タグ管理システム
【課題】起動信号の受信できる空間的な領域を任意の範囲に限定して、1つのタグによる複数の起動信号の受信(重複受信)を妨げることができるタグ検知システムを提供する。
【解決手段】LF送信機102a及びLF送信機102bは、別々の期間に起動信号を送信し、LF送信機102aの起動信号到達範囲は、領域1601と1602であり、LF送信機102bの起動信号到達範囲は、領域1611と1612であり、LF送信機102aが起動信号を送信するときに、LF送信機102bが妨害信号を送信することで、LF送信機102aが送信する起動信号の受信可能領域を領域1601及び1602から、領域1601へと制限する。
【解決手段】LF送信機102a及びLF送信機102bは、別々の期間に起動信号を送信し、LF送信機102aの起動信号到達範囲は、領域1601と1602であり、LF送信機102bの起動信号到達範囲は、領域1611と1612であり、LF送信機102aが起動信号を送信するときに、LF送信機102bが妨害信号を送信することで、LF送信機102aが送信する起動信号の受信可能領域を領域1601及び1602から、領域1601へと制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグを用いてその所持者の所在を管理する技術に関し、特に、タグの誤検出防止に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タグリーダとタグを用いて、タグの所在管理を行うシステムが提案されている(特許文献1、2)。例えば、オフィスなどでは、並んでいる机1つ1つにタグリーダを設置し、タグを各人に持たせておけば、そのタグを持った人がタグリーダに近づいた場合に検知できるので、在席管理をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177775号公報
【特許文献2】特開2008−182566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような在席管理では、タグリーダの送信する起動信号に関し、その受信を望む全空間をカバーできるようにタグリーダの起動信号の送信出力を定めることになるが、起動信号の到達範囲が、他のタグリーダによる起動信号の到達範囲と重複し得る。例えば、オフィスにおいて、ある机近辺でのみタグに起動信号を受信させればよいところ、隣の机にまで起動信号の到達範囲の一部が及んでしまう場合などが想定される。この場合、ある在席者の所持する1つのタグが、2以上のタグリーダから送信される2以上の起動信号を受信してしまうことになり、そのタグ、ひいてはその者がいずれの席に居るのかが判別できなくなってしまう。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、起動信号の受信できる空間的な領域を任意の範囲に限定して、1つのタグによる複数の起動信号の受信(重複受信)を妨げることができるタグ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のタグ管理システムは、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する。
また、前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信することとしてもよい。
【0007】
また、前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信することとしてもよい。
また、前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信することとしてもよい。
【0008】
また、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行うこととしてもよい。
また、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知することとしてもよい。
【0009】
また、前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知することとしてもよい。
本発明のタグ管理システムは、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む。
【0010】
また、前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げることとしてもよい。
本発明のタグ管理システムは、コントローラと、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる。
【0011】
また、前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタグ管理システムは、上述の構成を備えることにより、起動信号の受信できる空間的な領域を任意の範囲に限定して、1つのタグによる複数の起動信号の重複受信を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る所在管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るLF送信機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るタグの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るLF送信機が起動信号を送信するタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る起動信号の重複受信の検知を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る起動信号及び妨害信号の送信について説明するための図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る起動信号の受信可能領域の妨害信号による変更について説明するための図である。
【図9】本発明の変形例に係る起動信号の受信可能領域の変更について説明するための図である。
【図10】本発明の変形例に係る起動信号と妨害信号との送信タイミング等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るタグ管理システムの一実施形態である所在管理システムについて説明する。
1.概要
本所在管理システムは、タグの所在管理を行うサーバと、複数のタグと、LF(Low Frequency)帯を用いタグを起動するための起動信号、及び他機が送信する起動信号の受信可能領域を限定するための妨害信号を送信する複数のLF送信機と、LF送信機による起動信号の送信タイミングの調整、起動されたタグからUHF(Ultra High Frequency)帯を用いて送信される信号の受信及び受信結果のサーバへの送信とを行うコントローラとを含んで構成される。
【0015】
タグ、LF送信機、コントローラは、各々識別情報であるタグID、LFアンテナID、コントローラIDを記憶しており、これらの識別情報を互いに伝達し合う。
複数のLF送信機は、予め管理対象となるエリア内の異なる位置に配置されており、送信する起動信号にはLF送信機を識別するLFアンテナIDが含まれる。
タグは、起動信号を受信した場合に、起動信号に含まれるLFアンテナIDと、自タグIDとを含む受信通知信号をコントローラに送信する。コントローラは、受信通知信号を受けた場合に、LFアンテナID、タグID等を含むタグID通知信号をサーバに送信する。サーバは、LFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しており、受信したタグID、LFアンテナIDを用いタグの位置を把握する。
【0016】
ここで、各LF送信機の起動信号の送信出力は、起動信号の到達範囲が他機による起動信号の到達範囲と一部重複するように設定されている。起動信号の全く到達しない領域が生じないようにするためである。
しかしながら、タグが、複数のLF送信機から送信される複数の起動信号を受信(重複受信)してしまった場合、タグは受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信することになる。そしてコントローラ101aは、同一のタグID及び異なるLFアンテナIDを含む複数の受信通知信号を受信することになるので、タグIDとLFアンテナIDとを一意に対応づけることができない。
【0017】
このため、本実施の形態では、各LF送信機は、他のLF送信機が起動信号を送信しているときに妨害信号を送信する。この妨害信号により、タグが起動信号を受信可能な領域が、重複受信が生じない任意の範囲へと狭められることになる。この妨害信号は、出力強度が可変であり、起動信号より弱い出力であってもよく、また、強い出力であってもよい。
【0018】
ここで、起動信号の受信可能領域の妨害信号による変更について図8を用いて説明する。
図8(c)は、LF送信機の配置を示す図である。
LF送信機Aは、xy平面の原点位置に配され、LF送信機Aを囲むように、x軸上にLF送信機C、Eが配され、y軸上にLF送信機B、Dが配されている。
【0019】
なお、図8(c)の構成は、起動信号の受信可能領域が妨害信号によって任意に変更可能であることについて説明するためのものであり、上述の図1の構成に1対1に対応させたものではない。また、以下の説明は、xy平面の中心に位置するLF送信機Aが送信する起動信号の受信可能範囲が、LF送信機B〜Eが送信する妨害信号により狭められる場合を例に行う。
【0020】
図8(c)の領域1721は、LF送信機B〜Eによる妨害信号の送信が無いと仮定した場合において、LF送信機Aが送信する起動信号をタグが受信可能な領域を示す。
図8(c)の領域1722は、LF送信機B〜Eによる妨害信号の送信がある場合において、LF送信機Aが送信する起動信号をタグが受信可能な領域を示す。
図8(a)は、図8(c)のx軸上における各LF送信機が送信する電波による受信電界強度を示す。
【0021】
波形1701は、妨害信号が無いとした場合における、LF送信機Aが送信する起動信号の受信電界強度を示す。
波形1702、波形1703は、それぞれ、LF送信機C、Eが送信する妨害信号による受信電界強度を示す。妨害信号は、起動信号と同周波数の信号である。
ここで、境界線1704は、通信可能となる最低受信電界強度(114dBuV/m)を示しており、この境界線1704を下回る範囲では起動信号は受信できない。
【0022】
波形1701は、この境界線1704と、点P1(x座標:P1x、y座標:P1y)及び点P2(x座標:P2x、y座標:P2y)で交わる。波形1701における点P1〜点P2までの間は、最低受信電界強度を上回っているので、この間ではタグ111は、起動信号を受信することができる。P1x、P2xは、図8(c)における領域1721とx軸との交点と一致する。
【0023】
図8(b)は、妨害信号が有る場合におけるLF送信機Aによる起動信号と、LF送信機C、Eによる妨害信号信号との受信電界強度の差分を示す図である。
横軸は、図8(c)のx軸と一致し、縦軸はCN(Carrier to Noise ratio)比を示す。
図8(b)の波形1711は、LF送信機Aによる起動信号と、LF送信機C、Eによる妨害信号信号との受信電界強度の差分(CN比)を示している。
【0024】
また、図8(b)における境界線1712は、起動信号が受信可能である最低CN比(例えば18dB)を示している。CN比が、最低CN比を下回る範囲では、タグは起動信号を受信することはできない。
波形1711は、この境界線1712と、点P4(x座標:P4x、y座標:P4y)及び点P5(x座標:P5x、y座標:P5y)で交わる。波形1701における点P4〜点P5までの間は、最低CN比を上回っているので、この間ではタグ111は起動信号を受信し得る。
【0025】
以上の説明は、図8(c)のx軸についての説明であったがy軸についても同様である。
ここで、実際に起動信号を受信できる領域は、図8(a)で示すように受信電界強度が最低受信電界強度を上回り(条件1)、かつ図8(b)で示すようにCN比が最低CN比を上回る(条件2)領域である。
【0026】
よって、妨害信号が有る場合に起動信号を受信できる範囲は、条件1と条件2の双方を満たす図8(c)の領域1722となる。
このように、1つのLF送信機が起動信号を送信すると同時に、隣接する他のLF送信機が妨害信号を送信することで、起動信号の受信可能領域は、任意の領域へと変更できる。
2.構成
図1は、本実施の形態に係る所在管理システムの構成を示す図である。
【0027】
図1中の破線で囲んだエリア105aには、例えばあるオフィス内の1部署が配されている。そのエリア105aには、机103a〜103hと椅子104a〜104hが1列4個ずつ2列に配されている。各机103a〜103hの上にはLF帯(例えば120kHz〜130kHz帯)で信号を無線送信するLF送信機102a〜102hが配置されている。各LF送信機102a〜102hは、RS485などの通信ケーブルを介して1台のコントローラ101aに接続されている。コントローラ101a、101bは各エリア105a、105bに一台設けられ、各コントローラ101a、101bはイーサネット(登録商標)ケーブル100により相互に接続され、且つサーバ106にも接続されている。エリア105a内の椅子104a〜104hのいずれかに管理対象となる人が着席すると、その人の所持するタグと、タグに近いLF送信機102a〜102hのいずれか及びコントローラ101aが通信し、コントローラ101aからサーバ106へタグの情報が伝えられることにより所在管理が実現される。
【0028】
図2は、コントローラ101aの構成を示すブロック図である。
コントローラ101aは、主としてUHF帯受信部310と制御部320と記憶部330とから構成される。
記憶部330は、メモリ等を含んで構成され、コントローラ101aが動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶する機能を有する。また、記憶部330は、コントローラID331を記憶している。
【0029】
UHF帯受信部310は、タグとの通信を実行するものであり、UHFアンテナ311と接続している。UHF帯受信部310は、制御部320内の制御下で、UHF帯(例えば300MHz、400MHz、900MHz、2.4GHz帯)の無線信号として送信されるタグID、LFアンテナID、コントローラID等を含む受信通知信号を受信して復調し、復調後のデジタルデータである受信通知データを制御部320に通知する機能を有する。
【0030】
制御部320は、記憶しているプログラムをプロセッサにより実行することにより、コントローラ101aの各部を制御する機能を有する。具体的には、制御部320は、UHF帯受信部310から受け取った受信通知データに含まれるタグIDの検査等を行い、タグID、コントローラID、コントローラIDを含むタグID通知データをサーバ106に送信する機能を有する。また、制御部320は、外部の8つのLF送信機に対し、起動信号の送信を指示する起動信号送信指示、又は当該アンテナが起動信号を送信しない期間であって、当該他のアンテナが起動信号を送信する期間の全て又は一部に妨害信号を送信するよう指示する妨害信号送信指示をする。起動信号送信指示信号、妨害信号送信指示信号にはコントローラID331が含められる。
【0031】
図3は、LF送信機102aの構成を示すブロック図である。
LF送信機102aは、主としてLF帯送信部410、制御部420、記憶部430から構成される。
記憶部430は、メモリ等を含んで構成され、LF送信機102が動作上必要とする各種データ、プログラム、LFアンテナID431を記憶する機能を有する。
【0032】
LF帯送信部410は、LFアンテナ411と接続しており、コントローラ101aの制御に従い、ウエイクパターン、LFアンテナID431、起動信号若しくは妨害信号の送信指示を行ったコントローラのコントローラID等を含む起動信号、又は妨害信号をLFアンテナ411を介してタグに送信する機能を有する。妨害信号は、一例として起動信号と同周波数の搬送波である。
【0033】
制御部420は、記憶部430に記憶されているプログラムをプロセッサにより実行することにより、LF送信機102aの各部を制御する機能を有する。制御部420は、コントローラ101aから起動信号送信指示を受けた場合に、起動信号を送信するようLF帯送信部410に指示する。また、制御部420は、妨害信号送信指示を受けた場合に、妨害信号を送信するようLF帯送信部410に指示する。
【0034】
なお、LF送信機102b〜102hも、LF送信機102aと同様の構成を備える。
図4は、タグ111の構成を示すブロック図である。
タグ111は、LF帯受信部510、UHF帯送信部520、制御部530、記憶部540、及び各部に電力を供給する電池550を有する。
記憶部540は、メモリ等を含んで構成され、タグ111が動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶する機能を有する。また、記憶部540はタグID541を記憶している。
【0035】
LF帯受信部510は、LFアンテナ511と接続しており、LF送信機からのLF帯での起動信号を受信し、受信した起動信号を復調し、復調したデジタルデータである起動データを制御部530に通知する機能を有する。
UHF帯送信部520は、UHF帯で信号を送信するためのUHFアンテナ521と接続しており、制御部530から通知されたタグID541、受信したLFアンテナID、コントローラID等を含む受信通知データを変調し受信通知信号としてコントローラに送信する機能を有する。
【0036】
制御部530は、記憶部540に記憶されているプログラムをプロセッサにより実行することにより、タグ111の各部を制御する機能を有する。制御部530は、起動データの先頭のウェイクパターンを認識したときに処理を開始する。制御部530は、起動データ中のLFアンテナID、コントローラIDと、タグID541とを含む受信通知データを生成してUHF帯送信部520へ通知する機能を有する。
3.動作
以下、上述の構成を備える所在管理システムの動作について説明する。
3.1.全体動作
サーバ106は、各エリアに配置された各コントローラにコントローラ設定用データを送信し、これを用いて各コントローラは動作する。
【0037】
コントローラ101aは、8つの机103a〜103hそれぞれに設置されたLF送信機102a〜102hに対して送信指示を行うなどの送信制御処理を行う。送信指示を受けたLF送信機102a〜102hはそれぞれ、各机に対応して着席や離席を行う人が所持するタグが受信できるように起動信号を送信する。
図5は、LF送信機102a〜LF送信機102hまでの8台それぞれが起動信号を送信するタイミングを示している。LF送信機102a〜LF送信機102hのそれぞれにはt1/8の期間が割り当てられており、割り当てられた期間内に起動信号を送信する。図中のバー(例えばバー1001)は、起動信号の送信開始から送信終了までの期間を示している。
【0038】
各机の付近にタグを所持する人が存在(着席等)した場合には、タグは机上に設置されたLF送信機から送信される起動信号に呼応して、起動信号に含まれるLFアンテナID、コントローラID、及び自タグIDを含む受信通知信号をコントローラ101aに送信する。コントローラ101aは、受信通知信号を受信し、次いで、LFアンテナID、タグIDを含むタグID通知データをサーバ106に送信する。サーバ106は、タグID通知データに含まれるタグID、LFアンテナIDを確認することにより、タグの存在位置を管理する。
【0039】
ここで、タグが複数のLF送信機それぞれから送信された起動信号を受信(重複受信)した場合には、タグは受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信する。コントローラ101aは、重複受信を検知した場合には、重複受信を回避すべく、LF送信機に対し起動信号を送信しない期間に妨害信号を送信させる重複受信回避処理を行う。以下、重複受信を検知する重複受信検知処理、及び重複受信を回避する重複受信回避処理について説明する。
3.2.重複受信検知処理
図6は、コントローラ101aが、タグ111による起動信号の重複受信を検知する場合について説明するための図である。
【0040】
以下、一例として、タグ111が、LF送信機102a及びLF送信機102bから送信される起動信号を重複受信する例について説明する。
図6(a)は、コントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0041】
図6(b)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt12における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図6(c)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt15における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図6(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t11においてLF送信機102aに対し送信指示信号1101を送信する。
【0042】
LF送信機102aは、送信指示信号1101を受けて、時刻t12に起動信号1102を送信する。
図6(b)の破線で示す領域1502は、LF送信機102aが送信する起動信号1102が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0043】
図6(b)の場合、タグ111は、領域1502内にあるので起動信号1102を受信でき、時刻t13において起動信号1102に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1103をコントローラ101aに送信する。
次に、コントローラ101aは、時刻t14においてLF送信機102bに対し送信指示信号1104を送信する。
【0044】
LF送信機102bは、送信指示信号1104を受けて、時刻t15に起動信号1105を送信する。
図6(c)の破線で示す領域1503は、LF送信機102bが送信する起動信号1105が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1105を受信できる。
【0045】
タグ111は、領域1503内にあるので起動信号1105を受信でき、時刻t16において起動信号1105に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1106をコントローラ101aに送信する。
コントローラ101aは、LF送信機102c〜102hについても、LF送信機102a、bと同様の制御を行う。
【0046】
ここで、コントローラ101aは、8個のLF送信機が順に起動信号を送信する1周期であるt1の期間内に、タグ111のタグID及びLF送信機102aのLFアンテナIDを含む受信通知信号と、タグ111のタグID及びLF送信機102bのLFアンテナIDを含む受信通知信号との2つの受信通知信号を受信することになる。このような受信通知信号を受信した場合に、コントローラ101aは重複受信があったと判断する。
【0047】
重複受信があったと判断した場合、コントローラ101aは、重複受信回避処理を行う。
3.3.重複受信回避処理
図7は、重複受信回避処理について説明するための図である。
コントローラ101aは、LF送信機102aとLF送信機102bに関し重複受信が行われたことを検知しているものとし、この重複受信を回避するようLF送信機102aとLF送信機102bとを制御する。
【0048】
図7(a)は、コントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
図7(b)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt22における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
【0049】
図7(c)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt25における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図7(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t21においてLF送信機102aに対し送信指示信号1101を送信するとともに、LF送信機102bに対し妨害指示信号1201を送信する。
【0050】
送信指示信号1101を受けたLF送信機102aは、時刻t22において起動信号1102を送信する。
妨害指示信号1201を受けたLF送信機102bは、時刻t22において妨害信号1202を送信する。
図7(b)の破線で示す領域1601は、時刻t22において、LF送信機102aが送信する起動信号1102が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0051】
図7(b)の場合、タグ111は、領域1601内にあるので起動信号1102を受信でき、時刻t23において起動信号1102に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1103をコントローラ101aに送信する。
ここで、破線で示す領域1601は、図6の領域1502と比べると、LF送信機102bによる妨害信号の影響により領域1602の分だけ狭くなっている。このように妨害信号1202の影響で起動信号1102の受信可能領域が狭められる。
【0052】
次に、コントローラ101aは、時刻t24において、LF送信機102bに対し、送信指示信号1104を送信するとともに、LF送信機102b以外のLF送信機102aに対し妨害指示信号1204を送信する。
送信指示信号1104を受けたLF送信機102bは、時刻t25において起動信号1105を送信する。
【0053】
妨害指示信号1204を受けたLF送信機102aは、時刻t25において妨害信号1205を送信する。
ここで、図7(c)の破線で示す領域1611は、時刻t25において、LF送信機102bが送信する起動信号1105が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0054】
図7(c)の場合、タグ111は、領域1611内にないので起動信号1105を受信できない。よって、タグ111が起動信号1105に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号をコントローラ101aに送信することはない。
ここで、領域1611は、図6の領域1503と比べると、LF送信機102aによる妨害信号の影響により領域1612の分だけ狭くなっている。すなわち、領域1612は、LF送信機102aによる妨害信号の影響が無ければ、図6を用いて説明したようにタグ111が起動信号を受信できた領域である。
【0055】
すなわち、重複受信回避処理によって、タグ111が、LF送信機102a及びLF送信機102bの双方から送信される起動信号を受信してしまうのを回避できる。
4.変形例
以上、本発明に係るタグ管理システムの実施形態を説明したが、例示したタグ管理システムの一例としての所在管理システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの所在管理システムに限られないことは勿論である。
(1)上述の実施の形態では、あるLF送信機が起動信号を送信すると同時に、他のLF送信機が妨害信号を送信することで、タグによる起動信号の受信可能領域を変更していたが、これに限らず、他の方法で起動信号の受信可能領域を変更してもよい。
【0056】
例えば、コントローラ101aは、重複受信を検知した場合に、重複受信に係るLF送信機に対し、起動信号の送信出力を小さくするよう指示することとしてもよい。
図9(a)は、本変形例に係るコントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0057】
重複受信を検知した場合、コントローラ101aは、LF送信機102a、LF送信機102bに対し、起動信号の送信出力を小さくするよう指示する。
図9(b)は、コントローラ101aが起動信号の送信出力を小さくするよう指示した後における、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置及び起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
【0058】
図9(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t31においてLF送信機102aに対し送信指示信号1901を送信する。
LF送信機102aは、送信指示信号1901を受けて、時刻t32に起動信号1902を送信する。
図9(b)の破線で示す領域1701は、時刻t32におけるLF送信機102aが送信する起動信号1902が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1902を受信できる。
【0059】
図9(b)の場合、タグ111は、領域1701内にあるので起動信号1902を受信でき、時刻t33において起動信号1902に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1903をコントローラ101aに送信する。
次に、コントローラ101aは、時刻t34においてLF送信機102bに対し送信指示信号1904を送信する。
【0060】
LF送信機102bは、送信指示信号1904を受けて、時刻t35に起動信号1905を送信する。
図9(b)の破線で示す領域1702は、時刻t35におけるLF送信機102bが送信する起動信号1905が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1905を受信できる。
【0061】
タグ111は、領域1702内にないので起動信号1905を受信できないことになる。
なお、各LF送信機は、起動信号の送信出力を実際に小さくする前に、ユーザに対し送信出力を小さくしてもよいか否かの意思確認をしてもよい。例えば、LF送信機にディスプレイ等の表示デバイスと、キーパッド、リモコン等の入力デバイスとを備え、ディスプレイに送信出力を小さくしてもよいか否かを示すユーザ操作を行うよう促す表示をする。ユーザは、入力デバイスを用いて送信出力を小さくしてもよいか否かを示すユーザ操作を行う。LF送信機は、ユーザ操作が、送信出力を小さくしてもよいことを示す場合に、送信出力を小さくする。
【0062】
また、送信出力をどの程度低下させるかは、予め定めていてもよいし、コントローラが適宜決定してもよい。コントローラが適宜決定する場合は、コントローラが重複受信を検知する度に、LF送信機に対し所定量、送信出力を低下するよう指示する。LF送信機は、指定された分だけ送信出力を低下させる。その後、コントローラは、重複受信が検知されなくなるまで、繰り返し、LF送信機に対し所定量、送信出力を低下するよう指示する。重複受信が検知されなくなると、コントローラは、送信出力の低下を指示するのを終了する。
(2)変形例(1)では、送信出力を小さくすることとしたが、これに限らず、起動信号が重複受信された領域で、起動信号の受信ができなくなる程度にタグの受信感度を下げることとしてもよい。
【0063】
コントローラは、重複受信を検出した場合に、重複受信に係るLF送信機に対し、タグに対して受信感度を低下するよう指示させる。
タグは、受信感度を変更する機能を有しており、LF送信機から、受信感度を低下するよう指示を受けると、その指示に従って受信感度を低下させる。
受信感度をどの程度低下させるかは、予め定めていてもよいし、コントローラが適宜決定してもよい。コントローラが適宜決定する場合は、コントローラが重複受信を検知する度に、LF送信機に対し所定量、感度を低下するよう指示する。LF送信機は、指定された分だけ感度を低下するようタグに指示し、タグは、指定された分、受信感度を低下させる。その後、コントローラは、重複受信が検知されなくなるまで、繰り返し、LF送信機に対し所定量、感度を低下するよう指示する。重複受信が検知されなくなると、コントローラは、受信感度の低下を指示するのを終了する。
【0064】
なお、タグは、受信感度を実際に低下させる前に、ユーザに対し受信感度を低下させてよいか否かの意思確認をしてもよい。例えば、タグは、小型のディスプレイ等の表示デバイスと、キーパッド、リモコン等の入力デバイスとを備え、ディスプレイに受信感度を低下させてよいか否かを示すユーザ操作を行うよう促す表示をする。ユーザは、入力デバイスを用いて受信感度を低下させてよいか否かを示すユーザ操作を行う。タグは、ユーザ操作が、受信感度を低下させてよいことを示す場合に、実際に受信感度を低下させる。
(3)上述の実施の形態では、妨害波は周期的に送信することとしていたが、これに限らず、起動信号を検出する毎に妨害信号を送信することとしてもよい。
【0065】
例えば、起動信号の不特定箇所を受信不能としさえすれば、タグにおいてパケットエラーと判断され、コントローラに受信通知信号を送信しない場合であれば、妨害波送信機は、起動信号を検出するたびに、その検出直後に妨害波を送信する。
また、起動信号のうちの不特定箇所を受信不能とするだけでは足りないものの、特定箇所(例えばウェイクパターン)を受信不能とすれば足りる場合も考えられる。この場合について、図10(a)及び図10(b)を用いて説明する。
【0066】
LF送信機102aが送信する起動信号は、信号送信時間がstであり、周期ct毎に送信される。
起動信号は、一例として、図10(b)に示すように、ウェイクパターン、UW(ユニークワード)、UHFチャネル、コントローラID、LFアンテナID、予約領域、及びCRCを含むデジタルデータが変調されたものである。
【0067】
ここで、UWはデータの先頭を表す固有識別情報である。
UHFチャネル情報は、UHF帯における複数の周波数帯のうち、いずれをタグが用いるべきかを示す情報である。
また、CRCは、誤り訂正用に起動信号で送信されるデジタルデータの最後に入れられている。
【0068】
図10(a)は、LF送信機102aが送信する起動信号と、LF送信機102bが送信する妨害波の送信タイミングについて説明するための図である。図10(b)は、図10(a)の一部を拡大したものである。
LF送信機102bは、LF送信機102aが送信する起動信号を検波し、起動信号の送信周期ct、送信長st、ウェイクパターンの送信長wtを算出する。
【0069】
次に、LF送信機102bは、起動信号が送信されるのを常に監視する。
起動信号が送信されたことを検出すると、図10(b)に妨害波1として示すように、起動信号の先頭から時間it3(< wt)以内に、妨害波2031を送信する。
これにより、LF送信機102bは、タグによるウェイクパターンの受信を妨げることができる。また、LF送信機102bは、周期的に妨害波を送信する必要が無くなり、省電力化を図ることができる。
(4)上記変形例(3)では、ウェイクパターンの受信を妨げる例で説明したが、これに限るものではない。
【0070】
例えば、ウェイクパターンのように起動信号の先頭に配されてはいないデータ(例えば、LFアンテナID)の受信を妨げれば足りる場合にも適用できる。
この場合、LF送信機102bは、まず上述と同様の方法で、起動信号の送信周期ct、送信長stを算出する。
また、起動信号が送信開始されてからLFアンテナIDが送信されるまでの時間を算出する。起動信号により送出されるデジタルデータの先頭から何バイト目にLFアンテナIDが配置されているかは既知であるから、起動信号の送信開始から、どの位の期間が経過したときにLFアンテナIDが送信開始され(図10中のit5)、また送信終了するか(図10中のit4)を算出することができる。
【0071】
そして、起動信号の送信開始を検知してから、it5経過後it4経過前の期間を含む期間において、妨害波を送出する。
これにより、LF送信機102bは、タグによるLFアンテナIDの受信を妨げることができる。LFアンテナIDが受信できなければ、タグと、LF送信機を対応づけることができないこととなる。また、LF送信機102bは、周期的に妨害波を送信する必要が無くなり、省電力化を図ることができる。
(5)上述の実施の形態では、サーバがLFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しているものとしたが、これに限らず、他の装置がタグの位置を把握する機能を有することとしてもよい。例えば、コントローラがLFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しており、タグの位置を把握することとしてもよい。
(6)上述の実施の形態では、タグは、受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信することとしていたが、これに限らず、1周期(各LF送信機について起動信号、受信通知信号の送受信のために割り当てられた期間の総和。上記実施の形態のt1に相当。)など所定期間に受信した起動信号について、まとめて受信通知信号を送信することとしてもよい。
【0072】
また、タグ側において起動信号の重複受信を検知し、コントローラ101aに重複受信の発生を通知する構成としてもよい。
(7)実施の形態及び変形例で示した各装置のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるための機械語或いは高級言語のプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより各実施形態で示したような各機能が実現されるようになる。なお、プロセッサは、制御プログラムを直接実行する他、コンパイルして実行或いはインタプリタにより実行してもよい。
(8)実施の形態及び変形例で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサによりプログラムを実行することで実現されてもよい。また、実施の形態及び変形例で示したシステムは、IC、LSIその他の集積回路のパッケージとして構成されるものとしてもよい。このパッケージは各種装置に組み込まれて利用に供され、これにより各種装置は、各実施形態で示したような各機能を実現するようになる。
(9)本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、図7に示すように、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する。
【0073】
この構成により、送信機としてのLF送信機102aが送信する起動信号の受信可能範囲を、LF送信機102bが送信する妨害波により領域1601内に制限できる。また、LF送信機102bが送信する起動信号の受信可能範囲を、LF送信機102aが送信する妨害波により領域1611内に制限できる。よって、タグ111は、LF送信機102aが送信する起動信号と、LF送信機102bが送信する起動信号との双方を受信してしまうのを避けることができる。
【0074】
また、図8(a)に示すように、前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信することとしてもよい。
この構成により、図8(b)に示すように、P4〜P5の範囲でのみ受信可能なCN比を上回ることとなり、起動信号の受信範囲を領域1722に制限することができる。
また、図10に示すように、前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信することとしてもよい。
【0075】
この構成により、誤り訂正機能をタグが備える場合にも、起動信号の受信を確実に妨害することができる。
また、図10に示すように、前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信することとしてもよい。
【0076】
この構成により、起動信号全体の受信を妨げなくてもタグの起動を妨げることができ、妨害波送信のための電力消費を低減することができる。
また、図6に示すように、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行うこととしてもよい。
【0077】
この構成により、重複受信を検知するまでは妨害波の送信を抑制し、消費電力の低減を図ることができる。
また、図6に示すように、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知することとしてもよい。
【0078】
この構成により、起動信号が重複受信されている場合に、重複受信回避処理などの措置を講じることができる。また、送信機が形成している起動信号の受信可能エリアの大きさの推定、複数の送信機が形成している起動信号の干渉度合などを推定することができる。
また、前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知することとしてもよい。
【0079】
この構成により、重複受信の検知をコントローラでは無く、タグ側で行うことができる。
また、本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、図9に示すように、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む。
【0080】
この構成により、送信機としてのLF送信機102aが送信する起動信号の受信可能領域である領域1701と、送信機としてのLF送信機102bが送信する起動信号の受信可能領域である領域1702とが重複し、タグ111が複数の起動信号を受信してしまうのを避けることができる。
また、前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げることとしてもよい。
【0081】
この構成により、ユーザの確認なく起動信号の出力を下げてしまい、起動信号の到達範囲が狭められてしまうのを避けることができる。
また、本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、コントローラと、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる。
【0082】
この構成により、起動信号の到達範囲が重複する領域でタグが複数の起動信号を受信してしまうのを避けることができる。
また、前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げることとしてもよい。
この構成により、ユーザの確認なくタグの受信感度を下げてしまい、起動信号の受信可能範囲が狭められてしまうのを避けることができる。
(10)上述の各実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0083】
106 サーバ
101a、101b コントローラ
102a〜102h LF送信機
111 タグ
1502、1503 領域
1101、1104 送信指示信号
1102、1105 起動信号
1103、1106 受信通知信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグを用いてその所持者の所在を管理する技術に関し、特に、タグの誤検出防止に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タグリーダとタグを用いて、タグの所在管理を行うシステムが提案されている(特許文献1、2)。例えば、オフィスなどでは、並んでいる机1つ1つにタグリーダを設置し、タグを各人に持たせておけば、そのタグを持った人がタグリーダに近づいた場合に検知できるので、在席管理をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177775号公報
【特許文献2】特開2008−182566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような在席管理では、タグリーダの送信する起動信号に関し、その受信を望む全空間をカバーできるようにタグリーダの起動信号の送信出力を定めることになるが、起動信号の到達範囲が、他のタグリーダによる起動信号の到達範囲と重複し得る。例えば、オフィスにおいて、ある机近辺でのみタグに起動信号を受信させればよいところ、隣の机にまで起動信号の到達範囲の一部が及んでしまう場合などが想定される。この場合、ある在席者の所持する1つのタグが、2以上のタグリーダから送信される2以上の起動信号を受信してしまうことになり、そのタグ、ひいてはその者がいずれの席に居るのかが判別できなくなってしまう。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、起動信号の受信できる空間的な領域を任意の範囲に限定して、1つのタグによる複数の起動信号の受信(重複受信)を妨げることができるタグ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のタグ管理システムは、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する。
また、前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信することとしてもよい。
【0007】
また、前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信することとしてもよい。
また、前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信することとしてもよい。
【0008】
また、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行うこととしてもよい。
また、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知することとしてもよい。
【0009】
また、前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知することとしてもよい。
本発明のタグ管理システムは、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む。
【0010】
また、前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げることとしてもよい。
本発明のタグ管理システムは、コントローラと、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる。
【0011】
また、前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタグ管理システムは、上述の構成を備えることにより、起動信号の受信できる空間的な領域を任意の範囲に限定して、1つのタグによる複数の起動信号の重複受信を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る所在管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るLF送信機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るタグの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るLF送信機が起動信号を送信するタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る起動信号の重複受信の検知を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る起動信号及び妨害信号の送信について説明するための図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る起動信号の受信可能領域の妨害信号による変更について説明するための図である。
【図9】本発明の変形例に係る起動信号の受信可能領域の変更について説明するための図である。
【図10】本発明の変形例に係る起動信号と妨害信号との送信タイミング等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るタグ管理システムの一実施形態である所在管理システムについて説明する。
1.概要
本所在管理システムは、タグの所在管理を行うサーバと、複数のタグと、LF(Low Frequency)帯を用いタグを起動するための起動信号、及び他機が送信する起動信号の受信可能領域を限定するための妨害信号を送信する複数のLF送信機と、LF送信機による起動信号の送信タイミングの調整、起動されたタグからUHF(Ultra High Frequency)帯を用いて送信される信号の受信及び受信結果のサーバへの送信とを行うコントローラとを含んで構成される。
【0015】
タグ、LF送信機、コントローラは、各々識別情報であるタグID、LFアンテナID、コントローラIDを記憶しており、これらの識別情報を互いに伝達し合う。
複数のLF送信機は、予め管理対象となるエリア内の異なる位置に配置されており、送信する起動信号にはLF送信機を識別するLFアンテナIDが含まれる。
タグは、起動信号を受信した場合に、起動信号に含まれるLFアンテナIDと、自タグIDとを含む受信通知信号をコントローラに送信する。コントローラは、受信通知信号を受けた場合に、LFアンテナID、タグID等を含むタグID通知信号をサーバに送信する。サーバは、LFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しており、受信したタグID、LFアンテナIDを用いタグの位置を把握する。
【0016】
ここで、各LF送信機の起動信号の送信出力は、起動信号の到達範囲が他機による起動信号の到達範囲と一部重複するように設定されている。起動信号の全く到達しない領域が生じないようにするためである。
しかしながら、タグが、複数のLF送信機から送信される複数の起動信号を受信(重複受信)してしまった場合、タグは受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信することになる。そしてコントローラ101aは、同一のタグID及び異なるLFアンテナIDを含む複数の受信通知信号を受信することになるので、タグIDとLFアンテナIDとを一意に対応づけることができない。
【0017】
このため、本実施の形態では、各LF送信機は、他のLF送信機が起動信号を送信しているときに妨害信号を送信する。この妨害信号により、タグが起動信号を受信可能な領域が、重複受信が生じない任意の範囲へと狭められることになる。この妨害信号は、出力強度が可変であり、起動信号より弱い出力であってもよく、また、強い出力であってもよい。
【0018】
ここで、起動信号の受信可能領域の妨害信号による変更について図8を用いて説明する。
図8(c)は、LF送信機の配置を示す図である。
LF送信機Aは、xy平面の原点位置に配され、LF送信機Aを囲むように、x軸上にLF送信機C、Eが配され、y軸上にLF送信機B、Dが配されている。
【0019】
なお、図8(c)の構成は、起動信号の受信可能領域が妨害信号によって任意に変更可能であることについて説明するためのものであり、上述の図1の構成に1対1に対応させたものではない。また、以下の説明は、xy平面の中心に位置するLF送信機Aが送信する起動信号の受信可能範囲が、LF送信機B〜Eが送信する妨害信号により狭められる場合を例に行う。
【0020】
図8(c)の領域1721は、LF送信機B〜Eによる妨害信号の送信が無いと仮定した場合において、LF送信機Aが送信する起動信号をタグが受信可能な領域を示す。
図8(c)の領域1722は、LF送信機B〜Eによる妨害信号の送信がある場合において、LF送信機Aが送信する起動信号をタグが受信可能な領域を示す。
図8(a)は、図8(c)のx軸上における各LF送信機が送信する電波による受信電界強度を示す。
【0021】
波形1701は、妨害信号が無いとした場合における、LF送信機Aが送信する起動信号の受信電界強度を示す。
波形1702、波形1703は、それぞれ、LF送信機C、Eが送信する妨害信号による受信電界強度を示す。妨害信号は、起動信号と同周波数の信号である。
ここで、境界線1704は、通信可能となる最低受信電界強度(114dBuV/m)を示しており、この境界線1704を下回る範囲では起動信号は受信できない。
【0022】
波形1701は、この境界線1704と、点P1(x座標:P1x、y座標:P1y)及び点P2(x座標:P2x、y座標:P2y)で交わる。波形1701における点P1〜点P2までの間は、最低受信電界強度を上回っているので、この間ではタグ111は、起動信号を受信することができる。P1x、P2xは、図8(c)における領域1721とx軸との交点と一致する。
【0023】
図8(b)は、妨害信号が有る場合におけるLF送信機Aによる起動信号と、LF送信機C、Eによる妨害信号信号との受信電界強度の差分を示す図である。
横軸は、図8(c)のx軸と一致し、縦軸はCN(Carrier to Noise ratio)比を示す。
図8(b)の波形1711は、LF送信機Aによる起動信号と、LF送信機C、Eによる妨害信号信号との受信電界強度の差分(CN比)を示している。
【0024】
また、図8(b)における境界線1712は、起動信号が受信可能である最低CN比(例えば18dB)を示している。CN比が、最低CN比を下回る範囲では、タグは起動信号を受信することはできない。
波形1711は、この境界線1712と、点P4(x座標:P4x、y座標:P4y)及び点P5(x座標:P5x、y座標:P5y)で交わる。波形1701における点P4〜点P5までの間は、最低CN比を上回っているので、この間ではタグ111は起動信号を受信し得る。
【0025】
以上の説明は、図8(c)のx軸についての説明であったがy軸についても同様である。
ここで、実際に起動信号を受信できる領域は、図8(a)で示すように受信電界強度が最低受信電界強度を上回り(条件1)、かつ図8(b)で示すようにCN比が最低CN比を上回る(条件2)領域である。
【0026】
よって、妨害信号が有る場合に起動信号を受信できる範囲は、条件1と条件2の双方を満たす図8(c)の領域1722となる。
このように、1つのLF送信機が起動信号を送信すると同時に、隣接する他のLF送信機が妨害信号を送信することで、起動信号の受信可能領域は、任意の領域へと変更できる。
2.構成
図1は、本実施の形態に係る所在管理システムの構成を示す図である。
【0027】
図1中の破線で囲んだエリア105aには、例えばあるオフィス内の1部署が配されている。そのエリア105aには、机103a〜103hと椅子104a〜104hが1列4個ずつ2列に配されている。各机103a〜103hの上にはLF帯(例えば120kHz〜130kHz帯)で信号を無線送信するLF送信機102a〜102hが配置されている。各LF送信機102a〜102hは、RS485などの通信ケーブルを介して1台のコントローラ101aに接続されている。コントローラ101a、101bは各エリア105a、105bに一台設けられ、各コントローラ101a、101bはイーサネット(登録商標)ケーブル100により相互に接続され、且つサーバ106にも接続されている。エリア105a内の椅子104a〜104hのいずれかに管理対象となる人が着席すると、その人の所持するタグと、タグに近いLF送信機102a〜102hのいずれか及びコントローラ101aが通信し、コントローラ101aからサーバ106へタグの情報が伝えられることにより所在管理が実現される。
【0028】
図2は、コントローラ101aの構成を示すブロック図である。
コントローラ101aは、主としてUHF帯受信部310と制御部320と記憶部330とから構成される。
記憶部330は、メモリ等を含んで構成され、コントローラ101aが動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶する機能を有する。また、記憶部330は、コントローラID331を記憶している。
【0029】
UHF帯受信部310は、タグとの通信を実行するものであり、UHFアンテナ311と接続している。UHF帯受信部310は、制御部320内の制御下で、UHF帯(例えば300MHz、400MHz、900MHz、2.4GHz帯)の無線信号として送信されるタグID、LFアンテナID、コントローラID等を含む受信通知信号を受信して復調し、復調後のデジタルデータである受信通知データを制御部320に通知する機能を有する。
【0030】
制御部320は、記憶しているプログラムをプロセッサにより実行することにより、コントローラ101aの各部を制御する機能を有する。具体的には、制御部320は、UHF帯受信部310から受け取った受信通知データに含まれるタグIDの検査等を行い、タグID、コントローラID、コントローラIDを含むタグID通知データをサーバ106に送信する機能を有する。また、制御部320は、外部の8つのLF送信機に対し、起動信号の送信を指示する起動信号送信指示、又は当該アンテナが起動信号を送信しない期間であって、当該他のアンテナが起動信号を送信する期間の全て又は一部に妨害信号を送信するよう指示する妨害信号送信指示をする。起動信号送信指示信号、妨害信号送信指示信号にはコントローラID331が含められる。
【0031】
図3は、LF送信機102aの構成を示すブロック図である。
LF送信機102aは、主としてLF帯送信部410、制御部420、記憶部430から構成される。
記憶部430は、メモリ等を含んで構成され、LF送信機102が動作上必要とする各種データ、プログラム、LFアンテナID431を記憶する機能を有する。
【0032】
LF帯送信部410は、LFアンテナ411と接続しており、コントローラ101aの制御に従い、ウエイクパターン、LFアンテナID431、起動信号若しくは妨害信号の送信指示を行ったコントローラのコントローラID等を含む起動信号、又は妨害信号をLFアンテナ411を介してタグに送信する機能を有する。妨害信号は、一例として起動信号と同周波数の搬送波である。
【0033】
制御部420は、記憶部430に記憶されているプログラムをプロセッサにより実行することにより、LF送信機102aの各部を制御する機能を有する。制御部420は、コントローラ101aから起動信号送信指示を受けた場合に、起動信号を送信するようLF帯送信部410に指示する。また、制御部420は、妨害信号送信指示を受けた場合に、妨害信号を送信するようLF帯送信部410に指示する。
【0034】
なお、LF送信機102b〜102hも、LF送信機102aと同様の構成を備える。
図4は、タグ111の構成を示すブロック図である。
タグ111は、LF帯受信部510、UHF帯送信部520、制御部530、記憶部540、及び各部に電力を供給する電池550を有する。
記憶部540は、メモリ等を含んで構成され、タグ111が動作上必要とする各種データ、プログラムを記憶する機能を有する。また、記憶部540はタグID541を記憶している。
【0035】
LF帯受信部510は、LFアンテナ511と接続しており、LF送信機からのLF帯での起動信号を受信し、受信した起動信号を復調し、復調したデジタルデータである起動データを制御部530に通知する機能を有する。
UHF帯送信部520は、UHF帯で信号を送信するためのUHFアンテナ521と接続しており、制御部530から通知されたタグID541、受信したLFアンテナID、コントローラID等を含む受信通知データを変調し受信通知信号としてコントローラに送信する機能を有する。
【0036】
制御部530は、記憶部540に記憶されているプログラムをプロセッサにより実行することにより、タグ111の各部を制御する機能を有する。制御部530は、起動データの先頭のウェイクパターンを認識したときに処理を開始する。制御部530は、起動データ中のLFアンテナID、コントローラIDと、タグID541とを含む受信通知データを生成してUHF帯送信部520へ通知する機能を有する。
3.動作
以下、上述の構成を備える所在管理システムの動作について説明する。
3.1.全体動作
サーバ106は、各エリアに配置された各コントローラにコントローラ設定用データを送信し、これを用いて各コントローラは動作する。
【0037】
コントローラ101aは、8つの机103a〜103hそれぞれに設置されたLF送信機102a〜102hに対して送信指示を行うなどの送信制御処理を行う。送信指示を受けたLF送信機102a〜102hはそれぞれ、各机に対応して着席や離席を行う人が所持するタグが受信できるように起動信号を送信する。
図5は、LF送信機102a〜LF送信機102hまでの8台それぞれが起動信号を送信するタイミングを示している。LF送信機102a〜LF送信機102hのそれぞれにはt1/8の期間が割り当てられており、割り当てられた期間内に起動信号を送信する。図中のバー(例えばバー1001)は、起動信号の送信開始から送信終了までの期間を示している。
【0038】
各机の付近にタグを所持する人が存在(着席等)した場合には、タグは机上に設置されたLF送信機から送信される起動信号に呼応して、起動信号に含まれるLFアンテナID、コントローラID、及び自タグIDを含む受信通知信号をコントローラ101aに送信する。コントローラ101aは、受信通知信号を受信し、次いで、LFアンテナID、タグIDを含むタグID通知データをサーバ106に送信する。サーバ106は、タグID通知データに含まれるタグID、LFアンテナIDを確認することにより、タグの存在位置を管理する。
【0039】
ここで、タグが複数のLF送信機それぞれから送信された起動信号を受信(重複受信)した場合には、タグは受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信する。コントローラ101aは、重複受信を検知した場合には、重複受信を回避すべく、LF送信機に対し起動信号を送信しない期間に妨害信号を送信させる重複受信回避処理を行う。以下、重複受信を検知する重複受信検知処理、及び重複受信を回避する重複受信回避処理について説明する。
3.2.重複受信検知処理
図6は、コントローラ101aが、タグ111による起動信号の重複受信を検知する場合について説明するための図である。
【0040】
以下、一例として、タグ111が、LF送信機102a及びLF送信機102bから送信される起動信号を重複受信する例について説明する。
図6(a)は、コントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0041】
図6(b)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt12における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図6(c)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt15における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図6(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t11においてLF送信機102aに対し送信指示信号1101を送信する。
【0042】
LF送信機102aは、送信指示信号1101を受けて、時刻t12に起動信号1102を送信する。
図6(b)の破線で示す領域1502は、LF送信機102aが送信する起動信号1102が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0043】
図6(b)の場合、タグ111は、領域1502内にあるので起動信号1102を受信でき、時刻t13において起動信号1102に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1103をコントローラ101aに送信する。
次に、コントローラ101aは、時刻t14においてLF送信機102bに対し送信指示信号1104を送信する。
【0044】
LF送信機102bは、送信指示信号1104を受けて、時刻t15に起動信号1105を送信する。
図6(c)の破線で示す領域1503は、LF送信機102bが送信する起動信号1105が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1105を受信できる。
【0045】
タグ111は、領域1503内にあるので起動信号1105を受信でき、時刻t16において起動信号1105に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1106をコントローラ101aに送信する。
コントローラ101aは、LF送信機102c〜102hについても、LF送信機102a、bと同様の制御を行う。
【0046】
ここで、コントローラ101aは、8個のLF送信機が順に起動信号を送信する1周期であるt1の期間内に、タグ111のタグID及びLF送信機102aのLFアンテナIDを含む受信通知信号と、タグ111のタグID及びLF送信機102bのLFアンテナIDを含む受信通知信号との2つの受信通知信号を受信することになる。このような受信通知信号を受信した場合に、コントローラ101aは重複受信があったと判断する。
【0047】
重複受信があったと判断した場合、コントローラ101aは、重複受信回避処理を行う。
3.3.重複受信回避処理
図7は、重複受信回避処理について説明するための図である。
コントローラ101aは、LF送信機102aとLF送信機102bに関し重複受信が行われたことを検知しているものとし、この重複受信を回避するようLF送信機102aとLF送信機102bとを制御する。
【0048】
図7(a)は、コントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
図7(b)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt22における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
【0049】
図7(c)は、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置、及びt25における起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
図7(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t21においてLF送信機102aに対し送信指示信号1101を送信するとともに、LF送信機102bに対し妨害指示信号1201を送信する。
【0050】
送信指示信号1101を受けたLF送信機102aは、時刻t22において起動信号1102を送信する。
妨害指示信号1201を受けたLF送信機102bは、時刻t22において妨害信号1202を送信する。
図7(b)の破線で示す領域1601は、時刻t22において、LF送信機102aが送信する起動信号1102が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0051】
図7(b)の場合、タグ111は、領域1601内にあるので起動信号1102を受信でき、時刻t23において起動信号1102に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1103をコントローラ101aに送信する。
ここで、破線で示す領域1601は、図6の領域1502と比べると、LF送信機102bによる妨害信号の影響により領域1602の分だけ狭くなっている。このように妨害信号1202の影響で起動信号1102の受信可能領域が狭められる。
【0052】
次に、コントローラ101aは、時刻t24において、LF送信機102bに対し、送信指示信号1104を送信するとともに、LF送信機102b以外のLF送信機102aに対し妨害指示信号1204を送信する。
送信指示信号1104を受けたLF送信機102bは、時刻t25において起動信号1105を送信する。
【0053】
妨害指示信号1204を受けたLF送信機102aは、時刻t25において妨害信号1205を送信する。
ここで、図7(c)の破線で示す領域1611は、時刻t25において、LF送信機102bが送信する起動信号1105が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1102を受信できる。
【0054】
図7(c)の場合、タグ111は、領域1611内にないので起動信号1105を受信できない。よって、タグ111が起動信号1105に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号をコントローラ101aに送信することはない。
ここで、領域1611は、図6の領域1503と比べると、LF送信機102aによる妨害信号の影響により領域1612の分だけ狭くなっている。すなわち、領域1612は、LF送信機102aによる妨害信号の影響が無ければ、図6を用いて説明したようにタグ111が起動信号を受信できた領域である。
【0055】
すなわち、重複受信回避処理によって、タグ111が、LF送信機102a及びLF送信機102bの双方から送信される起動信号を受信してしまうのを回避できる。
4.変形例
以上、本発明に係るタグ管理システムの実施形態を説明したが、例示したタグ管理システムの一例としての所在管理システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの所在管理システムに限られないことは勿論である。
(1)上述の実施の形態では、あるLF送信機が起動信号を送信すると同時に、他のLF送信機が妨害信号を送信することで、タグによる起動信号の受信可能領域を変更していたが、これに限らず、他の方法で起動信号の受信可能領域を変更してもよい。
【0056】
例えば、コントローラ101aは、重複受信を検知した場合に、重複受信に係るLF送信機に対し、起動信号の送信出力を小さくするよう指示することとしてもよい。
図9(a)は、本変形例に係るコントローラ101a、LF送信機102a、LF送信機102b及びタグ111間における指示、信号の送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0057】
重複受信を検知した場合、コントローラ101aは、LF送信機102a、LF送信機102bに対し、起動信号の送信出力を小さくするよう指示する。
図9(b)は、コントローラ101aが起動信号の送信出力を小さくするよう指示した後における、LF送信機102a、LF送信機102b、タグ111の配置及び起動信号の受信可能領域を模式的に示す図である。
【0058】
図9(a)に示すように、コントローラ101aは、時刻t31においてLF送信機102aに対し送信指示信号1901を送信する。
LF送信機102aは、送信指示信号1901を受けて、時刻t32に起動信号1902を送信する。
図9(b)の破線で示す領域1701は、時刻t32におけるLF送信機102aが送信する起動信号1902が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1902を受信できる。
【0059】
図9(b)の場合、タグ111は、領域1701内にあるので起動信号1902を受信でき、時刻t33において起動信号1902に含まれるLFアンテナID及びコントローラID並びに自機のタグIDとを含む受信通知信号1903をコントローラ101aに送信する。
次に、コントローラ101aは、時刻t34においてLF送信機102bに対し送信指示信号1904を送信する。
【0060】
LF送信機102bは、送信指示信号1904を受けて、時刻t35に起動信号1905を送信する。
図9(b)の破線で示す領域1702は、時刻t35におけるLF送信機102bが送信する起動信号1905が受信できる領域を示す。破線の内側においてタグは起動信号1905を受信できる。
【0061】
タグ111は、領域1702内にないので起動信号1905を受信できないことになる。
なお、各LF送信機は、起動信号の送信出力を実際に小さくする前に、ユーザに対し送信出力を小さくしてもよいか否かの意思確認をしてもよい。例えば、LF送信機にディスプレイ等の表示デバイスと、キーパッド、リモコン等の入力デバイスとを備え、ディスプレイに送信出力を小さくしてもよいか否かを示すユーザ操作を行うよう促す表示をする。ユーザは、入力デバイスを用いて送信出力を小さくしてもよいか否かを示すユーザ操作を行う。LF送信機は、ユーザ操作が、送信出力を小さくしてもよいことを示す場合に、送信出力を小さくする。
【0062】
また、送信出力をどの程度低下させるかは、予め定めていてもよいし、コントローラが適宜決定してもよい。コントローラが適宜決定する場合は、コントローラが重複受信を検知する度に、LF送信機に対し所定量、送信出力を低下するよう指示する。LF送信機は、指定された分だけ送信出力を低下させる。その後、コントローラは、重複受信が検知されなくなるまで、繰り返し、LF送信機に対し所定量、送信出力を低下するよう指示する。重複受信が検知されなくなると、コントローラは、送信出力の低下を指示するのを終了する。
(2)変形例(1)では、送信出力を小さくすることとしたが、これに限らず、起動信号が重複受信された領域で、起動信号の受信ができなくなる程度にタグの受信感度を下げることとしてもよい。
【0063】
コントローラは、重複受信を検出した場合に、重複受信に係るLF送信機に対し、タグに対して受信感度を低下するよう指示させる。
タグは、受信感度を変更する機能を有しており、LF送信機から、受信感度を低下するよう指示を受けると、その指示に従って受信感度を低下させる。
受信感度をどの程度低下させるかは、予め定めていてもよいし、コントローラが適宜決定してもよい。コントローラが適宜決定する場合は、コントローラが重複受信を検知する度に、LF送信機に対し所定量、感度を低下するよう指示する。LF送信機は、指定された分だけ感度を低下するようタグに指示し、タグは、指定された分、受信感度を低下させる。その後、コントローラは、重複受信が検知されなくなるまで、繰り返し、LF送信機に対し所定量、感度を低下するよう指示する。重複受信が検知されなくなると、コントローラは、受信感度の低下を指示するのを終了する。
【0064】
なお、タグは、受信感度を実際に低下させる前に、ユーザに対し受信感度を低下させてよいか否かの意思確認をしてもよい。例えば、タグは、小型のディスプレイ等の表示デバイスと、キーパッド、リモコン等の入力デバイスとを備え、ディスプレイに受信感度を低下させてよいか否かを示すユーザ操作を行うよう促す表示をする。ユーザは、入力デバイスを用いて受信感度を低下させてよいか否かを示すユーザ操作を行う。タグは、ユーザ操作が、受信感度を低下させてよいことを示す場合に、実際に受信感度を低下させる。
(3)上述の実施の形態では、妨害波は周期的に送信することとしていたが、これに限らず、起動信号を検出する毎に妨害信号を送信することとしてもよい。
【0065】
例えば、起動信号の不特定箇所を受信不能としさえすれば、タグにおいてパケットエラーと判断され、コントローラに受信通知信号を送信しない場合であれば、妨害波送信機は、起動信号を検出するたびに、その検出直後に妨害波を送信する。
また、起動信号のうちの不特定箇所を受信不能とするだけでは足りないものの、特定箇所(例えばウェイクパターン)を受信不能とすれば足りる場合も考えられる。この場合について、図10(a)及び図10(b)を用いて説明する。
【0066】
LF送信機102aが送信する起動信号は、信号送信時間がstであり、周期ct毎に送信される。
起動信号は、一例として、図10(b)に示すように、ウェイクパターン、UW(ユニークワード)、UHFチャネル、コントローラID、LFアンテナID、予約領域、及びCRCを含むデジタルデータが変調されたものである。
【0067】
ここで、UWはデータの先頭を表す固有識別情報である。
UHFチャネル情報は、UHF帯における複数の周波数帯のうち、いずれをタグが用いるべきかを示す情報である。
また、CRCは、誤り訂正用に起動信号で送信されるデジタルデータの最後に入れられている。
【0068】
図10(a)は、LF送信機102aが送信する起動信号と、LF送信機102bが送信する妨害波の送信タイミングについて説明するための図である。図10(b)は、図10(a)の一部を拡大したものである。
LF送信機102bは、LF送信機102aが送信する起動信号を検波し、起動信号の送信周期ct、送信長st、ウェイクパターンの送信長wtを算出する。
【0069】
次に、LF送信機102bは、起動信号が送信されるのを常に監視する。
起動信号が送信されたことを検出すると、図10(b)に妨害波1として示すように、起動信号の先頭から時間it3(< wt)以内に、妨害波2031を送信する。
これにより、LF送信機102bは、タグによるウェイクパターンの受信を妨げることができる。また、LF送信機102bは、周期的に妨害波を送信する必要が無くなり、省電力化を図ることができる。
(4)上記変形例(3)では、ウェイクパターンの受信を妨げる例で説明したが、これに限るものではない。
【0070】
例えば、ウェイクパターンのように起動信号の先頭に配されてはいないデータ(例えば、LFアンテナID)の受信を妨げれば足りる場合にも適用できる。
この場合、LF送信機102bは、まず上述と同様の方法で、起動信号の送信周期ct、送信長stを算出する。
また、起動信号が送信開始されてからLFアンテナIDが送信されるまでの時間を算出する。起動信号により送出されるデジタルデータの先頭から何バイト目にLFアンテナIDが配置されているかは既知であるから、起動信号の送信開始から、どの位の期間が経過したときにLFアンテナIDが送信開始され(図10中のit5)、また送信終了するか(図10中のit4)を算出することができる。
【0071】
そして、起動信号の送信開始を検知してから、it5経過後it4経過前の期間を含む期間において、妨害波を送出する。
これにより、LF送信機102bは、タグによるLFアンテナIDの受信を妨げることができる。LFアンテナIDが受信できなければ、タグと、LF送信機を対応づけることができないこととなる。また、LF送信機102bは、周期的に妨害波を送信する必要が無くなり、省電力化を図ることができる。
(5)上述の実施の形態では、サーバがLFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しているものとしたが、これに限らず、他の装置がタグの位置を把握する機能を有することとしてもよい。例えば、コントローラがLFアンテナIDにより識別されるLF送信機の配置を予め記憶しており、タグの位置を把握することとしてもよい。
(6)上述の実施の形態では、タグは、受信した起動信号それぞれについて受信通知信号をコントローラ101aに送信することとしていたが、これに限らず、1周期(各LF送信機について起動信号、受信通知信号の送受信のために割り当てられた期間の総和。上記実施の形態のt1に相当。)など所定期間に受信した起動信号について、まとめて受信通知信号を送信することとしてもよい。
【0072】
また、タグ側において起動信号の重複受信を検知し、コントローラ101aに重複受信の発生を通知する構成としてもよい。
(7)実施の形態及び変形例で示した各装置のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるための機械語或いは高級言語のプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより各実施形態で示したような各機能が実現されるようになる。なお、プロセッサは、制御プログラムを直接実行する他、コンパイルして実行或いはインタプリタにより実行してもよい。
(8)実施の形態及び変形例で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサによりプログラムを実行することで実現されてもよい。また、実施の形態及び変形例で示したシステムは、IC、LSIその他の集積回路のパッケージとして構成されるものとしてもよい。このパッケージは各種装置に組み込まれて利用に供され、これにより各種装置は、各実施形態で示したような各機能を実現するようになる。
(9)本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、図7に示すように、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する。
【0073】
この構成により、送信機としてのLF送信機102aが送信する起動信号の受信可能範囲を、LF送信機102bが送信する妨害波により領域1601内に制限できる。また、LF送信機102bが送信する起動信号の受信可能範囲を、LF送信機102aが送信する妨害波により領域1611内に制限できる。よって、タグ111は、LF送信機102aが送信する起動信号と、LF送信機102bが送信する起動信号との双方を受信してしまうのを避けることができる。
【0074】
また、図8(a)に示すように、前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信することとしてもよい。
この構成により、図8(b)に示すように、P4〜P5の範囲でのみ受信可能なCN比を上回ることとなり、起動信号の受信範囲を領域1722に制限することができる。
また、図10に示すように、前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信することとしてもよい。
【0075】
この構成により、誤り訂正機能をタグが備える場合にも、起動信号の受信を確実に妨害することができる。
また、図10に示すように、前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信することとしてもよい。
【0076】
この構成により、起動信号全体の受信を妨げなくてもタグの起動を妨げることができ、妨害波送信のための電力消費を低減することができる。
また、図6に示すように、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行うこととしてもよい。
【0077】
この構成により、重複受信を検知するまでは妨害波の送信を抑制し、消費電力の低減を図ることができる。
また、図6に示すように、前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知することとしてもよい。
【0078】
この構成により、起動信号が重複受信されている場合に、重複受信回避処理などの措置を講じることができる。また、送信機が形成している起動信号の受信可能エリアの大きさの推定、複数の送信機が形成している起動信号の干渉度合などを推定することができる。
また、前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知することとしてもよい。
【0079】
この構成により、重複受信の検知をコントローラでは無く、タグ側で行うことができる。
また、本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、図9に示すように、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む。
【0080】
この構成により、送信機としてのLF送信機102aが送信する起動信号の受信可能領域である領域1701と、送信機としてのLF送信機102bが送信する起動信号の受信可能領域である領域1702とが重複し、タグ111が複数の起動信号を受信してしまうのを避けることができる。
また、前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げることとしてもよい。
【0081】
この構成により、ユーザの確認なく起動信号の出力を下げてしまい、起動信号の到達範囲が狭められてしまうのを避けることができる。
また、本発明の一実施形態に係るタグ管理システムは、コントローラと、起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる。
【0082】
この構成により、起動信号の到達範囲が重複する領域でタグが複数の起動信号を受信してしまうのを避けることができる。
また、前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げることとしてもよい。
この構成により、ユーザの確認なくタグの受信感度を下げてしまい、起動信号の受信可能範囲が狭められてしまうのを避けることができる。
(10)上述の各実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0083】
106 サーバ
101a、101b コントローラ
102a〜102h LF送信機
111 タグ
1502、1503 領域
1101、1104 送信指示信号
1102、1105 起動信号
1103、1106 受信通知信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、
各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項2】
前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項3】
前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項4】
前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、
前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項5】
前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、
前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、
前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行う
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項6】
前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、
前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項7】
前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項8】
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、
複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項9】
前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げる
ことを特徴とする請求項8記載のタグ管理システム。
【請求項10】
コントローラと、
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、
前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項11】
前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げる
ことを特徴とする請求項10記載のタグ管理システム。
【請求項1】
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信し外部に通知するタグとを含み、
各送信機は他機の起動信号送信期間内に妨害信号を送信する
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項2】
前記各送信機は、前記妨害信号として、前記起動信号と同周波数の信号を前記起動信号より弱い信号出力で送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項3】
前記各送信機は、前記タグによる誤り訂正が可能な信号長よりも長い信号長の妨害信号を送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項4】
前記起動信号は、前記タグをスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させるウェイクパターン信号を含み、
前記送信機は、前記妨害信号を前記ウェイクパターン信号の送信期間内に送信する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項5】
前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、
前記各送信機は、前記コントローラからの送信指示を受けて前記起動信号又は前記妨害信号の送信を開始し、
前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、当該通知に係る送信機に対し送信指示を行う
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項6】
前記タグは、前記外部への通知としてコントローラに通知を行い、
前記コントローラは、前記通知を用い、前記タグが複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信していることを検知する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項7】
前記タグは、複数の送信機それぞれにより送信された起動信号を受信した場合に、複数の起動信号を受信していることを外部に通知する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ管理システム。
【請求項8】
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信しコントローラに通知するタグと、
複数の送信機に係る通知を受信した場合に起動信号の出力レベルを下げるよう指示するコントローラとを含む
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項9】
前記各送信機は、前記起動信号の出力レベルを下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に出力レベルを下げる
ことを特徴とする請求項8記載のタグ管理システム。
【請求項10】
コントローラと、
起動信号の送信時間が不一致である一方、起動信号の到達範囲が一部重複する複数の送信機と、
起動信号を受信し前記コントローラに通知するタグとを含み、
前記コントローラは、前記タグから複数の送信機に係る通知を受信した場合に、前記タグの受信感度を低下させる
ことを特徴とするタグ管理システム。
【請求項11】
前記タグは受信感度を下げる前に、実行可否をユーザに確認し、実行許可を示す入力があった場合に受信感度を下げる
ことを特徴とする請求項10記載のタグ管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−70236(P2013−70236A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207338(P2011−207338)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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