タッチパネルを有する電子機器、及び動作制御方法
【課題】簡単な構成で、ユーザがタッチパネルに触れる前の状態に応じて異なる動作を実行することができる電子機器及び動作制御方法を提供する。
【解決手段】
位置検出部は、ポインティング手段がタッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置までタッチパネルに近づいたことを感知すると第1の座標を検出し、ポインティング手段が第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置までタッチパネルに近づいたことを感知すると第2の座標を検出する。動作制御部は、第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、被制御部の動作を制御する。検出感度制御部は、位置検出部が前記ポインティング手段が第1の位置まで近づいたことを感知すると、位置検出部の検出感度を第1の感度から、第2の感度へと切り替える。
【解決手段】
位置検出部は、ポインティング手段がタッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置までタッチパネルに近づいたことを感知すると第1の座標を検出し、ポインティング手段が第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置までタッチパネルに近づいたことを感知すると第2の座標を検出する。動作制御部は、第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、被制御部の動作を制御する。検出感度制御部は、位置検出部が前記ポインティング手段が第1の位置まで近づいたことを感知すると、位置検出部の検出感度を第1の感度から、第2の感度へと切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有する電子機器、及び動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを用いて操作入力を行うことができる電子機器が普及し、例えば、車載用の電子機器や携帯可能な電子機器においてタッチパネルが用いられている。そのような中、タッチパネルへの操作入力を検出する方法は多様化し、ユーザがタッチパネルに操作入力を行った際に、そのユーザの指がタッチパネルに触れる前の状態に応じて電子機器の動作を異ならせる技術も出てきている。例えば、ユーザがタッチパネルの左右どちら側から操作を行ったかを検出し、その検出した情報に応じて電子機器の動作を異ならせる技術が特開2006−151364号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術を用いることによって、ユーザがタッチパネルに対して左右どちら側から操作を行ったかを検知することができるが、それを検知するために赤外線センサを必要としたり、タッチパネルに触れているユーザの指の面積を検出したりする必要がある。そのため、複雑な構成になってしまい、コストが大きくなったり、演算負荷が大きくなったりするという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、簡単な構成で、ユーザがタッチパネルに触れる前の状態に応じて異なる動作を実行することができる電子機器及び動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した従来の技術の課題を解決するため、ポインティング手段(F)によって操作されるタッチパネル(12)と、前記ポインティング手段(F)が前記タッチパネル(12)から第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第1の座標(Pc)を検出し、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置よりも前記タッチパネル(12)に近い第2の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第2の座標(Pt)を検出する位置検出部(101)と、前記第1の座標(Pc)及び前記第2の座標(Pt)に基づいて、被制御部(1a)の動作を制御する動作制御部(104)と、前記位置検出部(101)が前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記位置検出部(101)の検出感度を、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知することが可能な第1の感度から、前記第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと切り替える検出感度制御部(102)とを有することを特徴とする電子機器を提供する。
また、本発明は上述した従来の技術の課題を解決するため、ポインティング手段(F)によって操作されるタッチパネル(12)を有する電子機器の動作を制御する動作制御方法において、第1の感度に設定されている状態で、前記ポインティング手段(F)が前記タッチパネル(12)から第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第1の座標(Pc)を検出する第1の検出ステップ(S62)と、前記第1の検出ステップ(S62)において、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記第1の感度から、前記第1の位置よりも前記タッチパネル(12)に近い第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと検出感度を切り替える検出感度制御ステップ(S63)と、前記ポインティング手段(F)が前記第2の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第2の座標(Pt)を検出する第2の検出ステップ(S64)と、前記第1の座標(Pc)及び前記第2の座標(Pt)に基づいて、前記電子機器の被制御部の動作を制御する動作制御ステップとを有することを特徴とする動作制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタッチパネルを有する電子機器及び動作制御方法によれば、簡単な構成で、ユーザがタッチパネルに触れる前の状態に応じて異なる動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態の電子機器を示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施形態のタッチパネルを示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図及び俯瞰図である。
【図4】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図6】本発明の各実施形態における制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図8】本発明の第2実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための外観図及び俯瞰図である。
【図12】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための外観図である。
【図13】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のタッチパネルを有する電子機器及び動作制御方法について、添付図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、タッチパネルを操作するための棒状の指示具や、ユーザの指をポインティング手段と総称する。また、各実施形態において操作入力の方向とは、ユーザが操作入力を行った際に、ポインティング手段が移動した方向であるとする。
【0010】
<第1実施形態>
図1に示すブロック図を用いて、第1実施形態の電子機器100について説明する。最初に、記憶部4、メディア再生部5、映像データ処理部6、音声データ処理部7、音声出力部8、オンスクリーンディスプレイ(OSD)発生部9、及びOSD重畳部10を有する被制御部1aについて説明する。
【0011】
メディア再生部5が再生するメディアや、記憶部4には、コンテンツデータが記憶されている。コンテンツデータは例えば、映像データと音声データとからなる映画等のデータである。この映像データと音声データとは同期されているとともに、複数のチャプタに区切られている。なお、コンテンツデータは映像データを含まない楽曲のみのデータでもよい。
記憶部4には例えばハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリ等を用いることができる。また、メディア再生部5には例えば、着脱可能なフラッシュメモリのデータを再生するフラッシュメモリ再生装置や、光ディスクドライブを用いることができる。なお、記憶部4は、HDD、フラッシュメモリ等に記憶されているデータを出力する機能を有しているものとする。また、電子機器100は、記憶部4又はメディア再生部5のどちらか一方のみを備える構成にしてもよい。
【0012】
記憶部4又はメディア再生部5は、後述する動作制御部104の制御に従い、コンテンツデータの映像データを出力する。また、記憶部4及びメディア再生部5は、動作制御部104の制御に従い、映像データと同期されている音声データを出力する。
映像データ処理部6は、記憶部4又はメディア再生部5から出力された映像データを映像信号(例えばRGB信号)に変換し出力する。
【0013】
音声データ処理部7は、記憶部4及びメディア再生部5から出力された音声データを音声信号(例えばアナログ音声信号)に変換し、その音声信号を、映像データ処理部6が出力した映像信号と同期して出力する。
音声出力部7は、音声データ処理部7から出力された音声信号を再生する。なお、動作制御部104は、音声出力部8が出力する音声の音量や音質を調整する。なお、音声出力部7は、例えばスピーカとアンプとを有している。
【0014】
また、動作制御部104は、ユーザによる操作入力に応じて、OSD発生部9を制御する。OSD発生部9は動作制御部104による制御に基づいてOSD信号を作成し出力する。OSD重畳部10は映像データ処理部6から出力された映像信号に基づく画像とOSD信号に基づく画像とを重畳し、その重畳した画像信号を出力する。
そして、表示部11は、OSD重畳部10から出力された、OSD信号が重畳された画像信号に基づく画像を表示する。なお、コンテンツデータが映像データを含まない楽曲のみのデータであった場合、OSD重畳部10は、OSD信号に基づく画像信号のみを出力し、表示部11は、そのOSD重畳部10から出力されたOSD信号に基づく画像を表示する。
また、電源2は被電力供給部3へ電力を供給する。
【0015】
以上のように、記憶部4、メディア再生部5、映像データ処理部6、音声データ処理部7、音声出力部8、OSD発生部9、及びOSD重畳部10は動作制御部104によって制御される被制御部1aとなっている。
なお、本実施形態において、被制御部1aとして映像音声再生手段を用いた例について説明したが、被制御部1aはこれに限らず、携帯電話、携帯音楽プレーヤ、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の種々の機器であってもよい。
【0016】
次に、位置検出部101、検出感度制御部102、入力時間測定部103、及び動作制御部104を有する制御部1について説明する。
なお、以下の説明において、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bから第1の距離d1離れた位置を近接位置Cpと称し、タッチパネル12の操作面12bから第2の距離d2離れた位置を接触位置Tpと称することとする。なお、接触位置Tpとは、タッチパネル12との距離がゼロである位置でもよいし、タッチパネル12との距離がゼロではない位置でもよい。つまり、接触位置Tpとはタッチパネル12と接触している位置も含むものとする。また、第2の距離d2は第1の距離d1よりも短いものとする。
【0017】
最初に、位置検出部101の動作を、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。なお、図3(a)は、操作面12bを水平面と直交するように、かつ、後述するX軸を水平面と平行になるようにしてタッチパネル12を設置した場合において、タッチパネル12を正面から見たときの概略図である。また、図3(b)は、図3(a)におけるタッチパネル12を真上から見たときの俯瞰図である。
まず、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したか否かを感知する。さらに、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、その近接位置Cpにおけるポインティング手段Fの位置Ppcに基づいたタッチパネル12上の座標である近接座標Pcを検出する。この場合におけるタッチパネル12上の座標とは、一例として、近接位置Cpにおけるポインティング手段Fの位置Ppcからタッチパネル12へと下ろした垂線と、タッチパネル12とが交わる点の座標であるとする。なお、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動した、とは、ポインティング手段Fが近接位置Cpで停止することも、ポインティング手段Fが近接位置Cpを通過することも含むものとする。
【0018】
また、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したか否かを感知する。さらに、位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへと移動したことを感知すると、その接触位置Tpにおけるポインティング手段Fの位置Pptに基づいたタッチパネル12上の座標である接触座標Ptを検出する。この場合におけるタッチパネル12上の座標とは、一例として、接触位置Tpにおけるポインティング手段Fの位置Pptからタッチパネル12へと下ろした垂線と、タッチパネル12とが交わる点の座標、又は、ポインティング手段Fがタッチパネル12に接触した位置における座標である。以上が位置検出部101の動作である。なお、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動した、とは、ポインティング手段Fが接触位置Tpで停止することも、ポインティング手段Fが接触位置Tpを通過することも含むものとする。
【0019】
図1の説明に戻り、入力時間測定部103は、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したことを感知すると、時間の測定を開始する。そして、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したことを感知したり、時間の測定を開始してから所定の時間経過したりすると、時間の測定を停止する。
【0020】
検出感度制御部102は、位置検出部101がポインティング手段Fを検出する際の検出感度を制御する。具体的には、検出感度制御部102は、タッチパネル12の検出感度を、近接検出感度から接触検出感度へと切り替えたり、接触検出感度から近接検出感度へと切り替えたりする。
ここで、近接検出感度とは、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したか否かを感知することができる感度であり、接触検出感度とは、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したか否かを感知することができる感度である。なお、位置検出部101は検出感度が高いほど、タッチパネル12からより離れた位置におけるポインティング手段Fを感知できるものとする。つまり、近接検出感度の方が、接触検出感度よりも高い感度の検出感度である。
【0021】
検出感度制御部102は、タッチパネルの検出感度が近接検出感度の場合において、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、検出感度を近接検出感度から接触検出感度へと変更する。
【0022】
ここで、図2に示すタッチパネル12の概略図を用いて、位置検出部101及び検出感度制御部102の動作についてさらに詳細に説明する。なお、図2は、タッチパネル12に、マトリクス状に配置された電極を有する静電容量方式のタッチパネルを用いた例である。
図2に示すように本実施形態におけるタッチパネル12はX電極X1〜X6、Y電極Y1〜Y6が格子状に配列されて構成されている。隣接する一対のX電極で構成されるコンデンサはそれぞれ、電源2によって充電される。また、隣接する一対のY電極で構成されるコンデンサもそれぞれ、電源2によって充電される。なお、理解を容易にするために、図2に示すように合計12本の電極を用いた例について説明するが、電極の数はこれに限らずさらに多い数の電極を用いてもよい。
【0023】
位置検出部101は、隣接する一対の電極から構成されるそれぞれのコンデンサの容量値の変化量を一定時間ごとに検出することで、ポインティング手段Fの位置に基づいた座標を検出する。
例えば、ポインティング手段Fが位置300にある場合、一対のX電極からなる各コンデンサのうち、X電極X1とX電極X2とからなるコンデンサの容量変化が、他のX電極で構成されるコンデンサの容量変化よりも大きくなる。また、一対のY電極からなる各コンデンサのうち、Y電極Y1とY電極Y2とからなるコンデンサの容量値の変化量が、他のY電極で構成されるコンデンサの容量変化よりも大きくなる。
【0024】
位置検出部101は、近接検出感度に設定されている状態で、いずれかのコンデンサの容量値の変化量が所定の閾値を超えると、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネル12から遠い位置から、近接位置Cpへと移動したと判断する。位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、他の一対の電極で構成されるコンデンサそれぞれの容量値の変化量を含む全てのコンデンサの容量値の変化量に基づいて近接座標Pcを検出する。
また、位置検出部101は、接触検出感度に設定されている状態で、いずれかのコンデンサの容量値の変化量が所定の閾値を超えると、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したと判断する。位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへと移動したことを感知すると、他の一対の電極で構成されるコンデンサそれぞれの容量値の変化量を含む全てのコンデンサの容量値の変化量に基づいて接触座標Ptを検出する。
【0025】
なお、位置検出部101が所定の隣接する一対の電極から構成されるコンデンサの容量の変化量を検出する動作を行うと、そのコンデンサに溜まっている電荷が放電される。つまり、位置検出部101の各コンデンサの容量の変化量を検出する時間間隔を長くすると、充電時間が長くなり、各コンデンサに溜まる電荷が増える。
各コンデンサに蓄えられる電荷が増えるほど、ポインティング手段Fがタッチパネル12に近づいた際の容量値の変化量が大きくなるため、タッチパネル12から離れた位置におけるポインティング手段Fを感知することが可能となる。また、各コンデンサに蓄えられる電荷が増えるほど、タッチパネル12から離れた位置においてポインティング手段Fの座標を検出することが可能となる。しかし、位置検出部101が検出を行う時間間隔が長くなるため、座標を検出する頻度が減り、タッチパネル12上の座標を検出する精度は粗くなってしまう。
【0026】
一方、各コンデンサを充電する時間を短くし、各コンデンサに蓄えられる電荷が少なくなるほど、容量値の変化量が小さくなり、位置検出部101は、コンデンサを充電する時間が長いときよりも、タッチパネル12に近い位置までポインティング手段Fが近づかないと、ポインティング手段Fを感知できなくなる。しかし、位置検出部101が検出を行う時間間隔が短くなるため、座標を検出する頻度が増え、タッチパネル12上の座標の検出は精度良く行うことができる。
【0027】
検出感度制御部102は、位置検出部101が各コンデンサの容量を検出する時間間隔を切り替えることによって、タッチパネル12の検出感度を、近接検出感度から接触検出感度へと切り替えたり、接触検出感度から近接検出感度へと切り替えたりする。つまり、検出感度制御部102は、近接検出感度のときよりも、接触検出感度のときの方が、位置検出部101が検出を行う時間間隔が短くなるように、位置検出部101が検出を行う時間間隔を切り替える。
【0028】
なお、このような、位置検出部101の座標検出方法、及び、検出感度制御部102の感度制御方法は一例であり、種々の方法を用いることができる。例えば、タッチパネル12に抵抗膜タッチパネルを用いた場合、位置検出部101は、抵抗膜の抵抗値や電圧値を検出することで座標を検出してもよい。
また、本実施形態において、検出感度制御部102は、充電時間を制御することで各コンデンサの容量値の変化量を制御し、検出感度を切り替えるようにしたが、ポインティング手段Fの移動を感知するための閾値を変更することで、検出感度を切り替えてもよい。また、タッチパネル12についても検出感度を変更可能なタッチパネルであればよい。
【0029】
次に、タッチパネル12を正面から見た場合の概略図である図3(a)、及び、図4のフローチャートを用いて、動作制御部104における操作入力方向を検出する方法について説明する。なお、図3(a)は、操作面12bを水平面と直交するように、かつ、後述するX軸を水平面と平行になるようにしてタッチパネル12を設置した場合において、タッチパネル12を正面から見たときの概略図である。
【0030】
また、図3(a)において、タッチパネル12は固定部材12aに固定されているものとする。また、一例として、タッチパネル12における操作入力を検出するための操作面12bは略四角形であるとする。また、その操作面12bの一辺を水平方向と平行になるように、タッチパネル12が設置されているものとする。また、以下の説明で、上、下、左、右という記載はそれぞれ、タッチパネルを正面から見た場合の上、下、左、右であるとする。
【0031】
また、タッチパネル12を正面から見たときの、操作面12bの左上の頂点である点P0と右上の頂点である点P1とを通る直線をX軸とする。なお、X軸のゼロ点は点P0であり、X軸においては右方向を正とする。また、タッチパネル12を正面から見たときの、左上の頂点である点P0と左下の頂点である点P2とを通る直線をY軸とする。なお、Y軸のゼロ点は点P0であり、Y軸においては下方向を正とする。また、図3(a)において、操作面12bの頂点である点P0〜3の(X座標,Y座標)をそれぞれ、点P0(0,0)、点P1(1024,0)、点P2(0,1024)、点P3(1024,1024)とする。また、位置検出部101が検出した近接座標Pcを(812,398)、接触座標Ptを(550,475)とする。
【0032】
位置検出部101が近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。そして、図4のステップS41にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
次のステップS42にて、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から接触座標PtのX座標を引いた差分値であるX差分値Xdを算出する。図3(a)に示す例では、動作制御部104は、近接座標PcのX座標812から接触座標PtのX座標550を引き算し、X差分値Xdを262と算出する。
【0033】
次のステップS43にて、動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS44)。また、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS45)。以上が本実施形態における操作入力方向の検出動作である。
【0034】
なお、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロである場合も、動作制御部104は右から左方向へ操作入力が行われたと判断するものとしたが、X差分値Xdがゼロである場合、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
【0035】
動作制御部104は、操作入力方向を判断した後に、操作入力方向の判断結果に基づいて、被制御部1aを制御する。
動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ前のチャプタを先頭部分から再生するよう被制御部1aを制御する。また、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ後のチャプタを先頭部分から再生するよう被制御部1aを制御する。
なお、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの右側に示し、操作入力が左から右へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの左側に示しておくことが好ましい。
【0036】
以上のように動作制御部104は操作入力方向に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができる。
【0037】
なお、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねて設置するようにしてもよい。このとき、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を示すOSD9aが重畳された画像を表示部11に表示させるよう、被制御部1aを制御することが好ましい。また、動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を示すOSD9bが重畳された画像を表示部11に表示させるよう、被制御部1aを制御することが好ましい。その画像を表示部11が表示することで、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作とを、OSD9a,9bを用いてユーザに示すことができる。
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域とし、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能の2つを割り当ててもよいし、タッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに上述した2つの機能を割り当てるようにしてもよい。
【0038】
また、動作制御部104は、操作入力が右から左へと行われたと判断した場合と、操作入力が左から右へと行われたと判断した場合とで、位置検出部101が接触座標Ptを検出した後のOSD画像を異ならせるよう被制御部1aを制御してもよい。
【0039】
次に、図6のフローチャートを用いて制御部1の動作を中心に本実施形態の電子機器100の動作制御方法についてさらに詳細に説明する。
【0040】
図6のフローチャートにおいて、例えば電子機器100の電源2がオンになると、ステップS61にて検出感度制御部102は、位置検出部101がポインティング手段Fの座標を検出する際の検出感度を、近接検出感度に設定する。また、位置検出部101は、近接検出感度でポインティング手段Fを感知する動作を開始する。なお、すでに近接検出感度に設定されている場合、検出感度制御部102は、検出感度が近接検出感度に設定されている状態を維持する。
次のステップS62にて、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したか否かを判断する。位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動していないと判断した場合(No)、ステップS62を繰り返す。位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知した場合(Yes)、近接座標Pcを検出し、ステップS63に移る。
【0041】
ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知した場合であるステップS63にて、検出感度制御部103は、検出感度を近接検出感度から接触検出感度へと変更する。また、ステップS63にて、入力時間測定部103は時間計測を開始する。
次のステップS64にて、位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したか否かを判断する。位置検出部101がポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動していないと判断した場合(No)、ステップS65に移る。位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したことを感知した場合(Yes)、接触座標Ptを検出し、ステップS66に移る。
【0042】
ステップS65にて、入力時間測定部103は、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知してから、所定時間経過したか否かを判断する。なお、本実施形態においては、一例として、1秒経過したか否かを判断する。ステップS65にて、入力時間測定部103が1秒経過していないと判断した場合、ステップS64に戻る。入力時間測定部103が1秒経過したと判断した場合は、ステップS68に移る。そのステップS68にて、入力時間測定部103は、測定している時間をゼロにリセットし、ステップS61に戻る。
その後、ステップS61にて、検出感度制御部102によって、検出感度が近接検出感度に設定されることとなる。このように、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知してから所定時間経過した場合に、検出感度を近接検出感度に戻すことにより、ユーザが意図せずにポインティング手段Fをタッチパネル12に近づけた場合の誤動作を防ぐことができる。
【0043】
一方、ステップS64にて、位置検出部101がポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したことを感知した場合(Yes)、次のステップS66にて、動作制御部104は、位置検出部101が検出した近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて、前述した図4に示すような方法で、入力方向を検出する。そして、次のステップS67にて、動作制御部104は、検出した入力方向に応じた動作をするよう被制御部1aを制御する。そして、ステップS68にて、入力時間測定部103は、測定している時間をゼロにリセットし、その後、ステップS61に戻る。以上が本実施形態の電子機器100の動作制御方法である。以上説明したように、本実施形態の動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて、被制御部1aの動作を制御する。
【0044】
なお、動作制御部104がX差分値Xdを算出する例について説明したが、動作制御部104は、近接座標PcのY座標から接触座標PtのY座標を引いた差分値であるY差分値Ydを算出し、そのY差分値に基づいて、操作入力が上から下方向へと行われたか、下から上方向へと行われたかを判断してもよい。
その場合、動作制御部104は、操作入力が上から下方向へと行われたか、下から上方向へと行われたかに応じて、被制御部1aを制御する。図3(a)に示す例では、動作制御部104は、近接座標PcのY座標398から接触座標PtのY座標475を引き算し、Y差分値Ydを−77と算出する。
【0045】
動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であった場合、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断し、Y差分値Ydがゼロ未満であった場合、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する。このように動作制御部104がY差分値Ydを算出する場合、位置検出部101は、近接座標Pc及び接触座標PtのY座標のみを検出するようにしてもよい。
また、動作制御部104がX差分値Xdを算出する場合、位置検出部101は、近接座標Pc及び接触座標PtのX座標のみを検出するようにしてもよい。
【0046】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、操作入力方向を検出し、その検出結果に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができ、また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0047】
<第2実施形態>
タッチパネルを正面から見た場合の概略図である図7、及び、図8のフローチャートを用いて、本実施形態における動作制御部104の動作について説明する。なお、本実施形態において、動作制御部104が行う入力方向を検出する方法以外は第1実施形態と同様である。つまり、第1実施形態とは、図6のフローチャートのステップS66における入力方向を検出する方法が異なる。
また、上、下、左、右という記載、タッチパネル12の設置状態、X軸、Y軸、等については第1実施形態と同様であるものとする。
【0048】
位置検出部101が、図7に示すような近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。
そして、図8のステップS81にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
次のステップS82にて、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から接触座標PtのX座標を引いた差分値であるX差分値Xdを算出するとともに、近接座標PcのY座標から接触座標PtのY座標を引いた差分値であるY差分値Ydを算出する。図7に示す例においては、動作制御部104は、近接座標PcのX座標812から接触座標PtのX座標550を引き算し、X差分値Xdを262と算出する。また、動作制御部104は、近接座標PcのY座標398から接触座標PtのY座標475を引き算し、Y差分値Ydを−77と算出する。
【0049】
次のステップS83にて、動作制御部104は、X差分値Xdの絶対値と、Y差分値Ydの絶対値とを比較する。ステップS83にて、動作制御部104が、X差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値以上の値であると判断した場合(Yes)、ステップS84に移る。また、ステップS83にて、X差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値未満の値であると判断した場合(No)、ステップS87に移る。
そして、ステップS84にて、動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS85)、X差分値Xdがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS86)。
【0050】
一方、ステップS83にてX差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値未満の値であると判断した場合(No)、次のステップS87にて、動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS88)、Y差分値Ydがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS89)。
【0051】
なお、ステップS83において、X差分値Xdの絶対値とY差分値Ydの絶対値とが等しい場合、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
また、ステップS84において、X差分値Xdがゼロである場合も、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
また、ステップS84において、Y差分値Ydがゼロである場合も、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
以上が本実施形態における操作入力方向の検出動作である。
【0052】
なお、本実施形態においても、動作制御部104は、操作入力方向の検出結果に基づいて、被制御部1aを制御する。
動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ前のチャプタを先頭部分から再生させるよう被制御部1aを制御する。また、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ後のチャプタを先頭部分から再生させるよう被制御部1aを制御する。
【0053】
また、動作制御部104は、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aがコンテンツデータの再生を停止するよう被制御部1aを制御する。なお、被制御部1aがコンテンツデータの再生を行っていない場合は、被制御部1aが再生を行っていない状態を維持するよう制御する。また、動作制御部104は、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aがコンテンツデータの再生を開始するよう被制御部1aを制御する。なお、被制御部1aが既にコンテンツデータの再生を行っている場合は、被制御部1aがその再生を続けるよう制御する。
以上のように、本実施形態の動作制御部104は、X差分値Xdの絶対値とY差分値Ydの絶対値を比較し、その比較結果に応じて、X差分値Xd及びY差分値Ydのいずれか一方を選択し、その選択した差分値に基づいて被制御部1aの動作を制御する。
【0054】
なお、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの右側に示し、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの左側に示し、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの下側に示し、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの上側に示しておくことが好ましい。
【0055】
なお、第1実施形態と同様に、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねるように設置するようにしてもよい。このように設置することで、被制御部1aにOSD画像が重畳された画像を出力させ、その画像を表示部11が表示することで、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作とをユーザに示すことができる。
【0056】
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域として、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の機能の4つの機能を割り当ててもよいし、図5に示す領域9Aのようにタッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに4つの機能を割り当てるようにしてもよい。
【0057】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、操作入力方向が、4つの操作入力方向の内のいずれであるかを検出し、その検出結果に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができる。また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0058】
<第3実施形態>
タッチパネルを正面から見た場合の概略図である図9、及び、図10のフローチャートを用いて、本実施形態における動作制御部104の動作について説明する。なお、本実施形態において、動作制御部104が行う入力方向を検出する方法以外は第1実施形態及び第2実施形態と同様であり、図6のフローチャートのステップS66における入力方向を検出する方法が、他の実施形態と異なる。また、上、下、左、右という記載、タッチパネル12の設置状態、X軸、Y軸、等については第1実施形態と同様であるものとする。
【0059】
なお、以下の図9に関する説明において、一例として、X軸と平行であるとともに、接触座標Ptが示すタッチパネル12の操作面12b上の点を通る直線Lを角度の基準とするが、本実施形態はこれに限定されるものではない。ただし、このような直線Lを角度の基準とすることで後述する角度の算出を容易にすることができる。
また、本実施形態における角度に関する記載は、タッチパネル12を正面からみたときの反時計回りを正とする。
また、図9において、直線Lctは、近接座標Pcが示すタッチパネル12の操作面12b上の点と、接触座標Ptが示すタッチパネル12の操作面12b上の点とを通る直線である。また、直線L45は直線Lと45°の角度をなして交わる直線であり、直線L135は直線Lと135°の角度をなして交わる直線である。また、直線L225は直線Lと225°の角度をなして交わる直線であり、直線L−45は直線Lと−45°の角度をなして交わる直線である。なお、−45°は315°と同じ角度であるとする。
【0060】
位置検出部101が、図9に示すような近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。そして、図10のステップS101にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
【0061】
次のステップS102にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて直線Lと直線Lctとの角度θを算出する。
具体的には、まず、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から、直線Lと直線Lctとの交点のX座標を引いた差分値と、近接座標PcのY座標から直線Lと直線Lctとの交点のX座標を引いた差分値とを算出する。そして、動作制御部104は、それらの差分値に基づいて、余弦定理や正弦定理を用いることで、直線Lと直線Lctとの角度θを算出する。なお、本実施形態において、角度θは30°であるとする。
なお、本実施形態においては、直線Lは接触座標Ptを通るため、直線Lと直線Lctとの交点の座標は、接触座標Ptである。
【0062】
次のステップS103にて、動作制御部104は、角度θが、−45°以上45°未満、45°以上135°未満、135°以上225°未満、225°以上315°未満の4つの範囲の内、どの範囲に含まれるかを判断する。なお、−45°以上45°未満の範囲とは、315°以上360°未満の範囲と、0°以上45°未満の範囲とを合わせた範囲と同じ範囲である。
【0063】
動作制御部104は、角度θが−45°以上45°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS104)、角度θが45°以上135°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS105)。
また、動作制御部104は、角度θが135°以上225°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS106)、角度θが225°以上315°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS107)。以上が本実施形態における操作入力方向を検出する方法である。
【0064】
なお本実施形態においては、動作制御部104は、角度θが4つの範囲の内のどの範囲に含まれるかを判断するものとしたが、この4つの範囲は一例であり、これに限らない。例えば、動作制御部104は、角度θが8つの範囲の内のどの範囲に含まれるかを判断してもよい。そのような構成にすれば、さらに細かく操作入力方向を検出することができ、タッチパネル12の所定の領域にさらに多くの機能を割り当てることができる
【0065】
なお、第1実施形態と同様に、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねるように設置するようにしてもよい。
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域として、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の機能の4つの機能を割り当ててもよいし、図5に示す領域9Aのようにタッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに4つの機能を割り当てるようにしてもよい。本実施形態における操作入力方向の検出方法を用いれば、タッチパネル12の所定の領域にさらに多くの機能を割り当てることができる。
【0066】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、近接座標Pcが示す点と接触座標Ptが示す点とを通る直線Lctと、所定の直線Lとの角度θを算出し、その算出した角度θに基づいて被制御部1aの動作を制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができ、また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0067】
<第4実施形態>
図11(a)に示す外観図、及び、図11(b)に示す俯瞰図を用いて、本実施形態における表示部11について説明する。なお、本実施形態において、表示部11以外は他の実施形態と同様である。なお、本実施形態において、表示部11は、画像を表示する表示面11bが水平面と直交するように配置されているものとする。また、ユーザA,Bはともに表示部11の表示面11b上の点Sに焦点を合わせて、表示部11が表示する画像を眺めているものとする。
また、本実施形態において、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとは略同じ大きさであるとする。また、タッチパネル12の操作面12bと、表示部11の表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12が表示部11に重ねて設置されているとする。また、表示部11の表示面11bは略長方形であり、その内の2辺が水平面と平行になるように、表示部11が設置されているものとする。
【0068】
図11(a)は本実施形態の表示部11の外観図である。図11(a)及び図11(b)において、線分Laは、ユーザAにおける視軸である。つまりユーザAの目の中心と、見ている対象(点S)とを結ぶ線分である。また、線分Lbは、ユーザBにおける視軸である。つまりユーザBの目の中心と、見ている対象(点S)とを結ぶ線分である。また、直線Lhは、点Sを通り、かつ、表示面11bの4辺の内の、水平面と平行な2辺それぞれと平行な直線であるとする。
【0069】
本実施形態における表示部11は、特開2005−78076に示されているような技術を用いたデュアルビュー機能を有する表示部11である。
表示部11、タッチパネル12、及びユーザA,Bを真上から見たときの俯瞰図である図11(b)を用いてデュアルビュー機能について説明する。なお図11(b)において、角度に関する記載は、表示部11、タッチパネル12、及びユーザA,Bを真上から見たときの反時計回りを正とする。
【0070】
本実施形態の表示部11が有するデュアルビュー機能とは、直線Lhと、視軸である線分La,Lbとがなす角度である視角に応じて異なる画像を表示できる機能である。つまり、本実施形態の表示部11は、視角(視認される角度)によって異なる画像を表示する。例えば、視角が90°未満の場合と、視角が90°以上の場合とで異なる画像を表示することができる。図11(b)において、ユーザAにおける視角αが45°、ユーザBにおける視角βが135°であるとすると、本実施形態の表示部11は、ユーザAとユーザBにそれぞれ異なる画像を視認させることができる。なお、本実施形態の被制御部1aは、異なる2つの画像を表示部11に表示させる。
【0071】
図12(a)は、図11におけるユーザAが眺めている画像の一例であり、被制御部1aが有する図示しないナビゲーション手段によって出力される地図画像にOSD9c,9dが重畳されて表示されている。
図12(b)は、図11におけるユーザBが眺めている画像の一例である。被制御部1aによって、コンテンツデータに基づく画像にOSD9e〜9hが重畳された画像が表示されている。
【0072】
図13は、図12における領域Dを拡大した図である。また、図13において、動作制御部104によって、タッチパネル12の操作面12bの領域9cA〜9hAにはOSD9c〜9hに対応した機能が割り当てられるものとする。
この状態で、OSD9cAが表示されている画像を眺めているユーザAが、表示部11に対して左から右方向へと操作入力を行い、領域9cA及び領域9eAに含まれる点301に接触したとする。この場合、動作制御部104は、その操作入力方向を左から右方向であると検出する。そして、動作制御部104は、ユーザAが眺めている画像に含まれるOSD9cに対応した機能を被制御部1aに実行させる。OSD9cに対応した機能は、例えばナビゲーション手段にルート案内を開始させる機能である。
また、OSD9eAが表示されている画像を眺めているユーザBが、表示部11に対して右から左方向へと操作入力を行い、領域9cA及び領域9eAに含まれる点301に接触したとする。この場合、動作制御部104はその操作入力方向を右から左方向であると検出する。そして、動作制御部104は、ユーザBが眺めている画像に含まれるOSD9eに対応した機能を被制御部1aに実行させる。OSD9eに対応した機能は、例えば被制御部1aが実行しているコンテンツデータの再生を停止させる機能である。
【0073】
このように、タッチパネル12の同じ点301にユーザが接触した場合であっても、動作制御部104は、検出した操作入力の方向に応じて、異なる動作を被制御部1aに実行させる。
また、本実施形態の動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9c,9dを、左側から視認可能(視角が90°未満の場合に視認可能)な画像として表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御し、操作入力が右から左方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9e〜9hを、右側から視認可能(視角が90°以上の場合に視認可能)な画像として表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御する。
【0074】
このようにすることで、左から右方向へと操作入力を行う可能性が高いユーザAのみに、操作入力が左から右方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9c,9dを視認させることができる。また、右から左方向へと操作入力を行う可能性が高いユーザBのみに、操作入力が右から左方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9e〜9hを視認させることができる。以上が本実施形態における、表示部11が有する機能と、動作制御部104及び被制御部1aの動作である。
【0075】
なお、本発明は各実施形態の制御部1の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【0076】
また、本発明は以上説明した各実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。例えば、タッチパネル12は静電容量方式のタッチパネルに限るものではない。また、タッチパネル12への操作入力は指以外で行っても良い。また、制御部1は、一つの中央演算処理装置を用いて実現しても良いし、複数の中央演算処理装置やその他のデバイスが協働して、制御部1の機能を実行してもよい。
また、位置検出部101は、近接座標Pcを、近接検出感度によって検出してもよいし、接触検出感度等の近接検出感度とは異なる感度を用いて検出してもよい。また、位置検出部101は、接触座標Ptを、接触検出感度によって検出してもよいし、接触検出感度とは異なる感度を用いて検出してもよい。例えば、接触検出感度よりも感度の低い検出感度を用いて接触座標Ptを検出してもよい。
各実施形態において、ポインティング手段Fが近接位置Cpまでタッチパネル12に近づいたことを感知する際の検出感度には近接検出感度を用い、ポインティング手段Fが接触位置Tpまでタッチパネル12に近づいたことを感知する際の検出感度には接触検出感度を用いる。しかし、近接座標Pc及び接触座標Ptを検出する際の検出感度はこれに限らない。
【符号の説明】
【0077】
F ポインティング手段
Cp 近接位置(第1の位置)
Tp 接触位置(第2の位置)
Pc 近接座標(第1の座標)
Pt 接触座標(第2の座標)
12 タッチパネル
1 制御部
1a 被制御部
101 位置検出部
102 検出感度制御部
104 動作制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有する電子機器、及び動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを用いて操作入力を行うことができる電子機器が普及し、例えば、車載用の電子機器や携帯可能な電子機器においてタッチパネルが用いられている。そのような中、タッチパネルへの操作入力を検出する方法は多様化し、ユーザがタッチパネルに操作入力を行った際に、そのユーザの指がタッチパネルに触れる前の状態に応じて電子機器の動作を異ならせる技術も出てきている。例えば、ユーザがタッチパネルの左右どちら側から操作を行ったかを検出し、その検出した情報に応じて電子機器の動作を異ならせる技術が特開2006−151364号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術を用いることによって、ユーザがタッチパネルに対して左右どちら側から操作を行ったかを検知することができるが、それを検知するために赤外線センサを必要としたり、タッチパネルに触れているユーザの指の面積を検出したりする必要がある。そのため、複雑な構成になってしまい、コストが大きくなったり、演算負荷が大きくなったりするという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、簡単な構成で、ユーザがタッチパネルに触れる前の状態に応じて異なる動作を実行することができる電子機器及び動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した従来の技術の課題を解決するため、ポインティング手段(F)によって操作されるタッチパネル(12)と、前記ポインティング手段(F)が前記タッチパネル(12)から第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第1の座標(Pc)を検出し、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置よりも前記タッチパネル(12)に近い第2の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第2の座標(Pt)を検出する位置検出部(101)と、前記第1の座標(Pc)及び前記第2の座標(Pt)に基づいて、被制御部(1a)の動作を制御する動作制御部(104)と、前記位置検出部(101)が前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記位置検出部(101)の検出感度を、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知することが可能な第1の感度から、前記第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと切り替える検出感度制御部(102)とを有することを特徴とする電子機器を提供する。
また、本発明は上述した従来の技術の課題を解決するため、ポインティング手段(F)によって操作されるタッチパネル(12)を有する電子機器の動作を制御する動作制御方法において、第1の感度に設定されている状態で、前記ポインティング手段(F)が前記タッチパネル(12)から第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第1の座標(Pc)を検出する第1の検出ステップ(S62)と、前記第1の検出ステップ(S62)において、前記ポインティング手段(F)が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記第1の感度から、前記第1の位置よりも前記タッチパネル(12)に近い第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと検出感度を切り替える検出感度制御ステップ(S63)と、前記ポインティング手段(F)が前記第2の位置まで前記タッチパネル(12)に近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段(F)の位置に対応した前記タッチパネル(12)上の座標である第2の座標(Pt)を検出する第2の検出ステップ(S64)と、前記第1の座標(Pc)及び前記第2の座標(Pt)に基づいて、前記電子機器の被制御部の動作を制御する動作制御ステップとを有することを特徴とする動作制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタッチパネルを有する電子機器及び動作制御方法によれば、簡単な構成で、ユーザがタッチパネルに触れる前の状態に応じて異なる動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態の電子機器を示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施形態のタッチパネルを示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図及び俯瞰図である。
【図4】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図6】本発明の各実施形態における制御部の動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図8】本発明の第2実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するための概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態における操作入力方向の検出方法について説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための外観図及び俯瞰図である。
【図12】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための外観図である。
【図13】本発明の第4実施形態における表示部について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のタッチパネルを有する電子機器及び動作制御方法について、添付図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、タッチパネルを操作するための棒状の指示具や、ユーザの指をポインティング手段と総称する。また、各実施形態において操作入力の方向とは、ユーザが操作入力を行った際に、ポインティング手段が移動した方向であるとする。
【0010】
<第1実施形態>
図1に示すブロック図を用いて、第1実施形態の電子機器100について説明する。最初に、記憶部4、メディア再生部5、映像データ処理部6、音声データ処理部7、音声出力部8、オンスクリーンディスプレイ(OSD)発生部9、及びOSD重畳部10を有する被制御部1aについて説明する。
【0011】
メディア再生部5が再生するメディアや、記憶部4には、コンテンツデータが記憶されている。コンテンツデータは例えば、映像データと音声データとからなる映画等のデータである。この映像データと音声データとは同期されているとともに、複数のチャプタに区切られている。なお、コンテンツデータは映像データを含まない楽曲のみのデータでもよい。
記憶部4には例えばハードディスクドライブ(HDD)、フラッシュメモリ等を用いることができる。また、メディア再生部5には例えば、着脱可能なフラッシュメモリのデータを再生するフラッシュメモリ再生装置や、光ディスクドライブを用いることができる。なお、記憶部4は、HDD、フラッシュメモリ等に記憶されているデータを出力する機能を有しているものとする。また、電子機器100は、記憶部4又はメディア再生部5のどちらか一方のみを備える構成にしてもよい。
【0012】
記憶部4又はメディア再生部5は、後述する動作制御部104の制御に従い、コンテンツデータの映像データを出力する。また、記憶部4及びメディア再生部5は、動作制御部104の制御に従い、映像データと同期されている音声データを出力する。
映像データ処理部6は、記憶部4又はメディア再生部5から出力された映像データを映像信号(例えばRGB信号)に変換し出力する。
【0013】
音声データ処理部7は、記憶部4及びメディア再生部5から出力された音声データを音声信号(例えばアナログ音声信号)に変換し、その音声信号を、映像データ処理部6が出力した映像信号と同期して出力する。
音声出力部7は、音声データ処理部7から出力された音声信号を再生する。なお、動作制御部104は、音声出力部8が出力する音声の音量や音質を調整する。なお、音声出力部7は、例えばスピーカとアンプとを有している。
【0014】
また、動作制御部104は、ユーザによる操作入力に応じて、OSD発生部9を制御する。OSD発生部9は動作制御部104による制御に基づいてOSD信号を作成し出力する。OSD重畳部10は映像データ処理部6から出力された映像信号に基づく画像とOSD信号に基づく画像とを重畳し、その重畳した画像信号を出力する。
そして、表示部11は、OSD重畳部10から出力された、OSD信号が重畳された画像信号に基づく画像を表示する。なお、コンテンツデータが映像データを含まない楽曲のみのデータであった場合、OSD重畳部10は、OSD信号に基づく画像信号のみを出力し、表示部11は、そのOSD重畳部10から出力されたOSD信号に基づく画像を表示する。
また、電源2は被電力供給部3へ電力を供給する。
【0015】
以上のように、記憶部4、メディア再生部5、映像データ処理部6、音声データ処理部7、音声出力部8、OSD発生部9、及びOSD重畳部10は動作制御部104によって制御される被制御部1aとなっている。
なお、本実施形態において、被制御部1aとして映像音声再生手段を用いた例について説明したが、被制御部1aはこれに限らず、携帯電話、携帯音楽プレーヤ、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の種々の機器であってもよい。
【0016】
次に、位置検出部101、検出感度制御部102、入力時間測定部103、及び動作制御部104を有する制御部1について説明する。
なお、以下の説明において、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bから第1の距離d1離れた位置を近接位置Cpと称し、タッチパネル12の操作面12bから第2の距離d2離れた位置を接触位置Tpと称することとする。なお、接触位置Tpとは、タッチパネル12との距離がゼロである位置でもよいし、タッチパネル12との距離がゼロではない位置でもよい。つまり、接触位置Tpとはタッチパネル12と接触している位置も含むものとする。また、第2の距離d2は第1の距離d1よりも短いものとする。
【0017】
最初に、位置検出部101の動作を、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。なお、図3(a)は、操作面12bを水平面と直交するように、かつ、後述するX軸を水平面と平行になるようにしてタッチパネル12を設置した場合において、タッチパネル12を正面から見たときの概略図である。また、図3(b)は、図3(a)におけるタッチパネル12を真上から見たときの俯瞰図である。
まず、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したか否かを感知する。さらに、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、その近接位置Cpにおけるポインティング手段Fの位置Ppcに基づいたタッチパネル12上の座標である近接座標Pcを検出する。この場合におけるタッチパネル12上の座標とは、一例として、近接位置Cpにおけるポインティング手段Fの位置Ppcからタッチパネル12へと下ろした垂線と、タッチパネル12とが交わる点の座標であるとする。なお、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動した、とは、ポインティング手段Fが近接位置Cpで停止することも、ポインティング手段Fが近接位置Cpを通過することも含むものとする。
【0018】
また、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したか否かを感知する。さらに、位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへと移動したことを感知すると、その接触位置Tpにおけるポインティング手段Fの位置Pptに基づいたタッチパネル12上の座標である接触座標Ptを検出する。この場合におけるタッチパネル12上の座標とは、一例として、接触位置Tpにおけるポインティング手段Fの位置Pptからタッチパネル12へと下ろした垂線と、タッチパネル12とが交わる点の座標、又は、ポインティング手段Fがタッチパネル12に接触した位置における座標である。以上が位置検出部101の動作である。なお、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動した、とは、ポインティング手段Fが接触位置Tpで停止することも、ポインティング手段Fが接触位置Tpを通過することも含むものとする。
【0019】
図1の説明に戻り、入力時間測定部103は、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したことを感知すると、時間の測定を開始する。そして、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したことを感知したり、時間の測定を開始してから所定の時間経過したりすると、時間の測定を停止する。
【0020】
検出感度制御部102は、位置検出部101がポインティング手段Fを検出する際の検出感度を制御する。具体的には、検出感度制御部102は、タッチパネル12の検出感度を、近接検出感度から接触検出感度へと切り替えたり、接触検出感度から近接検出感度へと切り替えたりする。
ここで、近接検出感度とは、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネルから離れた位置から近接位置Cpへと移動したか否かを感知することができる感度であり、接触検出感度とは、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したか否かを感知することができる感度である。なお、位置検出部101は検出感度が高いほど、タッチパネル12からより離れた位置におけるポインティング手段Fを感知できるものとする。つまり、近接検出感度の方が、接触検出感度よりも高い感度の検出感度である。
【0021】
検出感度制御部102は、タッチパネルの検出感度が近接検出感度の場合において、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、検出感度を近接検出感度から接触検出感度へと変更する。
【0022】
ここで、図2に示すタッチパネル12の概略図を用いて、位置検出部101及び検出感度制御部102の動作についてさらに詳細に説明する。なお、図2は、タッチパネル12に、マトリクス状に配置された電極を有する静電容量方式のタッチパネルを用いた例である。
図2に示すように本実施形態におけるタッチパネル12はX電極X1〜X6、Y電極Y1〜Y6が格子状に配列されて構成されている。隣接する一対のX電極で構成されるコンデンサはそれぞれ、電源2によって充電される。また、隣接する一対のY電極で構成されるコンデンサもそれぞれ、電源2によって充電される。なお、理解を容易にするために、図2に示すように合計12本の電極を用いた例について説明するが、電極の数はこれに限らずさらに多い数の電極を用いてもよい。
【0023】
位置検出部101は、隣接する一対の電極から構成されるそれぞれのコンデンサの容量値の変化量を一定時間ごとに検出することで、ポインティング手段Fの位置に基づいた座標を検出する。
例えば、ポインティング手段Fが位置300にある場合、一対のX電極からなる各コンデンサのうち、X電極X1とX電極X2とからなるコンデンサの容量変化が、他のX電極で構成されるコンデンサの容量変化よりも大きくなる。また、一対のY電極からなる各コンデンサのうち、Y電極Y1とY電極Y2とからなるコンデンサの容量値の変化量が、他のY電極で構成されるコンデンサの容量変化よりも大きくなる。
【0024】
位置検出部101は、近接検出感度に設定されている状態で、いずれかのコンデンサの容量値の変化量が所定の閾値を超えると、ポインティング手段Fが近接位置Cpよりもタッチパネル12から遠い位置から、近接位置Cpへと移動したと判断する。位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへと移動したことを感知すると、他の一対の電極で構成されるコンデンサそれぞれの容量値の変化量を含む全てのコンデンサの容量値の変化量に基づいて近接座標Pcを検出する。
また、位置検出部101は、接触検出感度に設定されている状態で、いずれかのコンデンサの容量値の変化量が所定の閾値を超えると、ポインティング手段Fが近接位置Cpから接触位置Tpへと移動したと判断する。位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへと移動したことを感知すると、他の一対の電極で構成されるコンデンサそれぞれの容量値の変化量を含む全てのコンデンサの容量値の変化量に基づいて接触座標Ptを検出する。
【0025】
なお、位置検出部101が所定の隣接する一対の電極から構成されるコンデンサの容量の変化量を検出する動作を行うと、そのコンデンサに溜まっている電荷が放電される。つまり、位置検出部101の各コンデンサの容量の変化量を検出する時間間隔を長くすると、充電時間が長くなり、各コンデンサに溜まる電荷が増える。
各コンデンサに蓄えられる電荷が増えるほど、ポインティング手段Fがタッチパネル12に近づいた際の容量値の変化量が大きくなるため、タッチパネル12から離れた位置におけるポインティング手段Fを感知することが可能となる。また、各コンデンサに蓄えられる電荷が増えるほど、タッチパネル12から離れた位置においてポインティング手段Fの座標を検出することが可能となる。しかし、位置検出部101が検出を行う時間間隔が長くなるため、座標を検出する頻度が減り、タッチパネル12上の座標を検出する精度は粗くなってしまう。
【0026】
一方、各コンデンサを充電する時間を短くし、各コンデンサに蓄えられる電荷が少なくなるほど、容量値の変化量が小さくなり、位置検出部101は、コンデンサを充電する時間が長いときよりも、タッチパネル12に近い位置までポインティング手段Fが近づかないと、ポインティング手段Fを感知できなくなる。しかし、位置検出部101が検出を行う時間間隔が短くなるため、座標を検出する頻度が増え、タッチパネル12上の座標の検出は精度良く行うことができる。
【0027】
検出感度制御部102は、位置検出部101が各コンデンサの容量を検出する時間間隔を切り替えることによって、タッチパネル12の検出感度を、近接検出感度から接触検出感度へと切り替えたり、接触検出感度から近接検出感度へと切り替えたりする。つまり、検出感度制御部102は、近接検出感度のときよりも、接触検出感度のときの方が、位置検出部101が検出を行う時間間隔が短くなるように、位置検出部101が検出を行う時間間隔を切り替える。
【0028】
なお、このような、位置検出部101の座標検出方法、及び、検出感度制御部102の感度制御方法は一例であり、種々の方法を用いることができる。例えば、タッチパネル12に抵抗膜タッチパネルを用いた場合、位置検出部101は、抵抗膜の抵抗値や電圧値を検出することで座標を検出してもよい。
また、本実施形態において、検出感度制御部102は、充電時間を制御することで各コンデンサの容量値の変化量を制御し、検出感度を切り替えるようにしたが、ポインティング手段Fの移動を感知するための閾値を変更することで、検出感度を切り替えてもよい。また、タッチパネル12についても検出感度を変更可能なタッチパネルであればよい。
【0029】
次に、タッチパネル12を正面から見た場合の概略図である図3(a)、及び、図4のフローチャートを用いて、動作制御部104における操作入力方向を検出する方法について説明する。なお、図3(a)は、操作面12bを水平面と直交するように、かつ、後述するX軸を水平面と平行になるようにしてタッチパネル12を設置した場合において、タッチパネル12を正面から見たときの概略図である。
【0030】
また、図3(a)において、タッチパネル12は固定部材12aに固定されているものとする。また、一例として、タッチパネル12における操作入力を検出するための操作面12bは略四角形であるとする。また、その操作面12bの一辺を水平方向と平行になるように、タッチパネル12が設置されているものとする。また、以下の説明で、上、下、左、右という記載はそれぞれ、タッチパネルを正面から見た場合の上、下、左、右であるとする。
【0031】
また、タッチパネル12を正面から見たときの、操作面12bの左上の頂点である点P0と右上の頂点である点P1とを通る直線をX軸とする。なお、X軸のゼロ点は点P0であり、X軸においては右方向を正とする。また、タッチパネル12を正面から見たときの、左上の頂点である点P0と左下の頂点である点P2とを通る直線をY軸とする。なお、Y軸のゼロ点は点P0であり、Y軸においては下方向を正とする。また、図3(a)において、操作面12bの頂点である点P0〜3の(X座標,Y座標)をそれぞれ、点P0(0,0)、点P1(1024,0)、点P2(0,1024)、点P3(1024,1024)とする。また、位置検出部101が検出した近接座標Pcを(812,398)、接触座標Ptを(550,475)とする。
【0032】
位置検出部101が近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。そして、図4のステップS41にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
次のステップS42にて、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から接触座標PtのX座標を引いた差分値であるX差分値Xdを算出する。図3(a)に示す例では、動作制御部104は、近接座標PcのX座標812から接触座標PtのX座標550を引き算し、X差分値Xdを262と算出する。
【0033】
次のステップS43にて、動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS44)。また、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS45)。以上が本実施形態における操作入力方向の検出動作である。
【0034】
なお、ステップS43にて、X差分値Xdがゼロである場合も、動作制御部104は右から左方向へ操作入力が行われたと判断するものとしたが、X差分値Xdがゼロである場合、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
【0035】
動作制御部104は、操作入力方向を判断した後に、操作入力方向の判断結果に基づいて、被制御部1aを制御する。
動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ前のチャプタを先頭部分から再生するよう被制御部1aを制御する。また、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ後のチャプタを先頭部分から再生するよう被制御部1aを制御する。
なお、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの右側に示し、操作入力が左から右へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの左側に示しておくことが好ましい。
【0036】
以上のように動作制御部104は操作入力方向に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができる。
【0037】
なお、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねて設置するようにしてもよい。このとき、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を示すOSD9aが重畳された画像を表示部11に表示させるよう、被制御部1aを制御することが好ましい。また、動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を示すOSD9bが重畳された画像を表示部11に表示させるよう、被制御部1aを制御することが好ましい。その画像を表示部11が表示することで、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作とを、OSD9a,9bを用いてユーザに示すことができる。
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域とし、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能の2つを割り当ててもよいし、タッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに上述した2つの機能を割り当てるようにしてもよい。
【0038】
また、動作制御部104は、操作入力が右から左へと行われたと判断した場合と、操作入力が左から右へと行われたと判断した場合とで、位置検出部101が接触座標Ptを検出した後のOSD画像を異ならせるよう被制御部1aを制御してもよい。
【0039】
次に、図6のフローチャートを用いて制御部1の動作を中心に本実施形態の電子機器100の動作制御方法についてさらに詳細に説明する。
【0040】
図6のフローチャートにおいて、例えば電子機器100の電源2がオンになると、ステップS61にて検出感度制御部102は、位置検出部101がポインティング手段Fの座標を検出する際の検出感度を、近接検出感度に設定する。また、位置検出部101は、近接検出感度でポインティング手段Fを感知する動作を開始する。なお、すでに近接検出感度に設定されている場合、検出感度制御部102は、検出感度が近接検出感度に設定されている状態を維持する。
次のステップS62にて、位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したか否かを判断する。位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動していないと判断した場合(No)、ステップS62を繰り返す。位置検出部101は、ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知した場合(Yes)、近接座標Pcを検出し、ステップS63に移る。
【0041】
ポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知した場合であるステップS63にて、検出感度制御部103は、検出感度を近接検出感度から接触検出感度へと変更する。また、ステップS63にて、入力時間測定部103は時間計測を開始する。
次のステップS64にて、位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したか否かを判断する。位置検出部101がポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動していないと判断した場合(No)、ステップS65に移る。位置検出部101は、ポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したことを感知した場合(Yes)、接触座標Ptを検出し、ステップS66に移る。
【0042】
ステップS65にて、入力時間測定部103は、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知してから、所定時間経過したか否かを判断する。なお、本実施形態においては、一例として、1秒経過したか否かを判断する。ステップS65にて、入力時間測定部103が1秒経過していないと判断した場合、ステップS64に戻る。入力時間測定部103が1秒経過したと判断した場合は、ステップS68に移る。そのステップS68にて、入力時間測定部103は、測定している時間をゼロにリセットし、ステップS61に戻る。
その後、ステップS61にて、検出感度制御部102によって、検出感度が近接検出感度に設定されることとなる。このように、位置検出部101がポインティング手段Fが近接位置Cpへ移動したことを感知してから所定時間経過した場合に、検出感度を近接検出感度に戻すことにより、ユーザが意図せずにポインティング手段Fをタッチパネル12に近づけた場合の誤動作を防ぐことができる。
【0043】
一方、ステップS64にて、位置検出部101がポインティング手段Fが接触位置Tpへ移動したことを感知した場合(Yes)、次のステップS66にて、動作制御部104は、位置検出部101が検出した近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて、前述した図4に示すような方法で、入力方向を検出する。そして、次のステップS67にて、動作制御部104は、検出した入力方向に応じた動作をするよう被制御部1aを制御する。そして、ステップS68にて、入力時間測定部103は、測定している時間をゼロにリセットし、その後、ステップS61に戻る。以上が本実施形態の電子機器100の動作制御方法である。以上説明したように、本実施形態の動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて、被制御部1aの動作を制御する。
【0044】
なお、動作制御部104がX差分値Xdを算出する例について説明したが、動作制御部104は、近接座標PcのY座標から接触座標PtのY座標を引いた差分値であるY差分値Ydを算出し、そのY差分値に基づいて、操作入力が上から下方向へと行われたか、下から上方向へと行われたかを判断してもよい。
その場合、動作制御部104は、操作入力が上から下方向へと行われたか、下から上方向へと行われたかに応じて、被制御部1aを制御する。図3(a)に示す例では、動作制御部104は、近接座標PcのY座標398から接触座標PtのY座標475を引き算し、Y差分値Ydを−77と算出する。
【0045】
動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であった場合、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断し、Y差分値Ydがゼロ未満であった場合、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する。このように動作制御部104がY差分値Ydを算出する場合、位置検出部101は、近接座標Pc及び接触座標PtのY座標のみを検出するようにしてもよい。
また、動作制御部104がX差分値Xdを算出する場合、位置検出部101は、近接座標Pc及び接触座標PtのX座標のみを検出するようにしてもよい。
【0046】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、操作入力方向を検出し、その検出結果に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができ、また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0047】
<第2実施形態>
タッチパネルを正面から見た場合の概略図である図7、及び、図8のフローチャートを用いて、本実施形態における動作制御部104の動作について説明する。なお、本実施形態において、動作制御部104が行う入力方向を検出する方法以外は第1実施形態と同様である。つまり、第1実施形態とは、図6のフローチャートのステップS66における入力方向を検出する方法が異なる。
また、上、下、左、右という記載、タッチパネル12の設置状態、X軸、Y軸、等については第1実施形態と同様であるものとする。
【0048】
位置検出部101が、図7に示すような近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。
そして、図8のステップS81にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
次のステップS82にて、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から接触座標PtのX座標を引いた差分値であるX差分値Xdを算出するとともに、近接座標PcのY座標から接触座標PtのY座標を引いた差分値であるY差分値Ydを算出する。図7に示す例においては、動作制御部104は、近接座標PcのX座標812から接触座標PtのX座標550を引き算し、X差分値Xdを262と算出する。また、動作制御部104は、近接座標PcのY座標398から接触座標PtのY座標475を引き算し、Y差分値Ydを−77と算出する。
【0049】
次のステップS83にて、動作制御部104は、X差分値Xdの絶対値と、Y差分値Ydの絶対値とを比較する。ステップS83にて、動作制御部104が、X差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値以上の値であると判断した場合(Yes)、ステップS84に移る。また、ステップS83にて、X差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値未満の値であると判断した場合(No)、ステップS87に移る。
そして、ステップS84にて、動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、X差分値Xdがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS85)、X差分値Xdがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS86)。
【0050】
一方、ステップS83にてX差分値Xdの絶対値がY差分値Ydの絶対値未満の値であると判断した場合(No)、次のステップS87にて、動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であるか否かを判断する。動作制御部104は、Y差分値Ydがゼロ以上であった場合(Yes)、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS88)、Y差分値Ydがゼロ未満であった場合(No)、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS89)。
【0051】
なお、ステップS83において、X差分値Xdの絶対値とY差分値Ydの絶対値とが等しい場合、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
また、ステップS84において、X差分値Xdがゼロである場合も、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
また、ステップS84において、Y差分値Ydがゼロである場合も、動作制御部104は、操作入力の方向を検出できないと判断して、操作入力方向を判断できなかったことを示すOSD画像を表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御してもよい。
以上が本実施形態における操作入力方向の検出動作である。
【0052】
なお、本実施形態においても、動作制御部104は、操作入力方向の検出結果に基づいて、被制御部1aを制御する。
動作制御部104は、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ前のチャプタを先頭部分から再生させるよう被制御部1aを制御する。また、動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aが再生中のコンテンツデータのチャプタの一つ後のチャプタを先頭部分から再生させるよう被制御部1aを制御する。
【0053】
また、動作制御部104は、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aがコンテンツデータの再生を停止するよう被制御部1aを制御する。なお、被制御部1aがコンテンツデータの再生を行っていない場合は、被制御部1aが再生を行っていない状態を維持するよう制御する。また、動作制御部104は、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合、例えば、被制御部1aがコンテンツデータの再生を開始するよう被制御部1aを制御する。なお、被制御部1aが既にコンテンツデータの再生を行っている場合は、被制御部1aがその再生を続けるよう制御する。
以上のように、本実施形態の動作制御部104は、X差分値Xdの絶対値とY差分値Ydの絶対値を比較し、その比較結果に応じて、X差分値Xd及びY差分値Ydのいずれか一方を選択し、その選択した差分値に基づいて被制御部1aの動作を制御する。
【0054】
なお、動作制御部104が、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの右側に示し、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの左側に示し、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの下側に示し、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作を固定部材12aの上側に示しておくことが好ましい。
【0055】
なお、第1実施形態と同様に、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねるように設置するようにしてもよい。このように設置することで、被制御部1aにOSD画像が重畳された画像を出力させ、その画像を表示部11が表示することで、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の被制御部1aの動作とをユーザに示すことができる。
【0056】
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域として、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の機能の4つの機能を割り当ててもよいし、図5に示す領域9Aのようにタッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに4つの機能を割り当てるようにしてもよい。
【0057】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、操作入力方向が、4つの操作入力方向の内のいずれであるかを検出し、その検出結果に応じて異なる動作をするよう被制御部1aを制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができる。また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0058】
<第3実施形態>
タッチパネルを正面から見た場合の概略図である図9、及び、図10のフローチャートを用いて、本実施形態における動作制御部104の動作について説明する。なお、本実施形態において、動作制御部104が行う入力方向を検出する方法以外は第1実施形態及び第2実施形態と同様であり、図6のフローチャートのステップS66における入力方向を検出する方法が、他の実施形態と異なる。また、上、下、左、右という記載、タッチパネル12の設置状態、X軸、Y軸、等については第1実施形態と同様であるものとする。
【0059】
なお、以下の図9に関する説明において、一例として、X軸と平行であるとともに、接触座標Ptが示すタッチパネル12の操作面12b上の点を通る直線Lを角度の基準とするが、本実施形態はこれに限定されるものではない。ただし、このような直線Lを角度の基準とすることで後述する角度の算出を容易にすることができる。
また、本実施形態における角度に関する記載は、タッチパネル12を正面からみたときの反時計回りを正とする。
また、図9において、直線Lctは、近接座標Pcが示すタッチパネル12の操作面12b上の点と、接触座標Ptが示すタッチパネル12の操作面12b上の点とを通る直線である。また、直線L45は直線Lと45°の角度をなして交わる直線であり、直線L135は直線Lと135°の角度をなして交わる直線である。また、直線L225は直線Lと225°の角度をなして交わる直線であり、直線L−45は直線Lと−45°の角度をなして交わる直線である。なお、−45°は315°と同じ角度であるとする。
【0060】
位置検出部101が、図9に示すような近接座標Pcを検出し、その後、接触座標Ptを検出すると、動作制御部104は操作入力方向の検出動作を開始する。そして、図10のステップS101にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptを取得する。
【0061】
次のステップS102にて、動作制御部104は、近接座標Pc及び接触座標Ptに基づいて直線Lと直線Lctとの角度θを算出する。
具体的には、まず、動作制御部104は、近接座標PcのX座標から、直線Lと直線Lctとの交点のX座標を引いた差分値と、近接座標PcのY座標から直線Lと直線Lctとの交点のX座標を引いた差分値とを算出する。そして、動作制御部104は、それらの差分値に基づいて、余弦定理や正弦定理を用いることで、直線Lと直線Lctとの角度θを算出する。なお、本実施形態において、角度θは30°であるとする。
なお、本実施形態においては、直線Lは接触座標Ptを通るため、直線Lと直線Lctとの交点の座標は、接触座標Ptである。
【0062】
次のステップS103にて、動作制御部104は、角度θが、−45°以上45°未満、45°以上135°未満、135°以上225°未満、225°以上315°未満の4つの範囲の内、どの範囲に含まれるかを判断する。なお、−45°以上45°未満の範囲とは、315°以上360°未満の範囲と、0°以上45°未満の範囲とを合わせた範囲と同じ範囲である。
【0063】
動作制御部104は、角度θが−45°以上45°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの右から左方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS104)、角度θが45°以上135°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの上から下方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS105)。
また、動作制御部104は、角度θが135°以上225°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの左から右方向へ操作入力が行われたと判断し(ステップS106)、角度θが225°以上315°未満に含まれる場合、タッチパネルを正面から見たときの下から上方向へ操作入力が行われたと判断する(ステップS107)。以上が本実施形態における操作入力方向を検出する方法である。
【0064】
なお本実施形態においては、動作制御部104は、角度θが4つの範囲の内のどの範囲に含まれるかを判断するものとしたが、この4つの範囲は一例であり、これに限らない。例えば、動作制御部104は、角度θが8つの範囲の内のどの範囲に含まれるかを判断してもよい。そのような構成にすれば、さらに細かく操作入力方向を検出することができ、タッチパネル12の所定の領域にさらに多くの機能を割り当てることができる
【0065】
なお、第1実施形態と同様に、図5に示すように、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12を表示部11に重ねるように設置するようにしてもよい。
また、タッチパネル12の操作面12b全てを一つの領域として、その領域に、操作入力が右から左方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が左から右方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が下から上方向へと行われたと判断した場合の機能と、操作入力が上から下方向へと行われたと判断した場合の機能の4つの機能を割り当ててもよいし、図5に示す領域9Aのようにタッチパネル12の操作面12bの一部の領域9Aに4つの機能を割り当てるようにしてもよい。本実施形態における操作入力方向の検出方法を用いれば、タッチパネル12の所定の領域にさらに多くの機能を割り当てることができる。
【0066】
以上のように本実施形態の動作制御部104は、近接座標Pcが示す点と接触座標Ptが示す点とを通る直線Lctと、所定の直線Lとの角度θを算出し、その算出した角度θに基づいて被制御部1aの動作を制御する。このように本実施形態の電子機器100は、ポインティング手段Fがタッチパネルに触れる前の状態に応じて、被制御部1aの動作を異ならせることができ、また、タッチパネル12の所定の領域に複数の機能を割り当てる際に、その領域を異なる機能が割り当てられた複数の領域に分ける必要がない。そのため、ユーザはより広い領域に対して操作入力を行うことができる。よって、ユーザにとって操作しやすい電子機器及び動作制御方法を提供することができる。
【0067】
<第4実施形態>
図11(a)に示す外観図、及び、図11(b)に示す俯瞰図を用いて、本実施形態における表示部11について説明する。なお、本実施形態において、表示部11以外は他の実施形態と同様である。なお、本実施形態において、表示部11は、画像を表示する表示面11bが水平面と直交するように配置されているものとする。また、ユーザA,Bはともに表示部11の表示面11b上の点Sに焦点を合わせて、表示部11が表示する画像を眺めているものとする。
また、本実施形態において、タッチパネル12の操作入力を検出するための操作面12bと、表示部11の画像を表示する表示面11bとは略同じ大きさであるとする。また、タッチパネル12の操作面12bと、表示部11の表示面11bとが平行になるように、タッチパネル12が表示部11に重ねて設置されているとする。また、表示部11の表示面11bは略長方形であり、その内の2辺が水平面と平行になるように、表示部11が設置されているものとする。
【0068】
図11(a)は本実施形態の表示部11の外観図である。図11(a)及び図11(b)において、線分Laは、ユーザAにおける視軸である。つまりユーザAの目の中心と、見ている対象(点S)とを結ぶ線分である。また、線分Lbは、ユーザBにおける視軸である。つまりユーザBの目の中心と、見ている対象(点S)とを結ぶ線分である。また、直線Lhは、点Sを通り、かつ、表示面11bの4辺の内の、水平面と平行な2辺それぞれと平行な直線であるとする。
【0069】
本実施形態における表示部11は、特開2005−78076に示されているような技術を用いたデュアルビュー機能を有する表示部11である。
表示部11、タッチパネル12、及びユーザA,Bを真上から見たときの俯瞰図である図11(b)を用いてデュアルビュー機能について説明する。なお図11(b)において、角度に関する記載は、表示部11、タッチパネル12、及びユーザA,Bを真上から見たときの反時計回りを正とする。
【0070】
本実施形態の表示部11が有するデュアルビュー機能とは、直線Lhと、視軸である線分La,Lbとがなす角度である視角に応じて異なる画像を表示できる機能である。つまり、本実施形態の表示部11は、視角(視認される角度)によって異なる画像を表示する。例えば、視角が90°未満の場合と、視角が90°以上の場合とで異なる画像を表示することができる。図11(b)において、ユーザAにおける視角αが45°、ユーザBにおける視角βが135°であるとすると、本実施形態の表示部11は、ユーザAとユーザBにそれぞれ異なる画像を視認させることができる。なお、本実施形態の被制御部1aは、異なる2つの画像を表示部11に表示させる。
【0071】
図12(a)は、図11におけるユーザAが眺めている画像の一例であり、被制御部1aが有する図示しないナビゲーション手段によって出力される地図画像にOSD9c,9dが重畳されて表示されている。
図12(b)は、図11におけるユーザBが眺めている画像の一例である。被制御部1aによって、コンテンツデータに基づく画像にOSD9e〜9hが重畳された画像が表示されている。
【0072】
図13は、図12における領域Dを拡大した図である。また、図13において、動作制御部104によって、タッチパネル12の操作面12bの領域9cA〜9hAにはOSD9c〜9hに対応した機能が割り当てられるものとする。
この状態で、OSD9cAが表示されている画像を眺めているユーザAが、表示部11に対して左から右方向へと操作入力を行い、領域9cA及び領域9eAに含まれる点301に接触したとする。この場合、動作制御部104は、その操作入力方向を左から右方向であると検出する。そして、動作制御部104は、ユーザAが眺めている画像に含まれるOSD9cに対応した機能を被制御部1aに実行させる。OSD9cに対応した機能は、例えばナビゲーション手段にルート案内を開始させる機能である。
また、OSD9eAが表示されている画像を眺めているユーザBが、表示部11に対して右から左方向へと操作入力を行い、領域9cA及び領域9eAに含まれる点301に接触したとする。この場合、動作制御部104はその操作入力方向を右から左方向であると検出する。そして、動作制御部104は、ユーザBが眺めている画像に含まれるOSD9eに対応した機能を被制御部1aに実行させる。OSD9eに対応した機能は、例えば被制御部1aが実行しているコンテンツデータの再生を停止させる機能である。
【0073】
このように、タッチパネル12の同じ点301にユーザが接触した場合であっても、動作制御部104は、検出した操作入力の方向に応じて、異なる動作を被制御部1aに実行させる。
また、本実施形態の動作制御部104は、操作入力が左から右方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9c,9dを、左側から視認可能(視角が90°未満の場合に視認可能)な画像として表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御し、操作入力が右から左方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9e〜9hを、右側から視認可能(視角が90°以上の場合に視認可能)な画像として表示部11に表示させるよう被制御部1aを制御する。
【0074】
このようにすることで、左から右方向へと操作入力を行う可能性が高いユーザAのみに、操作入力が左から右方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9c,9dを視認させることができる。また、右から左方向へと操作入力を行う可能性が高いユーザBのみに、操作入力が右から左方向へと行われたときに実行する機能を示すOSD9e〜9hを視認させることができる。以上が本実施形態における、表示部11が有する機能と、動作制御部104及び被制御部1aの動作である。
【0075】
なお、本発明は各実施形態の制御部1の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【0076】
また、本発明は以上説明した各実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。例えば、タッチパネル12は静電容量方式のタッチパネルに限るものではない。また、タッチパネル12への操作入力は指以外で行っても良い。また、制御部1は、一つの中央演算処理装置を用いて実現しても良いし、複数の中央演算処理装置やその他のデバイスが協働して、制御部1の機能を実行してもよい。
また、位置検出部101は、近接座標Pcを、近接検出感度によって検出してもよいし、接触検出感度等の近接検出感度とは異なる感度を用いて検出してもよい。また、位置検出部101は、接触座標Ptを、接触検出感度によって検出してもよいし、接触検出感度とは異なる感度を用いて検出してもよい。例えば、接触検出感度よりも感度の低い検出感度を用いて接触座標Ptを検出してもよい。
各実施形態において、ポインティング手段Fが近接位置Cpまでタッチパネル12に近づいたことを感知する際の検出感度には近接検出感度を用い、ポインティング手段Fが接触位置Tpまでタッチパネル12に近づいたことを感知する際の検出感度には接触検出感度を用いる。しかし、近接座標Pc及び接触座標Ptを検出する際の検出感度はこれに限らない。
【符号の説明】
【0077】
F ポインティング手段
Cp 近接位置(第1の位置)
Tp 接触位置(第2の位置)
Pc 近接座標(第1の座標)
Pt 接触座標(第2の座標)
12 タッチパネル
1 制御部
1a 被制御部
101 位置検出部
102 検出感度制御部
104 動作制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティング手段によって操作されるタッチパネルと、
前記ポインティング手段が前記タッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第1の座標を検出し、前記ポインティング手段が前記第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第2の座標を検出する位置検出部と、
前記第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、被制御部の動作を制御する動作制御部と、
前記位置検出部が前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記位置検出部の検出感度を、前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知することが可能な第1の感度から、前記第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと切り替える検出感度制御部と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記動作制御部は、前記第1の座標のX座標と前記第2の座標のX座標との差分値であるX差分値、又は、前記第1の座標のY座標と前記第2の座標のY座標との差分値であるY差分値に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記第1の座標のX座標と前記第2の座標のX座標との差分値であるX差分値、及び、前記第1の座標のY座標と前記第2の座標のY座標との差分値であるY差分値を算出するとともに、前記X差分値の絶対値と前記Y差分値の絶対値を比較し、その比較結果に応じて、前記X差分値及び前記Y差分値のいずれか一方を選択し、その選択した差分値に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記第1の座標が示す点と前記第2の座標が示す点とを通る直線と、前記タッチパネルの操作面上の所定の直線との角度を算出し、その算出した角度に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記タッチパネルに対応して配置されるとともに、視認される角度によって異なる画像を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
ポインティング手段によって操作されるタッチパネルを有する電子機器の動作を制御する動作制御方法において、
第1の感度に設定されている状態で、前記ポインティング手段が前記タッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第1の座標を検出する第1の検出ステップと、
前記第1の検出ステップにおいて、前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記第1の感度から、前記第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと検出感度を切り替える検出感度制御ステップと、
前記ポインティング手段が前記第2の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第2の座標を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、前記電子機器の被制御部の動作を制御する動作制御ステップと、
を有することを特徴とする動作制御方法。
【請求項1】
ポインティング手段によって操作されるタッチパネルと、
前記ポインティング手段が前記タッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第1の座標を検出し、前記ポインティング手段が前記第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第2の座標を検出する位置検出部と、
前記第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、被制御部の動作を制御する動作制御部と、
前記位置検出部が前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記位置検出部の検出感度を、前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知することが可能な第1の感度から、前記第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと切り替える検出感度制御部と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記動作制御部は、前記第1の座標のX座標と前記第2の座標のX座標との差分値であるX差分値、又は、前記第1の座標のY座標と前記第2の座標のY座標との差分値であるY差分値に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記第1の座標のX座標と前記第2の座標のX座標との差分値であるX差分値、及び、前記第1の座標のY座標と前記第2の座標のY座標との差分値であるY差分値を算出するとともに、前記X差分値の絶対値と前記Y差分値の絶対値を比較し、その比較結果に応じて、前記X差分値及び前記Y差分値のいずれか一方を選択し、その選択した差分値に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記第1の座標が示す点と前記第2の座標が示す点とを通る直線と、前記タッチパネルの操作面上の所定の直線との角度を算出し、その算出した角度に基づいて被制御部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記タッチパネルに対応して配置されるとともに、視認される角度によって異なる画像を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
ポインティング手段によって操作されるタッチパネルを有する電子機器の動作を制御する動作制御方法において、
第1の感度に設定されている状態で、前記ポインティング手段が前記タッチパネルから第1の距離離れた位置である第1の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第1の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第1の座標を検出する第1の検出ステップと、
前記第1の検出ステップにおいて、前記ポインティング手段が前記第1の位置まで近づいたことを感知した後に、前記第1の感度から、前記第1の位置よりも前記タッチパネルに近い第2の位置まで近づいたことを感知することが可能な第2の感度へと検出感度を切り替える検出感度制御ステップと、
前記ポインティング手段が前記第2の位置まで前記タッチパネルに近づいたことを感知すると、その第2の位置における前記ポインティング手段の位置に対応した前記タッチパネル上の座標である第2の座標を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の座標及び前記第2の座標に基づいて、前記電子機器の被制御部の動作を制御する動作制御ステップと、
を有することを特徴とする動作制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−248712(P2011−248712A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122515(P2010−122515)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
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