説明

タイル状パッシブ・マトリクス電界発光ディスプレイ

【課題】隣接したタイル間の境界が見えないように駆動されるタイル状パッシブ・マトリクス・ディスプレイ。
【解決手段】2つ以上のELタイルであって、各ELタイルは発光素子の行及び列からなるアレイを含み、各発光素子は、行電極と列電極の直交アレイの間に挟まれた発光層から形成されており、該2つ以上のELタイルの各々が、少なくとも1つの行ドライブ回路をさらに含む、ELタイルと、前記少なくとも1つの行ドライブ回路の各々とともに、前記発光素子の各々から光の放射を制御するために、前記行電極と列電極の間の電子の流れを制御するように動作する少なくとも1つの列ドライブ回路と、入力画像信号を受信し、前記2つ以上のELタイル中の発光素子の所定の数の行を同時に照射するために前記行電極と列電極を通して電子の流れを制御するように、前記2つ以上のELタイルの中の前記2つ以上のドライバに、行ドライブ信号を同時に提供する、行ドライブ回路と列ドライブ回路に結合された1以上のコントローラであって、前記2つのタイルの間の境界が照射されることになっている場合に、1つのタイル中の発光素子の同時に照射される行の数が、所定数より少ないことを第1の例外とする、コントローラと、を備えるタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ・マトリクス電界発光ディスプレイに関するものである。特に、本発明は、隣接したタイル間の境界が見えないように駆動されるタイル状パッシブ・マトリクス・ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのディスプレイ装置が、今日、市場に存在する。利用できるディスプレイの中には、OLEDディスプレイ等薄膜被覆電界発光(EL)ディスプレイがある。これらのディスプレイは、アクティブ回路のアレイを採用するアクティブ・マトリックス・バックプレーンを使用して駆動することができる。これらのアクティブ回路は、ディスプレイ中の各発光素子への電流を制御する。しかしながら、これらのディスプレイは、各発光素子においてアクティブ回路を形成する複雑さのために、比較的高価である傾向があり、これらのアクティブ・ドライブ回路内にしばしば使用される薄膜トランジスタは、欠陥を持ちやすく、時間とともに均一性の欠如あるいは域値のシフトに至り、それはディスプレイの品質の低下につながる。
【0003】
パッシブ・マトリクス・薄膜被覆電界発光ディスプレイもまた知られている。残念なことに、これらのディスプレイは、典型的にはパルス幅変調を使用して、典型的にはディスプレイの1本の線だけを同時に駆動できるのみである。さらに、これらの装置では典型的には、各照明サイクルの前に各発光素子のキャパシタンスを放電および充電することが必要である。これらの理由のために、パッシブ・マトリクス薄膜被覆電界発光ディスプレイは、典型的には過剰な電力量を消費し、しばしば、ディスプレイが、ある大きさ、今日では、対角線で2インチ未満を上回るときはいつでも、低コストのシリコン製造工程を使って製造される行ドライブ回路と列ドライブ回路によって供給可能であるよりも大きな駆動電圧を要求する。
【0004】
近年では、ELディスプレイに適用することができる複数行パッシブ・マトリクス駆動方法もまた、文献において議論されている。これらのアプローチには、山崎ほかによって「画像表示装置」と題された米国特許出願第10/680221号に記述された方法、また、スミスほかによってPCT出願、「複数行アドレス方法および装置」と題されたWO2006/035246、「複数行アドレス方法と装置」と題されたWO2006/035248、及び、「デジタル・シグナル処理方法と装置」と題されたWO2006/067520に記述された別の方法がある。これらの方法の各々は、ELディスプレイ中の各発光素子を通る電流を顕著に減らすのに、また、個々の行ラインでのピーク電流を可能性として減らすのに、使用することができる。これは、従って、これらのディスプレイ中の行電極と列電極の抵抗による電力ロスを減らし、特定の駆動状況の下で、ディスプレイのキャパシタンスを充電及び放電させる消費電力も減少させることができ、これにより、妥当な消費電力の、より大きなパッシブ・マトリクスELディスプレイをつくることを可能にする。残念なことに、これらの方法は、しばしば、あるエラーをデータ信号に引き起こし、特定の状況の下で画像アーチファクトをもたらす。さらに、それらは、パッシブ・マトリクスELディスプレイのサイズを、望ましくは、10倍以上にしたいのであるが、数倍にできるのみである。
【0005】
より大きなパッシブ・マトリクス・ディスプレイを形成する別の方法は、より大きなELディスプレイを形成するように一緒に結合されたタイルとして動作するいくつかの個別のディスプレイないし複数の行および列ドライブ回路を有するディスプレイを形成することである。そのようなタイル状ディスプレイは従来技術において周知である。例えば、ニマーその他による、「ディスプレイ・システム」と題する米国特許第6980182号明細書、及び、コックその他による、「タイル状OLEDディスプレイ」と題する米国特許出願公開第2006/0108918号明細書がある。それぞれ、単一の行及び列ドライブ回路を採用している単一のディスプレイを使用して得ることができる面積より大きな面積を有するタイル状ディスプレイを提供するために複数の行及び列ドライブ回路を取り付けることができる単一のディスプレイ基盤の形成を論じている。そのような方法は、タイル間の非均質性の主たる原因を除去し、複数のELタイルを、均質な発光層を被覆することによって形成することを可能にする。各行ドライブ回路が、最終的なタイル状ディスプレイ中の列電極のサブセットだけに信号を供給するので、そのような構成は、パッシブ・マトリクスELディスプレイにおいて有益である。そのようなディスプレイのキャパシタンスが充電および放電を行われなければならない回数が、駆動されるラインの数に比例しており、一度に1つのラインのパッシブ・マトリクス駆動方法を使うときにそのようなディスプレイに消費される電力は、およそ駆動されるライン数の二乗により増加するので、そのような方法は、ドライバがディスプレイにおける全ライン数の半分を駆動することを可能とし、したがって、ディスプレイの電源消費を顕著に減らすことができ、また、妥当な電力消費があるディスプレイのサイズを2,3倍に増加させることが可能となる。これらの開示は、パッシブ・マトリクスELディスプレイのタイリングと、複数ライン駆動法の組合せを議論していない。フライドホフとフェランは、「高開口率ピクセルを有する光発生ディスプレイ」と題する米国特許第6509941号、および、「整列タイルを有する光発生高開口率ディスプレイ」と題する米国特許第6853411号において、他のタイル状ELディスプレイについて論じた。
【0006】
タイル状ディスプレイの1つの問題は、入力画像信号122が、典型的には、左上隅におけるデータポイントを出発して、順次、ディスプレイの各行のピクセルにデータを供給するラスタ方式であり、そのようなディスプレイにストリームされるということである。しかしながら、当該ディスプレイは、各タイルが、別々の行及び列ドライブ回路を有するので、より高水準コントローラが、この入力画像信号を、受信したそのままで、保存し、その入力データを独立したブロックに分割し、つぎに、入力画像信号データの各々の独立したブロックを行及び列ドライブ回路に提供することが、典型的には必要である。各ブロックが、各タイルの行および列ドライバに独立して分散している複数の、独立したブロックに格納し再編成するためにプロセッサを用いることを論じている。
【0007】
人間の視覚システムが、隣接したタイルの間の境界の近くで起こる輝度あるいは人工的な輝度エッジの変化にとても敏感であるので、そのようなディスプレイにおける大きな問題のうちの1つが起こる。グリーン他による、「輝度訂正能力を有するタイル状フラットパネル・ディスプレイ」と題された米国特許第5668569号、及び、「適合色特徴と色補正能力を有する予め分類されたタイルから組み立てられるフラットパネル・ディスプレイ」と題された米国特許第6292157号において議論されるように、輝度の違いを減らすためにタイルを分類することが知られている。さらに、グリーン他による「電子ディスプレイにおける輝度の補正方法」と題された米国特許第6271825号に議論されるように、入力画像信号を、隣接したタイルのエッジの境界における画像の色または輝度の違いを減らすように調整することが知られている。これらの特許で議論された色と輝度訂正方法において、ディスプレイを形成するタイルの各々の放射性能を記述するデータが、この入力画像信号が各々の行及び列ドライバ回路に提供される前に、入力画像信号を調節するために使用される。これらのアプローチが、隣接タイルの光学パフォーマンスの違いだけを修正する点に注意する価値がある。これらの開示の範囲内で議論される実施形態の行及び列ドライバ回路は、入力画像信号の個々のブロックに対して、各々が受信して、応答するように、互いに独立に動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6980182号明細書
【特許文献2】米国特許第6509941号明細書
【特許文献3】米国特許第6853411号明細書
【特許文献4】米国特許第5668569号明細書
【特許文献5】米国特許第6292157号明細書
【特許文献6】米国特許第6271825号明細書
【特許文献7】米国特許第4769292号明細書
【特許文献8】米国特許第5061569号明細書
【特許文献9】米国特許第6861155号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2006/0108918号明細書
【特許文献11】米国特許出願第10/680221号
【特許文献12】米国特許出願第10/320195号
【特許文献13】米国特許出願第11/226622号
【特許文献14】米国特許出願第11/737786号
【特許文献15】国際公開第2006/035246号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2006/035248号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2006/067520号パンフレット
【発明の概要】
【0009】
本願発明に従って、a)2つ以上のELタイルであって、各ELタイルは発光素子の行及び列からなるアレイを含み、各発光素子は、行電極と列電極の直交アレイの間に挟まれた発光層から形成されており、該2つ以上のELタイルの各々が、少なくとも1つの行ドライブ回路をさらに含む、ELタイルと、b)前記少なくとも1つの行ドライブ回路の各々とともに、前記発光素子の各々から光の放射を制御するために、前記行電極と列電極との間の電子の流れを制御するように動作する少なくとも1つの列ドライブ回路と、また、c)入力画像信号を受信し、2つ以上のELタイル中の発光素子の所定の数の行を同時に照射するために前記行電極と列電極を通して電子の流れを制御するように、前記2つ以上のELタイルの中の前記2つ以上のドライバに行ドライブ信号を同時に提供する、行ドライブ回路と列ドライブ回路に結合された1以上のコントローラであって、前記2つのタイルの間の境界が照射されることになっている場合に、1つのタイル中の発光素子の同時に照射される行の数が、所定数より少ないことを第1の例外とする、コントローラと、を含む、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイが提供される。
【0010】
パッシブ・マトリクスELディスプレイのためのタイリングと複数行ドライブ方式を利用しようとすると、既存の複数行ドライブ方式は、隣接したタイルの間の境界において可視な輝度アーチファクトを生じることが発見された。本願発明は、パッシブ・マトリクスELディスプレイの複数行を駆動するための方法を、これらの可視のアーチファクトを導入することなく、これら方法のそれぞれの長所の組み合わせを達成することができるための方法とともに利用することを可能とするものである。単一のドライブ回路、一度に単一のラインを処理するパッシブ・マトリクス駆動方式より消費電力を少なくすることができ、タイリングと複数行ドライブ方式の使用がより大きなパッシブ・マトリクスELディスプレイを生産するために用いることができるので、組合せることにより、さらにより大きなパッシブ・マトリクスELディスプレイを、許容できる電力消費で形成することが可能になる。従って、本願発明は、タイリングあるいは複数行アドレス指定を単独で適用するよりも、より高精度、より大型、そして、より価値あるパッシブ・マトリクスELディスプレイを、タイルの間の境界において好ましくない輝度アーチファクトを生じることなく、可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明の1つの実施形態によるタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイの概略図である。
【図2】本願発明の1つの実施形態に役立つコントローラの概略図である。
【図3】単一の基盤の上の3つのELタイルを含むタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイの列の概略図である。
【図4】図3に表されるように、単一の基盤の上で形成される3つのELタイルを使用しているディスプレイの概略図である。
【図5a】図3において線A−Aに沿った列の断面図である。
【図5b】図3において線B−Bに沿った列の断面図である。
【図5c】図3において線C−Cに沿った列の断面図である。
【図6】先行技術で議論された複数行アドレス指定を採用するタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイのシミュレーションされたイメージである。
【図7】意図しない輝度トラフを示す図6におけるイメージの第1列の輝度トレースである。
【図8】本願発明の1つの実施形態による複数行アドレス指定を採用する複数行アドレス指定を採用するタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイのシミュレーションされたイメージである。
【図9】意図しない輝度トラフが存在しないことを示す図8におけるイメージの第1列の輝度トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上の述べた必要性は、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイを提供することによって満たされ、パッシブ・マトリクスELディスプレイを駆動する複数行駆動方式を使用する場合に生じる輝度エラーは、2以上の隣接したタイルの間の境界を渡って分散しており、及び、2以上の隣接したタイルの境界の近くに集中するのではなく、むしろ、発光素子の複数の行に渡って共有される。これは、図1に示されるタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイを適用することによって達成することができる。そしてそれは2つ以上のELタイル20、22を含み、各々のELタイル20、22は、発光素子36の行および列のアレイを含み、各々の発光素子36は、それは、行32および列34電極の直交アレイの間に挟まれている発光層から形成される。各々のELタイル20、22は少なくとも1つの行ドライブ回路24、26を更に含む。タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、発光素子36の各々から光の放射を制御するために、行電極と列電極32、34との間の電子の流れを制御する各々のELタイル20、22において、少なくとも1つの行ドライブ回路24、26の各々と連動して動作するように、さらに少なくとも列ドライブ回路28、30を含む。タイル状、パッシブ・マトリクスELディスプレイはさらに、入力画像信号44を受信し、同時に所定数の行ドライブ信号を、2つ以上のELタイル中の図1のグループ38として描写される発光素子の所定の数の行を同時に照射するために2つ以上のELタイル20、22の中の2つ以上の行ドライブ回路24、26に提供するための行24、26と列28、30ドライブ回路に結合した、1つ以上のコントローラ42を含む。しかし、コントローラは、各フレームにおいて発光素子のこの所定数の行を照射するが、2つのELタイル20、22との境界54が照射される場合には、例外として、発光素子の行のグループ40が表されたように、1つのタイル中の発光素子の同時に照射される行の数が、所定数より少ない。
【0013】
「境界」という用語の用法を定義し、境界を照らすことが何を意味するのかを定義することは、重要である。本明細書の開示において、「境界」54とは、近隣のELタイル20、22の隣接したエッジ上にある2つの隣接した行電極の間の領域を言う。この境界54は、典型的には、近隣のELタイルの隣接したエッジの上の2つの隣接した行電極の各々が同時に光を発する時に、照射される。しかし、これらの2つの隣接した行電極が、境界を照らすために、同時に光を発することは、厳密に要求されない。しかし、この照らされる境界から最も遠い発光素子の行が、境界からの発光素子の行の所定数より少ないことが必要とされる。行電極のいかなるグループもエネルギーを与えられる時間間隔は、「フィールド」と呼ばれる。従来のパッシブ・マトリクス駆動方法では、この時間間隔は、一般的に、ディスプレイのEL発光素子の静電容量をチャージするためのプレ充電時間、その間、発光素子が発光するアクティブ時間、および、その間、発光素子の静電容量がディスチャージされるを含む。しかし、フィールドは、発光素子の行の1つのグループが照らされる時と、発光素子の行の第2のグループが照らされ時との間の時間だけを含むことができる。
【0014】
本願発明のコントローラは、一般的に図2で示すように構成要素を含む。まず、コントローラは、入力画像信号44を受信するための素子を含む。コントローラ42は、少なくとも一部の入力画像信号を保存するための入力バッファ60を更に含む。典型的には、この入力バッファ60は、画像情報の1つのフレームの全体までを格納することができる。コントローラ42は、前処理ユニット62を含むことができる。この前処理ユニット62は、例えば、隣接したELタイル20、22の間で輝度出力の違いを補償するために、入力画像信号44を線形化することと、入力画像信号44を修正することなど、いくつかの潜在的画像操作を実行することができる。上で議論したように、そのような訂正は従来技術で知られている。プログラム可能メモリユニット64は、各々のELユニットのパフォーマンスに関する情報を格納するために利用でき、各ELユニットは、隣接したELタイルの間の輝度出力の違いを修正する前処理ユニット62を許容することを要求される。
【0015】
コントローラ42は、複数の行電極を同時に駆動するのに適切な信号を形成するために、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイの中における、前処理された入力画像信号を変換するための処理ユニット66を含む。これらの信号は、行及び列ドライバ回路の両方を駆動する信号を含む。この処理ユニット66は、行ドライブ値および、例えばシャープニング・カーネルなどその他の情報を、この処理を容易にするために、プログラム可能メモリから得ることができる。したがって、コントローラ42内のこの処理ユニット66は、行及び列ドライバ回路へそれらを適用する前に、入力画像信号を処理する。この処理ユニット66は、「パッシブ・マトリクス電界発光ディスプレイ・システム」と題された、2007年4月20日に出願された米国特許出願番号第11/737786号、又は、山崎その他による「画像ディスプレイ装置」と題された米国出願第10/680221号に記載されているように、複数行アドレス指定を容易にするために、シャープニングなどのようなステップを実行することができる。これらの各々は、引用によりここに組み込まれる。交互に、処理ユニット66は、例えばイメージ分解などの複数行アドレス指定に適切な信号を作るための他の画像処理操作を実行することができる。スミス他は、以前に、そのような画像分解方法を、「複数行アドレス指定方法と装置」と題されたPCT出願WO2006/035246に、記述した。
【0016】
コントローラ42内の出力バッファ68は、次に、処理されたデータを格納する。タイミング生成器70は、次に、タイミング信号を行ドライブ信号生成器74とデータ・セレクタ72に提供する。データ・セレクタ72は、次に、出力バッファ68からデータを得て、それを列ドライブ回路28と30に提供する。同時に、行ドライブ信号生成器74は出力バッファ68からデータを得て、それを行ドライブ回路24と26に提供する。これらの構成要素を適用して、コントローラ42は、入力画像信号を得て、多様な駆動信号を、本願発明によるディスプレイを駆動するために、行及び列ドライバ回路の両方に提供することができる。
【0017】
典型的な実施形態において、コントローラ42は、行ドライブ回路24、26と列ドライブ回路28、30を、各々のELタイル中の2列以上の発光素子のグループ38、56を照射するために、2つ以上のELタイル20、22の中に所定の数の行ドライブ信号が提供されるように、制御する。ディスプレイのタイルの各々の中で発光素子の列のこのグループが同時に活性化されることが望ましい。たとえば、ディスプレイの各々のタイルの上から始めて、この所定の行数の発光素子を活性化することができる。続くフィールドにおいて、所定の行数の発光素子の異なるグループが、各タイル内で活性化される。発光素子の行のこの異なるグループは、例えば、1つの行を除いてすべての行が、発光素子の列の最初のグループとオーバーラップすることができる。続くフィールドにおいて、発光素子の行の新たなグループが、各タイルを下にスキャンするときに、単に1行オフセットして、各フィールドにおいて活性化することができる。交互に、次のグループを、次の2つのフィールド中の照射された発光素子の行の間でオーバーラップがないように、選ぶことができる。あるいは、中間の程度のオーバーラップがあってもよい。ELタイル20、22の各々の最後の行電極が、最初に活性化されると、第1の例外が起こる。この間に、発光素子の行のより小さなグループを、最初のタイル20内で、照射することができ、これは、例外的に、前のフィールドから発光素子の最も上の行が、照射されないように、前のグループとオーバーラップする。同時に、典型的には、第2のELタイル22における発光素子の最初の行だけが、照射される。これは、発光素子の行のグループからの輝度が、2つのタイル間の境界を横切って輝度を生じることを可能とし、したがって、この境界の向こうに輝度を分散する。この例外において、最初の列ドライブ回路28と第2の列ドライブ回路30とが、典型的には、正確に同一のドライブ値を最初のタイル20の列電極と第2のタイル22の列電極とに提供することが重要である。発光素子のアクティブな行は、2つのタイル20、22の間の境界をブリッジするのではあるが、これは、発光素子の行の単一の連続するグループと考えてもよい。したがって、グループがタイルの範囲内で完全に含まれるとき、ディスプレイは、発光素子38、56、各々のタイルで1つ、の複数のグループを一般的に活性化し、しかし、グループが2つの隣接したタイルの間の境界をブリッジする場合はいつも、発光素子の行の1つのグループだけを活性化すると見てもよい。このようにドライブされるとき、2つのELタイルを含むディスプレイ上で同時に照射される発光素子の行の数の合計は、境界が照射される行ドライブ信号の所定の数と等しい。例えば、2つの隣接したタイルの間の境界をブリッジするグループは、グループ58の発光素子の行を含むことができる。いかなるタイルでも1つの境界だけが、典型的には、1度に照射されることに留意する。したがって、3番目のタイルがタイル22の下にある場合には、タイル20と22の間の境界54を1つのセットのフィールドで照射することができる。しかし、次に、別々のセットでのフィールドでは、タイル22と第3のタイル(図示せず)の間の境界を照射する。次に、境界の照射が、発光素子の行のグループが、最初のタイルから第2のタイルまでスキャンされるのにしたがって、進行する。
【0018】
典型的には、そのようなディスプレイにおいて、ディスプレイの最も上の行電極32によってドライブされる発光素子の最も上の行と、ディスプレイの最も下の行電極18によってドライブされる発光素子の一番下の行の上に完全な画像情報を描画することが望ましいので、第2の例外も起こる。図1で示すように、少なくとも2つのELタイル20、22の間で境界54を有している少なくとも2つのELタイルが存在し、そして、さらに、2つのタイル20、22の各々は、境界の反対側にエッジ14、16を有することに留意する。各タイルの対向するエッジを同時に照射する場合には、ELタイルのうちの少なくとも1つの中の2つ以上の行ドライブ回路に提供される行ドライブ信号の数は、1つのタイル内の所定の数より小さい。この間、境界を照射しているときに、同時に光を生じる発光素子の行の数は、いかなるタイル内でも、行電極と平行であるタイルのエッジに隣接してない発光要素の行を照射しているときより少ない。
【0019】
前の実施例において、各々のタイル内の少なくとも1つの発光素子は、各々のフィールドにおいて、光を放射するために制御されることに留意する価値がある。発光素子の行のグループが行電極と平行であるタイルのエッジに隣接してないときには、所定の行数の発光素子は、一般的に、ELタイルの各々の中で、アクティブである。各タイル内の発光素子の行のグループが、行電極と平行であるタイルのエッジに隣接しているときには、より少ない発光素子の行が、照射される。しかし、各タイルの発光素子のいくつかが、各フィールドにおいて、アクティブであるという事実は、重要である。それが画像を形成するために示されなければならないフィールドの数を減らして、望ましい照度を生じるのに要求される電流は、要求されるフィールドの数に比例しており、また、ディスプレイの電源消費は、一般的に、要求されるフィールドの数の二乗に比例しているからである。したがって、各々のタイル内の少なくとも1つの発光素子が、各フィールドにおいて、光を放射するために制御されるという事実は、ディスプレイの電源消費を減らす。
【0020】
本発明の望ましい実施形態において、行ドライブ回路と行ドライブ回路の両方は、行電極のいかなるグループ38内でも、異なる駆動信号を行電極に提供する。多重、同時に制御される行電極と1つの列電極との交差によって規定された同時に照射された発光素子のどんなグループでも、異なる輝度レベルを有する。したがって、複数の行電極と単一の列電極の交差に対応する同時に活性化された発光素子のグループ内の発光素子の輝度レベルは、グループ内の他の発光素子より明るい。
【0021】
図1で示すように、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、1つのコントローラを含む。このことは、全体システムのコストを下げるために、望ましいことが多い。しかし、これは、必須ではない。各々のタイルまたはタイルのサブセットは、各々、自分自身のコントローラを有することができる。しかし、これらの実施形態において、入力画像信号を付加的なコントローラに提供する前に、入力画像信号を、バッファリングし、パーシングするための1つのコントローラに提供することが重要である。そのようなシステムにおいて、各タイルまたはタイルのサブセットのコントローラがディスプレイ全体的の中でのタイルの空間的位置に対応する入力画像信号の部分を知るだけでなく、コントローラは、隣接タイル内の境界の近傍の発光素子の空間的位置に対応する入力画像信号の部分をも知らなければならないということが、また、重要である。そのようなシステムにおいて、本発明に従って、適切に境界を照射するために、どの所与のタイルのコントローラでも、隣接タイル内の境界の近傍の発光素子の空間的位置に対応する情報を使うことができる。
【0022】
別々の基盤上にタイル20、22を形成することも、一つずつ製造、または、単一の基盤上にタイル20、22を形成することも可能である、一般に、個々のELタイルを形成するのに用いることができるコーティング・プロセスにおいて、ばらつきがしばしば存在するので、単一の基盤上に、2つ以上のタイルの少なくとも部分を形成することが望ましい。このばらつきが、隣接タイルの輝度の違いを生じることがあり得、この違いを、可視なアーチファクトとタイル境界を回避するために、どうにかして補償しなければならない。その上、タイルが別々の基盤の上に形成される場合には、最終的なディスプレイにこれらのタイル組み立てる前に、個々のタイルをカプセル化することが有効であり得る。そのようなカプセル化プロセスは、典型的には、タイルのエッジにアクセスすることを必要とし、これは、近隣の発光素子の間の距離を、タイル境界においてどんなタイル内の近隣の発光素子よりも遠くに離して押してしまうことが多い。単一の基盤上に複数のタイルを形成することにより、また、この問題を解決することができる。
【0023】
単一の基盤上での複数のタイルの形成は、複数の方法で達成できる。図3は、複数のELタイルを有するディスプレイを形成するための基盤の部分を表す。さらにこの構造の理解を助けるために、この構造を採用しているディスプレイの3つの断面図を、図5a、5b、5cに示す。各々の島は、ドライブ接続か金属タイル・コネクタのうちの1つだけに、電気的に接続している。この図で示すように、この1つの列において、116、118と120を含むITOの3つの島が、形成される、図示したように、ITOの島116は、ドライブ回路の接続104に電気的に接続しているように、そして、絶縁層112、114から、金属タイル・コネクタ108、110から電気的に絶縁されるように形成されるITOの島118は、金属タイル・コネクタ110と電気的接触しているが、絶縁層112によって金属タイル・コネクタ108から絶縁されている。図3に示される列の中に留まるようにパターン化されているので、ITOの島の各々は、他の列から電気的に絶縁されていることに留意する。この図に示されていないが、電子発光層が、次に、この基盤の上に形成され、そして、行電極のアレイが、ITOの島116、118、120の各々の上にパターン化される。パッシブ・マトリクスELディスプレイは、典型的にボトム放射ディスプレイとして形成されて、ガラス基板を通して光を放射することに留意する。したがって、金属層の存在は、ユーザーが見ることができる発光素子の領域を減らす。しかし、パッシブ・マトリクス・ディスプレイは、典型的には、どんな列の発光素子のサブセットでも、いかなる時点でもアクティブであるように、設計される。また、したがって、発光素子の列を駆動するのに要求される電流は、比較的小さい。さらに、金属は、ITOより100倍のオーダーの伝導性があり、典型的には、パッシブ・マトリクス・ディスプレイの列電極を形成するのに用いられる。したがって、金属タイル・コネクタ108、110は、ピクセル領域中のITOよりかなり狭くてもよい。たとえば、これらの金属タイル・コネクタは、2つの隣接する発光素子の間の可視のエッジの間の分離の10分の1以下であり得る。
【0024】
図3に示されるようなタイル状構成を使用するディスプレイは、図4で示すように、入力画像信号を受信して、行及び列ドライバ回路を制御するための信号を発生させるコントローラ124と、列ドライブ回路126と、また、複数の行ドライブ回路128、130、132とを含むことができる。しかし、ディスプレイは、3つのタイルを、ITOの島116、118、120として含む。各々の島は、独立してアドレス指定可能な列電極として動作し、また、複数の、独立してアドレス指定可能な行電極136は、これらのアドレス指定可能な列電極に対して直交して形成される。そして、最終的なディスプレイ134は、行電極と列電極の独立のグループによってアドレス指定される発光素子の3つの別々のタイル138、140、142を含む。図4で示すように、3つのタイル138、140、142の各々は、ディスプレイ134と同じくらい広く、ITOの島116、118と120と同じくらいの高さである。
【0025】
図3と図4を見ると、列ドライブ回路は、つぎに、ディスプレイの一方に付けられるだけで、3つのタイルを有するタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイを、単一つの列ドライブ回路126で駆動されることを可能とすることが重要である。この構成において、類似した電極レイアウトを使用するが、列ドライブ回路をタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイの上部と下部に付けることによって、さらに大きなディスプレイを形成することさえ可能である。そのような構成において、図3で示すように、同じ構成において金属タイル・コネクタ108、110を使用して、ディスプレイは、6つの垂直に配置されたタイルを有するように拡大することができる。さらに、これらの金属タイル・コネクタ108、110と絶縁層112、114は、これらの各々の数に関係なく、共通のパターニング・ステップにおいてそれぞれパターン化することができる。付加的な金属タイル・コネクタを形成することによって、更なるタイルを形成することが可能であることに、さらに留意することができる。図3は、列のどちらか1つのエッジ上のそのような金属タイル・コネクタを表すが、基盤ごとのタイルの数を更に増加し、2つまたはさらに多くの金属タイル・コネクタを、列のどちらのエッジの上にでも含むことができる。
【0026】
図3に示されるディスプレイの横断面は、図5a、5bと5cで示される。図5aは、A−Aにおける断面図を示す。この図で示すように、この構造は、2つの金属タイル・コネクタ152、154が蒸着される基盤に始まる。典型的には、基盤上全体に金属層を付着させ、次に、金属のこれらの線以外をすべて削除するために、フォトリソグラフィを適用して、これらを蒸着する。この最初のタイルの範囲内で、これらの金属タイル・コネクタ152、154のいずれも、電流を列電極へ供給することはない。そして、絶縁層156は、これらの金属タイル・コネクタの上に蒸着される。再度、この絶縁層は、例えば蒸着またはスパッタリングなどのコーティング方法を使用して、シートとして蒸着される可能性が高い。この層は、図示したように、フォトリソグラフィを使ってパターン化することができる。しかし、基盤全体を覆うように残すことができる。ITO層158は、次に、蒸着され、典型的には、フォトリソグラフィを使用して、島を形成するためにパターン化される。この層は、列電極として機能する。電子発光層160は、次に、それから少なくともITO層158の上に蒸着される。最後に、金属層162が、行電極を形成するために適用される。このセグメントの中には示されないが、他の構造も、他の分割線において形成することができる。たとえば、柱構造を、行電極と平行して形成することができる。それは、別々の行ラインを形成するために、金属層162内で分離を生じるのに十分高い。そのような柱構造は、パッシブ・マトリクス有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの製造において、共通に適用され、周知の技術である。
【0027】
図5bは、図3に示すデバイス構造の分割線B−Bにおける横断面を示す。この図は、図5aの断面図と非常に類似している。しかし、2つの顕著な違いがある。最初に、絶縁層156は、金属タイル・コネクタ154の上から取り除かれていることに留意する。第2に、ITO層158は、金属タイル・コネクタ154上の広がり、したがって、この金属タイル・コネクタとITOの島118の間の電気的接続を可能とする。そのように、図3の金属タイル・コネクタ110上に提供される駆動信号は、このタイル内の列電極に対する駆動信号として働く。
【0028】
図5cは、図3に示すデバイス構造の分割線C−Cにおける横断面を示す。この位置において、図3の第3のITOの島120が、他のどの金属タイル・コネクタにでなくも金属タイル・コネクタ108に接続していることが重要である。図5cで示すように、この領域中の1つの金属タイル・コネクタ152のみを蒸着して、全ての絶縁層156を取り除くことにより、これを達成することができる。最後に、ITO層158は、金属タイル・コネクタ152と電気的接触するように形成することができる。
【0029】
大部分のディスプレイでは、上で記述されたものに加えて、他の画像処理も実行されなければならないことに留意する必要がある。例えば、米国特許出願第10/320195号に記載されたRGBW発光素子のアレイを採用しているディスプレイでは、前処理装置62が、RGB入力画像信号を受信し、ディスプレイ輝度の狙いを定めるために、RGB入力画像信号を線形化し、線形化したRGB入力画像信号を線形化RGBW入力信号に変えるのに有利である。
【0030】
本発明の実施形態において、コントローラ42は、典型的には、1つ以上のデジタルプロセッサである。このコントローラ42は、専用装置として形成することができ、あるいは、ディスプレイを使用するデバイス内の他のデジタルプロセッサに埋め込むことも可能である。
【0031】
行及び列ドライバ回路は、一般的には、コントローラ42からデジタル信号を受信し、この信号を行電極32と列電極34に沿って、発光素子36の各々を通る電子の流れを制御することに適切であるアナログ電圧または電流信号に変換するためのいくつかの方法を採用する。望ましい実施形態において、行ドライブ回路または列ドライブ回路は、時間−多重化信号を提供し、一方で、他のドライブ回路が、各々の電極に沿って電流を単に活性化するか、非活性化する能力を提供する。他の望ましい実施形態において、行ドライブ回路または列ドライブ回路のうちの少なくとも1つは、行電極または列電極の各々を通した電圧または電流の流れのアナログコントロールを提供する。
【0032】
タイル状、パッシブ・マトリクスELディスプレイは、一対の電極の間でアドレス指定可能な要素の二次元アレイを形成するのに用いられることができるどんなELディスプレイであってもよい。これらのデバイスは、純粋に有機小分子または高分子材料を採用した電子発光層160を含むことができる。タング他に1988年9月6日に発行された米国特許第4769292号、及び、バンスライク他に1991年10月29日に発行された米国特許第5061569号を含む先行技術に記載されているように、典型的には、有機ホール輸送、有機発光、有機電子トランスポート層を含むものである。電子発光層160は、典型的には、バウェンディ他に2005年3月1日に発行された米国特許第6861155号に記載された発光層など無機の発光層と組み合わせた有機ホール輸送及び電子輸送層を含む有機、無機材料の組合せから、交互に形成されることができる。交互に、電子発光層160は、例えば、「量子ドット発光レイヤー」と題され、2005年9月14日に出願された出願中の米国特許出願第11/226622号に記述されるデバイスなど、完全に無機材料から形成することができる。
【0033】
ディスプレイは、行電極と列電極をさらに使用することができ、それは材料のアレイから形成される。行電極は、典型的には、列電極が金属から典型的に形成されるよりも、多くの同時に点火されるより発光要素へ電流を運ぶ。一般的な既知の適用された金属電極32、34、と、本願発明の金属タイル・コネクタ108、110は、典型的には、銀またはアルミニウムから形成されるが、例えば銅など他の導電性金属から形成することもできる。電極がカソードとして機能するときには、これらの金属は、低仕事関数金属と合金をつくることができ、あるいは、低仕事関数電子注入層と組み合わせて使用することができる。行電極または列電極のうちの少なくとも1つは、透明または半透明の材料から形成しなければならない。適切な電極は、ITOとIZOのような金属酸化物または、例えば銀の薄膜層など非常に薄い金属を含む。これらの電極の抵抗率を低下させるために、付加的な不透明な伝導性バスバーを、これらの電極と電気的接触させて形成することができる。
【0034】
基盤はまた、多くの種類の材料から形成することもできる。透過的又は半透明の電極を基盤上で直接形成する場合には、基盤が、例えば、ガラスまたは透明なプラスチックなど透過的材料から形成されることが望ましいが、さもなければ、基盤は、透明又は不透明であることも可能である。ここに示されてはいないが、そのようなディスプレイは、一般的に、機械的な、酸素と湿気からの保護のための付加的層を含む。この種の保護を提供する方法は、周知の技術である。また、この開示の範囲内で示されないものは、例えば、基盤から最も遠い電極のパターン化を可能とする、パッシブ・マトリクスOLEDディスプレイの製造に、共通して使用される柱構造などの機械的な構造である。
【0035】
本発明は、具体的にはELディスプレイを議論したものではあるが、本発明の方法は、代替的ディスプレイテクノロジーを用いて有効に使用することができる。典型的には、大部分の発光型表示技術おいてそうであるように、電界放出または表面伝導−電子エミッター・ディスプレイを含む、特に、電流を要求するいかなるディスプレイテクノロジーでも、本発明の態様から利益を得ることができる。この発明は、同時に複数の行電極の複数のグループを駆動する能力が、本発明にいて議論されたように、ディスプレイの容量の充電および放電を行うことに関連した損失を減らすので、オンからオフへ個々の発光素子をサイクルさせるときに、容量性損失を提供するのに十分薄いセルを有するディスプレイ技術においてさらにより大きな利益となる。この発明の範囲内で容量性損失は、ピークの瞬間的な電流として減らされ、したがって、望ましい輝度をいかなる発光素子からでも作り出すことを要求されるいかなるコンデンサのピークの瞬間的な電圧が、減らされる。各々の発光素子が、記述されたように、複数ラインの複数のグループが駆動されない場合に可能であるより長い間、光を放射することができるからである。
【0036】
本発明のインパクトを例示するために、以下の実施例が提供される。
【0037】
[実施例1:比較]
この例において、2つのタイル20、22を有しているディスプレイであって、各タイルが120の行電極32と、240の列電極34を有しているものを考える。さらに、各タイルが、自分自身の行ドライブ回路と列ドライブ回路を有すると仮定する。さらに、各タイルは、自分自身のコントローラ42を有し、各コントローラは、それが制御するタイル20、22内の発光素子36の空間位置と一致する入力画像信号44の部分だけを受信する。したがって、2つのコントローラは、隣接したタイル内の発光素子の空間的位置に対応する入力画像信号で起こる入力画像信号における輝度の変化に反応することができない。この設計は、入力画像信号がパーシングされ、表示のために各々のタイルに送給される先行技術の実施形態と整合している。
【0038】
入力画像信号44は、白いバックグランド上に、2つのダークグレイのバーを描画するための情報を含む。ダークグレイのバーは、各々、テキストの行を含み、第2のダークグレイのバーは、2つの隣接したELタイルの間の境界の下部のちょうど2、3の行から開始する。したがって、2つのタイル20、22の間の境界54に非常に近くで、突然の輝度変化が起こる。この例において、2つのコントローラの各々の演算処理装置は、複数ラインアドレスELディスプレイ上の表示に入力画像信号を提供する処理工程の間、入力画像信号44をシャープニングすると仮定する。次に、行及び列ドライバ回路は、一度に複数行電極を活性化することによって、この処理された入力画像信号を一度に一行を表示すると仮定する。この実施例において、シャープニング・ステップは、各々のコントローラによって別々に完了され、要素−1、2、1、−2、0、−18、−9、−18、−2、1、2−1を含む15要素のカーネルを入力画像信号に適用する。次に、画像が、行ドライブ回路は、同時に各々9つの行電極を活性化し、9つの行電極の各々の中を流れる電流を、0.16、0.32、0.52、0.200、0.400、0.200、0.052、0.032、0.16、の割合にするように表示される。このようにして、ディスプレイは、9つの行を一度に、画像を描く。さらに、正確に9つの行電極が、すべてのフィールドにおいて、各々のタイル内でアクティブであり、したがって、この実施形態は、本発明の第1の例外を使用しない。各画像の適切な部分が、同時に各タイルの中に描かれると仮定する。
【0039】
結果として生じる画像が、図6に示される。この画像は、最初の部分170を含み、これは、最初のタイルおよび第2の部分172の上で描画される。第2の部分172は、第2のタイルの上で描画されるものである。先行技術におけるシステムは、隣接タイルの内容についての知識なしで、2つのタイルの上で入力画像信号の情報を、独立して描画するので、誤った輝度のライン174が、2つのタイルの間の境界の近傍で描画される。表示状況と画像内容によっては、この意図しないラインなどのアーチファクトは、全く好ましくないものであり得る。さらにこのエラーを例示するために、図7に、ディスプレイの最初の列に沿った輝度のトレースを表す。理想的には、輝度は、垂直画素番号0から40までずっと低いレベルで均一であるべきであり、次に、垂直画素番号41から240までずっと高いレベルで均一であるべきである。しかし、この図が示すように、輝度のトレースは、意図しない輝度のトラフ176を有し、それは2つのタイルの間の境界の近傍にあるものである。この輝度のトラフは、意図しない輝度のばらつきを形成し、したがって、2つのタイルの間の境界の近傍にアーチファクトを形成する。
【0040】
[実施例2:発明性]
この例において、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイが、本発明の実施形態に従ってつくられる。それは、2つのELタイルを含み、各ELタイルが、発光素子の120の行と240の列のアレイを含み、各発光素子は、行電極と列電極の直交アレイの間に挟まれた発光層から形成されており、タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、各タイルの発光素子の各々から光の放射を制御するために、各タイル内の行電極と列電極との間の電子の流れを制御する少なくとも1つの行及び列ドライバ回路を含む。タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、さらに、入力画像信号を受信し、同時に所定数の行ドライブ信号を、2つ以上のELタイル中の2つ以上の行ドライブ回路に提供するための行及び列ドライバ回路に連結した1つのコントローラを含むと仮定する。前記2つのタイルの間の境界が照射されることになっている場合に、行ドライブ信号の数が、1つのタイル内において、所定数より少ないことを第1の例外とする。
【0041】
したがって、このディスプレイは、前の実施例のディスプレイと類似しており、各タイルが、隣接したELタイル内の発光素子の空間的位置に対応する入力画像信号に依存する方法で駆動されることを例外として有する。さらに、しばしば、画像の部分が、前の実施例の場合のように、すべてのフィールドにおいて各独立したELタイル中に9つのアクティブな行電極を有することとは対照的に、フィールドのサブセットの2つのタイルの間の9つのアクティブな行電極を共有することによって表示される。同時に駆動されるアクティブな行の数が、2つのタイルの間の境界が照射されるときには、どのタイル内でも、もっと少ないことを除いて、同じシャープニングと行駆動のスキームである。
【0042】
結果として生じる画像が、図8に示される。この画像は、最初のタイルの上に描画される最初の部分180と、第2のタイルの上で描画される第2の部分182とを含む。なお、最上部の白いフィールドの輝度は、比較の実施例に存在したアーチファクトが、本発明のこの実施形態の中に存在しないように、境界184において均一である。輝度アーチファクトが存在しないことをさらに示すために、図9に、ディスプレイの最初の列に沿った輝度のトレースを示す。理想的には、輝度は、垂直画素番号0から40までずっと低いレベルで均一であるべきであり、次に、垂直画素番号41から240までずっと高いレベルで均一であるべきである。この図が示すように、輝度は、垂直画素番号のおよそ40から少なくとも230までの間で均一である。したがって、図7に存在した意図しない輝度のトラフは、この実施形態においては、2つのタイルの間の境界の位置186の近傍には存在しない。
【符号の説明】
【0043】
14 境界の反対側のエッジ
16 境界の反対側のエッジ
18 下部の行電極
20 ELタイル
22 ELタイル
24 行ドライブ回路
26 行ドライブ回路
28 列ドライブ回路
28 列ドライブ回路
32 行電極
34 列電極
36 発光要素
38 発光素子の2つ以上の行のグループ
40 発光素子のグループ
42 コントローラ
44 入力画像信号
54 境界
56 発光素子の2つ以上の行のグループ
58 隣接したタイル間の境界をブリッジするグループ
60 入力バッファ
62 前処理ユニット
64 プログラム可能メモリユニット
66 処理ユニット
68 出力バッファ
70 タイミング生成器
72 データ・セレクタ
74 行ドライブ信号生成器
100 基盤
102 ドライブ回路の接続
104 ドライブ回路の接続
106 ドライブ回路の接続
108 金属タイル・コネクタ
110 金属タイル・コネクタ
112 絶縁層
114 絶縁層
116 ITOの島
118 ITOの島
120 ITOの島
122 入力画像信号
124 コントローラ
126 列ドライブ回路
128 行ドライブ回路
130 行ドライブ回路
132 行ドライブ回路
134 ディスプレイ
136 行電極
138 ELタイル
140 ELタイル
142 ELタイル
150 基盤
152 金属タイル・コネクタ
154 金属タイル・コネクタ
156 絶縁層
158 ITO層
160 電子発光層
162 金属層
170 最初の部分
172 第2の部分
174 ライン・アーチファクト
176 意図しない輝度のトラフ
180 最初の部分
182 第2の部分
184 境界
186 境界の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)2つ以上のELタイルであって、各ELタイルは発光素子の行及び列からなるアレイを含み、各発光素子は、行電極と列電極の直交アレイの間に挟まれた発光層から形成されており、該2つ以上のELタイルの各々が、少なくとも1つの行ドライブ回路をさらに含む、ELタイルと、
b)前記少なくとも1つの行ドライブ回路の各々とともに、前記発光素子の各々から光の放射を制御するために、前記行電極と列電極の間の電子の流れを制御するように動作する少なくとも1つの列ドライブ回路と、
c)入力画像信号を受信し、前記2つ以上のELタイル中の発光素子の所定の数の行を同時に照射するために前記行電極と列電極を通して電子の流れを制御するように、前記2つ以上のELタイルの中の前記2つ以上のドライバに、行ドライブ信号を同時に提供する、行ドライブ回路と列ドライブ回路に結合された1以上のコントローラであって、前記2つのタイルの間の境界が照射されることになっている場合に、1つのタイル中の発光素子の同時に照射される行の数が、所定数より少ないことを第1の例外とする、コントローラと、を備えるタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項2】
少なくとも2つのELタイルであって、該少なくとも2つのELタイル間に境界を有し、2つのタイルが、該境界に対して対向するエッジを有するようになっている、少なくとも2つのELタイルが存在し、各タイルの対向するエッジを同時に照射する場合には、行ドライブ信号の数が、1つのタイル内において、所定数より少ないことを第2の例外とする、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項3】
各コントローラが、前記行ドライブ回路と列ドライブ回路に適用する前に、前記入力画像信号を処理する、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項4】
各コントローラは、前記画像信号をシャープ化又は分解する、請求項3に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項5】
複数の行電極と列電極の交差に対応する同時に活性化された発光素子のグループ内の発光素子の輝度レベルが、該グループ内の他の発光素子より明るい光を生じる、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項6】
各フィールドにおいて光を放射する各々のタイル内に、少なくとも1つの発光素子が存在する、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項7】
前記ELディスプレイは、単一のコントローラを含む、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項8】
前記コントローラが、入力画像信号を受信し、行および列ドライブ信号を決定する前に、隣接したタイルの間で輝度または色変化に対して訂正を適用する、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項9】
前記ディスプレイ上に同時に照射される発光素子の列の数の合計が、前記境界が照射される場合、行ドライブ信号の予め定められた数に等しい、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項10】
前記2つ以上のタイルの少なくとも部分が、単一の基盤上に形成される、請求項1に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項11】
前記2つ以上のタイルが、前記基盤の1辺に列コネクタを提供する、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項12】
前記ディスプレイは、列ドライブ回路に接続を提供するために、ELタイルを通って伸びる少なくとも1つの金属タイル・コネクタを含む、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項13】
前記ディスプレイは、少なくとも3つのタイルから成る、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項14】
タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、2つ以上のELタイルを単一の列ドライブ回路に接続するために、金属タイル・コネクタを含む請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項15】
前記2つ以上のタイルは、同時に被覆さている、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項16】
異なるELタイルを接続するための金属タイル・コネクタの幅が、前記列ドライブ回路からのELタイルの長さの関数として異なる、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。
【請求項17】
前記タイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイは、3つ以上のタイルから成る、請求項10に記載のタイル状パッシブ・マトリクスELディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−539551(P2010−539551A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525811(P2010−525811)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/010753
【国際公開番号】WO2009/038688
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】