タイル
【課題】雨水がタイル部の上端面に溜まることなく、タイル部の表面に良好に流れてタイル部表面の汚れを洗い流すことができ、かつ貼り付けモルタルと躯体コンクリートからの剥離・剥落を防止し得る安全性に優れたタイルを提供すること。
【解決手段】一体成形されたタイル部1と目地部2を有し、かつタイル部1の上端縁上面には、タイル部上面中心より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが形成されるとともに、目地部2の四つの端縁部にはそれぞれ傾斜面が形成され、さらに前記目地部2の裏面長手方向には、貼り付けモルタルとの付着力を強めるための凹凸部3が設けられ、また、前記目地部2における上端縁部2aにはアンカーピンの打ち込み穴4が設けられている。
【解決手段】一体成形されたタイル部1と目地部2を有し、かつタイル部1の上端縁上面には、タイル部上面中心より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが形成されるとともに、目地部2の四つの端縁部にはそれぞれ傾斜面が形成され、さらに前記目地部2の裏面長手方向には、貼り付けモルタルとの付着力を強めるための凹凸部3が設けられ、また、前記目地部2における上端縁部2aにはアンカーピンの打ち込み穴4が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックの素焼き等により一体成形されたタイル部と目地部を有し、剥落防止・目地劣化防止・防汚等の優れた作用効果を奏するタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば家屋の新築時においては、張り付けモルタルにタイルを圧着し、タイル間の隙間に目地モルタルを塗り込み完成させており、また、時としては、タイル表面に有機系防汚剤を塗布し汚れの付着を防いでいるが、その多くは撥水性塗料である。
【0003】
知られているように、目地モルタルの経年変化による劣化から雨水が浸透し、その雨水がタイルの裏面に回り、張り付けタイルとタイルの剥離を誘発している。
【0004】
そこで、改修工事において、タイルの浮き上り部を交換、または樹脂接着剤を注入して処置している。しかし、樹脂接着剤(有機材)をタイル(無機材)と張り付けモルタル(無機)間に注入するわけであるから、有機と無機は所詮「水と油」で一体化しない。
【0005】
また、躯体コンクリート・張り付けモルタルはタイルにより隠蔽され、水分蒸発を阻害しており、水蒸気を躯体コンクリートに封じ込めることによる躯体コンクリートへの悪影響も無視できない状況にある。
【0006】
また、目地モルタルは1年で0.5〜1.0mm程度中性化が進行すると言われており、改修工事が平均12年目で、目地打ち替えを行なわないで2回目の改修時では10〜20mmの中性化が進行し、降雨時にはタイル裏面に雨水が回り込み、タイル剥離の危険性は更に増して来る状況にある。
【0007】
さらにまた、タイル表面、目地が汚れ、黒ずんだり雨筋が付いたりと意匠性を維持できない。そこで、防汚コーティングを施すこともあるが、有機剤が主でその耐候性が問題となり、数年でその効果がなくなる。
【0008】
コーキングの寿命(交換時期)も改修時期に合わせ打ち替えているが、その劣化の主たる原因は紫外線による劣化に他ならない。
【0009】
このように、従来においては種々の問題があり、これら問題点を解決するため、特許文献1に開示のタイル張りパネルが提案されている。
【0010】
すなわち、特許文献1には、上下左右に対向する端面のうち、下端面と一方の側端面に表面側が突設した表実、及び上端面と他方の側端面に表実よりも大きく裏面側が突設した裏実を備えたタイルをパネル下地材に重ねて固定し、裏実と表実を接合して上下左右に配したタイル張りパネルが開示されている。
【0011】
しかしながら、この特許文献1に開示のものは、タイル間の縦目地の溝にモルタル塗り等をする必要はないものの、タイルは単なるセラミックタイルであって、タイル部に相当する表実と、目地部に相当する裏実の表面には、剥落防止・呼吸性・目地劣化防止・防汚手段が施されておらず、また、パネル下地材は裏実により隠蔽されるものであるから、水分蒸発を阻害して、水蒸気をパネル下地材に封じ込めることなり、パネル下地材に悪い影響を与えることになる。
【0012】
また、特許文献1に開示のタイルは、そのタイル上端面が水平な平坦面であるため、雨水がタイル上端面に溜まってしまって、タイル面表面に良好に流れず、タイル表面の汚れを洗い流すという効果が得られない。
【0013】
特許文献2には、パネル主板の上端面に、その中心より両側に架けて上面左右方向と厚み方向に向けてそれぞれ傾斜した流水用傾斜部が形成されている旨の技術事項が開示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献2に開示のものは、その厚み方向の傾斜は重ね片側に向けて傾斜しているもので、酸性雨等の雨水は下地モルタルや躯体コンクリート内に浸透することになって、劣化を惹起するという問題がある。
【0015】
特許文献3には、タイルの裏面に、多数の繊維を互いに間隔をあけた状態で接着剤により接着し、または埋め込みして設け、この繊維により貼付けモルタルとの付着力を高めるようにしたタイルに関する技術事項が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献3に開示のものは、接着剤の劣化等によって繊維の接着力が低下したり、また、繊維の埋設不良により十分な付着力が得られないという問題がある。
【0017】
また、特許文献4には、側部に係止部を有する長尺の係止部材を建築物の壁面に沿って固定し、この係止部材の係止部にタイルの裏面に形成した溝部を介してタイルを係止させる旨の技術事項が開示されている。
【0018】
しかしながら、この特許文献4に開示のものは、溝部を有しない裏面が平坦なタイルには適用することができないという問題がある。
【特許文献1】実開平7−21885号公報
【特許文献2】特開2001−123643号公報
【特許文献3】特開2008−223406号公報
【特許文献4】特開平6−81441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする問題点は、目地モルタルの経年変化による劣化から雨水が浸透して、その雨水がタイルの裏面に回り、張り付けモルタルとタイルの剥離を誘発するという点である。
【0020】
また、タイル部の上端面(水平面)に雨水が溜まって、汚れが付着しやすく、かつ雨水がタイル部面の表面に良好に流れないため、タイル部表面の汚れを洗い流すことができないという点である。
【0021】
また、タイル部の表面や目地部が汚れ、黒ずんだり雨筋が付いたりと意匠性を維持できないため、防汚コーティングを施すこともあるが、有機剤が主でその耐候性が問題となり、数年でその効果がなくなるという点である。
【0022】
また、タイルと貼り付けモルタルとの接着構造に問題があって、タイルが剥離・剥落し易いという点である。
【0023】
したがって、本発明の目的は、目地モルタルが無いために目地モルタルの劣化が無く、かつ雨水の浸透が無いことから雨水がタイルの裏側に回り劣化からくる接着力の低下が無いタイルを提供することにある。
【0024】
また、降水時において、雨水がタイル部の上端面に溜まることなく、タイル部の表面に良好に流れてタイル部表面の汚れを洗い流すことができるタイルを提供することにある。
【0025】
また、貼り付けモルタルと躯体コンクリートとからの剥離・剥落を防止し得る安全性に優れたタイルを提供することにある。
【0026】
これらの目的のため、本発明の請求項1に記載のタイルは、一体成形されたタイル部1と目地部2を有し、かつ前記目地部2の上端縁部2aと、対向する左右の側端縁部2c、2dが、前記タイル部1の上端縁部1aと、対向する左右の側端縁部1c、1dよりもやや外側に突出形成されるとともに、前記タイル部1の下端縁部1bが、前記目地部2の下端縁部2bよりもやや外側に突出形成され、前記タイル部1の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心Aより両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが両端対称に形成され、前記目地部2の前記上下端縁部2a、2bおよび左右の側端縁部2c、2dの四辺全部には、前記上端縁部2aと左側端縁部2cにおいては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面2eと傾斜面2fが形成されるとともに、前記下端縁部2bと右側端縁部2dにおいては、前記傾斜面2e、2fとそれぞれ逆向きの傾斜面2gと傾斜面2hが形成され、さらに前記目地部2の裏面長手方向には、貼り付けモルタル5との付着力を強めるための凹凸部3が設けられ、また、前記目地部2における上端縁部2a略中央部位には、前記貼り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6に対するアンカーピン7の打ち込み穴4が設けられている構成を特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項2に記載のタイルは、前記凹凸部3は、アリ溝3aとアリ足3bから形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
請求項1と請求項2に記載の発明によれば、一体成形されたタイル部と目地部を有し、かつ目地部の上端縁部と、対向する左右の側端縁部が、タイル部の上端縁部と、対向する左右の側端縁部よりもやや外側に突出形成されるとともに、タイル部の下端縁部が、目地部の下端縁部よりもやや外側に突出形成されていて、目地モルタルが無いために目地モルタルの劣化が無く、かつ雨水の浸透が無いことから雨水がタイルの裏側に回り劣化からくる接着力の低下が無く、耐候性に優れる。
【0029】
また、タイル部の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつタイル部の表面側に向け傾斜した傾斜面が両端対称に形成されているから、雨水がタイル部上面に溜まるということはなく、良好に流れ落ちるために、タイル部上面に汚れが付着せず、タイル部表面の汚れを流れ落ちる雨水によって洗い流すことができる。
【0030】
また、目地部の上下端縁部および左右の側端縁部の四辺全部に、上端縁部と左側端縁部においては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面が形成され、下端縁部と右側端縁部においては、傾斜面とそれぞれ逆向きの傾斜面が形成され、さらに目地部の裏面長手方向には、アリ溝とアリ足から形成の凹凸部が設けられ、また、目地部における上端縁部略中央部位には、貼り付けモルタルを貫通して躯体コンクリートに対するアンカーピンの打ち込み穴が設けられているから、目地部における傾斜面同士の広い接合面による接合と強い押し付け力、生乾きの貼り付けモルタルに食い込んだアリ足とアリ溝に圧入されたモルタルおよび穴を通しての打撃工具によるアンカーピンの躯体コンクリートへの打ち込みにより、タイル、張り付けモルタルの躯体コンクリートからの剥離・剥落が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態についてその作用と共に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係るタイルの一例での正面図、図2は、背面図、図3は、平面図、図4は、底面図、図5は、図1の5方向から見た端面図、図6は、図1の6方向から見た端面図、図7は、図1の7−7線に沿った断面図、図8は、図1の8−8線に沿った断面図、図9は、タイル張りの一例を示す部分正面図、図10は、タイル張りの一例を示す説明図、図11は、図9の11−11線に沿った拡大断面図、図12は、図9の12方向から見た一部省略の拡大端面図、図13は、雨水の流れ落ちる状態を示す説明図である。
【0033】
これら図において、本タイルは、例えばセラミック製タイルが用いられ、一体成形されたタイル部1と目地部2を含んでいる。
【0034】
タイル部1と目地部2は、本実施例においては、横長四角形とされているが、その寸法は任意であり、また、通し目地タイル張りの場合と、馬踏み目地タイル張りの場合には、横に組み合わされて施行され、たて芋目地タイル張りの場合には、縦に組み合わされて施行される。
【0035】
タイル部1と目地部2の位置関係について説明すると、目地部2の上端縁部2aと、対向する左右の側端縁部2c、2dが、タイル部1の上端縁部1aと、対向する左右の側端縁部1c、1dよりもやや外側に突出形成されるとともに、タイル部1の下端縁部1bが、目地部2の下端縁部2bよりもやや外側に突出して形成されている。
【0036】
なお、図1に示されているように、目地部2における左右側端縁部2c、2dの外側への突出幅Bは両方略等しく、タイル部1における下端縁部1bの外側への突出幅Cは、目地部2における上端縁部2aの外側への突出幅Dの略半分以下の幅にそれぞれ寸法設定されている。
【0037】
タイル部1の上端縁部1aの上面には、タイル上面中心Aより両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつタイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが両端対称に形成され、図13に矢印で示されているように、雨水がタイル上面に溜まることなく、タイル部の表面に沿い、かつ表面の汚れを洗い流しながら良好に流れ落ちるようになっている。
【0038】
図1〜図6に示されているように、目地部2の上下端縁部2a、2bおよび左右の側端縁部2c、2dの四辺全部には、上端縁部2aと左側端縁部2cにおいては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面2eと傾斜面2fが形成されるとともに、下端縁部2bと右側端縁部2dにおいては、傾斜面2e、2fとそれぞれ逆向きの傾斜面2gと傾斜面2hが形成され、タイル張りにおいて、図11および図12に示されているように、目地部2における傾斜面2e、2gと傾斜面2f、2h同士の広い接合面による接合と強い押し付け力によってタイル同士の剥離・剥落が防止されるようになっている。
【0039】
また、目地部2の裏面のやや上部長手方向には、貼り付けモルタル5との付着力を強めるためのアリ溝3aとアリ足3bから形成の凹凸部3が設けられ、タイルの貼り付けにおいて、図11に示されているように、躯体コンクリート6に塗着された生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bが食い込むと同時にモルタル5がアリ溝3aに圧入されて、貼り付けモルタル5に対するタイルの付着力が増大し、タイルの剥離・剥落が確実に防止されるようになっている。
【0040】
さらに、目地部2における上端縁部2aの略中央部位には、貼り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6に対するアンカーピン7の打ち込み穴4が設けられ、穴4を通しての打撃工具によるアンカーピン7の躯体コンクリート6への打ち込みにより、タイル、張り付けモルタル5の躯体コンクリート6からの剥離・剥落が確実に防止されるようになっている。
【0041】
なお、特に図示しないが、タイル部1の表面と上下端縁部1a、1b、両側端縁部1c、1dの全体面及び目地部2のタイル部1よりも外側に突出している上端縁部2aと左右の側端縁部2c、2dの全面には、二酸化ケイ素(シリカ)と二酸化チタン(チタン)を主成分とする無機質90%以上の水性シリケート塗料(シリコン、シラン、水ガラスを含まない)が塗布・焼付けされて無機質塗料層が形成されている。
【0042】
この無機質塗料層は、紫外線・酸性雨・窒素酸化物・硫黄酸化物などによる劣化成分を含まないものであって、水は通さないが水蒸気を通す呼吸塗膜層であるから、劣化が無く、変退色・亀裂なども惹起せず、また、躯体コンクリート・張り付けモルタルはタイルにより隠蔽されていても、躯体コンクリート・モルタルから発生する水蒸気を外部に放出して、水蒸気を躯体コンクリート・モルタルに封じ込めることがないから、耐候性・断熱性に優れるものである。
【0043】
このような構成に係る本タイルは、出来上がりの収縮率が少なく、また均一な製品が量産的であるところから、粉状の原料を金型に充填し、油圧プレス機にて高圧で押し固める乾式プレス成形によりタイル部1と目地部2が一体に成形される。
【0044】
そして、タイル部1と目地部2には、例えばタイル部1には茶色に、目地部2には灰色にそれぞれ着色された無機質塗料が塗布され、次いで、全体が200度位の低温で焼結され、または全体が焼結された後、それぞれ着色された無機質塗料が塗布されて無機質塗料層が形成される。
【0045】
そして、本タイルは、図9〜図12に例示されているように、躯体コンクリート6上の張り付けモルタル5に下側面より積み上げる形で張り付け施行される。
【0046】
さらに説明すれば、図9中の左列においては、先ず、最初の1段目のタイルが、躯体コンクリート6に塗着された生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bが食い込むと同時にモルタル5がアリ溝3aに圧入された状態で貼り付けられる。
【0047】
次いで、2段目のタイルが、その目地部2aの下端傾斜面2gを1段目タイルの目地部2の上端傾斜面2eに一体的に係合させ、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる(図11)。すると、1段目に張り付けられたタイル部1の上端縁部1aと2段目に貼り付けられたタイル部1の下端縁部1bで横目地が形成される。
【0048】
このようにして左列において順次タイル張りがなされ、最上段のタイルにおいては、その目地部2に設けられている穴4を介してアンカーボルト7が張り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6まで打ち込まれ、これによりタイルは確実に固定される。
【0049】
次に、図9中の右列においては、左列と同様に下側より積み上げる形で貼り付け施工され、先ず、最初の1段目のタイルが、その目地部2の左側端縁部2cに形成の傾斜面2fを左列1段目タイルの目地部2の右側端縁部2dに形成の傾斜面2hに一体的に係合させ(図12)、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる。
【0050】
次いで、2段目のタイルが、その目地部2aの下端傾斜面2gを1段目タイルの目地部2の上端傾斜面2eに一体的に係合させるともに、左列2段目タイルの目地部2の右側端縁部2dに形成の傾斜面2hに右列2段目タイルの目地部2の左側端縁部2cに形成の傾斜面2fを一体的に係合させ、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる。
【0051】
このようにして右列において順次タイル張りがなされ、最上段のタイルにおいては、その目地部2に設けられている穴4を介してアンカーボルト7が張り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6まで打ち込まれ、これによりタイルは確実に固定される。
【0052】
このようにして張り付けされたタイルは、目地部2における傾斜面2e、2gと傾斜面2f、2h同士の広い接合面による接合と強い押し付け力、生乾きの貼り付けモルタル5に食い込んだアリ足3bとアリ溝3aに圧入されたモルタルおよび穴4を通しての打撃工具によるアンカーピン7の躯体コンクリート6への打ち込みにより、タイル、張り付けモルタル5の躯体コンクリート6からの剥離・剥落が確実に防止されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るタイルの一例での正面図である。
【図2】同上の背面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】図1の5方向から見た端面図である。
【図6】図1の6方向から見た端面図である。
【図7】図1の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図1の8−8線に沿った断面図である。
【図9】タイル張りの一例を示す部分正面図である。
【図10】タイル張りの一例を示す説明図である。
【図11】図9の11−11線に沿った拡大断面図である。
【図12】図9の12方向から見た一部省略の拡大端面図である。
【図13】雨水の流れ落ちる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 タイル部
1a タイル部の上端縁部
1b タイル部の下端縁部
1c、1d タイル部の左右側端縁部
1e 傾斜面
2 目地部
2a 目地部の上端縁部
2b 目地部の下端縁部
2c、2d 目地部の左右側端縁部
2e、2f、2g、2h 傾斜面
3a、3b 凹凸部(アリ溝、アリ足)
4 アンカー打ち込み用穴
5 張り付けモルタル
6 躯体コンクリート
7 アンカーピン
A タイル部上面中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックの素焼き等により一体成形されたタイル部と目地部を有し、剥落防止・目地劣化防止・防汚等の優れた作用効果を奏するタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば家屋の新築時においては、張り付けモルタルにタイルを圧着し、タイル間の隙間に目地モルタルを塗り込み完成させており、また、時としては、タイル表面に有機系防汚剤を塗布し汚れの付着を防いでいるが、その多くは撥水性塗料である。
【0003】
知られているように、目地モルタルの経年変化による劣化から雨水が浸透し、その雨水がタイルの裏面に回り、張り付けタイルとタイルの剥離を誘発している。
【0004】
そこで、改修工事において、タイルの浮き上り部を交換、または樹脂接着剤を注入して処置している。しかし、樹脂接着剤(有機材)をタイル(無機材)と張り付けモルタル(無機)間に注入するわけであるから、有機と無機は所詮「水と油」で一体化しない。
【0005】
また、躯体コンクリート・張り付けモルタルはタイルにより隠蔽され、水分蒸発を阻害しており、水蒸気を躯体コンクリートに封じ込めることによる躯体コンクリートへの悪影響も無視できない状況にある。
【0006】
また、目地モルタルは1年で0.5〜1.0mm程度中性化が進行すると言われており、改修工事が平均12年目で、目地打ち替えを行なわないで2回目の改修時では10〜20mmの中性化が進行し、降雨時にはタイル裏面に雨水が回り込み、タイル剥離の危険性は更に増して来る状況にある。
【0007】
さらにまた、タイル表面、目地が汚れ、黒ずんだり雨筋が付いたりと意匠性を維持できない。そこで、防汚コーティングを施すこともあるが、有機剤が主でその耐候性が問題となり、数年でその効果がなくなる。
【0008】
コーキングの寿命(交換時期)も改修時期に合わせ打ち替えているが、その劣化の主たる原因は紫外線による劣化に他ならない。
【0009】
このように、従来においては種々の問題があり、これら問題点を解決するため、特許文献1に開示のタイル張りパネルが提案されている。
【0010】
すなわち、特許文献1には、上下左右に対向する端面のうち、下端面と一方の側端面に表面側が突設した表実、及び上端面と他方の側端面に表実よりも大きく裏面側が突設した裏実を備えたタイルをパネル下地材に重ねて固定し、裏実と表実を接合して上下左右に配したタイル張りパネルが開示されている。
【0011】
しかしながら、この特許文献1に開示のものは、タイル間の縦目地の溝にモルタル塗り等をする必要はないものの、タイルは単なるセラミックタイルであって、タイル部に相当する表実と、目地部に相当する裏実の表面には、剥落防止・呼吸性・目地劣化防止・防汚手段が施されておらず、また、パネル下地材は裏実により隠蔽されるものであるから、水分蒸発を阻害して、水蒸気をパネル下地材に封じ込めることなり、パネル下地材に悪い影響を与えることになる。
【0012】
また、特許文献1に開示のタイルは、そのタイル上端面が水平な平坦面であるため、雨水がタイル上端面に溜まってしまって、タイル面表面に良好に流れず、タイル表面の汚れを洗い流すという効果が得られない。
【0013】
特許文献2には、パネル主板の上端面に、その中心より両側に架けて上面左右方向と厚み方向に向けてそれぞれ傾斜した流水用傾斜部が形成されている旨の技術事項が開示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献2に開示のものは、その厚み方向の傾斜は重ね片側に向けて傾斜しているもので、酸性雨等の雨水は下地モルタルや躯体コンクリート内に浸透することになって、劣化を惹起するという問題がある。
【0015】
特許文献3には、タイルの裏面に、多数の繊維を互いに間隔をあけた状態で接着剤により接着し、または埋め込みして設け、この繊維により貼付けモルタルとの付着力を高めるようにしたタイルに関する技術事項が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献3に開示のものは、接着剤の劣化等によって繊維の接着力が低下したり、また、繊維の埋設不良により十分な付着力が得られないという問題がある。
【0017】
また、特許文献4には、側部に係止部を有する長尺の係止部材を建築物の壁面に沿って固定し、この係止部材の係止部にタイルの裏面に形成した溝部を介してタイルを係止させる旨の技術事項が開示されている。
【0018】
しかしながら、この特許文献4に開示のものは、溝部を有しない裏面が平坦なタイルには適用することができないという問題がある。
【特許文献1】実開平7−21885号公報
【特許文献2】特開2001−123643号公報
【特許文献3】特開2008−223406号公報
【特許文献4】特開平6−81441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする問題点は、目地モルタルの経年変化による劣化から雨水が浸透して、その雨水がタイルの裏面に回り、張り付けモルタルとタイルの剥離を誘発するという点である。
【0020】
また、タイル部の上端面(水平面)に雨水が溜まって、汚れが付着しやすく、かつ雨水がタイル部面の表面に良好に流れないため、タイル部表面の汚れを洗い流すことができないという点である。
【0021】
また、タイル部の表面や目地部が汚れ、黒ずんだり雨筋が付いたりと意匠性を維持できないため、防汚コーティングを施すこともあるが、有機剤が主でその耐候性が問題となり、数年でその効果がなくなるという点である。
【0022】
また、タイルと貼り付けモルタルとの接着構造に問題があって、タイルが剥離・剥落し易いという点である。
【0023】
したがって、本発明の目的は、目地モルタルが無いために目地モルタルの劣化が無く、かつ雨水の浸透が無いことから雨水がタイルの裏側に回り劣化からくる接着力の低下が無いタイルを提供することにある。
【0024】
また、降水時において、雨水がタイル部の上端面に溜まることなく、タイル部の表面に良好に流れてタイル部表面の汚れを洗い流すことができるタイルを提供することにある。
【0025】
また、貼り付けモルタルと躯体コンクリートとからの剥離・剥落を防止し得る安全性に優れたタイルを提供することにある。
【0026】
これらの目的のため、本発明の請求項1に記載のタイルは、一体成形されたタイル部1と目地部2を有し、かつ前記目地部2の上端縁部2aと、対向する左右の側端縁部2c、2dが、前記タイル部1の上端縁部1aと、対向する左右の側端縁部1c、1dよりもやや外側に突出形成されるとともに、前記タイル部1の下端縁部1bが、前記目地部2の下端縁部2bよりもやや外側に突出形成され、前記タイル部1の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心Aより両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが両端対称に形成され、前記目地部2の前記上下端縁部2a、2bおよび左右の側端縁部2c、2dの四辺全部には、前記上端縁部2aと左側端縁部2cにおいては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面2eと傾斜面2fが形成されるとともに、前記下端縁部2bと右側端縁部2dにおいては、前記傾斜面2e、2fとそれぞれ逆向きの傾斜面2gと傾斜面2hが形成され、さらに前記目地部2の裏面長手方向には、貼り付けモルタル5との付着力を強めるための凹凸部3が設けられ、また、前記目地部2における上端縁部2a略中央部位には、前記貼り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6に対するアンカーピン7の打ち込み穴4が設けられている構成を特徴とするものである。
【0027】
本発明の請求項2に記載のタイルは、前記凹凸部3は、アリ溝3aとアリ足3bから形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
請求項1と請求項2に記載の発明によれば、一体成形されたタイル部と目地部を有し、かつ目地部の上端縁部と、対向する左右の側端縁部が、タイル部の上端縁部と、対向する左右の側端縁部よりもやや外側に突出形成されるとともに、タイル部の下端縁部が、目地部の下端縁部よりもやや外側に突出形成されていて、目地モルタルが無いために目地モルタルの劣化が無く、かつ雨水の浸透が無いことから雨水がタイルの裏側に回り劣化からくる接着力の低下が無く、耐候性に優れる。
【0029】
また、タイル部の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつタイル部の表面側に向け傾斜した傾斜面が両端対称に形成されているから、雨水がタイル部上面に溜まるということはなく、良好に流れ落ちるために、タイル部上面に汚れが付着せず、タイル部表面の汚れを流れ落ちる雨水によって洗い流すことができる。
【0030】
また、目地部の上下端縁部および左右の側端縁部の四辺全部に、上端縁部と左側端縁部においては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面が形成され、下端縁部と右側端縁部においては、傾斜面とそれぞれ逆向きの傾斜面が形成され、さらに目地部の裏面長手方向には、アリ溝とアリ足から形成の凹凸部が設けられ、また、目地部における上端縁部略中央部位には、貼り付けモルタルを貫通して躯体コンクリートに対するアンカーピンの打ち込み穴が設けられているから、目地部における傾斜面同士の広い接合面による接合と強い押し付け力、生乾きの貼り付けモルタルに食い込んだアリ足とアリ溝に圧入されたモルタルおよび穴を通しての打撃工具によるアンカーピンの躯体コンクリートへの打ち込みにより、タイル、張り付けモルタルの躯体コンクリートからの剥離・剥落が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態についてその作用と共に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係るタイルの一例での正面図、図2は、背面図、図3は、平面図、図4は、底面図、図5は、図1の5方向から見た端面図、図6は、図1の6方向から見た端面図、図7は、図1の7−7線に沿った断面図、図8は、図1の8−8線に沿った断面図、図9は、タイル張りの一例を示す部分正面図、図10は、タイル張りの一例を示す説明図、図11は、図9の11−11線に沿った拡大断面図、図12は、図9の12方向から見た一部省略の拡大端面図、図13は、雨水の流れ落ちる状態を示す説明図である。
【0033】
これら図において、本タイルは、例えばセラミック製タイルが用いられ、一体成形されたタイル部1と目地部2を含んでいる。
【0034】
タイル部1と目地部2は、本実施例においては、横長四角形とされているが、その寸法は任意であり、また、通し目地タイル張りの場合と、馬踏み目地タイル張りの場合には、横に組み合わされて施行され、たて芋目地タイル張りの場合には、縦に組み合わされて施行される。
【0035】
タイル部1と目地部2の位置関係について説明すると、目地部2の上端縁部2aと、対向する左右の側端縁部2c、2dが、タイル部1の上端縁部1aと、対向する左右の側端縁部1c、1dよりもやや外側に突出形成されるとともに、タイル部1の下端縁部1bが、目地部2の下端縁部2bよりもやや外側に突出して形成されている。
【0036】
なお、図1に示されているように、目地部2における左右側端縁部2c、2dの外側への突出幅Bは両方略等しく、タイル部1における下端縁部1bの外側への突出幅Cは、目地部2における上端縁部2aの外側への突出幅Dの略半分以下の幅にそれぞれ寸法設定されている。
【0037】
タイル部1の上端縁部1aの上面には、タイル上面中心Aより両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつタイル部1の表面側に向け傾斜した傾斜面1eが両端対称に形成され、図13に矢印で示されているように、雨水がタイル上面に溜まることなく、タイル部の表面に沿い、かつ表面の汚れを洗い流しながら良好に流れ落ちるようになっている。
【0038】
図1〜図6に示されているように、目地部2の上下端縁部2a、2bおよび左右の側端縁部2c、2dの四辺全部には、上端縁部2aと左側端縁部2cにおいては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面2eと傾斜面2fが形成されるとともに、下端縁部2bと右側端縁部2dにおいては、傾斜面2e、2fとそれぞれ逆向きの傾斜面2gと傾斜面2hが形成され、タイル張りにおいて、図11および図12に示されているように、目地部2における傾斜面2e、2gと傾斜面2f、2h同士の広い接合面による接合と強い押し付け力によってタイル同士の剥離・剥落が防止されるようになっている。
【0039】
また、目地部2の裏面のやや上部長手方向には、貼り付けモルタル5との付着力を強めるためのアリ溝3aとアリ足3bから形成の凹凸部3が設けられ、タイルの貼り付けにおいて、図11に示されているように、躯体コンクリート6に塗着された生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bが食い込むと同時にモルタル5がアリ溝3aに圧入されて、貼り付けモルタル5に対するタイルの付着力が増大し、タイルの剥離・剥落が確実に防止されるようになっている。
【0040】
さらに、目地部2における上端縁部2aの略中央部位には、貼り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6に対するアンカーピン7の打ち込み穴4が設けられ、穴4を通しての打撃工具によるアンカーピン7の躯体コンクリート6への打ち込みにより、タイル、張り付けモルタル5の躯体コンクリート6からの剥離・剥落が確実に防止されるようになっている。
【0041】
なお、特に図示しないが、タイル部1の表面と上下端縁部1a、1b、両側端縁部1c、1dの全体面及び目地部2のタイル部1よりも外側に突出している上端縁部2aと左右の側端縁部2c、2dの全面には、二酸化ケイ素(シリカ)と二酸化チタン(チタン)を主成分とする無機質90%以上の水性シリケート塗料(シリコン、シラン、水ガラスを含まない)が塗布・焼付けされて無機質塗料層が形成されている。
【0042】
この無機質塗料層は、紫外線・酸性雨・窒素酸化物・硫黄酸化物などによる劣化成分を含まないものであって、水は通さないが水蒸気を通す呼吸塗膜層であるから、劣化が無く、変退色・亀裂なども惹起せず、また、躯体コンクリート・張り付けモルタルはタイルにより隠蔽されていても、躯体コンクリート・モルタルから発生する水蒸気を外部に放出して、水蒸気を躯体コンクリート・モルタルに封じ込めることがないから、耐候性・断熱性に優れるものである。
【0043】
このような構成に係る本タイルは、出来上がりの収縮率が少なく、また均一な製品が量産的であるところから、粉状の原料を金型に充填し、油圧プレス機にて高圧で押し固める乾式プレス成形によりタイル部1と目地部2が一体に成形される。
【0044】
そして、タイル部1と目地部2には、例えばタイル部1には茶色に、目地部2には灰色にそれぞれ着色された無機質塗料が塗布され、次いで、全体が200度位の低温で焼結され、または全体が焼結された後、それぞれ着色された無機質塗料が塗布されて無機質塗料層が形成される。
【0045】
そして、本タイルは、図9〜図12に例示されているように、躯体コンクリート6上の張り付けモルタル5に下側面より積み上げる形で張り付け施行される。
【0046】
さらに説明すれば、図9中の左列においては、先ず、最初の1段目のタイルが、躯体コンクリート6に塗着された生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bが食い込むと同時にモルタル5がアリ溝3aに圧入された状態で貼り付けられる。
【0047】
次いで、2段目のタイルが、その目地部2aの下端傾斜面2gを1段目タイルの目地部2の上端傾斜面2eに一体的に係合させ、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる(図11)。すると、1段目に張り付けられたタイル部1の上端縁部1aと2段目に貼り付けられたタイル部1の下端縁部1bで横目地が形成される。
【0048】
このようにして左列において順次タイル張りがなされ、最上段のタイルにおいては、その目地部2に設けられている穴4を介してアンカーボルト7が張り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6まで打ち込まれ、これによりタイルは確実に固定される。
【0049】
次に、図9中の右列においては、左列と同様に下側より積み上げる形で貼り付け施工され、先ず、最初の1段目のタイルが、その目地部2の左側端縁部2cに形成の傾斜面2fを左列1段目タイルの目地部2の右側端縁部2dに形成の傾斜面2hに一体的に係合させ(図12)、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる。
【0050】
次いで、2段目のタイルが、その目地部2aの下端傾斜面2gを1段目タイルの目地部2の上端傾斜面2eに一体的に係合させるともに、左列2段目タイルの目地部2の右側端縁部2dに形成の傾斜面2hに右列2段目タイルの目地部2の左側端縁部2cに形成の傾斜面2fを一体的に係合させ、かつ生乾きの貼り付けモルタル5にアリ足3bを食い込ませると同時にモルタル5をアリ溝3aに圧入させた状態で貼り付けられる。
【0051】
このようにして右列において順次タイル張りがなされ、最上段のタイルにおいては、その目地部2に設けられている穴4を介してアンカーボルト7が張り付けモルタル5を貫通して躯体コンクリート6まで打ち込まれ、これによりタイルは確実に固定される。
【0052】
このようにして張り付けされたタイルは、目地部2における傾斜面2e、2gと傾斜面2f、2h同士の広い接合面による接合と強い押し付け力、生乾きの貼り付けモルタル5に食い込んだアリ足3bとアリ溝3aに圧入されたモルタルおよび穴4を通しての打撃工具によるアンカーピン7の躯体コンクリート6への打ち込みにより、タイル、張り付けモルタル5の躯体コンクリート6からの剥離・剥落が確実に防止されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るタイルの一例での正面図である。
【図2】同上の背面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】図1の底面図である。
【図5】図1の5方向から見た端面図である。
【図6】図1の6方向から見た端面図である。
【図7】図1の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図1の8−8線に沿った断面図である。
【図9】タイル張りの一例を示す部分正面図である。
【図10】タイル張りの一例を示す説明図である。
【図11】図9の11−11線に沿った拡大断面図である。
【図12】図9の12方向から見た一部省略の拡大端面図である。
【図13】雨水の流れ落ちる状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 タイル部
1a タイル部の上端縁部
1b タイル部の下端縁部
1c、1d タイル部の左右側端縁部
1e 傾斜面
2 目地部
2a 目地部の上端縁部
2b 目地部の下端縁部
2c、2d 目地部の左右側端縁部
2e、2f、2g、2h 傾斜面
3a、3b 凹凸部(アリ溝、アリ足)
4 アンカー打ち込み用穴
5 張り付けモルタル
6 躯体コンクリート
7 アンカーピン
A タイル部上面中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形されたタイル部(1)と目地部(2)を有し、かつ前記目地部(2)の上端縁部(2a)と、対向する左右の側端縁部(2c)、(2d)が、前記タイル部(1)の上端縁部(1a)と、対向する左右の側端縁部(1c)、(1d)よりもやや外側に突出形成されるとともに、前記タイル部(1)の下端縁部(1b)が、前記目地部(2)の下端縁部(2b)よりもやや外側に突出形成され、前記タイル部(1)の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心(A)より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部(1)の表面側に向け傾斜した傾斜面(1e)が両端対称に形成され、前記目地部(2)の前記上下端縁部(2a)、(2b)および左右の側端縁部(2c)、(2d)の四辺全部には、前記上端縁部(2a)と左側端縁部(2c)においては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面(2e)と傾斜面(2f)が形成されるとともに、前記下端縁部(2b)と右側端縁部(2d)においては、前記傾斜面(2e)、(2f)とそれぞれ逆向きの傾斜面(2g)と傾斜面(2h)が形成され、さらに前記目地部(2)の裏面長手方向には、貼り付けモルタル(5)との付着力を強めるための凹凸部(3)が設けられ、また、前記目地部(2)における上端縁部(2a)略中央部位には、前記貼り付けモルタル(5)を貫通して躯体コンクリート(6)に対するアンカーピン(7)の打ち込み穴(4)が設けられている構成を特徴とするタイル。
【請求項2】
前記凹凸部(3)は、アリ溝(3a)とアリ足(3b)からなる請求項1のタイル。
【請求項1】
一体成形されたタイル部(1)と目地部(2)を有し、かつ前記目地部(2)の上端縁部(2a)と、対向する左右の側端縁部(2c)、(2d)が、前記タイル部(1)の上端縁部(1a)と、対向する左右の側端縁部(1c)、(1d)よりもやや外側に突出形成されるとともに、前記タイル部(1)の下端縁部(1b)が、前記目地部(2)の下端縁部(2b)よりもやや外側に突出形成され、前記タイル部(1)の上端縁のタイル部上面には、タイル部上面中心(A)より両端に架けて上面長手方向に傾斜するとともに、厚み方向にしてかつ前記タイル部(1)の表面側に向け傾斜した傾斜面(1e)が両端対称に形成され、前記目地部(2)の前記上下端縁部(2a)、(2b)および左右の側端縁部(2c)、(2d)の四辺全部には、前記上端縁部(2a)と左側端縁部(2c)においては厚み方向にしてかつ裏面側に向け傾斜した傾斜面(2e)と傾斜面(2f)が形成されるとともに、前記下端縁部(2b)と右側端縁部(2d)においては、前記傾斜面(2e)、(2f)とそれぞれ逆向きの傾斜面(2g)と傾斜面(2h)が形成され、さらに前記目地部(2)の裏面長手方向には、貼り付けモルタル(5)との付着力を強めるための凹凸部(3)が設けられ、また、前記目地部(2)における上端縁部(2a)略中央部位には、前記貼り付けモルタル(5)を貫通して躯体コンクリート(6)に対するアンカーピン(7)の打ち込み穴(4)が設けられている構成を特徴とするタイル。
【請求項2】
前記凹凸部(3)は、アリ溝(3a)とアリ足(3b)からなる請求項1のタイル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−13920(P2010−13920A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312796(P2008−312796)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【特許番号】特許第4257866号(P4257866)
【特許公報発行日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(392023038)宝養生資材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【特許番号】特許第4257866号(P4257866)
【特許公報発行日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(392023038)宝養生資材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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