タッチセンサ機能付き液晶パネル
【課題】押圧検出が可能なタッチセンサ機能付き液晶パネルを提供する。
【解決手段】対向する一対の基板31,32間に、一方の基板の変位によって信号を出力する複数の変位検出部30が設けられている。変位ポイント検出部3は、複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での一方の基板の変位の有無を二値的に検出し、座標検出部4は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部によって一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して押圧の位置情報を導出し、変位ポイント数カウント部5は、複数の変位検出部のうち変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数え、押圧導出部6は、変位ポイント数カウント部が数えた変位検出部の数に基づいて押圧の強さ情報を導出する。
【解決手段】対向する一対の基板31,32間に、一方の基板の変位によって信号を出力する複数の変位検出部30が設けられている。変位ポイント検出部3は、複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での一方の基板の変位の有無を二値的に検出し、座標検出部4は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部によって一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して押圧の位置情報を導出し、変位ポイント数カウント部5は、複数の変位検出部のうち変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数え、押圧導出部6は、変位ポイント数カウント部が数えた変位検出部の数に基づいて押圧の強さ情報を導出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ機能を備えた液晶パネルに関する。特に、タッチ位置(押圧位置)に加えてタッチ圧(押圧)をも検出するタッチセンサ機能を備えた液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示面にタッチセンサ機能を付与することで、情報入力装置としても使用可能な画像表示装置が実用化されている。このような画像表示装置では、一般に、使用者が指やタッチペン等で触れた画像表示面上の位置(タッチ位置)を検出する。
【0003】
近年、タッチ位置に加えて、押圧の強さを検出し、押圧の強さに応じて異なる指示を与えることができるタッチセンサ機能を有するタッチパネルを、液晶パネル等の画像表示装置上に搭載した情報入力装置が提案されている(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0004】
上記とは異なり、液晶パネル内にタッチセンサ機能を実現するための検出素子を組み込んだタッチセンサ機能付き液晶パネルが知られている。このような液晶パネルとしては、検出方式の違いにより、インセル型マイクロスイッチ方式(以下、単に「マイクロスイッチ方式」という)や液晶容量方式が知られている。
【0005】
マイクロスイッチ方式では、液晶セル内に設けたスイッチ電極が、荷重を加えた際に、接触導通するのを検出する。特許文献4には、押圧を検出可能なマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルが記載されている。図15を用いて、特許文献4に記載されたマイクロスイッチ方式において押圧を検出する原理を説明する。
【0006】
液晶901に電圧を印加する画素電極や、画素電極に接続された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等が形成されたTFT基板902と、対向電極が形成された対向基板903とが、スペーサ904によって一定距離を隔てて対向している。TFT基板902には、高さが異なる第1突電極905a、第2突電極905b、第3突電極905cが形成されている。指906又はタッチペン907で対向基板903の表面を押圧すると、対向基板903が撓み、対向基板903とTFT基板902との間隔が狭くなる。押圧の強さに応じて対向基板903の撓み量が変化する。押圧が弱いときには、対向基板903の対向電極は最も高い第1突電極905aのみに接触し、押圧が強くなるにしたがって、第2突電極905b、更に第3突電極905cにも接触するようになる。このように対向電極が接触する突電極の種類の変化により押圧を検出できる。
【0007】
液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルが特許文献5に記載されており、その検出原理を図16A、図16Bを用いて説明する。液晶911を挟む一対の基板912,913に互いに対向するように一対の電極を形成して、液晶セル内に静電容量を形成する。図16Bに示すように、表示面側の基板912が押圧されると、基板912,913の間隔が狭まり、静電容量が変化する。静電容量の変化を薄膜トランジスタを利用して電流値の変化に変換し、積分回路で所定期間内の電流値を積分して検出電圧として出力させる。押圧の強さに応じて静電容量が変化するので、検出電圧も変化する。従って、検出電圧の強さを検出することにより、押圧を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−203044号公報
【特許文献2】特開2007−236008号公報
【特許文献3】特開2008−276369号公報
【特許文献4】特開2007−58070号公報
【特許文献5】特開2008−58925号公報
【特許文献6】特開2006−133788号公報
【特許文献7】特開2008−65302号公報
【特許文献8】特開2007−128514号公報
【特許文献9】特開2007−48275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、押圧検出が可能な上記の従来のタッチセンサ機能付き液晶パネルは以下の問題を有している。
【0010】
図15に示した従来のマイクロスイッチ方式では、押圧検出の感度調節を行うためには、突電極905a,905b,905cの高さを変える必要がある。そのためには、突電極の製造条件を変える必要があり、突電極の製造工程で使用するマスクを新たに作ったり、フォトリソグラフィーにおける露光条件を変えたりするなどの手間がかかり、コストが増大する。従って、このタッチセンサ機能付き液晶パネルのユーザーごとに、または使用シーンに応じて感度調節することが難しい。
【0011】
突電極905a,905b,905cの高さの寸法精度が押圧検出の感度に直接影響を及ぼす。従って、突電極の製造において不可避的に発生する寸法バラツキによって、押圧検出感度が製品ごとに異なることは避けられない。
【0012】
更に、押圧検出の分解能を高めるためには、高さが異なる突電極の種類数を増やす必要があり、そのためには、製造において寸法バラツキを極めて小さく制御する必要がある。ところが、実際に製造可能な突電極の種類数には限界があり、従って押圧検出の分解能にも限界がある。
【0013】
一方、図16に示した従来の液晶容量方式で出力される検出電圧は、押圧の強さに応じて変化するアナログ量である。従って、検出電圧は、ノイズの影響を受けやすい。ノイズの影響を受けて検出電圧が変化すると、押圧を正確に検出することができない。
【0014】
本発明は、上記の従来の問題が解決された、押圧検出が可能なタッチセンサ機能付き液晶パネルを提供することを目的とする。即ち、本発明の目的は、押圧検出の感度を、製造工程を変更することなく調節可能にすることにある。本発明の別の目的は、製造上不可避的に発生する寸法バラツキを補正することにある。本発明の更に別の目的は、押圧検出の分解能を、容易に高めることを可能にすることにある。本発明の更に別の目的は、ノイズの影響を受けにくい押圧検出を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルは、対向する一対の基板、及び前記一対の基板間に設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板が押圧されて変位することによって信号を出力する複数の変位検出部を備えたタッチパネルと、前記複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、前記複数の変位検出部のそれぞれの位置での前記一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部と、前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって前記一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して、前記押圧の位置に関する情報を導き出す座標検出部と、前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、押圧位置に加えて押圧の強さの検出が可能なタッチセンサ機能付き液晶パネルを提供することができる。
【0017】
しかも、変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、変位ポイント数カウント部が数えた変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部とを備えるので、押圧検出の感度を製造工程を変更することなく調節することができ、製造上不可避的に発生する寸法バラツキを補正することができ、更に、押圧検出の分解能を容易に高めることができる。
【0018】
また、複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部を備えるので、押圧検出に対するノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【図2】図2Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、マイクロスイッチ方式の変位検出部を備えた画素の回路図である。図2Bは、図2Aの変位検出部の概略構成を示した断面図である。
【図3】図3Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、変位検出部からの出力信号を処理する変位ポイント検出部のブロック図である。図3Bは、そのタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルを構成する対向基板の断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルをタッチペンで押圧試験を行っている様子を示した側面図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンによる押圧無しのときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.0の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6C】図6Cは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.2の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6D】図6Dは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.4の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6E】図6Eは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.8の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6F】図6Fは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで2.7の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6G】図6Gは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで4.5の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図7】図7A及び図7Bは、押圧の強さによって変位エリアの大きさが変化する様子を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図9】図9は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図10】図10は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図11】図11A及び図11Bは、指の大きさによって変位ポイント(変位エリアの大きさ)が変化する様子を説明する断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態4に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【図13】図13Aは細い指が最初にタッチ面を軽く触れたときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図であり、図13Bは続いて細い指がタッチ面を強く押し込んだときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図である。
【図14】図14Aは太い指が最初にタッチ面を軽く触れたときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図であり、図14Bは続いて太い指がタッチ面を強く押し込んだときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図である。
【図15】図15は、従来のマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、押圧を検出する原理を説明する断面図である。
【図16】図16Aは従来の液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルの概略構成を示した断面図、図16Bは従来の液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、押圧を検出する原理を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極を備え、前記一方の基板が変位することによって前記一対の電極が接触して前記信号を出力することが好ましい。これにより、マイクロスイッチ方式の変位検出部を構成することができる。
【0021】
あるいは、前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極によって構成される静電容量を備え、前記一方の基板が変位することによって生じる前記静電容量の変化に応じた信号を出力しても良い。これにより、液晶容量方式の変位検出部を構成することができる。
【0022】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出され変位検出部の全数を数えても良い。これにより、より正確に押圧検出を行うことができる。
【0023】
あるいは、前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部によって構成される変位エリアの、前記複数の変位検出部が配列された直交する2方向のうちの一方に沿った最大幅を構成する変位検出部の数を数えても良い。これにより、変位検出部の数のカウント時間やその後の演算時間を短縮化することができる。
【0024】
前記押圧導出部は、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧との関係と比較して、前記押圧の強さに関する情報を導き出すことが好ましい。変位有りと検出された変位検出部の数と押圧とは相関関係を有するので、正確且つ迅速な押圧検出が可能になる。
【0025】
あるいは、前記押圧導出部は、押圧動作の初期において前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を記憶する記憶部と、押圧動作中に前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、前記記憶部に記憶された前記変位検出部の数と比較演算する比較演算部とを備えても良い。これにより、例えば指の大きさによる押圧検出の違いを少なくすることができる。
【0026】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【0028】
本実施形態1のタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部は、タッチパネル2、変位ポイント検出部3、座標検出部4、変位ポイント数カウント部5、押圧導出部6を備える。
【0029】
タッチパネル2は、対向する一対の基板と、この一対の基板間に設けられた複数の変位検出部とを備える。
【0030】
一対の基板としては、例えば液晶パネルを構成する、液晶を挟持する一対の透光性基板を用いることができる。
【0031】
複数の変位検出部は、一対の基板のうちの一方の基板(タッチ基板)の表面(タッチ面、通常は画像表示面である。)が押圧されたとき、その押圧によって生じる当該タッチ基板の変位(即ち、一対の基板の間隔の変化)に応じた信号を出力する。変位検出部は、タッチパネル2のタッチ面と平行な面内に離散的に、好ましくは格子点状に配置される。例えば、液晶パネルの赤・緑・青の各色の絵素ごとに1つの変位検出部を設けてもよいし、赤・緑・青の3絵素によって構成される画素(カラー画素)ごとに1つの変位検出部を設けてもよいし、複数の画素ごとに1つの変位検出部を設けてもよい。
【0032】
変位検出部の具体的構成は、特に制限はなく、例えばマイクロスイッチ方式や液晶容量方式を用いることができる。
【0033】
マイクロスイッチ方式は、一対の基板の対向面にそれぞれ形成した一対の電極(マイクロスイッチ)が、押圧によって接触導通するのを検出する方式である。本発明では、マイクロスイッチ方式の具体的構成に制限はなく、例えば公知のマイクロスイッチ方式(例えば、特許文献6,7参照)を用いることができる。
【0034】
液晶容量方式は、一対の基板の対向面に液層を挟んで対向して形成した一対の電極によって構成される静電容量が、押圧によって一対の電極間隔が狭まることによって変化するのを検出する方式である。本発明では、液晶容量方式の具体的構成に制限はなく、例えば公知の液晶容量方式(例えば、特許文献5,8,9参照)を用いることができる。
【0035】
変位ポイント検出部3は、上記の複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での上記タッチ基板の変位(即ち、一対の基板の間隔の変化)の有無を二値的に検出する。例えば、変位検出部に接続された検出ラインの電圧をコンパレータで設定した基準値(閾値)と比較して二値化する。例えば、変位検出部から閾値より大きな出力電圧が得られた場合にはタッチ基板の変位有り(タッチ有り)と判断し、そうでない場合にはタッチ基板の変位無し(タッチ無し)と判断する。これを複数の変位検出部のそれぞれに対して行う。
【0036】
座標検出部4は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部3がタッチ基板の変位有りと検出した変位検出部の座標を検出して、押圧の位置に関する情報(位置情報)7を導き出す。押圧位置情報7の導出方法も、特に制限はなく、例えば公知の方法を用いることができる。
【0037】
上記のタッチパネル2、変位ポイント検出部3、座標検出部4は、従来より公知のタッチパネルと同様に構成することができる。本発明では、更に変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6を備える点に特徴を有する。
【0038】
変位ポイント数カウント部5は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部3によってタッチ基板の変位有りと検出された変位検出部の数を数えて出力する。
【0039】
押圧導出部6は、変位ポイント数カウント部5が数えた変位検出部の数に基づいて、押圧の強さに関する情報(強さ情報)8を導き出す。例えば、タッチ基板の変位有りと検出された変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧の強さとの関係と比較して、押圧の強さに関する情報8を導出する、これによって、タッチ位置に加えて、押圧をも検出することができるタッチセンサ機能を実現することができる。
【0040】
以下に、各部をより詳細に説明する。
【0041】
最初に、タッチパネル2に形成される複数の変位検出部を説明する。
【0042】
図2Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、マイクロスイッチ方式の変位検出部を備えた画素の回路図である。図2Bは、図2Aの変位検出部の概略構成を示した断面図である。
【0043】
図2Aに示すように、液晶パネルのTFT基板31(後述する図2B参照)上に、表示データが印加される、Y軸と平行なソースライン11と、順次走査を行うための、X軸と平行なゲートライン12とがマトリックス状に形成されている。ソースライン11とゲートライン12とが交差する位置に、絵素電極13が接続された画素駆動用の薄膜トランジスタ(以下、画素駆動用TFT(Thin Film Transistor)という)14が形成されている。以上の構成は、特に制限はなく、例えば公知の液晶パネルと同じであってもよい。
【0044】
本実施形態では、更に、TFT基板31上に、Y軸と平行な検出ライン21と、X軸と平行なスキャンライン22が形成され、検出ライン21とスキャンライン22とが交差する位置に、変位検出用の薄膜トランジスタ(以下、検出用TFT(Thin Film Transistor)という)23と接触パッド24とが形成されている。検出用TFT23のゲート電極はスキャンライン22に接続され、検出用TFT23のソース電極は接触パッド24に接続され、検出用TFT23のドレイン電極は検出ライン21に接続されている。
【0045】
図2Bは、接触パッド24を通る面に沿った液晶パネルの断面図である。TFT基板31とタッチ基板としての対向基板32とが液晶33を挟んで対向している。TFT基板31の対向基板32と対向する側の面には接触パッド24が形成され、対向基板32上の接触パッド24が対向する位置には凸部25が形成されている。TFT基板31上の多数の絵素電極13がマトリクス状に配列形成された領域と対向する対向基板32の領域には、凸部25を覆うように透明な対向電極34が形成されている。
【0046】
TFT基板31に形成された接触バッド24と、対向基板32に形成された対向電極34とが、マイクロスイッチ方式の変位検出部30を構成する。
【0047】
TFT基板31の対向基板32と対向する側の面には、配向膜が形成されるが、図2Bではそれらの図示を省略している。対向基板32のTFT基板31と対向する側の面には、赤、緑、青の色層(カラーフィルタ)と、これらの色層間の光漏れを防止するブラックマトリックスとを含むカラーフィルタ層や、配向膜が形成されているが、図2Bではそれらの図示を省略している。更に、図示していないが、TFT基板31及び対向基板32を挟むように、一対の偏光フィルムが設けられる。
【0048】
対向基板32のTFT基板31とは反対側の面に、指やタッチペンなどによる押力が加えられると、対向基板32が撓んでその位置が変化し、対向基板32とTFT基板31との間隔が狭まる。そして、対向電極34が接触パッド24に接触すると、対向電極34に印加された対向電圧が接触パッド24に印加される。この接触パッド24に印加された対向電圧を検出ライン21を介して検出することで、当該接触パッド24の位置で、対向基板32が変位したこと、即ち、タッチペンや指等でタッチされたことを検出する。
【0049】
具体的には、複数のスキャンライン22の電位を順次H(High)に切り替える。スキャンライン22に電位Hが与えられると、電位Hが与えられた期間中、当該スキャンライン22に接続された検出用TFT23がオン状態となり、接触パッド24に印加された対向電圧が検出ライン21に出力される。複数の検出ライン21の各出力電圧を検出すれば、電位Hが与えられたスキャンライン22上において対向基板32が変位した位置を検出することができる。複数のスキャンライン22のうち電位Hが与えられるスキャンライン22を順次切り替える(走査する)ことにより、一画面内で対向基板32が変位した位置を検出することができる。
【0050】
図3Aは、TFT基板31に形成された接触バッド24と、対向基板32に形成された対向電極34とから構成される変位検出部30からの出力信号を処理する変位ポイント検出部3のブロック図であり、図3Bは、そのタイミングチャートである。これらを用いて、変位ポイント検出部3の動作を説明する。
【0051】
最初に、リセットスイッチRSTがオンされ、検出ライン21の電位をGNDにリセットする。
【0052】
次いで、スキャンドライバ26があるスキャンライン22に電位Hを印加する。その結果、検出用TFT23がオン状態となる。このとき、この検出用TFT23に接続された変位検出部30の対向電極34と接触パッド24とが接触していると(「接触時」)、対向電極34から印加された対向電位が接触パッド24を通じて検出ライン21に出力される。対向電極34と接触パッド24とが接触していないと(「非接触時」)、検出ライン21の電圧はGNDのままである。
【0053】
次いで、検出スイッチDETがオンされる。コンパレータ35は、検出ライン21の電圧を、予め設定された基準電圧REFと比較する。そして、検出ライン21の電圧が基準電圧REFより高い場合には、対向基板32の変位有りと判断して電圧H(High)を出力し、検出ライン21の電圧が基準電圧REFより低い場合には、対向基板32の変位無しと判断して電圧L(Low)を出力する。
【0054】
以上のようにして、コンパレータ35を含む変位ポイント検出部3は、変位検出部30の位置での対向基板32の変位の有無を二値的に検出する。
【0055】
以下に、図2Bに示した変位検出部30を含むタッチパネル2の製造方法を説明する。なお、以下の製造方法は一例であって、本発明は以下の製造方法に限定されないことはいうまでもない。
【0056】
最初に、図4に示すように凸部25等を含む対向基板32の製造方法の一例を説明する。
【0057】
まず、対向基板32の基材としてのガラス基板40を用意する。ガラス基板40としては、石英ガラス等の透光性を有する基板を用いることができる。
【0058】
このガラス基板40上に親水性樹脂を含有する感光性レジスト層を形成する。そして、この感光性レジスト層をブラックマトリクス用のフォトマスクを介して露光し、その後、現像することにより、ブラックマトリクス用パターンを形成する。次に、ガラス基板40上のブラックマトリクス用パターンを無電解めっき液に接触させることにより、パターン内に金属粒子を析出させて黒化せしめ、ブラックマトリクス41を形成する。ブラックマトリクス41は、後述する赤、緑、青の各色層が形成される開口である光透過部42を有している。更に、隣り合う光透過部42の間に、突部25及び後述するフォトスペーサ48を形成するための略矩形状の領域を有している。
【0059】
次いで、ガラス基板40上の所定領域に赤の顔料が分散された樹脂フィルム(ドライフィルム)を全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、光透過部42内に赤色の色層43(図示せず)を形成する。次に、赤色の色層43に重ねて、緑色の顔料が所定領域に分散された樹脂フィルムを全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、赤色の色層の隣の光透過部42内に緑色の色層44を形成する。同様に、緑色の色層と赤色の色層との間の光透過部42内に青色の色層45を形成する。赤、緑及び青の各色層は、互いにストライプ配列となるように形成する。この際、赤、緑、青のいずれかの色層(本実施形態では青色の色層45)を、ブラックマトリクス41の略矩形状の領域内の所定領域にも形成して、スペーサ台座部46とする。
【0060】
なお、赤、緑、青の各色層の形成方法は、上述した樹脂フィルムをラミネートする方法に限定されず、例えば、顔料が分散された感光性樹脂材料をスピンコート、スリットコート等によりガラス基板32の全面に塗布して形成してもよい。さらに、赤、緑、青の各色層の形成順序は、上記に限定されず、他の順序でもよい。
【0061】
次いで、フォトリソフォトリソグラフィー法を用いて感光性樹脂等からなる突部25をブラックマトリクス41の略矩形状の領域に形成する。
【0062】
次いで、ブラックマトリクス41、色層43,44,44、スペーサ台座部46、突部25上に、ITO(Indium Tin Oxide)を蒸着して透明電極47を形成する。
【0063】
次いで、フォトリソフォトリソグラフィー法を用いて感光性樹脂等からなるフォトスペーサ48をスペーサ台座部46の領域内に透明電極47上に形成する。フォトスペーサ48は、TFT基板31と対向基板32との間隔を一定に維持するためのものである。
【0064】
次いで、ブラックマトリクス41、色層43,44,44、スペーサ台座部46、突部25及びフォトスペーサ48を覆うように配向膜49を形成する。
【0065】
次いで、配向膜49にラビングにより以下の手法により配向処理を施す。まず、ガラス基板40を配向膜49を上に向けてステージ上に固定する。次に、ラビング布等が巻かれた円筒状のラビングローラで、ステージ上に固定されたガラス基板40の配向膜49の表面を所定の圧力でラビングする。
【0066】
最後に、突部25上の配光膜49をフォトリソグラフィー法及びアッシング法により除去する。
【0067】
かくして、図4に示す対向基板32が得られる。
【0068】
次に、TFT基板31の製造方法の一例を説明する。
【0069】
上述したように、本実施形態では、TFT基板31上に、検出ライン21、スキャンライン22、検出用TFT23、接触パッド24を形成する必要がある(図2A参照)点で、従来のTFT基板と異なる。但し、検出ライン21及びスキャンライン22はソースライン11及びゲートライン12と、検出用TFT23は画素駆動用TFT14と、接触パッド24は絵素電極13と、それぞれ同様に形成することができる。従って、従来から公知のTFT基板の製造方法を応用することで本実施形態のTFT基板31を製造することができる。但し、接触パッド24は、対向基板32の突部25の頂部に形成された対向電極34とともにマイクロスイッチ方式の変位検出部30を構成する必要があるので(図2B参照)、配向膜に覆われる絵素電極13と異なり、露出される必要がある点に注意を要する。
【0070】
最初に、TFT基板31の基材としてのガラス基板を用意する。ガラス基板としては、石英ガラス等の透光性を有する基板を用いることができる。
【0071】
このガラス基板上に、Ta又はAl/Tiからなる薄膜をスパッタ法により形成し、パターニングしてゲート電極を形成する。
【0072】
次いで、SiNxからなるゲート絶縁膜を形成し、a−Si半導体層をパターニングして形成する。
【0073】
次いで、ドレイン電極及びソース電極を形成する。
【0074】
次いで、チャンネル保護膜としてSiNxを形成し、層間絶縁膜を形成する。次いで、コンタクトホールを形成する。
【0075】
次に、ITOを真空蒸着して、透明電極である絵素電極13及び接触パッド24を形成する。
【0076】
次いで、配向膜を設け、ラビングにより配向処理を施す。
【0077】
最後に、接触パッド24上の配光膜をフォトリソグラフィー法及びアッシング法により除去する。
【0078】
かくして、TFT基板31が得られる。
【0079】
上記のようにして得られた対向基板32とTFT基板31とを公知の方法で貼り合わせ、これらの間に液晶33を注入することで、タッチパネル2を得ることができる。
【0080】
以上のように構成された本実施形態のタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ機能について説明する。
【0081】
図5に示すように、本実施形態に係るタッチパネル2を試作し、プッシュプルゲージ(DIGITAL FORCE GAUGE ZP-20N(IMADA)、図示せず)の触針に、直径0.8mmで半球形の先端を備えたタッチペン51を接続して、タッチパネル2のタッチ面を、垂直方向に押圧した。
【0082】
ある程度以上の押圧を加えると、対向基板32が変位し、変位検出部30を構成する接触バッド24と対向電極34とが接触し(図2B参照)、検出ライン21から対向電極34に印加された対向電位が出力される。図3A、図3Bで説明したように、変位ポイント検出部3は、検出ライン21の電位に基づいて、対向基板32の変位の有無、即ち接触バッド24と対向電極34との接触の有無を検出する。座標検出部4は、変位ポイント検出部3が、接触バッド24と対向電極34との接触有り(即ち、対向基板32の変位有り)と判断した変位検出部30の座標を導出する。
【0083】
図6A〜図6Gは、X軸方向64ポイント×Y軸方向64ポイントにマトリクス状に変位検出部30が配置された領域の中央にタッチペン51で所定の押圧を印加したときに、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30の位置(以下、「変位ポイント」という)を示した図である。図6Aは押圧無し(非タッチ時)の場合を示し、図6Bから図6Gにいくにしたがって、押圧を徐々に強くしている。各図に付記した押圧の値は、押圧無しの状態から徐々に押圧を強くしていき、最初に変位ポイントが検出されたときの押圧強さを1として規格化したものである。図6A〜図6Gにおいて、変位ポイントは黒色で塗られている。図6A〜図6Gより、押圧を強くすると、変位ポイントが分布する領域(以下、「変位エリア」という)がほぼ同心円状に拡大することがわかる。
【0084】
図7A及び図7Bに、タッチペン51によって押圧された対向基板32の変形を模式的に示す。図7A及び図7Bにおいて、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされており、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位無しと判断した変位検出部30を構成する突部25は白抜きで表示されている。相対的に弱い押力が印加された図7Aに比べて、相対的に強い押力が印加された図7Bでは、対向基板32が変形する領域がタッチペン51との接触位置近傍の領域以外にも拡大し、変位エリアが拡大していることが理解できる。
【0085】
どの程度の押力を加えたとき、変位エリアがどの程度の大きさになるかは、対向基板32を構成するガラス基板40の厚さ、接触バッド24と対向電極34との間隔(即ち、凸部25の高さ、液晶セルギャップなど)等を変えることにより、任意に変えることができる。しかしながら、押圧を増大させれば、対向基板32の変位量が増大し、変位エリアが拡大するという関係は、上記の条件に依らず成り立つ。したがって、本発明は、特定の構造や仕様を有するタッチパネル2に限定的に適用されるものではない。
【0086】
なお、押圧を加える方法としては、タッチ面との接触面積が小さく一定であるタッチペンは、押圧と変位エリアとの関係が一意に決められ、押圧検出が容易で誤差が少なくなるので好ましい。但し、後述するように、指であっても押圧検出は可能である。
【0087】
図8は、図6A〜図6Gから求めた、押圧と変位ポイント数との関係を示した図である。縦軸の変位ポイント数は、変位エリア内の変位ポイントの全数を数えることで求めた。本実施形態では、変位ポイント数カウント部5がこれを行う。
【0088】
図8より、例えば押圧が1のときに比べて押圧が1.2のときは変位ポイント数がほぼ2倍になっており、変位ポイント数を数えることで押圧1と押圧1.2とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.4、1.8、2.7、4.5と増やしていくと、変位ポイント数は増加している。以上より、変位ポイント数を数えることで押圧の強さを検出できることがわかる。
【0089】
押圧の強さは、図8に示すような押圧と変位ポイント数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの関係と比較することで検出することができる。より詳しくは、変位ポイント数に少なくとも1つの閾値を設定し、押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの閾値と比較することで、押圧の段階的なレベルを得ることができる。あるいは、図8に示すような押圧と変位ポイント数との関係を示す近似式を予め設定し、押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの近似式に代入することで、押圧の強さを得ることができる。本実施形態では、上記の閾値や近似式は押圧導出部6に予め設定される。そして、押圧導出部6がこの閾値や近似式を用いて押圧の強さを導出する。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、変位ポイントを数える変位ポイント数カウント部5と、変位ポイント数カウント部5が数えた変位ポイント数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部6とを備えているので、押圧の強さを検出することができるマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルを実現することができる。
【0091】
更に、変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6を備えているので、上述した特許文献4(図15参照)に記載されたマイクロスイッチ方式が有していた上述の問題を以下のように解決することができる。
【0092】
即ち、特許文献4(図15参照)では、押圧検出の感度調節を行うためには、突電極の高さを変える必要があり、そのためには突電極905a,905b,905cの製造条件を変える必要があった。これに対して、本実施形態によれば、突部25(図2B参照)の高さを変えることなく、外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで押圧検出の感度調節を行うことができる。
【0093】
たとえば、押圧検出を3段階(押圧:弱、中、強)で行なう場合について具体的に説明する。押圧が1.2以下を弱、1.8以上を強、1.2〜1.8を中とするためには、図8より変位ポイント数の閾値を25、78に設定すればよい。また、押圧が1.4以下を弱、2.7以上を強、1.4〜2.7を中とするためには、図8より変位ポイント数の閾値を25、141に設定すればよい。このように、変位ポイント数の閾値の設定しだいで、押圧検出の感度調節を行うことができる。したがって、特許文献4(図15参照)のように感度調節のために製造工程を変える必要がなく、さまざまなユーザーや使用シーンに合わせて容易に感度調節ができる。
【0094】
また、特許文献4(図15参照)では、突電極905a,905b,905cの製造において不可避的に発生する寸法バラツキによって、押圧検出感度が製品ごとに異なってしまうという問題があった。これに対して、本実施形態によれば、突部25(図2B参照)の高さのバラツキを外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで補正することができる。
【0095】
たとえば、突部25が、寸法バラツキにより設計値よりも高く形成されてしまった場合を考える。この場合、接触バッド24と対向電極34との間隔が狭くなるので、対向基板32の変位量が設計値より小さくても接触バッド24と対向電極34とが接触する。従って、同じ押圧に対して図8よりも押圧変位ポイント数は多くなる。例えば、押圧が1.2以下を弱と判定する場合、突部25の高さが設計値通りであれば、図8より変位ポイント数の閾値を25に設定すればよい。ところが、突部25が設計値より高い場合には、例えば押圧が1のとき押圧ポイント数は25となり、押圧が1.2のとき押圧ポイント数は41となり、押圧が1.4のとき押圧ポイント数は78となるかも知れない。このような場合には、変位ポイント数の閾値を41に変更すればよい。このように、タッチセンサ機能付き液晶パネルの検査工程において、各製品ごとに押圧と変位ポイント数との関係を調べ、これが設計値と異なる場合には、押圧導出部6の閾値の設定を変えて押圧検出感度を調節すればよい。これだけで、突部25の寸法バラツキを容易に補正することができる。
【0096】
更に、特許文献4(図15参照)では、押圧検出の分解能を高めるためには、高さが異なる突電極の種類数を増やす必要があり、現実には限界があった。これに対して、本実施形態によれば、外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで押圧検出の分解能を容易に高めることができる。例えば、図6A〜図6Gには、押圧を6段階に変えた場合、変位ポイント数がこれに応じて変化することが示されている。従って、押圧導出部6の閾値を適切に設定することにより、押圧を6段階の分解能で検出することができる。上述したように、押圧を増大させれば変位ポイント数は増大するから、閾値数を任意に設定することによって、6段階よりも高い分解能も、低い分解能も可能である。
【0097】
上記の説明では、マイクロスイッチ方式である変位検出部30を備えたタッチセンサ機能付き液晶パネルを主として説明した。しかしながら、本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルは、液晶容量方式の変位検出部を備えていても良い。液晶容量方式では、変位検出部を構成する静電容量の変化に応じて変化する検出電圧を、変位ポイント検出部3がコンパレータで設定した基準値(閾値)と比較して二値化する。従って、これより後段の座標検出部4や変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6での信号処理はマイクロスイッチ方式の場合と同様に行うことができる。よって、検出電圧をアナログ量のまま処理するためにノイズの影響を受けやすく、押圧の強さを正確に検出することが困難であるという上述した特許文献5(図16参照)に記載された従来の液晶容量方式の問題は、本実施形態では解消される。
【0098】
(実施形態2)
実施形態1では、変位ポイント数カウント部5は、図6A〜図6Gに示した二次元的に拡がる変位エリアを構成する変位ポイントの全数を数えた。これに対して、本実施形態2では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数える。即ち、変位エリアのX軸方向幅が最大となるY軸方向位置においてX軸方向に並ぶ変位ポイント数を数える。
【0099】
図9は、図6A〜図6Gから求めた、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数(X軸方向の変位ポイント最大数)と押圧との関係を示した図である。図9より、たとえば押圧が1のときに比べて押圧が1.4のときは、X軸方向の変位ポイント最大数が1.6倍になっており、X軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧1と押圧1.4とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.8、2.7、4.5と増やしていくと、X軸方向の変位ポイント最大数は増加している。以上より、X軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧の強さを検出できることがわかる。
【0100】
押圧の強さは、図9に示すような押圧とX軸方向の変位ポイント最大数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときのX軸方向の変位ポイント最大数をこの関係と比較することで検出することができる。
【0101】
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【0102】
更に、本実施形態2では、実施形態1のように変位ポイント数カウント部5が変位エリア内の変位ポイントの全数を数える必要がないのでカウント時間を短縮化することができ、また、処理すべきデータ量が減少するので押圧導出部6での演算時間を短縮化することができる。
【0103】
(実施形態3)
実施形態2では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数えた。これに対して、本実施形態3では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数える。即ち、変位エリアのY軸方向幅が最大となるX軸方向位置においてY軸方向に並ぶ変位ポイント数を数える。
【0104】
図10は、図6A〜図6Gから求めた、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数(Y軸方向の変位ポイント最大数)と押圧との関係を示した図である。図10より、たとえば押圧が1のときに比べて押圧が1.2のときは、Y軸方向の変位ポイント最大数が2倍になっており、Y軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧1と押圧1.2とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.4、1.8、2.7、4.5と増やしていくと、Y軸方向の変位ポイント最大数は増加している。以上より、Y軸方向の変位ポイント最大数を数えることでも押圧の強さを検出できることがわかる。
【0105】
押圧の強さは、図10に示すような押圧とY軸方向の変位ポイント最大数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときのY軸方向の変位ポイント最大数をこの関係と比較することで検出することができる。
【0106】
本実施形態3は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【0107】
更に、本実施形態3では、実施形態1のように変位ポイント数カウント部5が変位エリア内の変位ポイントの全数を数える必要がないのでカウント時間を短縮化することができ、また、処理すべきデータ量が減少するので押圧導出部6での演算時間を短縮化することができる。
【0108】
(実施形態4)
押圧を加える方法として、実施形態1〜3では主としてタッチペンを用いる場合を説明した。本実施形態4では、指を用いる場合を説明する。
【0109】
指を用いて押圧を加える場合、指の大きさが個々人によって異なるために、変位ポイント数と押圧との関係を一意的に決めることは難しい。図11A及び図11Bは、指の大きさによって変位ポイント(変位エリアの大きさ)が変化する様子を示した図である。図7A及び図7Bと同様に、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされており、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位無しと判断した変位検出部30を構成する突部25は白抜きで表示されている。図11A及び図11Bに模式的に示されているように、押圧が同じであっても、図11Aに示す細い指52より、図11Bに示す太い指53で押圧した場合には、より多くの変位検出部30で接触バッド24と対向電極34とが接触し、変位ポイント数が多くなることが理解できる(変位ポイント数は、図11Aでは4個、図11Bでは6個である)。
【0110】
仮に細い指52を基準に押圧検出をすることに設定してしまうと、太い指53の人は、弱く押しただけで、細い指52の人が強く押したときと同数程度の変位ポイント数がカウントされて強押と検出されてしまう。したがって、太い指の人は弱押の機能が使いにくいという問題が生じる。
【0111】
逆に、太い指53を基準に押圧検出をすることに設定してしまうと、細い指52の人は、太い指の人と比べて、同じ変位ポイント数をカウントさせるためにより強く押さねばならなくなり、疲労を感じるという問題が生じる。
【0112】
以上の問題の一解決法として、平均的な大きさの指に合わせて押圧検出基準を設定するという方法がある。この方法では、平均的な大きさの指からかけ離れた大きさの指の人には、使いにくさを感じる可能性がある。
【0113】
本実施形態は、別の解決法を提案する。即ち、本実施形態では、押圧導出部6での押圧検出を、実施形態1〜3のように変位ポイント数の絶対数を基準に行うのではなく、押圧動作中の変位ポイント数の変化量(即ち押圧の強さの変化)を基準に行う。
【0114】
図12は、本発明の実施形態4に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。本実施形態4では押圧導出部6が記憶部6aと比較演算部6bとを備える点で図1の押圧導出部6と異なる。
【0115】
以下に、本実施形態での押圧検出を、具体例を挙げて説明する。
【0116】
指による押圧動作を時間を追って考えると、最初に指でタッチ面に軽く触れ、次いで強くタッチ面を押し込む動作が一般的に考えられる。
【0117】
そこで、最初に指でタッチ面に軽く触れた時点での変位ポイント数を変位ポイント数カウント部5により数えて、その数を記憶部6aに記憶させる。そして、記憶部6aに記憶された変位ポイント数のデータと、変位ポイント数カウント部5で数えた変位ポイント数のデータとを、比較演算部6bに送る。比較演算部6bは、両データを比較演算する。比較演算部6bは、両データがゼロでなく、且つ、両データの差はゼロであるから、弱押との強さ情報8を出力する。例えば、最初に指でタッチ面に軽く触れたときの変位ポイント数は、図13Aに示すように細い指52であれば4個であり、図14Aに示すように太い指53であれば6個である。このように、指の大きさによって変位ポイント数は異なるが、いずれの場合も弱押と判断される。
【0118】
その後、強い力でタッチ面を押し込むと、変位ポイント数は増加する。このときの変位ポイント数を変位ポイント数カウント部5により数えて、その変位ポイント数のデータを比較演算部6bに送る。比較演算部6bは、変位ポイント数カウント部5から送られた変位ポイント数のデータと、記憶部6aに記憶された変位ポイント数のデータとを比較演算する。比較演算部6bは、記憶部6aに記憶された変位ポイント数に対する、変位ポイント数カウント部5から送られた変位ポイント数の変化量(増加量)を算出し、その変化量に応じた強さ情報8を出力する。例えば、細い指52であれば、強く押し込んだときの変位ポイント数は図13Bに示すように8個であり、図13Aに比べて変位ポイント数の増加量は4個であるから、図13Bでの押圧は強押と判断される。また、太い指52であれば、強く押し込んだときの変位ポイント数は図14Bに示すように10個であり、図14Aに比べて変位ポイント数の増加量は4個であるから、図14Bでの押圧も強押と判断される。このように、指の大きさによって変位ポイント数は異なるが、いずれの場合も変位ポイント数の増加量が同じであるので強押と判断される。
【0119】
上記の具体例では、変位ポイント数の増加量が4個以上であれば強押と判断されるように設定されているが、変位ポイント数の増加量を判定するための閾値の値や閾値数はこれに限定されない。例えば、変位ポイント数の増加量が、4個以上8個未満であれば中押と判断し、8個以上であれば強押と判断するなど、押圧検出の分解能を任意に設定することができる。
【0120】
なお、図13A、図13B、図14A、図14Bでは、図11A及び図11Bと同様に、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされている。
【0121】
上記の説明では、変位ポイント数カウント部5が、実施形態2,3で説明したように、変位エリアのX軸方向又はY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数えたが、変位エリアを構成する変位ポイントの全数を数えてもよい。但し、前者は後者に比べて、変位ポイント数カウント部5でのカウント時間を短縮化することができ、また、押圧導出部6での演算時間を短縮化することができるので、好ましい。
【0122】
以上のように、実施形態4では、変位ポイント数の絶対数によらずに押圧の強さを検出するので、指の大きさに関わらず正確な押圧検出ができる。また、本実施形態4は指で押圧する場合に限定されず、タッチペンで押圧する場合にも適用することができる。
【0123】
本実施形態4は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の利用分野は、特に制限はないが、押圧の違いにより異なる情報入力が可能になることから、パソコン、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話、カーナビゲーションなどの各種情報機器のタッチセンサ機能付き液晶パネルとして広範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0125】
2 タッチパネル
3 変位ポイント検出部
4 座標検出部
5 変位ポイント数カウント部
6 押圧導出部
6a 記憶部
6b 比較演算部
24 接触パッド
25 突部
30 変位検出部
31 TFT基板
32 対向基板
34 対向電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサ機能を備えた液晶パネルに関する。特に、タッチ位置(押圧位置)に加えてタッチ圧(押圧)をも検出するタッチセンサ機能を備えた液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示面にタッチセンサ機能を付与することで、情報入力装置としても使用可能な画像表示装置が実用化されている。このような画像表示装置では、一般に、使用者が指やタッチペン等で触れた画像表示面上の位置(タッチ位置)を検出する。
【0003】
近年、タッチ位置に加えて、押圧の強さを検出し、押圧の強さに応じて異なる指示を与えることができるタッチセンサ機能を有するタッチパネルを、液晶パネル等の画像表示装置上に搭載した情報入力装置が提案されている(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0004】
上記とは異なり、液晶パネル内にタッチセンサ機能を実現するための検出素子を組み込んだタッチセンサ機能付き液晶パネルが知られている。このような液晶パネルとしては、検出方式の違いにより、インセル型マイクロスイッチ方式(以下、単に「マイクロスイッチ方式」という)や液晶容量方式が知られている。
【0005】
マイクロスイッチ方式では、液晶セル内に設けたスイッチ電極が、荷重を加えた際に、接触導通するのを検出する。特許文献4には、押圧を検出可能なマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルが記載されている。図15を用いて、特許文献4に記載されたマイクロスイッチ方式において押圧を検出する原理を説明する。
【0006】
液晶901に電圧を印加する画素電極や、画素電極に接続された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等が形成されたTFT基板902と、対向電極が形成された対向基板903とが、スペーサ904によって一定距離を隔てて対向している。TFT基板902には、高さが異なる第1突電極905a、第2突電極905b、第3突電極905cが形成されている。指906又はタッチペン907で対向基板903の表面を押圧すると、対向基板903が撓み、対向基板903とTFT基板902との間隔が狭くなる。押圧の強さに応じて対向基板903の撓み量が変化する。押圧が弱いときには、対向基板903の対向電極は最も高い第1突電極905aのみに接触し、押圧が強くなるにしたがって、第2突電極905b、更に第3突電極905cにも接触するようになる。このように対向電極が接触する突電極の種類の変化により押圧を検出できる。
【0007】
液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルが特許文献5に記載されており、その検出原理を図16A、図16Bを用いて説明する。液晶911を挟む一対の基板912,913に互いに対向するように一対の電極を形成して、液晶セル内に静電容量を形成する。図16Bに示すように、表示面側の基板912が押圧されると、基板912,913の間隔が狭まり、静電容量が変化する。静電容量の変化を薄膜トランジスタを利用して電流値の変化に変換し、積分回路で所定期間内の電流値を積分して検出電圧として出力させる。押圧の強さに応じて静電容量が変化するので、検出電圧も変化する。従って、検出電圧の強さを検出することにより、押圧を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−203044号公報
【特許文献2】特開2007−236008号公報
【特許文献3】特開2008−276369号公報
【特許文献4】特開2007−58070号公報
【特許文献5】特開2008−58925号公報
【特許文献6】特開2006−133788号公報
【特許文献7】特開2008−65302号公報
【特許文献8】特開2007−128514号公報
【特許文献9】特開2007−48275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、押圧検出が可能な上記の従来のタッチセンサ機能付き液晶パネルは以下の問題を有している。
【0010】
図15に示した従来のマイクロスイッチ方式では、押圧検出の感度調節を行うためには、突電極905a,905b,905cの高さを変える必要がある。そのためには、突電極の製造条件を変える必要があり、突電極の製造工程で使用するマスクを新たに作ったり、フォトリソグラフィーにおける露光条件を変えたりするなどの手間がかかり、コストが増大する。従って、このタッチセンサ機能付き液晶パネルのユーザーごとに、または使用シーンに応じて感度調節することが難しい。
【0011】
突電極905a,905b,905cの高さの寸法精度が押圧検出の感度に直接影響を及ぼす。従って、突電極の製造において不可避的に発生する寸法バラツキによって、押圧検出感度が製品ごとに異なることは避けられない。
【0012】
更に、押圧検出の分解能を高めるためには、高さが異なる突電極の種類数を増やす必要があり、そのためには、製造において寸法バラツキを極めて小さく制御する必要がある。ところが、実際に製造可能な突電極の種類数には限界があり、従って押圧検出の分解能にも限界がある。
【0013】
一方、図16に示した従来の液晶容量方式で出力される検出電圧は、押圧の強さに応じて変化するアナログ量である。従って、検出電圧は、ノイズの影響を受けやすい。ノイズの影響を受けて検出電圧が変化すると、押圧を正確に検出することができない。
【0014】
本発明は、上記の従来の問題が解決された、押圧検出が可能なタッチセンサ機能付き液晶パネルを提供することを目的とする。即ち、本発明の目的は、押圧検出の感度を、製造工程を変更することなく調節可能にすることにある。本発明の別の目的は、製造上不可避的に発生する寸法バラツキを補正することにある。本発明の更に別の目的は、押圧検出の分解能を、容易に高めることを可能にすることにある。本発明の更に別の目的は、ノイズの影響を受けにくい押圧検出を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルは、対向する一対の基板、及び前記一対の基板間に設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板が押圧されて変位することによって信号を出力する複数の変位検出部を備えたタッチパネルと、前記複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、前記複数の変位検出部のそれぞれの位置での前記一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部と、前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって前記一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して、前記押圧の位置に関する情報を導き出す座標検出部と、前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、押圧位置に加えて押圧の強さの検出が可能なタッチセンサ機能付き液晶パネルを提供することができる。
【0017】
しかも、変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、変位ポイント数カウント部が数えた変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部とを備えるので、押圧検出の感度を製造工程を変更することなく調節することができ、製造上不可避的に発生する寸法バラツキを補正することができ、更に、押圧検出の分解能を容易に高めることができる。
【0018】
また、複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部を備えるので、押圧検出に対するノイズの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【図2】図2Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、マイクロスイッチ方式の変位検出部を備えた画素の回路図である。図2Bは、図2Aの変位検出部の概略構成を示した断面図である。
【図3】図3Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、変位検出部からの出力信号を処理する変位ポイント検出部のブロック図である。図3Bは、そのタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルを構成する対向基板の断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルをタッチペンで押圧試験を行っている様子を示した側面図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンによる押圧無しのときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.0の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6C】図6Cは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.2の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6D】図6Dは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.4の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6E】図6Eは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで1.8の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6F】図6Fは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで2.7の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図6G】図6Gは、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、タッチペンで4.5の押圧を印加したときに対向基板の変位有りと検出された変位ポイントの分布を示した図である。
【図7】図7A及び図7Bは、押圧の強さによって変位エリアの大きさが変化する様子を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図9】図9は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図10】図10は、本発明に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルの一実施例において、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数と押圧との関係を示した図である。
【図11】図11A及び図11Bは、指の大きさによって変位ポイント(変位エリアの大きさ)が変化する様子を説明する断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態4に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【図13】図13Aは細い指が最初にタッチ面を軽く触れたときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図であり、図13Bは続いて細い指がタッチ面を強く押し込んだときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図である。
【図14】図14Aは太い指が最初にタッチ面を軽く触れたときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図であり、図14Bは続いて太い指がタッチ面を強く押し込んだときの変位ポイント(変位エリアの大きさ)を示した断面図である。
【図15】図15は、従来のマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、押圧を検出する原理を説明する断面図である。
【図16】図16Aは従来の液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルの概略構成を示した断面図、図16Bは従来の液晶容量方式タッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、押圧を検出する原理を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極を備え、前記一方の基板が変位することによって前記一対の電極が接触して前記信号を出力することが好ましい。これにより、マイクロスイッチ方式の変位検出部を構成することができる。
【0021】
あるいは、前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極によって構成される静電容量を備え、前記一方の基板が変位することによって生じる前記静電容量の変化に応じた信号を出力しても良い。これにより、液晶容量方式の変位検出部を構成することができる。
【0022】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出され変位検出部の全数を数えても良い。これにより、より正確に押圧検出を行うことができる。
【0023】
あるいは、前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部によって構成される変位エリアの、前記複数の変位検出部が配列された直交する2方向のうちの一方に沿った最大幅を構成する変位検出部の数を数えても良い。これにより、変位検出部の数のカウント時間やその後の演算時間を短縮化することができる。
【0024】
前記押圧導出部は、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧との関係と比較して、前記押圧の強さに関する情報を導き出すことが好ましい。変位有りと検出された変位検出部の数と押圧とは相関関係を有するので、正確且つ迅速な押圧検出が可能になる。
【0025】
あるいは、前記押圧導出部は、押圧動作の初期において前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を記憶する記憶部と、押圧動作中に前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、前記記憶部に記憶された前記変位検出部の数と比較演算する比較演算部とを備えても良い。これにより、例えば指の大きさによる押圧検出の違いを少なくすることができる。
【0026】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。
【0028】
本実施形態1のタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部は、タッチパネル2、変位ポイント検出部3、座標検出部4、変位ポイント数カウント部5、押圧導出部6を備える。
【0029】
タッチパネル2は、対向する一対の基板と、この一対の基板間に設けられた複数の変位検出部とを備える。
【0030】
一対の基板としては、例えば液晶パネルを構成する、液晶を挟持する一対の透光性基板を用いることができる。
【0031】
複数の変位検出部は、一対の基板のうちの一方の基板(タッチ基板)の表面(タッチ面、通常は画像表示面である。)が押圧されたとき、その押圧によって生じる当該タッチ基板の変位(即ち、一対の基板の間隔の変化)に応じた信号を出力する。変位検出部は、タッチパネル2のタッチ面と平行な面内に離散的に、好ましくは格子点状に配置される。例えば、液晶パネルの赤・緑・青の各色の絵素ごとに1つの変位検出部を設けてもよいし、赤・緑・青の3絵素によって構成される画素(カラー画素)ごとに1つの変位検出部を設けてもよいし、複数の画素ごとに1つの変位検出部を設けてもよい。
【0032】
変位検出部の具体的構成は、特に制限はなく、例えばマイクロスイッチ方式や液晶容量方式を用いることができる。
【0033】
マイクロスイッチ方式は、一対の基板の対向面にそれぞれ形成した一対の電極(マイクロスイッチ)が、押圧によって接触導通するのを検出する方式である。本発明では、マイクロスイッチ方式の具体的構成に制限はなく、例えば公知のマイクロスイッチ方式(例えば、特許文献6,7参照)を用いることができる。
【0034】
液晶容量方式は、一対の基板の対向面に液層を挟んで対向して形成した一対の電極によって構成される静電容量が、押圧によって一対の電極間隔が狭まることによって変化するのを検出する方式である。本発明では、液晶容量方式の具体的構成に制限はなく、例えば公知の液晶容量方式(例えば、特許文献5,8,9参照)を用いることができる。
【0035】
変位ポイント検出部3は、上記の複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、複数の変位検出部のそれぞれの位置での上記タッチ基板の変位(即ち、一対の基板の間隔の変化)の有無を二値的に検出する。例えば、変位検出部に接続された検出ラインの電圧をコンパレータで設定した基準値(閾値)と比較して二値化する。例えば、変位検出部から閾値より大きな出力電圧が得られた場合にはタッチ基板の変位有り(タッチ有り)と判断し、そうでない場合にはタッチ基板の変位無し(タッチ無し)と判断する。これを複数の変位検出部のそれぞれに対して行う。
【0036】
座標検出部4は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部3がタッチ基板の変位有りと検出した変位検出部の座標を検出して、押圧の位置に関する情報(位置情報)7を導き出す。押圧位置情報7の導出方法も、特に制限はなく、例えば公知の方法を用いることができる。
【0037】
上記のタッチパネル2、変位ポイント検出部3、座標検出部4は、従来より公知のタッチパネルと同様に構成することができる。本発明では、更に変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6を備える点に特徴を有する。
【0038】
変位ポイント数カウント部5は、複数の変位検出部のうち、変位ポイント検出部3によってタッチ基板の変位有りと検出された変位検出部の数を数えて出力する。
【0039】
押圧導出部6は、変位ポイント数カウント部5が数えた変位検出部の数に基づいて、押圧の強さに関する情報(強さ情報)8を導き出す。例えば、タッチ基板の変位有りと検出された変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧の強さとの関係と比較して、押圧の強さに関する情報8を導出する、これによって、タッチ位置に加えて、押圧をも検出することができるタッチセンサ機能を実現することができる。
【0040】
以下に、各部をより詳細に説明する。
【0041】
最初に、タッチパネル2に形成される複数の変位検出部を説明する。
【0042】
図2Aは、本発明の実施形態1に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルにおいて、マイクロスイッチ方式の変位検出部を備えた画素の回路図である。図2Bは、図2Aの変位検出部の概略構成を示した断面図である。
【0043】
図2Aに示すように、液晶パネルのTFT基板31(後述する図2B参照)上に、表示データが印加される、Y軸と平行なソースライン11と、順次走査を行うための、X軸と平行なゲートライン12とがマトリックス状に形成されている。ソースライン11とゲートライン12とが交差する位置に、絵素電極13が接続された画素駆動用の薄膜トランジスタ(以下、画素駆動用TFT(Thin Film Transistor)という)14が形成されている。以上の構成は、特に制限はなく、例えば公知の液晶パネルと同じであってもよい。
【0044】
本実施形態では、更に、TFT基板31上に、Y軸と平行な検出ライン21と、X軸と平行なスキャンライン22が形成され、検出ライン21とスキャンライン22とが交差する位置に、変位検出用の薄膜トランジスタ(以下、検出用TFT(Thin Film Transistor)という)23と接触パッド24とが形成されている。検出用TFT23のゲート電極はスキャンライン22に接続され、検出用TFT23のソース電極は接触パッド24に接続され、検出用TFT23のドレイン電極は検出ライン21に接続されている。
【0045】
図2Bは、接触パッド24を通る面に沿った液晶パネルの断面図である。TFT基板31とタッチ基板としての対向基板32とが液晶33を挟んで対向している。TFT基板31の対向基板32と対向する側の面には接触パッド24が形成され、対向基板32上の接触パッド24が対向する位置には凸部25が形成されている。TFT基板31上の多数の絵素電極13がマトリクス状に配列形成された領域と対向する対向基板32の領域には、凸部25を覆うように透明な対向電極34が形成されている。
【0046】
TFT基板31に形成された接触バッド24と、対向基板32に形成された対向電極34とが、マイクロスイッチ方式の変位検出部30を構成する。
【0047】
TFT基板31の対向基板32と対向する側の面には、配向膜が形成されるが、図2Bではそれらの図示を省略している。対向基板32のTFT基板31と対向する側の面には、赤、緑、青の色層(カラーフィルタ)と、これらの色層間の光漏れを防止するブラックマトリックスとを含むカラーフィルタ層や、配向膜が形成されているが、図2Bではそれらの図示を省略している。更に、図示していないが、TFT基板31及び対向基板32を挟むように、一対の偏光フィルムが設けられる。
【0048】
対向基板32のTFT基板31とは反対側の面に、指やタッチペンなどによる押力が加えられると、対向基板32が撓んでその位置が変化し、対向基板32とTFT基板31との間隔が狭まる。そして、対向電極34が接触パッド24に接触すると、対向電極34に印加された対向電圧が接触パッド24に印加される。この接触パッド24に印加された対向電圧を検出ライン21を介して検出することで、当該接触パッド24の位置で、対向基板32が変位したこと、即ち、タッチペンや指等でタッチされたことを検出する。
【0049】
具体的には、複数のスキャンライン22の電位を順次H(High)に切り替える。スキャンライン22に電位Hが与えられると、電位Hが与えられた期間中、当該スキャンライン22に接続された検出用TFT23がオン状態となり、接触パッド24に印加された対向電圧が検出ライン21に出力される。複数の検出ライン21の各出力電圧を検出すれば、電位Hが与えられたスキャンライン22上において対向基板32が変位した位置を検出することができる。複数のスキャンライン22のうち電位Hが与えられるスキャンライン22を順次切り替える(走査する)ことにより、一画面内で対向基板32が変位した位置を検出することができる。
【0050】
図3Aは、TFT基板31に形成された接触バッド24と、対向基板32に形成された対向電極34とから構成される変位検出部30からの出力信号を処理する変位ポイント検出部3のブロック図であり、図3Bは、そのタイミングチャートである。これらを用いて、変位ポイント検出部3の動作を説明する。
【0051】
最初に、リセットスイッチRSTがオンされ、検出ライン21の電位をGNDにリセットする。
【0052】
次いで、スキャンドライバ26があるスキャンライン22に電位Hを印加する。その結果、検出用TFT23がオン状態となる。このとき、この検出用TFT23に接続された変位検出部30の対向電極34と接触パッド24とが接触していると(「接触時」)、対向電極34から印加された対向電位が接触パッド24を通じて検出ライン21に出力される。対向電極34と接触パッド24とが接触していないと(「非接触時」)、検出ライン21の電圧はGNDのままである。
【0053】
次いで、検出スイッチDETがオンされる。コンパレータ35は、検出ライン21の電圧を、予め設定された基準電圧REFと比較する。そして、検出ライン21の電圧が基準電圧REFより高い場合には、対向基板32の変位有りと判断して電圧H(High)を出力し、検出ライン21の電圧が基準電圧REFより低い場合には、対向基板32の変位無しと判断して電圧L(Low)を出力する。
【0054】
以上のようにして、コンパレータ35を含む変位ポイント検出部3は、変位検出部30の位置での対向基板32の変位の有無を二値的に検出する。
【0055】
以下に、図2Bに示した変位検出部30を含むタッチパネル2の製造方法を説明する。なお、以下の製造方法は一例であって、本発明は以下の製造方法に限定されないことはいうまでもない。
【0056】
最初に、図4に示すように凸部25等を含む対向基板32の製造方法の一例を説明する。
【0057】
まず、対向基板32の基材としてのガラス基板40を用意する。ガラス基板40としては、石英ガラス等の透光性を有する基板を用いることができる。
【0058】
このガラス基板40上に親水性樹脂を含有する感光性レジスト層を形成する。そして、この感光性レジスト層をブラックマトリクス用のフォトマスクを介して露光し、その後、現像することにより、ブラックマトリクス用パターンを形成する。次に、ガラス基板40上のブラックマトリクス用パターンを無電解めっき液に接触させることにより、パターン内に金属粒子を析出させて黒化せしめ、ブラックマトリクス41を形成する。ブラックマトリクス41は、後述する赤、緑、青の各色層が形成される開口である光透過部42を有している。更に、隣り合う光透過部42の間に、突部25及び後述するフォトスペーサ48を形成するための略矩形状の領域を有している。
【0059】
次いで、ガラス基板40上の所定領域に赤の顔料が分散された樹脂フィルム(ドライフィルム)を全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、光透過部42内に赤色の色層43(図示せず)を形成する。次に、赤色の色層43に重ねて、緑色の顔料が所定領域に分散された樹脂フィルムを全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、赤色の色層の隣の光透過部42内に緑色の色層44を形成する。同様に、緑色の色層と赤色の色層との間の光透過部42内に青色の色層45を形成する。赤、緑及び青の各色層は、互いにストライプ配列となるように形成する。この際、赤、緑、青のいずれかの色層(本実施形態では青色の色層45)を、ブラックマトリクス41の略矩形状の領域内の所定領域にも形成して、スペーサ台座部46とする。
【0060】
なお、赤、緑、青の各色層の形成方法は、上述した樹脂フィルムをラミネートする方法に限定されず、例えば、顔料が分散された感光性樹脂材料をスピンコート、スリットコート等によりガラス基板32の全面に塗布して形成してもよい。さらに、赤、緑、青の各色層の形成順序は、上記に限定されず、他の順序でもよい。
【0061】
次いで、フォトリソフォトリソグラフィー法を用いて感光性樹脂等からなる突部25をブラックマトリクス41の略矩形状の領域に形成する。
【0062】
次いで、ブラックマトリクス41、色層43,44,44、スペーサ台座部46、突部25上に、ITO(Indium Tin Oxide)を蒸着して透明電極47を形成する。
【0063】
次いで、フォトリソフォトリソグラフィー法を用いて感光性樹脂等からなるフォトスペーサ48をスペーサ台座部46の領域内に透明電極47上に形成する。フォトスペーサ48は、TFT基板31と対向基板32との間隔を一定に維持するためのものである。
【0064】
次いで、ブラックマトリクス41、色層43,44,44、スペーサ台座部46、突部25及びフォトスペーサ48を覆うように配向膜49を形成する。
【0065】
次いで、配向膜49にラビングにより以下の手法により配向処理を施す。まず、ガラス基板40を配向膜49を上に向けてステージ上に固定する。次に、ラビング布等が巻かれた円筒状のラビングローラで、ステージ上に固定されたガラス基板40の配向膜49の表面を所定の圧力でラビングする。
【0066】
最後に、突部25上の配光膜49をフォトリソグラフィー法及びアッシング法により除去する。
【0067】
かくして、図4に示す対向基板32が得られる。
【0068】
次に、TFT基板31の製造方法の一例を説明する。
【0069】
上述したように、本実施形態では、TFT基板31上に、検出ライン21、スキャンライン22、検出用TFT23、接触パッド24を形成する必要がある(図2A参照)点で、従来のTFT基板と異なる。但し、検出ライン21及びスキャンライン22はソースライン11及びゲートライン12と、検出用TFT23は画素駆動用TFT14と、接触パッド24は絵素電極13と、それぞれ同様に形成することができる。従って、従来から公知のTFT基板の製造方法を応用することで本実施形態のTFT基板31を製造することができる。但し、接触パッド24は、対向基板32の突部25の頂部に形成された対向電極34とともにマイクロスイッチ方式の変位検出部30を構成する必要があるので(図2B参照)、配向膜に覆われる絵素電極13と異なり、露出される必要がある点に注意を要する。
【0070】
最初に、TFT基板31の基材としてのガラス基板を用意する。ガラス基板としては、石英ガラス等の透光性を有する基板を用いることができる。
【0071】
このガラス基板上に、Ta又はAl/Tiからなる薄膜をスパッタ法により形成し、パターニングしてゲート電極を形成する。
【0072】
次いで、SiNxからなるゲート絶縁膜を形成し、a−Si半導体層をパターニングして形成する。
【0073】
次いで、ドレイン電極及びソース電極を形成する。
【0074】
次いで、チャンネル保護膜としてSiNxを形成し、層間絶縁膜を形成する。次いで、コンタクトホールを形成する。
【0075】
次に、ITOを真空蒸着して、透明電極である絵素電極13及び接触パッド24を形成する。
【0076】
次いで、配向膜を設け、ラビングにより配向処理を施す。
【0077】
最後に、接触パッド24上の配光膜をフォトリソグラフィー法及びアッシング法により除去する。
【0078】
かくして、TFT基板31が得られる。
【0079】
上記のようにして得られた対向基板32とTFT基板31とを公知の方法で貼り合わせ、これらの間に液晶33を注入することで、タッチパネル2を得ることができる。
【0080】
以上のように構成された本実施形態のタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ機能について説明する。
【0081】
図5に示すように、本実施形態に係るタッチパネル2を試作し、プッシュプルゲージ(DIGITAL FORCE GAUGE ZP-20N(IMADA)、図示せず)の触針に、直径0.8mmで半球形の先端を備えたタッチペン51を接続して、タッチパネル2のタッチ面を、垂直方向に押圧した。
【0082】
ある程度以上の押圧を加えると、対向基板32が変位し、変位検出部30を構成する接触バッド24と対向電極34とが接触し(図2B参照)、検出ライン21から対向電極34に印加された対向電位が出力される。図3A、図3Bで説明したように、変位ポイント検出部3は、検出ライン21の電位に基づいて、対向基板32の変位の有無、即ち接触バッド24と対向電極34との接触の有無を検出する。座標検出部4は、変位ポイント検出部3が、接触バッド24と対向電極34との接触有り(即ち、対向基板32の変位有り)と判断した変位検出部30の座標を導出する。
【0083】
図6A〜図6Gは、X軸方向64ポイント×Y軸方向64ポイントにマトリクス状に変位検出部30が配置された領域の中央にタッチペン51で所定の押圧を印加したときに、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30の位置(以下、「変位ポイント」という)を示した図である。図6Aは押圧無し(非タッチ時)の場合を示し、図6Bから図6Gにいくにしたがって、押圧を徐々に強くしている。各図に付記した押圧の値は、押圧無しの状態から徐々に押圧を強くしていき、最初に変位ポイントが検出されたときの押圧強さを1として規格化したものである。図6A〜図6Gにおいて、変位ポイントは黒色で塗られている。図6A〜図6Gより、押圧を強くすると、変位ポイントが分布する領域(以下、「変位エリア」という)がほぼ同心円状に拡大することがわかる。
【0084】
図7A及び図7Bに、タッチペン51によって押圧された対向基板32の変形を模式的に示す。図7A及び図7Bにおいて、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされており、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位無しと判断した変位検出部30を構成する突部25は白抜きで表示されている。相対的に弱い押力が印加された図7Aに比べて、相対的に強い押力が印加された図7Bでは、対向基板32が変形する領域がタッチペン51との接触位置近傍の領域以外にも拡大し、変位エリアが拡大していることが理解できる。
【0085】
どの程度の押力を加えたとき、変位エリアがどの程度の大きさになるかは、対向基板32を構成するガラス基板40の厚さ、接触バッド24と対向電極34との間隔(即ち、凸部25の高さ、液晶セルギャップなど)等を変えることにより、任意に変えることができる。しかしながら、押圧を増大させれば、対向基板32の変位量が増大し、変位エリアが拡大するという関係は、上記の条件に依らず成り立つ。したがって、本発明は、特定の構造や仕様を有するタッチパネル2に限定的に適用されるものではない。
【0086】
なお、押圧を加える方法としては、タッチ面との接触面積が小さく一定であるタッチペンは、押圧と変位エリアとの関係が一意に決められ、押圧検出が容易で誤差が少なくなるので好ましい。但し、後述するように、指であっても押圧検出は可能である。
【0087】
図8は、図6A〜図6Gから求めた、押圧と変位ポイント数との関係を示した図である。縦軸の変位ポイント数は、変位エリア内の変位ポイントの全数を数えることで求めた。本実施形態では、変位ポイント数カウント部5がこれを行う。
【0088】
図8より、例えば押圧が1のときに比べて押圧が1.2のときは変位ポイント数がほぼ2倍になっており、変位ポイント数を数えることで押圧1と押圧1.2とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.4、1.8、2.7、4.5と増やしていくと、変位ポイント数は増加している。以上より、変位ポイント数を数えることで押圧の強さを検出できることがわかる。
【0089】
押圧の強さは、図8に示すような押圧と変位ポイント数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの関係と比較することで検出することができる。より詳しくは、変位ポイント数に少なくとも1つの閾値を設定し、押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの閾値と比較することで、押圧の段階的なレベルを得ることができる。あるいは、図8に示すような押圧と変位ポイント数との関係を示す近似式を予め設定し、押圧が加えられたときの変位ポイント数をこの近似式に代入することで、押圧の強さを得ることができる。本実施形態では、上記の閾値や近似式は押圧導出部6に予め設定される。そして、押圧導出部6がこの閾値や近似式を用いて押圧の強さを導出する。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、変位ポイントを数える変位ポイント数カウント部5と、変位ポイント数カウント部5が数えた変位ポイント数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部6とを備えているので、押圧の強さを検出することができるマイクロスイッチ方式タッチセンサ機能付き液晶パネルを実現することができる。
【0091】
更に、変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6を備えているので、上述した特許文献4(図15参照)に記載されたマイクロスイッチ方式が有していた上述の問題を以下のように解決することができる。
【0092】
即ち、特許文献4(図15参照)では、押圧検出の感度調節を行うためには、突電極の高さを変える必要があり、そのためには突電極905a,905b,905cの製造条件を変える必要があった。これに対して、本実施形態によれば、突部25(図2B参照)の高さを変えることなく、外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで押圧検出の感度調節を行うことができる。
【0093】
たとえば、押圧検出を3段階(押圧:弱、中、強)で行なう場合について具体的に説明する。押圧が1.2以下を弱、1.8以上を強、1.2〜1.8を中とするためには、図8より変位ポイント数の閾値を25、78に設定すればよい。また、押圧が1.4以下を弱、2.7以上を強、1.4〜2.7を中とするためには、図8より変位ポイント数の閾値を25、141に設定すればよい。このように、変位ポイント数の閾値の設定しだいで、押圧検出の感度調節を行うことができる。したがって、特許文献4(図15参照)のように感度調節のために製造工程を変える必要がなく、さまざまなユーザーや使用シーンに合わせて容易に感度調節ができる。
【0094】
また、特許文献4(図15参照)では、突電極905a,905b,905cの製造において不可避的に発生する寸法バラツキによって、押圧検出感度が製品ごとに異なってしまうという問題があった。これに対して、本実施形態によれば、突部25(図2B参照)の高さのバラツキを外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで補正することができる。
【0095】
たとえば、突部25が、寸法バラツキにより設計値よりも高く形成されてしまった場合を考える。この場合、接触バッド24と対向電極34との間隔が狭くなるので、対向基板32の変位量が設計値より小さくても接触バッド24と対向電極34とが接触する。従って、同じ押圧に対して図8よりも押圧変位ポイント数は多くなる。例えば、押圧が1.2以下を弱と判定する場合、突部25の高さが設計値通りであれば、図8より変位ポイント数の閾値を25に設定すればよい。ところが、突部25が設計値より高い場合には、例えば押圧が1のとき押圧ポイント数は25となり、押圧が1.2のとき押圧ポイント数は41となり、押圧が1.4のとき押圧ポイント数は78となるかも知れない。このような場合には、変位ポイント数の閾値を41に変更すればよい。このように、タッチセンサ機能付き液晶パネルの検査工程において、各製品ごとに押圧と変位ポイント数との関係を調べ、これが設計値と異なる場合には、押圧導出部6の閾値の設定を変えて押圧検出感度を調節すればよい。これだけで、突部25の寸法バラツキを容易に補正することができる。
【0096】
更に、特許文献4(図15参照)では、押圧検出の分解能を高めるためには、高さが異なる突電極の種類数を増やす必要があり、現実には限界があった。これに対して、本実施形態によれば、外部回路である押圧導出部6の設定を変えることで押圧検出の分解能を容易に高めることができる。例えば、図6A〜図6Gには、押圧を6段階に変えた場合、変位ポイント数がこれに応じて変化することが示されている。従って、押圧導出部6の閾値を適切に設定することにより、押圧を6段階の分解能で検出することができる。上述したように、押圧を増大させれば変位ポイント数は増大するから、閾値数を任意に設定することによって、6段階よりも高い分解能も、低い分解能も可能である。
【0097】
上記の説明では、マイクロスイッチ方式である変位検出部30を備えたタッチセンサ機能付き液晶パネルを主として説明した。しかしながら、本発明のタッチセンサ機能付き液晶パネルは、液晶容量方式の変位検出部を備えていても良い。液晶容量方式では、変位検出部を構成する静電容量の変化に応じて変化する検出電圧を、変位ポイント検出部3がコンパレータで設定した基準値(閾値)と比較して二値化する。従って、これより後段の座標検出部4や変位ポイント数カウント部5及び押圧導出部6での信号処理はマイクロスイッチ方式の場合と同様に行うことができる。よって、検出電圧をアナログ量のまま処理するためにノイズの影響を受けやすく、押圧の強さを正確に検出することが困難であるという上述した特許文献5(図16参照)に記載された従来の液晶容量方式の問題は、本実施形態では解消される。
【0098】
(実施形態2)
実施形態1では、変位ポイント数カウント部5は、図6A〜図6Gに示した二次元的に拡がる変位エリアを構成する変位ポイントの全数を数えた。これに対して、本実施形態2では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数える。即ち、変位エリアのX軸方向幅が最大となるY軸方向位置においてX軸方向に並ぶ変位ポイント数を数える。
【0099】
図9は、図6A〜図6Gから求めた、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数(X軸方向の変位ポイント最大数)と押圧との関係を示した図である。図9より、たとえば押圧が1のときに比べて押圧が1.4のときは、X軸方向の変位ポイント最大数が1.6倍になっており、X軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧1と押圧1.4とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.8、2.7、4.5と増やしていくと、X軸方向の変位ポイント最大数は増加している。以上より、X軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧の強さを検出できることがわかる。
【0100】
押圧の強さは、図9に示すような押圧とX軸方向の変位ポイント最大数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときのX軸方向の変位ポイント最大数をこの関係と比較することで検出することができる。
【0101】
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【0102】
更に、本実施形態2では、実施形態1のように変位ポイント数カウント部5が変位エリア内の変位ポイントの全数を数える必要がないのでカウント時間を短縮化することができ、また、処理すべきデータ量が減少するので押圧導出部6での演算時間を短縮化することができる。
【0103】
(実施形態3)
実施形態2では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのX軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数えた。これに対して、本実施形態3では、変位ポイント数カウント部5は、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数える。即ち、変位エリアのY軸方向幅が最大となるX軸方向位置においてY軸方向に並ぶ変位ポイント数を数える。
【0104】
図10は、図6A〜図6Gから求めた、変位エリアのY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数(Y軸方向の変位ポイント最大数)と押圧との関係を示した図である。図10より、たとえば押圧が1のときに比べて押圧が1.2のときは、Y軸方向の変位ポイント最大数が2倍になっており、Y軸方向の変位ポイント最大数を数えることで押圧1と押圧1.2とを区別できることが分かる。さらに、押圧を1.4、1.8、2.7、4.5と増やしていくと、Y軸方向の変位ポイント最大数は増加している。以上より、Y軸方向の変位ポイント最大数を数えることでも押圧の強さを検出できることがわかる。
【0105】
押圧の強さは、図10に示すような押圧とY軸方向の変位ポイント最大数との関係を予め求めておき、現実に押圧が加えられたときのY軸方向の変位ポイント最大数をこの関係と比較することで検出することができる。
【0106】
本実施形態3は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【0107】
更に、本実施形態3では、実施形態1のように変位ポイント数カウント部5が変位エリア内の変位ポイントの全数を数える必要がないのでカウント時間を短縮化することができ、また、処理すべきデータ量が減少するので押圧導出部6での演算時間を短縮化することができる。
【0108】
(実施形態4)
押圧を加える方法として、実施形態1〜3では主としてタッチペンを用いる場合を説明した。本実施形態4では、指を用いる場合を説明する。
【0109】
指を用いて押圧を加える場合、指の大きさが個々人によって異なるために、変位ポイント数と押圧との関係を一意的に決めることは難しい。図11A及び図11Bは、指の大きさによって変位ポイント(変位エリアの大きさ)が変化する様子を示した図である。図7A及び図7Bと同様に、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされており、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位無しと判断した変位検出部30を構成する突部25は白抜きで表示されている。図11A及び図11Bに模式的に示されているように、押圧が同じであっても、図11Aに示す細い指52より、図11Bに示す太い指53で押圧した場合には、より多くの変位検出部30で接触バッド24と対向電極34とが接触し、変位ポイント数が多くなることが理解できる(変位ポイント数は、図11Aでは4個、図11Bでは6個である)。
【0110】
仮に細い指52を基準に押圧検出をすることに設定してしまうと、太い指53の人は、弱く押しただけで、細い指52の人が強く押したときと同数程度の変位ポイント数がカウントされて強押と検出されてしまう。したがって、太い指の人は弱押の機能が使いにくいという問題が生じる。
【0111】
逆に、太い指53を基準に押圧検出をすることに設定してしまうと、細い指52の人は、太い指の人と比べて、同じ変位ポイント数をカウントさせるためにより強く押さねばならなくなり、疲労を感じるという問題が生じる。
【0112】
以上の問題の一解決法として、平均的な大きさの指に合わせて押圧検出基準を設定するという方法がある。この方法では、平均的な大きさの指からかけ離れた大きさの指の人には、使いにくさを感じる可能性がある。
【0113】
本実施形態は、別の解決法を提案する。即ち、本実施形態では、押圧導出部6での押圧検出を、実施形態1〜3のように変位ポイント数の絶対数を基準に行うのではなく、押圧動作中の変位ポイント数の変化量(即ち押圧の強さの変化)を基準に行う。
【0114】
図12は、本発明の実施形態4に係るタッチセンサ機能付き液晶パネルのタッチセンサ部のブロック図である。本実施形態4では押圧導出部6が記憶部6aと比較演算部6bとを備える点で図1の押圧導出部6と異なる。
【0115】
以下に、本実施形態での押圧検出を、具体例を挙げて説明する。
【0116】
指による押圧動作を時間を追って考えると、最初に指でタッチ面に軽く触れ、次いで強くタッチ面を押し込む動作が一般的に考えられる。
【0117】
そこで、最初に指でタッチ面に軽く触れた時点での変位ポイント数を変位ポイント数カウント部5により数えて、その数を記憶部6aに記憶させる。そして、記憶部6aに記憶された変位ポイント数のデータと、変位ポイント数カウント部5で数えた変位ポイント数のデータとを、比較演算部6bに送る。比較演算部6bは、両データを比較演算する。比較演算部6bは、両データがゼロでなく、且つ、両データの差はゼロであるから、弱押との強さ情報8を出力する。例えば、最初に指でタッチ面に軽く触れたときの変位ポイント数は、図13Aに示すように細い指52であれば4個であり、図14Aに示すように太い指53であれば6個である。このように、指の大きさによって変位ポイント数は異なるが、いずれの場合も弱押と判断される。
【0118】
その後、強い力でタッチ面を押し込むと、変位ポイント数は増加する。このときの変位ポイント数を変位ポイント数カウント部5により数えて、その変位ポイント数のデータを比較演算部6bに送る。比較演算部6bは、変位ポイント数カウント部5から送られた変位ポイント数のデータと、記憶部6aに記憶された変位ポイント数のデータとを比較演算する。比較演算部6bは、記憶部6aに記憶された変位ポイント数に対する、変位ポイント数カウント部5から送られた変位ポイント数の変化量(増加量)を算出し、その変化量に応じた強さ情報8を出力する。例えば、細い指52であれば、強く押し込んだときの変位ポイント数は図13Bに示すように8個であり、図13Aに比べて変位ポイント数の増加量は4個であるから、図13Bでの押圧は強押と判断される。また、太い指52であれば、強く押し込んだときの変位ポイント数は図14Bに示すように10個であり、図14Aに比べて変位ポイント数の増加量は4個であるから、図14Bでの押圧も強押と判断される。このように、指の大きさによって変位ポイント数は異なるが、いずれの場合も変位ポイント数の増加量が同じであるので強押と判断される。
【0119】
上記の具体例では、変位ポイント数の増加量が4個以上であれば強押と判断されるように設定されているが、変位ポイント数の増加量を判定するための閾値の値や閾値数はこれに限定されない。例えば、変位ポイント数の増加量が、4個以上8個未満であれば中押と判断し、8個以上であれば強押と判断するなど、押圧検出の分解能を任意に設定することができる。
【0120】
なお、図13A、図13B、図14A、図14Bでは、図11A及び図11Bと同様に、対向基板32に形成された突部25のうち、変位ポイント検出部3が対向基板32の変位有りと判断した変位検出部30を構成する突部25は黒色で塗りつぶされている。
【0121】
上記の説明では、変位ポイント数カウント部5が、実施形態2,3で説明したように、変位エリアのX軸方向又はY軸方向の最大幅を構成する変位ポイント数を数えたが、変位エリアを構成する変位ポイントの全数を数えてもよい。但し、前者は後者に比べて、変位ポイント数カウント部5でのカウント時間を短縮化することができ、また、押圧導出部6での演算時間を短縮化することができるので、好ましい。
【0122】
以上のように、実施形態4では、変位ポイント数の絶対数によらずに押圧の強さを検出するので、指の大きさに関わらず正確な押圧検出ができる。また、本実施形態4は指で押圧する場合に限定されず、タッチペンで押圧する場合にも適用することができる。
【0123】
本実施形態4は、上記以外は実施形態1と同じであり、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の利用分野は、特に制限はないが、押圧の違いにより異なる情報入力が可能になることから、パソコン、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話、カーナビゲーションなどの各種情報機器のタッチセンサ機能付き液晶パネルとして広範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0125】
2 タッチパネル
3 変位ポイント検出部
4 座標検出部
5 変位ポイント数カウント部
6 押圧導出部
6a 記憶部
6b 比較演算部
24 接触パッド
25 突部
30 変位検出部
31 TFT基板
32 対向基板
34 対向電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板、及び前記一対の基板間に設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板が押圧されて変位することによって信号を出力する複数の変位検出部を備えたタッチパネルと、
前記複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、前記複数の変位検出部のそれぞれの位置での前記一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部と、
前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって前記一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して、前記押圧の位置に関する情報を導き出す座標検出部と、
前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、
前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部と
を備えたタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項2】
前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極を備え、前記一方の基板が変位することによって前記一対の電極が接触して前記信号を出力する請求項1に記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項3】
前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極によって構成される静電容量を備え、前記一方の基板が変位することによって生じる前記静電容量の変化に応じた信号を出力する請求項1に記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項4】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出され変位検出部の全数を数える請求項1〜3のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項5】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部によって構成される変位エリアの、前記複数の変位検出部が配列された直交する2方向のうちの一方に沿った最大幅を構成する変位検出部の数を数える請求項1〜3のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項6】
前記押圧導出部は、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧との関係と比較して、前記押圧の強さに関する情報を導き出す請求項1〜5のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項7】
前記押圧導出部は、押圧動作の初期において前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を記憶する記憶部と、押圧動作中に前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、前記記憶部に記憶された前記変位検出部の数と比較演算する比較演算部とを備える請求項1〜5のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項1】
対向する一対の基板、及び前記一対の基板間に設けられ、前記一対の基板のうちの一方の基板が押圧されて変位することによって信号を出力する複数の変位検出部を備えたタッチパネルと、
前記複数の変位検出部からの出力信号に基づいて、前記複数の変位検出部のそれぞれの位置での前記一方の基板の変位の有無を二値的に検出する変位ポイント検出部と、
前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって前記一方の基板の変位有りと検出された変位検出部の座標を検出して、前記押圧の位置に関する情報を導き出す座標検出部と、
前記複数の変位検出部のうち、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部の数を数える変位ポイント数カウント部と、
前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数に基づいて押圧の強さに関する情報を導き出す押圧導出部と
を備えたタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項2】
前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極を備え、前記一方の基板が変位することによって前記一対の電極が接触して前記信号を出力する請求項1に記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項3】
前記複数の変位検出部のそれぞれは、前記一対の基板の互いに対向する面にそれぞれ形成された一対の電極によって構成される静電容量を備え、前記一方の基板が変位することによって生じる前記静電容量の変化に応じた信号を出力する請求項1に記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項4】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出され変位検出部の全数を数える請求項1〜3のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項5】
前記変位ポイント数カウント部は、前記変位ポイント検出部によって変位有りと検出された変位検出部によって構成される変位エリアの、前記複数の変位検出部が配列された直交する2方向のうちの一方に沿った最大幅を構成する変位検出部の数を数える請求項1〜3のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項6】
前記押圧導出部は、前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、予め設定された変位有りと検出された変位検出部の数と押圧との関係と比較して、前記押圧の強さに関する情報を導き出す請求項1〜5のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【請求項7】
前記押圧導出部は、押圧動作の初期において前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を記憶する記憶部と、押圧動作中に前記変位ポイント数カウント部が数えた前記変位検出部の数を、前記記憶部に記憶された前記変位検出部の数と比較演算する比較演算部とを備える請求項1〜5のいずれかに記載のタッチセンサ機能付き液晶パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−252025(P2012−252025A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226877(P2009−226877)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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