説明

タグ及び包装紙

【課題】未開封か否かを目視によらず識別ができるタグの提供。
【解決手段】通信モジュール10は、電波の送受信を行なうためのコイルアンテナ11と、ICチップ13と、コイルアンテナ11及びICチップ13を電気的に接続する配線17a・17bと、端子部19a,19bとを備える。配線17bは、純粋アルミニウムの薄膜で形成された酸化部15を一部に備えている。純粋アルミニウムは、酸素に曝すと、表面に1nm程度の厚さの酸化アルミニウムができる。酸化アルミニウムは絶縁性である。従って、収納対象物を収納した袋等の開封前は酸素フリーの環境、開封後は酸素に曝される環境になるようにすれば、電波強度が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を管理するタグ及び当該タグを用いた包装紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報を管理するタグとしては、無線通信装置が内蔵されたタグであって、所定の無線信号を受信すると、当該無線信号に対する応答信号として、タグの識別コード等の情報を無線により出力するタグ(所謂RFID(Radio Frequency Identification)タグ)が知られている。
【0003】
また、この種のタグとしては、時限装置が組み込まれており、一定時間経過すると、通信装置に記録されている情報が外部から読み取れなくなるように構成されたタグが既に知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−163719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先述したタグの課題は、商品等を収納した袋や箱が開封されたか否かを識別する機能が備えられていないということである。つまり、従来のRFIDタグの技術では、商品等が未開封か否かを簡単に管理することができないという課題があった。
【0005】
換言すると、従来技術により、商品等の開封の有無を管理しようとすれば、開封する場所に単なる紙をタグとして貼っておいて、その紙が破られたかどうかを目視で確認することが必要であり、手間だった。
【0006】
本発明は先述した課題に鑑み、未開封か否かを目視によらず識別することができるタグ及びこのタグを用いた包装紙(収納具)の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
先述した課題を解決するためになされた請求項1に記載のタグは、通信モジュールと密封袋とを備える。
通信モジュールは、無線信号を受信すると、受信した無線信号に対する応答信号を無線によって周囲に送信する。そして、密封袋は、通信モジュールを密封して、空気を遮断する。
【0008】
さらに、通信モジュールは、空気に含まれる特定の物質に曝されると劣化して、応答信号の強度を減衰させる減衰部を備える。
請求項1に記載のタグによれば、未開封か否かを目視によらず識別することができる。本発明のタグの使い方は、少なくとも二通りある。一つ目は、密封袋に商品等を詰めておく。こうすると、商品等を取り出そうとして密封袋を開封することによって、減衰部が空気に曝される。そうすると、通信モジュールから送信される応答信号が減衰するので、通信モジュールと通信可能な外部通信機器によって応答信号の電波強度を測定すれば、開封後ということを判断することができる。
【0009】
二つ目は、密封袋ではなく他の収納具に商品等を詰めておく。そして、その収納具を開封する場所にこのタグを貼る。こうすると、商品等を取り出そうとして収納具を開封することによって、密封袋が破れて減衰部が空気に曝される。そうすると、通信モジュールから送信される応答信号が減衰するので、開封後ということが判断できる。なお、何れの場合においても、密封袋に封入される特定の物質(減衰部を劣化させる物質)の量を、減衰部が劣化しないように少なくしておく必要がある。
【0010】
ところで、請求項1に記載のタグは、開封後においては、通信モジュールと通信することができなくなり、通信モジュールに商品等の情報が記憶されているとしても、その情報を取得することができなくなってしまう。そこで、上述のタグは、請求項2に記載のように構成されるとよい。
【0011】
請求項2に記載のタグは、無線信号を受信すると、通信モジュールが送信する応答信号とは異なる第二応答信号を無線によって周囲に送信する第二通信モジュールを備える。そして、第二通信モジュールは、減衰部を備えない構成にされている。
【0012】
請求項2に記載のタグによれば、第二通信モジュールを通じて、開封後も必要な情報(例えば、商品等の情報)を無線により外部通信機器から取得することができる。また、通信モジュールから送信される応答信号と、第二通信モジュールから送信される第二応答信号とが異なるので、外部通信機器にてタグから送信されてきた信号が、通信モジュールから送信されてきたものであるか、それとも、第二通信モジュールから送信されてきたものであるのかを識別することができ、第二通信モジュールを、減衰部を備えない構成としても、外部通信機器により開封の有無を正確に判断することができる。
【0013】
尚、外部通信機器は、例えば、通信モジュールが送信する応答信号を受信できたか否かによって未開封か否かを判断すると共に、第二通信モジュールから送信される第二応答信号から商品に関する情報等の必要な情報を取得するように、構成することができる。
【0014】
また、請求項1に記載のタグは、請求項2に記載のタグと同様、開封後においても、通信モジュールから必要な情報を取得できるように、請求項3に記載のように構成されるとよい。請求項3における通信モジュールは、応答信号を有線によって出力する端子部を備える。
【0015】
そして、減衰部は、端子部から出力される応答信号の強度を減衰させない一方で、無線の形態で送信される応答信号の強度を減衰させる。
請求項3に記載のタグによれば、有線によって必要な情報を取得できる構成になっているので、開封後も必要な情報を受信することができる。
【0016】
請求項1〜請求項3に記載のタグは、具体的には、請求項4に記載のように構成されるとよい。請求項4に記載の減衰部は、空気に含まれる特定の物質に曝されると電気抵抗値が大きくなる。そして、通信モジュールは、減衰部の電気抵抗値が大きくなると、応答信号を出力するための電流値が小さくなることで、応答信号の強度が減衰する構成にされている。
【0017】
請求項4に記載のタグは、さらに具体的には、請求項5に記載のように構成されるとよい。請求項5における通信モジュールは、アンテナと、ICチップとを備える。
アンテナは、無線信号を受信する。そして、ICチップは、無線信号の受信によりアンテナにて発生する電流を受けて起動し、応答信号に対応する電流をアンテナに出力する。
【0018】
さらに、アンテナは、ICチップから出力される応答信号に対応する電流に作用されて、応答信号を無線によって周囲に送信する。
そして、通信モジュールは、アンテナとICチップとが減衰部を介して連結された構成にされ、減衰部の電気抵抗値が大きくなると、アンテナとICチップとの間に流れる応答信号に対応する電流値が小さくなることで、アンテナから無線の形態で送信される応答信号の強度が減衰するように構成されている。
【0019】
また、請求項6に記載の包装紙は、請求項1〜請求項5の何れかに記載のタグが、二枚の板紙の間に挟み込まれてなるものである。尚、包装紙は、例えば段ボールとして構成することができる。
【0020】
請求項6に記載の包装紙によれば、段ボール等の収納具に、請求項1〜請求項5の何れかに記載のタグを用いることができる。商品等を梱包した従来の収納具の場合、組み立て前の状態に戻すようにして解体せずに、刃物などで任意の場所を切って開封することがある。このようにして切られることに対処しようとすると、本タグによって収納具全体を覆うしかなくなる。
【0021】
しかし、このような使い方では、開封時以外にも密封袋が破れる可能性が高いので実用的でない。そこで、この包装紙を組み立てて収納具にする。こうすることで、収納具のどの部分を切っても密封袋が破れるように構成できる。
【0022】
請求項6に記載の包装紙は、請求項7に記載のように構成されるとよい。請求項7に記載の包装紙は、包装紙内において通信モジュールが挟み込まれた位置が、当該包装紙の表面に示されている。
【0023】
請求項7に記載の包装紙によれば、通信モジュールと無線通信する機器をどこに近付ければよいかが分かりやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面と共に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1(a)は、本発明が適用されたRFIDタグとしてのタグ1を表面から見た図であり、図1(b)はタグ1を側面から見た図である。なお、密封袋5は、透明な材料にて構成されているので、図1(a)・(b)においては、密封袋5の内部に設けられた通信モジュールが視認される。
【0026】
図1に示すように、タグ1は、密封袋5の内部に、通信モジュール10が収納された構造になっている。また、通信モジュール10の裏面は、密封袋5の内部に接着されている。そして、密封袋5の内部には、酸素をほとんど含まないように窒素が充填されている。また、密封袋5は、破損がない限りは、外部から空気が進入しないように構成されている。また、点線で囲った領域Rの密封袋5の裏面は、コンテナ50(図3参照)に対して強く接着される。それに対して、密封袋5の領域R以外の領域は、弱く接着される(詳細は図3で説明)。なお、領域Rは、通信モジュール10及びその周辺の領域であると共に、密封袋5の内部の一部を占める領域である。
【0027】
図2は、通信モジュール10の構成を表した図である。通信モジュール10は、長方形のシート状に形成された基板20に各構成部品が配置された構造にされている。具体的に言うと基板20は、電波の送受信を行うためのコイルアンテナ11と、ICチップ13と、コイルアンテナ11及びICチップ13を導通させる配線17a,17bと、端子部19a・19bとが備えている。
【0028】
コイルアンテナ11は、例えば、金属箔(銅箔等)からなり、所定周波数の電波を受信し易いように、その長さおよび幅が設定されている。そして、このコイルアンテナ11は、ICチップ13から出力される電流に作用されて、ICチップ13が記憶するコード情報を含む所定周波数の電波(応答信号)を周囲に送信する。
【0029】
ICチップ13は、コイルアンテナ11により受信された電波の共振周波数を決定するためのコンデンサ(図示せず)と、ICチップ13毎に割り当てられた識別番号を記憶する記憶部(図示せず)とを備えている。
【0030】
ICチップ13は、コイルアンテナ11と内部のコンデンサとにより決定される共振周波数の電波をコイルアンテナ11が受信するときに電磁誘導によって発生する起電力によって動作し、内部の記憶部に記憶された識別番号の情報(コード情報)を、応答信号として、コイルアンテナ11に出力する。コイルアンテナ11は、この応答信号に対応する電流に作用されて、応答信号を無線の形態で外部に出力する。
【0031】
配線17a,17bは、ICチップ13とコイルアンテナ11とを導通するものであり、配線17aは、コイルアンテナ11の一端とICチップ13とを結ぶ線路として設けられ、配線17bは、コイルアンテナ11の他端とICチップ13とを結ぶ線路として設けられている。
【0032】
また、配線17bの一部は、純粋アルミニウムの薄膜で形成された酸化部15として構成されている。酸化部15について詳述すると、純粋アルミニウムは、空気に曝すと、空気を構成する、特定の物質としての酸素が作用して、表面に1nm程度の厚さの酸化アルミニウムができるものである。酸化アルミニウムは絶縁性である。
【0033】
従って、蒸着などによって数nm程度の厚さで酸化部15が形成された配線17bでは、空気に曝されると、酸化により電気抵抗値が顕著に大きくなり、コイルアンテナ11とICチップ13との間に流れる電流値が小さくなる。その結果として、通信モジュール10では、コイルアンテナ11から発せられる電波(応答信号)の強度が減衰することになる。
【0034】
また、端子部19a・19bは、一方がICチップ13に設けられ、他方がICチップ13とコイルアンテナ11とを結ぶ配線17aのICチップ13に接続された端部とは反対側の端部に設けられており、配線17bに形成された酸化部15を介さずにICチップ13と導通するように設けられている。従って、この通信モジュール10によれば、コイルアンテナ11を通じて無線電波を送受信しなくても、外部通信機器を端子部19a・19bと直結することで、外部通信機器とICチップ13との間で情報のやり取りを行うことができる。
【0035】
次に、図3を用いて使い方を説明する。図3(a)は、コンテナ50にタグ1を貼り付けた様子を表している。コンテナ50は、観音開きの開き戸を有している。そして、タグ1は、開き戸の両方にまたがると共に、領域Rがどちらか一方のみの開き戸の表面に位置するように貼られる。そして、密封袋5は、領域Rにおいてコンテナ50と強く接着される一方で、その他の領域においてコンテナ50と弱く接着される。
【0036】
図3(b)は、コンテナ50の開き戸が開くときの様子を表している。コンテナ50の戸を開くには、タグ1を剥がさなくてはならない。このときに、タグ1の全てを剥がすのではなく、領域Rの境界に沿って密封袋5を破って、密封袋5の裏面の一部(領域R)を残して剥がす。先述したように領域Rの裏面はその他の領域よりも強く接着されるので、密封袋5の何れかの角から引き剥がしていけば、自然と領域Rだけ残ることになる。その後、戸を開ける。
【0037】
このようにすれば、開き戸が開く直前から、通信モジュール10が空気に曝されることになる。空気に曝されれば、酸化部15は、酸化が進むことで電気抵抗値が大きくなる。そうすると、コイルアンテナ11から送信される電波強度が弱くなることで、開封前のタグ1と通信可能な外部通信機器を用いても無線通信ができなくなる。この状態になれば、開封後であることが簡単に分かることになる。また、開封後であっても端子部19a・19bに直結すれば、ICチップ13に記憶された情報を読み出すことはできる。
【0038】
以上に説明したタグ1の構成により、コンテナ50が開封されたか否かを目視で確認する必要が無くなり、開封か未開封かを機械で自動的に判別可能になるという効果を得ることができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、実施例1の概念を拡張して、密封袋205に、通信モジュール10と共に収納対象物を収納することで、収納対象物を封入し、開封の有無を通信モジュール10の状態により確認できるようにしたものである。
【0040】
図4(a)は、収納対象物260が収納されたタグ2を正面から見た図である。また、図4(b)は、はタグ2を側面から見た図である。
図4に示すように、タグ2は、通信モジュール10と密封袋205とからなる。本実施例においては、透明な長方形のシート二枚の四辺を貼り合わせて密封することで、密封袋205を形成する。ただし、密封する前には、通信モジュール10及び収納対象物260を収納すると共に、その収納空間に窒素を充填する。
【0041】
通信モジュール10は、密封袋205に収納された後、かつ密封袋205が密封される前に、収納対象物を収納することの邪魔にならない密封袋205の内側の端において、密封袋205に対し裏面で接着される。通信モジュール10の構成については、実施例1で説明したのと同じなので、説明は省く。
【0042】
そして、収納対象物260を取り出そうとして袋を破れば、通信モジュール10が空気に曝されることになる。従って、実施例1と同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0043】
実施例3は、本発明を段ボール箱へ適用した例である。段ボール箱の場合には、開封者が、組み立て前の状態に戻すようにして段ボール箱を解体せずに、刃物などで段ボール箱の任意の場所を切って開封することがある。このようにして切られることにタグ1で対処しようとすると、密封袋5を段ボール箱よりも大きくして、段ボール箱全体をタグ1で覆うしかなくなり、使いづらい。
【0044】
そもそも段ボールというのは、板紙を貼り合わせて作るものである。そこで、板紙を貼り合わせるときに、間にタグ3(図5参照)を挟み込む。そして、タグ3を挟み込んだ段ボールで段ボール箱を作る。それに加えて、段ボール箱を切らずに開封できる場所にタグ4(図7参照)を貼る。こうすることで、段ボール箱がどこで切られたとしても、開封後か否かが分かる。以下から具体的に説明する。
【0045】
図5(a)は、組み立てられる前の平面状の段ボール400を表している。段ボール400は、二枚の板紙の間にタグ3が挟み込まれて構成される。一点鎖線は切れ目を表す。また、破線は組み立てる際の折り目を表す。そして、破線に沿って折り畳むと共に、図に示したA同士を貼り合わせることで段ボール箱が作られる。また、段ボール400においては、タグ3と貼り合わされたときに通信モジュール110と重ね合わされる位置に、外部からその位置を確認できるように、☆印が付けられている。
【0046】
図5(b)は、段ボール400に挟まれる前の、タグ3を表している。タグ3は、通信モジュール110・210と密封袋305とからなる。本実施例においては、透明な長方形のシート二枚の四辺を貼り合わせて密封することで密封袋305を形成する。ただし、密封する前には、通信モジュール110・210を収納すると共に、その収納空間に窒素を充填する。
【0047】
この密封袋305を構成する二枚のシートは、図で示されたハッチングの部位で、ヒートシールによって貼り合わされる。図には、格子状のハッチングと斜め線によるハッチングとの二種類が表されている。両者はヒートシールの目的が異なる。
【0048】
格子状のハッチングで表されたヒートシールによって貼り合わされる部位は、段ボール400の切れ目になる4ヵ所の領域である。一方、斜め線によるハッチングによって表された領域は、補強を要する領域である。切れ目になる領域を貼り合わせる理由は、開封前において通信モジュール10が空気に曝されてしまうのを防止する目的からである。なぜなら、段ボール400を段ボール箱として組み立てるためには、密封袋305も同じ位置で切ることになるからである。
【0049】
また、補強を要する領域を貼り合わせる理由は、段ボール箱の強度アップである。つまり、段ボール400が、端でしか貼り合わされていないシートを介して貼り合わされた板紙によって形成されると、板紙同士も端でしか貼り合わされないことになる。そこで、シート同士を貼り合わせる面積を大きくすることで、板紙同士を剥がれにくくする。
【0050】
ただし、貼り合わせる領域をむやみに大きくするのは望ましくない。なぜなら、貼り合わせられた領域が偶然に切り開かれると、通信モジュール10が空気に曝されず、開封後であるか否かの判定を誤ることになるためである。
【0051】
通信モジュール110・210は、密封袋305に収納された後、かつ密封袋305が密封される前に、段ボール400の折り目や切れ目にかからない密封袋305の内側の位置において、その密封袋305に対し裏面で接着される。
【0052】
次に、図6を用いて通信モジュール110・210の構成を説明する。図6(a)は通信モジュール110、図6(b)は通信モジュール210を表す。通信モジュール110は、通信モジュール10(図1及び図2参照)とは異なり、端子部19a・19bを備えない構成にされている。先述したように、通信モジュール110は、段ボール400に挟まれてしまうので、端子部を設けても使いづらい。しかし、端子部がないと、開封後に通信することができない。そこで、タグ3には、通信モジュール110とは別に、通信モジュール210が設けられている。
【0053】
通信モジュール210は、通信モジュール110とは異なり、酸化部15を備えず、コイルアンテナ11と配線17bとが直結されている。つまり、通信モジュール210は、密封袋305が開封されても、その開封前後で配線17bが酸化することがないので、コイルアンテナ11から発せられる電波の強度が減衰することがない。
【0054】
タグ3は、このような構成の通信モジュール210を備えることにより、開封後にも必要な情報を外部通信機器に対して無線通信により提供できるように構成されている。
本実施例では、さらにタグ4を用いるので、その構成を図7を用いて説明する。図7はタグ4の構成を表す図である。
【0055】
タグ4は、通信モジュール110・210と、密封袋5とからなる。つまり、タグ4は、タグ1に対して、通信モジュール10を通信モジュール110に置き換えると共に、通信モジュール210を新たに備えている。そして、段ボール箱に貼られるときには、通信モジュール110・210の領域を包み込む各領域Rにおいて、段ボール箱500に強く接着される。
【0056】
なお、通信モジュール110・210が発する所定周波数の電波(外部通信機器から受信した無線信号に対する応答信号)には、商品管理のためのコード情報(商品の識別コード等)と、通信モジュールを識別するためのコード情報とが含まれている。
【0057】
従って、通信モジュール110・210と通信可能な外部通信機器においては、通信モジュール110及び210のコード情報の両方を電波によって取得することができれば、検査対象が開封前であると識別することができ、通信モジュール110及び210のコード情報の内、通信モジュール210のコード情報のみしか取得することができなければ、検査対象が開封後であると識別することができる。また、開封前後のどちらでも、商品管理のためのコード情報を取得することができることになる。
【0058】
なお、「通信モジュール110」が請求項の記載における「通信モジュール」、「通信モジュール110が発する所定周波数の電波」が請求項に記載の「応答信号」、「通信モジュール210」が請求項の記載における「第二通信モジュール」、「通信モジュール210が発する所定周波数の電波」が請求項の記載における「第二応答信号」、にそれぞれ対応する。
【0059】
図8は組み立てられた段ボール箱500を表している。段ボール箱500は、二枚の段ボール400、タグ3、及び三つのタグ4からなる。つまり、二枚の板紙の間にタグ3を挟み込んで貼り合わされた段ボール400で組み立てられた段ボール箱に対して、三つのタグ4を所定の位置に貼ることで段ボール箱500が作られる。
【0060】
所定の位置とは、貼り合わされたAの位置、及び、段ボール400が折り重ね合わされた段ボール箱の天地である。この位置から開封されると、タグ3が備える密封袋305は開放されないので、タグ3によっては開封後か否かが分からない。そこで、この位置にタグ4を貼る。
【0061】
また、タグ3と通信できるか否かは、☆印に外部通信機器を近付ければよい。この☆印によって、タグ3が備える通信モジュール10の位置が分かって便利である。
[その他の変形例]
本発明の実施形態は、先述した実施例に限定されず、発明の要旨を変更しなければ、どのような態様でもよい。例えば、酸化部15は、ICチップ13内やコイルアンテナ11に設けられてもよい。ICチップ13内に設けた場合は、端子部19a・19b等を用いてもICチップ13内に記憶された情報を取り出すことができなくなる替わりに、情報の秘匿性が上がることになる。
【0062】
また、酸化部15の材料として、他のイオン化傾向が大きい金属、例えばリチウムやマグネシウムなどを用いてもよいし、この他、酸化しやすいものであれば何でもよい。リチウムを用いる場合には、水分があると窒素と反応するので、希ガスを密封袋に封入するとよい。逆に、リチウムのこの性質を利用して、特定の物質としての水分または窒素と反応することによって劣化する減衰部を構成してもよい。
【0063】
また、何れの実施例においても、密封袋が破れることで酸化部15が空気に曝される構成であればよい。例えば、実施例1に対する変形例として、タグ1を剥がした後に通信モジュール10がコンテナ50に残らないように、実施例1とは逆に、タグ1の裏およびその周辺(領域R)を弱く、その他の領域を強く貼り付けもよい。
【0064】
実施例2に対する変形例として、二重袋が有する空隙に通信モジュール10を設けてもよい。二重袋とは、重層フィルム同士の間に収納空間が形成される袋である。そして、重層フィルムとは、複数のフィルムが重層されると共に各フィルム間に空隙を有する構成にされるものである。
【0065】
二重袋が有する空隙に通信モジュールが設けてられたタグによれば、このタグ単体を商品として流通させることができる。そして、購入者は、このタグに収納対象物を収納して、二重袋の口を密封すれば、実施例2と同様な効果が得られる。
【0066】
また、タグ1〜タグ4又は先述した変形例において、密封袋の内部を真空にしてもよい。また、特に密封袋の内部を真空にした場合は、タルク等の密着防止剤を内部に塗るとよい。また、脱酸素剤として鉄粉を、脱水剤として食塩を密封袋に入れてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】タグ1を表す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図2】通信モジュール10を表す図である。
【図3】コンテナ50の開封前(a)及び開封後(b)の様子を表す図である。
【図4】タグ2を表す正面図(a)及び側面図(b)である。
【図5】段ボール400(a)及びタグ3を表す図である。
【図6】通信モジュール110(a)及び通信モジュール210(b)を表す図である。
【図7】タグ4を表す図である。
【図8】段ボール箱500を表す図である。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3,4…タグ、5,205,305…密封袋、10,110,210…通信モジュール、11…コイルアンテナ、13…ICチップ、15…酸化部、17a・17b…配線、19a,19b…端子部、20…基板、50…コンテナ、260…収納対象物、400…段ボール、500…段ボール箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信すると、前記受信した無線信号に対する応答信号を無線によって周囲に送信する通信モジュールと、
前記通信モジュールを密封して、空気を遮断する密封袋と、
を備え、
前記通信モジュールは、
空気に含まれる特定の物質に曝されると劣化して、前記応答信号の強度を減衰させる減衰部
を備える
ことを特徴とするタグ。
【請求項2】
無線信号を受信すると、前記通信モジュールが送信する前記応答信号とは異なる第二応答信号を無線によって周囲に送信する第二通信モジュール
を備え、
前記第二通信モジュールは、前記減衰部を備えない構成にされている
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ。
【請求項3】
前記通信モジュールは、
前記応答信号を有線によって出力する端子部
を備え、
前記減衰部は、前記端子部から出力される前記応答信号の強度を減衰させない一方で、前記無線の形態で送信される前記応答信号の強度を減衰させる
ことを特徴とする請求項1に記載のタグ。
【請求項4】
前記減衰部は、空気に含まれる特定の物質に曝されると電気抵抗値が大きくなり、
前記通信モジュールは、前記減衰部の電気抵抗値が大きくなると、前記応答信号を出力するための電流値が小さくなることで、前記応答信号の強度が減衰する構成にされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のタグ。
【請求項5】
前記通信モジュールは、
前記無線信号を受信するアンテナと、
前記無線信号の受信により前記アンテナにて発生する電流を受けて起動し、前記応答信号に対応する電流を前記アンテナに出力するICチップと、
を備え、
前記アンテナは、前記ICチップから出力される前記応答信号に対応する電流に作用されて、前記応答信号を無線によって周囲に送信し、
前記通信モジュールは、前記アンテナと前記ICチップとが前記減衰部を介して連結された構成にされ、前記減衰部の電気抵抗値が大きくなると、前記アンテナと前記ICチップとの間に流れる前記応答信号に対応する電流値が小さくなることで、前記アンテナから前記無線の形態で送信される前記応答信号の強度が減衰するように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載のタグ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載のタグが、二枚の板紙の間に挟み込まれてなる包装紙。
【請求項7】
前記包装紙内において前記通信モジュールが挟み込まれた位置が、当該包装紙の表面に示されていることを特徴とする請求項6記載の包装紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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