タッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法
【課題】基板の撓みを検出して正確なタッチ位置の検出を行う。
【解決手段】検出されたX座標の前回のサイクルにおける値と今回のサイクルにおける値とを比較し、タッチ位置の移動方向を判定する。タッチ位置がX軸方向の値が大きくなる方向に移動しており(ステップS14でYes)、その移動量が所定値より大きいとき(ステップS15でNo)、検出されたX座標の平均値よりも、X軸が大きくなる方向に補正した位置をタッチ位置として特定する(ステップS19)。タッチ位置がX軸方向の値が小さくなる方向に移動しており(ステップS21でYes)、その移動量が所定値より大きいとき(ステップS22でNo)、検出されたX座標の平均値よりも、X軸方向の値が小さくなる方向に補正した位置をタッチ位置として特定する(ステップS25)。それ以外の場合、検出されたX座標の平均値をタッチ位置として特定する。
【解決手段】検出されたX座標の前回のサイクルにおける値と今回のサイクルにおける値とを比較し、タッチ位置の移動方向を判定する。タッチ位置がX軸方向の値が大きくなる方向に移動しており(ステップS14でYes)、その移動量が所定値より大きいとき(ステップS15でNo)、検出されたX座標の平均値よりも、X軸が大きくなる方向に補正した位置をタッチ位置として特定する(ステップS19)。タッチ位置がX軸方向の値が小さくなる方向に移動しており(ステップS21でYes)、その移動量が所定値より大きいとき(ステップS22でNo)、検出されたX座標の平均値よりも、X軸方向の値が小さくなる方向に補正した位置をタッチ位置として特定する(ステップS25)。それ以外の場合、検出されたX座標の平均値をタッチ位置として特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ユーザがその表面を押圧(タッチ)したときに、タッチされた基板の撓みを検出して、タッチ位置を特定するタッチパネルが知られている。例えば特許文献1には、液晶表示素子内に、センシング機構を配置したタッチパネルに係る技術が開示されている。この液晶表示素子においては、当該液晶表示素子の観察者側の基板が、タッチされて撓むと、その基板に形成された電極と、その基板と対向する基板上に形成された電極とが接触する。この2つの電極の接触を検出することで、当該タッチパネル機能を有する液晶表示素子は、タッチされた点を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−95044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようなタッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいては、例えばユーザが基板を押圧しながらその押圧位置を移動させると、その移動の前方側と後方側とでは、基板の形状が非対称になることがある。このような基板の撓み形状の非対称性は、タッチ位置の検出において、誤差の原因となることがある。
【0005】
そこで本発明は、タッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、正確なタッチ位置の検出を行うことができるタッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルの一態様は、検知側の基板と、前記検知側の基板がタッチされた際に、該検知側の基板の撓みを検出する検出部と、前記検出部が出力する前記基板が撓んでいる位置の複数の座標を表す検出信号に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、を具備し、前記演算部は、前記検出信号に基づいて、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【0007】
また、前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルを有する液晶表示素子の一態様は、液晶層を挟んで互いに対向する第1の基板上に形成された画素電極と第2の基板上に形成された対向電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示素子であって、前記第1の基板上に形成された複数の検出ラインと、前記対向電極と間隙を有して対向し、タッチされ前記第2の基板が撓んだときに該対向電極と導通する、前記複数の検出ラインの何れかに接続されている複数の接点電極と、前記検出ラインの各電位が表す前記第2の基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、を具備し、前記演算部は、前記検出ラインの電位が表す前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルの位置検出方法の一態様は、タッチされた際の検知側の基板の撓みを検出し、検出された前記基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定するタッチパネルの位置検出方法において、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、正確なタッチ位置の検出を行うことができるタッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの概略を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチされた位置と、そのときに共通電極に接触する接点を説明するための図。
【図3】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチされた位置と検知される座標を説明するための図。
【図4】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置を移動させたときに前側基板が非対称に撓むことを説明するための概略図。
【図5】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置が移動したときに、タッチされた位置とそのときに共通電極に接触する接点を説明するための図。
【図6】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置が移動したときに、タッチされた位置と検知される座標を説明するための図。
【図7A】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図7B】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図7C】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図8】本発明に係るタッチパネルの処理例を説明するための、タッチされた位置と、そのときに共通電極に接触する接点の位置の例を示す図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの別の例の一部の概略を示す切断斜視図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置の構成例の概略を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置の後側基板の回路構成例の概略を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置のタッチパネルに係る回路構成例の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本実施形態に係るタッチパネルの概略の一部を模式的に示す。当該タッチパネルは、この切断斜視図に示すように、間隙を有して対向する一対の基板を有する。この一対の基板のうち、使用者によって押圧(タッチ)されて撓む側の基板を、前側基板1と称する。また、前側基板1と対向する基板を後側基板2と称する。
【0012】
後側基板2の前側基板1と対向する面には、複数のY座標検出ライン4が互いに平行に配設されている。更に、各Y座標検出ライン4と成す角を90°とするねじれの位置に、複数のX座標検出ライン3が互いに平行に配設されている。本説明では、図1の左上に示す様に、Y座標検出ライン4が延伸する方向をX軸方向と定義し、X軸方向の座標をX座標と定義する。また、X座標検出ライン3が延伸する方向をY軸方向と定義し、Y軸方向の座標をY座標と定義する。
【0013】
X座標検出ライン3とY座標検出ライン4とが交差する位置(以下、交差点と称する)に対応して、交差点の近傍には、X座標検出用接点電極5が配置されている。X座標検出用接点電極5は、前記対応する交差点を構成するX座標検出ライン3に接続されている。また、X座標検出用接点電極5が配置された交差点の近傍には、交差点に対応して、Y座標検出用接点電極6が配置されている。Y座標検出用接点電極6は、前記対応する交差点を構成するY座標検出ライン4に接続されている。ここで、各X座標検出ライン3は、複数のX座標検出用接点電極5と接続されており、各Y座標検出ライン4は、複数のY座標検出用接点電極6と接続されている。
前側基板1の後側基板2と対向する面には、対向電極7が形成されている。ここで、X座標検出用接点電極5と対向電極7との間、及びY座標検出用接点電極6と対向電極7との間には、間隙が設けられている。
【0014】
前側基板1が使用者によりタッチされて撓むと、そのタッチされた部分で、X座標検出用接点電極5と対向電極7とが電気的に導通する。その結果、対向電極7と導通したX座標検出用接点電極5、及びその接点電極と接続しているX座標検出ライン3の電位は、対向電極7の電位と等しくなる。同様に、前側基板1が使用者によりタッチされて撓むと、そのタッチされた部分で、Y座標検出用接点電極6と対向電極7とが電気的に導通する。その結果、対向電極7と導通したY座標検出用接点電極6、及びその接点電極と接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極7の電位と等しくなる。したがって、座標検出用コントローラ10は、X座標検出ライン3の電位を計測し、その電位が対向電極7と等電位になっているX座標検出ライン3を同定することで、タッチされている位置のX座標を取得できる。同様に、座標検出用コントローラ10は、Y座標検出ライン4の電位を計測し、その電位が対向電極7と等電位になっているY座標検出ライン4を同定することで、タッチされている位置のY座標を取得できる。
【0015】
以降、図2に示すように、X座標検出ライン3がX軸方向に20本並び、Y座標検出ライン4がY軸方向に20本並び、X座標検出ライン3とY座標検出ライン4との各交点に、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が配置されている場合を例に挙げて説明を行う。ここで、X座標は、図2における右から左へ順に1から20とし、これらを各X座標検出ライン3に対応付けて図2における上部に表記した。同様に、Y座標は、図2における上から下へ順に1から20とし、これらを各Y座標検出ライン4に対応付けて図2における右部に表記した。ここで、20点×20点の検出点というのは、勿論一例であり、この数は通常もっと多い。
【0016】
図2に示すように、ユーザによって黒丸印で示した座標(X,Y)=(4,3)がタッチされたとする。なお、ここでは、タッチされている点は静止しているものとする。このとき、図2中で、黒丸印で示した座標(X,Y)=(4,3)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が、対向電極7と接触する。このとき、当該タッチに用いられるユーザの指やスタイラスペンの先端の大きさは、X座標検出ライン3同士の間隔やY座標検出ライン4同士の間隔に比べて大きいため、また、前側基板1が撓む領域は、ユーザの指やスタイラスペンの先端の大きさに比べて広いため、ユーザがタッチしていると意図する部分よりも広範囲で、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が対向電極7と接触する。即ち、例えば、白丸印で示した座標(X,Y)=(2,2),(2,3),(2,4),(3,1),(3,2),(3,3),(3,4),(3,5),(4,2),(4,4),(4,5),(5,1),(5,2),(5,3),(5,4),(6,2),(6,3),(6,4),(6,5)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6も、対向電極7と接触する。
【0017】
その結果、X軸座標が、X=2,3,4,5,6であるX座標検出ライン3の電位が対向電極7の電位と等しくなる。同様に、Y軸座標が、Y=1,2,3,4,5であるY座標検出ライン4の電位が対向電極7の電位と等しくなる。即ち、座標検出用コントローラ10は、図3に示す斜線を付した丸印で示した各点について接触を検知する。
【0018】
タッチされる位置が静止している場合、上述の様になるが、タッチされる位置が移動している場合、次のようになる。即ち、図4(a)に模式図を示すように、例えばユーザが用いるスタイラスペン90が、前側基板1を押圧しながら移動すると、前側基板1は、非対称に撓む。これは、図4(b)に模式図を示すように、タッチされる位置が静止している場合とは異なる。例えば前記した座標(X,Y)=(4,3)がタッチされた状態から、前側基板1上をスタイラスペン90が移動し、タッチ位置が、図5に黒丸印で示す座標(X,Y)=(12,11)となったとする。このとき、図5中で、黒丸印で示した座標(X,Y)=(12,11)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6と対向電極7とが接触すると共に、前側基板1が図4(a)に示すように撓むので、タッチされる位置の移動方向の後方側、即ち、例えば図5に白丸印で示した座標(X,Y)=(8,8),(8,9),(9,8),(9,9),(9,10),(10,7),(10,8),(10,9),(10,10),(11,7),(11,8),(11,9),(11,10),(11,11),(12,9),(12,10)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6も、対向電極7と接触する。
【0019】
その結果、X軸座標が、X=8,9,10,11,12であるX座標検出ライン3の電位が対向電極7の電位と等しくなる。同様に、Y軸座標が、Y=7,8,9,10,11であるY座標検出ライン4の電位が対向電極7の電位と等しくなる。即ち、座標検出用コントローラ10は、図6に示す斜線を付した丸印で示した各点について接触を検知する。
【0020】
タッチされている点が静止しているときは、座標検出用コントローラ10は、接触が検知された複数の座標の中心点を、ユーザがタッチした座標として特定すればよい。例えば、図2に示した座標(4,3)がタッチされたとき、座標検出用コントローラ10は、図3において斜線を付した丸印で示す接触を検知した複数の点の中心、即ち、この場合は、座標(4,3)をタッチされた点として特定すればよい。
【0021】
これに対して、タッチされている点が移動しているときは、タッチされている点が静止しているときと同様に、接触が検知された複数の座標の中心点を、ユーザがタッチした座標として特定すると次のようになる。例えば、図5に示した座標(12,11)がタッチされたとき、座標検出用コントローラ10が、図6において斜線を付した丸印で示す接触を検知した複数の点の中心、即ち、この場合は、座標(10,9)をタッチされた点として特定すると、実際にタッチされている点とずれが生じる。即ち、タッチされていると特定する点に誤差が発生する。本実施形態では、この誤差を補正するような処理を行う。
【0022】
本実施形態に係るタッチパネルの、座標検出用コントローラ10の処理を、図7A、図7B、図7Cに示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、例えば10ms毎等、所定時間毎に繰り返し実行されるループ処理である。この周期は、通常はタッチ位置を検知する周期と同期する。
【0023】
ステップS1において、座標検出用コントローラ10は、当該タッチパネルがタッチされているか否か、即ち、X座標検出ライン3及びY座標検出ライン4のうち、その電位が対向電極7の電位と等しいものがあるか否かを判定する。
ステップS1の判定で、当該タッチパネルがタッチされていない(No)と判定された場合、ステップS2において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1を0に設定する。この検出フラグFLG1は、前回のサイクルにおいて、当該タッチパネルがタッチされていたか否かを示すフラグである。
【0024】
ステップS3において、座標検出用コントローラ10は、X座標の動き検出カウンターであるXCNT1及びXCNT2を、共に0に設定する。ここで、XCNT1は、タッチ位置のX座標が増加する方向(左側)に動いた回数をカウントする変数であり、XCNT2は、タッチ位置のX座標が減少する方向(右側)に動いた回数をカウントする変数である。
ステップS4において、座標検出用コントローラ10は、Y座標の動き検出カウンターであるYCNT1及びYCNT2を、共に0に設定する。ここで、YCNT1は、タッチ位置のY座標が増加する方向(下側)に動いた回数をカウントする変数であり、YCNT2は、タッチ位置のY座標が減少する方向(上側)に動いた回数をカウントする変数である。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS42に移す。
【0025】
一方、ステップS1の判定で、当該タッチパネルがタッチされている(Yes)と判定された場合、ステップS5において、座標検出用コントローラ10は、X座標検出ライン3及びY座標検出ライン4のうち、その電位が対向電極7の電位と等しいものを特定する解析を行う。即ち、例えば、図3や図6における斜線を付した丸印に相当する、検知されたX座標及びY座標を特定する。
【0026】
ステップS6において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1の値が1であるか否かを判定する。
ステップS6の判定で、検出フラグFLG1の値が1である(Yes)と判定された場合、ステップS7において、座標検出用コントローラ10は、前回のX座標の最大値を示すXmax2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるX座標の最大値が設定されているXmax1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のY座標の最大値を示すYmax2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるY座標の最大値が設定されているYmax1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のX座標の最小値を示すXmin2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるX座標の最小値が設定されているXmin1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のY座標の最小値を示すYmin2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるY座標の最小値が設定されているYmin1の値を設定する。
【0027】
ステップS8において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたX座標の最大値をXmax1に設定し、X座標の最小値をXmin1に設定する。
同様に、ステップS9において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたY座標の最大値をYmax1に設定し、Y座標の最小値をYmin1に設定する。次に座標検出用コントローラ10は、処理をステップS14に移す。
【0028】
一方、ステップS6の判定で、検出フラグFLG1の値が1でない(No)と判定された場合、ステップS10において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1を1に設定する。
続いてステップS11において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたX座標の最大値をXmax1に設定し、X座標の最小値をXmin1に設定する。
同様に、ステップS12において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたY座標の最大値をYmax1に設定し、Y座標の最小値をYmin1に設定する。
【0029】
ステップS13において、座標検出用コントローラ10は、Xmax2にXmax1の値を設定し、Ymax2にYmax1の値を設定し、Xmin2にXmin1の値を設定し、Ymin2にYmin1の値を設定する。このように、タッチされて1回目のサイクルにおいては、Xmax2とXmax1の値、Ymax2とYmax1の値、Xmin2とXmin1の値、Ymin2とYmin1の値をそれぞれ同じ値とする。次に座標検出用コントローラ10は、処理をステップS14に移す。
【0030】
ステップS14において、座標検出用コントローラ10は、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1であるか否かを判定する。ステップS14の判定の結果、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がX座標の値が増加する方向(左側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS15に移す。
【0031】
ステップS15において、座標検出用コントローラ10は、XCNT1<Cnt_Level1であるか否かを判定する。この判定の結果、XCNT1<Cnt_Level1である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が増加する方向(左側)に移動した回数(サイクル数)が所定回数(Cnt_Level1)より少ないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS16に移す。
【0032】
ステップS16において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT1の値を1増加させる。
ステップS17において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を0に設定する。
ステップS18において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0033】
一方、ステップS15における判定の結果、XCNT1<Cnt_Level1でない(No)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が増加する方向(左側)に所定回数(Cnt_Level1)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS19において、タッチ位置のX座標Xtouchを、次式(1)に基づいて算出する。
【0034】
Xtouch=(Xmax1−Xmin1)/XgainP+Xmin1 ・・(1)
ここで、XgainPは、所定の値であり、タッチされたと特定する位置のX座標Xtouchを、検知されたX座標の平均からどれだけ左に偏らせるかを表す値である。例えば、XgainP=1とすると、タッチ位置のX座標Xtouchは、Xmax1、即ち、検出された座標のうち左端の座標となる。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS28に移す。
【0035】
ステップS14の判定の結果、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間にタッチ位置が左に動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS20に移す。
【0036】
ステップS20において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT1の値を0に設定する。
ステップS21において、座標検出用コントローラ10は、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3であるか否かを判定する。ステップS21の判定の結果、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がX座標の値が減少する方向(右側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS22に移す。
【0037】
ステップS22において、座標検出用コントローラ10は、XCNT2<Cnt_Level3であるか否かを判定する。この判定の結果、XCNT2<Cnt_Level3である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が減少する方向(右側)に所定回数(Cnt_Level3)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS23に移す。
【0038】
ステップS23において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を1増加させる。
ステップS24において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0039】
一方、ステップS22における判定の結果、XCNT2<Cnt_Level3でない(No)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が減少する方向(右側)に所定回数(Cnt_Level3)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS25において、タッチ位置のX座標Xtouchを、次式(2)に基づいて算出する。
【0040】
Xtouch=(Xmax1−Xmin1)/XgainM+Xmin1 ・・(2)
ここで、XgainMは、所定の値であるものとし、XgainMは、タッチされたと特定する位置のX座標Xtouchを、検出されたX座標の平均からどれほど右に偏らせるかを表す値である。例えば、XgainM=∞とすると、タッチされたと特定する位置は、Xmin1、即ち、検出された座標のうち右端の座標となる。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0041】
ステップS21の判定の結果、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置が右側に動いていないと判定されるとき、つまり、右にも左にも動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS26に移す。
【0042】
ステップS26において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を0に設定する。
ステップS27において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0043】
ステップS28において、座標検出用コントローラ10は、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2であるか否かを判定する。ステップS28の判定の結果、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がY座標の値が増加する方向(下側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS29に移す。
【0044】
ステップS29において、座標検出用コントローラ10は、YCNT1<Cnt_Level2であるか否かを判定する。この判定の結果、YCNT1<Cnt_Level2である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が増加する方向(下側)に所定回数(Cnt_Level2)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS30に移す。
ステップS30において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT1の値を1増加させる。
ステップS31において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を0に設定する。
ステップS32において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0045】
一方、ステップS29における判定の結果、YCNT1<Cnt_Level2でない(No)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が増加する方向(下側)に所定回数(Cnt_Level2)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS33において、タッチ位置のY座標Ytouchを、次式(3)に基づいて算出する。
【0046】
Ytouch=(Ymax1−Ymin1)/YgainP+Ymin1 ・・(3)
ここで、YgainPは、所定の値であるものとし、YgainPは、タッチされたと特定する位置のY座標Ytouchを、検知されたY座標の平均からどれだけ下側に偏らせるかを表す値である。例えば、YgainP=1とすると、タッチ位置のY座標Ytouchは、Ymax、即ち、検出された座標のうち下端の座標となる。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS42に移す。
【0047】
ステップS28の判定の結果、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置が下に動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS34に移す。
【0048】
ステップS34において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT1の値を0に設定する。
ステップS35において、座標検出用コントローラ10は、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4であるか否かを判定する。ステップS35の判定の結果、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4である(Yes)とき、即ち、前回のルーチンから今回のルーチンまでの間に、タッチ位置がY座標の値が減少する方向(上側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS36に移す。
【0049】
ステップS36において、座標検出用コントローラ10は、YCNT2<Cnt_Level4であるか否かを判定する。この判定の結果、YCNT2<Cnt_Level4である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が減少する方向(上側)に所定回数(Cnt_Level4)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS37に移す。
ステップS37において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を1増加させる。
ステップS38において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0050】
一方、ステップS36における判定の結果、YCNT2<Cnt_Level4でない(No)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が減少する方向(上側)に所定回数(Cnt_Level4)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS39において、タッチ位置のY座標Ytouchを、次式(4)に基づいて算出する。
【0051】
Ytouch=(Ymax1−Ymin1)/YgainM+Ymin1 ・・(4)
ここで、YgainMは、所定の値であるものとし、YgainMは、タッチされたと特定する位置のY座標Ytouchを、検出されたY座標の平均からどれほど上に偏らせるかを表す値である。例えば、YgainM=∞とすると、タッチされたと特定する位置は、Ymin1、即ち、検出された座標のうち上端の座標となる。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0052】
ステップS35の判定の結果、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4でない(No)とき、即ち、前回のルーチンから今回のルーチンまでの間に、タッチ位置が上側に動いていないと判定されるとき、つまり、上にも下にも動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS40に移す。
【0053】
ステップS40において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を0に設定する。
ステップS41において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0054】
ステップS42において、座標検出用コントローラ10は、タッチ位置を特定する本処理の終了が要求されているか否かを判定する。この判定の結果、終了の要求がない(No)とき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS1に戻す。一方、終了の要求がある(Yes)とき、座標検出用コントローラ10は、処理を終了する。
【0055】
このように、例えば前側基板1は、検知側の基板として機能し、例えばX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6は、検知側の基板の撓みを検出する検出部として機能し、例えば座標検出用コントローラ10は、タッチされた位置を特定する演算部として機能する。ここでは、前側基板1が撓んでいる位置の複数の座標の中心に係る座標として、例えばXmax1とXmin1との平均値を算出する平均化処理によって求まる座標を用いた。しかしながら、ここでの座標の算出は、単純な平均に限らず、例えばタッチパネル上の位置に応じて重み付けを用いた計算など、他の方法により求めたものでもよい。
【0056】
上述の本実施形態に係るタッチパネルの動作例の概要を、図8を参照して説明する。図8のように、ユーザが、まず座標(X,Y)=(4,3)をタッチしたとする。このとき、図8において、破線で囲ったAの領域内の黒丸印の座標をユーザはタッチしているが、白丸印で示した各点に由来する信号も検出される。次に、ユーザは、タッチ位置を移動させていく。このとき、座標検出用コントローラ10の処理の間隔に応じた検出時に、ユーザがタッチしている位置の座標は、順に座標(X,Y)=(12,11)、(18,17)、(8,17)、(1,17)であるとする。このとき、図8において、破線で囲ったBの領域、Cの領域、Dの領域、Eの領域内の、それぞれの黒丸印の座標をユーザはタッチしているが、白丸印で示した各点に由来する信号も検出される。このような状況を考えて、以下説明する。
【0057】
なお、本説明においては、Detect_Level1、Detect_Level2、Detect_Level3、Detect_Level4は、全て3に設定したものとする。また、Cnt_Level1、Cnt_Level2、Cnt_Level3、Cnt_Level4は、全て1に設定したものとする。また、XgainP及びYgainPは1に、XgainM及びYgainMは∞に、それぞれ設定したものとする。
【0058】
まず、1サイクル目において、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=2,3,4,5,6であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=1,2,3,4,5であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1でない(No)と判断される。ステップS10において、検出FLG1が1に設定される。ステップS11において、Xmax1に6が、Xmin1に2がそれぞれ設定される。ステップS12において、Ymax1に5が、Ymin1に1がそれぞれ設定される。ステップS13において、Xmax2に6が、Ymax2に5が、Xmin2に2が、Ymin2に1がそれぞれ設定される。
【0059】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=0がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断され、ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=0がDetect_Level3=3よりも大きくない(No)と判断され、ステップS26において、X座標動き検出カウンターXCNT2が0に設定される。ステップS27において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、4であると決定される。
【0060】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=0がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断され、ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=0がDetect_Level4=3よりも大きくない(No)と判断され、ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、3であると決定される。
以上の様にして、1サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(4,3)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、2サイクル目の処理が行われる。
【0061】
2サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=8,9,10,11,12であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=7,8,9,10,11であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が6に、Xmin2が2に、Ymax2が5に、Ymin2が1にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が12に、Xmin1が8に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が11に、Ymin1が7に、それぞれ設定される。
【0062】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS15において、XCNT1=0がCNT_Level1=1よりも小さい(Yes)と判断され、ステップS16において、XCNT1が1に設定され、ステップS17において、XCNT2が0に設定される。ステップS18において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、10であると決定される。
【0063】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=6がDetect_Level2=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS29において、Y座標動き検出カウンターYCNT1=0が、CNT_Level2=1よりも小さい(Yes)と判断され、ステップS30において、YCNT1が1に設定され、ステップS31において、YCNT2が0に設定される。ステップS32において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、9であると決定される。
以上の様にして、2サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(10,9)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、3サイクル目の処理が行われる。
【0064】
3サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=14,15,16,17,18であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=13,14,15,16,17であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が12に、Xmin2が8に、Ymax2が11に、Ymin2が7にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が18に、Xmin1が14に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が17に、Ymin1が13に、それぞれ設定される。
【0065】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS15において、XCNT1=1がCNT_Level1=1よりも小さくない(No)と判断され、ステップS19において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(1)に基づいて、タッチ位置のX座標Xtouchは、18であると決定される。
【0066】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=6がDetect_Level2=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS29において、Y座標動き検出カウンターYCNT1=1が、CNT_Level2=1よりも小さくない(No)と判断され、ステップS33において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(3)に基づいて、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると決定される。
以上の様にして、3サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(18,17)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、4サイクル目の処理が行われる。
【0067】
4サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=8,9,10,11,12であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=15,16,17,18,19であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が18に、Xmin2が14に、Ymax2が17に、Ymin2が13にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が12に、Xmin1が8に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が19に、Ymin1が15に、それぞれ設定される。
【0068】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=−6がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断される。ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS22において、XCNT2=0がCNT_Level3=1よりも小さい(Yes)と判断される。ステップS23において、X座標動き検出カウンターXCNT2が1に設定される。ステップS24において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、10であると決定される。
【0069】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=2がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断される。ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=−2がDetect_Level4=3より大きくない(No)と判断される。ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると決定される。
以上の様にして、4サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(10,17)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、5サイクル目の処理が行われる。
【0070】
5サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=1,2,3,4,5であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=15,16,17,18,19であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が12に、Xmin2が8に、Ymax2が19に、Ymin2が15にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が5に、Xmin1が1に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が19に、Ymin1が15に、それぞれ設定される。
【0071】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=−7がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断される。ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=7がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS22において、XCNT2=1がCNT_Level3=1よりも小さくない(No)と判断される。ステップS25において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(2)に基づいて、タッチ位置のX座標Xtouchは、1であると決定される。
【0072】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=0がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断される。ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=0がDetect_Level4=3より大きくない(No)と判断される。ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると特定される。
以上の様にして、5サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(1,17)であると決定される。その後、処理は終了する。
【0073】
この例では上記のように、1サイクル目、2サイクル目、3サイクル目、4サイクル目、5サイクル目に、ユーザがタッチしている点は、順に座標(X,Y)=(4,3)、(12,11)、(18,17)、(8,17)、(1,17)である。仮に、これら全てについて、前記の平均化処理により、タッチされている座標を特定すると、順に座標(X,Y)=(4,3)、(10,9)、(16,15)、(10,17)、(3,17)がタッチされている点として決定される。これに対して本実施形態によれば、順に座標(X,Y)=(4,3)、(10,9)、(18,17)、(10,17)、(1,17)がタッチされている点として決定される。このように、本実施形態によれば、タッチ位置の静止又は移動に応じて、タッチされている点として決定する座標の算出方法を異ならせるので、より実際に即した正確な検出が可能になっている。
【0074】
上述の例では、Cnt_Level1、Cnt_Level2、Cnt_Level3、Cnt_Level4は、全て1に設定しているので、同じ方向に2回以上連続で移動しているときに補正を行う設定である。この値は、装置の特性、使用状況等に応じて、任意に設定することができる。また、Detect_Level1、Detect_Level2、Detect_Level3、Detect_Level4は、全て3に設定しているので、座標3つ分より大きく移動したときに、タッチ位置が移動していると判断され処理が行われるが、この値も任意に設定することができる。
【0075】
また、本実施形態のように、XgainP、YgainP、XgainM、YgainMを固定された所定の値とせずに、タッチ位置の移動量、即ち所定時間内での動いた距離に応じて変化する値とすることで、更に正確なタッチ位置の検出が可能になる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ側の基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、タッチされている位置が静止しているか移動しているかを検知して、それに応じてタッチ位置の決定の方法を異ならせるので、タッチ位置が静止している状況においても、移動している状況においても、正確なタッチ位置の特定が可能になる。
【0077】
なお、本実施形態の説明では、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6と、対向電極7とが接触することにより、座標を検出するタッチパネルを例に挙げて説明したが、ユーザ側の基板のタッチによる撓みを検出する方式であれば、その他の方式のタッチパネルにおいても適用することができる。例えば、図9に示すような、対向する基板上に形成された帯状の抵抗膜の接触によって位置を特定するタッチパネルにおいて適用してもよい。図9に示すタッチパネルは、簡単には、後側基板2の前側基板1と対向する面上に、帯状のY座標検出用抵抗膜24が形成されている。また、前側基板1の後側基板2と対向する面上に、帯状のX座標検出用抵抗膜23が形成されている。例えば、X座標検出用抵抗膜23に順次電圧を印加し、電位がX座標検出用抵抗膜23の電位と等しいY座標検出用抵抗膜24と、その電位が等しくなるタイミングを取得し、それらに基づいて、タッチされている位置を決定することができる。このようなタッチパネルにも本実施形態の適用が可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0078】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については説明を省略する。本実施形態は、第1の実施形態に係るタッチパネルを、液晶表示装置内に構築した実施形態である。
本実施形態に係る液晶表示装置の概略を図10に示す。本液晶表示装置は、タッチパネル機能を有する液晶表示パネル100と、ドライバ素子130と、コモン信号発生回路133と、表示用コントローラ134と、座標検出用コントローラ10と、メインコントローラ135と、を有する。
【0079】
液晶表示パネル100は、薄膜トランジスタ(TFT)をアクティブ素子としたアクティブマトリックス型の液晶表示パネルである。ここでは、本実施形態に係る液晶表示装置は、水平方向に240画素、垂直方向に320画素を有する縦置きのQVGA(以下、QVGAポートレートと称する)の表示パネルである。液晶表示パネル100は、液晶層を挟んで互いに対向する後側基板102と前側基板101とを有する。図示しないバックライトから出射した光は、液晶表示パネル100を後側基板102から前側基板101に向けて透過し、ユーザに到達する。本実施形態の説明では、前側基板101側を観察側、後側基板102側をバックライト側と定義する。
【0080】
後側基板102の観察側の面の画面エリア120内の領域には、複数の透明な画素電極125が形成されている。例えば画素電極125は、図11に示す様に、X軸方向及びY軸方向に配列されている。各画素電極125の形状は、X軸方向の電極幅がY軸方向の電極長さよりも小さい、長方形である。各画素電極125は、スイッチング素子として働く表示用薄膜トランジスタ(表示用TFT)126のドレイン端子にそれぞれ接続されている。各表示用TFT126は、長方形である各画素電極125の、一隅角(例えば図11における左下隅)に配置されている。
【0081】
また、後側基板102の観察側の面には、X軸方向に並ぶ画素電極125に沿って、X軸方向に走査線123が形成されている。各走査線123は、X軸方向に並ぶ画素電極125の表示用TFT126が配置された側の端(図11において各画素電極125の下端側)に沿わせて設けられており、当該走査線123に沿って配置された表示用TFT126の各ゲート端子に接続されている。
【0082】
更に、後側基板102の観察側の面には、Y軸方向に並ぶ画素電極125に沿って、Y軸方向に信号線124が形成されている。各信号線124は、Y軸方向に並ぶ画素電極125の表示用TFT126が配置された側の端(図11において各画素電極125の左端側)に沿わせて設けられており、当該信号線124に沿って配置された表示用TFT126の各ソース端子に接続されている。
【0083】
また、後側基板102の一端部を前側基板101の外方に張り出して形成されたドライバ搭載部102aには、ドライバ素子130が、図10に示す様に搭載されている。このドライバ素子130は、図11に示す様に、走査ドライバ131とデータドライバ132とが形成された、LSI(Large Scale Integrated Circuit;大規模集積回路)からなる。各走査線123は、ドライバ搭載部102aに導出されて(図示せず)、走査ドライバ131の各出力端子に接続されており、各信号線124は、同様にドライバ搭載部102aに導出されて(図示せず)、データドライバ132の各出力端子に接続されている。
【0084】
前側基板101のバックライト側には、複数の画素電極125と対向する一枚膜状の透明な対向電極107が形成されている。対向電極107は、コモン信号発生回路133に接続されており、対向電極107の電位は、コモン信号発生回路133により制御される。
【0085】
本液晶表示パネル100は、第1の実施形態に係るタッチパネルが組み込まれている。ここで、後側基板102は、後側基板2に相当し、前側基板101は、前側基板1に相当し、対向電極107は、対向電極7に相当する。後側基板102の観察側には、例えば図11に示す様に、X軸方向に並ぶ3つの画素電極125毎に、Y軸方向にX座標検出ライン3が配設されている。即ち、赤、緑及び青の3色からなる1画素毎に、1本のX座標検出ライン3が配設されている。また、Y軸方向に並ぶ1つの画素電極125毎に、X軸方向にY座標検出ライン4が配設されている。
【0086】
この各X座標検出ライン3は、図11に示す様に、Y軸方向に配列した各画素電極125と、当該画素電極125と隣り合う列の各画素電極125に接続された表示用TFT126にデータ信号を供給する信号線124との間に、信号線124と平行に形成されている。また、各Y座標検出ライン4は、X軸方向に配列された各画素電極125と、当該画素電極125と隣り合う行の各画素電極125に接続された表示用TFT126にゲート信号を供給する走査線123との間に、走査線123と平行に形成されている。X座標検出ライン3には、X座標検出用接点電極5が接続されており、Y座標検出ライン4には、Y座標検出用接点電極6が接続されている。
【0087】
また、X座標検出用接点電極5と対向電極107との間、及びY座標検出用接点電極6と対向電極107との間には間隙が設けられている。本表示装置のユーザにより、前側基板101が観察側から押圧されて撓むと、対向電極107とその部分に存在するX座標検出用接点電極5とが導通する。その結果、対向電極107と導通したX座標検出用接点電極5、及びその接点電極に接続するX座標検出ライン3は、対向電極107と等電位になる。また、対向電極107とその部分に存在するY座標検出用接点電極6とが導通する。その結果、対向電極107と導通したY座標検出用接点電極6、及びその接点電極に接続するY座標検出ライン4は、対向電極107と等電位になる。
【0088】
更に、後側基板102の観察側の面上であり、画面エリア120の領域外(図11において画面エリア120の右側の領域)である領域には、複数のX座標検出用薄膜トランジスタ(X座標検出用TFT)108、及び複数のY座標検出用薄膜トランジスタ(Y座標検出用TFT)109が形成されている。各Y座標検出用TFT109は、画面エリア120の領域外のうち、画面エリア120と隣接する部分に、Y軸方向に1列に並べて配置されている。各Y座標検出用TFT109が配置される間隔は、各Y座標検出ライン4の間隔と同程度である。
一方、前記各X座標検出用TFT108は、前記各Y座標検出用TFT109の画面エリア120からみて更に外側となる位置に、前記各Y座標検出用TFT109とそれぞれ隣り合わせに、1列に並べて配置されている。
【0089】
X座標検出用TFT108は、X座標検出ライン3と同じ数存在する。各X座標検出用TFT108のソース端子は、それぞれ別々のX座標検出ライン3に接続されている。ここで、X座標検出ライン3とX座標検出用TFT108とは、前記画面エリア120の外側で引き回された延長ライン115により接続している。また、各X座標検出用TFT108のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に、延長ライン110を介して接続している。各X座標検出用TFT108のドレイン端子は、X座標検出用出力ライン111に接続されている。このX座標検出用出力ライン111は、外部回路接続端子113に接続されている。この外部回路接続端子113は、ドライバ搭載部102a(図10参照)に設けられている。
【0090】
一方、Y座標検出用TFT109は、Y座標検出ライン4と同じ数存在する。各Y座標検出用TFT109のソース端子は、それぞれ別々のY座標検出ライン4に接続されている。また、各Y座標検出用TFT109のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に、延長ライン110を介して接続されている。各Y座標検出用TFT109のドレイン端子は、Y座標検出用出力ライン112に接続されている。このY座標検出用出力ライン112は、X座標検出用出力ライン111と同様に、ドライバ搭載部102aに設けられた外部回路接続端子114に接続されている。
【0091】
尚、本液晶表示パネル100は、前記液晶層の液晶分子を、後側基板102及び前側基板101の間において液晶分子をツイスト配向させたツイステッドネマティック(TN)型若しくはスーパーツイステッドネマティック(STN)型、液晶分子を後側基板102及び前側基板101の面に対して垂直に配向させた垂直配向型(Vertical Alignment方式;VA方式)、横電界型のIn−Plane Switching方式(IPS方式)の液晶パネルを含む液晶分子の分子長軸を一方向に揃えて後側基板102に平行に配向させた水平配向型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型(Optically Compensated Birefringenece方式;OCB方式)、又は強誘電性若しくは反強誘電性液晶表示パネル等、種々の液晶表示パネルのうち何れでも良い。また、ポリマーネットワーク型液晶表示パネルでも良い。
【0092】
図10に示す様に、ドライバ素子130の走査ドライバ131とデータドライバ132とは、前記した液晶表示パネル100に接続される外部回路の表示用コントローラ134に接続されている。また、対向電極107に電圧を印加するコモン信号発生回路133は、表示用コントローラ134に接続されている。また、X座標検出用出力ライン111の外部回路接続端子113は、前記した座標検出用コントローラ10に接続し、同様にY座標検出用出力ライン112の外部回路接続端子114は、座標検出用コントローラ10に接続されている。座標検出用コントローラ10は、前記第1の実施形態に係る座標検出用コントローラ10と同様のものである。これら表示用コントローラ134と座標検出用コントローラ10とは、それぞれ、それらを制御するメインコントローラ135と接続している。
【0093】
このように、例えば後側基板102は、第1の基板として機能し、例えば前側基板101は、第2の基板として機能し、例えば画素電極125は、画素電極として機能し、例えば対向電極107は、対向電極として機能し、例えばX座標検出用接点電極5は、第1の接点電極として機能し、例えばY座標検出用接点電極6は、第2の接点電極として機能し、例えばX座標検出ライン3は、第1の検出ラインとして機能し、例えばY座標検出ライン4は、第2の検出ラインとして機能し、例えば座標検出用コントローラ10は、演算部として機能する。
【0094】
次に、本実施形態に係る液晶表示装置の動作を説明する。液晶表示パネル100において、コモン信号発生回路133から出力されたコモン信号(Vcom信号)は、対向電極107に印加される。表示用コントローラ134の走査ドライバ131は、各走査線123を順次選択し、選択した走査線123に、表示用TFT126をONさせるゲート信号を、選択期間印加する。また、表示用コントローラ134のデータドライバ132は、各信号線124に、前記Vcom信号に対して画像データに対応した電位差をもつデータ信号を、走査線123の選択期間印加する。液晶表示パネル100は、上記の通り表示駆動される。尚、本実施形態では、液晶表示パネル100の表示駆動方式に、各走査線123の選択期間毎に、対向電極107に印加するVcom信号の電圧を、ハイレベル(以下、Hレベルという)とローレベル(以下、Lレベルという)とに反転させるライン反転方式を用いている。
【0095】
次に、液晶表示パネル100のタッチパネルとしての動作を説明する。ここで、図11からタッチパネル機能に関する構成を抜粋した回路構成の概略を、図12に示す。各走査線123、各X座標検出用TFT108、各Y座標検出用TFT109、各X座標検出ライン3、及び各Y座標検出ライン4に以下の名称をつける。即ち、図12における上端側から、1行目の画素電極125に接続する表示用TFT126のゲート端子に接続する走査線123をゲートG1とし、2行目のそれをゲートG2とし、以下同様にして、下端である320行目のそれをゲートG320とする。そして、ゲートG1にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT1とし、ゲートG2にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT2とし、以下同様にして、ゲートG240にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT240とする。また同様に、ゲートG1にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT1とし、ゲートG2にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT2とし、以下同様にして、ゲートG320にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT320とする。
【0096】
また、X−TFT1で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX1とし、X−TFT2で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX2とし、以下同様にして、X−TFT240で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX240とする。また同様に、Y−TFT1で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY1とし、Y−TFT2で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY2とし、以下同様にして、Y−TFT320で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY320とする。
【0097】
前記タッチ入力が行われると、前側基板101のタッチされた部分(以下、タッチ部と称する)が後側基板102側に撓み変形する。その結果、後側基板102に形成されたX座標検出用接点電極5のうち、前記タッチ部に形成されたX座標検出用接点電極5が、前側基板101に形成された対向電極107と導通する。同様に、前記タッチ部の後側基板102に形成されたY座標検出用接点電極6のうち、前記タッチ部に形成されたY座標検出用接点電極6が、対向電極107と導通する。
【0098】
したがって、タッチ部で対向電極107と導通したX座標検出用接点電極5と、この接点電極と接続しているX座標検出ライン3は、対向電極107に印加されたVcom信号の電位と同レベルになる。同様に、タッチ部で対向電極107と導通したY座標検出用接点電極6と、この接点電極と接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極107に印加されたVcom信号の電位と同レベルになる。
【0099】
前記の通り、各X座標検出ライン3は、X座標検出用TFT108のソース端子に接続しており、Y座標検出ライン4は、Y座標検出用TFT109のソース端子に接続している。また、各X座標検出用TFT108のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に接続しており、各Y座標検出用TFT109のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に接続している。
【0100】
したがって、画像表示のため、ゲートG1からゲートG320までの各走査線123に順次ゲート信号が印加されると、X−TFT1からX−TFT240までの各X座標検出用TFT108は、順次ON状態になる。このとき、各X座標検出用TFT108のドレイン端子に接続しているX座標検出用出力ライン111の電位は、前記ON状態になっているX座標検出用TFT108のソース端子に接続されているX座標検出ライン3の電位になる。ここで、タッチ部に対応するX座標検出用接点電極5が接続しているX座標検出ライン3の電位は、対向電極107の電位になっている。
【0101】
これらと同様に、ゲートG1からゲートG320までの各走査線123に順次ゲート信号が印加されると、Y−TFT1からY−TFT320までの各Y座標検出用TFT109は、順次ON状態になる。そして、各Y座標検出用TFT109のドレイン端子に接続しているY座標検出用出力ライン112の電位は、前記ON状態になっているY座標検出用TFT109のソース端子に接続されているY座標検出ライン4の電位になる。ここで、タッチ部に対応するY座標検出用接点電極6が接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極107の電位になっている。
【0102】
即ち、ゲートG1、ゲートG2、・・・、ゲートG240と順にゲート電圧が印加されると、X−TFT1、X−TFT2、・・・、X−TFT240と順にX座標検出用TFT108がON状態になる。その結果、X座標検出用出力ライン111の電位は、順次X座標検出ラインX1の電位、X座標検出ラインX2の電位、・・・、X座標検出ラインX240の電位になる。同様に、ゲートG1、ゲートG2、・・・、ゲートG320と順にゲート電圧が印加されると、Y−TFT1、Y−TFT1、・・・、Y−TFT320と順にY座標検出用TFT109がON状態となる。その結果、Y座標検出用出力ライン112の電位は、順次Y座標検出ラインY1の電位、Y座標検出ラインY2の電位、・・・、Y座標検出ラインY320の電位になる。したがって、この液晶表示パネル100は、各X座標検出ライン3の電位に対応したX座標のパラレルデータを、X座標のシリアルデータに変換して、X座標検出用出力ライン111から出力する。また同様に、各Y座標検出ライン4の電位に対応したY座標のパラレルデータを、Y座標のシリアルデータに変換して、Y座標検出用出力ライン112から出力する。
【0103】
本実施形態において座標検出用コントローラ10は、X座標検出用出力ライン111の信号を外部回路接続端子113から取得し、Y座標検出用出力ライン112の信号を外部回路接続端子114から取得し、これら信号に基づいて、図7Aを参照して説明したステップS5における座標の特定の処理を行う。その他、座標検出用コントローラ10における処理は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0104】
本実施形態によっても、第1の実施形態の場合と同様に、タッチされている位置が静止しているか移動しているかを検知して、それに応じてタッチ位置の決定の方法を異ならせるので、タッチ位置が静止している状況においても、移動している状況においても、正確なタッチ位置の特定が可能になる。
【0105】
ここに説明した例は、Vcom信号が反転するライン反転方式の駆動によるものであるが、Vcomが反転しないドット反転駆動方式その他の駆動方式を用いても勿論良い。
また、以上の説明では、QVGAポートレートを例に挙げて説明したが、QVGAポートレートに限らず、横置きの通常のQVGAや、例えば、VGA(640画素×480画素)、SVGA(800画素×600画素)、XGA(1024画素×768画素)、SXGA(1280画素×1024画素)や、それらの縦置き型等、種々の画素数を有する表示パネルを用いても良い。他の画素数を有する表示パネルを用いた場合、画素数に合わせて、上記説明の構成要素の数が多くなったり少なくなったりすることは勿論である。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…前側基板、2…後側基板、3…X座標検出ライン、4…Y座標検出ライン、5…X座標検出用接点電極、6…Y座標検出用接点電極、7…対向電極、10…座標検出用コントローラ、23…X座標検出用抵抗膜、24…Y座標検出用抵抗膜、100…液晶表示パネル、101…前側基板、102…後側基板、102a…ドライバ搭載部、107…対向電極、108…X座標検出用薄膜トランジスタ、109…Y座標検出用薄膜トランジスタ、110…延長ライン、111…X座標検出用出力ライン、112…Y座標検出用出力ライン、113…外部回路接続端子、114…外部回路接続端子、115…延長ライン、120…画面エリア、123…走査線、124…信号線、125…画素電極、126…表示用薄膜トランジスタ、126…表示用TFT、130…ドライバ素子、131…走査ドライバ、132…データドライバ、133…コモン信号発生回路、134…表示用コントローラ、135…メインコントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ユーザがその表面を押圧(タッチ)したときに、タッチされた基板の撓みを検出して、タッチ位置を特定するタッチパネルが知られている。例えば特許文献1には、液晶表示素子内に、センシング機構を配置したタッチパネルに係る技術が開示されている。この液晶表示素子においては、当該液晶表示素子の観察者側の基板が、タッチされて撓むと、その基板に形成された電極と、その基板と対向する基板上に形成された電極とが接触する。この2つの電極の接触を検出することで、当該タッチパネル機能を有する液晶表示素子は、タッチされた点を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−95044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようなタッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいては、例えばユーザが基板を押圧しながらその押圧位置を移動させると、その移動の前方側と後方側とでは、基板の形状が非対称になることがある。このような基板の撓み形状の非対称性は、タッチ位置の検出において、誤差の原因となることがある。
【0005】
そこで本発明は、タッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、正確なタッチ位置の検出を行うことができるタッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルの一態様は、検知側の基板と、前記検知側の基板がタッチされた際に、該検知側の基板の撓みを検出する検出部と、前記検出部が出力する前記基板が撓んでいる位置の複数の座標を表す検出信号に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、を具備し、前記演算部は、前記検出信号に基づいて、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【0007】
また、前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルを有する液晶表示素子の一態様は、液晶層を挟んで互いに対向する第1の基板上に形成された画素電極と第2の基板上に形成された対向電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示素子であって、前記第1の基板上に形成された複数の検出ラインと、前記対向電極と間隙を有して対向し、タッチされ前記第2の基板が撓んだときに該対向電極と導通する、前記複数の検出ラインの何れかに接続されている複数の接点電極と、前記検出ラインの各電位が表す前記第2の基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、を具備し、前記演算部は、前記検出ラインの電位が表す前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記目的を果たすため、本発明のタッチパネルの位置検出方法の一態様は、タッチされた際の検知側の基板の撓みを検出し、検出された前記基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定するタッチパネルの位置検出方法において、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチされた基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、正確なタッチ位置の検出を行うことができるタッチパネル、それを有する液晶表示素子、及びタッチパネルの位置検出方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの概略を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチされた位置と、そのときに共通電極に接触する接点を説明するための図。
【図3】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチされた位置と検知される座標を説明するための図。
【図4】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置を移動させたときに前側基板が非対称に撓むことを説明するための概略図。
【図5】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置が移動したときに、タッチされた位置とそのときに共通電極に接触する接点を説明するための図。
【図6】第1の実施形態に係るタッチパネルにおいて、タッチ位置が移動したときに、タッチされた位置と検知される座標を説明するための図。
【図7A】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図7B】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図7C】本発明に係るタッチパネルの処理例を示すフローチャート。
【図8】本発明に係るタッチパネルの処理例を説明するための、タッチされた位置と、そのときに共通電極に接触する接点の位置の例を示す図。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの別の例の一部の概略を示す切断斜視図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置の構成例の概略を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置の後側基板の回路構成例の概略を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルを有する液晶表示装置のタッチパネルに係る回路構成例の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本実施形態に係るタッチパネルの概略の一部を模式的に示す。当該タッチパネルは、この切断斜視図に示すように、間隙を有して対向する一対の基板を有する。この一対の基板のうち、使用者によって押圧(タッチ)されて撓む側の基板を、前側基板1と称する。また、前側基板1と対向する基板を後側基板2と称する。
【0012】
後側基板2の前側基板1と対向する面には、複数のY座標検出ライン4が互いに平行に配設されている。更に、各Y座標検出ライン4と成す角を90°とするねじれの位置に、複数のX座標検出ライン3が互いに平行に配設されている。本説明では、図1の左上に示す様に、Y座標検出ライン4が延伸する方向をX軸方向と定義し、X軸方向の座標をX座標と定義する。また、X座標検出ライン3が延伸する方向をY軸方向と定義し、Y軸方向の座標をY座標と定義する。
【0013】
X座標検出ライン3とY座標検出ライン4とが交差する位置(以下、交差点と称する)に対応して、交差点の近傍には、X座標検出用接点電極5が配置されている。X座標検出用接点電極5は、前記対応する交差点を構成するX座標検出ライン3に接続されている。また、X座標検出用接点電極5が配置された交差点の近傍には、交差点に対応して、Y座標検出用接点電極6が配置されている。Y座標検出用接点電極6は、前記対応する交差点を構成するY座標検出ライン4に接続されている。ここで、各X座標検出ライン3は、複数のX座標検出用接点電極5と接続されており、各Y座標検出ライン4は、複数のY座標検出用接点電極6と接続されている。
前側基板1の後側基板2と対向する面には、対向電極7が形成されている。ここで、X座標検出用接点電極5と対向電極7との間、及びY座標検出用接点電極6と対向電極7との間には、間隙が設けられている。
【0014】
前側基板1が使用者によりタッチされて撓むと、そのタッチされた部分で、X座標検出用接点電極5と対向電極7とが電気的に導通する。その結果、対向電極7と導通したX座標検出用接点電極5、及びその接点電極と接続しているX座標検出ライン3の電位は、対向電極7の電位と等しくなる。同様に、前側基板1が使用者によりタッチされて撓むと、そのタッチされた部分で、Y座標検出用接点電極6と対向電極7とが電気的に導通する。その結果、対向電極7と導通したY座標検出用接点電極6、及びその接点電極と接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極7の電位と等しくなる。したがって、座標検出用コントローラ10は、X座標検出ライン3の電位を計測し、その電位が対向電極7と等電位になっているX座標検出ライン3を同定することで、タッチされている位置のX座標を取得できる。同様に、座標検出用コントローラ10は、Y座標検出ライン4の電位を計測し、その電位が対向電極7と等電位になっているY座標検出ライン4を同定することで、タッチされている位置のY座標を取得できる。
【0015】
以降、図2に示すように、X座標検出ライン3がX軸方向に20本並び、Y座標検出ライン4がY軸方向に20本並び、X座標検出ライン3とY座標検出ライン4との各交点に、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が配置されている場合を例に挙げて説明を行う。ここで、X座標は、図2における右から左へ順に1から20とし、これらを各X座標検出ライン3に対応付けて図2における上部に表記した。同様に、Y座標は、図2における上から下へ順に1から20とし、これらを各Y座標検出ライン4に対応付けて図2における右部に表記した。ここで、20点×20点の検出点というのは、勿論一例であり、この数は通常もっと多い。
【0016】
図2に示すように、ユーザによって黒丸印で示した座標(X,Y)=(4,3)がタッチされたとする。なお、ここでは、タッチされている点は静止しているものとする。このとき、図2中で、黒丸印で示した座標(X,Y)=(4,3)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が、対向電極7と接触する。このとき、当該タッチに用いられるユーザの指やスタイラスペンの先端の大きさは、X座標検出ライン3同士の間隔やY座標検出ライン4同士の間隔に比べて大きいため、また、前側基板1が撓む領域は、ユーザの指やスタイラスペンの先端の大きさに比べて広いため、ユーザがタッチしていると意図する部分よりも広範囲で、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6が対向電極7と接触する。即ち、例えば、白丸印で示した座標(X,Y)=(2,2),(2,3),(2,4),(3,1),(3,2),(3,3),(3,4),(3,5),(4,2),(4,4),(4,5),(5,1),(5,2),(5,3),(5,4),(6,2),(6,3),(6,4),(6,5)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6も、対向電極7と接触する。
【0017】
その結果、X軸座標が、X=2,3,4,5,6であるX座標検出ライン3の電位が対向電極7の電位と等しくなる。同様に、Y軸座標が、Y=1,2,3,4,5であるY座標検出ライン4の電位が対向電極7の電位と等しくなる。即ち、座標検出用コントローラ10は、図3に示す斜線を付した丸印で示した各点について接触を検知する。
【0018】
タッチされる位置が静止している場合、上述の様になるが、タッチされる位置が移動している場合、次のようになる。即ち、図4(a)に模式図を示すように、例えばユーザが用いるスタイラスペン90が、前側基板1を押圧しながら移動すると、前側基板1は、非対称に撓む。これは、図4(b)に模式図を示すように、タッチされる位置が静止している場合とは異なる。例えば前記した座標(X,Y)=(4,3)がタッチされた状態から、前側基板1上をスタイラスペン90が移動し、タッチ位置が、図5に黒丸印で示す座標(X,Y)=(12,11)となったとする。このとき、図5中で、黒丸印で示した座標(X,Y)=(12,11)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6と対向電極7とが接触すると共に、前側基板1が図4(a)に示すように撓むので、タッチされる位置の移動方向の後方側、即ち、例えば図5に白丸印で示した座標(X,Y)=(8,8),(8,9),(9,8),(9,9),(9,10),(10,7),(10,8),(10,9),(10,10),(11,7),(11,8),(11,9),(11,10),(11,11),(12,9),(12,10)に位置するX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6も、対向電極7と接触する。
【0019】
その結果、X軸座標が、X=8,9,10,11,12であるX座標検出ライン3の電位が対向電極7の電位と等しくなる。同様に、Y軸座標が、Y=7,8,9,10,11であるY座標検出ライン4の電位が対向電極7の電位と等しくなる。即ち、座標検出用コントローラ10は、図6に示す斜線を付した丸印で示した各点について接触を検知する。
【0020】
タッチされている点が静止しているときは、座標検出用コントローラ10は、接触が検知された複数の座標の中心点を、ユーザがタッチした座標として特定すればよい。例えば、図2に示した座標(4,3)がタッチされたとき、座標検出用コントローラ10は、図3において斜線を付した丸印で示す接触を検知した複数の点の中心、即ち、この場合は、座標(4,3)をタッチされた点として特定すればよい。
【0021】
これに対して、タッチされている点が移動しているときは、タッチされている点が静止しているときと同様に、接触が検知された複数の座標の中心点を、ユーザがタッチした座標として特定すると次のようになる。例えば、図5に示した座標(12,11)がタッチされたとき、座標検出用コントローラ10が、図6において斜線を付した丸印で示す接触を検知した複数の点の中心、即ち、この場合は、座標(10,9)をタッチされた点として特定すると、実際にタッチされている点とずれが生じる。即ち、タッチされていると特定する点に誤差が発生する。本実施形態では、この誤差を補正するような処理を行う。
【0022】
本実施形態に係るタッチパネルの、座標検出用コントローラ10の処理を、図7A、図7B、図7Cに示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、例えば10ms毎等、所定時間毎に繰り返し実行されるループ処理である。この周期は、通常はタッチ位置を検知する周期と同期する。
【0023】
ステップS1において、座標検出用コントローラ10は、当該タッチパネルがタッチされているか否か、即ち、X座標検出ライン3及びY座標検出ライン4のうち、その電位が対向電極7の電位と等しいものがあるか否かを判定する。
ステップS1の判定で、当該タッチパネルがタッチされていない(No)と判定された場合、ステップS2において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1を0に設定する。この検出フラグFLG1は、前回のサイクルにおいて、当該タッチパネルがタッチされていたか否かを示すフラグである。
【0024】
ステップS3において、座標検出用コントローラ10は、X座標の動き検出カウンターであるXCNT1及びXCNT2を、共に0に設定する。ここで、XCNT1は、タッチ位置のX座標が増加する方向(左側)に動いた回数をカウントする変数であり、XCNT2は、タッチ位置のX座標が減少する方向(右側)に動いた回数をカウントする変数である。
ステップS4において、座標検出用コントローラ10は、Y座標の動き検出カウンターであるYCNT1及びYCNT2を、共に0に設定する。ここで、YCNT1は、タッチ位置のY座標が増加する方向(下側)に動いた回数をカウントする変数であり、YCNT2は、タッチ位置のY座標が減少する方向(上側)に動いた回数をカウントする変数である。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS42に移す。
【0025】
一方、ステップS1の判定で、当該タッチパネルがタッチされている(Yes)と判定された場合、ステップS5において、座標検出用コントローラ10は、X座標検出ライン3及びY座標検出ライン4のうち、その電位が対向電極7の電位と等しいものを特定する解析を行う。即ち、例えば、図3や図6における斜線を付した丸印に相当する、検知されたX座標及びY座標を特定する。
【0026】
ステップS6において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1の値が1であるか否かを判定する。
ステップS6の判定で、検出フラグFLG1の値が1である(Yes)と判定された場合、ステップS7において、座標検出用コントローラ10は、前回のX座標の最大値を示すXmax2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるX座標の最大値が設定されているXmax1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のY座標の最大値を示すYmax2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるY座標の最大値が設定されているYmax1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のX座標の最小値を示すXmin2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるX座標の最小値が設定されているXmin1の値を設定する。同様に、座標検出用コントローラ10は、前回のY座標の最小値を示すYmin2に、この時点で前回の処理サイクルにおけるY座標の最小値が設定されているYmin1の値を設定する。
【0027】
ステップS8において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたX座標の最大値をXmax1に設定し、X座標の最小値をXmin1に設定する。
同様に、ステップS9において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたY座標の最大値をYmax1に設定し、Y座標の最小値をYmin1に設定する。次に座標検出用コントローラ10は、処理をステップS14に移す。
【0028】
一方、ステップS6の判定で、検出フラグFLG1の値が1でない(No)と判定された場合、ステップS10において、座標検出用コントローラ10は、検出フラグFLG1を1に設定する。
続いてステップS11において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたX座標の最大値をXmax1に設定し、X座標の最小値をXmin1に設定する。
同様に、ステップS12において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5において検出されたY座標の最大値をYmax1に設定し、Y座標の最小値をYmin1に設定する。
【0029】
ステップS13において、座標検出用コントローラ10は、Xmax2にXmax1の値を設定し、Ymax2にYmax1の値を設定し、Xmin2にXmin1の値を設定し、Ymin2にYmin1の値を設定する。このように、タッチされて1回目のサイクルにおいては、Xmax2とXmax1の値、Ymax2とYmax1の値、Xmin2とXmin1の値、Ymin2とYmin1の値をそれぞれ同じ値とする。次に座標検出用コントローラ10は、処理をステップS14に移す。
【0030】
ステップS14において、座標検出用コントローラ10は、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1であるか否かを判定する。ステップS14の判定の結果、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がX座標の値が増加する方向(左側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS15に移す。
【0031】
ステップS15において、座標検出用コントローラ10は、XCNT1<Cnt_Level1であるか否かを判定する。この判定の結果、XCNT1<Cnt_Level1である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が増加する方向(左側)に移動した回数(サイクル数)が所定回数(Cnt_Level1)より少ないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS16に移す。
【0032】
ステップS16において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT1の値を1増加させる。
ステップS17において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を0に設定する。
ステップS18において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0033】
一方、ステップS15における判定の結果、XCNT1<Cnt_Level1でない(No)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が増加する方向(左側)に所定回数(Cnt_Level1)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS19において、タッチ位置のX座標Xtouchを、次式(1)に基づいて算出する。
【0034】
Xtouch=(Xmax1−Xmin1)/XgainP+Xmin1 ・・(1)
ここで、XgainPは、所定の値であり、タッチされたと特定する位置のX座標Xtouchを、検知されたX座標の平均からどれだけ左に偏らせるかを表す値である。例えば、XgainP=1とすると、タッチ位置のX座標Xtouchは、Xmax1、即ち、検出された座標のうち左端の座標となる。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS28に移す。
【0035】
ステップS14の判定の結果、Xmax1−Xmax2>Detect_Level1でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間にタッチ位置が左に動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS20に移す。
【0036】
ステップS20において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT1の値を0に設定する。
ステップS21において、座標検出用コントローラ10は、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3であるか否かを判定する。ステップS21の判定の結果、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がX座標の値が減少する方向(右側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS22に移す。
【0037】
ステップS22において、座標検出用コントローラ10は、XCNT2<Cnt_Level3であるか否かを判定する。この判定の結果、XCNT2<Cnt_Level3である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が減少する方向(右側)に所定回数(Cnt_Level3)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS23に移す。
【0038】
ステップS23において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を1増加させる。
ステップS24において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0039】
一方、ステップS22における判定の結果、XCNT2<Cnt_Level3でない(No)とき、即ち、タッチ位置のX座標の値が減少する方向(右側)に所定回数(Cnt_Level3)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS25において、タッチ位置のX座標Xtouchを、次式(2)に基づいて算出する。
【0040】
Xtouch=(Xmax1−Xmin1)/XgainM+Xmin1 ・・(2)
ここで、XgainMは、所定の値であるものとし、XgainMは、タッチされたと特定する位置のX座標Xtouchを、検出されたX座標の平均からどれほど右に偏らせるかを表す値である。例えば、XgainM=∞とすると、タッチされたと特定する位置は、Xmin1、即ち、検出された座標のうち右端の座標となる。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0041】
ステップS21の判定の結果、Xmin2−Xmin1>Detect_Level3でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置が右側に動いていないと判定されるとき、つまり、右にも左にも動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS26に移す。
【0042】
ステップS26において、座標検出用コントローラ10は、X座標動き検出カウンターXCNT2の値を0に設定する。
ステップS27において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたX座標の平均を、即ち、Xmax1とXmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のX座標Xtouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS28に移す。
【0043】
ステップS28において、座標検出用コントローラ10は、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2であるか否かを判定する。ステップS28の判定の結果、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2である(Yes)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置がY座標の値が増加する方向(下側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS29に移す。
【0044】
ステップS29において、座標検出用コントローラ10は、YCNT1<Cnt_Level2であるか否かを判定する。この判定の結果、YCNT1<Cnt_Level2である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が増加する方向(下側)に所定回数(Cnt_Level2)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS30に移す。
ステップS30において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT1の値を1増加させる。
ステップS31において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を0に設定する。
ステップS32において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0045】
一方、ステップS29における判定の結果、YCNT1<Cnt_Level2でない(No)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が増加する方向(下側)に所定回数(Cnt_Level2)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS33において、タッチ位置のY座標Ytouchを、次式(3)に基づいて算出する。
【0046】
Ytouch=(Ymax1−Ymin1)/YgainP+Ymin1 ・・(3)
ここで、YgainPは、所定の値であるものとし、YgainPは、タッチされたと特定する位置のY座標Ytouchを、検知されたY座標の平均からどれだけ下側に偏らせるかを表す値である。例えば、YgainP=1とすると、タッチ位置のY座標Ytouchは、Ymax、即ち、検出された座標のうち下端の座標となる。座標検出用コントローラ10は、その後、処理をステップS42に移す。
【0047】
ステップS28の判定の結果、Ymax1−Ymax2>Detect_Level2でない(No)とき、即ち、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルまでの間に、タッチ位置が下に動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS34に移す。
【0048】
ステップS34において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT1の値を0に設定する。
ステップS35において、座標検出用コントローラ10は、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4であるか否かを判定する。ステップS35の判定の結果、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4である(Yes)とき、即ち、前回のルーチンから今回のルーチンまでの間に、タッチ位置がY座標の値が減少する方向(上側)に動いていると判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS36に移す。
【0049】
ステップS36において、座標検出用コントローラ10は、YCNT2<Cnt_Level4であるか否かを判定する。この判定の結果、YCNT2<Cnt_Level4である(Yes)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が減少する方向(上側)に所定回数(Cnt_Level4)以上連続して移動していないとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS37に移す。
ステップS37において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を1増加させる。
ステップS38において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0050】
一方、ステップS36における判定の結果、YCNT2<Cnt_Level4でない(No)とき、即ち、タッチ位置のY座標の値が減少する方向(上側)に所定回数(Cnt_Level4)以上連続して移動しているとき、座標検出用コントローラ10は、ステップS39において、タッチ位置のY座標Ytouchを、次式(4)に基づいて算出する。
【0051】
Ytouch=(Ymax1−Ymin1)/YgainM+Ymin1 ・・(4)
ここで、YgainMは、所定の値であるものとし、YgainMは、タッチされたと特定する位置のY座標Ytouchを、検出されたY座標の平均からどれほど上に偏らせるかを表す値である。例えば、YgainM=∞とすると、タッチされたと特定する位置は、Ymin1、即ち、検出された座標のうち上端の座標となる。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0052】
ステップS35の判定の結果、Ymin2−Ymin1>Detect_Level4でない(No)とき、即ち、前回のルーチンから今回のルーチンまでの間に、タッチ位置が上側に動いていないと判定されるとき、つまり、上にも下にも動いていないと判定されるとき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS40に移す。
【0053】
ステップS40において、座標検出用コントローラ10は、Y座標動き検出カウンターYCNT2の値を0に設定する。
ステップS41において、座標検出用コントローラ10は、ステップS5で検知されたY座標の平均を、即ち、Ymax1とYmin1との平均値を算出すること(平均化処理)により、タッチ位置のY座標Ytouchを決定する。その後、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS42に移す。
【0054】
ステップS42において、座標検出用コントローラ10は、タッチ位置を特定する本処理の終了が要求されているか否かを判定する。この判定の結果、終了の要求がない(No)とき、座標検出用コントローラ10は、処理をステップS1に戻す。一方、終了の要求がある(Yes)とき、座標検出用コントローラ10は、処理を終了する。
【0055】
このように、例えば前側基板1は、検知側の基板として機能し、例えばX座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6は、検知側の基板の撓みを検出する検出部として機能し、例えば座標検出用コントローラ10は、タッチされた位置を特定する演算部として機能する。ここでは、前側基板1が撓んでいる位置の複数の座標の中心に係る座標として、例えばXmax1とXmin1との平均値を算出する平均化処理によって求まる座標を用いた。しかしながら、ここでの座標の算出は、単純な平均に限らず、例えばタッチパネル上の位置に応じて重み付けを用いた計算など、他の方法により求めたものでもよい。
【0056】
上述の本実施形態に係るタッチパネルの動作例の概要を、図8を参照して説明する。図8のように、ユーザが、まず座標(X,Y)=(4,3)をタッチしたとする。このとき、図8において、破線で囲ったAの領域内の黒丸印の座標をユーザはタッチしているが、白丸印で示した各点に由来する信号も検出される。次に、ユーザは、タッチ位置を移動させていく。このとき、座標検出用コントローラ10の処理の間隔に応じた検出時に、ユーザがタッチしている位置の座標は、順に座標(X,Y)=(12,11)、(18,17)、(8,17)、(1,17)であるとする。このとき、図8において、破線で囲ったBの領域、Cの領域、Dの領域、Eの領域内の、それぞれの黒丸印の座標をユーザはタッチしているが、白丸印で示した各点に由来する信号も検出される。このような状況を考えて、以下説明する。
【0057】
なお、本説明においては、Detect_Level1、Detect_Level2、Detect_Level3、Detect_Level4は、全て3に設定したものとする。また、Cnt_Level1、Cnt_Level2、Cnt_Level3、Cnt_Level4は、全て1に設定したものとする。また、XgainP及びYgainPは1に、XgainM及びYgainMは∞に、それぞれ設定したものとする。
【0058】
まず、1サイクル目において、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=2,3,4,5,6であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=1,2,3,4,5であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1でない(No)と判断される。ステップS10において、検出FLG1が1に設定される。ステップS11において、Xmax1に6が、Xmin1に2がそれぞれ設定される。ステップS12において、Ymax1に5が、Ymin1に1がそれぞれ設定される。ステップS13において、Xmax2に6が、Ymax2に5が、Xmin2に2が、Ymin2に1がそれぞれ設定される。
【0059】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=0がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断され、ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=0がDetect_Level3=3よりも大きくない(No)と判断され、ステップS26において、X座標動き検出カウンターXCNT2が0に設定される。ステップS27において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、4であると決定される。
【0060】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=0がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断され、ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=0がDetect_Level4=3よりも大きくない(No)と判断され、ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、3であると決定される。
以上の様にして、1サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(4,3)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、2サイクル目の処理が行われる。
【0061】
2サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=8,9,10,11,12であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=7,8,9,10,11であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が6に、Xmin2が2に、Ymax2が5に、Ymin2が1にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が12に、Xmin1が8に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が11に、Ymin1が7に、それぞれ設定される。
【0062】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS15において、XCNT1=0がCNT_Level1=1よりも小さい(Yes)と判断され、ステップS16において、XCNT1が1に設定され、ステップS17において、XCNT2が0に設定される。ステップS18において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、10であると決定される。
【0063】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=6がDetect_Level2=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS29において、Y座標動き検出カウンターYCNT1=0が、CNT_Level2=1よりも小さい(Yes)と判断され、ステップS30において、YCNT1が1に設定され、ステップS31において、YCNT2が0に設定される。ステップS32において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、9であると決定される。
以上の様にして、2サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(10,9)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、3サイクル目の処理が行われる。
【0064】
3サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=14,15,16,17,18であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=13,14,15,16,17であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が12に、Xmin2が8に、Ymax2が11に、Ymin2が7にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が18に、Xmin1が14に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が17に、Ymin1が13に、それぞれ設定される。
【0065】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS15において、XCNT1=1がCNT_Level1=1よりも小さくない(No)と判断され、ステップS19において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(1)に基づいて、タッチ位置のX座標Xtouchは、18であると決定される。
【0066】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=6がDetect_Level2=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS29において、Y座標動き検出カウンターYCNT1=1が、CNT_Level2=1よりも小さくない(No)と判断され、ステップS33において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(3)に基づいて、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると決定される。
以上の様にして、3サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(18,17)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、4サイクル目の処理が行われる。
【0067】
4サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=8,9,10,11,12であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=15,16,17,18,19であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が18に、Xmin2が14に、Ymax2が17に、Ymin2が13にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が12に、Xmin1が8に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が19に、Ymin1が15に、それぞれ設定される。
【0068】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=−6がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断される。ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=6がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS22において、XCNT2=0がCNT_Level3=1よりも小さい(Yes)と判断される。ステップS23において、X座標動き検出カウンターXCNT2が1に設定される。ステップS24において、平均化処理により、タッチ位置のX座標Xtouchは、10であると決定される。
【0069】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=2がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断される。ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=−2がDetect_Level4=3より大きくない(No)と判断される。ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると決定される。
以上の様にして、4サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(10,17)であると特定される。その後、処理がステップS1に戻され、5サイクル目の処理が行われる。
【0070】
5サイクル目の、ステップS1において、タッチされている(Yes)と判定され、ステップS5において、X座標検出ラインの出力が、X=1,2,3,4,5であり、Y座標検出ラインの出力が、Y=15,16,17,18,19であることが検出される。次にステップS6において、検出フラグFLG1は1である(Yes)と判断される。ステップS7において、Xmax2が12に、Xmin2が8に、Ymax2が19に、Ymin2が15にそれぞれ設定される。ステップS8において、Xmax1が5に、Xmin1が1に、それぞれ設定される。ステップS9において、Ymax1が19に、Ymin1が15に、それぞれ設定される。
【0071】
次にステップS14において、Xmax1−Xmax2=−7がDetect_Level1=3より大きくない(No)と判断される。ステップS20において、X座標動き検出カウンターXCNT1が0に設定される。ステップS21において、Xmin2−Xmin1=7がDetect_Level1=3より大きい(Yes)と判断される。ステップS22において、XCNT2=1がCNT_Level3=1よりも小さくない(No)と判断される。ステップS25において、動きがあるときの処理、即ち、前記式(2)に基づいて、タッチ位置のX座標Xtouchは、1であると決定される。
【0072】
次にステップS28において、Ymax1−Ymax2=0がDetect_Level2=3より大きくない(No)と判断される。ステップS34において、Y座標動き検出カウンターYCNT1が0に設定される。ステップS35において、Ymin2−Ymin1=0がDetect_Level4=3より大きくない(No)と判断される。ステップS40において、Y座標動き検出カウンターYCNT2が0に設定される。ステップS41において、平均化処理により、タッチ位置のY座標Ytouchは、17であると特定される。
以上の様にして、5サイクル目において、タッチ位置の座標は、(X,Y)=(1,17)であると決定される。その後、処理は終了する。
【0073】
この例では上記のように、1サイクル目、2サイクル目、3サイクル目、4サイクル目、5サイクル目に、ユーザがタッチしている点は、順に座標(X,Y)=(4,3)、(12,11)、(18,17)、(8,17)、(1,17)である。仮に、これら全てについて、前記の平均化処理により、タッチされている座標を特定すると、順に座標(X,Y)=(4,3)、(10,9)、(16,15)、(10,17)、(3,17)がタッチされている点として決定される。これに対して本実施形態によれば、順に座標(X,Y)=(4,3)、(10,9)、(18,17)、(10,17)、(1,17)がタッチされている点として決定される。このように、本実施形態によれば、タッチ位置の静止又は移動に応じて、タッチされている点として決定する座標の算出方法を異ならせるので、より実際に即した正確な検出が可能になっている。
【0074】
上述の例では、Cnt_Level1、Cnt_Level2、Cnt_Level3、Cnt_Level4は、全て1に設定しているので、同じ方向に2回以上連続で移動しているときに補正を行う設定である。この値は、装置の特性、使用状況等に応じて、任意に設定することができる。また、Detect_Level1、Detect_Level2、Detect_Level3、Detect_Level4は、全て3に設定しているので、座標3つ分より大きく移動したときに、タッチ位置が移動していると判断され処理が行われるが、この値も任意に設定することができる。
【0075】
また、本実施形態のように、XgainP、YgainP、XgainM、YgainMを固定された所定の値とせずに、タッチ位置の移動量、即ち所定時間内での動いた距離に応じて変化する値とすることで、更に正確なタッチ位置の検出が可能になる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ側の基板の撓みを検出してタッチ位置を特定するタッチパネルにおいて、タッチされている位置が静止しているか移動しているかを検知して、それに応じてタッチ位置の決定の方法を異ならせるので、タッチ位置が静止している状況においても、移動している状況においても、正確なタッチ位置の特定が可能になる。
【0077】
なお、本実施形態の説明では、X座標検出用接点電極5及びY座標検出用接点電極6と、対向電極7とが接触することにより、座標を検出するタッチパネルを例に挙げて説明したが、ユーザ側の基板のタッチによる撓みを検出する方式であれば、その他の方式のタッチパネルにおいても適用することができる。例えば、図9に示すような、対向する基板上に形成された帯状の抵抗膜の接触によって位置を特定するタッチパネルにおいて適用してもよい。図9に示すタッチパネルは、簡単には、後側基板2の前側基板1と対向する面上に、帯状のY座標検出用抵抗膜24が形成されている。また、前側基板1の後側基板2と対向する面上に、帯状のX座標検出用抵抗膜23が形成されている。例えば、X座標検出用抵抗膜23に順次電圧を印加し、電位がX座標検出用抵抗膜23の電位と等しいY座標検出用抵抗膜24と、その電位が等しくなるタイミングを取得し、それらに基づいて、タッチされている位置を決定することができる。このようなタッチパネルにも本実施形態の適用が可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0078】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については説明を省略する。本実施形態は、第1の実施形態に係るタッチパネルを、液晶表示装置内に構築した実施形態である。
本実施形態に係る液晶表示装置の概略を図10に示す。本液晶表示装置は、タッチパネル機能を有する液晶表示パネル100と、ドライバ素子130と、コモン信号発生回路133と、表示用コントローラ134と、座標検出用コントローラ10と、メインコントローラ135と、を有する。
【0079】
液晶表示パネル100は、薄膜トランジスタ(TFT)をアクティブ素子としたアクティブマトリックス型の液晶表示パネルである。ここでは、本実施形態に係る液晶表示装置は、水平方向に240画素、垂直方向に320画素を有する縦置きのQVGA(以下、QVGAポートレートと称する)の表示パネルである。液晶表示パネル100は、液晶層を挟んで互いに対向する後側基板102と前側基板101とを有する。図示しないバックライトから出射した光は、液晶表示パネル100を後側基板102から前側基板101に向けて透過し、ユーザに到達する。本実施形態の説明では、前側基板101側を観察側、後側基板102側をバックライト側と定義する。
【0080】
後側基板102の観察側の面の画面エリア120内の領域には、複数の透明な画素電極125が形成されている。例えば画素電極125は、図11に示す様に、X軸方向及びY軸方向に配列されている。各画素電極125の形状は、X軸方向の電極幅がY軸方向の電極長さよりも小さい、長方形である。各画素電極125は、スイッチング素子として働く表示用薄膜トランジスタ(表示用TFT)126のドレイン端子にそれぞれ接続されている。各表示用TFT126は、長方形である各画素電極125の、一隅角(例えば図11における左下隅)に配置されている。
【0081】
また、後側基板102の観察側の面には、X軸方向に並ぶ画素電極125に沿って、X軸方向に走査線123が形成されている。各走査線123は、X軸方向に並ぶ画素電極125の表示用TFT126が配置された側の端(図11において各画素電極125の下端側)に沿わせて設けられており、当該走査線123に沿って配置された表示用TFT126の各ゲート端子に接続されている。
【0082】
更に、後側基板102の観察側の面には、Y軸方向に並ぶ画素電極125に沿って、Y軸方向に信号線124が形成されている。各信号線124は、Y軸方向に並ぶ画素電極125の表示用TFT126が配置された側の端(図11において各画素電極125の左端側)に沿わせて設けられており、当該信号線124に沿って配置された表示用TFT126の各ソース端子に接続されている。
【0083】
また、後側基板102の一端部を前側基板101の外方に張り出して形成されたドライバ搭載部102aには、ドライバ素子130が、図10に示す様に搭載されている。このドライバ素子130は、図11に示す様に、走査ドライバ131とデータドライバ132とが形成された、LSI(Large Scale Integrated Circuit;大規模集積回路)からなる。各走査線123は、ドライバ搭載部102aに導出されて(図示せず)、走査ドライバ131の各出力端子に接続されており、各信号線124は、同様にドライバ搭載部102aに導出されて(図示せず)、データドライバ132の各出力端子に接続されている。
【0084】
前側基板101のバックライト側には、複数の画素電極125と対向する一枚膜状の透明な対向電極107が形成されている。対向電極107は、コモン信号発生回路133に接続されており、対向電極107の電位は、コモン信号発生回路133により制御される。
【0085】
本液晶表示パネル100は、第1の実施形態に係るタッチパネルが組み込まれている。ここで、後側基板102は、後側基板2に相当し、前側基板101は、前側基板1に相当し、対向電極107は、対向電極7に相当する。後側基板102の観察側には、例えば図11に示す様に、X軸方向に並ぶ3つの画素電極125毎に、Y軸方向にX座標検出ライン3が配設されている。即ち、赤、緑及び青の3色からなる1画素毎に、1本のX座標検出ライン3が配設されている。また、Y軸方向に並ぶ1つの画素電極125毎に、X軸方向にY座標検出ライン4が配設されている。
【0086】
この各X座標検出ライン3は、図11に示す様に、Y軸方向に配列した各画素電極125と、当該画素電極125と隣り合う列の各画素電極125に接続された表示用TFT126にデータ信号を供給する信号線124との間に、信号線124と平行に形成されている。また、各Y座標検出ライン4は、X軸方向に配列された各画素電極125と、当該画素電極125と隣り合う行の各画素電極125に接続された表示用TFT126にゲート信号を供給する走査線123との間に、走査線123と平行に形成されている。X座標検出ライン3には、X座標検出用接点電極5が接続されており、Y座標検出ライン4には、Y座標検出用接点電極6が接続されている。
【0087】
また、X座標検出用接点電極5と対向電極107との間、及びY座標検出用接点電極6と対向電極107との間には間隙が設けられている。本表示装置のユーザにより、前側基板101が観察側から押圧されて撓むと、対向電極107とその部分に存在するX座標検出用接点電極5とが導通する。その結果、対向電極107と導通したX座標検出用接点電極5、及びその接点電極に接続するX座標検出ライン3は、対向電極107と等電位になる。また、対向電極107とその部分に存在するY座標検出用接点電極6とが導通する。その結果、対向電極107と導通したY座標検出用接点電極6、及びその接点電極に接続するY座標検出ライン4は、対向電極107と等電位になる。
【0088】
更に、後側基板102の観察側の面上であり、画面エリア120の領域外(図11において画面エリア120の右側の領域)である領域には、複数のX座標検出用薄膜トランジスタ(X座標検出用TFT)108、及び複数のY座標検出用薄膜トランジスタ(Y座標検出用TFT)109が形成されている。各Y座標検出用TFT109は、画面エリア120の領域外のうち、画面エリア120と隣接する部分に、Y軸方向に1列に並べて配置されている。各Y座標検出用TFT109が配置される間隔は、各Y座標検出ライン4の間隔と同程度である。
一方、前記各X座標検出用TFT108は、前記各Y座標検出用TFT109の画面エリア120からみて更に外側となる位置に、前記各Y座標検出用TFT109とそれぞれ隣り合わせに、1列に並べて配置されている。
【0089】
X座標検出用TFT108は、X座標検出ライン3と同じ数存在する。各X座標検出用TFT108のソース端子は、それぞれ別々のX座標検出ライン3に接続されている。ここで、X座標検出ライン3とX座標検出用TFT108とは、前記画面エリア120の外側で引き回された延長ライン115により接続している。また、各X座標検出用TFT108のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に、延長ライン110を介して接続している。各X座標検出用TFT108のドレイン端子は、X座標検出用出力ライン111に接続されている。このX座標検出用出力ライン111は、外部回路接続端子113に接続されている。この外部回路接続端子113は、ドライバ搭載部102a(図10参照)に設けられている。
【0090】
一方、Y座標検出用TFT109は、Y座標検出ライン4と同じ数存在する。各Y座標検出用TFT109のソース端子は、それぞれ別々のY座標検出ライン4に接続されている。また、各Y座標検出用TFT109のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に、延長ライン110を介して接続されている。各Y座標検出用TFT109のドレイン端子は、Y座標検出用出力ライン112に接続されている。このY座標検出用出力ライン112は、X座標検出用出力ライン111と同様に、ドライバ搭載部102aに設けられた外部回路接続端子114に接続されている。
【0091】
尚、本液晶表示パネル100は、前記液晶層の液晶分子を、後側基板102及び前側基板101の間において液晶分子をツイスト配向させたツイステッドネマティック(TN)型若しくはスーパーツイステッドネマティック(STN)型、液晶分子を後側基板102及び前側基板101の面に対して垂直に配向させた垂直配向型(Vertical Alignment方式;VA方式)、横電界型のIn−Plane Switching方式(IPS方式)の液晶パネルを含む液晶分子の分子長軸を一方向に揃えて後側基板102に平行に配向させた水平配向型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型(Optically Compensated Birefringenece方式;OCB方式)、又は強誘電性若しくは反強誘電性液晶表示パネル等、種々の液晶表示パネルのうち何れでも良い。また、ポリマーネットワーク型液晶表示パネルでも良い。
【0092】
図10に示す様に、ドライバ素子130の走査ドライバ131とデータドライバ132とは、前記した液晶表示パネル100に接続される外部回路の表示用コントローラ134に接続されている。また、対向電極107に電圧を印加するコモン信号発生回路133は、表示用コントローラ134に接続されている。また、X座標検出用出力ライン111の外部回路接続端子113は、前記した座標検出用コントローラ10に接続し、同様にY座標検出用出力ライン112の外部回路接続端子114は、座標検出用コントローラ10に接続されている。座標検出用コントローラ10は、前記第1の実施形態に係る座標検出用コントローラ10と同様のものである。これら表示用コントローラ134と座標検出用コントローラ10とは、それぞれ、それらを制御するメインコントローラ135と接続している。
【0093】
このように、例えば後側基板102は、第1の基板として機能し、例えば前側基板101は、第2の基板として機能し、例えば画素電極125は、画素電極として機能し、例えば対向電極107は、対向電極として機能し、例えばX座標検出用接点電極5は、第1の接点電極として機能し、例えばY座標検出用接点電極6は、第2の接点電極として機能し、例えばX座標検出ライン3は、第1の検出ラインとして機能し、例えばY座標検出ライン4は、第2の検出ラインとして機能し、例えば座標検出用コントローラ10は、演算部として機能する。
【0094】
次に、本実施形態に係る液晶表示装置の動作を説明する。液晶表示パネル100において、コモン信号発生回路133から出力されたコモン信号(Vcom信号)は、対向電極107に印加される。表示用コントローラ134の走査ドライバ131は、各走査線123を順次選択し、選択した走査線123に、表示用TFT126をONさせるゲート信号を、選択期間印加する。また、表示用コントローラ134のデータドライバ132は、各信号線124に、前記Vcom信号に対して画像データに対応した電位差をもつデータ信号を、走査線123の選択期間印加する。液晶表示パネル100は、上記の通り表示駆動される。尚、本実施形態では、液晶表示パネル100の表示駆動方式に、各走査線123の選択期間毎に、対向電極107に印加するVcom信号の電圧を、ハイレベル(以下、Hレベルという)とローレベル(以下、Lレベルという)とに反転させるライン反転方式を用いている。
【0095】
次に、液晶表示パネル100のタッチパネルとしての動作を説明する。ここで、図11からタッチパネル機能に関する構成を抜粋した回路構成の概略を、図12に示す。各走査線123、各X座標検出用TFT108、各Y座標検出用TFT109、各X座標検出ライン3、及び各Y座標検出ライン4に以下の名称をつける。即ち、図12における上端側から、1行目の画素電極125に接続する表示用TFT126のゲート端子に接続する走査線123をゲートG1とし、2行目のそれをゲートG2とし、以下同様にして、下端である320行目のそれをゲートG320とする。そして、ゲートG1にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT1とし、ゲートG2にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT2とし、以下同様にして、ゲートG240にそのゲート端子を接続しているX座標検出用TFT108をX−TFT240とする。また同様に、ゲートG1にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT1とし、ゲートG2にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT2とし、以下同様にして、ゲートG320にそのゲート端子を接続しているY座標検出用TFT109をY−TFT320とする。
【0096】
また、X−TFT1で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX1とし、X−TFT2で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX2とし、以下同様にして、X−TFT240で表されるX座標検出用TFT108のソース端子に接続しているX座標検出ライン3をX240とする。また同様に、Y−TFT1で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY1とし、Y−TFT2で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY2とし、以下同様にして、Y−TFT320で表されるY座標検出用TFT109のソース端子に接続しているY座標検出ライン4をY320とする。
【0097】
前記タッチ入力が行われると、前側基板101のタッチされた部分(以下、タッチ部と称する)が後側基板102側に撓み変形する。その結果、後側基板102に形成されたX座標検出用接点電極5のうち、前記タッチ部に形成されたX座標検出用接点電極5が、前側基板101に形成された対向電極107と導通する。同様に、前記タッチ部の後側基板102に形成されたY座標検出用接点電極6のうち、前記タッチ部に形成されたY座標検出用接点電極6が、対向電極107と導通する。
【0098】
したがって、タッチ部で対向電極107と導通したX座標検出用接点電極5と、この接点電極と接続しているX座標検出ライン3は、対向電極107に印加されたVcom信号の電位と同レベルになる。同様に、タッチ部で対向電極107と導通したY座標検出用接点電極6と、この接点電極と接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極107に印加されたVcom信号の電位と同レベルになる。
【0099】
前記の通り、各X座標検出ライン3は、X座標検出用TFT108のソース端子に接続しており、Y座標検出ライン4は、Y座標検出用TFT109のソース端子に接続している。また、各X座標検出用TFT108のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に接続しており、各Y座標検出用TFT109のゲート端子は、それぞれ別々の走査線123に接続している。
【0100】
したがって、画像表示のため、ゲートG1からゲートG320までの各走査線123に順次ゲート信号が印加されると、X−TFT1からX−TFT240までの各X座標検出用TFT108は、順次ON状態になる。このとき、各X座標検出用TFT108のドレイン端子に接続しているX座標検出用出力ライン111の電位は、前記ON状態になっているX座標検出用TFT108のソース端子に接続されているX座標検出ライン3の電位になる。ここで、タッチ部に対応するX座標検出用接点電極5が接続しているX座標検出ライン3の電位は、対向電極107の電位になっている。
【0101】
これらと同様に、ゲートG1からゲートG320までの各走査線123に順次ゲート信号が印加されると、Y−TFT1からY−TFT320までの各Y座標検出用TFT109は、順次ON状態になる。そして、各Y座標検出用TFT109のドレイン端子に接続しているY座標検出用出力ライン112の電位は、前記ON状態になっているY座標検出用TFT109のソース端子に接続されているY座標検出ライン4の電位になる。ここで、タッチ部に対応するY座標検出用接点電極6が接続しているY座標検出ライン4の電位は、対向電極107の電位になっている。
【0102】
即ち、ゲートG1、ゲートG2、・・・、ゲートG240と順にゲート電圧が印加されると、X−TFT1、X−TFT2、・・・、X−TFT240と順にX座標検出用TFT108がON状態になる。その結果、X座標検出用出力ライン111の電位は、順次X座標検出ラインX1の電位、X座標検出ラインX2の電位、・・・、X座標検出ラインX240の電位になる。同様に、ゲートG1、ゲートG2、・・・、ゲートG320と順にゲート電圧が印加されると、Y−TFT1、Y−TFT1、・・・、Y−TFT320と順にY座標検出用TFT109がON状態となる。その結果、Y座標検出用出力ライン112の電位は、順次Y座標検出ラインY1の電位、Y座標検出ラインY2の電位、・・・、Y座標検出ラインY320の電位になる。したがって、この液晶表示パネル100は、各X座標検出ライン3の電位に対応したX座標のパラレルデータを、X座標のシリアルデータに変換して、X座標検出用出力ライン111から出力する。また同様に、各Y座標検出ライン4の電位に対応したY座標のパラレルデータを、Y座標のシリアルデータに変換して、Y座標検出用出力ライン112から出力する。
【0103】
本実施形態において座標検出用コントローラ10は、X座標検出用出力ライン111の信号を外部回路接続端子113から取得し、Y座標検出用出力ライン112の信号を外部回路接続端子114から取得し、これら信号に基づいて、図7Aを参照して説明したステップS5における座標の特定の処理を行う。その他、座標検出用コントローラ10における処理は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0104】
本実施形態によっても、第1の実施形態の場合と同様に、タッチされている位置が静止しているか移動しているかを検知して、それに応じてタッチ位置の決定の方法を異ならせるので、タッチ位置が静止している状況においても、移動している状況においても、正確なタッチ位置の特定が可能になる。
【0105】
ここに説明した例は、Vcom信号が反転するライン反転方式の駆動によるものであるが、Vcomが反転しないドット反転駆動方式その他の駆動方式を用いても勿論良い。
また、以上の説明では、QVGAポートレートを例に挙げて説明したが、QVGAポートレートに限らず、横置きの通常のQVGAや、例えば、VGA(640画素×480画素)、SVGA(800画素×600画素)、XGA(1024画素×768画素)、SXGA(1280画素×1024画素)や、それらの縦置き型等、種々の画素数を有する表示パネルを用いても良い。他の画素数を有する表示パネルを用いた場合、画素数に合わせて、上記説明の構成要素の数が多くなったり少なくなったりすることは勿論である。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…前側基板、2…後側基板、3…X座標検出ライン、4…Y座標検出ライン、5…X座標検出用接点電極、6…Y座標検出用接点電極、7…対向電極、10…座標検出用コントローラ、23…X座標検出用抵抗膜、24…Y座標検出用抵抗膜、100…液晶表示パネル、101…前側基板、102…後側基板、102a…ドライバ搭載部、107…対向電極、108…X座標検出用薄膜トランジスタ、109…Y座標検出用薄膜トランジスタ、110…延長ライン、111…X座標検出用出力ライン、112…Y座標検出用出力ライン、113…外部回路接続端子、114…外部回路接続端子、115…延長ライン、120…画面エリア、123…走査線、124…信号線、125…画素電極、126…表示用薄膜トランジスタ、126…表示用TFT、130…ドライバ素子、131…走査ドライバ、132…データドライバ、133…コモン信号発生回路、134…表示用コントローラ、135…メインコントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知側の基板と、
前記検知側の基板がタッチされた際に、該検知側の基板の撓みを検出する検出部と、
前記検出部が出力する前記基板が撓んでいる位置の複数の座標を表す検出信号に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、
を具備し、
前記演算部は、前記検出信号に基づいて、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、
前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記演算部は、
前記判定によって変化していないとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標よりも、前記変化の方向に寄った座標を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記検出信号は、
前記基板が撓んでいる位置の第1の軸方向の複数の座標を表す複数の第1軸方向信号と、
前記基板が撓んでいる位置の前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向の複数の座標を表す複数の第2軸方向信号と、
を含み、
前記演算部は、
前記第1軸方向信号に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第1の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標と、前記第1の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標を特定し、
前記第2軸方向信号に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第2の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標の、前記第2の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標と、前記第2の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第1の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第1の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第2の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第2の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とする、
ことを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
液晶層を挟んで互いに対向する第1の基板上に形成された画素電極と第2の基板上に形成された対向電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示素子であって、
前記第1の基板上に形成された複数の検出ラインと、
前記対向電極と間隙を有して対向し、タッチされ前記第2の基板が撓んだときに該対向電極と導通する、前記複数の検出ラインの何れかに接続されている複数の接点電極と、
前記検出ラインの各電位が表す前記第2の基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、
を具備し、
前記演算部は、前記検出ラインの電位が表す前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、
前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項7】
前記検出ラインは、
第1の軸方向の座標を表す信号を伝達する、複数の第1の検出ラインと、
第2の軸方向の座標を表す信号を伝達する、前記各第1の検出ラインと互いにねじれの位置に配置されている複数の第2の検出ラインと、
を含み、
前記接点電極は、
前記複数の第1の検出ラインの何れかに接続されている複数の第1の接点電極と、
前記複数の第2の検出ラインの何れかに接続されている複数の第2の接点電極と、
を含み、
前記演算部は、
前記第1の検出ラインの電位に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第1の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標と、前記第1の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標を特定し、
前記第2の検出ラインの電位に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第2の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標と、前記第2の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項8】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第1の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第1の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第2の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第2の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項9】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とする、
ことを特徴とする請求項8に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項10】
タッチされた際の検知側の基板の撓みを検出し、検出された前記基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定するタッチパネルの位置検出方法において、
前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネルの位置検出方法。
【請求項11】
前記判定によって変化していないとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標よりも、前記変化の方向に寄った座標を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項10に記載のタッチパネルの位置検出方法。
【請求項12】
前記判定によって変化しているとされ、前記変化の方向が前記複数の座標が大きくなる方向に変化しているときは、前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされ、前記変化の方向が前記複数の座標が小さくなる方向に変化しているときは、前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項11に記載のタッチパネルの位置検出方法。
【請求項1】
検知側の基板と、
前記検知側の基板がタッチされた際に、該検知側の基板の撓みを検出する検出部と、
前記検出部が出力する前記基板が撓んでいる位置の複数の座標を表す検出信号に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、
を具備し、
前記演算部は、前記検出信号に基づいて、前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、
前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記演算部は、
前記判定によって変化していないとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標よりも、前記変化の方向に寄った座標を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記検出信号は、
前記基板が撓んでいる位置の第1の軸方向の複数の座標を表す複数の第1軸方向信号と、
前記基板が撓んでいる位置の前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向の複数の座標を表す複数の第2軸方向信号と、
を含み、
前記演算部は、
前記第1軸方向信号に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第1の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標と、前記第1の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標を特定し、
前記第2軸方向信号に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第2の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標の、前記第2の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標と、前記第2の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第1の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第1の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第2の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第2の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とする、
ことを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
液晶層を挟んで互いに対向する第1の基板上に形成された画素電極と第2の基板上に形成された対向電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示素子であって、
前記第1の基板上に形成された複数の検出ラインと、
前記対向電極と間隙を有して対向し、タッチされ前記第2の基板が撓んだときに該対向電極と導通する、前記複数の検出ラインの何れかに接続されている複数の接点電極と、
前記検出ラインの各電位が表す前記第2の基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定する演算部と、
を具備し、
前記演算部は、前記検出ラインの電位が表す前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって変化しているとされたときは、
前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項7】
前記検出ラインは、
第1の軸方向の座標を表す信号を伝達する、複数の第1の検出ラインと、
第2の軸方向の座標を表す信号を伝達する、前記各第1の検出ラインと互いにねじれの位置に配置されている複数の第2の検出ラインと、
を含み、
前記接点電極は、
前記複数の第1の検出ラインの何れかに接続されている複数の第1の接点電極と、
前記複数の第2の検出ラインの何れかに接続されている複数の第2の接点電極と、
を含み、
前記演算部は、
前記第1の検出ラインの電位に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第1の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第1の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第1の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標と、前記第1の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標を特定し、
前記第2の検出ラインの電位に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、該判定によって前記第2の軸方向の前記複数の座標が時間的に変化しているとされたときは、
前記第2の軸方向の前記複数の座標の時間的変化に基づいて、前記第2の軸方向の前記複数の座標の、前記第1の軸方向の変化の方向を決定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標と、前記第2の軸方向の前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標を特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項8】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第1の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第1の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化していないとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定し、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の中心に対応する前記座標よりも、前記第2の軸方向の前記変化の方向に寄った前記第2の軸方向の座標を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標として特定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項9】
前記演算部は、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第1の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第1の軸方向の前記変化の方向が該第1の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第1の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第1の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が大きくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とし、
前記第2の軸方向の前記複数の座標が変化しているとされ、前記第2の軸方向の前記変化の方向が該第2の軸方向の座標が小さくなる方向に変化しているとされたときは、前記第2の軸方向の前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置の前記第2の軸方向の座標とする、
ことを特徴とする請求項8に記載のタッチパネルを有する液晶表示素子。
【請求項10】
タッチされた際の検知側の基板の撓みを検出し、検出された前記基板が撓んでいる位置の複数の座標に基づいて、該タッチされた位置を特定するタッチパネルの位置検出方法において、
前記複数の座標が時間的に変化しているか否かを判定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の時間的変化に基づいて、該複数の座標の変化の方向を決定し、
前記複数の座標と前記変化の方向とに基づいて、前記タッチされた位置を特定する、
ことを特徴とするタッチパネルの位置検出方法。
【請求項11】
前記判定によって変化していないとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされたときは、前記複数の座標の中心に対応する座標よりも、前記変化の方向に寄った座標を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項10に記載のタッチパネルの位置検出方法。
【請求項12】
前記判定によって変化しているとされ、前記変化の方向が前記複数の座標が大きくなる方向に変化しているときは、前記複数の座標の値のうち、中央値より大きくかつ最大値以下の何れかの値を、前記タッチされた位置として特定し、
前記判定によって変化しているとされ、前記変化の方向が前記複数の座標が小さくなる方向に変化しているときは、前記複数の座標の値のうち、中央値より小さくかつ最小値以上の何れかの値を、前記タッチされた位置として特定する、
ことを特徴とする請求項11に記載のタッチパネルの位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−137889(P2012−137889A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288849(P2010−288849)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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