説明

タッチパネル、および、電気機器

【課題】製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止すること。
【解決手段】タッチパネル(60A)は、1つの透明基板(81A)を備える。透明基板は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサを含み、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域と、1層構造のタッチセンサを含み、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域とを含む。2次元タッチセンサにおいては、前形成部分(83A)と後形成部分(86A)との間のメイン側絶縁層(84A)が設けられる。このため、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層(82A)を設け、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサ(86C)との間にサブ側絶縁層(84C)を設ける場合に、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチパネル、および、電気機器に関し、特に、電気機器に搭載するのに適したタッチパネル、および、それを搭載した電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、この発明をする前のタッチパネルの第1の層構造を説明するための図である。図10は、この発明をする前のタッチパネルの第2の層構造を説明するための図である。図9および図10を参照して、図9(A)および図10(A)に示すように、スマートフォンなどの携帯端末の表示部に加えて表示部の下部に所定の操作が可能なアイコン部を設けて、1つのタッチパネル160A,160Bの検知領域で、表示部とアイコン部との両方の接触をそれぞれ検知するものがあった。
【0003】
図9(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO(Indium Tin Oxide)−1層183Aと横センサとしてのITO−2層186Aによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。また、図10(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。これらの検知信号は、複数のMetal線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0004】
図9(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO−1層183Aと横センサとしてのITO−2層によって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。また、図10(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。これらの検知信号も、複数のMetal線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0005】
ここで、タッチパネル160A,160Bにおいては、アイコン部のアイコンの意匠が、ブラックマスク層(以下「BM層」という)182A,182Bで、それぞれ、ガラス基板181A,181Bの上に形成される。なお、図9(A)および図10(A)においては、アイコン部にはITOの層が示されていないが、これは、BM層182A,182Bで表わされる意匠が図面で分かり難くなるので、図示していないためである。
【0006】
このように構成されていることによって、1つのタッチパネル160A,160Bで、表示部のセンサおよびアイコン部のセンサを兼ねることができるとともに、アイコンの意匠も含めることができる。
【0007】
しかし、このように構成した場合、BM層182A,182Bにカーボン等の導電性物質が含まれており、複数列のITO−1層183A,183Bが、それぞれ、BM層182A,182Bと、直接、接触しているため、タッチパネル160A,160Bのセンサ性能に影響を与えてしまうといった問題が生じる。
【0008】
このような黒インクに含まれる炭素質粉体の導電性に起因して誤動作または不動作が起こる問題に対応するために、特許文献1に示されているように、意匠インクとして、絶縁性黒インクを用いることが考えられる。これにより、タッチパネルに黒の意匠インクを用いる場合であっても、タッチパネルのセンサ性能に与える影響を減少させることができる。
【0009】
しかし、このようにした場合、インクを形成する素材およびインクの色調の自由度が低くなってしまうといった問題が生じる。特に、ガラス基板181A,181Bの上に、それぞれ、BM層182A,182Bを形成して、その上に、タッチセンサを形成する場合、BM層182A,182Bでの段差による断線の懸念などがあるため、BM層182A,182Bの厚さは、インクをベタ塗りする場合の10〜20μmよりも薄くすることが望ましい。この場合に、インクの選定の自由度が低いと、所望の性能を発揮するインクを選定することが、さらに難しくなってしまう。
【0010】
このような問題を回避するためには、アイコン部のITOの層とBM層182A,182Bとの間に絶縁層を1層追加することが考えられる。このようにすれば、BM層182A,182Bの導電性物質が、アイコン部のITOの層に悪影響を与えることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−295365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、塗膜層とセンサ層との間に絶縁層を1層追加するようにした場合、絶縁層を形成するための工程が必要となるため、生産効率が低下し、製造コストが増加してしまうといった問題が生じる。
【0013】
この発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的の1つは、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することが可能なタッチパネル、および、電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、タッチパネルは、1つの透明基板を備える。透明基板は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサを含み、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域と、1層構造のタッチセンサを含み、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域とを含む。
【0015】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分と後形成部分との間のメイン側絶縁層が設けられる。この発明に従えば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層を設け、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層を設ける場合に、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0016】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することが可能なタッチパネルを提供することができる。
【0017】
好ましくは、1層構造のタッチセンサは、導電性材料で構成される。タッチパネルは、サブタッチセンサ領域の透明基板の上に、透明基板、塗膜層、サブ側絶縁層、および、1層構造のタッチセンサの層の順の層構造をさらに備える。塗膜層は、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された層である。
【0018】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分と後形成部分との間のメイン側絶縁層が設けられる。この発明に従えば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0019】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0020】
さらに好ましくは、2次元タッチセンサは、導電性材料で構成される縦センサと、導電性材料で構成される横センサと、縦センサと横センサとの絶縁のためのメイン側絶縁層とを含む。サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接する。メイン側絶縁層は、2次元タッチセンサを構成する部分のうちメイン側絶縁層の後に形成される後形成部分に接する。メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成される。1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成される。
【0021】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分と後形成部分との間のメイン側絶縁層が設けられる。この発明に従えば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるとともに、サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接し、メイン側絶縁層は、後形成部分に接し、メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成され、1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成されるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0022】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0023】
この発明の他の局面によれば、タッチパネルは、1つの透明基板を備える。透明基板は、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域と、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域とを含む。タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の透明基板の上に接し、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された塗膜層と、メインタッチセンサ領域の透明基板の上に接する前形成部分とを備える。前形成部分は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサの一部分であり、導電性材料で構成される。
【0024】
タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の塗膜層、メインタッチセンサ領域の前形成部分、および、メインタッチセンサ領域の前形成部分が形成されていない透明基板の上に接する絶縁層と、メインタッチセンサ領域の絶縁層の上に接する後形成部分とを備える。後形成部分は、2次元タッチセンサの一部分であり、導電性材料で構成される。タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の絶縁層の上に接し、導電性材料で構成される1層構造のタッチセンサを備える。
【0025】
この発明に従えば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるとともに、サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接し、メイン側絶縁層は、後形成部分に接し、メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成され、1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成されるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0026】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することが可能なタッチパネルを提供することができる。
【0027】
この発明のさらに他の局面によれば、電気機器は、上述のいずれかのタッチパネルを備える。
【0028】
この発明に従えば、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することが可能なタッチパネルを搭載した電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施の形態におけるスマートフォン1の外観図である。
【図2】この実施の形態におけるタッチパネルユニットの外観図である。
【図3】従来およびこの実施の形態のタッチパネルの違いを説明するための図である。
【図4】この発明をする前のアイコン部の照光を説明するための第1の図である。
【図5】この発明をする前のアイコン部の照光を説明するための第2の図である。
【図6】この実施の形態におけるアイコン側タッチセンサ領域の照光を説明するための図である。
【図7】この実施の形態におけるアイコン側タッチセンサ領域の照光を説明するための断面図である。
【図8】この実施の形態の変形例におけるアイコン側タッチセンサ領域の照光を説明するための図である。
【図9】この発明をする前のタッチパネルの第1の層構造を説明するための図である。
【図10】この発明をする前のタッチパネルの第2の層構造を説明するための図である。
【図11】この実施の形態のタッチパネルの第1の層構造を説明するための図である。
【図12】この実施の形態のタッチパネルの第2の層構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しならが詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0031】
以下の発明の実施の形態においては、電気機器の一例としてスマートフォン1などの携帯端末にこの発明を適用する場合について説明する。しかし、電気機器は、タッチパネルを備えるものであれば、携帯端末に限定されず、他のもの、たとえば、パーソナルコンピュータ(以下「PC」)という)、および、BD(Blu-ray Disc)レコーダなどのAV(Audio Visual)機器などであってもよい。また、携帯端末は、スマートフォン1に限定されず、他のもの、たとえば、携帯電話、ポータブルメディアプレーヤ、および、タブレット型コンピュータなどであってもよい。
【0032】
図1は、この発明の実施の形態におけるスマートフォン1の外観図である。図1を参照して、スマートフォン1は、主な構成として、筐体11と、表示部5とを含む。
【0033】
表示部5の表面側には、タッチパネルが設けられていて、表示部側タッチセンサ領域61が設けられる。また、アイコン部7A〜7Cにも、図示していないが、アイコン部側タッチセンサ領域が、それぞれのアイコン部7A〜7Cについて設けられる。
【0034】
アイコン部7Aには、「MENU」の文字が描画されており、ユーザが指等でアイコン部7Aに触れることにより、表示部5における表示画面が、メニュー画面に移行することが示されている。
【0035】
アイコン部7Bには、家を模式的な表わした図が描画されており、ユーザが指等でアイコン部7Bに触れることにより、表示部5における表示画面が、ホーム画面に移行することが示されている。
【0036】
アイコン部7Cには、元に戻ることを示すような形状の矢印が描画されており、ユーザが指等でアイコン部7Cに触れることにより、表示部5における表示画面が、1つ前に表示されていた画面に戻ることが示されている。
【0037】
なお、アイコン部7A〜7Cには、他の機能を実行することを示す文字または図のアイコンが描画されるようにして、アイコン部7A〜7Cが操作されることによって、それぞれのアイコンに対応付けられた機能が実行されるようにしてもよい。
【0038】
図2は、この実施の形態におけるタッチパネルユニットの外観図である。図2を参照して、図2(A)は、タッチパネルユニットの表側を示し、図2(B)は、タッチパネルユニットの裏側を示す。タッチパネルユニットは、タッチパネル60とフレキシブルプリント基板(以下「FPC(Flexible printed circuits)」という)63とを含む。
【0039】
FPC63には、タッチパネル60から出力された信号を処理するIC(Integrated Circuit)64と、他の基板等に接続するための接続部67とを含む。FPC63は、タッチパネル60から出力された信号を処理したり、出力また処理された信号を伝達したりする。
【0040】
タッチパネル60およびFPC63は、ACF(Anisotropic Conductive Film)領域62で接続されている。ここでは、ACF領域62は、2つに分かれているが、1つにまとめられていてもよい。ACFは、異方性導電フィルムのことであり、複数の端子を持つ部品を、それぞれの端子の接続部を有する部品に装着させるために使用されるフィルムである。ACFによって、タッチパネル60の複数の信号線とFPC63の複数の信号線とが、それぞれ、絶縁を保って接続される。
【0041】
タッチパネル60において、透過領域51は、後述するように、ガラス基板の上に透明電極が形成されているだけであるので、向こう側を透視可能なようになっている。このため、スマートフォン1に搭載され、透過領域51の向こう側に表示部5が設けられることによって、透過領域51を通して、表示部5の表示内容をユーザが見ることができるようになる。
【0042】
タッチパネル60において、透過領域51の周辺は、BM(Black Mask)となっており、向こう側が透視不能となっているとともに、タッチパネル60の上の回路および配線が見えないようになっている。
【0043】
なお、表示部側タッチセンサ領域61は、透過領域51よりとほぼ同じ大きさで形成されている。
【0044】
図3は、従来およびこの実施の形態のタッチパネルの違いを説明するための図である。図3を参照して、図3(A)は、この発明をする前のタッチパネルを示す図である。図3(B)は、この実施の形態のタッチパネルを示す図である。
【0045】
従来は、図3(A)で示されるように、タッチパネル160において、アイコン部107の接触を検知するためには、透過領域151のみに設けられるようにしていた表示部のタッチセンサ領域161を、アイコン部107まで延ばすようにしていた。このため、ACF領域162は、タッチセンサ領域161の外側(ここでは、アイコン部107の右下)に配置するしかなかった。
【0046】
本実施の形態においては、図3(B)で示されるように、タッチパネル60において、表示部側タッチセンサ領域61を透過領域51のみに設けるとともに、アイコン部7A〜7Cの側には、それぞれ、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cを設けるようにした。
【0047】
このように、アイコン部7A〜7Cのために、独立したタッチセンサ領域を設けるようにしたので、表示部側タッチセンサ領域61および複数のアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの間に、間隙部が存在するようになった。
【0048】
本実施の形態においては、このような間隙部のうち、3つのアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの間の2つの間隙部に、ACF領域62を設けるようにした。これにより、タッチセンサ領域の上端からアイコン部の下端までの距離を、従来と本実施の形態とで同じ長さlとした場合に、本実施の形態の場合は、この発明をする前の場合よりも、タッチパネル60の機能部分の長さを、この発明をする前のアイコン部107の下端からACF領域162の下端までの距離Δlの分、短くすることができる。
【0049】
なお、ACF領域62が配置されるのは、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの間の間隙部のいずれかに限定されず、表示部側タッチセンサ領域61および複数のアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの間のいずれか少なくとも1つの間隙部であれば、他の間隙部であってもよい。たとえば、表示部側タッチセンサ領域61といずれかのアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cとの間の間隙部であってもよい。
【0050】
また、アイコン側タッチセンサ領域が1つまたは2つしか設けられない場合など、表示部側タッチセンサ領域61の幅と比較して、すべてのアイコン側タッチセンサを覆う最小限の矩形の幅が狭い場合は、表示部側タッチセンサ領域61の矩形を、すべてのアイコン側タッチセンサを覆う最小限の矩形の下端まで延ばした矩形の範囲内に、ACF領域を設置するようにしても、上述したような、タッチパネル60の機能部分の長さを短くすることができるといった効果が奏される。
【0051】
なお、表示部側タッチセンサ領域61および複数のアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cのそれぞれの間隙部を狭くしすぎると、隣のタッチセンサ領域で誤検出をしてしまう。このため、本実施の形態によれば、そのような誤検出を防止するために設けざるを得ない間隙部を有効利用することができるといった付帯的な効果も奏される。
【0052】
図4は、この発明をする前のアイコン部の照光を説明するための第1の図である。図4を参照して、図3(A)で示したACF領域162のような配置にする場合、タッチパネル161AのACF領域162Aに接続されたFPC163Aを、キャビネット165Aに沿わせて、液晶パネル150Aの背面に引き回す。
【0053】
このようにした場合、アイコン部107Aを背面から照光するように設置されるLED172Aからの光線が、FPC163Aによって妨げられてしまうといった問題が生じる。
【0054】
図5は、この発明をする前のアイコン部の照光を説明するための第2の図である。図5を参照して、図4で説明したような問題を解決するためには、LED172Bによるアイコン部107Aの照光が、FPC163Bなどによって妨げられないような位置に、LED172Bを配置して、FPC173Bを用いて、FPC163Bを回避するように、LED172Bへ給電することが考えられる。
【0055】
あるいは、LED172Bからの光線を導光する導光部材174Bを設けて、導光部材174BおよびLED172Bを、FPC163Bに干渉しない位置に配置することが考えられる。
【0056】
いずれにしても、FPC173Bまたは導光部材174Bなどの部品が追加で必要となるため、製造コストの増加に繋がってしまうといった問題が生じる。
【0057】
図6は、この実施の形態におけるアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの照光を説明するための図である。図7は、この実施の形態におけるアイコン側タッチセンサ領域の照光を説明するための断面図である。図6および図7を参照して、この実施の形態においては、図3(B)などで説明したように、ACF領域62を、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの間隙部に設けるようするとともに、FPC63の形状を、FPC63をスマートフォン1に組込んだときに、LED72からアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cへの光線を避けて配置可能な形状、具体的には図6(詳しくは、図2(B))で示すような形状とする。これによって、LED72以外の構成を特に設ける必要なく、照光範囲66がLED72によって照光されることとなる。
【0058】
また、FPC63は、ACF領域62に接続され、接続面と略平行方向に引出される。そして、FPC63のACF領域62との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までが、タッチパネル60の平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収納されるように、FPC63が形成されている。
【0059】
また、ACF領域62は、前述したように、透過領域51と異なる領域に設けられる。FPC63のACF領域62との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までは、FPC63をスマートフォン1に組込んだときに、透過領域51から透視不能な位置に配置される。また、曲げ部以降は、タッチパネル60の内部側に設置される液晶パネル50などの他の装置の裏側に引回すことができる。これにより、FPC63を透過領域51から見えないようにすることができる。
【0060】
また、接続部から曲げ部までを、柱状態の範囲内に収納させるとともに、LED72からの光線を避けて配置させるキャビネット65が設けられている。このため、FPC63のACF領域62との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までを、タッチパネル60の平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に、より確実に収めることができるとともに、LED72によるアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの照光を、より確実に妨げないようにできる。
【0061】
なお、FPC63が、スマートフォン1の筐体11の内部に収納されるのであれば、FPC63が、ACF領域から引出される方向は、接続面と略平行方向でなくてもよいし、FPC63のACF領域62との接続部から最初の曲げ部は、略90度以上でなくてもよい。
【0062】
また、図7において、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71CおよびLED72の位置は、実際は、図6で示されるように、LED72からアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cへの光線が、ACF領域62と重なるような位置であるが、図を分かり易くするために、便宜的に、図7の下方向に、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71CおよびLED72の位置をずらしている。
【0063】
図8は、この実施の形態の変形例におけるアイコン側タッチセンサ領域の照光を説明するための図である。図8を参照して、アイコン部7A〜7Cを真中のアイコン部7Bによせる場合は、ACF領域62’を図のような位置に配置するようにしてもよい。このようにした場合は、図6の場合と同様、FPC63’の形状を、FPC63’をスマートフォン1に組込んだときに、LED72からアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cへの光線を避けて配置可能な形状とすることができる。
【0064】
図9は、この発明をする前のタッチパネルの第1の層構造を説明するための図である。図10は、この発明をする前のタッチパネルの第2の層構造を説明するための図である。図9および図10を参照して、図9(A)および図10(A)に示すように、スマートフォン1などの携帯端末の表示部に加えて表示部の下部に所定の操作が可能なアイコン部を設けて、1つのタッチパネル160A,160Bの検知領域で、表示部とアイコン部との両方の接触をそれぞれ検知するものがあった。
【0065】
図9(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO(Indium Tin Oxide)−1層183Aと横センサとしてのITO−2層186Aによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。また、図10(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。縦センサと横センサの静電容量の変化に基づいて、接触されている位置の座標が特定される。これらの検知信号は、複数のメタル配線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0066】
図9(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO−1層183Aと横センサとしてのITO−2層によって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。また、図10(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。これらの検知信号も、複数のメタル配線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0067】
ここで、タッチパネル160A,160Bにおいては、アイコン部のアイコンの意匠が、BM層182A,182Bで、それぞれ、ガラス基板181A,181Bの上に形成される。なお、図9(A)および図10(A)においては、アイコン部にはITOの層が示されていないが、これは、BM層182A,182Bで表わされる意匠が図面で分かり難くなるので、図示していないためである。
【0068】
このように構成されていることによって、1つのタッチパネル160A,160Bで、表示部のセンサおよびアイコン部のセンサを兼ねることができるとともに、アイコンの意匠も含めることができる。
【0069】
しかし、このように構成した場合、BM層182A,182Bにカーボン等の導電性物質が含まれており、複数列のITO−1層183A,183Bが、それぞれ、BM層182A,182Bと、直接、接触しているため、タッチパネル160A,160Bのセンサ性能に影響を与えてしまうといった問題が生じる。
【0070】
このような黒インクに含まれる炭素質粉体の導電性に起因して誤動作または不動作が起こる問題に対応するために、特開2009−295365号公報に示されているように、意匠インクとして、絶縁性黒インクを用いることが考えられる。これにより、タッチパネルに黒の意匠インクを用いる場合であっても、タッチパネルのセンサ性能に与える影響を減少させることができる。
【0071】
しかし、このようにした場合、インクを形成する素材およびインクの色調の自由度が低くなってしまうといった問題が生じる。特に、ガラス基板181A,181Bの上に、それぞれ、BM層182A,182Bを形成して、その上に、タッチセンサを形成する場合、BM層182A,182Bでの段差による断線の懸念などがあるため、BM層182A,182Bの厚さは、インクをベタ塗りする場合の10〜20μmよりも薄くすることが望ましい。この場合に、インクの選定の自由度が低いと、所望の性能を発揮するインクを選定することが、さらに難しくなってしまう。
【0072】
このような問題を回避するためには、アイコン部のITOの層とBM層182A,182Bとの間に絶縁層を1層追加することが考えられる。このようにすれば、BM層182A,182Bの導電性物質が、アイコン部のITOの層に悪影響を与えることを防止することができる。
【0073】
しかし、塗膜層とセンサ層との間に絶縁層を1層追加するようにした場合、絶縁層を形成するための工程が必要となるため、生産効率が低下し、製造コストが増加してしまうといった問題が生じる。
【0074】
なお、この実施の形態においては、図9のタッチセンサ領域の層構造を「2層構造」といい、図10のタッチセンサ領域の層構造を「ブリッジ構造」という。
【0075】
図11は、この実施の形態のタッチパネル60Aの第1の層構造を説明するための図である。図11を参照して、図11の表示部側タッチセンサ領域61は、図9と同様、「2層構造」である。タッチパネル60Aは、1つのガラス基板81Aの上に形成される。なお、ガラス基板81Aに限定されず、透明基板であれば、他の基板であってもよい。
【0076】
ガラス基板81Aは、接触された2次元の位置を検知するための表示部側タッチセンサ領域61と、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cとを含む。
【0077】
タッチパネル60Aは、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cのガラス基板81Aの上に接し、導電性を有する塗料でアイコンが描画されたBM層82Aと、表示部側タッチセンサ領域61のガラス基板81Aの上に接する前形成部分であるITO−1層83Aとを備える。
【0078】
BM層82Aは、カーボンを含んだインク材を蒸着印刷することで、数μmと極薄く形成される。ITO−1層83Aは、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサのうち絶縁層84Aの前に形成される一部分であり、導電性材料、たとえば、ITOで構成される。
【0079】
なお、2次元タッチセンサは、ITOで構成される縦センサとしてのITO−1層83Aと、ITOで構成される横センサとしてのITO−2層86Aと、縦センサと横センサとの絶縁のための絶縁層84Aとを含む。
【0080】
タッチパネル60Aは、さらに、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71CのBM層82A、表示部側タッチセンサ領域61のITO−1層83A、および、表示部側タッチセンサ領域61のITO−1層83Aが形成されていないガラス基板81Aの上に接する絶縁層84A,84Cと、表示部側タッチセンサ領域61の絶縁層84Aの上に接する後形成部分であるITO−2層86Aとを備える。
【0081】
ITO−2層86Aは、2次元タッチセンサのうち絶縁層84Aの後に形成される一部分であり、導電性材料、たとえば、ITOで構成される。
【0082】
タッチパネル60Aは、さらに、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Cの上に接し、導電性材料、たとえば、ITOで構成される1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cを備える。
【0083】
このように構成されているので、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cにアイコンが描画されたBM層82Aが設けられ、かつ、BM層82Aと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cとの間に、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Cが設けられる。
【0084】
アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Cは、1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cに接する。表示部側タッチセンサ領域61の絶縁層84Aは、後形成部分であるITO−2層86Aに接する。絶縁層84A,84Cは、同じ材料で構成される。1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cおよび後形成部分であるITO−2層86Aは、同じ材料で構成される。
【0085】
これにより、絶縁層84A,84Cを同工程で形成することができる。また、後形成部分であるITO−2層86Aと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cとを同工程で形成することができる。
【0086】
このため、BM層82Aと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Cとの間に絶縁層84Cを設けることが可能となるとともに、当該絶縁層84Cを設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えてBM層82Aによる動作不良を防止することができる。
【0087】
なお、さらに、縦センサとしてのITO−1層83Aおよび横センサとしてのITO−2層86Aのそれぞれ1つ1つに接続するように、メタル配線87Aが設けられる。メタル配線87Aは、透過領域51と異なるBM層82Aが形成された領域に設けられる。これにより、メタル配線87Aを外部から視認し難くすることができる。
【0088】
また、上述した各層の最上部を覆うように、絶縁層88Aが設けられる。これにより、導電性を有する各層が、タッチパネル60Aの外部と絶縁される。
【0089】
図12は、この実施の形態のタッチパネル60Bの第2の層構造を説明するための図である。図12を参照して、図12の表示部側タッチセンサ領域61は、図10と同様、「ブリッジ構造」である。タッチパネル60Bは、1つのガラス基板81Bの上に形成される。なお、ガラス基板81Bに限定されず、透明基板であれば、他の基板であってもよい。
【0090】
ガラス基板81Bは、接触された2次元の位置を検知するための表示部側タッチセンサ領域61と、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cとを含む。
【0091】
タッチパネル60Bは、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cのガラス基板81Bの上に接し、導電性を有する塗料でアイコンが描画されたBM層82Bと、表示部側タッチセンサ領域61のガラス基板81Bの上に接する前形成部分であるITO−1層83B,83Cとを備える。
【0092】
BM層82Bは、カーボンを含んだインク材を蒸着印刷することで、数μmと極薄く形成される。ITO−1層83B,83Cは、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサのうち絶縁層84Bの前に形成される一部分であり、導電性材料、たとえば、ITOで構成される。
【0093】
なお、2次元タッチセンサは、ITOで構成される縦センサとしてのITO−1層83Bと、ITOで構成される横センサとしてのITO−1層83CおよびITO−2層86Bと、縦センサと横センサとの絶縁のための絶縁層84Bとを含む。
【0094】
タッチパネル60Bは、さらに、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71CのBM層82B、表示部側タッチセンサ領域61のITO−1層83B,83C、および、表示部側タッチセンサ領域61のITO−1層83B,83Cが形成されていないガラス基板81Bの上に接する絶縁層84B,84Dと、表示部側タッチセンサ領域61の絶縁層84Bの上に接する後形成部分であるITO−2層86Bとを備える。
【0095】
ITO−2層86Bは、2次元タッチセンサのうち絶縁層84Bの後に形成される一部分であり、導電性材料、たとえば、ITOで構成される。
【0096】
タッチパネル60Bは、さらに、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Dの上に接し、導電性材料、たとえば、ITOで構成される1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dを備える。
【0097】
このように構成されているので、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cにアイコンが描画されたBM層82Bが設けられ、かつ、BM層82Bと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dとの間に、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Dが設けられる。
【0098】
アイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cの絶縁層84Dは、1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dに接する。表示部側タッチセンサ領域61の絶縁層84Bは、後形成部分であるITO−2層86Bに接する。絶縁層84B,84Dは、同じ材料で構成される。1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dおよび後形成部分であるITO−2層86Bは、同じ材料で構成される。
【0099】
これにより、絶縁層84B,84Dを同工程で形成することができる。また、後形成部分であるITO−2層86Bと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dとを同工程で形成することができる。
【0100】
このため、BM層82Bと1層構造のタッチセンサを構成するITO−2層86Dとの間に絶縁層84Dを設けることが可能となるとともに、当該絶縁層84Dを設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えてBM層82Bによる動作不良を防止することができる。
【0101】
なお、さらに、縦センサとしてのITO−1層83Bならびに横センサとしてのITO−1層83CおよびITO−2層86Bのそれぞれ1つ1つに接続するように、メタル配線87Bが設けられる。メタル配線87Bは、透過領域51と異なるBM層82Bが形成された領域に設けられる。これにより、メタル配線87Bを外部から視認し難くすることができる。
【0102】
また、上述した各層の最上部を覆うように、絶縁層88Bが設けられる。これにより、導電性を有する各層が、タッチパネル60Bの外部と絶縁される。
【0103】
以上説明した実施の形態の効果について説明する。
(1) 従来、特開2002−333640号公報に示されるように、タッチパネルおよび液晶パネルのようなマトリックス状に透明電極が配置されるデバイスでは、信号の出力部は、デバイスの端部に設けられていた。
【0104】
しかし、このようなデバイスの場合、信号の出力部から引出されるFPCフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)を、当該デバイスを備える携帯端末(たとえば、携帯電話、スマートフォン、ポータブルメディアプレーヤ、タブレット型コンピュータなど)の筐体内に収納するための領域が必要となるため、液晶パネルの表示面およびタッチパネルの操作面よりも広い面を有する筐体とする必要があった。
【0105】
この実施の形態は、以下のように構成されているので、電気機器へコンパクトに搭載することができる。
【0106】
(1−1) タッチパネル(たとえば、タッチパネル60)は、接触を検知し、検知した旨の信号を出力する複数のタッチセンサ領域(たとえば、表示部側タッチセンサ領域61、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71C)と、複数のタッチセンサ領域から出力された信号をまとめて外部に出力する1または複数の信号出力領域(たとえば、ACF領域62)とを備える。信号出力領域は、複数のタッチセンサ領域の間のいずれかの間隙部に設けられる。
【0107】
これによれば、信号出力領域に接続されるFPC(たとえば、FPC63)などの部品の接続部を、複数のタッチセンサ領域を包含する矩形領域を断面とする柱状体の範囲内に収めることができる。その結果、電気機器(たとえば、スマートフォン1)へコンパクトに搭載することができる。
【0108】
(1−2) また、信号出力領域には、タッチパネルから出力された信号を伝達または処理するFPCを接続可能であり、FPCは、接続面と略平行方向に引出される。FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までが、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収納されることが可能である。
【0109】
これによれば、FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までを、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収めることができる。その結果、タッチパネルを電気機器へさらにコンパクトに搭載することができる。
【0110】
(1−3) また、複数のタッチセンサ領域のうちの少なくとも1つは、光を透過可能に形成された透過領域(たとえば、透過領域51)に設けられ、残りは、アイコンが描画された領域(たとえば、アイコン部7A〜7C)にアイコンの接触を検知可能に設けられる。
【0111】
これによれば、タッチパネルの透過領域に液晶パネル(たとえば、液晶パネル50)が設置されることで、表示画面の接触位置を検知可能とすることができるとともに、アイコンに対応付けられた機能を実行可能とすることができる。
【0112】
(1−4) タッチパネルユニットは、タッチパネル(タッチパネル60)と、タッチパネルから出力された信号を伝達または処理するFPC(たとえば、FPC63)とを含む。タッチパネルは、接触を検知し、検知した旨の信号を出力する複数のタッチセンサ領域(たとえば、表示部側タッチセンサ領域61、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71C)と、複数のタッチセンサ領域から出力された信号をまとめて外部に出力する1または複数の信号出力領域(たとえば、ACF領域62)とを備える。
【0113】
信号出力領域は、複数のタッチセンサ領域の間のいずれかの間隙部に設けられる。FPCは、信号出力領域に接続され、接続面と略平行方向に引出される。FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までが、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収納されることが可能である。
【0114】
これによれば、フレキシブルプリント基板の信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までを、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収めることができる。その結果、タッチパネルを電気機器へコンパクトに搭載することが可能なタッチパネルユニットを提供することができる。
【0115】
(1−5) また、複数のタッチセンサ領域のうちの少なくとも1つは、光を透過可能に形成された透過領域(たとえば、透過領域51)に設けられ、残りは、アイコンが描画された領域(たとえば、アイコン部7A〜7C)にアイコンの接触を検知可能に設けられる。
【0116】
これによれば、タッチパネルの透過領域に液晶パネル(たとえば、液晶パネル50)が設置されることで、表示画面の接触位置を検知可能とすることができるとともに、アイコンに対応付けられた機能を実行可能とすることができる。
【0117】
(1−6) また、信号出力領域は、光を透過可能に形成された透過領域(たとえば、透過領域51)と異なる領域(たとえば、BM層82A,82Bが形成された領域)に設けられる。接続部から曲げ部までは、透過領域から透視不能な位置に配置可能である。
【0118】
これによれば、接続部から曲げ部までを、透過領域から透視不能に配置することができる。曲げ部以降は、タッチパネルの内部側に設置される液晶パネル(たとえば、液晶パネル50)およびその他の基板などの裏側に引き回すことで、FPCを透過領域から見えないようにすることができる。その結果、FPCを透過領域から見えないように、タッチパネルユニットを電気機器(たとえば、スマートフォン1)に搭載することができる。
【0119】
(1−7) 電気機器(たとえば、スマートフォン1)は、上述のいずれかのタッチパネルまたはタッチパネルユニットを備える。
【0120】
これによれば、電気機器へコンパクトに搭載することが可能なタッチパネルおよびタッチパネルユニットを搭載した電気機器を提供することができる。
【0121】
(2) 従来、特開2002−333640号公報に示されるように、タッチパネルおよび液晶パネルのようなマトリックス状に透明電極が配置されるデバイスでは、信号の出力部は、デバイスの端部に設けられていた。このようなデバイスでは、背面からパネルを照光する場合に、信号の出力部が照光される光線に干渉しないようにし易い。
【0122】
また、特開2007−234584号公報に示されるように、導光板を用いてタッチセンサを照光する技術があった。このような技術では、照光される光線が他の物によって干渉されないようにすることができる。
【0123】
しかし、特開2002−333640号公報のようなデバイスの場合、信号の出力部から引出されるフレキシブルプリント基板(以下「FPC(Flexible printed circuits)」という)を、当該デバイスを備える携帯端末(たとえば、携帯電話、スマートフォン、ポータブルメディアプレーヤ、タブレット型コンピュータなど)の筐体内に収納するための領域が必要となるため、液晶パネルの表示面およびタッチパネルの操作面よりも広い面を有する筐体とする必要があった。
【0124】
また、特開2007−234584号公報の技術では、LED(Light Emitting Diode)などの光源に加えて、導光板が必要となるため、導光板の部品コストおよび導光板を組込むための製造コストが必要となるといった問題があった。
【0125】
この実施の形態は、以下のように構成されているので、電気機器へコンパクトに搭載することができるとともに、製造コストの増加を抑えた照光ができる。
【0126】
(2−1) タッチパネルユニットは、タッチパネル(たとえば、タッチパネル60)と、タッチパネルから出力された信号を伝達または処理するFPC(たとえば、FPC63)とを含む。タッチパネルは、接触を検知し、検知した旨の信号を出力する複数のタッチセンサ領域(たとえば、表示部側タッチセンサ領域61、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71C)と、複数のタッチセンサ領域から出力された信号をまとめて外部に出力する1または複数の信号出力領域(たとえば、ACF領域62)とを備える。
【0127】
信号出力領域は、複数のタッチセンサ領域の間のいずれかの間隙部に設けられる。複数のタッチセンサ領域のうちの少なくとも1つは、アイコン領域(たとえば、アイコン部7A〜7C)にアイコンの接触を検知可能に設けられ、アイコン領域は、アイコンの一部が光を透過可能なようにアイコンが描画された領域である。
【0128】
タッチパネルユニットは、アイコン領域を背面から照光する照明装置(たとえば、LED72)をさらに備える。FPCは、信号出力領域に接続され、接続面と略平行方向に引出される。FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までが、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収納されることが可能であるとともに、照明装置からアイコン領域への光線を避けて配置されることが可能である。
【0129】
これによれば、FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までを、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に収めることができる。また、照光装置によるアイコン領域の照光を妨げないようにできるので、照光装置以外の構成を設ける必要をなくすることができる。その結果、タッチパネルユニットを電気機器へコンパクトに搭載することができるとともに、製造コストの増加を抑えた照光ができる。
【0130】
(2−2) また、信号出力領域は、光を透過可能に形成された透過領域(たとえば、透過領域51)と異なる領域に設けられる。接続部から曲げ部までは、透過領域から透視不能な位置に配置可能である。
【0131】
これによれば、接続部から曲げ部までを、透過領域から透視不能に配置することができる。曲げ部以降は、タッチパネルの内部側に設置される液晶パネル(たとえば、液晶パネル50)およびその他の基板などの裏側に引き回すことで、FPCを透過領域から見えないようにすることができる。その結果、FPCを透過領域から見えないように、タッチパネルユニットを電気機器に搭載することができる。
【0132】
(2−3) 電気機器(たとえば、スマートフォン)は、上述のいずれかのタッチパネルユニットを備える。
【0133】
これによれば、電気機器へコンパクトに搭載することが可能であるとともに、製造コストの増加を抑えた照光が可能なタッチパネルユニットと搭載した電気機器を提供することができる。
【0134】
(2−4) 電気機器は、接続部から曲げ部までを、柱状体の範囲内に収納させるとともに、光線を避けて配置させる拘束部材(たとえば、キャビネット65)をさらに備える。
【0135】
この発明に従えば、FPCの信号出力領域との接続部から最初の略90度以上の曲げ部までを、タッチパネルの平行投影の投影図のうち面積が最大のものを断面とする柱状体の範囲内に、より確実に、収めることができるとともに、照光装置によるアイコン領域の照光を、より確実に妨げないようにできる。
【0136】
(3) 図9および図10を参照して、図9(A)および図10(A)に示すように、スマートフォンなどの携帯端末の表示部に加えて表示部の下部に所定の操作が可能なアイコン部を設けて、1つのタッチパネル160A,160Bの検知領域で、表示部とアイコン部との両方の接触をそれぞれ検知するものがあった。
【0137】
図9(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO−1層183Aと横センサとしてのITO−2層186Aによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。また、図10(B)で示すように、表示部は、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等で触れた表示部の位置を検知可能とされている。これらの検知信号は、複数のメタル配線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0138】
図9(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Aの縦センサとしてのITO−1層183Aと横センサとしてのITO−2層によって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。また、図10(C)で示すように、アイコン部も、タッチパネル160Bの縦センサとしてのITO−1層183Bと横センサとしてのITO−1層183Cによって、ユーザが指等でアイコン部を触れたか否かを検知可能とされている。これらの検知信号も、複数のメタル配線187A,187Bを通って、それぞれ、タッチパネル160A,160Bの外部に出力される。
【0139】
ここで、タッチパネル160A,160Bにおいては、アイコン部のアイコンの意匠が、BM層182A,182Bで、それぞれ、ガラス基板181A,181Bの上に形成される。なお、図9(A)および図10(A)においては、アイコン部にはITOの層が示されていないが、これは、BM層182A,182Bで表わされる意匠が図面で分かり難くなるので、図示していないためである。
【0140】
このように構成されていることによって、1つのタッチパネル160A,160Bで、表示部のセンサおよびアイコン部のセンサを兼ねることができるとともに、アイコンの意匠も含めることができる。
【0141】
しかし、このように構成した場合、BM層182A,182Bにカーボン等の導電性物質が含まれており、複数列のITO−1層183A,183Bが、それぞれ、BM層182A,182Bと、直接、接触しているため、タッチパネル160A,160Bのセンサ性能に影響を与えてしまうといった問題が生じる。
【0142】
このような黒インクに含まれる炭素質粉体の導電性に起因して誤動作または不動作が起こる問題に対応するために、特開2009−295365号公報に示されているように、意匠インクとして、絶縁性黒インクを用いることが考えられる。これにより、タッチパネルに黒の意匠インクを用いる場合であっても、タッチパネルのセンサ性能に与える影響を減少させることができる。
【0143】
しかし、このようにした場合、インクを形成する素材およびインクの色調の自由度が低くなってしまうといった問題が生じる。特に、ガラス基板181A,181Bの上に、それぞれ、BM層182A,182Bを形成して、その上に、タッチセンサを形成する場合、BM層182A,182Bでの段差による断線の懸念などがあるため、BM層182A,182Bの厚さは、インクをベタ塗りする場合の10〜20μmよりも薄くすることが望ましい。この場合に、インクの選定の自由度が低いと、所望の性能を発揮するインクを選定することが、さらに難しくなってしまう。
【0144】
このような問題を回避するためには、アイコン部のITOの層とBM層182A,182Bとの間に絶縁層を1層追加することが考えられる。このようにすれば、BM層182A,182Bの導電性物質が、アイコン部のITOの層に悪影響を与えることを防止することができる。
【0145】
しかし、塗膜層とセンサ層との間に絶縁層を1層追加するようにした場合、絶縁層を形成するための工程が必要となるため、生産効率が低下し、製造コストが増加してしまうといった問題が生じる。
【0146】
この実施の形態は、以下のように構成されているので、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0147】
(3−1) タッチパネル(たとえば、タッチパネル60)は、1つの透明基板(たとえば、ガラス基板81A,81B)を備える。透明基板は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサを含み、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域(たとえば、表示部側タッチセンサ領域61)と、1層構造のタッチセンサを含み、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域(たとえば、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71C)とを含む。
【0148】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分と後形成部分との間のメイン側絶縁層(たとえば、絶縁層84A,84B)が設けられる。これによれば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層(たとえば、BM82A,82B)を設け、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層(たとえば、絶縁層84C,84D)を設ける場合に、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0149】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0150】
(3−2) また、1層構造のタッチセンサは、導電性材料(たとえば、ITO)で構成される。タッチパネルは、サブタッチセンサ領域の透明基板の上に、透明基板、塗膜層、サブ側絶縁層、および、1層構造のタッチセンサの層(たとえば、ITO−2層86C,86D)の順の層構造をさらに備える。塗膜層は、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された層である。
【0151】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分と後形成部分との間のメイン側絶縁層が設けられる。これによれば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0152】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0153】
(3−3) さらに、2次元タッチセンサは、導電性材料(たとえば、ITO)で構成される縦センサと、導電性材料(たとえば、ITO)で構成される横センサと、縦センサと横センサとの絶縁のためのメイン側絶縁層とを含む。サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接する。メイン側絶縁層は、2次元タッチセンサを構成する部分のうちメイン側絶縁層の後に形成される後形成部分(たとえば、2層構造の2層目としてのITO−2層86A、ブリッジ構造のブリッジとしてのITO−2層86B)に接する。メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成される。1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成される。
【0154】
2次元タッチセンサにおいては、前形成部分(たとえば、2層構造の縦センサとしてのITO−1層83A、ならびに、ブリッジ構造の縦センサとしてのITO−1層83Bおよび横センサの一部としてのITO−1層83C)と後形成部分との間のメイン側絶縁層が設けられる。これによれば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるとともに、サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接し、メイン側絶縁層は、後形成部分に接し、メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成され、1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成されるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0155】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0156】
(3−4) タッチパネル(たとえば、タッチパネル60)は、1つの透明基板(たとえば、ガラス基板81A,81B)を備える。透明基板は、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域(たとえば、表示部側タッチセンサ領域61)と、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域(たとえば、アイコン側タッチセンサ領域71A〜71C)とを含む。タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の透明基板の上に接し、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された塗膜層(たとえば、BM82A,82B)と、メインタッチセンサ領域の透明基板の上に接する前形成部分(たとえば、2層構造の縦センサとしてのITO−1層83A、ならびに、ブリッジ構造の縦センサとしてのITO−1層83Bおよび横センサの一部としてのITO−1層83C)とを備える。前形成部分は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサの一部分であり、導電性材料(たとえば、ITO)で構成される。
【0157】
タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の塗膜層、メインタッチセンサ領域の前形成部分、および、メインタッチセンサ領域の前形成部分が形成されていない透明基板の上に接する絶縁層(たとえば、表示部側の絶縁層84A,84B、アイコン側の絶縁層84C,84D)と、メインタッチセンサ領域の絶縁層の上に接する後形成部分(たとえば、2層構造の横センサとしてのITO−2層86A、ならびに、ブリッジ構造の横センサの残りの一部のブリッジとしてのITO−2層86B)とを備える。後形成部分は、2次元タッチセンサの一部分であり、導電性材料(たとえば、ITO)で構成される。タッチパネルは、さらに、サブタッチセンサ領域の絶縁層の上に接し、導電性材料で構成される1層構造のタッチセンサ(たとえば、ITO−2層86C,86D)を備える。
【0158】
これによれば、サブタッチセンサ領域にアイコンが描画された塗膜層が設けられ、かつ、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間にサブ側絶縁層が設けられるとともに、サブ側絶縁層は、1層構造のタッチセンサの層に接し、メイン側絶縁層は、後形成部分に接し、メイン側絶縁層およびサブ側絶縁層は、同じ材料で構成され、1層構造のタッチセンサの層および後形成部分は、同じ材料で構成されるので、メイン側絶縁層とサブ側絶縁層とを同工程で形成すること、および、後形成部分と1層構造のタッチセンサとを同工程で形成することが可能なタッチパネルとすることができる。
【0159】
このため、塗膜層と1層構造のタッチセンサとの間に絶縁層を設けることが可能となるとともに、当該絶縁層を設けたとしても工程の増加を抑えることが可能となる。その結果、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することができる。
【0160】
(3−5) 電気機器(たとえば、スマートフォン1)は、上述のいずれかのタッチパネルを備える。
【0161】
これによれば、製造コストの増加を抑えて塗膜層による動作不良を防止することが可能なタッチパネルを搭載した電気機器を提供することができる。
【0162】
次に、上述した実施の形態の変形例を説明する。
(1) 前述した実施の形態においては、表示部側タッチセンサ領域61とアイコン側タッチセンサ領域71A〜71Cとを設けるようにした。しかし、これに限定されず、1つの透明基板上に、複数、設けられるのであれば、どのようなタッチセンサ領域であってもよい。
【0163】
(2) 前述した実施の形態においては、静電容量の変化で接触を検知するセンサに層構造の発明を適用する場合について説明した。しかし、層構造の発明が適用されるのは、静電容量の方式のセンサに限定されず、同様の構造であれば、他の方式のセンサであってもよい。
【0164】
(3) 前述した実施の形態における1層構造のタッチセンサの構造としては、1つの領域で形成されるものであっても、複数の領域で形成されるものであってもよい。1つの領域で形成されるものとしては、たとえば、矩形、円形、矩形の角を丸く面取りした形状、および、所定幅の線で渦巻きを形成した形状などがある。複数の領域で形成されるものとしては、1つの領域を取囲むようにもう一方の領域が設けられる形状、および、2つの領域が絡み合った形状などがある。
【0165】
(4) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0166】
1 スマートフォン、5 表示部、7A〜7C,107,107A アイコン部、11 筐体、50,150A 液晶パネル、51,151 透過領域、60,60A,60B,160,160A,160B,161A タッチパネル、61 表示部側タッチセンサ領域、62 ACF領域、63,163A,163B,173B FPC、65,165A キャビネット、66 照光範囲、67 接続部、71A〜71C アイコン側タッチセンサ領域、72,172A,172B LED、81A,81B,181A,181B ガラス基板、82A,82B,182A,182B BM層、83A,83B,83C,183A,183B,183C ITO−1層、84A,84B,84C,84D,88A,88B 絶縁層、86A,86B,86C,86D,186A ITO−2層、87A,87B,187A,187B メタル配線、161 タッチセンサ領域、174B 導光部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの透明基板を備え、
前記透明基板は、
2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサを含み、接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域と、
1層構造のタッチセンサを含み、接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域とを含む、タッチパネル。
【請求項2】
前記1層構造のタッチセンサは、導電性材料で構成され、
前記サブタッチセンサ領域の前記透明基板の上に、前記透明基板、塗膜層、サブ側絶縁層、および、前記1層構造のタッチセンサの層の順の層構造をさらに備え、
前記塗膜層は、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された層である、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記2次元タッチセンサは、前記導電性材料で構成される縦センサと、前記導電性材料で構成される横センサと、前記縦センサと前記横センサとの絶縁のためのメイン側絶縁層とを含み、
前記サブ側絶縁層は、前記1層構造のタッチセンサの層に接し、
前記メイン側絶縁層は、前記2次元タッチセンサを構成する部分のうち前記メイン側絶縁層の後に形成される後形成部分に接し、
前記メイン側絶縁層および前記サブ側絶縁層は、同じ材料で構成され、
前記1層構造のタッチセンサの層および前記後形成部分は、同じ材料で構成される、請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
1つの透明基板を備え、
前記透明基板は、
接触された2次元の位置を検知するためのメインタッチセンサ領域と、
接触されたか否かを検知するための少なくとも1つのサブタッチセンサ領域とを含み、
前記サブタッチセンサ領域の前記透明基板の上に接し、導電性物質を含む塗料でアイコンが描画された塗膜層と、
前記メインタッチセンサ領域の前記透明基板の上に接する前形成部分とをさらに備え、
前記前形成部分は、2次元の接触位置を検知する2次元タッチセンサの一部分であり、導電性材料で構成され、
前記サブタッチセンサ領域の前記塗膜層、前記メインタッチセンサ領域の前記前形成部分、および、前記メインタッチセンサ領域の前記前形成部分が形成されていない前記透明基板の上に接する絶縁層と、
前記メインタッチセンサ領域の前記絶縁層の上に接する後形成部分とをさらに備え、
前記後形成部分は、前記2次元タッチセンサの一部分であり、前記導電性材料で構成され、
前記サブタッチセンサ領域の前記絶縁層の上に接し、前記導電性材料で構成される1層構造のタッチセンサをさらに備える、タッチパネル。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のタッチパネルを備えた、電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114659(P2013−114659A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263529(P2011−263529)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】