説明

タックラベラー

【課題】貼着しようとするタックラベルがICラベルであっても、内蔵されたICタグが損傷を受けにくい、ICラベル等のラベリングに適したタックラベラーを提供する。
【解決手段】ラベル供給ロールLRからラベル供給用帯状体LBを繰り出して送出する帯状体送出部3は、ラベル供給用帯状体LBにおける離型紙SPの裏面側を外周面に吸引保持する吸引ドラム10を回転させることによってラベル供給用帯状体LBを送出する。ラベル貼着部5は、ピールチャンバ21、ガイドローラ22及びニップローラ23によって、ラベル供給用帯状体LBを急角度で方向転換させながら引っ張ることで、離型紙SPからICラベルILを剥離して被貼着体に貼着するようになっており、ピールチャンバ21は、その側面部分を摺動するラベル供給用帯状体LBを吸着させることによって、送出中のラベル供給用帯状体LBにブレーキをかけるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺帯状の離型紙に複数のタックラベルが貼着されたラベル供給用帯状体を送出しながら、離型紙からタックラベルを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラー、特に、ICタグ等が内蔵されているタックラベルを貼着する場合に適したタックラベラーに関する。
【背景技術】
【0002】
瓶容器等にタックラベルを貼着するタックラベラーとしては、図4に示すようなものがある。このタックラベラー50は、同図に示すように、長尺帯状の離型紙SPに多数のタックラベルが一定間隔をあけて貼着されたラベル供給用帯状体LBをロール状に巻回してなるラベル供給ロールLRをセットするロールセット部Aと、このロールセット部Aにセットされたラベル供給ロールLRから、ラベル供給用帯状体LBを繰り出して送出する帯状体送出部Bと、この帯状体送出部Bによって送出されたラベル供給用帯状体LBを蓄える帯状体蓄積部Cと、この帯状体蓄積部Cから送り出されたラベル供給用帯状体LBを、ピールプレート52を介して、急角度で方向転換させながら引っ張ることによって、離型紙SPからタックラベルを剥離して被貼着体に貼着するラベル貼着部Dと、タックラベルが剥離された離型紙SPを巻回することによって回収する離型紙回収部Eとを備えており、帯状体蓄積部Cとラベル貼着部Dとの間には、ラベル貼着部Dによって断続的に引っ張られるラベル供給用帯状体LBが、タックラベルを剥離するピールプレート52部分で弛まないように、ピールプレート52の上流側でラベル供給用帯状体LBにブレーキをかけるブレーキ付与部Fが設けられている。
【0003】
前記帯状体送出部Bは、駆動ローラ51aと、この駆動ローラ51aの外周面にラベル供給用帯状体LBを、その全幅にわたって押し付ける押圧ローラ51bとからなるニップローラ51を備えており、帯状体蓄積部Cに所定量のラベル供給用帯状体LBが蓄積されるように、駆動ローラ51aの回転が制御されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−59113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、商品に貼着されるタックラベルに、商品の生産工場、生産日時及びロット番号等の商品情報を格納したICタグが内蔵されたICラベルと呼ばれるものが開発されており、こういったICラベルを商品に貼着する際は、通常のタックラベルと同様に、上述したようなタックラベラーを使用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、通常のタックラベラー50は、上述したように、帯状体送出部Bにおいて、ラベル供給用帯状体LBをラベル供給ロールLRから繰り出して送出する際、押圧ローラ51bによって、ラベル供給用帯状体LBを駆動ローラ51aの外周面に押圧するようになっているので、こういった通常のタックラベラー50を用いてICラベルの貼着作業を行うと、ラベル供給用帯状体LBが帯状体送出部Bを通過する際に、離型紙SPに貼着されたICラベルが押圧され、内蔵されているICタグが損傷を受けるおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、貼着しようとするタックラベルがICラベルであっても、内蔵されたICタグが損傷を受けにくい、ICラベル等のラベリングに適したタックラベラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、長尺帯状の離型紙に複数のタックラベルが貼着されたラベル供給用帯状体を送出しながら、離型紙からタックラベルを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラーにおいて、ラベル供給用帯状体におけるタックラベルが貼着されていない離型紙の裏面側を吸引ドラムの外周面に吸引保持した状態で、その吸引ドラムを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたのである。
【0009】
また、請求項2にかかる発明は、長尺帯状の離型紙に複数のタックラベルが貼着されたラベル供給用帯状体を送出しながら、離型紙からタックラベルを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラーにおいて、ラベル供給用帯状体の幅方向におけるタックラベルの外側の離型紙部分をニップローラによって挟み込んだ状態で、そのニップローラを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたのである。
【0010】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明のタックラベラーにおいて、ラベル供給用帯状体の裏面側を吸引するブレーキ手段を設け、このブレーキ手段によって、送出中のラベル供給用帯状体にブレーキをかけるようにしたのである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1にかかる発明のタックラベラーでは、ラベル供給用帯状体におけるタックラベルが貼着されていない離型紙の裏面側を吸引ドラムの外周面に吸引保持した状態で、その吸引ドラムを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたので、ラベル供給用帯状体の全幅をニップローラによって挟み込み、そのニップローラを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出している従来のタックラベラーのように、離型紙に貼着されたタックラベルが押圧されることがない。従って、離型紙に貼着されたタックラベルがICラベルであっても、内蔵されたICタグが損傷を受けにくく、ICラベルの性能を維持した状態でラベリング作業を行うことができる。
【0012】
また、請求項2にかかる発明のタックラベラーでは、ラベル供給用帯状体の幅方向におけるタックラベルの外側の離型紙部分をニップローラによって挟み込んだ状態で、そのニップローラを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたので、離型紙に貼着されたタックラベルが押圧されることがなく、離型紙に貼着されたタックラベルがICラベルであっても、ICラベルの性能を維持した状態でラベリング作業を行うことができる。
【0013】
また、従来のタックラベラーにおけるブレーキ付与部には、ラベル供給用帯状体が摺動する受け部材と、この受け部材にラベル供給用帯状体を押さえ付ける板バネが取り付けられた押圧部材とからなるブレーキ手段を設ける場合があり、こういったブレーキ手段が搭載されたタックラベラーでは、離型紙に貼着されたタックラベルがICラベルの場合、ラベル供給用帯状体がブレーキ付与部を通過する際に、離型紙に貼着されたICラベルが押圧され、内蔵されているICタグが損傷を受けるおそれがあるが、請求項3にかかる発明のタックラベラーでは、ラベル供給用帯状体の裏面側を吸引するブレーキ手段によって、送出中のラベル供給用帯状体にブレーキをかけるようにしたので、ブレーキ手段によってタックラベル自体が押圧されることがなく、離型紙に貼着されたタックラベルがICラベルであっても、ICラベルの性能を維持した状態でラベリング作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、長尺帯状の離型紙SPに多数のICラベルILが一定間隔をあけて貼着されたラベル供給用帯状体LBをロール状に巻回してなるラベル供給ロールLRから、ラベル供給用帯状体LBを繰り出しながら、離型紙SPからICラベルILを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラー1を示している。
【0015】
前記タックラベラー1は、同図に示すように、ラベル供給ロールLRをセットするロールセット部2と、このロールセット部2にセットされたラベル供給ロールLRから、ラベル供給用帯状体LBを繰り出して送出する帯状体送出部3と、この帯状体送出部3によって送出されたラベル供給用帯状体LBを蓄えるエアダンサ装置31が設置された帯状体蓄積部4と、この帯状体蓄積部4から送り出されたラベル供給用帯状体LBを急角度で方向転換させながら引っ張ることによって、離型紙SPからICラベルILを剥離して被貼着体に貼着するラベル貼着部5と、ICラベルILが剥離された離型紙SPを巻回することによって回収する離型紙回収部6とを備えており、ラベル貼着部5には、離型紙SPからICラベルILを剥離して被貼着体に貼着する直前位置に、ICラベルILの性能を検査する検査装置32が設置されている。
【0016】
前記帯状体送出部3は、図1に示すように、ラベル供給用帯状体LBがロールセット部2にセットされたラベル供給ロールLRから引き出され、ガイドローラ33によって案内されるラベル供給用帯状体LBにおけるICラベルILが貼着されていない離型紙SPの裏面側を外周面に吸引保持する吸引ドラム10を備えており、この吸引ドラム10を回転させることによって、ラベル供給用帯状体LBがラベル供給ロールLRから繰り出され、帯状体蓄積部4のエアダンサ装置31に送出されるようになっている。
【0017】
前記吸引ドラム10は、図2(a)、(b)に示すように、図示しない駆動モータによって回転駆動される回転ドラム本体11と、この回転ドラム本体11に嵌合した状態で固定設置された内部チャンバー12とを備えており、内部チャンバー12は、その天面に設けられた接続タッピング12aに接続された吸引パイプ35によって、吸引ブロア34に接続されている(図1参照)。
【0018】
前記回転ドラム本体11には、その外周面に多数の吸引穴11aが形成されており、回転ドラム本体11の外周面とラベル供給用帯状体LBとの接触位置において、回転ドラム本体11の外周面に形成された吸引穴11aが内部チャンバー12内に連通するように、内部チャンバー12の外周面には、回転ドラム本体11の外周面とラベル供給用帯状体LBとの接触位置に対応する部分に開口部12bが形成されている。
【0019】
従って、回転ドラム本体11の外周面に接触したラベル供給用帯状体LBは、回転ドラム本体11の外周面に吸引保持されることになり、回転ドラム本体11が回転することによって、回転ドラム本体11の回転方向にラベル供給用帯状体LBが送出されることになる。
【0020】
なお、吸引ドラム10は、帯状体蓄積部4に所定量のラベル供給用帯状体LBが蓄積されるように、吸引ドラム10によるラベル供給用帯状体LBの送出量、即ち、回転ドラム本体11の回転数が制御されるようになっている。
【0021】
前記ラベル貼着部5は、図1に示すように、帯状体蓄積部4から送り出されたラベル供給用帯状体LBを、急角度で方向転換させる平面三角形状のピールチャンバ21及びガイドローラ22と、ピールチャンバ21部分で方向転換したラベル供給用帯状体LBを断続的に引っ張る一対のニップローラ23とを備えており、ラベル供給用帯状体LBを急角度で方向転換させながら引っ張ることによって、離型紙SPだけが方向転換し、これに伴って、離型紙SPからICラベルILが剥離されるようになっている。
【0022】
前記ピールチャンバ21は、帯状体蓄積部4から送り出されたラベル供給用帯状体LBにおけるICラベルILが貼着されていない離型紙SPの裏面側が摺動する側面部分に多数の吸引穴が形成されており、図1に示すように、そのピールチャンバ21の天面部分が吸引パイプ36を介して、吸引ブロア34に接続されている(図1参照)。
【0023】
従って、帯状体蓄積部4から送出されたラベル供給用帯状体LBは、ピールチャンバ21の側面部分に離型紙SPの裏面側が吸着され、これに伴って、摺動抵抗が大きくなり、送出中のラベル供給用帯状体LBにブレーキがかかることになるので、ニップローラ23がラベル供給用帯状体LBの引張動作を停止する際の反動で、ラベル供給用帯状体LBを方向転換させているピールチャンバ21の角部において、ラベル供給用帯状体LBが弛まないようになっている。
【0024】
以上のように、このタックラベラー1では、ラベル供給用帯状体LBにおけるICラベルILが貼着されていない離型紙SPの裏面側を吸引ドラム10の外周面に吸引保持した状態で、その吸引ドラム10を回転させることによって、ラベル供給用帯状体LBをラベル供給ロールLRから繰り出して送出すると共に、ラベル供給用帯状体LBにおけるICラベルILが貼着されていない離型紙SPの裏面側をピールチャンバ21の側面部分に吸着させることによって、送出中のラベル供給用帯状体LBにブレーキをかけるようにしたので、ラベル供給用帯状体の全幅をニップローラによって挟み込み、そのニップローラを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出したり、板バネが取り付けられた押圧部材によって、ラベル供給用帯状体を受け部材に押さえ付けることで、送出中のラベル供給用帯状体にブレーキをかけるようにした従来のタックラベラーのように、ラベル供給用帯状体LBを送出する際や送出中のラベル供給用帯状体LBにブレーキをかける際に、ICラベルILが押圧されることがない。
【0025】
従って、このタックラベラー1では、ラベル供給用帯状体LBをラベル供給ロールLRから繰り出し、ラベル供給用帯状体LBからICラベルILを剥離して被貼着体に貼着するまでの間で、ICラベルILに内蔵されているICタグが損傷を受けにくく、ICラベルILの性能を維持した状態で確実にラベリング作業を行うことができる。
【0026】
なお、上述した実施形態では、離型紙SPに貼着されているICラベルILが押圧されないように、ラベル供給用帯状体LBを外周面に吸引保持する吸引ドラム10を回転させることによって、ラベル供給用帯状体LBをラベル供給ロールLRから繰り出して送出するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図3(a)〜(c)に示すように、ラベル供給用帯状体LBの幅方向におけるICラベルILの外側の離型紙部分を、2組のニップローラ10A、10Aによって挟み込んだ状態で、そのニップローラ10A、10Aを回転させることによって、ラベル供給用帯状体LBを送出するようにしてもよい。
【0027】
また、上述した実施形態では、従来のタックラベラーで使用しているピールプレートに代えて、ブレーキ手段の機能を兼ね備えたピールチャンバ21を使用しているが、これに限定されるものではなく、従来のタックラベラーと同様に、ピールプレートを使用すると共に、ラベル供給用帯状体が摺動する受け部材と、この受け部材にラベル供給用帯状体を押さえ付ける板バネが取り付けられた押圧部材とからなるブレーキ手段に代えて、ラベル供給用帯状体の摺動面に多数の吸引穴を形成した吸引チャンバーを、ブレーキ手段として、別途設置することも可能である。
【0028】
また、上述した実施形態では、離型紙SPにICラベルILが貼着されたラベル供給用帯状体LBを送出しながら、離型紙SPからICラベルILを剥離して被貼着体に貼着するタックラベラー1について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明のタックラベラーは、ICタグが内蔵されていない通常のタックラベルのラベリングにも使用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明にかかるタックラベラーの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】(a)は同上のタックラベラーの帯状体送出部に設置されている吸引ドラムを示す横断面図、(b)は同上の吸引ドラムを示す縦断面図である。
【図3】(a)は他の実施形態であるタックラベラーの帯状体送出部を示す平面図、(b)は同上の帯状体送出部を示す正面図、(c)は同上の帯状体送出部を示す側面図である。
【図4】従来のタックラベラーを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0030】
1 タックラベラー
2 ロールセット部
3 帯状体送出部
4 帯状体蓄積部
5 ラベル貼着部
6 離型紙回収部
10 吸引ドラム
10A ニップローラ
11 回転ドラム本体
11a 吸引穴
12 内部チャンバー
12a 接続タッピング
12b 開口部
21 ピールチャンバー(ブレーキ手段)
22 ガイドローラ
23 ニップローラ
31 エアダンサ装置
32 検査装置
33 ガイドローラ
34 吸引ブロア
35、36 吸引パイプ
IL ICラベル(タックラベル)
LB ラベル供給用帯状体
LR ラベル供給ロール
SP 離型紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の離型紙に複数のタックラベルが貼着されたラベル供給用帯状体を送出しながら、離型紙からタックラベルを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラーにおいて、
ラベル供給用帯状体におけるタックラベルが貼着されていない離型紙の裏面側を吸引ドラムの外周面に吸引保持した状態で、その吸引ドラムを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたことを特徴とするタックラベラー。
【請求項2】
長尺帯状の離型紙に複数のタックラベルが貼着されたラベル供給用帯状体を送出しながら、離型紙からタックラベルを順次剥離して、被貼着体に貼着するタックラベラーにおいて、
ラベル供給用帯状体の幅方向におけるタックラベルの外側の離型紙部分をニップローラによって挟み込んだ状態で、そのニップローラを回転させることによって、ラベル供給用帯状体を送出するようにしたことを特徴とするタックラベラー。
【請求項3】
ラベル供給用帯状体の裏面側を吸引するブレーキ手段を設け、
このブレーキ手段によって、送出中のラベル供給用帯状体にブレーキをかけるようにした請求項1または2に記載のタックラベラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−117283(P2006−117283A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307571(P2004−307571)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】