タクシー配車システム
【課題】タクシー配車システムにおいて、乗務員が自分の車両を離れて事務所内で待機している場合、管理センタからの配車指示を受信しても気づかず、配車が完了しないため、管理センタから配車指示を再送したり、あるいは他の車両に配車指示を行うなどし、配車の効率を向上させることが困難であるという課題があった。
【解決手段】複数の移動局と、基地局を介して移動局に対する配車指示を行う管理センタとを備えたタクシー配車システムにおいて、管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置を設置し、配車応答装置で、管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、配車応答装置から配車了解操作が行われると、配車了解情報を管理センタへ送信する。
【解決手段】複数の移動局と、基地局を介して移動局に対する配車指示を行う管理センタとを備えたタクシー配車システムにおいて、管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置を設置し、配車応答装置で、管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、配車応答装置から配車了解操作が行われると、配車了解情報を管理センタへ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムに関し、特に、タクシーの位置情報を自動的に検出し、効率的に配車することのできるタクシー配車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)測位システムにより、全世界においてGPS受信機単体で誤差10m程度の精度で位置情報を得ることができるようになっている。このGPS測位システムは、主にカーナビゲーションや船舶、航空機の航法あるいは測量などに利用されている。また、近年の移動通信システムの発展により、手軽に広域エリアを対象とした移動体データ通信を行うことが可能となっている。このようなGPS測位システムと移動通信システムとが融合して、移動体の位置管理システムが実用化され、公衆用無線や業務用無線を通じて宅配車両やタクシーなどの配車の効率向上などの目的に利用されている。
【0003】
従来のGPSを利用したタクシー配車用AVMシステムは、GPS衛星と、移動局( タクシー)と、移動局と無線通信を行う基地局と、基地局と専用線で接続された管理センタとから構成されている。各移動局は、GPS衛星からの位置情報を受けて、自車の位置情報( 緯度、経度) を入手することができる。管理センタからの指示で、各基地局は、ポーリング信号を各移動局に送信し、各移動局は、このポーリング信号に応答してポーリング応答信号を基地局に送信する。このとき、ポーリング応答信号には、各移動局の車両動態情報(空車等の情報)や位置情報が含まれている。即ち、このシステムにおいては、管理センタは、各基地局を介して各移動局から車両動態情報や位置情報を収集する。
【0004】
なお、基地局は、少なくとも1つあって管理センタに接続されており、管理センタでは、顧客からの配車要求に従い、移動局の動態位置情報(空車等の情報や位置情報)から配車に最適な移動局、例えば、顧客に最も近い移動局の検索を行って配車指示情報を送信し、タクシー車両の配車を行う。配車を指示された移動局は、管理センタへ配車了解情報を送信するとともに、顧客の所まで移動する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-332291公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタクシー配車用AVMシステムでは、管理センタからの配車指示を移動局(タクシー)が受信しても、タクシーの乗務員がタクシーに設けられた了解ボタンを押すなどして、タクシーから配車了解情報を管理センタへ送信しないと、配車がなされなかった。そのため、乗務員が自分の車両を離れて事務所内等で待機している場合や、車両から離れて外にいる場合に、管理センタからの配車指示を受信しても気づかず、配車が完了しないため、管理センタから配車指示を再送したり、あるいは他の車両に配車指示を行うなどし、配車の効率を向上させることが困難であった。
本発明の目的は、乗務員が自分の車両を離れて事務所内等で待機している場合や、車両から離れて外にいる場合においても、効率的に配車を行うことのできるタクシー配車システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本願発明は、
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システムとして構成される。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、乗務員が自分の車両を離れている場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例におけるタクシー配車システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例における管理センタの構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例における基地局の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施例における移動局の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施例における配車応答装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施例における配車待機情報テーブルの構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施例における基地局からのポーリング信号と移動局からの応答信号の関係を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例におけるポーリング信号とポーリング応答信号を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施例のタクシー配車システムにおける配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施例における車両情報データベースの一例である。
【図11】本発明の第2実施例における管理センタの処理の一例である。
【図12】本発明の第2実施例のタクシー配車システムにおける配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施例における移動局の構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3実施例における移動局の子機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について、図を参照して説明する。先ず、本発明の第1実施例に係る車両運行システムのシステム構成について説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る車両運行システムのシステム構成例を示す図である。本実施例に係る車両運行システムは、図1の例では、基地局10−1、10−2、10−3、…、移動局20−1、20−2、20−3…、GPS衛星6、管理センタ5、配車応答装置9を備える。
【0011】
移動局20−1、20−2、20−3…(単に、移動局20とも表記する)は、実際には、配車、運行の対象となっているタクシー等の車両である。基地局10−1、10−2、10−3…(単に、基地局10とも表記する)は、移動局と無線で通信する無線局であり、移動局と無線により通信できる一定のカバーエリアを有する。また、基地局10は、後述する配車応答装置9とも無線で通信することができる。なお、本実施例では、基地局と移動局間の業務用無線の方式として、デジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)方式を使用している。
【0012】
管理センタ5は、この車両運行システムの全体を管理する装置であり、一つ以上の基地局10とネットワークにより結ばれ、各種制御と情報のやりとりを行えるようになっている。管理センタ5の管理領域は、接続されている基地局10−1、10−2、10−3…の基地局カバーエリアの和集合の領域である。なお、管理センタ5は、基地局10と一体に構成することもできる。
【0013】
GPS衛星6は、位置情報を移動局20に伝えるための人工衛星であり、移動局20は、複数のGPS衛星6から時刻のデータを含む電波信号D6をGPS受信機で受け取り、受信した電波の時間差によりそれぞれのGPS衛星6との相対的な距離差を算出し、それにより自車の位置情報(経度、緯度)を得ることができる。
【0014】
基地局10は、管理センタ5の指示により移動局20にポーリング信号を送信し、移動局20は、そのポーリング信号に応答して、車両番号と共に自車の情報を送信する。そして、最終的に管理領域内の車両の情報は、全て管理センタ5に伝送される。管理センタ5では、位置情報や動態情報等の、その車両の情報を管理センタ5の記憶部110にデータベースとして保存する。
【0015】
配車応答装置9は、基地局10と無線通信可能となっており、管理センタ5から移動局20への配車指示に対して、移動局20に代わって、管理センタ5へ応答する機能を有するものである。
【0016】
次に、本発明の第1実施例の動作概要について説明する。
移動局20には、GPSシステムにより現時点での位置情報が収集され、保存されている。この状態で、まず、管理センタ5は、基地局10を介してポーリング方式で複数の移動局20の現時点での位置情報および動態情報( 実車、空車、支払い、待機、迎車、休憩、移動方向、事故情報、配車状態等) を収集するためにポーリング信号PO1を各移動局20に送信する。各移動局20は、このポーリング信号PO1を受信することにより、車両番号、現時点での位置情報および動態情報をポーリング応答信号SRで、基地局10に送信する。なお、基地局10、移動局20およびポーリング方式の詳細については後述する。
【0017】
上記のようにして複数の移動局20から収集された現時点での位置情報および動態情報は、基地局10から管理センタ5に送信され、管理センタ記憶部110の車両情報データベース112に記憶される。従って、このシステムでは、管理センタ5は、基地局10から送られる各移動局20の位置情報および動態情報を収集し、車両情報データベース112に基づいて種々の車両情報管理を行うように構成されている。車両情報データベース112については、後で図10を用いて説明する。なお、図1では、基地局10は、管理センタ5と独立した形態で説明しているが、システムの規模に応じて一体に構成することもできることは勿論である。
【0018】
次に、顧客からタクシーの配車要求を受け取った管理センタ5は、車両情報データベース112を用いて、最適な車両検索のために、例えば、顧客に最も近い位置に位置する移動局20−1を検索し、基地局10を介して配車指示情報を送信する。管理センタ5からの配車指示情報は、基地局10を介して各移動局20及び/又は配車応答装置9で受信される。移動局20−1で配車了解応答を行う場合は、配車指示情報を受けた移動局20−1は、配車了解操作がなされることにより、配車了解情報を基地局10を介して管理センタ5に送信し、移動局20−1の応答に応じて配車手配が完了する。
【0019】
また、移動局20−1で配車了解操作を行わず、配車応答装置9で配車了解操作を行う場合は、次のように動作を行う。まず、例えば移動局20−1の乗務員が、予め配車応答装置9に待機情報(車両番号、待機順等)を登録しておく。配車応答装置9は、移動局20−1への配車指示情報を基地局10から受信すると、待機情報が登録されている移動局20−1に対して配車指示があった旨を、配車応答装置9に表示する。その後、配車応答装置9において配車了解操作がなされると、配車応答装置9は、基地局10を介して配車了解情報を管理センタ5に送信し、移動局20−1の応答に応じて配車手配が完了する。
このように、配車応答装置9は、管理センタ5からの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置9により応答可能な移動局20への配車指示であった場合は、配車応答装置9において配車了解操作が行われると、基地局10を介して配車了解情報を管理センタ5へ送信することができる。
【0020】
次に、図2ないし図5を用いて本発明の第1実施例に係る車両運行システムの各部の構成を説明する。
図2は、管理センタ5の構成例を示すブロック図である。
図3は、基地局10の構成例を示すブロック図である。
図4は、移動局20としての車両の構成例を示すブロック図である。
図5は、配車応答装置の構成例を示すブロック図である。
【0021】
先ず、図2を用いて管理センタ5の構成例を説明する。
管理センタ5は、図2に示されるように、管理センタ制御部100と管理センタ記憶部110と操作表示部106が接続された構成である。本例では、管理センタ記憶部110に外部記憶装置を用いている。
管理センタ制御部100は、中央処理装置101、通信インタフェース102、入出力インタフェース103、メモリ104、記憶装置インタフェース105を備え、各部はバスにより接続されている。
通信インタフェース102は、各基地局10−1、10−2、10−3、…と接続されている伝送路により通信をおこなうインタフェースである。マウス、キーボードなどの入出力装置と、LCDモニタやCRTディスプレイなど表示装置を備えた操作表示部106は、入出力インタフェース103により接続され、データの入出力と各種の表示が行えるようになっている。
【0022】
メモリ104は、主記憶装置であり、通常は、半導体装置で構成される。
外部記憶装置である管理センタ記憶部110は、記憶装置インタフェース105により接続され、ハードディスクドライブなどの大容量の記憶装置である。管理センタ記憶部110には、車両の運行を管理する運行管理プログラム111と、車両情報データベース112が格納されている。
運行管理プログラム111は、メモリ104にロードされて、中央処理装置101により実行される。車両情報データベース112は、車両から送られてくる動態位置情報を含む車両情報のデータベースであり、図10を用いて後で説明する。
【0023】
次に、図3を用いて基地局10の構成例を説明する。
基地局10は、図3に示されるように、基地局処理装置200と無線部204が接続された構成である。基地局処理装置200は、基地局記憶部201、通信インタフェース203、受信部202、送信部205を備える。
無線部204は、移動局20等との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。通信インタフェース203は、管理センタ5と接続されているネットワークにより通信をおこなうインタフェースである。受信部202は、移動局20からのポーリング応答信号や配車了解情報、あるいは配車応答装置9からの配車了解情報等を受信処理する。送信部205では、移動局20に対するポーリング信号や、移動局20に対するデータ送信要求の信号等を生成し、無線部204からアンテナ206を介して、移動局20に送信する。基地局記憶部201は、一時的にデータを蓄えるバッファである。
【0024】
次に、図4を用いて移動局20の構成例について説明する。
移動局20は、図4に示されるように、無線部301、対基地局通信用アンテナ302、受信部303、送信部304、スロット設定部305、移動局記憶部306、位置検出部308、料金メータ309、操作表示部310、GPS用アンテナ311を備える。
無線部301は、基地局10との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。
位置検出部308は、GPS衛星6から送られてくる情報をGPSアンテナ311を介して受信して、自車位置を検出する。例えば、経度および緯度を検出する。
料金メータ309は、顧客を乗せたときに課金するためのメータであり、送信部304に、空車、迎車、又は実車等の状態を表す信号を送信する。
受信部303は、基地局10からのポーリング信号やデータ送信要求信号等を検出する。送信部304は、ポーリング応答信号や配車了解情報等を生成し、基地局10に対し、無線部301やアンテナ302を介して送信する。
スロット設定部305は、自局のデータ送信スロットのタイミングを設定する。
移動局記憶部306は、一時的にデータを蓄えるバッファである。
操作表示部310は、より詳細には、モニタなどの情報を表示する部分と、タッチパネル、配車了解ボタンなどの入力を行う部分を有する。
【0025】
次に、図5を用いて配車応答装置9の構成例について説明する。
配車応答装置9は、例えばタクシー乗務員の待機場所等に固定的に設置されるものであって、図5に示されるように、無線部501、対基地局通信用アンテナ502、受信部503、送信部504、スロット設定部505、記憶部506、操作表示部510、待機情報取得部511を備える。
無線部501は、基地局10との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。
受信部503は、基地局10からのポーリング信号やデータ送信要求信号等を検出する。送信部504は、配車了解情報等を生成し、基地局10に対し、無線部501やアンテナ502を介して送信する。スロット設定部505は、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングを設定する。
記憶部506は、後述する配車待機情報テーブル等を記憶する。
操作表示部510は、より詳細には、モニタなどの情報を表示する部分と、タッチパネル、配車了解ボタンなどの入力を行う部分を有する。
【0026】
待機情報取得部511は、例えばカードリーダで構成され、乗務員の識別(ID)情報が記憶されたIDカードから、ID情報を読み取って取得し、待機情報として記憶部506へ記憶するものである。IDカードは、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等をID情報として記憶しており、各乗務員がそれぞれのIDカードを保有、携帯している。IDカードから読み取られたID情報(乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等)は、待機情報取得部511において、読み取り日時、待機順が付されて、図6に示す配車待機情報テーブルとして、記憶部506へ記憶される。
なお、車両番号は、IDカードに記憶しておくのではなく、IDカードを読み取るときに、操作表示部510から乗務員が入力するようにしてもよい。また、IDカードを用いずに、乗務員番号、乗務員の氏名等を、操作表示部510から乗務員が入力するようにしてもよい。
以上のような配車応答装置9は、基地局10との通信機能を備えたパーソナルコンピュータと、乗務員の個人情報である識別情報を読み取るカードリーダで構成することもできる。
【0027】
次に、基地局10、移動局20、及び配車応答装置9の各動作を説明する。
まず、基地局10の動作を説明する。基地局10では、移動局20からの各種情報を得るための動作を実行する。そのため、基地局10の記憶部201では、通信対象となる移動局番号を記憶しており、基地局10は、送信部205で生成された、先頭スロットで応答送信させる移動局番号の指定情報を含むポーリング信号と、移動局20へのデータ送信要求信号とを、無線部204からアンテナ206を経由して各移動局20へ送信する。
【0028】
次に、移動局20の動作を説明する。基地局10から送信された電波は、移動局20のアンテナ302を介して無線部301で受信され、このうちポーリング信号は、受信部303で受信処理されて、送信スロットの先頭の車両番号から各移動局20の車両番号が検出される。また、受信部303で、基地局10からのデータ送信要求信号が検出される。
受信部303で検出された信号は、スロット設定部305へ送られる。スロット設定部305は、自局のデータ送信スロットのタイミングを設定する。また、スロット設定部305は、受信部303からの信号を継続して監視しており、自局のデータ送信スロットのタイミングに達した時点でデータ送信要求信号が検出されている場合、送信部304を起動して送信すべきデータを生成し、無線部301、アンテナ302を経由して基地局10に送信する。また、送信部304は、料金メータ309からの信号によって、空車/迎車/実車等を検出してデータを生成し、あるいは、操作表示部310からの配車了解入力によって、配車了解情報の送信データを生成する。この配車了解情報は、例えば、車両番号、了解電文、移動局20で了解入力された旨の情報から構成される。なお、スロット設定部305は、受信部303の検出信号がなくなるとリセットされる。
【0029】
位置検出部308 は、例えば、GPSシステムにより自局の位置、例えば、緯度および経度を検出し、送信部304で送信用データを生成する。操作表示部310は、移動局の動作や、必要なデータ入力あるいは基地局からの情報の表示を行う機能を有する。また、移動局20は、別途、地図データベース(図示せず)を有しており、例えば、位置検出部308で検出された自車の位置、すなわち、経度および緯度の情報から操作表示部310の表示画面上の地図上に自車の現在地を表示することができる。また、移動局20の行き先を地図データベースから検索し、同様に地図上に表示することもできる。
【0030】
次に、配車応答装置9の動作を説明する。
配車応答装置9を用いて、管理センタ5からの配車指示に応答する場合、例えば移動局20−1の乗務員が、予め配車応答装置9に待機情報(車両番号、待機順等)を登録しておく。待機情報の登録は、例えば、配車応答装置9のカードリーダにより、乗務員のIDカードから、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等のID情報を読み取って、読み取り日時、待機順を付して、図6に示す配車待機情報テーブルとして、配車応答装置9の記憶部506へ記憶する。勿論、IDカードを用いずに、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等を、乗務員が操作表示部510から入力してもかまわない。登録された待機情報は、配車応答装置9の操作表示部510に、例えば、待機順、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号が、待機順(待機情報を登録した時刻の早い順)に、操作表示部510に表示される。
【0031】
このように待機情報が表示された状態において、配車応答装置9が、移動局20−1への配車指示情報を基地局10から受信すると、移動局20−1に対する配車指示があった旨の配車指示情報や、業務連絡情報、個別呼び出し情報等を、配車応答装置9の操作表示部510に一覧で表示し、音声等で通報する。配車指示情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「配車指示」、「車両番号」として「001号車」、「情報内容」として「小平市御幸町32番地。日立国際電気前、石原様」を表示する。また、業務連絡情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「業務連絡」、「車両番号」として「全車」、「情報内容」として「Aの忘れ物報告あり。該当車両は応答してください。」を表示する。また、個別呼び出し情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「個別呼び出し」、「車両番号」として「003号車」、「情報内容」として「至急事務所に連絡してください。」を表示する。その後、配車応答装置9において、移動局20−1に対する配車了解操作がなされると、配車応答装置9は、基地局10を介して、移動局20−1の配車了解情報を管理センタ5に送信する。
ここで、配車了解操作としては、例えば、自分の待機順番号や車両番号等を、操作表示部510のキーボードから入力することができる。また、その際、表示されていた待機情報から、了解入力された移動局20に関する情報を自動的に消去し、順次、繰上げ表示するのが好ましい。
【0032】
管理センタ5に送信する配車了解情報は、例えば、車両番号、了解電文、配車応答装置9で了解入力された旨の情報から構成される。管理センタ5では、受信した配車了解情報が、移動局20で了解入力されたものか、配車応答装置9で了解入力されたものかを識別し、記憶部506へ記憶して、配車手配が完了する。移動局20と配車応答装置9に配車指示情報が送信された後、配車応答装置9から配車了解情報が送信されると、移動局20にある配車指示情報が消失するような場合は、管理センタ5は、配車応答装置9から配車了解情報を受信した後、移動局20に対して、配車指示情報を再送する。
なお、配車了解情報は、詳しくは、次のようにして基地局10に送信される。すなわち、基地局10から送信された電波は、配車応答装置9のアンテナ502を介して無線部501で受信され、このうちポーリング信号は、受信部503で受信され、送信スロットの先頭の車両番号から各移動局20の車両番号が検出される。また、受信部503において、基地局10から配車応答装置9へのデータ送信要求信号が検出される。
受信部503で検出された信号は、スロット設定部505へ送られる。スロット設定部505は、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングを設定する。また、スロット設定部505は、受信部503からの信号を継続して監視しており、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングに達した時点で、配車応答装置9へのデータ送信要求信号が検出されている場合、操作表示部510から配車了解指示が入力されていると、送信部504を起動して配車了解情報の送信データを生成し、無線部501、アンテナ502を経由して基地局10に送信する。
【0033】
次に、基地局10と移動局20との間のポーリング信号とポーリング応答信号のやりとりについて、図7、図8を用いて説明する。図7は、基地局と移動局間でやりとりされるポーリング信号とポーリング応答信号のシーケンス図である。図8は、ポーリング信号とポーリング応答信号を説明する図である。
基地局10は、エリア内の全ての移動局に対して移動局車両番号1からnを指定したポーリング信号PO1を送信する。なお、図7では、移動局車両番号iの移動局を単に、移動局iと表記している。
ここでは、例えば、図1の移動局20−1が移動局車両番号1、移動局20−2が移動局車両番号2、移動局20−3が移動局車両番号3、・・・、移動局20−nが移動局車両番号n、というように移動局各々には車両番号が固有に設定されている。
【0034】
移動局車両番号iの移動局20−iは、スロット生成部305により予め指定してある車両番号から送信するタイミングを計算し、該当送信スロットで基地局にポーリング応答信号SRiを送信する。ここで、ポーリング信号は、図8(a)に示されるように、信号種別401、ポーリング車番指定402および予備403からなる。信号種別401には、この信号がポーリング信号であることを示す識別子が入る。ポーリング車番指定402は、このポーリング信号に応答すべき車両番号を指定する。
【0035】
ポーリング応答信号は、図8(b)に示されるように、信号種別404、動態情報405および位置情報406からなる。
信号種別404には、この信号がポーリング応答信号であることを示す識別子が入る。動態情報405は、この車両の現在の状態を示す情報であり、顧客を乗せていない状態である「空車」、顧客を乗せて課金中である「実車」、顧客に対して料金の精算中である「支払い」、顧客を迎えるために走行中であって送迎料金を課金する場合である「迎車」などの状態を表す。
位置情報406は、時刻情報を含み、時刻情報と共に移動している移動局の現在位置(X,Y)が送信される。これらの情報は、基地局10の無線部204で受信され、管理センタ5の制御部100に送られ、外部記憶装置110に記憶される。
【0036】
基地局10は、休止期間の時間経過後に次の移動局車両番号n+1からmを指定したポーリング信号PO1を送信し、同じ動作を繰り返すことでエリア内の全移動局の動態位置情報を定期的に収集することができる。
また、基地局10は、図7のようにポーリング信号を送信したあとは、休止期間まで信号を送信することはない。このポーリング信号を送信したあとから休止期間の先頭までの期間を「下り送信利用期間」と呼び、通常はこの期間を利用して、配車情報や連絡情報などの文字データを移動局20へ送信している。
【0037】
なお、図7に示すポーリング方式は、多数台、例えば、m台の移動局で構成されるタクシー配車用AVMシステム等の無線通信システムにおいて、移動局をグループ化し、効率良く移動局の動態情報を収集する場合を示している。即ち、1 回のポーリング周期でm台の移動局全ての動態情報を短時間に収集するには、ポーリングに時間がかかりすぎるし、また、ポーリング応答信号の送信にも無理が生じる。従って、図7では、例えば、n(n<m)台の移動局を1 回のポーリング信号PO1で動態情報を収集し、次のポーリング信号PO2で次の(m−n)台の移動局の動態情報を収集するという方式を採用している。なお、このようなグループ分けは、適宜システムの構成に応じてさまざまな構成が可能であり、上述のような2 グループのみに限定されるものではない。
また、図7に示す方式では、ポーリングのためのチャネルと基地局10から移動局20に配車データ等を送信するチャネルをそれぞれ別のチャネルで送信する2 チャネル方式の場合が示されているが、これに限定されるものではない。
【0038】
次に、図9のタイミングチャートと図10の具体的なデータに基づいて、本発明の第1実施例に係る車両運行システムの動作について説明する。図9は、本発明の第1実施例に係る車両運行システムの動作を示すタイミングチャートである。図10は、車両情報データベース112の構成例を示す図である。
先ず、管理センタ5の制御部100は、伝送路を介し基地局10に対して、動態位置情報を含む車両情報の収集を指示する(S1)。基地局10では、送信部205により無線部204を介して、移動局20及び配車応答装置9に対して、図8(a)に示したポーリング信号およびデータ送信要求信号を送信する(S2)。
移動局20では、ポーリング信号およびデータ送信要求信号を、受信部303により受信し、基地局10に対して所定のスロットで図8(b)に示したポーリング応答信号を送信する(S3)。配車応答装置9では、ポーリング応答信号を送信しない。
【0039】
基地局10では、受信したポーリング応答信号により、動態情報と位置情報を含む車両情報を編集して、管理センタ5の制御部100に送信する(S4)。管理センタ5の制御部100は、送信されてくる車両情報を、図10に示されるような車両情報データベース112に格納する(S5)。
車両情報データベース112は、図10に示されるように、車両番号、位置情報(現在位置)、位置情報と対応する時刻、車両番号ごとの動態情報(配車状態情報)、各車両の稼働率を格納する。図10の例では、動態情報は配車状態情報に相当し、車両から送られてくるポーリング応答信号の動態情報405に基づき、「空車」、「実車」、「支払い」、「迎車」、「配車中」などの状態が入る。位置情報と、位置情報と対応する時刻情報も、車両から送られてくるポーリング応答信号の位置情報406に基づくものである。各車両の稼働率は、各車両における全体の時間に対する実車時間の比率であり、管理センタ5の制御部100が、配車状態情報や時刻情報に基づいて算出する。
図10では、各移動局20−1、20−2、・・・20−nの現在位置( 緯度Xn 、経度Yn)、現在位置と対応する時刻、動態情報(実車、空車、待機、迎車、配車中)、稼働率をテーブル化したものが示されている。管理センタ5は、この車両情報データベース112に基づいて各移動局20の車両情報(位置情報、動態情報等)管理を行っている。
【0040】
この状態で、顧客が管理センタ5に配車要求を行うと、管理センタ5の制御部100 は、図10に示す車両情報データベース112の車両情報と、例えば操作表示部106から入力された顧客位置情報とに基づいて、配車対象として、例えば、移動局20−1を抽出する。移動局20−1の抽出は、例えば、管理センタ5が、現時点で空車である移動局を車両情報データベース112の配車状態情報から検索し、さらに、顧客位置から所定の範囲に位置する移動局を車両情報データベース112の位置情報から検索することにより、例えば、空車であり、且つ、最も顧客に近い移動局20−1を選定することで実現できる。あるいは、待機場所に位置する移動局の中で最も稼働率の低い移動局を選定するようにしてもよい。このようにすると、移動局によって稼働率が偏ることを抑制できる。
なお、顧客位置情報は、操作表示部106以外の手段により入力してもよく、また、移動局の選定は、操作員が行ってもよいことは勿論である。
【0041】
その結果、管理センタ5の制御部100は、基地局10を介して下り送信利用期間(図7に示す。) の間に、移動局20−1及び配車応答装置9に対して配車指示情報を送信する(S6、S7)。移動局20−1は、この配車指示情報を受信すると、所定の了解操作実行期間内に移動局20−1の操作表示部310を操作して配車了解を入力し、基地局を介して管理センタ5に配車了解情報を送信する(S8、S10)。あるいは、移動局20−1から配車了解を入力しない場合は、配車応答装置9において、この配車指示情報を受信すると、所定の了解操作実行期間内に、配車応答装置9の操作表示部510を操作して配車了解を入力し、基地局を介して管理センタ5に配車了解情報を送信する(S9、S10)。
移動局20−1、又は配車応答装置9からの配車了解情報を受信すると、管理センタ5は、車両情報データベース112に、移動局20−1に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し(S11)、配車手配が完了する。
【0042】
(第2実施例)
次に、第2実施例について、図11、図12を用いて説明する。
前述した第1実施例においては、管理センタ5から、移動局20と配車応答装置9の両方に対して配車指示情報が送信され、移動局20と配車応答装置9のいずれかにおいて配車了解操作が行われると、該配車了解操作が行われた移動局20又は配車応答装置9から、管理センタ5に対して配車了解情報を送信するようにしていた。
第2実施例においては、管理センタ5は、移動局20と配車応答装置9のいずれか一方を送信先に指定して、該送信先指定情報を配車指示情報に付加して、第1の配車指示情報を送信する。配車応答装置9を送信先に指定して第1の配車指示情報を送信した場合は、配車応答装置9において配車了解操作が行われ、配車了解情報が送信される。管理センタ5は、配車応答装置9からの配車了解情報を受信すると、移動局20に対して、第2の配車指示情報を送信する。配車応答装置9において配車了解操作を行った乗務員は、自分の車両(移動局20)に戻り、受信した第2の配車指示情報に基づいて、指示された場所へ車両を運行する。なお、第2の配車指示情報は、第1の配車指示情報を再送するようにしてもよい。
【0043】
図11は、管理センタ5で送信先を設定して配車指示情報を送信する処理の一例である。管理センタ5の操作表示部106から、例えば移動局20−1に対して配車指示操作が行われる(S21)と、管理センタ5の制御部100は、配車指示した移動局20−1の乗務員が、待機場所、例えば事務所にいるかどうかの判定を行う(S22)。乗務員が事務所にいるかどうかの判定は、管理センタ5で得ている移動局20−1の配車状態情報により行う。移動局20−1の配車状態情報がポーリング無応答状態(移動局の電源OFFや閉局)であれば、事務所に乗務員がいるものと判定し(S22でYES)、配車状態情報が待機中であれば、車内に乗務員がいるものと判定する(S22でNO)。事務所に乗務員がいる場合は、配車指示情報の送信先を示す送信先指定情報に、待機場所である事務所を設定して配車指示情報を生成する(S23)。移動局20−1の車内に乗務員がいる場合は、配車指示情報の送信先を示す送信先指定情報に、移動局20−1を設定して配車指示情報を生成する(S24)。管理センタ5は、該生成した配車指示情報を、移動局20−1及び配車応答装置9に対して送信する(S25)。配車指示情報中の送信先指定情報で送信先に指定された移動局20−1又は配車応答装置9は、配車指示情報を受信すると、配車指示情報を操作表示部310又は操作表示部510に表示し、あるいは音声で乗務員に通知する。
【0044】
図12は、事務所に乗務員がいる場合における、配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。管理センタ5の操作表示部106から配車指示操作が行われる(S21)と、管理センタ5の制御部100は、送信先を配車応答装置9に指定した配車指示情報(第1の配車指示情報)を、基地局10に対して送信する(S32)。基地局10は、受信した配車指示情報を、配車応答装置9に対して送信する(S33)。配車応答装置9において、乗務員が配車了解の操作を行う(S34)と、配車応答装置9は、配車了解情報を、基地局10に対して送信する(S35)。基地局10は、受信した配車了解情報を、管理センタ5に対して送信する(S36)。管理センタ5は、基地局10から配車了解情報を受信すると、自動的に、S32で送信した配車指示情報(第2の配車指示情報)を、基地局10に対して再送する(S37)。基地局10は、受信した配車指示情報を、移動局20−1に対して送信する(S38)。なお、第1の配車指示情報と第2の配車指示情報を同一内容として再送するのではなく、第1の配車指示情報では、第2の配車指示情報に含まれている配車先の位置情報を省略する等、より詳細情報を含む第2の配車指示情報よりも少ない情報としてもよい。
移動局20−1に対して第2の配車指示情報を送信した後、管理センタ5は、車両情報データベース112に、移動局20−1に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し(S11)、配車手配が完了する。
【0045】
(第3実施例)
次に、第3実施例について、図13、図14を用いて説明する。
図13は、第3実施例における移動局22の構成例を示すブロック図である。図14は、移動局20の子機12の構成例を示すブロック図であり、第3実施例において配車応答装置9として機能する。第3実施例においては、配車応答装置9として、移動局の子機12を用いるものであり、配車応答装置9以外の管理センタ5や基地局10等は、第1実施例と同様に動作する。
【0046】
第3実施例における移動局22は、図13に示すように、第1実施例における移動局20が備える構成に加え、子機12と無線通信するための第2の無線部321、子機12と無線通信するためのアンテナ322、子機12へ配車指示情報を送信する配車指示送信部323、子機12からの配車了解情報を受信する配車了解受信部324を備える。
また、第3実施例における子機12は、図14に示すように、移動局22と無線通信するための無線部331、移動局22と無線通信するためのアンテナ332、移動局22から配車指示情報を受信する配車指示受信部333、移動局22へ配車了解情報を送信する配車了解送信部334、操作表示部335、記憶部336を備える。
なお、移動局22の第2の無線部321や、子機12の無線部331は、例えば、Bluetooth(登録商標)を用いて構成することができる。Bluetooth(登録商標)を用いると、障害物がある場合でも10メートル程度まで通信可能なので、移動局22が車両内に設置されている状態で、車両外の子機12と通信が可能である。
【0047】
移動局22と子機12間の通信動作は、次のように行われる。
移動局22は、管理センタ5から配車指示情報を受信すると、該配車指示情報を配車指示送信部323が、第2の無線部321、アンテナ322を介して、子機12へ送信する。移動局22は、管理センタ5からの配車指示情報を、そのまま子機12へ転送してもよい。子機12は、移動局22からの配車指示情報を、無線部331及びアンテナ332を介して、配車指示受信部333で受信する。所定の了解操作実行期間内に、子機12の操作表示部335において、配車了解操作が行われると、子機12の配車了解送信部334が、無線部331及びアンテナ332を介して、移動局22へ配車了解情報を送信する。移動局22の配車了解受信部324が、子機12から配車了解情報を受信すると、移動局22は、子機12から受信した配車了解情報を、基地局10を介して管理センタ5に送信する。管理センタ5は、移動局22からの配車了解情報を受信すると、車両情報データベース112に、移動局22に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し、配車手配が完了する。
【0048】
なお、上記の第1〜第3実施例では、基地局10が、ポーリング方式により移動局20の動態位置情報を収集する場合について説明したが、本発明は、ポーリング方式に限られるものではなく、移動局20で動態位置の変化が生じた際に、移動局20が自局の動態位置情報を自動送信する方式を採用してもよい。また、上記の両方式を併用してもよい。
【0049】
なお、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムとしてだけでなく、本発明に係る処理を実行する装置、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
【0050】
以上の、本明細書の記載に基づき、少なくとも次の発明を把握することができる。すなわち、第1の発明は、
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両(移動局)を離れて、配車応答装置の設置された待機場所にいる場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【0051】
第2の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、所定の待機場所に固定設置され、基地局10との通信機能を備えたパーソナルコンピュータと、乗務員の識別情報を読み取るカードリーダで構成されることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両を離れて事務所等の待機場所で待機している場合においても、待機している乗務員を把握し、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して的確に応答することができる。つまり、待機場所での待機中に、移動局に配車指示が受信されてしまうといった心配をする必要がない。また、配車応答装置を容易に構成することができる。
【0052】
第3の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、管理センタからの配車指示情報を受信して、該配車応答装置に表示することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が車両を離れている場合も、配車応答装置を用いて各移動局への配車指示情報を確認することができる。なお、実施例にも記載のように、管理センタからの情報は、配車指示情報のほかに業務連絡情報、個別呼び出し情報がある。
【0053】
第4の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、前記移動局と短距離無線通信を行う子機であることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、どのような場所で、乗務員が自分の車両を離れていても、配車応答装置である子機を用いて、管理センタからの配車指示に対して応答することができる。
【0054】
第5の発明は、無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の位置情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムにおけるタクシー配車方法であって、
配車応答装置が、車両識別情報又は乗務員識別情報を含む待機情報を取得する工程と、
配車応答装置が、前記待機情報を表示する工程と、
管理センタが、移動局に対する配車指示を、配車応答装置に送信する工程と、
配車応答装置が、受信した配車指示を表示する工程と、
配車応答装置が、配車了解の応答入力を受け付ける工程と、
配車応答装置が、車両識別情報又は乗務員識別情報を含む配車了解情報を、管理センタ宛に送信する工程とを、備えたことを特徴とするタクシー配車方法。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両を離れている場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【0055】
第6の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記管理センタが、配車応答装置を送信先として指定する送信先指定情報を付加した第1の配車指示情報を送信し、該送信先指定情報で指定された配車応答装置からの配車了解情報を受信すると、移動局に対して第2の配車指示情報を送信することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、移動局と配車応答装置に配車指示情報が送信された後、配車応答装置から配車了解情報が送信されると、移動局にある配車指示情報が消失するような場合であっても、移動局は、第2の配車指示情報を受信することにより、配車の運行を行うことができる。
【0056】
第7の発明は、前記第6の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、移動局の配車状態情報がポーリング無応答状態である場合に、前記管理センタが、配車応答装置を送信先として指定することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、管理センタは、乗務員が待機場所、例えば事務所にいることを容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0057】
5:管理センタ、9:配車応答装置、10:基地局、20:移動局、100:管理センタ制御部、106: 操作表示部、110:管理センタ記憶部、112:車両情報データベース、201: 基地局記憶部、202:受信部、203:通信インタフェース、204: 無線部、205:送信部、206: アンテナ、301:無線部、302:アンテナ、303:受信部、304:送信部、305: スロット設定部、306: 移動局記憶部、308: 位置検出部、309: 料金メータ、310: 操作表示部、311:GPSアンテナ、321:第2の無線部、323:配車指示送信部、324:配車了解受信部、331:無線部、333:配車指示受信部、334:配車了解送信部、335: 操作表示部、336: 記憶部、401:信号種別領域、402: ポーリング車番指定領域、403: 予備領域、404:信号種別領域、405:動態情報、406: 位置情報、501:無線部、502:アンテナ、503:受信部、504:送信部、505: スロット設定部、506: 記憶部、510: 操作表示部、511: 待機情報取得部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムに関し、特に、タクシーの位置情報を自動的に検出し、効率的に配車することのできるタクシー配車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)測位システムにより、全世界においてGPS受信機単体で誤差10m程度の精度で位置情報を得ることができるようになっている。このGPS測位システムは、主にカーナビゲーションや船舶、航空機の航法あるいは測量などに利用されている。また、近年の移動通信システムの発展により、手軽に広域エリアを対象とした移動体データ通信を行うことが可能となっている。このようなGPS測位システムと移動通信システムとが融合して、移動体の位置管理システムが実用化され、公衆用無線や業務用無線を通じて宅配車両やタクシーなどの配車の効率向上などの目的に利用されている。
【0003】
従来のGPSを利用したタクシー配車用AVMシステムは、GPS衛星と、移動局( タクシー)と、移動局と無線通信を行う基地局と、基地局と専用線で接続された管理センタとから構成されている。各移動局は、GPS衛星からの位置情報を受けて、自車の位置情報( 緯度、経度) を入手することができる。管理センタからの指示で、各基地局は、ポーリング信号を各移動局に送信し、各移動局は、このポーリング信号に応答してポーリング応答信号を基地局に送信する。このとき、ポーリング応答信号には、各移動局の車両動態情報(空車等の情報)や位置情報が含まれている。即ち、このシステムにおいては、管理センタは、各基地局を介して各移動局から車両動態情報や位置情報を収集する。
【0004】
なお、基地局は、少なくとも1つあって管理センタに接続されており、管理センタでは、顧客からの配車要求に従い、移動局の動態位置情報(空車等の情報や位置情報)から配車に最適な移動局、例えば、顧客に最も近い移動局の検索を行って配車指示情報を送信し、タクシー車両の配車を行う。配車を指示された移動局は、管理センタへ配車了解情報を送信するとともに、顧客の所まで移動する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-332291公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタクシー配車用AVMシステムでは、管理センタからの配車指示を移動局(タクシー)が受信しても、タクシーの乗務員がタクシーに設けられた了解ボタンを押すなどして、タクシーから配車了解情報を管理センタへ送信しないと、配車がなされなかった。そのため、乗務員が自分の車両を離れて事務所内等で待機している場合や、車両から離れて外にいる場合に、管理センタからの配車指示を受信しても気づかず、配車が完了しないため、管理センタから配車指示を再送したり、あるいは他の車両に配車指示を行うなどし、配車の効率を向上させることが困難であった。
本発明の目的は、乗務員が自分の車両を離れて事務所内等で待機している場合や、車両から離れて外にいる場合においても、効率的に配車を行うことのできるタクシー配車システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本願発明は、
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システムとして構成される。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、乗務員が自分の車両を離れている場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例におけるタクシー配車システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例における管理センタの構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例における基地局の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施例における移動局の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施例における配車応答装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施例における配車待機情報テーブルの構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1実施例における基地局からのポーリング信号と移動局からの応答信号の関係を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例におけるポーリング信号とポーリング応答信号を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施例のタクシー配車システムにおける配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施例における車両情報データベースの一例である。
【図11】本発明の第2実施例における管理センタの処理の一例である。
【図12】本発明の第2実施例のタクシー配車システムにおける配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施例における移動局の構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3実施例における移動局の子機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について、図を参照して説明する。先ず、本発明の第1実施例に係る車両運行システムのシステム構成について説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る車両運行システムのシステム構成例を示す図である。本実施例に係る車両運行システムは、図1の例では、基地局10−1、10−2、10−3、…、移動局20−1、20−2、20−3…、GPS衛星6、管理センタ5、配車応答装置9を備える。
【0011】
移動局20−1、20−2、20−3…(単に、移動局20とも表記する)は、実際には、配車、運行の対象となっているタクシー等の車両である。基地局10−1、10−2、10−3…(単に、基地局10とも表記する)は、移動局と無線で通信する無線局であり、移動局と無線により通信できる一定のカバーエリアを有する。また、基地局10は、後述する配車応答装置9とも無線で通信することができる。なお、本実施例では、基地局と移動局間の業務用無線の方式として、デジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)方式を使用している。
【0012】
管理センタ5は、この車両運行システムの全体を管理する装置であり、一つ以上の基地局10とネットワークにより結ばれ、各種制御と情報のやりとりを行えるようになっている。管理センタ5の管理領域は、接続されている基地局10−1、10−2、10−3…の基地局カバーエリアの和集合の領域である。なお、管理センタ5は、基地局10と一体に構成することもできる。
【0013】
GPS衛星6は、位置情報を移動局20に伝えるための人工衛星であり、移動局20は、複数のGPS衛星6から時刻のデータを含む電波信号D6をGPS受信機で受け取り、受信した電波の時間差によりそれぞれのGPS衛星6との相対的な距離差を算出し、それにより自車の位置情報(経度、緯度)を得ることができる。
【0014】
基地局10は、管理センタ5の指示により移動局20にポーリング信号を送信し、移動局20は、そのポーリング信号に応答して、車両番号と共に自車の情報を送信する。そして、最終的に管理領域内の車両の情報は、全て管理センタ5に伝送される。管理センタ5では、位置情報や動態情報等の、その車両の情報を管理センタ5の記憶部110にデータベースとして保存する。
【0015】
配車応答装置9は、基地局10と無線通信可能となっており、管理センタ5から移動局20への配車指示に対して、移動局20に代わって、管理センタ5へ応答する機能を有するものである。
【0016】
次に、本発明の第1実施例の動作概要について説明する。
移動局20には、GPSシステムにより現時点での位置情報が収集され、保存されている。この状態で、まず、管理センタ5は、基地局10を介してポーリング方式で複数の移動局20の現時点での位置情報および動態情報( 実車、空車、支払い、待機、迎車、休憩、移動方向、事故情報、配車状態等) を収集するためにポーリング信号PO1を各移動局20に送信する。各移動局20は、このポーリング信号PO1を受信することにより、車両番号、現時点での位置情報および動態情報をポーリング応答信号SRで、基地局10に送信する。なお、基地局10、移動局20およびポーリング方式の詳細については後述する。
【0017】
上記のようにして複数の移動局20から収集された現時点での位置情報および動態情報は、基地局10から管理センタ5に送信され、管理センタ記憶部110の車両情報データベース112に記憶される。従って、このシステムでは、管理センタ5は、基地局10から送られる各移動局20の位置情報および動態情報を収集し、車両情報データベース112に基づいて種々の車両情報管理を行うように構成されている。車両情報データベース112については、後で図10を用いて説明する。なお、図1では、基地局10は、管理センタ5と独立した形態で説明しているが、システムの規模に応じて一体に構成することもできることは勿論である。
【0018】
次に、顧客からタクシーの配車要求を受け取った管理センタ5は、車両情報データベース112を用いて、最適な車両検索のために、例えば、顧客に最も近い位置に位置する移動局20−1を検索し、基地局10を介して配車指示情報を送信する。管理センタ5からの配車指示情報は、基地局10を介して各移動局20及び/又は配車応答装置9で受信される。移動局20−1で配車了解応答を行う場合は、配車指示情報を受けた移動局20−1は、配車了解操作がなされることにより、配車了解情報を基地局10を介して管理センタ5に送信し、移動局20−1の応答に応じて配車手配が完了する。
【0019】
また、移動局20−1で配車了解操作を行わず、配車応答装置9で配車了解操作を行う場合は、次のように動作を行う。まず、例えば移動局20−1の乗務員が、予め配車応答装置9に待機情報(車両番号、待機順等)を登録しておく。配車応答装置9は、移動局20−1への配車指示情報を基地局10から受信すると、待機情報が登録されている移動局20−1に対して配車指示があった旨を、配車応答装置9に表示する。その後、配車応答装置9において配車了解操作がなされると、配車応答装置9は、基地局10を介して配車了解情報を管理センタ5に送信し、移動局20−1の応答に応じて配車手配が完了する。
このように、配車応答装置9は、管理センタ5からの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置9により応答可能な移動局20への配車指示であった場合は、配車応答装置9において配車了解操作が行われると、基地局10を介して配車了解情報を管理センタ5へ送信することができる。
【0020】
次に、図2ないし図5を用いて本発明の第1実施例に係る車両運行システムの各部の構成を説明する。
図2は、管理センタ5の構成例を示すブロック図である。
図3は、基地局10の構成例を示すブロック図である。
図4は、移動局20としての車両の構成例を示すブロック図である。
図5は、配車応答装置の構成例を示すブロック図である。
【0021】
先ず、図2を用いて管理センタ5の構成例を説明する。
管理センタ5は、図2に示されるように、管理センタ制御部100と管理センタ記憶部110と操作表示部106が接続された構成である。本例では、管理センタ記憶部110に外部記憶装置を用いている。
管理センタ制御部100は、中央処理装置101、通信インタフェース102、入出力インタフェース103、メモリ104、記憶装置インタフェース105を備え、各部はバスにより接続されている。
通信インタフェース102は、各基地局10−1、10−2、10−3、…と接続されている伝送路により通信をおこなうインタフェースである。マウス、キーボードなどの入出力装置と、LCDモニタやCRTディスプレイなど表示装置を備えた操作表示部106は、入出力インタフェース103により接続され、データの入出力と各種の表示が行えるようになっている。
【0022】
メモリ104は、主記憶装置であり、通常は、半導体装置で構成される。
外部記憶装置である管理センタ記憶部110は、記憶装置インタフェース105により接続され、ハードディスクドライブなどの大容量の記憶装置である。管理センタ記憶部110には、車両の運行を管理する運行管理プログラム111と、車両情報データベース112が格納されている。
運行管理プログラム111は、メモリ104にロードされて、中央処理装置101により実行される。車両情報データベース112は、車両から送られてくる動態位置情報を含む車両情報のデータベースであり、図10を用いて後で説明する。
【0023】
次に、図3を用いて基地局10の構成例を説明する。
基地局10は、図3に示されるように、基地局処理装置200と無線部204が接続された構成である。基地局処理装置200は、基地局記憶部201、通信インタフェース203、受信部202、送信部205を備える。
無線部204は、移動局20等との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。通信インタフェース203は、管理センタ5と接続されているネットワークにより通信をおこなうインタフェースである。受信部202は、移動局20からのポーリング応答信号や配車了解情報、あるいは配車応答装置9からの配車了解情報等を受信処理する。送信部205では、移動局20に対するポーリング信号や、移動局20に対するデータ送信要求の信号等を生成し、無線部204からアンテナ206を介して、移動局20に送信する。基地局記憶部201は、一時的にデータを蓄えるバッファである。
【0024】
次に、図4を用いて移動局20の構成例について説明する。
移動局20は、図4に示されるように、無線部301、対基地局通信用アンテナ302、受信部303、送信部304、スロット設定部305、移動局記憶部306、位置検出部308、料金メータ309、操作表示部310、GPS用アンテナ311を備える。
無線部301は、基地局10との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。
位置検出部308は、GPS衛星6から送られてくる情報をGPSアンテナ311を介して受信して、自車位置を検出する。例えば、経度および緯度を検出する。
料金メータ309は、顧客を乗せたときに課金するためのメータであり、送信部304に、空車、迎車、又は実車等の状態を表す信号を送信する。
受信部303は、基地局10からのポーリング信号やデータ送信要求信号等を検出する。送信部304は、ポーリング応答信号や配車了解情報等を生成し、基地局10に対し、無線部301やアンテナ302を介して送信する。
スロット設定部305は、自局のデータ送信スロットのタイミングを設定する。
移動局記憶部306は、一時的にデータを蓄えるバッファである。
操作表示部310は、より詳細には、モニタなどの情報を表示する部分と、タッチパネル、配車了解ボタンなどの入力を行う部分を有する。
【0025】
次に、図5を用いて配車応答装置9の構成例について説明する。
配車応答装置9は、例えばタクシー乗務員の待機場所等に固定的に設置されるものであって、図5に示されるように、無線部501、対基地局通信用アンテナ502、受信部503、送信部504、スロット設定部505、記憶部506、操作表示部510、待機情報取得部511を備える。
無線部501は、基地局10との間で無線周波数帯域の信号を無線にて送受信するもので、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との周波数変換を行う。
受信部503は、基地局10からのポーリング信号やデータ送信要求信号等を検出する。送信部504は、配車了解情報等を生成し、基地局10に対し、無線部501やアンテナ502を介して送信する。スロット設定部505は、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングを設定する。
記憶部506は、後述する配車待機情報テーブル等を記憶する。
操作表示部510は、より詳細には、モニタなどの情報を表示する部分と、タッチパネル、配車了解ボタンなどの入力を行う部分を有する。
【0026】
待機情報取得部511は、例えばカードリーダで構成され、乗務員の識別(ID)情報が記憶されたIDカードから、ID情報を読み取って取得し、待機情報として記憶部506へ記憶するものである。IDカードは、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等をID情報として記憶しており、各乗務員がそれぞれのIDカードを保有、携帯している。IDカードから読み取られたID情報(乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等)は、待機情報取得部511において、読み取り日時、待機順が付されて、図6に示す配車待機情報テーブルとして、記憶部506へ記憶される。
なお、車両番号は、IDカードに記憶しておくのではなく、IDカードを読み取るときに、操作表示部510から乗務員が入力するようにしてもよい。また、IDカードを用いずに、乗務員番号、乗務員の氏名等を、操作表示部510から乗務員が入力するようにしてもよい。
以上のような配車応答装置9は、基地局10との通信機能を備えたパーソナルコンピュータと、乗務員の個人情報である識別情報を読み取るカードリーダで構成することもできる。
【0027】
次に、基地局10、移動局20、及び配車応答装置9の各動作を説明する。
まず、基地局10の動作を説明する。基地局10では、移動局20からの各種情報を得るための動作を実行する。そのため、基地局10の記憶部201では、通信対象となる移動局番号を記憶しており、基地局10は、送信部205で生成された、先頭スロットで応答送信させる移動局番号の指定情報を含むポーリング信号と、移動局20へのデータ送信要求信号とを、無線部204からアンテナ206を経由して各移動局20へ送信する。
【0028】
次に、移動局20の動作を説明する。基地局10から送信された電波は、移動局20のアンテナ302を介して無線部301で受信され、このうちポーリング信号は、受信部303で受信処理されて、送信スロットの先頭の車両番号から各移動局20の車両番号が検出される。また、受信部303で、基地局10からのデータ送信要求信号が検出される。
受信部303で検出された信号は、スロット設定部305へ送られる。スロット設定部305は、自局のデータ送信スロットのタイミングを設定する。また、スロット設定部305は、受信部303からの信号を継続して監視しており、自局のデータ送信スロットのタイミングに達した時点でデータ送信要求信号が検出されている場合、送信部304を起動して送信すべきデータを生成し、無線部301、アンテナ302を経由して基地局10に送信する。また、送信部304は、料金メータ309からの信号によって、空車/迎車/実車等を検出してデータを生成し、あるいは、操作表示部310からの配車了解入力によって、配車了解情報の送信データを生成する。この配車了解情報は、例えば、車両番号、了解電文、移動局20で了解入力された旨の情報から構成される。なお、スロット設定部305は、受信部303の検出信号がなくなるとリセットされる。
【0029】
位置検出部308 は、例えば、GPSシステムにより自局の位置、例えば、緯度および経度を検出し、送信部304で送信用データを生成する。操作表示部310は、移動局の動作や、必要なデータ入力あるいは基地局からの情報の表示を行う機能を有する。また、移動局20は、別途、地図データベース(図示せず)を有しており、例えば、位置検出部308で検出された自車の位置、すなわち、経度および緯度の情報から操作表示部310の表示画面上の地図上に自車の現在地を表示することができる。また、移動局20の行き先を地図データベースから検索し、同様に地図上に表示することもできる。
【0030】
次に、配車応答装置9の動作を説明する。
配車応答装置9を用いて、管理センタ5からの配車指示に応答する場合、例えば移動局20−1の乗務員が、予め配車応答装置9に待機情報(車両番号、待機順等)を登録しておく。待機情報の登録は、例えば、配車応答装置9のカードリーダにより、乗務員のIDカードから、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等のID情報を読み取って、読み取り日時、待機順を付して、図6に示す配車待機情報テーブルとして、配車応答装置9の記憶部506へ記憶する。勿論、IDカードを用いずに、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号等を、乗務員が操作表示部510から入力してもかまわない。登録された待機情報は、配車応答装置9の操作表示部510に、例えば、待機順、乗務員番号、乗務員の氏名、車両番号が、待機順(待機情報を登録した時刻の早い順)に、操作表示部510に表示される。
【0031】
このように待機情報が表示された状態において、配車応答装置9が、移動局20−1への配車指示情報を基地局10から受信すると、移動局20−1に対する配車指示があった旨の配車指示情報や、業務連絡情報、個別呼び出し情報等を、配車応答装置9の操作表示部510に一覧で表示し、音声等で通報する。配車指示情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「配車指示」、「車両番号」として「001号車」、「情報内容」として「小平市御幸町32番地。日立国際電気前、石原様」を表示する。また、業務連絡情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「業務連絡」、「車両番号」として「全車」、「情報内容」として「Aの忘れ物報告あり。該当車両は応答してください。」を表示する。また、個別呼び出し情報の場合は、例えば、「コマンド名」として「個別呼び出し」、「車両番号」として「003号車」、「情報内容」として「至急事務所に連絡してください。」を表示する。その後、配車応答装置9において、移動局20−1に対する配車了解操作がなされると、配車応答装置9は、基地局10を介して、移動局20−1の配車了解情報を管理センタ5に送信する。
ここで、配車了解操作としては、例えば、自分の待機順番号や車両番号等を、操作表示部510のキーボードから入力することができる。また、その際、表示されていた待機情報から、了解入力された移動局20に関する情報を自動的に消去し、順次、繰上げ表示するのが好ましい。
【0032】
管理センタ5に送信する配車了解情報は、例えば、車両番号、了解電文、配車応答装置9で了解入力された旨の情報から構成される。管理センタ5では、受信した配車了解情報が、移動局20で了解入力されたものか、配車応答装置9で了解入力されたものかを識別し、記憶部506へ記憶して、配車手配が完了する。移動局20と配車応答装置9に配車指示情報が送信された後、配車応答装置9から配車了解情報が送信されると、移動局20にある配車指示情報が消失するような場合は、管理センタ5は、配車応答装置9から配車了解情報を受信した後、移動局20に対して、配車指示情報を再送する。
なお、配車了解情報は、詳しくは、次のようにして基地局10に送信される。すなわち、基地局10から送信された電波は、配車応答装置9のアンテナ502を介して無線部501で受信され、このうちポーリング信号は、受信部503で受信され、送信スロットの先頭の車両番号から各移動局20の車両番号が検出される。また、受信部503において、基地局10から配車応答装置9へのデータ送信要求信号が検出される。
受信部503で検出された信号は、スロット設定部505へ送られる。スロット設定部505は、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングを設定する。また、スロット設定部505は、受信部503からの信号を継続して監視しており、配車応答装置9のデータ送信スロットのタイミングに達した時点で、配車応答装置9へのデータ送信要求信号が検出されている場合、操作表示部510から配車了解指示が入力されていると、送信部504を起動して配車了解情報の送信データを生成し、無線部501、アンテナ502を経由して基地局10に送信する。
【0033】
次に、基地局10と移動局20との間のポーリング信号とポーリング応答信号のやりとりについて、図7、図8を用いて説明する。図7は、基地局と移動局間でやりとりされるポーリング信号とポーリング応答信号のシーケンス図である。図8は、ポーリング信号とポーリング応答信号を説明する図である。
基地局10は、エリア内の全ての移動局に対して移動局車両番号1からnを指定したポーリング信号PO1を送信する。なお、図7では、移動局車両番号iの移動局を単に、移動局iと表記している。
ここでは、例えば、図1の移動局20−1が移動局車両番号1、移動局20−2が移動局車両番号2、移動局20−3が移動局車両番号3、・・・、移動局20−nが移動局車両番号n、というように移動局各々には車両番号が固有に設定されている。
【0034】
移動局車両番号iの移動局20−iは、スロット生成部305により予め指定してある車両番号から送信するタイミングを計算し、該当送信スロットで基地局にポーリング応答信号SRiを送信する。ここで、ポーリング信号は、図8(a)に示されるように、信号種別401、ポーリング車番指定402および予備403からなる。信号種別401には、この信号がポーリング信号であることを示す識別子が入る。ポーリング車番指定402は、このポーリング信号に応答すべき車両番号を指定する。
【0035】
ポーリング応答信号は、図8(b)に示されるように、信号種別404、動態情報405および位置情報406からなる。
信号種別404には、この信号がポーリング応答信号であることを示す識別子が入る。動態情報405は、この車両の現在の状態を示す情報であり、顧客を乗せていない状態である「空車」、顧客を乗せて課金中である「実車」、顧客に対して料金の精算中である「支払い」、顧客を迎えるために走行中であって送迎料金を課金する場合である「迎車」などの状態を表す。
位置情報406は、時刻情報を含み、時刻情報と共に移動している移動局の現在位置(X,Y)が送信される。これらの情報は、基地局10の無線部204で受信され、管理センタ5の制御部100に送られ、外部記憶装置110に記憶される。
【0036】
基地局10は、休止期間の時間経過後に次の移動局車両番号n+1からmを指定したポーリング信号PO1を送信し、同じ動作を繰り返すことでエリア内の全移動局の動態位置情報を定期的に収集することができる。
また、基地局10は、図7のようにポーリング信号を送信したあとは、休止期間まで信号を送信することはない。このポーリング信号を送信したあとから休止期間の先頭までの期間を「下り送信利用期間」と呼び、通常はこの期間を利用して、配車情報や連絡情報などの文字データを移動局20へ送信している。
【0037】
なお、図7に示すポーリング方式は、多数台、例えば、m台の移動局で構成されるタクシー配車用AVMシステム等の無線通信システムにおいて、移動局をグループ化し、効率良く移動局の動態情報を収集する場合を示している。即ち、1 回のポーリング周期でm台の移動局全ての動態情報を短時間に収集するには、ポーリングに時間がかかりすぎるし、また、ポーリング応答信号の送信にも無理が生じる。従って、図7では、例えば、n(n<m)台の移動局を1 回のポーリング信号PO1で動態情報を収集し、次のポーリング信号PO2で次の(m−n)台の移動局の動態情報を収集するという方式を採用している。なお、このようなグループ分けは、適宜システムの構成に応じてさまざまな構成が可能であり、上述のような2 グループのみに限定されるものではない。
また、図7に示す方式では、ポーリングのためのチャネルと基地局10から移動局20に配車データ等を送信するチャネルをそれぞれ別のチャネルで送信する2 チャネル方式の場合が示されているが、これに限定されるものではない。
【0038】
次に、図9のタイミングチャートと図10の具体的なデータに基づいて、本発明の第1実施例に係る車両運行システムの動作について説明する。図9は、本発明の第1実施例に係る車両運行システムの動作を示すタイミングチャートである。図10は、車両情報データベース112の構成例を示す図である。
先ず、管理センタ5の制御部100は、伝送路を介し基地局10に対して、動態位置情報を含む車両情報の収集を指示する(S1)。基地局10では、送信部205により無線部204を介して、移動局20及び配車応答装置9に対して、図8(a)に示したポーリング信号およびデータ送信要求信号を送信する(S2)。
移動局20では、ポーリング信号およびデータ送信要求信号を、受信部303により受信し、基地局10に対して所定のスロットで図8(b)に示したポーリング応答信号を送信する(S3)。配車応答装置9では、ポーリング応答信号を送信しない。
【0039】
基地局10では、受信したポーリング応答信号により、動態情報と位置情報を含む車両情報を編集して、管理センタ5の制御部100に送信する(S4)。管理センタ5の制御部100は、送信されてくる車両情報を、図10に示されるような車両情報データベース112に格納する(S5)。
車両情報データベース112は、図10に示されるように、車両番号、位置情報(現在位置)、位置情報と対応する時刻、車両番号ごとの動態情報(配車状態情報)、各車両の稼働率を格納する。図10の例では、動態情報は配車状態情報に相当し、車両から送られてくるポーリング応答信号の動態情報405に基づき、「空車」、「実車」、「支払い」、「迎車」、「配車中」などの状態が入る。位置情報と、位置情報と対応する時刻情報も、車両から送られてくるポーリング応答信号の位置情報406に基づくものである。各車両の稼働率は、各車両における全体の時間に対する実車時間の比率であり、管理センタ5の制御部100が、配車状態情報や時刻情報に基づいて算出する。
図10では、各移動局20−1、20−2、・・・20−nの現在位置( 緯度Xn 、経度Yn)、現在位置と対応する時刻、動態情報(実車、空車、待機、迎車、配車中)、稼働率をテーブル化したものが示されている。管理センタ5は、この車両情報データベース112に基づいて各移動局20の車両情報(位置情報、動態情報等)管理を行っている。
【0040】
この状態で、顧客が管理センタ5に配車要求を行うと、管理センタ5の制御部100 は、図10に示す車両情報データベース112の車両情報と、例えば操作表示部106から入力された顧客位置情報とに基づいて、配車対象として、例えば、移動局20−1を抽出する。移動局20−1の抽出は、例えば、管理センタ5が、現時点で空車である移動局を車両情報データベース112の配車状態情報から検索し、さらに、顧客位置から所定の範囲に位置する移動局を車両情報データベース112の位置情報から検索することにより、例えば、空車であり、且つ、最も顧客に近い移動局20−1を選定することで実現できる。あるいは、待機場所に位置する移動局の中で最も稼働率の低い移動局を選定するようにしてもよい。このようにすると、移動局によって稼働率が偏ることを抑制できる。
なお、顧客位置情報は、操作表示部106以外の手段により入力してもよく、また、移動局の選定は、操作員が行ってもよいことは勿論である。
【0041】
その結果、管理センタ5の制御部100は、基地局10を介して下り送信利用期間(図7に示す。) の間に、移動局20−1及び配車応答装置9に対して配車指示情報を送信する(S6、S7)。移動局20−1は、この配車指示情報を受信すると、所定の了解操作実行期間内に移動局20−1の操作表示部310を操作して配車了解を入力し、基地局を介して管理センタ5に配車了解情報を送信する(S8、S10)。あるいは、移動局20−1から配車了解を入力しない場合は、配車応答装置9において、この配車指示情報を受信すると、所定の了解操作実行期間内に、配車応答装置9の操作表示部510を操作して配車了解を入力し、基地局を介して管理センタ5に配車了解情報を送信する(S9、S10)。
移動局20−1、又は配車応答装置9からの配車了解情報を受信すると、管理センタ5は、車両情報データベース112に、移動局20−1に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し(S11)、配車手配が完了する。
【0042】
(第2実施例)
次に、第2実施例について、図11、図12を用いて説明する。
前述した第1実施例においては、管理センタ5から、移動局20と配車応答装置9の両方に対して配車指示情報が送信され、移動局20と配車応答装置9のいずれかにおいて配車了解操作が行われると、該配車了解操作が行われた移動局20又は配車応答装置9から、管理センタ5に対して配車了解情報を送信するようにしていた。
第2実施例においては、管理センタ5は、移動局20と配車応答装置9のいずれか一方を送信先に指定して、該送信先指定情報を配車指示情報に付加して、第1の配車指示情報を送信する。配車応答装置9を送信先に指定して第1の配車指示情報を送信した場合は、配車応答装置9において配車了解操作が行われ、配車了解情報が送信される。管理センタ5は、配車応答装置9からの配車了解情報を受信すると、移動局20に対して、第2の配車指示情報を送信する。配車応答装置9において配車了解操作を行った乗務員は、自分の車両(移動局20)に戻り、受信した第2の配車指示情報に基づいて、指示された場所へ車両を運行する。なお、第2の配車指示情報は、第1の配車指示情報を再送するようにしてもよい。
【0043】
図11は、管理センタ5で送信先を設定して配車指示情報を送信する処理の一例である。管理センタ5の操作表示部106から、例えば移動局20−1に対して配車指示操作が行われる(S21)と、管理センタ5の制御部100は、配車指示した移動局20−1の乗務員が、待機場所、例えば事務所にいるかどうかの判定を行う(S22)。乗務員が事務所にいるかどうかの判定は、管理センタ5で得ている移動局20−1の配車状態情報により行う。移動局20−1の配車状態情報がポーリング無応答状態(移動局の電源OFFや閉局)であれば、事務所に乗務員がいるものと判定し(S22でYES)、配車状態情報が待機中であれば、車内に乗務員がいるものと判定する(S22でNO)。事務所に乗務員がいる場合は、配車指示情報の送信先を示す送信先指定情報に、待機場所である事務所を設定して配車指示情報を生成する(S23)。移動局20−1の車内に乗務員がいる場合は、配車指示情報の送信先を示す送信先指定情報に、移動局20−1を設定して配車指示情報を生成する(S24)。管理センタ5は、該生成した配車指示情報を、移動局20−1及び配車応答装置9に対して送信する(S25)。配車指示情報中の送信先指定情報で送信先に指定された移動局20−1又は配車応答装置9は、配車指示情報を受信すると、配車指示情報を操作表示部310又は操作表示部510に表示し、あるいは音声で乗務員に通知する。
【0044】
図12は、事務所に乗務員がいる場合における、配車指示のシーケンスの一例を説明するための図である。管理センタ5の操作表示部106から配車指示操作が行われる(S21)と、管理センタ5の制御部100は、送信先を配車応答装置9に指定した配車指示情報(第1の配車指示情報)を、基地局10に対して送信する(S32)。基地局10は、受信した配車指示情報を、配車応答装置9に対して送信する(S33)。配車応答装置9において、乗務員が配車了解の操作を行う(S34)と、配車応答装置9は、配車了解情報を、基地局10に対して送信する(S35)。基地局10は、受信した配車了解情報を、管理センタ5に対して送信する(S36)。管理センタ5は、基地局10から配車了解情報を受信すると、自動的に、S32で送信した配車指示情報(第2の配車指示情報)を、基地局10に対して再送する(S37)。基地局10は、受信した配車指示情報を、移動局20−1に対して送信する(S38)。なお、第1の配車指示情報と第2の配車指示情報を同一内容として再送するのではなく、第1の配車指示情報では、第2の配車指示情報に含まれている配車先の位置情報を省略する等、より詳細情報を含む第2の配車指示情報よりも少ない情報としてもよい。
移動局20−1に対して第2の配車指示情報を送信した後、管理センタ5は、車両情報データベース112に、移動局20−1に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し(S11)、配車手配が完了する。
【0045】
(第3実施例)
次に、第3実施例について、図13、図14を用いて説明する。
図13は、第3実施例における移動局22の構成例を示すブロック図である。図14は、移動局20の子機12の構成例を示すブロック図であり、第3実施例において配車応答装置9として機能する。第3実施例においては、配車応答装置9として、移動局の子機12を用いるものであり、配車応答装置9以外の管理センタ5や基地局10等は、第1実施例と同様に動作する。
【0046】
第3実施例における移動局22は、図13に示すように、第1実施例における移動局20が備える構成に加え、子機12と無線通信するための第2の無線部321、子機12と無線通信するためのアンテナ322、子機12へ配車指示情報を送信する配車指示送信部323、子機12からの配車了解情報を受信する配車了解受信部324を備える。
また、第3実施例における子機12は、図14に示すように、移動局22と無線通信するための無線部331、移動局22と無線通信するためのアンテナ332、移動局22から配車指示情報を受信する配車指示受信部333、移動局22へ配車了解情報を送信する配車了解送信部334、操作表示部335、記憶部336を備える。
なお、移動局22の第2の無線部321や、子機12の無線部331は、例えば、Bluetooth(登録商標)を用いて構成することができる。Bluetooth(登録商標)を用いると、障害物がある場合でも10メートル程度まで通信可能なので、移動局22が車両内に設置されている状態で、車両外の子機12と通信が可能である。
【0047】
移動局22と子機12間の通信動作は、次のように行われる。
移動局22は、管理センタ5から配車指示情報を受信すると、該配車指示情報を配車指示送信部323が、第2の無線部321、アンテナ322を介して、子機12へ送信する。移動局22は、管理センタ5からの配車指示情報を、そのまま子機12へ転送してもよい。子機12は、移動局22からの配車指示情報を、無線部331及びアンテナ332を介して、配車指示受信部333で受信する。所定の了解操作実行期間内に、子機12の操作表示部335において、配車了解操作が行われると、子機12の配車了解送信部334が、無線部331及びアンテナ332を介して、移動局22へ配車了解情報を送信する。移動局22の配車了解受信部324が、子機12から配車了解情報を受信すると、移動局22は、子機12から受信した配車了解情報を、基地局10を介して管理センタ5に送信する。管理センタ5は、移動局22からの配車了解情報を受信すると、車両情報データベース112に、移動局22に対して配車中である旨の配車手配済情報を設定、記憶し、配車手配が完了する。
【0048】
なお、上記の第1〜第3実施例では、基地局10が、ポーリング方式により移動局20の動態位置情報を収集する場合について説明したが、本発明は、ポーリング方式に限られるものではなく、移動局20で動態位置の変化が生じた際に、移動局20が自局の動態位置情報を自動送信する方式を採用してもよい。また、上記の両方式を併用してもよい。
【0049】
なお、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムとしてだけでなく、本発明に係る処理を実行する装置、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
【0050】
以上の、本明細書の記載に基づき、少なくとも次の発明を把握することができる。すなわち、第1の発明は、
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両(移動局)を離れて、配車応答装置の設置された待機場所にいる場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【0051】
第2の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、所定の待機場所に固定設置され、基地局10との通信機能を備えたパーソナルコンピュータと、乗務員の識別情報を読み取るカードリーダで構成されることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両を離れて事務所等の待機場所で待機している場合においても、待機している乗務員を把握し、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して的確に応答することができる。つまり、待機場所での待機中に、移動局に配車指示が受信されてしまうといった心配をする必要がない。また、配車応答装置を容易に構成することができる。
【0052】
第3の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、管理センタからの配車指示情報を受信して、該配車応答装置に表示することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、乗務員が車両を離れている場合も、配車応答装置を用いて各移動局への配車指示情報を確認することができる。なお、実施例にも記載のように、管理センタからの情報は、配車指示情報のほかに業務連絡情報、個別呼び出し情報がある。
【0053】
第4の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記配車応答装置が、前記移動局と短距離無線通信を行う子機であることを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、どのような場所で、乗務員が自分の車両を離れていても、配車応答装置である子機を用いて、管理センタからの配車指示に対して応答することができる。
【0054】
第5の発明は、無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の位置情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムにおけるタクシー配車方法であって、
配車応答装置が、車両識別情報又は乗務員識別情報を含む待機情報を取得する工程と、
配車応答装置が、前記待機情報を表示する工程と、
管理センタが、移動局に対する配車指示を、配車応答装置に送信する工程と、
配車応答装置が、受信した配車指示を表示する工程と、
配車応答装置が、配車了解の応答入力を受け付ける工程と、
配車応答装置が、車両識別情報又は乗務員識別情報を含む配車了解情報を、管理センタ宛に送信する工程とを、備えたことを特徴とするタクシー配車方法。
このような構成によれば、乗務員が自分の車両を離れている場合においても、配車応答装置を用いて管理センタからの配車指示に対して応答することができるので、効率的に配車を行うことができ、また、顧客へのサービス性を向上させることができる。
【0055】
第6の発明は、前記第1の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、前記管理センタが、配車応答装置を送信先として指定する送信先指定情報を付加した第1の配車指示情報を送信し、該送信先指定情報で指定された配車応答装置からの配車了解情報を受信すると、移動局に対して第2の配車指示情報を送信することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、移動局と配車応答装置に配車指示情報が送信された後、配車応答装置から配車了解情報が送信されると、移動局にある配車指示情報が消失するような場合であっても、移動局は、第2の配車指示情報を受信することにより、配車の運行を行うことができる。
【0056】
第7の発明は、前記第6の発明に記載したタクシー配車システムにおいて、移動局の配車状態情報がポーリング無応答状態である場合に、前記管理センタが、配車応答装置を送信先として指定することを特徴とするタクシー配車システム。
このような構成によれば、管理センタは、乗務員が待機場所、例えば事務所にいることを容易に認識することができる。
【符号の説明】
【0057】
5:管理センタ、9:配車応答装置、10:基地局、20:移動局、100:管理センタ制御部、106: 操作表示部、110:管理センタ記憶部、112:車両情報データベース、201: 基地局記憶部、202:受信部、203:通信インタフェース、204: 無線部、205:送信部、206: アンテナ、301:無線部、302:アンテナ、303:受信部、304:送信部、305: スロット設定部、306: 移動局記憶部、308: 位置検出部、309: 料金メータ、310: 操作表示部、311:GPSアンテナ、321:第2の無線部、323:配車指示送信部、324:配車了解受信部、331:無線部、333:配車指示受信部、334:配車了解送信部、335: 操作表示部、336: 記憶部、401:信号種別領域、402: ポーリング車番指定領域、403: 予備領域、404:信号種別領域、405:動態情報、406: 位置情報、501:無線部、502:アンテナ、503:受信部、504:送信部、505: スロット設定部、506: 記憶部、510: 操作表示部、511: 待機情報取得部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システム。
【請求項1】
無線により基地局と通信可能な複数の移動局と、前記基地局を介して前記複数の移動局の情報を収集するとともに、移動局に対する配車指示を行う管理センタと、該管理センタからの配車指示に対して応答する配車応答装置とを備えたタクシー配車システムであって、
前記管理センタは、管理センタ制御部と管理センタ記憶部とを備え、前記管理センタ制御部は、前記管理センタ記憶部に記憶した移動局の情報に基づき作成された配車指示情報を、基地局を介して移動局又は配車応答装置へ送信し、該配車指示情報への応答として基地局を介して移動局又は配車応答装置から配車了解情報を受信するものであり、
前記移動局は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が自局への配車指示であった場合は、該移動局において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであり、
前記配車応答装置は、前記管理センタからの配車指示情報を受信した後、該配車指示が配車応答装置により応答可能な移動局への配車指示であった場合は、該配車応答装置において配車了解操作が行われると、基地局を介して配車了解情報を管理センタへ送信するものであることを特徴とするタクシー配車システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−66755(P2011−66755A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216807(P2009−216807)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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