説明

タカン地上装置、該装置に用いられる受信信号監視方法及び受信信号監視プログラム

【課題】タカン機上装置から距離質問電波を受けるときに妨害波が存在する場合でも、正常に運用されるタカン地上装置を提供する。
【解決手段】受信信号監視手段(干渉波監視部16、同軸スイッチ17)により、受信信号取得手段(サーキュレータ14)により取り出された受信信号rsが各方位毎に監視され、CW妨害波が含まれている場合、同CW妨害波が存在する方位の受信信号rsが遮断され、CW妨害波のない方位の受信信号rsが取り出され、受信信号合成手段(合成器18)により合成されて合成信号csが出力される。受信手段(受信機19)により、合成信号csが受信され、受信機出力信号rmが出力される。送信手段(送信機11)により、所定の遅延時間経過後に、受信信号rsに対する応答送信信号(応答送信パルスps)が出力される。モニタ部20により、応答送信パルスpsが監視される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タカン(TACAN;Tactical Air Navigation 、戦術航法装置)地上装置、該装置に用いられる受信信号監視方法及び受信信号監視プログラムに係り、特に、タカン機上装置から当該タカン地上装置に対する距離を質問するための距離質問電波を受信するときに、干渉源による妨害波が存在する場合に用いて好適なタカン地上装置、該装置に用いられる受信信号監視方法及び受信信号監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タカン地上装置は、タカン機上装置から同タカン地上装置に対する距離を質問するための距離質問電波を受け、同距離質問電波に対する応答電波を送信する。この後、タカン機上装置では、距離質問電波を発射してから応答電波を受信するまでの時間経過に基づいて、タカン地上装置までの距離を測定する。また、上記タカン地上装置では、同装置の動作状況を常時監視するために、自ら質問信号(自己診断用質問電波)を繰り返し発生して受信機に入力し、規定された遅延時間後の応答送信パルスをモニタすることにより、自己診断を行う。この応答送信パルスが規定の遅延時間後の応答以外の場合、タカン地上装置は、動作異常と自己診断し、この異常状態が規定時間以上継続する場合は、運用を停止(シャットダウン)する。
【0003】
この種のタカン地上装置は、たとえば図3に示すように、送信機1と、分配器2と、変調器3と、サーキュレータ4と、空中線5と、受信機6と、モニタ部7とから構成され、タカン機上装置8により選択されている。また、空中線5内では、図4に示すように、円周上にコラムアレイ5aが複数配置されている。
このタカン地上装置では、タカン機上装置8から発生する距離質問電波qaが空中線5のコラムアレイ5aにて受信され、変調器3及び分配器2を経てサーキュレータ4により受信機6に入力される。また、自己診断用質問電波qbは、CW妨害波がない場合、距離質問電波qaと合わせて受信機6に入力されて自己診断用の質問信号として判定され、図5に示すように、システム遅延時間Td後に、送信機1から応答送信パルスpsが発生し、サーキュレータ4、分配器2、変調器3及び空中線5を経て応答電波dp(すなわち、タカン方位信号)がタカン機上装置8に送信される。この場合、モニタ部7により、自己診断用質問電波qbと応答送信パルスpsとの時間間隔が計測され、規定のシステム遅延時間Td後に正常に応答送信パルスpsが出力されるとき、正常と判断される。
【0004】
一方、図4に示すように、空中線5に対して特定の方向に干渉源Fがある場合、対面するコラムアレイ5aにCW妨害波が混入する。この場合、CW妨害波は、そのまま受信機6に混入される。図6に示すように、自己診断用質問電波qbに比べて、外部から混入するCW妨害波のレベルが高い場合、受信機6により自己診断用の質問信号として処理されないため、送信機1から応答送信パルスpsが発生しない。このため、自己診断用質問電波qbを基準として、システム遅延時間Td後に応答送信パルスpsが存在しないので、モニタ部7により異常と判断される。この異常状態が規定時間以上継続する場合、このタカン地上装置は運用を停止する。
【0005】
上記のタカン地上装置の他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された受信装置がある。
この受信装置では、アンテナ部によりN個のアンテナ素子で到来電波が受信され、方位測定回路によりN素子アンテナ信号に対して到来電波全ての方位情報が測定される。信号比較回路により、方位情報に基づき、全てのN素子アンテナ信号の到来電波の信号レベル及び周波数成分が分析され、予め保持している希望波、干渉波それぞれの分析情報と比較することで、各電波の受信信号が希望波と干渉波とに区別される。干渉波抑圧回路により、アンテナ部からN素子アンテナ信号が取り込まれ、信号比較結果に基づき干渉波到来方向の信号をDCMP(Directionally Constrained Minimization Power)方法を用いて抑圧し、希望波到来方向の信号のみが抽出され、復調回路により、抽出された信号が復調処理され、希望波によって伝送される情報信号が得られる。
【0006】
また、特許文献2に記載された電子走査アンテナでは、円筒状アンテナの開口の一部を用い、指向性パターンのサイドローブよりも高いレベルの干渉波抑圧用パターンが形成されて円周上に切り替えて用いられる。
【0007】
また、特許文献3に記載されたタカン空中線方位監視装置では、電子走査式タカン空中線の方位監視を行う際、たとえば、可変方位信号の位相変化と搬送波の位相変化が監視される。可変方位信号の位相変化を監視する際、36アレー空中線からのピックアップ信号(パルス信号)が検波されてピークホールド回路で各アレー空中線の送信レベルが検出される。そして、この送信レベル信号(ピークレベル信号)がデジタル的位相補正・合成され、可変方位信号の波形解析が行われ、方位(位相)の変化が監視される。搬送波位相の変化を監視する際、アレー空中線からのピックアップ信号がローカル信号でミキシングされて位相検波器で位相の変化が監視される。
【0008】
また、特許文献4に記載されたトランスポンダ装置では、CW信号の周波数成分が検出されるので、時間による検出方式に比して精度が向上し、機上装置からの質問パルスのCW干渉の抑圧及び妨害CW信号に埋められた質問パルスの検出が可能となり、運用停止に至る問題が解決する。
【0009】
また、特許文献5に記載されたトランスポンダ装置では、質問信号に重畳されるCW信号の洩れが微少である場合はIF増幅器出力が、また、CW信号の洩れが大きい場合は、逆対数増幅器出力が、アナログスイッチで選択接続されるので、CW信号の洩れが大きい場合でも、質問信号のCW干渉が抑圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−174206号公報
【特許文献2】特開平04−084502号公報
【特許文献3】特開平10−160813号公報
【特許文献4】特許第2600688号公報
【特許文献5】特公平07−018922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図3のタカン地上装置では、空中線5が無指向性のため、全方位からCW妨害波を受けやすい。このため、自己診断用質問電波qbの信号レベル以上のCW妨害波が一方向からでも混入すると、受信機6が同自己診断用質問電波qbを受信できなくなり、送信機1から応答送信パルスpsが発生しなくなるため、運用停止となるという課題がある。
【0012】
また、特許文献1に記載された受信装置では、電波の到来方向が揺らいだとしても、近接し混在している希望波と干渉波とが区別され、干渉波のみが抑圧され、希望波を専属的に復調可能であるが、干渉波を抑圧する構成とされている他、この発明とは構成や処理方法が異なる。
【0013】
特許文献2に記載された電子走査アンテナでは、アンテナを高くすることなく干渉波の抑圧が可能となり、また、高利得の干渉波抑圧用パターンが形成されるため、干渉波に対する抑圧効果が著しく改善されるが、特許文献1と同様に、干渉波を抑圧する構成とされている他、この発明とは構成や処理方法が異なる。
【0014】
特許文献3に記載されたタカン空中線方位監視装置では、ハード構成が簡単になるが、この発明とは構成や処理方法が異なり、上記の問題点を改善するものではない。
【0015】
特許文献4に記載されたトランスポンダ装置では、運用上許容できない強度の妨害波が発生した場合は、運用停止に至る問題を解決する機能は有していないという課題がある。
【0016】
特許文献5に記載されたトランスポンダ装置では、CW信号の洩れが大きい場合でも、質問信号のCW干渉が抑圧されるが、特許文献4と同様に、運用上許容できない強度の妨害波が発生した場合は、運用停止に至る問題を解決する機能は有していないという課題がある。
【0017】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、自己診断用質問電波や、タカン機上装置の距離質問電波を受けるとき、妨害波が存在する場合でも、正常に運用されるタカン地上装置、該装置に用いられる受信信号監視方法及び受信信号監視プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、タカン地上装置に係り、無指向性の空中線と、自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生手段と、前記空中線に対応する各方位に対応して設けられ、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得手段と、該受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視手段と、該受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成手段と、該受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信手段と、該受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信手段と、該送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配手段と、該分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調手段と、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視手段とを備えてなることを特徴としている。
【0019】
この発明の第2の構成は、無指向性の空中線を有するタカン地上装置に用いられる受信信号監視方法に係り、自己診断用質問電波発生手段が、自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生処理と、前記空中線に対応する各方位に対応して設けられた受信信号取得手段が、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得処理と、受信信号監視手段が、前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視処理と、受信信号合成手段が、前記受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成処理と、受信手段が、前記受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信処理と、送信手段が、前記受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信処理と、分配手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配処理と、変調手段が、前記分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調処理と、応答送信信号監視手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視処理とを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
この発明の構成によれば、妨害波が混入されても、妨害波を遮断することができるため、運用停止を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態であるタカン地上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の干渉波監視部16の電気的構成、同軸スイッチ17及び合成器18を示す図である。
【図3】関連技術に係るタカン地上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図3中の空中線5内に配置されているコラムアレイ5aの構成を示す図である。
【図5】CW妨害波がない場合の図3のタカン地上装置の動作を説明する波形図である。
【図6】CW妨害波がある場合の図3のタカン地上装置の動作を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記受信信号監視手段(干渉波監視部、同軸スイッチ)は、上記各方位に対応して設けられ、与えられた遮断制御信号がアクティブモードのときに上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号を遮断する一方、上記遮断制御信号がノンアクティブモードのときに上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号を通過させる遮断/通過手段(複数の同軸スイッチ)と、上記受信信号取得手段(サーキュレータ)により取り出された上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号を上記各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、同妨害波が存在する方位に対応する上記遮断/通過手段にアクティブモードの上記遮断制御信号を与える一方、上記妨害波が存在しない方位に対応する上記遮断/通過手段にノンアクティブモードの上記遮断制御信号を与える妨害波監視手段(干渉波監視部)とから構成されているタカン地上装置を実現する。
【0023】
また、上記妨害波監視手段(干渉波監視部)は、上記各方位に対応して設けられ、上記受信信号取得手段(サーキュレータ)により取り出された上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号を上記各方位毎に検知する受信信号検知手段(検知器)と、上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号に上記妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている基準レベル設定部(レベル設定回路)と、上記各方位に対応して設けられ、上記受信信号検知手段(検知器)により検知された上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号のレベルを上記基準レベルと比較して、同基準レベル以上のときにアクティブモードの上記遮断制御信号を出力する一方、同基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの上記遮断制御信号を出力する複数のレベル比較回路(CW妨害波レベル比較回路)とから構成されている。
【0024】
また、上記妨害波監視手段(干渉波監視部)は、上記各レベル比較回路(CW妨害波レベル比較回路)から出力される上記各遮断制御信号のモードに基づいて、上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号の上記妨害波の有無を上記各方位毎に解析する受信信号解析手段(受信信号解析部)と、同受信信号解析手段(受信信号解析部)による解析結果に基づいて、上記妨害波の有無を上記各方位毎に表示する表示手段(表示部)とを有する。
【0025】
また、上記妨害波監視手段(干渉波監視部)は、上記各レベル比較回路(CW妨害波レベル比較回路)から出力される上記各遮断制御信号のモードに基づいて、上記自己診断用受信信号又は/及び上記距離質問受信信号の上記妨害波の有無を上記各方位毎に解析する受信信号解析手段(受信信号解析部)と、同受信信号解析手段(受信信号解析部)による解析結果に基づいて、上記妨害波が存在するとき、警報(アラーム)を報知する報知手段(報知部)とを有する。
【実施形態】
【0026】
図1は、この発明の一実施形態であるタカン地上装置の電気的構成を示すブロック図である。
この形態のタカン地上装置は、同図に示すように、送信機11と、分配器12と、変調器13と、サーキュレータ14,14,…,14と、空中線15と、干渉波監視部16と、表示部16aと、報知部16bと、同軸スイッチ17と、合成器18と、受信機19と、モニタ部20とから構成され、図3と同様に、タカン機上装置8により選択されている。また、空中線15内では、図4と同様に、円周上にコラムアレイ15a,15a,…,15aが複数配置され、同空中線15が無指向性に構成されている。また、このタカン地上装置は、図示しない自己診断用質問電波発生手段を有している。自己診断用質問電波発生手段は、同タカン地上装置の動作状況を常時監視するための自己診断用質問電波qbを所定の時間間隔で繰り返し発生して空中線15のコラムアレイ15aに受信させる。
【0027】
サーキュレータ14は、空中線15のコラムアレイ15aに対応する各方位に対応して設けられ、受信信号rsとして、同空中線15により受信された自己診断用質問電波qbに対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置8から送信されて空中線15により受信された、当該タカン地上装置に対する距離を質問するための距離質問電波qaに対応する距離質問受信信号を取り出す。同軸スイッチ17は、空中線15のコラムアレイ15aに対応する各方位に対応して設けられ、干渉波監視部16から与えられた同軸スイッチ制御信号a(遮断制御信号)がアクティブモードのときに受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)を遮断する一方、同軸スイッチ制御信号a(遮断制御信号)がノンアクティブモードのときに受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)を通過させる。
【0028】
干渉波監視部16は、サーキュレータ14により取り出された受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)を空中線15に対応する各方位毎に監視し、干渉源によるCW妨害波が含まれている場合、同CW妨害波が存在する方位に対応する同軸スイッチ17にアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aを与える一方、同CW妨害波が存在しない方位に対応する同軸スイッチ17にノンアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aを与える。この干渉波監視部16により妨害波監視手段が構成され、受信信号監視プログラムに基づいて機能するコンピュータで構成されている。また、上記干渉波監視部16及び同軸スイッチ17により、受信信号監視手段が構成され、受信信号rsを各方位毎に監視し、CW妨害波が含まれている場合、同CW妨害波が存在する方位の受信信号rsを遮断して、CW妨害波のない方位の受信信号rsを取り出す。表示部16aは、CW妨害波の有無を各方位毎に表示する。報知部16bは、CW妨害波が存在するとき、警報(アラーム音や光)を報知する。
【0029】
合成器18は、受信信号監視手段(干渉波監視部16、同軸スイッチ17)で取り出された上記CW妨害波のない方位の受信信号rsを合成して合成信号csを出力する。受信機19は、合成器18から出力される合成信号csを受信して復調し、自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号であることを判定したとき、受信機出力信号rm(受信出力信号)を出力する。送信機11は、受信機19から受信機出力信号rmが出力されたとき、所定の遅延時間(たとえば、図5中のシステム遅延時間Td)経過後に、自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号に対する応答送信パルスps(応答送信信号)を出力する。モニタ部20は、送信機11から発生する応答送信パルスpsを監視する。分配器12は、送信機11から出力される応答送信パルスpsを空中線15のコラムアレイ15aに対応させて分配する。変調器13は、振幅変調器で構成され、分配器12で分配された応答送信パルスpsをタカン方位信号に変調し、サーキュレータ14及び空中線15のコラムアレイ15aを経て出力する。
【0030】
図2は、図1中の干渉波監視部16の電気的構成、同軸スイッチ17及び合成器18を示す図である。
この干渉波監視部16は、図2に示すように、検知器31,31,…,31と、CW妨害波レベル比較回路32,32,…,32と、レベル設定回路33と、受信信号解析部34とから構成されている。検知器31は、空中線15のコラムアレイ15aに対応する各方位に対応して設けられ、サーキュレータ14により取り出された受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)を上記各方位毎に検知する。レベル設定回路33は、受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)にCW妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている。CW妨害波レベル比較回路32は、空中線15のコラムアレイ15aに対応する各方位に対応して設けられ、検知器31により検知された受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)のレベルを上記基準レベルと比較して、基準レベル以上のときにアクティブモードの同軸スイッチ制御信号a(遮断制御信号)を出力する一方、同基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aを出力する。
【0031】
受信信号解析部34は、CW妨害波レベル比較回路32から出力される同軸スイッチ制御信号aのモードに基づいて、受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)のCW妨害波の有無を各方位毎に解析する。表示部16aは、受信信号解析部34による解析結果に基づいて、CW妨害波の有無を各方位毎に表示する。報知部16bは、受信信号解析部34による解析結果に基づいて、CW妨害波が存在するとき、警報(アラーム)を報知する。
【0032】
次に、この形態のタカン地上装置に用いられる受信信号監視方法の処理内容について説明する。
このタカン地上装置では、自己診断用質問電波発生手段により、自己診断用質問電波qbが繰り返し発生され、空中線15のコラムアレイ15aで受信される(自己診断用質問電波発生処理)。サーキュレータ14により、受信信号rsとして、空中線15により受信された自己診断用質問電波qbに対応する自己診断用受信信号が取り出されると共に、タカン機上装置8から送信されて同空中線15により受信された距離質問電波qaに対応する距離質問受信信号が取り出される(受信信号取得処理)。受信信号監視手段(干渉波監視部16、同軸スイッチ17)により、サーキュレータ14により取り出された受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)が空中線15に対応する各方位毎に監視され、CW妨害波が含まれている場合、同CW妨害波が存在する方位の受信信号rsが遮断され、CW妨害波のない方位の受信信号rsが取り出される(受信信号監視処理)。
【0033】
この受信信号監視処理では、干渉波監視部16により、サーキュレータ14により取り出された受信信号rsが各方位毎に監視され、CW妨害波が含まれている場合、同CW妨害波が存在する方位に対応する同軸スイッチ17にアクティブモードの同軸スイッチ制御信号a(遮断制御信号)が与えられる一方、同CW妨害波が存在しない方位に対応する同軸スイッチ17にノンアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aが与えられる(妨害波監視処理)。この妨害波監視処理では、検知器31により、サーキュレータ14により取り出された受信信号rsが各方位毎に検知される(受信信号検知処理)。CW妨害波レベル比較回路32により、検知器31により検知された受信信号rsのレベルがレベル設定回路33の基準レベルと比較され、同基準レベル以上のときにアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aが出力される一方、同基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの同軸スイッチ制御信号aが出力される(レベル比較処理)。
【0034】
同軸スイッチ17により、与えられた同軸スイッチ制御信号aがアクティブモードのときに受信信号rsが遮断される一方、同軸スイッチ制御信号aがノンアクティブモードのときに受信信号rsを通過させる(遮断/通過処理)。また、上記妨害波監視処理では、受信信号解析部34により、CW妨害波レベル比較回路32から出力される各同軸スイッチ制御信号aのモードに基づいて、受信信号rsのCW妨害波の有無が各方位毎に解析され(受信信号解析処理)、表示部16aにより、受信信号解析部34による解析結果に基づいて、CW妨害波の有無が各方位毎に表示される(表示処理)。また、報知部16bにより、受信信号解析部34による解析結果に基づいて、CW妨害波が存在するとき、警報(アラーム)が報知される(報知処理)。
【0035】
合成器18により、上記受信信号監視手段(干渉波監視部16、同軸スイッチ17)で取り出されたCW妨害波のない受信信号rsが合成されて合成信号csが出力される(受信信号合成処理)。受信機19により、合成器18から出力される合成信号csが受信されて復調され、受信信号rs(自己診断用受信信号又は/及び距離質問受信信号)であることが判定されたとき、受信機出力信号rmが出力される(受信処理)。送信機11により、受信機19から受信機出力信号rmが出力されたとき、所定の遅延時間(システム遅延時間Td)経過後に、受信信号rsに対する応答送信パルスps(応答送信信号)が出力される(送信処理)。モニタ部20により、送信機11から出力される応答送信パルスpsが監視される(応答送信信号監視処理)。分配器12により、送信機11から出力される応答送信パルスpsが空中線15のコラムアレイ15aに対応させて分配される(分配処理)。変調器13により、分配器12で分配された応答送信パルスpsがタカン方位信号tfに変調され、サーキュレータ14及び空中線15を経て応答電波dpとして出力される(変調処理)。
【0036】
以上のように、この実施形態では、空中線15のコラムアレイ15aからの受信信号rsがサーキュレータ14により取り出されて干渉波監視部16でレベルが監視され、CW妨害波が到来したと判断された場合は、その方向の受信信号rsのみが同軸スイッチ17により遮断されて受信機19に入力されないので、CW妨害波の影響を受ける方位も含め、全方位に対応してタカン方位信号tfの出力のための応答送信パルスpsが正常に出力されてモニタ部20による監視結果が正常として判定され、運用停止が回避される。また、表示部16aにより、受信信号解析部34による解析結果に基づいて、CW妨害波の有無が各方位毎に表示されるので、CW妨害波の有無がユーザに円滑に認識される。また、CW妨害波が存在するとき、報知部16bにより、受信信号解析部34による解析結果に基づいて警報が報知されるので、CW妨害波の有無がユーザに円滑に認識される。
【0037】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
【0038】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0039】
(付記1)
無指向性の空中線と、
自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生手段と、
前記空中線に対応する各方位に対応して設けられ、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得手段と、
該受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視手段と、
該受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成手段と、
該受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信手段と、
該受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信手段と、
該送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配手段と、
該分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調手段と、
前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視手段とを備えてなるタカン地上装置。
【0040】
(付記2)
前記受信信号監視手段は、
前記各方位に対応して設けられ、与えられた遮断制御信号がアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を遮断する一方、前記遮断制御信号がノンアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を通過させる遮断/通過手段と、
前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位に対応する前記遮断/通過手段にアクティブモードの前記遮断制御信号を与える一方、前記妨害波が存在しない方位に対応する前記遮断/通過手段にノンアクティブモードの前記遮断制御信号を与える妨害波監視手段とから構成されている付記1記載のタカン地上装置。
【0041】
(付記3)
前記妨害波監視手段は、
前記各方位に対応して設けられ、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に検知する受信信号検知手段と、
前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に前記妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている基準レベル設定部と、
前記各方位に対応して設けられ、前記受信信号検知手段により検知された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号のレベルを前記基準レベルと比較して、該基準レベル以上のときにアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する一方、該基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する複数のレベル比較回路とから構成されている付記2記載のタカン地上装置。
【0042】
(付記4)
前記妨害波監視手段は、
前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析手段と、
該受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波の有無を前記各方位毎に表示する表示手段とを有する付記3記載のタカン地上装置。
【0043】
(付記5)
前記妨害波監視手段は、
前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析手段と、
該受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波が存在するとき、警報を報知する報知手段とを有する付記3記載のタカン地上装置。
【0044】
(付記6)
無指向性の空中線を有するタカン地上装置に用いられる受信信号監視方法であって、
自己診断用質問電波発生手段が、自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生処理と、
前記空中線に対応する各方位に対応して設けられた受信信号取得手段が、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得処理と、
受信信号監視手段が、前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視処理と、
受信信号合成手段が、前記受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成処理と、
受信手段が、前記受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信処理と、
送信手段が、前記受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信処理と、
分配手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配処理と、
変調手段が、前記分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調処理と、
応答送信信号監視手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視処理とを行う受信信号監視方法。
【0045】
(付記7)
前記受信信号監視手段を、妨害波監視手段と遮断/通過手段とから構成しておき、
前記受信信号監視処理では、
前記妨害波監視手段が、前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位に対応する前記遮断/通過手段にアクティブモードの前記遮断制御信号を与える一方、前記妨害波が存在しない方位に対応する前記遮断/通過手段にノンアクティブモードの前記遮断制御信号を与える妨害波監視処理と、
前記各方位に対応して設けられた前記遮断/通過手段が、与えられた遮断制御信号がアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を遮断する一方、前記遮断制御信号がノンアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を通過させる遮断/通過処理とを行う付記6記載の受信信号監視方法。
【0046】
(付記8)
前記妨害波監視手段に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に前記妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている基準レベル設定部を設けておき、
前記妨害波監視処理では、
前記各方位に対応して設けられた受信信号検知手段が、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に検知する受信信号検知処理と、
前記各方位に対応して設けられた複数のレベル比較回路が、前記受信信号検知手段により検知された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号のレベルを前記基準レベルと比較して、該基準レベル以上のときにアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する一方、該基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの前記遮断制御信号を出力するレベル比較処理を行う付記7記載の受信信号監視方法。
【0047】
(付記9)
前記妨害波監視処理では、
受信信号解析手段が、前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析処理と、
表示手段が、前記受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波の有無を前記各方位毎に表示する表示処理とを行う付記8記載の受信信号監視方法。
【0048】
(付記10)
前記妨害波監視処理では、
受信信号解析手段が、前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析処理と、
報知手段が、前記受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波が存在するとき、警報を報知する報知処理とを行う付記8記載の受信信号監視方法。
【0049】
(付記11)
コンピュータを、付記2乃至5のいずれか一に記載の妨害波監視手段として機能させる受信信号監視プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、タカン地上装置全般に適用でき、特に、タカン機上装置から距離質問電波を受けるときに、妨害波が存在する場合に用いて有効である。
【符号の説明】
【0051】
11 送信機(送信手段)
12 分配器(分配手段)
13 変調器(変調手段)
14,14,…,14 サーキュレータ(受信信号取得手段)
15 空中線
15a,15a,…,15a コラムアレイ(空中線の一部)
16 干渉波監視部(受信信号監視手段の一部、妨害波監視手段)
16a 表示部(受信信号監視手段の一部、妨害波監視手段の一部、表示手段)
16b 報知部(受信信号監視手段の一部、妨害波監視手段の一部、報知手段)
17,17,…,17 同軸スイッチ(受信信号監視手段の一部、遮断/通過手段)
18 合成器(受信信号合成手段)
19 受信機(受信手段)
20 モニタ部(応答送信信号監視手段)
31,31,…,31 検知器(受信信号検知手段)
32,32,…,32 CW妨害波レベル比較回路(レベル比較回路)
33 レベル設定回路(基準レベル設定部)
34 受信信号解析部(受信信号解析手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無指向性の空中線と、
自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生手段と、
前記空中線に対応する各方位に対応して設けられ、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得手段と、
該受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視手段と、
該受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成手段と、
該受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信手段と、
該受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信手段と、
該送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配手段と、
該分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調手段と、
前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視手段とを備えてなることを特徴とするタカン地上装置。
【請求項2】
前記受信信号監視手段は、
前記各方位に対応して設けられ、与えられた遮断制御信号がアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を遮断する一方、前記遮断制御信号がノンアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を通過させる遮断/通過手段と、
前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位に対応する前記遮断/通過手段にアクティブモードの前記遮断制御信号を与える一方、前記妨害波が存在しない方位に対応する前記遮断/通過手段にノンアクティブモードの前記遮断制御信号を与える妨害波監視手段とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のタカン地上装置。
【請求項3】
前記妨害波監視手段は、
前記各方位に対応して設けられ、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に検知する受信信号検知手段と、
前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に前記妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている基準レベル設定部と、
前記各方位に対応して設けられ、前記受信信号検知手段により検知された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号のレベルを前記基準レベルと比較して、該基準レベル以上のときにアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する一方、該基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する複数のレベル比較回路とから構成されていることを特徴とする請求項2記載のタカン地上装置。
【請求項4】
前記妨害波監視手段は、
前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析手段と、
該受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波の有無を前記各方位毎に表示する表示手段とを有することを特徴とする請求項3記載のタカン地上装置。
【請求項5】
前記妨害波監視手段は、
前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析手段と、
該受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波が存在するとき、警報を報知する報知手段とを有することを特徴とする請求項3記載のタカン地上装置。
【請求項6】
無指向性の空中線を有するタカン地上装置に用いられる受信信号監視方法であって、
自己診断用質問電波発生手段が、自己診断用質問電波を繰り返し発生して前記空中線に受信させる自己診断用質問電波発生処理と、
前記空中線に対応する各方位に対応して設けられた受信信号取得手段が、前記空中線により受信された前記自己診断用質問電波に対応する自己診断用受信信号を取り出すと共に、タカン機上装置から送信されて前記空中線により受信された距離質問電波に対応する距離質問受信信号を取り出す受信信号取得処理と、
受信信号監視手段が、前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位の前記自己診断用受信信号及び距離質問受信信号を遮断して、前記妨害波のない方位の前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を取り出す受信信号監視処理と、
受信信号合成手段が、前記受信信号監視手段で取り出された前記妨害波のない前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を合成して合成信号を出力する受信信号合成処理と、
受信手段が、前記受信信号合成手段から出力される前記合成信号を受信して前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号であることを判定したとき、受信出力信号を出力する受信処理と、
送信手段が、前記受信手段から前記受信出力信号が出力されたとき、所定の遅延時間経過後に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に対する応答送信信号を出力する送信処理と、
分配手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を前記空中線に対応させて分配する分配処理と、
変調手段が、前記分配手段で分配された前記応答送信信号をタカン方位信号に変調して前記空中線を経て出力する変調処理と、
応答送信信号監視手段が、前記送信手段から出力される前記応答送信信号を監視する応答送信信号監視処理とを行うことを特徴とする受信信号監視方法。
【請求項7】
前記受信信号監視手段を、妨害波監視手段と遮断/通過手段とから構成しておき、
前記受信信号監視処理では、
前記妨害波監視手段が、前記受信信号取得手段により取り出された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に監視し、妨害波が含まれている場合、該妨害波が存在する方位に対応する前記遮断/通過手段にアクティブモードの前記遮断制御信号を与える一方、前記妨害波が存在しない方位に対応する前記遮断/通過手段にノンアクティブモードの前記遮断制御信号を与える妨害波監視処理と、
前記各方位に対応して設けられた前記遮断/通過手段が、与えられた遮断制御信号がアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を遮断する一方、前記遮断制御信号がノンアクティブモードのときに前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を通過させる遮断/通過処理とを行うことを特徴とする請求項6記載の受信信号監視方法。
【請求項8】
前記妨害波監視手段に、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号に前記妨害波が含まれているか否かを判定するための基準レベルが設定されている基準レベル設定部を設けておき、
前記妨害波監視処理では、
前記各方位に対応して設けられた受信信号検知手段が、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号を前記各方位毎に検知する受信信号検知処理と、
前記各方位に対応して設けられた複数のレベル比較回路が、前記受信信号検知手段により検知された前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号のレベルを前記基準レベルと比較して、該基準レベル以上のときにアクティブモードの前記遮断制御信号を出力する一方、該基準レベルよりも小さいときにノンアクティブモードの前記遮断制御信号を出力するレベル比較処理を行うことを特徴とする請求項7記載の受信信号監視方法。
【請求項9】
前記妨害波監視処理では、
受信信号解析手段が、前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析処理と、
表示手段が、前記受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波の有無を前記各方位毎に表示する表示処理とを行うことを特徴とする請求項8記載の受信信号監視方法。
【請求項10】
前記妨害波監視処理では、
受信信号解析手段が、前記各レベル比較回路から出力される前記各遮断制御信号のモードに基づいて、前記自己診断用受信信号又は/及び前記距離質問受信信号の前記妨害波の有無を前記各方位毎に解析する受信信号解析処理と、
報知手段が、前記受信信号解析手段による解析結果に基づいて、前記妨害波が存在するとき、警報を報知する報知処理とを行うことを特徴とする請求項8記載の受信信号監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163418(P2012−163418A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23327(P2011−23327)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】