説明

タッチパネルを備える電子装置、及び、タッチパネルの操作面に特定の操作を受け付けるための領域を配置する配置方法

【課題】タッチパネルを備える電子装置において、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、タッチパネル上に各操作を受け付けるための領域を配置する。
【解決手段】電子装置のタッチパネルの操作面に、格子状の操作無効エリアと、操作無効エリアに囲まれる操作有効エリアが形成されたシートが貼り付けられると、該シートの貼付領域については、該操作有効エリアが配される操作領域に触れる操作のみが検出される。そして、操作領域101〜107の背後に特定の操作に対応するボタンが表示され、これらの操作領域は、背後に表示されたボタンに対応する操作を受け付ける領域として設定される。このため、各ボタンが操作面上に無分別に配置されることが無く、ユーザにわかり易い態様でボタン等が操作面上に配されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える電子装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを備える電子装置が多く流通しているが、このような電子装置によれば、タッチパネル上にソフトウェアボタン等を自由に配置することができ、操作性を高めることができる。また、特許文献1には、PCにインストールされたアプリケーションを用いて、タッチパネルを備えるデジタルカメラの画面上のボタン等のカスタマイズを行うことが記載されている。このようなカスタマイズにより、ボタン等の形状や配置等をユーザの好みに合わせて調整することができ、操作性をより一層高めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−293678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなカスタマイズによりボタン等を無分別に配置してしまうと、ユーザは各ボタン等の配置を把握できなくなる可能性があり、使い勝手が悪化するおそれや、誤操作が発生するおそれがある。
【0005】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、タッチパネルを備える電子装置において、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、タッチパネル上に各操作を受け付けるための領域を配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の電子装置は、タッチパネルの操作面を介してユーザの操作を受け付け、該操作に応じて各種処理を実行するよう構成されている。
そして、この電子装置は、ユーザの操作が無効となる操作無効エリアと、該操作が有効となるエリアであって、当該エリアを介してその背後を視認可能な複数の操作有効エリアとが形成されたシートが、操作面の全部または一部を覆った状態で当該電子装置に取り付けられると、該シートに形成された操作有効エリアが配される操作面上の領域である操作領域を検出する検出手段を備える。また、検出手段により検出された操作領域を、特定の操作を受け付けるための領域として設定する設定手段を備える。
【0007】
このような構成によれば、複数の操作有効エリアが形成されたシートがタッチパネルに取り付けられた際には、操作有効エリアが配される操作面上の各操作領域に、特定の操作を受け付けるためのいずれかのボタン等が配置される。
【0008】
したがって、各ボタン等がタッチパネルの操作面上に無分別に配置されることが無く、ユーザにわかり易い態様でボタン等が操作面上に配されるようになり、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、タッチパネル上に各操作を受け付けるための領域を配置することができる。
【0009】
なお、請求項2に記載されているように、シートには、それぞれの操作有効エリアを識別するための凹部或いは凸部の少なくともいずれかが形成されていても良い。
このような構成によれば、電子装置にシートを取り付けると、ユーザは、シートに触れるだけで操作面上のどの位置どのようなボタン等が配置されたかを把握することが可能となり、画面を視認することなくタッチパネルを操作することが可能となる。
【0010】
また、請求項3に記載されているように、シートに設けられた操作有効エリアは、開口部として構成されていても良い。
このような構成によれば、ユーザは、シートに触れただけで操作領域を判別することができ、電子装置の使い勝手を向上させることができる。
【0011】
なお、タッチパネルには、静電容量方式や抵抗膜方式等、様々な種類が存在するが、静電容量方式のタッチパネルが用いられる場合には、次のような構成を有していても良い。
すなわち、請求項4に記載されているように、タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルとして構成されており、シートの操作無効エリアは、当該操作無効エリアが配される操作面上の領域における静電結合を防止可能に構成されていても良い。
【0012】
こうすることにより、上述のシートが取り付けられた際には、操作面上における操作無効エリアが配される領域への操作が電子装置にて検出されることが無くなり、電子装置の処理負荷を低減させることができる。
【0013】
なお、上述のシートは、タッチパネルの操作面の全体を覆った状態で電子装置に取り付けられても良いし、操作面の一部を覆った状態で取り付けられても良く、操作面の一部を覆った状態で取り付けられる場合には、次のようにして操作領域を検出しても良い。
【0014】
すなわち、請求項5に記載されているように、電子装置は、操作面を介して、ユーザから、当該電子装置に取り付けられたシートにより覆われる操作面上の領域である取付領域を定める操作を受け付ける受付手段をさらに備え、検出手段は、操作領域を、受付手段を介して受け付けた操作により定められる取付領域上の領域として検出しても良い。
【0015】
このような構成によれば、取付領域以外の領域では、従来と同様に各種情報を表示することや、ボタン等を自由に配置することが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0016】
また、電子装置は、次のようにして操作領域を検出しても良い。
すなわち、請求項6に記載されているように、シートには、操作有効エリアの形状或いは配置が異なる複数の種類が存在する。また、電子装置は、それぞれのシートの種類について、該シートが取り付けられた際に、該シートの操作有効エリアが、該シートにより覆われる操作面上の領域におけるどの部分に配されるかを示す種類別操作領域情報を記憶している記憶手段と、取り付けられるシートの種類を判別する判別手段と、をさらに備える。そして、検出手段は、判別手段による判別結果と、記憶手段に記憶されている種類別操作領域情報とに基づき、取り付けられるシートについての操作領域を検出する。
【0017】
このような構成によれば、取り付けられたシートの種類に応じて正確に操作領域を検出することができる。
また、具体的には、次のようにして取り付けられたシートの種類を判別しても良い。
【0018】
すなわち、請求項7に記載されているように、シートには、当該シートの種類に割り当てられた識別情報を送信するICタグが設けられており、判別手段は、当該電子装置に取り付けられるシートに設けられたICタグから識別情報を読み出し、該識別情報に基づき、該シートの種類を判別しても良い。
【0019】
こうすることにより、ユーザの手を煩わすことなく、操作領域を正確に検出することができる。
また、請求項8に記載されているように、シートには、操作有効エリアと同様に構成され、当該シートが取り付けられた際に当該シートの種類に応じて固有に定められた操作面上の位置に配される基準エリアが設けられており、判別手段は、当該電子装置にシートが取り付けられた後に行われる該シートの基準エリアに対する操作を受け付け、該操作に基づき、該シートの種類を判別しても良い。
【0020】
また、請求項9に記載されているように、判別手段は、操作面を介してユーザからシートの種類を選択する操作を受け付け、該操作に基づき、当該電子装置に取り付けられるシートの種類を判別しても良い。
【0021】
こうすることにより、より簡易的な構成により取り付けられるシートの種類を判別することができ、シートや電子装置のコストを抑えつつ、操作領域を正確に検出することが可能となる。
【0022】
さらに、請求項10に記載されているように、シートには、当該シートが取り付けられた際に、当該シートの操作有効エリアが、当該シートにより覆われる操作面上の領域におけるどの部分に配されるかを示す操作領域検出情報を送信するICタグが設けられていても良い。そして、検出手段は、当該電子装置に取り付けられるシートに設けられたICタグから操作領域検出情報を読み出し、該操作領域検出情報に基づき、該シートについての操作領域を検出しても良い。
【0023】
こうすることにより、ユーザの手を煩わすことなく、操作領域を正確に検出することができる。
また、請求項6〜9に記載の電子装置のように、記憶手段に記憶されている種類別操作領域情報を用いて操作領域を検出するという場合には、種類別操作領域情報に対応していない種類のシートを取り付けることができず、操作領域の数や大きさや配置等のバリエーションが制限されてしまう。
【0024】
そこで、請求項11に記載の電子装置では、シートは、矩形に形成されていると共に、同一形状の矩形の操作有効エリアが複数形成され、それぞれの操作有効エリアは、当該シートの外縁をなす辺に平行な行及び列からなるマトリクス状に並べられている。さらに、各行は、隣接する他の行、或いは、行に平行な辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配されると共に、各列は、隣接する他の列、或いは、列に平行な辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配されている。
【0025】
そして、検出手段は、シートが取り付けられると、少なくとも一つの行をなす操作領域と、少なくとも一つの列をなす操作領域とに対する操作に基づき、全ての操作領域を検出する。
【0026】
このような構成によれば、各操作有効エリアの形状や並びに関する条件を満たす限り、電子装置に取り付けられるシートにおける操作有効エリアの数や大きさや配置等を自由に設定することができる。このため、操作領域の数や大きさや配置等のバリエーションを増やすことができ、電子装置の機能やユーザの好みに応じて、より適切に操作領域を設定することが可能となる。
【0027】
また、シートの種類を自動的に判別するための構成をシートや電子装置に設けることや、電子装置にて種類別操作領域情報を記憶しておく必要が無くなり、電子装置やシートのコストを抑えることができる。
【0028】
また、請求項6〜9に記載の電子装置のように、記憶手段に記憶されている種類別操作領域情報を用いて操作領域を検出するという場合には、操作面上に予め定められた取付領域か、或いは、ユーザにより選択された取付領域を覆うようにシートが取り付けられることが前提となる。しかしながら、ユーザがシートを手動で取り付けるという場合には、取り付けられたシートの位置がこれらの取付領域からずれてしまうおそれがあり、このような場合には、シートの取り付けにより実際に形成された操作領域と、検出される操作領域との間に誤差が生じる。
【0029】
これに対し請求項11に記載の電子装置によれば、シートの取り付けにより実際に形成された操作領域に対する操作に基づき、各操作領域の検出が行われる。このため、取り付けの際に生じたずれを考慮して各操作領域を検出することができ、各操作領域をより正確に検出することができる。
【0030】
また、各操作領域の検出方法としては、例えば、ユーザに各操作領域の四隅を押下する操作を行わせると共に、該操作に基づき各操作領域の四隅の位置を検出し、四隅の位置を結ぶ領域を操作領域として検出するといった方法が考えられる。また、ユーザに各操作領域の外縁をなぞる操作を行わせ、該操作による軌跡を検出することで、各操作領域を検出するといった方法が考えられる。
【0031】
また、これら以外にも、次のような方法が考えられる。
すなわち、請求項12に記載されているように、検出手段は、シートが取り付けられると、全ての操作領域に対しそれぞれ一回ずつ触れる操作に基づき、それぞれの操作領域の凡その位置を把握すると共に、いずれかの操作領域の四隅を触れる操作に基づき、該操作領域のそれぞれの辺の長さを計測し、凡その位置と、それぞれの辺の長さとに基づき、全ての操作領域を検出しても良い。
【0032】
また、請求項13に記載されているように、シートの外縁に沿って配される操作領域を外縁操作領域とすると共に、外縁操作領域における外縁に隣接する辺に沿ってこれらの外縁操作領域を通過する経路を外縁経路とし、また、取り付けられたシートに形成された操作無効エリアが配される操作面上の領域を操作無効領域としても良い。そして、検出手段は、シートが取り付けられると、外縁経路をなぞって一周する操作に基づき操作無効領域を検出し、検出した操作無効領域に基づき、操作領域を検出しても良い。
【0033】
こうすることにより、各操作領域の検出に必要となるユーザの操作を少なくすることができ、ユーザの負担を低減することができる。
また、請求項14には、請求項1に記載の電子装置を構成する各手段を手順として表した配置方法について記載されている。
【0034】
すなわち、請求項14には、タッチパネルの操作面を介してユーザの操作を受け付け、該操作に応じて各種処理を実行する電子装置において、操作面に、ユーザの特定の操作を受け付けるための各領域を配置する配置方法について記載されている。
【0035】
この配置方法は、ユーザの操作が無効となる操作無効エリアと、該操作が有効となるエリアであって、当該エリアを介してその背後を視認可能な複数の操作有効エリアとが形成されたシートが、操作面の全部または一部を覆った状態で電子装置に取り付けられると、該シートに形成された操作有効エリアが配される操作面上の領域である操作領域を検出する検出手順を有する。また、検出手順により検出された操作領域を、特定の操作を受け付けるための領域として設定する設定手順を有する。
【0036】
このようは配置方法を適用することで、タッチパネルを備える電子装置において、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、タッチパネル上に、各操作を受け付けるための領域を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】電子装置の構成を示すブロック図と、シートの構成を示す説明図である。
【図2】操作領域に対応して各種ボタンが表示された様子を示す説明図と、操作面の下半分にシートが貼り付けられ、操作領域に対応して各種ボタンが表示された様子を示す説明図である。
【図3】手動設定処理についてのフローチャートである。
【図4】手動による操作領域の検出の際に必要となるユーザの操作を示す説明図である。
【図5】手動位置合せ処理1についてのフローチャートである。
【図6】手動による操作領域の検出の際に必要となるユーザの操作を示す説明図と、該操作により生じる操作面とユーザとの接点の軌跡を示す説明図である。
【図7】手動位置合せ処理2についてのフローチャートである。
【図8】自動設定処理についてのフローチャートと、操作設定処理1についてのフローチャートである。
【図9】操作設定処理2についてのフローチャートと、部分シート貼付処理についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0039】
[構成の説明]
まず、本実施形態の電子装置の構成について説明する。この電子装置は、例えば、スマートフォン等の携帯機器や、プリンタ,スキャナ,FAX等として構成されており、タッチパネルを備えている。
【0040】
図1(a)に記載されているように、電子装置10は、周知のCPU11,RAM12,ROM13を備え、RAM12やROM13に記憶されたプログラムによりCPU11が動作することで、電子装置10が統括制御される。
【0041】
また、電子装置10は、さらに、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成された記憶部14や、各種情報を表示する表示部15や、表示部15を覆うように配された静電容量方式のタッチパネル16や、ICタグから情報を読み取る読取部17を備える。
【0042】
そして、電子装置10では、表示部15に各種操作に対応するボタン等が表示されると共に、ボタン等の表示位置に対応するタッチパネル16の操作面上の領域にユーザが触れることで、各種操作が受け付けられる。
【0043】
そして、タッチパネル16の操作面には、ユーザの操作が無効となる操作無効エリアと、該操作が有効となる操作有効エリアとが形成されたシートを貼り付けることが可能となっている。
【0044】
このシートは、操作面上の全体を覆うように貼り付けられても良いし、操作面上の一部に定められた貼付許可領域を覆うように貼り付けられても良い。なお、貼付許可領域の外縁に沿って突起や段差等を形成し、貼付許可領域へのシートの貼り付けを容易化しても良い。また、シートを貼り付ける領域をユーザにより選択可能としても良く、このような場合には、操作面上に複数の貼付許可領域を設け、どの貼付許可領域にシートを貼り付けるかを選択可能とすると共に、各貼付許可領域の外縁に沿って突起や段差等を形成しても良い。
【0045】
本実施形態では、このシートは矩形であると共に、操作無効エリアが格子状に形成されている。また、操作無効エリアに囲まれる部分が操作有効エリアとなっており、各操作有効エリアは、同一形状の矩形であると共に透明性を有し、シートの外縁をなす辺に平行な行及び列からなるマトリクス状に並べられている。
【0046】
そして、各行は、隣接する他の行、或いは、行に平行なシートの外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配されると共に、各列は、隣接する他の列、或いは、列に平行なシートの外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配される。
【0047】
図1(b)〜(d)には、このシートの一例としてA〜Cシート20〜22の3種類が記載されており、A〜Cシート20〜22では、それぞれ、各操作有効エリア20b,21b,22bが、3×3,3×4,4×5のマトリクス状に並べられている。なお、操作有効エリアのシートの長手方向の並びを行、短手方向の並びを列とすると共に、長手方向を横方向、短手方向を縦方向とする。
【0048】
そして、操作無効エリアは、当該エリアが操作面に接した状態でユーザに触れられても、タッチパネル16に静電結合を生じさせないよう構成されており、A〜Cシート20〜22が操作面に貼られた際は、当該エリアを介して操作面に触れる操作は無効化される。
【0049】
具体的には、この操作無効エリアは、例えば、絶縁性プラスチック,絶縁性ゴム,シリコン等の絶縁性材料からなるフィルムとして構成されていても良いし、ガラス繊維等からなる布や毛織物等として構成されていても良い。なお、この操作無効エリアは、当該エリアを介してユーザが操作面に触れた際に、タッチパネル16における静電結合の発生を防止可能な程度の厚さを有していることは言うまでも無い。
【0050】
一方、操作有効エリアは、当該エリアが操作面に接した状態でユーザに触れられると、タッチパネル16に静電結合が生じるよう構成されており、A〜Cシート20〜22が操作面に貼り付けられた際には、当該エリアを介して操作面に触れる操作は有効となる。
【0051】
具体的には、この操作有効エリアは、例えば、導電性の材料からなる透明なフィルム(導電性のPETフィルム等)として構成されていても良いし、開口部として形成されていても良い。
【0052】
また、各操作有効エリアには、該エリアを識別するための凹部または凸部(図示無し)が形成されている。なお、該エリアを識別するための凹凸が形成されていても良い。また、操作有効エリアが開口部として形成されている場合等には、各操作有効エリアを囲むように、或いは、各操作有効エリアの下方等に隣接して同様の凹凸が形成されていても良い。
【0053】
また、詳細については後述するが、電子装置10では、シートが操作面に貼り付けられると、各操作有効エリアが配される操作面上の領域が操作領域として検出される。
A〜Cシート20〜22が貼り付けられた際には、それぞれ異なる方法で操作領域が検出され、Bシート21には、この操作領域の検出に用いられる情報を出力するICタグ21cが設けられている。また、Cシート22には、操作有効エリアと同様に当該エリアを介して操作面に触れる操作が有効となるよう構成され、当該エリアへの操作が操作領域の検出のために用いられる基準エリア22cが設けられている。
【0054】
[動作の説明]
まず、電子装置10の動作の概要について説明する。
電子装置10では、タッチパネル16の操作面にシートが貼り付けられる際に操作領域を検出する処理が行われる。そして、表示部15には、検出された各操作領域の背後に特定の操作を受け付けるためのボタン等が表示され、各操作領域は、背後に表示されたボタン等に対応する操作を受け付けるための領域として設定される。
【0055】
図2(a)には、操作面100全体を覆うシートが貼られ、表示部15にて操作領域101〜106の背後に各種ボタンが表示された様子を示す説明図が記載されている。
また、図2(b)には、操作面100の下半分を占める貼付領域120を覆うシートが貼り付けられた様子を示す説明図が記載されている。この説明図は、表示部15にて、貼付領域120に形成された複数の操作領域の背後に各種ボタンが表示されることを示している。一方、操作面100の上半分を占める表示領域110(シートにより覆われていない領域)の背後では、表示部15にてシートの貼り付け前と同様に画像が表示され、表示領域110を介して各種操作が受け付けられるということを示している。
【0056】
次に、シートの貼り付けにより形成される各操作領域の検出方法について説明する。
(1)手動設定処理について
まず、操作面全体を覆うシートの貼り付けにより形成された操作領域に触れる操作に基づき各操作領域を検出する手動設定処理について、図3に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、A〜Cシート20〜22のいずれが貼り付けられた場合であっても適用可能であり、手動により操作領域を設定する旨の操作を受け付けた場合に実行される。
【0057】
S205では、電子装置10のCPU11は、操作面へのシートの貼り付けの完了を待ち、所定の待ち時間が経過すると、S210に処理を移行する。
S210では、CPU11は、ユーザが操作領域に触れる操作に基づき各操作領域を検出する手動位置合せ処理を実行し、該処理が完了すると、S215に処理を移行する。
【0058】
S215では、CPU11は、表示部15により各操作領域の背後に特定の操作を受け付けるためのボタン等を表示すると共に、各操作領域を、背後に表示されたボタン等に対応する操作を受け付ける領域として設定するボタン等表示処理を行い、本処理を終了する。
【0059】
(1−1)手動位置合せ処理1について
次に、手動設定処理からコールされる上述の手動位置合せ処理の一例である手動位置合せ処理1について、図5に記載のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
手動位置合せ処理1では、ユーザから、各操作領域を1回ずつ押下する操作と(図4(a)参照)、いずれか一つの操作領域の四隅を押下する操作(図4(b)参照)が行われ、これに基づき操作領域が検出される。
【0061】
なお、各操作領域を1回ずつ押下する際には、これらをランダムに押下するのではなく、予め定められた順番で各操作領域に押下することが望ましい。具体的には、例えば、上側からに順に各行を選択すると共に、選択された行をなす各操作領域を、操作面100に向かって左から右に順番に押下することが考えられる。
【0062】
この手動位置合せ処理1について、以下に説明する。
S305では、電子装置10のCPU11は、図示しないスピーカ等を介して、ユーザに対し、上述した順番で各操作領域を1回ずつ押下する操作を指示し、S310に処理を移行する。
【0063】
S310,S315では、CPU11は、ユーザからのいずれかの操作領域の押下を受け付けると共に、押下位置を示す座標を検出して記憶し、S320に処理を移行する。
S320では、CPU11は、検出された座標に基づき、押下された操作領域が右下の角に位置する操作領域か否かを判定し、肯定判定の場合には(S320:Yes)、S325に処理を移行する。また、本処理開始後から所定時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S320:Yes)、S325に処理を移行する。一方、これらの判定のいずれかで否定判定となった場合(S320:No)、S310に処理を移行する。
【0064】
S325では、CPU11は、検出された各押下位置を各操作領域の凡その位置とし、S330に処理を移行する。
S330では、CPU11は、角に位置するいずれかの操作領域の凡その位置を特定すると共に、操作面上に該位置を中心とした矩形の領域を定め、表示部15にて該領域の四隅にマークを表示することで該操作領域の四隅の押下を指示し、S335に処理を移行する。なお、この矩形の領域とは、貼り付けが想定されるシートに形成された操作有効エリアのうち、最小の操作有効エリアと同一の形状を有していても良い。
【0065】
S335,S340では、CPU11は、4回にわたる操作面の押下を受け付けると共に、押下位置を示す座標を検出して記憶する。そして、該座標から該操作領域の各辺の長さを算出して該操作領域の形状を特定し(S345)、S350に処理を移行する。
【0066】
S350では、CPU11は、各操作領域の凡その位置と操作領域の形状に基づき、各操作領域を検出する。具体的には、各操作領域の凡その位置から、各操作領域がなすマトリクスの行数,列数をカウントし、シートに覆われた操作面上の貼付領域に、仮想的に、特定した形状の操作領域をこの行数及び列数のマトリクス状に並べる。
【0067】
なお、このマトリクスでは、各行は、隣接する他の行、或いは、行に平行な貼付領域の外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いていると共に、各列は、隣接する他の列、或いは、列に平行なシートの外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いている。
【0068】
そして、仮想的に並べた各操作領域を、貼り付けられたシートに形成された操作有効エリアが接する領域とみなすことで、各操作領域が検出される。
続くS355では、CPU11は、検出された各操作領域に、いずれか一つの操作領域の凡その位置が含まれるか否かを判定することで、操作領域の検出に成功したか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S355:Yes)、S360に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S355:No)、S370に処理を移行する。
【0069】
S360では、CPU11は、表示部15等を介して操作領域の検出の完了を報知すると共に、記憶部14に各操作領域を記憶し(S365)、本処理を終了する。
一方、S370では、CPU11は、表示部15等を介して各操作領域の検出のやり直しを指示し、本処理を終了する。
【0070】
(1−2)手動位置合せ処理2について
次に、手動設定処理からコールされる上述の手動位置合せ処理の一例である手動位置合せ処理2について、図7に記載のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
手動位置合せ処理2では、電子装置10は、外縁経路(貼付領域の外縁に沿って配される操作領域である外縁操作領域における該外縁に隣接する辺に沿って、各外縁操作領域を通過する経路)をなぞって一周する操作をユーザから受け付ける(図6(a)参照)。
【0072】
そして、この操作が行われた際には、電子装置10では、外縁操作領域を通過する操作のみが検出されるため、ユーザと操作面との接点の軌跡として、図6(b)に記載の説明図における軌跡150a〜150jが検出される。この説明図が示すように、軌跡150a〜150jからは、格子状の操作無効エリアが配される操作面上の領域である操作無効領域を検出可能であり、この操作無効領域に基づき操作領域が検出される。
【0073】
この手動位置合せ処理2について、以下に説明する。
S405では、電子装置10のCPU11は、図示しないスピーカ等を介して、ユーザに対し、外縁経路をなぞって一周する操作を指示すると共に、該操作を受け付け、周期的にユーザと操作面との接点の座標を検出し(S410)、S415に処理を移行する。
【0074】
S415では、CPU11は、連続して検出された近接する(所定値未満の距離を有する)二つの接点同士のみを結んで接点の軌跡を生成し、S420に処理を移行する。
S420では、CPU11は、軌跡の切れ目をなす非検出区間(シートの外縁に沿って並ぶ二つの軌跡における、隣接する端部を結ぶ区間)に基づき、内側操作領域(シートの外縁に隣接していない操作領域)を検出し、S425に処理を移行する。
【0075】
具体的には、シートを挟んで対面する位置にある二つの非検出区間を特定し、二つの非操作区間の組毎に、仮想的に、これら二つの非検出区間における端部を結ぶ交差しない2本の線を操作面上に形成する。そして、この2本の先に挟まれる領域を操作無効領域とすると共に、操作無効領域に囲まれた領域を内側操作領域とする。
【0076】
S425では、CPU11は、検出した内側操作領域のずれが許容範囲内か否かを判定する。具体的には、例えば、内側操作領域の各辺が、操作面の横方向或いは縦方向に対しどの程度傾いているかにより、ずれが許容範囲内か否かを判定しても良い。
【0077】
そして、内側操作領域のずれが許容範囲内であると判定された場合には(S425:Yes)、CPU11はS430に処理を移行し、該ずれが許容範囲外であると判定された場合には(S425:No)、S435に処理を移行する。
【0078】
S430では、CPU11は、縦方向に延びるいずれかの操作無効領域の幅を算出し、該幅を有する帯状の縦方向操作無効領域を仮想的に生成すると共に、横方向に延びるいずれかの操作無効領域の幅を算出し、該幅を有する帯状の横方向操作無効領域を仮想的に生成する。
【0079】
また、CPU11は、仮想的に、2本の縦方向操作無効領域をシートの貼付領域の縦方向の各辺に沿って配置すると共に、2本の横方向操作無効領域を貼付領域の横方向の各辺に沿って配置し、縦,横方向操作無効領域と他の操作無効領域に囲まれた領域を外側操作領域とする。
【0080】
そして、CPU11は、内側及び外側操作領域を、シートの貼り付けにより操作面上に形成された操作領域とし、記憶部14に記憶すると共に、表示部15等を介して操作領域の検出が完了したことを報知し、本処理を終了する。
【0081】
一方、S435では、CPU11は、表示部15等を介して各操作領域の検出のやり直しを指示し、本処理を終了する。
(2)自動設定処理について
次に、操作面全体を覆うBシート21により形成された操作領域を検出する自動設定処理について、図8(a)に記載のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
このBシート21は、操作有効エリアの数,形状,大きさ,配置位置等により複数の種類(エリア種別とも記載)に分類される。また、ICタグ21cには、Bシート21のエリア種別を示す識別情報か、或いは、Bシート21大きさや、操作有効エリアの数,形状,大きさや、シート上における各操作有効エリアの配置位置等を示す操作領域検出情報が記憶されている。
【0083】
そして、自動設定処理では、この識別情報或いは操作領域検出情報に基づき、自動的に操作領域が検出される。なお、本処理は、シートの貼り付けを行う旨の操作を受け付けた際に実行される。
【0084】
S505,S510では、電子装置10のCPU11は、タッチパネル16を介してBシート21の貼り付けを選択する操作を受け付けると、表示部15を介してBシート21の貼り付けを指示し、S515に処理を移行する。
【0085】
S515では、CPU11は、読取部17により、操作面に貼り付けられたBシート21に設けられたICタグ21cから識別情報或いは操作領域検出情報を読み出す。そして、識別情報を読み出した場合には、該識別情報によりBシート21のエリア種別を判別する。
【0086】
続くS520では、CPU11は、Bシート21のエリア種別か、或いは、操作領域検出情報に基づき、操作領域を検出する。
具体的には、記憶部14には、Bシート21の各エリア種別について、該Bシート21が貼り付けられた際に、操作有効エリアが貼付領域のどの部分に配されるかを示す種類別操作領域情報が記憶されており、識別情報が読み出された場合には、CPU11は、該種類別操作領域情報を参照する。そして、種類別操作領域情報とBシート21のエリア種別に基づき、Bシート21の貼り付けにより生成された操作領域を検出する。
【0087】
一方、操作領域検出情報が読み出された場合には、CPU11は、該操作領域検出情報に基づき、Bシート21の貼り付けにより生成された操作領域を検出する。
続くS525では、CPU11は、ボタン等表示処理を行い、本処理を終了する。
【0088】
(3)操作設定処理1について
次に、操作面全体を覆うCシート22により形成された操作領域を検出する操作設定処理1について、図8(b)に記載のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
Cシート22もまた、Bシート21と同様に複数のエリア種別が存在する。また、各種類のCシート22における基準エリア22cの位置は、該Cシート22が貼り付けられた際に、該エリア種別に応じて固有に定められる貼付領域上の位置に配されるよう調整されている。なお、基準エリア22cは、操作有効エリア上に設けられていても良いし、操作無効エリアに囲まれた位置に設けられていても良い。
【0090】
そして、操作設定処理1では、タッチパネル16に貼り付けられたCシート22の基準エリア22cを押下する操作に基づき操作領域が検出される。なお、本処理は、シートの貼り付けを行う旨の操作を受け付けた際に実行される。
【0091】
S605〜S615では、電子装置10のCPU11は、タッチパネル16を介して、Cシート22の貼り付けを選択する操作を受け付けると、表示部15を介してCシート22の貼り付けや基準エリア22cの押下を指示し、S620に処理を移行する。
【0092】
S620では、CPU11は、Cシート22がタッチパネル16の操作面に貼り付けられた後に基準エリア22cの押下を受け付けると共に、押下位置の座標を検出し、該座標に基づきCシート22のエリア種別を判別する。
【0093】
続くS625では、CPU11は、Cシート22のエリア種別と、記憶部14に記憶されているCシート22に対応する種類別操作領域情報に基づき、操作領域を検出する。
続くS630では、CPU11は、ボタン等表示処理を行い、本処理を終了する。
【0094】
(4)操作設定処理2について
次に、操作面の一部を覆う部分シートとして構成されたA〜Cシート20〜22が貼り付けられた際に、ユーザの操作に基づき操作領域を検出する操作設定処理2について、図9(a)に記載のフローチャートを用いて説明する。
【0095】
なお、Aシート20もまた、B,Cシート21,22と同様に、複数のエリア種別が存在し、操作設定処理2では、ユーザからシートのエリア種別の選択を受け付け、これに基づき操作領域が検出される。また、本処理は、部分シートの貼り付けを行う旨の操作を受け付けた際に実行される。
【0096】
S705では、電子装置10のCPU11は、タッチパネル16を介して、貼り付けられる部分シートについてのエリア種別を選択する操作を受け付け、該操作に基づき部分シートのエリア種別を判別し、S710に処理を移行する。
【0097】
S710では、CPU11は、表示部15を介して、選択された部分シートの貼り付けを指示し、続くS715では、部分シートの貼付領域を指定する操作を指示する。
具体的には、例えば、操作面上に定められた複数の貼付許可領域のいずれかに部分シートを貼り付ける場合であれば、部分シートがどの貼付許可領域に貼られた場合でも視認可能となるよう、表示部15の画面上の複数箇所に貼付許可領域を選択するボタンを表示し、該ボタンの押下を指示しても良い。また、例えば、表示部15の画面上の複数箇所で、シートに覆われていない表示領域と部分シートの貼付領域の境界をなぞる操作を指示する表示を行っても良い。
【0098】
続くS720では、CPU11は、タッチパネル16を介して部分シートの貼付領域を選択する操作を受付け、該操作に基づき貼付領域を検出し、S725に処理を移行する。
S725では、CPU11は、部分シートのエリア種別と、貼付領域と、記憶部14に記憶されている種類別操作領域情報とに基づき、部分シートの貼り付けにより生成された操作領域を検出し、S730に処理を移行する。
【0099】
S730では、CPU11は、ボタン等表示処理を行い、本処理を終了する。
(5)部分シート貼付処理について
次に、部分シートを貼り付けることで形成された操作領域を検出する部分シート貼付処理について、図8(b)に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、部分シートは、A〜Cシート20〜22のいずれとして構成されていても良く、また、本処理は、シートの貼り付けを行う旨の指示を受け付けた際に実行される。
【0100】
S805では、電子装置10のCPU11は、タッチパネル16を介して部分シートを貼り付ける旨を受け付けると共に、続くS810では、部分シートの貼付領域(操作面上の上側,下側,右側,左側等)の選択を受け付け、S815に処理を移行する。
【0101】
S815では、CPU11は、表示部15を介して、選択された貼付領域への部分シートの貼り付けを指示し、続くS820では、部分シートにより覆われていない操作面上の領域である表示領域を指定する操作を指示する。このとき、例えば、表示領域と貼付領域との境界をなぞる操作や、該境界の端部や角部を押下する操作を指示しても良い。
【0102】
続くS825では、CPU11は、表示領域を指定する操作を検出すると共に、該操作に基づき貼付領域を検出し、S830に処理を移行する。
S830では、CPU11は、貼付領域上の形成された操作領域を検出する。
【0103】
具体的には、例えば、貼付領域に対応して手動位置合せ処理1,2を実行しても良い。
また、部分シートがBシート21として構成されている場合には、貼付領域を操作面全体とみなして自動設定処理のS515,S520を実行し、操作領域を検出しても良い。
【0104】
また、部分シートがCシート22として構成されている場合であれば、操作設定処理1と同様にして基準エリア22cの押下を受け付け、押下位置と貼付領域との位置関係により、Cシート22のエリア種別を判別しても良い。そして、該エリア種別と、貼付領域の配置位置と、記憶部14に記憶されているCシート22に対応する種類別操作領域情報に基づき、操作領域を検出しても良い。
【0105】
また、操作設定処理2のように、操作面の表示領域を介して部分シートのエリア種別の選択を受け付け、貼付領域の配置位置と、選択されたエリア種別と、種類別操作領域情報とに基づき操作領域を検出しても良い。
【0106】
続くS835では、CPU11は、ボタン等表示処理を行い、本処理を終了する。
[効果]
本実施形態の電子装置10によれば、A〜Cシート20〜22がタッチパネル16の操作面に貼り付けられた際には、シートの形成された操作有効エリアが配される操作領域に各種ボタン等が配置される。
【0107】
このため、各ボタン等が操作面上に無分別に配置されることが無く、ユーザにわかり易い態様でボタン等が操作面上に配され、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、操作面上に各操作を受け付けるための領域を配置することができる。
【0108】
また、A〜Cシート20〜22には、各操作領域を識別するための凹凸が形成されているため、ユーザはシートに触れるだけで操作面上のどの位置どのボタン等が配置されたかを把握でき、画面を視認することなくタッチパネルを操作することが可能となる。
【0109】
さらに、各ボタン等が各操作領域に対し固定的に配されるため、付箋やシールを用いて各ボタン等についてのメモ書きを行うことが可能となると共に、シートの材料を適切に選択することで、シートに直接メモを書き込むということも可能となる。
【0110】
[他の実施形態]
(1)本実施形態のA〜Cシート20〜22では、各操作有効エリアはマトリクス状に並べられる。また、各行は、隣接する他の行、或いは、行に平行なシートの外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配されると共に、各列は、隣接する他の列、或いは、列に平行なシートの外縁をなす辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配される。
【0111】
しかしながら、操作有効エリアの形状や配置態様は、これに限定されることは無く、このような場合であっても、操作面に対するシートの向きを予め定めておくことで、自動設定処理や、操作設定処理1,2や、部分シート貼付処理により操作領域を検出することが可能となり、同様の効果を得ることができる。
【0112】
また、本実施形態のA〜Cシート20〜22では、各操作有効エリアが同一形状の矩形に形成されているが、一部の操作有効エリアについて、他の操作有効エリアとは異なる形状としても良い。このような場合であっても、自動設定処理や、操作設定処理1,2や、部分シート貼付処理によれば、操作領域を検出することが可能である。
【0113】
また、このようなシートが貼り付けられた場合には、電子装置10にて、手動位置合せ処理1のS305〜S350の実行後に、形状の異なる操作有効エリアに対応する操作領域の角部を押下する操作や、該操作領域の外縁をなぞる操作をユーザに指示しても良い。そして、ユーザから該操作を受け付け、該操作に基づき該操作領域を検出しても良く、このような方法により、全ての操作領域を検出することができる。
【0114】
(2)本実施形態のシートの操作無効エリアは絶縁性材料等からなり、該エリアを介したタッチパネル16への操作が無効化されるが、該エリアは他の材料により構成され、該エリアを介したタッチパネル16への操作が有効となっても良い。また、このタッチパネル16は静電容量方式として構成されているが、他の方式として構成されていても良い。
【0115】
このような場合であっても、手動位置合せ処理1や、自動設定処理や、操作設定処理1,2や、部分シート貼付処理によれば、操作領域の検出が可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0116】
(3)本実施形態の電子装置10は、ICタグから情報を読み出す読取部17を備えているが、読取部17を備えていなくても良い。このような場合であっても、手動位置合せ処理1,2や、操作設定処理1,2や、部分シート貼付処理によれば、操作領域の検出が可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0117】
(4)また、本実施形態では、シートがタッチパネル16の操作面に貼り付けられるが、これに限らず、例えば、操作面の外縁に沿って電子装置10に設けられた留め具等を用いて、操作面を覆った状態でシートを電子装置10に取り付けても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0118】
(5)また、操作設定処理1において、操作面に貼り付けられたCシート22の基準エリア22cに対する操作に替えて、Cシート22の貼り付け前にエリア種別を選択する操作を受け付け、該操作に基づき、貼り付けられたCシート22のエリア種別を判別しても良い。このような場合であっても、Cシート22のエリア種別の判別が可能であると共に、A,Bシート20,21が貼り付けられる場合にもエリア種別を判別し、操作領域を検出することができる。
【0119】
(6)また、本実施形態のA〜Cシート20〜22には、各操作有効エリアを識別するための凹凸が形成されているが、該凹凸が形成されていなくても良い。このような場合であっても、各ボタン等が操作面上に無分別に配置されることが無くなるため、使い勝手の悪化や誤操作の発生を防ぎつつ、操作面上に各操作を受け付けるための領域を配置することができる。
【0120】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0121】
電子装置10の記憶部14が記憶手段に相当し、貼付領域が取付領域に相当し、シートの種類がエリア種別に相当する。
また、手動設定処理のS215が、設定手段,設定手順に相当し、手動位置合せ処理1のS350が検出手段,検出手順に相当し、手動位置合せ処理2のS420,S430が検出手段,検出手順に相当する。
【0122】
また、自動設定処理のS515が判別手段に、S515,S520が検出手段,検出手順に、S525が設定手段,設定手順に相当し、操作設定処理1のS620が判別手段に、S625が検出手段,検出手順に、S630が設定手段,設定手順に相当する。
【0123】
また、操作設定処理2のS705が判別手段に、S720が受付手段に、S725が検出手段,検出手順に、S730が設定手段,設定手順に相当し、部分シート貼付処理のS825が受付手段に、S830が検出手段,検出手順に、S835が設定手段,設定手順に相当する。
【符号の説明】
【0124】
10…電子装置、11…CPU、12…RAM、13…ROM、14…記憶部、15…表示部、16…タッチパネル、17…読取部、20…Aシート、20a…操作有効エリア、20b…操作無効エリア、21…Bシート、21a…操作有効エリア、21b…操作無効エリア、21c…ICタグ、22…Cシート、22a…操作有効エリア、22b…操作無効エリア、22c…基準エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの操作面を介してユーザの操作を受け付け、該操作に応じて各種処理を実行する電子装置であって、
ユーザの操作が無効となる操作無効エリアと、該操作が有効となるエリアであって、当該エリアを介してその背後を視認可能な複数の操作有効エリアとが形成されたシートが、前記操作面の全部または一部を覆った状態で当該電子装置に取り付けられると、該シートに形成された前記操作有効エリアが配される前記操作面上の領域である操作領域を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記操作領域を、特定の操作を受け付けるための領域として設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記シートには、それぞれの前記操作有効エリアを識別するための凹部或いは凸部の少なくともいずれかが形成されていること、
を特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子装置において、
前記シートに設けられた前記操作有効エリアは、開口部として構成されていること、
を特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の電子装置において、
前記タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルとして構成されており、
前記シートの前記操作無効エリアは、当該操作無効エリアが配される前記操作面上の領域における静電結合を防止可能に構成されていること、
を特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電子装置において、
前記操作面を介して、ユーザから、当該電子装置に取り付けられた前記シートにより覆われる前記操作面上の領域である取付領域を定める操作を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記操作領域を、前記受付手段を介して受け付けた操作により定められる前記取付領域上の領域として検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の電子装置において、
前記シートには、前記操作有効エリアの形状或いは配置が異なる複数の種類が存在し、
それぞれの前記シートの種類について、該シートが取り付けられた際に、該シートの前記操作有効エリアが、該シートにより覆われる前記操作面上の領域におけるどの部分に配されるかを示す種類別操作領域情報を記憶している記憶手段と、
取り付けられる前記シートの種類を判別する判別手段と、
をさらに備え、
前記検出手段は、前記判別手段による判別結果と、前記記憶手段に記憶されている前記種類別操作領域情報とに基づき、取り付けられる前記シートについての前記操作領域を検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子装置において、
前記シートには、当該シートの種類に割り当てられた識別情報を送信するICタグが設けられており、
前記判別手段は、当該電子装置に取り付けられる前記シートに設けられた前記ICタグから前記識別情報を読み出し、該識別情報に基づき、該シートの種類を判別すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項6に記載の電子装置において、
前記シートには、前記操作有効エリアと同様に構成され、当該シートが取り付けられた際に当該シートの種類に応じて固有に定められた前記操作面上の位置に配される基準エリアが設けられており、
前記判別手段は、当該電子装置に前記シートが取り付けられた後に行われる該シートの前記基準エリアに対する操作を受け付け、該操作に基づき、該シートの種類を判別すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項6に記載の電子装置において、
前記判別手段は、前記操作面を介してユーザから前記シートの種類を選択する操作を受け付け、該操作に基づき、当該電子装置に取り付けられる前記シートの種類を判別すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の電子装置において、
前記シートには、当該シートが取り付けられた際に、当該シートの前記操作有効エリアが、当該シートにより覆われる前記操作面上の領域におけるどの部分に配されるかを示す操作領域検出情報を送信するICタグが設けられており、
前記検出手段は、当該電子装置に取り付けられる前記シートに設けられた前記ICタグから前記操作領域検出情報を読み出し、該操作領域検出情報に基づき、該シートについての前記操作領域を検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項11】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の電子装置において、
前記シートは、矩形に形成されていると共に、同一形状の矩形の前記操作有効エリアが複数形成され、それぞれの前記操作有効エリアは、当該シートの外縁をなす辺に平行な行及び列からなるマトリクス状に並べられており、
さらに、各行は、隣接する他の行、或いは、行に平行な前記辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配されると共に、各列は、隣接する他の列、或いは、列に平行な前記辺との間に、一定の間隔が開いた状態で配され、
前記検出手段は、前記シートが取り付けられると、少なくとも一つの行をなす前記操作領域と、少なくとも一つの列をなす前記操作領域とに対する操作に基づき、全ての前記操作領域を検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電子装置において
前記検出手段は、前記シートが取り付けられると、全ての前記操作領域に対しそれぞれ一回ずつ触れる操作に基づき、それぞれの前記操作領域の凡その位置を把握すると共に、いずれかの前記操作領域の四隅を触れる操作に基づき、該操作領域のそれぞれの前記辺の長さを計測し、前記凡その位置と、それぞれの前記辺の長さとに基づき、全ての前記操作領域を検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項13】
請求項4を引用する請求項11に記載の電子装置において、
前記外縁に沿って配される前記操作領域を外縁操作領域とすると共に、前記外縁操作領域における前記外縁に隣接する辺に沿ってこれらの外縁操作領域を通過する経路を外縁経路とし、さらに、取り付けられた前記シートに形成された前記操作無効エリアが配される前記操作面上の領域を操作無効領域とし、
前記検出手段は、前記シートが取り付けられると、前記外縁経路をなぞって一周する操作に基づき前記操作無効領域を検出し、検出した前記操作無効領域に基づき、前記操作領域を検出すること、
を特徴とする電子装置。
【請求項14】
タッチパネルの操作面を介してユーザの操作を受け付け、該操作に応じて各種処理を実行する電子装置において、前記操作面に、ユーザの特定の操作を受け付けるための各領域を配置する配置方法であって、
ユーザの操作が無効となる操作無効エリアと、該操作が有効となるエリアであって、当該エリアを介してその背後を視認可能な複数の操作有効エリアとが形成されたシートが、前記操作面の全部または一部を覆った状態で前記電子装置に取り付けられると、該シートに形成された前記操作有効エリアが配される前記操作面上の領域である操作領域を検出する検出手順と、
前記検出手順により検出された前記操作領域を、特定の操作を受け付けるための領域として設定する設定手順と、
を備えることを特徴とする配置方法。

【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77130(P2013−77130A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216229(P2011−216229)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】