説明

タッチパネル及びこれを備える表示装置

【課題】 タッチパネルの基板表面を伝達して侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽して、誤動作に起因する誤認識を低減させる。
【解決手段】 タッチパネルの基板の表面3に、導電体19の存在を検出する複数の検出電極5が形成された検出領域4と、この検出領域4の外側に、検出信号を伝達する配線電極7が形成された配線領域6とを設ける。さらに、タッチパネルの基板2の外周に外部から侵入するノイズを遮蔽するための第1遮蔽電極8を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量結合方式のタッチパネル及びこのタッチパネルを搭載したタッチパネル付表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や券売機、携帯用ゲーム機などの表示入力装置にタッチパネルを組み合わせた、タッチパネル付表示装置が広く実用化されている。タッチパネル付表示装置は、表示装置にタッチするボタンが表示され、その部分を指やペンなどで押すと、その押したことを検出して情報が入力される。そして、入力された情報に基づいて、表示装置が表示する画像を切替え、次の入力や他の動作を行なう。タッチパネル付表示装置は、表示装置の表示画面上にタッチセンサが一体的に構成されているので、省スペースである。また、入力ボタンの位置や機能を自由に変更することができるので、操作性がよい。
【0003】
従来の静電容量結合方式のタッチセンサの構成を図11に模式的に示す(例えば、特許文献1を参照)。複数の黒の菱形形状の検出電極503と白抜きの菱形形状の検出電極501が平坦な基板表面に形成されている。黒の菱形の検出電極503は行電極504に接続し、白抜きの菱形の検出電極501は行電極504に接続している。行電極504及び列電極505は、配線502を介してプロセッシング装置210に接続されている。この表面に導体303が近づくと、導体が接近した行電極504と列電極505の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、プロセッシング装置210により検出され、導体303が接近した行及び列が特定される。これにより、導体303の位置が検出される。
【0004】
静電容量結合方式のタッチセンサは、指やペンなどの導体が、センサ素子が形成された基板表面に直接触れなくとも、或いは軽く触れるだけでその位置を検出することができるので、使い勝手が優れている。また、1枚の基板で構成することができるので、抵抗検出方式に比較して薄く、また軽く形成できる。また、タッチ面の上面にカバーガラス等の絶縁体を設置した場合でも、その絶縁体の上から入力することができる。そのため、デザイン性を向上させることができる。
【0005】
図12は、タッチパネル63が表示パネル64の上に設置されたタッチパネル付表示装置60の一例の模式的な縦断面図である。タッチパネル63は表示パネル64の上面に設置され、表示パネル64の裏面側には駆動回路65が設置されている。タッチパネル63の上面にはカバーガラス61が設置されている。カバーガラス61の外周部には、表示の見切り用の見切り板62が形成されている。タッチパネル63、表示パネル64及び駆動回路65は、導体からなる筐体66に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2007/0273560A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
静電容量結合方式のタッチパネルは、導体が検出電極に近づくと導体と検出電極との間に形成される容量変化が変化する。そして、その変化した容量に流れる微弱な電流を検出することにより、導体の位置を特定する。しかし、静電容量結合方式のタッチパネルでは、検出領域以外の基板上面や基板端部から回りこんだ電磁ノイズや静電気が、検出電極や配線電極に入力されて誤認識を起こしてしまう、という課題があった。例えば図12に示すように、電磁ノイズZ1がカバーガラス61と筐体66の微細な隙間から侵入する。また、表示パネル64や駆動回路65から電磁波が放射されると、電磁ノイズZ2のように回り込んでタッチパネル63の配線電極や検出電極に印加されるため、誤認識が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、電磁ノイズや静電気が存在する環境下でも誤動作を生じ難いタッチパネル及びタッチパネル付表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチパネルは、基板の表面に検出領域が設けられ、この検出領域の外側に、配線領域が設けられる。この検出領域には、導電体の存在を検出するための、互いに電気的に分離した複数の検出電極が形成される。また、配線領域には、検出電極に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極が形成される。そして、基板の外周に、外部から侵入するノイズを遮蔽するための第1遮蔽電極が形成される。
【0010】
また、配線電極と第1遮蔽電極の上部に第1絶縁層が設けられてもよい。
【0011】
さらに、第1絶縁層の上面には、配線領域と第1遮蔽電極を覆うように、第2遮蔽電極が設けられてもよい。このとき、第1遮蔽電極と第2遮蔽電極とは、第1絶縁層に形成された第1貫通孔を介して電気的に接続される。
【0012】
また、基板の側面外周部と配線領域の上方に、金属フレームが設けられてもよい。
【0013】
また、基板の裏面に、第3遮蔽電極が形成されてもよい。
【0014】
さらに第3遮蔽電極の下面に、第2絶縁層が形成されてもよい。
【0015】
さらに、第2絶縁層の下面に配線領域と第1遮蔽電極に対応するように、第4遮蔽電極が形成され、第2絶縁層に形成した第2貫通孔を介して第3遮蔽電極に電気的に接続されてもよい。
【0016】
また、本発明のタッチパネル付表示装置は、タッチパネルと、このタッチパネルの背面に設置された表示パネルを含む。タッチパネルは、基板の表面に検出領域が設けられ、検出領域には、導電体の存在を検出するための、互いに電気的に分離した複数の検出電極が形成される。さらに検出領域の外側には、配線領域が設けられ、検出電極に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極が形成される。基板の外周には、外部から侵入するノイズを遮蔽するための第1遮蔽電極が形成される。
【0017】
さらに、表示パネルの上面には、透光性の第5遮蔽電極が設けられ、タッチパネルの裏面の外周領域には、第5遮蔽電極と電気的に接続する第6遮蔽電極が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、タッチパネル基板の表面を伝達して侵入するノイズを遮蔽することができるので、誤動作に基づく誤認識を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るタッチパネルの基本構成を説明するための模式図である。
【図2】本発明の実施例に係るタッチパネルの模式的な上面図である。
【図3】本発明の実施例に係るタッチパネルの模式的な断面図である。
【図4】本発明の実施例に係るタッチパネルを模式的な断面図である。
【図5】本発明の実施例に係るタッチパネルの説明するための図である。
【図6】本発明の実施例に係るタッチパネルの模式的な断面図である。
【図7】本発明の実施例に係るタッチパネルの模式的な断面図である。
【図8】本発明の実施例に係るタッチパネル付表示装置の模式的な断面図である。
【図9】本発明の実施例に係るタッチパネル付表示装置の模式的な断面図である。
【図10】本発明の実施例に係るタッチパネル付表示装置の模式的な断面図である。
【図11】従来公知のタッチパネルの上面図である。
【図12】従来公知のタッチパネル付表示装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のタッチパネルは、基板の表面に、検出領域と、この検出領域の外側に配線領域が設けられる。検出領域には、導電体の存在を検出する複数の検出電極が形成され、配線領域には、検出信号を伝達する配線電極が形成される。さらに、これら2つの領域の外側、すなわち、基板の外周には、外部から侵入するノイズを遮蔽するための第1遮蔽電極が形成される。この第1遮蔽電極は、基板の端部に他の端子や素子が配置されている場合には、そのような端子や素子が形成された部分を除いて形成されてもよい。但し、上述のように、第1遮蔽電極は、部分的に欠損して設けられても良いが、基板の全外周の概ね70%以上に形成される。
【0021】
さらに、配線電極と第1遮蔽電極の上部に第1絶縁層を設けてもよい。
【0022】
さらに、第1絶縁層の上面に、配線領域と第1遮蔽電極を覆うように第2遮蔽電極を形成してもよい。この場合、第1絶縁層には第1貫通孔が形成され、第1貫通孔を介して、第2遮蔽電極が、第1遮蔽電極に電気的に接続される。
【0023】
さらに、基板の裏面に第3遮蔽電極と、第3遮蔽電極の下面に第2絶縁層を形成してもよい。そして、第2絶縁層の下面側に、配線領域及び第1遮蔽電極に対応するように第4遮蔽電極を形成し、第3遮蔽電極と第4遮蔽電極が第2絶縁層に設けられた第2貫通孔を介して電気的に接続してもよい。このような構成により、基板の裏面から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる。
【0024】
また、さらにこのタッチパネルの背面に表示装置を設置してもよい。その場合、表示装置の表示面から放射される電磁ノイズを遮蔽することができる。
【0025】
また、本発明のタッチパネル付き表示装置は、表面に検出領域と、検出領域の外側に配線領域が設けられたタッチパネルと、このタッチパネルの背面に設けられた表示パネルを含む。タッチパネルの検出領域には互いに電気的に分離した複数の検出電極が形成され、配線領域には、検出電極に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極が形成される。さらに、検出領域と前記配線領域を含む領域の外側、すなわち基板の外周には第1遮蔽電極が形成され、この第1遮蔽電極は、外部から侵入するノイズを遮蔽する。
【0026】
あるいは、上述のいずれかのタッチパネルの背面に表示パネルを設けてもよい。
【0027】
さらに、表示パネルの上面に透光性の第5遮蔽電極を形成し、タッチパネル基板の裏面の外周に第6遮蔽電極を形成し、第5遮蔽電極と第6遮蔽電極とを電気的に接続してもよい。
【0028】
次に、本発明によるタッチパネル1の基本的な構成を図1(a)と図1(b)を用いて説明する。図1(a)はタッチパネル1の模式的な上面図、図1(b)は部分XX’の模式的な縦断面図である。
【0029】
タッチパネル1の基板の表面3には、導電体が近づいたことを検出するための複数の検出電極5と、検出電極5に電気的に接続し、検出信号を外部回路に伝達するための配線電極7が形成される。さらに、検出電極5と配線電極7を含む領域の外側、すなわち、基板の外周には、外部から侵入するノイズを遮蔽するために第1遮蔽電極8が形成される。複数の検出電極5は基板2の中央部に形成され、検出領域4を構成する。複数の検出電極5に接続する配線電極7は、検出領域4の外側に集約して形成され、配線領域6を構成する。第1遮蔽電極8は、この検出領域4と配線領域6を含む領域の外側に、検出領域4と配線領域6を囲うように形成される。この構成により、基板2の端部から侵入するノイズは、配線電極7や検出電極5に到達する前に第1遮蔽電極8により遮蔽される。
【0030】
ここで、配線電極7は、基板2の右辺端部に集約されて端子部TAを構成する。第1遮蔽電極8は、この端子部TAの近傍まで形成される。図示しないが、端子部TAにフレキシブル基板が接続され、各配線電極7は外部回路と接続される。第1遮蔽電極8は図示しないGNDに接続される。GNDへは、フレキシブル基板を介して接続される。或いは、タッチパネル1を収納する金属ケース等に接触させて、GNDに接続される。
【0031】
基板2として、ガラス基板やプラスチック基板を使用してもよい。検出電極5として、ITO(インジウム・スズ酸化物)、スズ酸化物、亜鉛酸化物、導電性ポリマー等を堆積した透明導電膜を使用してもよい。配線電極7として、透明導電膜や金属膜を使用してもよい。検出方式は、検出電極5をX−Yマトリックス状に配列した座標検出型であり、白抜きの検出電極5aが行方向(X方向)に接続され、灰色の検出電極5bが列方向(Y方向)に接続される。なお、検出方法はX−Yマトリックス状の座標検出型に限定されず、検出領域4の必要な箇所に検出電極5を形成した固定パターン方式(ボタンスイッチ型)であってもよい。配線電極7として、透明導電膜や金属膜から構成することができる。第1遮蔽電極8は、基板2の表面3にスパッタリング法や蒸着法により金属膜を堆積し、パターニングして形成されてもよい。また、第1遮蔽電極8として、粘着材や接着材を裏面に設け、表面に金属膜を設けた導電性シールを検出領域4及び配線領域6の外側、すなわち、基板の外周に貼り付けてもよい。
【0032】
なお、本発明において、基板の外周は、基板の全外周を意味するとは限らず、検出領域4と配線領域6を含む領域の外側であればよい。図1(a)に示すように、外部回路と接続する端子部TAや、チップオングラスのように、基板2の端部に他の端子や素子が載置されている場合には、外周はそのような端子や素子が形成された部分を含まなくてよい。目安として、外周は、基板2の全外周の概ね70%以上を占める。さらに、この外周には、第1遮蔽電極8が形成されている。
【実施例1】
【0033】
図2(a)と図2(b)は、本実施例に係るタッチパネル1の模式的な上面図である。図2(a)は、信号処理IC31が実装された第1フレキシブル基板30を接着したタッチパネル1を表す。図2(b)は、第1フレキシブル基板30の上面にも第1遮蔽電極8’を生成したタッチパネル1を表す。
【0034】
図2(a)に示すように、タッチパネル1の基板2の表面には、検出領域4を構成する複数の検出電極5と、配線領域6を構成する複数の配線電極7と、検出領域4及び配線領域6を含む領域を囲むように第1遮蔽電極8が形成される。これらの構成は、図1(a)に示したタッチパネル1と同様である。更に、端子部TAには第1フレキシブル基板30の一端が接続される。第1フレキシブル基板30の上に信号処理IC31が実装され、第1フレキシブル基板30の他端に第2フレキシブル基板32が接続される。第2フレキシブル基板32は図示しない制御部に接続される。
【0035】
複数の検出電極5はX−Yのマトリックス状に形成される。X方向に一列に形成された白抜きの検出電極5aは互いに電気的に接続されて、右辺の配線電極7に接続される。Y方向に一列に形成された灰色の検出電極5bは互いに電気的に接続されて、下辺又は上辺の配線電極7に接続される。第1遮蔽電極8は基板2の外周に形成される。ここで、外周とは、検出領域4及び配線領域6を含む領域の外側であれば、基板2の全外周である必要はない。即ち、第1遮蔽電極8は、基板2の上辺、左辺、下辺及び右辺の第1フレキシブル基板30の端部まで形成される。第1フレキシブル基板30の下面には接続用の複数の電極が形成され、端子部TAの配線電極7に接続される。第1遮蔽電極8は、その右辺端部において第1フレキシブル基板30の図示しないGND端子に接続される。従って、検出領域4と配線領域6を含む領域は、第1フレキシブル基板30が接続される領域を除いて周囲が第1遮蔽電極8により取り囲まれる。この構成により、基板2の端部から侵入するノイズや静電気を第1遮蔽電極8により遮蔽することができる。
【0036】
複数の検出電極5は、基板2上にITOをスパッタリング法又は蒸着法により堆積し、これをフォトリソグラフィー工程とエンチング工程によりパターニングして形成される。配線電極7及び第1遮蔽電極8は、金属膜をスパッタリング法又は蒸着法により堆積し、これをフォトリソグラフィー工程とエッチング工程によりパターニングして形成される。検出領域4は光を透過するので、タッチパネル1の下部に表示装置を設置すれば、この表示装置に表示された画像がタッチパネル1の上から視認される。
【0037】
次に、位置検出について簡単に説明する。検出領域4の特定位置に導電体19が近づくと、その導電体19が近づいた行の検出電極5と列の検出電極5の容量が変化する。この容量変化の信号が配線電極7を介して信号処理IC31に入力される。信号処理IC31は、容量が変化した行及び列を特定し、導電体19が接近した位置を特定する。なお、検出領域4に複数の導電体19を同時に近づけた場合でも、この複数の導電体19の位置を特定することができる。
【0038】
図2(b)は、本実施例の別の形態を示し、第1フレキシブル基板30の端子部TAの上部には、第1遮蔽電極8’が形成される。図示しないが、検出領域4には検出電極が、配線領域6には配線電極が、図2(a)と同様に形成されている。この第1遮蔽電極8’は、第1フレキシブル基板30に設けた図示しない貫通孔を介することにより、又はGNDに接続することにより、第1遮蔽電極8に電気的に接続される。これにより、基板2の全外周が第1遮蔽電極8、8’によって囲まれる。その結果、外部からの電磁ノイズに対して、遮蔽効果をより向上させることができる。
【0039】
図3は、本実施例の別の実施形態を表す模式的な縦断面図である。基板の表面3に、検出電極5、配線電極7、及び第1遮蔽電極8がそれぞれ形成される構成は図2(a)と同様なので、説明を省略する。図3に示すように、基板2の表面に設けられた検出電極5、配線電極7、及び第1遮蔽電極8の上には、第1絶縁層9が形成される。すなわち、これらの電極は、露出した表面が第1絶縁層9によって覆われる。第1絶縁層9は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、その他の金属酸化膜をスパッタリング法やCVD法により作成されてもよい。また、第1絶縁層9として、高分子樹脂層を塗布又は貼り付けて形成されてもよい。タッチパネル1は静電容量結合方式であるため、検出電極5の上に絶縁膜を形成しても、検出電極5に接近した導電体を検出することができる。
【0040】
この第1絶縁層9を形成することにより、表面3に導電体が接触した場合に、検出電極5のキズや断線を防ぐことができる。また、表面3に水分等が付着した場合でも、検出電極5同士が電気的に接続されるのを防ぎ、検出位置や検出感度に与える悪影響を防止することができる。
【0041】
図4は、本実施例のさらに別の実施形態を表す模式的な縦断面図である。基板の表面3に、検出電極5、配線電極7、第1遮蔽電極8、及び、第1絶縁層9がそれぞれ形成される構成は図3と同様なので、説明を省略する。図4のタッチパネルでは、図3に示したタッチパネルの側面外周部13に金属フレーム12が設置されている。金属フレーム12には、タッチパネル1を収納する筐体を用いてもよい。この金属フレーム12は、配線領域6の上方に延出して、配線領域6と第1遮蔽電極8の上を、第1絶縁層9を介して覆っている。金属フレーム12は、第1遮蔽電極8が接続されるのと同じ、図示しないGNDに接続される。
【0042】
このように、基板2の端部と、配線電極7の上部を金属フレーム12で覆うことにより、外部から侵入する電磁ノイズや静電気をより確実に遮蔽することができ、誤動作の発生を抑制することができる。また、金属フレーム12は、配線領域6、第1遮蔽電極8や第2遮蔽電極10を外部から見えないように遮蔽する見切り部として利用することができる。
【実施例2】
【0043】
本実施例に係るタッチパネル1を図5(a)と図5(b)に基づいて説明する。図5(b)は、タッチパネル1の模式的な上面図であり、図5(a)は、図5(b)の部分YY’の模式的な縦断面図である。
【0044】
図5(a)に示すように、基板の表面3には、複数の検出電極5が形成されており、検出領域4が設けられる。検出領域4の外側には、配線電極7が形成されており、配線領域6が設けられる。更に、基板の表面3の外周、すなわち、検出領域4及び配線領域6を含む領域の外側には、第1遮蔽電極8が形成される。検出領域4、配線領域6及び第1遮蔽電極8の上には第1絶縁層9が形成される。更に、第1絶縁層9の上面には、配線領域6及び第1遮蔽電極8を覆うように、第2遮蔽電極10が形成される。この第2遮蔽電極10は、第1絶縁層9に形成された第1貫通孔11を介して第1遮蔽電極8に電気的に接続されており、更に、図示しないGNDに接続される。
【0045】
第2遮蔽電極10は、金属膜をスパッタリング法や蒸着法により堆積して形成してもよい。この場合に、検出領域4をマスキングして金属膜を堆積すれば、パターニング工程を省くことができる。また、第2遮蔽電極10は、表面に金属膜が付着し裏面に粘着材又は接着材が塗布された導電性テープを貼り付けて構成してもよい。
【0046】
図5(b)に示すように、第2遮蔽電極10は、検出領域4の全周囲を囲むように形成される。また、配線領域6は、基板表面に形成された第1遮蔽電極8、及び、第1遮蔽電極8の上面に形成された第2遮蔽電極10からも囲まれる。このような構成により、横方向からと上方向から侵入する電磁ノイズから配線電極7を保護して位置検出の誤認識をより効果的に防止することができる。
【0047】
図6は本実施例の別の実施形態を示す断面図である。図6に示すタッチパネルでは、第2遮蔽電極10’と第1絶縁層9の間に粘着材29が設けられる。その他の構成は図4に示したタッチパネルの構成と同様なので説明を省く。なお、ここでは第2遮蔽電極10’として、金属膜の裏面側に粘着材が形成された導電性テープを使用している。第2遮蔽電極10’は粘着材29により第1絶縁層9に接着され、第1絶縁層9に設けられた第1貫通孔11を介して第1遮蔽電極8に電気的に接続される。
【実施例3】
【0048】
図7は、本実施例に係るタッチパネル1の模式的な縦断面図である。基板2の表面に、検出電極5、配線電極7、第1遮蔽電極8、第1絶縁層9、及び、第2遮蔽電極10がそれぞれ形成される構成は、図5(b)に示す実施例2と同様なので、説明を省略する。
【0049】
基板2の裏面14には、第3遮蔽電極15がその全面に亘って形成される。第3遮蔽電極15の下面には第2絶縁層17が形成される。更に、第2絶縁層17の下面には、第1遮蔽電極8及び配線領域6に対応する領域を覆うように、第4遮蔽電極16が形成される。この第4遮蔽電極16は、第2絶縁層17に形成された第2貫通孔18を介して第3遮蔽電極15と電気的に接続される。第3遮蔽電極15として、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等をスパッタリング法や蒸着法により堆積した透明導電膜とすることができる。また、導電性高分子ポリマーを塗布して形成してもよい。第2絶縁層17は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜をスパッタリング法やCVD法により形成してもよい。また、絶縁材料のスパッタリング法や蒸着法に代えて、絶縁体からなる透明プラスチックフィルムを貼り付けてもよい。第4遮蔽電極16として、金属膜をスパッタリング法や蒸着法により形成してもよい。また、金属膜の堆積に代えて、金属膜が形成された導電性シートを貼り付けてもよい。
【0050】
第3遮蔽電極15を裏面14全面に形成することにより、裏面14側から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる。特に、裏面14側に表示装置を設置した場合には、表示装置の表示面から電磁ノイズが放射される。第3遮蔽電極15は、この裏面14側からのノイズを遮蔽するのに有効である。第2絶縁層17は、基板2の裏面14及び第3遮蔽電極15の表面保護膜として機能する。第4遮蔽電極16は、基板2の裏面14端部から侵入する電磁ノイズや静電気を遮蔽することができる。
【0051】
なお、本実施例では、基板の上面側に第2遮蔽電極が設けられた構成を用いて説明したが、これに限らず、実施例1に示した構成のタッチパネルを用いて、基板の裏面に上述の電極や絶縁層を設けてもよい。
【実施例4】
【0052】
図8は、本実施例に係るタッチパネル付表示装置20の模式的な縦断面図である。タッチパネル付表示装置20は、液晶表示装置26の上部にタッチパネル1が設置される。タッチパネル1は、透光性の基板の表面に、検出領域4と、検出領域4の外側に配線領域7が設けられる。検出領域4には、透光性の検出電極5が形成されており、配線領域6には、検出電極5に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極7が形成される。基板の外周、すなわち検出領域4と配線領域6を含む領域の外側には、第1遮蔽電極8が形成される。検出領域4、配線領域6及び第1遮蔽電極8の上には、透明な第1絶縁層9が形成される。更に、第1絶縁層9の上面には、第1遮蔽電極8と配線領域6を覆うように第2遮蔽電極10が形成される。この第2遮蔽電極10は、第1絶縁層9に形成された第1貫通孔11を介して第1遮蔽電極8に電気的に接続される。
【0053】
液晶パネル21は、図示しないが、2枚のガラス基板と、これらガラス基板の間に挟持された液晶層とを含む。液晶パネル21の表面には透光性の第5遮蔽電極22が形成され、その上には偏光板28が貼り付けられる。図示しないが、液晶パネル21の背面には下部偏光板やバックライト等が配置される。基板2の裏面外周には、第6遮蔽電極23が形成され、第6遮蔽電極23は液晶表示装置26とタッチパネル1との間に挟持される。
【0054】
ここで、第5遮蔽電極22は、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの透光性導電膜をスパッタリング法や蒸着法により堆積して形成した。また、これらの透光性導電膜に代えて、導電性高分子ポリマーを塗布して第5遮蔽電極22としてもよい。第6遮蔽電極23は、導電性ゴムや、金属フレームを使用してもよい。
【0055】
本実施例の構成によれば、タッチパネル1の基板2、検出電極5、第1絶縁層9はいずれも透光性であるので、タッチパネル1の上部から液晶表示装置26に表示された画像を視認することができる。また、液晶表示面に形成された第5遮蔽電極22により、液晶パネル21を駆動したときに表示面から放射される電磁ノイズが、タッチパネル1に入射することを防止できる。同時に、液晶パネル21の液晶層に表示面側から印加される静電気を遮蔽することができる。また、第6遮蔽電極23によって、タッチパネル1と液晶表示装置26との間隙から電磁ノイズや静電気が侵入することを防止することができる。
【0056】
なお、本実施例の液晶表示装置26に、インプレーンスイッチング方式(以下、IPS方式という)を用いてもよい。IPS方式による液晶表示装置は、TFTが形成された基板に対向する基板側には、電極が形成されていない。すなわち、シールドとなる電極が存在しないので、表示面側から静電気などの電界が印加されると、液晶分子の配向方向が乱され、表示品質が低下する。これを防止するために、IPS方式による液晶表示装置では、上基板の表面に、透光性の電極層を設けた構成が用いられる場合がある。このような構成のIPS方式による液晶表示装置を本実施例に用いる場合には、第6遮蔽電極を省くことができるので、第7遮蔽電極のみ設置すればよく、工程数を減らすことができる。
【実施例5】
【0057】
図9は、本実施例に係るタッチパネル付表示装置20の模式的な縦断面図である。本実施例は、液晶パネル21の側面外周部25に導電体24が設置される点で実施例4と異なる。その他は、実施例4と同様なので、説明を省略する。図9に示すように、導電体24は液晶パネル21の側面の周囲に設置され、第6遮蔽電極23に接続される。このような構成により、液晶パネル21から横方向に放出される電磁ノイズが遮蔽されるので、タッチパネル1へ電磁ノイズが回り込むのを防止することができる。また、液晶パネル21の横方向から静電気が侵入して、液晶分子配向が乱されること防止することができる。導電体24は、金属フレームや導電性シートを用いて形成してもよい。
【0058】
図10は、本実施例の別の実施形態を示すタッチパネル付表示装置20の模式的な縦断面図である。図10に示すように、基板の表面3に検出電極5、配線電極7、第1遮蔽電極8及び第1絶縁層9が形成される。本形態では、第2遮蔽電極10の代わりに、第1遮蔽電極8及び配線領域6の上方に金属フレーム27が設けられる。金属フレーム27は、タッチパネルの側面外周部13と液晶表示装置の側面外周部25とタッチパネルの上面の配線領域6を囲んでいる。このような構成により、電磁ノイズや静電気をより確実に遮蔽することができる。
【0059】
なお、図8〜図10に示す実施例4と実施例5のタッチパネルの構成として、図3に示した実施例1、図6に示した実施例2、図7に示した実施例3の各構成を適用してもよい。また、第5遮蔽電極22を液晶パネル21の表面に形成したが、これに代えて、偏光板28の上面に形成してもよい。また、第6遮蔽電極23や導電体24は、液晶パネル21に外部回路に接続するフレキシブル基板が設置される場合は、フレキシブル基板の設けられた領域を除いて形成されてもよい。但し、第6遮蔽電極23や導電体24は、液晶パネル21又はタッチパネル1の全外周の概ね70%以上を囲むように形成される。
【0060】
また、図8〜図10に示す実施例4と実施例5では、表示パネルとして液晶パネル21を用いた例について説明したが、この液晶パネル21に代えて、EL(エレクトロルミネッセンス)パネル、PDP(プラズマディスプレイ)パネル、電気泳動パネル、その他の平面型パネルを使用してもよい。
【0061】
また、上述の各実施例では、検出領域4に形成される検出電極をX−Yマトリックス状の座標検出型としたが、これに限定されず、固定パターン方式(ボタンスイッチ型)としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 タッチパネル
2 基板
4 検出領域
5 検出電極
6 配線領域
7 配線電極
8 第1遮蔽電極
9 第1絶縁層
10 第2遮蔽電極
11 第1貫通孔
12 金属フレーム
13 基板2の側面外周部
15 第3遮蔽電極
16 第4遮蔽電極
17 第2絶縁層
20 タッチパネル付表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に検出領域と、前記検出領域の外側に配線領域が設けられた基板と、
前記検出領域に形成され、互いに電気的に分離した複数の検出電極と、
前記配線領域に形成され、前記検出電極に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極と、
前記基板の外周に、外部から侵入するノイズを遮蔽するために形成された第1遮蔽電極と、を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記配線電極と前記第1遮蔽電極の上部に第1絶縁層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記基板の側面外周部と前記配線領域の上方とに形成された金属フレームを更に備えることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1絶縁層の上面に、前記配線領域及び前記第1遮蔽電極を覆うように形成された第2遮蔽電極を更に備え、
前記第1絶縁層には第1貫通孔が形成され、
前記第1貫通孔を介して、前記第2遮蔽電極が、前記第1遮蔽電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記基板の裏面に形成された第3遮蔽電極を更に備えることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第3遮蔽電極の下面に形成された第2絶縁層を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記基板の裏面側に、前記配線領域及び前記第1遮蔽電極に対応する領域に形成された第4遮蔽電極を更に備え
前記第2絶縁層には第2貫通孔が形成され、
前記第3遮蔽電極と前記第4遮蔽電極が前記第2貫通孔を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
表面に検出領域と、前記検出領域の外側に配線領域が設けられた基板と、
前記検出領域に形成され、互いに電気的に分離した複数の検出電極と、
前記配線領域に形成され、前記検出電極に電気的に接続し、検出信号を伝達する配線電極と、
前記基板の外周に、外部から侵入するノイズを遮蔽するために形成された第1遮蔽電極と、
前記基板の背面に設けられた表示パネルと、を備えることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルの上面に形成された透光性の第5遮蔽電極と、
前記基板の裏面の外周に形成された第6遮蔽電極と、を更に備え、
前記第5遮蔽電極と前記第6遮蔽電極とが電気的に接続することを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項10】
前記配線電極と前記第1遮蔽電極の上部に第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面に、前記配線領域及び前記第1遮蔽電極を覆うように形成された第2遮蔽電極を更に備え、
前記第1絶縁層には第1貫通孔が形成され、
前記第1貫通孔を介して、前記第2遮蔽電極が、前記第1遮蔽電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項9に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルの側面外周部に形成され、前記第7遮蔽電極と電気的に接続する導電体を更に備えることを特徴とする請求項10に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項12】
前記配線電極と前記第1遮蔽電極の上部に第1絶縁層と、
前記表示パネル及び前記基板の側面外周部と前記配線領域の上方とに形成された金属フレームとを更に備え、
前記金属フレームが前記第1絶縁層を介して設置されることを特徴とする請求項9に記載のタッチパネル付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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