説明

タイロッド連結部を備えた装置

【課題】本発明は、装置における構成品が、該構成品にバイアス圧力を与えるために少なくとも1本のタイロッドを介して互いに結合され、タイロッドのねじを周囲媒体に対して密封するために、前記タイロッドにシール要素が付属されている、タイロッド連結部を備えた装置特に船舶ディーゼルエンジンに関し、そのタイロッドを腐食作用媒体に対して確実に密封し、タイロッドが腐食して破損することがないようにする。
【解決手段】本発明によれば、シール装置がシールスリーブ(22)として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特許請求の範囲の請求項1の前文に記載のタイロッド連結部を備えた装置特に船舶ディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶ディーゼルエンジン並びに他の内燃機関において、その構成品を複数のタイロッド(連結棒)を介して互いに結合することおよびその互いに結合された構成品にタイロッドを介してバイアス圧力を与えることが既に知られている。そのようにして、船舶ディーゼルエンジンにおいて特にクランクケースがシリンダヘッドに複数のタイロッドを介して結合されている。
【0003】
タイロッドは雄ねじを有し、タイロッドはその雄ねじを介して相互に結合すべき構成品に結合され、そのためにタイロッドはその雄ねじを介して構成品の雌ねじ付き孔にはめ込まれ、つまり、ねじ込まれる。内燃機関においてそのタイロッドの破損を予防するために、タイロッドのねじは腐食作用媒体による腐食作用から防護されねばならない。そのために実際上、タイロッドにシール装置が付属されている。
【0004】
実際に公知の内燃機関において、タイロッドに付属されたシール装置は、タイロッドの周溝内に配置されるOリングとして形成されている。Oリングを収容するための周溝はタイロッドに切欠き応力を生じさせ、このために、運転中にタイロッドが破損する恐れがある。
【0005】
また、Oリングの上側に腐食作用媒体が溜まり、このために、タイロッドがOリングの上側において腐食し破損する恐れがある。従って、Oリングによるタイロッドの密封は、全体として問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、タイロッド連結部を備えた新たな改良装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1に記載の装置によって解決される。本発明によれば、シール装置はシールスリーブとして形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明において、タイロッドのねじを周囲媒体に対して密封するタイロッドのシール装置はシールスリーブとして形成されている。これにより、従来においてOリングを収容するために必要であったタイロッドの周溝が不要とされる。これにより、タイロッドはより大きく負荷することができ、あるいはまた、負荷容量が同じであるとき、タイロッドはより小さな横断面積にすることができる。また、シールスリーブを利用する場合、ねじの上側に腐食作用媒体が溜まることが防止され、これにより、全般的にタイロッドにおける破損の恐れが低減される。
【0009】
本発明の有利な実施態様において、シールスリーブは2個のシール部位を有し、つまり、密封すべきねじから隔てられた第1端部に第1シール部位を、密封すべきねじに隣接する第2端部に第2シール部位を有し、その第1シール部位が、第2シール部位を腐食作用媒体に対して密封する複数の突出部によって形成され、第2シール部位がタイロッドのねじを腐食作用媒体に対して密封する。
【0010】
シールスリーブは対応したタイロッドの部分区域上に、好適には、かみ合い結合で固定されるが、加硫接続あるいは圧力ばめあるいは接着で固定することもできる。
【0011】
本発明の有利な実施態様は従属請求項および以下の説明から理解できる。以下図を参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図2を参照して本発明を詳細に説明する前に、まず図1を参照して従来技術について説明する。
【0013】
図1は、船舶ディーゼルエンジンの構成品間における従来公知のタイロッド連結部のタイロッド10と船舶ディーゼルエンジンの構成品11の領域を部分断面図で示し、その構成品11はクランクケースである。タイロッド10はその一端12に雄ねじ13を有し、タイロッド10はその雄ねじ13を介して構成品11にねじ結合され、つまり、構成品11に設けられた孔の雌ねじ14にねじ込まれている。
【0014】
タイロッド10と構成品11とのタイロッド連結部のねじを密封するために、タイロッド10にシール装置15が付属されている。このシール装置15は図1の従来技術に応じてOリングとして形成されている。このOリングはタイロッド10の周溝16内に配置され、その周溝16はタイロッド10に切欠き応力を生じさせる。このために、タイロッド10の負荷容量が低減される。
【0015】
また図1のタイロッド連結部の場合、シール装置15の上側においてタイロッド10と構成品10との間に腐食作用媒体が溜まり、その腐食作用媒体に対してタイロッド10のねじがシール装置15により密封されるようにしている。それでも、タイロッド10はシール装置15の上側において腐食による損耗を生じ、このために、タイロッド10がシール装置15のねじの上側で破損する恐れがある。
【実施例1】
【0016】
図2は、本発明に基づく装置のタイロッド10と構成品とのタイロッド連結部を部分断面図で示している。タイロッド17は一端19に雄ねじ20を有し、タイロッド17はその雄ねじ20を介して構成品18にねじ結合され、つまり、構成品18に設けられた孔の雌ねじ21にねじ込まれている。タイロッド17のねじを腐食作用媒体の作用に対して密封するために、本発明においてシールスリーブとして形成されたシール装置22がタイロッド17に付属されている。
【0017】
シールスリーブ22はホース形状ないしパイプ形状を有し、タイロッド17の部分区域上に設けられ、特に加硫接続あるいは圧力ばめあるいは接着で固定されている。あるいは、タイロッドに旋盤加工された凹所にシールスリーブをかみ合い結合で固定することもできる。
【0018】
シールスリーブ22は2個のシール部位を有し、つまり、タイロッド17の密封すべきねじから離れた第1端部23に第1シール部位24を、タイロッド17の密封すべきねじに隣接する第2端部25に第2シール部位26を有している。
【実施例2】
【0019】
この第2シール部位26は、図3に示されているように、代案として例えばOリングの形態の第2シールにより実現することもできる。そのために、スリーブ22は第1端部23における第1シール部位24にしか形成されていない。
【0020】
図2に示された実施例において第1シール部位24は、図3の実施例においても、第2シール部位26を腐食作用媒体に対して密封する複数の突出部27で形成されている。従って、第1シール部位24は、腐食作用媒体が第2シール部位26に達して、その上側に溜まることを防止する。
【0021】
第2シール部位26はタイロッド17のねじを腐食作用媒体に対して密封し、その場合、図示された実施例において、第2シール部位26は、この第2シール部位26がタイロッド17の構成品18への組込み深さに対するストッパを形成するように形状づけられている。その場合、第2シール部位26は、図2に応じて相応して形状づけられた構成品18の部分区域28と協働する。
【0022】
図3では、図2の実施例と異なって、シール部位26が、図2の実施例と同じ作用をするOリングの形態の第2シール29によって密封されている。勿論、Oリング29の代わりに例えば第2スリーブを利用することもできる。
【0023】
それに従って本発明に基づいて、タイロッドねじを密封するために、タイロッド上に固定されたシールスリーブが利用されている。タイロッド上へのシールスリーブの固定は、シールスリーブがタイロッド上に加硫接続あるいは圧力ばめあるいは接着により固定されることによって行われる。シールスリーブはタイロッド上にかみ合い結合でも固定できる。またシールスリーブは組立ストッパとして使われる。
【0024】
本発明の主な利点は、タイロッド上におけるOリングを収容するために使われる周溝が不要となることにある。これにより、タイロッドはより大きく負荷できる。タイロッドの負荷容量が同じである場合、タイロッドの横断面積を減少することができる。これにより、経費および重量の点で有利である。また、シールスリーブを利用する場合、タイロッドにおいて密封すべきねじの上側に腐食作用媒体が溜まる恐れがなくなり、これにより、全体としてタイロッドの腐食負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来におけるタイロッド連結部を備えた装置の部分断面図。
【図2】本発明に基づくタイロッド連結部を備えた装置の部分断面図。
【図3】本発明に基づくタイロッド連結部を備えた装置の異なった実施例の部分断面図。
【符号の説明】
【0026】
10 タイロッド
11 構成品
12 タイロッドの一端
13 雄ねじ
14 雌ねじ
15 シール装置
16 周溝
17 タイロッド
18 構成品
19 タイロッドの一端
20 雄ねじ
21 雌ねじ
22 シール装置
23 第1端
24 第1シール部位
25 第2端
26 第2シール部位
27 突出部
28 部分区域
29 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置における構成品が、該構成品にバイアス圧力を与えるために少なくとも1本のタイロッドを介して互いに結合され、タイロッドのねじを周囲媒体に対して密封するために、前記タイロッドにシール要素が付属されている、タイロッド連結部を備えた装置において、
シール装置が少なくとも1個のシールスリーブ(22)を有していることを特徴とする装置。
【請求項2】
シールスリーブ(22)がホース形状ないしパイプ形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
シールスリーブ(22)が対応したタイロッド(17)の部分区域上にかみ合い結合で固定され、あるいは、加硫接続あるいは圧力ばめあるいは接着で固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
シール装置が2個のシール部位(24、26)を有し、密封すべきねじから離れた第1端部(23)に第1シール部位(24)を、密封すべきねじに隣接する第2端部(25)に第2シール部位(26)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
両シール部位がシールスリーブ(22)によって密封されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
シールスリーブ(22)が第1シール部位(24)を密封し、第2シール部位(26)がOリングの形態の第2シール(29)によって密封されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
第1シール部位(24)が、第2シール部位(26)を周囲媒体に対して密封する複数の突出部(27)によって形成されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
第2シール部位(26)がねじを周囲媒体に対して密封することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
第2シール部位(26)がタイロッド(17)の組込み深さを制限するストッパを形成していることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−82548(P2008−82548A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231351(P2007−231351)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(390041520)エムアーエヌ ディーゼル エスエー (59)
【Fターム(参考)】