説明

タッチパネルの押下警告装置および押下警告プログラム

【課題】タッチパネルの破損を抑制することができるタッチパネルの押下警告装置および押下警告プログラムを提供する。
【解決手段】抵抗膜方式のタッチパネルを入力デバイスとして使用する電子機器(例えば、生体情報モニタ)に適用されるタッチパネルの押下警告装置100は、タッチパネル面上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部120と、タッチ位置検出部120により検出された複数のタッチ位置に基づいて、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する判定部140と、判定部140によりタッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定された場合、ユーザに対して警告を報知する警告報知部160とを備える。この警告により、ユーザに先の尖った固いものによるタッチ操作を止めるように促すことができる。その結果、タッチパネルの破損を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの押下警告装置および押下警告プログラムに関し、例えば、抵抗膜方式のタッチパネルを入力デバイスとして使用する電子機器(例えば、生体情報モニタ)に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病棟等で治療を受けている患者の生体情報を監視するための監視装置として、セントラルモニタ、ベッドサイドモニタなどの生体情報モニタが知られている。生体情報モニタは、患者から計測された心拍数や血圧、呼吸数などの生体情報の計測値および波形を画面に一括表示することができる。ユーザである医療スタッフ(例えば医師や看護師)は、表示された情報を見ることで、患者の容体を把握することができる。
【0003】
医療用の生体情報モニタには、抵抗膜方式のタッチパネルが用いられている。抵抗膜方式のタッチパネルは、上部フィルムと下部ガラスとの間にスペーサを介して微小なギャップを設け、タッチパネル上方からの押圧で上部フィルムと下部ガラスとが接触することにより位置検出を行う方式である。
【0004】
医療用の生体情報モニタに、静電容量方式のタッチパネルではなく、抵抗膜方式のものが採用されるのは、医療現場でスタッフが着用する手袋に起因する。すなわち、静電容量方式のタッチパネルが正しく動作するためには、タッチパネルとユーザの人体との間に電流が流れる必要がある。しかし医療現場において、医療スタッフは医療用の手袋を装着した状態で作業を行うことが多い。医療用手袋はその材質が天然ゴムや合成ゴム、塩化ビニル樹脂等であることがJIS規格等に定められており、この手袋が通電の妨げとなって、入力操作を正しく検知できないことが起こるのである。
【0005】
なお、タッチパネルに関する技術として、押圧場所の位置情報を得るために使用される接続リード線がタッチパネル側面から直接引き出されることにより、タッチパネルの取り付けや補修などの取扱い時に当該接続リード線が断線する虞をなくすようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−050731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、医療現場において、医療スタッフがタッチパネルの入力操作を行う場合、指で押下せずに手に持っているボールペンやシャープペンシルのような先の尖った固いもので押下することがしばしば行われる。先の尖った固いものでタッチパネルの押下を繰り返した場合、タッチパネルの上面のフィルムが破損し、ひいては導通不良や接触不良を起こすおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、タッチパネルの破損を抑制することができるタッチパネルの押下警告装置および押下警告プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るタッチパネルの押下警告装置は、抵抗膜方式のタッチパネル面上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部と、
前記タッチ位置検出部により検出された複数のタッチ位置に基づいて、前記タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定された場合、前記ユーザに対して警告を報知する警告報知部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な押下警告プログラムは、抵抗膜方式のタッチパネル面上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部と、
前記タッチ位置検出部により検出された複数のタッチ位置に基づいて、前記タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定された場合、前記ユーザに対して警告を報知する警告報知部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない場合(つまり、ボールペンやシャープペンシルのような先の尖ったものでタッチされていることが推定される場合)、タッチしているユーザに対する警告が行われる。そのため、警告を受けたユーザが先の尖った固いものによるタッチ操作を止めるように促し、ひいてはタッチパネルの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における閾値範囲の例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置の構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の構成例を示すブロック図である。タッチパネルの押下警告装置100は、抵抗膜方式のタッチパネル(図示せず、以下同じ)を入力デバイスとして使用する生体情報モニタに適用される。
【0013】
図1に示すように、タッチパネルの押下警告装置100は、タッチ位置検出部120、判定部140および警告報知部160を備えて構成されている。
【0014】
タッチ位置検出部120は、タッチパネル面上のタッチ位置を所定時間(例えば、16[ms])毎に検出する。具体的には、タッチ位置検出部120は、タッチパネルから出力された出力電圧信号(X座標)および出力電圧信号(Y座標)に基づいて、タッチ位置(X座標、Y座標)を検出する。そして、タッチ位置検出部120は、タッチ位置を検出する度に、検出したタッチ位置を示すタッチ位置情報を判定部140に出力する。
【0015】
判定部140は、タッチ位置検出部120から所定時間(例えば、320[ms])内に出力された複数のタッチ位置情報に基づいて、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する。本実施の形態では、判定部140は、上側閾値設定部145および下側閾値設定部150を備えて構成されている。
【0016】
上側閾値設定部145は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報に基づいて上側閾値を設定する。具体的には、上側閾値設定部145は、タッチ位置検出部120から所定時間内の最初に出力されたタッチ位置情報により示されるX座標を基準として所定値だけ高い上側閾値(X座標)を設定する。また、上側閾値設定部145は、タッチ位置検出部120から所定時間内の最初に出力されたタッチ位置情報により示されるY座標を基準として所定値だけ高い上側閾値(Y座標)を設定する。
【0017】
なお、上側閾値の設定方法は上記に限らず、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力されたタッチ位置情報により示される複数のX座標の平均値を基準として所定値だけ高い上側閾値(X座標)を設定しても良い。また、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力されたタッチ位置情報により示される複数のY座標の平均値を基準として所定値だけ高い上側閾値(Y座標)を設定しても良い。
【0018】
下側閾値設定部150は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報に基づいて下側閾値を設定する。具体的には、下側閾値設定部150は、タッチ位置検出部120から所定時間内の最初に出力されたタッチ位置情報により示されるX座標を基準として所定値だけ低い下側閾値(X座標)を設定する。また、下側閾値設定部150は、タッチ位置検出部120から所定時間内の最初に出力されたタッチ位置情報により示されるY座標を基準として所定値だけ低い下側閾値(Y座標)を設定する。
【0019】
なお、下側閾値の設定方法は上記に限らず、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力されたタッチ位置情報により示される複数のX座標の平均値を基準として所定値だけ低い下側閾値(X座標)を設定しても良い。また、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力されたタッチ位置情報により示される複数のY座標の平均値を基準として所定値だけ低い下側閾値(Y座標)を設定しても良い。
【0020】
上記したように、上側閾値設定部145による上側閾値の設定と、下側閾値設定部150による下側閾値の設定とによって、タッチ位置検出部120により検出された複数のタッチ位置のぶれが大きいか否かを判定するための閾値範囲が設定される。図2は、閾値範囲の例を示す図である。図2に示すように、閾値範囲は、点A、点B、点C、点Dで囲まれた点線枠内である。点AのX座標およびY座標は、それぞれ上側閾値(X座標)および上側閾値(Y座標)である。点BのX座標およびY座標は、それぞれ上側閾値(X座標)および下側閾値(Y座標)である。点CのX座標およびY座標は、それぞれ下側閾値(X座標)および下側閾値(Y座標)である。点DのX座標およびY座標は、それぞれ下側閾値(X座標)および上側閾値(Y座標)である。
【0021】
判定部140は、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力された複数のタッチ位置情報に基づいて、複数のタッチ位置の全てが、上側閾値設定部145により設定された上側閾値(X座標、Y座標)と、下側閾値設定部150により設定された下側閾値(X座標、Y座標)との間に収まっているか否か(つまり、図2に示した閾値範囲に含まれるか否か)について判定する。もし、上側閾値と下側閾値との間に収まっていると判定した場合、判定部140は、タッチ位置のぶれが小さく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。一方、上側閾値と下側閾値との間に収まっていないと判定した場合、判定部140は、タッチ位置のぶれが大きく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。
【0022】
警告報知部160は、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨の通知を所定回(例えば、3回)連続して判定部140から受けた場合、ユーザに対して警告を報知する。例えば、警告報知部160は、生体情報モニタに設けられた表示部(図示せず)に対して、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨を報知するためのメッセージ(例えば、「タッチパネルは指で押してください」)を出力する。
【0023】
なお、警告報知部160は、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨を報知するためのメッセージを、表示部に対して出力する代わりに、スピーカから音声出力するようにしても良い。
【0024】
次に、第1の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の動作について説明する。図3は、第1の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の動作例を示すフローチャートである。図3におけるステップS100の処理は、例えば、タッチパネルの押下警告装置100が起動することにより開始する。
【0025】
まず、警告報知部160は、警告を報知するかの判断に用いる変数Fに0(ゼロ)を代入する(ステップS100)。次に、判定部140は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報の入力を開始する(ステップS120)。
【0026】
次に、判定部140は、ステップS120の開始処理から所定時間(例えば、320[ms])の経過後、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報の入力を終了する(ステップS140)。次に、上側閾値設定部145は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報に基づいて、X座標およびY座標について上側閾値を設定する(ステップS160)。次に、下側閾値設定部150は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報に基づいて、X座標およびY座標について下側閾値を設定する(ステップS180)。
【0027】
次に、判定部140は、タッチ位置検出部120から所定時間内に出力された複数のタッチ位置情報に基づいて、複数のタッチ位置の全てが、上側閾値設定部145により設定された上側閾値(X座標、Y座標)と、下側閾値設定部150により設定された下側閾値(X座標、Y座標)との間に収まっているか否か(つまり、図2に示した閾値範囲に含まれるか否か)について判定する(ステップS200)。
【0028】
もし、上側閾値と下側閾値との間に収まっていないと判定部140にて判定した場合(ステップS200にてNO)、判定部140は、タッチ位置のぶれが大きく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。そして、警告報知部160は、変数Fに0(ゼロ)を代入する(ステップS240)。その後、処理はステップS120に遷移する。
【0029】
一方、上側閾値と下側閾値との間に収まっていると判定部140にて判定した場合(ステップS200にてYES)、判定部140は、タッチ位置のぶれが小さく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていないと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。そして、警告報知部160は、変数Fの値に1を加えた値を変数Fに代入する(ステップS220)。
【0030】
次に、警告報知部160は、変数Fの値が所定値(例えば、3)以上であるか否か(つまり、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨の通知を所定回(例えば、3回)連続して判定部140から受けたか否か)について判定する(ステップS260)。もし、変数Fの値が所定値以上でないと警告報知部160にて判定した場合(ステップS260にてNO)、処理はステップS120に遷移する。
【0031】
一方、変数Fの値が所定値以上であると警告報知部160にて判定した場合(ステップS260にてYES)、警告報知部160は、生体情報モニタに設けられた表示部(図示せず)に対して、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨を報知するためのメッセージを出力することによって、ユーザに対して警告を報知する(ステップS280)。その後、処理はステップS120に遷移する。
【0032】
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態では、ボールペンやシャープペンシルのような先の尖ったものでタッチパネルがタッチされている場合、タッチ位置のぶれは小さくなるという性質に着目し、タッチ位置検出部120により検出された複数のタッチ位置の全てが、上側閾値設定部145により設定された上側閾値と、下側閾値設定部150により設定された下側閾値との間に収まっている場合、タッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定し、ユーザに対して警告を報知するようにしている。
【0033】
このように構成した第1の実施の形態によれば、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない場合、指により操作するように警告を発する。つまり、指でタッチしていないということは、ボールペンやシャープペンシルのような先の尖ったものでタッチされている可能性があると推定できるのである。この警告により、ユーザに先の尖った固いものによるタッチ操作を止めるように促すことができる。その結果、タッチパネルの破損を抑制することができる。
【0034】
また、第1の実施の形態では、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていないと所定回連続して判定された場合に限り、ユーザに対して警告を報知するようにしている。比較的短い時間内で所定回数連続して指でタッチされていないと判定されるということは、1回で判定されるよりも、ボールペンやシャープペンシルのような先の尖ったもので連続的にタッチされた可能性がより高いものと言える。したがって、報知される警告は、先の尖った固いものによるタッチ操作に起因する可能性が高くなり、誤警告を減らすことができる。
【0035】
なお、上記第1の実施の形態において、X座標およびY座標の両方について上側閾値および下側閾値を設定する例について説明したが、本発明はこれに限らない。X座標およびY座標の何れかについてのみ上側閾値および下側閾値を設定するようにしても良い。この場合、複数のタッチ位置(X座標)の全てが、上側閾値(X座標)と下側閾値(X座標)との間に収まっている場合、タッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定する。また、複数のタッチ位置(Y座標)の全てが、上側閾値(Y座標)と下側閾値(Y座標)との間に収まっている場合、タッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定するようにしても良い。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。図4は、第2の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、タッチパネルの押下警告装置100は、その機能構成として、図1の判定部140の代わりに判定部142を備えている。なお、この図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0037】
第2の実施の形態に係るタッチパネルの押下警告装置100の動作は、第1の実施の形態に係るタッチパネルの押下警告装置100の動作とほぼ同様であるが、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについての具体的な判定処理が異なる。
【0038】
判定部142は、タッチ位置検出部120から所定時間(例えば、320[ms])内に出力された複数のタッチ位置情報に基づいて、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する。本実施の形態では、判定部142は、移動距離算出部155を備えて構成されている。
【0039】
移動距離算出部155は、タッチ位置検出部120から出力された複数のタッチ位置情報に基づき前後するタッチ位置間の距離を順次累積して、タッチ位置の総移動距離を算出する。
【0040】
判定部142は、移動距離算出部155により算出された総移動距離が所定距離以下であるか否かについて判定する。もし、所定距離以下であると判定した場合、判定部142は、タッチ位置のぶれが小さく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされなかったと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。一方、所定距離以下でないと判定した場合、判定部142は、タッチ位置のぶれが大きく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。
【0041】
次に、第2の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の動作について説明する。図5は、第2の実施の形態におけるタッチパネルの押下警告装置100の動作例を示すフローチャートである。図5におけるステップS300の処理は、例えば、タッチパネルの押下警告装置100が起動することにより開始する。
【0042】
まず、警告報知部160は、警告を報知するかの判断に用いる変数Fに0(ゼロ)を代入する(ステップS300)。次に、判定部142は、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報の入力を開始する(ステップS320)。
【0043】
次に、判定部142は、ステップS320の開始処理から所定時間(例えば、320[ms])の経過後、タッチ位置検出部120から出力されたタッチ位置情報の入力を終了する(ステップS340)。次に、移動距離算出部155は、タッチ位置検出部120から出力された複数のタッチ位置情報に基づき前後するタッチ位置間の距離を順次累積して、タッチ位置の総移動距離を算出する(ステップS360)。
【0044】
次に、判定部142は、移動距離算出部155により算出された総移動距離が所定距離以下であるか否かについて判定する(ステップS380)。もし、所定距離以下でないと判定部142にて判定した場合(ステップS380にてNO)、判定部142は、タッチ位置のぶれが大きく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされたと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。そして、警告報知部160は、変数Fに0(ゼロ)を代入する(ステップS420)。その後、処理はステップS320に遷移する。
【0045】
一方、所定距離以下であると判定部142にて判定した場合(ステップS380にてYES)、判定部142は、タッチ位置のぶれが小さく、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていないと判定し、その旨を警告報知部160に通知する。そして、警告報知部160は、変数Fの値に1を加えた値を変数Fに代入する(ステップS400)。
【0046】
次に、警告報知部160は、変数Fの値が所定値(例えば、3)以上であるか否か(つまり、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨の通知を所定回(例えば、3回)連続して判定部142から受けたか否か)について判定する(ステップS440)。もし、変数Fの値が所定値以上でないと警告報知部160にて判定した場合(ステップS440にてNO)、処理はステップS320に遷移する。
【0047】
一方、変数Fの値が所定値以上であると警告報知部160にて判定した場合(ステップS440にてYES)、警告報知部160は、生体情報モニタに設けられた表示部(図示せず)に対して、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない旨を報知するためのメッセージを出力することによって、ユーザに対して警告を報知する(ステップS460)。その後、処理はステップS320に遷移する。
【0048】
以上詳しく説明したように、第2の実施の形態でも、タッチパネル面がユーザの指でタッチされていない場合、指により操作するように警告を発する。つまり、指でタッチしていないということは、ボールペンやシャープペンシルのような先の尖ったものでタッチされている可能性があると推定できるのである。この警告により、ユーザに先の尖った固いものによるタッチ操作を止めるように促すことができる。その結果、タッチパネルの破損を抑制することができる。
【0049】
以上に説明した第1および第2の実施の形態によるタッチパネルの押下警告装置100の機能は、ソフトウェアによって実現される。タッチパネルの押下警告装置100がCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えたコンピュータとして構成され、RAMやROMに記憶されたプログラム(本発明の押下警告プログラムに対応)が動作することによって実現できる。なお、第1および第2の実施の形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、タッチパネルの押下警告装置100に読み込ませることによって実現することも可能である。
【0050】
上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してタッチパネルの押下警告装置100にダウンロードするようにしても良い。
【0051】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、タッチパネルの押下警告装置100が、抵抗膜方式のタッチパネルを入力デバイスとして使用する生体情報モニタに適用される例について説明したが、生体情報モニタ以外の抵抗膜方式のタッチパネルを用いた電子機器一般に適用することができる。
【0052】
その他、上記第1および第2の実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
100 タッチパネルの押下警告装置
120 タッチ位置検出部
140,142 判定部
145 上側閾値設定部
150 下側閾値設定部
155 移動距離算出部
160 警告報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗膜方式のタッチパネル面上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部と、
前記タッチ位置検出部により検出された複数のタッチ位置に基づいて、前記タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定された場合、前記ユーザに対して警告を報知する警告報知部とを備えたことを特徴とするタッチパネルの押下警告装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記タッチ位置検出部により検出されたタッチ位置に基づいて上側閾値を設定する上側閾値設定部と、前記タッチ位置検出部により検出されたタッチ位置に基づいて前記上側閾値より低い下側閾値を設定する下側閾値設定部とを備え、
前記判定部は、前記複数のタッチ位置の全てが、前記上側閾値設定部により設定された前記上側閾値と、前記下側閾値設定部により設定された前記下側閾値との間に収まっている場合、前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定することを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネルの押下警告装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記複数のタッチ位置に基づき前後するタッチ位置間の距離を順次累積して、タッチ位置の総移動距離を算出する移動距離算出部を備え、
前記判定部は、前記移動距離算出部により算出された前記総移動距離が所定距離以下の場合、前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定することを特徴とする、請求項1に記載のタッチパネルの押下警告装置。
【請求項4】
前記警告報知部は、前記判定部により前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされていないと所定回連続して判定された場合に限り、前記ユーザに対して警告を報知することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のタッチパネルの押下警告装置。
【請求項5】
抵抗膜方式のタッチパネル面上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部と、
前記タッチ位置検出部により検出された複数のタッチ位置に基づいて、前記タッチパネル面がユーザの指でタッチされたか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記タッチパネル面が前記ユーザの指でタッチされなかったと判定された場合、前記ユーザに対して警告を報知する警告報知部として機能させるためのコンピュータ読み取り可能な押下警告プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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