説明

タイル接着材

【課題】熱膨張と収縮の繰り返しに対する追従性に優れ、安定的に高い付着強度を有し、かつ施工性の良好なタイル接着材の提供。
【解決手段】(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)軽量骨材を3〜15質量部、(C)普通骨材を20〜60質量部、(D)ポリマー及び(E)セルロース誘導体を有効成分とする保水剤を含有してなるタイル接着材であって、(B)軽量骨材と(C)普通骨材の質量比(C/B)が2.0〜8.0、かつ(B)軽量骨材と(D)ポリマーの質量比(D/B)がポリマーの固形分換算で0.2〜2.0であり、さらに(E)保水剤と(D)ポリマーの質量比(E/D)がポリマーの固形分換算で0.02〜0.12であるタイル接着材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工性、耐久性、強度発現性に優れたタイル接着材。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅の外壁、エントランス部の内壁、床、室内の床等にタイルが施工されることは多く、その場合の張付け材としてはセメントモルタル、エポキシ樹脂などが一般に使用されている。外壁にタイルを張り付ける場合は、セメントモルタルで躯体コンクリート全面を平滑に仕上げる。その結果、タイルを張り付ける下地の吸水量は、施工箇所全面にわたり均一になり、タイル接着材の乾燥収縮は施工箇所全面で均一になる。このようにタイル接着材の施工条件を均一にすることで良好な付着強度が得られる。しかし、施工費用を低廉化するため、躯体コンクリートに直接セメントモルタルで張り付ける直張り工法を採用する事例が増加してきた。直張り工法は、施工管理が難しく、施工面積が大きい現場では、躯体コンクリートとの付着力を施工箇所全体に安定的に出すことが困難である。
【0003】
水溶性高分子エマルジョン、再乳化形粉末樹脂、軽量骨材の普及に伴い、直張り工法にこれらを使用することでヤング率を低減し(特許文献1)、曲げじん性、破断時の伸びを向上することにより温度変化によるタイルの熱膨張と収縮に追従し、安定的な付着力を維持しようとする方策が考案されている。(特許文献2、3)
【特許文献1】特開平10−299220号公報
【特許文献2】特開2004−189569号公報
【特許文献3】特開2006−273597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまで考案された張付け材のように、軽量骨材とポリマーを併用してタイルの熱膨張とし収縮に追従させようとしても、その機能には限界があり、特に熱膨張と収縮を繰り返す外壁タイルとの長期付着性の確保には不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、タイル接着材について種々検討した結果、軽量骨材と普通骨材の配合比、軽量骨材とポリマーの配合比、保水剤とポリマーの配合比をある一定の範囲で調整することによりタイルの熱膨張と収縮に追従し、長期間安定的に高い付着強度を発現し、優れた施工性が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)軽量骨材を3〜15質量部、(C)普通骨材を20〜60質量部、(D)ポリマー及び(E)セルロース誘導体を有効成分とする保水剤を含有してなるタイル接着材であって、(B)軽量骨材と(C)普通骨材の質量比(C/B)が2.0〜8.0で、かつ(B)軽量骨材と(D)ポリマーの質量比(D/B)がポリマーの固形分換算で0.2〜2.0であり、さらに(E)保水剤と(D)ポリマーの質量比(E/D)がポリマーの固形分換算で0.02〜0.12であるタイル接着材を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により熱膨張と収縮を繰り返す変形追従性に優れ、安定的に高い付着強度を発現し、優れた施工性を有するタイル接着材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のタイル用接着材には、硬化成分として(A)水硬性物質を含有する。本発明の水硬性物質としては、市販のポルトランドセメントが使用可能である。例えば、太平洋セメント(株)製普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなどが使用できる。その他、高炉セメント、シリカセメント等の混合セメント、白色セメント、アルミナセメント、ジェットセメント等の特殊セメントも使用可能である。
【0009】
本発明に用いられる(B)軽量骨材としては、有機材質の軽量骨材、特に断熱性及び防変性を付与するうえで、気孔率の高い軽量骨材が好ましい。例えば気孔率40〜90%の軽量骨材が好ましい。具体例としては、エチレン酢酸ビニル共重合体−炭酸カルシウム発泡体、パーライト等の多孔質無機系骨材、発泡ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。このうち、エチレン酢酸ビニル共重合体−炭酸カルシウム発泡体と発泡ポリスチレン系樹脂とパーライトの3種を含有する軽量骨材が特に好ましい。軽量骨材の粒子径は、施工性及び強度の点から0.15〜2.0nmが好ましい。なお、本発明において施工性には、通常の流動性に加えて、ポットライフ(左官工法で塗り付け可能な時間)及びオープンタイム(接着材が接着性を有している時間)が十分であることが含まれる。
【0010】
(B)軽量骨材の配合量は、水硬性物質100質量部に対し3〜15質量部が好ましく、4〜13質量部がより好ましい。(B)軽量骨材は、水硬性物質100質量部に対し3質量部未満では、タイル接着材のヤング率が大きくなり、曲げじん性、変形追従性が低下する。一方、15質量部を超えると施工性が低下するとともに強度も低下する。前記エチレン酢酸ビニル共重合体−炭酸カルシウム発泡体、発泡ポリスチレン系樹脂及びパーライトの混合物を用いた場合には、水硬性物質100質量部に対しエチレン酢酸ビニル共重合体−炭酸カルシウム発泡体0.4〜2.4質量部、パーライト2.4〜10.4質量部、発泡ポリスチレン0.2〜0.8質量部が好ましい。
【0011】
(C)普通骨材としては、珪砂、寒水石、石灰砂、川砂、陸砂、砕砂等が挙げられ、その粒径は0.6〜0.15mmが好ましい。粗粒率は、1.2〜1.8が好ましい。(C)普通骨材の配合量は、水硬性物質100質量部に対し20〜60質量部が好ましく、20質量部未満では、強度が低下し混和した効果がない。60質量部を超えるとタイル接着材のヤング率が大きくなり、曲げじん性、変形追従性が低下する。
【0012】
また、(B)軽量骨材と(C)普通骨材の好ましい配合量は質量比(C/B)で2.0〜8.0である。当該質量比(C/B)が2.0未満では、施工性が低下するとともに強度も低下する。質量比(C/B)が8.0を超えるとタイル接着材のヤング率が大きくなり、曲げじん性、変形追従性が低下する。より好ましい質量比(C/B)は3.0〜6.0である。
【0013】
(D)ポリマーとしては、ポリマーディスパージョン、再乳化形粉末樹脂が使用可能である。ポリマーディスパージョンとしては、JIS A 6203に規定されたものを使用でき、また、再乳化形粉末樹脂としては、同じくJIS A 6203に規定されたものを使用することができる。すなわち、前記ポリマーディスパージョンとしては、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、又はエチレン酢酸ビニルなどを主成分とする樹脂を使用することができる。また、前記再乳化形粉末樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステルなどを主成分とする粉末状の樹脂を使用することができる。また、再乳化形粉末樹脂の製造方法は限定されることなく、粉末化方法やブロッキング防止法などのいずれの製法によって製造してもよい。
【0014】
(D)ポリマーの配合量は、固形分換算で水硬性物質100質量部に対し2.0〜8.0質量部、特に2.5〜7.0質量部が好ましい。2.0質量部未満では、躯体コンクリートとタイルへの付着力が低下し、さらに変形追従性も低下する。8.0質量部を超えるとタイルを張り付ける際、ずれが発生し、施工性が低下する。
【0015】
(B)軽量骨材と(D)ポリマーの配合比を調整することにより変形追従性と躯体コンクリートとタイルへの付着力を向上し、さらに施工性を向上することが可能である。(B)軽量骨材と(D)ポリマーの好ましい配合比は、ポリマーの固形分換算質量比(D/B)で0.2〜2.0である。0.2未満ではポリマーの配合量が少なく躯体コンクリートとタイルへの付着力が低下するとともに変形追従性も低下する。2.0を超えるとポリマーの配合量が適正範囲を超え、施工時にタイルのずれが大きくなり付着力が低下する。当該より好ましい質量比(D/B)は、0.3〜1.2である。
【0016】
(E)保水剤に使用するセルロース誘導体としては、水に溶解するものであればいずれのものでも良く、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸エステル等の水溶性セルロース誘導体が挙げられる。これらの中でもメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースが好ましい。
【0017】
(E)保水剤としてセルロース誘導体とともにスターチ類を併用することが可能である。スターチ類としては、コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチなどが使用可能である。セルロース誘導体とスターチ類の好ましい割合は、セルロース誘導体100質量部に対しスターチ類8.3〜42.5質量部である。8.3質量部未満では、混和した効果がなく、42.5質量部を超えると粘性が増し施工性が低下するとともに凝結時間が長くなる。低温環境では硬化不良の発生する恐れがある。
【0018】
(E)保水剤の配合量は、(A)水硬性物質100質量部に対し0.13〜0.25質量部が好ましい。0.13質量部未満では、施工後のタイル接着材にドライアウトの発生する恐れがあり、0.25質量部を超えると凝結遅延の恐れがある。
【0019】
(E)保水剤と(D)ポリマーをタイル接着材に混和することにより保水性及び躯体コンクリートとタイルへの付着力を向上させることが可能である。しかし、粘性が増すため施工性は低下する。(E)保水剤と(D)ポリマーの配合比を質量比(E/D)でかつポリマーの固形分換算で0.02〜0.12、特に0.03〜0.11に調整することによりタイル接着材のコテ塗り作業性を向上しとタイルのずれを防止することが可能である。0.02未満では保水性が低下し、ドライアウトを起こす恐れがあり、0.12を超えると凝結遅延を起こす恐れがある。
【0020】
本発明にはフライアッシュ、高炉スラグ等のコンクリート用混和材として市販されているポゾラン物質を混和することが可能である。ポゾラン物質の配合量は、水硬性物質100質量部に対し3〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。3質量部未満では混和した効果がなく、20質量部を超えると練混ぜ水量が増し、強度低下と乾燥収縮によるタイルの浮き、剥落が発生する恐れがある。
【0021】
本発明においては、減水剤を使用できる。本発明に使用される減水剤は、増粘剤と併用しても減水効果が失われず、良好な施工性が得られるものであれば使用可能である。例えば、ポリカルボン酸系減水剤、太平洋マテリアル(株)製:商品名「コアフローNF−200」などが挙げられる。減水剤の配合量は、水硬性物質100質量部に対し0.01〜0.15質量部が好ましく、特に0.04〜0.12質量部が好ましい。
【0022】
上記成分の他、本発明のタイル接着材には、ひび割れ防止のため市販の膨張材、収縮低減剤を混和できることは言うまでもない。
【0023】
膨張材の配合量は、水硬性物質100質量部に対し0.5〜2.0質量部が好ましく、より好ましくは0.7〜1.3質量部である。0.5質量部未満では混和した効果がなく、2.0質量部を超えると膨張ひび割れ、寒冷期に遅れ膨張等の発生する恐れがある。
【0024】
収縮低減剤の配合量は、水硬性物質100質量部に対し0.2〜4.5質量部が好ましく、より好ましくは1.0〜4.0質量部である。0.2質量部未満では、混和した効果がなく、4.5質量部を超えると単位容積質量が低下し、適正な強度が得られない。
【0025】
本発明のタイル接着材の製造方法は、特に限定されるものではなく、一般的なセメント系モルタル材やペースト材と概ね同様の方法で製造することができ、例えば市販のモルタルミキサーに配合材料を投入し、適宜混練するだけで容易に得ることができる。また、本発明のタイル接着材の施工は、従来から行われている鏝やローラー等を用いた左官工法で、例えば床面や壁面の何れにも施工することができる。本発明のタイル接着材施工後にタイルを貼り付けることにより、躯体コンクリートへのタイルを貼りができる。
【実施例】
【0026】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
表1及び2に本発明のタイル接着材の配合例を示した。使用材料は次の通りである。
<使用材料>
A 普通セメント 太平洋セメント(株)製商品名 普通ポルトランドセメント
B1 膨張材 太平洋マテリアル(株)製商品名 太平洋エクスパン構造用
B2 フライアッシュ 常磐火力産業(株)製 JISA6201規定のフライアッシュII種相当品
C1 珪砂5号 朝日珪砂鉱業(株)製 JIS5号珪砂
C2 珪石粉 粉末度ブレーン比表面積2000g/cm2
D 発泡スチロール 最大粒径2mm 平均粒径 0.8mm 嵩比重 0.023kg/L
E1 黒曜石発泡体 太平洋マテリアル(株) 最大粒径2mm 平均粒径0.8mm 嵩比重 0.23kg/L
E2 真珠岩発泡体 太平洋マテリアル(株) 最大粒径1.2mm 平均粒径0.6mm 嵩比重0.19kg/L
F1 EVA−炭酸カルシウム発泡体1 最大粒径2mm 平均粒径0.8mm 嵩比重0.10kg/L
F2 EVA−炭酸カルシウム発泡体2 最大粒径1mm 平均粒径0.6mm 嵩比重0.11kg/L
G1 有機繊維 繊維長6mmビニロン繊維
G2 有機繊維 綿状エステル繊維
H1 保水剤 BASFコンストラクションシステムズ(株) チローゼMH6002P4
H2 コーンスターチ アベベ社製商品名 FIX-1
P1 減水剤 太平洋マテリアル(株)製商品名 コアフローNF-200
P2 収縮低減剤 太平洋マテリアル(株)製商品名 テトラガードPW
Q1 アクリルエマルジョン ニチゴー・モビニール(株)製商品名 モビニール7700
Q2 EVA系粉末樹脂 旭化成ケミカルズ(株)製商品名 ビナパス7055N
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
[コンシステンシーの評価]
タイル接着材について、JISR5201に準拠した方法で、20℃の実験室で練り上がった直後のモルタルのフロー値を測定し、タイル施工に適ったコンシステンシーが得られているかの評価指標とした。尚、コンシステンシーはフロー値が慨ね160〜180mmであればタイル工事に適うと判断される。その結果を表3及び4に示す。
【0031】
[単位容積質量の測定]
作製したタイル接着材をJISA1171により500mLステンレス製容器で単位容積質量を測定した。その結果を表3及び4に示す。
【0032】
[曲げ強度の評価]
公共建築協会規格に従い、温度20℃湿度60%の実験室で作製した強度試験測定用の4×4×16cmの供試体を用い、JISR5201に従い、曲げ強度を測定した。尚、供試体は、温度20℃湿度80%に保った養生槽で24時問湿空養生を行った後、所定材齢まで温度20℃湿度60%の試験室で養生を行った。曲げ強度試験は、材齢7日で実施した。試験結果を表3及び4に示す。
【0033】
[圧縮強度の評価]
材齢7日の曲げ強度試験終了後の供試体を用い、圧縮強度を測定した。試験結果を表3及び4に示す。
【0034】
[標準養生での付着強度の評価]
タイル業協会規格に従い、温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を4mm厚さで塗り付け、45×45mmタイルを張り付けた。所定材齢まで温度20℃、湿度60%の実験室で養生し、材齢7日及び材齢14日で付着強度を測定した。試験結果を表3及び4に示す。
【0035】
[熱劣化による付着強度の評価]
タイル業協会規格に従い、温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を4mm厚さで塗り付け、45×45mmタイルを張り付けた。材齢14日まで温度20℃、湿度60%の実験室で養生を行い、70℃の乾燥機に7日間入れ付着強度を測定した。試験結果を表3及び4に示す。
【0036】
[熱冷繰り返しによる付着強度の評価]
日本建築仕上学会規格M−101セメントモルタル塗り用吸水調整材の試験方法により温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を4mm厚さで塗り付け、45×45mmタイルを張り付けた。材齢10日でシリコンシーリング材でタイル張付け面以外の5面をシールし、材齢14日で試験を開始した。試験は、300サイクル実施し、付着強度を実施した。試験結果を表3及び4に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
[施工性]
タイル接着材のコテ作業性とタイル張付け性能を確認するため、600×1500×90mmのコンクリート板を垂直に立てタイル接着材を4mm厚さで400×1000mm金ゴテで塗り付け45二丁掛けタイルを3枚張り付け、直ちにタイルを剥がし次の項目について評価した。
<コテ作業性の評価方法>
コテ伸びは、垂直に立てた600×1500×90mmのコンクリート板に塗り付け金ゴテで押し広げ、4mm厚さにするために抵抗の小さいもの及び5分未満で押し広げられたものを良好(○)とし、抵抗が大きく5分以上かかったものを不良(×)とした。また、使用した金ゴテにタイル接着材が残らないものを良好(○)とし、金ゴテに残ったものを不良(×)とした。ダレの発生の有無は、塗り付け直後にダレの発生しなかったものを良好(○)とし、ダレの発生したものを不良(×)とした。3項目の中で1項目でも不良(×)があれば評価は不良(×)とした。
<タイル張付け性能及び付着性能の評価方法>
タイルを張り付け10分間経過してもズレが発生しないものを良好(○)とし、張り付け直後にズレが発生したもの、タイルが付着せず張り付けが困難であったものを不良(×)とした。
タイル3枚とも裏面全体にタイル接着材が付着していたものを良好(○)とし、タイルの裏足にタイル接着材が付着していないもの、タイルが付着せず張付けが困難であったものを不良(×)とした。2項目の中で1項目でも不良(×)があれば評価は不良(×)とした。試験結果を表5に示す。
【0040】
【表5】

【0041】
表3、表4及び表5から明らかなように、本発明のタイル接着材は、タイルの熱膨張及び収縮に対する優れた追従性を有し、長期間の熱冷繰り返しによっても付着強度が変化せず、かつ強度が高いとともに施工性も良好であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)軽量骨材を3〜15質量部、(C)普通骨材を20〜60質量部、(D)ポリマー及び(E)セルロース誘導体を有効成分とする保水剤を含有してなるタイル接着材であって、(B)軽量骨材と(C)普通骨材の質量比(C/B)が2.0〜8.0、かつ(B)軽量骨材と(D)ポリマーの質量比(D/B)がポリマーの固形分換算で0.2〜2.0であり、さらに(E)保水剤と(D)ポリマーの質量比(E/D)がポリマーの固形分換算で0.02〜0.12であるタイル接着材。
【請求項2】
さらに(F)スターチ類を含有する請求項1記載のタイル接着材。
【請求項3】
(D)ポリマーがセメント混和用ポリマーディスパージョン及び/又は再乳化型粉末樹脂である請求項1及び2記載のタイル接着材。

【公開番号】特開2010−132477(P2010−132477A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308057(P2008−308057)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】