説明

タクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置

【課題】複数のタクシーに対して均等に配車が可能なタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置を提供する。
【解決手段】タクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2と、各種データを処理部2と送受信する手段を有する配車される複数のタクシー4とを有し、処理部2は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けした運行時間決定用地図データと、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える配車スケジュールテーブルとを有し、処理部2は、利用者の乗降地データと、乗車時刻データと運行時間決定用地図データとを参照して、利用者の降車時刻データを割り出し、配車スケジュールテーブルを参照し、その期間の予約枠にデータが入力されていないタクシー4を抽出し一定の基準で選択したタクシー4を利用者へ配車する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タクシーの配車指示効率を向上させることを目的として、以下の配車システムが提案されている。すなわち、センタと、GPS(Global Positioning System)レシーバを搭載して自身の位置を特定するための位置情報を得ると共に、無線器を搭載してセンタから無線通信によって配車指示される複数のタクシーとを備える。そして、センタにおいては、配車先である顧客位置を指示するための配車情報を作成し、複数のタクシーの中で顧客位置に最短経路のタクシーから順に配車情報を無線で送信する。そして、タクシーにおいては、センタから送信された配車情報を受信して、表示器上、配車情報で指示される顧客位置及びその周辺の地図を合成表示し、さらに配車情報で指示される顧客情報を合成表示し、スピーカにおいてその顧客情報を音声によりガイダンスする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−128690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているタクシー配車システムでは、たしかにタクシーの配車指示効率が向上する。しかしながら、複数のタクシーの運転手が不満を抱く場合がある。なぜなら、たまたまタクシー利用者の近くにいたために頻繁に配車されるタクシーと、タクシー利用者の近くにいなかったために長時間にわたって配車されないタクシーがあることが想定されるからである。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数のタクシーに対して均等に配車が可能なタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、運行時間決定用の地図データから各タクシーについてその待機地点から乗車地までの移動時間データと、降車時刻のデータとを導き出し、乗車時刻のデータから降車時刻のデータまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーであって、かつ乗車時刻に乗車地に到着可能なタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから選択したタクシーをタクシー利用者へ配車する。
【0007】
ここで、処理部は、抽出したタクシーが複数の場合でかつそれらが出勤後初であるタクシーの場合、出勤時刻の早いものを優先することが好ましい。
【0008】
また、処理部は、抽出したタクシーが複数の場合、移動時間データの値が最も小さいものを選択し、移動時間データの値が同じものが複数存在した場合には、タクシーから予約運行が可能な連絡を受領した時が早いものを選択することが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、運行時間決定用地図データは、一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものである。
【0010】
ここで、タクシーの予約をする利用者の位置情報のレイヤーおよび利用者の降車予定の降車位置情報のレイヤーを、地図情報のレイヤーおよびブロック情報のレイヤーに重ねることで、利用者の乗車位置から降車位置までの時間を算出することが好ましい。
【0011】
また、処理部は、配車されるタクシーの数が入力されることで、予約枠の限度数を自動算出し、算出された値の中に入る整数値のうち最大値を選択し、z分を10分とした上で10分毎の各予約枠を「最大値÷6」とし、予約引受可能な枠をその値の1/4〜3/4の範囲とすることが好ましい。
【0012】
また、単位時間内の各予約枠を午前から午後にかけての所定時間のみ1倍を超え2倍以下としたことが好ましい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、予約申込者の乗車日時が入力されると、予約枠を検索し、該当する予約枠に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと運行時間決定用地図データに基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用してスケジュールテーブルを完成する。
【0014】
ここで、処理部は、運行時間決定用地図データ中に無い乗車地の予約が入ったときは、予約リストとは別に遠方配車用予約リストを作成することが好ましい。
【0015】
また、処理部は、配車リストを作成するに当たって、遠方配車用予約リストが存在する場合は、予約リストに優先して遠方配車用予約リストの配車を行うことが好ましい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシー、またはタクシーの利用者とを有し、処理部は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データと、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、タクシーまたは利用者が、利用者の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを処理部に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、処理部は、その入力されたデータを運行時間決定用地図データとを参照して、乗降地データを座標データに置き換え、座標データから利用者の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、配車スケジュールテーブルを参照し、乗車時刻データから降車時刻データまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから一定の基準で選択したタクシーを利用者へ配車する。
【0017】
ここで、処理部は、抽出ができなかった場合には、乗車時刻データの時刻に近い時刻であってその時刻の乗車時刻データであれば抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータをタクシーまたは利用者へと送信することが好ましい。
【0018】
また、入力された乗車時刻データと降車時刻データとのいずれか一方または双方を、タクシー内で出力することが好ましい。
【0019】
また、運行時間決定用地図データは、地図上のどこに何の施設が存在するかについての施設情報を含み、タクシーまたは利用者は、施設情報に基づいて乗降地データを処理部に送信し、処理部は、施設情報から当該施設が複数のブロックのどこのブロックに位置するかを特定することが好ましい。
【0020】
また、利用者が利用した経験のある乗降地データに基づく第1の顧客データを用い、第1の顧客データを利用して、タクシーまたは利用者によって処理部へ乗降地データが送信されることが好ましい。
【0021】
また、タクシー利用に際し必要な利用者に関する第2の顧客データを用い、第2の顧客データを各々のタクシーの運転手が把握可能とすることが好ましい。
【0022】
また、乗降地データは、グローバル・ポジショニング・システムを用いてタクシーまたは利用者によって処理部に送信されることが好ましい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車処理装置は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切った運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、運行時間決定用の地図データ、および受信した各タクシーについてその待機地点のデータおよび乗車地のデータから、その待機地点からその乗車地までの移動時間データおよび降車時刻のデータとを導き出し、乗車時刻のデータから降車時刻のデータまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーであって、かつ乗車時刻に乗車地に到着可能なタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから選択したタクシーをタクシー利用者へ配車する。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車処理装置は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、運行時間決定用地図データは、一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものである。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車処理装置は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、予約申込者の乗車日時が入力されると、予約枠を検索し、該当する予約枠に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと運行時間決定用地図データに基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用してスケジュールテーブルを完成する。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明のタクシー配車処理装置は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、処理部は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データと、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える配車スケジュールテーブルとを有し、処理部は、タクシーまたは利用者が、利用者の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを処理部に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、処理部は、その入力されたデータを運行時間決定用地図データとを参照して、乗降地データを座標データに置き換え、座標データから利用者の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、配車スケジュールテーブルを参照し、乗車時刻データから降車時刻データまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから一定の基準で選択したタクシーを利用者へ配車する。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、複数のタクシーに対して均等に配車が可能なタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置の構成を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図1に示す処理部の記憶部に格納されている、地形を所定の移動時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データを含む地図の概念図である。
【図3】図2に示す運行時間決定用地図データの構成を示す図で、実際の距離に基づいて描かれる一般的な地図情報のレイヤーと、太い線で区切られることで時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ねられている状態の概念図の一例である。
【図4】図1に示す処理部の記憶部に格納される、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える予約テーブルの午前7時から午前9時までの2時間の概念図である。
【図5】図1に示す記憶部に格納される予約テーブルを示す図で、午前7時から午後6時までの間の予約テーブルの概念図である。
【図6】図4および図5に示す予約枠の設定を処理部が行う際の処理フローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置が行う配車処理の流れ、すなわち本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムの動作を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムに利用されるタクシーの車内に設置された専用の通信機器の操作パネルの一例を表示した図である。
【図9】図8の通信機器の表示部に表示される病院の一覧であって、これまでに選択された回数の多い順に表示部に表示される状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムに使用される通信機器を用いて予約申込を行った場合のタクシーの運転手の作業フローを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムにおいて、通信機器を用いるか否かを問わず、予約申込が行われた場合の処理部の処理フローを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る配車スケジュールテーブルの一例を示す図である。
【図13】図7に示す配車処理をする際の処理の流れを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムにおいて、紙に印刷された予約情報の一例を示す図である。
【図15】本実施の形態に係るタクシー配車処理装置およびタクシー配車システムにおける各情報の関連性を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置について、図を参照しながら説明する。
【0030】
(タクシー配車処理装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置1の構成を示すブロックダイアグラムである。タクシー配車処理装置1は、基地局に設置される。そして、タクシー配車処理装置1は、セントラルプロセッシングユニットを有し各種データを処理する処理部2を有している。この処理部2は、ランダムアクセスメモリ等を有し各種データを記憶する記憶部3を有している。また、処理部2は、配車される複数のタクシー4と各種データを送受信するサーバ部5を有している。このサーバ部5とは、利用者7が有する送受信手段である通信装置8がデータの送受信が可能となるように接続されている。この接続にはインターネット等の通信網が利用される。なお、図1には、配車される複数のタクシー4をも示している。ここで、タクシー4は、各種データを処理部2のサーバ部5と送受信する送受信手段6を有している。基地局は、たとえば、タクシー4を有するタクシー会社の一室、データ処理をするためにタクシー会社が契約しているデータ処理会社等が該当する。タクシー4を有するタクシー会社以外が基地局となる場合、基地局とデータを送受信するための情報処理装置、たとえば、コンピュータがタクシー会社に設置される。
【0031】
図2は、処理部2の記憶部3に格納されている、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロック11に区分けして座標データとした運行時間決定用地図データ12の地図の概念図である。運行時間決定用地図データ12は、地形を時間的な距離に基づいて区切っているものであり、実際の地形を縮尺している地図、すなわち実際の距離に基づいて描かれる一般的な地図とは異なる。たとえば、2点(a,b)間の実際の距離は近くてもその間に信号が多くあったり、一方通行の道があったりしてタクシー4による移動時間が長ければ、その2点はそれぞれ遠くのブロックに属することとなる。そして、a−b間よりも実際の距離としては長い2点(c,d)であっても、タクシー4による移動時間が短ければ、その2点間はa−b間よりも近接したブロックに属することとなる。たとえば、図2の各ブロック11が隣接するブロック11までの時間を5分とすると、2点(a,b)間の移動時間は、地点aのブロック11と地点bのブロック11との間には図2の横方向には4つのブロック差、縦方向には1つのブロック差があるから大きい方のブロック差として「4」を取り、5分×(4+1)=25分と計算し、2点(a,b)間の移動時間は25分となる。一方、2点(c,d)間の移動時間は15分となる。
【0032】
ここで、運行時間決定用地図データ12は、実際の距離に基づいて描かれる一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものである。そして、タクシーの予約をする利用者7の位置情報のレイヤーおよび利用者7の降車予定の降車位置情報のレイヤーを、地図情報のレイヤーおよびブロック情報のレイヤーに重ねることで、利用者の乗車位置から降車位置までの時間を算出している。この各情報のレイヤーの詳細については後述する(図14参照)。
【0033】
図3は、実際の距離に基づいて描かれる一般的な地図情報のレイヤー13と、太い線で区切られることで時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤー14が重ねられている状態の概念図の一例である。図3中の数字1〜8と、アルファベットA〜Gは、図2中の数字1〜8と、アルファベットA〜Gに相当する。
【0034】
利用者7がタクシー4を乗降する場所を示す乗降地データは、原則として運行時間決定用地図データ12の座標、たとえば、図2に示すブロック(A,1),(C,3)等によって特定し、タクシー4の運転者または利用者7がその乗降地データを処理部2に送信する。
【0035】
また、運行時間決定用地図データ12は、地図上のどこに何の施設が存在するかについての施設情報を含んでいる。この施設とは、病院、駅、学校、ショッピングセンターまたは工場等である。この施設情報は、施設情報レイヤーにまとめられ、地図情報のレイヤー等の各種レイヤーに重ね合わされる(図14参照)。
【0036】
図4は、処理部2の記憶部3に格納されている配車スケジュールテーブル31を示す。配車スケジュールテーブル31は、所定時間、ここでは10分、を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目15aに区切った予約枠15を備える。図4では予約テーブル16の午前7時から午前9時までの2時間を示している。予約テーブル16は、各々のタクシー4の送受信手段6にも送信されるようにしても良い。各予約枠15は、この例では6つのマス目5aを有し、最大6台分の予約が可能となっている。予約枠15の各マス目15aには、データの入力の有無のみ、すなわち予約がされたか否かの情報が格納され、その情報は書き換え可能とされている。
【0037】
ここで、予約テーブル16は、タクシー4の平均移動時間をx分とし、タクシー会社が保有するタクシー4の台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内としている。そして、予約の単位時間をz分としたとき、単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下としている。ここで、平均移動時間とは、そのタクシー会社のタクシー4がある客を乗せてからその客を降ろすまでの時間の平均を言う。すなわち、1回当たりのタクシー運行時間である。
【0038】
図4では、タクシー4の平均移動時間(x分)、すなわち、1回当たりのタクシー運行に要する時間を25分に設定している。また、タクシー4の台数(y台)は、15台に設定している。また、予約の単位時間(z分)、すなわち、1つの予約枠15が占める時間を10分に設定している。すると、1時間の中での予約枠15の限度数は、「(60÷25)×15=36」となる。この限度数の値36の−20%以内の値としては、「28.8〜36」となる。ここで小数点以下は切り下げても切り上げても良い。この例では切り上げることで「29」としている。このため、限度数として、29〜35のいずれかを選択しても良いが、図4の例では、「36」としている。そして、単位時間であるz分(=10分)内の各予約枠15の最大値は、「36÷(60÷10)=6」となる。すなわち、予約枠15は、1以上で(6−n)以下であるが、ここで、nを0に設定していることで、予約枠15は「1〜6」のいずれかとなるが、図4の例では、最大値である「6」を採用している。
【0039】
また、処理部2は、配車されるタクシー4の数が入力されることで、予約枠15の限度数を上述の式に基づき自動算出し、算出された値の中に入る整数値のうち最大値を選択し、10分毎の各予約枠15を「最大値÷6」とし、予約引受可能な枠をその値の1/4〜3/4の範囲としている。上述の計算では、限度数の最大値が36となるため、図4では、10分毎の各予約枠15は、「36÷6=6」となり、その6つのマス目15aを有する予約枠15のうち予約引受可能な枠(マス目15a)をその値の1/4〜3/4の範囲としている。「6」の1/4は1.5であるが、小数点以下を切り下げて「1」とし、「6」の3/4は4.5であるが切り上げることで「5」とし、1〜5の範囲となるが、この例では1〜5の範囲に含まれる2〜4の範囲としている。よって、その2〜4の範囲の予約枠15には、「●:予約済み」または「○:予約引受可」が入力され、それ以外の予約枠15のマス目15aは、「×:予約引受不可」となる。予約枠15のマス目15a、すなわち予約台数の計算を行う際に、小数点以下が出た場合、切り下げ、切り上げのいずれか一方を適宜使用することになるから上述のように値が大きい方は切り上げて、値が小さい方は切り下げを行うことが好ましい。
【0040】
図5は、午前7時から午後6時までの間の予約テーブル16の概念図である。各時間帯によって、10分毎の各予約枠15を「上述の最大値÷6」の1/4〜3/4の範囲内で変化させている。また、単位時間内の各予約枠15を午前から午後にかけての所定時間(午前9時から午後1時)のみ1倍を超え2倍以下としている。すなわち、図5の例では、午前9時から午後1時までは10分毎の予約枠15のマス目15a(台数)を10個としている。この「10」は、先ほどの予約枠15の値である「6」の1.7倍であり、1倍を超え2倍以下の範囲とされている。この午前9時から午後1時までは、老人が病院へ行って帰る時間帯であり、通院の往路と通院の復路に利用され、運行稼働効率は高い。このため、この時間帯の予約引受可能数は大きくすることができる。図5の例では10個のマス目15aを全て予約引受可能としている。図5では「限度数」が予約引受可能数を示している。
【0041】
図6は、図4および図5に示す予約枠15の設定を処理部2が行う際の処理フローを示す図である。まず、7:00〜18:00内、すなわち7:00〜17:50内を1時間毎に分割する(ステップSa)。次に、1時間内を10分毎に分割し、10分単位に予約枠を設定する(ステップSb)。その結果、7:00〜9:00の間、および13:00〜18:00の間は、車両5台につき2枠、すなわち保有台数が15台の場合には6枠ずつの予約枠15が設定される。この設定は、平常時の設定となる。そして、9:00〜13:00の間は、車両5台につき4枠ずつ、すなわち保有台数が15台の場合には12枠ずつ予約枠15が設定される。この設定は、平常時の設定である。ここで、車両5台につき2枠ずつというのは、平均移動時間を25分としたときの予約枠15の平常時の最大値である。また、車両5台につき4枠ずつというのは、平均移動時間を25分とした場合の予約枠15効率稼働時の最大値である。これらの最大値がまず設定される。
【0042】
そして、処理部2は、予約枠15を可変値に設定し(ステップSc)、1時間毎の上限値および10分毎の受け入れ数を入力する(ステップSd)。ステップScでは、予約枠15のマス目15aの数が12の場合10に変更することなどが行われる。また、ステップSdでは、たとえば7:00では予約引受可能数を「6」ではなく「2」とし、7:50では、「6」ではなく「4」とする等が行われる。すると、予約枠15は、予約受け入れ可の状態となる(ステップSe)。
【0043】
次いで、利用者7が通信装置8を使用して処理部2に予約申込のデータを送信すると、もしくはタクシー会社の従業員がキーボードなどで予約の入力をすると、またはタクシー4の送受信手段6から予約申込データが処理部2へ送信されると、処理部2は、空いている予約枠15が予約を受け入れるかを判断する(ステップSf)。その判断の結果、予約を受け入れないのであれば、処理部2は処理を終了する(ステップSg)。逆に予約を受け入れるのであれば、予約枠15のマス目15aへの予約の受け入れが確定となり(ステップSh)、各予約枠15のマス目15a毎に1件ずつ、予約引受可能なマス目15aが無くなるまで予約が入力される(ステップSj)。その際、必要に応じて予約の変更・解約等、または、後述する遠方配車予約リストがあれば、その旨も入力される(ステップSk)。以上で予約の申し込みの受付処理が完了する(ステップSm)。
【0044】
図7は、タクシー配車処理装置1が行う配車処理の流れを示している。この一連の処理が本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムの配車動作となる。まず、タクシー4の送受信手段6または利用者7のコンピュータ8から、利用者7の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを処理部2に送信されたり、タクシー会社の従業員が処理部2にそれらのデータが入力されたりする(ステップS1)。これらのデータの送信または入力は、ステップSfの際のデータ送信やデータ入力と共に行われる。しかし、ステップSmの後にこれらのデータが送信されたり入力されるようにしても良い。
【0045】
処理部2は、送信されてきたり、入力されたりした乗降地データと運行時間決定用地図データ12とを参照して、乗降地データをブロック11に区分けされた座標データに置き換える(ステップS2)。そして処理部2は、その座標データおよび乗車時刻データまたは降車時刻データから、利用者の乗車時刻データおよび降車時刻データのうち、送信されていない方のデータを割り出す(ステップS3)。そして、処理部2は、配車時刻と完了予想時刻を含む配車前の配車スケジュールテーブル31を作成する(ステップS4)。この配車スケジュールテーブル31の詳細については後述する。なお、完了予想時刻は、降車時刻データに相当する。
【0046】
次に処理部2は、配車前予約リストと、各車両の状況とから、配車に最も適する車両を各予約に対して検索し、決定後、該当車両に配車について指示する(ステップS5)。この配車は、予約の昇順、すなわち予約時刻の早いものから順に決定していく。配車指示を受けた車両は、その配車指示を受け入れるのか否かを判断する(ステップS6)。
【0047】
送受信手段6によって配車指示を受信したタクシー4の運転手は、その乗務が可能であれば配車指示の承認の旨のデータを送受信手段6によって処理部2に送信する(ステップS6でYes)。もし、タクシー4の運転手がその配車指示を受け入れない場合は、そのタクシー4の送受信手段6を使用して配車指示を受け入れない旨のデータを処理部2に送信し(ステップS6でNo)、ステップS5に戻る。
【0048】
ステップS6でYesの場合、処理部2は、その予約に対し配車する車両を配車スケジュールテーブル31に入力し、そのテーブル31を記憶部3に保存する(ステップS7)。一方、配車指示を受け入れたタクシー4は、配車時刻になると利用者7の乗車地へ予約時刻に間に合うように出発することとなる(ステップS8)。
【0049】
上述のステップS1について詳述する。利用者7の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとをタクシー配車処理装置1に送信するのは、タクシー4の運転手でも利用者7でも良い。また、電話で予約を受け付けたタクシー会社の従業員でも良い。タクシー4の運転手が次の予約のための各データをタクシー配車処理装置1に送信する場合には、タクシー4に備えられた各種データを処理部2と送受信する送受信手段6、たとえば専用の通信機器、通信機能付きパーソナルコンピュータ、携帯電話等のインターネット等を利用した通信装置を用い、タクシー4の運転手がそれを操作して送信する。また、利用者7が各データをタクシー配車処理装置1に送信する場合には、通信機能付きパーソナルコンピュータ、携帯電話等のインターネット等を利用した通信装置8を用い、利用者7がそれを操作して送信する。送信された各データは、サーバ部5を介して処理部2へと渡され記憶部3にて記憶される。
【0050】
ここで、利用者7がリピータである場合、利用者7が利用した経験のある乗降地データに基づく第1の顧客データを用い、第1の顧客データを利用して、タクシー4または利用者7によって処理部2へ乗降地データを送信することができる。たとえば、特定の利用者7が一度利用した乗降地データを第1の顧客データとして記憶部3が記憶しており、その利用者7が再度タクシー4を利用する場合、その第1の顧客データを再利用することができる。
【0051】
また、乗降地データは、通信機器が備えるグローバル・ポジショニング・システムを用いて、タクシー4または利用者7が現在いる位置を特定し、タクシー4または利用者7がその乗降地データを処理部2に送信することとしても良い。
【0052】
さらに、タクシー4または利用者7は、上述の施設情報に基づいて乗降地データを処理部2に送信できる。たとえば、タクシー4または利用者7は、乗降地データを病院名、学校名等によって特定して処理部2へと送信することができる。このとき、処理部2は、施設情報から当該施設が複数のブロック11のどこのブロック11に位置するかを特定する。また、運行時間決定用地図データ12に関連付けた住所または電話番号のデータベースを用い、タクシー4または利用者7が住所または電話番号によって乗降地データを特定し、タクシー4または利用者7がその乗降地データを処理部2に送信することとしても良い。
【0053】
図8は、タクシー4の車内に設置された送受信装置6の具体例であり、専用の通信機器21の操作パネルの一例を表示した図である。通信機器21は、各種ボタンB1〜B22および表示部22、そして、図示を省略する会員カードおよび非会員のための共通カードの情報を読み取るカードリーダ部、および図示を省略する印刷部を有している。通信装置21に使用される会員カードは、会員である利用者7の氏名、住所、その住所がどのブロック11に属するかの情報および会員番号の情報が、予めバーコードまたはICチップ等に記憶されたものが印刷されまたは搭載されているものである。また、共通カードは、利用者が会員でない旨の情報がバーコードまたはICチップ等に記憶されたものが印刷されまたは搭載されているものである。会員カードとしては、料金が銀行口座などから自動的に引き落とされるカードが好ましい。また、共通カードとしては、料金が前払いされているカードが好ましい。
【0054】
ここで、たとえば、会員がタクシー4に乗った際に次の予約を行うときに図2に示すブロック(A,1)を乗車地として特定する場合の通信機器21の操作の様子を説明する。運転手は、カードリーダ部にて利用者の会員カードの情報を読み込む。そして、予約ボタンB9を押し、その後、乗車ボタンB1を押し、アルファベットボタンB21の中から「A」のボタンを選択して押し、次いでテンキーB22の中から「1」のボタンを選択して押す。最後に乗車地を確定するため実行ボタンB13を押す。これら一連の操作の内容は、逐次、表示部22へと表示される。また、降車地を特定する場合には、上述の乗車ボタンB1に代えて降車ボタンB2を押し、その他の操作は乗車地を特定する場合と同様に行う。また、乗車地または降車地が会員の住所である場合には、上述のアルファベットボタンB21およびテンキーB22のボタン操作に代え、自宅ボタンB10を押すことで、
会員カードに記憶されている住所のデータが入力される。
【0055】
なお、通信機器21を用いて利用者7の予約の日時を特定する際には、たとえば上述の乗車地および降車地の特定が終了したことを契機に、通信機器21は表示部22に年、月、日、時刻を各々問い合わせてくる表示動作を行う。運転手はその都度、テンキーB22にて年、月、日、時刻を入力する。また、一旦、処理部2に送信され、予約番号が付与された予約を取り消したいときには、運転手は、番号ボタンB5を押し、その後、テンキーB22にて当該予約番号を入力し、実行ボタンB13を押す。なお、予約番号は、ステップShにて予約の受け入れを確定したときに処理部2が生成し、記憶部3に保存されるものである。そして、ステップS7によって配車完了後の配車スケジュールテーブル31が作成される際に、該当するタクシー4に送信されるものである。
【0056】
ここで、会員カードをカードリーダ部にて読み込んだ時刻が、今回の乗車のための予約時刻を5分以上経過しているときは、乗車地への到着が遅れたと考えられるため、通信装置21は遅れたことを示すデータと、遅れ時間を処理部2へ送信すると共に後述する日報へ遅れを示すデータとその遅れ時間を印字する処理を行う。
【0057】
また、通信機器21を用いて上述の施設情報に基づいて次回の予約のための乗降地データを入力する様子を説明する。施設が病院の場合には、通院ボタンB6を、施設がショッピングセンター等の場合は買物ボタンB7を、施設が銀行、レストラン等のそれら以外の場合は所用ボタンB8を押す。すると、病院の一覧、ショッピングセンターの一覧、それら以外のそれぞれの施設の一覧の中の1つが選択されて表示される。このとき、これまでに選択された回数の多い順に上から順に表示部22に表示される。この表示の状態を図9に示す。図9は病院の一覧の例である。選択するためのカーソルの上下動作(プルダウン)は、テンキーB22の「*」および「#」ボタン等で行う。そして、目的となる施設にカーソルを合わせて実行ボタンB13を押す。なお、表示部22への表示の際、その回数、乗車時間、開業時間のいずれか1つまたは複数を併せて表示するようにしても良い。
【0058】
図10は、通信機器21を用いて予約申込を行った場合のタクシー4の運転手の作業フローを示す図である。まず、運転手は、利用者カード(会員カードまたは共通カード)をカードリーダ部で読取る(ステップS1a)。次いで予約日を入力する(ステップS1b)。この入力の際には、上述したボタン操作の他、予約日を選択するためのカーソルの上下動作(プルダウン)および実行ボタンB13の押下などが行われる。そして、利用者7が希望する時間帯の予約枠15の空きの確認を行う(ステップS1c)。そして、希望する予約枠15へ予約を入力するかを運転手が利用者7と共に判断する(ステップS1d)。希望する予約枠15が埋まっている等の理由で、その入力をしない場合は、別の予約枠15の空きを確認するかどうかをさらに判断する(ステップS1e)。その確認をしないなら、運転手の作業は終了する(ステップS1f)。その確認をするなら、近接する時間帯の空き等を再確認する(ステップS1g)。ステップS1dの判断において、その入力をする場合は、予約日時を確定させ(ステップS1h)、その予約条件(乗降車地、利用目的(通院・買物・所用)等)を入力し(ステップS1j)、処理部2へと送信して、処理部2から予約が確定した旨の告知と予約番号を受ける。そして、予約番号等が入った予約チケットを発券する(ステップS1m)。
【0059】
上述のステップS2について詳述する。ステップS2では、処理部2は、利用者7の乗降地データから、乗車地と降車地の2点を特定し、運行時間決定用地図データ12の該当するブロック11にその2点をそれぞれ入力する。そして、処理部2は、送信された乗車時刻データまたは降車時刻データを取得し、記憶部3にて記憶する。
【0060】
図11は、通信機器21を用いるか否かを問わず、予約申込が行われた場合の処理部2の処理フローを示す図である。まず、処理部2は、通信機器21等から予約データを受信する(ステップS2a)。次いで処理部2は、予約日を確認する(ステップS2b)。そして、処理部2は、利用者が希望する時間帯の予約枠15の空きの確認を行う(ステップS2c)。そして、処理部2は、希望する予約枠15が空いているかを判断する(ステップS2d)。希望する予約枠15が埋まっている等の理由で、その入力をしない場合は、処理部2は、別の予約枠15の空きを確認するかどうかをさらに判断する(ステップS2e)。その確認をしないなら、処理部2の処理は終了する(ステップS2f)。その確認をするなら、処理部2は、近接する時間帯の空き等を再確認する(ステップS2g)。ステップS2dの判断において、その入力をする場合は、処理部2は、予約日時を確定させ、その旨を予約データの送信者へと送信(告知)する(ステップS2h)。そして、処理部2は、その予約条件(乗降車地、利用目的(通院・買物・所用)等)を登録し(ステップS2j)、処理部2は送信者へその予約が確定した旨のデータを送信(告知)する。そして、配車スケジュールテーブル31の基となる予約リストを作成(予約日別(昇順))する(ステップS2m)。
【0061】
上述のステップS3について詳述する。ステップS3では、処理部2は、ステップS2で入力された2点間について、座標データ上の距離(実際には移動時間)を求める。すなわち、2点間の移動時間を求める。そして、処理部2は、ステップS2で取得したのが乗車時刻データの場合は、その乗車時刻に上述の移動時間を加算して降車時刻データを割り出す。また、処理部2は、ステップS2で取得したのが降車時刻データの場合は、その降車時刻から上述の移動時間を差し引いて乗車時刻データを割り出す。
【0062】
すなわち、ステップS3では、タクシー4の予約をする利用者7の位置情報のレイヤーおよび利用者7の降車予定の降車位置情報のレイヤーを、地図情報のレイヤーおよびブロック情報のレイヤーに重ねることで、利用者7の乗車位置から降車位置までの時間を算出している。たとえば、乗車位置と降車位置が同じブロック11に属しているなら、その時間は5分とし、隣接する場合は10分とする。また、乗車位置と降車位置が離れている場合は、図2に示すA〜Gの方向の両地点間のブロック11の数と、
図2に示す1〜8の方向の両地点間のブロック11の数とのうち、大きい方のブロック11の数を(m)とし、「(m+1)×5分」をその時間とする。なお、両地点間のA〜G方向の差をaとし、1〜8の方向の差をbとしたとき、a+b=cによりcを計算し、乗車位置から降車位置までの時間としても良い。
【0063】
次に、上述のステップS4について詳述する。処理部2は、ステップS3で得た各データから配車時刻を有する前の配車スケジュールテーブル31を作成する。配車時刻とは、タクシー4が出発できる時刻のことである。よって、運行を終了した時刻、降車時刻に相当する。すなわち配車時刻とは、タクシー4が所定の場所から出発できる時刻を指す。
【0064】
得られた配車時刻と、降車時刻となる完了予想時刻の各データを含む配車前の配車スケジュールテーブル31が作成され、記憶部3に保存される。配車スケジュールテーブル31は、図12に示すものである。ただし、配車前の配車スケジュールテーブル31は、図12に示す各項目中「号車」の欄中には何も記入されていないものである。各予約に対して配車される車が決定していくと、「号車」の項目に決定した車が記入されていく。
【0065】
配車スケジュールテーブル31は、予約時刻順に並べられた第1の配車スケジュールテーブル32と、配車時刻順すなわち完了予想時刻順に並べられた第2の配車スケジュールテーブル33と、を備える。
【0066】
第1の配車スケジュールテーブル32は、予約時刻に乗車時刻である「時刻」と、利用者7の名前である「顧客名」と、利用者7の自宅のブロック11が記入される「顧客B」と、利用者7が自宅以外で乗車する場合に、その乗車地のブロック11が記入される「乗車B」と、利用者7が降車するブロック11が記入される「降車B」と、通院で利用する場合にその旨を示すデータ、この例では「*」が記入される「通院」と、配車される車が記入される「号車」と、降車する時刻となる完了予想時刻が記入される「完了予想」の各項目を有する。
【0067】
第1の配車スケジュールテーブル32は、各データの入力および上述した計算の結果、「号車」の欄を除き、このステップS4において完成する。第2の配車スケジュールテーブル33は、配車時刻が算出されることで自動的に作成されタクシー配車装置1の表示部に表示される。この第2の配車スケジュールテーブル33は、配車が確定するごとに確定したことを示すデータが記入される「完了確定」と、配車時刻が記入される「配車時刻」と、予約時刻が記入される「予約時刻」と、顧客名が記入される「顧客名」と、確定した配車される車が記入される「配車B」の各項目を有する。
【0068】
次に、上述のステップS5について詳述する。処理部2は、配車前の配車スケジュールテーブル31と、各車両の状況とから、配車(予約)に最も適する車両を検索し抽出する。この場合、配車に適する車両が複数抽出されたら、後述する選択条件を適用して最も適する車両を選択する。
【0069】
上述のステップS5における車両の検索、抽出について詳述する。処理部2は、新たな予約が入り、OKすると、ステップS3で得た乗車時刻データから降車時刻データまでの時間の予約枠15にデータが入力されていないタクシー4であり、かつ乗車時刻(=予約時刻)に乗車地に到着可能なタクシー4を抽出する。この抽出のため、各タクシー4の配車スケジュールテーブル31を参照し、そのタクシー4を検索する。この検索の際は、完了予想時刻と、配車時刻と、各タクシー4のいる場所が重要項目となる。
【0070】
すなわち、このステップS5では、処理部2は、予約申込者の乗車日時が入力されると、ステップSf、ステップShの処理をする。すなわち、処理部2は、予約枠15を検索し、該当する予約枠15に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋める。それと共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成する。その後、その予約リストと運行時間決定用地図データ12に基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用して配車スケジュールテーブル31を作成する。ここで、処理部2は、運行時間決定用地図データ12中に無い乗車地の予約が入ったときは、先ほどの予約リストとは別に遠方配車用予約リストを作成する。
【0071】
検索し抽出されたタクシー4から所定のタクシー4を選択したする際には、図13に示す配車処理をする。図13は、配車処理をする際の処理の流れを示す図である。
【0072】
まず、処理部2は、図7に示すステップS5の抽出ができるか否かの判断を行う(ステップS11)。そして、抽出できなかった場合には、乗車時刻データの時刻に近い時刻であってその時刻の乗車時刻データであれば上述の抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータを各データの送信者であるタクシー4の運転手または利用者7へと送信する(ステップS12)。もし、各データの入力がタクシー4の保有会社側で行われる場合は、その作業者に対しタクシー配車処理装置1の表示部にそれらのデータを表示する。
【0073】
ここで、データを受信した者がタクシー4の運転手の場合は、利用者7に対して上述の抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータへと変更が可能か否かを伺う。可能であればその時刻に基づいたデータ送信(図7のステップS1)を行う。不可能であれば、配車が不可能である旨を利用者7へと伝えるか、またはタクシー4の予約対応可能な台数を増やし、この利用者7のタクシー利用を可能とするよう基地局へ連絡する。また、データを受信した者が利用者7の場合は、利用者7が上述の抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータの中から利用可能なものを選択する。そして、利用者7はその利用可能な時刻に基づいたデータ送信(図7のステップS1)を行うことができる。
【0074】
そして、図7に示すステップS5の抽出ができるか否かの判断(ステップS11)を行った結果、抽出できた場合には、処理部2は、さらにその抽出したタクシー4の数が1つか、複数かの判断を行う(ステップS13)。抽出したタクシー4の数が1つの場合は、それを選択してステップS6の処理を行う(ステップS14)。抽出したタクシー4の数が複数の場合は、以下の2つの処理を適宜選択して、または組み合わせて行う。1つめの処理では、処理部2は、抽出した複数のタクシー4がそれぞれその日の出勤後初の仕事であるタクシー4の場合には、出勤時刻の早いものを優先して配車する処理を行う(ステップS15)。なお、抽出した複数のタクシー4の一方が出勤後初の仕事で、他方が既に仕事を行っている場合は、初の仕事のタクシー4を選択する。ただし、同時刻の予約が複数ある場合には、初の仕事のタクシー4には、最も長時間運行となる予約を割り振る。これらの割り振りは、処理部2が判断して行う。
【0075】
2つめの処理では、処理部2は、抽出したタクシー4のうち、移動時間データの値の小ささを判断する(ステップS16)。移動時間は完了車両の現在地のブロック11と、配車先のブロック11との間のブロック差によって算出する。この算出は、乗車位置と降車位置との間の時間の算出と同様の原理にて実行される。ステップS16の次にさらに、移動時間データの値が最も小さいタクシー4の数が1つか、複数かの判断を行う(ステップS17)。そして、移動時間データの値が最も小さいものが1つであれば、それを選択して配車する処理を行う(ステップS18)。また、移動時間データの値が同じものが複数存在した場合には、処理部2として、予約運行が可能な連絡を受領した時がより早いものを選択して配車する処理を行う(ステップS19)。すなわち、最も早く予約可能な旨の連絡をしたタクシー4が処理部2によって選択される。
【0076】
なお、処理部2は、配車スケジュールテーブル31を作成するに当たって、遠方配車用予約リストが存在する場合は、通常の予約リストに優先して、すなわちステップS11からステップS19の処理に優先して遠方配車用予約リストの配車処理を行う(ステップS20)。遠方配車用予約リストとは、利用者7の乗車地が、ブロック分けした範囲内に無い予約を集めたリストである。図2、図3の例では、A〜Gと1〜8で区切られたブロック内に無い場所が乗車地となる予約の対象となる。
【0077】
遠方配車用予約リストの配車処理は、ステップS11からステップS19の処理を行わない。処理部2はステップS5の処理の一部として個別具体的な処理を行う。その個別具体的な処理とは、遠方配車用予約リストの組込処理である。ステップS5において一旦仮確定した配車スケジュールテーブル31に遠方配車を組み込む。このとき、降車地がブロック分けしたエリア外にいる車両が遠方配車の候補となる。また、遠方配車用予約リストの乗車時刻、降車時刻の期間およびその前後の期間の予約枠15に明らかにデータが入力されていないタクシー4が遠方配車の候補となる。
【0078】
遠方配車の候補となったタクシー4の現在地から乗車地までの移動時間が最少のものを最適候補として選択する。そして、ステップS6の処理をし、配車を確定させる。もし、遠方配車される車両が他の運行とバッティングする場合で遠方配車を承諾したときは、バッティングした運行を他の車両に置き換える。
【0079】
以上の図13に示す処理を行うことで、各タクシー4の配車スケジュールテーブル31が完成する。各タクシー4の運転手は、この配車スケジュールテーブル31に基づいて運行する。すなわち、処理部2は、一定の基準で選択したタクシー4を利用者7へ配車する。
【0080】
また、図13に示す処理を行うことで、利用者7が利用するタクシー4の乗車地と降車地、乗車時刻と降車時刻が確定する。そこで、利用者7がタクシー4の車内にて次回利用するタクシー4の予約をした場合には、運転手は、入力された乗車時刻データと降車時刻データとのいずれか一方または双方を、さらには乗車地と降車地を、印刷装置等の出力装置にてタクシー4内で出力し紙に印刷し、その利用者へと渡すことができる。また、利用者7がパーソナルコンピュータまたは携帯電話等の通信装置8を操作してタクシー4の予約をした場合には、その通信装置8が有する表示部へ、入力された乗車時刻データと降車時刻データとのいずれか一方または双方を、さらには乗車地と降車地を表示させることができる。
【0081】
図14は、そのように紙に印刷された予約情報の一例を示している。なお、会員でない利用者7に対して交付する紙には、利用者7の名前が印刷されない。また、運転手は、通信機器21の確認ボタンB11を押すことで、表示部22にこの印刷される情報を表示させ確認することができる。そして、発券ボタンB12を押すことで、印刷部にてこの印刷を実行することができる。
【0082】
本実施の形態に係るタクシー配車処理装置1およびタクシー配車システムでは、タクシー4の利用に際し利用者7に関する必要な第2の顧客データを用い、その第2の顧客データを各々のタクシーの運転手が把握可能とすることができる。たとえば、利用者7が体の不自由な者の場合、タクシー4へ乗る際に、タクシー運転手等の補助を必要とする場合がある。同様にタクシー4から降りた後に、利用者7が目的地に到達するまでにタクシー運転手等の補助を必要とする場合がある。このような場合等の、タクシー4の利用に際し利用者7に関する必要なデータを、第2の顧客データとして記憶部3に記憶しておく。そして、次回その利用者7がタクシー4を利用しようとするとき、前回担当した運転手以外の運転手にこの第2の顧客データを知らせることで、当該利用者7に対する補助等を運転手が実行できるようにすることができる。
【0083】
なお、タクシー4と処理部2の情報伝達を図8に示す通信機器21を用いて行う場合の様子を説明する。たとえば、1つのタクシー運行業務を終了させたら、運転手は、完了ボタンB3を押し、テンキーB22の「*」ボタンを押し、実行ボタンB13を押す。この操作によって、当該運行業務が終了した情報を処理部2へと伝達することができる。処理部2は、その情報を記憶部3に記憶させる。また、処理部2から配車指示の情報が送信され、表示部22にその旨が表示される場合がある(ステップS6)。運転手がその配車指示に了解するときには、了解ボタンB4を押し、実行ボタンB13を押す。この操作によって、ステップS6についてYesとなり、当該配車を引き受けた旨の情報を処理部2へと伝達することができる。処理部2は、その情報を記憶部3に記憶させる。
【0084】
また、本実施の形態に係るタクシー配車処理装置1およびタクシー配車システムでは、配車スケジュールテーブル31に基づいて、各タクシー4の日報を作成する。日報は、その日の運行回数の何回目かを示す「回数」と、予約時刻を示す「予約時」と、予約時刻に対して5分以上の遅刻があったか否かを示す「C」と、乗車時刻を示す「乗車時」と、乗車ブロックを示す「乗車B」と、乗車地の施設名等を示す「乗車地」と、の項目を有する。また、日報は、所定の地を経由した場合、その経由地のブロック11を示す「経由地」と、降車時刻を示す「降車時」と、降車のブロック11を示す「降車B」と、降車地の施設名等を示す「降車地」と、支払いがプリペイドカードで支払われたとき、その支払額が示される「プリカ」と、支払いが現金で行われたとき、その料金が示される「現金」と、銀行カード等が使用されたときの料金を示す「カード」の各項目を有する。さらに、日報は、会員番号を示す「会員No.」と、顧客名を示す「顧客名」と、通院に使用したときチェックされる「通院」と、買物に使用したときチェックされる「買物」と、所用に使用したときチェックされる「所用」と、利用者が男何人であるかを示す「男」と、利用者が女何人であるかを示す「女」と、車内で予約がされたときチェックされる「予約」と、の各項目を有する。
【0085】
図15は、上述した本実施の形態に係るタクシー配車処理装置1およびタクシー配車システムにおける各情報の関連性を示す概念図である。実際の距離に基づいて描かれる一般的な地図情報のレイヤー13(地理情報)と、太い線で区切られることで時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤー14(地域ブロック)が重ねられている状態については上述した。地図情報のレイヤー13は、GIS(Geographic Infomation System)を利用して作成されている。本実施の形態に係るタクシー配車処理装置1およびタクシー配車システムでは、これらのレイヤーの他に、タクシー4の配車スケジュールテーブル31の車両情報に関するレイヤー41と、乗降車地データ等の予約情報に関するレイヤー42と、上述の施設情報に関するレイヤー43と、上述の第1および第2の顧客データに関するレイヤー44とが重なり合っている。そして、それらのレイヤーに集束された空間情報のデータベースを構築し、それらのレイヤーの重なり合わせにより目的の情報を処理している。
【0086】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置1は、従来のGPS機能を用いた配車を行わず、予め作成された配車スケジュールテーブル31に基づいて配車を行うため、複数のタクシー4に対して均等に配車が可能である。特に地方都市では、タクシー4の利用者7の多くが特定の者に限られ、かつその利用ルートもその特定の者ごとに決まっている場合が多い。本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置1は、そのような場合に利用者7のタクシー利用の利便性を向上させる。さらに、配車スケジュールテーブル31に基づいて配車を行うため、たまたま同じまたは似たようなルートを同時刻に利用する利用者が複数いる場合には、乗合タクシーとしての運行を可能とし、運転手の業務負担の軽減、および利用者の料金面の負担の軽減を図ることができる。
【0087】
ここで、処理部2は、抽出したタクシー4が複数の場合でかつそれらが出勤後初であるタクシー4の場合、出勤時刻の早いものを優先する、上述のステップS15の処理を行う。そのため、複数のタクシー4の運転手への配車機会について不公平感を軽減することができ、より均等な配車が可能となる。
【0088】
また、処理部2は、抽出したタクシー4が複数の場合、移動時間データの値が最も小さいものを選択し、移動時間データの値が同じものが複数存在した場合には、ステップS16,S17,S19に示すように予約運行が可能な連絡を受領した時がより早いものを送信したタクシー4を選択する。そのため、複数のタクシー4の運転手への配車機会について不公平感を軽減することができ、より均等な配車が可能となる。
【0089】
また、運行時間決定用地図データ12は、一般的な地図情報のレイヤー13に、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤー14が重ね合わされたものである。そのため、一方通行、または山間地等のタクシー4による移動の妨げとなるような土地の事情を考慮した、タクシー4のための移動時間情報を提供できる。たとえば、タクシー4の予約をする利用者7の位置情報および利用者7の降車予定の降車位置情報を含む予約情報のレイヤー42を、地図情報のレイヤー13およびブロック情報のレイヤー14に重ねることで、利用者7の乗車位置から降車位置までの時間を算出することができる。
【0090】
また、処理部2は、保有しているタクシー4の数や平均運行時間等が入力されることで、予約枠15の限度数を自動算出し、算出された値の中に入る整数値のうち最大値を選択し、予約枠の時間間隔となるz分を10分とした上で10分毎の各受付可能予約枠を「最大値÷6」の1/4〜3/4の範囲としている。そのため、過剰な予約を抱え込むことなく、適切な運行回数の配分、業務量の安定化、運行の平準化、運転手の業務量の低減等を図ることができる。
【0091】
また、単位時間内の各予約枠15を午前から午後にかけての所定時間のみ1倍を超え2倍以下としている。その所定時間は、高稼働な時間帯である学校、病院、職場等への移動のため、病院から自宅への移動のため、タクシー4の利用が集中する高稼働の期間である。この時間帯は、特に通院が多く、往と復の双方に予約を当てることができ、高効率となる。このため、受付可能予約枠を多くしてもその期間の負荷に対応させることができる。
【0092】
また、処理部2は、運行時間決定用地図データ12中に無い乗車地の予約が入ったときは、予約リストとは別に遠方配車用予約リストを作成する。このため、運行時間決定用地図データ12中に無い想定外の地域への配車が可能となる。また、処理部2は、配車リストを作成するに当たって、遠方配車用予約リストが存在する場合は、予約リストに優先して遠方配車用予約リストの配車を行う。このため、想定外の地域への配車に際し、個別具体的かつ迅速な対応が可能となる。
【0093】
処理部2は、図7のステップS5に示す抽出ができなかった場合には、乗車時刻データの時刻に近い時刻であってその時刻の乗車時刻データであれば抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータをタクシー4または利用者7へと送信する(図13のステップS12)。そのため、利用者7の都合とタクシー4の配車の都合のすり合わせができ、利用者7の満足度を高めることができる。
【0094】
また、入力された乗車時刻データと降車時刻データとのいずれか一方または双方を、タクシー4内で出力する。そのため、利用者7は次回のタクシー4の予約を確認でき、忘れないようにすることができる。
【0095】
また、運行時間決定用地図データ12に、施設情報のレイヤー43を重ねている。または、運行時間決定用地図データ12に地図上のどこに何の施設が存在するかについての施設情報を含ませることができる。このようにすると、タクシー4または利用者7は、施設情報に基づいて乗降地データを処理部2に送信し、処理部2は、施設情報から当該施設が複数のブロック11のどこのブロック11に位置するかを特定することができる。そのため、利用者7またはタクシー4の運転手は、馴染みのある施設名によって乗降地データを特定でき、その特定が容易かつ確実になる。
【0096】
また、利用者7が利用した経験のある乗降地データに基づく第1の顧客データを用い、第1の顧客データを利用して、タクシー4または利用者7によって処理部2へ乗降地データが送信される。そのため、利用者7は過去に利用経験のあるルートについては、再度入力をせずに乗降地データを特定することができる。
【0097】
また、タクシー4の利用に際し必要な利用者7に関する第2の顧客データを用い、第2の顧客データを各々のタクシー4の運転手が把握可能としている。そのため、利用者7が健常者でない場合等には、その利用者7を乗せる運転手が変わった場合でも、その利用者7に必要な補助を施すことが可能となる。
【0098】
また、乗降地データは、グローバル・ポジショニング・システムを用いてタクシー4または利用者7によって処理部2に送信することができる。そのため、乗降地データの入力の手間を軽減することができる。
【0099】
(他の形態)
以上、本発明の実施の形態におけるタクシー配車システムおよびタクシー配車処理装置1について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り種々変更実施可能である。
【0100】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2と、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とを有するタクシー配車システムにおいて、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、運行時間決定用の地図データ12から各タクシーについてその待機地点から乗車地までの移動時間データと、降車時刻のデータとを導き出し、乗車時刻のデータから降車時刻のデータまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシー4であって、かつ乗車時刻に乗車地に到着可能なタクシー4を抽出し、その抽出されたタクシー4から選択したタクシー4をタクシー利用者へ配車する。
【0101】
ここで、運行時間決定用地図データ12は、ブロック化されているが、ブロック化せずに時間的な距離を算出するようにしても良い。また、配車スケジュールテーブル31や予約テーブル16は、上述のような予約枠15を用いず、たとえば単なる表形式のもの等を用いることができる。また、上述のような予約枠15を用いる場合に、x、y、z、nの値は適宜変更できる。また、「平常時」は、1日の全てを平常時としても良いが、午前9時から午後1時までや、午前9時から午前11時まで等を「高稼働時」として、平常時とは最大値が異なる時間帯として設定しても良い。この設定は、サーバ部5に「高稼働時」を設定すること、その時間帯を設定できる入力部を設けることで行うようにしても良いが、標準設定で所定の時間帯を「高稼働時」としても良い。
【0102】
また、処理部2は、抽出したタクシー4が複数の場合でかつそれらが出勤後初であるタクシー4の場合、出勤時刻の早いものを優先している。しかし、そのような優先順位は設定する必要はなく、たとえば、出勤時刻の遅いもの等を優先することとしても良い。また、出勤時刻の早いものであっても、前日の退社時刻が遅い者は、優先順位を低くする等、前日の退社時刻や前日の稼働時間を考慮した優先順位としても良い。
【0103】
また、処理部2は、抽出したタクシー4が複数の場合、移動時間データの値が最も小さいものを選択し、移動時間データの値が同じものが複数存在した場合には、タクシー4から予約運行が可能な連絡を受領した時が早いものを選択している。しかし、そのような選択の仕方をする必要はなく、たとえば、移動時間データの値が2番目、または3番目に小さいもの等を選択することとしても良い。
【0104】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2と、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とを有するタクシー配車システムにおいて、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシーの平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、運行時間決定用地図データ12は、一般的な地図情報のレイヤー13に、時間的な距離でブロック11化されたブロック11情報のレイヤー14が重ね合わされたものである。
【0105】
しかし、配車スケジュールテーブル31は、上述のような予約枠15を用いず、たとえば単なる表形式のもの等を用いることができる。また、上述のような予約枠15を用いる場合に、x、y、z、nの値は適宜変更できる。また、配車スケジュールテーブル31は、第1の配車スケジュールテーブル32と、第2の配車スケジュールテーブル33のように2つに分かれているものであってもよく、第1の配車スケジュールテーブル32と、第2の配車スケジュールテーブル33とを1枚のものにしたものとしても良い。
【0106】
また、タクシー4の予約をする利用者7の位置情報および利用者7の降車予定の降車位置情報を有する予約情報のレイヤー42を、地図情報のレイヤー13およびブロック情報のレイヤー14に重ねることで、利用者7の乗車位置から降車位置までの時間を算出している。しかし、そのようにレイヤーを重ねることは必要なく、たとえば、予約情報が入力された運行時間決定用地図データ12のみから利用者の乗車位置から降車位置までの時間を算出しても良い。
【0107】
また、処理部2は、タクシー会社が保有するタクシー4の数が入力されることで、予約枠15の限度数を自動算出し、算出された値の中に入る整数値のうち最大値を選択し、z分を10分とした上で10分毎の各予約枠15を「最大値÷6」とし、予約引受可能な枠をその値の1/4〜3/4の範囲としている。しかし、そのような範囲とする必要はなく、たとえば、z分を5分、15分、20分または30分としたり、または、各予約枠15を「最大値÷6」の1/4未満もしくは3/4を超える範囲とすることとしても良い。
【0108】
また、単位時間内の各予約枠15を午前から午後にかけての所定時間のみ1倍を超え2倍以下としている。しかし、そのような予約枠15の設定は必要なく、たとえば、午後の所定時間のみ1倍を超え2倍以下としたり、午前から午後にかけての所定時間のみ1倍を超え3倍、または4倍以下等とすることとしても良い。
【0109】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2と、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部と送受信する手段を有するタクシー4とを有するタクシー配車システムにおいて、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシー4の平均移動時間をx分とし、タクシー4の台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、予約申込者の乗車日時が入力されると、予約枠15を検索し、該当する予約枠15に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと運行時間決定用地図データ12に基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用して配車スケジュールテーブル31を完成している。
【0110】
この予約リストは、配車スケジュールテーブル31の基となるものであるが、予約リストそのものを配車スケジュールテーブルと兼用するようにしても良い。また、各数式で得られた値が小数点以下を有するものであるとき、その小数点は、切り下げ、切り上げ、のいずれか一方を選択したり、大きい方の値を切り上げ、小さい方の値を切り下げるようにしても良い。または、その逆としても良い。
【0111】
また、処理部2は、運行時間決定用地図データ12中に無い乗車地の予約が入ったときは、予約リストとは別に遠方配車用予約リストを作成している。しかし、遠方配車用予約リストを作成する必要はなく、たとえば、通常の予約リスト中に入れても良い。また、運行時間決定用地図データ12中に無い乗車地の予約が入ったときは、処理部2による処理を行わないこととしても良い。
【0112】
また、処理部2は、配車スケジュールテーブル31を作成するに当たって、遠方配車用予約リストが存在する場合は、予約リストに優先して遠方配車用予約リストの配車を行っている。しかし、そのような優先順位を設けることとする必要はなく、たとえば、予約リストの方を優先して配車を行うこととしても良い。
【0113】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車システムは、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2と、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4、またはタクシー4の利用者とを有し、処理部2は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データ12と、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠15を備える配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、タクシー4または利用者7が、利用者7の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを処理部2に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、処理部2は、その入力されたデータを運行時間決定用地図データ12とを参照して、乗降地データを座標データに置き換え、座標データから利用者7の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、配車スケジュールテーブル31を参照し、乗車時刻データから降車時刻データまでの期間の予約枠15にデータが入力されていないタクシー4を抽出し、その抽出されたタクシーから一定の基準で選択したタクシー4を利用者7へ配車している。
【0114】
この一定の基準で選択する処理は、上述したように図13に示す配車処理としているが、図13に示す配車処理以外の処理を採用しても良い。たとえば、上述した選択基準に加え、または代えて、前日または過去数日間の運転者の稼働率(=稼いだ金額)を基準としても良い。その額が小さい者のタクシー4を優先順位の高いものとするのである。
【0115】
そして、処理部2は、上述の抽出ができなかった場合には、乗車時刻データの時刻に近い時刻であってその時刻の乗車時刻データであれば抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータをタクシー4または利用者7へと送信している。しかし、そのようなデータの送信をする必要はなく、たとえば、配車が不可能な旨のデータを送信することとしても良い。
【0116】
また、入力された乗車時刻データと降車時刻データとのいずれか一方または双方を、タクシー4内で出力している。しかし、そのような出力をする必要はなく、たとえば、タクシー4外で、利用者の電話または電子メールの宛先へと出力をすることとしても良い。
【0117】
また、運行時間決定用地図データ12には、地図上のどこに何の施設が存在するかについての施設情報を含ませるようにしても良い。また、タクシー4または利用者7は、施設情報に基づいて乗降地データを処理部2に送信し、処理部2は、施設情報から当該施設が複数のブロック11のどこのブロック11に位置するかを特定している。しかし、このように施設で特定する必要はない。住所や電話番号のいずれかで位置を特定するようにしても良い。
【0118】
また、利用者7が利用した経験のある乗降地データに基づく第1の顧客データを用い、第1の顧客データを利用して、タクシー4または利用者7によって、処理部2へ乗降地データが送信されることとしている。しかし、第1の顧客データを用いないこととしても良い。
【0119】
また、タクシー利用に際し必要な利用者7に関する第2の顧客データを用い、第2の顧客データを各々のタクシーの運転手が把握可能とすることとしている。しかし、第2の顧客データを用いないこととしても良い。
【0120】
また、乗降地データは、グローバル・ポジショニング・システムを用いてタクシー4または利用者7によって処理部2に送信されることとしている。しかし、グローバル・ポジショニング・システムを用いないこととしても良い。また、グローバル・ポジショニング・システムに代えて、LORAN等を採用しても良い。
【0121】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置1は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2を有し、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とその各種データを送受信するタクシー配車処理装置1において、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシー4の平均移動時間をx分とし、タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、運行時間決定用の地図データ12、および受信した各タクシー4についてその待機地点のデータおよび乗車地のデータから、その待機地点からその乗車地までの移動時間データおよび降車時刻のデータとを導き出し、乗車時刻のデータから降車時刻のデータまでの期間の予約枠15にデータが入力されていないタクシー4であって、かつ乗車時刻に乗車地に到着可能なタクシー4を抽出し、その抽出されたタクシー4から選択したタクシー4をタクシー利用者へ配車する。
【0122】
しかし、配車スケジュールテーブル31は、上述のような予約枠15を用いず、たとえば単なる表形式のもの等を用いることができる。また、上述のような予約枠15を用いる場合に、x、y、z、nの値は適宜変更できる。また、タクシー配車処理装置1は、サーバ部5や記憶部3を備える処理部2を有する装置であるが、サーバ部5や記憶部3は処理部2内ではなく処理部2の外部に配置されていても良い。
【0123】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置1は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2を有し、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とその各種データを送受信するタクシー配車処理装置1において、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシー4の平均移動時間をx分とし、タクシー4の台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、運行時間決定用地図データ12は、一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものである。
【0124】
しかし、配車スケジュールテーブル31は、上述のような予約枠15を用いず、たとえば単なる表形式のもの等を用いることができる。また、上述のような予約枠15を用いる場合に、x、y、z、nの値は適宜変更できる。また、予約枠15の限度数や単位時間内の各予約枠15を所定の値にするとき、処理部2の自力計算と運行管理者の設定との2つを利用しているが、全て処理部2の自力計算としたり、逆に全て運行管理者の設定としたりしても良い。
【0125】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置1は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2を有し、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とその各種データを送受信するタクシー配車処理装置1において、処理部2は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データ12と、タクシー4の平均移動時間をx分とし、タクシー4の台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠15の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の単位時間内の各予約枠15を1以上で「限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、予約申込者の乗車日時が入力されると、予約枠15を検索し、該当する予約枠15に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと運行時間決定用地図データ12に基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用して配車スケジュールテーブル31を完成する。
【0126】
しかし、配車スケジュールテーブル31は、上述のような予約枠15を用いず、たとえば単なる表形式のもの等を用いることができる。また、上述のような予約枠15を用いる場合に、x、y、z、nの値は適宜変更できる。また、配車スケジュールテーブル31を完成する前に予約がOKか否かのみを示す予約テーブル16を作成したり、配車前の第1の配車スケジュールテーブル32を作成したりしても良い。
【0127】
本発明の実施の形態に係るタクシー配車処理装置1は、基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部2を有し、配車される複数のタクシー4であって各種データを処理部2と送受信する手段を有するタクシー4とその各種データを送受信するタクシー配車処理装置1において、処理部2は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データ12と、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠15を備える配車スケジュールテーブル31とを有し、処理部2は、タクシー4または利用者7が、利用者7の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを処理部2に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、処理部2は、その入力されたデータと運行時間決定用地図データ12とを参照して、乗降地データを座標データに置き換え、座標データから利用者の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、配車前の配車スケジュールテーブル31を参照し、乗車時刻データから降車時刻データまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシー4を抽出し、その抽出されたタクシー4から一定の基準で選択したタクシー4を利用者7へ配車する。
【0128】
この一定の基準で選択する処理は、上述したように図13に示す配車処理としているが、図13に示す配車処理以外の処理を採用しても良い。また、予約枠15を設定した後で受付可能な予約枠15を設定するようにしても良い。また、予約枠15は、処理部2で自動計算するようにしたり、運行管理者が計算し得られた値を処理部2へ入力するようにしても良い。
【0129】
また、予約テーブル16にて予約を受け付けているが、配車スケジュールテーブル31が予約テーブル16を兼ねるようにしても良い。また、予約テーブル16で受け付けた後で配車を決定しているが、予約を受け付けるときに、配車を検索、抽出し、配車が可能となったときに予約を受け付けるようにしても良い。さらに、予約テーブル16で予約を受け付けた後で、配車を決定する際、対象となる車両が見つからないときは、予約運行対象のタクシー4以外、すなわち保有台数が15台のときは5台のタクシー4以外のタクシー4がその予約に対応するようにしても良い。
【符号の説明】
【0130】
1 タクシー配車処理装置
2 処理部
11 ブロック
12 運行時間決定用地図データ
13 一般的な地図情報のレイヤー
14 ブロック情報のレイヤー
15 予約枠
16 予約テーブル
31 配車スケジュールテーブル
x タクシーの平均移動時間
y タクシーの台数
z 予約の単位時間
n 0以上の整数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、上記運行時間決定用の地図データから各タクシーについてその待機地点から乗車地までの移動時間データと、降車時刻のデータとを導き出し、上記乗車時刻のデータから上記降車時刻のデータまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーであって、かつ上記乗車時刻に上記乗車地に到着可能なタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから選択したタクシーを上記タクシー利用者へ配車することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記抽出したタクシーが複数の場合でかつそれらが出勤後初であるタクシーの場合、出勤時刻の早いものを優先することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項3】
請求項1に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記抽出したタクシーが複数の場合、前記移動時間データの値が最も小さいものを選択し、前記移動時間データの値が同じものが複数存在した場合には、前記タクシーから予約運行が可能な連絡を受領した時が早いものを選択することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項4】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記運行時間決定用地図データは、一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものであることを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項5】
請求項4に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記タクシーの予約をする利用者の位置情報のレイヤーおよび利用者の降車予定の降車位置情報のレイヤーを、前記地図情報のレイヤーおよび前記ブロック情報のレイヤーに重ねることで、利用者の乗車位置から降車位置までの時間を算出することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項6】
請求項4に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記配車されるタクシーの数が入力されることで、前記予約枠の限度数を自動算出し、算出された値の中に入る整数値のうち最大値を選択し、前記z分を10分とした上で10分毎の各予約枠を「上記最大値÷6」とし、予約引受可能な枠を、その値の1/4〜3/4の範囲としたことを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項7】
請求項4に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記単位時間内の各予約枠を午前から午後にかけての所定時間のみ1倍を超え2倍以下としたことを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項8】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとを有するタクシー配車システムにおいて、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、予約申込者の乗車日時が入力されると、上記予約枠を検索し、該当する予約枠に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと上記運行時間決定用地図データに基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用して上記配車スケジュールテーブルを完成することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項9】
請求項8に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記運行時間決定用地図データ中に無い乗車地の予約が入ったときは、前記予約リストとは別に遠方配車用予約リストを作成することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項10】
請求項8に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記配車リストを作成するに当たって、前記遠方配車用予約リストが存在する場合は、前記予約リストに優先して前記遠方配車用予約リストの配車を行うことを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項11】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部と、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシー、または上記タクシーの利用者とを有し、
上記処理部は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データと、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、上記タクシーまたは上記利用者が、上記利用者の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを上記処理部に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、
上記処理部は、その入力されたデータを上記運行時間決定用地図データとを参照して、上記乗降地データを上記座標データに置き換え、上記座標データから上記利用者の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、上記配車スケジュールテーブルを参照し、上記乗車時刻データから上記降車時刻データまでの期間の上記予約枠にデータが入力されていない上記タクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから一定の基準で選択したタクシーを上記利用者へ配車することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項12】
請求項11に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記処理部は、前記抽出ができなかった場合には、前記乗車時刻データの時刻に近い時刻であってその時刻の前記乗車時刻データであれば上記抽出が可能な時刻の1つまたは2つ以上のデータを前記タクシーまたは前記利用者へと送信することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記入力された前記乗車時刻データと前記降車時刻データとのいずれか一方または双方を、前記タクシー内で出力することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記運行時間決定用地図データは、地図上のどこに何の施設が存在するかについての施設情報を含み、前記タクシーまたは前記利用者は、上記施設情報に基づいて前記乗降地データを前記処理部に送信し、前記処理部は、上記施設情報から当該施設が前記複数のブロックのどこのブロックに位置するかを特定することを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記利用者が利用した経験のある前記乗降地データに基づく第1の顧客データを用い、上記第1の顧客データを利用して、前記タクシーまたは前記利用者によって前記処理部へ前記乗降地データが送信されることを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1項に記載のタクシー配車システムにおいて、
タクシー利用に際し必要な前記利用者に関する第2の顧客データを用い、上記第2の顧客データを各々の前記タクシーの運転手が把握可能とすることを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか1項に記載のタクシー配車システムにおいて、
前記乗降地データは、グローバル・ポジショニング・システムを用いて前記タクシーまたは前記利用者によって前記処理部に送信されることを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項18】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、タクシー利用者の乗降地データと乗車時刻のデータとを利用し、上記運行時間決定用の地図データ、および受信した各タクシーについてその待機地点のデータおよび乗車地のデータから、その待機地点からその乗車地までの移動時間データおよび降車時刻のデータとを導き出し、
上記乗車時刻のデータから上記降車時刻のデータまでの期間の予約枠にデータが入力されていないタクシーであって、かつ上記乗車時刻に上記乗車地に到着可能なタクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから選択したタクシーを上記タクシー利用者へ配車することを特徴とするタクシー配車処理装置。
【請求項19】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記運行時間決定用地図データは、一般的な地図情報のレイヤーに、時間的な距離でブロック化されたブロック情報のレイヤーが重ね合わされたものであることを特徴とするタクシー配車処理装置。
【請求項20】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、
上記処理部は、地形を時間的な距離に基づいて区切ってブロック化した運行時間決定用地図データと、タクシーの平均移動時間をx分とし、上記タクシーの台数をy台としたとき、1時間の中での予約枠の限度数を「(60÷x)×y」からその値の−20%以内とし、予約の単位時間をz分としたとき、平常時の上記単位時間内の各予約枠を1以上で「上記限度数÷(60÷z)−n」(nは0以上の整数)以下とした配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、予約申込者の乗車日時が入力されると、上記予約枠を検索し、該当する予約枠に空きがあるか否かを判断し、空きがあると、その枠を埋めると共に乗車日時、乗車地、目的地を少なくとも有する予約リストを作成し、その後、その予約リストと上記運行時間決定用地図データに基づき、降車時刻を算出し、その降車時刻を利用して配車リストを作成することを特徴とするタクシー配車処理装置。
【請求項21】
基地局に設置され各種データを記憶し、処理し、サーバとしても機能する処理部を有し、配車される複数のタクシーであって各種データを上記処理部と送受信する手段を有するタクシーとその各種データを送受信するタクシー配車処理装置において、
上記処理部は、地形を所定の移動可能時間に基づいてブロックに区分けして座標データとした運行時間決定用地図データと、所定期間を一単位としその一単位毎に1つまたは複数のマス目に区切った予約枠を備える配車スケジュールテーブルとを有し、
上記処理部は、上記タクシーまたは上記利用者が、上記利用者の乗降地データと、乗車時刻データまたは降車時刻データとを上記処理部に送信することで、それらのデータを入力し、またはコンピュータに接続される外部機器から入力され、
上記処理部は、その入力されたデータと上記運行時間決定用地図データとを参照して、上記乗降地データを上記座標データに置き換え、上記座標データから上記利用者の乗車時刻データまたは降車時刻データを割り出し、上記配車スケジュールテーブルを参照し、上記乗車時刻データから上記降車時刻データまでの期間の上記予約枠にデータが入力されていない上記タクシーを抽出し、その抽出されたタクシーから一定の基準で選択したタクシーを上記利用者へ配車することを特徴とするタクシー配車処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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