本の切れ目22Gを設けたものである。このように切れ目22Gを設けたことにより、連結シート20Hが切れ目22Gに沿って屈曲し易くなる。
【0082】
なお、上記の実施の形態では、舌片部の形状は、略台形、三角形、略U字形(略コ字形)及び略C字形であったが、これらの形状に限定されるものではなく、5角形以上の多角形、楕円形等の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1A〜1H タイルユニット
10 タイル
11,12,13,14 裏足
11b、11c、12b、13b、14b、14c 勾配面
15 凹溝
20,20A〜20H 連結シート
21,21E 孔
22,22a,22B〜22G 切れ目
24 連結シート(小)
31,32 目地部
40,40A、40B 孔
23A〜23F 舌片部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のタイルを連結シートで連結してなるタイルユニットに係り、特に、タイルの裏面に連結シートが付着されているタイルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
タイルの裏面に、隣接するタイルに架け渡すように紙(台紙)を接着剤で接着することにより、複数枚のタイルを連結してなるタイルユニットは、1回のタイル貼り操作で、複数枚のタイルを施工することができ、施工作業の軽減、工期の短縮に有効であることから、従来、内外装用タイルの施工に広く用いられている。
【0003】
このようなタイルユニットは、連結するタイルを、裏面を上にして型枠などに入れて整列させ、接着剤を塗布した紙をタイル裏面に圧着することにより製造されている。
【0004】
なお、連結に用いる紙の材質は、JIS 5209に定められており、伸縮性のないものである。
【0005】
ところで、タイルは一般に成形用坏土を成形金型に充填して加圧成形する乾式成形により製造されるが、この乾式成形時においては、次のような問題がある。
【0006】
即ち、成形金型の内周縁部においては、金型の間隙からの坏土のもれや金型の変形などにより、成形圧力が低くなるため、得られる成形体の外周縁部は、密度が低いものとなる。
【0007】
そこで、成形体の外周縁部にも十分な成形圧力が加わるように、予め、上下金型に「しめ勾配」と称される傾斜を設けている。このため、タイルの表裏両面には、側周縁部に向けて表面又は裏面から後退するような傾斜面よりなるしめ勾配が形成される。
【0008】
従来、タイル裏面のしめ勾配は3.8〜9.1°程度であり、しめ勾配部分の幅は3〜10mm程度である。
【0009】
裏面にしめ勾配が形成されたタイルを用いて製造したタイルユニットにあっては、タイルの連結に用いられる紙は伸縮性のないものであることから、しめ勾配の部分でタイル裏面に対して紙が浮き上がったような状態になり、タイル裏面と紙との接着が不十分となるおそれがある。
【0010】
特開平8−109730号公報には、しめ勾配を1〜4°とすることにより、紙とタイル裏面との接着性を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−109730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、タイル裏面の周縁における勾配を1〜4°のように小さくするまでもなく、連結シートの勾配面への密着性が良好なタイルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(請求項1)のタイルユニットは、複数個のタイルを、タイルの裏面に接続された連結シートで連結してなるタイルユニットであって、該タイルの裏面の辺縁に勾配面が設けられているタイルユニットにおいて、該連結シートに、該連結シートの該勾配面への密着性を高めるための切れ目が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2のタイルユニットは、請求項1において、複数の方向に切れ目が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項3のタイルユニットは、請求項1又は2において、該連結シートに孔が形成されており、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいることを特徴とする。
【0016】
請求項4のタイルユニットは、請求項3において、該切れ目の少なくとも一部が、該孔に連なっていることを特徴とする。
【0017】
請求項5のタイルユニットは、請求項1ないし4のいずれか1項において、該切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいることを特徴とする。
【0018】
請求項6のタイルユニットは、請求項5において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のタイルユニットにあっては、連結シートに切れ目が形成されている。これにより、連結シートがタイルの裏面辺縁の勾配面に沿って変形し易くなり、該連結シートと勾配面との密着性が向上する。また、モルタル(接着剤)を塗布した壁面に対してこのタイルユニットの裏面を圧着するときに、モルタル(接着剤)や該壁面とタイルユニットの裏面との間に巻き込まれた空気が、該切れ目を通過する。これにより、タイルユニットがモルタル(接着剤)にしっかりと食い込み、タイルユニットが壁面に強固に貼着される。
【0020】
この切れ目は複数の方向に設けられているのが好ましい。これにより、連結シートが複数の方向に変形し易くなるため、該連結シートと勾配面との密着性がより向上する。また、タイルユニットが壁面により強固に貼着される。
【0021】
この連結シートには、さらに孔が形成され、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいてもよい。この場合、上記のモルタル(接着剤)や空気が、切れ目と共に目地部に臨んだ孔からも通過する。これにより、タイルユニットがモルタル(接着剤)に十分に食い込み、タイルユニットが壁面により強固に貼着される。
【0022】
本発明において、切れ目の少なくとも一部が、この孔に連なっていてもよい。これにより、連結シートがこの孔に連なっている切れ目の近傍においてより変形し易くなり、連結シートと勾配面との密着性がより向上する。
【0023】
本発明において、この切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいてもよい。この場合、モルタル(接着剤)を塗布した壁面に対してこのタイルユニットの裏面を圧着するときに、この略コ字形又は略C字形の切れ目によって形成された略コ字形孔又は略C字形孔から飛び出てきたモルタル(接着剤)が該舌片部の裏面に当る。これにより、モルタル(接着剤)が勢い良く飛び出して該タイルユニットの表面を汚すことが抑制される。
【0024】
本発明において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていてもよい。これにより、この略コ字形又は略C字形の切れ目に連なる切れ目の近傍において、連結シートがより変形し易くなり、連結シートと勾配面との密着性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図2】第1図のタイルの裏面の斜視図である。
【図3】第2図のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】第2図のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】第2図のV−V線に沿う断面図である。
【図6】第1図の部分拡大図である。
【図7】第6図における連結シート20の接合前の状態を示す斜視図である。
【図8】第6図のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】第6図のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】第6図のX−X線に沿う断面図である。
【図11】第6図のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】第1図のタイルユニット1を壁面30に貼着してなるタイル施工壁面を示す縦断面図である。
【図13】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図14】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図15】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図16】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図17】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図18】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図19】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【図20】異なる実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。第1図は実施の形態に係るタイルユニットの裏面の平面図、第2図は第1図のタイルの裏面の斜視図、第3図は第2図のIII−III線に沿う断面図、第4図は第2図のIV−IV線に沿う断面図、第5図は第2図のV−V線に沿う断面図、第6図は第1図の部分拡大図、第7図は第6図における連結シート20の接合前の状態を示す斜視図、第8図は第6図のVIII−VIII線に沿う断面図、第9図は第6図のIX−IX線に沿う断面図、第10図は第6図のX−X線に沿う断面図、第11図は第6図のXI−XI線に沿う断面図である。
【0027】
第1図の通り、このタイルユニット1は、複数個のタイル10を、タイル10の裏面に接続された連結シート20で連結してなるものである。このタイルユニット1にあっては、目地間隔をおいて横方向に3枚のタイル10を配列してなる横列が、目地間隔をおいて縦方向に6列に配列されている。これにより、タイルユニット1の第1図における横方向に延在する5条の目地部31が形成されていると共に、縦方向に延在する2条の目地部32が形成されている。
【0028】
<タイル10の説明>
まず、第1〜5図を用いてタイル10について説明する。各タイル10は長方形状を有しており、タイル10の裏面に4本の裏足11〜14が設けられている。裏足11〜14の各々は、タイル10の一方の短辺(第1図の左辺)から他方の短辺(第1図の右辺)にわたってタイル長辺方向に延在している。裏足11はタイル10の一方の長辺(第1図の上辺)に沿って延在し、裏足14は他方の長辺(第1図の下辺)に沿って延在し、裏足12,13はこれら裏足11,14の間に等間隔をおいて延在している。隣り合う裏足11,12、裏足12,13及び裏足13,14の間が、凹溝15となっている。これらの凹溝15は、タイル10の一方の短辺から他方の短辺にわたって延在している。
【0029】
以下に詳細に説明するが、第2図に示す通り、該タイル10の裏面の4つの辺縁に勾配面が形成されている。即ち、該タイル10の裏面の4つの辺縁のうち、1対の長辺縁(第1,2図の上辺縁及び下辺縁)にはそれぞれ勾配面11c、14cが設けられており、一方の短辺縁(第1,2図の左短辺縁)には勾配面11b、12b、13b、14bが設けられており、他方の辺縁(第1図の右短辺縁)にも勾配面11b、12b、13b、14bが設けられている。
【0030】
裏足11は、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足11の先端側の3つの辺縁に勾配面11b、11b、11cが設けられている。即ち、該裏足11の底面11aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面11bが設けられている。同様に、該裏足11の底面11aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面11bが設けられている。該裏足11の1対の長辺のうちタイル外側に位置する長辺(第2図の上側の長辺)からタイル10の木端面(第2図の上側の木端面)にわたって勾配面11cが設けられている。第3図に示す通り、該裏足11のうち他方の長辺(第2図の下側の長辺)に連なる側面11dには勾配面が設けられておらず、該側面11dはタイル裏面から該裏足11の底面11aにわたって垂直に起立している。
【0031】
裏足12も、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足12の両短辺縁に勾配面12bが設けられている。即ち、該裏足12の底面12aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面12bが設けられている。同様に、該裏足12の底面12aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面12bが設けられている。第3図に示す通り、該裏足12の1対の長側面12cには勾配面が設けられておらず、該長側面12cはタイル裏面から該裏足12の底面12aにわたって垂直に起立している。
【0032】
裏足13は裏足12と同一形状となっている。具体的には、裏足13も、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足13の両短辺縁に勾配面13bが設けられている。即ち、該裏足13の底面13aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面13bが設けられている。同様に、該裏足13の底面13aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面13bが設けられている。第3図に示す通り、該裏足13の1対の長側面13cには勾配面が設けられておらず、該側面13cはタイル裏面から該裏足13の底面13aにわたって垂直に起立している。
【0033】
裏足14は、裏足11を第2図において上下反転させた形状となっている。具体的には、裏足14は、タイル10の裏面から起立した略直方体形状となっているが、該裏足14の先端側の3つの辺縁に勾配面14b、14b、14cが設けられている。即ち、該裏足14の底面14aの一方の短辺(第2図の左側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の左側の木端面)にわたって勾配面14bが設けられている。同様に、該裏足14の底面14aの他方の短辺(第2図の右側の短辺)からタイル10の木端面(第2図の右側の木端面)にわたって勾配面14bが設けられている。該裏足14の1対の長辺のうちタイル外側に位置する長辺(第2図の下側の長辺)からタイル10の木端面(第2図の下側の木端面)にわたって勾配面14cが設けられている。第3図に示す通り、該裏足14のうち他方の長辺(第2図の上側の長辺)に連なる側面14dには勾配面が設けられておらず、該側面14dはタイル裏面から該裏足14の底面14aにわたって垂直に起立している。
【0034】
なお、該タイル10の裏面の一方の短辺縁(第1,2図の左短辺縁)に設けられた勾配面11b、12b、13b、14bは、同一平面上に位置している。該タイル10の裏面の他方の辺縁(第1,2図の右短辺縁)に設けられた勾配面11b、12b、13b、14bも、同一平面上に位置している。
【0035】
このタイル10の寸法に特に限定はないが、例えば、代表的な外装モザイクタイル50mm二丁では、第1図における縦方向長さは45mm、横方向長さは95mm、厚さは4〜10mm特に7〜9mm程度である。
【0036】
また、裏足11〜14の幅(タイル10の短辺方向の長さ)は、例えば4〜10mm特に5〜7mmである。勾配面11bの幅、即ち、底面11aとの交叉部から木端面との交叉部までの距離は、例えば2〜4mm特に2.5〜3.5mmである。勾配面11c、12b、13b、14b、14cの幅も、勾配面11bの幅と同程度である。
【0037】
底面11aと勾配面11b,11cとのなす角度、底面12aと勾配面12bとのなす角度、底面13aと勾配面13bとのなす角度及び底面14aと勾配面14b,14cとのなす角度は、例えば5〜15°特に7〜14°である。
【0038】
第3図の通り、本実施の形態では、凹溝15はその延在方向(第1図の左右方向)と垂直な断面の形状が長方形となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、凹溝15は深さ方向に向って幅(第3図の左右方向長さ)が大きくなる、垂直断面の形状がアリ形のものであってもよい。即ち、側面11d、12c、13c、14dはタイル裏面から垂直に起立しているが、これに限定されるものではなく、例えば、これら側面11d、12c、13c、14dの少なくとも一面と底面11a、12a、13a、14aとのなす角度が鋭角であってもよい。
【0039】
<連結シート20の説明>
このように構成されたタイル10は、第1図のように横3列、縦6列に配列され、裏面が連結シート20及び連結シート(小)24で連結されている。
【0040】
第6,7図の通り、この連結シート20は方形であり、その中央に円形の孔21が設けられている。また、該連結シート20には複数本(本実施の形態では4本)の切れ目22が設けられており、各切れ目22は孔21に連なっている。別言すると、該孔21の周縁の4箇所から該孔21の外側に向って、4本の切れ目22が延設されている。これら4本の切れ目のうち、2本は該連結シート20の一辺と平行方向に延在しており、他の2本は該一辺と直角方向に延在している。
【0041】
この連結シート20の寸法には特に限定はないが、例えば、縦方向及び横方向の長さが10〜30mm特に15〜20mm程度であり、厚さが0.1〜1.0mm特に0.1〜0.3mm程度である。孔21の直径は、例えば5〜10mm特に8〜10mm程度である。切り目22の寸法は、例えば、長さ2〜7mm特に2〜3mm程度、幅0〜0.1mm例えば0.01〜0.1mm程度である。
【0042】
この連結シート20としては、合成樹脂、布、紙等よりなる基材の表面に接着剤層を形成したものが好適に用いられる。
【0043】
<連結シート20と4枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図において、タイルユニット1における中央の10枚の連結シート20は、4枚のタイル10の裏面同士を連結しており、外側の目地部31を跨ぐ10枚の連結シート20は、2枚のタイル10の裏面同士を連結している。外側の目地部32を跨ぐ4枚の連結シート(小)24は、2枚のタイル10の裏面同士を連結している。
【0044】
第6図は、4枚のタイル10の裏面同士が連結シート20で連結された箇所を示しており、第7図は第6図の連結シート20によって4枚のタイル10が連結される前の状態を示している。
【0045】
第6図の通り、連結シート20は、一辺がタイル10の一辺と平行になるようにして、かつ4枚のタイル10を跨ぐようにして、4枚のタイル10の裏面に接合されている。孔21は、目地部31と目地部32との交叉部に臨んでいる。この孔21の第6図における縦方向長さ及び横方向長さ(即ち直径)は、目地部31の幅及び目地部32の幅よりも大きくなっており、4枚のタイル20の角部の一部が該孔21から露出している。2本の切れ目22は、それらの延在方向が目地部31の延在方向と平行になるようにして、目地部31に臨んでいる。残り2本の切れ目22は、それらの延在方向が目地部32の延在方向と平行になるようにして、目地部32に臨んでいる。なお、これら目地部31,32の幅は、例えば2〜10mm特に4〜6mmである。
【0046】
第6,8,9図に示す通り、連結シート20の図における上側は、上側のタイル10の裏足14に接合されている。また、連結シート20の図における下側は、下側のタイル10の裏足11に接合されている。第8,9図の通り、この連結シート20の上側は、裏足14の底面14aに接合されていると共に、勾配面14cにも接合されている。また、この連結シート20の下側は、裏足11の底面11aに接合されていると共に、勾配面11cにも接合されている。
【0047】
また、第6,10,11図に示す通り、連結シート20は、第6図の上側のタイル10における裏足14の勾配面14bにも接合されている。図示は省略するが、連結シート20は、第6図の下側のタイル10における裏足11の勾配面11bにも接合されている。
【0048】
このように、連結シート20は、タイルの裏足11,14の底面11a、14aのみならず、勾配面11b、11c、14b、14cにも接合されているので、連結シート20とタイル10との接続が強固なものとなる。
【0049】
なお、第8,10図に示す通り、連結シート20は、切れ目22を折れ目として屈曲し易い構造となっている。これにより、連結シート20が勾配面11b、11c、14b、14cに対して良好に接合されることになる。
【0050】
<連結シート20と上下2枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図のタイルユニット1における左端の5枚の連結シート20及び右端の5枚の連結シート20は、上下方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。第8,9図の場合と同様に、これら連結シート20は、上側のタイル10における裏足14の底面14aのみならず、勾配面14cにも接合している。同様に、この連結シート20は、下側のタイル10における裏足11の底面11aのみならず、勾配面11cにも接合している。
【0051】
<連結シート(小)24と左右2枚のタイル10との接合箇所の説明>
第1図のタイルユニット1における上端の2枚の連結シート(小)24は、左右方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。図示は省略するが、連結シート(小)24は裏足12の底面12a及び勾配面12bに接合されている。
【0052】
また、第1図のタイルユニット1における下端の2枚の連結シート(小)24は、左右方向に隣り合う2枚のタイル10の裏面同士を連結している。図示は省略するが、連結シート(小)24は裏足13の底面13a及び勾配面13bに接合されている。
【0053】
本実施の形態では、連結シート(小)24は第1図の左右方向に細長い長方形であり、その短辺は裏足12,13の幅(第1図の上下方向長さ)と同一であるか又は該幅よりも小さいものとなっている。
【0054】
<タイルユニット1の壁面への貼着の一例>
第12図は、上記の通り構成されたタイルユニット1を壁面30に貼着してなるタイル施工壁面を示す縦断面図である。このタイル施工壁面は、壁面30の表面に対して、モルタル(接着剤)31を介してタイルユニット1の裏面が貼着された構造となっている。
【0055】
かかるタイル施工壁面を施工する場合には、例えば、先ず壁面30にモルタル(接着剤)31を塗布し、その上にタイルユニット1の裏面を当接した後、たたき板(板にゴムを貼ったもの)等の工具を用いてタイルユニット1の表面を打撃して、タイルユニット1の裏面をモルタル(接着剤)31に密着させる。
【0056】
このように打撃する際に、モルタル(接着剤)31が孔21及び切れ目22から連結シート20の表面に流出する。これにより、タイルユニット1がモルタル(接着剤)31内により押し込められ、タイルユニット1が壁面30に対して強固に貼着されることになる。
【0057】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0058】
例えば、タイル10の裏足11〜14の数は4本であったが、3本以下又は5本以上であってもよい。タイル10の裏面の4辺縁に勾配面が設けられているが、勾配面は1〜3辺縁に設けられていてもよい。
【0059】
第8,9図の通り、連結シート20は、上側のタイル10の底面14aと側面14dとの交叉部から、その下側のタイル10の底面11aと側面11dとの交叉部にまで延在しているが、それよりも短くしても良い。また、第8,9図において、連結シート20は勾配面14cの幅全体にわたって(即ち、勾配面14cと底面14aとの交叉部から勾配面14cとタイル10の木端面との交叉部にわたって)接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。勾配面11cについても同様に、連結シート20は勾配面11cの幅全体にわたって接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。第10,11図でも同様に、連結シート20は勾配面14bの幅全体にわたって接合されているが、該幅の一部に接合されていてもよい。
【0060】
連結シート20は略正方形であるが、長方形、その他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。また、連結シートの第1図における横方向の長さを大きくし、1枚の連結シートで横方向に配列された3個以上(上下合わせると6個以上)のタイル10を接合するようにしてもよい。また、連結シートの第1図における縦方向の長さを大きくし、1枚の連結シートで縦方向に配列された3個以上(上下合わせると6個以上)のタイル10を接合するようにしてもよい。
【0061】
タイルユニット1は目地部31,32を有しているが、目地部31,32を設けず、隣り合うタイル10の木端面同士を突き合わせるようにして配列してもよい。さらに、目地部31,32は直線状(通し目地)であるが、これに限定されるものではなく、例えば馬踏み目地であってもよい。
【0062】
タイルユニット1においては、タイル10は縦6列、横3列に配列されているが、これに限定されるものではなく、2個以上のタイル10で構成される限り、縦に1〜5列又は7列以上、横に1,2列又は4列以上に配列されていてもよい。
【0063】
第1図の外側の10枚の連結シート20及び4枚の連結シート(小)24の少なくとも一部は省略されてもよい。例えば、外側の10枚の連結シート20の総てが省略されてもよく、及び/又は、外側の4枚の連結シート(小)24の総てが省略されてもよい。
【0064】
以下に、その他の実施の形態について説明する。
【0065】
<その他の実施の形態>
第13図〜第20図は、第1の実施の形態において、連結シート20を異なる連結シート20A〜20Hに代えてなるタイルユニット1A〜1Hの部分的な裏面平面図である。なお、各連結シート20A〜20Hの方形の寸法は連結シート20の方形の寸法と同一となっているが、異ならせてもよい。
【0066】
第13図のタイルユニット1Aの連結シート20Aには、同一直線上に間隔をおいて延在する複数の切れ目22aよりなる切れ目列22Aが、平行方向に間隔をおいて複数列(第13図では6列)に配列されている。なお、連結シート20Aの左下には、1本の切れ目22aが設けられている。各切れ目22aは互いに平行方向を指向しており、連結シート20Aの一辺に対して斜め方向(第13図では連結シート20Aの上辺に対して時計回りに45°の方向)を指向している。これら複数の切れ目22aの少なくとも一部は、目地部31,32に臨んでいる。
【0067】
このように構成されたタイルユニット20Aにあっても、切れ目22aの部分で変形し易いので、タイル10の裏足の底面及び勾配面に良好に密着する。また、この切れ目22aは第1の実施の形態の連結シート20の孔21よりも小さい。そのため、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Aを工具で打撃するときに、切れ目22aから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが弱くなる。これにより、タイルユニット1Aの表面や治具がモルタル(接着剤)31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0068】
第14図のタイルユニット1Bの連結シート20Bにあっては、目地部31に臨み且つ該目地部31の延在方向に延在する直線状の切れ目22Bと、目地部32に臨み且つ該目地部32の延在方向に延在する直線状の切れ目22Cとが、十字状に直交するように設けられている。
【0069】
これら切れ目22B,22Cにより、4個の三角形状の舌片部23A〜23Dが形成されている。即ち、切れ目22Bと切れ目22Cとの交点と、切れ目22Cの上端と、切れ目22Bの右端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第1の舌片部23Aとなっている。同様に、該交点と、切れ目22Bの右端と、切れ目22Cの下端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第2の舌片部23Bとなっている。該交点と、切れ目22Cの下端と、切れ目22Bの左端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第3の舌片部23Cとなっている。該交点と、切れ目22Bの左端と、切れ目22Cの上端とを結ぶ三角形で囲まれた連結シート部分が、第4の舌片部23Dとなっている。
【0070】
このように構成されたタイルユニット1Bにあっては、連結シート20Bが切れ目22B及び切れ目22Cに沿って屈曲し易い。これにより、該連結シート20Bは、タイル10の裏足の底面のみならず、勾配面にも良好に密着する。
【0071】
また、このタイルユニット1Bを用いて第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Bを工具で打撃するときに、切れ目22Bの左右両端及び切れ目22Cの上下両端を結ぶ方形の孔40から、舌片部23A〜23Dを押し退けて接着剤31が流出しようとする。しかし、これら舌片部23A〜23Dにより、接着剤31がタイルユニット1Bの表面方向に勢い良く飛び出ることが抑制される。これにより、タイルユニット1Bの表面や治具が接着剤31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0072】
第15図のタイルユニット1Cにおいては、連結シート20Cの中央に略U字形(コ字形を時計回りに90°回転させた形状。但し、この回転角度に特段の限定はない。)の切れ目22Dが設けられている。該切れ目22Dは目地部31,32の交叉部に臨んでいる。連結シート20Cのうちこの切れ目22Dで囲まれた部分が舌片部23Eとなっている。
【0073】
このように構成されたタイルユニット1Cにあっては、連結シート20Cが切れ目22Dを構成する3本の線分に沿って屈曲し易い。これにより、該連結シート20Cは、タイル10の裏足の底面のみならず、勾配面にも良好に密着する。
【0074】
また、このタイルユニット1Cを第12図のように壁面30に貼り付ける際にあっても、該切れ目22Dで囲まれた孔40Aからモルタル(接着剤)31が勢い良く飛び出ることが、この舌片部23Eによって防止され、その結果、タイルユニット1Cの表面や工具を汚すことが防止ないし抑制される。
【0075】
第16図のタイルユニット1Dにおいては、連結シート20Dの中央に略C字形の切れ目22Eが設けられている。該切れ目22Eは目地部31,32の交叉部に臨んでいる。連結シート20Dのうちこの切れ目22Eで囲まれた部分が舌片部23Fとなっている。
【0076】
このように構成されたタイルユニット1Dを第12図のように壁面に貼り付ける際にあっても、この舌片部23Fにより、該切れ目22Eで囲まれた孔40Bからモルタル(接着剤)31が勢い良く飛び出てタイルユニット1Dの表面や工具を汚すことが防止ないし抑制される。
また、切れ目22Eの部分で変形し易いので、タイル10の裏足の底面及び勾配面に良好に密着する。
【0077】
第17図のタイルユニット1Eの連結シート20Eは、孔21Fの寸法を第1の実施の形態の連結シート20の孔21よりも小さくしたものである。この孔21Fの直径は目地部31,32の幅よりも小さくなっており、孔21Fの全体が目地部31,32に臨んでいる。この孔21Fは連結シート20の孔21よりも小さい。そのため、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Eを工具で打撃するときに、孔21Fから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが孔21の場合よりも弱くなる。これにより、タイルユニット1Eの表面や治具がモルタル(接着剤)31で汚れることが防止ないし抑制される。
【0078】
図示は省略するが、孔21F及び4本の切れ目22により、4個の略台形の舌片部が形成されている。即ち、孔21Fの周縁部、上側の切れ目22及び右側の切れ目22によって囲まれた部分が第1舌片部となっており、孔21Fの周縁部、右側の切れ目22及び下側の切れ目22によって囲まれた部分が第2舌片部となっており、孔21Fの周縁部、下側の切れ目22及び左側の切れ目22によって囲まれた部分が第3舌片部となっており、孔21Fの周縁部、左側の切れ目22及び上側の切れ目22によって囲まれた部分が第4舌片部となっている。このため、第17図の連結シート20Eは、4本の切れ目22の外側の端部同士を結ぶ四角形の孔を設けた場合と比べて、第12図のようなタイル施工壁面を施工するためにタイルユニット1Eを工具で打撃するときに、孔21Fから流出するモルタル(接着剤)31の勢いが弱くなる。また、第12図の連結シート20Eは、かかる四角形の孔を設けた場合と同程度に屈曲して、勾配面に良好に密着する。なお、第1の実施の形態の連結シート20にあっても、孔21及び4本の切れ目22により、4個の舌片部が形成されている。
【0079】
第18図のタイルユニット1Fの連結シート20Fは、第14図の連結シート20Bにおいて、切れ目22B,22Cの両端にストップホール24A〜24Dを設けたものである。このようにストップポール24A〜24Dを設けたことにより、連結シート20Fが切れ目22B,22Cに沿って破断することが防止される。
【0080】
第19図のタイルユニット1Gの連結シート20Gは、第15図の連結シート20Cにおいて、略U字状の切れ目22Dを構成する3線分の途中箇所(中点)から該U字の外側に向う切れ目22Fを設けたものである。このように切れ目22Fを設けたことにより、連結シート20Gが切れ目22Fに沿って屈曲し易くなる。
【0081】
第20図のタイルユニット1Hの連結シート20Hは、第16図の連結シート20Dにおいて、略C字状の切れ目22Eの延在方向における途中箇所から該C字の外側に向う3本の切れ目22Gを設けたものである。このように切れ目22Gを設けたことにより、連結シート20Hが切れ目22Gに沿って屈曲し易くなる。
【0082】
なお、上記の実施の形態では、舌片部の形状は、略台形、三角形、略U字形(略コ字形)及び略C字形であったが、これらの形状に限定されるものではなく、5角形以上の多角形、楕円形等の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1A〜1H タイルユニット
10 タイル
11,12,13,14 裏足
11b、11c、12b、13b、14b、14c 勾配面
15 凹溝
20,20A〜20H 連結シート
21,21E 孔
22,22a,22B〜22G 切れ目
24 連結シート(小)
31,32 目地部
40,40A、40B 孔
23A〜23F 舌片部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のタイルを、タイルの裏面に接続された連結シートで連結してなるタイルユニットであって、
該タイルの裏面の辺縁に勾配面が設けられているタイルユニットにおいて、
該連結シートに、該連結シートの該勾配面への密着性を高めるための切れ目が形成されていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、複数の方向に切れ目が設けられていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、該連結シートに孔が形成されており、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいることを特徴とするタイルユニット。
【請求項4】
請求項3において、該切れ目の少なくとも一部が、該孔に連なっていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいることを特徴とするタイルユニット。
【請求項6】
請求項5において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項1】
複数個のタイルを、タイルの裏面に接続された連結シートで連結してなるタイルユニットであって、
該タイルの裏面の辺縁に勾配面が設けられているタイルユニットにおいて、
該連結シートに、該連結シートの該勾配面への密着性を高めるための切れ目が形成されていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、複数の方向に切れ目が設けられていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、該連結シートに孔が形成されており、該孔の少なくとも一部が目地部に臨んでいることを特徴とするタイルユニット。
【請求項4】
請求項3において、該切れ目の少なくとも一部が、該孔に連なっていることを特徴とするタイルユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該切れ目の少なくとも一部は略コ字形又は略C字形の切れ目であり、該略コ字形又は略C字形の切れ目で囲まれた舌片部の少なくとも一部が目地に臨んでいることを特徴とするタイルユニット。
【請求項6】
請求項5において、該舌片部よりも外側に形成された切れ目の少なくとも一部が、該略コ字形又は略C字形の切れ目の延在方向における途中部分に連なっていることを特徴とするタイルユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−216099(P2010−216099A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61399(P2009−61399)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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