説明

タッチパネル制御装置およびタッチパネル制御方法

【課題】小さな画面に多数の選択ボタンを表示しても正確な入力を可能にしながら、なおかつ操作性を向上させる。
【解決手段】液晶ディスプレイ4とタッチパネル5よりなる表示画面1に複数の選択ボタン2を表示した状態(図1(イ))で、タッチパネル5が指でタッチされたとき、指接触部3の周辺にある選択ボタン2を拡大再配列して、タッチ座標にある選択ボタン及びそれに隣接する選択ボタンを完全に表示する(図1(ロ))。その状態のタッチパネル5において、表示されている選択ボタン2の内、例えば「A」のボタンが指でタッチされると(図1(ハ))、タッチされた座標データと表示画面に拡大表示されている選択ボタンの表示位置とに基づいて、「A」の選択ボタンが押下られたと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示画面上に配置されるタッチパネルのタッチ位置を検知するタッチパネル制御装置およびタッチパネル制御方法に関するものであり、特に、車載電子装置や携帯電子装置などに用いられるタッチパネルのように、表示画面の大きさに制約があり、タッチパネルに表示される操作用のボタンが小さく、近接して表示されるような場合に、操作用のボタンの選択操作を容易とするため、任意の操作用のボタンへのタッチ操作を検出すると、所定範囲内の操作用のボタンを拡大表示するようにしたタッチパネル制御装置およびタッチパネル制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、車載用のカーナビゲーション装置、オーディオ装置、DVD再生装置、テレビジョン装置など、あるいは、携帯用の情報処理装置、ゲーム機器、ミュージックプレイヤー装置などの小型の電子装置が種々提供されている。また、このような電子装置は、前述のような各種機能の電子装置が組み合わされた複合型の電子装置として提供される傾向にある。
【0003】
これらの電子装置においては機器を操作したり、その機能を選択したりするために表示ユニットにタッチパネル機能を備え、表示画面に種々の操作ボタンを表示し、指で所望の操作ボタンを押下することによって機器を操作する構成を採っている。このような操作ボタンは一般的に、電子装置に設けられる機構的なキーやボタン、いわゆるハードキーと対比してソフトキーと呼ばれている。
【0004】
このようなタッチパネル機能を備えた表示ユニットは、表示画面上に操作用のボタン(ソフトキー)を表示し、利用者がタッチパネル(表示画面)上でそのボタン位置にタッチすると、タッチパネル制御装置によりタッチ位置の座標が検知されて、そのボタンが押されたものと判定されるように構成されている。
【0005】
ところで、小型の電子装置においては、表示ユニットも比較的小さくなるため、タッチパネル機能を有する表示ユニットの表示画面に表示される個々のソフトキーの大きさが制約され、小さなキー表示になる。また、電子装置の機能が複雑、複合化される傾向にあるため、表示されるソフトキーの数も多くなる。表示するソフトキーの数が多くなれば更に個々のソフトキーの表示の大きさが小さくなる。
【0006】
このため、利用者が表示画面に表示された複数のソフトキーを判別して所望のソフトキーを選択する操作を行う場合、該当するキーを指で正確に押下する操作がし難くなり、誤ったソフトキーを操作してしまうことがあった。
【0007】
このような問題に対処する方法が種々提案されている。例えば、下記の特許文献1(特開平8−185265号公報)にタッチパネル制御装置として開示された方法がある。この特許文献1に開示されたタッチパネル制御装置は、指先でタッチパネルにタッチすると、タッチされた位置の周辺を拡大表示し、その状態で改めて所望のボタンにタッチすることにより正確な入力ができるようにしている。
【0008】
すなわち、このタッチパネル制御装置は、図5に示すように表示部11と、タッチパネル12と、タッチパネル12からの情報に基づき指示された表示画面上の座標を検出する座標検出部13と、表示部11にデータを表示し、前記検出された座標から対応する表示データ、もしくはその表示データに対応するデータを入力する入力処理部14とを備えたタッチパネル制御装置であって、入力処理部14は、タッチパネル押下により座標検出部13で検出された座標を中心とした所定範囲に表示されている表示データを拡大表示するとともに、該表示データを指定する座標範囲を該表示データの拡大に応じて変更し、この拡大表示時に検出された次の座標に対応した表示データを前記座標範囲に基づき検索して入力するように構成されている。
【特許文献1】特開平8−185265号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたタッチパネル制御装置では、タッチパネル押下によりタッチされた部分のボタンを拡大表示する際、中央のボタンはフル表示するが、左右,右上下,左上下のボタンは一部だけしか表示されないため、何のボタンか分からず、隣のボタンを表示するためにはシフトキーを操作する必要があって手間がかかるという問題点があった。
【0010】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、タッチパネル制御装置において、操作用のボタンの選択操作を容易とするため、任意の操作用のボタンへのタッチ操作を検出すると、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示するようになせば、シフトキーを操作することなく周辺にある選択ボタンが何のボタンであるのかが分かり、ボタンを正確に操作できることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、小さな画面に多数の選択ボタンを表示しても正確な入力を可能にしながら、なおかつ操作性を向上させることができるタッチパネル制御装置およびタッチパネル制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
表示画面に選択ボタンを表示し、該表示画面上に配設されたタッチパネル上の指のタッチ座標を検知することにより押下げられた選択ボタンを判定するタッチパネル制御装置であって、
前記表示画面に複数の選択ボタンを表示した状態で、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示し、その後タッチパネルが改めて指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンが押下げられたものと判定することを特徴とする。
【0013】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるタッチパネル制御装置において、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能に強調して表示することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、
表示画面に選択ボタンを表示し、該表示画面上に配設されたタッチパネル上の指のタッチ座標を検知することにより押下げられた選択ボタンを判定するタッチパネル制御方法であって、
前記表示画面に複数の選択ボタンを表示した状態で、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示し、その後タッチパネルが改めて指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンが押下げられたものと判定することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかるタッチパネル制御方法において、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能に強調して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のタッチパネル制御装置およびタッチパネル制御方法は、次のような効果を奏する。
【0017】
すなわち、請求項1および請求項3にかかる発明においては、表示画面に複数の選択ボタンを表示した状態で、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示し、その後タッチパネルが改めて指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンが押下げられたものと判定するようにした。その結果、小さな画面に多数の選択ボタンを表示しても正確な入力を可能にしながら、なおかつシフトキーを操作することなく周辺にある選択ボタンが何のボタンであるのかが分かり、操作性を向上させることができるようになる。
【0018】
また、請求項2および請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかるタッチパネル制御装置、あるいは、請求項3にかかるタッチパネル制御方法において、タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能に強調表示するようにしたので、どの選択ボタンが押下状態になったかが容易に判別できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のタッチパネル制御装置におけるタッチパネル操作を説明するための図であり、図1(イ)〜図1(ハ)はそれぞれ表示画像の遷移を示す図である。図2は、タッチパネルの構造を示す図、図3は、タッチパネル制御装置のブロック図であり、図4は、本発明のタッチパネル制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0020】
但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのタッチパネル制御装置を例示するものであって、本発明をこのタッチパネル制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のタッチパネル制御装置にも等しく適用し得るものである。
【0021】
図2は、本発明の実施例にかかるタッチパネル制御装置に用いられるタッチパネルの構造を示す図である。画像を表示する液晶ディスプレイ4の表面には、所定の位置関係を持って透明なタッチパネル5が配設されている。タッチパネル5の表面には、多数本のX軸電極線6が横方向に平行に設けられ、Y軸電極線7が縦方向に平行に設けられている。
【0022】
X軸電極線6とY軸電極線7は、それらに指でタッチすると電圧降下が生じ、電圧降下が生じたX軸電極線6,Y軸電極線7の位置に基づいて、タッチパネル5のどの位置に指がタッチしているかを検知する。例えば、X軸電極線6,Y軸電極線7のそれぞれ3本に電圧降下が生じている場合、それぞれ真ん中の電極線の交点を指のタッチ位置とする。
【0023】
図3は、本発明の実施例にかかるタッチパネル制御装置の構成を示すブロック図である。液晶ディスプレイ制御部8は、CPU10から指令を受けて液晶ディスプレイ4へ表示する画像の描画処理を行う。タッチパネル制御部9は、X軸電極線6,Y軸電極線7の電圧降下を検知してタッチパネル5上で指がタッチしている位置座標を算出し、CPU10に入力する。
【0024】
本発明の実施例にかかるタッチパネル制御装置の構成は概略以上のようであるが、次にこのタッチパネル制御装置の動作について説明する。本発明のタッチパネル制御装置では、図1(イ)に示すように、液晶ディスプレイ4とタッチパネル5よりなる表示画面1に複数の選択ボタン2を表示した状態で、タッチパネル5が指でタッチされたとき、指接触部3の周辺にある選択ボタン2を、図1(ロ)に示すように拡大表示する。
【0025】
その際、上記特許文献1に開示されたタッチパネル制御装置では、タッチされた部分の中央に位置するボタンはフル表示するが、左右,右上下,左上下のボタンは一部だけしか表示されなかった。それに対して、本発明においては、図1(ロ)のように、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示するようにした。そのように拡大表示された状態で、利用者は、一旦タッチパネル5から指を離した後、図1(ハ)に示すように、タッチしようとしていた選択ボタン2である「A」のボタンに指でタッチする。そのとき、CPU10は、タッチパネル制御部9から入力された、指がタッチされた座標データと液晶ディスプレイ制御部8により拡大表示されている選択ボタン2の表示位置とに基づいて、「A」の選択ボタンが押下られたと判定する。
【0026】
なお、タッチパネル5が指でタッチされたとき、タッチパネル制御部9により判定されたタッチ位置座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能な状態で選択表示する。例えば、その選択ボタンを他の選択ボタンと異なる色、あるいは異なる濃度等で強調して表示する。そのようにすれば、どの選択ボタンが押下られたかが容易に判別でき、利用者による操作をより正確に行うことができ、好適である。
【0027】
次に、図4に示すフローチャートを参照しながら、本発明のタッチパネル制御装置の処理を説明する。まず、液晶ディスプレイ4に選択ボタン群を表示し(ステップS1)、タッチパネル5へのタッチ、すなわち、ボタンの押下があったか否かを判別する(ステップS2)。その結果、ボタンの押下があったら、押下げられた位置座標をタッチパネル制御部9から取得し(ステップS3)、押下げられた位置座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示する(ステップS4)。
【0028】
次に、再びボタンの押下があったか否かを判別し(ステップS5)、ボタンの押下があったら、押下げられた位置座標をタッチパネル制御部9から取得し(ステップS6)、押下げられた位置座標に表示されている選択ボタンが選択されたものと判定して、機器はそのボタンに割り当てられている機能を実行する(ステップS7)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のタッチパネル制御装置におけるタッチパネル操作を説明するための図であり、図1(イ)〜図1(ハ)はそれぞれ表示画像の遷移を示す図である。
【図2】本発明のタッチパネル制御装置に用いられるタッチパネルの構造を示す図である。
【図3】本発明のタッチパネル制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のタッチパネル制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】従来のタッチパネル制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・・表示画面
2・・・・選択ボタン
3・・・・指接触部
4・・・・液晶ディスプレイ
5・・・・タッチパネル
6・・・・X軸電極線
7・・・・Y軸電極線
8・・・・液晶ディスプレイ制御部
9・・・・タッチパネル制御部
10・・・CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に選択ボタンを表示し、該表示画面上に配設されたタッチパネル上の指のタッチ座標を検知することにより押下げられた選択ボタンを判定するタッチパネル制御装置であって、
前記表示画面に複数の選択ボタンを表示した状態で、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示し、その後タッチパネルが改めて指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンが押下げられたものと判定することを特徴とするタッチパネル制御装置。
【請求項2】
前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能に強調して表示することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル制御装置。
【請求項3】
表示画面に選択ボタンを表示し、該表示画面上に配設されたタッチパネル上の指のタッチ座標を検知することにより押下げられた選択ボタンを判定するタッチパネル制御方法であって、
前記表示画面に複数の選択ボタンを表示した状態で、前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標の周辺にある選択ボタンを、各選択ボタンがフル表示されるように再配列して拡大表示し、その後タッチパネルが改めて指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンが押下げられたものと判定することを特徴とするタッチパネル制御方法。
【請求項4】
前記タッチパネルが指でタッチされたとき、タッチ座標にある選択ボタンを他の選択ボタンと判別可能に強調して表示することを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−77272(P2008−77272A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253898(P2006−253898)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】