説明

タッチパネル入力を用いたゲームシステム

【課題】多彩なゲーム操作を可能とすることによってプレイヤに多彩なゲームの遊び方を提供する。
【解決手段】プレイヤは、タッチパネル上において所定の図形を描くように入力操作を行う。敵キャラクタに対する攻撃の種類は、入力軌跡の図形的形状に基づいて決定される。敵キャラクタに対する攻撃の適用度合は、入力軌跡の図形的形状の大きさに基づいて決定される。攻撃による敵キャラクタのダメージは、攻撃パターンと攻撃の適用度合に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステムに関し、より特定的には、入力装置としてタッチパネルを用いたゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、十字キーやボタンからなるコントローラ以外の入力装置を用いて遊ぶゲーム装置が提案されている。例えば、刀型のコントローラを用いてゲーム中の敵キャラクタを攻撃して遊ぶゲームシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。このゲームシステムでは、刀型のコントローラの位置や単位時間当たりの位置の変化量がセンサによって検出され、攻撃によって敵キャラクタに与えられるダメージの大きさは、当該コントローラを振る速度や振り幅の大きさに応じて決定される。これによって、プレイヤは、ゲーム中の敵キャラクタを刀で攻撃しているような感覚を得ることができる。
【特許文献1】特開2003−79943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ゲームシステムでは、敵キャラクタに与えられるダメージの大きさは、刀型のコントローラを振る速度や振り幅の大きさに応じて決定される。しかし、攻撃方法は刀による攻撃のみであり、攻撃のバリエーションが少ない。このような単純な攻撃方法ではゲーム自体が単調になってしまい、ゲームがプレイヤに飽きられやすくなってしまう。つまり、一回の入力により一義的に一種類の攻撃が行われるので、プレイヤに飽きられやすいとう問題がある。特に、昨今のゲームにおいては、剣による直接攻撃以外にも魔法による攻撃を行ったり、ダメージの大きさや攻撃の影響する範囲を指定したりといった方法で様々な攻撃方法を可能とすることによって、プレイヤにゲームを飽きさせないようにすることは重要である。
【0004】
それ故、本発明の目的は、多彩なゲーム操作を可能とすることによってプレイヤに多彩なゲームの遊び方を提供することができるゲームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
本発明の第1の発明は、ゲーム画像を表示するための表示画面(第1LCD11)と当該表示画面を覆うタッチパネル(13)とを備えるゲーム装置(1)のコンピュータを、ゲーム画像表示制御手段(S41(ステップ11の略。以下同様。)を実行するCPUコア21。以下、単にステップ番号のみを示す。)、座標検出手段(S53)、形状特定手段(S64)、大きさ算出手段(S66)、基本条件決定手段(S65)、適用度合決定手段(S67)、および特性パラメータ変化手段(S77)として機能させるゲームプログラムである。ゲーム画像表示制御手段は、ゲームキャラクタ(敵キャラクタ31,32)を含むゲーム画像を表示画面に表示させる。座標検出手段は、タッチパネル上においてプレイヤによる入力が行われた位置を示す座標値を単位時間間隔で検出する。形状特定手段は、座標検出手段によって検出された座標値群(入力座標リスト22a)により示される入力軌跡の図形的形状を特定する。大きさ算出手段は、座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状の大きさを算出する。基本条件決定手段は、ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータ(敵キャラクタのHPおよびMP)を変化させるための基本条件(攻撃パターン)を形状特定手段によって特定された図形的形
状に基づいて決定する。適用度合決定手段は、ゲームキャラクタに対する基本条件の適用度合を大きさ算出手段によって算出された大きさに基づいて決定する。特性パラメータ変化手段は、条件決定手段によって決定された基本条件と適用度合決定手段によって決定された適用度合とに基づいてゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる。
【0006】
また、ゲームプログラムは、キャラクタ選出手段(S71)として、コンピュータをさらに機能させてもよい。キャラクタ選出手段は、入力軌跡に基づいて決定される表示画面上の領域に基づいて、ゲーム画像に含まれるゲームキャラクタの中から特性パラメータを変化させるべきゲームキャラクタを選出する。このとき、特性パラメータ変化手段は、キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの特性パラメータのみを変化させる。
【0007】
また、第2の発明は、ゲーム画像を表示するための表示画面(第1LCD11)と当該表示画面を覆うタッチパネル(13)とを含むゲーム装置(1)のコンピュータを、ゲーム画像表示制御手段(S41)、座標検出手段(S53)、形状特定手段(S64)、キャラクタ選出手段(S71)、基本条件決定手段(S65)、および特性パラメータ変化手段(S77)として機能させるゲームプログラムである。ゲーム画像表示制御手段は、ゲームキャラクタ(敵キャラクタ31,32)を含むゲーム画像を表示画面に表示させる。座標検出手段は、タッチパネル上においてプレイヤによる入力が行われた位置を示す座標値を単位時間間隔で検出する。形状特定手段は、座標検出手段によって検出された座標値群(入力座標リスト22a)により示される入力軌跡の図形的形状を特定する。キャラクタ選出手段は、ゲーム画像に含まれるゲームキャラクタの中から、ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータ(敵キャラクタのHPおよびMP)を変化させるべきゲームキャラクタを、入力軌跡に基づいて決定される表示画面上の領域に基づいて選出する。基本条件決定手段は、ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータを変化させるための基本条件(攻撃パターン)を形状特定手段によって特定された図形的形状に基づいて決定する。特性パラメータ変化手段は、基本条件決定手段によって決定された基本条件に基づいて、キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる。
【0008】
また、ゲームプログラムは、大きさ算出手段(S66)、および適用度合決定手段(S67)として、コンピュータをさらに機能させてもよい。大きさ算出手段は、座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状の大きさを算出する。適用度合決定手段は、ゲームキャラクタに対する基本条件の適用度合を大きさ算出手段によって算出された大きさに基づいて決定する。このとき、特性パラメータ変化手段は、適用度合決定手段によって決定された基本条件の適用割合に基づいてゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる。
【0009】
また、特性パラメータ変化手段は、キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの数に応じて特性パラメータの変化度合を変化させてもよい。
【0010】
また、ゲームプログラムは、変化表示付与手段(S76)として、コンピュータをさらに機能させてもよい。変化表示付与手段は、形状特定手段によって入力軌跡の図形的形状が特定された後、当該入力軌跡の図形的形状によって決定される基本条件の種類に応じて異なる変化をゲーム画像に与える。
【0011】
また、ゲームプログラムは、軌跡表示制御手段(S56)として、コンピュータをさらに機能させてもよい。軌跡表示制御手段は、座標検出手段によって検出された位置に対応する表示画面上の位置に入力軌跡を表示させる。
【0012】
また、ゲーム装置には、基本条件の種類を示すとともに所定の形状を示す参照図形データが複数記憶されていてもよい。このとき、形状特定手段は、ゲーム装置に記憶されている複数の参照図形データの中から座標値群により示される形状に最も近い形状を示す参照図形データを選出し、選出した参照図形データの形状を入力軌跡の図形的形状に決定する。
【0013】
また、ゲームプログラムは、ベクトルデータ群算出手段、および修正手段としてコンピュータをさらに機能させてもよい。ベクトルデータ群算出手段は、座標検出手段によって検出された座標値群に基づいて、連続する各座標値の間の距離および方向を示すベクトルデータ群(ベクトルデータリスト22b)を算出する。修正手段は、ベクトルデータ群の内、同一の方向が連続する複数のベクトルデータを1つのベクトルデータによって表現するように修正する。このとき、形状特定手段は、ゲーム装置に記憶されている複数の参照図形データの中から修正手段によって修正されたベクトルデータ群(入力軌跡データ22c)により示される形状に最も近い形状を示す参照図形データを選出する。
【0014】
なお、本発明は、上記のゲームプログラムを記憶した記憶手段(WRAM22またはカートリッジ17)と、当該記憶手段に記憶されたゲームプログラムを実行するプログラム実行手段(CPUコア21)とを備えたゲーム装置として提供されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、プレイヤによる一度の入力である入力軌跡の図形的形状とその大きさに基づいて、ゲームキャラクタの特性パラメータを変化(増加や減少)させるための基本条件とその適用度合との二つの要素を決定しているので、より簡単な入力操作によった多彩な変化を特性パラメータに加えることができる。さらに、ゲームキャラクタが表示されたタッチパネル上に図形的形状を直接入力させるので、より正確かつ直感的な入力操作をプレイヤに行わせることができる。ここで、基本条件とは、例えば、敵キャラクタに攻撃を加える場合の魔法又は魔法以外の攻撃の種類やその組み合わせなどの攻撃パターンであったり、自己のキャラクタの体力を回復させる魔法の種類である。従って、例えば敵キャラクタに攻撃を加えて戦闘を行うゲームに第1の発明を適用することによって、より多彩な攻撃パターンを実現することができる。つまり、第1の発明によれば、多彩なゲーム操作を可能とすることによってプレイヤに多彩なゲームの遊び方を提供することができる。特に、特許文献1に開示のゲームシステムや戦闘シーンがコマンド入力式である従来のゲームシステムに比べて、ゲームが単調にならず、かつ直感的な操作感覚のゲームを提供することができる。
【0016】
また、コンピュータがキャラクタ選出手段としてさらに機能する場合には、特性パラメータを変化させる対象となるゲームキャラクタは、表示画面に表示される全てのゲームキャラクタとは必ずしもならず、入力軌跡に基づいて決定される表示画面上の領域によって決定される。つまり、特性パラメータを変化させる対象のゲームキャラクタが、タッチパネル上における入力位置に応じて変化するので、入力操作に応じたゲーム処理がより多彩になり、ゲームの面白みが増す。
【0017】
また、第2の発明によれば、プレイヤによる一度の入力である入力軌跡の図形的形状とその位置に基づいて、特性パラメータを変化させる対象のゲームキャラクタと、当該特性パラメータを変化(増加や減少)させるための基本条件との二つの要素を決定しているので、より簡単な入力操作によって多彩な変化を加えることができる。従って、第2の発明においても第1の発明と同様、敵キャラクタに攻撃を加えて戦闘を行うゲームに第1の発明を適用することによって、タッチパネルを用いた多彩な入力操作に応じて多彩な攻撃パターンを行うことができる。つまり、第2の発明によれば、多彩なゲーム操作を可能とすることによってプレイヤに多彩なゲームの遊び方を提供することができ、プレイヤに飽き
させないゲームを提供することができる。
【0018】
また、キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの数に応じて特性パラメータの変化度合が変化する場合には、入力軌跡の形状等だけでなく、表示画面上のゲームキャラクタの位置に応じて特性パラメータの変化度合が変わる。従って、プレイヤが同じ入力操作を行った場合でもゲームの展開が異なるので、より多彩なゲームの遊び方を提供することができる。また、プレイヤは、自身の入力操作だけでなく、表示画面上のゲームキャラクタの位置に注意して入力操作を行う必要があるので、ゲームがより複雑になるとともにゲームの難易度を上げることができる。従って、ゲームが単調にならず、飽きのこないゲームを提供することができる。
【0019】
また、コンピュータが変化表示付与手段としてさらに機能する場合には、基本条件に応じて変化する視覚効果をプレイヤに与えることができ、ゲームの面白みが増すことができる。つまり、入力軌跡の図形的形状に応じたゲーム画像の変化をプレイヤに見せることができる。さらに、プレイヤは、自身がどのような入力操作を行ったのかを視覚的にかつ直感的に知ることができる。従って、プレイヤは所望の入力操作を行うことができたか否かを容易に確認することができる。
【0020】
また、コンピュータが軌跡表示制御手段としてさらに機能する場合には、プレイヤによる入力操作の結果が画面に表示される。従って、プレイヤは、自身がどのような入力操作を行ったのかを容易に知ることができる。従って、プレイヤは所望の入力操作を行うことができたか否かを容易に確認することができる。
【0021】
また、ゲーム装置に参照図形データが複数記憶されている場合には、入力軌跡の図形的形状を容易に特定することができる。
【0022】
また、コンピュータがベクトルデータ群算出手段および修正手段としてさらに機能する場合には、プレイヤによってタッチパネル上に描かれた軌跡の形状が修正手段によって簡易化される。従って、ベクトルデータ群と参照図形データとを比較する処理が簡易になるので、処理速度が速くなるとともに、コンピュータの処理負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施例である携帯ゲーム装置の外観図である。図1において、本実施形態のゲーム装置1は、2つの液晶表示器(LCD)11および12を所定の配置位置となるように、ハウジング18に収納して構成される。具体的には、第1液晶表示器(以下、「LCD」という)11および第2LCD12を互いに上下に配置して収納する場合は、ハウジング18が下部ハウジング18aおよび上部ハウジング18bから構成され、上部ハウジング18bが下部ハウジング18aの上辺の一部で回動自在に支持される。上部ハウジング18bは、第2LCD12の平面形状よりも少し大きな平面形状を有し、一方主面から第2LCD12の表示画面を露出するように開口部が形成される。下部ハウジング18aは、その平面形状が上部ハウジング18bよりも横長に選ばれ、横方向の略中央部に第1LCD11の表示画面を露出する開口部が形成され、第1LCD11を挟むいずれか一方にスピーカ15の音抜き孔15aが形成されるとともに、第1LCD11を挟む左右に操作スイッチ部14が装着される。
【0024】
操作スイッチ部14は、第1LCD11の右横における下部ハウジング18aの一方主面に装着される装着される動作スイッチ14aおよび14bと、第1LCD11の左横における下部ハウジング18aの一方主面に装着される方向指示スイッチ14c、スタートスイッチ14d、およびセレクトスイッチ14eとを含む。動作スイッチ14aおよび14bは、例えばアクションゲームにおいてはジャンプ、パンチ、武器を動かす等の指示、
ロールプレイングゲーム(RPG)やシミュレーションRPGにおいてはアイテムの取得、武器またはコマンドの選択決定等の指示入力に使用される。方向指示スイッチ14cは、プレイヤによって操作可能なプレイヤオブジェクト(またはプレイヤキャラクタ)の移動方向を指示したり、カーソルの移動方向の指示したりする等のゲーム画面における方向指示に用いられる。また、必要に応じて、動作スイッチをさらに追加したり、下部ハウジング18aにおける操作スイッチ14の装着領域の上部面(上部側面)の左右に側面スイッチ14fおよび14gを設けたりしてもかまわない。
【0025】
また、第1LCD11の上面には、タッチパネル13(図1における破線領域)が装着される。タッチパネル13は、例えば、抵抗膜方式、光学式(赤外線方式)、静電容量結合式のいずれの種類でもよく、その上面をスティック16(または指でも可)で押圧操作、移動操作、または撫でる操作をしたとき、スティック16の座標位置を検出して座標データを出力するものである。
【0026】
上部ハウジング18bの側面近傍には、必要に応じてタッチパネル13を操作するスティック16を収納するための収納孔15b(図1における二点破線領域)が形成される。この収納孔15bには、スティック16が収納される。下部ハウジング18aの側面の一部には、ゲームプログラムを記憶したメモリ(例えば、ROM)を内蔵したゲームカートリッジ17(以下、単にカートリッジ17と記載する)を着脱自在に装着するためのカートリッジ挿入部(図1における一点破線領域)が形成される。カートリッジ17は、ゲームプログラムを記憶する情報記憶媒体であり、例えば、ROMまたはフラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリが用いられる。カートリッジ挿入部の内部には、カートリッジ17と電気的に接続するためのコネクタ(図2参照)が内蔵される。さらに、下部ハウジング18a(または上部ハウジング18bでも可)には、CPU等の各種電子部品を実装した電子回路基板が収納される。なお、ゲームプログラムを記憶する情報記憶媒体としては、上記不揮発性半導体メモリに限らず、CD−ROM、DVD、あるいはそれらに類する光学式ディスク状記憶媒体でもよい。
【0027】
次に、図2を参照して、ゲーム装置1の内部構成について説明する。なお、図2は、ゲーム装置1の内部構成を示すブロック図である。
【0028】
図2において、ハウジング18に収納される電子回路基板には、CPUコア21が実装される。CPUコア21には、所定のバスを介して、カートリッジ17と接続するためのコネクタ28が接続されるととともに、入出力インターフェース(I/F)回路27、第1のグラフィック処理ユニット(第1GPU)24、第2のグラフィック処理ユニット(第2GPU)26、およびワーキングRAM(WRAM)22が接続される。
【0029】
コネクタ28には、カートリッジ17が着脱自在に接続される。カートリッジ17は、上述したようにゲームプログラムを格納するための記憶媒体であり、具体的には、ゲームプログラムを記憶するROM171とバックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM172とを搭載する。カートリッジ17のROM171に記憶されたゲームプログラムは、WRAM22にロードされ、当該WRAM22にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。CPUコア21がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや画像を生成するためのデータがWRAM22に記憶される。
【0030】
I/F回路27には、タッチパネル13、操作スイッチ部14、およびスピーカ15が接続される。スピーカ15は、上述した音抜き孔15bの内側位置に配置される。
【0031】
第1GPU24には、第1ビデオRAM(以下「VRAM」)23が接続され、第2GPU26には、第2のビデオRAM(以下「VRAM」)25が接続される。第1GPU
24は、CPUコア21からの指示に応じて、WRAM22に記憶される画像を生成するためのデータに基づいて第1ゲーム画像を生成し、第1VRAM23に描画する。第2GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて、WRAM22に記憶される画像を生成するためのデータに基づいて第2ゲーム画像を生成し、第2VRAM25に描画する。
【0032】
第1VRAM23が第1LCD11に接続され、第2VRAM25が第2LCD12に接続される。第1GPU24は、CPUコア21からの指示に応じて第1VRAM23に描画された第1ゲーム画像を第1LCD11に出力する。そして、第1LCD11は、第1GPU24から出力された第1ゲーム画像を表示する。第2GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて第2VRAM25に描画された第2ゲーム画像を第2LCD12に出力する。そして、第2LCD12は、第2GPU26から出力された第2ゲーム画像を表示する。
【0033】
以下、カートリッジ17に格納されたゲームプログラムによってゲーム装置1において実行されるゲーム処理について説明する。なお、本発明においては、タッチパネルによって表示画面が覆われる第1LCD11のみを表示装置として用いる。従って、本発明に係るゲーム装置は、第2LCD12を有しない構成であってもよい。換言すれば、本発明に係るゲーム装置は、1つの表示装置のみで構成されるゲーム装置やPDA等が本発明に係るゲームプログラムを実行することによって実現することができる。
【0034】
まず、ゲーム装置1において行われるゲームの概要を図3〜図8を用いて説明する。図3は、第1LCD11の表示画面に表示されるゲーム画像の一例を示す図である。以下、本発明に係るゲーム装置で行われるゲームの種類はどのようなものであってもよいが、本実施形態では図3に示すようなロールプレイングゲームを例として説明する。このロールプレイングゲームでは、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタがゲームマップ上を移動する移動シーン(図3(a))と、プレイヤキャラクタが敵キャラクタと戦闘する戦闘シーン(図3(b))とがある。移動シーンにおいて、プレイヤキャラクタが敵キャラクタと遭遇する所定の条件が満たされると、図3(a)に示すように、「敵が現れた!!」という表示がされた後、ゲーム画像は図3(b)に示すような戦闘シーンに切り替わる。戦闘シーンにおいては、敵キャラクタと、プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの特性パラメータが表示される。図3(b)では、敵キャラクタ31および32という2匹の敵キャラクタが表示されている。ここで、特性パラメータとは、ゲームに登場するゲームキャラクタの特性を示す値である。具体的には、プレイヤキャラクタのHP(ヒットポイント)およびMP(マジックポイント)と、敵キャラクタのHPおよびMPとが特性パラメータとして第1LCD11に表示される。ゲーム画像が戦闘シーンに切り替わると、プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタが互いに攻撃を行うことによって戦闘が進む。
【0035】
図4は、プレイヤが攻撃操作を行っているときのゲーム画像の一例を示す図である。戦闘中においてプレイヤキャラクタが攻撃するターンになると、プレイヤはタッチパネル13を用いて攻撃操作を行う。図4(a)は、プレイヤが攻撃操作を行っているときのゲーム画像の一例を示す図である。図4(a)に示すように、プレイヤは、タッチパネル13上において指(またはスティック16でもよい。)を移動させる操作を行う。このとき、プレイヤは、指を移動させた軌跡が所定の形状(後述する参照図形)となるように操作を行う。この軌跡はタッチパネル13上においてプレイヤによる入力が行われた位置を示すものであり、以下、この軌跡を入力軌跡と呼ぶ。なお、上記所定の形状は予め定められており、ここでは、円形や三角形や四角形等であるとする。つまり、プレイヤは、入力軌跡が三角形や四角形となるようにタッチパネル13上で指を移動させて操作を行う。なお、図4(a)に示す一点鎖線は、プレイヤの指が移動した様子を示す線である。
【0036】
また、ゲーム画像には、入力軌跡を示す入力軌跡表示33が表示される(図4(a)に
示す点線)。入力軌跡は、タッチパネル13に対して入力が行われた位置に対応する表示画面上の位置に表示される。つまり、タッチパネル13上においてプレイヤが指を実際に移動させた位置に入力軌跡表示33が表示される。図4(a)においては、入力軌跡が丸に近い形状であることがわかる。入力軌跡表示33によって、プレイヤは自身の入力操作による入力軌跡を明確かつ直感的に知ることができる。従って、プレイヤは、入力軌跡が所望の形状となっているか否かを即座に知ることができる。
【0037】
図4(b)は、プレイヤが攻撃操作を行った後のゲーム画像の一例を示す図である。本実施形態においては、入力軌跡によって囲まれる領域内に含まれる敵キャラクタに対してプレイヤキャラクタによる攻撃が行われる。すなわち、図4においては、敵キャラクタ31がプレイヤキャラクタによる攻撃のダメージを受ける。また、入力軌跡によって囲まれる領域内に敵キャラクタがいない場合は、プレイヤキャラクタによる攻撃は失敗となる。プレイヤキャラクタによる攻撃が成功すると、敵キャラクタ31に対する攻撃を表すエフェクト表示34が表示される。さらに、当該攻撃によって敵キャラクタ31に与えられたダメージの大きさを示すダメージ表示35が表示される。このとき、ゲーム装置1は、敵キャラクタ31の特性パラメータであるHPを変化させる。図4(b)の例においては、敵キャラクタ31のHPを90減算する。
【0038】
なお、図4(a)においては、各敵キャラクタ31および32が表示領域内を移動していることが好ましい。攻撃対象(入力軌跡によって囲むべき対象)である各敵キャラクタ31および32が移動することによって、入力軌跡で攻撃対象を囲むことが難しくなるので、ゲームがより面白くなるからである。
【0039】
また、本実施形態では、プレイヤキャラクタによる攻撃パターンは、入力軌跡の形状に応じて変化する。なお、入力軌跡の形状とは、入力軌跡によって描かれる図形の形状という意味である。また、攻撃パターンとは、プレイヤキャラクタによる攻撃の種類である。例えば、剣による攻撃と魔法による攻撃とでは攻撃の種類が異なる。さらに、同じ魔法の攻撃でも、炎の魔法による攻撃と水の魔法による攻撃とでは攻撃の種類が異なる。図5は、入力軌跡が三角形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図である。本実施形態においては、入力軌跡が三角形となるような入力操作をプレイヤが行うことによって、プレイヤキャラクタは風の魔法による攻撃を行うものとする。なお、図5においては、三角形の入力軌跡により囲まれる領域の外側に敵キャラクタ31が移動しているので、攻撃は失敗となる。また、図6は、入力軌跡が四角形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図である。本実施形態においては、入力軌跡が四角形となるような入力操作をプレイヤが行うことによって、プレイヤキャラクタは水の魔法による攻撃を行うものとする。なお、入力軌跡が円形となるような入力操作をプレイヤが行った場合(図4参照)、プレイヤキャラクタは炎の魔法による攻撃を行うものとする。以上のように、本実施形態においては、入力軌跡の形状によって攻撃パターンが変化する。従って、プレイヤは、タッチパネル13上に種々の形状の入力軌跡を描くことによって、多彩な攻撃パターンを行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、入力軌跡の形状の大きさに応じて、当該敵キャラクタに与えられるダメージが変化する。図7は、複数の敵キャラクタを攻撃するときのゲーム画像の一例を示す図である。図7(a)は、プレイヤが攻撃操作を行っているときのゲーム画像の一例を示す図である。図7(a)では、図4(a)と比べて入力軌跡の形状的な大きさが大きくなっている。なお、図7(a)では、2匹の敵キャラクタ31および32が入力軌跡によって囲まれている。従って、2匹の敵キャラクタ31および32がプレイヤキャラクタによる攻撃の対象となる。図7(b)は、プレイヤが攻撃操作を行った後のゲーム画像の一例を示す図である。図7(b)においては、1匹の敵キャラクタに与えられるダメージは、図4(b)と比べて変化している。具体的には、図7(b)において1匹の敵キ
ャラクタに与えられるダメージは、図4(b)の場合よりも少なくなっている。このように、本実施形態では、攻撃によって1匹の敵キャラクタに与えることができるダメージは、入力軌跡の形状の大きさが大きくなるにつれて小さくなるものとする。
【0041】
また、本実施形態では、プレイヤキャラクタの攻撃パターンに応じて上記エフェクト表示34の種類が変化するものとする。図8は、プレイヤが攻撃操作を行った後のゲーム画像の一例を示す図である。図8(a)は、プレイヤキャラクタが炎の魔法による攻撃を行った場合のゲーム画像である。図8(a)においては、敵キャラクタ31を炎で攻撃したことを表現するエフェクト表示34aが第1LCD11の表示画面に表示される。一方、図8(b)は、プレイヤキャラクタが剣による攻撃を行った場合のゲーム画像である。図8(b)においては、敵キャラクタ31を剣で切ったことを表現するエフェクト表示34bが第1LCD11の表示画面に表示される。このように、攻撃パターンに応じてエフェクト表示を変化させることによって、プレイヤは、自身の行った入力操作がどのような攻撃を行う操作であったのかを視覚的に知ることができる。つまり、プレイヤは、自身の行った入力操作が所望の操作であったか否かを視覚的に確認することができる。
【0042】
次に、ゲーム装置1によって実行されるゲーム処理の詳細を説明する。まず、ゲーム処理の際にWRAM22に記憶されるデータについて説明する。図9は、ゲーム装置1のWRAM22のメモリマップを示す図である。ゲーム処理の際、WRAM22には、入力座標リスト22a、ベクトルデータリスト22b、入力軌跡データ22c、参照図形データベース22d、ダメージ決定テーブル22e、および敵キャラクタ属性データ22f等が記憶される。これらのデータの他、WRAM22には、カートリッジ17から読み込まれたゲームプログラムやゲーム画像のデータが記憶される。
【0043】
入力座標リスト22aは、プレイヤによる入力が行われたタッチパネル上の位置を示す座標値の集合(座標値群)を示すデータである。本実施形態では、プレイヤによって入力されたタッチパネル上の位置は、所定の単位時間間隔で検出される。検出された位置を示す座標値は、プレイヤの入力が連続している間(プレイヤの指等がタッチパネルから離れていない間)、1つのリストとしてWRAM22に記憶される。
【0044】
ベクトルデータリスト22bは、入力座標リスト22aに格納されている座標値の内、隣接する座標値の間の距離および方向を示すベクトルデータの集合(ベクトルデータ群)を示すデータである。ベクトルデータリスト22bは、上記入力座標リスト22aから算出される。
【0045】
入力軌跡データ22cは、ベクトルデータリスト22bに格納されているベクトルデータの内、同一の方向が連続する複数のベクトルデータをまとめて1つのベクトルデータとして表現したデータである。つまり、入力軌跡データ22cは、ベクトルデータリスト22bから算出することができる。
【0046】
参照図形データベース22dは、複数の参照図形データからなるデータである。参照図形データとは、プレイヤキャラクタの攻撃パターンに対応付けて設定される参照図形を示すデータである。参照図形データは、プレイヤキャラクタの攻撃パターンに対応する数だけ設けられる。なお、参照図形データベース22dは、典型的にはゲームプログラムとともにカートリッジ17に記憶されており、ゲーム処理開始時にカートリッジ17からWRAM22へ読み込まれる。本実施形態では、参照図形データは、上記ベクトルデータリスト22bおよび入力軌跡データ22cと同様、複数のベクトルデータからなる。なお、以下のゲーム処理の説明では、炎の魔法による攻撃に対応する円形を示す参照図形データ、風の魔法による攻撃に対応する三角形を示す参照図形データ、および水の魔法による攻撃に対応する四角形を示す参照図形データが、参照図形データベース22dに含まれている
として説明を行う。
【0047】
ダメージ決定テーブル22eは、攻撃パターンと、入力軌跡の大きさと、攻撃対象である敵キャラクタの属性とに基づいて、敵キャラクタに与えるダメージを決定するためのテーブルである。なお、入力軌跡の大きさとは、入力軌跡によって描かれる図形の大きさという意味である。また、敵キャラクタの属性とは、例えば炎の魔法攻撃に強いことや風の魔法攻撃に弱いこと等、ある攻撃パターンに対する強弱を示すパラメータである。具体的には、属性の種類としては水属性や火属性等があり、水属性の敵キャラクタは炎の魔法攻撃に弱い反面、水の魔法攻撃には強い。また、火属性の敵キャラクタは水の魔法攻撃に弱い反面、炎の魔法攻撃には強い。
【0048】
敵キャラクタ状態データ22fは、敵キャラクタの状態を示すデータである。本実施形態では、敵キャラクタ状態データ22fとして、敵キャラクタの特性パラメータであるHPおよびMPと、上記属性を示すデータとが含まれている。敵キャラクタがプレイヤキャラクタによる攻撃を受けると、WRAM22に記憶されている当該敵キャラクタのHPが減算される。そして、敵キャラクタのHPが0になると、当該敵キャラクタは倒されたことになる。なお、WRAM22には、敵キャラクタ状態データ22fの他、プレイヤキャラクタの状態を示すデータも記憶されている。さらに、WRAM22には、図9に示すデータの他にもゲーム処理において用いられる種々のデータが記憶される。
【0049】
次に、ゲーム装置1において実行されるゲーム処理の流れを図10〜図20を用いて説明する。図10は、ゲーム装置1において実行されるゲーム処理の流れを示すフローチャートである。ゲーム装置1の電源が投入されると、ゲーム装置1のCPUコア21は、図示しないブートROMに記憶されている起動プログラムを実行し、WRAM22等の各ユニットが初期化される。そして、カートリッジ17に格納されたゲームプログラムがWRAM22に読み込まれ、当該ゲームプログラムの実行が開始される。その結果、第1GPU36を介して第1LCD11にゲーム画像が表示されることによって、ゲームが開始される。図10に示すフローチャートは、ゲーム画像が戦闘シーンに切り替わった後におけるゲーム処理を示す。つまり、ゲーム開始後、ゲームにおいてプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの戦闘が開始されると、図10に示すフローチャートの処理が開始される。なお、本実施形態においては、戦闘シーン以外の状況におけるゲーム処理は本発明と直接関連しないので説明を省略する。
【0050】
図10では、まず、ステップ41(図では「ステップ」を単に「S」と略す。)において、敵キャラクタ、当該敵キャラクタの特性パラメータ、およびプレイヤキャラクタの特性パラメータが第1LCD11の表示画面に表示される(図4(b)参照。)。ここで、敵キャラクタおよびプレイヤキャラクタの特性パラメータとしては、それぞれのHPおよびMPが表示されるものとする。続くステップ42において、プレイヤキャラクタの攻撃ターンとなったか否かが判定される。なお、攻撃ターンは予め定められたルールに従って決定される。このルールはどのようなものであってもよいが、ここでは、プレイヤキャラクタの攻撃ターンと敵キャラクタの攻撃ターンとが交互になるように決められるものとする。
【0051】
ステップ42においてプレイヤキャラクタの攻撃ターンでないと判定された場合、ステップ43の処理が行われる。すなわち、ステップ43において、敵キャラクタによるプレイヤキャラクタに対する攻撃が行われる。具体的には、敵キャラクタによる攻撃に応じてプレイヤキャラクタの特性パラメータ(HPおよびMP)の値が変化する。すなわち、WRAM22に記憶されているプレイヤキャラクタの特性パラメータの値が更新される。ステップ43の処理の後、ステップ44の処理が行われる。
【0052】
一方、ステップ42においてプレイヤキャラクタの攻撃ターンであると判定された場合、ステップ44〜46において、プレイヤキャラクタによる敵キャラクタに対する攻撃が行われる。まず、ステップ44において、タッチパネル13への入力検出処理が行われる。タッチパネル13への入力検出処理とは、プレイヤによるタッチパネル13に対する入力を検出するための処理であり、上記入力座標リスト22aを作成する処理である。以下、図11〜図13を用いてタッチパネル13への入力検出処理を説明する。
【0053】
図11は、図10に示すステップ44の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップ51において、WRAM22の入力座標リスト22aが初期化される。具体的には、所定数の座標値を格納可能なメモリ領域をWRAM22内に確保する。この時点では、プレイヤによる入力の位置を示す座標値は入力座標リスト22aに書き込まれていない。続くステップ52において、タッチパネル13に対する入力を検出したか否かが判定される。プレイヤがタッチパネル13に対して何らかの操作を行った(つまり、プレイヤがタッチパネル13に触れた)場合、タッチパネル13に対する入力が検出され、ステップ53の処理が行われる。一方、プレイヤがタッチパネル13に対して何ら操作を行っていない場合、タッチパネル13に対する入力が検出されず、ステップ52の処理に戻る。つまり、プレイヤがタッチパネル13に対して何らかの操作を行うまで、ステップ52の処理が繰り返される。
【0054】
ステップS53〜S57の処理は、タッチパネル13の入力位置を検出するための処理である。このステップS53〜S57の処理によって、上記入力座標リスト22aが作成される。以下、図12および図13を用いてステップS53〜S57の処理の概要を説明する。
【0055】
図12は、タッチパネルに対して入力が行われた様子を模式的に示す図である。図12では、プレイヤは、図に示す点線の入力軌跡を描くような入力操作を行ったものとする。この入力操作に対して、ゲーム装置1は、プレイヤによって入力された位置を所定の単位時間間隔で検出する。図12に示す白丸は、タッチパネル13に対する入力が検出された位置(検出点)を示す。
【0056】
図12においては、検出点p1が最初に検出された後、以降の検出点p2、検出点p3、…が順番に検出されていく。なお、図12においては、縦軸をy軸(図12における下向きが正方向)、横軸をx軸(図12における右向きが正方向)とし、タッチパネル13の左上の頂点を原点としている。また、検出点はn個(nは任意の整数)であり、検出点p1の座標値を(80,40)とし、検出点p2の座標値を(77,42)とし、検出点p3の座標値を(75,45)とする。
【0057】
図12に示すような入力がプレイヤによって行われた場合に作成される入力座標リスト22aを図13に示す。図13に示すように、入力座標リスト22aは、検出された座標値を、検出された順番で格納する。具体的には、検出点p1の座標値(80,40)が1番目に格納され、検出点p2の座標値(77,42)が2番目に格納され、検出点p3の座標値(75,45)が3番目に格納される。以上のようにして、検出点の座標値が順番に入力座標リスト22aに格納されていく。なお、図13においては、検出点の数に対応するn個の座標値が格納されている。
【0058】
図12においては、n番目の検出点pnが検出された後、プレイヤによるタッチパネル13への入力が検出されなくなる。その結果、n個の座標値が格納された入力座標リスト22aの作成が終了する。このように作成された入力座標リスト22aは、連続してタッチパネル13への入力が行われる間の入力軌跡を示す。以下、ステップS53〜S57の処理の詳細を説明する。
【0059】
図11の説明に戻り、ステップ53において、タッチパネル13に対する入力が所定の単位時間間隔で検出される。具体的には、プレイヤによる入力が行われたタッチパネル13上の位置を示す座標値が、タッチパネル13からCPUコア21に送られる。続くステップ54において、ステップ53で検出された座標値が前回と同じ値であるか否かが判定される。同じ値であると判定された場合、ステップ55および56の処理は必要ないのでスキップされ、ステップ57の処理が行われる。
【0060】
一方、ステップ54において検出された座標値が前回と同じ値でないと判定された場合、ステップ55の処理が行われる。すなわち、ステップ55において、ステップ53で検出された座標値が入力座標リスト22aに時系列で追加される。つまり、ステップ53で検出された座標値は、前回のステップ53で検出された座標値が格納された入力順番の次の入力順番となるように格納される(図13参照。)。
【0061】
ステップ55の次に、ステップ56において、ステップ53で検出された座標値により示される位置に対応する表示画面上の位置に入力軌跡表示33(図4(a))が表示される。具体的には、1つ前のステップ53において検出された座標値により示される位置と、直前のステップ53において検出された座標値により示される位置とを結ぶ線が第1LCD11に表示される。ステップ56の後、ステップ57の処理が行われる。
【0062】
ステップ57においては、プレイヤによるタッチパネル13への入力が続いているか否かが判定される。ここで、入力が続いているとは、プレイヤの指がタッチパネル13から離れていないことを意味する。すなわち、ステップ57の時点でプレイヤの指がタッチパネル13から離れていない場合、タッチパネル13に対する入力が検出されるので、入力が続いていると判定される。この場合、ステップ53の処理が行われる。従って、プレイヤによるタッチパネル13への入力が続いている間、ステップ53〜57の処理が繰り返される。一方、ステップ57の時点でプレイヤの指がタッチパネル13から離れている場合、タッチパネル13に対する入力が検出されないので、入力が続いていないと判定される。この場合、CPUコア21は、図11に示すタッチパネルへの入力検出処理を終了する。
【0063】
図10の説明に戻り、ステップ44の次に、ステップ45に示す攻撃内容の決定処理が行われる。攻撃内容の決定処理とは、入力軌跡の形状、大きさ、および位置に基づいて、攻撃パターン、攻撃対象、および攻撃力を決定する処理である。以下、図14〜図18を用いて攻撃パターンの決定処理の詳細を説明する。
【0064】
図14は、図10に示すステップ45の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。ここで、図14に示すステップ61および62の処理は、ステップ44で作成された入力座標リスト22aの情報を簡易化するための処理である。入力座標リスト22aは座標値の集合であるので、このままでは入力軌跡がどのような形状であるかを特定しにくい。ステップ61および62の処理は、入力座標リスト22aの情報を加工することによって入力軌跡の形状を特定しやすくすることを目的として行われる。まず、ステップ61および62の処理の概要を説明する。
【0065】
図15は、入力座標リスト22aを簡易化する処理を説明するための図である。図15(a)は、入力座標リスト22aの座標値群を模式的に示す図である。上述したように、入力座標リスト22aは、所定の単位時間間隔で検出されたタッチパネル13上の位置を示す座標値である。図15に示す検出点p1,p2,p3は、それぞれ入力座標リスト22aに格納されている座標値に対応している。ステップ61および62の処理においては、まず、この入力座標リスト22aからベクトルデータリスト22bが作成される。
【0066】
図15(b)は、ベクトルデータリスト22bを模式的に示す図である。ベクトルデータリスト22bの各ベクトルデータは、隣接する検出点同士を結ぶベクトルである。例えば、図15(b)に示すベクトルv1は、検出点p1と検出点p2とを結ぶベクトルである。なお、このベクトルは、プレイヤの入力操作が行われた向き、すなわち、先に検出された検出点から後に検出された検出点への向きとなるように算出される。そして、隣接する検出点を結ぶベクトルデータを全て算出することによって、ベクトルデータリスト22bが作成される(後述するステップ61)。なお、ベクトルデータリスト22bに格納されるベクトルデータは、8種類の方向によって表される。例えば、検出点p1から検出点p2への方向と、検出点p2から検出点p3への方向とでは、方向が微妙に異なる場合がある。しかし、ベクトルデータが作成される際に方向に関する情報が簡易化されるので、ベクトルv1とベクトルv2とは同じ方向として処理されることとなる。
【0067】
ステップ61および62の処理においては、次に、ベクトルデータリスト22bに基づいて入力軌跡データ22cが作成される。具体的には、ベクトルデータリスト22bに格納されるベクトルデータの内、同一の方向が連続しているベクトルデータが、1つのベクトルデータにまとめられる。図15(c)は、入力軌跡データ22cを模式的に示す図である。ここで、図15(b)においては、ベクトルv1〜v5は同じ方向であるので、これら5つのベクトルは1つのベクトルにまとめられる。その結果、図15(c)においては、入力軌跡の三角形の1辺が1つのベクトルv’1で表現されることとなる。他の辺についても同様に、同一の方向を向くベクトルが1つのベクトルにまとめられる。その結果、入力軌跡データ22cでは、3つのベクトルデータによって入力軌跡が表現される。従って、入力軌跡データ22cが3つのベクトルデータで構成されていることから、図15においては入力軌跡が三角形であることが容易に判断できる。このように、ステップ61および62の処理によって、入力軌跡の情報を大幅に簡易化して表現することができ、入力軌跡の形状が特定しやすくなる。
【0068】
なお、タッチパネル13の入力を検知する単位時間間隔が長い場合や、プレイヤがタッチパネル13をなぞる速度が速い場合には、入力軌跡の頂点となる位置を検出できないおそれがある。この場合、図16(a)に示すように、実際の入力軌跡(図16(a)に示す点線)とは異なるベクトルデータvが算出されてしまう。その結果、入力軌跡データ22cは4つのベクトルデータから構成されることとなり(図16(b))、入力軌跡を例えば四角形と判断してしまう等の誤認識が生じる可能性がある。これを防止するため、ステップ61および62の処理に加えて、入力軌跡データ22cに格納されるベクトルデータの内、所定の距離以下のベクトルデータを削除する修正処理を行うようにしてもよい。これによって、入力軌跡の頂点となる位置が検出されなかった場合に生じる、実際の入力軌跡とは異なるベクトルデータが削除されるので、形状の誤認識を防止することができる。
【0069】
図14の説明に戻り、以下、ステップ61および62の処理を詳細に説明する。まず、ステップ61において、入力座標リスト22aの座標値群に基づいて、隣接する座標値の間を結ぶベクトルを示すベクトルデータが算出される(図15(b)参照)。隣接する検出点を結ぶベクトルデータを全て算出することによって、ベクトルデータリスト22bが作成される。なお、入力の順番がi番目(iはn−1以下の自然数)の座標値とi+1番目の座標値との間を結ぶベクトルデータは、ベクトルデータリスト22bのi番目に格納される。
【0070】
図17は、ベクトルデータリスト22bを説明するための図である。図17(a)は、ステップ45の処理を行った結果得られるベクトルデータリスト22bの一例を示す図である。上述したように、本実施形態では、上記ベクトルの方向は8方向で表現される。ま
た、ベクトルの方向は、図17(b)に示す方向を示す0〜7の方向コードによって表現されるものとする。具体的には、隣接する検出点の座標値からベクトルの方向は以下のようにして算出することができる。ここで、先に検出された検出点の座標値を(x1,y1)とし、後に検出された検出点の座標値を(x2,y2)とする。また、Rx=x2−x1、Ry=y2−y1であるとする。
・Ry<0,|Ry|>2|Rx|であれば、方向コードは0(上向き)
・Rx>0,Ry<0,2|Rx|>=|Ry|>=|Rx|/2であれば、方向コードは1(右上向き)
・Rx>0,|Rx|>2|Ry|であれば、方向コードは2(右向き)
・Rx>0,Ry>0,2|Rx|>=|Ry|>=|Rx|/2であれば、方向コードは3(右下向き)
・Ry>0,|Ry|>2|Rx|であれば、方向コードは4(下向き)
・Rx<0,Ry>0,2|Rx|>=|Ry|>=|Rx|/2であれば、方向コードは5(左下向き)
・Rx<0,|Rx|>2|Ry|であれば、方向コードは6(左向き)
・Rx<0,Ry<0,2|Rx|>=|Ry|>=|Rx|/2であれば、方向コードは7(左上向き)
以上によって、ベクトルデータを8種類の方向で表現することができる。これによって、入力軌跡の形状を簡単化することとなるので、入力軌跡の形状を特定する処理(後述するステップ64)が容易になる。なお、表示画面の左上隅を原点とし、当該原点より表示画面の辺方向に座標が増加するものとする。
【0071】
図14の説明に戻り、ステップ61の次にステップ62の処理が行われる。ステップ62においては、ベクトルデータリスト22bに基づいて入力軌跡データ22cが作成される。具体的には、入力軌跡データ22cは、ベクトルデータリスト22bに格納されるベクトルデータの内、同一の方向が連続しているベクトルデータを1つのベクトルデータにまとめることによって作成される。同一の方向が連続しているベクトルデータとは、例えば図17においては、データ番号が1〜4である4つのベクトルデータである。これら4つのベクトルデータは方向コードが同じであるので、1つのベクトルデータにまとめられる。まとめられたベクトルデータの距離は、4つのベクトルデータの距離の和となる。また、まとめられたベクトルデータの方向は、4つのベクトルデータと同じ方向となる。データ番号が5以降であるベクトルデータについても上記と同様にベクトルデータをまとめることによって、図18に示す入力軌跡データ22cを得る。図18においてデータ番号が1であるベクトルデータ(距離:10,向き:5)は、図17に示すベクトルデータリスト22bに格納されているデータ番号が1〜4のベクトルデータをまとめたものである。
【0072】
ステップ62の次に、ステップ63において、WRAM22の参照図形データベース22dが読み出される。図19は、参照図形データベース22dの一例を示す図である。図19に示すように、参照図形データベース22dにおいては、参照図形の形状と当該形状を示す参照図形データとが対応付けられている。なお、参照図形の形状を示す参照図形データは、上記ベクトルデータリスト22bや入力軌跡データ22cと同様、ベクトルデータによって構成される。図19においては、四角形、円形、および三角形を示す参照図形データを例として示す。なお、本実施形態では、ベクトルデータで表現可能な方向は8方向であるので、円形を示す参照図形データは実際には八角形を示している。また、本実施形態では、参照図形の各辺の長さは全て1とされている。
【0073】
ステップ64においては、ステップ63で読み出した参照図形データの中から、ステップ62で作成した入力軌跡データに最も近い形状を示す参照図形データが選出される。このステップ64で選出された参照図形データの形状が、入力軌跡の形状として特定される
。ステップ64の処理は、具体的には次のように行われる。
【0074】
ステップ64においては、まず、入力軌跡データに対して相似変換が行われる。相似変換とは、入力軌跡データにより示される図形を拡大または縮小することによって、参照図形の大きさとほぼ同じ大きさに変換する処理である。本実施形態では、拡大または縮小を行う倍率は、参照図形データのベクトルデータの内距離が最小であるベクトルデータ(ベクトルデータAとする)と、入力軌跡データに含まれるベクトルデータの内距離が最小であるベクトルデータ(ベクトルデータBとする)とに基づいて決定される。具体的には、(拡大または縮小を行う倍率)=(ベクトルデータAの距離)/(ベクトルデータBの距離)として算出する。例えば、図19に示す参照図形データと比較するために、図18に示す入力軌跡データに対して相似変換を行う場合を例として考える。このとき、参照図形データのベクトルデータの距離の最小値は1であり、入力軌跡データに含まれるベクトルデータの距離の最小値は10である。従って、拡大を行う倍率は、1/10(倍)と算出なる。つまり、入力データのベクトルデータを1/10倍することによって、入力軌跡データにより示される図形を参照図形の大きさとほぼ同じ大きさに変換することができる。
【0075】
相似変換の処理の後、相似変換後の入力軌跡データと参照図形データとの比較が行われる。ここでは、比較の具体例として、相違値を用いる方法を説明する。相違値とは、相似変換後の入力軌跡データの形状と参照図形データの形状とが相違する度合を示す数値であり、例えば、次の式より算出される。
(相違値)=(ベクトルデータの数の差)×10+(方向の違い数)×2+(距離差の合計)×1
ここで、ベクトルデータの数の差とは、入力軌跡データに含まれるベクトルデータの数と、参照図形データに含まれるベクトルデータの数との差である。例えば、図18に示す入力軌跡データに含まれるベクトルデータの数は3であり、図19に示す参照図形データA(四角形)に含まれるベクトルデータの数は4である。従って、この場合、ベクトルデータの数の差は1となる。
【0076】
また、方向の違い数とは、入力軌跡データに含まれるベクトルデータの方向と、参照図形データに含まれるベクトルデータの方向とがが異なる数である。例えば、図18に示す入力軌跡データと図19に示す参照図形データA(四角形)とを比較する場合、右方向を向くベクトルデータ(図18に示すデータ番号2のベクトルデータと図19に示す参照順2のベクトルデータ)のみが同じ方向となる。入力軌跡データに含まれる他の2つのベクトルデータの方向と同じベクトルデータは、図19に示す参照図形データAのベクトルデータの中にはないので、方向の違い数は2となる。
【0077】
また、距離差の合計とは、入力軌跡データに含まれるベクトルデータの距離と、参照図形データに含まれるベクトルデータの距離との差の合計である。ここでは、入力軌跡データ22cに含まれるベクトルデータおよび参照図形データに含まれるベクトルデータについて、データ番号が同一である2つのベクトルデータの差を算出する。さらに、全てのデータ番号について算出された差の合計を算出する。例えば、図18に示す入力軌跡データ(相似変換後)と図19に示す参照図形データA(四角形)とを比較する場合、j=1〜3においてベクトルデータの距離は全て1であるので、距離差の合計は0である。
【0078】
ステップ64においては、全ての参照図形データについて入力軌跡データとの比較が行われる。その結果、相違値が最も小さい参照図形データが、入力軌跡データに最も近い形状として選出される。なお、図18に示す入力軌跡データと図19に示す参照図形データA〜Cとを比較した場合、参照図形データC(三角形)については相違値が0となるので、当該入力軌跡データに最も近い参照図形データとして参照図形データC(三角形)が選出される。これによって、入力軌跡の形状は三角形であると特定される。
【0079】
ステップ64の次に、ステップ65において、選出された参照図形データおよび攻撃決定テーブルに基づいて、入力軌跡の形状に応じた攻撃パターンが決定される。図20は、攻撃決定テーブルの一例を示す図である。図20に示すように、攻撃決定テーブルにおいては、入力軌跡の形状と攻撃パターンとが対応付けられている。ステップ65においては、入力軌跡の形状に応じた攻撃パターンは、ステップ64で特定された入力軌跡の形状に対応する攻撃パターンに決定される。
【0080】
ステップ65の次に、ステップ66において、入力軌跡の大きさが特定される。なお、ここでは、入力軌跡の大きさは、参照図形の大きさを基準とした大きさであるとする。すなわち、入力軌跡の大きさは、参照図形に対する倍率によって表現されるものとする。例えば、図18に示す入力軌跡データの形状は、図19に示す参照図形データC(三角形)の形状の10倍の大きさである。入力軌跡の大きさを示す倍率は、上述した相似変換(ステップ64)を行う際の倍率の逆数として算出することができる。
【0081】
ステップ66の次に、ステップ67において、ステップ66で特定された入力軌跡の大きさに基づいて攻撃力が決定される。攻撃力とは、敵キャラクタへ与えるダメージの大きさに関する数値である。この攻撃力が後述するステップ75において調整された結果、敵キャラクタの最終的なダメージが決定される。具体的には、攻撃力の値は、図20に示される攻撃決定テーブルを参照することによって決定される。図20において、攻撃決定テーブルには、基本ダメージと、入力軌跡の大きさに応じた倍率とが攻撃パターン毎に対応付けられている。この基本ダメージと当該倍率との積が攻撃力の値となる。例えば、攻撃パターンが炎の魔法による攻撃であり、入力軌跡の大きさが3倍である場合、攻撃力の値は、30(基本ダメージ)×0.5=15となる。ステップ67の処理の後、図14に示す処理が終了する。
【0082】
図10の説明に戻り、ステップ45の次に、ステップ46に示す攻撃処理が行われる。攻撃処理とは、ステップ45で決定された攻撃力等に基づいて敵キャラクタにダメージを与えるための処理である。以下、図20〜図22を用いて攻撃処理の詳細を説明する。
【0083】
図21は、図10に示すステップ46の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップ71において、ゲーム画像に含まれている敵キャラクタの内、入力軌跡によって囲まれる領域に含まれる敵キャラクタが特定される。ここで特定された敵キャラクタがプレイヤキャラクタによる攻撃の対象となる。なお、一部のみが当該領域に含まれている敵キャラクタを攻撃の対象としてもよい、攻撃の対象としなくてもよい。続くステップ72において、ステップ71で特定されたキャラクタがあるか否かが判定される。ステップ71で特定されたキャラクタがない場合、すなわち、領域に敵キャラクタが含まれていない場合、ステップ73の処理が行われる。この場合、攻撃対象となる敵キャラクタがいないので、ステップ73において、攻撃が失敗であることを示すエフェクト表示が行われ、図21に示す処理が終了する。
【0084】
一方、ステップ72の判定において、ステップ71で特定されたキャラクタがある場合、ステップ74〜77の処理が行われる。ステップ74〜77の処理は、攻撃対象となる敵キャラクタに与えられるダメージを決定する処理である。まず、ステップ74において、ステップ71で特定された敵キャラクタの属性が特定される。ステップ74の処理は、敵キャラクタ状態データ22fを用いて行われる。図22は、敵キャラクタ状態データの一例を示す図である。図22に示すように、敵キャラクタ状態データ22fには、属性データ、HPおよびMPが敵キャラクタ毎に格納されている。ステップ74においては、敵キャラクタ状態データ22fに含まれるデータの内、ステップ71で特定された敵キャラクタの属性データが特定される。
【0085】
ステップ74の次に、ステップ75において、ステップ74で特定された属性データに基づいて、敵キャラクタに与えられるダメージが決定される。ステップ75においては、ステップ44で決定された攻撃力とステップ74で読み出された属性データとに基づいて当該ダメージが決定される。なお、この決定処理の際には図20に示した攻撃決定テーブルが参照される。図20に示すように、攻撃決定テーブルにおいては、攻撃パターンと敵キャラクタの属性とに応じて倍率が定められている。ステップ75の処理においては、まず、ステップ74で特定された属性とステップ65で決定された攻撃パターンとに基づいて攻撃相手の属性に応じた倍率が決定される。図20を例にとって説明すると、例えば攻撃パターンが水の魔法による攻撃であり、敵キャラクタの属性が炎属性である場合、倍率は2倍に決定される。次に、決定された倍率がステップ44で決定された攻撃力に乗算されることによって、敵キャラクタに最終的に与えられるダメージの大きさが決定される。上記の例において、攻撃力が例えば15であれば、敵キャラクタに最終的に与えられるダメージの大きさは、15×2=30と決定される。
【0086】
ステップ75の次に、ステップ76において、プレイヤキャラクタの攻撃パターンに応じたエフェクト表示が表示画面に表示される(図8参照)。エフェクト表示の画像データは、攻撃パターン毎に予め用意されているものとする。続くステップ77において、ステップ75で決定されたダメージの大きさに基づいて敵キャラクタの特性パラメータ(具体的には、HP)が変化する。具体的には、CPUコア21は、WRAM22に記憶されている敵キャラクタ状態データ22fのHPが、ステップ75で決定されたダメージの大きさの分だけ減算されて更新される。なお、HPが更新される敵キャラクタは、入力軌跡によって囲まれる領域に含まれる敵キャラクタ、すなわち、ステップ74で特定された敵キャラクタである。ステップ77の後、図21に示す処理が終了する。
【0087】
再び図10の説明に戻り、ステップ46の後、ステップ47の処理が行われる。ステップ47においては、戦闘終了か否かが判定される。この判定は、例えば、プレイヤキャラクタのHPまたは全ての敵キャラクタのHPが0になったか否かによって行われる。すなわち、プレイヤキャラクタのHPまたは全ての敵キャラクタのHPが0になった場合、戦闘終了と判定され、図10に示す戦闘処理が終了する。一方、プレイヤキャラクタのHPが0になっておらず、かついずれか1匹の敵キャラクタのHPが0になっていなければ、戦闘終了でないと判定され、ステップ41の処理に戻る。以降、戦闘終了と判定されるまで、ステップ41〜47の処理が繰り返される。以上で、本実施形態におけるゲーム処理の説明を終了する。
【0088】
以上、本実施形態によれば、タッチパネル式のゲーム装置において、プレイヤの入力によって表示画面上に描かれた入力軌跡の形状に応じて攻撃パターンを変化させることができる。従って、多彩なゲーム操作が可能となるとともに、多彩な攻撃パターンでゲームを行うことが可能となる。また、入力軌跡の大きさや入力軌跡によって囲まれる範囲に応じて攻撃の度合や攻撃対象の範囲を変化させることができるので、より多彩な攻撃を可能とすることができる。
【0089】
なお、上記の実施形態においては、本発明がRPGにおける戦闘シーンにおいて用いられる例を説明したが、本発明は、敵キャラクタに対する攻撃操作以外も用いることができる。例えば、プレイヤキャラクタに対する回復操作や防御操作に用いることも可能である。具体的には、軌跡の形状に応じて回復操作の種類(例えば、HPを回復させる操作や、毒にかかった状態を回復する操作等)を変化させるとともに、軌跡の大きさに応じて回復させる度合(例えば、HPを回復させる量)を変化させることが考えられる。
【0090】
また、上記の実施形態においては、攻撃の対象となる敵キャラクタは、入力軌跡によっ
て囲まれる領域内に含まれる敵キャラクタであるとした。ここで、攻撃対象となる敵キャラクタの決定方法は、入力軌跡によって囲まれる領域に基づいて決定される方法であれば上記に限らない。例えば、入力軌跡に接している敵キャラクタのみを攻撃対象としたり、当該領域外の敵キャラクタのみを攻撃対象とする(領域内の敵キャラクタを攻撃対象としない)ようにしてもよい。
【0091】
なお、上記の実施形態においては、参照図形の例として、円形や三角形、四角形といった閉形状を挙げて説明したが、参照図形は閉形状である必要はない。例えば、図23に示すような円弧形であってもよいし、図24に示すような渦巻形状であってもよい。さらに、参照図形は、図25に示すような波状の形状であってもよい。なお、参照図形が閉形状でない場合は、攻撃の対象を決定するための領域(上記実施形態で言えば、軌跡によって囲まれる領域)を参照図形の形状からは決定することができない。従って、この場合は、参照図形に対応する攻撃を適用する領域を当該参照図形について予め定めておけばよい。例えば、図23〜図25に示す形状の場合、攻撃パターンを適用する領域を図に示す斜線部分のように定めておくとよい。
【0092】
さらに、参照図形は、一筆書きが可能な形状である必要はない。参照図形は、例えば、図26に示すように円形と直線とを合わせた形状であってもよい。なお、参照図形が図26に示すような形状である場合、1回の連続した入力によって描かれる軌跡を1つの入力軌跡として処理すれば(図11のステップ57参照)、参照図形を描くことができないことになる。図26に示す形状は、一筆書きできない形状だからである。従って、この場合には、例えば所定時間内に入力された軌跡を1つの入力軌跡として処理すればよい。具体的には、図11のステップ57において、ステップ52で入力が検出されてから所定時間が経過したか否かを判定するようにすればよい。
【0093】
また、他の実施形態では、入力軌跡によって囲まれる領域に含まれる敵キャラクタの数に応じて、当該敵キャラクタに与えられるダメージを変化させるようにしてもよい。例えば、当該領域に含まれる敵キャラクタが1匹である場合に敵キャラクタに与えられるダメージを、敵キャラクタが2匹である場合に与えられるダメージよりも大きくするようにしてもよい。
【0094】
ところで、上述の各実施例では、2画面分の液晶表示部の一例として、物理的に分離された2つのLCD11および12を上下に配置した場合(上下2画面の場合)を説明したが、図27に示すように、上部ハウジング18bを除いて、2画面分のLCD11および12を左右に配置した状態で収納できるように、1つのハウジング18cを横長に形成してもよい。その場合、右利きのユーザーが多いことを考慮して、好ましくは、タッチパネル13の装着されたLCD12が右側に配置され、LCD11が左側に配置される構成となる。但し、左利き用の携帯ゲーム装置を作る場合は、その逆の配置となる。
【0095】
その他の配置例として、物理的に分離された2つのLCD11,12を上下に配置する構成に代えて、図28に示すように、横幅が同じで縦の長さが2倍のサイズからなる縦長サイズの1つのLCD11a(すなわち、物理的には1つで、表示サイズが縦に2画面あるLCD)を用いて、縦方向に2画面分の液晶表示部を配置することによって、2画面分のゲーム画像を上下に表示(すなわち上下の境界部分無しに隣接して表示)するように構成してもよい。また、縦幅が同じで横の長さが2倍のサイズからなる1つの横長サイズのLCD11bを用いて、図29に示すように、横方向に2画面分のマップ画像を左右に表示(すなわち左右の境界部分無しに隣接して表示)するように構成してもよい。すなわち、図28および図29の例は、物理的に1つの画面を2つに分割して使用することにより複数のゲーム画像を表示するものである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、多彩なゲーム操作を可能とすることによってプレイヤに多彩なゲームの遊び方を提供すること等を目的として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施例である携帯ゲーム装置の外観図
【図2】ゲーム装置1の内部構成を示すブロック図
【図3】第1LCD11の表示画面に表示されるゲーム画像の一例を示す図
【図4】プレイヤが攻撃操作を行っているときのゲーム画像の一例を示す図
【図5】入力軌跡が三角形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図6】入力軌跡が四角形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図7】複数の敵キャラクタを攻撃するときのゲーム画像の一例を示す図
【図8】プレイヤが攻撃操作を行った後のゲーム画像の一例を示す図
【図9】ゲーム装置1のWRAM22のメモリマップを示す図
【図10】ゲーム装置1において実行されるゲーム処理の流れを示すフローチャート
【図11】図10に示すステップ44の詳細な処理の流れを示すフローチャート
【図12】タッチパネルに対して入力が行われた様子を模式的に示す図
【図13】入力座標リスト22aの一例を示す図
【図14】図10に示すステップ45の詳細な処理の流れを示すフローチャート
【図15】入力座標リスト22aを簡易化する処理を説明するための図
【図16】入力座標リスト22aを簡易化する処理を説明するための図
【図17】ベクトルデータリスト22bを説明するための図
【図18】入力軌跡データ22cの一例を示す図
【図19】参照図形データベース22dの一例を示す図
【図20】攻撃決定テーブルの一例を示す図
【図21】図10に示すステップ46の詳細な処理の流れを示すフローチャート
【図22】敵キャラクタ状態データの一例を示す図
【図23】入力軌跡が円弧形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図24】入力軌跡が渦巻形である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図25】入力軌跡が波状の形状である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図26】入力軌跡が他の形状である場合におけるゲーム画像の一例を示す図
【図27】携帯ゲーム装置の変形例
【図28】携帯ゲーム装置の変形例
【図29】携帯ゲーム装置の変形例
【符号の説明】
【0098】
11 第1LCD
13 タッチパネル
17 カートリッジ
21 CPUコア
22 WRAM
22a 入力座標リスト
22b ベクトルデータリスト
22c 入力軌跡データ
22d 参照図形データベース
22e ダメージ決定テーブル
31,32 敵キャラクタ
33 入力軌跡表示
34 エフェクト表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム画像を表示するための表示画面と当該表示画面を覆うタッチパネルとを備えるゲーム装置のコンピュータを、
ゲームキャラクタを含むゲーム画像を前記表示画面に表示させるゲーム画像表示制御手段、
前記タッチパネル上においてプレイヤによる入力が行われた位置を示す座標値を単位時間間隔で検出する座標検出手段、
前記座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状を特定する形状特定手段、
前記座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状の大きさを算出する大きさ算出手段、
前記ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータを変化させるための基本条件を前記形状特定手段によって特定された図形的形状に基づいて決定する基本条件決定手段、
前記ゲームキャラクタに対する前記基本条件の適用度合を前記大きさ算出手段によって算出された大きさに基づいて決定する適用度合決定手段、および
前記条件決定手段によって決定された基本条件と前記適用度合決定手段によって決定された適用度合とに基づいて前記ゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる特性パラメータ変化手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記入力軌跡に基づいて決定される前記表示画面上の領域に基づいて、前記ゲーム画像に含まれるゲームキャラクタの中から特性パラメータを変化させるべきゲームキャラクタを選出するキャラクタ選出手段として、前記コンピュータをさらに機能させ、
前記特性パラメータ変化手段は、前記キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの特性パラメータのみを変化させる、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
ゲーム画像を表示するための表示画面と当該表示画面を覆うタッチパネルとを含むゲーム装置のコンピュータを、
ゲームキャラクタを含むゲーム画像を前記表示画面に表示させるゲーム画像表示制御手段、
前記タッチパネル上においてプレイヤによる入力が行われた位置を示す座標値を単位時間間隔で検出する座標検出手段、
前記座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状を特定する形状特定手段、
前記ゲーム画像に含まれるゲームキャラクタの中から、ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータを変化させるべきゲームキャラクタを、前記入力軌跡に基づいて決定される前記表示画面上の領域に基づいて選出するキャラクタ選出手段、
前記ゲームキャラクタの特性を示す特性パラメータを変化させるための基本条件を前記形状特定手段によって特定された図形的形状に基づいて決定する基本条件決定手段、および
前記基本条件決定手段によって決定された基本条件に基づいて、前記キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる特性パラメータ変化手段として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項4】
前記座標検出手段によって検出された座標値群により示される入力軌跡の図形的形状の大きさを算出する大きさ算出手段、および
前記ゲームキャラクタに対する前記基本条件の適用度合を前記大きさ算出手段によって算出された大きさに基づいて決定する適用度合決定手段として、前記コンピュータをさらに機能させ、
前記特性パラメータ変化手段は、前記適用度合決定手段によって決定された基本条件の
適用割合に基づいて前記ゲームキャラクタの特性パラメータを変化させる、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記特性パラメータ変化手段は、前記キャラクタ選出手段によって選出されたゲームキャラクタの数に応じて特性パラメータの変化度合を変化させる、請求項2または3に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記形状特定手段によって前記入力軌跡の図形的形状が特定された後、当該入力軌跡の図形的形状によって決定される基本条件の種類に応じて異なる変化を前記ゲーム画像に与える変化表示付与手段として、前記コンピュータをさらに機能させる、請求項1または3に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記座標検出手段によって検出された位置に対応する前記表示画面上の位置に前記入力軌跡を表示させる軌跡表示制御手段として、前記コンピュータをさらに機能させる、請求項1または3に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記ゲーム装置には、前記基本条件の種類を示すとともに所定の形状を示す参照図形データが複数記憶されており、
前記形状特定手段は、前記ゲーム装置に記憶されている複数の参照図形データの中から前記座標値群により示される形状に最も近い形状を示す参照図形データを選出し、選出した参照図形データの形状を前記入力軌跡の図形的形状に決定する、請求項1または3に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記座標検出手段によって検出された座標値群に基づいて、連続する各座標値の間の距離および方向を示すベクトルデータ群を算出するベクトルデータ群算出手段、および
前記ベクトルデータ群の内、同一の方向が連続する複数のベクトルデータを1つのベクトルデータによって表現するように修正する修正手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記形状特定手段は、前記ゲーム装置に記憶されている複数の参照図形データの中から前記修正手段によって修正されたベクトルデータ群により示される形状に最も近い形状を示す参照図形データを選出する、請求項8に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のゲームプログラムを記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたゲームプログラムを実行するプログラム実行手段とを備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−259915(P2008−259915A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204811(P2008−204811)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【分割の表示】特願2004−12460(P2004−12460)の分割
【原出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】