説明

タオルハンカチおよびその製造方法

【課題】本発明は糸染を施した原糸を供給糸としたパイル織物から構成され、立毛による立体的及び色彩的な意匠効果を与えたタオルハンカチ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】パイル部及びヘム部から構成されるタオルハンカチであって、該パイル部がパイル経糸、地経糸、及び地緯糸からなり、少なくともパイル経糸が糸染されてなるものであり、ジャカード開口装置を装備した織機を用いてパイル面に意匠柄が付与されているタオルハンカチ。および、ヘム部の捺染による柄付けや薬剤付与をインクジェット捺染により行う前記のようなタオルハンカチの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糸染を施した原糸を供給糸としたパイル織物から構成され、立毛による立体的及び色彩的な意匠効果を与えたタオルハンカチ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タオルハンカチとして製造・販売されているものは綿糸で英式綿番手20番(295デシテックス相当)から英式綿番手30番(197デシテックス相当)の糸で構成されているものが主体であったが、昨今は吸水性、拭取性のほか携帯性等を考慮し、薄手のものの要求も高くなってきている。更には撚方向による残留トルク発現を抑制したり糸条品位や物性を向上させるため、英式綿番手40番双糸(295デシテックス相当)や英式綿番手60番双糸(197デシテックス相当)の糸等も用いられており、更に細い糸も用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−346713号公報
【0003】
タオルハンカチには綿など吸汗性、吸水性に優れた繊維を主体に用いたパイル生地を用いて生産されているが表面凹凸が大きく、いわゆる薄手のハンカチーフのような刺繍やプリント柄等々による意匠性の付与がし難く、無地の商品が主流を占めていた。スクリーンプリントやインクジェットプリント、バブルジェット(登録商標)プリントなど公知の捺染技術を用いて意匠柄を付与することも可能であるが、立毛パイル面への色糊の浸透性(凹凸が大きく、色糊の裏通りもよくない)や白場汚染、白場残り、目ムキ等、品質や品位面で好ましいものが得られ難い。
【0004】
またタオルハンカチには外枠部にヘム部を構成して端面処理しているが、繰り返し摩擦による磨耗減量の結果、特に四隅付近にかけて穴開きや毛羽立ちなどが生じやすく外観品位を損ねることが多い。ヘム部に意匠効果を持たすためにジャカード組織による柄出しをしているものもあるが、糸の浮きが大きい為に摩擦による損傷を受け易い他、スナッグやピリングを誘発し易く外観品位や物性面でも好ましいものにはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は掛かる従来の問題を解決するために、パイル面に意匠効果を持たせると共に摩擦による品位低下や物性低下が起こり易いヘム部の損傷を抑えつつ、所望により細かい意匠柄をヘム部に捺染方法によって付与した新規なタオルハンカチの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は以下の構成からなる。
1. パイル部及びヘム部から構成されるタオルハンカチであって、該パイル部がパイル経糸、地経糸、及び地緯糸からなり、少なくともパイル経糸が糸染されてなるものであり、ジャカード開口装置を装備した織機を用いてパイル面に意匠柄が付与されていることを特徴とするタオルハンカチ。
2. ヘム部が石目組織、斜子組織、平組織のうちのいずれかを少なくとも一部に含む織組織であり、該ヘム部に捺染による柄付けがに施されてなることを特徴とする上記第1に記載のタオルハンカチ。
3. パイル部がループパイルで構成されてなり、パイル経糸、地経糸、地緯糸の少なくとも1つはセルロース系繊維を80重量%以上含む糸であることを特徴とする上記第1又は第2に記載のタオルハンカチ。
4. ヘム部に精紡交撚糸又はラップスピニング(トライスピン)方式で得られた糸を用いて製織されてなることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載のタオルハンカチ。
5. ヘム部を構成する精紡交撚糸の総繊度が英式綿番手表示で20番〜5番であることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載のタオルハンカチ。
6. パイル部及び/又はヘム部に抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤、吸水・吸汗加工剤の少なくとも1種をスプレー法で付与されてなることを特徴とする上記第1〜第5のいずれかに記載のタオルハンカチ。
7. ヘム部の捺染による柄付けをインクジェット捺染により行うことを特徴とする上記第2〜第6に記載のタオルハンカチの製造方法。
8. パイル部及び/又はヘム部への抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤、吸水・吸汗加工剤の少なくとも1種のスプレー法での付与をインクジェット捺染により行うことを特徴とする上記第7に記載のタオルハンカチの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば糸染された供給原糸をパイル糸に供給すると共にジャカード開口装置によって立体的及び色彩的に優れた意匠効果を持たせることが出来る。また、ヘム部を表面毛羽が少なく強度的にも優れた精紡交撚糸又はラップスピニングにより得られる糸を用いることによって消費科学的、特に耐摩耗性に優れたタオルハンカチを仕上げることが出来る。また、抗菌加工など各種機能加工剤をインクジェット捺染装置によるヘム部への意匠柄捺染と同時にハンカチ全体にスプレー法によって処理することにより、機能加工剤の使用量を最低限に留めることが可能となりコスト的にも排水負荷など環境に及ぼす影響も最低限に留めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のタオルハンカチは、糸染を施した原糸を供給原糸として使用するものであるが、糸染にはオーバーマイヤー染色機によるチーズ染やかせ染、その他公知の技術を用いて染色することが可能である。染色前には必要に応じて精練、漂白処理をすることも可能であるし、綿紡績糸若しくは綿混紡績糸の場合は糸によるシルケット加工を施してもよい。また染色同浴または別浴で吸水・吸汗加工やSR加工など機能加工を施してもよい。また更にはタオルハンカチとした後に気相ホルマリン処理等による形態安定加工を施すことも出来る。
【0009】
製織の際には市販、公知のジャカード開口装置を搭載した織機で製織することが出来る。織機もレピアルーム、プロジェクタイルルーム、エアージェットルーム等々公知の機種を用いて製織が可能である。パイル部及びヘム部はジャカード開口装置を搭載した織機で一枚ものとして織物生地を織成してもよいし、パイル部とヘム部とを別々の織機で生地織成した後、裁断及び縫製し一体化してもよい。製織して得られた生地はオープンソーパーやロータリーワッシャーなど公知の装置を用いて油剤や糊剤等の精練除去等を施し乾燥処理される。乾燥工程ではショートループドライヤー、シリンダードライヤー等の公知のドライヤー設備、及びヒートセッターの使用が可能である。布目曲り抑制のため、布目矯正は充分に実施しておくことが望ましい。また精練後の任意の工程において、静電気防止剤や柔軟剤などを処理しておくことも可能である。
【0010】
得られた生地を常法に従ってハンカチの大きさに裁断し、ヘム部を常法に従いミシンで縫製してハンカチを得る。ハンカチのヘム部は特にデザイナーズブランド商品においてはロゴなど細かい意匠を用いる場合が多い。ジャカード開口装置を用いてパイル面に織柄で細かい意匠を表現するには限界があり、またパイル面に捺染技術を用いて細かい意匠を表現することも表面凹凸があるために非常に困難だが、非パイル部であるヘム部に意匠柄をインクジェットによる捺染方法で処理することにより、非捺染部の汚染を防止すると共に染液(色糊)ロスを軽減させることが出来る。上記捺染方法で色糊を付与した後は使用している繊維に応じた発色条件、洗浄条件で処理すればよい。
【0011】
インクジェット捺染機(例えば東伸工業社製ICHINOSE2020型、コニカミノルタIJ社製ナッセンジャー(登録商標)V型など)を用いたスプレー法によって生地表面に抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤や吸水・吸汗加工剤などの機能薬剤処理をすることが好ましいが、その際に、ハンカチの端部にあたるヘム部にインクジェット捺染機による捺染で微細柄を付与することが好ましい。機能加工剤及び染料を生地表面に処理した後、表面温度100〜120℃程度で予備乾燥した後、雰囲気温度150〜180℃のベーキング処理を施し、十分に湯洗、水洗を繰り返して余分な染料や薬剤を除去した後に乾燥、生地布目矯正等を施して仕上げる。
【0012】
摩擦を強く受けるヘム部にジャカード装置で柄入れをしたものは糸の浮きが大きいために糸の損傷が著しく、磨耗減量による穴開きや解れ、毛羽立ちが生じやすく繰り返し使用による品位劣化が問題であったが、石目組織や斜子組織、平組織など平織を基礎とする織組織を採用し、しかもサイロスパン方式やラップスピニング(トライスピン)方式による精紡方法を採用することにより、長繊維束で短繊維群を被覆し、表面毛羽を抑制すると共に光沢のある均斉な外観品位が得られ、インクジェット方式による捺染によってもにじみが少なく、微細な柄だしが可能となるのである。石目組織や斜子組織、平組織など平織を基礎とする織組織は比較的組織点が多く耐摩擦特性に優れ、スナッグも生じ難い。
【0013】
ヘム部に使用する精紡交撚糸は、2本の粗糸をドラフト後に撚糸ゾーンで引き揃えながら撚糸するサイロスパン方式を代表例とするもので好ましく採用できる。また、粗糸をドラフトしながらその繊維に他の繊維を捲き付けるラップスピニング(トライスピン)方式による均斉性のよい糸も好ましく採用することができる。また2本の粗糸を用いたサイロスパン方式で下流部へエアー吸引させながら撚糸させる方法は表面毛羽を少なくして糸条の均斉性を高めると共に、繊維の強力利用率改善が期待され好ましい。
【0014】
またラップスピニング(トライスピン)方式を採用する場合は紡績糸外観を損なわないようにフィラメント(長繊維)の混率は70重量%以下、好ましくは60重量%以下とすることが好ましい。混紡するフィラメントはモノフィラメント、マルチフィラメントの何れでもよく、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、セルロース系繊維などの合成繊維、半合成繊維、再生繊維であってもよい。また単糸繊度、総繊度、断面形状も何ら限定されるものではなく公知のものを採用することが出来る。更にフラットヤーンのみならず仮撚加工糸などバルキーヤーンも好適に使用可能である。フィラメント(長繊維)混率が70重量%を超過すると紡績糸様のナチュラルな毛羽外観や嵩高性が薄れ、フィラメント様の人工的な光沢が生じやすくあまり好ましくない。
【0015】
また、抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤、吸水・吸汗加工剤の少なくとも1種の機能加工剤をスプレー法でヘム部への微細柄捺染と同工程にて処理することが出来る。微細柄捺染と同工程で行えるため、インクジェット捺染装置を用いたスプレー法による付与が好ましい。抗菌・消臭加工剤及び制菌加工剤としてはライオナイト(登録商標)PF(ライオン社製)、ノバロン(登録商標)(東亜合成社製)、ニッカノンRB(日華化学社製)、DC−5700(東レ・ダウケミカル社製)マルカサイド(登録商標)YP−DP(大阪化成社製)、吸水・吸汗加工剤としてはSR−1800、SR−1801M CONC(何れも高松油脂社製)、アクアプレン(登録商標)WS−10(明成化学社製)などが好ましく例示される。これらの加工薬剤はインクジェット捺染設備によってスプレー法により生地に処理されることが好ましいが、インクジェットのノズル詰りが生じないよう濃度調整、温度調整することが好ましい。
【0016】
パイル部は触感や吸水・吸汗特性を向上させる為、パイル糸及び/又は地糸が少なくともセルロース系繊維を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含むものが好ましい。パイル部及び/又は地糸を構成するセルロース系繊維の含有量が80重量%より低くなると、充分な吸水・吸汗特性が得られず水分拭取性が悪くなる他、濡れた状態でポケットに保管すると水分が逆流してポケットを濡らしてしまいあまり好ましくない。セルロース系繊維としては主たる構成単位としてβ‐セルロースを含む繊維であり、天然繊維として綿や麻、ケナフ、バンブーなど、再生繊維としてビスコースレーヨン及び銅アンモニアレーヨン等々を例示することが出来る。
【0017】
ハンカチのヘム部を構成する精紡交撚糸またはラップスピニング糸の総繊度は英式綿番手で20番(295デシテックス相当)〜5番(1180デシテックス相当)であることが好ましく、より好ましくは10番(590デシテックス相当)〜7番(843デシテックス相当)である。該総繊度が20番より細いと、ヘム部が薄くなりすぎ力学的強度面で消費性能を満足するものにはなり難くあまり好ましくない。また逆に5番より著しく太いと、ヘム部が厚くなりすぎ、折畳み収納性が悪くなり好ましくない。該精紡交撚糸は単糸のみならず双糸や3子撚糸などであってもよい。
【0018】
パイル糸を構成する糸条及び地糸を構成する糸条の総繊度は特に限定するものではないがそれぞれ英式綿番手で15番(393デシテックス相当)〜5番(1180デシテックス相当)の範囲、30番(197デシテックス相当)〜10番(590デシテックス相当)が好ましく例示される。パイル密度やパイル高さも特に限定を加えるものではなく吸水・吸汗性能や意匠性等々を考慮し適宜設定すればよい。パイル糸及び地糸についても単糸に何ら限定されるものではなく必要に応じて双糸や3子撚糸などであってもよい。
【0019】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
パイル経として英式綿番手20番双糸(590デシテックス相当)の綿100%精紡糸、地糸として英式綿番手40番双糸(295デシテックス相当)の綿100%精紡糸、ヘム部を構成する糸として綿繊維にポリエステル84デシテックス72フィラメントマルチフィラメント糸がラッピングされた英式綿番手10番(590デシテックス相当)ラップスピニング(トライスピン)糸[エステル:綿混率=15重量%:85重量%]を準備し、それぞれを多数の孔を開けたアルミダイキャスト製ダイチューブにソフトワインドし、高圧オーバーマイヤー染色機を用いて精練処理を施した後、脱水し、反応染料及び分散染料による染色、綿繊維側へのフィックス処理、湯洗・水洗、油剤付与を実施し、脱水・乾燥後にリワインダーを用いてパッケージに巻き返し、複数色に染色された糸染めパッケージを得た。
【0021】
ジャカード開口装置を装備したタオル織機(レピアルーム)に経糸として上記パイル経糸(英式綿番手12番)及び地糸(英式綿番手40番双糸)を配色を考慮し、それぞれ2本の別箇のウィーバースビームに巻き取って経糸とした。また緯糸には地糸(英式綿番手40番双糸)を用いて、経パイル糸密度30本/2.54cm、経地糸密度30本/2.54cm、緯糸密度が40本/2.54cmになるよう製織してパイル織物を得た。
【0022】
また、ヘム部を構成する織物を別箇に織成すべく、英式綿番手10番(590デシテックス相当)ラップスピニング(トライスピン)糸を経緯双方に用い、エアージェットルームによる石目組織にて経密度20本/2.54cm、緯密度20本/2.54cmに製織した。得られたパイル織物、及びヘム部を構成する織物をオープンソーパーで精練処理した後、乾燥して仕上げた。引き続き、所定のハンカチのサイズに裁断した後、パイル部とヘム部を縫製一体化してハンカチ形状を得た。縫製後のハンカチについて東伸工業社製ICHINOSE2020型インクジェット捺染機を使用しヘム部への微細柄捺染(反応染料及び分散染料)及び全面へ抗菌・消臭加工剤を処理し、雰囲気温度120℃の予備乾燥及び雰囲気温度180℃のベーキング処理を実施し、洗浄した後に柔軟仕上剤を付与し乾燥、布目矯正をしてハンカチを得た。得られたタオルハンカチはジャカード柄による意匠性や色彩感に優れ、強度的に優れたヘム部を有すると共に、抗菌・消臭加工の併用によって昨今の消費者要求に対応したタオルハンカチとなった。
【0023】
(実施例2)
実施例1で得られたパイル経糸、地経糸、ヘム部経糸を用い、パイル経糸のみを配列して構成したウィーバースビーム、経経糸及びヘム部経糸を配列して構成したウィーバースビームの2本を作成し、緯糸には地糸(英式綿番手40番双糸)を用い、ジャカード開口装置を装備したタオル織機(レピアルーム)によってパイル部及びヘム部が一体となった織物生地を得た。経パイル糸密度は30本/2.54cm、経地糸密度は30本/2.54cm、ヘム部経密度は20本/2.54cm、緯糸密度が40本/2.54cmである。
【0024】
得られた織物生地オープンソーパーで精練処理した後、乾燥し、布目矯正して仕上げた後、東伸工業社製ICHINOSE2020型インクジェット捺染機を使用しヘム部への微細柄捺染(反応染料及び分散染料)及び全面へ抗菌・消臭加工剤を処理し、雰囲気温度120℃の予備乾燥及び雰囲気温度180℃のベーキング処理を実施し、洗浄した後に柔軟仕上剤を付与し乾燥し、再び布目矯正をした。その後、所定のハンカチの形状に裁断・縫製してタオルハンカチを得た。得られたタオルハンカチはジャカード柄による意匠性や色彩感に優れ、強度的に優れたヘム部を有すると共に、抗菌・消臭加工の併用によって昨今の消費者要求に対応したタオルハンカチとなった。
【0025】
(比較例1)
実施例1で得られた糸染め前のパイル経糸、地経糸、ヘム部経糸、及び地緯糸を用い、実施例2同様の方法でパイル部とヘム部が一体化した織物を得た。得られた織物生地オープンソーパーで精練処理した後、乾燥し、布目矯正して仕上げた後、東伸工業社製ICHINOSE2020型インクジェット捺染機を使用しパイル部及びヘム部への微細柄捺染(反応染料及び分散染料)及び全面へ抗菌・消臭加工剤を処理し、雰囲気温度120℃の予備乾燥及び雰囲気温度180℃のベーキング処理を実施し、洗浄した後に柔軟仕上剤を付与し乾燥し、再び布目矯正をした。その後、所定のハンカチの形状に裁断・縫製してタオルハンカチを得た。得られたタオルハンカチは捺染用染料が充分浸透しておらず、白場汚染、白場残り、目ムキが生じてしまい、品位面で好ましいものには成らなかった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のタオルハンカチは柄意匠性に優れると共に繰り返し使用によってもヘム部の損傷が少なく、外観品位及び物性面を両立したタオルハンカチの提供を可能とするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル部及びヘム部から構成されるタオルハンカチであって、該パイル部がパイル経糸、地経糸、及び地緯糸からなり、少なくともパイル経糸が糸染されてなるものであり、ジャカード開口装置を装備した織機を用いてパイル面に意匠柄が付与されていることを特徴とするタオルハンカチ。
【請求項2】
ヘム部が石目組織、斜子組織、平組織のうちのいずれかを少なくとも一部に含む織組織であり、該ヘム部に捺染による柄付けがに施されてなることを特徴とする請求項1に記載のタオルハンカチ。
【請求項3】
パイル部がループパイルで構成されてなり、パイル経糸、地経糸、地緯糸の少なくとも1つはセルロース系繊維を80重量%以上含む糸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタオルハンカチ。
【請求項4】
ヘム部に精紡交撚糸又はラップスピニング(トライスピン)方式で得られた糸を用いて製織されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタオルハンカチ。
【請求項5】
ヘム部を構成する精紡交撚糸の総繊度が英式綿番手表示で20番〜5番であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタオルハンカチ。
【請求項6】
パイル部及び/又はヘム部に抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤、吸水・吸汗加工剤の少なくとも1種をスプレー法で付与されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタオルハンカチ。
【請求項7】
ヘム部の捺染による柄付けをインクジェット捺染により行うことを特徴とする請求項2〜6に記載のタオルハンカチの製造方法。
【請求項8】
パイル部及び/又はヘム部への抗菌・消臭加工剤、制菌加工剤、吸水・吸汗加工剤の少なくとも1種のスプレー法での付与をインクジェット捺染により行うことを特徴とする請求項7に記載のタオルハンカチの製造方法。

【公開番号】特開2007−190323(P2007−190323A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13717(P2006−13717)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】