説明

タグ通信装置、タグ通信装置の電波送信方法、およびタグ通信装置の電波送信プログラム

【課題】通信領域内に通信不能部分が発生することにより、通信できないRFIDタグが発生することを抑制する。
【解決手段】本発明のRFIDリーダ/ライタ1は、送信信号を含む電波を分配する分配部13と、分配部13で分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅のすくなくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する位相制御部18および減衰幅制御部19と、位相制御部18および減衰幅制御部19の少なくともいずれか一方によって変更された電波を送信するアンテナ部17と、分配部13で分配された電波のうちの他方を送信するアンテナ部16と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を介してRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置、およびタグ通信装置の電波送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグ(無線タグ)に対し、リーダ/ライタであるタグ通信装置により無線で通信を行うRFID技術が利用されている。また、RFIDタグは、バーコードに替わるものとして特に物流の分野において期待を集めており、近い将来において爆発的に普及することが予想されている。
【0003】
RFIDタグおよびタグ通信装置の間の通信方式としては、電磁誘導方式とマイクロ波方式とがある。電磁誘導方式は、125k〜135kHz帯や13.56MHz帯の周波数帯域で利用されている。一方、マイクロ波方式は、2.45GHz帯などの周波数帯域で利用されており、800MHz〜960MHz前後のいわゆるUHF帯での利用が考えられている。
【0004】
一般に、電磁誘導方式よりもマイクロ波方式の方が通信距離を伸長し易いことと、周波数帯域が高くなるにつれて、RFIDタグのアンテナの寸法を小さくすることができることとから、マイクロ波方式が普及してきている。
【0005】
そして、特許文献1には、タグ通信装置において、受信時における受信半値角を送信時における送信半値角よりも小さくし、受信メインローブ方向が送信アンテナの電波到達範囲のうちの所定の範囲内となるように制御することによって、タグ通信装置と無線タグとの情報の送受信の確実性、信頼性を向上させる技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、受信アンテナの指向性を通信対象に対する受信状態が最適となるように変化させることによって、高い受信感度を得る技術が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、送受信用アンテナの送信指向性と受信指向性とを独立に制御することによって、無線タグと好適に通信する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、複数の受信アンテナで受信した受信信号それぞれに与えるウェイトを制御することにより、長い通信可能距離を実現する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−219927号公報(2007年8月30日公開)
【特許文献2】特開2006−86677号公報(2006年3月30日公開)
【特許文献3】特開2005−323274号公報(2005年11月17日公開)
【特許文献4】特開2005−269403号公報(2005年9月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的に、タグ通信装置のアンテナであるタグ通信用アンテナとしては、指向性の広いアンテナを利用する場合と、指向性の狭いアンテナを利用する場合とが考えられる。
【0011】
指向性の広いアンテナを利用する場合、タグ通信装置からの直接波と床面や壁面にて反射した反射波とが干渉するいわゆるマルチパス干渉により、タグ通信装置がRFIDタグと通信できない通信不能領域(いわゆるヌルポイント)が通信領域内に発生してしまう。図8を用いて説明する。図8に示すように、RFIDタグ803が受信する直接波804の電波強度と反射波805の電波強度とが同程度で、RFIDタグ803の位置において、マルチパス干渉により直接波804と反射波805とが互いに弱め合う場合、RFIDタグ803が受信する電波強度が著しく低くなり、リーダ/ライタ801との通信が不能となってしまう。この場合、通信領域内で通信できないRFIDタグが発生してしまう。
【0012】
そこで、上述した特許文献1〜4のように指向性の狭いアンテナを用いることが考えられるが、指向性の狭いアンテナは、指向性の広いアンテナに比べて通信領域が狭いので、少数のアンテナで多数のRFIDタグを同時に読み書きできるシステムを構築することは困難である。よって、指向性の狭いアンテナで広い通信領域をカバーするには、多数のアンテナが必要となる。さらに、指向性の狭いアンテナは、指向性の広いアンテナに比べてアンテナの規模が大きくなる。したがって、タグ通信装置のアンテナ部分の規模が著しく増大することになってしまう。
【0013】
また、上述した特許文献1〜4には、指向性の広いアンテナの場合において通信不能部分が発生することによる弊害を解消することについては、開示も示唆もなされていない。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、指向性の広いアンテナで、通信領域内に通信不能部分が発生することにより、通信できないRFIDタグが発生することを抑制するタグ通信装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るタグ通信装置は、電波を介してRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、送信信号を含む電波を分配する分配部と、上記分配部で分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更手段と、上記信号変更手段によって変更された電波を送信する第1アンテナと、上記分配部で分配された電波のうちの他方を送信する第2アンテナと、を備えていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係るタグ通信装置の電波送信方法は、電波を介してRFIDタグと無線通信を行うととともに、該電波を送信するアンテナを2本備えたタグ通信装置の電波送信方法であって、送信信号を含む電波を分配する分配ステップと、上記分配部で分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更ステップと、上記信号変更ステップによって変更された電波を上記2本のアンテナのうちの一方で送信する第1送信ステップと、上記分配ステップで分配された電波のうちの他方を、上記2本のアンテナのうちの他方で送信する第2送信ステップと、を含むことを特徴としている。
【0017】
上記の構成または方法によれば、送信信号を含む電波が分配されるとともに、分配された一方の電波の位相および振幅の少なくともいずれか一方が所定のタイミングで変更され、位相および振幅の少なくともいずれか一方が変更された電波と変更されていない電波とが異なるアンテナから送信される。これにより、自装置の通信領域内の電場の状態を所定のタイミングで変化させることができる。よって、送信される電波の直接波と壁や地面等で反射した反射波とが干渉することによって生じる通信不能領域の位置を所定のタイミングで変更させることができ、ある状態で通信不能領域となる位置にRFIDタグが存在していたとしても、当該RFIDタグと通信することを可能にすることができる。
【0018】
また、上記の構成によれば、第1アンテナと第2アンテナとの位置に関わらず、上記の効果を奏することができるので、アンテナの配置を考慮する必要がなく、設置場所の制約を受けることを減らすことができる。
【0019】
本発明に係るタグ通信装置では、上記信号変更手段は、上記分配部で分配された電波の双方に対し、位相または振幅の少なくともいずれか一方を、上記分配部で分配されたそれぞれの電波で異なるように、所定のタイミングで変更するものであってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、分配部で分配された電波のそれぞれの位相または振幅が異なるように所定のタイミングで変更されるので、自装置の通信領域内の電場の状態を所定のタイミングで変更することができる。
【0021】
これにより、送信される電波の直接波と壁や地面等で反射した反射波とが干渉することによって生じる通信不能領域の位置を所定のタイミングで変更させることができ、ある状態で通信不能領域となる位置にRFIDタグが存在していたとしても、当該RFIDタグと通信することを可能にすることができる。
【0022】
本発明に係るタグ通信装置では、上記信号変更手段は、電波の位相を変更する位相変更手段と、電波の振幅を変更する振幅変更手段とを備え、上記振幅変更手段は、上記位相変更手段によって位相を変更された電波の振幅を変更し、上記第1アンテナは、上記振幅変更手段によって振幅が変更された電波を送信するものであってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、送信信号を含む電波が分配されるとともに、分配された一方の電波の位相が所定のタイミングで変更されるとともに振幅が所定のタイミングで変更され、位相および振幅が所定のタイミングで変更される電波と変更されない電波とが異なるアンテナから送信される。これにより、送信される電波の直接波と壁や地面等で反射した反射波とが干渉することによって生じる通信不能領域の位置を所定のタイミングで変更させるとともに、該通信不能領域の大きさを変更させるので、ある状態で通信不能領域となる位置に存在しているRFIDタグとの通信をより確実に可能とすることができる。
【0024】
本発明に係るタグ通信装置では、上記所定のタイミングは、自装置から上記RFIDタグにコマンドを送信し、応答信号を受信すべき時間の終了時点であることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、位相変更手段は、自装置からRFIDタグにコマンドを送信し、応答信号を受信すべき時間の終了時点に合わせて位相を変更する。また、振幅変更手段も、自装置からRFIDタグにコマンドを送信し、応答信号を受信すべき時間の終了時点に合わせて振幅を変更する。よって、自装置とRFIDタグとのコマンドの送受信の途中で位相が変更されることがない。これにより、自装置がRFIDタグにコマンドを送信し、応答信号を受信している途中であるにもかかわらず、送信される電波の一方の位相および振幅の少なくともいずれか一方が変更されることにより当該RFIDタグが通信不能領域に入り、通信が途切れてしまうということを防止することができる。
【0026】
本発明に係るタグ通信装置では、上記RFIDタグから受信した電波の受信レベルが閾値を超えているか否かを判定する受信レベル判定手段と備え、上記位相変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの位相で固定し、上記振幅変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの振幅で固定するものであってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、受信レベル判定手段が、RFIDタグから受信した電波の受信レベルが閾値を超えているか否かを判定し、位相変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの位相で固定する。また、振幅変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの振幅で固定する。
【0028】
そして、RFIDタグから受信した電波の受信レベルが閾値を超えているときとは、RFIDタグが通信不能領域には存在しないことを示している。よって、このときの位相で送信する電波の位相を固定し、このときの振幅で送信する電波の振幅を固定することにより、確実に自装置とRFIDタグとの通信を行うことができる。
【0029】
本発明に係るタグ通信装置では、上記第1アンテナは、上記第2アンテナと対向する位置に存在する壁の、該第2アンテナから送信される電波の進行方向と壁とが直角となる位置に配置されているものであってもよい。
【0030】
自装置から送信した直接波が壁に当たった場合、自装置から送信した直接波と、該直接波が壁に反射した反射波とが干渉し、直接波の進行方向と壁とが直角となるときの該直接波の進行方向となる領域は、空間上に定在波が現れ、その節の部分が通信不能領域となってしまう。
【0031】
上記の構成によれば、第1アンテナが、第2アンテナと対向する位置に存在する壁の、該第2アンテナから送信される電波の進行方向と壁とが直角となる位置に配置されているので、空間の定在波を操作することができ、上記通信不能領域を狭めることができる。
【0032】
なお、上記タグ通信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記タグ通信装置をコンピュータにて実現させるタグ通信装置の電波送信プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明に係るタグ通信装置は、送信信号を含む電波を分配する分配部と、上記分配部で分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更手段と、上記信号変更手段によって変更された電波を送信する第1アンテナと、上記分配部で分配された電波のうちの他方を送信する第2アンテナと、を備えている構成である。
【0034】
また、本発明に係るタグ通信装置の電波送信方法は、送信信号を含む電波を分配する分配ステップと、上記分配部で分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更ステップと、上記信号変更ステップによって変更された電波を2本のアンテナのうちの一方で送信する第1送信ステップと、上記分配ステップで分配された電波のうちの他方を、上記2本のアンテナのうちの他方で送信する第2送信ステップと、を含む方法である。
【0035】
これにより、自装置の通信領域内の電場の状態を所定のタイミングで変化させることができる。よって、送信される電波の直接波と壁や地面等で反射した反射波とが干渉することによって生じる通信不能領域の位置を所定のタイミングで変更させることができ、ある状態で通信不能領域となる位置にRFIDタグが存在していたとしても、当該RFIDタグと通信することを可能にすることができるという効果を奏する。
【0036】
また、上記の構成によれば、第1アンテナと第2アンテナとの位置に関わらず、上記の効果を奏することができるので、アンテナの配置を考慮する必要がなく、設置場所の制約を受けることを減らすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであり、RFIDリーダ/ライタの要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施の形態の概要を示す説明図である。
【図3】上記RFIDリーダ/ライタからRFIDタグに対するコマンドの送受信時間と、位相調整部が位相を変更するタイミングとを示す図である。
【図4】上記RFIDリーダ/ライタにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態を示すものであり、RFIDタグの要部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示すものであり、RFIDリーダ/ライタの要部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示すものであり、2本のアンテナの配置を示す図である。
【図8】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
〔実施の形態1〕
(RFIDリーダ/ライタの構成)
本発明の一実施の形態について図1から図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタ(タグ通信装置)1は、RFIDタグ3に対し、無線通信を行ってデータの読み書きを行うものである。
【0039】
本実施の形態では、RFIDリーダ/ライタ1が送信する電波の周波数帯域は、800MHz〜960MHz前後のいわゆるUHF帯である。これにより、RFIDリーダ/ライタ1がRFIDタグ3と通信可能な領域は、RFIDリーダ/ライタ1のアンテナから数m程度となる。一般に、UHF帯や2.45GHz帯の電波(radio wave)を利用するマイクロ波方式は、125k〜135kHz帯や13.56MHz帯の電磁誘導を利用する電磁誘導方式に比べて、通信距離を拡大し易いという利点がある。また、UHF帯の電波は、2.4GHz帯の電波に比べて、物陰に回り込み易いという利点がある。
【0040】
RFIDタグ3は、無線通信IC(Integrated Circuit)およびアンテナを備える構成である。一般的なRFIDタグ3は、電池などの電源を有しておらず、RFIDリーダ/ライタ1から電波で送電された電力によって回路が動作し、RFIDリーダ/ライタ1と無線通信を行う。
【0041】
UHF帯の電波を送信する場合、当該電波の波長は約30cmであり、鋭い(狭い)指向性のアンテナにすると、アンテナが大型化してしまう。そこで、アンテナの大きさを半波長程度とすることが考えられるが、アンテナをこの大きさにすると指向性が広くなってしまう。指向性の広いアンテナから送信された電波は、直接波と壁等に反射した反射波とが干渉してしまうということが生じる。そして、直接波と反射波とが干渉することにより、通信不能領域が発生してしまうという問題が生じる。
【0042】
これらの問題点を回避するため、本実施の形態のRFIDリーダ/ライタ1は、2つのアンテナ(第2アンテナ)160、アンテナ(第1アンテナ)170を備え、それぞれのアンテナから送信される電波の位相を所定の周期で変えることにより、上記通信不能領域の位置が固定されないようにし、通信領域内に存在するRFIDタグ3との通信を確実に行えるようにするものである。
【0043】
具体的に図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態の概要を示す説明図である。図2に示すように、RFIDタグ3に対しアンテナ160から直接送信される直接波201と、床面にて反射して送信される反射波202とがある場合、マルチパス干渉により直接波201と反射波202とが互いに弱め合うと、RFIDタグ3が受信する電波強度が著しく低くなって、RFIDリーダ/ライタ1との通信が不能となってしまう。
【0044】
そこで、本実施の形態では、アンテナ170から位相を変化させて電波を送信することにより、RFIDタグ3が存在している位置において、直接波201と反射波202とで互いに弱めあったとしても、位相を変化させる直接波203を送信することで、RFIDタグ3が存在している位置の電場に影響を与え、RFIDタグ3が受信する電波強度が低くならないようにするものである。
【0045】
また、アンテナ170から送信する電波の位相を所定の周期で変更することにより、直接波201と反射波202とにより電波強度が著しく弱くなってしまう位置を周期的に変更し、RFIDタグ3が存在している位置が、常に電波強度が著しく弱くなる位置とならないようにしている。
【0046】
以上のように、マルチパス干渉による通信不能領域が適宜変更されることにより、RFIDリーダ/ライタ1とRFIDタグ3との通信が可能となる。したがって、通信不能領域にRFIDタグ3が存在することにより、RFIDリーダ/ライタ1とRFIDタグ3との通信が不可能となってしまうことを抑制することができる。また、本実施の形態では、RFIDタグ3に特別な変更を施す必要がない。
【0047】
以下、RFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3の具体的な構成について、図1〜図5に基づいて説明する。
【0048】
図1は、本実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタ1のブロック図である。図1に示すように、RFIDリーダ/ライタ1は、制御部10、記憶部11、無線処理部12、分配部13、位相調整部14、減衰部15、アンテナ部16、アンテナ部17、および外部I/F部21を含む構成である。なお、位相調整部14および減衰部15は、少なくともいずれか一方を備える構成であればよい。また、本実施の形態では、アンテナ部16およびアンテナ部17の2つのアンテナ部を備える構成として説明するが、アンテナ部は複数であればよく、2つに限られるものではない。
【0049】
制御部10は、RFIDリーダ/ライタ1内における動作を統括的に制御するものである。制御部10は、例えばPC(Personal Computer)ベースのコンピュータによって構成される。そして、RFIDリーダ/ライタ1の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、例えばCD−ROMなどのリムーバブルメディアに記録されているものを読み込んで使用する形態であってもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよい。また、外部I/F部21を介して上記プログラムをダウンロードしてハードディスクなどにインストールして実行する形態などであってもよい。
【0050】
また、制御部10は、位相制御部(信号変更手段、位相変更手段)18および減衰幅制御部(信号変更手段、振幅変更手段)19を備える構成である。位相制御部18は、位相調整部14による無線信号の位相の変更を制御するものである。具体的には、位相調整部14に対し、所定の角度、所定の周期で無線信号の位相を変更するように制御する。
【0051】
ここで、所定の角度の例としては、30°、45°、60°等を挙げることができる。また、所定の周期については、RFIDタグ3に対するコマンドの送受信時間(すなわち、RFIDリーダ/ライタ1の通信領域内にRFIDタグ3が存在した場合にRFIDタグ3にコマンドを送信し、RFIDタグ3からコマンドに対する返信を受信するまでの時間)を挙げることができる。RFIDタグ3に対するコマンドの送受信時間毎に位相を変化させれば、RFIDタグ3に対するコマンドを送信し、受信を待っている途中で位相が変化してしまうことにより、RFIDタグ3との通信が不安定になることを防止できるためである。図3を用いて説明する。
【0052】
図3は、RFIDリーダ/ライタ1からRFIDタグ3に対するコマンドの送信時間および該コマンドに対するRFIDタグ3からの応答を受信すべき時間と、位相調整部14が位相を変更するタイミングとを示す図である。また、図3に示す位相差とは、分配部13で分配された一方の無線信号と、位相調整部14で位相が変更された無線信号との位相差を示すものである。図3に示すように、RFIDリーダ/ライタ1からRFIDタグ3に対するコマンドの送信時間301、およびRFIDリーダ/ライタ1の通信領域内にRFIDタグ3が存在する場合にRFIDタグ3からコマンドに対する返信を受信する時間302が、経過する毎に位相調整部14が位相を変更する。これにより、上述した効果を奏することができる。なお、RFIDタグ3からの返信を受信した場合は、そのときの位相で無線信号の位相を固定するものであってもよい。
【0053】
減衰幅制御部19は、減衰部15による無線信号の振幅の変更を制御するものである。具体的には、減衰部15に対し、所定の幅、所定の周期で無線信号の振幅を変更するように制御する。なお、所定の幅とは特に限定されるものではなく、どのような幅であってもよい。また、所定の周期については、位相調整部14と同様であるのでその説明は省略する。なお、上述したように減衰部15は必須の構成ではなく、RFIDリーダ/ライタ1が減衰部15を備えていない場合は、減衰幅制御部19を備える必要はない。
【0054】
また、減衰部15および減衰幅制御部19のように振幅を減衰させるものではなく、振幅増幅させる増幅部および増幅制御部を備える構成であってもよい。
【0055】
記憶部11は、上記したハードディスクなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。記憶部11に記憶される内容としては、上記した制御プログラム、OS(operating system)プログラム、およびその他各種プログラム、ならびに各種データが挙げられる。本実施の形態では、記憶部11には、アンテナ部17から送信する電波の位相を変更する角度、周期等のデータが記憶されている。
【0056】
無線処理部12は、制御部10から受信したデータを無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号を分配部13に送信するとともに、外部からアンテナ部16を介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部10に送信するものである。無線処理部12には、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、変復調回路、RF回路などが使用される。
【0057】
分配部13は、無線処理部12から取得した無線信号を分配し、アンテナ部16および位相調整部14へ送信するものである。なお、分配部13が、アンテナ部16と位相調整部14とへ分配する無線信号の分配率は特に限定されるものではなく、例えば、1:1、1:1/2、1:1/3、1:1/4等、どのような分配率であってもよい。また、分配率を変更できるものであってもよい。
【0058】
位相調整部14は、位相制御部18の指示に基づいて、分配部13から取得した無線信号の位相を所定の角度および所定の周期で変更するものである。そして、位相を変更した無線信号を減衰部15へ送信する。なお、位相を変更するタイミングは周期的でなくてもよい。
【0059】
減衰部15は、減衰幅制御部19の指示に基づいて、位相調整部14から取得した無線信号の振幅を減衰するものである。減衰部15による無線信号の振幅の減衰幅、および減衰する周期については、位相調整部14における位相の変更と同様であるので、その説明は省略する。なお、上述したように減衰部15は必須の構成ではない。
【0060】
アンテナ部16は、分配部13からの無線信号を電波として外部に送信するとともに、外部から受信した電波を無線信号に変換して無線処理部12に送信するものである。
【0061】
アンテナ部17は、減衰部15からの無線信号を電波として外部に送信するものである。なお、アンテナ170の指向性をアンテナ160と異ならせてもよい。
【0062】
また、アンテナ170に指向性の狭いアンテナを使用することにより、特定の領域の電場に影響を与えることができるので、RFIDリーダ/ライタ1の通信可能領域を維持したまま、特定の領域に存在するRFIDタグ3との通信を可能にすることができる。
【0063】
外部I/F部21は、PCなどの外部のデバイスと通信を行うものである。外部I/F部21のインタフェース規格としては、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、Ethernet(登録商標)、などが挙げられる。
【0064】
(RFIDリーダ/ライタにおける処理の流れ)
次に、図4を用いてRFIDリーダ/ライタ1における処理の流れを説明する。図4に示すように、RFIDリーダ/ライタ1においては、まず無線処理部12において送信波を生成する(S1)。そして、分配部13が、無線処理部12から取得した送信波を分配する(S2、分配ステップ)。次に位相調整部14は、無線処理部12が分配した一方の送信波の位相を周期的に変更する(S3、位相変更ステップ)。ここで、減衰部15が備えられている場合は、減衰部15は、位相が変更された電波の振幅を減衰する(振幅変更ステップ)。そして、アンテナ部16は、分配部13によって位相調整部14に分配されなかった送信波を外部に送信し、アンテナ部17は、位相調整部14によって位相が変更された送信波を送信する(S4、第1送信ステップ、第2送信ステップ)。その後、一連の送受信シーケンスが終了すると(S5でYES)、ステップS3に戻り、位相調整部14は送信波の位相を所定の角度だけ変更する。なお、一連の送受信シーケンスの終了の例としては、RFIDタグ3の読み取り完了や、RFIDタグ3からの無応答レスポンス等を挙げることができる。以上が、RFIDリーダ/ライタ1における処理の流れである。
【0065】
(RFIDタグの構成)
図5は、RFIDタグ3の概略構成を示している。図5に示すように、RFIDタグ3は、アンテナ部30および無線通信IC31を備える構成である。
【0066】
アンテナ部30は、RFIDリーダ/ライタ1からの電波を、無線通信IC31を動作させる電力源として受け取るものである。また、アンテナ部30は、RFIDリーダ/ライタ1から受信した電波を無線信号に変換して無線通信IC31に送信するとともに、無線通信IC31からの無線信号を電波に変換してRFIDリーダ/ライタ1に送信するものである。アンテナ部30には、アンテナ、共振回路などが使用される。
【0067】
無線通信IC31は、RFIDリーダ/ライタ1からアンテナ部30を介して受信した信号に基づいて、RFIDリーダ/ライタ1からのデータを記憶したり、記憶されたデータをアンテナ部30を介してRFIDリーダ/ライタ1に送信したりするものである。図5に示すように、無線通信IC31は、電源部32、無線処理部33、制御部34、およびメモリ部35を備える構成である。
【0068】
電源部32は、アンテナ部30が電波を受信することにより発生する誘起電圧を整流回路にて整流し、電源回路にて所定の電圧に調整した後、無線通信IC31の各部に供給するものである。電源部32には、ブリッジダイオード、電圧調整用コンデンサなどが使用される。
【0069】
無線処理部33は、外部からアンテナ部30を介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部34に送信するとともに、制御部34から受信したデータを無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号をアンテナ部30を介して外部に送信するものである。無線処理部33には、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、変復調回路、RF回路などが使用される。
【0070】
制御部34は、無線通信IC31内における動作を統括的に制御するものである。制御部34は、論理演算回路、レジスタなどを備え、コンピュータとして機能する。そして、動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、例えばメモリ部35のROM(Read Only Memory)などにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよいし、RFIDリーダ/ライタ1からアンテナ部30および無線処理部33を介して上記プログラムをダウンロードしてメモリ部35にインストールして実行する形態であってもよい。
【0071】
また、制御部34は、RFIDリーダ/ライタ1からアンテナ部30および無線処理部33を介して受信したデータに基づいて、RFIDリーダ/ライタ1からのデータをメモリ部35に記憶したり、メモリ部35に記憶されたデータを読み出して、無線処理部33およびアンテナ部30を介してRFIDリーダ/ライタ1に送信したりする。
【0072】
メモリ部35は、上記したROMや、SRAM(Static RAM)、FeRAM(強誘電体メモリ)などの半導体メモリによって構成される。このメモリ部35に記憶される内容としては、上記した制御プログラム、およびその他各種のプログラム、ならびに各種データが挙げられる。なお、無線通信IC31は、RFIDリーダ/ライタ1から送信される電波を電力源としているため、ROMなどの不揮発性メモリや、SRAM、FeRAMなどの消費電力の少ないメモリを利用することが望ましい。
【0073】
以上のように、本実施の形態では、RFIDリーダ/ライタ1に2つのアンテナ160、170を備え、一方のアンテナから送信される電波の位相を他方のアンテナから送信される電波の位相と周期的に異ならせることにより、RFIDリーダ/ライタ1の通信領域内であるにもかかわらず、RFIDタグ3と通信できない通信不能領域領域(ヌルポイント)を周期的に移動させ、通信不能領域に存在するRFIDタグ3との通信を可能とするものである。
【0074】
なお、上述した実施の形態では、アンテナ170から送信される電波の位相のみを変更したが、アンテナ160から送信される電波とアンテナ170から送信される電波との位相が異なればよく、双方の電波の位相を変更するものであってもよい。
【0075】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
本実施の形態に係るRFIDリーダ/ライタ1は、上記実施の形態1に記載したRFIDリーダ/ライタ1に対し、さらに、制御部10に受信レベル判定部(受信レベル判定手段)20を備えるものである。
【0077】
受信レベル判定部20は、アンテナ部16が受信した電波の受信レベルを判定し、受信レベルが閾値以上であれば、RFIDタグ3から信号を的確に受信できていると判定し、そのとき送信している電波の位相を固定するように、位相制御部18へ指示を送るものである。
【0078】
これにより、RFIDリーダ/ライタ1の通信領域内に存在しているRFIDタグ3との通信が可能となる位相に、アンテナ170から送信される電波の位相を固定することができる。
【0079】
なお、RFIDタグ3が複数存在する場合は、全てのRFIDタグ3から受信した電波の受信レベルが閾値以上のときに、位相を固定すればよい。
【0080】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1および2において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
本実施の形態では、RFIDリーダ/ライタ1が、壁に囲まれた空間に設置されている場合に、アンテナ170がアンテナ160と対向する位置に存在する壁の、アンテナ160から送信される電波の進行方向と壁とが直角となる位置に配置されている。
【0082】
これにより、アンテナ160から送信される電波が壁に反射することにより発生する反射波と干渉することにより発生する通信不能領域を狭めることができる。図7を用いて説明する。図7(b)に示すように、アンテナ160から送信された電波が壁703に向かい壁703によって反射し、反射波702が存在すると、送信波701と反射波702とによって定在波が発生し、当該定在波の節の部分が通信不能領域となってしまう。
【0083】
ここで、アンテナ170を、アンテナ160から送信される電波の進行方向と壁とが直角となる位置である位置704に設置すれば、アンテナ160から壁703に送信波701が進む方向にあたる領域の電場を変更することができる。よって、アンテナ160が1本備えられた構成であれば、アンテナ160から壁703に送信波701が進む方向にあたる領域に存在する通信不能領域が固定してしまうところ、位置704にアンテナ170を設置することで、当該通信不能領域の位置を変更することができる。
【0084】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
(ソフトウェアによる構成)
最後に、RFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3の各ブロック、特にRFIDリーダ/ライタ1の制御部10(位相制御部18、減衰幅制御部19、受信レベル判定部20)およびRFIDタグ3の制御部34は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現していてもよいし、CPU(central processing unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0086】
後者の場合、RFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるRFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記のRFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0087】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0088】
また、RFIDリーダ/ライタ1およびRFIDタグ3を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(high data rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
RFIDリーダ/ライタの通信不能領域を変更することができるので、固定された位置に配置されているRFIDタグと通信を行う必要があるRFIDリーダ/ライタに好適である。
【符号の説明】
【0090】
1 RFIDリーダ/ライタ(タグ通信装置)
3 RFIDタグ
10 制御部
11 記憶部
12 無線処理部
13 分配部
14 位相調整部
15 減衰部
16 アンテナ部
17 アンテナ部
18 位相制御部(信号変更手段、位相変更手段)
19 減衰幅制御部(信号変更手段、振幅変更手段)
20 受信レベル判定部(受信レベル判定手段)
21 外部I/F部
160 アンテナ(第2アンテナ)
170 アンテナ(第1アンテナ)
704 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を介してRFIDタグと無線通信を行うタグ通信装置であって、
送信信号を含む電波を分配する分配部と、
上記分配部で分配された電波のうちの一方に対し、位相または振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更手段と、
上記信号変更手段によって変更された電波を送信する第1アンテナと、
上記分配部で分配された電波のうちの他方を送信する第2アンテナと、を備えていることを特徴とするタグ通信装置。
【請求項2】
上記信号変更手段は、上記分配部で分配された電波の双方に対し、位相または振幅の少なくともいずれか一方を、上記分配部で分配されたそれぞれの電波で異なるように、所定のタイミングで変更することを特徴とする請求項1に記載のタグ通信装置。
【請求項3】
上記信号変更手段は、電波の位相を変更する位相変更手段と、電波の振幅を変更する振幅変更手段とを備え、
上記振幅変更手段は、上記位相変更手段によって位相を変更された電波の振幅を変更し、上記第1アンテナは、上記振幅変更手段によって振幅が変更された電波を送信することを特徴とする請求項1または2に記載のタグ通信装置。
【請求項4】
上記所定のタイミングは、自装置から上記RFIDタグにコマンドを送信し、応答信号を受信すべき時間の終了時点であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタグ通信装置。
【請求項5】
上記RFIDタグから受信した電波の受信レベルが閾値を超えているか否かを判定する受信レベル判定手段を備え、
上記位相変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの位相で固定し、
上記振幅変更手段は、上記受信レベル判定手段が電波の受信レベルが閾値を超えていると判定したとき、そのときの振幅で固定することを特徴とする請求項3または4に記載のタグ通信装置。
【請求項6】
上記第1アンテナは、上記第2アンテナと対向する位置に存在する壁の、該第2アンテナから送信される電波の進行方向と壁とが直角となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のタグ通信装置。
【請求項7】
電波を介してRFIDタグと無線通信を行うととともに、該電波を送信するアンテナを2本備えたタグ通信装置の電波送信方法であって、
送信信号を含む電波を分配する分配ステップと、
上記分配ステップで分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更ステップと、
上記信号変更ステップによって変更された電波を上記2本のアンテナのうちの一方で送信する第1送信ステップと、
上記分配ステップで分配された電波のうちの他方を、上記2本のアンテナのうちの他方で送信する第2送信ステップと、を含むことを特徴とするタグ通信装置の電波送信方法。
【請求項8】
電波を介してRFIDタグと無線通信を行うととともに、該電波を送信するアンテナを2本備えたタグ通信装置を動作させるための電波送信プログラムであって、
送信信号を含む電波を分配する分配ステップと、
上記分配ステップで分配された電波のうちの一方に対し、位相および振幅の少なくともいずれか一方を所定のタイミングで変更する信号変更ステップと、
上記信号変更ステップによって変更された電波を上記2本のアンテナのうちの一方で送信する第1送信ステップと、
上記分配ステップで分配された電波のうちの他方を、上記2本のアンテナのうちの他方で送信する第2送信ステップと、をコンピュータに実行させるためのタグ通信装置の電波送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−193298(P2011−193298A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58546(P2010−58546)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】